説明

核酸調製物

【課題】混入のおそれのない、鋳型核酸の高度増幅方法と、そのための装置を提供する。
【解決手段】鋳型核酸試料をPCRで増幅するに際して、第一増幅チャンバー内での一次温度サイクル数をかけられた後、部分量の当該反応混合物が、第一増幅チャンバーよりも容積の小さい第二増幅チャンバー内で二次温度サイクル数にかけられる。当該二工程の増幅方法は、検出限界に影響することなく全体的な反応時間を短縮することができ鋳型核酸からの核酸の調整は、コンピュータプログラムにより制御されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋳型核酸からの核酸の調製方法、鋳型核酸からの核酸の調製のための診断装置、温度サイクルを使用する鋳型核酸からの核酸の調製の制御方法のためのコンピュータープログラム、上記プログラムを含んで成るコンピュータープログラム製品、核酸を調製するための装置、及び試料中の鋳型核酸の存在、又は非存在、又は量を測定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これらの核酸を含む試料由来の核酸の増幅方法は既知である。生体内における(in vivo)方法において、増幅すべき核酸を含有するように遺伝子改変されたゲノムを有する微生物は、大量の核酸のコピーを産出するために使用される。このような方法は、緩慢であり、且つ成功的な実現の前に多くの実験を必要とする。より最近、微生物の関与なく大量の核酸を調製するための試験管内(in vitro)における方法が確立された。第一の試験管内増幅法は、ポリメラーゼ チェーン リアクション(PCR)であり、EP 201 184 において説明されている。PCRの極めて好ましい態様において、増幅すべき核酸を含む試料は、標的の核酸に対してプライマーハイブリダイゼーションする工程、鋳型としてコピーする核酸由来の伸長生成物を調製するための上記プライマーを伸長する工程、及び伸長生成物を鋳型核酸から分離する工程を反映した温度プロフィールに反復してかけられる。当該温度プロフィールは何回か適用され、当該工程の反復を許容し、最初のプライマーの伸長生成物とハイブリダイゼーションできる第二プライマーのハイブリダイゼーション及び伸長を含む。
【0003】
上記方法は、増加量の核酸により供される検出の優れた感度に基づき、核酸の測定方法に適用されてきた。EP 200 362 において、反応混合物中でハイブリダイゼーションが可能なプローブを核酸に付加することを用い、当該試料中の原核酸の尺度として形成されたハイブリッドの存在、非存在、又は量を測定する方法が開示されている。
【0004】
より最近、核酸の増幅方法が極めて有効であるため、当該環境、例えば、増幅反応が行われた実験室の混入の危険性が解ってきた。これは後の検出の誤った肯定的な結果となりうる。EP 543 942 において、プローブを付加するためのハイブリッドの増幅及び検出の間、反応チャンバー、管、又はチューブを開ける必要のない方法が開示されている。これらの方法は、相同(homogenous)増幅及び検出法と呼ばれている。
【0005】
顕著な程度に増幅反応を行うために必要な時間は、使用される反応容量に依存する。例えば、PCRシステム9700機器(Applied Biosystems)をサーモサイクラーとして50〜100μl容量でPCR反応を行う場合、2〜4時間の反応時間が必要とされる。当該時間の大半は、当該温度サイクルを行うために当該反応混合物の温度を変化するために必要とされる。これはいくつかの方法によりスピードアップすることができる。第一に、当該反応容器の形状を、より早い加熱及び冷却を許容する増加した表面を得るように変形させることができる。第二に、小さな容積が加熱及び冷却ことを必要となるように当該反応容積を減少させることができる。これらの方法により、ライトサイクラー(LightCycler)(登録商標)(Roche Diagnosics)等のサーモサイクラーは、数時間の反応時間から数分の反応時間に減少させることを許容する。しかしながら、小さな反応容積の使用はまた、少量の試料しか反応物に添加することができないという不利益を有し、検出限界(LOD)を比例的に低下させるであろう。あるいは、広く極めて平らな増幅セル(very flat amplification cell)により、当該反応容量を維持し、そして熱拡散距離を最小化することができる。しかしながらこれは、顕著に増加した増幅領域及び検出領域を増加させ、そしてこのような方法により、極めて高価なサーモサイクラー及び大量の使い捨てに導くであろう。更に、このような反応チャンバーの増加した表面は当該反応を阻害しうる。
【0006】
WO2004/51218において、反応混合物の全ての成分のマルチプレックス増幅後、当該反応混合物を一定量に分け、そして、分離反応において特定の分析物の特異的な増幅のために、当該一定量を試薬で処理する異なる分析物を検出する方法を開示する。当該方法は、二次増幅のための追加的な試薬が必要であるという不利益を有する。
【0007】
WO02/20845において、低プライマー濃度で一次増幅反応を使用し、続いて更にプライマーを添加し、更に増幅工程を行うことにより、プライマー−ダイマー形成を避けるための方法が開示されている。また、当該方法は、増幅の間の一定の段階において、更に試薬を添加するために反応チューブを開けなければならないという不利益を有する。これは、実験室でのワークフローの不便さと、混入の原因の問題の両方を有する。更に、標準的なサーモサイクラーの使用は、極めて早いサイクル速度を許容しない。
【0008】
前述の先行技術文献の両方は、いずれかの方法により増幅時間を短縮することを目的とせず、従って、本発明の目的は増幅速度を向上することであった。
【発明の開示】
【0009】
第一の観点において、本発明は、以下を含んで成る温度サイクルに試料かけることにより、鋳型核酸から核酸を調製する方法に関する。
