説明

架台等のベース部材

【課題】架台等のベース部材に高さ調整手段を設け、床面の傾斜にも対応でき、スマートな外観を付与すること。
【解決手段】下端部に位置する基板10と、上端部に位置する天板20と、これらを連結する中間部材30とからなる。中間部材30に天板20の高さを調節するネジ棒31と雌ネジ部材32からなる高さ調整手段を設ける。基板10を中間部材30の下端部で傾動可能に連結した。中間部材30の外周にゴム製の蛇腹等の上下方向に伸縮可能な筒状被覆部材を設ける。或は、側面部にネジ棒又は雌ネジ部材を回動するための工具用窓部を有し、下端面開口の有底筒状の被覆部材を使用してもよい。天板20の略中央部に螺子孔22を設け、対応する被覆部材の天部には貫通孔を設け、この螺子孔に架台等の基端部を螺着できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルや配管の支持枠体(ラック)等を構成する架台や、エアコンの室外機等の支持台や基礎台等の各種物品の支持台として使用するベース部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のベース部材としては、下記特許文献及び非特許文献に記載のものがあるが、ここに掲載されたベース部材は、所謂基礎ブロックと呼ばれるものである。
この種の基礎ブロックでは、その上面に、架台の脚部下端を挿入できる穴部、或は、当該脚部を螺着するための螺子孔等が形成され、また、その底面には薄い板厚のゴムベースが貼り付けられたものに過ぎない。
【特許文献1】特開平9−145099号公報
【非特許文献1】ネグロス電工株式会社発行 「ネグロスNEGUROSU総合カタログ」平成18年5月新価格改定版 2006/07A 1270頁から1275頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来例においては、その高さを調節する手段は設けられておらず、高さを調整する唯一の方法は、鋼製のスペーサーを用い、ブロックと架台の下端部との間にそれを介在させることによって行っていた。
そこで、本発明においては、上記のようなスペーサーを使用せずに、そのベース部材自体に高さ調整手段を付加させることがその第一の課題である。
次に、ベース部材を配置する床面等が多少の傾斜を有していても、この傾斜に対応してベース部材を配置でき、天板を水平に設置できるようにすることも本発明の課題である。
更には、その外観もよりスマートなものとして製品化することもその課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、下端部に位置する基板と、上端部に位置する天板と、これら基板と天板を連結する中間部材とからなり、中間部材に天板の高さを調節する高さ調整手段を設け、基板が中間部材の下端部で傾動可能に連結されている架台等のベース部材である。
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、高さ調整手段がネジ棒とこのネジ棒に螺合する雌ネジ部材とからなり、ネジ棒又は雌ネジ部材を回動させることにより天板が上下動することを特徴とする架台等のベース部材である。
【0005】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、中間部材の外周に蛇腹等の上下方向に伸縮可能な筒状被覆部材を設けたことを特徴とする架台等のベース部材である。
本発明の第4のものは、上記第1又は2の発明において、有底筒状の被覆部材を上方からベース部材に被覆し、被覆部材の側面部にはネジ棒又は雌ネジ部材を回動するための工具用窓部を設けたことを特徴とする架台等のベース部材である。
本発明の第5のものは、上記それぞれの発明において、天板の略中央部に螺子孔を設け、対応する被覆部材の天部には貫通孔を設け、この螺子孔に架台等の基端部を螺着できるようにしたことを特徴とする架台等のベース部材である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の第1のものにおいては、中間部材に設けた高さ調整手段により、天板の高さを必要に応じて上下に調節できる。
また、基板が中間部材の下端部で傾動可能に連結されているので、床面が多少傾斜していても、それに対応でき、天板を水平に配置することが可能となる。
本発明の第2のものにおいては、上記の第1の発明の効果に加えて、高さ調整手段がネジ棒と雌ネジ部材との構成からなり、ネジ棒又は雌ネジ部材を手又は工具により容易に回動させて天板の高さ調節を行うことができる。
