説明

柱状粒子

【課題】金属を主成分として含む新規な構造を有する柱状粒子を提供すること。
【解決手段】柱状形状体長軸方向の長さが10nm以上10μm以下の範囲内であり、前記柱状形状体長軸方向に沿って交互に配置された金属材料から構成された金属体と中間体とを有し、且つ、前記金属体を少なくとも2つ以上有する柱状形状体からなり、前記金属体および前記中間体の溶液に対する溶解性、および、加熱処理による溶融・熱分解性から選択される少なくともいずれか1種の特性が、前記金属体よりも前記中間体の方が大きいことを特徴とする柱状粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱状粒子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サイズが数nm〜数十nm程度の金属粒子は波長選択的(プラズモン周波数)に光を反射する特性があり、その光特性を利用した色材として利用され始めている。その波長(色)を変化させる手法としては、金属粒子を構成する金属の種類/合金の組成を変えることや(非特許文献1参照)、金属粒子の形状として球状以外に棒状、平板状を選択すること等が知られている(非特許文献2、3参照)。
【0003】
一方、組成の異なる棒状の金属が、長軸方向に複数個結合した柱状金属粒子を、メタリックバーコードとして利用する技術が提案されている(非特許文献4参照)。この柱状金属粒子は、テンプレートに形成された細孔中に、複数種の金属イオンを順次電界析出させることにより作製される。
【非特許文献1】J.Phys.Chem.B,1999,103,3529−3533
【非特許文献2】Chem.Cmmun., 2376(2003)
【非特許文献3】2003 The American Physical Society 057401−1
【非特許文献4】Science, VOL294, 5 October 2001,137−141
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、金属を主成分として含む新規な構造を有する柱状粒子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
請求項1に係わる発明は、
柱状形状体長軸方向の長さが10nm以上100μm以下の範囲内であり、前記柱状形状体長軸方向に沿って交互に配置された金属材料から構成された金属体と中間体とを有し、且つ、前記金属体を少なくとも2つ以上有する柱状形状体からなり、
前記金属体および前記中間体の溶液に対する溶解性、および、加熱処理による溶融・熱分解性から選択される少なくともいずれか1種の特性が、前記金属体よりも前記中間体の方が大きいことを特徴とする柱状粒子である。
【0006】
請求項2に係わる発明は、
前記2以上の金属体から選択される少なくともいずれか1つの金属体が、1種類の金属元素からなる金属材料と、2種類以上の金属元素を含む合金からなる金属材料、並びに、1種類の金属元素および2種類以上の金属元素を含む合金からなる群より選択されるいずれかの金属材料から構成される金属部分を2つ以上接合した金属材料と、から選択されるいずれか1種の金属材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子である。
【0007】
請求項3に係わる発明は、
前記2以上の金属体から選択される少なくともいずれか2つの金属体を構成する金属材料が互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子である。
【0008】
請求項4に係わる発明は、
前記2以上の金属体のうちの、少なくともいずれか2つの金属体の、前記柱状形状体長軸方向における長さが互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子である。
【0009】
請求項5に係わる発明は、
前記金属体を3つ以上含み、互いに隣り合う2つの金属体間に配置された全ての中間体が、同一種類の材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子である。
【0010】
請求項6に係わる発明は、
前記中間体が、金属材料、および、導電性有機化合物から選択されるいずれか1種の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子である。
【0011】
請求項7に係わる発明は、
前記中間体が金属材料からなり、
前記金属体に含まれる金属元素のイオン化傾向が、前記中間体に含まれる金属元素のイオン化傾向よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子である。
【0012】
請求項8に係わる発明は、
前記中間体が金属材料からなり、
前記金属体を構成する金属材料と、前記中間体を構成する金属材料との組み合わせが、下記(1)〜下記(3)からなる群より選択されるいずれか1種の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子である。
(1)金属体を構成する金属材料が、PtおよびAuから選択される少なくとも1種の金属元素を含み、中間体を構成する金属材料が、Al、Zn、Fe、Ni、Sn、Pb、CuおよびAgから選択される少なくとも1種の金属を含む場合。
(2)金属体を構成する金属材料が、Cu、Ag、Pt、Auから選択される少なくとも1種の金属元素を含み、中間体を構成する金属が、Al、Zn、Fe、Ni、Sn、Pbから選択される少なくとも1種の金属元素を含む場合。
(3)金属体を構成する金属材料が、Cu、Ag、Pt、Auから選択される少なくとも1種の金属元素を含み、中間体を構成する金属が、Pb、Sn、Zn、Alから選択される少なくとも1種の金属元素を含む場合。
【0013】
請求項9に係わる発明は、
前記2以上の金属体全てにおいて、前記柱状形状体短軸方向の最大径が10nm以上500nm以下の範囲であり、前記柱状形状体長軸方向の長さが10nm以上500nm以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子である。
【発明の効果】
【0014】
以上に説明したように請求項1に記載の発明によれば、金属を主成分として含む新規な構造を有する柱状粒子を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、より多様・複雑な構造を有する柱状粒子を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、より多様・複雑な構造を有する柱状粒子を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、より多様・複雑な構造を有する柱状粒子を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、柱状粒子中に含まれる全ての金属体を、1回の溶液処理(又は1水準の温度での加熱処理)で個々別々に分離することができる柱状粒子を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、より多様・複雑な構造を有する柱状粒子を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、中間体のみを選択的に溶解可能な溶液の選定が容易な柱状粒子を提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、中間体のみを選択的に溶解可能な溶液の選定が容易な柱状粒子を提供することができる。
