説明

栄養補助食品及び健康食品

【課題】ビタミン、アミノ酸等の特定の成分について、必要な種類・必要な量を無理なく摂取することができる栄養補助食品及び健康食品
【解決手段】1種又は2種以上の成分を補給するための該成分を含有する栄養補助食品及
び健康食品であって、既存の食品の摂食時に該食品に添加することにより、該食品と同時に摂食することを特徴とする栄養補助食品及び健康食品。また、該栄養補助食品及び健康食品は小麦粉及び/又は澱粉を主原料として、所定の栄養成分又は食品素材、糖類及び/又はデキストリン、膨脹剤及び水を加え、混練して生地を調製した後、マイクロ波で加熱乾燥する工程によって製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、糖質、オリゴ糖、多糖類、脂質、核酸、その他健康の維持・増進作用を有する食品素材等の特定の成分を補給するための栄養補助食品及び健康食品(サプリメント)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日常生活で不足しがちな特定の栄養成分又は健康の維持・増進作用を有する食品素材(以下、栄養成分等という。)を補給することを目的とする栄養補助食品及び健康食品(サプリメント)とは、通常の食品の形態でない錠剤・カプセル・パウダー状・ソフトカプセル・液状等種々の形態のものが存在する。
【0003】
これらの栄養補助食品及び健康食品は、一般には既存の食品に添加して同時に喫食することを意図しておらず、食後や食間等においてこれのみ単独で摂取するものがほとんどである。また、これらの栄養補助食品及び健康食品は、その味や食感等において既存の食品に添加して同時に喫食する場合を想定しておらず、添加対象である既存の食品との相性(添加した場合の食感・風味)を製品設計時に考慮したものではなかった(特許文献1、2)。
【0004】
一方、これらの栄養補助食品及び健康食品の有効成分(ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、糖質、オリゴ糖、多糖類、脂質、核酸、その他健康の維持・増進作用を有する食品素材等)は一般的には、栄養補助食品及び健康食品を食事と同時に摂取する場合の方が、栄養補助食品及び健康食品を単独で摂取する場合よりも、腸内での滞留時間が長くなり、その結果として、穏やかな吸収(急激な血中濃度の上昇が起こらない)、腸管からの吸収効率の向上、という点で優れていることが知られている。
【0005】
上記の事実から主食や副食等の従来より摂取されている既存の食品に添加して食事と同時に摂取できる様な、これまでにない新しい考え方の栄養補助食品及び健康食品を発明して提供すれば、これまでの栄養補助食品及び健康食品の欠点であった補給したい栄養成分等の吸収効率の低さを改善し、また一時的かつ急激な血中濃度の上昇による障害発生の可能性を低減することができるものと考えられた。
【0006】
その一方、一般の栄養補助食品及び健康食品とは範疇を異にする厚生労働省が認めた有効性に関する文言を標記できる健康食品に特定保健用食品がある。需要者はこれによっても特定の栄養成分等の補給をすることができるが、必要な栄養成分等の選択や摂取量等を消費者が自由に選択することができるものでない。
【0007】
このようにこれまで、既存の食品の喫食時にこれに添加して既存の食品と同時に摂取でき、また、摂取する栄養成分等の種類や、その摂取量について消費者自身が自由に決定できるような栄養補助食品及び健康食品はこれまで存在しなかった。
【特許文献1】特開2006−50933
【特許文献2】特開2006−296231
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、我々は、既存の各種食品の喫食時に、消費者が必要な栄養素等を選択して、また、消費者自身が適正な量を添加できる形態を有し、かつ既存の各種食品と同時に喫食することができる栄養補助食品及び健康食品を開発することを目的とした。

