説明

枠体及び枠体の接合方法

【課題】同一断面形状の押出形材、より好ましくは同一の押出ダイスの同じ押出孔より押し出された押出形材、更に好ましくは押出機より押し出された一本の押出形材から切り出された押出形材を用いて鋭利な角部を無くし、かつ、高さ,幅等の寸法を高精度に揃えることができる枠体及びその接合方法を提供すること。
【解決手段】同一断面形状の押出形材、より好ましくは同一の押出ダイスの同じ押出孔より押し出された押出形材、更に好ましくは押出機より押し出された一本の押出形材から切り出された押出形材から切断される辺部を形成する枠部材11,12と、コーナー部を形成する接合部材20とを具備する枠体10において、枠部材11,12は、外側の鋭角部の角度θ1が135/2°に切断され、内側の鈍角部の角度θ2が225/2°となるように斜めに切断された接合面16を有し、接合部材20は、接合面23の二つの鋭角部の角度θ1が135/2°の例えば台形状に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、枠体及び枠体の接合方法に関するもので、更に詳細には、例えばアルミニウム合金製の押出形材によって形成される枠部材と接合部材とを用いた枠体及び枠体の接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば額縁や建築構造等の枠体にアルミニウム合金製の押出形材を切断した枠部材が広く使用されている。枠体を形成する方法としては、例えばコーナー接合部に接合部材を介して辺部を形成する枠部材同士を接合するものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
また、同一断面形状の押出形材を切断した枠部材同士を略直角方向に突き合わせて接合するものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開昭63−236886号公報(特許請求の範囲、第1図,第2図)
【特許文献2】特開2000−262371号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献3】特開平7−171027号公報(特許請求の範囲、図1,図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者すなわち特開昭63−236886号公報及び特開2000−262371号公報に記載のものは、押出形材によって形成される枠部材と接合部材との形状が異なるため、枠部材の加工と接合部材の加工を別々に行う必要があり、構成部材の加工工数が多くなるばかりか、コストが嵩むという問題があった。また、単に各辺に対応する枠部材を接合部材で接合するのみでは、コーナー部が鋭利に角張り、危険であるばかりか外観上の美観も損なわれる。枠体のコーナー部に鋭利な角部が生じないようにするためには、コーナー用の接合部材を別途用意して取り付ける方法が考えられる。しかし、コーナー用の接合部材を別途用意するには、寸法調整された接合部材を別途加工する工数を要すると共に、寸法調整等の不具合の虞がある上、高い剛性が得られない等の問題がある。
【0005】
また、後者すなわち特開平7−171027号公報に記載のものは、同一断面形状の押出形材を切断して得られた枠部材同士を接合するため、前者に比べて加工工数及び構成部材の削減が図れると共に、コストの低廉化を図ることができる。しかし、特開平7−171027号公報に記載の枠体においてはコーナー部に鋭利な直角の角部が生じ、直角の角部の無い枠体を形成することができないという問題があった。
【0006】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたのもので、同一断面形状の押出形材、より好ましくは同一の押出ダイスの同じ押出孔より押し出された押出形材、更に好ましくは押出機より押し出された一本の押出形材から切り出された押出形材を用いて鋭利な角部を無くし、かつ、高さ,幅等の寸法を高精度に揃えることができる枠体及びその接合方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の枠体は、同一断面形状の押出形材、より好ましくは同一の押出ダイスの同じ押出孔より押し出された押出形材、更に好ましくは押出機より押し出された一本の押出形材から切り出された押出形材から切断される辺部を形成する枠部材と、コーナー部を形成する接合部材とを具備し、上記枠部材は、外側の鋭角部の角度が135/2°、内側の鈍角部の角度が225/2°となるように斜めに切断された接合面を有し、上記接合部材は、接合面の二つの鋭角部の角度が135/2°の台形状あるいは二等辺三角形状に形成されている、ことを特徴とする(請求項1)。
