説明

校正装置

【課題】タイヤユニフォーミティ測定装置にて水平方向に基準荷重を負荷する校正において、正確な校正値を取得することが可能な校正装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る校正装置1は、回転駆動するタイヤWからの荷重を受けるロードホイール30を備え、ロードホイール30が受ける荷重に基づいてタイヤWの均一性を測定するタイヤユニフォーミティ測定装置を校正する校正装置1であって、ロードホイール30の外周面を押圧する押圧部と、錘5が接続されたワイヤ6が係止される係止部と、押圧部と係止部との間にて支点支持される支点部とを有するレバー3と、ワイヤ6がかけられた滑車2と、滑車2を支持する支持部とを備え、滑車2は、両側面に設けられ滑車2の中心軸を通過する先端を有するエッジ部を有し、エッジ部の先端は支持部と直線で接触して、支持部にて滑車2を支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの均一性を測定するタイヤユニフォーミティ測定装置を校正する校正装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤユニフォーミティ測定装置は、円筒状のロードホイールをスピンドルに組み付けられ回転駆動するタイヤに当接させて、ロードホイールに荷重付与し、その荷重をロードホイールの上部および下部に設けられたロードセルで測定する。ロードホイールは、円筒の中心軸を中心にして回転可能に設置されており、タイヤの回転駆動を受けて回転する。
【0003】
測定時スピンドルとロードホイールは、規定荷重が付与できる一定距離に保たれることから、測定対象のタイヤが均一であれば、ロードホイールがタイヤから受ける荷重は、理論上一定である。一方、測定対象のタイヤに寸法的不均一やばね系の不均一があると、ロードホイールがタイヤから受ける荷重に変化が生じる。タイヤユニフォーミティ測定装置は、この荷重の様々な方向への変化を測定し、測定結果を、タイヤの均一性を評価する各種パラメータに換算する。
【0004】
上記のタイヤユニフォーミティ測定装置は、ロードホイールに対する荷重と、ロードセル測定値の一致または不一致を校正・確認する必要があり、特許文献1には、この校正装置および方法に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−198549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タイヤユニフォーミティ測定装置に設けられるロードセルは、ロードホイールの上部と下部にそれぞれ一つずつ配置される。ロードセルは、ロードホイールが受ける垂直方向の荷重と水平方向の荷重を測定でき、タイヤユニフォーミティ測定装置は、両者の結果に基づいて、タイヤの均一性を評価する各種パラメータを算出する。
【0007】
ロードセルは、水平方向の荷重と垂直方向の荷重を測定できることから、タイヤユニフォーミティ測定装置の校正においても、ロードホイールに対して水平方向(半径方向)および垂直方向(軸方向)に基準となる荷重を負荷する。後者の垂直方向の校正は、ロードホイールに基準荷重となる錘(おもり)を直接載せることで実施できる。一方、前者の水平方向の校正は、基準となる錘を用いつつ、ロードホイールに水平方向に基準荷重を負荷する。
【0008】
水平方向に基準荷重を負荷する方法として、特許文献1のように、ロードホイールの回転中心軸を水平方向に引っ張って、ロードセルに基準荷重を負荷する方法がある。また、関連技術には、ロードホイールの回転中心軸を固定したまま、ロードホイールの円筒面(外周面)を水平方向に押圧して、ロードセルに基準荷重を負荷する方法がある。
【0009】
ところで、タイヤユニフォーミティ測定装置の校正装置にて、ロードホイールへ水平方向に基準荷重を負荷する場合、錘による垂直方向の荷重を、滑車を使用して水平方向に変更する必要がある。このとき、滑車において回転抵抗があると、全ての基準荷重をロードホイールに伝達できず、正確に校正できないという問題があった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、タイヤユニフォーミティ測定装置にて水平方向に基準荷重を負荷する校正において、正確な校正値を取得することが可能な校正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の校正装置は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る校正装置は、回転駆動するタイヤからの荷重を受けるロードホイールを備え、ロードホイールが受ける荷重に基づいてタイヤの均一性を測定するタイヤユニフォーミティ測定装置を校正する校正装置であって、ロードホイールの外周面を押圧する押圧部と、錘が接続されたワイヤが係止される係止部と、押圧部と係止部との間にて支点支持される支点部とを有するレバーと、ワイヤがかけられた滑車と、滑車を支持する支持部とを備え、滑車は、両側面に設けられ滑車の中心軸を通過する先端を有するエッジ部を有し、エッジ部の先端は支持部と直線で接触して、支持部にて滑車を支持する。