【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本願第一の発明は、
ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖質、オリゴ糖、多糖類、脂質、核酸、その他健康の維持・増進作用を有する食品素材等から選択される1種又は2種以上の成分を補給するための該成分を含有する栄養補助食品及び健康食品であって、
既存の食品の喫食時に該食品に添加することにより、該食品と同時に喫食することを特徴とする栄養補助食品及び健康食品、
である。
【0010】
また、栄養補助食品及び健康食品を既存の食品、特にスープや麺類等の液状の食品に添加する場合においては、栄養補助食品及び健康食品そのものの摂取効率が問題となる。すなわち、スープ等の汁物の食品を喫食する際において、液中に当該栄養食品及び健康食品が沈降してしまうような場合には、当該液状食品をすべて喫食すれば、添加した栄養成分等を全て摂取できるのであるが、スープの一部を食べ残してしまうような場合においては、当該沈殿した栄養補助食品及び健康食品に含まれる栄養成分等は摂取できないということになり、結果として甚だ栄養成分等の摂取効率が悪くなってしまう。
すなわち、本願第二の発明は、
前記既存の食品が液体部分を含む食品である場合において、該食品に添加した場合に前記液体部分の液面に浮くものとなる請求項1に記載の栄養補助食品及び健康食品、
である。
【0011】
次に、このような既存の各種食品の喫食時にこれらに添加して、該食品と同時に喫食する栄養補助食品及び健康食品については、既存の各種食品に添加した場合、違和感なく喫食できることが必須となる。
そこで、これらの上記の栄養補助食品及び健康食品について種々の形態や原材料処方について検討し、具体的な形態や原材料処方の一つとして、小麦粉及び/又は澱粉をベースとしてこれに特定の栄養成分、糖類及び/又はデキストリン、膨脹剤、水を加えて、発泡させたものが有効であることを見出した。
すなわち、本願第三の発明は、
前記栄養補助食品及び健康食品が乾燥タイプであって、以下の工程;すなわち、
A)小麦粉及び/又は澱粉を主原料とする粉体に、所定の成分又は健康の維持・増進作用を有する食品素材、糖類及び/又はデキストリン、膨脹剤及び水を加え、混練して生地を調製する工程、
B)前記調製後の生地をマイクロ波で加熱乾燥する工程、
の各工程を含む工程により製造される請求項2記載の栄養補助食品及び健康食品、
である。
【0012】
さらに、マイクロ波での加熱乾燥の後に、より水分含量を低下させるには、さらに、熱風乾燥を施しても良い。
すなわち、本願第四の発明は、
前記B工程の後に、C工程としてマイクロ波で加熱乾燥後の生地を熱風乾燥する工程を含む請求項3記載の栄養補助食品及び健康食品、
である。
【0013】
また、このようにして乾燥した生地は、粉砕して使用する態様に応じて適宜の大きさとすると使い易い。
すなわち、本願第五の発明は、
前記B工程又はC工程の後に、乾燥後の生地を破砕する工程を含む請求項3又は4に記載の栄養補助食品及び健康食品、
である。
【0014】
また、請求項3乃至5のいずれかに記載の栄養補助食品及び健康食品においては、澱粉及び小麦粉、糖類及びデキストリンの割合が一定の範囲であると食感等において良好であることが判明した。
すなわち、本願第六の発明は、
前記A工程における混練後の生地の全重量に占める小麦粉及び澱粉の割合が45〜55重量%であり、糖類及びデキストリンの割合が10〜25重量%である請求項3乃至5いずれかに記載の栄養補助食品及び健康食品、
【0015】
さらに、使用する糖類について種々検討したところ、ショ糖が好適な食感を生じることが判明した。
すなわち、本願第七の発明は、
前記糖類がショ糖を含有する糖類である請求項3乃至6いずれかに記載の栄養補助食品及び健康食品、
である。
【発明の効果】
【0016】
本願発明を利用することで所定の栄養成分等を既存の食品に添加して喫食でき、必要な栄養成分等を無理なく摂取することができる。また、喫食者が必要とする栄養成分等を任意に選択でき、また必要とする量を任意に摂取できるため、既存の食品の喫食と同時に不足しがちな栄養成分等を必要な時に必要な量だけ摂取することができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本願発明を実施するための最良の形態について説明するが、本願発明はこれらの開示の範囲に限定されるものではない。
【0018】
1.本願発明に係る栄養補助食品及び健康食品に含まれる栄養成分等
本願発明に係る栄養補助食品及び健康食品に含まれる栄養成分等にはビタミン、ミネラル、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖質、オリゴ糖、多糖類、脂質、核酸、その他健康の維持・増進作用を有する食品素材等の種々の成分が対象になる。具体的には、以下のようなものが挙げられる。尚、添加する栄養成分は1種類のみでなく、2種以上であってもよい。
【0019】
(1)ビタミン
ビタミンA・ビタミンB・ビタミンB・ビタミンB・ビタミンB12・ビタミンC・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンK・ナイアシン・葉酸・ビオチン・パントテン酸等が挙げられる。
【0020】
(2)ミネラル
亜鉛・鉄・銅・クロム・セレン・マンガン・マグネシウム・カルシウム・カリウム・ナトリウム・モリブデン・ヨウ素・リン・バナジウム・白金ナノコロイド・ヘム鉄、等が挙げられる
【0021】
(3)アミノ酸
アラニン・アルギニン・アスパラギン・アスパラギン酸・システイン・グルタミン・グルタミン酸・グリシン・ヒスチジン・イソロイシン・ロイシン・リジン・メチオニン・フェニルアラニン・プロリン・セリン・トレオニン・トリプトファン・チロシン・バリン・セレノシステイン・ピロリジン・シスチン・ヒドロキシプロリン・ヒドロキシリジン・チロキシン・O−ホスホセリン・デスモシン・β−アラニン・サルコシン・オルニチン・クレアチン・γ−アミノ酪酸(GABA)・オパイン・テアニン・トリコロミン酸・カイニン酸等が挙げられる。
【0022】
(4)ペプチド
大豆ペプチド・コラーゲンペプチド・グルタチオン・ゴマペプチド・ローヤルゼリーペプチド・海苔ペプチド・ワカメペプチド・鰹節ペプチド・イワシペプチド・ミルクペプチド・タマゴペプチド・アンセリン・カルノシン・クロレラペプチド・カゼインホスホペプチド・カゼインドデカペプチド・ピログルタミン酸ペプチド・鯖ペプチド・オカラ由来生理活性ペプチド・グロビンペプチド・ラクトトリペプチド・オピオイドペプチド・脂肪代謝調節ペプチド、等が挙げられる。
【0023】
(5)タンパク質
ミルクタンパク質・大豆タンパク質・リン脂質結合大豆タンパク質・小麦タンパク質・エンドウ豆たんぱく質・タマゴタンパク質・コラーゲン・エラスチン・魚肉タンパク質・ローヤルゼリータンパク質・ゴマタンパク質・米タンパク質・シルクタンパク質・ミルクベーシックプロテイン・ラクトフェリン・リベチン・ソーマチン・ミラクリン・ネオクリン・オキアミ筋肉タンパク質・ヌクレオプロテイン、等が挙げられる。
【0024】
(6)糖質
イノシトール・ビニトール・カイロ−イノシトール・エリスリトール・キシリトール、等の糖アルコール、及びL-アラビノース・N-アセチルグルコサミン・グルコサミン・シアル酸・キシロース、等が挙げられる。
【0025】
(7)オリゴ糖
スクロース・ラクトース・トレハロース・マルトース・フラクトオリゴ糖・ガラクトオリゴ糖・転移ガラクトオリゴ糖・ゲンチオオリゴ糖・ラクチュロース・キシロオリゴ糖・乳果オリゴ糖・大豆オリゴ糖・イヌロオリゴ糖・セロオリゴ糖・イソマルトオリゴ糖・ラフィノース・パラチノース・ニゲロース・ニゲロオリゴ糖・キトオリゴ糖・フコイダンオリゴ糖・マンノオリゴ糖・マルチトール・環状オリゴ糖、還元麦芽糖、低分子化アルギン酸ナトリウム、等が挙げられる。
【0026】
(8)多糖類
難消化性デキストリン・難消化性デンプン・グリコーゲン・セルロース・マンナン・ペクチン・キチン・キトサン・アルギン酸・ヒアルロン酸・コンドロイチン硫酸・グアーガム・キサンタンガム・タマリンドガム・サイリウムシードガム・プルラン・イヌリン・カラギーナン・カルボキシメチルセルロース・β-1,3 グルカン・キシラン・アラビノキシラン・ヘミセルロース・リグニン・ペクチン酸・アラビアガム・タマリンドガム・寒天・フコイダン・コーンファイバー・キャロットファイバー・大豆食物繊維・ビートファイバー・アップルファイバー・シイタケ由来食物繊維・グアーガム酵素分解物・ローカストビーンガム・ジェランガム・カシアガム・デキストリン・ポリデキストロース・カラギーナン・カードラン、等が挙げられる。
【0027】
(9)脂質
α-リノレン酸・γ-リノレン酸・ジホモ-γ-リノレン酸・ドコサへキサエン酸・レシチン・エイコサペンタエン酸・リノール酸・オレイン酸・共役リノール酸・スフィンゴシン1リン酸・ロイコトリエン・セラミド、及びその他の糖脂質・胆汁酸・リポタンパク質、プロスタグランジン・ステロイド・ワックス・カロテノイド・リン脂質・トリグリセライド・ジグリセライド・モノグリセライド・短鎖脂肪酸エステル・短鎖脂肪酸・蔗糖脂肪酸エステル・グリセリン脂肪酸エステル・ソルビタン脂肪酸エステル、等が挙げられる。
【0028】
(10)核酸
デオキシリボ核酸・リボ核酸・イノシン酸・グアニル酸・シチジル酸・アデニル酸・ウリジル酸・チミジル酸・アデニン・グアニン・シトシン・チミン・ウラシル・イノシン、等が挙げられる。
【0029】
(11)その他
舞茸エキス・田七人参エキス・オタネニンジンエキス・朝鮮人参エキス・月見草油・桑の葉エキス・霊芝抽出物・大麦若葉・アガリクス・アセロラ・アリシン・アロエ・アンデスニンジンエキス・イチョウ葉エキス・インドニンジンエキス・ウコン・ウコン抽出物・ニンニク・ニンニクエキス・黒ニンニクエキス・ピンクグレープフルーツエキス・レッドクローバーエキス・ニガウリエキス・エノキタケエキス・ヒメマツタケエキス・紅麹エキス・乳酸菌菌体・納豆菌菌体・ビール酵母・ビフィズス菌菌体・卵黄コリン・麻黄・イソフラボン・エゾウコギエキス・オイゲニン・オーブリーフエキス・カテキン・ギムネマエキス・サメ軟骨・リコピン・ルテイン・ローヤルゼリー・ローズヒップエキス・プルーンエキス・クロレラ・黒酢・香醋・もろみ酢・リンゴ酢・トマト酢・アボガド油・プロポリス・コエンザイムQ10・ブルーベリーエキス・スピルリナ菌体・ガルシニアエキス・マカエキス・スッポンエキス・ギムネマエキス・メシマコブ菌糸体・梅エキス・クマ笹エキス・甜茶エキス・牡蠣エキス・ノコギリヤシエキス・セントジョンズワートエキス・深海サメエキス・花粉・L-カルニチン・シイタケエキス・冬虫夏草・冬虫夏草エキス・クロロフィル・ザクロエキス・ヘム鉄・α-リポ酸・植物ステロール・スタノール・バナバエキス・カプサイシン・カプシエイト・杜仲エキス・ブナハリ茸エキス・β-コングリシニン・アオバナエキス・豆鼓エキス・リンゴポリフェノール・カシアポリフェノール・栗渋ポリフェノール・ピーナツポリフェノール・ゴマリグナン・アマニリグナン・緑茶ポリフェノール・ウーロン茶重合ポリフェノール・シークワシャーエキス・羅漢果エキス・シジミエキス・ゴマエキス・クエン酸リンゴ酸カルシウム・カゼインホスホペプチド・リン酸化オリゴ糖カルシウム・カフェイン・メントール・カリンエキス・フラボノイド・シャンピニオンエキス・ローズエキス・メグスリノキエキス・青汁・クエン酸・ガウクルアエキス・バレリアンエキス・オクタコサノール・タマネギエキス・豆乳粉末・ヘスペリジン・ナリンジン・シソエキス・ハイドロキシアパタイト・プラセンタエキス・ミント・その他のハーブエキス・フッ素・ガロタンニン・シトラスエキス・ゲラニオール・オークリーン・ピクノジェノール・アクチニジン・ケール・明日葉エキス・小麦フスマ・オーツブラン・オリザノール・ステビア抽出物・甘草抽出物・ルチン・酵素処理ルチン・ホワートルベリーエキス・ベタイン・大豆サポニン・人参サポニン・キラヤ抽出物・スクワレン・キクカ抽出物・クコエキス・ドクダミエキス・ナツメエキス・ハトムギエキス・ニガキ抽出物・グルコン酸・グルコノデルタラクトン・トコトリエノール・アスタキサンチン・シソの実エキス・月見草エキス・メチルスルフォニルメタン・チャガ抽出物・ユッカ抽出物・フィチン・フィチン酸・テンペエキス・ルテイン・紫トウモロコシ抽出物・フェルラ酸・γ-オリザノール・ラフマエキス、等が挙げられる。
【0030】
(12)栄養補助食品及び健康食品
本願発明における「栄養補助食品」とは、身体に必要な栄養となる成分であって、現代人に不足しがちな栄養素を含有する食品を主として意味する。例えば、ビタミン、ミネラルやアミノ酸等を含有する場合がこれに当たる。
一方、本願発明における「健康食品」とは、身体に直接的には必要な栄養素とはいえないが健康の維持・増進に役立つものであって、生理機能を有する成分を含有する食品を主として意味する。例えば、コエンザイムQ10、L−カルニチン、ビール酵母や朝鮮人参エキス等を含有する場合がこれに当たる。
但し、本願発明において「栄養補助食品」と「健康食品」の用語については特に厳密に区別されるものではない。