請求項9に記載の発明によれば、金属体を色材として利用することが可能な柱状粒子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の柱状粒子は、柱状形状体長軸方向(以下、「長軸方向」と略す場合がある)の長さが10nm以上100μm以下の範囲内であり、前記柱状形状体長軸方向に沿って交互に配置された金属材料から構成された金属体と中間体とを有し、且つ、前記金属体を少なくとも2つ以上有する柱状形状体からなり、前記金属体および前記中間体の溶液に対する溶解性、および、加熱処理による溶融・熱分解性から選択される少なくともいずれか1種の特性(以下、「消失特性」と略す場合がある)が、前記金属体よりも前記中間体の方が大きいことを特徴とする柱状粒子である。
【0016】
このため、本発明によれば、金属を主成分として含む新規な構造を有する柱状粒子を提供することができる。
なお、参考までに述べれば、金属体および中間体は、光照射による光分解性や、微生物による生分解性が金属体よりも中間体の方が大きいものであってもよい。
【0017】
本発明の柱状粒子には、金属体が少なくとも2つ含まれていればよいが、3つ以上含まれていることが好ましい。柱状粒子中に3つ以上の金属体が含まれる場合、より多様・複雑な構造を有する柱状粒子とすることができる。これに対して柱状粒子中に含まれる金属体の数の上限は特に限定されるものではない。
なお、柱状粒子に含まれる2以上の金属体から選択される少なくともいずれか1つの金属体は、1種類の金属元素からなる金属材料(単体金属材料)と、2種類以上の金属元素を含む合金からなる金属材料(合金金属材料)と、1種類の金属元素および2種類以上の金属元素を含む合金からなる群より選択されるいずれかの金属材料から構成される金属部分を2つ以上接合した金属材料(複合金属材料)と、から選択されるいずれか1種の金属材料から構成されることが好ましい。この場合、より多様・複雑な構造を有する柱状粒子を得ることが容易である。
【0018】
さらに、より多様・複雑な構造を有する柱状粒子とすることができる観点からは、柱状粒子に含まれる2以上の金属体のうちの、少なくともいずれか2つの金属体の長軸方向における長さが互いに異なることが好ましい。
同様に、柱状粒子に含まれる2以上の金属体のうちの、少なくともいずれか2つの金属体を構成する金属材料が互いに異なることが好ましい。
なお、「金属材料が互いに異なる」とは、単体金属材料、合金金属材料および複合金属材料という3つのカテゴリーの違いを意味するのみならず、2つの金属体が同種のカテゴリーである場合には組成の違いも意味する。例えば、2つの金属体が、単体金属材料からなる場合には、金属体を構成する金属元素の違いを意味し、2つの金属体が、合金金属材料からなる場合には、金属体を構成する合金組成の違いを意味する。
また、2つの金属体が、複合金属材料からなる場合には、金属体を構成する金属部分の数の違いを意味する。これに加えて、2つの金属体が、複合金属材料からなり且つ金属体を構成する金属部分の数が同一である場合には、金属体を構成する各々の金属部分の長軸方向における長さの比率の違い、及び/又は、金属体を構成する各々の金属部分を構成する金属元素の種類/合金種類の違いを意味する。
【0019】
一方、中間体は、長軸方向において、金属体と交互に配置される。ここで、柱状粒子に含まれる金属体が2つの場合、長軸方向における柱状粒子中の金属体と中間体との配置としては、「金属体/中間体/金属体」、「中間体/金属体/中間体/金属体」、「金属体/中間体/金属体/中間体」、および、「中間体/金属体/中間体/金属体/中間体」の4つの態様が挙げられ、これら4つの態様における中間体の数は1以上3以下である。
なお、この例からも明らかなように、柱状粒子中に含まれる金属体の数をn(但し、nは2以上の整数)とした場合、柱状粒子中に含まれる中間体の数は、n−1、n、および、n+1のいずれかから選択されることになる。
また、上記に例示したように、本発明の柱状粒子においては、柱状粒子の両端が金属体から構成される場合、柱状粒子のいずれか一方の端が金属体から構成され且つ他方の端が中間体から構成される場合、および、柱状粒子の両端が中間体から構成される場合のいずれの態様であってもよく、柱状粒子の使用目的・用途に応じていずれかの態様を選択することができる。
【0020】
また、柱状粒子中に金属体が3つ以上含まれる場合には、柱状粒子中には少なくとも2つ以上の中間体が含まれることとなる。この場合、互いに隣り合う2つの金属体間に配置された全ての中間体が、同一種類の材料から構成されることが特に好ましい。
この場合、互いに隣り合う2つの金属体同士を接合している全ての中間体の消失特性が同一であるため、柱状粒子中に含まれる全ての金属体を、1回の溶液処理(又は1水準の温度での加熱処理)で個々別々に分離することができる。
【0021】
このため、柱状粒子中において中間体により互いに連結された状態の金属体を、個々独立した金属体として取り出す際に、溶液を用いる場合は複数種の溶液を用いる必要がなく、柱状粒子中から個々独立した金属体を生産する場合の生産性を向上させることができる。
例えば、金属体を色材として利用する場合、最初から個々独立した金属体(金属粒子)を作製するよりも、一旦、柱状粒子を作製した上で中間体を除去した方が、色材(金属体)の生産性をより向上させることができる。
加えて、柱状粒子中に含まれる2以上の金属体のうちの、少なくともいずれか2つの金属体の長軸方向における長さが互いに異なるものである場合や、あるいは、柱状粒子中に含まれる2以上の金属体のうちの、少なくともいずれか2つの金属体の組成が互いに異なるものである場合には、柱状粒子中に発色波長の異なる2種類以上の色材(金属体)が含まれることになる。
このため、最初に、発色させたい波長に対応するように組成やサイズを選択して、個々独立した金属体(金属粒子)を作製した後に、これら複数種の金属体(金属粒子)を混合して、所望の色に発色する色材を作製する場合と比べると、色材の製造工程をより簡略化することができる。
【0022】
一方、柱状粒子中において中間体により互いに連結された状態の金属体を、個々独立した金属体として取り出す際に、加熱処理を行う場合には、昇温させる過程で、柱状粒子中が部分的にばらけてしまうことがなく、中間体が溶融又は熱分解する温度に到達した時点で、柱状粒子全体を個々の金属体へと一挙に分解させることができる。
【0023】
また、柱状粒子から中間体を除去して柱状粒子中に含まれる全ての金属体を、個々独立した金属体として取り出す場合、柱状粒子の両端部は、金属体から構成されることが特に好ましい。柱状粒子の少なくともいずれか一方の端部が中間体から構成される場合は、柱状粒子を溶液処理又は加熱処理した際に金属体単体からなる部材の他に、金属体の一方の端に中間体が接合したままの状態の部材が存在することになる。
【0024】
