説明

架橋親水性重合体を基礎とする投与剤形

本発明は、少なくとも1つの活性成分および/または栄養素の生物体へ表面投与するためのフィルム形投与剤形に関する。該投与剤形は、1つの活性成分および/または栄養素を含有する少なくとも1つの層を含み、該層は架橋親水性重合体を基礎としており、そして柔軟剤として、架橋親水性重合体の総量に対して20質量%のグリセリンを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋親水性重合体の総量に対して20質量%のグリセリンを可塑剤として含んでいる架橋親水性重合体を基礎として、少なくとも1つの活性成分含有層および/または栄養素含有層を含有する、少なくとも1つの活性成分および/または栄養素の生物体へ表面投与するためのフィルム形投与剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム形で架橋親水性重合体からできている投与剤形は、活性成分含有層および/または栄養素含有層中に分子または微粒子の形で分散した活性成分および/または栄養素を生物体への表面投与のために用いることができる。
【0003】
活性成分および/または栄養素を生物体へ表面投与するための、対応するフィルム形で架橋親水性重合体からできている投与剤形はドイツ特許公開公報DE19932603A1に記載されている。そうしたフィルム形で架橋親水性重合体からできている投与剤形は、湿潤状態で良好な可塑性を有しているが、乾燥状態では、それらは、層の厚さによって多少にかかわらず硬くなっている。乾燥状態でのこうした低い可塑性は、少なくとも1つの活性成分および/または栄養素の生物体、例えば、ヒトの鼻または頬内粘膜への表面投与を、相当に妨害する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのために、ここでの目的は、取り扱いが容易で、特に生物体の表面への投与剤形の改良された適用を保証し、架橋親水性重合体を基礎とした層からできており、少なくとも1つの活性成分および/または栄養素を生物体への表面投与するための、フィルム形の投与剤形を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、架橋親水性重合体の総量に対して20質量%のグリセリンを可塑剤として含んでいる架橋親水性重合体を基礎として、少なくとも1つの活性成分含有層および/または栄養素含有層を含有する、少なくとも1つの活性成分および/または栄養素の生物体への表面投与のためのフィルム形の本願の投与剤形を提供することにより達成される。
【0006】
特許が請求された本発明の意味の範囲内で、生物体とはヒト、動物および植物、好ましくはヒトおよび動物、特に好ましくはヒトである。
【0007】
特許が請求された本発明は、さらに特に好ましくは、少なくとも1つの活性成分のヒトへの経皮または経粘膜投与、とりわけ経粘膜投与に関している。
【0008】
通常は、相対的に脆弱な重合体フィルムのより良い取り扱いのため、すなわち、とりわけ可塑性、柔軟性および可撓性を増加させるために、可塑剤が重合体の量に対して20質量%までの量で用いられる。
【0009】
可塑剤の百分率量が相対的に高い場合、相分離が起こり、例えば、結晶化のために、このフィルムはもはや透明さを失い、そしてそれらの引裂強度のような物理的特性は悪い影響を受ける。例えば、架橋親水性重合体の総量に対して30質量%のクエン酸トリエチルの添加は、白色のフィルムを生じさせる。この可塑剤は実際にはフィルムから分離してしまうだろう。
【0010】
驚くべきことに、本発明によって、大量のグリセロールを架橋親水性重合体を基礎とした活性成分含有層および/または栄養素含有層に組み込み、そして、可塑性における従来技術の欠点を生じさせない必要な改良を達成させることが可能になった。
【0011】
グリセロールの必要量もまた架橋親水性重合体の特定の層の厚さに依存することを、当業者は理解するだろう。一般に、この必要量は、架橋親水性重合体の総量に対して20質量%であり、好ましくは20質量%〜60質量%であり、特に好ましくは30質量%〜60質量%であり、ここで意図されているのは、同じ効果を得るために、より多くのグリセロールをより薄い層のためにより、より厚い層のために用いることである。
【0012】
本発明の投与剤形を製造するために用いられる親水性重合体は、好ましくは水溶性セルロースエーテルであり、特に好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび/またはメチルセルロースであり、なお特に好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0013】
この親水性重合体は架橋され、好ましくはその場で(in situ)の架橋が行われる。
【0014】
この親水性重合体を基礎とするフィルム形成層のその場での架橋は、好ましくは、公知の架橋剤、好ましくはフェノール性架橋剤および/またはポリアクリル酸誘導体、特に好ましくはタンニンおよび/または架橋し場合によっては部分的に中和されたポリアクリル酸(ポリカーボフィル(Polycarbophil)(R))を用いて、この層の形成中に行われる。親水性重合体の架橋剤に対する質量比は2:1〜5:1が適切であることが判明し、そして4:1の質量比が特に適切であるということがわかってきた。このフィルム形成性親水性重合体の架橋により、フィルム形の投与剤形の十分安全な取り扱い、例えば、包装から取り出して、この投与剤形を、引裂による投与剤形の損傷がないように、生物体の表面に適用することを保証することが可能になった。本発明に従って、この架橋により、少なくとも40Nの、好ましくは少なくとも50Nの、特に好ましくは少なくとも60Nの引裂強度(tear strength)を有するフィルム形の投与剤形の提供が可能になる。
【0015】
フィルム形の本発明の投与剤形は、少なくとも1つの活性成分および/または栄養素を生物体への表面投与するために用いることができる。
【0016】
原則的に、活性成分含有層および/または栄養素含有層中へ含まれる活性成分および/または栄養素に制限はない。しかしながら、この活性成分または栄養素は、好ましくは芳香剤、矯味矯臭剤、診断補助剤、作物保護剤、医薬活性成分、ビタミン類、肥料および/または他の栄養素である。
【0017】
使用することができる医薬活性成分には、鎮痛剤、抗アレルギー剤、抗生物質、制吐剤、防腐剤、抗ヒスタミン剤、抗高血圧剤、食欲抑制剤、心臓治療剤、化学治療剤、酵素製品、ホルモン類、免疫調整剤、予防接種、局所麻酔剤、向精神薬、鎮痙薬、抗ウイルス剤、ビタミン類および細胞成長抑制剤が挙げられる。