【0031】
2.既存の食品
本願発明において既存の食品とは、朝食・昼食・夕食・夜食として食する場合のみならず、間食等に食するものも含む。具体的な食品名については、液状部分を含むものとして、牛乳・ジュース・スープ・みそ汁・シチュー・そば・うどん・春雨・即席麺・おかゆ・雑炊等がある。また、液状部分が少ないものとして、ご飯・チャーハン・中華飯等や、焼肉・焼き魚・煮魚・フライ物・天ぷら等にも使用することができる。さらに、生野菜・ヨーグルト・コーンフレーク・プリン・アイスクリーム等のトッピングとしても利用することができる。加えて、お好み焼・たこ焼き・もんじゃ焼き・グラタン・ドリア等の食品にも添加して使用することができる。
【0032】
特に、液状部分を含む食品については、本願第二、第三の発明である栄養補助食品及び健康食品の場合には該乾燥栄養補助食品及び乾燥健康食品は液状部分の表面に浮かぶため、スプーン等ですくい易い等の喫食時に該栄養補助食品及び健康食品の摂取が容易であるという効果を奏する。
【0033】
また、固形状の食品に対しては、本願第三の発明である乾燥栄養補助食品及び乾燥健康食品の場合に表面に振りかけることで喫食時にサクサクとした食感を楽しめる。また、本願第三の発明である乾燥栄養補助食品及び乾燥健康食品はエキス、香料や色素を使用することで自由に味や色を付与することができ、ほとんどの既存の食品の摂食時に該食品にマッチした風味・食感とすることができる。
【0034】
3.添加の時期
添加する時期については、種々のタイミングが考えられるが、一般的には食品を摂食する直前に添加するのが好ましい。直前に添加することで、添加する対象となる既存の食品が有する熱等によって、本願発明の栄養補助食品及び健康食品が有する栄養成分等の加熱等による変質等を抑制することができる。
【0035】
4.液面に浮く栄養補助食品及び健康食品
本願第ニの発明における、「液面に浮く」とは、本願発明の栄養補助食品及び健康食品を液状部分を含む既存の食品に添加した場合に、液面に浮くことを意味する。この場合、液中に沈んでしまうと摂食者が該栄養補助食品及び健康食品を全て摂取しようとしても、液状部分だけを全部摂食したり、箸で液中を探る等の必要が生じるため、添加された栄養補助食品及び健康食品を効率良く摂取することができない。一方、浮いていると摂食者は液状部分を吸ったり、スプーン等で液状部分表面をすくうだけで、無理なく当該添加された栄養補助食品及び健康食品を選択的に摂食することができるので、所定の栄養成分等を摂取し易い。
【0036】
尚、本願発明における「液面に浮く」とは、液状部分の粘度や比重にもよるが液状部分に添加した後において必ずしも長時間浮いている状態であることを意味しない。例えば、本願発明の栄養補助食品及び健康食品を熱湯中に添加したり、これらに注湯する場合には注湯後1〜2分程度浮いていればよく、その後は吸水し液状部分の内部に沈降したり分散するものも含む。
【0037】
5.乾燥栄養補助食品及び乾燥健康食品
各種栄養成分等を含有させる栄養補助食品及び健康食品については、固体状、液状、カプセル状等の種々の形態が考えられるが、その一例としての本願第三の発明である乾燥させた固体の形態が有効である。固体の形態であると液状に比べて、包装しやすく、また、乾燥されていることで微生物の活動を抑制し、長期の保存が可能となるからである。
【0038】
6.小麦粉及び/又は澱粉を原料とした発泡乾燥栄養補助食品及び発泡健康食品
乾燥栄養補助食品及び乾燥健康食品の一例として、本願第三の発明である小麦粉及び/又は澱粉を原料とした発泡乾燥栄養補助食品及び発泡乾燥健康食品が有効である。小麦粉及び/又は澱粉を主原料としているため、あらゆる既存の食品にマッチしやすく、又、これを発泡させているので、液状部分を含む既存の食品に添加した場合に液状部分の表面に浮かすことができる。上述のように液状部分に浮かすことによって摂食しやすくなり、所定の栄養成分等を摂取し易い。
【0039】
7.小麦粉
小麦粉は後述する澱粉と共に本願第三の発明において所定の栄養成分等を保持する基材として中心的な素材となる。小麦粉は薄力粉、中力粉、強力粉のいずれも用いることができる。但し、後述する発泡過程において十分に発泡させるために、グルテン含量が適度であることが必要である。具体的には概ねグルテンの含量が混合する小麦粉及び澱粉の総重量のうち、概ね2.0重量%〜6.0重量%程度になることが好ましい。従って、一般的には、薄力粉を使用する場合には、同量程度の澱粉を加えるが、強力粉を使用する場合には、澱粉の含量を増やすことで調製することができる。
一般的には、薄力粉の場合には、後述する澱粉との配合比率は、薄力粉:澱粉=1:2〜1:3程度が好適である。尚、小麦粉を使用せず、澱粉のみを使用してこれに小麦タンパクであるグルテンを別途添加する方法も可能である。その他、大豆タンパク等の他のタンパク質でもよい。
また、小麦粉と澱粉の総重量については、膨脹剤による発泡等の観点からマイクロ波による加熱乾燥前の生地の全重量に対して45〜55重量%とするのが好ましい。
【0040】
8.澱粉
本願第三の発明において小麦粉のみで製造すると、サクサク感がやや欠ける場合があるため、澱粉を使用することが有効である。使用する澱粉としては、馬鈴薯・タピオカ・米・小麦・とうもろこし等が利用でき特に限定されない。尚、澱粉又は加工澱粉のいずれも用いることができるが、加工澱粉についてはヒドロキシプロピル化のようなエーテル化や、架橋した澱粉が好ましい。特に、ヒドロキシプロピル化と架橋を施した加工澱粉が好ましい。
【0041】
9.糖類
本願第三の発明における糖類としては単糖類、二糖類等の種々のものを用いることができる。具体的には、ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、麦芽糖等の糖、ソルビトール、マルチトール糖の糖アルコールが挙げられる。但し、食感や後述する乾燥・破砕後において適当な粒径を得る等の観点から、二糖類であるショ糖をマイクロ波での加熱乾燥前の生地全重量のうち、5重量%以上含有することが好ましい。
本願第三の発明においては、糖類を微妙にでも含有させることで、後述する破砕工程後の粒子の大きさや食感が維持されるため、糖類を添加する必要がある。糖類の添加量としては、後述するデキストリンとあわせて、マイクロ波での加熱乾燥前の生地の全重量に対して10〜25重量%程度が好ましい。
【0042】
10.デキストリン
本願第三の発明においては、デキストリンを利用することが好ましい。デキストリンは、澱粉を部分的に分解させたものであるが、デキストリンを使用することで過剰な甘さを付与することを避けることができる。さらに、後述するエキスや香料の添加により、本願第三の発明の乾燥栄養補助食品及び乾燥健康食品をその添加する対象となる既存の食品に適合した味付けを行うことができる。また、デキストリンをショ糖とのコンビネーションとして利用する場合には、ショ糖:デキストリンの重量比が1:3〜1:1が好適である。
【0043】
11.水
本願第三の発明において、水はグルテンのネットワークの形成や、膨脹剤の適度な発泡を実現するために必要である。水分含量が少なすぎると、低発泡となる傾向がある。また、水分含量が多くても特に問題はないが、水分含量が高すぎると、後述するマイクロ波での加熱乾燥や熱風乾燥において時間を要するという難点がある。添加量としては、全重量に対して、20重量%〜45重量%程度の添加が好適である。さらに、適度な発泡・乾燥時間を勘案すると25重量〜30重量%がより好適である。
