格子盤体
【課題】側板を固着する必要のない製造容易な構造にし、メインバー用材料の機械的強度が維持される格子盤体を提供する。
【解決手段】断面逆U字状湾曲主部21を形成しその両下縁から外鍔25が延設される棒状第一部材2Aに、湾曲主部21の上端部分から外鍔25に至る切欠溝4が形成されたクロスバー1と、主板部63を夫々の切欠溝4に嵌入することによりクロスバー1とで格子状に形成して、主板部63の板幅方向が起立配設されるメインバー6と、断面逆U字状の湾曲主部21を形成してその両下縁から外鍔25が延設され、さらに一方の外鍔25の外縁から上方に向け起立板部28が延設される棒状第二部材2Bに、湾曲主部21の上端部分21bから外鍔25に至る切欠溝4が形成された複合側板7を具備し、クロスバー1とで格子状に形成したメインバー6の両端面61,62に複合側板7の起立板部28が夫々当接し、且つ両複合側板7の切欠溝4にメインバー6の主板部63が嵌入一体化してなる。
【解決手段】断面逆U字状湾曲主部21を形成しその両下縁から外鍔25が延設される棒状第一部材2Aに、湾曲主部21の上端部分から外鍔25に至る切欠溝4が形成されたクロスバー1と、主板部63を夫々の切欠溝4に嵌入することによりクロスバー1とで格子状に形成して、主板部63の板幅方向が起立配設されるメインバー6と、断面逆U字状の湾曲主部21を形成してその両下縁から外鍔25が延設され、さらに一方の外鍔25の外縁から上方に向け起立板部28が延設される棒状第二部材2Bに、湾曲主部21の上端部分21bから外鍔25に至る切欠溝4が形成された複合側板7を具備し、クロスバー1とで格子状に形成したメインバー6の両端面61,62に複合側板7の起立板部28が夫々当接し、且つ両複合側板7の切欠溝4にメインバー6の主板部63が嵌入一体化してなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関マットや、側溝などの上面開口に蓋をするグレーチング(溝蓋)等に使用される格子盤体に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関マットには、靴底の汚れ除去や雨天時における靴底の水切り等を鑑み、金属製格子盤体が用いられる場合がある。斯かる格子盤体は、例えば横断面T字形の複数のメインバーの帯幅方向略中央にクロスバー用通孔を設け、各メインバー間に円筒体(金属製カラー)を介在させて丸棒からなるクロスバーを該通孔に通した後、クロスバー端部を螺着結合して完成し、玄関マットに供されていた。一つの玄関マットに要する円筒体の使用数が多く、組立て作業も結構面倒なこともあって、上記問題を改善する発明が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−94152号公報
【0004】
特許文献1は、請求の範囲に記載のごとく「複数の細長い部材(本発明でいうメインバー)と、並べられた各細長い部材を貫通し、これらの細長い部材を相互に連結する複数の連結棒(本発明でいうクロスバー)とを備え、各細長い部材には、各連結棒が貫通する複数の小孔を形成するとともに、複数の突出片を形作る各切れ込みを形成し、細長い部材の各突出片を折り曲げて起こし、これらの突出片を各細長い部材の間に介在させて、これらの細長い部材を連結した格子」の発明を提案する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、特許文献1は以下のような新たな問題を抱えていた。
まず、細長い部材は、玄関マットやグレーチングにおける主部材たるメインバーからなり、機械的強度大の部材が用いられており、板厚のある各細長い部材について、複数の小孔、さらに突出片用切れ込みを複数形成するのは、加工負担が大きかった。また、格子の製造にあたって、仕損じ分用の小孔、突出片付き細長い部材を用意する必要があり、一方で用意して使われなかった分が材料の歩留まりを下げる結果となった。一旦加工された小孔、突出片付き細長い部材は、別仕様の格子に使えず、廃棄スクラップ量を増やす結果になった。
さらに、細長い部材に連結棒が貫通する複数の小孔を形成するだけでなく、各突出片を折り曲げて起こして、各細長い部材に突出片が抜けた穴が形成されると、時に強度補強のため、ワンランク上の大きな部材を用いなければならないリスクを抱えていた。特にグレーチング用途の場合、細長い部材に小孔に加え突出片を加工することでその機械的強度が落ち、細長い部材のサイズをワンランクアップさせねばならない事態を招く虞があった。
加えて、側溝に蓋をするグレーチングも格子状体を形成するが、斯かる用途の場合、一般に矩形盤体として供される。特許文献1の格子は、細長い部材が複数並設されたそれら両端面側を塞ぐ側板を別途固着して対応しなければならなかった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するもので、側板を別途固着する必要がなく、製造容易な構造にし、またメインバー用材料の機械的強度がそのまま維持され、さらに材料の歩留まり向上につながる格子盤体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、断面が逆U字状の湾曲主部(21)を形成してその両下縁(21a)から水平外方向に外鍔(25)が延設される長手方向等断面形状の棒状第一部材(2A)に、該湾曲主部(21)の上端部分(21b)から該外鍔(25)に至る鉛直方向の切欠溝(4)が複数形成された金属製クロスバー(1)と、前記切欠溝(4)の溝幅(W4)に対応した板厚(t6)の主板部(63)を、夫々の該切欠溝(4)に嵌入することにより前記クロスバー(1)とで格子状に形成して、該主板部(63)の板幅方向が起立配設される長手方向等断面形状の金属製メインバー(6)と、断面が逆U字状の湾曲主部(21)を形成してその両下縁(21a)から水平外方向に外鍔(25)が延設され、さらに一方の外鍔(25)の外縁から上方に向け側板用の起立板部(28)が延設される長手方向等断面形状の棒状第二部材(2B)に、該湾曲主部(21)の上端部分(21b)から該外鍔(25)に至る鉛直方向の切欠溝(4)が複数形成された金属製複合側板(7)と、を具備し、前記クロスバー(1)とで格子状に形成した複数のメインバー(6)の両端面(61,62)に、一対の複合側板(7)の前記起立板部(28)が夫々当接し、且つ両複合側板(7)の切欠溝(4)に前記メインバー(6)の主板部(63)が嵌入一体化してなることを特徴とする格子盤体にある。
請求項2の発明たる格子盤体は、請求項1で、切欠溝(4)用縦長孔(30)が形成された帯板状の孔開き第二帯板材(3B)から、前記複合側板(7)への曲げ加工成形で、前記起立板部(28)が前記外鍔(25)の外縁で折り曲げられて設けられることを特徴とする。請求項3の発明たる格子盤体は、請求項2で、切欠溝用縦長孔(30)の両孔端部分(30a)が平面視で夫々一様で滑らかな湾曲線となるようプレス加工で穴あけ形成された孔開き第二帯板材(3B)から、前記複合側板(7)への曲げ加工成形で、該縦長孔(30)の両孔端部分(30a)が前記外鍔(25)の領域に入り込むようにしたことを特徴とする。
【0008】
(作用)
請求項1の発明のごとく、クロスバー(1)と、メインバー(6)と複合側板(7)と、を具備し、クロスバー(1)とで格子状に形成した複数のメインバー(6)の両端面(61,62)に、一対の複合側板(7)の起立板部(28)が夫々当接すると、該起立板部が側板の役割を果たす。従来、矩形格子盤体のグレーチング等に後加工で別途固着していた側板をなしで済ますことができる。加えて、起立板部にメインバーを当てて位置決めセットし、組立てできるので、格子盤体の製造が楽になる。また、切欠溝(4)の溝幅(W4)に対応した板厚(t6)の主板部(63)を、夫々の該切欠溝(4)に嵌入することにより前記クロスバー(1)とで格子状に形成すると、特許文献1のごとくメインバーに複数の小孔、さらに突出片用切れ込みを複数形成する必要がなく、メイン材料の機械的強度をそのまま維持できる。さらに突出片を折り曲げて起こして組み立てる必要がなく、製造容易な構造になっている。