中間体を構成する材料としては、柱状粒子中に含まれる全ての金属体よりも消失特性の大きいものであれば特に限定されないが、具体的には、金属材料、および、導電性有機化合物から選択されるいずれか1種の材料からなることが好ましい。この場合、より多様・複雑な構造を有する柱状粒子を得ることができる。
なお、柱状粒子中に金属体が3つ以上含まれ、且つ、中間体を構成する材料が金属材料である場合には、互いに隣り合う2つの金属体間に配置された全ての中間体が、同じ金属材料から構成されることが特に好ましい。
柱状粒子全体が金属元素から構成され、且つ、金属体が3つ以上含まれる場合には、柱状粒子の構造がより複雑になる。このため、互いに隣り合う2つの金属体間に配置された全ての中間体が同じ金属材料から構成されない場合において、中間体を除去して個々別々に分離した金属体を得ようとする場合には、中間体のみを選択的に溶解させる溶液の選定や、中間体のみを選択的に溶融させる温度条件の選定が困難となる場合がある。
【0025】
ここで中間体が金属からなる場合において、金属体を構成する金属と中間体を構成する金属との組み合わせとしては、金属体および中間体の溶液に対する溶解性が金属体よりも中間体の方が大きくなる組み合わせであれば特に限定されない。しかし、好適な組み合わせとしては、金属体に含まれる金属元素のイオン化傾向が、中間体に含まれる金属元素のイオン化傾向よりも小さくなる組み合わせが挙げられる。
一般的に、金属元素のイオン化傾向が大きくなる程、この金属元素を溶解させることができる溶液の種類が多く、当該溶液の調整や入手、保管なども容易となる傾向があることから、上記の場合、中間体のみを選択的に溶解可能な溶液の選定が容易である。
但し、本発明において、金属体や中間体を構成する金属材料としては、Hgのように室温(22度)で液体状である金属材料は除かれる。
【0026】
なお、主要な金属元素のイオン化傾向は下式(1)に示される関係にあり、イオン化傾向が最も小さい部類のAu、Ptは王水のみに溶解し、これら2つの金属元素に次いでイオン化傾向の小さいCu、Agは硝酸や熱濃硫酸のみに溶解し、Al〜Pbは希塩酸や希硫酸などに溶解(但し、Pbは、希塩酸や希硫酸には溶解しないが、硝酸には溶解する)することが知られている。
・式(1) Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>Cu>Ag>Pt>Au
【0027】
上記に示したイオン化傾向を考慮すれば、金属体を構成する金属材料と中間体を構成する金属材料との組み合わせとしては、例えば、下記(1)〜(3)に示す組み合わせを例示することができる。
(1)金属体を構成する金属材料が、PtおよびAuから選択される少なくとも1種の金属元素を含み、中間体を構成する金属材料が、Al、Zn、Fe、Ni、Sn、Pb、CuおよびAgから選択される少なくとも1種の金属を含む場合。
(2)金属体を構成する金属材料が、Cu、Ag、Pt、Auから選択される少なくとも1種の金属元素を含み、中間体を構成する金属が、Al、Zn、Fe、Ni、Sn、Pbから選択される少なくとも1種の金属元素を含む場合。
(3)金属体を構成する金属材料が、Cu、Ag、Pt、Auから選択される少なくとも1種の金属元素を含み、中間体を構成する金属が、Pb、Sn、Zn、Alから選択される少なくとも1種の金属元素を含む場合。
【0028】
上記(1)に示す組み合わせの場合、例えば、硝酸、熱濃硫酸、希塩酸、希硫酸などを用いることにより、中間体のみを選択的に溶解させることができ、上記(2)に示す組み合わせの場合、希塩酸、希硫酸など(但し、中間体がPbを主成分として含む場合は硝酸)を用いることにより、中間体のみを選択的に溶解させることができる。
一方、上記(3)に示す組み合わせは、上記(2)に示す組み合わせにおける中間体の種類を、酸にも塩基にも溶解可能な両性元素であるPb、Sn、Zn、Alに絞り込んだものである。このため、上記(3)に示す組み合わせにおいては、例えば、希塩酸、希硫酸などの酸性溶液(但し、中間体がPbを主成分として含む場合は硝酸)の他に、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ溶液を用いても中間体のみを選択的に溶解させることができる。
【0029】
以上に、溶液の溶解性の違いに着目した場合における金属体を構成する金属材料と中間体を構成する金属材料との組み合わせについて例示したが、この他にも、金属材料の融点(但し、金属体や中間体が合金からなる場合は合金の融点)の違いに着目した組み合わせも挙げられる。
この場合、金属体を構成する金属材料の融点(金属体融点)が、中間体を構成する金属材料の融点(中間体融点)よりも高ければよいが、実用上、金属体融点と中間体融点との差が少なくとも300度以上であることが好ましく、500度以上であることがより好ましい。金属体融点と中間体融点との差が300度未満では、中間体のみを選択的に溶解させるために加熱した場合に、金属体に何らの熱的変性が発生したり熱変形が生じてしまう場合がある。一方、金属体融点と中間体融点との差の上限値としては特に限定されないが、実用上は1000度以下であることが好ましい。
なお、柱状粒子に含まれる金属体のうち、少なくともいずれか2つ以上の金属体を構成する金属材料の組成が互いに異なる場合には、より融点の低い方を基準として、上記に示す関係を満たせばよい。
【0030】
融点の違いに着目した場合における金属体を構成する金属材料と中間体を構成する金属材料との組み合わせの例としては、上述した関係を満たすものであれば特に限定されないが、加熱処理の容易さという観点からは、中間体融点はPb、Snなどの低融点金属やこれらの金属を主成分として含む低融点の合金などが示す融点域である100度以上400度以下の範囲内であることが好ましい。
例えば、柱状粒子を構成する中間体が、1種類の金属のみから構成される場合、一例としては以下に示す組み合わせを挙げることができる。
【0031】
(4)金属体を構成する金属材料が、融点が1000度以上の金属材料からなり、中間体を構成する金属材料が、Pb(融点:327.4度)である場合。
(5)金属体を構成する金属材料が、融点が800度以上の金属材料からなり、中間体を構成する金属材料が、Sn(融点:231.9度)である場合。
【0032】
なお、上記(4)および(5)に示す例において、柱状粒子を構成する各々の金属体が、1種類の金属元素のみから構成される場合、各々の金属体を構成する金属元素としては、例えば、Pt(融点:1776度)、Au(融点:1063度)、Ag(融点:960.5度(真空中))、Cu(融点:1084.4度)などを例示することができる。
【0033】
また、中間体が導電性有機化合物からなる場合において、金属体を構成する金属材料と中間体を構成する導電性有機化合物との組み合わせとしては、金属体および中間体の溶液に対する溶解性が金属体よりも中間体の方が大きくなる組み合わせであれば特に限定されないが、重クロム混酸のような酸化性の高い酸溶液に浸漬放置することで導電性有機化合物は分解し、選択的に溶解させることができる。
【0034】
なお、中間体が一般的な耐熱性を有する有機化合物(熱分解温度又は融点が200℃以下の有機化合物)である場合は、金属体を構成する金属材料の種類に関係なく、金属体を構成する金属の融点と、中間体を構成する有機化合物の熱分解温度又は融点との差を利用して、柱状粒子から中間体のみを選択的に除去することができる。導電性有機化合物は、一般的に空気中で300℃程度に加熱すると燃焼分解することが多い。
