説明

架橋性有機媒体中のミクロゲル

本発明は、少なくとも1つの特定の有機架橋性媒体およびエネルギーに富むビームによって架橋されていない少なくとも1つのミクロゲルを含む組成物に関する。本発明はまた、そのような1つの組成物を製造する方法、その使用、前記組成物から製造されるミクロゲル含有ポリマー、およびそれらから製造される成形体またはコーティングに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの特定の有機架橋性媒体と、高エネルギー照射によって架橋されていない少なくとも1つのミクロゲルとを含む組成物、その調製の方法、組成物の使用、それらから調製されるミクロゲル含有ポリマー、およびそれらから製造される成形体またはコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車タイヤの製造における転がり抵抗を改善するために、非常に広範囲のゴムとの混合物に修飾ゴムゲルを含むゴムゲルを用いることは知られている。(例えば、DE4220563、GB−PS1078400、EP405216およびEP854171を参照)これらの場合、ゴムゲルは常に固体マトリックスに混入されている。
【0003】
最終的に印刷インクを製造するために、微細な形態の印刷インク顔料をそれに適する液体媒体に混入することも知られている(例えば、EP0953615A2、EP0953615A3を参照)。それにより100nm程度の小さい粒径が実現される。
【0004】
分散のためにビーズミル、3本ロールミルまたはホモジナイザーのような種々の分散装置を用いることができる。ホモジナイザーの使用およびその操作は、主として乳剤の均質化に関するWilliam D.PandolfeおよびPeder BaekgaardによるMarketing Bulletin of APV Homogeniser Group−「High−pressure homogenisers processes、product and applications」に記載されている。
【0005】
言及した文書は、1μmより著しく小さい粒径を有する非常に微細なゴムゲル分散系を製造する目的で特定の粘度を有する架橋性有機媒体との混合物中の固体成分としてのゴムゲルの使用、およびホモジナイザーによるそれらの均質化を記述していない。
【0006】
Chinese Journal of Polymer Science、第20巻、第2号、(2002年)、93〜98頁は、高エネルギー照射により完全に架橋したミクロゲルおよびプラスチックの衝撃強さを増大させるためのそれらの使用を記載している。特定のエポキシ樹脂組成物の調製において、照射架橋カルボキシル末端ニトリル−ブタジエンミクロゲルとビスフェノールAのジグリシジルエーテルとの混合物が中間体として生成される。さらなる液体ミクロゲル含有組成物は記載されていない。
【0007】
同様に、US20030088036A1は、強化熱硬化性樹脂組成物、照射架橋ミクロゲル粒子と熱硬化性プレポリマーとの混合を同様に含むその調製を開示している(EP1262510A1も参照)。
【0008】
これらの刊行物では、放射性コバルト源をミクロゲル粒子の調製のための好ましい照射源として記載している。
【0009】
照射架橋を用いることにより、非常に均一に架橋したミクロゲル粒子が得られる。しかし、この種の架橋には、経済的観点または労働安全の観点から、この方法を実験室規模から大規模設備に移行させることが現実にはできないという特有の欠点がある。高エネルギー照射によって架橋されていないミクロゲルは、言及した刊行物では用いられていない。さらに、照射により完全に架橋したミクロゲルを用いる場合、マトリックス相から分散相へのモジュラスの変化は即時的である。その結果、急激な応力がマトリックス相と分散相との間の引裂き効果をもたらし、その結果、機械的特性、膨潤挙動および応力腐食割れ等に障害が生ずる可能性がある。
【0010】
言及した刊行物は、高エネルギー照射によって架橋されていないミクロゲルの使用の言及を含まない。
【0011】
DE2910153およびDE2910168は、モノマーによるゴム粒子の分散を開示している。これらは、水性ゴムラテックスへのモノマーの添加と分散剤の添加により調製される。これらの明細書は結果として発生する水をラテックスから除去する可能性についても言及しているが、無水分散系は記載されていない。この方法により無水の分散系を得ることは事実上不可能である(同じ出願人のDE−A−3742180、2頁10行における評価も参照)。しかし、これは、多くの出願における欠点である。さらに、言及した特許に記載されている分散系は、水相と有機相の均一な分布を達成するために必然的に分散剤または乳化剤を含む。しかし、そのような分散剤または乳化剤の存在は、多くの適用分野において非常に破壊的である。さらに、それらに記載されているゴム粒子は、比較的粗い粒子である。
【発明の開示】
【0012】
本発明の発明者らは、高エネルギー照射によって架橋されていないミクロゲルは、例えば、ホモジナイザーを用いて特定の粘度を有する架橋性有機媒体中に微細分散させることができることを今回発見した。架橋性有機媒体中のミクロゲルの一次粒子範囲への分割は、例えば、何らかの種類の適用分野、例えば、プラスチックへの混入において、ミクロゲルのナノ特性を特に再現性のある方法で利用するための必要条件である。微細分散の結果として、重要な適用分野関連特性を再現性のある方法で確立することが可能である。特定のミクロゲルおよび架橋性有機媒体を含む本発明による組成物は、ミクロゲル自体を用いて従来実現できなかった多くの新規適用分野を開くことができる。
【0013】
したがって、ミクロゲル含有液体は、例えば、液体状態が必要条件である注型、射出成形、コーティングのような新しい適用分野の可能性を開く。
【0014】
架橋性有機媒体およびミクロゲルを含む本発明による組成物を重合することにより、達成可能である微細分布のため、例えば、完全に新しい特性を有するプラスチックを得ることが可能である。本発明によるミクロゲル含有組成物は、例えば、エラストマーPUシステム(冷間注型システムおよび熱間注型システム)におけるような多数の分野に用いることができる。
【0015】
本発明によるミクロゲル含有組成物において、それ自体では非相溶性である物質が驚くべきことに長期貯蔵(6カ月)においてさえも安定な状態に留まっている均一な分布をなしている。
【0016】
P.Poetschkeら、Kautschuk Gummi Kunststoffe、第50巻(11)(1997年)787頁は、例えば、分散相としてのp−フェニレンジアミン誘導体および周囲相としてのTPUのような非相溶性物質については、1.5μmより小さい領域を得ることは不可能であることを示した。本発明のミクロゲルについて、(<100nm)の一次粒子のサイズを有するそのような小さい分散相が実現されることは驚くべきである。
【0017】
非常に異なるレオロジー挙動が示された架橋性媒体のミクロゲル含有組成物も発見された。適切なミクロゲル含有組成物において、非常に強い固有粘度またはチキソトロピーが驚くべきことに認められた。これは、所望の液体架橋性組成物の流動挙動ならびに他の特性をミクロゲルにより目標を定めた方法で制御するために用いることができる。これは、例えば沈殿物を形成する傾向がある充填剤含有組成物に有利に用いることができる。さらに、本発明によるミクロゲル含有組成物から製造されたプラスチックは、驚くべきことに、引裂き強さの向上ならびに300%および100%伸びでの引張応力の比として表される補強の改善を示すことが認められた。さらに、得られたポリマー組成物の硬度をミクロゲルのガラス転移温度の選択により調節することができる。
【0018】
したがって、本発明は、120℃の温度で30000mPas未満の粘度を有する少なくとも1つの架橋性有機媒体(A)と、高エネルギー照射によって架橋されていない少なくとも1つのミクロゲル(B)とを含む組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
好ましくは、120℃の温度での架橋性有機媒体(A)の粘度は、10000mPas未満である。
【0020】
より好ましくは、120℃の温度での架橋性有機媒体(A)の粘度は、1000mPas未満である。
【0021】
さらにより好ましくは、架橋性有機媒体(A)の粘度は、120℃の温度で750mPas未満であり、よりこの好ましくは120℃の温度で500mPas未満である。
【0022】
架橋性有機媒体(A)の粘度は、DIN53018に従って120℃でコーン/プレート測定システムを用いて5s−1の速度で測定する。
【0023】
ミクロゲル(B)
本発明による組成物に用いるミクロゲル(B)は、高エネルギー照射によって架橋されていないミクロゲルである。高エネルギー照射は、この場合有利には0.1μm未満の波長を有する電磁照射を意味する。
【0024】
高エネルギー照射により完全に均一に架橋したミクロゲルの使用は、工業規模で実施することが実際上不可能であり、労働安全に関わる問題を生じさせるため、不利である。さらに、高エネルギー照射により完全に均一に架橋したミクロゲルを用いて調製した組成物においては、急激な応力がマトリックス相と分散相との間の引裂き効果をもたらし、その結果、機械的特性、膨潤挙動および応力腐食割れ等に障害が生ずる。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、ミクロゲル(B)の一次粒子は、ほぼ球形の形状を示す。DIN53206:1992−08によれば、一次粒子は、適切な物理的な方法(電子顕微鏡)により個別に認められる干渉性の相中に分散したミクロゲル粒子である(例えば、Roempp Lexikon、Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998を参照)。「ほぼ球形」の形状は、ミクロゲルの分散一次粒子が、例えば、電子顕微鏡を用いて組成物を見たとき、実質的に円形表面を有すると認識されることを意味する。ミクロゲルの形態は架橋性有機媒体(A)の架橋時に実質的に変化しないので、本明細書の上文および下文で行う説明は、本発明による組成物の架橋によって得られるミクロゲル含有組成物にも同様に適用される。
【0026】
本発明による組成物中に存在するミクロゲル(B)の一次粒子において、
[(d1−d2)/d2]×100
[式中、d1およびd2は一次粒子の任意の2つの直径であり、d1>d2である]と定義される個々の一次粒子の直径の変動は、好ましくは250%未満、より好ましくは200%未満、より好ましくは100%未満、より好ましくは80%未満、より好ましくは50%未満である。
【0027】
ミクロゲルの一次粒子の好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%が250%未満、より好ましくは200%未満、より好ましくは100%未満、より好ましくは80%未満、より好ましくは50%未満の
[(d1−d2)/d2]×100
[式中、d1およびd2は一次粒子の任意の2つの直径であり、d1>d2である]と定義される直径の変動を示す。
【0028】
個々の粒子の直径の上記の変動は、次の方法により測定される。実施例に記載するように本発明による組成物の薄切片を最初に作製する。次いで、透過型電子顕微鏡により、例えば、10000倍または200000倍の倍率の像を記録する。833.7nm×828.8nmの範囲で、10個のミクロゲル一次粒子における最大および最小直径d1およびd2を測定する。実測ミクロゲル一次粒子の少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%において、変動が250%未満、より好ましくは100%未満、より好ましくは80%未満、より好ましくは50%未満である場合、ミクロゲル一次粒子は上で定めた変動の特徴を示す。
【0029】
組成物中のミクロゲルの濃度が非常に高いため、可視ミクロゲル一次粒子の顕著な重複が起こる場合、測定試料を適切な方法であらかじめ希釈することによって、評価可能性を改善することができる。本発明による組成物においては、ミクロゲル(B)の一次粒子は、好ましくは5〜500nm、より好ましくは20〜400nm、より好ましくは20〜300nm、より好ましくは20〜250nm、より好ましくは20〜99nm、より好ましくは40〜80nmの平均粒径を有する(DIN53206による直径データ)。乳化重合による特に微細なミクロゲルの調製は、それ自体知られている方法で反応パラメーターを制御することによって行われる(例えば、H.G.Elias、Makromolekule、第2巻、Technologie、第5版、1992年、99ff頁を参照)。
【0030】
ミクロゲルの形態は本発明による組成物の重合または架橋中に実質的に変化しないままであるので、分散一次粒子の平均粒径は、重合または架橋によって得られる組成物中の分散一次粒子の平均粒径に実質的に一致する。
【0031】
本発明による組成物において、ミクロゲル(B)は、少なくとも約70重量%、より好ましくは少なくとも約80重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%の23℃のトルエンに不溶である部分(ゲル含量)を含むことが有利である。トルエンに不溶である部分は、23℃のトルエン中で測定する。この目的のために、250mgのミクロゲルを23℃の20mlのトルエン中で振とうしながら24時間膨潤させる。20000rpmで遠心分離した後、不溶部分を分離し、乾燥する。乾燥残留物と秤取した部分との差からゲル含量を求め、重量パーセントで表す。
【0032】
本発明による組成物において、ミクロゲル(B)は、23℃のトルエン中、有利には約80未満、より好ましくは60未満、より好ましくは40未満の膨潤指数を示す。例えば、ミクロゲルの膨潤指数(Qi)は、特に好ましくは1〜15および1〜10であり得る。膨潤指数は、23℃で24時間トルエン中で膨潤させた溶媒含有ミクロゲルの重量(20000rpmで遠心分離した後の)と乾燥ミクロゲルの重量から次のように計算した。
Qi=ミクロゲルの湿重量/ミクロゲルの乾燥重量
膨潤指数を測定するために、250mgのミクロゲルを25mlのトルエン中で振とうしながら24時間膨潤させた。遠心分離によりゲルを除去し、湿潤時に重量を測定し、次いで、恒量に達するまで70℃で乾燥し、次いで、再び重量を測定した。
【0033】
本発明による組成物において、ミクロゲル(B)は、有利には−100℃〜+120℃、より好ましくは−100℃〜+100℃、より好ましくは−80℃〜+80℃のガラス転移温度を有する。まれな場合、それらの高度の架橋のためガラス転移温度を有さないミクロゲルを用いることも可能である。
【0034】
室温(20℃)を下回るミクロゲル(B)のガラス転移温度は、重合すべき組成物のレオロジーが所望のありかたで影響を受けると同時に、ミクロゲル含有ポリマー組成物の引裂き強さおよび硬度がほとんど影響を受けないままにするために特に有利である。
【0035】
室温(20℃)を上回るミクロゲル(B)のガラス転移温度は、ミクロゲル含有ポリマー組成物の硬度の増加、より大きい補強、引裂き強さの向上を達成し、重合すべき組成物のレオロジーに所望のありかたで影響を及ぼすために有利である。
【0036】
さらに、本発明による組成物に用いるミクロゲル(B)は、5℃を超える、好ましくは10℃を超える、より好ましくは20℃を超えるガラス転移温度の幅を有することが有利である。そのようなガラス転移の幅を有するミクロゲルは、一般的に、完全に均一に照射架橋したミクロゲルと異なり、完全に均一には架橋しない。これは、本発明による組成物から調製される架橋性または重合組成物におけるマトリックス相から分散相へのモジュラスの変化が即時的でないという結果を有する。その結果、これらの組成物への急激な応力はマトリックス相と分散相との間の引裂き効果をもたらさず、その結果、機械的特性、膨潤挙動および応力腐食割れ等は有利な影響を受ける。
【0037】
ミクロゲルのガラス転移温度(Tg)およびガラス転移の幅(ΔTg)は、以下の条件下で示差走査熱量測定(DSC)により測定する。
【0038】
TgおよびΔTgを測定するために、2つの冷却/加熱サイクルを行う。TgおよびΔTgは、2回目の加熱サイクルにおいて測定する。測定のために、10〜12mgの選択したミクロゲルをPerkin−Elmer製のDSC試料容器(標準アルミニウムラドル)に入れる。最初のDSCサイクルは、最初に試料を液体窒素で−100℃に冷却し、次いで、試料を20K/分の速度で+150℃まで加熱して行う。2回目のDSCサイクルは、試料の温度が+150℃に到達したとき直ちに試料を冷却することにより開始する。冷却は、約320K/分の速度で行う。2回目の加熱サイクルにおいて、最初のサイクルと同様に、試料を再び+150℃に加熱する。2回目のサイクルにおける加熱速度は再び20K/分である。TgおよびΔTgは、2回目の加熱操作のDSC曲線に基づき図上で求める。その目的のために、3本の直線をDSC曲線上に引く。第1の直線はTgより下のDSC曲線の部分に引き、第2の直線は変曲点を含むTgを通る曲線の枝上に引き、第3の直線はTgより上のDSC曲線の枝上に引く。それにより、2つの交点を有する3本の直線が得られる。2つの交点は、それぞれ特性温度によって特徴づけられる。ガラス転移温度Tgはこれらの2つの温度の平均値として得られ、ガラス転移の幅ΔTgは2つの温度の差から得られる。
【0039】
ミクロゲルが高エネルギー照射によって架橋されず、好ましくはホモポリマーまたはランダムコポリマーに基づく本発明による組成物中に存在するミクロゲル(B)は、それ自体知られている方法により調製することができる(例えば、EP−A−405216、EP−A−854171、DE−A4220563、GB−PS1078400、DE19701489.5、DE19701488.7、DE19834804.5、DE19834803.7、DE19834802.9、DE19929347.3、DE19939865.8、DE19942620.1、DE19942614.7、DE10021070.8、DE10038488.9、DE10039749.2、DE10052287.4、DE10056311.2およびDE10061174.5を参照)。特許(出願)EP−A405216、DE−A4220563およびGB−PS1078400において、二重結合含有ゴムとの混合物におけるCRミクロゲル、BRミクロゲルおよびNBRミクロゲルの使用が請求されている。DE19701489.5は、NR、SBRおよびBRのような二重結合含有ゴムとの混合物における後に修飾されるミクロゲルの使用を記載している。
【0040】
ミクロゲルは、以下のゴムを架橋させることによって特別に得られるゴム粒子であると有利に理解される。
【0041】
【表1】