【0018】
適切な活性成分には、特に、ジアモルフィン、アルフレンタニル、スフェンタニル、ペンタゾシン、ブプレノルフィン、ネフォパム、フルピルチン、トラマドール、オキシコドン、メタミゾール、プロピフェナンゾン、フェナゾン、ニフェナゾン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、モフェブタゾン、ジフルニサール、メプタジノール、メタドン、ペチジン、メロキシカム、フェンブフェン、メフェナム酸、テノキシカム、アザプロパゾン、ピリトラミド、トラマドール、アマンタジン、ベンゾトロピン、プロシクリジン、モクロベミド、トラニルシプロミド、マプロチリン、ドキセピン、オピプラモール、デシプラミン、イミプラミン、フルロキサミン、パロキセチン、トラゾドン、ビロキサジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロメタジン、チオリダジン、トリフルプロマジン、プロチペンジル、チオチキセン、クロルプロチキセン、ピパンペロン、ピモジド、フェネチリン、トリフルオペラジン、チオリダジン、オキサゼパム、アルプラゾラム、クロバザム、ピラセタム、メルフェラン、シクロフォスファミド、トロホスファミド、クロランブシル、ロムスチン、ブシルファン、プレドニムスチン、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシカルバミド、アルトレタミン、プロカルバジン、リスリド、メチセルジド、ピゾチフェン、ロキサチジン、ピレンジピン、プログリミド、ブロモピリド、フェニラミン、ジメチンデン、トリトカリン、ロラタジン、ドキシルアミン、メキタジン、デキシクロルフェニラミン、トリプロリジン、オキサトミド、モキソニジン、ドキサゾシン、ウラピジル、ジヒドララジン、デセルピジン、アルプレノロール、ブプラノロール、ペンブトロール、エスモロール、シリプロロール、メチプラノロール、ナドロール、キナプリル、ホシノプリル、シラザプリル、デモクロサイクリン、リメサイクリン、オキシテトラサイクリン、スルファメトピラジン、アエロソキサシン、ベカンピシリン、ピペラシリン、ピバンピシリン、クロキサシリン、フルクロキサシリン、メトロニダゾール、クリンダマイシン、セファクロール、セフポドキシム、セファレキシン、セフラジン、ピルブテロール、オルシプレナリン、クレンブテロール、プロカテロール、テオフィリン酸コリン、テオフィリン−エチレンジアミン、ケトフェン、ビキジル、プロカインアミド、メキシレチン、トカイニド、イプラトロピウム、トブタミド、グリキドン、グリボルリド、トラザミド、アカルボース、および、上記で述べた活性成分の医薬的に活性な塩またはエステル、ならびに、2またはそれ以上のこれらの活性成分またはそれらの塩もしくはエステルの組合せ、が挙げられる。
【0019】
適切な活性成分の例には、アセブトロール、アセチルシステイン、アセチルサリチル酸、アシクロビル、アルブラゾラム、アルファカルシドール、アラントイン、アロプリノール、アンブロキシオール、アミカシン、アミロリド、アミノ酢酸、アミオダロン、アミトリプチリン、アムロジピン、アモキシシリン、アンピシリン、アスコルビン酸、アスパルテーム、アステミゾール、アテノロール、ベクロメタゾン、ベンセラジド、ベンザルコニウム塩酸塩、ベンゾカイン、安息香酸、ベタメタゾン、ベザフィブレート、ビオチン、ビペリデン、ビソプロロール、ブロムアセパム、ブロムヘキシン、ブロモクリプチン、ブデソニド、ブフェキサマック、ブフロメジル、ブスピロン、カフェイン、ショウノウ、カプトプリル、カルバマシピン、カルビドーパ、カルボプラチン、セファクロール、セファレキシン、セファドロキシル、セファゾリン、セフィキシム、セホタキシム、セフタジジン、セフトリアキソン、セフロキシム、セレジリン、クロラムフェニコール、クロルヘキシジン、クロルフェニラミン、クロルタリドン、コリン、シクロスポリン、シラスタチン、シメチジン、シプロフロキサシン、シサプリド、シスプラチン、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クロミブラミン、クロナゼパム、クロニジン、クロトリマゾール、コデイン、コレスチラミン、クロモグリク酸、シアノコバラミン、シプロテロン、デソゲトレル、デキサメタゾン、デクスパンテノール、デクストロモメトルファン、デクストロプロポキシフェン、ジアゼパム、ジクロフェナク、ジゴキシン、ジヒドロコデイン、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロエルゴトキシン、ジルチアゼム、ジフェンヒドラミン、ジピリダモール、ジピロン、ジソピラミド、ドンペリドン、ドーパミン、ドキシサイクリン、エナラプリル、エフェドリン、エピネフリン、エルゴカルシフェロール、エルゴタミン、エリスロマイシン、エストラジオール、エチニルエストラジノール、エトポシド、ファモチジン、フェロジピン、フェノフィブラート、フェノテロール、フェンタニール、フラビンモノヌクレオチド、フルコナゾール、フルナリジン、フルオロウラシル、フルオキセチン、フルルビプロフェン、フロセミド、ガロパミル、ゲムフィブロジル、ゲンタミニシン、銀杏(Gingko Biloba)、グリベンクラミド、グリピジド、グロザピン、甘草(Glycyrrhiza Glabra)、グリセオフルビン、グアイフェネシン、ハロペリドール、ヘパリン、ヒアルロン酸、ヒドロクロロチアジド、ヒドロコドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロモルホン、水酸化イブラトロピウム、イブプロフェン、イミペネム、インドメタシン、イオヘキソール、イオパミドール、イソソルビド二硝酸塩、イソソルビド一硝酸塩、イソトレチオニン、ケトチフェン、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトロラック、ラバタロン、ラクツロース、レシチン、レボカルニチン、レボドーパ、レボグルタミド、レボノルゲストレル、レボチロキシン、リドカイン、リパーゼ、リプラミン、リシノプリル、ロペラミド、ロラゼパム、ロバスタチン、メドロキシプロゲステロン、メントール、メトトレキセート、メチルドーパ、メチルプレドニゾロン、メトクロプラミド、メトプロロール、ミコナゾール、ミダゾラム、ミノサイクリン、ミノキシジル、ミソプロストール、モルヒネ、総合ビタミンおよびミネラル、N−メチルエフェドリン、ナフチドロフリル、ナプロキセン、ネオマイシン、ニカルジピン、ニセルゴリン、