説明

染毛・脱色剤組成物

【課題】基剤の混合性に優れ、且つ基剤のすすぎ時の感触および施術後の毛髪の感触が改善された染毛・脱色剤組成物を提供する。
【解決手段】アルカリ剤と(a)陽イオン性界面活性剤と(b)高級アルコールとを含みpH8.0〜13.0である第1剤、および酸化剤を含みpH2.0〜5.0である第2剤を含む染毛・脱色剤組成物において、前記第1剤中に(c)ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれるセルロース系高分子および/またはその誘導体を含有することを特徴とする染毛・脱色剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は染毛・脱色剤組成物、特に1剤と2剤の混合性の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の意識の変化と共に、毛髪を明るくしたいという要望が高まり、染毛・脱色剤の市場が拡大している。
【0003】
一般に染毛剤は、アルカリ剤および酸化染料を含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤からなるものであり、施術の際に第1剤と第2剤とを混合して毛髪に塗布し、放置後洗い流して使用するものである。前記第1剤と第2剤とを混合して毛髪に適用することにより、酸化剤が毛髪内部のメラニン色素を酸化分解して毛髪は脱色される。同時に、酸化染料と呼ばれる染料が毛髪内部で重合反応の後、色素を形成して毛髪を染色する。なお、ここでいう脱色剤とは酸化染料を配合せずに、毛髪の脱色効果のみを意図したものである。
【0004】
染毛・脱色剤の第1剤および第2剤の混合方法としては、第1剤および第2剤がともにクリーム状でありトレー等の上にこれら両者を出し、ハケ等で混合して毛髪に適用する方法、コーム上に前記両剤を同時に吐出して毛髪上で混合しながら塗布する方法、クリーム状または液状の第1剤と液状の第2剤をアプリケーター内で混合してから使用する方法等が挙げられる。しかしながら、ハケで混合する方法は均一に混ぜ合わせるための操作が手間取るという欠点があり、またコーム上に吐出後に毛髪上で混合する方法は均一な脱色性、染毛性という観点からあまり望ましいものではなかった。
【0005】
一方、アプリケーター内で混合する方法は、通常液状である第2剤が充填されたアプリケーター内に、第1剤を投入して振るだけでよく、操作が簡便なことからこのような方法を採用した製品が広く出回っている。しかしながら、第1剤と第2剤の比重や粘度が異なるため、両者を均一に混合することが困難であるという問題があった。このような問題を解決するために、これまでにカルボキシビニルポリマー等の増粘剤と低級アルコールおよび高級脂肪酸とを含む低粘度の第1剤と第2剤とからなる2剤混合式化粧料などが提案されている(例えば特許文献1を参照)。しかし、カルボキシビニルポリマーは耐塩性に劣ることから、使用中に粘度低下を招き、液垂れが生じてしまうという問題があった。
【0006】
また、クリーム状の第1剤を用いた例として高級アルコールと各種界面活性剤とで乳化組成物を調製し、使用直前に液状の第2剤と混合して毛髪に適用するものが提案されている(例えば特許文献2〜4を参照)。しかしながら、いずれの場合も混合性はある程度に改善されるものの、染毛・脱色剤の機能である染色・脱色の機能が十分ではなかった。また、染毛・脱色のために混合液を毛髪に塗布してから洗い流すときのすすぎの感触がきしんだり、乾燥後の毛髪の感触がゴワゴワしたり使用感触に問題があった。
【特許文献1】特開2001−328927号公報
【特許文献2】特開2002−370949号公報
【特許文献3】特開2003−63936号公報
【特許文献4】特開2003−238371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前述の事情に鑑み行われたものであり、その目的は染色・脱色機能に優れ、かつ使用時の第1剤と第2剤の混合性、およびすすぎ時や施術後の使用感触が改善された染毛・脱色剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが前述の課題に鑑み鋭意研究を行った結果、アルカリ剤と陽イオン性界面活性剤と高級アルコールとを含むクリーム状の第1剤に、特定のセルロース系高分子および/またはその誘導体を配合することにより、液状の第2剤との混合性が著しく改善することを見出した。さらに、糖アルコールおよび平均分子量10万以上のポリエチレングリコールを共に配合すると、すすぎ時の感触に優れ、且つ施術後の毛髪に優れたなめらかさを付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の染毛・脱色剤組成物は、アルカリ剤と(a)陽イオン性界面活性剤と(b)高級アルコールとを含みpH8.0〜13.0である第1剤、および
酸化剤を含みpH2.0〜5.0である第2剤を含む染毛・脱色剤組成物において、
前記第1剤中に
(c)ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれるセルロース系高分子および/またはその誘導体を含有することを特徴とする。
【0010】
また、前記本発明にかかる染毛・脱色剤組成物の第1剤中に、さらに(d)糖アルコールを含有することを特徴とする
【0011】
