説明

栄養機能食品錠剤

【課題】黒ずみが発生しない栄養機能食品としての酸化マグネシウムとオリゴ糖を主成分とする錠剤を提供すること。
【解決手段】酸化マグネシウム粒子およびオリゴ糖、および黒糖およびショ糖エステルを主成分とする栄養機能食品用錠剤に関するものであり、酸化マグネシウム粒子10~60重量%、オリゴ糖10〜60重量%、黒糖5〜15重量%およびショ糖エステル1〜5重量%を混合して打錠することにより、黒糖の効果で打錠時に出来る錠剤表面の黒ずみがない錠剤を提供するものである。ここで、「黒ずみ」とは機械との接触による磨耗性に起因する、錠剤表面の黒色の点、線または面が観察されたものをいう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸化マグネシウム粒子およびオリゴ糖、および黒糖およびショ糖エステルを含有する栄養機能食品用錠剤に関するものであり、より詳しくは、酸化マグネシウム粒子10~60重量%、オリゴ糖10〜60重量%、黒糖5〜15重量%およびショ糖エステル1〜5重量%を混合して打錠することにより、錠剤表面の黒ずみがない錠剤を提供するものである。
ここで、「黒ずみ」とは機械との接触による磨耗性に起因する、錠剤表面の黒色の点、線または面が観察されたものをいう。
【背景技術】
【0002】
酸化マグネシウム錠剤は、医薬用緩下剤およびミネラル補給剤等として多岐に使用されている。しかしながら、酸化マグネシウム錠剤は錠剤表面に黒ずみが起こりやすい。黒ずみを起こさない方法として、たとえば、粒状の酸化マグネシウム,賦形剤およびタルクならびにステアリンを含有する混合末を圧縮成形する方法(特許文献1)、酸化マグネシウムにポリビニルアルコールおよびステアリン酸マグネシウムを配合する方法(特許文献2)等が考えられたが、かならずしも満足できるものではなかった。
【特許文献1】特開2000−1428号公報
【特許文献2】特開2004−352633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、黒ずみが発生しない栄養機能食品としての酸化マグネシウムとオリゴ糖を主成分とする錠剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は前記目的を達成するために鋭意研究の結果、黒糖が酸化マグネシウム錠剤の黒ずみの発生防止に有効であることを見出し、前記栄養機能食品としての錠剤製造時に、黒糖を配合することにより黒ずみがない、さらに味がよい錠剤を見出した。
その結果、錠剤1錠中に(1)酸化マグネシウム粒子 10〜60重量% 、(2)オリゴ糖10〜60重量%、(3) 黒糖 5〜15重量% (4)ショ糖エステル 1〜5重量% の割合で混合し、打錠成形することで黒ずみがない錠剤を提供した。
【0005】
酸化マグネシウム粒子が10重量%以下の場合はミネラルとしてのマグネシウムの1日の必要量を摂取するために錠剤を多く服用する必要があり、また、60重量%以上の場合は
マグネシウムの必用量を摂取するためにオリゴ糖、黒糖等の摂取量が少なくなる。
使用する酸化マグネシウム粒子はいずれの方法で製造したものでもよいが、レーザー回折
散乱法で測定した平均2次粒子径が0.5〜20μm、好ましくは1〜15μmが硬くな
く打錠機を磨耗しない。
【0006】
オリゴ糖は大腸内のビフィズス菌の餌になり、ビフィズス菌を増殖させる作用があるので多いほうがいいが、多すぎると錠剤中の他成分が少なくなり、他成分の効果が抑えられるので、10〜60重量%が好ましい。オリゴ糖は直鎖オリゴ糖、または難消化性オリゴ糖のいずれを使用してもいいが、小腸で吸収されやすい直鎖オリゴ糖より、小腸で吸収されにくい難消化性オリゴ糖が好ましい。
【0007】
黒糖は5〜15重量%が好ましく、5重量%以下では黒ずみ防止の効果がなく、15重量%以上では錠剤が黒くなり、外観がよくない。
ショ糖エステルは滑沢剤として使用し、打錠時に本発明の栄養機能食品が打錠機の杵と臼に付着するのを防止する。
本発明の栄養機能食品用錠剤には上記成分の他、賦形剤、結合剤、崩壊剤および滑沢剤等を必要に応じ添加することが出来る。
【0008】
本発明の(1)酸化マグネシウム粒子、(2)オリゴ糖、(3)黒糖、(4)ショ糖エステルを使用し、前述の結合剤と崩壊剤等とを組み合わせることによって錠剤中の(1)(2)(3)(4)の合計量が85重量%〜100重量%、好ましくは90重量%〜98重量%の錠剤が得られる。
【0009】
本発明の栄養機能食品としての錠剤に使用される結合剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、またはデンプン(例えばトウモロコシデンプン)であり、錠剤中1〜10重量%、好ましくは1〜8重量%配合され、また崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウムまたは、カルボキシスターチナトリウムである。これら崩壊剤は2種以上組み合わせても良い。崩壊剤としては、特に、クロスカルメロースナトリウムまたは、カルボキシスターチナトリウムは、従来の崩壊剤に比べて、極めて少量で崩壊するので、その配合量を減らすことが出来、さらに、経時的変化が非常に少なく、錠剤に配合した場合は、安定性に優れた錠剤を得ることが出来る。最も好ましい崩壊剤はクロスカルメロ-スナトリウムである。崩壊剤は錠剤中1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%配合される。
