説明

栗選別機

【課題】多量の果肉状態の栗をイメージ処理装置を用いて迅速且つ正確に選別することができる栗選別機を提供すること。
【解決手段】栗をブリッジ現象無しに整列して移送するためのバイブレーションフィーダーと、バイブレーションフィーダーによって移送される栗のイメージ獲得装置と、イメージを処理するためのイメージ処理装置と、イメージ処理装置で判別された信号によって制御信号を発生する制御装置と、制御装置から入力された信号によって栗を収納ボックスの各収納ラックに分別収納するための分別装置とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栗選別機に関し、より詳しくはイメージ処理(画像処理)を用いて栗を選別する栗選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、本明細書では栗の外皮及び内皮をむいた果肉状態の栗(剥き栗)を中心として説明する。
【0003】
果肉状態の栗は非定型であるので、肉眼で選別するには手間が多くかかり、よって迅速に選別し難い。このような肉眼による選別は多くの時間がかかって栗の新鮮度を低下させる。
【0004】
果肉状態の栗は一定の形状を有しておらず、りんごやトマトのような大抵定型の果物とは異なり、特別な選別方法が必要である。
【特許文献1】特開2006−150256
【特許文献2】特開2004−181432
【特許文献3】特開2002−262842
【特許文献4】韓国実用新案1996−009524 Y1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は前述した従来の問題点を解決するために案出されたもので、多量の果肉状態の栗を、イメージ処理装置を用いて迅速且つ正確に選別することができる栗選別機を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は栗をサイズ別に選別することができる栗選別機を提供することを目的とする。
【0007】
更に、本発明は腐敗による斑点が形成された栗を選別することができる栗選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明は栗をブリッジ現象無しに整列して移送するためのバイブレーションフィーダーと、前記バイブレーションフィーダーによって移送される栗のイメージ獲得(画像取得)装置と、前記イメージを処理するためのイメージ処理装置と、前記イメージ処理装置で判別された信号によって制御信号を発生する制御装置と、前記制御装置から入力された信号によって各栗を収納ボックスの所定の収納ラックへと分別するための分別装置と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外皮及び内皮のむかれた果肉状態の栗をサイズ別に選別できるだけでなく、腐敗せず斑点の形成されていない栗を選別できる栗選別機を提供することができる。
【0010】
また、本発明は多量の栗をイメージ処理装置によって迅速且つ正確に選別できる栗選別機を提供することができる。
【0011】
また、本発明は手作業による汚染原因に露出される時間を著しく減少させることができ、果肉状態の栗のように水分が含まれている食品が汚染原因に長い間露出されないようにすることができる。
【0012】
更に、本発明はコンピューターによるイメージ処理によって果肉状態の栗を選別するため、一定の誤差範囲内では一定した判別が行われ、肉眼によっては2乃至3等級による分離が可能であるが、本発明によれば5乃至7等級の選別も極めて容易で且つ正確に行われることができる。
【0013】
尚、本発明はイメージ処理装置によって高い選別率を有する栗選別機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明による好適な実施形態をより詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態による栗選別機を示す図である。
【0016】
図1に示したように、一応外皮及び内皮の剥かれた果肉状態の栗51は、1次ホッパー10に大量に投入されてコンベヤー20によって一定の分量ずつ移送された後、最終のホッパー30に投入される。コンベヤー20は、所定の栗52が運搬されるようにしてその分量だけの栗53が最終のホッパー30に投入されるようにすることが望ましい。最終のホッパー30に投入された栗53は、1次バイブレーションフィーダー40に供給されて栗54が一定の間隔を形成して移送されるようにする。そして1次バイブレーションフィーダー40から最終のバイブレーションフィーダー100を経るようにする。必ずしも1次バイブレーションフィーダー及び最終のバイブレーションフィーダーを具備しなければならないわけではなく、最終のバイブレーションフィーダーで栗が個々に分離されて所定の間隔を形成しながら移送されれば十分である。このように、栗が個々に分離されて移送されることを、ブリッジ現象なしに整列されて移送されるという。
【0017】
イメージ獲得装置200によって、最終のバイブレーションフィーダー100の上面を介して個々に分離されて移送される栗55のイメージを獲得する。イメージ処理装置300により、イメージ獲得装置200によって得た栗のイメージから栗のサイズを判別する。例えば、5等級の中でどの等級に該当するかを判別し、制御装置400に栗の規格に基づく信号が送られる。
【0018】