また、前記(a)〜(d)成分に加えて、第1剤中に(e)平均分子量50万以上であるポリエチレングリコールを含有させてもよい。
【0012】
前記染毛・脱色剤組成物において、第1剤中に成分(c)ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれるセルロース系高分子および/またはその誘導体の配合量が0.05〜5質量%であることを特徴とする。
【0013】
また、前記染毛・脱色剤組成物において、第1剤中に成分(d)糖アルコールの配合量が0.1〜30質量%であることを特徴とする。
【0014】
前記染毛・脱色剤組成物において、第1剤中に成分(e)平均分子量50万以上であるポリエチレングリコールの配合量が0.01〜5質量%であることを特徴とする。
【0015】
前記染毛・脱色剤組成物において、B型粘度計で測定した粘度が第1剤は8000〜30000mPa・s、第2剤は4000mPa・s以下であることを特徴とする。
【0016】
さらに前記染毛・脱色剤組成物の第1剤と第2剤を2:1〜1:5の重量比で混合することを特徴とする。
【0017】
前記染毛・脱色剤組成物において、液状の第2剤があらかじめ充填されたアプリケーター内に、クリーム状の第1剤を使用直前に投入し、振り混ぜて両者を混合して毛髪に適用することを特徴とする。
【0018】
さらに、前記染毛・脱色剤組成物の第1剤と第2剤を混合し、振とう直後の粘度がB型粘度計において5000〜20000mPa・sであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、アルカリ剤と陽イオン性界面活性剤と高級アルコールとからなるクリーム状の第1剤に、特定のセルロース系高分子および/またはその誘導体を配合することにより、第1剤と酸化剤を含む第2剤との混合性に優れ、さらに糖アルコールおよび平均分子量10万以上のポリエチレングリコールを併用することにより、すすぎ時の感触に優れ、且つ施術後の毛髪に優れたなめらかさを付与することのできる染毛・脱色剤組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明にかかる染毛・脱色剤組成物の第1剤は、クリーム状を呈するものであって、アルカリ剤、陽イオン性界面活性剤、高級アルコール、特定のセルロース系高分子および/またはその誘導体を含有するものである。さらに前記第1剤には糖アルコール、および平均分子量50万以上のポリエチレングリコールを含み得る。
【0021】
なお、本発明における「クリーム状」とは、水を分散相とするコロイド状態であって流動性のない状態を表し、ゲル、ペースト、ゼリーの形態をも含まれる。粘度挙動としては、30℃において8000〜30000mPa・sであることが好ましい。8000mPa・sより低い粘度ではクリームの状態が経日により変化しやすく、また、温度により粘性の変化が激しくなり混合時に望ましい粘度を持った毛髪処理剤とすることが困難になり好ましくない。また、30000mPa・sを超えると、第2剤との混合性が悪くなるため好ましくない。第1剤をクリーム状とすることで、第2剤が充填されたアプリケーター内への第1剤の投入が容易になり、使用時の混合操作性に優れたものとなる。
【0022】
本発明にかかる毛髪処理剤の粘度は、ブルックフィールド型粘度計(B型の回転式粘度計)によって測定した値を採用している。すなわち、粘性液中を一定の角速度で回転するローターに働く液性の粘性抵抗トルクを検出するものであり、例えば、測定対象が10000〜50000mPa・sの場合は、4号ローターを用いて1分間12回転で1分後の粘度が測定されるものである。
【0023】
アルカリ剤
本発明にかかる染毛・脱色剤組成物の第1剤に含まれるアルカリ剤としては、アンモニア,炭酸水素アンモニウム,リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、アルギニン,リジン等の塩基性アミノ酸、グアニジン,2−アミノ−2−メチルプロパン,モノイソプロパノールアミン等の有機アミン、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の無機アルカリを使用することができる。さらに、これらの塩との組合せによる緩衝溶液(例えば、リン酸−リン酸のナトリウム塩)が用いられる。好ましいアルカリ剤としては、アンモニア、アンモニウム塩、アルカノールアミンである。また、これらのアルカリ剤はそれぞれ単独、または2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
アルカリ剤の配合量は、所望する染色・脱色の効果によって適宜変更されるが、一般的な配合量としては第1剤のpHが8.0〜13.0の範囲に入るように調整される。具体的には、第1剤と第2剤混合時の組成物全体に対して、0.1〜10質量%、特に0.5〜5質量%含むことが好適である。pHが8より小さいと脱色力に劣る場合があり、13を超えると皮膚刺激や毛髪の損傷が激しいため望ましくない。
【0025】
(a)陽イオン性界面活性剤
本発明にかかる染毛・脱色剤組成物に含まれる(a)陽イオン性界面活性剤は、化粧品一般に使用されるものであれば特に限定されないが、具体的には下記一般式(I)で表されるモノアルキル型第4級アンモニウム塩、
【0026】
【化1】

