説明

枠部材、及び、それを備える開口部装置

【課題】優れた断熱性能、防露性能を発揮する新規な構造の開口部装置の枠部材を提案する。
【解決手段】障子20を取り付けるための枠体10Wを構成する枠部材10であって、枠部材10は、外枠12、及び、外枠12の内周側に設けられる内枠11を有し、枠部材10の見込方向における室外側に、前記障子20を収容するための障子収容部10Mが形成され、枠部材10の見込方向における室内側に、内枠11と外枠12で囲まれた空間部10Nが形成され、前記障子収容部10Mの見込方向における略中心位置(中心線C4)よりも室外側に、前記障子20の見込方向の略中心位置(中心線C1)が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅、公共施設、商業施設、ビル等の建物の開口部に好適に設けられる開口部装置に関し、特に、ガラスパネルなどを備える障子が取り付けられる枠体を構成する枠部材の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製や樹脂製の枠体に、ガラスパネルなどを備える障子を取り付けた構成の開口部装置は周知となっている。この開口部装置の技術において、特に近年では、更なる高機能化が進んでいるが、開口部装置に求められる重要な機能の一つとして断熱性能、及び、防露性能がある。
【0003】
断熱性能は、例えば、室内空間と室外空間を仕切る開口部装置においては、室外空間からの熱伝導を抑制し、室内空間を快適な温度に保つ上で重要な機能とされ、更なる断熱性能の向上が求められている。そして、この断熱性能の向上により、例えば、冬季においては、室内側の開口部装置の周囲の温度が低下しすぎることがないようにして、窓枠の結露が防止されるといった防露性能の向上が図られることになる。
【0004】
ここで、断熱性能、及び、防露性能に関連する開口部装置の大きな要素としては、ガラスパネルなどを備える障子と、この障子の外周を覆い、建物開口部と障子の間の隙間を塞ぐ枠体がある。障子については、複層ガラスに構成することで断熱性を高める構成が周知となっている。枠体については、複数の枠部材の端部同士を付け合せて枠体を構成することとし、各枠部材について、金属よりも熱伝導率の低い樹脂を用いることにより、断熱性を高める構成が周知となっている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【特許文献1】特開2006−249732号公報
【特許文献2】特開2001−065242号公報
【特許文献3】特開2001−065245号公報
【特許文献4】特開2004−176505号公報
【特許文献5】特許第3443051号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、当該技術分野においては、断熱性能及び防露性能の更なる向上が求められている。発明者は、この断熱性能及び防露性能の向上について、前記枠部材の構造に着目して解決策を検討した。例えば、単純に枠部材の素材を全て樹脂とする構造が検討されるが、高い断熱性能及び防露性能が確保可能となる一方、剛性や製造コストの面で課題が残ることになる。また、金属構成材と樹脂構成材の二つを組み合わせた複合構造も検討されるが、従来は、断熱性能及び防露性能に関連し、この複合構造について、最適な構造の検討がなされておらず、十分な断熱性を確保できていないという現状がある。
【0006】
そこで、本発明は、優れた断熱性能、防露性能を発揮する新規な構造の枠部材を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1に記載のごとく、
障子を取り付けるための枠体を構成する枠部材であって、
前記枠部材は、外枠、及び、前記外枠の内周側に設けられる内枠を有し、
前記枠部材の見込方向における室外側に、前記障子を収容するための障子収容部が形成され、
前記枠部材の見込方向における室内側に、前記内枠と前記外枠で囲まれた空間部が形成され、
前記障子収容部の見込方向における略中心位置よりも室外側に、前記障子の見込方向の略中心位置が配置されることとするものである。
【0009】
また、請求項2に記載のごとく、
前記空間部の見込寸法は、前記外枠の見込寸法の略半分よりも大きく構成されることとするものである。
【0010】
また、請求項3に記載のごとく、
前記内枠の熱伝導率は、前記外枠の熱伝導率よりも低いものとする。
【0011】
また、請求項4に記載のごとく、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の枠部材を備える開口部装置とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