【0008】
この発明において、上記枠部材と接合部材との接合部を接着材や溶接等の固定手段によって固定することも可能であるが、好ましくは上記枠部材と接合部材に跨って連結部材を添設すると共に、枠部材及び接合部材と連結部材とを固定部材によって固定する方がよい(請求項2)。
【0009】
また、上記枠部材及び接合部材は、平坦基片と、この平坦基片の少なくとも一側から折曲される側片を有する断面形状に形成され、上記枠部材及び接合部材の上記平坦基片に跨って第1の連結部材を添設すると共に、枠部材及び接合部材の平坦基片と第1の連結部材とを固定部材によって固定し、上記枠部材及び接合部材の上記側片に跨って第2の連結部材を添設すると共に、枠部材及び接合部材の側片と第2の連結部材とを固定部材によって固定するようにしてもよい(請求項3)。
【0010】
この発明の枠体の製造方法は、同一断面形状の押出形材、より好ましくは同一の押出ダイスの同じ押出孔より押し出された押出形材、更に好ましくは押出機より押し出された一本の押出形材から切り出された押出形材から鋭角部が135/2°、鈍角部が225/2°となるように斜めに切断した辺部を形成する枠部材と、二つの鋭角部が135/2°である台形状あるいは二等辺三角形状の接合部材を切り出し、二つの上記枠部材間に上記接合部材を介在させて二つの枠部材が直角の位置関係になるように接合する、ことを特徴とする(請求項4)。
【0011】
この枠体の接合方法において、上記枠部材と接合部材との接合部を接着材や溶接等の固定手段によって固定することも可能であるが、好ましくは上記枠部材と接合部材に跨って連結部材を添設し、枠部材及び接合部材と連結部材とを固定部材によって固定する方がよい(請求項5)。
【0012】
また、平坦基片と、この平坦基片の少なくとも一側から折曲される側片を有する断面形状に形成された上記押出形材を切断して上記枠部材及び接合部材を切り出し、上記枠部材及び接合部材の上記平坦基片に跨って第1の連結部材を添設し、枠部材及び接合部材の平坦基片と第1の連結部材とを固定部材によって固定し、上記枠部材及び接合部材の上記側片に跨って第2の連結部材を添設し、枠部材及び接合部材の側片と第2の連結部材とを固定部材によって固定するようにしてもよい(請求項6)。
【0013】
請求項1,4記載の発明によれば、同一断面形状の押出形材から鋭角部の角度が135/2°、鈍角部の角度が225/2°となるように斜めに切断した辺部を形成する枠部材と、二つの鋭角部の角度が135/2°である台形状あるいは二等辺三角形状の接合部材を切り出し、二つの枠部材間に接合部材を介在させて二つの枠部材が直角の位置関係になるように接合することにより、同一断面形状の押出形材、より好ましくは同一の押出ダイスの同じ押出孔より押し出された押出形材、更に好ましくは押出機より押し出された一本の押出形材から切り出された押出形材から得られた枠部材と接合部材を用いて鋭利な角部の無い枠体を得ることができる。
【0014】
請求項2,5記載の発明によれば、上記枠部材と接合部材に跨って連結部材を添設し、枠部材及び接合部材と連結部材とを固定部材によって固定することにより、枠部材と接合部材とを接合・固定することができる。
【0015】
請求項3,6記載の発明によれば、上記枠部材及び接合部材は、平坦基片と、この平坦基片の少なくとも一側から折曲される側片を有する断面形状に形成され、枠部材及び接合部材の上記平坦基片に跨って第1の連結部材を添設し、枠部材及び接合部材の平坦基片と第1の連結部材とを固定部材によって固定し、枠部材及び接合部材の側片に跨って第2の連結部材を添設し、枠部材及び接合部材の側片と第2の連結部材とを固定部材によって固定することにより、枠部材と接合部材とを複数の連結部材を介在して接合・固定することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、次のような優れた効果が得られる。