【0042】
非架橋ミクロゲル出発生成物の調製は、以下の方法により有利に行うことができる。
1.乳化重合
2.変形形態1によって得ることができないゴムの溶液重合
3.例えば、天然ゴムラテックスのような天然に存在するラテックスをさらに用いることができる。
【0043】
本発明による組成物に用いるミクロゲル(B)は、好ましくは、乳化重合と架橋により得ることができるものである。
【0044】
例えば、以下のフリーラジカルにより重合可能なモノマーは、本発明により用いられるミクロゲルの乳化重合による調製に用いられる。すなわち、ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル、イソプレン、アクリルおよびメタクリル酸のエステル、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロペン、2−クロロブタジエン、2,3−ジクロロブタジエン、ならびにまた例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の二重結合を含むカルボン酸、例えば、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、アミン官能基化(メタ)アクリレート、アクロレイン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アリル尿素およびN−アリルチオ尿素等の二重結合を含むヒドロキシ化合物、ならびにまた、2−tert−ブチルアミノエチルメタクリレートおよび2−tert−ブチルアミノエチルメタクリルアミド等の第二級アミノ(メタ)アクリル酸エステル。ゴムゲルの架橋は、架橋作用を有する多官能化合物との共重合によるなどの乳化重合中に直接、または下記のように後続の架橋により達成することができる。直接架橋ミクロゲルの使用は、本発明の好ましい実施形態を構成する。
【0045】
好ましい多官能コモノマーは、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、フタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、1,2−ポリブタジエン、N,N’−m−フェニレンマレイミド、2,4−トルイレンビス(マレイミド)および/またはトリメリト酸トリアリル等の少なくとも2つ、好ましくは2〜4つの共重合性C=C二重結合を有する化合物である。エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、2〜20個、好ましくは2〜8個のオキシエチレン単位を有するポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール等の多価、好ましくは2〜4価C2〜C10アリコールのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルと、脂肪族ジオールおよびポリオールならびにマレイン酸、フマル酸および/またはイタコン酸の不飽和ポリエステルも考慮に入れる。
【0046】
乳化重合中にゴムミクロゲルを生成する架橋も、高転化率まで重合を継続することにより、または高内部転化率を伴う重合によるモノマー供給法により行うことができる。他の可能性は、調節剤の非存在下での乳化重合を行うことにある。
【0047】
乳化重合後の非架橋または弱く架橋したミクロゲル出発生成物の架橋のために、乳化重合で得られるラッテクスを用いることが最善である。原則として、この方法は、他の手段、例えば、再結晶により得られる非水ポリマー分散系についても用いることができる。天然ゴムラテックスもこの方法で架橋させることができる。
【0048】
架橋作用を有する適切な化学物質は、例えば、ジクミルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキド、2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキシン、3,2,5−ジヒドロペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、過安息香酸tert−ブチル等の有機過酸化物、また、アゾ−ビス−イソブチロニトリルおよびアゾ−ビス−シクロヘキサンニトリル等の有機アゾ化合物、また、ジメルカプトエタン、1,6−ジメルカプトへキサン、1,3,5−トリメルカプトトリアジン等のジおよびポリメルカプト化合物、ならびにビスクロロエチルホルマールとポリスルフィドナトリウムとのメルカプト末端反応生成物等のメルカプト末端ポリスルフィドゴムである。
【0049】
後架橋を行うための最適温度は架橋剤の反応性に当然依存し、室温から約180℃までの温度で、場合によって、高圧下で行わせることができる(これに関して、Houben−Weyl、Methoden der organischen Chemie、第4版、第14巻/2、848頁を参照)。特に好ましい架橋剤は過酸化物である。
【0050】
ミクロゲルを生成させるためのC=C二重結合を含むゴムの架橋は、US5302696またはUS5442009に記載されているようにヒドラジン、または場合によって他の水素化剤、例えば、有機金属ヒドリド錯体によるC=C二重結合の同時の部分的もしくは完全な水素化とともに分散系または乳濁液中で行わせることもできる。
【0051】
集合による粒子の拡大は、後架橋の前、途上または後に場合によって行うことができる。
【0052】
本発明により用いる調製方法によって、上記の利点を示す可能性がある不完全に均一に架橋したミクロゲルが常に得られる。
【0053】
溶液重合により製造されるゴムは、ミクロゲルの調製の出発材料としても用いることができる。そのような場合、適切な有機溶媒中のゴムの溶液を出発材料として用いる。
【0054】
所望のサイズのミクロゲルは、適切な粒径範囲のゴムの分散系が得られるように適切な表面活性を有する補助物質、例えば、界面活性剤等を場合によって加えた液体媒体中、好ましくは水中ゴム溶液を適切な装置により混合して製造する。分散溶液ゴムの架橋のために、乳化重合生成物の後続架橋について上で述べた方法に従う。適切な架橋剤は上記の化合物であり、分散系の調製に用いた溶媒を架橋の前に場合によって例えば、蒸留により除去することが可能である。
【0055】
本発明による組成物の調製のためのミクロゲルとして、特に表面に反応性基を実質的に含まない未修飾ミクロゲルと、官能基により修飾されているミクロゲル、特に表面において修飾されているミクロゲルとの両方を用いることができる。後者は、既に架橋したミクロゲルとC=C二重結合に対して反応性のある化学物質との化学反応により調製することができる。これらの反応性化学物質は、特に、例えば、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボキシル、ニトリル等の極性基、また、例えば、メルカプト、ジチオカルバメート、ポリスルフィド、キサントゲネート、チオベンズチアゾールおよび/またはジチオリン酸基および/または飽和ジカルボン酸基などのイオウ含有基によりミクロゲルに化学的に結合することができる化合物である。同じことがN,N’−m−フェニレンジアミンについても当てはまる。ミクロゲルを修飾する目的は、調製中に良好な分布能力ならびに良好なカップリングを達成するために、本発明による組成物を用いてミクロゲルを混入する後のマトリックスを調製する場合、または本発明による組成物をマトリックスに混入するために用いる場合に、ミクロゲルの適合性を改善することである。
【0056】
特に好ましい修飾の方法は、機能モノマーによるミクロゲルのグラフティングおよび低分子量試薬との反応である。
【0057】
機能モノマーによるミクロゲルのグラフティングの場合、フリーラジカル乳化重合の条件下で、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキブチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、アクロレイン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アリル尿素およびN−アリルチオ尿素などの極性モノマー、また2−tert−ブチルアミノエチルメタクリレートおよび2−tert−ブチルアミノエチルメタクリルアミドなどの第二級アミノ(メタ)アクリル酸エステルと反応する水性ミクロゲル分散系を出発物質として用いることが有利である。この方法で、コア/シェル形態を有するミクロゲルが得られる。この場合、シェルはマトリックスと高度に適合性であるべきである。修飾段階に用いるモノマーが未修飾ミクロゲル上にできる限り定量的にグラフトされることが望ましい。ミクロゲルの架橋が完了する前に、機能モノマーを計量することが有利である。
【0058】
非水系におけるミクロゲルのグラフティングも原則として考えられ、イオン重合法によるモノマーによる修飾もこの方法で可能である。
【0059】
低分子量試薬によるミクロゲルの表面修飾のための適切な試薬は、特に次のとおりである。イオウ元素、硫化水素および/または1,2−ジメルカプトエタンもしくは1,6−ジメルカプトヘキサンなどのアルキルポリメルカプタン、また、ジメチルジチオカルバメートおよび/またはジベンジルジチオカルバメートのアルキル塩などのジアルキルおよびジアルキルアリールジチオカルバメート、また、エチルキサントゲン酸カリウムおよびイソプロピルキサントゲン酸ナトリウムなどのアルキルおよびアリールキサントゲン酸塩、ならびにジブチルジチオリン酸およびジオクチルジチルリン酸ならびにドデシルジチオリン酸のアルカリまたはアルカリ土類塩との反応。言及した反応は、イオウの存在下で有利に行うこともでき、イオウは取り込まれて、ポリスルフィド結合が形成される。この化合物の添加のために、有機および無機過酸化物のようなフリーラジカルイニシエータおよび/またはアゾイニシエータを添加することができる。
【0060】
例えば、オゾン分解ならびに塩素、臭素およびヨウ素によるハロゲン化などによる二重結合を含むミクロゲルの修飾も考慮に入れる。例えば、エポキシ化ミクロゲルからのヒドロキシル基修飾ミクロゲルの調製のような修飾ミクロゲルのさらなる反応もミクロゲルの化学修飾であると理解される。
【0061】
好ましい実施形態において、ミクロゲルをヒドロキシル基により、特にその表面においても修飾する。ミクロゲルのヒドロキシル基含量は、DIN53240に準じた無水酢酸との反応とそれにより遊離した酢酸のKOHによる滴定により、mgKOH/gポリマーの次元を有するヒドロキシル数として測定する。ミクロゲルのヒドロキシル数は、好ましくは0.1〜100、より好ましくは0.5〜50mgKOH/gポリマーである。
【0062】
用いる修飾試薬の量は、その有効性と個々の場合になされる要求によって決まり、用いるゴムミクロゲルの総量に基づき0.05〜30重量%の範囲にあり、特に好ましくはゴムゲルの総量に基づき0.5〜10重量%の範囲にある。
【0063】
修飾反応は、0〜180℃、好ましくは20〜95℃の温度で、場合によって1〜30バールの圧力下で行うことができる。修飾は、溶媒なしにゴムミクロゲル上で、またはそれらの分散系の形態で行うことができ、後者の場合に反応媒体として不活性有機溶媒または別の選択肢として水を用いることが可能である。修飾は、架橋ゴムの水性分散系中で行うことが特に好ましい。
【0064】
未修飾ミクロゲルの使用は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンならびにスチレン、ブタジエンおよびイソプレンに基づくブロックコポリマー(SBR、SIR)および水素化イソプレンスチレンブロックコポリマー(SEBS)ならびに通常のTPE−OsおよびTPE−Vs等の非極性熱可塑性プラスチック材料(A)の生成につながる架橋性媒体を含む本発明による組成物の場合に特に好ましい。
【0065】
修飾ミクロゲルの使用は、例えば、PA、TPE−A、PU、TPE−U、PC、PET、PBT、POM、PMMA、PVC、ABS、PTFE、PVDF等の極性熱可塑性プラスチック材料(A)の生成につながる架橋性媒体を含む本発明による組成物の場合に特に好ましい。
【0066】
調製されるミクロゲルの平均直径は、例えば、すべてのミクロゲル粒子の少なくとも75%が0.095μm〜0.105μmである粒径分布が達成されるように、例えば、0.1μm(100nm)±0.01μm(10nm)までの高い精度で調節することができる。特に5〜500nmの範囲の他の平均直径のミクロゲルを同じ精度で(すべての粒子の少なくとも75%が積分粒径分布曲線(光散乱により測定)の極大のまわりの上下±10%の範囲にある)製造し、用いることができる。その結果、本発明による組成物中に分散したミクロゲルの形態を実際上「ポイント精度」で調節することができ、したがって、本発明による組成物および例えば、それから製造されるプラスチックの特性を調節することができる。
【0067】
好ましくはBR、SBR、NBR、SNBRまたはアクリロニトリルまたはABRに基づく、そのように調製されるミクロゲルは、例えば、蒸発による濃縮、凝析、別のラテックスポリマーとの共凝析、凍結凝析(US−PS2187146を参照)または噴霧乾燥により後処理することができる。噴霧乾燥により後処理する場合、例えば、CaCOまたはシリカなどの市販の流動助剤も加えることもできる。
【0068】
本発明による組成物の好ましい実施形態において、ミクロゲル(B)はゴムベースである。
【0069】
本発明による組成物の好ましい実施形態において、ミクロゲル(B)はC=C二重結合に対して反応性の官能基で修飾されている。
【0070】
好ましい実施形態において、ミクロゲル(B)は23℃のトルエン中、1〜15の膨潤指数を有する。
【0071】
本発明による組成物は、20℃でのDIN53018に準拠したコーン/プレート粘度計における5s−1の速度での好ましくは25mPas〜5000000mPas、より好ましくは200mPas〜3000000mPasの粘度を有する。
【0072】
有機架橋性媒体(A)
本発明による組成物は、120℃の温度で30000mPas未満、好ましくは10000mPas未満、より好ましくは1000mPas未満、より好ましくは750mPas未満、より好ましくは500mPas未満の粘度を有する少なくとも1つの有機媒体(A)を含む。
【0073】
架橋性有機媒体(A)の粘度は、120℃でDIN53018に従ってコーン/プレート測定システムにより5s−1の速度で測定する。
【0074】
そのような媒体は、室温(20℃)で液体ないし固体、好ましくは液体または流動性である。
【0075】
本発明の範囲内の有機媒体は、媒体が少なくとも1つの炭素原子を含むことを意味する。
【0076】
架橋性有機媒体(A)は、好ましくは、ヘテロ原子を含む官能基またはC=C結合を介して架橋可能であるものである。
【0077】
架橋性有機媒体(A)は、一般的に上記の粘度を有するが、本発明により、より高い粘度を有する架橋性媒体を用い、上記の粘度を得るために、それらとより低い粘度の別の架橋性媒体とを混合することも可能である。
【0078】
室温(20℃)で液体であり、別の成分(C)との反応により、例えば、下記のように、フリーラジカルイニシエータの存在下でフリーラジカル、特に過酸化物架橋により、UV線照射により、重付加または重縮合により一般的に硬化してプラスチックを形成する架橋性媒体を成分(A)として用いることが好ましい。
【0079】
適切な架橋性有機媒体(A)の架橋に適切な成分(C)の選択は、それ自体、当業者に知られており、関連する専門家文献を参照することができる。
【0080】
本発明による組成物の調製に適する液体架橋性有機媒体(A)は、例えば、ポリエステルに基づくポリオール、ポリエーテルまたはポリエーテルポリエステルならびにエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびアクリル樹脂である。本明細書で述べる樹脂または樹脂混合物およびそれらの硬化剤または硬化剤混合物は、線状または弱く分枝しているが、化学的に架橋していないポリマーが得られるように0)、好ましくは、1つの成分が2.0に近い官能性を有し、他の成分が好ましくは1.5〜2.5のより好ましくは2〜2.5の官能性を有することを特徴とする。1〜約4、好ましくは1〜3の官能性を有し、約1.5〜2.5の総官能性が得られる単または多官能成分の付加を用いることも可能である。
【0081】
ポリエステルポリオールは、過剰量のジオールもしくはポリオールによるジカルボン酸の縮合により調製するか、またはカプロラクトンに基づいている1)
【0082】
好ましくはプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドに基づくポリエーテルポリオールとして用いる1)。ポリオキシテトラメチレングリコールも用いる1)
【0083】
ジアミンまたはポリアミンへのアルキレンオキシドの付加により、窒素含有塩基性ポリエーテルが得られる1)。言及したポリオールは、TDI(トルイレンジイソシアネート)またはMDI(メチレンジフェニルジイソシアネート)などの芳香族イソシアネートと、また場合によって、NDI(ナフタレン−1,5−ジイソシアネート)もしくはTODI(3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル)およびその誘導体、同じ基礎に基づく芳香族ポリイソシアネートもしくは脂肪族イソシアネート(HDI、IPDI、H12MDI(4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)、HTDI(メチルシクロヘキシルジイソシアネート)、XDI(キシレンジイソシアネート)、TMDI(トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)、DMI(ジメリルジイソシアネート))またはHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)もしくはIPDI(イソホロンジイソシアネート)のトリマーのような同じ基礎に基づく脂肪族ポリイソシアネートとも反応させることが好ましい2)
【0084】
エポキシ樹脂は、アミン硬化剤、アミン付加物、アミンまたはポリアミンまたは酸無水物によって硬化する。エポキシ樹脂は、フェノール類またはアルコール類とエピクロロヒドリンとの反応により調製する。量の点でも最も重要な樹脂は、ビフェノールFのジグリシジルエーテルに加えて、ビフェノールAのジグリシジルエーテルである3)。さらなるエポキシ樹脂は、ヘキサンジグリシジルエーテル、エポキシドノボラクス、グリシジルエーテル、グリシジルアミン、グリシジルイソシアヌレートおよび脂環式エポキシドなどの希釈剤である。
【0085】
重要なアミンは、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、3,3’,5−トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、イソホロンジアミン(IPD)、m−キシレンジアミン(MXDA)などの脂肪族および脂環式アミン、メチレンジアニリン(MDA)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族アミン、例えば、TDMなどのアミン付加物、およびビスフェノールAとDETAフェノールマンニッヒ塩基とのジグリシジルエーテル、ポリエチレンジアミンとモノマーおよびダイマー脂肪酸とからのアミドの生成中に生成するようなポリアミノアミドならびにジシアンジアミドである4)。適切な低官能性を有するアミンは、対応するアルキル化型である。
【0086】
環状酸無水物は、例えば、無水フタル酸(PSA)および無水ヘキサヒドロフタル酸である4)
【0087】
不飽和ポリエステル樹脂は、共重合することができるモノマー、主としてスチレンに溶解させることができ、過酸化物の添加により重合する、主としてマレイン酸またはフマル酸と二価アルコールとの線状可溶性重縮合生成物である5)
【0088】
酸として、アジピン酸、フタル酸。無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラブロモフタル酸、ヘチン酸およびエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物をUP樹脂に用いることができる。UP樹脂用ジオールとして、主として1,2−および1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびグリセロールおよびトリメチロールプロパンのモノアリルエーテルを用いることができる。
【0089】
他の重合性モノマーに加えて用いられるモノマーは、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルおよび酢酸ビニルである5)
【0090】
本発明による架橋性組成物の架橋は、好ましくは過酸化物を用いて、またはUV光もしくは電子線を用いて行う5)
【0091】
不飽和ポリエステル樹脂と同様に、ビニルエステルは、例えば、Dow−DerakaneおよびDerakane Momentumによって製造されている。
【0092】
本発明による組成物の調製に適する液体架橋性有機媒体(A)は、例えば、二官能アルコールなど、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオールなどの多官能アルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオール、ポリエチレンおよび/またはプロピレンオキシドジオール、ポリヘキサメチレン炭酸ジオールなどのポリアルキレンオキシドジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン等の多官能アルコール、多官能カルボン酸、環式カルボン酸無水物、TDI(トルイレンジイソシアネート)、MDI(メチレンジフェニルジイソシアネート)、NDI(ナフタレン−1,5−ジイソシアネート)、TODI(3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル)およびそれらの誘導体、HDI、IPDI、H12MDI(4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)、HTDI(メチルシクロヘキシルジイソシアネート)、XDI(キシレンジイソシアネート)、TMDI(トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)、DMI(ジメリルジイソシアネート)などの多官能イソシアネートまたはHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)もしくはIPDI(イソホロンジイソシアネート)のトリマーのような同じ基礎に基づく脂肪族ポリイソシアネート、ポリイソシアネートプレポリマー、特に、オリゴマー化ジイソシアネート、マスクされたポリイソシアネート、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ドデシルジアミンなどの上記のような多官能アミン、カプロラクタム、ブチロラクタムなどのラクタム、γ−ブチロラクトン、カプロラクトンなどのラクトン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル、不飽和炭化水素、エチレン、プロピレン、ブタジエン、スチレン、メチルスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル、シクロペンテン、ノルボルネン、ジシクロペンテン等も含む。
【0093】
さらなる可能な架橋性媒体は、過酸化物またはUV照射/電子線により硬化するメタクリル酸メチル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキルまたはアクリル酸メチルもしくはアクリル酸塩のようなコモノマーとの混合物である。
【0094】
特に好ましい架橋性有機媒体は、ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリヘキサメチレン炭酸ジオール、ジイソシアネート、ポリイソシアネートプレポリマーである。
【0095】
本発明の範囲内の架橋性媒体としてのポリマー系の架橋剤(C)と通常呼ばれている多官能化合物をミクロゲルと混合し、得られる組成物を架橋させるべき適切な成分と反応させることも可能である。
【0096】
原則として、ミクロゲルが架橋性媒体に対して反応性であり得ることを保証しなければならない。
【0097】
言及したモノマーのポリマーまたはコポリマーは、上記の物質に溶解させることもできる。
【0098】
UV照射/電子線による硬化のために、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)、ステアリルアクリレートなどのモノマー、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート400(PEG400DA)などのポリエーテルアクリレート、例えば、アクリル酸によるエステル化によりポリエーテルポリオールまたは対応するポリオール/ポリカルボン酸混合物から調製されるポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートおよびアクリル化ポリアクリレートが特に用いられる6)
【0099】
本発明はさらに、本明細書において前に説明したように、ミクロゲル含有ポリマーの調製における本発明による組成物の使用に関する。
【0100】
熱可塑性ポリマーの生成をもたらすと思われる成分を架橋性成分(A)として用いる場合、まったく驚くべきことに、熱可塑性エラストマーのように挙動するミクロゲル含有ポリマーが得られることが見出される。したがって、本発明はまた特に、成分(A)を含む本発明による組成物の重合または架橋によって得られる熱可塑性エラストマーに関する。
【0101】
本発明はさらにまた、ミクロゲルおよび架橋性成分(A)を含む組成物の架橋または重合によって得られるポリマーまたは架橋生成物、特に熱可塑性エラストマーに関し、また、通常の方法によりそれらから製造される成形体およびコーティングに関する。
【0102】
例えば、未公開であり、同じ出願日を有するDE10345043に記載されている押出し法によるポリマーへのミクロゲルの混入、または混合もしくは分散工程中にゴム粒子を架橋させるいわゆるin situ法(例えば、US5013793)と比較して、本発明による組成物はミクロゲルがポリマー中に特に簡単かつ均一に混入されることを可能にし、その結果、得られるポリマーが驚くべきことに改善された特性を有する。
【0103】
したがって、本発明はまた、120℃の温度で30000mPas未満の粘度を有する少なくとも1つの架橋性有機媒体(A)と、高エネルギー照射によって架橋されていない少なくとも1つのミクロゲル(B)とを混合し、次いで、架橋性媒体(A)に対する架橋剤(C)を加え、その後、組成物を架橋または重合させることを含むミクロゲル含有ポリマー組成物を調製する方法に関する。この方法により、いわゆる熱可塑性エラストマー、すなわち、ミクロゲル相の存在のため、低温(室温などの)ではエラストマーのように挙動するが、高温では熱可塑性プラスチックのように加工することができるポリマーを得ることが可能である。上の方法の好ましい実施形態において、架橋性有機媒体(A)はポリオールであり、より好ましくはジオールまたはその混合物であり、架橋剤(C)はポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネートまたはその混合物である。当業者に知られているように、単官能性のいわゆる連鎖停止剤も場合によって存在していてよい。
【0104】
本発明による組成物は、組成物の総量に基づき、好ましくは1〜60重量%、より好ましくは3〜40重量%、より好ましくは5〜25重量%のミクロゲル(B)を含む。
【0105】
本発明による組成物はさらに、好ましくは10〜99重量%、より好ましくは30〜95重量%、より好ましくは40〜90重量%、より好ましくは50〜85重量%の架橋性有機媒体(A)を含む。
【0106】
本発明による組成物は、好ましくは架橋性有機媒体(A)およびミクロゲル(B)ならびに場合によって下記のさらなる成分を含む。水の存在は好ましくなく、本発明による組成物は、好ましくは0.8重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満の水を含む。水の存在は、排除することがより好ましい(<0.1重量%)。
【0107】
さらなる実施形態において、本発明による組成物は、例えば、特に、有機溶媒、飽和もしくは芳香族炭化水素、ポリエーテル油、エステル油、ポリエーテルエステル油、リン酸エステル、シリコーン含有油およびハロゲン化炭化水素またはそれらの組合せのような非架橋性有機媒体、充填剤、顔料、触媒ならびに分散助剤、脱気剤、流動助剤、物質の濡れのための補助物質、物質の濡れを調節するための付着促進剤、色安定性、光沢および浮きまだらを調節するための補助物質などの添加剤をさらに含んでいてよい。
【0108】
言及した添加剤は、特に、本発明による組成物中に著しく均一に混入させることができ、ひいては、それから調製されるポリマー組成物の改善をもたらす。
【0109】
架橋性媒体(A)を含む本発明による組成物およびそれらから製造されるミクロゲル含有プラスチックの調製に特に適する顔料および充填剤は、例えば、無機および有機顔料、カオリン、タルクなどのシリケート様充填剤、炭酸カルシウムおよびドロマイトなどの炭酸塩、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、高度に分散したシリカ(沈殿シリカおよび熱的手段により製造されたシリカ)、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、ガラス繊維およびガラス繊維製品(ワイヤー、糸またはガラスマイクロスフェアー)、炭素繊維、熱可塑性プラスチック繊維(ポリアミド、ポリエステル、アラミド)、ポリクロロプレンおよび/またはポリブタジエンに基づくゴムゲル、ならびにまた、高度の架橋および5〜1000nmの粒径を有する上記の他のゲル粒子である。
【0110】
言及した充填剤は、単独または混合物として用いることができる。該方法の特に好ましい実施形態において、1〜30重量部のゴムゲル(B)、ならびに場合によって0.1〜40重量部の充填剤、および30〜99重量部の液体架橋性媒体(A)を用いて、本発明による組成物を調製する。
【0111】
本発明による組成物は、架橋剤、反応促進剤、老化防止剤、熱安定化剤、光安定化剤、抗オゾン化物質、可塑剤、粘着性付与剤、発泡剤、着色剤、ワックス、増量剤、有機酸、緩染剤、およびまた、例えば、トリメトキシシラン、ポリエチレングリコールなどの充填剤活性化剤、上記のような溶媒、または述べた産業において知られているその他の物質などの補助物質をさらに含むことができる。
【0112】
補助物質は、意図する用途によって特に決定される通常の量で用いられる。通常の量は、例えば、用いる液体架橋性媒体(A)に基づき、0.1〜80重量%、好ましくは0.1〜50重量%の量である。
【0113】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、120℃の温度で30000mPas未満の粘度を有する少なくとも1つの架橋性有機媒体(A)と、高エネルギー照射によって架橋されていない少なくとも1つの乾燥ミクロゲル粉末(B)(揮発性部分が好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満(成分(A)と(B)とを混合するときミクロゲルラテックスを用いない))とをホモジナイザー、ビーズミル、3本ロールミル、一軸型または多軸型バレル押出機、ニーダーおよび/または溶解機により、好ましくはホモジナイザー、ビーズミルまたは3本ロールミルにより混合することによって調製する。
【0114】
組成物の粘度に関して、好ましくは極めて高度に粘稠な(ほぼ固体から固体)組成物のみを使用することができるニーダーが最も限定的である。すなわち、それらは、特別な場合にのみ用いることができる。
【0115】
ビーズミルの欠点は、粘度範囲が比較的限定されていること(薄い組成物に対して好ましい傾向がある)、洗浄の経費が高いこと、用いることができる組成物の製品切替えの経費が高いこととビーズおよび粉砕装置の摩耗である。
【0116】
本発明による組成物の均質化は、ホモジナイザーまたは3本ロールミルによって行うことが特に好ましい。3本ロールミルの欠点は、粘度範囲が比較的限定されていること(非常に濃い組成物への傾向)、処理能力が低いことと方法が閉鎖式でないこと(労働保護が不十分)である。
【0117】
本発明による組成物の均質化は、ホモジナイザーによって行うことが非常に好ましい。ホモジナイザーは、希薄および濃厚組成物を高い処理能力(高い柔軟性)で処理することを可能にする。製品切替えは、比較的迅速で、困難を伴わない。
【0118】
液体媒体(A)中のミクロゲル(B)の分散は、ホモジナイザーにおける均質化バルブ内で起こる(図1を参照)。
【0119】
本発明により用いられる方法において、塊状体が凝集体および/または一次粒子に粉砕される。塊状体は、分散中に一次粒径の変化を受けない物理的に分離できる単位である。
【0120】
図1に均質化バルブの動作を示す。
【0121】
均質化すべき製品は、低速度で均質化バルブに入り、均質化ギャップ中で高速度に加速される。分散は、主として乱れとキャビテーションの結果として、ギャップの下流で起こる7)
【0122】
ホモジナイザーへの導入時の本発明による組成物の温度は、有利には−40〜140℃、好ましくは20〜80℃である。
【0123】
均質化すべき本発明による組成物は、20〜4000バール、好ましくは100〜4000バール、好ましくは200〜4000バール、好ましくは200〜2000バール、非常に好ましくは500〜1500バールの圧力の装置中で均質化することが好ましい。通過回数は、所望の分散の質によって決まり、1〜40回、好ましくは1〜20回、より好ましくは1〜4回に変化し得る
本発明により調製される組成物は、特に微細な粒子の分布を有し、これは、特にホモジナイザーにより達成され、液体媒体と得られる組成物の多様な粘度および必要な温度に関する方法の柔軟性ならびに分散の質の点についても極めて有利である(実施例4)。
【0124】
本発明はさらに、成形品の製造における本発明による組成物の使用に関し、また、本発明による組成物から得られる成形品に関する。そのような成形品の例としては、プラグ型コネクタ、ダンピングエレメント、特に振動ダンピングエレメントおよび緩衝器、音響ダンピングエレメント、プロファイル、フィルム、特にダンピングフィルム、フットマット、衣類、特に靴中敷、靴、特にスキー靴、靴底、電子部品、電子部品用ケーシング、工具、装飾用成形品、複合材料、自動車用成形品等がある。
【0125】
本発明による成形品は、本発明による組成物から、2Kインストレーションによる注型および射出成形、溶融押出し成形、カレンダ加工、IM、CMおよびRIM等の通常の処理方法により製造することができる。
【0126】
本発明は、以下の実施例に関連してより詳細に説明する。本発明は、もちろんこれらの実施例に限定されない。
【実施例1】
【0127】
Desmophen 1150中のヒドロキシル基修飾SBRゲル(RFL 403A)
下に述べる実施例において、220nm以下の粒径を有する本発明によるミクロゲル組成物は、ヒドロキシル基修飾SBRベースのミクロゲルを用いて900〜1000バールの適用によるホモジナイザーにより調製することができることを示している。
【0128】
本発明によるミクロゲル組成物の組成を下表に示す。
【0129】
【表2】