【0012】
タイヤユニフォーミティ測定装置は、ロードホイールが回転駆動するタイヤと接触してタイヤから荷重を受け、その荷重に基づいてタイヤの均一性を測定する。ロードホイールは通常円筒形状であり、中心軸を軸にして回転可能に設置されており、タイヤの回転駆動を受けて回転する。ロードホイールが受ける荷重は、ロードホイールの上下に一つずつ設けられたロードセルによって測定されるが、正確な測定を行うために校正をする必要がある。校正装置は、錘によってロードホイールに基準となる荷重を負荷し、ロードセルがロードホイールに負荷される錘による荷重を測定することで、校正が行われる。
【0013】
この発明によれば、レバーは押圧部、係止部、および押圧部と係止部の間にある支点部を有しており、支点部を支点として係止部に負荷される錘による荷重が押圧部に伝達され、押圧部がロードホイールの外周面を押圧する。係止部は、ワイヤが係止されており、ワイヤを介して錘による荷重を受ける。滑車は、ワイヤがかけられており、錘側の垂直荷重を係止部側の水平方向荷重へ転換する。滑車は支持部によって支持される。
【0014】
ここで、滑車は、両側面にエッジ部が設けられており、エッジ部の先端によって滑車が支持部にて支持される。エッジ部の先端は、滑車の中心軸を通過しており、支持部と直線で接触する。したがって、滑車は、エッジ部の先端を支点として揺動可能になる。エッジ部の先端を支点とする滑車は、滑車がベアリングのみによって支持される場合に比べて、回転抵抗が無く揺動するため、錘の全荷重をそのままレバーに伝達できる。その結果、精度良くロードセルを校正できる。
【0015】
上記発明において、押圧部のうちロードホイールの外周面を押圧する部分と、係止部のうちワイヤと係止する部分と、支点部の中心は、一直線上に配置されることが望ましい。
【0016】
この発明によれば、レバーにおいてロードホイールの外周面を押圧する部分と、ワイヤと係止する部分と、支点部の中心が一直線上に配置されるため、レバー比を正確に管理でき、正確な校正値を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、タイヤユニフォーミティ測定装置にて水平方向に基準荷重を負荷する校正において、正確な校正値を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るタイヤユニフォーミティ測定装置および校正装置を示す上面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るタイヤユニフォーミティ測定装置および校正装置を示す側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る校正装置の滑車および錘を示す側面図である。
【図4】図3のA−A線で切断した断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る校正装置の支持部を示す側面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る校正装置の滑車を示す側面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る校正装置のレバーを示す側面図である。
【図8】図7のB−B線で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、図1および図2を参照して、タイヤユニフォーミティ測定装置について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤユニフォーミティ測定装置および校正装置を示す上面図である。図2は、本実施形態に係るタイヤユニフォーミティ測定装置および校正装置を示す側面図である。
【0020】
タイヤユニフォーミティ測定装置は、ロードホイール30と、ロードセル31,32と、キャリッジ33と、レール34と、スピンドル40などからなる。
【0021】
スピンドル40は、中心軸を中心にして回転駆動する。スピンドル40には、試験体のタイヤWが設置され、タイヤWのユニフォーミティを測定する際、タイヤWはスピンドル40によって回転させられる。
【0022】