【0017】
(1)請求項1,4記載の発明によれば、同一断面形状の押出形材、より好ましくは同一の押出ダイスの同じ押出孔より押し出された押出形材、更に好ましくは押出機より押し出された一本の押出形材から切り出された押出形材から得られた枠部材と接合部材を用いて直角部の無い枠体を得ることができるので、少ない加工工数及び低コストで鋭利な角部の無い安全性に富む枠体を容易に得ることができる。また、同一断面形状の押出形材、より好ましくは同一の押出ダイスの同じ押出孔より押し出された押出形材、更に好ましくは押出機より押し出された一本の押出形材から切り出された押出形材から得られた枠部材と接合部材を接合するので、高さ,幅等の寸法を高精度に揃えることができる。
【0018】
(2)請求項2,5記載の発明によれば、枠部材と接合部材とを連結部材と固定部材を用いて接合・固定するので、上記(1)に加えて、更に枠体の強度を高めることができる。
【0019】
(3)請求項3,6記載の発明によれば、枠部材と接合部材とを複数の連結部材と固定部材を用いて接合・固定するので、上記(1)に加えて、更に枠体の強度を強固にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、この発明の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
<第1実施形態>
図1は、この発明に係る枠体の第1実施形態を示す平面図(a)及び枠体のコーナー部の拡大平面図(b)、図2は、枠体のコーナー部の上面側斜視図(a)及び下面側斜視図(b)、図3は、枠体のコーナー部の異なる位置の断面図、図4は、枠体のコーナー部を示す分解斜視図、図5は、枠部材と接合部材を押出形材から切り出す状態を示す概略平面図である。
【0022】
この発明に係る枠体10は、後述する同一の断面形状を有するアルミニウム合金製押出形材1を切断して得られる前,後の長尺の第1の枠部材11と、左,右の短尺の第2の枠部材12と、コーナー部において第1の枠部材11と第2の枠部材12を接合する4個の接合部材20とを具備している。
【0023】
この場合、第1の枠部材11及び接合部材20は、平坦基片13の長手方向に沿う両側に折曲される一対の側片14,15を有する断面略チャンネル状に形成されている。
【0024】
また、第1の枠部材11及び第2の枠部材12は、図1(b)及び図5に示すように、鋭角部の角度θ1が135/2°、鈍角部の角度θ2が225/2°となるように斜めに切断された接合面16を有している。
【0025】
一方、接合部材20は、二つの鋭角部の角度θ1が135/2°、二つの鈍角部の角度θ2が225/2°となるように斜めに切断された接合面23を有する台形状に形成されている。
【0026】
上記のように形成される第1,第2の枠部材11,12と接合部材20は、図5に示すように、同一の押出形材1(より好ましくは同一の押出ダイスの同じ押出孔より押し出された押出形材、更に好ましくは押出機より押し出された一本の押出形材から切り出された押出形材)の所定位置を上述のように切断して得ることができる。すなわち、まず、上記のように平坦基片13と、この平坦基片13の両側に折曲される一対の側片14,15を有する断面形状の押出形材1を用意する。
【0027】
次に、押出形材1を図示しない固定具で固定した状態で、押出形材1の一端から例えば第1の枠部材11の長さ寸法位置において、鋭角部の角度θ1が135/2°、鈍角部の角度θ2が225/2°となるように斜めに切断して第1の枠部材11を切り出す。この状態において、残りの押出形材1の端面(接合面)は、鋭角部の角度θ1が135/2°、鈍角部の角度θ2が225/2°となっている。なお、切り出された第1の枠部材11の一端部も同様に鋭角部の角度θ1が135/2°、鈍角部の角度θ2が225/2°となるように斜めに切断される。この切断は第1の枠部材11の切り出し前に行ってもよい。
【0028】
次に、第1の枠部材11を切断した押出形材1の端面(接合面)から任意の長さ寸法位置において、二つの鋭角部θ1が135/2°、二つの鈍角部θ2が225/2°となるように斜めに切断して台形状の接合部材20を切り出す。この状態において、残りの押出形材1の端面は、鋭角部θ1が135/2°、鈍角部θ2が225/2°となっている。