【0035】
次に、柱状粒子の形状やサイズについてより詳細に説明する。
柱状粒子は長軸方向の長さが10nm以上100μm以下の範囲内であることが必要であり、50nm以上10μm以下であることがより好ましい。長軸方向の長さが上記範囲を外れる場合は柱状粒子の作製が困難となったり、収率が著しく低下するためである。
また、柱状形状体短軸方向(以下、「短軸方向」と略す場合がある)の最大径は、長軸方向の長さに対する比率が1未満であれば特に限定されるものではないが、10nm以上1μm以下であることが好ましい。短軸方向の最大径が10nm未満の場合は、柱状粒子の強度が不十分となり、外部から応力が加わった場合に柱状粒子が折れて破壊されてしまう場合がある。また、短軸方向の最大径が1μmを超える場合には、柱状粒子の作製が困難となったり、収率が著しく低下する場合がある。
【0036】
なお、柱状粒子に含まれる金属体を色材として利用する場合には、短軸方向の最大径は10nm以上500nm以下の範囲内であることが好ましく、10nm以上300nm以下の範囲内であることが好ましい。上記範囲を外れる場合は、金属体のプラズモン吸収に起因する発色が困難となり、金属体を色材として利用することができなくなる場合がある。
また、柱状粒子中の色材として利用可能な金属体の割合をできるだけ大きくする観点からは、柱状粒子に含まれる全ての金属体が上記サイズを有していることが好ましい。
【0037】
また、柱状粒子の断面形状としては特に限定されず、例えば、円形、楕円形の他に、三角形、四角形(例えば、長方形や正方形、菱形など)、五角形、六角形等の多角形、星型などが挙げられるが、通常は、円形であることが好適である。
【0038】
柱状粒子中に含まれる個々の金属体の長さとしては、少なくとも柱状粒子の長さを超えない範囲であれば特に限定されず、柱状粒子の使用用途に応じて選択することができるが、通常は、10nm以上5μm以下の範囲内であることが好ましい。
なお、金属体を色材として利用する場合には、10nm以上500nm以下の範囲内であることが好ましく、10nm以上300nm以下の範囲内であることがより好ましい。上記範囲を外れる場合には、金属体のプラズモン吸収に起因する発色が困難となり、金属体を色材として利用することができなくなる場合がある。
また、柱状粒子中の色材として利用可能な金属体の割合をできるだけ大きくする観点からは、柱状粒子に含まれる全ての金属体が上記サイズを有していることが好ましい。
【0039】
柱状粒子中に含まれる個々の金属体のアスペクト比(短軸方向長さに対する長軸方向長さの比)としても特に限定されず、柱状粒子の使用用途に応じて選択することができるが、通常は、1以上20以下の範囲内であることが好ましい。また、金属体を色材として利用する場合には、1以上20以下の範囲内であることがより好ましく、1以上10以下の範囲内であることが更に好ましい。
なお、金属体を色材として利用する場合、金属体の光学特性は、金属体のアスペクト比等を制御することにより設計できる(例えば、J. Phys. Chem. B 1999, 103, 8410−8426参照。特に、当該文献中の式(5)〜(8)を参照)。
【0040】
また、柱状粒子中の中間体を除去して柱状の金属粒子(柱状金属粒子)を得たい場合には、アスペクト比は1以上範囲で柱状金属粒子の使用目的に応じて選択できるが、通常は1以上20以下の範囲内であることが好ましく、1以上10以下の範囲内であることがより好ましい。
一方、柱状粒子中の中間体を除去してディスク状の金属粒子(ディスク状金属粒子)を得たい場合には、アスペクト比は1未満の範囲でディスク状金属粒子の使用目的に応じて選択できる。
【0041】
一方、柱状粒子中に含まれる個々の中間体の長さとしては、少なくとも柱状粒子の長さを超えない範囲であれば特に限定されず、柱状粒子の使用用途に応じて選択することができるが、通常は、20nm以上50nm以下の範囲内であることが好ましい。また、同様の観点から、中間体のアスペクト比(短軸方向長さに対する長軸方向長さの比)も特に限定されるものではない。
【0042】
柱状粒子を作製後に中間体を除去して金属体のみを選択的に取り出して利用する場合には、中間体の長さは、10nm以上100nm以下の範囲内であることが好ましく、20nm以上50nm以下の範囲内であることがより好ましい。中間体の長さが100nmを超える場合には、本来必要の無い成分である中間体の形成に時間・材料などの製造工数が必要以上に要求され、柱状粒子の製造コストの増大を招いてしまう場合がある。これに対して中間体の長さが10nm未満では、柱状粒子の長軸方向において互いに隣り合う位置にある金属体同士が部分的に癒着してしまい、中間体を除去しても、これら2つの金属体を分離できなくなる場合がある。
【0043】
−柱状粒子の具体例−
次に、本発明の柱状粒子の具体例について図面を用いてより詳細に説明する。
図1は、本発明の柱状粒子の一例を示す模式図であり、ここで、図1(A)は柱状粒子の長軸方向における構造の一例を示す側面図であり、図1(B)は、柱状粒子を構成する1つの金属体の構造の一例を示した拡大図である。また、図中、10は柱状粒子、20A〜20F、22は金属体、22A、22Bは(1種類の金属元素又は合金からなる)金属部分、30A〜30Fは中間体を表す。
【0044】
図1に示す柱状粒子10は、長軸方向に、n個の金属体とn−1個の中間体とが交互に配置されており、具体的には、一方の端から他方の端へと順に、金属体20A、中間体30A、金属体20B、中間体30B、金属体20C・・・・・・金属体20D、中間体30C、金属体20E、中間体30D、金属体20Fが配置されている。
柱状粒子の形状・サイズとしては特に限定されないが、例えば、色材として用いる場合には、断面形状が直径50nm前後の円形状で、長軸方向の長さを数百nm程度とすることができる。
この場合、金属体20A〜20F、中間体30A〜30Dの材料については、既述したように適宜選択できるが、例えば、AgやAu又はこれらの合金からなる長さが100nm前後の金属体と、Alからなる長さが20nm程度の中間体とを用いることができる。この際、個々の金属体20A〜20F毎に、金属体の組成や長さを異なるものとしてもよいし、金属体の組成のみを変えて長さは同じとしてもよいし、金属体の組成は全て同一として長さのみを変えてもよいし、金属体の組成および長さの双方を同一としてもよい。
【0045】
また、柱状粒子10を構成する金属体は複合金属材料からなるものであってもよい。図1(B)は、柱状粒子を構成する金属体が複合金属からなる場合の一例を示したものであり、2つの中間体30E、30Fに挟まれた金属体22について示したものである。この金属体22は、2つの金属部分22Aと金属部分22Bとを接合した構造を有し、中間体30E側に金属部分22Aが、中間体30F側に金属部分22Bが配置されている。
金属部分22Aの長さと金属部分22Bの長さとの比は特に限定されず、任意に設定でき、例えば1:1や、9:1とすることができる。また、金属部分22Aの組成と金属部分22Bの組成とは、互いに異なるものであれば特に限定されず、例えば、金属部分22AをAu、金属部分22BをAgとしたり、金属部分22AをAuとAgとの合金、金属部分22BをAgとしたりすることができる。