即ち、請求項1に記載の発明においては、障子が室外側によらされた位置(オフセットされた位置)に配置されることとなり、また、前記空間部の見込寸法が大きく確保された構成となる。この構成により、室外側と室内側の間での熱伝導は、面積の広く確保された内枠によって抑制され、優れた断熱性能を発揮することが可能となる。また、この断熱性能の向上によって、室内側において枠体に近い部位におけるガラスパネルの表面での結露の防止や、内枠の内側面の結露の防止が図られ、優れた防露性能を発揮することが可能となる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明においては、前記空間部の見込寸法が大きく確保され、断熱性能、防露性能の向上が図られる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明においては、前記内枠における熱伝達が抑制され、枠体全体としての断熱性能、防露性能の向上が図られる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明においては、断熱性能、防露性能に優れた開口部装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施形態にかかる開口部装置1を備える建物100の外観を示す正面図である。建物100は、1階部分及び2階部分からなり、各階に開口部を有している。開口部には、1階部分においては玄関2や窓3が備えられ、2階部分にも窓4が備えられる。2階部分には、開口部装置1が取り付けられ、小さめのスクエア窓(正方形)が構成される。この開口部装置1の形態は、換気を主目的としたいわゆる片開き窓又は突き出し窓とされている。
【0018】
また、図1に示すごとく、開口部装置1は比較的小さなスクエア窓に好適に使用されるが、この他、長方形のスリット窓、ひし形の菱形窓、ガラスブロック窓、台形窓、アーチ窓などの、あらゆる種類の窓に適用が可能である。また、建物の種類も住宅に限定されず、公共施設やオフィスビルなどの大型建物にも適用できる。
【0019】
図2は、本実施形態にかかる開口部装置1を室内側から見た正面斜視図である。開口部装置1は、建物開口部に固定される方形の枠体10Wを構成する枠部材10と、該枠部材10内に開閉可能に取り付けられる障子20とを有している。障子20は、ガラスパネル21と、該ガラスパネル21の周りを取り囲む框22を備えている。
【0020】
また、図3(a)に示すごとく、開口部装置1を室内側から見ると、主に、室内壁100A、ガラスパネル21、枠部材10の内枠11の表面部11Aのみが見えるようになっており、框22や外枠12などの殆どの他の部位は、室内壁100Aによって隠されて、室内側から見えないようになっている。
【0021】
また、図3(b)に示すごとく、開口部装置1を室外側から見ると、外壁100B、ガラスパネル21、及び、框22のみが見えるようになっている。前記枠体10Wは、框22によって隠されるようになっている。
【0022】
以上のような開口部装置1の構成により、ガラスパネル21と室内壁100Aの間には部材が殆ど見えず、また、ガラスパネル21と外壁100Bの間には框22のみが見えるようになり、シンプルで開放的な印象を与えることができる。なお、本実施形態においては、框22が室外側に配置されることで、框22が室外から見え、室内からは見えないようになっているが、反対に、框22を室内側に配置することで、框22が室外から見えず、室内からは見えるように構成することも可能である。
【0023】
また、図4は、開口部装置1の高さ方向中心付近における水平断面図である。開口部装置1の紙面上方が室外側、紙面下方が室内側である。図4には、左縦枠、右縦枠をそれぞれ構成する枠部材10、10、該枠部材10、10に沿って配置される左右の框22、22、及び、該框22にて取り囲まれるガラスパネル21が表れている。また、ガラスパネル21及び框22にて障子20が構成されており、この障子20は、操作ハンドル23により、蝶番機構30を回動中心として室外側に回動される構成となっている。
【0024】
また、図5は、開口部装置1の左右方向中心付近における縦断面図である。開口部装置1の紙面左方が室外側、紙面右方が室内側である。図5には、上枠、下枠をそれぞれ構成する枠部材10、10、該枠部材10、10に沿って配置される上下の框22、22、及び、該框22にて取り囲まれるガラスパネル21が表れている。また、ガラスパネル21及び框22にて障子20が構成されており、この障子20は、図6に示すごとく、操作ハンドル23の操作によって室外側に突き出される構成となっている。
【0025】
次に、枠部材10の構成について説明する。
以下の説明では、図5の点線Aで囲んだ範囲を代表的なものとして図7に拡大し、下枠を構成する範囲における枠部材や障子の構成について説明するが、以下で説明する構成は、開口部装置の他の部位についても適用可能である。即ち、縦枠を構成する範囲や、上枠を構成する範囲においても、以下で説明する実施形態の構成を適用することができる。