【0029】
以下、上記と同様の切断加工を行って、残りの第1の枠部材11、2本の第2の枠部材12、3個の接合部材20を切り出すことができる。なお、最後に切り出される第2の枠部材12は、鋭角部θ1が135/2°、鈍角部θ2が225/2°となるように斜めに切断された切断面(接合面)を有している。
【0030】
次に、枠体10の組立手順について説明する。まず、上記のようにして切断して作製された2本の第1の枠部材11と、2本の第2の枠部材12及び4個の接合部材20を用意する他、4個の第1の連結部材31と、4組の第2の連結部材32及び固定部材である固定ねじ40,40A,ナット41を用意する。
【0031】
この場合、第1の連結部材31は、直角の位置関係に接合される第1の枠部材11と第2の枠部材12の平坦基片13と、この第1の枠部材11と第2の枠部材12の接合面16に当接する接合部材20の台形状の平坦基片13とで形成される形状を有するアルミニウム合金製の板状部材にて形成されている。すなわち、第1の連結部材31は、図6(a)に示すように、第1及び第2の枠部材11,12の接合部側の平坦基片13に添設される第1及び第2の矩形状端部33,34と、これら第1及び第2の矩形状端部33,34間に位置して、内側が矩形状端部33,34からそれぞれ225°(225/2°+225/2°)の角度θ3で折曲される内側辺35aを有し、外側が矩形状端部33,34からそれぞれ135°(135/2°+135/2°)の角度θ4で折曲される外側辺35bを有する連結部35とで形成されている。
【0032】
また、第2の連結部材32は、直角の位置関係に接合される第1の枠部材11と第2の枠部材12と、この第1の枠部材11と第2の枠部材12の接合面16に当接する接合部材20の側片14,15にそれぞれ添設されるアルミニウム合金製の内側連結部材36と外側連結部材37の2種類からなる。
【0033】
この場合、内側連結部材36は、直角の位置関係に接合される第1の枠部材11と第2の枠部材12の内側の側片14と、この第1の枠部材11と第2の枠部材12の接合面16に当接する接合部材20の内側の側片14に沿って添設されるアルミニウム合金製の折曲板状部材にて形成されている。すなわち、内側連結部材36は、図6(b)に示すように、第1及び第2の枠部材11,12の接合部側の側片14に添設される第1及び第2の当接片36a,36bと、これら第1及び第2の当接片36a,36b間に位置して、当接片36a,36bからそれぞれ135°(135/2°+135/2°)の角度θ4で折曲される連結片36cとで形成されている。
【0034】
また、外側連結部材37は、直角の位置関係に接合される第1の枠部材11と第2の枠部材12の外側の側片15と、この第1の枠部材11と第2の枠部材12の接合面16に当接する接合部材20の外側の側片15に沿って添設されるアルミニウム合金製の折曲板状部材にて形成されている。すなわち、外側連結部材37は、図6(c)に示すように、第1及び第2の枠部材11,12の接合部側の側片15に添設される第1及び第2の当接片37a,37bと、これら第1及び第2の当接片37a,37b間に位置して、当接片37a,37bからそれぞれ135°(135/2°+135/2°)の角度θ4で折曲される連結片37cとで形成されている。
【0035】
枠体10を組み立てるには、第1の枠部材11と第2の枠部材12とを直角の位置関係となるように配置すると共に、両枠部材11,12間に接合部材20を当接配置する。この状態で、両枠部材11,12及び接合部材20の平坦基片13に第1の連結部材31を添設し、両枠部材11,12及び接合部材20に設けられた取付孔17を貫通する固定ねじ40を第1の連結部材31に設けられたねじ孔31aに螺合して固定する(図3(a)参照)。また、両枠部材11,12及び接合部材20の側片14,15に第2の連結部材32である内側連結部材36及び外側連結部材37を添設し、両枠部材11,12及び接合部材20と内側連結部材36及び外側連結部材37に設けられた取付孔17に固定ねじ40Aを貫通し、固定ねじ40Aの突出部にナット41を螺合して固定する(図3(b)参照)。
【0036】