請求項2のごとく、切欠溝(4)用縦長孔(30)が形成された帯板状の孔開き第二帯板材(3B)から、複合側板(7)への曲げ加工成形で、前記起立板部(28)が前記外鍔(25)の外縁で折り曲げられて設けられると、クロスバー機能及び側板機能を有する複合側板が一体成形されるので、格子盤体の製造が容易になるばかりか、製品の低コスト化にもつながる。
請求項3のごとく、切欠溝用縦長孔(30)の両孔端部分(30a)が平面視で夫々一様で滑らかな湾曲線となるようプレス加工で穴あけ形成された孔開き第二帯板材(3B)から、前記複合側板(7)への曲げ加工成形で、該縦長孔(30)の両孔端部分(30a)が前記外鍔(25)の領域に入り込むようにすると、縦長孔の穴あけが容易になり、また穴あけ形成用ポンチの寿命を延ばすことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の格子盤体は、複合側板がクロスバーと従来の側板を担い、且つ複合側板を用いた製品外枠の形成により製造が容易であり、またメインバー用材料を必要長さにカットしていくだけでメインバーになって、材料強度がそのまま維持され、さらにクロスバー用材料,複合側板材料についても、それらの必要長さにカットした孔開き第一帯板材,孔開き第二帯板材たる薄板カット品のプレス加工だけで、メインバーを組付け易くするクロスバー,複合側板になり、組立て容易性,材料の歩留まり向上につながるなど優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態1における格子盤体の平面図である。
【図2】図1の正面図で、円内は拡大図である。
【図3】図1の格子盤体の右側面図で、円内は拡大図である。
【図4】(イ)が複合側板用孔開き第二帯板材の平面図、(ロ)が複合側板の正面図、(ハ)が複合側板の右側面図、(ニ)が(ロ)のIV-IV線矢視図である。
【図5】(イ)がクロスバー用孔開き第一帯板材の平面図、(ロ)がクロスバーの正面図、(ハ)がクロスバーの右側面図、(ニ)が(ロ)のV-V線矢視図である。
【図6】クロスバー,複合側板にメインバーを組付ける説明斜視図である。
【図7】格子盤体の角部周りを上方側から見た斜視図である。
【図8】格子盤体の角部周りを下方側から見た斜視図である。
【図9】図4に代わる孔開き第二帯板材の他態様図である。
【図10】図5に代わる孔開き第一帯板材の他態様図である。
【図11】実施形態2における格子盤体の平面図である。
【図12】(イ)が複合側板と端板とで枠体を形成する組付け説明側面図、(ロ)が組付けられた枠体の側面図である。
【図13】複合側板と端板とで枠体を形成する組付け説明斜視図である。
【図14】(イ)が孔開き第一帯板材の平面図、(ロ)がクロスバーの正面図、(ハ)が(ロ)の右側面図である。
【図15】(イ)が孔開き第二帯板材の平面図、(ロ)が複合側板の正面図、(ハ)が(ロ)の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る格子盤体について詳述する。
(1)実施形態1
図1〜図10は本発明の格子盤体の一形態で、玄関マットに適用する。図1はその平面図、図2は図1の正面図、図3は図1の右側面図、図4は(イ)が複合側板用孔開き第二帯板材の平面図、(ロ)が複合側板の正面図、(ハ)が右側面図、(ニ)が(ロ)のIV-IV線矢視図、図5はクロスバー用孔開き第一帯板材の平面図、(ロ)がクロスバーの正面図、(ハ)が右側面図、(ニ)が(ロ)のV-V線矢視図、図6はクロスバー,複合側板にメインバーを組付ける説明斜視図、図7,図8は格子盤体の角部周りを見た斜視図、図9は図4に代わる孔開き第二帯板材の他態様図、図10は図5に代わる孔開き第一帯板材の他態様図である。尚、図面を判り易くするため、クロスバー1及びその孔開き第一帯板材3Aや、複合側板7及びその孔開き第二帯板材3Bの板厚を大きく描く。また、図1,図2は倍率を同じくするが、図3は見易くするため、倍率を上げている。
【0012】
格子盤体Pは、クロスバー1とメインバー6と複合側板7とを具備する(図1〜図3)。クロスバー1は、熱間圧延鋼板やステンレス鋼板等の平板状で供給される鋼材を、長手方向一定幅SAの帯板に切取り、該帯板に縦長孔30を形成した孔開き第一帯板材3Aに対し曲げ加工を施し、湾曲主部21,外鍔25,切欠溝4を形成した金属製部材である(図5)。横断面が逆U字状の湾曲主部21を形成して、その両下縁21aから水平外方向に外鍔25が延設される長手方向等断面形状(長手方向に向けて等断面形状)の棒状第一部材2Aに対し、湾曲主部21の上端部分から外鍔25に至る鉛直方向の切欠溝4が、該棒状第一部材2Aの長手方向に複数形成される。本発明の「水平方向」とは正規状態で配された格子盤体Pの平面図たる図1でいえば、その紙面と平行の方向、「鉛直方向」や「両下縁」の「下方」とはその紙面垂直下方向をいう。
クロスバー1の側面視形状は、格子盤体Pが玄関マット用凹みKに配設されると、図2の円内拡大図のごとく、側面視(横断面視)が逆U字状の湾曲主部21の両下縁21aから外鍔25が張り出すΩ字状や逆ひの字状になる。本発明の「逆U字状の湾曲主部21」に係る「逆U字状」には逆V字状を含む。
【0013】
クロスバー1は、例えば次のように造られる。まず、板厚が1.5mm程の薄いステンレス鋼板等の平板状鋼材を、湾曲するバー本体の平面展開幅SAで一定帯幅の長尺材に切断すると共に、帯幅方向に長い切欠溝4用矩形縦長孔30を、該長尺材の長手方向に定間隔で穴あけ形成して、図5(イ)ごとくの孔開き第一長尺材3aにする。幅方向中央に湾曲主部21用展開幅S1が確保され、その幅方向両側に湾曲主部下縁21aから外方へ延設する外鍔25用の幅S2が確保される。縦長孔30が湾曲主部21用展開幅S1の幅方向に設けられ、その両孔端部分30aが両外鍔25の幅S2域に達している。
【0014】
次いで、該孔開き第一長尺材3aを、図1の作製しようとする矩形格子盤体Pの平面視縦長さL(一辺長さ)に合わせて、孔開き第一長尺材3aの長手方向に対し直交するように切断する。縦長さLの切断にあたって、孔開き長尺部材3aの長手方向両端に一番近い縦長孔30に対し、該縦長孔30から長さβ分だけ長手方向外方に進んだ所で、両端カットされる孔開き第一帯板材3Aとする。詳しくは、両端に最も近い両縦長孔30から、メインバー6(詳細後述)たる上面水平部64の張出し長さγに対応する長さβ分だけ長手方向外方へ夫々張り出して、縦長さLに切断されてなる孔開き第一帯板材3Aとする。
【0015】
続いて、外鍔25用の幅S2はそのままにして、該孔開き第一帯板材3Aの湾曲主部21に相当する幅S1部分のみを、図5(イ)でいえば、その幅方向真中を通る紙面左右方向の中心ラインで横断面逆U字状に屈曲させて、湾曲主部21を形成する。該湾曲主部21の曲げ加工成形で、縦長孔30が図5(ロ),(ハ)のような切欠溝4になってクロスバー1が出来る。縦長孔30の孔幅W30が切欠溝4の溝幅W4になるが、溝幅W4はメインバー6に係る主板部63の板厚t6と同程度であり(図6)、該切欠溝4にメインバー6が嵌入可能とする。クロスバー1は、図5(ハ),(ニ)のごとく湾曲主部21の上端部分21bを通る鉛直ラインに対し左右線対称品になる。縦長孔30の両孔端部分30aが既述のごとく外鍔25の幅S2域に達するので、切欠溝4の溝端部分45が湾曲主部21の上端部分21bから垂下し、湾曲主部21の下縁21aにまで到達する(図6)。
【0016】