【0026】
図7に示すごとく、開口部装置1の枠体10Wを構成する枠部材10は、その内側面において枠体10Wの内周面を構成する内枠11と、その外周面にて枠体10Wの外周面(見込面)を構成する外枠12と、を具備して構成される。この枠部材10は、図2に示すごとく、方形の枠体10Wを構成するものである。
【0027】
また、図7に示すごとく、前記内枠11は、見込寸法L1を有する板状の部材であり、枠体10Wの内周面を形成する内側面11bを構成する内壁面構成部11aを有している。
【0028】
また、図7に示すごとく、内枠11において、前記内壁面構成部11aの室外側端部には、断面視において凹状の溝11cを構成する溝構成部11mが構成されており、溝構成部11mに網戸枠14が挿入されるようになっている。また、内枠11において、前記内壁面構成部11aの室内側端部においては、内壁面構成部11aを内側(枠体10Wで囲まれる空間の内側)に膨出させることにより、水受け部11eが構成されるようになっている。また、内枠11において、前記内壁面構成部11aの室内側端部においては、外側(枠体10Wで囲まれる空間の外側)方向に突出される内枠室内側張出し部11fが設けられている。また、前記溝構成部11mにおいても、外側方向に突出される内枠室外側張出し部11gが設けられている。
【0029】
また、図7に示すごとく、前記内枠11は、前記外枠12に取り付けられる。該外枠12は、見込寸法L2の外枠見込面構成部12aを有しており、該外枠見込面構成部12aにて枠部材10(枠体10W)の外周面が構成されることとしている。
【0030】
また、図7に示すごとく、外枠12において、前記外枠見込面構成部12aの見込方向の略中央部において、内側(枠体10Wで囲まれる空間の内側)方向に突出される外枠室外側張出し部12gが設けられている。また、外枠12の室内側端部においては、内側(枠体10Wで囲まれる空間の内側)方向に突出される外枠室内側張出し部12fが設けられている。
【0031】
また、図7に示すごとく、外枠12において、外枠見込面構成部12a、外枠室外側張出し部12g、外枠室内側張出し部12fによって、図において上方が開放される略「コ」字状の断面が構成される。そして、この略「コ」字状の断面の開放が、前記内枠11の内壁面構成部11aによって閉塞されることで、枠部材10に空間部10Nが構成されるようになっている。尚、内枠11の内枠室内側張出し部11fと外枠12の外枠室内側張出し部12f、内枠11の内枠室外側張出し部11gと外枠12の外枠室外側張出し部12g、がそれぞれ係合することにより、空間部10Nが構成されるようになっている。
【0032】
また、図7に示すごとく、前記内枠11は、外枠12、即ち、外枠見込面構成部12a、外枠室外側張出し部12g、外枠室内側張出し部12fよりも、断熱性の優れた素材にて構成されることとしている。例えば、外枠見込面構成部12a、外枠室外側張出し部12g、外枠室内側張出し部12fがアルミ形材によって構成される場合では、内枠11を樹脂形材によって構成することで、内枠11についての断熱性を優れたものとすることができる。また、この断熱性の向上によって、内枠11の内側(枠体10Wで囲まれる空間の内側)での結露が防止され、優れた防露性能を発揮することが可能となる。
【0033】
そして、図7に示すごとく、枠体10W(枠部材10)と障子20の見込方向の位置関係に関連し、枠部材10は、外枠12、及び、外枠12の内周側に設けられる内枠11を有し、枠部材10の見込方向における室外側に、前記障子20を収容するための障子収容部10Mが形成され、枠部材10の見込方向における室内側に、内枠11と外枠12で囲まれた空間部10Nが形成され、前記障子収容部10Mの見込方向における略中心位置(中心線C4)よりも室外側に、前記障子20の見込方向の略中心位置(中心線C1)が配置されることとしている。
【0034】
また、図7に示すごとく、枠部材10と障子20の見込方向の位置関係に関連し、前記空間部10Nの見込寸法L0は、前記外枠12の見込寸法L2の略半分よりも大きく構成されることとしている。
【0035】
また、図7に示すごとく、前記内枠11の熱伝導率は、前記外枠12の熱伝導率よりも低いものとすることとしている。
【0036】
また、上記の他、図7に示すごとく、枠部材10と障子20の見込方向の位置関係に関連し、前記障子20の見込寸法L3(框22の見込寸法)の中心線C1(見込寸法の中心の位置を上下方向に結んだ線)は、枠部材10の見込寸法(外枠12の見込寸法L2)の中心線C2よりも室外側へ配置されることが好適である。
また、枠部材10と障子20のパネル部材であるガラスパネル21の関係において、前記ガラスパネル21の中心線C3は、枠部材10の見込寸法(外枠12の見込寸法L2)の中心線C2よりも室外側へ配置されることが好適である。