a)一次量の一次反応混合物を調製するために、第一増幅チャンバー中の一次量の上記試料を、一次温度サイクル数にかけること、及び、
b)二次量の二次反応混合物を調製するために、第二増幅チャンバー中の部分量の上記一次反応混合物を二次温度サイクル数にかけること、
ここで上記第二増幅チャンバーの容積は、好ましくは上記第一増幅チャンバーの容積よりも小さい。
【0010】
全体的な加熱及び冷却速度は、好ましくは工程a)において、少なくとも2ケルビン/秒(K/s)であり、工程b)においてはより高く、好ましくは少なくとも5K/sである。
【0011】
第二の観点において、本発明は、鋳型から核酸を調製するための以下を含んで成る診断装置を目的とする。
−第一増幅チャンバー、及び、
−第二増幅チャンバー、
ここで、第二増幅チャンバーの容積は、好ましくは第一増幅チャンバーの容積よりも小さい。全体的な加熱及び冷却速度は、好ましくは工程a)において、少なくとも2ケルビン/秒(K/s)であり、工程b)においてはより高く、好ましくは少なくとも5K/sである。
【0012】
第三の観点において、当該発明は、温度サイクルを使用する鋳型核酸からの核酸の調製方法を制御するためのコンピュータープログラムであって、当該コンピュータープログラムが一次温度サイクル数を試料に対して、続いてより短いサイクル時間を有する二次温度サイクル数を、同じ試料から生じる異なる容量の反応混合物において適用するように設定されることを特徴とするコンピュータープログラムに関する。
【0013】
第四の観点において、本発明は、物理的記憶手段において上記プログラムを含んで成るコンピュータープログラム製品に関する。
【0014】
第五の観点において、本発明は、核酸を調製するための以下を含んで成る機器に関する。
−サーモサイクラー、及び、
−当該サーモサイクラーを制御するためのユニット、
ここで、当該サーモサイクラーを制御するためのユニットは、上記コンピュータープログラムでロードされる。
【0015】
第6の観点において、本発明は、上述の核酸調製法、及び測定すべき核酸の存在、又は非存在、又は量の尺度として核酸の形成を測定することを含んで成る試料中の鋳型核酸の存在、又は非存在、又は量を測定する方法に関する。
【0016】
発明の詳細な説明
本発明のある観点は、鋳型核酸から核酸を調製する方法に関する。当該方法において、一次量の一次反応混合物を調製するために一次量の試料を一次温度サイクル数にかける。それから二次量の二次反応混合物を調製するために一定量/部分量の一次反応混合物を二次温度サイクル数にかける。一次反応混合物の一定量のみを第二の数の温度サイクルにかけることにより、減少した熱分散距離により温度サイクルあたりの時間を、一次反応混合物を温度サイクルにかけるために必要な時間と比較して減少させることができる。最初の僅かな温度サイクルが増幅の特異性に最も重要であり、従って、主要なそれぞれの到達点まで極めて正確な温度レベルが必要である。また一次反応工程における約5〜200μlの反応容量は、極めて感受的な増幅方法を可能とするための、分析すべき試料物質由来の十分な核酸調製物を添加するために十分な容量を供する。追加的な40〜50サイクルの第二部は、検出可能なシグナルレベルを創造するために主に必要とされる。これらの必要性に従い、サイクラー、増幅チャンバー、及びフィードバックコントロールは、極めて正確な温度レベル又はスピードのいずれにも調節することができる。更に、よく限局され、コンパクトな第二増幅容量は、高感度の光学的設定に導く。当該原理は図1に示される。
【0017】
当該方法は、好ましくはPCR法に基づくが、他の方法、例えば、直線的な、又は指数関数的な核酸増幅法もまた使用することができる。指数関数的な増幅法は当業界において周知である。特に適当なものは、PCR(米国特許第4,683,202号)及びLCR(米国特許第5,185,243号、米国特許第5,679,524号、及び米国特許第5,573,907号)等の方法であり、当該反応混合物が、反復的に異なる温度にかけられる(温度サイクル)。
【0018】
試料の量、一次温度サイクル数及び二次温度サイクル数、並びに長さは、具体的な目的、及び使用される増幅方法に依存する。一次量の試料は、典型的には5μl〜200μl、好ましくは5μl〜50μlの量を有する。増幅反応を行うために必要な更なる試薬を、乾燥形体における、例えば、第一増幅チャンバー中の沈着物としての試料に添加することができ、当該沈着物は、試料の添加により溶解される。これらの試薬はまた、溶液中に、典型的には2.5〜100μl、より好ましくは2.5〜25μlの容量において添加することができる。それから当該試料を第一増幅チャンバー中で一次温度サイクル数にかけることができ、それは典型的には3〜15温度サイクルであり、より好ましくは5〜8である。温度サイクルの長さは異なる増幅方法間で顕著に変化する。PCRのために、典型的には20秒〜5分、より好ましくは20〜120秒の間で変化する。当該工程において、好ましくは増幅チャンバーは、少なくとも2ケルビン/秒より好ましくは4〜7K/sの全体的な加熱及び冷却速度を有して使用される。
【0019】
全体的な加熱、各冷却速度は、ある温度レベルを次の温度レベルに切り替えるために必要な時間により分けられる温度工程として説明することができる。これは、より速いPCRプロトコルに導くことができるサーモサイクラー機器における関連パラメーターである。典型的にはこれらの工程は、95℃〜60℃、60℃〜72℃、及び72℃〜95℃である。従って、本発明の文脈において、加熱及び冷却速度は、約60℃〜95℃の範囲の温度における与えられた増幅チャンバー及び与えられた反応容量の速度として理解される。
【0020】
当該全体的な加熱及び冷却速度は、加熱及び冷却のためのサーモサイクラーにおいて使用される手段により、並びに増幅すべき反応混合物の容量を決定する増幅チャンバーのサイズにより影響される。少容積を有する増幅チャンバーを伴う高速サーモサイクラーの使用は、短いサイクリングタイムを許容する。