【0007】
本発明の第3のものにおいては、中間部材の外周に蛇腹等の上下方法に伸縮する筒状被覆部材を配置しているため、中間部の高さ調整手段の構造に目隠しをし、その外観がよりスマートなものとなる。
また、筒状被覆部材は、上下に伸縮自在なために、これを例えば下方向に収縮させることにより、ネジ棒又は雌ネジ部材を回動させる際に邪魔になることがない。
【0008】
本発明の第4のものにおいては、有底筒状の被覆部材をベース部材に上からすっぽりと被覆したため、その外観がよりスマートなものとなる。
被覆部材の側面部には窓部が形成されているために、高さ調整手段であるネジ棒又は雌ネジ部材等を手や工具等で回動させる際に問題となることはない。
本発明の第5のものにおいては、天板の略中央部に螺子孔を設けたことにより、これに載置、固定される架台等の基端部を螺子等により固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面と共に本発明に係るベース部材の最良の実施形態について説明する。
図1は、本発明の架台等のベース部材に係る一実施形態を図示する斜視図であり、図2は、その中央縦断面図であるが、図2には図1に図示したベース部材に後に説明する筒状被覆部材や有底筒状の被覆部材をも併せて記載している。
本発明に係るベース部材1は、下端に位置する基板10と、上端に位置する天板20と、これらの基板10と天板20を連結する中間部材30とから構成されている。そして中間部材30には後に説明する高さ調整手段が設けられている。
【0010】
基板10は、平面視円形形状の金属製板材から形成され、その中央部が上方に膨出した膨出部11を有している。この基板10の中央部には貫通孔13が穿設されており、この貫通孔13を介して、螺子15によりネジ棒31が連結されるのである。
天板20は、平面視円形形状の金属製板材から形成され、平板状のものである。そして天板20の下面中央部に雌ネジ部材32が溶接着されている。この雌ネジ部材32に前記ネジ棒31が螺合するのである。
天板20の上面の中央には螺子孔22が形成されている。
この螺子孔22には、架台等の基端部が螺着される。
【0011】
中間部材30は、前記ネジ棒31と、このネジ棒31に螺合する雌ネジ部材32とから成る。
ネジ棒31は、その下端部に鍔部33が形成され、図2から見て取れるように、螺子15によって基板10の中央の貫通孔13で連結され、鍔部33と螺子15の頭部15hとの所定間隔の存在により基板10は、360度の何れの方向にも少し斜めに傾くことができ、即ち傾動することができるように連結されている。
雌ネジ部材32の横断面の外形形状は、正六角形であり、レンチ等の工具を利用して雌ネジ部材32を回動させることができる。
【0012】
ネジ棒31の先端部分は、雌ネジ部材32と螺合しており、この螺合深さに応じて天板の高さ位置が上下に変更でき、調整することができる。
ネジ棒31の先端には、孔部35が形成され、ネジ棒31の先端部が雌ネジ部材32の雌ネジ孔の上端部分に位置した際に、天板20の螺子孔22に螺合する螺子の先端部を導入させることができるように構成している。
36はストッパー用ナットを示しており、このストッパー用ナット36により雌ネジ部材32の下方向への移動を阻止できる。
【0013】
使用方法は、このベース部材を使用する場所に応じて、天板20を手で回転させておおよその高さに天板20を設定する。R方向に回転させることにより、天板20は上方に移行し、L方向に回転させることにより、天板20は、下方に移行する。
架台の枠体(図示省略)の基端部の下、或はエアコンの室外機等の下にこのベース部材1を配置し、その後に高さの微調整を行う。
この高さの微調整は、手又は工具を利用して雌ネジ部材32を回動させて行うことができる。
この高さの微調整を行うことにより、本発明に係るベース部材1の設置完了となる。
【0014】
更に、図2においては、上記ベース部材を被覆する2種類の被覆部材を同時に表示している。
先ず、実線で描いた円筒状被覆部材40は、合成ゴムから形成された蛇腹状の円筒形状を有するものである。
蛇腹状に形成され、またその素材の特性から、この円筒状被覆部材40は、上下方向に伸縮可能であり、高さの微調整を行う場合には、つまり、雌ネジ部材32を工具等で回動させる際には、この円筒状被覆部材40を下方に収縮させた状態で行うことができるのである。
【0015】
他方、図2中、二点鎖線で表現した被覆部材42は、略円柱形状を有する底面開口の、即ち、有底筒状のプラスチックス製のものである。