また、枠部材10と前記ガラスパネル21の関係において、前記ガラスパネル21の室内面21eの延長線E1は、枠部材10の見込寸法(外枠12の見込寸法L2)の中心線C2よりも室外側へ配置されることが好適である。
【0037】
また、図7に示すごとく、上述のように、障子20を収容する枠部材10の障子収容部10Mにおいて、前記障子20の見込寸法L3(框22の見込寸法)の中心線C1は、障子収容部10Mの見込寸法L4の中心線C4よりも室外側へ配置されることが好適である。
また、障子収容部10Mと障子20のパネル部材であるガラスパネル21の関係において、前記ガラスパネル21の中心線C3は、障子収容部10Mの見込方向L4の中心線C4よりも室外側へ配置されることが好適である。
【0038】
以上の説明による枠部材10と障子20の見込方向の位置関係により、開口部装置1全体としてみると、障子20が室外側によらされた位置(オフセットされた位置)に配置されることとなり、また、前記空間部10Nの見込寸法L0が大きく確保された構成となる。この構成により、室外側と室内側の間での熱伝導は、面積の広く確保された内枠11(内壁面構成部11a)によって抑制され、優れた断熱性能を発揮することが可能となる。また、この断熱性能の向上によって、室内側の枠体10W(枠部材10)に近い部位におけるガラスパネル21の表面での結露の防止や、内枠11の内側面11bの結露の防止が図られ、優れた防露性能を発揮することが可能となる。
【0039】
さらに、上記のほか、枠部材10の構成において、図7に示すごとく、前記内枠11の見込寸法L1は、外枠室外側張出し部12g、及び、前記外枠室内側張出し部12fの外枠見込面構成部12aからの突出寸法D1・D2と比較して、長く構成されることが好適である。これにより、内枠11の内壁面構成部11aが広く構成され、ガラスパネル21(障子20)の室内側に、面積の広い内壁面構成部11aが構成される。これによって、室外側と室内側の間での熱伝導が面積の広い内壁面構成部11aで抑制され、優れた断熱性能を発揮することが可能となる。また、この断熱性能の向上によって、室内側の枠体10W(枠部材10)に近い部位におけるガラスパネル21の表面での結露の防止や、内枠11の内側面11bの結露の防止が図られ、優れた防露性能を発揮することが可能となる。
【0040】
また、図7に示すごとく、外枠室外側張出し部12g、及び、前記外枠室内側張出し部12fの外枠見込面構成部12aからの突出寸法D1・D2は、それぞれ、内枠11の見込寸法L1の半分の寸法と略同一、若しくは、それよりも大きく構成されることが好適である。これにより、外枠見込面構成部12a、外枠室外側張出し部12g、外枠室内側張出し部12fをアルミ形材にて構成し、内枠11を樹脂形材にて構成する場合においても、外枠室外側張出し部12g、外枠室内側張出し部12fの剛性によって、枠体10Wの全体としての剛性を確実に確保することができる。尚、この点に関し、例えば、外枠室外側張出し部12g、外枠室内側張出し部12fについても、内枠11と一体的に樹脂にて形成する構成とすることも可能ではあるが、これによると、十分な剛性を確保できないことや、コスト高といった弊害も生じ得る。
【0041】
また、図7に示すごとく、前記内枠11の見込寸法L1を長く構成するとともに、前記外枠室外側張出し部12g、及び、前記外枠室内側張出し部12fの突出寸法D1・D2を一定の寸法(内枠11の見込寸法L1)の半分の寸法と略同一、若しくは、それよりも大きく構成されることが好適である。これにより、枠部材10に形成される空間部10Nの体積を大きく確保することができる。そして、この構成により、空間部10N内に閉じ込められる空気によって、低熱伝導率の空気層が形成され、この空気層によって室外側と室内側の間での熱伝導が抑制され、優れた断熱性能、及び、防露性能を発揮させることが可能となる。
【0042】
次に、枠部材10と框22の位置関係について説明する。
図7に示すごとく、前記框22は、ガラスパネル21の四辺を取り囲むように構成される枠体であり、ガラスパネル21を収容する略「コ」字状のパネル収容部22aを具備している。このパネル収容部22aは、室外側の外装面を構成する框見付面構成部22bと、外枠12の外枠見込面構成部12aに対向する框見込面構成部22cと、外枠12の外枠室外側張出し部12gに対向する框室内面構成部22dと、から構成されることとしている。
【0043】
また、図7に示すごとく、パネル収容部22aの框見込面構成部22cと、外枠12の外枠見込面構成部12aの間には、距離Mが確保されて、空間10Mが形成されることとしている。この距離Mを広く構成することにより、室外に面する框22と外枠見込面構成部12aとの間での熱の伝達量を低減することができるようになる。これにより、例えば、冬季において、室外に直接さらされる框見付面構成部22bが冷却され、框見込面構成部22cの表面温度が低下した場合においても、外枠見込面構成部12aの表面温度の低下を抑えることができ、外枠12、ひいては、内枠11の温度低下を抑えることができる。