(式中、Rはヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜36の直鎖または分岐のアルキル基を、R、R及びRは同一または異なっていてもよく、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜3のアルキル基またはベンジル基を、Xはハロゲン原子または炭素数1又は2のアルキル硫酸基を表す。)
あるいは下記一般式(II)で表されるジアルキル型第4級アンモニウム塩等が好適である。
【0027】
【化2】

(式中、R及びRは同一または異なっていてもよく、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜36の直鎖又は分岐のアルキル基を、R及びRは同一または異なっていてもよく、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜3のアルキル基またはベンジル基を、Xはハロゲン原子または炭素数1又は2のアルキル硫酸基を表す。)
【0028】
上記一般式(I)で表されるモノアルキル型第4級アンモニウム塩としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルトリメチルアンモニウム、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムメタンスルホネート、ステアリルトリメチルアンモニウムメタンスルホネート、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化セチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化オクチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、塩化2−デシルテトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化2−ドデシルヘキサデシルトリメチルアンモニウム等を挙げることができる。
【0029】
上記一般式(II)で表されるジアルキル型第4級アンモニウム塩としては、例えば塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(C12〜C15)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(C14〜C18)ジメチルアンモニウム、塩化ジ(2−ヘキシルデシルジメチルアンモニウム、塩化ジ(2−オクチルドデシル)ジメチルアンモニウム等を挙げることができる。
上記第4級アンモニウム塩型陽イオン性界面活性剤の中でも特に、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムを使用すると、安定性の良い組成物が得られやすいため好ましい。
陽イオン性界面活性剤は、1種又は2種以上をそれぞれ第1剤のみ、又は第1剤と第2剤の両方に配合することができる。
【0030】
(b)高級アルコール
本発明にかかる染毛・脱色剤組成物に含まれる(b)高級アルコールは、化粧品一般に使用されるものであれば特に限定されないが、具体的には、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール等の炭素数12〜22の高級アルコールが挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
また、上記高級アルコールは、第1剤のみ、又は第1剤及び第2剤の両方に配合することができる。
【0031】
第1剤、第2剤混合使用時の組成物全体において、高級アルコールは、陽イオン性界面活性剤に対して、モル比3〜15の範囲であることが特に好適である。上記範囲のモル比であると、施術後の髪の感触が良好となるが、3未満あるいは15を超えると施術後の髪の感触が悪くなることがある。
さらに、高級アルコールと陽イオン性界面活性剤とが上記範囲のモル比であると、第1剤、第2剤混合物にチキソトロピー性が発現される。チキソトロピー性とは、攪拌することによりゲルが流動性のゾルに変わり、これを放置しておくと再びゲルに戻る性質のことであり、粘性率―ずり応力の曲線にヒステリシスが生じる。すなわち、塗布時には、粘度が低くなり塗り拡げやすく(ゾル)、塗布後は毛髪上にとどまるため、垂れ落ちにくい(ゲル)。モル比が3未満であると粘度が高くなりすぎ塗布時に塗り拡げにくく、15を超えると粘度が低くなりすぎ塗布後に垂れ落ちしやすくなってしまう。
【0032】
(c)セルロース系高分子および/またはその誘導体
本発明にかかる染毛・脱色剤組成物の第1剤に含まれる(a)セルロース系高分子および/またはその誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのいずれかであることが好ましい。アルカリ剤を含む前記第1剤において、上記ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは安定に存在することができるため好ましい。また前記の特定セルロース系高分子および/またはその誘導体を配合することにより、第1剤と第2剤を混合した時にダマになりにくく混合性が著しく改善される。
【0033】
前記(a)セルロース系高分子および/またはその誘導体の配合量は、第1剤中において好ましくは0.05〜5質量%であり、より好ましくは0.1〜3質量%である。0.05質量%より少ないと、本発明にかかる効果が発現し難く、5質量%を超えると粘度が上昇しすぎるため第2剤との混合性が悪化する。