かくのごとくして、断面逆U字状の湾曲主部21の両下縁21aから外鍔25が張り出す長手方向等断面形状の棒状第一部材2Aに、その長手方向に切欠溝4が定間隔で複数形成される。クロスバー1の長手方向両端部では、長さβ分入り込んだ箇所に切欠溝4が設けられて、格子盤体Pの平面視縦長さLと等しい長さのクロスバー1になる。符号10は湾曲主部21の形成でできる空所を示す。
【0017】
メインバー6は、その主板部63が前記切欠溝4の溝幅W4に対応した板厚t6を有する長手方向等断面形状の金属製棒状部材である。夫々の切欠溝4に嵌入することによりクロスバー1とで格子状に形成する格子盤体用主要部材になっている。メインバー6には横断面T字形(通称Tバー),I字形(通称Iバー)や平鋼の帯板材(通称フラットバー)等など、長手方向に対し等断面形状の圧延鋼材,ステンレス鋼材等の汎用材が用いられる。本実施形態のメインバー6は、図1の作製しようとする格子盤体Pの平面視横長さY(一辺長さ)に合わせる長さで切断された横断面T字形部材で、起立配設される主板部63の上端に水平部64の中央部分が一体結合する。メインバー6は、主板部63がクロスバー1に在る夫々の切欠溝4に嵌入することによりクロスバー1とでスリットSLのある格子状体を形成する。尚、本メインバー6に係る水平部64の上面には滑り止め用凹凸部分(図示せず)が形成される。メインバー6は、該凹凸部分が在るため、厳密にいえば長手方向ほぼ等断面形状になるが、斯かる場合も本発明でいう長手方向等断面形状に含むものとする。
【0018】
複合側板7は、前記クロスバー1に係る湾曲主部21とその両側に延設される外鍔25と切欠溝4を備え、さらに一方の外鍔25の外縁で折り曲げられて、上方に向け側板用の起立板部28が延設される金属製部材である。複合側板7は、熱間圧延鋼板やステンレス鋼板等の平板状で供給される鋼材を、長手方向一定幅SBの帯板に切取り、該帯板に縦長孔30を形成した孔開き第二帯板材3Bに対し曲げ加工を施し、湾曲主部21,外鍔25,起立板部28,切欠溝4を形成した金属製部材である。横断面が逆U字状の湾曲主部21を形成してその両下縁21aから水平外方向に外鍔25が延設され、さらに一方の外鍔25の外縁から上方に向け側板用の起立板部28が延設される長手方向等断面形状の棒状第二部材2Bに、湾曲主部21の上端部分21bから外鍔25に至る鉛直方向の切欠溝4が複数形成された金属製複合側板7とする。
【0019】
複合側板7は、例えば次のように造られる。まず、板厚が1.5mm程の薄いステンレス鋼板等の平板状鋼材を、湾曲するバー本体71の平面展開幅SBで一定帯幅の長尺材に切断すると共に、帯幅方向に長い切欠溝4用矩形縦長孔30を、該長尺材の長手方向に定間隔で穴あけ形成して、図4(イ)ごとくの孔開き第二長尺材3bにする。幅方向中央に湾曲主部21用展開幅S1が確保され、その幅方向両側に湾曲主部21下縁から外方へ延設して外鍔25用の幅S2が確保され、さらに一方の外鍔25用の幅S2側が外方へ延設して起立板部28用の幅S3が確保される。縦長孔30が湾曲主部21用展開幅S1の幅方向に設けられ、その両端が両外鍔25の幅S2域に達している。
【0020】
次いで、該孔開き第二長尺材3bを、図1の作製しようとする矩形格子盤体Pの平面視縦長さL(一辺長さ)に合わせて、孔開き第二長尺材3bの長手方向に対し直交するように切断する。縦長さLの切断にあたって、孔開き第二長尺部材3bの長手方向両端に一番近い縦長孔30に対し、該縦長孔30から長さα分だけ長手方向外方に進んだ所で、両端カットされる孔開き第二帯板材3Bとする。詳しくは、両端に最も近い両縦長孔30に対し、メインバー6たる上面水平部64の張出し長さγに対応する長さα分だけ長手方向外方へ夫々張り出して、縦長さLが切断されてなる孔開き第二帯板材3Bとする(図4のイ)。
【0021】
続いて、外鍔25用の幅S2,起立板部28の幅S3はそのままにして、該孔開き第二帯板材3Bの湾曲主部21に相当する幅S1部分を、図4(イ)でいえば、その幅方向真中を通る紙面左右方向の中心ラインで横断面逆U字状に屈曲させて、湾曲主部21を形成する。該湾曲主部21の曲げ加工成形で、縦長孔30が図4(ロ),(ハ)のような切欠溝4になる。さらに、これと同時又は相前後して、外鍔25用の幅S2と起立板部28用の幅S3との境界線で折り曲げて、湾曲主部21,外鍔25,切欠溝4,起立板部28を有する複合側板7を造る。縦長孔30が形成された帯板状の孔開き第二帯板材3Bから複合側板7への曲げ加工成形で、起立板部28が前記外鍔25の外縁で折り曲げられて設けられる。
縦長孔30の孔幅W30が切欠溝4の溝幅W4になるが、溝幅W4はメインバー6に係る主板部63の板厚t6と同程度であり、該切欠溝4にメインバー6が嵌入可能とする。縦長孔30の両孔端部分30aが既述のごとく外鍔25の幅S2域に達するので、切欠溝4は湾曲主部21の上端部分21bから垂下し、湾曲主部21の下縁21aにまで到達する。切欠溝4の溝端部分45が外鍔25に入り込んでいる(図8)。
【0022】
かくのごとくして、断面逆U字状の湾曲主部21の両下縁21aから外鍔25が張り出し、さらに起立板部28用の幅S3が在る外鍔25ではその外縁で折れ曲り、垂直上方へ向けて起立板部28が延設する長手方向等断面形状の棒状第二部材2Bに、その長手方向に切欠溝4が定間隔で複数形成される。複合側板7の長手方向両端部で、長さα分入り込んだ箇所に切欠溝4が設けられ、格子盤体Pの平面視縦長さLと等しい長さの複合側板7になる。符号70は湾曲主部21の形成でできる空所を示す。
【0023】
前記クロスバー1,前記メインバー6,前記複合側板7を用いて、格子盤体Pが例えば次のように組立て形成される。
格子盤体Pの組立て形成は、図1の平面視でいえば、まず、格子盤体Pで最外側に配される最上段と最下段のメインバー6(後述の実施形態2では端板5に相当)が玄関マットの縦長さLに合わせた距離をとって置かれ、両メインバー6の外側に複合側板7に係る起立板部28を夫々当接固定し、枠体を形成する。メインバー主板部63の端部を切欠溝4に嵌入し複合側板7に係る外鍔25の受面255に載せ、両メインバー端面61,62に起立板部28を当接させるだけで枠体形状になり、後は点付け溶接で固定できる。次いで、両複合側板7に係る各切欠溝4に、枠体内に収める各メインバー6を、主板部63の板幅方向が起立配設されるようにして枠体Fに組付け固定する。続いて、両複合側板7間に所定ピッチで、クロスバー1を組付け固定する。クロスバー1の切欠溝4を各メインバー主板部63に合わすようにして下面側から嵌入し組付け、各クロスバー1の両端13,14と最上段,最下段のメインバー6とを夫々固定して、格子盤体Pが組立て一体化される。尚、枠体内に納めるメインバー6とクロスバー1の組付け順序を逆にしてもよい。
【0024】
メインバー主板部63の高さh6は、湾曲主部21の高さh21よりも高く設定される(図3,図5)。各メインバー6が切欠溝4に嵌入しクロスバー1の外鍔25に載って固着一体化されて格子状になると、図7のごとく、湾曲主部21の上端部分21bよりも各メインバー6に係る主板部63の方が上方に張り出す。各メインバー6の水平部64が、格子盤体Pの上面を形成し、帯状水平部64間にスリットSLが設けられる。高さHが20mm程で、平面視大きさが1000mm×600mm程の大きさの所望の玄関マット用格子盤体Pが出来上がる。
尚、メインバー端面61,62に複合側板7の起立板部28が夫々当接するので、格子盤体Pの横長さは、厳密にいえばメインバー6の長さYでなく、これに起立板部28の板厚が加わった長さになる。
【0025】
斯かる格子盤体Pは、玄関マットの凹みに配されると、図2,図3のごとく凹み底面K1にクロスバー1,複合側板7の外鍔下面256が全て当接し格子盤体Pの安定状態が確保され、各メインバー水平部64の上面が、凹みK周りの地表面K0と面一になる。