【0021】
装備されたアルミニウムブロックを伴うペルチェ技術(Peltier technology)(Applied Biosystem 9700)に基づく慣習的なサーモサイクラーは、典型的には、2〜3K/s以下の全体の傾斜速度を有し、そしてこのために単独では、本明細書において提唱された概念の完全な利点を受けることを許容しない。5〜6K/sの加熱及び冷却速度を生じるサーモサイクラー、例えば、ライトサイクラー(LightCycler)又は高性能なペルチェ素子を装備した機器で、最初の利点が現れるであろう。更なる利点は、特に冷却速度が10K/s超の傾斜速度を許容するサーモサイクラーを使用して達成することができる。
【0022】
それから、二次量の二次反応混合物を調製するために、上記一次量の部分量の反応混合物が、第二増幅チャンバーにおいて二次温度サイクル数にかけられる。反応混合物の上記一次量の部分量の容量は、典型的には0.05〜5μL、より好ましくは0.1〜2μLの容量を有する。典型的には、部分量の上記一次反応混合物は、50以下の温度サイクル、より好ましくは20〜40の温度サイクルにかけられる。少容量の上記部分量の上記一次反応混合物は、上記第二増幅チャンバーのより高い全体的な加熱及び冷却速度(少なくとも5K/s、好ましくは8〜12K/s)を許容し、そして温度サイクルの長さは最初の増幅における温度サイクルの長さより短くすることができ、通常5〜30秒間に変動する。
【0023】
当該試料は、ヒト、動物及び自然界の他のものに由来してよい。特に診断的アプローチにおける好ましい試料は、血液、血清、血漿、骨髄、組織、痰、胸膜、及び肋膜浸出液及び懸濁液、尿、精子、並びに便である。
【0024】
好ましくは、当該核酸は、増幅前に試料から精製し、これにより多かれ少なかれ純粋な核酸試料を増幅反応に添加することができる。核酸の精製方法は、当業界において周知である。更に、Sambrookらにおいて説明される実験室的方法(Molicular Cloning - A Laboratory Manual, Coldspring Harbour Laboratory Press(1989))、市販キットもまた当該目的のために入手可能である(例えば、MagNAPure(登録商標), Roche Diagnostics)。
【0025】
このため、本発明に従う試料は、特に試料中に存在する核酸の更なる精製が必要とされず、並びにドナー試料由来の核酸調製物を含む精製された試料を必要としない場合には、ドナーに直接由来する試料であってよい。
【0026】
本発明の他の観点は、試料中に存在する核酸の精製が、好ましくは装置の第一増幅チャンバー中に組み込まれる、上述のような試料由来の核酸の調製、及び/又は検出方法に関する。試料中に存在する核酸が、核酸増幅反応を行うために使用される同反応チャンバー中で精製される装置及び方法は当業界において既知である。例えば、WO 03/106031において、結合マトリックス、例えば、ガラスフリースが試料中に存在する核酸を捕獲するために使用される、統合装置が説明されている。試料調製後に、核酸試料調製に使用した同反応チャンバー中で増幅反応を行うことができる。このようなアプローチは本発明の方法及び装置と組み合わせることができる。試料の核酸は精製することができ、そして装置の第一増幅チャンバー中で一次量の一次反応混合物を調製するために、一次温度サイクル数にかけることができる。それから二次量の二次反応混合物を調製するために、一定量の上記一次反応混合物を、二次温度サイクル数のための第二増幅チャンバーに移すことができる。このような方法及び装置は、いくつかの予測できない有利性を有する。第一に、すでに説明したとおり、二次増幅工程は、より少容量のために極めて速い温度サイクルを許容する。第二に、試料の核酸がより部分的に試料調製に使用された結合マトリックスと結合し、そして完全に上記マトリックスから溶出しない場合、結合マトリックスが一次温度サイクル数中に存在するために、これらの核酸をより増幅させることができる。そして第三に、上記結合マトリックスがいくらか伸長するための増幅反応を阻害する場合であっても、当該反応物を二次温度サイクル数にかける時には、当該阻害効果はもはや存在しない。なぜなら、二次温度サイクル数を行うために使用される一定量の一次反応混合物は、もはや上記結合マトリックスと接触しないからである。
【0027】
温度サイクルは、上記反応混合物が限定された時間かけられる、少なくとも2つの温度の連続として定義される。当該温度サイクルは繰り返すことができる。PCR法において、通常3つの異なる温度が使用される。約45〜70℃において、プライマーが標的核酸とアニーリングする。約72℃において、当該標的と結合したプライマーは、熱安定的なポリメラーゼにより伸長し、そして続いて約90〜100℃において、二本鎖核酸が分離される。PCR法において、当該温度サイクルは通常30〜50回繰り返される。当該反応混合物中の温度を変化するために必要される時間は、主に反応容器の容積及び形状に依存し、そして通常数分間から僅か数秒間に変動する。
【0028】
部分量の一次反応混合物を二次温度サイクル数にかける前に、当該部分量の反応混合物を第二増幅チャンバーに移すことが好ましい。これは、ピペットを使用することにより手動で行うことができる。しかしながら混入リスクの観点において、これは、装置、例えば、ポンプ及びバルブにより自動化することが好ましい。第一及び第二増幅チャンバーは、チャネル、バルブ、疎水性障壁、及び他の手段により互いに分離することができる。このような組み込まれた装置のための技術的手段は専門家にとって既知である(例えば、Lee et al., J. Micromech. Microeng. 13 (2003) 89-97; Handique et al., Anal. Chem. 72 4100-9; Hosokawa et al., Anal. Chem. 71 4781-5, Puntambekar et al., Proc. Transduces' 01 (Berlin: Springer) pp 1240-3, Zero et al., Sience 291 1023-6; Andersson et al., Sensors Actuators B 75 136-41を参照のこと)。