ニコチンアミド、ニコチン、ニコチン酸、ニフェジピン、ニモジピン、ニトラゼパム、ニトレンジピン、ニザチジン、ノルエチステロン、ノルフロキサシン、ノルゲストレル、ノルトリプチリン、ナイスタチン、オフロキサシン、オメプラゾール、オンダンセトロン、パンクレアチン、パンテノール、パントテン酸、パラセタモール、ペニシリンG、ペニシリンV、フェノバルビタール、フェノキシフィリン、フェノキシメチルペニシリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、フェニトイン、ピロキシカム、ポリミキシンB、ポビドン−ヨード、プラバスタチン、プラゼパム、プラゾシン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロパフェノン、プロプラノロール、プロキシフィリン、プソイドエフェドリン、ピリドキシン、キニジン、ラミプリル、ラニチジン、レセルピン、レチノール、リボフラビン、リファンピシン、ルトシド、サッカリン、サルブタモ−ル、サルカトニン、サリチル酸、シンバスタチン、ソマトロピン、ソタロール、スピロノラクトン、スクラルフェート、スルバクタム、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルピリド、タモキシフェン、テガフール、テプレノン、テトラゾシン、テルブタリン、テルフェナジン、テトラサイクリン、テオフィリン、チアミン、チクロピジン、チモロール、トラネキサム酸、トレチノイン、トリアムシノロン、アセトニド、トリアムテレン、トリメトプリム、トロキセルチン、ウラシル、バルプロ酸、バンコマイシン、ベラパミル、ビタミンE、ジドブジンが挙げられる。
【0020】
さらに適切な活性成分には、プロクロルペラジン・エジシラル、硫酸第一鉄、アミノカプロン酸、塩化カリウム、塩酸メカミラミン、塩酸プロカインアミド、硫酸アンフェタミン、塩酸ベンズフェタミン、硫酸イソポルテレノール、塩酸メタンフェタミン、塩酸フェンメトラジン、塩化ベタネコール、塩化メタコリン、塩酸ピロカルピン、硫酸アトロピン、臭化メタスコポラミン、ヨウ化イソプロパミド、塩化トリジヘキセチル、塩酸フェンホルミン、塩酸メチルフェニデート、塩酸オクスプレノロール、酒石酸メトロプロロール、塩酸シメチジン、ジフェニドール、塩酸メクリジン、マレイン酸プロクロルペラジン、フェノキシベンザミン、マレイン酸チエチルペラジン、アニシンドン、ジフェナジオン、エリトリトール四硝酸塩、ジゾキシン、イソフロフェート、アセタゾールアミド、メタゾルアミド、ベンドロフルメチアジド、クロルプロパミド、トラザミド、酢酸クロルマジノン、フェナグリコドール、アスピリンアルミニウム、メトトレキセート、アセチルスルフィオキサゾール、プロゲスチン類、エストロゲン様ステロイド、プロゲステロン様ステロイド、コルチコステロイド、17−β−エストラジオール、エチニルエストラジオール3−メチルエステル、酢酸ヒドロコルチコステロン、メチルテステロン、酢酸17−α−ヒドロキシプロゲステロン、19−ノルプロゲステロン、ノルエチンドロン、プロゲステロン、ノルゲステロン、ノルエチノドレルなどが挙げられる。
【0021】
さらなる活性成分の例には、フェノプロフェン、スリンダック、インドプロフェン、ニトログリセリン、チモロール、アルプレノロール、イミプラミン、クロルプロマジン、ジヒドロキシフェニルアラニン、塩酸α−メチルドーパのピバロキシロキシエチルエステル、グルコン酸カルシウム、乳酸第一鉄、ビンカミン、フェノキシベンザミン、遮断剤などが挙げられる。これらの活性成分は、Remingtonによる“Pharmaceutical Sciences”、第14版、1979、Mack Publishing Co.、イーストン、ペンシルバニア;Falconer等による“The Drug,The Nurse,The Patient,Including Current Drug Handbook”、1974-1976、Saunder Co.、フィラデルフィア、ペンシルバニア;およびBurgerによる“Medical Chemistry”、第3版、第1および2巻、Wiley-Interscience、ニューヨーク;に開示されている。
【0022】
本発明の投与剤形を用いて、温血動物、例えば、反芻動物に投与できる、代表的な医薬品には、特に、メベンダゾール、レバミゾール、アルベンダゾール、カンベンダゾール、フェンベンダゾール、パルベンダゾール、オクスフェンダゾール、オキシベンダゾール、チアベンダゾール、チクロロフォン、プラジカンテル、モランテルおよびピランテルなどのような駆虫剤;米国特許第4199569号および4389397号(Merck)、“Science”、221、823-828、1983において示されたアベルメクチンおよびイベルメクチンのような抗寄生虫剤[これらの文献ではこれらのイベルメクチン抗寄生虫剤は、回虫(ウナギ状線虫)、ロングワーム(long worms)などのような哺乳類に通常生じる蠕虫を制御することを助けるために適当であるものと示されており、そしてまたこのイベルメクチンがウジ、シラミ、ダニ疥癬などのような昆虫感染の治療のために適していることも示されている];クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、ジヒドロストレプトマイシン、バシトラシン、エリスロマイシン、アンピシリン、ペニシリン、セファロスポリンなどのような抗菌剤;スルファメタジン、スルファチアゾールなどのような硫黄−含有医薬[スーファ薬剤];モネシン(登録商標)ナトリウムおよびエルファゼパム(登録商標)のような成長刺激剤;デキサメタゾンおよびフルメタゾンのような抗ノミ剤(ノミ駆除剤);ラサロシド、ビルジナマイシン、サリノマイシンおよびロンネルのようなルーメン中の消化およびイオノホアに影響を与える薬剤;酸化銅、硫酸コバルト、ヨウ素酸カリウム、酸化亜鉛、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、セレン、亜セレン酸ナトリウム、有用なミネラル塩などのようなミネラル;有機ポリシロキサンのような抗鼓脹剤;スチルベストロールのようなホルモン性成長添加物;500000:100100IU/fのビタミンAおよびD;500000IU/fのビタミンEなどのようなビタミン類;フラゾリドンのような抗腸炎剤;成長因子;リシン一塩酸塩、メチオニン、炭酸マグネシウムのような栄養添加物;βアゴニスト、エレンブテロール等;および酸化クロム、ならびにイッテルビウムおよびエルビウムの塩のような化学マーカー;が挙げられる。
【0023】