各メインバー6が、クロスバー1,複合側板7の外鍔受面255に受け止められるようにして、クロスバー1,複合側板7の切欠溝4に嵌合固定される。また、各メインバー6の両端部では、起立板部28用の幅S3が文字通り起立板部28となって、各メインバー端面61,62に当接する当て部材として機能する。玄関マット(又はグレーチング)で、メインバー6とクロスバー1とを格子状とし、メインバー6の両側横方向に固着される従来の側板の役割を、起立板部28が果たす。尚、図2で、起立板部28の高さh28を湾曲主部21の高さよりも低くするが、起立板部28用の幅S3を大きくすれば、簡単に高くすることができる。尚、格子盤体Pの外形に複合側板7の端面73,74が現れるが(図3)、メインバー6の水平部64の側端面と面一になるので(図3円内拡大図)、矩形格子盤体にしなくても玄関マット用として特に支障ない。
【0026】
ところで、前記孔開き第一帯板材3A,クロスバー1は、図5に代えて、図10の別態様品を用いるとより好ましくなる。縦長孔30の穴あけ形成が容易になるからである。穴あけ形成用ポンチの寿命も延ばす。図10のクロスバー1は、まず帯板材の帯幅方向に縦長の切欠溝4用縦長孔30が帯板材の長手方向に向けて定間隔で複数形成されるが、各縦長孔30の両孔端部分30aが平面視で夫々一様で滑らかな湾曲線となるようプレス加工で穴あけ形成された図10(イ)ごとくの孔開き第一長尺材3aを造る。孔開き第一長尺材3aの幅方向に縦長の縦長孔30が一定孔幅で設けられるが、該縦長孔30の両端孔幅部分30aは、図5のものと違って、平面視半円状で滑らかな湾曲線を形成する。且つ縦長孔30に係る半円状の両端孔幅部分30aが外鍔25の幅S2域に入り込むように設定する。その後、孔開き第一長尺材3aを図1の作製しようとするグレーチングの平面視縦長さLに合わせるように切断する。さらに、曲げ加工によって湾曲主部21を形成するが、この形成に伴い、縦長孔30が切欠溝4になる。図10(イ)の孔開き第一帯板材3Aから図10(ロ)〜(ハ)のクロスバー1になると、縦長孔30が湾曲主部21の上端部分21bから湾曲主部21の下縁21aを越え、少なくとも平面視半円状の溝端部分45全てが外鍔25の領域に入り込む。
【0027】
また、前記孔開き第二帯板材3B,複合側板7は、図4に代えて、図9の別態様品を用いるとより好ましくなる。縦長孔30の穴あけ形成が容易になるからである。図9は図4に代わる別態様の孔開き第二帯板材3B及び複合側板7を示す。該複合側板7は、まず帯板材の帯幅方向に縦長の切欠溝4用縦長孔30が帯板材の長手方向に向けて定間隔で複数形成されるが、各縦長孔30の両孔端部分30aが平面視で夫々一様で滑らかな湾曲線となるようプレス加工で穴あけ形成された図9(イ)ごとくの孔開き第二長尺材3bを造る。孔開き第二長尺材3bの幅方向に縦長の縦長孔30が一定孔幅で設けられるが、該縦長孔30の両端孔幅部分30aは、図4のものと違って、平面視半円状で滑らかな湾曲線を形成する。且つ縦長孔30に係る半円状の両端孔幅部分30aが外鍔25の幅S2域に入り込むように設定する。その後、孔開き第二長尺材3bを図1の作製しようとするグレーチングの平面視縦長さLに合わせるよう切断する。続いて、曲げ加工によって湾曲主部21を形成するが、この形成に伴い、縦長孔30が切欠溝4になる。図9(イ)の孔開き第二帯板材3Bから図9(ロ),(ハ)の複合側板7になると、縦長孔30が湾曲主部21の上端部分21bから湾曲主部21の下縁21aを越え、少なくとも平面視半円状の溝端部分45全てが外鍔25の領域に入り込む。
【0028】
(2)実施形態2
本実施形態の格子盤体Pは、側溝等の上面開口に蓋をするのに用いられる図11〜図15ごとくのグレーチングに適用する。図11は格子盤体の平面図、図12は(イ)が複合側板と端板とで枠体を形成する組付け説明側面図、(ロ)が組付けられた枠体の側面図、図13は複合側板と端板とで枠体を形成する組付け斜視図、図14は(イ)が孔開き第一帯板材の平面図、(ロ)がクロスバーの正面図、(ハ)が(ロ)の右側面図、図15は(イ)が孔開き第二帯板材の平面図、(ロ)が複合側板の正面図、(ハ)が(ロ)の右側面図を示す。尚、図12,図13は枠体Fとクロスバー1との位置関係が判るように、便宜的に該クロスバーを追加図示する。
【0029】
実施形態1と同様、クロスバー1とメインバー6と複合側板7とを具備し、クロスバー1とで格子状に形成した複数のメインバー6の両端面61,62に、一対の複合側板7の起立板部28が夫々当接し、且つ両複合側板7の切欠溝4にメインバー6の主板部63が嵌入一体化してなる格子盤体Pである。切欠溝4用縦長孔30が形成された帯板状の孔開き第二帯板材3Bから曲げ加工による複合側板7への形成で、起立板部28が外鍔25の外縁で折り曲げられて設けられる。
【0030】
本実施形態はメインバー6を長手方向等断面形状のフラットバーとし、メインバー6そのものが主板部63になる。また、クロスバー1,複合側板7の両端部を、実施形態1に代えて図13ごとくの形状にしている。
クロスバー1の両端部15では、外鍔25にあたる部分だけが湾曲主部21に係る長手方向両端の垂直面21cよりも長手方向外方に向け延設され、水平突出する板状突片部12が設けられる。このクロスバー1は例えば次のように造られる。図11の矩形格子盤体Pの平面視横長さL(一辺長さ)に合わせて、孔開き第一長尺材3aの長手方向に対し直交するように切断されるが、孔開き長尺部材3aの長手方向両端では縦長孔30が在る部分でカットされ、クロスバー両端部15に在る突片部12用の凸部32が残る孔開き第一帯板材3Aとする(図14のイ)。孔開き第一帯板材3Aの幅方向両端部で、縦長孔30の孔幅部分30aができる限り残るようにして該孔幅部分30aを一側縁とする凸部32が、孔開き第一帯板材3Aの長手方向両端で水平外方に突き出す状態にする。格子盤体Pの平面視横長さLに切断された孔開き第一帯板材3Aの長手方向両端部では、図14(イ)のごとく縦長孔30の領域がカットされて残る凹み側縁31bよりも凸部32の方が突出する。凸部32は幅S2で突出する。
該孔開き第一帯板材3Aを曲げ加工成形してなるクロスバー1は、その長手方向両端部で、縦長孔30の領域がカットされて残る凹み側縁31bが、図13のごとく湾曲主部21に係る長手方向両端の垂直面21cを形成し、該垂直面よりも図12の凸部32がつくる突片部12の方が長手方向外方へ突出する。
【0031】
また、複合側板7の両端部75では、外鍔25にあたる部分及び起立板部28が湾曲主部21に係る長手方向両端の垂直面21cよりも長手方向外方に向け延設され、水平突出する板状突片部72が設けられる(図13)。この複合側板7は例えば次のように造られる。図11の格子盤体Pの平面視横長さL(一辺長さ)に合わせて、孔開き第二長尺材3bの長手方向に対し直交するように切断されるが、孔開き第二長尺材3bの長手方向両端では縦長孔30が在る部分でカットされ、複合側板両端部75に在る突片部72用の凸部32及び突部33が残る孔開き第二帯板材3Bとする(図15のイ)。孔開き第二帯板材3Bの長手方向両端で、幅S2の凸部32及び幅S3の突部33が、湾曲主部21に係る長手方向両端の垂直面21cよりも水平外方に突き出す突片部72になる。図11で、格子盤体Pの平面視横長さLに切断された孔開き第二帯板材3Bの長手方向両端部では、図15(イ)のごとく縦長孔30の領域がカットされて残る凹み側縁31bよりも凸部32,突部33の方が突出する。
該孔開き第二帯板材3Bを曲げ加工成形してなる複合側板7は、その長手方向両端部で、縦長孔30の領域がカットされて残る凹み側縁31bが、図13のごとく湾曲主部21に係る長手方向両端の垂直面21cを形成し、該垂直面よりも凸部32,突部33がつくる突片部72の方が突出する。
また、本実施形態は、複合側板7の起立板部28を実施形態1のものより高くし、図12に示すごとく起立板部28の高さを湾曲主部21の高さと同程度にする。
【0032】
