説明

格子体

【課題】 容易に空隙率を下げることができる格子体を提供する。
【解決手段】 主格子体1と、副格子体2とを備え、主格子体1は、互いに平行に配置した複数本の主格子11を有しており、副格子体2は、互いに平行に配置した複数本の副格子21と、副格子21に直交して各副格子21を連結する副胴縁22を有しており、主格子11と副格子21が平行し且つ各主格子11の間に各副格子21が位置するように、主格子体1に副格子体2を取り付けてある。また、副格子21が主格子11より短く、主格子体1に対する副格子体2の取付位置が、主格子11及び副格子21の長手方向に自在である。さらに、副格子体2の副胴縁22の端部同士の突き合わせ部分が主格子11の間に位置し、突き合わせ部分に副格子21と同じ外観のダミー副格子3を取り付けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目隠しや侵入防止のために設置するフェンス等に用いる格子体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに平行且つ等間隔に配置した複数本の格子をそれに直交する胴縁で連結した格子体が、フェンス等に用いられている。このような格子体は、格子同士の間隔を狭くする、すなわち空隙率を下げれば、より視線が通りにくくなり、また小動物等が侵入しにくくなるものであり、設置の目的に応じた様々な空隙率の格子体がある。また、特許文献1に示すように、主縦格子の間に補助縦格子を配することで、格子体の一部分の空隙率を下げたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−196226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、どの程度の空隙率が適切かは実際に設置してみないとわからないこともあり、一度格子体を設置した後に、もっと空隙率を下げたい、という場合がある。そのような場合に、格子体全体を交換すると、大きな手間と費用がかかってしまう。また、特許文献1の発明によれば、後から補助縦格子を追加できるが、補助縦格子を一本ずつ胴縁に取り付けるものであるから、補助縦格子の取付位置が制限されてしまうし、施工性も悪い。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、容易に空隙率を下げることができる格子体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1の発明は、主格子体と、副格子体とを備え、主格子体は、互いに平行に配置した複数本の主格子を有しており、副格子体は、互いに平行に配置した複数本の副格子と、副格子に直交して各副格子を連結する副胴縁を有しており、主格子と副格子が平行し且つ各主格子の間に各副格子が位置するように、主格子体に副格子体を取り付けてあることを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項2の発明は、副格子が主格子より短く、主格子体に対する副格子体の取付位置が、主格子及び副格子の長手方向に自在であることを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項3の発明は、主格子体に複数の副格子体を取り付ける場合であって、各副格子体の副胴縁の端部同士を突き合わせて配置する際に、突き合わせ部分が主格子の間に位置し、突き合わせ部分に副格子と同じ外観のダミー副格子を取り付けてあることを特徴とする。
【0009】
本発明のうち請求項4の発明は、主格子体が、立設した支柱と、左右方向に延びる少なくとも二本の主胴縁とを有し、支柱の見込方向一方側に主胴縁が互いに平行に取り付けてあり、主胴縁の見込方向一方側に上下方向に延びる主格子が取り付けてあって、副格子が主胴縁同士の間隔より短く、副格子体の見込幅が主胴縁の見込幅よりも短いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のうち請求項1の発明によれば、主格子体に副格子体を取り付けることで、格子体の空隙率を下げることができる。副格子体は副格子が副胴縁により連結され一体となっているから、取付作業が容易である。
【0011】
本発明のうち請求項2の発明によれば、副格子体の取付位置が自在であるから、格子体の任意の一部分の空隙率を下げることができる。例えば、目隠しのために人の視線の高さ位置に取り付けたり、動物の侵入を防ぐために地面に近い位置に取り付けたりすることが考えられる。
【0012】
本発明のうち請求項3の発明によれば、副格子同士の突き合わせ部分にダミー副格子を取り付けることで、外観上格子の連続性が維持され、意匠性が良好である。
【0013】
本発明のうち請求項4の発明によれば、主格子体の支柱が障害になって副格子体を見込方向他方側から取り付けられない場合であっても、左右何れかの方向から、副格子体を、支柱と、主格子と、二本の主胴縁に囲まれる空間に挿入して、主格子体に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】格子体の第一実施形態の正面図である。