ロードホイール30は、円筒状部材であり、円筒の中心軸を中心にして回転可能にキャリッジ33に設けられる。ロードホイール30は、試験体のタイヤWに対して、接近又は離隔可能である。タイヤWのユニフォーミティを測定する際、ロードホイール30は、ロードホイール30に規定荷重を付与できる位置(おおよそ符号30Aの位置)まで、タイヤW方向へ移動され、タイヤWによって押圧され、タイヤWが回転するとその回転に伴って回転する。
【0023】
ロードセル31は、ロードホイール30の中心軸の上部に設けられ、ロードセル32は、ロードホイール30の中心軸の下部に設けられる。ロードセル31,32は、ロードホイール30が受ける垂直方向の荷重と、水平方向の荷重を測定できる。
【0024】
キャリッジ33は、ロードホイール30とロードセル31,32を支持しつつ、ロードホイール30とロードセル31,32を、ロードホイール30の半径方向に移動させる。レール34はスピンドル40の半径方向の延長上に設けられており、キャリッジ33はレール34上を移動する。キャリッジ33はレール34上を移動することで、スピンドル40およびタイヤWに対して、近接したり離隔したりする。キャリッジ33の移動によって、ロードホイール30はタイヤWと接触したり離隔したりすることができる。
【0025】
上述したタイヤユニフォーミティ測定装置によって、タイヤWのユニフォーミティ(均一性)を測定する際、まず、ロードホイール30をタイヤWの方向へ、規定荷重が付与できる位置まで移動させる。そして、タイヤWを回転させて、ロードホイール30を回転させながら、ロードセル31,32にて荷重の変化を測定する。タイヤWのユニフォーミティは、ロードセル31,32が測定した水平方向の荷重と垂直方向の荷重に基づいて算出されるタイヤの均一性を評価できる各種パラメータによって判断される。
【0026】
例えば、ロードホイール30がタイヤWから受ける荷重に変化が無ければ、測定対象のタイヤWが均一であると判断される。一方、ロードホイール30がタイヤWから受ける荷重に変動が生じれば、測定対象のタイヤWに寸法的不均一やばね系の不均一があると判断される。
【0027】
次に、本発明の一実施形態に係る校正装置1について説明する。
校正装置1は、上述したタイヤユニフォーミティ測定装置を校正する装置である。タイヤユニフォーミティ測定装置は、ロードセル31,32を用いてロードホイール30が受ける荷重を測定しており、校正されることによって正確なユニフォーミティの測定が可能となる。本実施形態の校正装置1は、ロードホイール30に対して水平方向(半径方向)に基準荷重を負荷することで、ロードセル31,32による水平方向の測定についての校正を実施する。本実施形態では、水平方向に基準荷重を負荷するため、ロードホイール30の円筒面(外周面)を水平方向に押圧する。
【0028】
校正装置1は、滑車2と、レバー3と、滑車2を支持する支持部11と、錘5と接続されつつレバー3に係止されるワイヤ6などからなる。なお、校正装置1によってタイヤユニフォーミティ測定装置を校正する場合、ロードホイール30を例えば図1中の実線で示す位置へ移動させ、スピンドル40とロードホイール30の間にレバー3を設置する。そして、レバー3と滑車2へワイヤ6をかけて、ワイヤ6の端部に錘5を吊り下げる。
【0029】
滑車2は、外周面に設けられた溝にワイヤ6がかけられ、ワイヤ6に負荷される引張り力の方向を例えば水平方向と垂直方向に転換する。すなわち、滑車2を使用して、錘5による垂直方向の荷重を水平方向に転換する。滑車2は、支持台4に設けられた支持部11によって支持される。なお、本実施形態では、滑車2とレバー3の間には他部材がなく、ワイヤ6が水平方向に張られる場合について説明するが、本発明はこの例に限定されない。たとえば、ワイヤ6との抵抗が少ない部材に限定されるが、滑車2とレバー3の間に他部材、例えば別の滑車が設けられてもよい。この場合、滑車2は、錘5による垂直方向の荷重を、水平方向に対して所定角度を有する斜め方向に変更する。
【0030】
レバー3は棒状部材であり、ロードホイール30に近接して設けられる。本実施形態では、レバー3は、支持台7の2本の支柱間に架けられた支持材8の中間部にて支持されている。レバー3は、図7に示すように、押圧部21、係止部17、および押圧部21と係止部の間にある支点部19を有する。支点部19を支点として、係止部17に負荷される錘5による荷重が、支点部19を支点として押圧部21に伝達される。レバー3の一端部に設けられた押圧部21は、ロードホイール30の外周面を押圧する。一方、レバー3の他端部に設けられた係止部17は、ワイヤ6が係止されており、ワイヤ6を介して錘5による荷重を受ける。
【0031】
ワイヤ6は、図3に示すように、一端部にフック15が設けられ、フック15は錘5に設けられたフック14を引っ掛ける。ワイヤ6の他端部はレバー3の係止部17に係止される。
【0032】
次に、図3および図4を参照して、滑車2および滑車2を支持する支持部11について説明する。