最終のバイブレーションフィーダー100の端部の下方には分別装置500が設けられている。本発明の一実施形態では、分別装置500としてエアシリンダーセットが用いられる。最終のバイブレーションフィーダー100の上面から8列にて栗が移送され、例えば5等級に分類することを希望すると、4×8=32個のエアシリンダーが具備されなければならない。制御装置400から信号を受けてエアシリンダーは作動される。
【0019】
栗は最終のバイブレーションフィーダー100を経て落下し、制御信号を受けるエアシリンダーの誘導板が栗の落下時点にて作動されて当該収納ラックに栗を収納する。
【0020】
図1に示したように、栗が第2等級に分類されると、第一のエアシリンダー510を経て第二のエアシリンダー520の誘導板によって当該収納ラックに分離される。
【0021】
本発明の他の実施形態では、収納装置がエアノズル方式により作動されることができ、この場合栗が落下しながらエアノズルから噴射される空気によって指定収納ラックに分離されるようになる。なお、エアシリンダーの場合と同様の、レバー状に回動可能に支持された誘導板が、エアノズルによって持ち上げられて栗を指定の収納ラックに導くというのであっても良い。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態による栗選別機において、栗が最終のバイブレーションフィーダーによって移送される状態を示す図である。
【0023】
図2に示したように、最終のバイブレーションフィーダーの上面は凹凸部102が形成されており、栗82が凹面上に列をつくって移送される。イメージ獲得装置200は、最終のバイブレーションフィーダー100の上で栗のイメージを獲得する。最終のバイブレーションフィーダー100は、振動によって栗が個々に離隔されて移送されるようにし、ある栗の全体としてのサイズのイメージがイメージ獲得装置200によって獲得されるようにする。すなわち、各栗について複数のイメージを取得し、これら複数のイメージに基づき画像処理を行うことにより、各栗の体積もしくは重量について推算することができる。最終のバイブレーションフィーダーの上面の凹凸部102は栗が複数の列、例えば5〜20列といった多数の列をつくって移送されるようにするためのものである。最終のバイブレーションフィーダー100の下方には一組のエアシリンダーセットが設けられる。従って、収納ボックス560は、図2に示したように長方形のボックスである。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態による栗選別機のイメージを獲得する状態を示す図である。
【0025】
図3に示したように、最終のバイブレーションフィーダー100の上で個々に分離されて移送される栗97が示されている。イメージ獲得装置200によって栗97のイメージが獲得され、その後イメージ処理装置によって規格を判別することに用いられる。
【0026】
図4は、本発明の一実施形態による栗選別機における栗の分別及び収納が行われる状態を示す図である。
【0027】
図4に示したように、制御装置400によって当該シリンダーが作動される。図4には、最終のバイブレーションフィーダー100から落下する栗91の様子と、これが第一のシリンダー510を経て、第二のシリンダー520の先端に具備されている誘導板525によって特定の収納ラックの側へと導かれている栗92の様子と、シュートを滑り落ちつつ当該収納ラックに導かれる栗93の様子とが示されている。例えば、左側の収納ラックの栗94には、右側の収納ラックの栗95に比べて、より大きな栗が収められる。なお、図示の具体例において、収納ボックス560を構成する各収納ラックには、最終のバイブレーションフィーダー100の送り出し端から最も近い収納ラックを除き、収納ラックの仕切り壁から延在されるシュートが設けられている。また、具体例において、仕切り壁及びシュートは、平板状であり、該送り出し端に平行に延びている。しかし、適宜に平行配置からずれても良く、広義の並行であれば良い。なお、バイブレーションフィーダー100の送り出し端から最も近い収納ラック(栗94が収納されている収納ラック)には、いずれのシリンダーも非作動の状態で、該送り出し端から落下した栗が収納される。図示の具体例では、栗が、直接自然落下して、最も近い収納ラック中へと収納されるか、または、非作動状態の誘導板525にかすかに接触しつつ落下して収納される。また、誘導板525は、非作動状態にあるとき、下端が、最も近い収納ラックの外壁(仕切り壁でない方の、シュートを有しない直立壁)を向いている。また、誘導板525は、作動状態にあるとき、下端が、対応するシュートの上端の近傍に位置する。
【0028】
図5は、本発明の他の実施形態による栗選別機の大略的な構成状態を示す図である。図1乃至図4に係る実施形態は本発明によって栗のサイズを選別するための構成であり、図5に係る実施形態は栗の斑点を選別するための構成である。図5を参照すると、図1乃至図4による構成との特別な差異は、傾斜路120を通過するように構成されている点であるが、イメージ獲得装置200によって傾斜路120を通過しながら栗のイメージを獲得するようになっており、このとき、各栗について、複数のイメージを獲得した後、栗の斑点生成有無を判別することもできる。
【0029】
図5に示したように、傾斜路を通過する栗のイメージをイメージ獲得装置によって得てイメージ処理装置で斑点有無を判別する。
【0030】
この際、栗には斑点の有無に応じて2種の栗に選別が行われ、よって収納ラックは2つで十分である。例えば、収納ボックス560の右側にある栗72は斑点が形成されており、右側にある栗74は斑点が形成されていない。この他の図5の構成は図1乃至図4における構成と同様である。
【0031】