上記のようにして形成される枠体10は、角部に台形状の接合部材20の長辺側の側片22(15)が位置するので、鋭利な角部が無くなる。したがって、怪我の心配がなくなり、安全性及び美観の向上が図れ、また、剛性の向上が図れる。また、枠部材11,12と接合部材20は、同一の押出形材1を切断して得られたものを用いて接合するので、高さ,幅等の寸法を高精度に揃えることができる。
【0037】
<第2実施形態>
図7は、この発明に係る枠体の第2実施形態のコーナー部を示す拡大平面図、図8は、第2実施形態におけるコーナー部の上面側斜視図(a)及び下面側斜視図(b)、図9は、第2実施形態における枠体のコーナー部を示す分解斜視図である。
【0038】
第2実施形態は、第1実施形態における台形状の接合部材20に代えて二等辺三角形状の接合部材20Aを用いて第1の枠部材11と第2の枠部材12を直角の位置関係に接合するようにした場合である。
【0039】
この場合、接合部材20Aは、二つの鋭角部の角度θ1が135/2°となるように斜めに切断された接合面23を有する二等辺三角形状に形成されている。
【0040】
第2実施形態における第1及び第2の枠部材11,12は、第1実施形態と同様に、押出形材1から切り出される。すなわち、図10に示すように、鋭角部の角度θ1が135/2°、鈍角部の角度θ2が225/2°となるように斜めに切断して切り出される。
【0041】
接合部材20Aは、第1又は第2の枠部材11,12が切り出された押出形材1の端面の鋭角部と対向する鋭角部の二つの鋭角部の角度θ1が135/2°となるように斜めに切断して切り出される二等辺三角形状に形成されている。
【0042】
また、第2実施形態においては、第1の連結部材31Aは、直角の位置関係に接合される第1の枠部材11と第2の枠部材12の平坦基片13と、この第1の枠部材11と第2の枠部材12の接合面16に当接する接合部材20Aの二等辺三角形状の平坦基片13Aに添設される形状を有するアルミニウム合金製の板状部材にて形成されている。すなわち、第1の連結部材31Aは、図11(a)に示すように、第1及び第2の枠部材11,12の接合部側の平坦基片13に添設される第1及び第2の矩形状端部33,34と、これら第1及び第2の矩形状端部33,34間に位置して、内側が矩形状端部33,34から90°の角度θ5で折曲される内側角部38aを有し、外側が矩形状端部33,34からそれぞれ135°(135/2°+135/2°)の角度θ6で折曲される外側辺38bを有する連結部38とで形成されている。
【0043】
また、第2の連結部材32は、直角の位置関係に接合される第1の枠部材11と第2の枠部材12と、この第1の枠部材11と第2の枠部材12の接合面16に当接する接合部材20Aの側片14,14にそれぞれ添設されるアルミニウム合金製の内側連結部材36Aと第1実施形態と同様の外側連結部材37の2種類からなる。
【0044】
この場合、内側連結部材36Aは、直角の位置関係に接合される第1の枠部材11と第2の枠部材12の内側の側片14と、この第1の枠部材11と第2の枠部材12の接合面16に当接する接合部材20Aの内側角部38aに沿って添設されるアルミニウム合金製の折曲板状部材にて形成されている。すなわち、内側連結部材36Aは、図11(b)に示すように、第1及び第2の枠部材11,12の接合部側の側片14に添設される第1及び第2の当接片36d,36eと、これら第1及び第2の当接片36d,36e間に位置して、当接片36d,36eから90°の角度θ5で折曲される角部39とで形成されている。
【0045】
枠体10Aを組み立てるには、第1実施形態と同様に、第1の枠部材11と第2の枠部材12とを直角の位置関係となるように配置すると共に、両枠部材11,12間に接合部材20Aを当接配置する。この状態で、両枠部材11,12及び接合部材20Aの平坦基片13,13Aに第1の連結部材31Aを添設し、両枠部材11,12及び接合部材20Aの平坦基片13,13Aに設けられた取付孔17を貫通する固定ねじ40を第1の連結部材31Aに設けられたねじ孔(図示せず)に螺合して固定する。また、両枠部材11,12の内側片14,外側片15及び接合部材20Aに第2の連結部材32である内側連結部材36A及び外側連結部材37を添設し、両枠部材11,12及び接合部材20Aと内側連結部材36A及び外側連結部材37に設けられた取付孔17に固定ねじ40Aを貫通し、固定ねじ40Aの突出部にナット41を螺合して固定する(図8及び図9参照)。