【0044】
12.膨脹剤
膨脹剤としては、種々の膨脹剤を単独または組み合わせて使用することができる。具体的には、重曹や、重曹とフマル酸・クエン酸・酒石酸等の組み合わせや炭酸水素アンモニウム等種々のタイプを挙げられる。
尚、アミノ酸類を多く含む場合には、加熱時のアミノ・カルボニル反応による褐変が生じる場合があるため、これを避ける場合には酸性側の膨脹剤である炭酸水素アンモニウム等のその水溶液のpHが低いものが好ましい。
使用できる量としては、膨脹剤の種類にもよるが、原料を混練後の生地の全重量中に概ね0.5〜5.0重量%程度であればよい。
【0045】
13.その他の添加物
(1)エキス
本願第三の発明においては、必要に応じてエキスを添加することができる。本願第三の発明においては、ショ糖の含量を減らして、デキストリンを用いることで甘味を低減して無味に近づけることができる。また、添加する対象となる既存の食品にマッチした味付けを施すことで既存の食品に添加した場合に違和感なく喫食することができるようになる。
本来、本願第三の発明においては栄養成分がコラーゲンのように獣臭がする場合や、ビタミンのように苦味を呈する場合であっても、特にエキスや後述する香料や調味料等を添加することなく獣臭や苦味を十分にマスキングをすることができる。但し、エキスや後述する香料等を添加することで、より一層これらを低減させて喫食し易くすることができる。尚、エキスは畜肉系、魚肉系、野菜系のいずれも用いることができる。
【0046】
(2)香料
本願第三の発明においては、必要に応じて香料を使用することができる。エキスの場合と同様に添加する対象である既存の食品にマッチした香りを付加することによって違和感なく喫食できるようになる。香料としては既存の天然香料や合成香料を幅広く用いることができる。
【0047】
(3)色素
本願第三の発明においては、必要に応じて色素を使用することができる。色彩は食品を喫食する際の重要な要素になるものであり、既存の各種天然色素・合成色素を用いることができる。色素を利用することで消費者に対して、含有する栄養成分の指標とすることができる。例えば、各栄養成分ごとに色彩を変えて、一連のバリエーションの栄養補助食品及び健康食品とすることもできる。例えば、緑色は食物繊維、黄色はビタミンA等と決めておくこと、摂食者が色を見分けることによって簡単に必要な栄養成分を認識することができるため、必要な栄養成分を必要な量、手軽に摂取することができる。
【0048】
(4)調味料
本願第三の発明においては、その他の一般の食品の調味料を用いることができる。例えば、砂糖・味噌・醤油・塩・酢・グルタミン酸ナトリウム・IMP・GMP・塩・コショウ等の天然調味料、化学調味料、香辛料等の様々な調味料を添加することができる。これらを添加することで好みの味を付与することができる。
【0049】
14.製造工程について
本願第三の発明は以下のような工程で製造することができる。以下、各工程の内容を説明する。
(1)粉体の混合・混練
粉体として小麦粉及び/又は澱粉に所定の栄養成分、糖類及び・又はデキストリン、その他の添加物を添加して混合する。次に、膨脹剤を混合しておいた水を添加して混練してドウを形成させる。
尚、栄養成分等が粉体状であれば上記のように添加することができるが、液状の場合には最後に添加する水に予め添加しておいてもよい。また、栄養成分等が油状である場合にはドウの形成後に添加してもよい。また、添加する水分の量は気候や温度によって変化させてよいことはもちろんである。一般には、混合や混練はミキサー等を用いて行う。尚、粉体、糖類及び/又はデキストリン、膨脹剤及び水の混合の手順については、特に限定されないため上述した順序以外でも可能である。
【0050】
(2)マイクロ波による加熱乾燥
形成させたドウのマイクロ波による加熱乾燥を行う。マイクロ波による加熱乾燥によって膨脹剤を発泡させ多孔質とすることができる。これによって既存の食品であって液状部分を含む食品に添加した場合に、液状部分の表面に浮かすことができる。具体的には、例えば、ドウを25g程度ずつ分けてプレートの上に載せてマイクロ波での加熱乾燥を行う。マイクロ波での加熱乾燥は種々の条件を選択することができるが、水分含量が高いと長時間のマイクロ波での加熱乾燥が必要になる。
【0051】
具体的には、水分含量が25%程度のドウであれば、900w程度で、60秒程度のマイクロ波での加熱乾燥をすればよい。発泡させた後の生地について必要に応じて後述する熱風乾燥を行う。また、この際、混練後の生地を所定の型枠に入れてマイクロ波で加熱乾燥することで、後述する熱風乾燥工程ともあわせて、所定の形状の乾燥栄養補助食品及び乾燥健康食品を調製することもできる。
使用する膨脹剤や発泡度にもよるが、マイクロ波での加熱乾燥後の生地の水分含量は概ね10〜20重量%程度となる。
【0052】
(3)熱風乾燥
本願発明では、必要に応じてマイクロ波による加熱乾燥の後にさらに、熱風乾燥を行うこともできる。マイクロ波での加熱乾燥によって膨化されたが、まだ水分含量として高い場合、さらに乾燥することが必要となるためである。熱風乾燥後の水分含量は概ね3〜7重量%程度とすることが好ましい。水分含量が高いと微生物が増殖する可能性がある。
【0053】
(4)破砕
熱風乾燥後の乾燥栄養補助食品を必要に応じて破砕する。破砕は熱風乾燥後の生地を棒で押しつぶす等して行う。破砕の程度は適宜調整することができる。破砕によって乾燥後の生地を粒子化することができるが、サクサクとした食感を楽しむならば粒径として概ね0.5〜10mm程度に調製する。また、既存の食品に振りかける際の大きさは、概ね2〜6mm程度を有していることが好ましい。
特定の粒子径を有するものを選択するためには、メッシュ等を通して選択することができる。尚、この場合、原料としてショ糖等の糖類が含有されていないと粒子が細かくなりすぎる場合がある。
また、本破砕工程は任意であり、例えば、前記マイクロ波による加熱乾燥前に1〜2cm正方程度の型枠に生地を入れてからマイクロ波での加熱乾燥やその後の熱風乾燥を施すことで、大きなサイズとすることもできる。
【0054】
(5)保存形態
破砕によって得られた粒子は乾燥されているため、常温で長期間の保存形態で保存することができる。具体的にはプラスチック製の包材に封入することで長期の保存が可能である。また、カップタイプの即席麺であれば、包材に封入することなく、カップ内にネギ等の乾燥具材と同様に、直接に充填しておくという方法もある。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本願発明を利用することにより、欠乏している所定の栄養成分等を無理なく摂取することができる。また、本願第三の発明の乾燥栄養補助食品及び乾燥健康食品は、種々の既存の食品にマッチすることができるため、該乾燥栄養補助食品及び乾燥健康食品自体の食感を楽しむことができるとともに、既存の食品とマッチした味わいを得ることができる。



