グレーチング用格子盤体Pは、前記クロスバー1,メインバー6,複合側板7を用いて、例えば次のように組立て形成される。まず、テーブル等に二本の複合側板7を図11の距離Yをとって平行に対向配設する。次に、複合側板7の長手方向両端部に在る夫々の突片部72に、端板5になるメインバー6を図13の白抜き矢印方向へ移動させて載置する。突片部72上に端板5の下方側の板厚面56を当接させ、且つ複合側板7に係る湾曲主部21の両端垂直面21cに端板5の板面51を当接させる。さらに端板5の両側端面57,58に複合側板7の起立板部28の内側当接面281を当接させて固定し、図12(ロ)でクロスバー1なし状態の平面視横長四角状の枠体Fを形成する。枠体となった複合側板7,端板5が、それぞれ最終製品たる格子盤体Pの配設位置になっている。
【0033】
続いて、クロスバー1がメインバー6とで格子状に形成できるよう、該クロスバー1の長手方向を複合側板7の長手方向に合わせて、両複合側板7間に所定ピッチで平行配設する。ここでは、両複合側板7間の真中にクロスバー1を一本配設し、クロスバー1の長手方向両端部に在る夫々の突片部12に、端板5が載置するようにして、該クロスバー1を取付け固定する(図12のロ)。突片部12上に端板5の下方側の板厚面56が当接し、且つクロスバー1に係る湾曲主部21の両端垂直面21cに端板5の板面51が当接する。
しかる後、メインバー6(主板部63)の板幅方向を起立させて、該メインバー6を各切欠溝4に嵌入し、クロスバー1とで格子状に形成する。枠体Fで各切欠溝4が安定保持されているので、円滑に格子状に組立て形成でき、該枠体が治具の役割も担う。格子状にしたメインバー6の端面61,62には複合側板7の起立板部28が当接し、該起立板部が側板用当て部材の役目を果たし、所望のグレーチング用矩形格子盤体Pになる(図11)。他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0034】
(3)効果
このように構成した格子盤体Pは、クロスバー1とで格子状に形成した複数のメインバー6の両側端面61,62に、一対の複合側板7に係る起立板部28が夫々当接するので、該起立板部28が玄関マットやグレーチングを矩形格子盤体Pにする際の側板的役割を果たす。グレーチング用格子盤体Pの製造は、従来、例えばメインバー6をその帯幅方向に起立させ、所定ピッチで複数配設した後、これらと直交するようにしてクロスバー1を載置固定して格子状とし、その後、両側横方向に側板を固着して矩形格子盤体Pに組み立てられるが、起立板部28の存在で側板を別途固着する必要がなくなる。部品点数の削減、側板の取付け工数の削減を図ることができる。
さらに、孔開き第二帯板材3Bから複合側板7への曲げ加工成形で、起立板部28が外鍔25の外縁で折り曲げられて設けられると、複合側板7に起立板部28が組み込まれた状態で一体成形されるので、コスト低減につながり、加えて、従来のように側板を溶接固定する手間や溶接跡が残る品質低下の問題も解消する。
【0035】
また、起立板部28があることで、簡単に格子盤体Pを組立て形成できる。例えば、玄関マット用格子盤体Pでは、既述のごとく最外側に配される二本のメインバー6(実施形態2では端板5に相当)を格子盤体Pの一辺長さLに合わせた距離に置き、両メインバー6の外側に複合側板7に係る起立板部28を夫々当接固定し、枠体を作製できる。最外側に配されるメインバー6の両端面61,62を、起立板部28を夫々当接するだけで位置決めされるので、その枠体形成が至って簡単である。また、実施形態2のような突片部12,72を設ければ、該突片部に最外側に配される二本のメインバー6(端板5)の下方側板厚面56を複合側板7の突片部72に載せ、端板5と起立板部28とを夫々当接固定し枠体を形成できるので、位置決めセットが楽で、枠体F,格子盤体Pが一層造り易くなる。枠体の形成後は、該枠体にクロスバー1及び残りのメインバー6を組付け固定すれば、製品たる格子盤体Pが難なく完成する。格子盤体Pの製造はスムーズに進む。格子盤体Pを組み立てるための治具を要しない。枠体が治具の役目を果たす。
【0036】
また、複合側板7,クロスバー1の切欠溝4に各メインバー6を嵌入し、簡単に格子状に形成できる。切欠溝4の形成でメインバー6の配置が位置決めされるため、特許文献1のごとくメインバー6に突出片を形作る切れ込み,小孔の形成が不要となる。突出片を折り曲げて起こす必要もない。
本発明にはクロスバー1,複合側板7に切欠溝4が設けられるが、これらはメインバー6のように荷重を受け止めるのでなく、メインバー6を係止する役割を担う。板厚が薄いクロスバー1,複合側板7に切欠溝4を形成するので、厚肉のメインバー6に小孔等を設けるのと違って、ごく簡単に形成できる。剪断,穴あけ,曲げ加工等のプレス加工による複合側板7,クロスバー1の生産過程で、切欠溝4を容易に作製できる。一方で、クロスバー1,複合側板7が板厚の薄い孔開き第一,第二帯板材3A,3Bで造られるが、湾曲主部21を設けることで、必要な機械的強度が保たれる。また、クロスバー1,複合側板7に切欠溝4が設けられ、それらの長手方向に向けての撓みが懸念されるが、格子盤体Pになれば、前記起立板部28の存在でその撓み阻止が図られる。起立板部28が従来の側板としての当て部材にとどまらず、撓み防止にも役立ち極めて理にかなっている。
【0037】
しかも、本発明の格子盤体Pはその機械的強度を担うメインバー6について、特許文献1のような小孔や切れ込みを入れないので、メインバー用材料の機械的強度がそのまま維持される。厚み,強度があるメインバー6に小孔や切れ込み加工することが労力負担大であったが、そのような負担を強いられることがない。本発明のメインバー6は、通称Tバー,Iバーやフラットバー等の汎用材を、例えば図1や図11の作製しようとする矩形格子盤体Pの一辺長さYに合わせて、該汎用材の所定位置で、その長手方向に対し直交するよう単純カットするだけで出来上がる。
さらに、特許文献1のごとく小孔や切れ込みの穴あけ加工する場合、メインバー6の仕損じ分を用意する必要があり、一方で用意して使われなかった分が材料の歩留まり低下を招いていたが、そうした無駄もない。従来技術と違って、メインバー6は必要数に応じて汎用材から切断するだけであり、材料の歩留まり向上を果たす。万一、メインバー6が足りない場合が発生しても、汎用材から単純カットするだけであり、すぐ準備できる。
このように、本格子盤体Pは上述した数々の優れた効果を発揮し極めて有益である。
【0038】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。クロスバー1,湾曲主部21,外鍔25,切欠溝4,端板5,メインバー6,複合側板7等の形状,大きさ,個数,材料,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。
【符号の説明】
【0039】
1 クロスバー
2A 棒状第一部材
2B 棒状第二部材
21 湾曲主部
21a 下縁
21b 上端部分
25 外鍔
28 起立板部
3B 孔開き第二帯板材
30 縦長孔
30a 孔端部分(孔幅部分)
4 切欠溝
6 メインバー
61、62 端面
63 主板部
7 複合側板
P 格子盤体
W4 溝幅
t6 板厚
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関マットや、側溝などの上面開口に蓋をするグレーチング(溝蓋)等に使用される格子盤体に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関マットには、靴底の汚れ除去や雨天時における靴底の水切り等を鑑み、金属製格子盤体が用いられる場合がある。斯かる格子盤体は、例えば横断面T字形の複数のメインバーの帯幅方向略中央にクロスバー用通孔を設け、各メインバー間に円筒体(金属製カラー)を介在させて丸棒からなるクロスバーを該通孔に通した後、クロスバー端部を螺着結合して完成し、玄関マットに供されていた。一つの玄関マットに要する円筒体の使用数が多く、組立て作業も結構面倒なこともあって、上記問題を改善する発明が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−94152号公報