この被覆部材42の高さは、このベース部材1の一番高さの低い状態のときに合致するように形成されている。
この被覆部材42は、このベース部材1に上から被せるように取り付けることができる。
【0016】
図には明示していないが、この被覆部材42の側面部の上方には、工具を挿入することのできる窓部を形成している。
高さの微調整を行うためであり、この窓部から工具の先端部を挿入して、雌ネジ部材32を回動させることができる。
この被覆部材42の外形形状は、円柱形状、角柱形状、円錐台形状、角柱台形状と種々の形状に設計変更することができる。
【0017】
図3は、本発明のベース部材に係る他の実施形態を図示する斜視図である。
この架台等のベース部材2においては、上記第1の実施形態と異なり、ネジ棒31が天板20の側に連結され、雌ネジ部材32が基板10の側に連結されている。
雌ネジ部材32は、側面視略矩形形状の金属製枠体から形成され、その上面32uの中央に雌ネジ孔が形成されてネジ棒31と螺合するように形成されている。またその下面32sの中央部には穴部が形成されて、上記第1の実施形態と同様に、基板10が傾動可能に連結されている。
【0018】
即ち、図には表われていないが、基板10の中央にも貫通孔が形成されて、この貫通孔と上記雌ネジ部材32の下面32sに設けられた穴部に、基板10の下面から螺子を挿通し、その螺子の先端に鍔部33を固定している。螺子の頭部と鍔部33との間には所定間隔が設けられているために、基板10は傾動可能に雌ネジ部材32と連結するのである。
このように中間部材30に設けられる高さ調整手段は、上記実施形態においては、ネジ棒と雌ネジ部材を用いて実施したが、その位置関係は、上下何れの側であってもよく、即ち、ネジ棒は、基板側に連結されていてもよいし、天板の側に連結されていてもよい。他方、雌ネジ部材も同様に天板側又は基板側の何れの側でも良いのである。
【0019】
図4は、上記第1の実施形態(図1及び図2)と同様の構成を有するベース部材の天板部分の拡大説明図であって、架台の脚部を固定している状態を図示している。
ここにおいては、天板20の中央に刻設された螺子孔22に、ネジ棒31のストッパー用として及び架台の脚部60の固定用としての螺子棒23が螺合されている。
この螺子棒23の螺合深さにより、ネジ棒31の雌ネジ部材32への螺合深さが規制され、ストッパーの役目を果たすことが出来る。
【0020】
また、この螺子棒23は、天板20の螺子孔22から上方に突出し、植設ボルトの如き役目を果たし、架台の脚部60に形成された孔部に挿入して、ナット24で架台の脚部60を固定することができることとなる。
このような構成を採用することにより、前記第1の実施形態(図1及び図2)におけるストッパー用ナット36が不要となり、また、ネジ棒31の先端部に形成される孔部35
を穿設する必要がなくなる。即ち、手間とコストを削減することが出来るのである。
尚、螺子棒23の上端部25は、適宜横断面角柱形状等にすることにより、手やレンチ等により容易に回転させてその螺合深さを変更することができる。
【0021】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り設計変更、或は適宜部材を付加することが可能である。
基板及び天板の平面視形状は、円形形状でなくともよく、四角形形状或は多角形形状でも良い。また、天板が上方に又は下方に膨出するような湾曲面に形成されていてもよい。
その大きさも適宜自由に設計することができ、その外径も基板を大きくするばかりでなく、基板及び天板とも同様の外径のものでもよい。上記の実施形態では安定性を考慮して基板の側の外径を大きくしている。
【0022】
当然のこととして、本発明に係るベース部材を上下逆にして使用することも可能である。
即ち、上記実施形態において、天板と基板とを逆にして構成することも容易に可能である。
更には、天板の上面を被覆するゴム製の天板カバーを付加することも自由であり、基板の下に配置するゴム製の基板シートを適宜付加することも出来る。
ゴム製天板カバーを用いた場合には、その中央部に十文字の切れ目を設けておくことが極めて相応しい。その切れ目を利用して、カバーの中央部を捲くり上げ、架台の脚部等を螺着できるからである。
【0023】
天板の上面に、更に回転自在な回転板を設けることもできる。即ち、天板を回動させて微調整する際に、架台の脚部が回転板に固定されることにより、脚部を回転板に固定した状態で、天板を容易に回動させて微調整をすることが出来るからである。