【0034】
(d)糖アルコール
本発明にかかる染毛・脱色剤組成物の第1剤に含まれる(d)糖アルコールの例としてはソルビトール、マルチトール、エリスリトール、ラクチトール、キシリトール、還元パラチノース、還元澱粉糖化物を挙げることができ、なかでもソルビトールが好ましく、これらは主に施術後、毛髪を乾燥した後の感触に寄与している。これらの1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0035】
前記(d)糖アルコールの配合量は第1剤中に好ましくは0.1〜30質量%であり、より好ましくは0.5〜20質量%である。0.1質量%未満では本発明にかかる効果が十分に発揮されない場合があり、30質量%を超えるとべたつきが生じる場合がある。
【0036】
(e)ポリエチレングリコール
本発明にかかる染毛・脱色剤組成物の第1剤に含まれる(e)ポリエチレングリコールは、平均分子量50万以上であることが好ましい。これはおもに、ヘアカラーをすすぐ際の感触に寄与しており、使用感の観点から平均分子量50万〜600万であることが必要であり、より好ましくは100万〜500万である。ポリエチレングリコールの1種を単独で、または平均分子量の異なるものの2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、前記ポリエチレングリコールの配合量は第1剤中に好ましくは0.01〜5質量%であり、より好ましくは0.02〜3質量%である。
【0037】
ノニオン性界面活性剤
本発明にかかる染毛・脱色剤組成物には、その他の成分としてノニオン性界面活性剤を適宜配合することができる。ノニオン界面活性剤としては、親油性のノニオン性界面活性剤あるいは親水性のノニオン性界面活性剤を使用することができる。
親油性のノニオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0038】
親水性のノニオン性界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラ POE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤は、1種又は2種以上をそれぞれ第1剤のみ、又は第1剤と第2剤の両方に配合することができる。
【0039】
前記陽イオン性界面活性剤を配合することにより脱色力や染色力が良くなるが、陽イオン性界面活性剤だけであると乳化安定性が悪いことがある。そこで、陽イオン性界面活性剤にノニオン性界面活性剤を加えることにより、染毛・脱色組成物の第1剤、第2剤の乳化安定性が向上する。ところが、ノニオン性界面活性剤を多量に配合した場合、すすぎ時や仕上がり時の手触りがきしむことがある。
よって、第1剤、第2剤それぞれにおいて、ノニオン性界面活性剤の配合質量は、陽イオン性界面活性剤の配合質量より少ないことが好適である。具体的には組成物全体において、(A)陽イオン性界面活性剤と(B)ノニオン界面活性剤の配合質量比が(A)/(B)=1〜10であることが好適である。組成物全体において(A)/(B)が1より小さいとすすぎ時や仕上がり時の手触りがきしむことがあり、(A)/(B)が10より大きいと乳化安定性が悪くなることがある。上記量的関係で配合すると、優れた乳化安定性が獲得でき、且つ毛髪がべたつくことなく優れた滑らかさ、光沢を付与することができる。
【0040】
また、陽イオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の配合量の合計は、第1剤、第2剤混合使用時の組成物全体において0.05〜5.0質量%であることが好適である。0.05質量%未満では、染色力や施術後の髪の感触が悪くなることがあり、5.0質量%を超えると、粘度が高くなりすぎることがある。
【0041】
酸化染料
本発明にかかる染毛・脱色剤組成物の第1剤に配合される酸化染料としては、例えば、p-フェニレンジアミン、p-トルイレンジアミン、N-メチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-2-メチル-p-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、クロル-p-フェニレンジアミン、2-(2′-ヒドロキシエチルアミノ)-5-アミノトルエン、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、メトキシ-p-フェニレンジアミン、2,6-ジクロル-p-フェニレンジアミン、2-クロル-6-ブロム-p-フェニレンジアミン、2-クロル-6-メチル-p-フェニレンジアミン、6-メトキシ-3-メチル-p-フェニレンジアミン、2,5-ジアミノアニソール、N-(2-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、N-2-メトキシエチル-p-フェニレンジアミン等の1種又は2種以上のNH−基、NHR-基又はNHR−基(Rは炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す)を有するp-フェニレンジアミン類;2,5-ジアミノピリジン誘導体;p-アミノフェノール、2-メチル-4-アミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、2-クロロ-4-アミノフェノール、3-クロロ-4-アミノフェノール、2,6-ジメチル-4-アミノフェノール、3,5-ジメチル-4-アミノフェノール、2,3-ジメチル-4-アミノフェノール、2,5-ジメチル-4-アミノフェノール、2,4-ジアミノフェノール、5-アミノサリチル酸等のp-アミノフェノール類、o-アミノフェノール類、o-フェニレンジアミン類等を配合することができる。