【実施例】
【0056】
以下、本願発明の実施例(試験例)を示すが、本願発明は以下の開示範囲に限定されるものではない。
【0057】
<試験例1>喫食する際の形態についての実験
既存の食品として、即席カップ麺を用いて、所定の栄養成分等を添加しようとする場合にどのような栄養補助食品及び健康食品の形態が有利であるかを試験した。
市販のプロピレン製のカップ内に収納された粉末スープを添加した油揚げ麺に熱湯を添加し3分間保持し攪拌した。この後に栄養補助のため成分として、ビタミン混合品(ビタミンプレミックスタイプRD−2005、DSMニュートリションジャパン株式会社)0.5gを各種形態で添加して喫食した。
【0058】
尚、評価は、既存の食品への添加の際の操作性と、摂取のし易さの2点について、〇、△、×の3段階で行った。
・粉体形態とは、添加する栄養成分(ビタミン混合品)を直接そのまま添加した。
・液状形態とは、前記粉体の栄養成分(ビタミン混合品)を水を媒介として攪拌後均一とした状態で添加した。
・固体(沈降)形態は、市販の小麦粉(薄力粉)58gに水24gを入れ、栄養成分(ビタミン混合品)0.5gを入れて、混練したものを調整した。これを80℃で、30分間、熱風乾燥したものを破砕して粒径5mm程度としたものを準備した。
・固体(浮遊)形態は、市販の小麦粉(薄力粉)58gに水24gを入れ、栄養成分(ビタミン混合品)0.5gを入れて、さらに膨脹剤(炭酸水素アンモニウム)3gを添加して、混練したものを調整した。これをマイクロウエーブで900w、1分処理して発泡させたものを熱風乾燥80℃、30分行い、粉々にならないように注意しつつ、破砕して粒
径5mm〜10mm程度の粒子を複数準備した。
【0059】
【表1】