図6は、図5を上から見た状態を示す図である。図6には、千鳥状、すなわちジグザグ状の傾斜路を通過している状態の栗96が示されている。栗は、千鳥状の傾斜路120を通過しながらイメージ獲得装置200に対し、いろんな方向から露出される。図示の例において、千鳥状の傾斜路は、同様に千鳥状に折れ曲がって延びる仕切り部及び外縁部によって8列に設けられている。
【0032】
図7は、本発明の一実施形態に用いられる千鳥状の傾斜路を示す図である。
【0033】
図7に示したように、栗は千鳥状の傾斜路120を伝って滑り落ちつつ、イメージ獲得装置200に対して方向を変えるか回転することで、いろんな方向からイメージ獲得装置200に露出されるようになる。
【0034】
本発明の好適な一実施形態によれば、多量の栗の選別が高速に行われる。本発明の好適な一実施形態では、かかる栗の選別に対する情報を表示するためにディスプレー装置が具備される。ディスプレー装置によって選別状態を直ちに知ることができ、このため栗の品質に対する資料として利用できるので有用である。例えば、ディスプレー装置により、ある供給者から受け取った栗について、斑点のある栗の割合を直ちに知ることができる。本発明の一実施形態によれば、ディスプレー装置90はイメージ処理装置300と同時に使用することも望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態による栗選別機を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による栗選別機において、栗が最終のバイブレーションフィーダーによって移送される状態を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による栗選別機のイメージを獲得する状態を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による栗選別機における栗の収納が行われる状態を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態による栗選別機の大略的な構成状態を示す図である。
【図6】前記図5を上から見た状態を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に用いられる千鳥状の傾斜路を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
10 1次ホッパー 20 コンベヤー 30 最終のホッパー
40 1次バイブレーションフィーダー
100 最終のバイブレーションフィーダー 200 イメージ獲得装置
300 イメージ処理装置 400 制御装置 500 分別装置
510 第一のエアシリンダー 520 第二のエアシリンダー
525 誘導板 560 収納ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栗をブリッジ現象無しに複数列に整列して移送するためのバイブレーションフィーダーと、
前記バイブレーションフィーダーによって移送される栗のイメージ獲得装置と、
前記イメージを処理するためのイメージ処理装置と、
前記イメージ処理装置で判別された信号によって制御信号を発生する制御装置と、
前記バイブレーションフィーダーの送り出し端に対して並行に配置された仕切り壁により複数の収納ラックに仕切られ、該仕切り壁ごとにシュートを備えた収納ボックスと、
前記バイブレーションフィーダーの送り出し端から落下する各栗を、前記制御装置から入力された信号によって指定された収納ラック中へと導くための分別装置と、を含むことを特徴とする栗選別機。
【請求項2】
前記イメージ処理装置では、各栗について複数のイメージを取得し、これら複数のイメージに基づき、栗のサイズに対する判別処理が行われることを特徴とする請求項1に記載の栗選別機。
【請求項3】
前記イメージ処理装置では、各栗について複数のイメージを取得し、これら複数のイメージに基づき、栗の斑点有無に対する判別処理が行われることを特徴とする請求項1に記載の栗選別機。
【請求項4】
各栗について複数のイメージを取得すべく栗の回転を誘導するための複数列の千鳥状の傾斜路を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の栗選別機。
【請求項5】
前記分別装置は、前記バイブレーションフィーダー上の移送列の数と、前記仕切り壁の数とを掛け合わせた数だけのエアシリンダー及びその先端の誘導板からなり、各誘導板は、作動状態において、下端が、対応するシュートの上端の近傍に位置することを特徴とする請求項3に記載の栗選別機。
【請求項6】
前記分別装置は、前記バイブレーションフィーダー上の移送列の数と、前記仕切り壁の数とを掛け合わせた数だけのエアノズルからなることを特徴とする請求項1に記載の栗選別機。
【請求項7】
前記栗が、外皮及び内皮をむいた後の非定型の栗であり、栗の選別状態を表すためのディスプレー装置を更に含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の栗選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−301545(P2007−301545A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198751(P2006−198751)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(506249897)株式会社ガナエンジニアリング (1)
【出願人】(506249886)
【Fターム(参考)】