【0004】
特許文献1は、請求の範囲に記載のごとく「複数の細長い部材(本発明でいうメインバー)と、並べられた各細長い部材を貫通し、これらの細長い部材を相互に連結する複数の連結棒(本発明でいうクロスバー)とを備え、各細長い部材には、各連結棒が貫通する複数の小孔を形成するとともに、複数の突出片を形作る各切れ込みを形成し、細長い部材の各突出片を折り曲げて起こし、これらの突出片を各細長い部材の間に介在させて、これらの細長い部材を連結した格子」の発明を提案する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、特許文献1は以下のような新たな問題を抱えていた。
まず、細長い部材は、玄関マットやグレーチングにおける主部材たるメインバーからなり、機械的強度大の部材が用いられており、板厚のある各細長い部材について、複数の小孔、さらに突出片用切れ込みを複数形成するのは、加工負担が大きかった。また、格子の製造にあたって、仕損じ分用の小孔、突出片付き細長い部材を用意する必要があり、一方で用意して使われなかった分が材料の歩留まりを下げる結果となった。一旦加工された小孔、突出片付き細長い部材は、別仕様の格子に使えず、廃棄スクラップ量を増やす結果になった。
さらに、細長い部材に連結棒が貫通する複数の小孔を形成するだけでなく、各突出片を折り曲げて起こして、各細長い部材に突出片が抜けた穴が形成されると、時に強度補強のため、ワンランク上の大きな部材を用いなければならないリスクを抱えていた。特にグレーチング用途の場合、細長い部材に小孔に加え突出片を加工することでその機械的強度が落ち、細長い部材のサイズをワンランクアップさせねばならない事態を招く虞があった。
加えて、側溝に蓋をするグレーチングも格子状体を形成するが、斯かる用途の場合、一般に矩形盤体として供される。特許文献1の格子は、細長い部材が複数並設されたそれら両端面側を塞ぐ側板を別途固着して対応しなければならなかった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するもので、側板を別途固着する必要がなく、製造容易な構造にし、またメインバー用材料の機械的強度がそのまま維持され、さらに材料の歩留まり向上につながる格子盤体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、断面が逆U字状の湾曲主部(21)を形成してその両下縁(21a)から水平外方向に外鍔(25)が延設される長手方向等断面形状の棒状第一部材(2A)に、該湾曲主部(21)の上端部分(21b)から該外鍔(25)に至る鉛直方向の切欠溝(4)が複数形成された金属製クロスバー(1)と、前記切欠溝(4)の溝幅(W4)に対応した板厚(t6)の主板部(63)を、夫々の該切欠溝(4)に嵌入することにより前記クロスバー(1)とで格子状に形成して、該主板部(63)の板幅方向が起立配設される長手方向等断面形状の金属製メインバー(6)と、断面が逆U字状の湾曲主部(21)を形成してその両下縁(21a)から水平外方向に外鍔(25)が延設され、さらに一方の外鍔(25)の外縁から上方に向け側板用の起立板部(28)が延設される長手方向等断面形状の棒状第二部材(2B)に、該湾曲主部(21)の上端部分(21b)から該外鍔(25)に至る鉛直方向の切欠溝(4)が複数形成された金属製複合側板(7)と、を具備し、前記クロスバー(1)とで格子状に形成した複数のメインバー(6)の両端面(61,62)に、一対の複合側板(7)の前記起立板部(28)が夫々当接し、且つ両複合側板(7)の切欠溝(4)に前記メインバー(6)の主板部(63)が嵌入一体化してなることを特徴とする格子盤体にある。
請求項2の発明たる格子盤体は、請求項1で、切欠溝(4)用縦長孔(30)が形成された帯板状の孔開き第二帯板材(3B)から、前記複合側板(7)への曲げ加工成形で、前記起立板部(28)が前記外鍔(25)の外縁で折り曲げられて設けられることを特徴とする。請求項3の発明たる格子盤体は、請求項2で、切欠溝用縦長孔(30)の両孔端部分(30a)が平面視で夫々一様で滑らかな湾曲線となるようプレス加工で穴あけ形成された孔開き第二帯板材(3B)から、前記複合側板(7)への曲げ加工成形で、該縦長孔(30)の両孔端部分(30a)が前記外鍔(25)の領域に入り込むようにしたことを特徴とする。
【0008】
(作用)
請求項1の発明のごとく、クロスバー(1)と、メインバー(6)と複合側板(7)と、を具備し、クロスバー(1)とで格子状に形成した複数のメインバー(6)の両端面(61,62)に、一対の複合側板(7)の起立板部(28)が夫々当接すると、該起立板部が側板の役割を果たす。従来、矩形格子盤体のグレーチング等に後加工で別途固着していた側板をなしで済ますことができる。加えて、起立板部にメインバーを当てて位置決めセットし、組立てできるので、格子盤体の製造が楽になる。また、切欠溝(4)の溝幅(W4)に対応した板厚(t6)の主板部(63)を、夫々の該切欠溝(4)に嵌入することにより前記クロスバー(1)とで格子状に形成すると、特許文献1のごとくメインバーに複数の小孔、さらに突出片用切れ込みを複数形成する必要がなく、メイン材料の機械的強度をそのまま維持できる。さらに突出片を折り曲げて起こして組み立てる必要がなく、製造容易な構造になっている。
請求項2のごとく、切欠溝(4)用縦長孔(30)が形成された帯板状の孔開き第二帯板材(3B)から、複合側板(7)への曲げ加工成形で、前記起立板部(28)が前記外鍔(25)の外縁で折り曲げられて設けられると、クロスバー機能及び側板機能を有する複合側板が一体成形されるので、格子盤体の製造が容易になるばかりか、製品の低コスト化にもつながる。
請求項3のごとく、切欠溝用縦長孔(30)の両孔端部分(30a)が平面視で夫々一様で滑らかな湾曲線となるようプレス加工で穴あけ形成された孔開き第二帯板材(3B)から、前記複合側板(7)への曲げ加工成形で、該縦長孔(30)の両孔端部分(30a)が前記外鍔(25)の領域に入り込むようにすると、縦長孔の穴あけが容易になり、また穴あけ形成用ポンチの寿命を延ばすことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の格子盤体は、複合側板がクロスバーと従来の側板を担い、且つ複合側板を用いた製品外枠の形成により製造が容易であり、またメインバー用材料を必要長さにカットしていくだけでメインバーになって、材料強度がそのまま維持され、さらにクロスバー用材料,複合側板材料についても、それらの必要長さにカットした孔開き第一帯板材,孔開き第二帯板材たる薄板カット品のプレス加工だけで、メインバーを組付け易くするクロスバー,複合側板になり、組立て容易性,材料の歩留まり向上につながるなど優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態1における格子盤体の平面図である。
【図2】図1の正面図で、円内は拡大図である。
【図3】図1の格子盤体の右側面図で、円内は拡大図である。
【図4】(イ)が複合側板用孔開き第二帯板材の平面図、(ロ)が複合側板の正面図、(ハ)が複合側板の右側面図、(ニ)が(ロ)のIV-IV線矢視図である。
【図5】(イ)がクロスバー用孔開き第一帯板材の平面図、(ロ)がクロスバーの正面図、(ハ)がクロスバーの右側面図、(ニ)が(ロ)のV-V線矢視図である。
【図6】クロスバー,複合側板にメインバーを組付ける説明斜視図である。
【図7】格子盤体の角部周りを上方側から見た斜視図である。
【図8】格子盤体の角部周りを下方側から見た斜視図である。