【0042】
さらにカップラーを配合することもでき、例えば、α-ナフトール、o-クレゾール、m-クレゾール、2,6-ジメチルフェノール、2,5-ジメチルフェノール、3,4-ジメチルフェノール、3,5-ジメチルフェノール、ベンズカテキン、ピロガロール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、5-アミノ-2-メチルフェノール、5-(2′-ヒドロキシエチルアミノ)-4-メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,4-ジアミノアニソール、m-トルイレンジアミン、4-アミノフェノール、レゾルシン、レゾルシンモノメチルエーテル、m-フェニレンジアミン、1-フェニル-3-メチル-5-ピラゾロン、1-フェニル-3-アミノ-5-ピラゾロン、1-フェニル-3,5-ジケト-ピラゾリジン、1-メチル-7-ジメチルアミノ-4-ヒドロキシ-2-キノロン、m-アミノフェノール、4-クロロレゾルシン、2-メチルレゾルシン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2,6-ジアミノピリジン、3,5-ジアミノトリフロロメチルベンゼン、2,4-ジアミノフロロベンゼン、3,5-ジアミノフロロベンゼン、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,4,6-トリアミノピリミジン、2-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、4-アミノ-2,6-ジヒドロキシピリミジン、4,6-ジアミノ-2-ヒドロキシピリミジン等を配合することができる。
【0043】
また上記物質の他、「医薬部外品規格」(薬事日報社、1991年6月発行)に記載されたものを適宜配合することができる。さらに酸性染料、塩基性染料、HC染料を配合することもできる。なお、これらの染料を配合しないものは脱色剤として用いられる。
【0044】
本発明にかかる染毛・脱色剤組成物の第2剤は液状を呈するものであって、酸化剤を含有する。なお、本発明における液状とは、流動性を有する状態をいい、乳液、粘調液の形態も含まれる。粘度挙動として好ましくは、30℃において4000mPa・s以下であることが好ましい。4000mPa・sを超える粘度の場合、第1剤との混合性が悪くなるため好ましくない。
【0045】
酸化剤
第2剤に用いられる酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、臭素酸塩、過ヨウ素酸塩等が挙げられ、過酸化水素を用いるのが好ましい。酸化剤の含有量は、第2剤中0.1〜12質量%とするのが好ましく、1〜9質量%とするのがより好ましい。0.1質量%未満では毛髪の脱色力に劣り、12質量%を超えるとそれ以上の効果が望めず、皮膚刺激や毛髪へのダメージが深刻となるため好ましくない。
【0046】
本発明の染毛・脱色剤組成物は、第1剤、第2剤を任意の比率で混合して用いることができるが、混合質量比は第1剤:第2剤=2:1〜1:5であることが好ましく、1:1〜1:3の時に染毛・脱色力がより発揮されるためより好ましい。
【0047】
本発明においては第1剤と第2剤の混合物に、さらに過硫酸塩を含有する第3剤を混合することも可能である。過硫酸塩を添加することによって、さらに脱色力を向上することができる。具体的な過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられ、これらの中から1種または2種以上と適度な賦形剤や分散剤を配合して第3剤が形成される。
【0048】
第3剤中の過硫酸塩の配合量としては、脱色剤組成物全量中に1.0〜50質量%となるように配合されることが好ましく、より好ましくは3〜20質量%である。1質量%未満では脱色力の向上効果に乏しく、50質量%を超えると粘性に影響を与え、溶解しない場合があり好ましくない。
【0049】
また、本発明においては第1剤、第2剤の一方または双方に通常の化粧料に用いられる他の成分、例えば、上記以外の油性成分、界面活性剤、シリコーン類、芳香族アルコール、多価アルコール等のアルコール類、アミノ酸類、コンディショニング剤、増粘剤、pH調整剤、保湿剤、動物及び植物エキス、ビタミン類、色素、香料、顔料、防腐剤、紫外線吸収剤、金属封鎖剤、還元剤を本発明の効果を損なわない範囲で1種又は2種以上を適宜配合することが可能である。
【0050】
本発明において、液状の第2剤があらかじめ充填されたアプリケーター内に、クリーム状の第1剤、または1剤および第3剤を投入して振り混ぜた直後の粘度が、B型粘度計による測定値で5000〜20000mPa・sであることが好ましい。5000mPa・s未満であると液垂れにより塗布性が劣り、20000mPa・sを超えるとアプリケーターから出しにくくなるとともに毛髪へ塗り広げにくいものとなる。
【0051】