【0130】
Desmophen 1150は、粘弾性コーティングの調製用のBayer AG製のエステルおよびエーテル基を有する分枝多価アルコールである。
【0131】
Tego Airex 980は、有機部分修飾ポリシロキサンであり、Tego Chemie Service GmbH製の脱気剤である。
【0132】
RFL 403Aは、RheinChemie Rheinau GmbH製の架橋表面修飾SBRベースゴムゲルである。
【0133】
RFL 403Aは、70重量%ブタジエン、22重量%スチレン、5重量%エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)および3重量%ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)からなる。
【0134】
RFL403Aの調製実施例1
架橋性モノマーエチレングリコールジメタクリレートを用いて直接乳化重合により調製されたヒドロキシル修飾SBRに基づくミクロゲル
【0135】
350gの長鎖アルキルスルホン酸のNa塩(Bayer AG製の368.4gのMersolat K30/95)および27gのメチレン架橋ナフタレンスルホン酸のNa塩(Bayer AG製のBaykanol PQ)を2.03kgの水に溶解し、5リットルオートクレーブに入れる。オートクレーブを3回排気し、窒素を充填する。次いで、872gのブタジエン、274gのスチレン、69gのエチレングリコールジメタクリレート(90%)、38.5gのヒドロキシエチルメタクリレート(96%)を加える。反応混合物を攪拌しながら30℃に加熱する。次いで、25gの水、180mgのエチレンジアミンテトラ酢酸(Merck−Schuchardt)、150mgの硫酸鉄(II)*7HO、400mgのRongalit C(Merck−Schuchardt)および500mgのリン酸三ナトリウム*12HOからなる水溶液を計量しながら加える。25gの水に溶解した350mgのp−メンタンヒドロペルオキシド(Akzo−Degussa製Trigonox NT 50)および25mgのMersolat K 30/95の水溶液を加えて反応を開始させる。2.5時間の反応時間の後、反応温度を40℃に上昇させる。5時間の反応時間の後、25gのMersolat K30/95および350mgのp−メンタンヒドロペルオキシド(Trigonox NT 50)が溶解されている25gの水からなる水溶液を用いて再活性化を行う。95〜99%の重合転化率が達成されたとき、50gの水に溶解した2.5gのジエチルヒドロキシルアミンの水溶液を加えて重合を停止させる。次いで、水蒸気でストリッピングして未転化モノマーをラテックスから除去する。US6399706の実施例2におけるように、ラテックスをろ過し、安定剤を加えた後、凝固し、乾燥する。
【0136】
RFL403Bは、80重量%スチレン、12重量%ブタジエン、5重量%エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)および3重量%ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)からなる。RFL403Bは、RFL403Aと同様に調製する。996gのスチレン、149gのブタジエン、62gのエチレングリコールジメタクリレートおよび37gのヒドロキシエチルメタクリレートを重合に用いる。
【0137】
RFL403AおよびRFL403Bは、ラテックスから噴霧乾燥により得た。
【0138】
本発明による組成物の調製のために、Desmophen 1150を容器に入れ、RFL403AおよびTego Airex 980を溶解機により攪拌しながら加えた。混合物を1日放置し、その後ホモジナイザーによりさらに処理した。
【0139】
本発明による組成物を室温でホモジナイザーに導入し、900〜1000バールでのバッチ操作でホモジナイザーに19回通した。組成物は1回目の通過時に約40℃に、2回目の通過時に約70℃に加温した。組成物の温度が120℃を超えないようにした。これは、冷蔵庫中での冷却により実現した。
【0140】
ミクロゲル粒子の平均粒径は、LS230 Beckman−Coulter装置を用いてレーザー光散乱により測定した。ミクロゲル粒子のd50値は、均質化の前には112μmであり、均質化の後には220nmである。
【0141】
組成物中の粒子の10%において70nmの(理論的)一次粒径が達成される。静的レーザー光散乱は、超遠心分離と異なり、絶対値を与えないことに注意すべきである。その値は、この組成物の場合には高すぎる傾向にある。
【0142】
LS230 Beckman−Coulter装置は、測定方法として、静的方法であるレーザー回折法(LD)を用いるものである。測定範囲は、PIDS法(PIDS:偏光強度微分散乱(polarization intensity differential scattering))を用いて2000μmから40nmまで広げることができる。
【実施例2】
【0143】
Desmophen RC−PUR KE 8306中のヒドロキシル基修飾SBRゲル(RFL403A)
【0144】
下記の実施例において、主として50nm〜500nmの範囲の粒径を有し、平均粒径が約250nmである粒子または粒子塊を含む本発明による組成物は、ホモジナイザー中でヒドロキシル基修飾SBRベースミクロゲルを用い、900〜1000バールを適用して調製することができることを示している。
【0145】
ミクロゲルペーストの組成物を下表に示す。
【0146】
【表3】