【図9】図4に代わる孔開き第二帯板材の他態様図である。
【図10】図5に代わる孔開き第一帯板材の他態様図である。
【図11】実施形態2における格子盤体の平面図である。
【図12】(イ)が複合側板と端板とで枠体を形成する組付け説明側面図、(ロ)が組付けられた枠体の側面図である。
【図13】複合側板と端板とで枠体を形成する組付け説明斜視図である。
【図14】(イ)が孔開き第一帯板材の平面図、(ロ)がクロスバーの正面図、(ハ)が(ロ)の右側面図である。
【図15】(イ)が孔開き第二帯板材の平面図、(ロ)が複合側板の正面図、(ハ)が(ロ)の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る格子盤体について詳述する。
(1)実施形態1
図1〜図10は本発明の格子盤体の一形態で、玄関マットに適用する。図1はその平面図、図2は図1の正面図、図3は図1の右側面図、図4は(イ)が複合側板用孔開き第二帯板材の平面図、(ロ)が複合側板の正面図、(ハ)が右側面図、(ニ)が(ロ)のIV-IV線矢視図、図5はクロスバー用孔開き第一帯板材の平面図、(ロ)がクロスバーの正面図、(ハ)が右側面図、(ニ)が(ロ)のV-V線矢視図、図6はクロスバー,複合側板にメインバーを組付ける説明斜視図、図7,図8は格子盤体の角部周りを見た斜視図、図9は図4に代わる孔開き第二帯板材の他態様図、図10は図5に代わる孔開き第一帯板材の他態様図である。尚、図面を判り易くするため、クロスバー1及びその孔開き第一帯板材3Aや、複合側板7及びその孔開き第二帯板材3Bの板厚を大きく描く。また、図1,図2は倍率を同じくするが、図3は見易くするため、倍率を上げている。
【0012】
格子盤体Pは、クロスバー1とメインバー6と複合側板7とを具備する(図1〜図3)。クロスバー1は、熱間圧延鋼板やステンレス鋼板等の平板状で供給される鋼材を、長手方向一定幅SAの帯板に切取り、該帯板に縦長孔30を形成した孔開き第一帯板材3Aに対し曲げ加工を施し、湾曲主部21,外鍔25,切欠溝4を形成した金属製部材である(図5)。横断面が逆U字状の湾曲主部21を形成して、その両下縁21aから水平外方向に外鍔25が延設される長手方向等断面形状(長手方向に向けて等断面形状)の棒状第一部材2Aに対し、湾曲主部21の上端部分から外鍔25に至る鉛直方向の切欠溝4が、該棒状第一部材2Aの長手方向に複数形成される。本発明の「水平方向」とは正規状態で配された格子盤体Pの平面図たる図1でいえば、その紙面と平行の方向、「鉛直方向」や「両下縁」の「下方」とはその紙面垂直下方向をいう。
クロスバー1の側面視形状は、格子盤体Pが玄関マット用凹みKに配設されると、図2の円内拡大図のごとく、側面視(横断面視)が逆U字状の湾曲主部21の両下縁21aから外鍔25が張り出すΩ字状や逆ひの字状になる。本発明の「逆U字状の湾曲主部21」に係る「逆U字状」には逆V字状を含む。
【0013】
クロスバー1は、例えば次のように造られる。まず、板厚が1.5mm程の薄いステンレス鋼板等の平板状鋼材を、湾曲するバー本体の平面展開幅SAで一定帯幅の長尺材に切断すると共に、帯幅方向に長い切欠溝4用矩形縦長孔30を、該長尺材の長手方向に定間隔で穴あけ形成して、図5(イ)ごとくの孔開き第一長尺材3aにする。幅方向中央に湾曲主部21用展開幅S1が確保され、その幅方向両側に湾曲主部下縁21aから外方へ延設する外鍔25用の幅S2が確保される。縦長孔30が湾曲主部21用展開幅S1の幅方向に設けられ、その両孔端部分30aが両外鍔25の幅S2域に達している。
【0014】
次いで、該孔開き第一長尺材3aを、図1の作製しようとする矩形格子盤体Pの平面視縦長さL(一辺長さ)に合わせて、孔開き第一長尺材3aの長手方向に対し直交するように切断する。縦長さLの切断にあたって、孔開き長尺部材3aの長手方向両端に一番近い縦長孔30に対し、該縦長孔30から長さβ分だけ長手方向外方に進んだ所で、両端カットされる孔開き第一帯板材3Aとする。詳しくは、両端に最も近い両縦長孔30から、メインバー6(詳細後述)たる上面水平部64の張出し長さγに対応する長さβ分だけ長手方向外方へ夫々張り出して、縦長さLに切断されてなる孔開き第一帯板材3Aとする。
【0015】
続いて、外鍔25用の幅S2はそのままにして、該孔開き第一帯板材3Aの湾曲主部21に相当する幅S1部分のみを、図5(イ)でいえば、その幅方向真中を通る紙面左右方向の中心ラインで横断面逆U字状に屈曲させて、湾曲主部21を形成する。該湾曲主部21の曲げ加工成形で、縦長孔30が図5(ロ),(ハ)のような切欠溝4になってクロスバー1が出来る。縦長孔30の孔幅W30が切欠溝4の溝幅W4になるが、溝幅W4はメインバー6に係る主板部63の板厚t6と同程度であり(図6)、該切欠溝4にメインバー6が嵌入可能とする。クロスバー1は、図5(ハ),(ニ)のごとく湾曲主部21の上端部分21bを通る鉛直ラインに対し左右線対称品になる。縦長孔30の両孔端部分30aが既述のごとく外鍔25の幅S2域に達するので、切欠溝4の溝端部分45が湾曲主部21の上端部分21bから垂下し、湾曲主部21の下縁21aにまで到達する(図6)。
【0016】
かくのごとくして、断面逆U字状の湾曲主部21の両下縁21aから外鍔25が張り出す長手方向等断面形状の棒状第一部材2Aに、その長手方向に切欠溝4が定間隔で複数形成される。クロスバー1の長手方向両端部では、長さβ分入り込んだ箇所に切欠溝4が設けられて、格子盤体Pの平面視縦長さLと等しい長さのクロスバー1になる。符号10は湾曲主部21の形成でできる空所を示す。
【0017】
メインバー6は、その主板部63が前記切欠溝4の溝幅W4に対応した板厚t6を有する長手方向等断面形状の金属製棒状部材である。夫々の切欠溝4に嵌入することによりクロスバー1とで格子状に形成する格子盤体用主要部材になっている。メインバー6には横断面T字形(通称Tバー),I字形(通称Iバー)や平鋼の帯板材(通称フラットバー)等など、長手方向に対し等断面形状の圧延鋼材,ステンレス鋼材等の汎用材が用いられる。本実施形態のメインバー6は、図1の作製しようとする格子盤体Pの平面視横長さY(一辺長さ)に合わせる長さで切断された横断面T字形部材で、起立配設される主板部63の上端に水平部64の中央部分が一体結合する。メインバー6は、主板部63がクロスバー1に在る夫々の切欠溝4に嵌入することによりクロスバー1とでスリットSLのある格子状体を形成する。尚、本メインバー6に係る水平部64の上面には滑り止め用凹凸部分(図示せず)が形成される。メインバー6は、該凹凸部分が在るため、厳密にいえば長手方向ほぼ等断面形状になるが、斯かる場合も本発明でいう長手方向等断面形状に含むものとする。
【0018】
複合側板7は、前記クロスバー1に係る湾曲主部21とその両側に延設される外鍔25と切欠溝4を備え、さらに一方の外鍔25の外縁で折り曲げられて、上方に向け側板用の起立板部28が延設される金属製部材である。複合側板7は、熱間圧延鋼板やステンレス鋼板等の平板状で供給される鋼材を、長手方向一定幅SBの帯板に切取り、該帯板に縦長孔30を形成した孔開き第二帯板材3Bに対し曲げ加工を施し、湾曲主部21,外鍔25,起立板部28,切欠溝4を形成した金属製部材である。横断面が逆U字状の湾曲主部21を形成してその両下縁21aから水平外方向に外鍔25が延設され、さらに一方の外鍔25の外縁から上方に向け側板用の起立板部28が延設される長手方向等断面形状の棒状第二部材2Bに、湾曲主部21の上端部分21bから外鍔25に至る鉛直方向の切欠溝4が複数形成された金属製複合側板7とする。
【0019】