また、本発明にかかる染毛・脱色剤組成物は種々の目的、例えば、皮膚体毛の脱色剤、頭髪の脱色剤、かつら等の装飾具の脱色剤として用いることも可能であり、酸化染料等の染料と組み合わせて脱色染毛料とすることも可能である。
【実施例】
【0052】
以下本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれにより限定されるものではない。また、配合量は特記しない限り質量%である。
以下の表に示された組成に従い、各成分を混合することにより試料を調製した。なお、このときの第1剤及び第2剤の混合比率は重量比で1:1として実験を行った。本発明にかかる染毛・脱色剤組成物の具体的な評価方法ならびに評価基準について下記に説明する。
【0053】
評価方法および評価基準
混合のしやすさ
実施例、比較例に示した染毛・脱色剤組成物の第1剤と第2剤を100mLの樹脂容器に入れ、栓をしてから手で上下に30cmの距離を振り、混合完了状態まで振った回数を計測した。なお、評価基準は以下のとおりである。
◎:非常に良好 (振とう回数が10回未満)
○:良好 (振とう回数が10回以上、20回未満)
△:やや悪い (振とう回数が20回以上、30回未満)
×:悪い (振とう回数が30回以上)
【0054】
毛髪への塗布のしやすさ(塗り広げやすさ、垂れ落ちのなさ)
第1剤と第2剤を混合した染液10gを、重さ3g、長さ15cmの人毛毛束(黒色)に均一に塗布した。30℃の大気中に20分間放置した際の毛髪への塗布のしやすさを、7名の専門被験者によって下記基準に基づいて評価した。
◎:非常に良好 (7名中6〜7名が塗布しやすいと回答)
○:良好 (7名中4〜5名が塗布しやすいと回答)
△:やや悪い (7名中2〜3名が塗布しやすいと回答)
×:悪い (7名中0〜1名が塗布しやすいと回答)
【0055】
染色効果
第1剤と第2剤を混合した染液10gを、重さ3g、長さ15cmの人毛毛束(黒色)に均一に塗布し、20分間放置し、ついで、十分洗浄した後に乾燥させ、7名の専門被験者によって下記基準に基づいて評価した。
◎:非常に良好 (染色効果が高いと回答した被験者の数が7名中6〜7名)
○:良好 (染色効果が高いと回答した被験者の数が7名中4〜5名)
△:やや悪い (染色効果が高いと回答した被験者の数が7名中2〜3名)
×:悪い (染色効果が高いと回答した被験者の数が7名中0〜1名)
【0056】
髪の感触
第1剤と第2剤を混合した染液10gを、重さ3g、長さ15cmの人毛毛束(黒色)に均一に塗布し、20分間放置し、ついで、十分洗浄した後に乾燥させ、7名の専門被験者によって下記基準に基づいて評価した。
◎:非常に良好 (髪の感触が良いと回答した被験者の数が7名中6〜7名)
○:良好 (髪の感触が良いと回答した被験者の数が7名中4〜5名)
△:やや悪い (髪の感触が良いと回答した被験者の数が7名中2〜3名)
×:悪い (髪の感触が良いと回答した被験者の数が7名中0〜1名)
【0057】
粘度
第1剤および第2剤の粘度は、B型粘度計(ビスメトロン、芝浦システム社製)を用いて、30℃の条件下で測定した。
【0058】
まず始めに、本発明にかかる染毛・脱色剤組成物とするために配合する成分の種類を検討した。結果を下記表1に示す。
【表1】

【0059】
上記表1より明らかなように、従来品の染毛剤の組成である試験例1は分散性が悪く混合性が劣るものであるが、これにセルロース系高分子誘導体であるヒドロキシエチルセルロースを添加すると(試験例2)、ダマになりにくく混合性が非常に優れたものとなった。また、ヒドロキシメチルセルロースに代わり、カルボキシメチルセルロースを配合すると、アルカリ剤を含まない組成である試験例3において、混合のしやすさは良好に維持できたが当然のことながら染色効果が劣り、これにアルカリ剤を添加すると(試験例4)カルボキシメチルセルロースの安定性に問題が生じることに起因して、混合のしやすさや髪の感触の評価の低下、さらに粘度の低下による液垂れも問題が生じ毛髪への塗布性も劣るものとなった。
さらに、ヒドロキシメチルセルロースに代わりキサンタンガムを配合した試験例5では、キサンタンガムがカチオン性界面活性剤と結合することに起因して混合性の改善がヒドロキシメチルセルロースほどには認められなかった。
【0060】
以上の結果から、ある特定のセルロース系高分子誘導体を染毛・脱色剤組成物に添加することにより、第1剤と第2剤の混合のしやすさが著しく改善されることを見出した本発明者らは、さらに染毛・脱色剤組成物の性能を向上させるために配合する成分の検討を行った。結果を下記表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
上記表2から明らかなように、前記表1で検討したヒドロキシエチルセルロースを配合した染毛・脱色剤組成物に、さらに糖アルコールを添加した各試験例6、試験例7において、毛髪乾燥後の髪の感触が著しく向上し、使用性に優れた染毛・脱色剤組成物となった。またポリエチレングリールを配合する場合、分子量が50万以上であると髪の感触がさらに向上し、好適であることが認められた。
また、上記糖アルコールの添加により、第1剤と第2剤の混合時の粘度が適度なものとなり、毛髪への塗布性の向上も同時に認められた。
【0063】