局所に作用する活性成分にはさらに、アンホテリシンBのような殺真菌剤;ペニシリン、セファロスポリン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、アミノグリコシドのような抗生物質;アシクロビル、イドクスウリジンのような抗ウイルス化合物;クロロフィルのような呼吸向上剤;組織成長−阻害化合物;金属フッ化物、特にモノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ、フッ化アミンのような抗カリエス化合物;サリチル酸メチルのような鎮痛剤;ベンゾカインのような局所麻酔剤;クロルヘキシジンおよびその塩、ヘキシルレゾルシノール、塩化デクアリニウム、塩化セチルピリジンのような口内殺菌剤;抗炎症剤;エストリオールのようなホルモン類;クロルヘキシジンおよびその塩、オクテニジン、またはチモール、メントール、サリチル酸メチル、ユーカリプトールの混合物のような抗プラーク化合物;リン酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムのような緩衝化合物;ならびに、例えば硝酸カリウムのような歯のための減感剤が包含される。
【0024】
さらに別の適当な活性成分は、塩素化合物、特に次亜塩素酸カルシウムのような消毒剤;殺虫剤;農薬;除草剤;殺真菌剤;または、例えば窒素含有化合物、特に尿素、尿素−ホルムアルデヒド化合物、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸一アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、アンモニウム−リン酸化合物のような成長促進剤もしくは肥料;鉄、亜鉛、マンガン、銅、ホウ素、モリブデンのような食料生産物のための微量元素、またはその混合物が挙げられる。
【0025】
本発明の剤形のために適当な活性成分は、また、例えば、13−エチル−17β−ヒドロキシ−18,19−ジノル−17α−プレグナ−4−エン−20イル−3−オン、13−エチル−17β−ヒドロキシ−18,19−ジノル−17α−プレグナ−4,15−ジエン−20イン−3−オン(=ゲストデン)、13−エチル−17β−ヒドロキシ−11−メチレン−18,19−ジノル−17α−プレグナ−4−エン−20インまたは13−エチル−11−メチレン−17β−ヒドロキシ−18,19−ジノル−17α−プレグナ−4−エン−3−オン(3−ケト−デソゲストレル)、のようなプロゲステロン様活性ステロイドホルモン;3−ヒドロキシ−1,3,5(10)−エストラトリエン−17−オン(=エストロン)、1,3,5(10)−エストラトリエン−3,17β−ジオールまたは1,9−ノル−17α−プレグナ−1,3,5(10)−トリエン−20イン−3,17β−ジオール、17β−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4−エン−20イン−3−オン、14α,17α−エタノ−1,3,5−(10)−エストラトリエン−3,17β−ジオール[=シクロジオール(cyclodiol)]および14α,17α−エタノ−1,3,5−(10)−エストラトリエン−3,16α,17β−トリオール(=シクロトリオール)のようなエストロゲン様活性ステロイドホルモン、ならびにこれらのプロゲスチンおよびエストロゲンの組み合わせ物、
【0026】
17β−ヒドロキシ−4−アンドロステン−3−オン(=テストステロン)およびそのエステルまたは17β−ヒドロキシ−1α−メチル−5α−アンドロステン−3−オン(=メステロロン)のようなアンドロゲン様活性ステロイドホルモン、
【0027】
17α−アセトキシ−6−クロロ−1β,2β−ジヒドロ−3H−シクロプロパ[1,2]−プレグナ−1,4,6−トリエン−3,20−ジオンのような抗アンドロゲン様活性ステロイドホルモン、
【0028】
11β,17α,21−トリヒドロキシ−4−プレグネン−3,20−ジオン、11β,17α,21−トリヒドロキシ−1,4−プレグナジエン−3,20−ジオン、11β,17α,21−トリヒドロキシ−6α−メチル−1,4−プレグナトリエン−3,20−ジオンおよび6α−フルオロ−11β,21−ジヒドロキシ−16α−メチル−1,4−プレグナジエン−3,20−ジオン(=ジフルコルトロン)およびそのエステルのようなコルチコイド、のようなステロイドホルモン、である。
【0029】
さらに別の適当な活性成分は下記のものである:
リスリド、[3−(9,10−ジデヒドロ−6−メチル−8α−エルゴリニル)−1,1−ジエチル尿素]、ブロモリスリド[=3−(2−ブロモ−9,10−デヒドロ−6−メチル−8α−エルゴリニル)−1,1−ジエチル尿素]、ターグリド(tergulide)[=3−(6−メチル−8α−エルゴリニル)−1,1−ジエチル尿素]およびプロターグリド(protergulide)[=3−(6−プロピル−8α−エルゴリニル)−1,1−ジエチル尿素]のようなエルゴリン誘導体、
【0030】
7α−アセチルチオ−17α−ヒドロキシ−3−オキソ−4−プレグネン−21−カルボン酸γ−ラクトンおよび7α−アセチルチオ−15β,16β−メチレン−3−オキソ−17α−プレグナ−1,4−ジエン−21,17−カルボラクトン(=メスピレノン)のような抗高血圧剤。
【0031】
5−[ヘキサジヒドロ−5−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテン−6−イニル)−2(1H)−ペンタレニリデン]ペンタン酸(=イロプロスト)または(Z)−7−[(1R,2R,3R,5R)−5−クロロ−2−ヒドロキシ−2−[(E)−(3R)−3−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1−オクテニル]シクロペンチル]−5−ヘプテン酸(=ノクロプロスト)のような抗凝固剤、
【0032】
4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル−2−ピロリドン(=ロリプラム)および7−クロロ−1,3−ジヒドロ−1−メチル−5−フェニル−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オンのような向精神薬、である。
【0033】