なお、図1(B)に示した金属体は、金属部分を2つ含むものであるが、3つ以上の金属が含まれていてもよい。
【0046】
−柱状粒子の用途−
以上に説明した本発明の柱状粒子は、これをそのまま種々の用途に用いることができる。また、金属体と中間体との消失特性の差を利用して柱状粒子から中間体のみを選択的に除去して得られた金属体を既述した色材以外にもその他種々の用途に用いることもできる。
例えば、柱状粒子や、金属体は、マイクロマシンなどの微小な機械・構造物を構成する構造材(回転体の軸部材や、支柱など)等として利用することができる。また、アスペクト比が1を超える金属体であれば、ナノメーターオーダーからマイクロメーターオーダーのサイズを有する微小な電子回路・装置の配線として利用することも好適である。
【0047】
また、柱状粒子の中間体を除去して得られた金属体を色材として用いる場合、複数種類の単色性色材を混合した混合色材を容易に得ることができる。
図2は、柱状粒子を構成する個々の金属体の組成又はアスペクト比が互いに異なる場合において、柱状粒子から中間体を除去して得られた複数種の金属体の混合物(単色性色材を混合した混合色材)の吸収スペクトルの一例を示すグラフであり、具体的には、1つの柱状粒子中に組成又は長さの異なる3種類の金属体がそれぞれ1つづつ含まれる場合について示したものである。また、図中に示される3つのピークP1〜P3の最大吸収波長は、3種類の金属体の各々に起因する最大吸収波長を意味し、ピークP1<ピークP2<ピークP3なる関係を有する。
【0048】
ここで、柱状粒子中に含まれる3種類の金属体の組成が1つの組成からなり、それぞれのアスペクト比がそれぞれP1、P2、P3(但し、P1<P2<P3)からなる場合には、図2に示すようにアスペクト比の増加に応じて金属体の最大吸収波長が短波長側から長波長側へとシフトすることになる。それゆえ、柱状粒子から中間体を除去することにより3種類の単色性色材からなる混合色材が得られることになる。
【0049】
また、柱状粒子中に含まれる3種類の金属体(但し、アスペクト比はいずれも同じ)が2種類の金属(例えば、AuおよびAg)を含み、金属体中に含まれる2種類の金属のモル組成比(例えば、Au/(Au+Ag))が、それぞれP1、P2、P3(但し、P1<P2<P3)からなる場合には、図2に示すようにモル組成比の変化に応じて金属体の最大吸収波長がシフトすることになる(Au−Ag系であれば、非特許文献1の図1に例示されるように、モル組成比Au/(Au+Ag)の増大に伴い、最大吸収波長が短波長側から長波長側へとシフトすることになる)。それゆえ、柱状粒子から中間体を除去することにより3種類の単色性色材からなる混合色材が得られることになる。
【0050】
また、柱状粒子含まれる3種類の金属体の最大吸収波長が図2に例示した関係を有し、且つ、柱状粒子中に含まれる各々の種類の金属体の含有比率を異なるものとしてもよい。これにより、単純に3種類の金属体が1つづつ含まれる柱状粒子から混合色材を作製する場合と比べて、より多様な色調を有する混合色材を得ることができる。
【0051】
図3は、柱状粒子を構成する個々の金属体の組成又はアスペクト比が互いに異なる場合において、柱状粒子から中間体を除去して得られた複数種の金属体の混合物(単色性色材を混合した混合色材)の吸収スペクトルの他の例を示すグラフであり、具体的には、1つの柱状粒子中に組成又は長さの異なる3種類の金属体が異なる割合で含まれる場合について示したものである。また、図中に示される3つのピークP1〜P3の最大吸収波長は、図2に示す場合と同様に、3種類の金属体の各々に起因する最大吸収波長を意味し、ピークP1<ピークP2<ピークP3なる関係を有し、グラフ中の点線で示されるスペクトルは、3つのピークP1、P2、P3の合成スペクトルを表す。
なお、図3において説明の都合上、3つのピークP1、P2、P3の吸収強度は、単純に、金属体の数に比例するものとし、1つの柱状粒子中には、ピークP1に対応する金属体が1つ、ピークP2に起因する金属体が2つピークP3に起因する金属体が1つ含まれるものとする。
【0052】
図3に示す例では、ピークP1、ピークP3の吸収強度を1としたときに、ピークP2の吸収強度が2となる。このため、柱状粒子中に3種類の金属体が各々1つづつ含まれている場合と比較すると、柱状粒子から中間体を除去して得られた混合色材の色は中波長域の色がより強調されたものとなる。
【0053】
−柱状粒子の製造方法等−
次に、本発明の柱状粒子の製造方法や、柱状粒子の中間体を除去して金属体を取り出す方法について説明する。
本発明の柱状粒子は、基板表面に設けられた貫通孔を有する部材の貫通孔中に、金属体を形成する金属体形成工程と、中間体を形成する中間体形成工程とを交互に繰り返した後、貫通孔を有する部材から基板を剥離、溶解又は分解して除去する基板除去工程を実施し、続いて、貫通孔を有する部材のみを選択的に、溶解又は分解して除去する貫通孔を有する部材除去工程とを少なくとも経て作製することができる。
【0054】
ここで、金属体形成工程としてはn回以上(nは2以上の整数)、また中間体形成工程としてはn−1回〜n+1回の範囲で実施される。また、金属体形成工程や中間体形成工程の実施方法は特に限定されるものではないが、電界析出法などの液相成膜法や、蒸着法などの気相成膜法などの膜厚制御が容易な公知の成膜方法が利用できる。なお、全ての金属体形成工程や中間体形成工程において、1種類の成膜方法のみを利用して実施してもよいが、いずれか一の工程で一の成膜法を利用し、他の工程で他の成膜方法を利用するなどのように、2種類以上の異なる成膜法を組み合わせて利用してもよい。
【0055】
なお、いずれの成膜法を利用する場合においても、柱状粒子を形成するためには、金属体と中間体とが、一方向に直線的に成長しながら積層形成されることが必要である。
このため、柱状粒子の作製に際しては、板状の形状を有しその厚み方向に貫通するように直線状の貫通孔が設けられた貫通孔を有する部材が用いられる。この貫通孔を有する部材は、柱状粒子の作製に際して電界析出法以外の液相成膜法や気相成膜法を利用する場合には、ガラス等からなる基板表面を被覆するように配置された状態で用いられ、柱状粒子を構成する各々の金属体や中間体の少なくともいずれか1つの部分を電界析出法を利用する場合には、片面に電極が設けられたガラス等からなる基板の電極面側を被覆するように配置された状態で用いられる。
【0056】
柱状粒子の形成に際しては、貫通孔の基板側と反対側の開口部から貫通孔内へと、金属体を構成する金属材料と中間体を構成する材料とを交互に供給して、貫通孔の基板側から、金属体と中間体とを交互に積層する。そして、必要な回数だけ金属体を貫通孔中に形成する金属体形成工程と中間体を貫通孔中に形成する中間体形成工程とを交互に実施して、貫通孔中に、金属体と中間体とを交互に析出させて柱状粒子を形成する。
なお、基板側に最初に金属体又は中間体のいずれを形成するかは、柱状粒子の構成に応じて選択できる。
【0057】
金属体形成工程や中間体形成工程として、電界析出法を利用する場合には、以下に示す手順により実施できる。