【0029】
第一及び第二増幅反応チャンバーを、両方の反応混合物を物理的に分離することなく1つの分離していないチャンバーにおいて2つの区画とすることもまた選択肢の一つである。しかしながらこの場合、特に第一及び第二反応区画中で調製した増幅した核酸に関して、二次温度サイクル数にかける時に反応生成物の拡散を防止/最小化することが必要である。これはいくつかの方法、例えば、固相結合型プライマーにより達成することができる。
【0030】
チャネルを第一及び第二増幅チャンバー間に設置する場合、バルブ、ベント、疎水性障壁による物理的な分離もまた両チャンバー間の拡散を最小化する場合に回避することができる。
【0031】
上記反応混合物は、選択的な増幅方法を行うために必要な全ての成分を含む。通常これらは、増幅すべき標的核酸との特異的な結合を許容するプライマー、酵素、例えば、ポリメラーゼ、逆転写酵素等、ヌクレオチド三リン酸、バッファー、一価及び二価カチオン、例えば、マグネシウムである。当該成分は増幅方法に依存し、そして専門家に周知である。
【0032】
一次及び二次反応混合物において調製された核酸生成物は、当業界に既知な方法、例えば、アガロースゲルにおいて当該生成物の長さを検出することにより検出することができる。配列特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより、例えば、サザン又はドットブロット技術を行うことにより、更なるレベルの特異性を達成することができる。相同的増幅及び検出方法において、プローブ検出又は他の検出方法は、増幅した核酸を産出する間、反応混合物中にすでに存在している。EP 0 543 942において説明されている方法においてプライマーを伸長するときに、当該プローブはポリメラーゼのプロセッシングにより分解されている。一般的に周知なラベルは検出のために使用することができる。例は、蛍光ラベル、例えば、フルオレッセイン、ローダミン等である。
【0033】
従って、本発明のある観点は、以下を含んで成る、試料中の鋳型核酸の存在、又は非存在、又は量を測定する方法に関する。
a)一次量の反応混合物を調製するために、第一増幅チャンバー中の一次量の上記試料を一次温度サイクル数にかけること、
b)二次量の二次反応混合物を調製するために、第二増幅チャンバー中の部分量の上記一次反応混合物を二次温度サイクル数にかけること、及び、
c)測定すべき核酸の存在、又は非存在、又は量の尺度として、核酸の形成を測定すること、
ここで、上記第二増幅チャンバーの容積は、好ましくは上記第一増幅チャンバーよりも小さい。全体的な加熱及び冷却速度は、好ましくは工程a)において少なくとも2ケルビン/秒(K/s)であり、工程b)においてはより高く、好ましくは少なくとも5K/sである。
【0034】
核酸の形成は、工程a)及びb)の終了後、又は増幅工程a)及び/又はb)の間のいずれかにおいて測定することができる。
【0035】
部分量の一次反応混合物を第二増幅チャンバーに移すとき、通常、更なる反応成分は添加しない。これは、少なくとも自動的に行われる場合にいずれかの反応チャンバーを開けることを防ぎ、そしていかなる混入リスクも防ぐ。しかしながら、特別な適用のために、更なる試薬を添加することが有用となりうる。例えば、ネステッドPCR法を行う場合に更なるプライマー、又は一定の増幅生成物の検出を許容する追加的なプローブを添加することが有用となりうる。これらの試薬は、手動で添加してもよいが、部分量の一次反応混合物の第二増幅チャンバーへの移動において当該反応及び混合前に液体又は固形形態において反応装置中に保管することもできる。本発明の具体的な態様において、これらの試薬、特にプライマー及びプローブは固相に結合される。
【0036】
部分量の一次反応混合物のみが二次反応混合物を調製するために使用されるので、原理的には、複数の二次反応混合物が一次反応混合物に由来してもよい。これは、一以上の部分量の一次反応混合物を二次温度サイクル数にかけることを許容し、従って、複数の反応プロトコルを許容する。これは、最も単純な場合において、当該方法において得られた結果を満足する同じ混合物の並行反応であってよい。異なるプライマー及び/又はプローブが部分量の一次反応混合物に添加される場合、例えば、標的の異なる対立遺伝子を検出するために、現実にマルチプレックス検出法が可能である。
【0037】
本発明の方法のための可能な装置は、実施例3において説明されている。上ですでに議論されたとおり、本発明の方法は一定の装置に制限されない。これは、商業的に入手可能なサーモサイクラー、例えば、アプライド バイオシステム 9700’er システム、及びライトサイクラー(Roche Diagnostics)を使用して手動で行うことができる。しかしながら、当該方法は、例えば、Micro Total Analysis Systems, Proceedings uTAS'94, A van den Berg, P Berveld, 1994; Integrated Microfabricated Biodevices, M J Heller, A Guttman, 2002; microsystem Engineering of Lab-on-a-Chip devices, O Geschke, H Klank, P Tellemann, 2004; US 2003/0152492 及びUS 5,639,423で説明されるように機能的な統合装置に特に適している。このような装置は通常自動化された液体輸送を有し、反応チャンバー間の試料の輸送、温度サイクルのための手段、当該装置中にプレロードした、又は自動的に添加することができる試薬、及び当該反応生成物を検出するための手段を許容する。当該反応は、制御するためのコンピューター手段及びコンピュータープログラムにより制御されている。