【0060】
液面に浮遊するような固体の形態については、添加時の操作のしやすさ、又は摂食時の摂取のし易さとも他の形態に比べて優れていた。このように固形であって液面浮遊状態にすることで添加量を調整しやすく、また、摂取も簡単にできることが判明した。

【0061】
<試験例2>澱粉、糖類・デキストリンを使用した食感の改良
小麦粉を主体として、これに澱粉を加えたものを基本として、各種配合の発泡食品を調製した。これらについて破砕後の粒子径の保持性と風味・食感・後味等の官能について検討した。
各試験例は以下の調製方法による。小麦粉と澱粉に適宜、糖類及び・又はデキストリンを混合する。これに、所要量の水に予め膨脹剤を分散させておいたものを加えて、混練した。混練後のドウを約28gごとに切ったものを皿の上において、マイクロウエーブ(900W)で約60秒間加熱乾燥処理した。マイクロ波での加熱乾燥後の水分含量は、15重量%であった。得られた乾燥物を、熱風乾燥機(ヤマト社、DN43タイプ)で80℃、30分間乾燥した。熱風乾燥後の水分含量は、5.4重量%であった。熱風乾燥後のものをテスト品として評価に供した。
【0062】
尚、小麦粉は市販の薄力粉、澱粉はヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉(馬鈴薯)(松谷化学工業株式会社)、糖類としては市販のショ糖、デキストリン(松谷化学工業株式会社)、膨脹剤は炭酸水素アンモニウム(住友化学工業株式会社)、含有させる栄養成分として、ビタミン混合品(DSMニュートリションジャパン株式会社)を用いた。
次に、各テスト品の評価は次のように行った。まず、本テスト品をビニール袋に入れた後、麺打ち棒で破砕し、粒子を形成させ、喫食摂食するに適度な大きさ(5.5メッシュ(粒径3.35mm)〜4.0メッシュ(粒径4.75mm))の粒子が得られるかどうかを確認した。尚、この場合、配合によっては破砕時に直ちに粉々になって粉体状態となってしまい、適度な大きさの粒子を得るのが困難なものが見られた。
【0063】
次に、即席麺に熱湯を注湯し3分間保持した後に得られた粒子を上部より添加し、得られた粒子が液面の上部に浮遊することを確認した。
また、これらの得られた粒子を直接摂食して風味・食感・後味についての官能試験を行った。官能評価は、熟練のパネラー5人の総合評価とし、優れたものから、◎、〇、△、×、××の5段階で評価した。各評価項目の内容・評価については以下の表2に、各試験例の結果について表3に示す。
【0064】
【表2】