【0033】
滑車2には、図4に示すように、両側面にエッジ部9が設けられる。エッジ部9は、滑車2の側面から外側に突出している。滑車2のみを側面から見ると図6に示すとおりになる。そして、図3および図4に示すように、エッジ部9の先端10によって、滑車2が支持部11によって支持される。エッジ部9の一端に設けられる先端10は、丸棒形状を有しており、例えばベアリングなどに使用されるコロ部材である。支持部11の受け部12と接触する図3中の符号10aが滑車2の中心軸を通過するように先端10が滑車2に形成される。ここで、先端10は、滑車2の他の部分と一体に形成されてもよいし、または、先端10を形成する部分に貫通穴を設け、その貫通穴にコロ部材を設置することで形成されてもよい。
【0034】
なお、エッジ部9と滑車2の間にさらにベアリングを設けることも可能である。この場合、錘5を載せていない状態で発生するワイヤ6の水平部分の自重によるたわみを、錘5を載せ始めた際の滑車2の回転で解消させる利便的効果がある。
【0035】
支持部11は、図4に示すように、互いに対向する一対の部材であり、二つの支持部11間に滑車2が設置される。図5に支持部11を示す。図5では破線で滑車2を示している。支持部11には、滑車2を支持するための受け部12が形成される。受け部12は、滑車2のエッジ部9が内部に設置される開口13を有する。受け部12は、支持部材11の他の部分よりも硬質な部材で形成され、エッジ部9の先端10による磨耗を防止する。
【0036】
なお、図3や図5に示す支持部11における受け部12はリング状であるが、本発明はこの例に限定されない。エッジ部9の先端10を介して滑車2を支持することができれば、円ではなく円の一部からなる弧状でもよい。
【0037】
このような滑車2および支持部11において、滑車2にワイヤ6がかけられ錘5が吊り下げられると、滑車2は、水平方向と垂直方向の引っ張り力を受けて、エッジ部9は、水平方向に対して斜め45°下方向に力が負荷される。このとき、エッジ部9の先端10は、支持部11の受け部12と直線で接触する。
【0038】
滑車2は、エッジ部9の先端10を支点として揺動可能である。エッジ部9の先端10を支点とする滑車2の揺動は、滑車2がベアリングによって支持されて回転する場合に比べて抵抗が少ない。そのため、滑車2は力の変化に対して応答が良く、わずかな力の変化で揺動する。
【0039】
本発明と異なり、滑車2の中心にベアリングを装着した場合、滑車2は、回転抵抗によって、錘6の全荷重をレバー3に伝達できないため、レバー3のロードホイール30に対する荷重は、錘5の荷重から回転抵抗による荷重ロスを差し引いた値となる。この荷重ロスを算定することは困難であり、また変動することから、校正精度に影響を及ぼす。
【0040】
一方、本実施形態では、滑車2はエッジ部9の先端10によって支持部11に支点支持され揺動するため、抵抗が小さい。したがって、滑車2がベアリングによって支持される場合に比べて抵抗が小さいため、錘5の全荷重をそのままレバー3に伝達できる。その結果、精度良くロードセル31,32を校正できる。
【0041】
次に、図7および図8を参照して、レバー3について説明する。
レバー3は、図7に示すように、水平方向に架けられた支持材8上に設けられた支点支持材16に設置される。レバー3の支点部19は、レバー3の側面に外側に突出して設けられた円板状部材である。支点支持材16には開口18が設けられ、レバー3の支点部19は開口18に挿入される。そして、支点部19は、例えばベアリングを介して支点支持材16に支持される。これにより、レバー3は、係止部17に引っ張り力が作用することによって揺動可能である。
【0042】
係止部17は、図7に示すとおり、例えばレバー3に形成された開口である。係止部17は、符号17aにてワイヤ6と係止しワイヤ6からの引っ張り力をレバー3本体に伝達する。なお、係止部17は、開口ではなくレバー3の側面に外側に突出して設けられた突起部材でもよい。係止部17が突起部材である場合、ワイヤ6は図2に示すようにワイヤ6端部がリング状に加工されて、係止部17にワイヤ6のリングを係止させる。
【0043】
押圧部21は、例えばロードホイール30の外周面に対して垂直に押圧力を伝達できるように、丸棒である。押圧部21は、レバー3に形成された開口20に挿入されてレバー3本体と一体化される。図7および図8に示す例では、押圧部21とロードホイール30の間に当接部22が設けられる。当接部22は、直方体状の部材であり、押圧部21とロードホイール30間に配置される。
【0044】