【0038】
従って、本発明の他の観点は、以下を含んで成る、鋳型から核酸を調製するための診断装置である。
−第一増幅チャンバー、及び
−第二増幅チャンバー、
ここで、上記第二増幅チャンバーの容積は、好ましくは上記第一増幅チャンバーの容積よりも小さい。当該全体的な加熱及び冷却速度は、工程a)において少なくとも2ケルビン/秒(K/s)であwり、工程b)においてはより高く、好ましくは少なくとも5K/sである。
【0039】
第二増幅チャンバーの容積のより小さなサイズは、各温度サイクルのために必要な時間を減少することを許容する。標準的なサーモサイクラー、例えば、PCRシステム9700(Applied Biosystemes)において、増幅チャンバーの容積サイズを変えず、そして更に、数分以下の温度サイクルに必要な時間の減少を許容しない温度サイクリングに、メタルブロックが最もよく使用される。従って、一定量の増幅反応を用い、そして第二増幅反応のためにより速いサーモサイクラー、例えば、ライトサイクラーを使用することは、当該アッセイの精度を低下することなく、全体の反応時間を減少することを許容する。
【0040】
基本的に、本発明の診断装置に適当な増幅チャンバーは、先行技術において既知である。これらのチャンバーは反応混合物を入れるためのスペースを供する。当該チャンバーは、例えば、サーモサイクラー、例えば、Perkin Elmer 9700er 機器のメタルブロック中に開けた孔に装着した薄壁のプラスチックチューブ、又はライトサイクラー機器に設置することができる内部容積のガラスキャピラリーのであってよい。当該増幅チャンバーの容積は、当該反応において使用することができる反応混合物の最大容量により決定される。
【0041】
当該反応混合物は、例えば、加熱素子、例えば、ペルチェ−又は耐−加熱素子を使用することにより加熱することができる。冷却するために、活性冷却素子又は受動冷却素子、例えば、ヒートシンクを使用することができる。当該増幅チャンバー中に含まれた反応混合物に対して加熱及び冷却を行うために、いくつかの方法が知られている。多くの慣習的なサーモサイクラーにおいて、増幅チャンバーに含まれるメタルブロックは、反応混合物に対して加熱及び冷却を供するために使用される。ライトサイクラーフォーマットにおいて、ガラスキャピラリーの周りを浮遊するホットエアースチームは、当該機能を供する。
【0042】
本発明の診断装置は上述のように少なくとも2つの増幅チャンバーを有する。これらのチャンバーは1つの機器又は2つの異なる機器において分離して位置してよく、これにより一定量の一次反応混合物の第二増幅チャンバーへの移動を手動ピペッティング、又は好ましくは自動化により行うことができる。本発明に従う装置は当該装置を入れるための容器を有する。またそれは、チャンバーを加熱及び冷却する手段、好ましくは温度サイクル中に増幅サイクルの温度を制御するために、好ましくは以下に示すようにコンピュータープログラムでロードされる制御ユニットを含んで成る。
【0043】
従って、本発明の更なる観点は、温度サイクルを使用する鋳型核酸からの核酸の調製方法を制御するためのコンピュータープログラムであって、一次温度サイクル数を当該試料に適用し、続いて同試料から生じる異なる容量の反応混合物においてより短いサイクル時間を有する二次温度サイクル数に適用するために設定されることを特徴とするコンピュータープログラムである。本発明のより好ましい観点は、上述のような核酸の調製方法を制御するためのコンピュータープログラムに関する。
【0044】
このようなコンピュータープログラムは物理的な記憶手段、例えば、ディスケット又はCDにおいて保管することができる。
【0045】
本発明の更なる観点は、以下を含んで成る、核酸の調製のための装置である。
−サーモサイクラー、及び
−当該サーモサイクラーを制御するためのユニット、
ここで、当該サーモサイクラーを制御するためのユニットは、上述のようにコンピュータープログラムでロードされる。当該サーモサイクラーは、好ましくは上述のような診断装置である。
【0046】
本発明は、以下の実施例において更に説明される:
【実施例】
【0047】
実施例1
最適化PCRプロトコル
立方の反応チャンバーにおいて100μlのPCR反応を行うために、最適化アリコットPCR法において100μlの容量において何回サイクルを行うべきか、そしてその後、検出限界の変化及び感度を失うことなく、時間が最小となる方法を行うために、何回のサイクルでどれほどのサイズの一定量を第二反応チャンバーに添加すべきかという問題が浮上した。100μlにおける典型的なPCRサイクルは、約130秒必要である。最適化PCR反応において増幅した核酸の量は、1サイクルあたり約2倍になる。従って、nサイクル後には、1/2nの容量の一次反応物を、2番目の温度サイクルにかける部分量として使用することができ、少量のために極めて速く循環することができる。短縮された温度サイクルに必要な正確な時間は、温度プロフィールによる一方、及び熱拡散距離による他方において定められる。実際の計算のために、加熱された容量が立方の形状を有するし、そして1つの壁を介して熱原/シンクと接触するものと仮定した。PCRにおける大半の時間は、同様の温度分布に達するために1つの壁から水を介して熱拡散が原因により消費されるであろう。熱拡散時間は、立方容積の横幅の2乗で決まり、従って容量半分への減少は拡散時間を22/3分の1に減少させる。更に典型的には、50温度サイクルの運転が想定される。
【0048】