まず、金属体又は中間体を構成する成分を含有した電解液中に、いずれか一方の電極表面に貫通孔を有する部材が配置された1対の電極を浸漬し、電極間に電圧を印加した状態で貫通孔中に金属体又は中間体を構成する成分を析出させる。
ここで、使用する電解液は、析出させる各々の金属体や、中間体の材料に応じて選択される。また、電圧印加条件(電圧、印加時間)は、析出させる材料の析出が開始される電圧(金属の場合は酸化還元電位)や、析出させる金属体や中間体の長さを考慮して選択される。
【0058】
一方、金属体形成工程や中間体形成工程として、蒸着法を利用する場合には、以下に示す手順により実施できる。
まず、貫通孔を有する部材が設けられた基板を、蒸着装置内に配置する。ここで、蒸着源としては、金属体や中間体を構成する材料を含むものが用いられる。続いて、蒸着源を加熱して、貫通孔中に、金属体や中間体を構成する材料を成膜する。なお、蒸着温度や蒸着時間等の蒸着条件は、形成する金属体や中間体の長さを考慮して選択される。
【0059】
以上に説明した金属体形成工程と中間体形成工程とを交互に繰り返すことにより貫通孔を有する部材の貫通孔中には柱状粒子が形成される。続いて、貫通孔を有する部材から基板を剥離、溶解又は分解して除去する基板除去工程を実施する。なお、基板表面に電極が設けられている場合には、電極も除去する。
【0060】
貫通孔を有する部材からの基板や電極の除去は、剥離を利用することが好適であるが、剥離に際して貫通孔を有する部材が破損して柱状粒子も破壊されてしまう場合には、基板や電極のみを選択的に溶解させる溶液を用いて溶解させることができる。また、柱状粒子や貫通孔を有する部材が数百度から1000度程度以上の高い融点を有する部材や有機溶媒に溶解しない部材などからなり、基板が、これら部材よりも融点や熱分解温度が低く有機溶媒に容易に溶解する樹脂材料などからなる場合には、加熱処理による溶解や熱分解、また、有機溶媒による溶解処理によって基板を除去することができる。
【0061】
続いて、貫通孔を有する部材のみを選択的に溶解又は分解することにより、柱状粒子を得ることができる。この際に実施する溶解や分解処理は、貫通孔を有する部材を構成する材料や柱状粒子を構成する材料に応じて、上述した基板除去工程の場合と同様にして実施できる。
なお、中間体を構成する材料と貫通孔を有する部材とが同一の材料である場合には、両者は同じ溶解又は分解特性を有するため、貫通孔を有する部材の貫通孔中に柱状粒子が存在する状態から、貫通孔を有する部材と中間体とを連続して溶解又は分解することにより除去することにより金属体を得ることができる。
【0062】
図4は、本発明の柱状粒子の製造過程の一例を示す概略模式図であり、図4(A)は、片面に電極が設けられた基板と、この基板の電極面を被覆するように設けられた貫通孔を有する部材とからなる部材(以下、「柱状粒子形成用部材」と称す場合がある)の模式断面図であり、図4(B)は、図4(A)に示す柱状粒子形成用部材を用いて金属体形成工程と中間体形成工程とを交互に複数回繰り替して、貫通孔中に柱状粒子が形成された状態の柱状粒子形成用部材を示す模式断面図である。また、図中、12は柱状粒子、100は柱状粒子形成用部材、110は基板、120は電極、130は貫通孔を有する部材、132は貫通孔を表す。なお、柱状粒子12を構成する個々の金属体や中間体については記載を省略してある。
【0063】
柱状粒子の作製に際しては、図4(A)に示すように、片面に電極120が設けられた基板110と、この基板110の電極120が設けられた面を被覆するように設けられた貫通孔を有する部材130とからなる柱状粒子形成用部材100を用いることができる。また、貫通孔は、その軸方向が基板110表面に対して垂直を成すと共に、貫通孔を有する部材130を貫通するように設けられる。なお、柱状粒子の形成に際して、電界析出法を利用しない場合には、電極120は設けなくてもよい。
【0064】
続いて、金属体形成工程と中間体形成工程とを交互に複数回繰り返すことにより柱状粒子形成用部材100の貫通孔132内に柱状粒子12を形成する(図4(B))。続いて、柱状粒子形成用部材100から基板110および電極120を剥離等により除去した後、貫通孔を有する部材130のみを溶解処理等により選択的に除去することにより、例えば、図1(A)に示した構造を有する柱状粒子12を得ることができる。
【0065】
−貫通孔を有する部材−
次に、柱状粒子の作製に用いられる主要な部材や原料(電解液)等について説明する。
柱状粒子の形成に用いることができる貫通孔を有する部材としては、金属体や中間体の形成に際して、分解劣化や腐食したり、変形したりするものでなければ、公知の材料からなるものが利用できる。
なお、電極表面への貫通孔を有する部材の配置・形成としては特に限定されるものではないが、例えば、電極表面に薄膜を形成した後、この薄膜表面から電極まで達する孔を形成する方法(第1の方法)や、予め膜厚方向に貫通する孔を有する部材を電極表面に配置する方法(第2の方法)などが利用できる。
【0066】
第1の方法の例としては、電極表面にアルミニウム膜を蒸着法等の公知の成膜方法により形成した後、このアルミニウム膜を陽極酸化処理することによって、アルミニウム膜表面から電極表面にまで達する孔を設けることによって形成する方法などが挙げられる。この場合の貫通孔の孔径や、孔径分布、孔密度、アスペクト比等は、陽極酸化処理条件やアルミニウム膜の膜厚等を選択することにより制御できる。
【0067】
また、第2の方法の例としては、ポリカーボネート等のフィルム部材に対して、中性子ビームなどのフィルム部材を構成する材料を分解・溶解等させるビームを照射して、フィルム部材の厚み方向に貫通する孔が設けられたフィルム部材を貫通孔を有する部材として電極表面に配置する方法が挙げられる。この場合の貫通孔の孔径や孔径分布、孔密度、アスペクト比等は、ビームの照射条件やフィルム部材の膜厚等を選択することにより制御できる。
【0068】
なお、耐久性や、貫通孔の加工性等の観点からは、貫通孔を有する部材としてはアルミ膜を陽極酸化処理して得られた膜が最も好ましい。
【0069】
−電解液−
金属体の形成に用いられる電解液としては、溶媒と、金属イオンとを含むものであれば特に限定されないが、この他にも必要に応じて種々の材料が含まれていてもよい。
まず、金属イオン(又は金属)としては、電気化学的な酸化反応により金属がイオン化して溶解、及び、電気化学的な還元反応により金属イオンが金属として析出するものであれば公知のものが利用でき、例えば、金イオン、銀イオン、銅イオン、白金イオン、パラジウムイオン、ロジウムイオン、ルテニウムイオン、ニッケルイオン、鉄イオン、コバルトイオン、亜鉛イオン、鉛イオン、クロムイオン、スズイオンなどが挙げられる。
【0070】
これに対して、金属イオンのカウンターイオンとしては、電解液に対して電界を付与しない限り電解液中で金属イオンがイオン状態で安定に存在できるものであれば特に限定されないが、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ブロムイオン、ヨウ素イオン、過塩素酸イオン、ホウフッ化イオン等を挙げることができる。また、電解液中の金属イオン濃度としては電解液の安定性、発色濃度の確保、電界を付与してから画像が表示されるまでの応答速度等の観点から0.001mol/l以上5mol/l以下の範囲内であることが好ましい。