【0065】
【表3(a)】

【0066】
【表3(b)】

【0067】
小麦粉のみでは、サクサク感を得ることができなかったが、澱粉の添加によりこれを得ることができた。また、ショ糖を添加しない場合やデキストリンのみの場合には、乾燥後の粉砕時に直ちに粉々になってしまい適度な粒径を有する粒子を得ることができなかった。粉砕時に粉末状態にならず適度な粒径を維持するためには、糖類の添加が必要であることが判った。さらに、ショ糖を使うと甘みが強くなるため、これをデキストリンで置換できることがわかった。

【0068】
<試験例3> 小麦粉・澱粉の配合量を変化させた場合
生地における小麦粉及び澱粉の適当な配合範囲を検討した。テスト品の調製方法及び評価基準については試験例2に示したものと同様である。結果を表4に示す。
【0069】
【表4(a)】

【0070】
【表4(b)】

【0071】
生地の原料に占める小麦粉及び澱粉量が多いとマイクロ波での加熱乾燥時に生地の膨化が悪くなる傾向があり、少ないと熱風乾燥後の生地がやや脆くなる傾向がみられた。小麦粉及び澱粉の含量は、マイクロウエーブ乾燥前の生地全重量に対して45重量%〜55重量%程度であればより好適であることがわかった。


【0072】
<試験例4> 小麦粉の種類を変化させた場合
生地における小麦粉の種類を検討した。テスト品の調製方法及び評価基準については試験例2に示したものと同様である。結果を表5に示す。
【0073】
【表5(a)】

【0074】
【表5(b)】

【0075】
このように薄力粉、中力粉、強力粉のいずれも使用ができるが、強力粉を使用する場合澱粉の割合を増加させれば良いことが判った。官能評価の良し悪しは、グルテンの含量に依存する傾向が強いと考えられ、小麦粉及び澱粉の全重量を100%とした場合に、これに対して含まれるグルテンの量が概ね2.0〜6.0%程度であれば好適であると考えられる。

【0076】
<試験例5> 糖類及びデキストリンの配合量を変化させた場合
生地における糖類及びデキストリンの適当な配合量範囲を検討した。テスト品の調製方法及び評価基準については試験例2に示したものと同様である。結果を表6に示す。
【0077】
【表6(a)】





【0078】
【表6(b)】

【0079】
糖類及びデキストリンの含量が少ないと、マイクロ波での加熱乾燥時の膨化が弱くなる傾向になり、含量が多いと熱風乾燥後の生地がやや硬化する傾向がみられた。
糖類及びデキストリンの含有量は、マイクロウエーブ乾燥前の生地全重量に対して、10重量%〜25重量%程度であれば好適であることがわかった。

【0080】
<試験例6> 各種澱粉を用いた場合
使用する澱粉を変えた場合に食感等に対する影響を調べた。テスト品の調製方法及び評価基準については試験例2に示したものと同様である。結果を表7に示す。
【0081】
【表7(a)】

【0082】
【表7(b)】



【0083】
【表7(c)】

【0084】
各種澱粉について試験した結果、いずれの澱粉も使用できることが判った。但し、好ましくは、ヒドロキシプロピル化のエーテル化及びリン酸架橋の両方の加工処理したもの、又はこれらのうちのいずれかの加工処理をしたものであることが判明した。
【0085】
<試験例7> 糖類を変更した場合の効果
使用する糖を変えた場合に食感等に対する影響を調べた。テスト品の調製方法及び評価基準については試験例2に示したものと同様である。結果を表8に示す。
【0086】
【表8】

使用する糖としては、種々のものが使用できるが、ショ糖が出来上がりの官能評価では最も良好であった。

【0087】
<試験例8> 膨脹剤を変更した場合の効果
使用する膨脹剤を変えた場合に食感等に対する影響を調べた。テスト品の調製方法及び評価については試験例2に示したものと同様である。尚、ベーキングパウダーは市販のものを用い、その主な組成は、炭酸水素ナトリウムが25重量%、焼ミョウバンが25重量%、第一リン酸カルシウムが15重量%であった。結果を表9に示す。
【0088】
【表9】

【0089】
膨脹剤としては、特に限定されないが、重曹のようにアルカリ性の膨脹剤では、加熱乾燥した後の製品がやや褐変することが判明した。従って、炭酸水素アンモニウムのように酸性の膨張剤であることが好ましいと考えられる。

【0090】
<試験例9> 各種栄養成分等の添加の例
使用する膨脹剤を変えた場合に食感等に対する影響を調べた。テスト品の調製方法及び評価基準については試験例2に示したものと同様である。尚、使用した各成分について、コエンザイムQ10(CO-Q10)は旭化成ファーマ株式会社製、BCAAmix(分岐鎖アミノ酸の混合品)は協和発酵株式会社製、L−カルニチンはロンザジャパン株式会社製、コラーゲントリペプチドはゼライス株式会社製、液化トコフェロールは理研ビタミン株式会社製のものを使用した。さらに本試験例においては各栄養成分ごとに異なる色素を添加した。結果を表10に示す。

【0091】
【表10(a)】

【0092】
【表10(b)】

【0093】
【表10(c)】

【0094】
ビタミン、アミノ酸、タンパク質、脂質等を添加したが物性に対する影響は少なく、いずれの場合にも好ましい風味、サクサク感等の食感、良好な後味を得ることができた。本願発明において幅広い栄養成分等を含有させることができることが判った。
特に、ビタミン混合品の苦味やコラーゲンの獣臭等、各成分をそのままでは摂取しにくいものであっても、本願発明の乾燥栄養補助食品及び乾燥健康食品の形態では無理なく摂取できることが判明した。
尚、コエンザイムQ10、L−カルニチン、コラーゲントリペプチド、ビタミン混合品を添加した場合について、熱風乾燥して破砕後の乾燥栄養補助食品及び健康食品の斜視図を図1に示す。また、各栄養成分ごとに別のガラス製容器に収納し集合させたものの正面図を図2に示す。