当該計算の結果を図2に示す。50の長さの温度サイクルにおいて行う場合、当該反応時間は110分であろう。本発明の方法を適用することにより、これは感度を失うことなく20分まで短縮することができる。示されるように、5〜8サイクル後に、一定容量の一次反応混合物を取ること、及び当該部分量を残っている温度サイクルにかけることが最適であり、少量のためにより速く行うことができる。一次温度サイクル数に依存して、3.2〜0.4μlが第二反応のために使用される。当該サイズの反応容量は、標準的な検出方法、例えば、蛍光検出により増幅した核酸を検出するのによく適していることに更に言及するべきである。当該計算はいくつかの推定、例えば、1サイクルあたりの標的核酸の倍加(実際の実験において達成することは困難である)に基づいているが、本発明の有利性を極めてよく示す。
【0049】
実施例2
図3は、本発明の方法を行うために適当である2つの増殖チャンバー及びサーモサイクラー素子を有する装置のスキームを示す。当該2つのチャンバーは、疎水性のバルブとして実施することができる狭い区画を介して物理的に接触している。第一増幅チャンバーが充填されている場合、当該方法により第二増幅チャンバーは自発的に充填されない。何回かの温度サイクル後、例えば、装置を回転することにより、又は静水圧を適用することにより一定量の一次反応混合物は第二増幅チャンバーに移動される。
【0050】
実施例3
図4は、チューブの先端へと拡幅している細いチューブにより特徴付けられるライト−サイクラー(登録商標)チューブの改良を示す。当該広い区画及び狭い区画は互いに疎水性区画(バルブ)により分離されている。チューブの上半分において最初の数サイクルを流した後、一定量を、この度極めて早いサイクルプロフィールを許容する当該チューブの下の区画にスパンする。これは当然に、サイクリングプログラムにおいて遠心分離工程を許容するためにいくらかの機器の改良を必要とする。しかしながら当該遠心分離工程はまた、現在のライト−サイクラー(登録商標)装置の改良を必要とすることなく入手可能な遠心機を使用して行うことができる。
【0051】
実施例4
図5は、より高い反応容量により一次温度サイクル数を行い、そして1以上の部分量の一次反応混合物を二次温度サイクル数にかけ、そしてこれによりマルチプレックス反応法を許容するための1つの反応チャンバーを有するディスク型装置のスキームを示す。この場合、当該反応液はディスク装置を回転し、遠心力を適用することにより輸送することができるが、他の方法、例えば、含気力、真空等を使用することもできる。通常、例えば、バイアル、疎水性ベント等により第一及び第二反応チャンバー間の液体連結を可逆的に遮断することが賢明である。しかしながら、すでに概要したとおり、拡散が最小化となる場合、2つの反応容器を有する1つの反応チャンバーを使用することが可能であり、これにより、第二容器は、より速い温度サイクルのために使用することができる。増幅された核酸の拡散の最小化は、例えば、プライマー及び/又はプローブを固相に結合させることにより達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本発明に隠された原理を示す。第二工程において反応容量を減少させることにより、検出限界(LOD)を変化することなく必要とされる反応時間を減少させることができる。
【図2】図2は、最適化されたアリコット増幅方法の計算結果を示す。
【図3】図3は、上述の核酸調製法を行うために有用な2つの増幅チャンバーを含んで成る温度サイクル装置を示す。
【図4】図4は、本発明の方法を行うための使い捨てのキャピラリーを示す(実施例3も参照のこと)。
【図5】図5は、マルチプレックス様式において上述の核酸調製方法を行うために可能な装置を示す(実施例4も参照のこと)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を温度サイクルにかけることにより鋳型核酸から核酸を調製する方法であって、
a)一次量の一次反応混合物を調製するために、第一増幅チャンバー中の一次量の上記試料を一次温度サイクル数にかけること、及び、
b)二次量の二次反応混合物を調製するために、第二増幅チャンバー中の部分量の上記一次反応混合物を二次温度サイクル数にかけること、
を含んで成り、
ここで上記第二増幅チャンバーの容積が、上記第一増幅チャンバーの容積よりも小さい方法。
【請求項2】
試料を温度サイクルにかけることにより鋳型核酸から核酸を調製する方法であって、
a)一次量の反応混合物を調製するために、少なくとも2ケルビン/秒(K/s)の全体的な加熱及び冷却速度で、第一増幅チャンバーにおいて一次量の上記試料を一次温度サイクル数にかけること、及び、
b)二次量の二次反応混合物を調製するために、上記第一増幅チャンバーよりも高く、且つ少なくとも5K/sの全体的な加熱及び冷却速度で、第二増幅チャンバーにおいて部分量の上記一次反応混合物を二次温度サイクル数にかけること、
を含んで成る方法。
【請求項3】
上記第二増幅チャンバーの容積が上記第一増幅チャンバーの容積よりも小さい、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程a)における全体的な加熱及び冷却速度が、4〜7K/sであり、且つ工程b)における速度が8〜12K/sである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
上記第一増幅チャンバー中の上記一次量の上記試料の容量が、5〜200μl、好ましくは5〜50μlの容量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
上記部分量の上記一次反応混合物の容量が、0.05〜5μl、好ましくは0.1〜2μlの容量を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
上記一次温度サイクル数が、二次温度サイクル数よりも少ない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