【0071】
なお、金属イオンとしては、上記に列挙した中でも金イオンや銀イオンが好ましい。この場合、電解液の作製に際して溶媒に添加する金イオン化合物としては、塩化金酸、塩化金酸ナトリウム、金チオ硫酸ナトリウム、塩化金ナトリウム、亜硫酸金ナトリウムなどが挙げられ、銀イオン化合物としては、ハロゲン化銀、硝酸銀、などが挙げられる。
【0072】
一方、溶媒としては水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、その他の非水溶媒(有機溶媒等)などを1種類または2種類以上を組み合わせて利用できる。
非水溶媒としては、たとえば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、メチルピロリドン等、シリコーンオイル等の非プロトン性非水溶媒を上げることができる。
【0073】
また、必要に応じて電解液に添加できるその他の添加剤としては、水溶性樹脂、界面活性剤、(金属として析出する)金属イオン以外の電解物質(例えば、アルカリ金属イオンなど)、ポリマー粒子、金属酸化物粒子等が利用できる。
【0074】
水溶性樹脂としては、ポリエチレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド、ポリエチレンイミン等のポリアルキレンイミン、ポリエチレンスルフィド、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、等のポリマーを単独、あるいは、複数組み合わせて使用しても良い。
水溶性樹脂を溶媒中に溶解、もしくは、分散させることで、金属イオン、電解質イオンの移動速度の制御、析出した金属の安定化に寄与する。添加量は、界面活性剤種、及び、その添加量との関係を考慮して調整する。
【0075】
また、析出させる金属体の安定化などを目的として、必要に応じて界面活性剤を利用することもできる。
界面活性剤種としては、カチオン型界面活性剤(アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等)、ノニオン型界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等)、アニオン型界面活性剤(アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルフホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、脂肪酸塩、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、芳香族スルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、β-ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等)、両性界面活性剤、等をから選択することができる。
【0076】
一方、中間体の形成に用いられる電解液としては、中間体が金属からなる場合、上述した金属体の形成に用いられる電解液と同様のものが利用できる。
【0077】
また、中間体が導電性有機化合物からなる場合には、中間体形成用の電解液として、導電性有機化合物を構成するモノマーと、支持電解質と、溶媒とを含む溶液が利用できる。例えば、モノマーとしてピロール、支持電解質としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、溶媒として水を組み合わせた電解液が一例として挙げられるが、必要に応じて種々のモノマー、支持電解質、溶媒を選択し、これらを組み合わせた電解液が利用できる。この電解液を用いて電解重合を行うことにより導電性有機化合物からなる中間体が形成できる。なお、モノマーとしては、例えば、ピロール、メチル基等の置換基を有するピロール、チオフェン、メチル基等の置換基を有するチオフェン、フラン類、セレノフェン、インデン等が使用できる。支持電解質としては、通常の電気化学測定で用いられるものであればどれも使用できる。また、溶媒は、水のほかに、アセトニトリル、ベンゾニトリル、炭酸プロピレン、THF、塩化メチレンなども使用できる。
また、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体に、ジメチルアミノエタノールなどの親水性溶媒や、pHの調整や導電率の調整に利用される水酸化ナトリウムや塩化ナトリウムなども添加した水溶液などの、公知の電着可能な有機材料を含む電解液が利用できる。なお、このような電解液を用いる場合には特開平10−119414号公報、特開平11−189899号公報、特開平11−15418号公報、特開平11−174790号公報、特開平11−133224号公報、特開平11−335894号公報等に記載の電着法を利用することができる。
【実施例】
【0078】
以下に、本発明を実施例を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0079】
(実施例1)
−柱状粒子形成用部材および対向電極の準備−
断面構造が図4(A)に示す構造を有する作用電極の機能も兼ねる柱状粒子形成用部材を以下の手順で作製した。まず、ガラス基板(縦20mm×横20mm、厚み1.5mm)の片面に、電極として蒸着法により厚みが1μmのAg膜を形成した。次に、このAg膜表面に膜厚3μmのアルミニウム膜を形成し、続けて、陽極酸化処理することにより軸方向に対する断面が円形状の貫通孔を形成した。なお、貫通孔の孔径分布はほぼ単分散であり平均直径は50nmであった。また、貫通孔の密度は約110個/μmであった。
また、対向電極としては、Au電極(縦15mm×横10mm、厚み0.3mm)を準備した。
【0080】
−電解液の調整−
電解液としては、(1)純水中にAgNOを20mM溶解させた銀塩溶液と、(2)純水中にHAuClを0.1M溶解させた金塩溶液と、(3)純水150ml中にポリマーのモノマーとしてピロール0.503g、支持電解質としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.522gを溶解させたポリマー電解溶液、とを調整した。
【0081】
−金属体形成工程および中間体形成工程−
<ステップ1>
銀塩溶液を150ml満たした容器中に、柱状粒子形成用部材(作用電極)と対向電極とを完全に浸漬した状態で、作用電極に定電圧0.1V vs.NHEを5min間印加して貫通孔中にAgを電界析出させた。
【0082】
<ステップ2>
次に、柱状粒子形成用部材を銀塩溶液から取り出して純水により十分に水洗して乾燥させた後、ポリマー電解溶液150mlを満たした容器中に、柱状粒子形成用部材(作用電極)と白金対向電極とを完全に浸漬した状態で、定電圧3.5V vs.NHEを5min間印加して、貫通孔中にドデシルベンゼンスルホン酸でドーピングされた状態の導電性ポリピロール層を生成させた。
【0083】
<ステップ3>
ステップ2を終えた後は、金塩溶液を150ml満たした容器中に、柱状粒子形成用部材(作用電極)と対向電極(ステップ1、2で用いたものとは別の電極)とを完全に浸漬した状態で、作用電極に定電圧1.0V vs.NHEを5min間印加して貫通孔中にAuを電界析出させた。