【図2】(a)は主格子体の正面図、(b)は副格子体及びダミー副格子の正面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図1のB−B線断面図である。
【図5】副格子体の取付位置を変更した場合の正面図である。
【図6】ダミー副格子の取付部分の説明図である。
【図7】格子体の第二実施形態の正面図である。
【図8】格子体の第三実施形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の格子体の使用場所は特に限定されるものではないが、ここでは敷地の境界に設置するフェンスとして用いる場合を示す。この格子体の第一実施形態は、図1〜図4に示すように、主格子体1と、副格子体2とを備え、主格子体1が設置面に立設されており、副格子体2が主格子体1に取り付けられている。なお、以下において上下左右とは図1における上下左右を示し、前後とは図1における手前側及び奥側を示すものとする。よって、上記の見込方向一方側が前側、他方側が後側となる。
【0016】
主格子体1は、上下に延びる複数本の主格子11と、左右に延びる二本の主胴縁12と、支柱13とを備える。支柱13は略四角筒形状であって設置面に立設したもので、上端にはキャップ131が装着してある。前側面には上下に延びる凹部132が形成してあり、さらに凹部132の中央に水平断面略C字形状で上下に延びる溝部133が形成してある。そして溝部133には座金14が挿入してあり、この座金14に対して主取付金具15をネジ止めしてある。主取付金具15は、主胴縁12を取り付けるためのもので、支柱13の凹部132に嵌る平板状の基部151と、基部151の上端から前側へ突出する取付部152とを有する。取付部152の前側端は前側下方へ傾斜している。一方、主胴縁12は、略四角筒形状であるが、後側下部の一角が欠けた形状であり、この部分に主取付金具15の取付部152の傾斜部分が当接してネジ止めしてある。また、左側端にはキャップ121が装着してあり、右側端には連結スペーサ122を装着して別部材の主胴縁12を連結してある(ここでは連結スペーサ122によって連結された主胴縁12全体を一本としている)。さらに主胴縁12は、前側面及び下側面を覆う略L字形状のアタッチメント123を有する。アタッチメント123は、主胴縁12の前側面の上下二箇所に形成した略L字形状の係合部124と係合する被係合部125を有し、主胴縁12の下側面にネジ止めしてある。そして、このアタッチメント123の前側面に、主格子11がネジ止めしてある。主格子11は、各々略四角筒形状で、上下端にはキャップ111が装着してあり、互いに平行且つ等間隔に配置してある。なお、実際の組み立て時には、主格子11にアタッチメント123を取り付けた後、このアタッチメント123を主胴縁12に取り付ける。
【0017】
副格子体2は、上下に延びる複数本の副格子21と、左右に延びる二本の副胴縁22とを備える。副胴縁22は、略四角筒形状であるが、後面に開口部221を有しており、開口部221はカバー材222により塞いである。また、後側下部には下向きに開口する係合溝223が形成してある。そして、副胴縁22の前側面に、副格子21がネジ止めしてある。副格子21は、各々略四角筒形状で、上下端にはキャップ211が装着してあり、互いに平行且つ等間隔に配置してある。そして、副格子21の配列のピッチは、主格子11の配列のピッチに等しく、また副格子21の上下方向長さは二本の主胴縁12同士の間隔より短く、さらに副格子体2の見込幅(副格子21の見込幅+副胴縁22の見込幅)は主胴縁12の見込幅よりも短い。なお、実際の組み立て時には、副胴縁22の前側面に副格子21をネジ止めした後、副胴縁22の開口部221にカバー材222を取り付ける。
【0018】
このような主格子体1に副格子体2を取り付けるには、主格子11と副格子21が平行し且つ各主格子11の間に各副格子21が位置するようにして、副胴縁22の前側面を主格子11の後側面に当接させてネジ止めする。この際、副格子体2の上下位置は任意に定めることができ、また、支柱13が障害になって副格子体2を後側から取り付けられない場合であっても、左右何れかの方向から、支柱13と、主格子11と、二本の主胴縁12に囲まれる空間に挿入すれば、副格子体2を任意の位置に取り付けることができる。そして、これだけでも主格子体1と副格子体2とは連結されるが、さらに、支柱13の溝部133に座金14を挿入し、この座金14に対して副取付金具16をネジ止めしてある。副取付金具16は、支柱13の凹部132に嵌る平板上の基部161と、基部161の下端から前側へ突出する取付部162とを有する。取付部162の前側端は上方へ屈曲している。この取付部162の屈曲部が副胴縁22の係合溝223に係合しており、副胴縁22と支柱13とが連結されている。
【0019】