上記部分量の一次反応混合物が、上記一次反応混合物の残部から物理的に移される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
上記部分量の一次反応混合物が、装置により上記一次反応混合物の残部から自動的に移される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程b)における温度サイクルに使用される時間が、工程a)における温度サイクルに使用される時間よりも短い、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
1又は複数の追加的な部分量の上記一次反応混合物が、工程b)における温度サイクルにかけられる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
部分量の上記二次反応混合物が、三次部分量の温度サイクルにかけられる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
第一増幅チャンバーが、上記一次温度サイクル数を行う前に、未精製の試料中に存在する核酸の精製のために使用される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
鋳型核酸の存在、又は非存在、又は量の測定方法であって、
a)一次量の一次反応混合物を調製するために、第一増幅チャンバーにおいて一次量の上記試料を一次温度サイクル数にかけること、及び、
b)二次量の二次反応混合物を調製するために、第二増幅チャンバーにおいて、部分量の一次反応混合物を二次温度サイクル数にかけること、及び、
c)測定すべき核酸の存在、又は非存在、又は量の尺度として、核酸の形成を測定すること、
を含んで成り、
ここで、上記第二増幅チャンバーの容積が上記第一増幅チャンバーの容積よりも小さい方法。
【請求項15】
試料を温度サイクルにかけることにより鋳型核酸から核酸を調製する方法であって、
a)一次量の反応混合物を調製するために、少なくとも2ケルビン/秒(K/s)の全体的な加熱及び冷却速度で、第一増幅チャンバーにおいて一次量の上記試料を一次温度サイクル数にかけること、及び、
b)二次量の二次反応混合物を調製するために、上記第一増幅チャンバーよりも高く、且つ少なくとも5K/sの全体的な加熱及び冷却速度で、第二増幅チャンバーにおいて部分量の上記一次反応混合物を二次温度サイクル数にかけること、
c)測定すべき核酸の存在、又は非存在、又は量の尺度として、核酸の形成を測定すること、
を含んで成る方法。
【請求項16】
上記第二増幅チャンバーの容積が、上記第一増幅チャンバーの容積よりも小さい、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
核酸の形成が、工程a)及びb)の完了後に測定される(工程c)、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
核酸の形成が、工程a)及び/又は工程b)の間に測定される(工程c)、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
工程a)における全体的な加熱及び冷却速度が4〜7K/sであり、且つ工程b)における速度が8〜12K/sである、請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
第一増幅チャンバー中の上記一次量の上記試料の容量が、5〜200μl、好ましくは5〜50μlの容量を有する、請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
上記部分量の上記一次反応混合物の容量が、0.05〜5μl、好ましくは0.1〜2μlの容量を有する、請求項14〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
上記一次温度サイクル数が、二次温度サイクル数よりも少ない、請求項14〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
上記部分量の一次反応混合物が、上記一次反応混合物の残部から物理的に移される、請求項14〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
上記部分量の一次反応混合物が、装置により上記一次反応混合物の残部から自動的に移される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
a.第一増幅チャンバー、及び、
b.第二増幅チャンバー、
を含んで成る、鋳型から核酸を調製するための診断装置であって、
ここで、上記第二増幅チャンバーの容積が上記第一増幅チャンバーの容積よりも小さい装置。
【請求項26】
a.少なくとも2K/sの全体的な加熱及び冷却速度を有する第一増幅チャンバー、及び、
b.上記第一増幅チャンバーよりも高く、且つ少なくとも5K/sにおける全体的な加熱及び冷却速度を有する第二増幅チャンバー、
を含んで成る、鋳型から核酸を調製するための診断装置。
【請求項27】
上記第二増幅チャンバーの容積が上記第一増幅チャンバーの容積よりも小さい、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
上記第一増幅チャンバーの全体的な加熱及び冷却速度が4〜7K/sであり、上記第二増幅チャンバーの速度が8〜12K/sである、請求項25〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
上記一次量の第一増幅チャンバーの容積が、5〜200μl、好ましくは5〜50μlの容積を有する、請求項25〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