【0084】
<ステップ4>
次に、ステップ3を終えた後に、柱状粒子形成用部材を金塩溶液から取り出して純水により十分に水洗して乾燥させた後、ステップ2と同様の手順で、Au膜上に導電性ポリピロール層を形成した。
【0085】
−柱状粒子の取り出しおよび柱状粒子中の金属体の分離−
その後、以上に説明したステップ1〜4を2回繰り返した後、最後にステップ1〜3のみを実施することにより、図1(A)に示すような断面構造を有し、且つ、両端が金属体からなる柱状粒子を貫通孔中に形成した。
続いて、貫通孔中に柱状粒子が形成された柱状粒子形成用部材を金塩溶液から取り出して純水により十分に水洗して乾燥させた後、1NのHNO溶液に浸漬した状態で、出力5Wの超音波を印加することによりAg電極を溶解させて、貫通孔を有する部材とガラス基板とを分離した。
【0086】
その後、貫通孔内に柱状粒子が形成された貫通孔を有する部材を純水にて水洗した後、0.1NのNaOH溶液に15min浸漬させることにより、貫通孔を有する部材のみを選択的に溶解させ、溶液中の柱状粒子を回収して水洗・乾燥させた。
得られた柱状粒子を、EDS(エネルギー分散型X線分析装置)付きのSEM(走査型電子顕微鏡)で形状観察すると共に元素分析を行ったところ、一方の端部から他方の端部へと順に、「Ag(長軸方向の長さ100nm)、導電性ポリピロール層(長軸方向の長さ20nm)、Au(長軸方向の長さ100nm)、導電性ポリピロール層((長軸方向の長さ20nm)」が配置された構造を一単位として長軸方向に繰り返された直径50nm、長さ0.7μmの柱状粒子であることが確認された。
さらに、この柱状粒子を空気中で300℃でアニールすると、中間体である導電性ポリピロール層が燃焼分解され、長さ100nm、直径50nmの円柱状のAg粒子と長さ100nm、直径50nmの円柱状のAu粒子とが得られた。
【0087】
なお、ステップ1、3の実施に際して、電解析出させる時間を変化させて柱状粒子を作製したところ、金属体を構成するAgやAuの長さの異なる柱状粒子を得ることもできた。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の柱状粒子の一例を示す模式図である。
【図2】柱状粒子を構成する個々の金属体の組成又はアスペクト比が互いに異なる場合において、柱状粒子から中間体を除去して得られた複数種の金属体の混合物(単色性色材を混合した混合色材)の吸収スペクトルの一例を示すグラフである。
【図3】柱状粒子を構成する個々の金属体の組成又はアスペクト比が互いに異なる場合において、柱状粒子から中間体を除去して得られた複数種の金属体の混合物(単色性色材を混合した混合色材)の吸収スペクトルの他の例を示すグラフである。
【図4】本発明の柱状粒子の製造過程の一例を示す概略模式図である。
【符号の説明】
【0089】
10、12 柱状粒子
20A〜20F、22 金属体
22A、22B (1種類の金属元素又は合金からなる)金属部分
30A〜30F 中間体
100 柱状粒子形成用部材
110 基板
120 電極
130 貫通孔を有する部材
132 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状形状体長軸方向の長さが10nm以上100μm以下の範囲内であり、前記柱状形状体長軸方向に沿って交互に配置された金属材料から構成された金属体と中間体とを有し、且つ、前記金属体を少なくとも2つ以上有する柱状形状体からなり、
前記金属体および前記中間体の溶液に対する溶解性、および、加熱処理による溶融・熱分解性から選択される少なくともいずれか1種の特性が、前記金属体よりも前記中間体の方が大きいことを特徴とする柱状粒子。
【請求項2】
前記2以上の金属体から選択される少なくともいずれか1つの金属体が、1種類の金属元素からなる金属材料と、2種類以上の金属元素を含む合金からなる金属材料、並びに、1種類の金属元素および2種類以上の金属元素を含む合金からなる群より選択されるいずれかの金属材料から構成される金属部分を2つ以上接合した金属材料と、から選択されるいずれか1種の金属材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子。
【請求項3】
前記2以上の金属体から選択される少なくともいずれか2つの金属体を構成する金属材料が互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子。
【請求項4】
前記2以上の金属体のうちの、少なくともいずれか2つの金属体の、前記柱状形状体長軸方向における長さが互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子。
【請求項5】
前記金属体を3つ以上含み、互いに隣り合う2つの金属体間に配置された全ての中間体が、同一種類の材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子。
【請求項6】
前記中間体が、金属材料、および、導電性有機化合物から選択されるいずれか1種の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子。
【請求項7】
前記中間体が金属材料からなり、
前記金属体に含まれる金属元素のイオン化傾向が、前記中間体に含まれる金属元素のイオン化傾向よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子。
【請求項8】
前記中間体が金属材料からなり、
前記金属体を構成する金属材料と、前記中間体を構成する金属材料との組み合わせが、下記(1)〜下記(3)からなる群より選択されるいずれか1種の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子。
(1)金属体を構成する金属材料が、PtおよびAuから選択される少なくとも1種の金属元素を含み、中間体を構成する金属材料が、Al、Zn、Fe、Ni、Sn、Pb、CuおよびAgから選択される少なくとも1種の金属を含む場合。
(2)金属体を構成する金属材料が、Cu、Ag、Pt、Auから選択される少なくとも1種の金属元素を含み、中間体を構成する金属が、Al、Zn、Fe、Ni、Sn、Pbから選択される少なくとも1種の金属元素を含む場合。
(3)金属体を構成する金属材料が、Cu、Ag、Pt、Auから選択される少なくとも1種の金属元素を含み、中間体を構成する金属が、Pb、Sn、Zn、Alから選択される少なくとも1種の金属元素を含む場合。
【請求項9】
前記2以上の金属体全てにおいて、前記柱状形状体短軸方向の最大径が10nm以上500nm以下の範囲であり、前記柱状形状体長軸方向の長さが10nm以上500nm以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の柱状粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−6411(P2009−6411A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167699(P2007−167699)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】