架橋親水性重合体を基礎とする層から成る本発明の投与剤形は、特に大量のグリセロール(40質量%より多い量)を有して、長期にわたって非無菌状態で保存された場合、微生物により分解される危険性がある。この場合は保存剤が必要である。適切な保存剤は、全ての常用の保存剤である。可能な保存剤は、とりわけ、アルコール(例えば、クロロブタノール、フェニルエチルアルコールまたはベンジルアルコール)、酸(例えば、ソルビン酸、安息香酸またはホウ酸)、PHBエステル(例えば、パラベン類)、フェノール誘導体(例えば、フェノール、クレゾールまたはクロロクレゾール)、第四級化合物または第四級アンモニウム化合物(quats)(例えば、塩化ベンザルコニウム)、有機水銀化合物(例えば、チオメルサール、硝酸フェニル水銀またはホウ酸フェニル水銀)およびグアニド(例えば、クロルヘキシジンまたは酢酸クロルヘキシジン)のグループに属している。少なくとも2つの混合物を用いることも可能である。
【0034】
本発明のフィルム形の投与剤形は1またはそれ以上の層を有することができる。フィルム形の投与剤形が複数の層を有するとき、それらは1超の活性成分含有層および/または栄養素含有層、1つの接着層および/または被覆層を有することができる。
【0035】
本発明のフィルム形の投与剤形中の活性成分含有層および/または栄養素含有層は架橋親水性重合体に基礎を置き、そしてグリセロールを含む。活性成分含有層および/または栄養素含有層は分子および/または微粒子形態の活性成分を含むことができる。
【0036】
活性成分−含有および/または栄養素−含有層または存在するさらに別の活性成分−含有および/または栄養素−含有層群からの活性成分および/または栄養素の放出は、異なる活性成分および/または栄養素濃度によるばかりでなく、また親水性重合体の架橋度によっても制御することができる。活性成分−含有および/または栄養素−含有層内では、例えば活性成分および/または栄養素の濃度勾配によって放出を制御することが可能である。活性成分および/または栄養素の放出に影響を与えるためのさらに別の可能性は、本発明のフィルム形の剤形中に異なる活性成分および/または栄養素濃度を有する複数の活性成分−含有および/または栄養素−含有層を準備することである。そのうえ、適宜架橋した親水性重合体から成る活性成分のないまたは栄養素のない層については、活性成分−含有または栄養素−含有層の間に存在することも可能である。こうして活性成分にとっては迅速にそして親水性重合体を基材とする第1の活性成分−含有層からの迅速な効果を達しするために十分な量で放出されることが可能であり、一方、より長く続く活性成分の放出は、持続効果を達成するためのさらに別の活性成分−含有層から可能となる。
【0037】
活性成分−含有および/または栄養素−含有層は、好ましくは30〜500μmの厚さを有する。
【0038】
本発明の投与剤形の経粘膜または経皮投与における適切な接着を保証するために、活性成分含有層および/または栄養素含有層中に生体接着性重合体を組み込ませるか、または接着層として本発明の投与剤形中に追加の層を提供するかのいずれかが可能である。接着層は1またはそれ以上の公知の生体接着性重合体、例えば、ポリアクリル酸誘導体から構成することができる。例えば、この接着層は場合によっては架橋された親水性重合体およびポリアクリル酸誘導体の混合物、またはポリアクリル酸誘導体のみから構成することができる。適切な生体接着性ポリアクリル酸誘導体は、場合によっては部分的にカルシウム塩の形態でありそして場合によって架橋しているポリアクリル酸であっていい。部分的にカルシウム塩の形態になっており、且つジビニルグリコールで架橋したポリアクリル酸は特に好ましい。そうした製品はポリカルボフィル(R)(Polycarbophils(R))として購入することができる。
【0039】
この接着層は、特にこの接着層の助けにより活性成分放出のさらなる制御が望まれる場合は、1またはそれ以上の該生体接着性重合体、例えば、エチルセルロース、の混合物から構成することができる。
【0040】
この接着層は、好ましくは10〜100μmの厚さを有している。
【0041】
本発明のフィルム形の投与剤形は、好ましくは、また、被覆層も有している。この被覆層は好ましくは水不溶性重合体から成りそして活性成分および/または栄養素に対して不浸透性である。これにより活性成分および/または栄養素の一方向への放出が確保される。この一方向への放出により、活性成分および/または栄養素は適用部位でしか放出されない。
【0042】
被覆層は架橋親水性重合体、例えば、タンニンで架橋されたヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成することができる。
【0043】
さらなる可能性が、少なくとも1つの水不溶性セルロースエーテル、好ましくはアルキルセルロース、特に好ましくはエチルセルロース、またはセルロースエステル、好ましくは酢酸セルロース、および/または、水不溶性ポリ(メタ)アクリレート、好ましくは、ポリ(C1−4)アルキル(メタ)アクリレート、ポリ(C1−4)ジアルキルアミノ−(C1−4)アルキル(メタ)アクリレートおよび/またはそれらの共重合体、特に好ましくはエチルアクリレート/メチルメタクリレートの共重合体、および/または、エチルアクリレート/メチルメタクリレート/トリメチルアンモニウム・エチルメタクリレートクロリドから構成された被覆層にある。このセルロースエーテル、セルロースエステルおよび/またはポリ(メタ)アクリレートは、必要な場合は、可塑剤を含むことができる。
【0044】
特許請求した発明の好ましい態様においては、被覆層は、エチルセルロースまたは、個々の単量体のモル比、1:2:0.1のエチルアクリレート/メチルメタクリレート/トリメチルアンモニウム−エチルメタクリレートクロリドの共重合体(両方の場合において重合体の量を基にして質量で20ないし40パーセンテージ量の可塑剤、好ましくはクエン酸トリエチル、を含む)から成る。特に好ましい被覆層は、個々の単量体のモル比、2:1のエチルアクリレート/メチルメタクリレートの共重合体(この場合には可塑剤の添加は絶対に必要なわけではない)から成る。
【0045】
被覆層は、好ましくは10〜100μmの厚さを有する。
【0046】
本発明のフィルム形の投与剤形は、適用前に保護層で覆うことができる。
【0047】
本発明のフィルム形の投与剤形は、好ましくはグリセロールを含有する親水性重合体および活性成分の水溶液から、好ましくは水溶液としての架橋剤に、同時にまたは続いて曝露する適用、および乾燥による水の除去により、活性成分−含有および/または栄養素−含有層または複数の活性成分−有および/または栄養素−含有層を形成させることによって製造する。
【0048】