【0044】
そして、このように、内枠11の温度低下を抑えることにより、冬場においては、内枠11の内側面11bにおける結露を防止できるようになる。即ち、防露性能を向上させることができるようになる。尚、図7の構成では、框見込面構成部22cを内側(枠体10Wで囲まれる空間の内側)に窪ませることにより、より広い距離Mを確保することとしている。また、この他、障子収容部10Mの厚みmを薄くすることで、前記距離Mをより広く確保することとしてもよい。
【0045】
以上の構成によれば、断熱性能、及び、防露性能に優れた開口部装置を実現することができる。尚、以上の実施形態では、図5の点線Aで囲んだ部位であって、開口部装置の下枠を構成する範囲における枠体や障子の構成に説明したが、開口部装置の他の部位についても適用可能である。即ち、縦枠を構成する範囲や、上枠を構成する範囲においても、上述した実施形態の構成を適用することができる。
【0046】
以上が本発明の実施形態の説明である。尚、以上の実施形態において、パネル部材としては、ガラスパネルに代えて通常の開口部装置に利用されるあらゆる材質が使用可能である。例えば採光の観点から考えると、アクリル樹脂パネル、ポリカーボネートパネルを使用することができる。また、ロック機構やシール材等、その他通常の開口部装置が備える部材は本発明の開口部装置にも使用することができる。
【0047】
また、以上のように、本発明の開口部装置は、多くの種類の建物の開口部に適用が可能であり、各実施態様においてその効果を十分に発揮することができる。例えば、障子の開閉しない、所謂、FIX窓についても、本発明の構成は適用できるものである。
【0048】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う建物の開口部装置もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、突き出し窓、片開き窓、FIX窓、更には、引き違い窓も含め、あらゆる形態の開口部装置の枠体を構成する枠部材について幅広く適用可能である。また、枠体の形状についても、スクエア、サークル、台形、アーチなど、各種の枠形状について適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る開口部装置を備えた建物の例について示す図。
【図2】本発明の実施形態に係る開口部装置の室内側から見た斜視図。
【図3】(a)は、本発明の実施形態に係る開口部装置の室内側から見た正面図。(b)は、本発明の実施形態に係る開口部装置の室外側から見た正面図。
【図4】本発明の実施形態に係る開口部装置の水平断面図。
【図5】本発明の実施形態に係る開口部装置の側面断面図。
【図6】同じく障子を開いた状態における開口部装置の側面断面図。
【図7】図5の点線Aで囲んだ範囲の拡大図。
【符号の説明】
【0051】
1 開口部装置
10 枠部材
10W 枠体
10M 障子収容部
10N 空間部
11 内枠
12 外枠
20 障子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
障子を取り付けるための枠体を構成する枠部材であって、
前記枠部材は、外枠、及び、前記外枠の内周側に設けられる内枠を有し、
前記枠部材の見込方向における室外側に、前記障子を収容するための障子収容部が形成され、
前記枠部材の見込方向における室内側に、前記内枠と前記外枠で囲まれた空間部が形成され、
前記障子収容部の見込方向における略中心位置よりも室外側に、前記障子の見込方向の略中心位置が配置される、枠部材。
【請求項2】
前記空間部の見込寸法は、前記外枠の見込寸法の略半分よりも大きく構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の枠部材。
【請求項3】
前記内枠の熱伝導率は、前記外枠の熱伝導率よりも低いものとする、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の枠部材。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の枠部材を備える開口部装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−138348(P2009−138348A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312987(P2007−312987)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】