【0046】
上記のようにして形成される第2実施形態の枠体10Aにおいても、角部に台形状の接合部材20の長辺側の側片15が位置するので、鋭利な角部が無くなり、安全性に富むと共に、美観の向上が図れ、また、剛性の向上が図れる。また、枠部材11,12と接合部材20Aは、同一の押出形材1を切断して得られたものを用いて接合するので、高さ,幅等の寸法を高精度に揃えることができる。
【0047】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、第1,第2の枠部材11,12及び接合部材20,20Aの基材となる押出形材1が、平坦基片13と一対の側片14,15とからなる断面略チャンネル状に形成される場合について説明したが、押出形材1の断面形状はこれに限定されるものではなく、押出形材1は、平坦基片13と、この平坦基片13の少なくとも一側から折曲される側片を有する断面形状に形成されていればよく、側片を一方に有する断面略L字状,中空矩形状,チャンネル状本体の開口端から内方に向かってリブを突設又は該リブを連結する等の任意の断面形状であってもよく、あるいは、側片と対向する辺部に中空部や凹凸部等の異形部を有する断面形状であってもよい。
【0048】
また、図12に示すように、押出形材100すなわち第1の枠部材110,第2の枠部材120及び接合部材200の断面形状を、平坦基片113の長手方向に沿う両側に折曲される一対の側片114,115を有する断面略チャンネル状に形成すると共に、側片114,115の平坦基片113側の対向する面から平坦基片113と平行なリブ116を突設した形状としてもよい。この場合、図13(a)に示すように、リブ116に貫通孔117を穿設し、両リブ116に連結部材300を当接し、連結部材300に穿設された貫通孔301とリブ116の貫通孔117を貫通する固定ねじ400をリブ116の裏面側に配設されたナット410にねじ結合して、固定するようにしてもよい。また、図13(b)に示すように、リブ116にねじ孔118を刻設し、両リブ116に連結部材300を当接し、連結部材300に穿設された貫通孔301を貫通する固定ねじ400をリブ116のねじ孔118にねじ結合して、固定するようにしてもよい。更にまた、図13(c)に示すように、リブ116に貫通孔117を穿設し、連結部材300にはねじ孔302を刻設し、連結部材300をリブ116の裏面側すなわちリブ116と平坦基片113の間側に当接し、リブ116の貫通孔117を貫通する固定ねじ400を連結部材300のねじ孔302にねじ結合して、固定するようにしてもよい。
【0049】
上記のように、連結部材300を第1の枠部材110,第2の枠部材120及び接合部材200のリブ116に当接して、固定ねじ400にて固定することにより、第1の枠部材110,第2の枠部材120及び接合部材200の外側に加工孔が露呈することがないので、外観の美観の向上が図れる。また、枠部材110,120と接合部材200は、同一の押出形材1を切断して得られたものを用いて接合するので、高さ,幅等の寸法を高精度に揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明に係る枠体の第1実施形態を示す平面図(a)及び枠体のコーナー部の拡大平面図(b)である。
【図2】枠体のコーナー部の上面側斜視図(a)及び下面側斜視図(b)である。
【図3】枠体のコーナー部の異なる位置の断面図である。
【図4】枠体のコーナー部を示す分解斜視図である。
【図5】この発明における枠部材と接合部材を押出形材から切り出す状態を示す概略平面図である。
【図6】第1実施形態の枠体における第1の連結部材を示す平面図(a)、第2の連結部材を形成する内側連結部材を示す平面図(b)及び外側連結部材を示す平面図(c)である。
【図7】この発明に係る枠体の第2実施形態のコーナー部を示す拡大平面図である。
【図8】第2実施形態におけるコーナー部の上面側斜視図(a)及び下面側斜視図(b)である。
【図9】第2実施形態における枠体のコーナー部を示す分解斜視図である。