中間部材に設けた高さ調整手段の雌ネジ部材32(図1及び図2)の外周の適宜位置に円板状のフランジ部を形成することも自由である。これにより、このフランジ部を手で容易に回動させ、その結果雌ネジ部材を回動させることができるからである。
【0024】
中間部材に設ける高さ調整手段も各種のものを使用することができる。上記の実施形態ではネジ棒と雌ネジ部材とで構成したが、本発明のベース部材に使用できる高さ調整手段であればどのようなものでも使用可能である。
例えば、ジャッキ形式のように、リンク機構にネジ棒を用いてネジ棒を工具等を利用してリンク機構の高さを上下出来るものであっても良い。但し、このジャッキ形式のものは構成が複雑となり、コスト高になる恐れがある。
或は、バネとネジ棒等を利用した突っ張り棒形式の構成を採用することも可能である。
【0025】
伸縮自在の柔軟なゴム製の蛇腹を使用した円筒状被覆部材や、合成樹脂製の略円柱状等の有底筒状の被覆部材は、当然にこれを用いずに実施することもできる。しかし、外観を考慮すれば、これらを使用した方がスマートである。
ゴム製の蛇腹は、その材質を硬質の合成樹脂製のものから形成することもでき、その蛇腹構造により上下に伸縮できるものであってもよい。
更に、本発明に係るベース部材は、その全体を金属製のものとして形成したが、その全ての素材を合成樹脂製のものとして実施することも可能である。重量の軽い枠体等を支持する場合には、その材質を合成樹脂としても実現可能だからである。
以上、本発明は、簡易な構成にして大きな効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のベース部材に係る第1の実施形態を図示する斜視図である。
【図2】図1の中央縦断面図であって、同時に筒状被覆部材や有底筒状の被覆部材をも記載している。
【図3】本発明のベース部材に係る他の実施形態を図示する斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態と同様の構成を有するベース部材の天板部分の拡大説明図であって、架台の脚部を固定している状態を図示している。
【符号の説明】
【0027】
1、2 ベース部材
10 基板
15 螺子
20 天板
22 螺子孔
30 中間部材
31 ネジ棒
32 雌ネジ部材
33 鍔部
36 ストッパー用ナット
40 筒状被覆部材
42 被覆部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部に位置する基板(10)と、上端部に位置する天板(20)と、これら基板と天板を連結する中間部材(30)とからなり、
中間部材(30)に天板の高さを調節する高さ調整手段(31, 32)を設け、
基板が(10)中間部材(30)の下端部で傾動可能に連結されている架台等のベース部材。
【請求項2】
高さ調整手段がネジ棒(31)とこのネジ棒(31)に螺合する雌ネジ部材(32)とからなり、ネジ棒(31)又は雌ネジ部材(32)を回動させることにより天板(20)が上下動することを特徴とする請求項1に記載の架台等のベース部材。
【請求項3】
中間部材(30)の外周に蛇腹等の上下方向に伸縮可能な筒状被覆部材(40)を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の架台等のベース部材。
【請求項4】
有底筒状の被覆部材(42)を上方からベース部材に被覆し、被覆部材(42)の側面部にはネジ棒(31)又は雌ネジ部材(32)を回動するための工具用窓部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の架台等のベース部材。
【請求項5】
天板(20)の略中央部に螺子孔(22)を設け、対応する被覆部材の天部には貫通孔を設け、この螺子孔(22)に架台等の基端部を螺着できるようにしたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の架台等のベース部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−304164(P2008−304164A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153799(P2007−153799)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(504145537)有限会社三神製作所 (9)
【Fターム(参考)】