【0147】
RC−PUR KE 8306は、冷間注型法によりPURを調製するためのRheinChemie Rheinau GmbH製の活性化ポリオールブレンドである。
【0148】
用いる架橋成分は、RheinChemie Rheinau GmbH製の芳香族ポリイソシアネートであるRC−DUR 120である。
【0149】
Byk−LPX 6331は、Byk−Chemie GmbH製のPU系用脱気剤である。
【0150】
RFL 403Aは、Rhein Chemie Rheinau GmbH製の架橋表面修飾SBRベースゴムゲルである。RFL 403Bは、上で述べた。
【0151】
本発明による組成物の調製のために、RC−PUR KE 8306を容器に入れ、Byk−LPX 6331およびRFL 403AまたはRFL 403Bを攪拌しながら加えた。混合物を少なくとも1日放置し、その後ホモジナイザーによりさらに処理した。
【0152】
本発明による組成物を室温でホモジナイザーに導入し、900〜1000バールでのバッチ操作でホモジナイザーに2回通した。ミクロゲルペーストは1回目の通過時に約40℃に、2回目の通過時に約70℃に加温した。
【0153】
その後、本発明による組成物をRC−DUR 120と反応させて、冷間注型エラストマーのクラスに属するポリマー(PUR−E)を生成させた。
【0154】
得られたPUR−E中のゴムゲル粒子および塊状体の粒径とゴムゲル塊状体の構造をTEM像により試験した(図2および3を参照)。
【0155】
RC−PUR KE 8306のポリオール成分中のミクロゲルの分布が著しく均一であるため、改善された引裂き強さおよび改善された衝撃強さなどの特別な特性が達成された(下表を参照)。
【0156】
【表4】