【0010】
本発明の(1)+(2)+(3)+(4)の混合物を打錠化に供するが、(1)+(2)+(3)+(4)の混合物は、粉末状でよく、また顆粒状のいずれでもよいが、顆粒状の方が打錠機の磨耗防止効果、しかもより高含有量の錠剤を得ることができる。
顆粒状粒子の製造方法は公知のいかなる方法でもよいが、流動層造粒が好ましい。流動層造粒は他の造粒方法よりも微粉の発生率が少なく、打錠障害を少なくすることが可能である。流動層造粒装置により造粒する場合、全ての粉体原料に結合剤を混合し、流動層造粒装置に投入する。
混合は(1)酸化マグネシウム粒子10〜60重量%、(2)オリゴ糖10〜60重量%、(3)黒糖5〜15重量%、(4)ショ糖エステル1〜5重量%(5)結合剤1〜10重量%(好ましくは1〜8重量%)とする。この混合物に、崩壊剤1〜10重量%(好ましくは1〜5重量%)を配合してもよく、これらをコンテナー型、V型、あるいはW型などいずれの方法で混合してもよい。
【0011】
次に本発明の錠剤の製造方法について説明する。
前期顆粒状粒子は、滑沢剤を混合して打錠機に供給される。本発明のショ糖エステルは滑沢剤として配合しているので、他の滑沢剤を配合しなくてもよいし、または配合してもよい。使用される滑沢剤としては、例えばステアリン酸およびその塩(Na,Mg,Ca塩)等がある。好ましくはステアリン酸塩、特にステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸マグネシウムであるが、最も有効なものは、ステアリン酸カルシウムである。これら滑沢剤は、多すぎると崩壊遅延となり、少なすぎると杵、臼に付着する。したがって、滑沢剤の添加量は0.2〜2重量%が好ましく、さらに好ましくは0.8〜1.2重量%である。
打錠圧は一錠あたりのパンチ圧として5〜12kNが好ましく、6〜10kNがより好ましい。杵の形状はR面の他、隅角R、隅角平面、隅丸平面等のいずれであってもよい。
【0012】
実施例において本発明の栄養機能食品を詳細に説明する。
実施例において、酸化マグネシウム粒子の(a)平均2次粒子径、(b)錠剤の黒ずみ数は以下に記載する測定法によって測定された値を意味する。
(a)酸化マグネシウム粒子の平均2次粒子径
MICROTRAC粒度分布計SPAタイプ(LEEDS&NORTHRUP INSTRUMENTS社製)を用いて測定決定する。
資料粉末700mgを70mlの水に加えて、超音波(NISSEI 社製、MODEL US-300,電流300μA)で3分間分散処理した後、その分散液の2-4mlを採って、250mlの脱気水を収容した上記粒度分布計の試料室に加え、分析計を作動させて8分間その懸濁液を循環した後、粒度分布を測定する。合計2回の測定を行い、それぞれの測定について得られた50%累積2次粒子径の算術平均値を算出して、試料の平均2次粒子径とする。
(b)黒ずみ数
目視によりかぞえた。
【実施例1】
【0013】
平均2次粒子径が7.0μmの酸化マグネシウム粒子22.0Kg、難消化性オリゴ糖 16.3Kg、黒糖4.4Kg、ショ糖エステル1.3Kg、結晶セルロース1.3Kgをコンテナー型混合器にて混合後、流動層造粒装置にて造粒した成形物を、直径9mm、13R杵を36本装着したロータリー型打錠機にて、打錠圧9kNで製錠し、1錠あたり重量283mg、厚み4.8mmの錠剤をえた。
この錠剤100,000錠を10人で目視にて黒ずみの数をかぞえた。結果を表1に示す。
【0014】
(比較例1)平均2次粒子径が7.0μmの酸化マグネシウム粒子22.0Kg、難消化性オリゴ糖16.3Kg、ショ糖エステル1.3Kg、結晶セルロース1.3Kgをコンテナー型混合器にて混合後、実施例1と同様に顆粒化し、製剤を行った。1錠あたり288mg、厚み4.8mmの錠剤を得た。
この錠剤100,000錠を10人で目視にて黒ずみの数をかぞえた。結果を表1に示す。



【0015】
【表1】







































【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(4)を有効成分として85〜100重量%含有する表面に黒ずみがない栄養機能食品用錠剤
(1) 酸化マグネシウム粒子 10〜60重量% 、(2)オリゴ糖10〜60重量%、
(3) 黒糖 5〜15重量% (4)ショ糖エステル 1〜5重量%









































【公開番号】特開2009−13113(P2009−13113A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176818(P2007−176818)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(399002506)株式会社オオツカ (3)
【出願人】(000162489)協和化学工業株式会社 (66)
【Fターム(参考)】