【0095】
<試験例10> 各種既存の食品に添加した場合
【0096】
本願発明の乾燥栄養補助食品を各種既存の食品に添加した場合の食感等について調べた。乾燥栄養補助食品の配合は以下の表11に示すものである。また、乾燥栄養補助食品の調製は試験例2に示したものと同様である。各種既存の食品に添加した場合の評価結果について表12に示す。
【0097】
【表11】

【0098】
尚、本試験におけるビタミン混合品は、粉末品のビタミンプレミックスタイプRD−2005(DSMニュートリションジャパン株式会社)を用いた。得られたテスト品を以下の表11に示す各種食品に添加して摂食の際の食感等について調査した。表11において実施例は試験例2の場合と同様にして乾燥後のビタミン混合品を添加した栄養補助食品を粉砕して、大きさ5.5メッシュ(粒径3.35mm)〜4.0メッシュ(粒径4.75mm)としたものを用いた。この粒子について、市販の各種食品(ヤキソバ・スパゲティ・チャーハン・コーンスープ・サラダ・ヨーグルト・コーンフレーク(牛乳入)・野菜ジュース・アイスクリーム・プリン)に各々10gずつを振りかけてから摂食した。比較例1は、ビタミンプレミックスタイプRD−2005を粉末0.3gをそのまま各既存の食品に添加した。比較例2は、ビタミンプレミックスタイプRD−2005の3.0gを50mlの水に溶解してその5mlを各既存の食品に添加した。
【0099】
摂食時の評価は、所定量の添加のし易さ、摂食時の官能評価、摂取すべき成分(ビタミン混合品)の摂取の容易性、の各項目について行った。評価の基準は優れたものから、◎、〇、△、×、××の5段階で評価した。結果を表12に示す。

【0100】
【表12】

【0101】
本願発明による乾燥栄養補助食品及び乾燥健康食品は、実施例1に示すように既存の各種食品に添加する場合、目視で振りかけるだけで概ね所定量を添加することができた。また、摂食時の官能評価においてもサクサクとした食感を楽しむことができ官能的にも優れており、既存の種々の食品と相性が良いことが判明した。さらに、目視で添加した乾燥栄養補助食品及び乾燥健康食品の存在を既存の食品中に認識できるため、固形食品に添加した場合には、箸でピックアップすることができた。また、液状食品であれば表面に浮遊するため、表面のスープを吸うか又はスプーンで無駄なく摂食することができた。このように、既存の食品の全量を摂食しなくても、摂取すべき成分(ビタミン混合品)を摂取することが可能であった。さらに、本願発明による乾燥栄養補助食品及び乾燥健康食品はサクサクとした食感を呈するため既存の食品との相性が良いことが判明した。
【0102】
一方、比較例1や比較例2のように、ビタミン混合品を粉末状態のまま、又は水に溶解して添加したものでは、所定量を添加する際のブレが大きくスプーン等が必要になった。
また、既存の食品中に混合されてしまうと添加した成分(ビタミン混合品)の存在が認識できなくなり、全量を摂食しないと添加した成分(ビタミン混合品)を摂取できなかった。既存の食品に添加した状態について、ヨーグルト、アイスクリーム、プリンのそれぞれの斜視図を図3に示す。

【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1(a)】試験例9に記載したコエンザイムQ10を含有する乾燥健康食品の斜視図である。
【図1(b)】試験例9に記載したビタミン混合品を含有する乾燥栄養補助食品の斜視図である。
【図1(c)】試験例9に記載したL−カルニチンを含有する乾燥健康食品の斜視図である。
【図1(d)】試験例9に記載したコラーゲントリペプチドを含有する乾燥健康食品の斜視図である。
【図2】試験例9に記載した乾燥栄養補助食品及び乾燥健康食品を振りかけ容器に収納したものの集合正面図である。左からコエンザイムQ10、ビタミン混合品、L−カルニチン、コラーゲンである。
【図3(a)】試験例10記載したコエンザイムQ10を含有する乾燥健康食品をヨーグルトに振りかけたものの斜視図である。
【図3(b)】試験例10記載したビタミン混合品を含有する乾燥栄養補助食品をアイスクリームに振りかけたものの斜視図である。
【図3(c)】試験例10記載したL−カルニチンを含有する乾燥健康食品をプリンに振りかけたものの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖質、オリゴ糖、多糖類、脂質、核酸、その他健康の維持・増進作用を有する食品素材等から選択される1種又は2種以上の成分を補給するための該成分を含有する栄養補助食品及び健康食品であって、
既存の食品の喫食時に該食品に添加することにより、該食品と同時に喫食することを特徴とする栄養補助食品及び健康食品。

【請求項2】
前記既存の食品が液体部分を含む食品である場合において、該食品に添加した場合に前記液体部分の液面に浮くものとなる請求項1に記載の栄養補助食品及び健康食品。

【請求項3】
前記栄養補助食品及び健康食品が乾燥タイプであって、以下の工程;すなわち、
A)小麦粉及び/又は澱粉を主原料とする粉体に、所定の成分又は健康の維持・増進作用を有する食品素材、糖類及び/又はデキストリン、膨脹剤及び水を加え、混練して生地を調製する工程、
B)前記調製後の生地をマイクロ波で加熱乾燥する工程、
の各工程を含む工程により製造される請求項2記載の栄養補助食品及び健康食品。

【請求項4】
前記B工程の後に、C工程としてマイクロ波で加熱乾燥後の生地を熱風乾燥する工程を含む請求項3記載の栄養補助食品及び健康食品。

【請求項5】
前記B工程又はC工程の後に、乾燥後の生地を破砕する工程を含む請求項3又は4に記載の栄養補助食品及び健康食品。

【請求項6】
前記A工程における混練後の生地の全重量に占める小麦粉及び澱粉の割合が45〜55重量%であり、糖類及びデキストリンの割合が10〜25重量%である請求項3乃至5いずれかに記載の栄養補助食品及び健康食品。

【請求項7】
前記糖類がショ糖を含有する糖類である請求項3乃至6いずれかに記載の栄養補助食品及び健康食品。



【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図1(c)】
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【図1(d)】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図3(c)】
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【公開番号】特開2009−159873(P2009−159873A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341551(P2007−341551)
【出願日】平成19年12月29日(2007.12.29)
【出願人】(000226976)日清食品ホールディングス株式会社 (127)
【Fターム(参考)】