被覆層は、乾燥させた活性成分−含有および/または栄養素−含有層に、水に不溶性の重合体のラテックスもしくはプソイドラテックス分散液のような水性分散液または適当な有機溶媒中のそのような重合体の溶液を適用し、その後乾燥および/または真空処理によって水または有機溶媒を除去することによって生成させることができる。
【0049】
本発明のフィルム形の投与剤形上に接着層が存在する場合、これは、好ましくは、場合によっては部分的にカルシウム塩の形態のおよび場合によっては架橋された、ポリアクリル酸の水溶液または分散液からなる。
【0050】
本発明のフィルム形の剤形は、好ましくは、各々の場合に場合により存在してもよい架橋剤、場合により存在してもよいグリセロールおよび場合により存在してもよい活性成分とともに各層上にフィルム−形成重合体を下位の層として噴霧そして乾燥させることによって適用して、平滑な表面上に個々の層を逐次堆積させることによって製造する。この場合における乾燥は、好ましくは、噴霧と同時に起こる。下層は、好ましくは0.1ないし10μmの厚さを有する。
【0051】
親水性重合体の水溶液および架橋剤の水溶液の噴霧は、好ましくは同時に起こり、この場合には、親水性重合体および架橋剤は、噴霧後に混ざり、その後重合体は、その場で架橋される。
【0052】
もし活性成分および/または栄養素が1つの層中に存在するならば、負荷は、好ましくはすでに親水性重合体の水溶液中に溶解している活性成分および/または栄養素を用いて、この溶液が架橋剤の水溶液と一緒にされる前に起こる。
【0053】
この手順の大きな変動可能性のために各層は、いずれの順序でも堆積させることができる。こうして最初にもし存在するならば接着層を、または最初に後に続く層のための基礎としての被覆層を、形成させることが可能である。
【0054】
本製造方法は、好ましくはDE10146251に記載されたとおりの装置を使用して実施する。相当する開示は、本発明の開示中に組み込まれるものとする。
【0055】
この装置は、少なくとも1つの噴霧装置、乾燥機および循環的に噴霧装置の下に動かされる少なくとも1つのプレートを含む。この装置は、好ましくは、その噴霧コーンがオーバーラップする複数のノズルを有する。
【0056】
張力試験による可塑性の測定
機械的特性を得る目的で、達成できる最大伸長度を物質の投与剤形の可塑性の目安として用いた張力試験を行った。
【0057】
ビノパール(Winopal)(ドイツ国)のTA.XT2iテクスチャー分析器を最大伸長度および引裂強度の測定のために用いた。活性成分含有および/または栄養素含有層フィルムの断片(長さ9.5cm、幅1cm)の両端を取付け具(clamping jaws)で取付け、そして、無張力時の長さ(free tension length)が7cmとなるようにわずかに伸ばした。この取付け具は、断片が取付け部位で測定前に裂けることを避けるために、この断片と接触するようになる表面をコーテングして供給される。もし断片が取付け具のコーテングにもかかわらず裂けたとしたら、その値は考慮に入れない。上部の取付け具は一定の0.5mm/秒という速度で上方に引っ張り上げられる。この力はこの間全時点において用いられ、そして得られた伸度テクスチャー分析器によって記録される。次に、この力、伸度および時間が表示され、そしてソフトウエアを用いて解析される。
【0058】
試験したフィルム断片の引裂強度は、特定の断片が引き裂れた瞬間にフィルム断片に働いていた力である。
【0059】
最大伸度は、特定の断片が引き裂れた瞬間の伸度の度合である。
【0060】
次に図面について説明する。
図1は、可塑剤を含まない(比較例1)、または、架橋ハイドロキシプロピルメチルセルロースの全量に対して、ポリエチレングリコール(比較例2)もしくはソルビトール(比較例3)もしくはグリセロール(実施例5)をそれぞれ25質量%含んでいる、架橋ハイドロキシプロピルメチルセルロースを基材とした層で得られた伸度に対して用いられた力の図示。グリセロールを含むフィルムが、ポリエチレングリコールまたはソルビトールを含むフィルムより大きな最大伸度そしてしたがってより大きな可塑性をしめした。
図2は、架橋ハイドロキシプロピルメチルセルロースの全量に対して、グリセロールを20質量%(実施例6)または50質量%(実施例7)含んでいる、架橋ハイドロキシプロピルメチルセルロースを基材とした層で得られた伸度に対して用いられた力の図示。より多くの量のグリセロールを用いて、層の達成されたより大きな最大伸度およびより大きな可塑性が得られた。50%のグリセロールを含むフィルムは60Nを超える引裂強度を示した。
図3は、架橋ハイドロキシプロピルメチルセルロースの全量に対して、グリセロール(実施例6)またはクエン酸トリエチル(比較例4)を20質量%含んでいる、架橋ハイドロキシプロピルメチルセルロースを基材とした層で得られた伸度に対して用いられた力の図示。グリセロールを含むフィルムは、クエン酸トリエチルを含むフィルムに比べて、より大きな達成された最大伸度およびさらにより大きな可塑性を示した。
【0061】
〔実施例1〕
フィルム形の投与剤形を製造するために、ハイドロキシプロピルメチルセルロースを10g、グリセロールを5g、活性成分プレドニゾロンを1g、および水を484g含む溶液、ならびに、水の497.5g中にタンニン2.5gを含む溶液を調製した。DE10146251に記載された装置を用いて、これら2つの溶液をそれぞれ1つのノズルを用いて同時にガラスプレート上に噴霧し、80℃で乾燥させ、そしてこの噴霧工程を、それぞれの下位層の形成後、この層の厚さが80μmに達するまで数回繰り返した。このようにして製造された投与剤形は容易に取り扱うことができ、そして容易にヒトの皮膚およびヒト粘膜、例えば、頬内粘膜へと適用された。
【0062】
〔実施例2〕
a)活性成分含有層を製造するために、ハイドロキシプロピルメチルセルロースを10g、グリセロールを7.5g、活性成分プレドニゾロンを1g、および水を481.5g含む溶液、ならびに、水の497.5g中にタンニン2.5gを含む溶液を調製した。DE10146251に記載された装置を用いて、これら2つの溶液をそれぞれ1つのノズルを用いて同時にガラスプレート上に噴霧し、80℃で乾燥させ、そしてこの噴霧工程を、それぞれの下位層の形成後、この層の厚さが200μmに達するまで数回繰り返した。
b)水の494g中にジビニルグリコールで架橋したポリアクリル酸(ポリカルボフィル(R))を6g含む分散液を調製した。この分散液はまた、上記の装置を用いて、活性成分層上に下位層の多段階噴霧において、この接着層の層厚が50μmに達するまで適用した。
このようにして製造された投与剤形は容易に取り扱うことができ、そして容易にヒトの皮膚およびヒト粘膜、例えば、頬内粘膜へと適用された。