1)RFL 403A
2)RFL 403B
【0157】
ショアD硬度はDIN53505に従って測定し、引裂き強さはDIN53515に従って室温で測定した(約23℃)。シャルピー衝撃強さはDIN EN ISO179に従って22℃で測定した。試験に用いた試験ロッドは、約15.3cm×1.5cm×1cmの寸法を有していた。
【0158】
形態の測定
形態は、透過型電子顕微鏡(TEM)像により測定する。
【0159】
TEM:
透過型電子顕微鏡検査用の試料の調製
低温超ミクロトミー
手順:
低温条件下で、ダイヤモンドブレードにより約70nmの厚さを有する薄切片を作製した。コントラストを改善するために、いくつかの切片についてOsOを用いた対比を行った。
【0160】
薄切片を銅網に移し、乾燥し、最初にTEMで大きい範囲にわたり評価した。次いで、80kV加速電圧で、適切な倍率を用いて833.7nm×828.8nmの範囲の特徴的な像の部分を記録による実証のためにデジタルソフトウェアにより記録し、評価した。
【0161】
図2に本発明による組成物およびRC−DUR 120から調製したPUR系(E)のTEM像を示す。スケールは5μmである(5000倍)。
【0162】
図3に本発明による組成物およびRC−DUR 120から調製したPUR系(E)のTEM像を示す。スケールは500nmである(50000倍)。
【0163】
TEM像は、主として50nm〜500nmの範囲の粒径を有し、平均粒径が約250nmである粒子または粒子塊が存在することを示しているが、経験により溶解機によるミクロゲルの混入の後の平均粒径は約120nmである(RFL403A)。
【0164】
この実施例で直接測定した粒径は、実施例1でゴムゲルペースト(D)においてレーザー回折法(LD)により間接的に測定した値を裏付けている。
【0165】
プラスチックマトリックス中のミクロゲルの分布は非常に微細であるため、より高い引裂き強さおよびより高い衝撃強さのような特性の改善が達成される。
【実施例3】
【0166】
RC−Phen E123中のヒドロキシル基修飾SBRゲル(RFL403BおよびRFL403A)
【0167】
下記の実施例において、ヒドロキシル基修飾SBRベースゲルを用いることにより、ホモジナイザーを用いて分散させた本発明による組成物は硬化後に、ナノ粒子に起因する特性の改善を示すことが示されている。
【0168】
19%のミクロゲルを含むミクロゲルペーストの組成は、下表の例によって示される。
【0169】
【表5】