以上の結果から、本発明の主なる目的である混合性の改善に加え、髪の感触を向上するために糖アルコールや平均分子量50万以上のポリエチレングリコールを染毛・脱色剤組成物に配合することを見出した本発明者らは、次にセルロース系高分子誘導体、および髪の感触の改善に寄与する糖アルコールおよび平均分子量50万以上のポリエチレングリコールの好適な配合量の検討を行った。結果を下記表3に示す。
【0064】
【表3】

【0065】
上記表3より明らかなように、セルロース系高分子誘導体であるヒドロキシエチルセルロースの配合量が第1剤中に0.01質量%であると(試験例11)、配合による明確な効果が得られず、毛髪処理剤の使用時の混合のしやすさの改善が十分ではなかった。0.05質量%程度配合すると(試験例12)配合効果が現れ、5質量%程度までは(試験例13および14)混合性に優れた毛髪処理剤が得られた。しかしそれを超えると(試験例15)第1剤の粘度が上昇してしまい第1剤と第2剤の混合性が劣り、また毛髪への塗り広げやすさも悪いものとなった。
また、糖アルコールの配合量に関し、20質量%であると髪の感触が良好な毛髪処理剤を与え(試験例16)、30質量%程度までは良好さを保ったものであるが(試験例17)、それを超えると(試験例18)染色後の洗い流しの後、毛髪乾燥時の毛髪のべたつき感に問題が生じる結果となった。
また、平均分子量50万以上のポリエチレングリコールの配合量に関し、試験例19のように7質量%を添加しても0.1質量%の配合時に比してそれほどの効果の向上は認められず、他の配合成分とのバランスをも考慮すると0.01〜5質量%であることが好ましいと判断された。
以上の検討結果から、本発明にかかる染毛・脱色剤組成物の第1剤に含まれるセルロース系高分子および/または誘導体の好適な配合量は0.05〜5質量%であり、また共に含有される糖アルコールの好適な配合量は0.01〜30質量%、平均分子量が50万以上のポリエチレングリコールの好適な配合量は0.01〜5質量%であることが明らかである。
【0066】
次に本発明者らは、混合性の目安となる第1剤と第2剤の好適な粘度について検討を行った。結果を下記表4に示す。
【表4】

【0067】
上記表4の結果から明らかなように、高級アルコールの配合量を変えて粘度を変更し、第1剤の粘度が8000mPa・sより低い場合(試験例20)、混合性はよいものの、第1剤の粘度が8200mPa・sである試験例21に比して混合時の粘度が低すぎるため垂れ落ちが生じ塗布性が劣るものとなる。また、試験例22および23のように1剤の粘度が30000mPa・sを超えると、固めのクリーム状となり、第2剤との混合性が非常に劣るものとなった。さらに、試験例24ないし27の結果から、第2剤の粘度が4000mPa・sを超えた場合にも、混合性が劣るものとあることは明らかであり、特に試験例27においては固めのクリーム状であるため塗り広げにくく塗布性も劣るものであった。
以上の結果および前記表3の試験例14および表4に示される粘度の値を考慮すると、本発明にかかる染毛・脱色剤組成物において、第1剤の粘度は8000〜30000mPa・s、第2剤の粘度は4000mPa・s以下であることが好適であることが明らかとなった。またこのような第1剤と第2剤各剤の適度な粘度によってもたらされる混合直後の粘度が5000〜20000mPa・sであると、塗布性が良好なものとなることが分かった。
【0068】
実施例1:酸化染毛剤
以下に示す第1剤および第2剤を常法により調製し、第2剤80重量部を充填したアプリケーター内に、第1剤40重量部を投入し、軽く振とうした。得られた酸化染毛剤は混合しやすく、塗布性も良好であり染色効果に優れ、施術後の髪の感触も良好であった。
【0069】
<第1剤:クリーム状>
ステアリルアルコール 3.0%
セチルアルコール 2.0%
ベヘニルアルコール 2.0%
POE(25)セチルエーテル 1.5%
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 2.0%
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 0.5%
ヒドロキシプロピルセルロース 0.5%
ソルビトール 10.0%
高重合ポリエチレングリコール 1.0%
(平均分子量400万)
パラフェニレンジアミン 0.2%
塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール 0.2%
パラニトロオルトフェニレンジアミン 0.05%
アスコルビン酸 0.2%
チオグリコール酸 0.1%
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1%
28%アンモニア水 1.5%
モノエタノールアミン 4.5%
L−アルギニン 0.5%
カチオン化加水分解コムギタンパク 0.5%
カラスムギ抽出液 0.2%
大豆レシチン 0.1%
香料 0.2%
精製水 残部
<第2剤:透明液状>
35%過酸化水素水 17.0%
アミノ変性シリコーン 0.1%
(SM8702CTM:東レ・ダウコーニング社製)
リン酸 0.2%
リン酸水素2ナトリウム 0.2%
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1%
ジエチレントリアミン5酢酸液(40%) 0.1%
フェノキシエタノール 0.1%
プロピレングリコール 1.0%
精製水 残部
【0070】
実施例2:脱色剤