【0063】
〔実施例3〕
a)被覆層を製造するために、ハイドロキシプロピルメチルセルロースを10g、グリセロールを6.25gおよび水を483.75g含む溶液、ならびに、水の497.5g中にタンニン2.5gを含む溶液を調製した。DE10146251に記載された装置を用いて、これら2つの溶液をそれぞれ1つのノズルを用いて同時にガラスプレート上に噴霧し、80℃で乾燥させ、そしてこの噴霧工程を、それぞれの下位層の形成後、この層の厚さが50μmに達するまで数回繰り返した。
b)a)に記載したものと同じやり方で、ハイドロキシプロピルメチルセルロースを10g、グリセロールを6.25g、活性成分の例としてプレドニゾロンを2gおよび水を481.75g含む溶液、ならびに、水の497.5g中にタンニン2.5gを含む溶液を、上記のものと同じ装置を用いて、被覆層上に下位層の多段階噴霧により、この活性成分含有層の層厚が100μmに達するまで適用した。
このようにして製造された投与剤形は容易に取り扱うことができ、そして容易にヒトの皮膚およびヒト粘膜、例えば、頬内粘膜へと適用された。
【0064】
〔実施例4〕
a)被覆層を製造するために、モノマーのモル比が2:1であるエチルアクリル/メチルメタクリレート共重合体の10%濃度ラテックス水溶液を、30%濃度ラテックス溶液の333.33gを水666.67gで希釈して得た。この分散液は、DE10146251に記載された装置により、被覆層の層厚が50μmに達するまで段階のそれぞれで下位層が製造される、多段階噴霧で用いられた。
b)活性成分含有層を製造するために、ハイドロキシプロピルメチルセルロースを10g、グリセロールを7.5g、活性成分の例としてプレドニゾロンを2gおよび水を480.5g含む溶液、ならびに、水の497.5g中にタンニン2.5gを含む溶液を、上記のものと同じ装置を用いて、被覆層上に下位層の多段階噴霧により、この活性成分含有層の層厚が300μmに達するまで適用した。
c)水の494g中にジビニルグリコールで架橋したポリアクリル酸(ポリカルボフィル(R))を6g含む分散液を調製した。この分散液はまた、上記の装置を用いて、下位層がそれぞれの段階で形成される多段階噴霧において、この接着層の層厚が50μmに達するまで適用した。
このようにして製造された投与剤形は容易に取り扱うことができ、そして容易にヒトの皮膚およびヒト粘膜、例えば、頬内粘膜へと適用された。
【0065】
〔実施例5〕
フィルム形の投与剤形を製造するために、ハイドロキシプロピルメチルセルロースを10g、グリセロールを3.125g、活性成分プレドニゾロンを0.5gおよび水を486.375g含む溶液、ならびに、水の497.5g中にタンニン2.5gを含む溶液を調製した。DE10146251に記載された装置を用いて、これら2つの溶液をそれぞれ1つのノズルを用いて同時にガラスプレート上に噴霧し、80℃で乾燥させ、そしてこの噴霧工程を、それぞれの下位層の形成後、この層の厚さが300μmに達するまで数回繰り返した。
このようにして製造された投与剤形は容易に取り扱うことができ、そして容易にヒトの皮膚およびヒト粘膜、例えば、頬内粘膜へと適用された。
【0066】
〔実施例6〕
フィルム形の投与剤形を製造するために、ハイドロキシプロピルメチルセルロースを10g、グリセロールを2.5g、活性成分プレドニゾロンを0.5gおよび水を487g含む溶液、ならびに、水の497.5g中にタンニン2.5gを含む溶液を調製した。DE10146251に記載された装置を用いて、これら2つの溶液をそれぞれ1つのノズルを用いて同時にガラスプレート上に噴霧し、80℃で乾燥させ、そしてこの噴霧工程を、それぞれの下位層の形成後、この層の厚さが300μmに達するまで数回繰り返した。
このようにして製造された投与剤形は容易に取り扱うことができ、そして容易にヒトの皮膚およびヒト粘膜、例えば、頬内粘膜へと適用された。
【0067】
〔実施例7〕
フィルム形の投与剤形を製造するために、ハイドロキシプロピルメチルセルロースを10g、グリセロールを6.25g、活性成分プレドニゾロンを0.5gおよび水を483.25g含む溶液、ならびに、水の497.5g中にタンニン2.5gを含む溶液を調製した。DE10146251に記載された装置を用いて、これら2つの溶液をそれぞれ1つのノズルを用いて同時にガラスプレート上に噴霧し、80℃で乾燥させ、そしてこの噴霧工程を、それぞれの下位層の形成後、この層の厚さが300μmに達するまで数回繰り返した。
このようにして製造された投与剤形は容易に取り扱うことができ、そして容易にヒトの皮膚およびヒト粘膜、例えば、頬内粘膜へと適用された。
【0068】
〔比較例1〕
可塑剤を含まないフィルム形の投与剤形を製造するために、ハイドロキシプロピルメチルセルロースを10g、活性成分プレドニゾロンを0.5gおよび水を489.5g含む溶液、ならびに、水の497.5g中にタンニン2.5gを含む溶液を調製した。DE10146251に記載された装置を用いて、これら2つの溶液をそれぞれ1つのノズルを用いて同時にガラスプレート上に噴霧し、80℃で乾燥させ、そしてこの噴霧工程を、それぞれの下位層の形成後、この層の厚さが300μmに達するまで数回繰り返した。
このようにして製造された投与剤形は、ヒトの皮膚およびヒト粘膜、例えば、頬内粘膜へと適用するのが困難であった。
【0069】
〔比較例2〕
フィルム形の投与剤形を製造するために、ハイドロキシプロピルメチルセルロースを10g、ポリエチレングリコールを3.125g、活性成分プレドニゾロンを0.5gおよび水を486.375g含む溶液、ならびに、水の497.5g中にタンニン2.5gを含む溶液を調製した。DE10146251に記載された装置を用いて、これら2つの溶液をそれぞれ1つのノズルを用いて同時にガラスプレート上に噴霧し、80℃で乾燥させ、そしてこの噴霧工程を、それぞれの下位層の形成後、この層の厚さが300μmに達するまで数回繰り返した。
このようにして製造された投与剤形は、比較例1(可塑剤を含まない)の投与剤形より、容易にヒトの皮膚およびヒト粘膜、例えば、頬内粘膜へと適用されたが、架橋ハイドロキシプロピルメチルセルロースの総量に対して、25質量%のグリセロールを含む実施例5の投与剤形と比べてより適用しにくかった。
【0070】
〔比較例3〕
フィルム形の投与剤形を製造するために、ハイドロキシプロピルメチルセルロースを10g、ソルビトールを3.125g、活性成分プレドニゾロンを0.5gおよび水を486.375g含む溶液、ならびに、水の497.5g中にタンニン2.5gを含む溶液を調製した。DE10146251に記載された装置を用いて、これら2つの溶液をそれぞれ1つのノズルを用いて同時にガラスプレート上に噴霧し、80℃で乾燥させ、そしてこの噴霧工程を、それぞれの下位層の形成後、この層の厚さが300μmに達するまで数回繰り返した。