【図10】第2実施形態における枠部材と接合部材を押出形材から切り出す状態を示す概略平面図である。
【図11】第2実施形態の枠体における第1の連結部材を示す平面図(a)及び第2の連結部材を形成する内側連結部材を示す平面図(b)である。
【図12】この発明における枠部材及び接合部材を形成する押出形材の別の形状の一例を示す側面図である。
【図13】この発明における枠部材及び接合部材と連結部材の別の固定態様の一部を断面で示す側面図である。
【符号の説明】
【0051】
1,100 押出形材
10,10A 枠体
11,110 第1の枠部材
12,120 第2の枠部材
13,13A,113 平坦基片
14,15,114,115 側片
16,23 接合面
20,20A,200 接合部材
31,31A 第1の連結部材
31a ねじ孔
32 第2の連結部材
36,36d 内側連結部材
37 外側連結部材
40,40A,400 固定ねじ(固定部材)
41 ナット,410(固定部材)
116 リブ
117 貫通孔
118 ねじ孔
300 連結部材
301 貫通孔
302 ねじ孔
θ1 鋭角部の角度
θ2 鈍角部の角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一断面形状の押出形材から切断される辺部を形成する枠部材と、コーナー部を形成する接合部材とを具備し、
上記枠部材は、外側の鋭角部の角度が135/2°、内側の鈍角部の角度が225/2°となるように斜めに切断された接合面を有し、
上記接合部材は、接合面の二つの鋭角部の角度が135/2°の台形状あるいは二等辺三角形状に形成されている、ことを特徴とする枠体。
【請求項2】
請求項1記載の枠体において、
上記枠部材と接合部材に跨って連結部材を添設すると共に、枠部材及び接合部材と連結部材とを固定部材によって固定してなる、ことを特徴とする枠体。
【請求項3】
請求項1記載の枠体において、
上記枠部材及び接合部材は、平坦基片と、この平坦基片の少なくとも一側から折曲される側片を有する断面形状に形成され、
上記枠部材及び接合部材の上記平坦基片に跨って第1の連結部材を添設すると共に、枠部材及び接合部材の平坦基片と第1の連結部材とを固定部材によって固定し、
上記枠部材及び接合部材の上記側片に跨って第2の連結部材を添設すると共に、枠部材及び接合部材の側片と第2の連結部材とを固定部材によって固定してなる、ことを特徴とする枠体。
【請求項4】
同一断面形状の押出形材から鋭角部が135/2°、鈍角部が225/2°となるように斜めに切断した辺部を形成する枠部材と、二つの鋭角部が135/2°である台形状あるいは二等辺三角形状の接合部材を切り出し、
二つの上記枠部材間に上記接合部材を介在させて二つの枠部材が直角の位置関係になるように接合する、ことを特徴とする枠体の接合方法。
【請求項5】
請求項4記載の枠体の接合方法において、
上記枠部材と接合部材に跨って連結部材を添設し、枠部材及び接合部材と連結部材とを固定部材によって固定する、ことを特徴とする枠体の接合方法。
【請求項6】
請求項4記載の枠体の接合方法において、
平坦基片と、この平坦基片の少なくとも一側から折曲される側片を有する断面形状に形成された上記押出形材を切断して上記枠部材及び接合部材を切り出し、
上記枠部材及び接合部材の上記平坦基片に跨って第1の連結部材を添設し、枠部材及び接合部材の平坦基片と第1の連結部材とを固定部材によって固定し、
上記枠部材及び接合部材の上記側片に跨って第2の連結部材を添設し、枠部材及び接合部材の側片と第2の連結部材とを固定部材によって固定する、ことを特徴とする枠体の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−80044(P2008−80044A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266375(P2006−266375)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(502444733)日軽金アクト株式会社 (107)
【出願人】(000250432)理研軽金属工業株式会社 (89)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】