このように主格子体1及び副格子体2を構成することで、主格子体1に対して副格子体2を任意の位置に取り付けることができ、その部分の格子体の空隙率を下げることができる。副格子体2は副格子21が副胴縁22により連結され一体となっているから、取付作業が容易である。例えば、図1のように格子体の上部の空隙率を下げれば、人の視線を遮る目隠しとして有効であるし、図5のように格子体の下部の空隙率を下げれば、動物の侵入を防ぐために有効である。また、副格子体2を主格子体1に取り付ける際に、副胴縁22を主格子11だけでなく支柱13にも固定することで、主胴縁12にかかる負荷を低減し、強度を保つことができる。
【0020】
また、本実施形態においては、主格子体1に対して複数の副格子体2を取り付けてあり、各副格子体2の副胴縁22の端部同士を突き合わせて配置してある(図2(b))。このようにした場合、突き合わせ部分には副格子21が存在しないので、そのままでは外観上格子の連続性が維持されず、意匠性が悪い。そこで、この突き合わせ部分に、副格子21と同じ外観のダミー副格子3を取り付けてある。ダミー副格子3は、略四角筒形状で外形寸法は副格子21と略同じであるが、図6に示すように、後側面に水平断面略C字形状の取付溝31を形成してある。また、上下端にはキャップ32が装着してある。そして、副胴縁22の向かい合う端面の一方には、ダミー副格子3を取り付けるためのダミー取付金具23が取り付けてある。ダミー取付金具23は、副胴縁22の端面に当接する平板状の基部231と、基部231の前側端から副胴縁22の長手方向に沿って延びる取付部232とを有しており、この取付部232をダミー副格子3の取付溝31に挿入して、後側からネジ止めしてある。なお、副胴縁22の向かい合う端面の他方及び末端の端面には、ダミー取付金具23の基部231と同形状の平板24が取り付けてある。このようにしてダミー副格子3を取り付けることで、外観上格子の連続性が維持され、意匠性が良好なものとなる。
【0021】
また、図7に示すのは、格子体の第二実施形態である。第二実施形態においては、主格子体1は主格子11及び主胴縁12からなり、主胴縁12が構造物(壁や塀等)に直接取り付けられていて、支柱はない。副格子体2は、第一実施形態と同様、副格子21及び副胴縁22からなり、副胴縁22の前側面を主格子11の後側面に当接させてネジ止めしてある。
【0022】
さらに、図8に示すのは、格子体の第三実施形態である。第三実施形態は、第一実施形態に対して、格子と胴縁の向きが逆になっている。すなわち、主格子体1は、左右に延びる主格子11と、上下に延びる主胴縁12と支柱13とを備え、支柱13に取り付けた主取付金具(図示省略)に主格子11がネジ止めしてある。また、副格子体2は、左右に延びる副格子21と、上下に延びる副胴縁22とを備える。そして、このような主格子体1に副格子体2を取り付けるには、主格子11と副格子21が平行し且つ各主格子11の間に各副格子21が位置するようにして、副胴縁22の前側面を主格子11の後側面に当接させてネジ止めする。この際、副格子体2の左右位置は任意に定めることができる。
【0023】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。例えば、格子、胴縁や支柱の断面形状は四角形に限られず、円形、楕円形や多角形であってもよい。また、格子、胴縁及び支柱相互の接合については、ネジ止めに限られず、嵌合や溶接によるものであってもよい。さらに、副格子体は、主格子体の主格子のみに固定するものであってもよいし、支柱のみに固定するものであってもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 主格子体
2 副格子体
3 ダミー副格子
11 主格子
12 主胴縁
13 支柱
21 副格子
22 副胴縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主格子体と、副格子体とを備え、主格子体は、互いに平行に配置した複数本の主格子を有しており、副格子体は、互いに平行に配置した複数本の副格子と、副格子に直交して各副格子を連結する副胴縁を有しており、主格子と副格子が平行し且つ各主格子の間に各副格子が位置するように、主格子体に副格子体を取り付けてあることを特徴とする格子体。
【請求項2】
副格子が主格子より短く、主格子体に対する副格子体の取付位置が、主格子及び副格子の長手方向に自在であることを特徴とする請求項1記載の格子体。
【請求項3】
主格子体に複数の副格子体を取り付ける場合であって、各副格子体の副胴縁の端部同士を突き合わせて配置する際に、突き合わせ部分が主格子の間に位置し、突き合わせ部分に副格子と同じ外観のダミー副格子を取り付けてあることを特徴とする請求項1又は2記載の格子体。
【請求項4】
主格子体が、立設した支柱と、左右方向に延びる少なくとも二本の主胴縁とを有し、支柱の見込方向一方側に主胴縁が互いに平行に取り付けてあり、主胴縁の見込方向一方側に上下方向に延びる主格子が取り付けてあって、副格子が主胴縁同士の間隔より短く、副格子体の見込幅が主胴縁の見込幅よりも短いことを特徴とする請求項1、2又は3記載の格子体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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