このようにして製造された投与剤形は、比較例1(可塑剤を含まない)の投与剤形より、容易にヒトの皮膚およびヒト粘膜、例えば、頬内粘膜へと適用されたが、架橋ハイドロキシプロピルメチルセルロースの総量に対して、25質量%のグリセロールを含む実施例5の投与剤形と比べてより適用しにくかった。
【0071】
〔比較例4〕
フィルム形の投与剤形を製造するために、ハイドロキシプロピルメチルセルロースを10g、クエン酸トリエチルを2.5g、活性成分プレドニゾロンを0.5gおよび水を487g含む溶液、ならびに、水の497.5g中にタンニン2.5gを含む溶液を調製した。DE10146251に記載された装置を用いて、これら2つの溶液をそれぞれ1つのノズルを用いて同時にガラスプレート上に噴霧し、80℃で乾燥させ、そしてこの噴霧工程を、それぞれの下位層の形成後、この層の厚さが300μmに達するまで数回繰り返した。
このようにして製造された投与剤形は、比較例1(可塑剤を含まない)の投与剤形より、容易にヒトの皮膚およびヒト粘膜、例えば、頬内粘膜へと適用されたが、架橋ハイドロキシプロピルメチルセルロースの総量に対して、20質量%のグリセロールを含む実施例3の投与剤形と比べてより適用しにくかった。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】可塑剤を含まない(比較例1)、または、架橋ハイドロキシプロピルメチルセルロースの全量に対して、ポリエチレングリコール(比較例2)もしくはソルビトール(比較例3)もしくはグリセロール(実施例5)をそれぞれ25質量%含んでいる、架橋ハイドロキシプロピルメチルセルロースを基材とした層で得られた伸度に対して用いられた力を図示する。
【図2】架橋ハイドロキシプロピルメチルセルロースの全量に対して、グリセロールを20質量%(実施例6)または50質量%(実施例7)含んでいる、架橋ハイドロキシプロピルメチルセルロースを基材とした層で得られた伸度に対して用いられた力を図示する。
【図3】架橋ハイドロキシプロピルメチルセルロースの全量に対して、グリセロール(実施例6)またはクエン酸トリエチル(比較例4)を20質量%含んでいる、架橋ハイドロキシプロピルメチルセルロースを基材とした層で得られた伸度に対して用いられた力を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋親水性重合体の総量に対して20質量%のグリセリンを可塑剤として含んでいる架橋親水性重合体を基礎として、少なくとも1つの活性成分含有層および/または栄養素含有層を含有する、少なくとも1つの活性成分および/または栄養素の、生物体への表面投与のためのフィルム形投与剤形。
【請求項2】
活性成分含有層および/または栄養素含有層が、架橋親水性重合体の総量に対して20〜60質量%のグリセロールを含有することを特徴とする、請求項1に記載の投与剤形。
【請求項3】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースが親水性重合体として使用されることを特徴とする、請求項1または2に記載の投与剤形。
【請求項4】
その場で架橋した親水性重合体が存在することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の投与剤形。
【請求項5】
親水性重合体がタンニンにより架橋されたもの、および/または架橋され、場合によっては部分的に中和されたポリアクリル酸であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の投与剤形。
【請求項6】
活性成分含有層および/または栄養素含有層が少なくとも1つの医薬活性成分または1つの栄養素を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の投与剤形。
【請求項7】
医薬活性成分が鎮痛剤、抗アレルギー剤、抗生物質、制吐剤、防腐剤、抗ヒスタミン剤、抗高血圧剤、食欲抑制剤、心臓治療剤、化学治療剤、酵素製品、ホルモン類、免疫調整剤、予防接種、局所麻酔剤、向精神薬、鎮痙薬、抗ウイルス剤、ビタミン類および細胞成長抑制剤の群からの活性成分であることを特徴とする、請求項6に記載の投与剤形。
【請求項8】
栄養素が肥料であることを特徴とする、請求項6に記載の投与剤形。
【請求項9】
1またはそれ以上の層を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の投与剤形。
【請求項10】
少なくとも1つの活性成分含有層および/または栄養素含有層、1つの接着層および/または1つの被覆層を有することを特徴とする、請求項9に記載の投与剤形。
【請求項11】
少なくとも1つの活性成分含有層および/または栄養素含有層が活性成分および/または栄養素の濃度勾配を有することを特徴とする、請求項10に記載の投与剤形。
【請求項12】
被覆層が活性成分に対して不浸透性であることを特徴とする、請求項10に記載の投与剤形。
【請求項13】
適用前に保護層に覆われていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の投与剤形。
【請求項14】
生物体がヒトまたは動物、好ましくはヒトであることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の投与剤形。
【請求項15】
表面投与が経粘膜または経皮、好ましくは経粘膜投与であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の投与剤形。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−513916(P2007−513916A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543503(P2006−543503)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014146
【国際公開番号】WO2005/055991
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(300005035)エルテーエス ローマン テラピー−ジステーメ アーゲー (128)
【Fターム(参考)】