【0170】
用いるブレンドは、加えたミクロゲルの量および種類について異なっている。活性化剤混合物は、主としてRC−PUR活性化剤105Eおよび50重量%Mesamollからなっている(Bayer AG)。
【0171】
RC−Phen E123は、冷間注型法によりPURを調製するためのRheinChemie Rheinau GmbH製の非活性化ポリオールブレンドである。用いる架橋成分は、RheinChemie Rheinau GmbH製の芳香族ポリイソシアネートであるRC−DUR 110である。
【0172】
RC−PUR活性化剤105Eは、RheinChemie Rheinau GmbH製のPU添加剤である。
【0173】
Byk−LPX 6331は、Byk−Chemie GmbH製のPU系用脱気剤である。
【0174】
RFL 403Aは、RheinChemie Rheinau GmbH製の架橋表面修飾SBRベースゴムゲルである。
【0175】
T−Pasteは、UOP製の市販の充填剤含有製品である。本発明による組成物の調製のために、RC−Phen E123を容器に入れ、活性化剤混合物、Byk−LPX 6331、RFL 403AおよびT−Pasteを溶解機により攪拌しながら加えた。混合物を少なくとも1日放置し、ホモジナイザーによりさらに処理した。
【0176】
本発明による組成物を室温でホモジナイザーに導入し、900〜1000バールでのバッチ操作でホモジナイザーに2回通した。ミクロゲルペーストは1回目の通過時に約40℃に、2回目の通過時に約70℃に加温した。
【0177】
その後、本発明による組成物をRC−DUR 110と反応させて、冷間注型エラストマーのクラスに属するポリマーを生成させた。
【0178】
RC−Phen E123のポリオール成分にミクロゲルを加えることにより、改善された引裂き強さ、補強、より大きい硬度およびより高い反発弾性などの特別な特性が達成される(下表および図を参照)。
【0179】
ショアA硬度はDIN53505に従って、反発弾性はDIN53512に従って、引張特性はEN ISO527−1(DIN53504に従って作製した標準ロッドS2)に従って、引裂き強さはDIN53515に従って室温(RT)(約23℃)で測定した。
【0180】
【表6】