上記第二増幅チャンバーの容積が、0.05〜5μl、好ましくは0.1〜2μlの容積を有する、請求項25〜29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
上記第一増幅チャンバーが、増幅前に試料中に存在する核酸の精製も許容する、請求項25〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
液体を上記第一増幅チャンバーから上記第二増幅チャンバーへと輸送する手段を有する、請求項25〜31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
温度サイクルを使用する鋳型核酸から核酸を調製するための方法を制御するためのコンピュータープログラムであって、一次温度サイクル数を試料に対して、続いてより短いサイクリングタイムを有する二回目の温度サイクルを異なる容量の同試料から産出される反応混合物において適用するために設定されていることを特徴とする、コンピュータープログラム。
【請求項34】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法を制御するための任意的に請求項33に記載のコンピュータープログラム。
【請求項35】
物理的な記憶手段において請求項33又は34に記載のプログラムを含んで成るコンピュータープログラム製品。
【請求項36】
a.請求項25〜32のいずれか一項に記載の診断装置、及び、
b.当該診断装置を制御するためのユニット、
を含んで成る、核酸を調製するための装置であって、
ここで、当該診断装置を制御するためのユニットが、請求項33〜35のいずれか一項に記載のコンピュータープログラムでロードされる装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を温度サイクルにかけることにより鋳型核酸から核酸を調製する方法であって、
a)一次量の一次反応混合物を調製するために、第一増幅チャンバー中の一次量の上記試料を一次温度サイクル数にかけること、及び、
b)二次量の二次反応混合物を調製するために、第二増幅チャンバー中の部分量の上記一次反応混合物を二次温度サイクル数にかけること、
を含んで成り、
ここで上記第二増幅チャンバーの容積が、上記第一増幅チャンバーの容積よりも小さい方法。
【請求項2】
試料を温度サイクルにかけることにより鋳型核酸から核酸を調製する方法であって、
a)一次量の反応混合物を調製するために、少なくとも2ケルビン/秒(K/s)の全体的な加熱及び冷却速度で、第一増幅チャンバーにおいて一次量の上記試料を一次温度サイクル数にかけること、及び、
b)二次量の二次反応混合物を調製するために、上記第一増幅チャンバーよりも高く、且つ少なくとも5K/sの全体的な加熱及び冷却速度で、第二増幅チャンバーにおいて部分量の上記一次反応混合物を二次温度サイクル数にかけること、
を含んで成る方法。
【請求項3】
鋳型核酸の存在、又は非存在、又は量の測定方法であって、
a)一次量の一次反応混合物を調製するために、第一増幅チャンバーにおいて一次量の上記試料を一次温度サイクル数にかけること、及び、
b)二次量の二次反応混合物を調製するために、第二増幅チャンバーにおいて、部分量の一次反応混合物を二次温度サイクル数にかけること、及び、
c)測定すべき核酸の存在、又は非存在、又は量の尺度として、核酸の形成を測定すること、
を含んで成り、
ここで、上記第二増幅チャンバーの容積が上記第一増幅チャンバーの容積よりも小さい方法。
【請求項4】
試料を温度サイクルにかけることにより鋳型核酸から核酸を調製する方法であって、
a)一次量の反応混合物を調製するために、少なくとも2ケルビン/秒(K/s)の全体的な加熱及び冷却速度で、第一増幅チャンバーにおいて一次量の上記試料を一次温度サイクル数にかけること、及び、
b)二次量の二次反応混合物を調製するために、上記第一増幅チャンバーよりも高く、且つ少なくとも5K/sの全体的な加熱及び冷却速度で、第二増幅チャンバーにおいて部分量の上記一次反応混合物を二次温度サイクル数にかけること、
c)測定すべき核酸の存在、又は非存在、又は量の尺度として、核酸の形成を測定すること、
を含んで成る方法。
【請求項5】
a.第一増幅チャンバー、及び、
b.第二増幅チャンバー、
を含んで成る、鋳型から核酸を調製するための診断装置であって、
ここで、上記第二増幅チャンバーの容積が上記第一増幅チャンバーの容積よりも小さい装置。
【請求項6】
a.少なくとも2K/sの全体的な加熱及び冷却速度を有する第一増幅チャンバー、及び、
b.上記第一増幅チャンバーよりも高く、且つ少なくとも5K/sにおける全体的な加熱及び冷却速度を有する第二増幅チャンバー、
を含んで成る、鋳型から核酸を調製するための診断装置。
【請求項7】
温度サイクルを使用する鋳型核酸から核酸を調製するための方法を制御するためのコンピュータープログラムであって、一次温度サイクル数を試料に対して、続いてより短いサイクリングタイムを有する二回目の温度サイクルを異なる容量の同試料から産出される反応混合物において適用するために設定されていることを特徴とする、コンピュータープログラム。
【請求項8】
a.請求項5又は6に記載の診断装置、及び、
b.当該診断装置を制御するためのユニット、
を含んで成る、核酸を調製するための装置であって、
ここで、当該診断装置を制御するためのユニットが、請求項7に記載のコンピュータープログラムでロードされる装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−166910(P2006−166910A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−334282(P2005−334282)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】