当接部22は、図7に示すように吊り部24によってロードホイール30上端から吊り下げられており、レバー3とは別の部材である。そして、押圧部21が、押圧部21の外周面21aにて当接部22を押圧し、当接部22が、当接部22の端面22aにてロードホイール30の外周面を押圧する。これによって、押圧部21は、当接部22を介してロードホイール30の外周面を押圧できる。当接部22には下面に保持部23が設けられる。保持部23は、図8に示すとおり、ロードホイール30に沿って長い部材であり、押圧時の当接部22の姿勢保持に役する。なお、ロードホイール30に当接部22が適切に接した場合は、保持部23は、ロードホイール30に接しない寸法関係となっている。
【0045】
ここで、レバー3において、押圧部21が当接部22を介してロードホイール30の外周面を押圧する部分21aと、係止部17がワイヤ6と係止する部分17aと、支点部19の中心19aが一直線上に配置される。このように3点の位置が配置されることにより、係止部17と支点部19間の長さと、支点部19と押圧部21間の長さによるレバー比を正確に管理できる。すなわち、係止部17に作用する入力荷重に基づく押圧部21の出力荷重が正確なレバー比に基づいて算出される。その結果、本実施形態では正確な校正値を得ることができる。
【0046】
次に、本実施形態に係る校正装置1の設置およびその動作について説明する。
まず、ロードホイール30がスピンドル40から離隔した位置に移動され、支持台7、支持材8および支点支持材16を用いてレバー3がロードホイール30に沿って設置される。このとき、レバー3の押圧部21とロードホイール30の間に当接部22が設置される。次に、支持台4上の支持部11に支持された滑車2と、係止部17にワイヤ6をかける。これにより、校正装置1の設置が完了し、校正装置1による校正の準備が整う。
【0047】
校正は、錘5をワイヤ6の滑車2側の端部に吊るすことによって行われる。錘5を増減することによって、複数の入力値に対応する複数の出力値を取得できる。錘5による基準荷重をロードホイール30へ入力したときのロードセル31,32の値を測定し、必要に応じ調整することでロードセル31,32を校正できる。
【0048】
本実施形態では、レバー3の押圧部21がロードホイール30の外周面を押圧することから、ロードホイール30は、タイヤユニフォーミティ測定装置がタイヤWの均一性を測定するときと同一方向の押圧力を受ける。そのため、本実施形態の校正装置1は、例えば特許文献1のように、ロードホイールの回転中心軸を水平方向に引っ張って、ロードセルに基準荷重を負荷する方法に比べて、実際の測定方法に近い。
【0049】
また、本実施形態ではレバー比が正確に決定されることから、錘5に対応した正確な荷重がロードホイール30に負荷される。さらに、滑車2が、エッジ部9の先端10によって支持部11にて支点支持され、少ない抵抗で揺動できる。そのため、レバー3に撓みが生じた場合でも、錘5の全荷重をそのままレバー3に伝達でき、精度良くロードセル31,32を校正できる。
【符号の説明】
【0050】
1 校正装置
2 滑車
3 レバー
4,7 支持台
5 錘
6 ワイヤ
8 支持材
9 エッジ部
10 先端
11 支持部
12 受け部
13 開口
14,15 フック
16 支点支持材
17 係止部
18,20 開口
19 支点部
21 押圧部
22 当接部
23 保持部
24 吊り部
30 ロードホイール
31,32 ロードセル
33 キャリッジ
34 レール
40 スピンドル



【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動するタイヤからの荷重を受けるロードホイールを備え、前記ロードホイールが受ける前記荷重に基づいて該タイヤの均一性を測定するタイヤユニフォーミティ測定装置を校正する校正装置であって、
前記ロードホイールの外周面を押圧する押圧部と、錘が接続されたワイヤが係止される係止部と、前記押圧部と前記係止部との間にて支点支持される支点部とを有するレバーと、
前記ワイヤがかけられた滑車と、
前記滑車を支持する支持部と、
を備え、
前記滑車は、両側面に設けられ前記滑車の中心軸を通過する先端を有するエッジ部を有し、
前記エッジ部の前記先端は前記支持部と直線で接触して、前記支持部にて前記滑車を支持する校正装置。
【請求項2】
前記押圧部のうち前記ロードホイールの外周面を押圧する部分と、前記係止部のうち前記ワイヤと係止する部分と、前記支点部の中心は、一直線上に配置される請求項1に記載の校正装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−167962(P2012−167962A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27767(P2011−27767)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】