【0181】
RFL 403Aの補強効果は、200%伸びにおける応力σから明らかである。
【0182】
【表7】

【0183】
RC−Phen E123系は既に非常に弾力が大きいにもかかわらず、反発弾性が増加することは興味深い。しかし増加は少ない。
【0184】
【表8】

【0185】
RFL 403Bの補強効果はすべての伸びにおいて非常に顕著である。
【0186】
図4に「RC−Phen 123−RFL 403B−RC DUR 110」系、室温(機械により処理)の破断時応力曲線を示す。
【0187】
図5に「RC−Phen 123−RFL 403B−RC DUR 110」系、室温の50%伸びにおける補強を示す。
【0188】
図6に「RC−Phen 123−RFL 403B−RC DUR 110」系、室温(機械により処理)の補強を示す。
【0189】
図7に「RC−Phen 123−RFL 403B−RC DUR 110」系、室温(機械により処理)の硬度の推移を示す。図7は、ミクロゲルの添加によって硬度が46ショアAから71ショアAまで増加することを示している。
【0190】
図8に「RC−Phen 123−RFL 403B−RC DUR 110」系、室温(機械により処理)の引裂き強さを示す。図8は、ミクロゲルの添加によって引裂き強さが6Nmm−1から13Nmm−1まで増加することを示している。
【実施例4】
【0191】
Desmophen 1600U中ヒドロキシル基修飾SBRゲル(OBR1212)
【0192】
下記の実施例において、主として約60nmの平均粒径を有する一次粒子を主として含む本発明による組成物はホモジナイザー中でヒドロキシル基修飾SBRベースミクロゲルを用いて900〜1000バールの適用により調製することができることが示されている。
【0193】
ミクロゲルペーストの組成を下表に示す。
1.Desmophen 1600U 90.000
2.OBR 1212 10.000
合計 100.000
Desmophen 1600Uは、Bayer AG製の市販品/ポリオール(ポリエーテル)である。
【0194】
OBR 1212は、RheinChemie Rheinau GmbH製の架橋表面修飾SBRベースゴムゲルである。OBR 1212は、46.5重量%ブタジエン、31重量%スチレン、12.5重量%トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)および10重量%ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)からなる。OBR 1212は、RFL 403Aと同様に調製した。
【0195】
本発明による組成物を調製するために、Desmophen 1600Uを容器に入れ、溶解機により攪拌しながらOBR 1212を加えた。混合物を少なくとも1日放置し、その後ホモジナイザーによりさらに処理した。
【0196】
本発明による組成物を室温でホモジナイザーに導入し、900〜1000バールでのバッチ操作でホモジナイザーに4回通した。ミクロゲルペーストを1回目の通過時に約40℃に、2回目の通過時に約70℃に加温した。次いで、ミクロゲルペーストを室温に冷却し、3および4回目に分散させた。
【0197】
ラテックス粒子の粒径は、超遠心分離により測定する(W.Scholtan、H.Lange、「Bestimmung der Teilchengroessenverteilung von Latices mit der Ultrazentrifuge」、Kolloid−Zeitschrift und Zeitschrift fuer Polymere(1972)第250巻、8号を参照)。
【0198】
図9にDesmophen 1600U中のOBR 1212の微分および積分粒径分布を示す。図9で、Desmophen 1600U中に固体OBR 1212を再分散させることが可能であったことは明らかである。OBRラテックスと再分散OBR 1212の平均粒径はほとんど異なっていない(図10参照)。両材料中に、とりわけ一次粒子が存在する。
【0199】
図10にOBR 1212ラテックスおよびDesmophen 1600U中に再分散されたOBR 1212の微分粒子径分布を比較して示す。
【実施例5】
【0200】
RC−Phen E123中20℃以下のガラス転移温度を有するヒドロキシル基修飾SBRゲル
【0201】
下記の実施例において、ヒドロキシル基修飾SBRベースミクロゲルを用いることにより、ホモジナイザーを用いて分散させた本発明による組成物は硬化後に、ミクロゲルに起因する特性の改善を示すことが示されている。
【0202】
15%のミクロゲルを含むミクロゲルペーストの組成物は、下表の例によって示される(重量%単位の量)。
【0203】
【表9】

【0204】
T−Pasteは、UOP製の市販の製品である。
【0205】
用いるブレンドは、用いるミクロゲルの量と種類に関して異なっている。RC−Phen E123は、冷間注型法によりPURを調製するためのRheinChemie Rheinau GmbH製の非活性化ポリオールブレンドである。用いる架橋成分は、RheinChemie Rheinau GmbH製の芳香族ポリイソシアネートであるRC−DUR 110である。活性化剤混合物は、主としてRC−PUR活性化剤105Eと50重量%Mesamollからなる。RC−PUR活性化剤105Eは、RheinChemie Rheinau GmbH製のPU添加剤である。ミクロゲルOBR 1211、OBR 1212およびOBR 1223は、RheinChemie Rheinau GmbH製の架橋表面修飾SBRベースゴムゲルである。ミクロゲルは、実施例1におけるRFL 403Aと同様に調製する(下表を参照)。
【0206】
RC−Phen E123の密度は1.0g/mlであり、ミクロゲルの密度は通常、約0.96g/mlである。すなわち、ポリオールの密度は、無機充填剤と異なり、ミクロゲルの混入の結果としてほとんど変化しない。
【0207】
【表10】

【0208】
本発明による組成物を調製するために、RC−Phen E123を容器に入れ、溶解機により攪拌しながら問題の特定のOBRミクロゲルを加えた。混合物を少なくとも1日放置し、その後ホモジナイザーによりさらに処理した。本発明による組成物を室温でホモジナイザーに導入し、900〜1000バールでのバッチ操作でホモジナイザーに4回通した。ミクロゲルペーストを1回目の通過時に約40℃に、2回目の通過時に約70℃に加温した。次いで、ミクロゲルペーストを放置して室温に冷却し、4回の通過が達成されるまで、操作を繰り返した。その後、活性化剤混合物およびT−Pasteを加えた。各場合の活性化剤の量は、約3分間の処理時間が達成されるように選択した。本発明による組成物をRC−DUR 110と反応させて(ミクロゲル+ポリオール系における分析により測定したヒドロキシル数に基づき、各場合に6%の過剰量を用いるようにイソシアネート量を選択した)、冷間注型ポリマーのクラスに属するポリマーを生成させた。
【0209】
RC−Phen E123のポリオール成分にミクロゲルを加えることにより、後に述べる特性が実現される(下表を参照)。
【0210】
ショアA硬度はDIN53505に従って、反発弾性はDIN53512に従って、引張特性はEN ISO527−1(DIN53504に従って作製した標準ロッドS2)に従って、引裂き強さはDIN53515に従って室温(約23℃)で測定した。
【0211】
【表11】

【0212】
上表から、試験した低Tミクロゲルはエラストマーポリウレタン(PU)の変化をほとんどもたらさないことが明らかである。しかし、下文で示すように、粘性挙動に関する利点が得られる。
【0213】
【表12】

【0214】
試験した低Tミクロゲルは、300%伸びおよび100%伸びにおける引張応力の比がミクロゲルを非含有PUと比べて増加することを示している。
【0215】
これらのミクロゲルは、系の密度が実質的に変化しないままで、ポリオール成分のレオロジーを改良するために有利に用いることができる。
【0216】
【表13】

【0217】
ミクロゲル非含有RC−Phen 123はニュートン流動挙動を示し、5%OBR 1212含有RC−Phen 123もほぼニュートン流動挙動を示す。
【0218】
5%OBR 1223含有RC−Phen 123は、高度にチキソトロピー性である。
【0219】
【表14】


【0220】
上表から濃厚化(チクソトロトロピーまたは固有粘度)は非分散混合物で最も顕著であることは明らかである。OBR 1212は、ホモジナイザー通過により既に十分に分散しているため、混合物の結果として生ずる粘度は、低く、15%OBR 1212でさえも互いに同様である。
【0221】
OBR 1223は、OBR 1212より著しく濃厚になり、混合物は高度にチキソトロピー性である。これにより、レオロジー挙動がミクロゲルの性質に依存することがわかる。これを用いて、ミクロゲルを選択することにより簡単にレオロジー挙動に対する影響を検討することができる。
【0222】
これらのミクロゲルと異なり、次の実施例では、RC−Phen E123中の室温を超えるガラス転移温度を有するミクロゲルについて述べる。
【実施例6】
【0223】
RC−Phen E123中室温(20°)を超えるガラス転移温度を有するヒドロキシル基修飾ミクロゲル
【0224】
下記の実施例において、ヒドロキシル基修飾SBR、SNBRおよびアクリロニトリルベースミクロゲルを用いることにより、ホモジナイザーを用いて分散させた本発明による組成物は硬化後に、ナノ粒子に起因する特性の改善を示すことが示されている。
【0225】
種々のミクロゲルペーストの組成物を下表における例により示す。
【0226】
【表15】