以下に示す第1剤および第2剤、第3剤を常法により調製し、第2剤60重量部を充填したアプリケーター内に、第3剤10重量部を投入し軽く振とう後、第1剤30重量部を投入して振とうした。得られた脱色剤は混合しやすく、塗布性も良好であり施術後の髪の感触も良好であった。
【0071】
<第1剤:クリーム状>
ステアリルアルコール 5.0%
ベヘニルアルコール 2.0%
POE(25)ステアリルエーテル 1.5%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.5%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 1.0%
マルチトール 3.0%
エリスリトール 3.0%
ポリエチレングリコール400 5.0%
高重合ポリエチレングリコール 1.0%
(平均分子量 250万)
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1%
エデト酸2ナトリウム 0.2%
28%アンモニア水 7.5%
モノイソプロパノールアミン 0.5%
加水分解シルク液 0.5%
マーコート280(CALGON社製) 1.5%
香料 0.1%
精製水 残部
<第2剤:乳液状>
35%過酸化水素水 17.0%
セタノール 2.5%
POE(20)セチルエーテル 1.0%
グリセリルステアレート 1.0%
リン酸水素2ナトリウム 0.2%
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1%
フェノキシエタノール 0.1%
ジプロピレングリコール 1.0%
香料 0.1%
精製水 残部
<第3剤;粉末状>
過硫酸アンモニウム 60.0%
過硫酸カリウム 20.0%
シリカ 8.0%
ケイ酸ナトリウム 7.0%
アルミニウムステアレート #300 4.0%
食塩 1.0%


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤と(a)陽イオン性界面活性剤と(b)高級アルコールとを含みpH8.0〜13.0である第1剤、および
酸化剤を含みpH2.0〜5.0である第2剤を含む染毛・脱色剤組成物において、
前記第1剤中に
(c)ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれるセルロース系高分子および/またはその誘導体を含有することを特徴とする染毛・脱色剤組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の染毛・脱色剤組成物において、第1剤中にさらに(d)糖アルコールを含有することを特徴とする染毛・脱色剤組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の染毛・脱色剤組成物において、第1剤中に(e)平均分子量50万以上であるポリエチレングリコールを含有することを特徴とする染毛・脱色剤組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の染毛・脱色剤組成物において、第1剤中に成分(c)ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれるセルロース系高分子および/またはその誘導体の配合量が0.05〜5質量%であることを特徴とする染毛・脱色剤組成物。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載の染毛・脱色剤組成物において、第1剤中に成分(d)糖アルコールの配合量が0.1〜30質量%であることを特徴とする染毛・脱色剤組成物。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれかに記載の染毛・脱色剤組成物において、第1剤中に成分(e)平均分子量50万以上であるポリエチレングリコールの配合量が0.01〜5質量%であることを特徴とする染毛・脱色剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の染毛・脱色剤組成物において、B型粘度計で測定した粘度が第1剤は8000〜30000mPa・s、第2剤は4000mPa・s以下であることを特徴とする染毛・脱色剤組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の染毛・脱色剤組成物において、第1剤と第2剤を2:1〜1:5の重量比で混合することを特徴とする染毛・脱色剤組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の染毛・脱色剤組成物において、液状の第2剤があらかじめ充填されたアプリケーター内に、クリーム状の第1剤を使用直前に投入し、振り混ぜて両者を混合して毛髪に適用することを特徴とする染毛・脱色剤組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の染毛・脱色剤組成物において、第1剤と第2剤を混合し、振とう直後の粘度がB型粘度計において5000〜20000mPa・sであることを特徴とする染毛・脱色剤組成物。


【公開番号】特開2007−126415(P2007−126415A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−322066(P2005−322066)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】