【0227】
RC−Phen E123は、冷間注型法によりPURを調製するためのRheinChemie Rheinau GmbH製の非活性化ポリオールブレンドである。用いる架橋成分は、RheinChemie Rheinau GmbH製の芳香族ポリイソシアネートであるRC−DUR 110である。活性化剤混合物は、10%RC−PUR活性化剤201Nおよび90重量%Mesamollからなっている(Bayer AG)。RC−PUR活性化剤201Nは、RheinChemie Rheinau GmbH製のPU添加剤である。ミクロゲルは、RheinChemie Rheinau GmbH製の架橋表面修飾SBR、ACNまたはSNBRベースゴムゲルである。ミクロゲルは、RFL 403Aについて実施例1に述べたように調製する。
【0228】
【表16】

【0229】
L−Pasteは、UOP製の市販品である。Levasil 300/30は、H.C.Starck製の市販品である。
【0230】
Acticide MBSは、Thor GmbH製の市販品である。
【0231】
本発明による組成物を調製するために、RC−Phen E123を容器に入れ、溶解機により攪拌しながら問題の特定のOBRミクロゲルを加えた。混合物を少なくとも1日放置し、その後ホモジナイザーによりさらに処理した。本発明による組成物を室温でホモジナイザーに導入し、900〜1000バールでのバッチ操作でホモジナイザーに6回通した。ミクロゲルペーストを1回目の通過時に約40℃に、2回目の通過時に約70℃に加温した。次いで、ミクロゲルペーストを放置して室温に冷却し、6回の通過が達成されるまで、操作を繰り返した。その後、活性化剤混合物およびL−Pasteを加えた。各場合の活性化剤の量は、約3分間の処理時間が達成されるように選択した。本発明による組成物をRC−DUR 110と反応させて(ミクロゲル+ポリオール系における分析により測定したヒドロキシル数に基づき、各場合に6%の過剰量を用いるようにイソシアネート量を選択した)、冷間注型ポリマーのクラスに属するポリマーを生成させた。
【0232】
RC−Phen E123のポリオール成分にミクロゲルを加えることにより、後に述べる特性が実現される(下表を参照)。
【0233】
ショアA硬度はDIN53505に従って、反発弾性はDIN53512に従って、引張特性はEN ISO527−1(DIN53504に従って作製した標準ロッドS2)に従って、永久変形はDIN53517に従って、引裂き強さはDIN53515に従って室温(約23℃)で測定した。
【0234】
【表17】


【0235】
上表から、得られたミクロゲル含有ポリマー組成物の引裂き強さ、補強作用、ショアA硬度および反発弾性は用いたミクロゲルの性質および量による影響を受けることがわかる。
【0236】
【表18】

【0237】
上表において、ヒドロキシル修飾ミクロゲルは得られたミクロゲル含有ポリマー組成物に対して正の永久変形をもたらし得ることが示されている。
【0238】
【表19】

【図面の簡単な説明】
【0239】
【図1】均質化バルブの動作を示す図である。
【図2】本発明による組成物およびRC−DUR 120から調製したPUR系(E)のTEM像を示す図である。スケールは5μmである(5000倍)。
【図3】本発明による組成物およびRC−DUR 120から調製したPUR系(E)のTEM像を示す図である。スケールは500nmである(50000倍)。
【図4】「RC−Phen 123−RFL 403B−RC DUR 110」系、室温(機械により処理)の破断時応力曲線を示す図である。
【図5】「RC−Phen 123−RFL 403B−RC DUR 110」系、室温の50%伸びにおける補強を示す図である。
【図6】「RC−Phen 123−RFL 403B−RC DUR 110」系、室温(機械により処理)の補強を示す図である。
【図7】「RC−Phen 123−RFL 403B−RC DUR 110」系、室温(機械により処理)の硬度の推移を示す図である。
【図8】「RC−Phen 123−RFL 403B−RC DUR 110」系、室温(機械により処理)の引裂き強さを示す図である。
【図9】Desmophen 1600U中のOBR 1212の微分および積分粒径分布を示す図である。
【図10】OBR 1212ラテックスおよびDesmophen 1600U中に再分散されたOBR 1212の微分粒子径分布を比較して示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
120℃の温度で30000mPas未満の粘度を有する少なくとも1つの架橋性有機媒体(A)と、高エネルギー照射によって架橋されていない少なくとも1つのミクロゲル(B)とを含む組成物。
【請求項2】
架橋性有機媒体(A)が120℃の温度で10000mPas未満の粘度を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
架橋性有機媒体(A)が120℃の温度で1000mPas未満の粘度を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ミクロゲル(B)の一次粒子がほぼ球形の形状を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ミクロゲル(B)の個々の一次粒子の直径の偏差が、式
[(d1−d2)/d2]×100
[式中、d1およびd2は、一次粒子の任意の2つの直径であり、d1>d2である]と定義され、250%未満であることを特徴とする請求項1または4に記載の組成物。
【請求項6】
ミクロゲル(B)の一次粒子が5〜500nmの平均粒径を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ミクロゲル(B)の一次粒子が99nm未満の平均粒径を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ミクロゲル(B)が少なくとも約70重量%の23℃のトルエンに不溶である部分を示すことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ミクロゲル(B)が23℃のトルエン中、約80未満の膨潤指数を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ミクロゲル(B)が−100℃〜+120℃のガラス転移温度を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ミクロゲル(B)が約5℃を超えるガラス転移範囲の幅を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ミクロゲル(B)が乳化重合により得られることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ミクロゲル(B)がゴムをベースとすることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ミクロゲル(B)がホモポリマーまたはランダムコポリマーをベースとすることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ミクロゲル(B)がC=C二重結合に対して反応性の官能基で修飾されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
架橋性有機媒体(A)がヘテロ原子を含む官能基またはC=C基を介して架橋可能である請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
組成物の総量を基準として1〜60重量%のミクロゲル(B)を含む請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
組成物の総量を基準として10〜99重量%の架橋性有機媒体(A)を含むことを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
さらに充填剤および添加物を含むことを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
ホモジナイザー、ビーズミル、3本ロールミル、一軸型または多軸型バレル押出機、ニーダーおよび/または溶解機により架橋性媒体(A)とミクロゲル(B)とを混合して調製したことを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
ホモジナイザー、ビーズミルまたは3本ロールミルにより調製したことを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
DIN53018に従って20℃でコーン/プレート測定システムを用いて5s−1の速度で測定して25mPas〜20000000mPasの粘度を有することを特徴とする請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
ミクロゲル(B)が23℃のトルエン中、約80未満の膨潤指数を有することを特徴とする請求項1から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
ミクロゲルがヒドロキシ基で修飾されていることを特徴とする請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
架橋性媒体が少なくとも1つのポリオール、好ましくはジオールまたはその混合物であることを特徴とする請求項1から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
ミクロゲル含有ポリマーの調製における請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項27】
ミクロゲル含有熱可塑性エラストマーの調製における請求項26に記載の使用。
【請求項28】
成形品またはコーティングの製造における請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項29】
請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物の重合によりミクロゲル含有ポリマーを調製する方法。
【請求項30】
請求項29により得られる組成物。
【請求項31】
成形体またはコーティングとしての請求項30に記載の組成物の使用。
【請求項32】
請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物を用いて成形またはコーティングにより成形体またはコーティングを製造する方法。
【請求項33】
成分(A)および(B)を共にホモジナイザー、ビーズミル、3本ロールミル、一軸型または多軸型バレル押出機、ニーダーおよび/または溶解機による処理に供することを特徴とする請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法。
【請求項34】
120℃の温度で30000mPas未満の粘度を有する少なくとも1つの架橋性有機媒体(A)と、高エネルギー照射によって架橋されていない少なくとも1つのミクロゲル(B)とを混合し、次いで、架橋性媒体(A)に対する架橋剤(C)を加え、その後、組成物を架橋させることを含むミクロゲル含有ポリマー組成物を調製する方法。
【請求項35】
架橋性有機媒体(A)が少なくとも1つのポリオール、好ましくはジオールまたはその混合物であり、架橋剤(C)が少なくとも1つのポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネートまたはその混合物である請求項34に記載の方法。
【請求項36】
成分(A)および(B)をホモジナイザー、ビーズミル、3本ロールミル、一軸型または多軸型バレル押出機、ニーダーおよび/または溶解機により混合する請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
請求項34から36のいずれか一項により得られるポリマー組成物。
【請求項38】
請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物と、架橋性有機媒体(A)に対する架橋剤(C)を含む組成物とを空間的に分離された形で含む配合。
【請求項39】
120℃の温度で30000mPas未満の粘度を有する架橋性有機媒体における、レオロジー添加剤、特に、増粘剤またはチキソトロープ剤としてのミクロゲルの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−506832(P2007−506832A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527424(P2006−527424)
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052294
【国際公開番号】WO2005/033186
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(501074227)ライン ヘミー ライナウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (15)
【出願人】(504419760)ランクセス ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (58)
【氏名又は名称原語表記】Lanxess Deutschland GmbH
【住所又は居所原語表記】D−51369 Leverkusen、 Germany
【Fターム(参考)】