複合側板7は、例えば次のように造られる。まず、板厚が1.5mm程の薄いステンレス鋼板等の平板状鋼材を、湾曲するバー本体71の平面展開幅SBで一定帯幅の長尺材に切断すると共に、帯幅方向に長い切欠溝4用矩形縦長孔30を、該長尺材の長手方向に定間隔で穴あけ形成して、図4(イ)ごとくの孔開き第二長尺材3bにする。幅方向中央に湾曲主部21用展開幅S1が確保され、その幅方向両側に湾曲主部21下縁から外方へ延設して外鍔25用の幅S2が確保され、さらに一方の外鍔25用の幅S2側が外方へ延設して起立板部28用の幅S3が確保される。縦長孔30が湾曲主部21用展開幅S1の幅方向に設けられ、その両端が両外鍔25の幅S2域に達している。
【0020】
次いで、該孔開き第二長尺材3bを、図1の作製しようとする矩形格子盤体Pの平面視縦長さL(一辺長さ)に合わせて、孔開き第二長尺材3bの長手方向に対し直交するように切断する。縦長さLの切断にあたって、孔開き第二長尺部材3bの長手方向両端に一番近い縦長孔30に対し、該縦長孔30から長さα分だけ長手方向外方に進んだ所で、両端カットされる孔開き第二帯板材3Bとする。詳しくは、両端に最も近い両縦長孔30に対し、メインバー6たる上面水平部64の張出し長さγに対応する長さα分だけ長手方向外方へ夫々張り出して、縦長さLが切断されてなる孔開き第二帯板材3Bとする(図4のイ)。
【0021】
続いて、外鍔25用の幅S2,起立板部28の幅S3はそのままにして、該孔開き第二帯板材3Bの湾曲主部21に相当する幅S1部分を、図4(イ)でいえば、その幅方向真中を通る紙面左右方向の中心ラインで横断面逆U字状に屈曲させて、湾曲主部21を形成する。該湾曲主部21の曲げ加工成形で、縦長孔30が図4(ロ),(ハ)のような切欠溝4になる。さらに、これと同時又は相前後して、外鍔25用の幅S2と起立板部28用の幅S3との境界線で折り曲げて、湾曲主部21,外鍔25,切欠溝4,起立板部28を有する複合側板7を造る。縦長孔30が形成された帯板状の孔開き第二帯板材3Bから複合側板7への曲げ加工成形で、起立板部28が前記外鍔25の外縁で折り曲げられて設けられる。
縦長孔30の孔幅W30が切欠溝4の溝幅W4になるが、溝幅W4はメインバー6に係る主板部63の板厚t6と同程度であり、該切欠溝4にメインバー6が嵌入可能とする。縦長孔30の両孔端部分30aが既述のごとく外鍔25の幅S2域に達するので、切欠溝4は湾曲主部21の上端部分21bから垂下し、湾曲主部21の下縁21aにまで到達する。切欠溝4の溝端部分45が外鍔25に入り込んでいる(図8)。
【0022】
かくのごとくして、断面逆U字状の湾曲主部21の両下縁21aから外鍔25が張り出し、さらに起立板部28用の幅S3が在る外鍔25ではその外縁で折れ曲り、垂直上方へ向けて起立板部28が延設する長手方向等断面形状の棒状第二部材2Bに、その長手方向に切欠溝4が定間隔で複数形成される。複合側板7の長手方向両端部で、長さα分入り込んだ箇所に切欠溝4が設けられ、格子盤体Pの平面視縦長さLと等しい長さの複合側板7になる。符号70は湾曲主部21の形成でできる空所を示す。
【0023】
前記クロスバー1,前記メインバー6,前記複合側板7を用いて、格子盤体Pが例えば次のように組立て形成される。
格子盤体Pの組立て形成は、図1の平面視でいえば、まず、格子盤体Pで最外側に配される最上段と最下段のメインバー6(後述の実施形態2では端板5に相当)が玄関マットの縦長さLに合わせた距離をとって置かれ、両メインバー6の外側に複合側板7に係る起立板部28を夫々当接固定し、枠体を形成する。メインバー主板部63の端部を切欠溝4に嵌入し複合側板7に係る外鍔25の受面255に載せ、両メインバー端面61,62に起立板部28を当接させるだけで枠体形状になり、後は点付け溶接で固定できる。次いで、両複合側板7に係る各切欠溝4に、枠体内に収める各メインバー6を、主板部63の板幅方向が起立配設されるようにして枠体Fに組付け固定する。続いて、両複合側板7間に所定ピッチで、クロスバー1を組付け固定する。クロスバー1の切欠溝4を各メインバー主板部63に合わすようにして下面側から嵌入し組付け、各クロスバー1の両端13,14と最上段,最下段のメインバー6とを夫々固定して、格子盤体Pが組立て一体化される。尚、枠体内に納めるメインバー6とクロスバー1の組付け順序を逆にしてもよい。
【0024】
メインバー主板部63の高さh6は、湾曲主部21の高さh21よりも高く設定される(図3,図5)。各メインバー6が切欠溝4に嵌入しクロスバー1の外鍔25に載って固着一体化されて格子状になると、図7のごとく、湾曲主部21の上端部分21bよりも各メインバー6に係る主板部63の方が上方に張り出す。各メインバー6の水平部64が、格子盤体Pの上面を形成し、帯状水平部64間にスリットSLが設けられる。高さHが20mm程で、平面視大きさが1000mm×600mm程の大きさの所望の玄関マット用格子盤体Pが出来上がる。
尚、メインバー端面61,62に複合側板7の起立板部28が夫々当接するので、格子盤体Pの横長さは、厳密にいえばメインバー6の長さYでなく、これに起立板部28の板厚が加わった長さになる。
【0025】
斯かる格子盤体Pは、玄関マットの凹みに配されると、図2,図3のごとく凹み底面K1にクロスバー1,複合側板7の外鍔下面256が全て当接し格子盤体Pの安定状態が確保され、各メインバー水平部64の上面が、凹みK周りの地表面K0と面一になる。
各メインバー6が、クロスバー1,複合側板7の外鍔受面255に受け止められるようにして、クロスバー1,複合側板7の切欠溝4に嵌合固定される。また、各メインバー6の両端部では、起立板部28用の幅S3が文字通り起立板部28となって、各メインバー端面61,62に当接する当て部材として機能する。玄関マット(又はグレーチング)で、メインバー6とクロスバー1とを格子状とし、メインバー6の両側横方向に固着される従来の側板の役割を、起立板部28が果たす。尚、図2で、起立板部28の高さh28を湾曲主部21の高さよりも低くするが、起立板部28用の幅S3を大きくすれば、簡単に高くすることができる。尚、格子盤体Pの外形に複合側板7の端面73,74が現れるが(図3)、メインバー6の水平部64の側端面と面一になるので(図3円内拡大図)、矩形格子盤体にしなくても玄関マット用として特に支障ない。
【0026】
ところで、前記孔開き第一帯板材3A,クロスバー1は、図5に代えて、図10の別態様品を用いるとより好ましくなる。縦長孔30の穴あけ形成が容易になるからである。穴あけ形成用ポンチの寿命も延ばす。図10のクロスバー1は、まず帯板材の帯幅方向に縦長の切欠溝4用縦長孔30が帯板材の長手方向に向けて定間隔で複数形成されるが、各縦長孔30の両孔端部分30aが平面視で夫々一様で滑らかな湾曲線となるようプレス加工で穴あけ形成された図10(イ)ごとくの孔開き第一長尺材3aを造る。孔開き第一長尺材3aの幅方向に縦長の縦長孔30が一定孔幅で設けられるが、該縦長孔30の両端孔幅部分30aは、図5のものと違って、平面視半円状で滑らかな湾曲線を形成する。且つ縦長孔30に係る半円状の両端孔幅部分30aが外鍔25の幅S2域に入り込むように設定する。その後、孔開き第一長尺材3aを図1の作製しようとするグレーチングの平面視縦長さLに合わせるように切断する。さらに、曲げ加工によって湾曲主部21を形成するが、この形成に伴い、縦長孔30が切欠溝4になる。図10(イ)の孔開き第一帯板材3Aから図10(ロ)〜(ハ)のクロスバー1になると、縦長孔30が湾曲主部21の上端部分21bから湾曲主部21の下縁21aを越え、少なくとも平面視半円状の溝端部分45全てが外鍔25の領域に入り込む。
【0027】
また、前記孔開き第二帯板材3B,複合側板7は、図4に代えて、図9の別態様品を用いるとより好ましくなる。縦長孔30の穴あけ形成が容易になるからである。図9は図4に代わる別態様の孔開き第二帯板材3B及び複合側板7を示す。該複合側板7は、まず帯板材の帯幅方向に縦長の切欠溝4用縦長孔30が帯板材の長手方向に向けて定間隔で複数形成されるが、各縦長孔30の両孔端部分30aが平面視で夫々一様で滑らかな湾曲線となるようプレス加工で穴あけ形成された図9(イ)ごとくの孔開き第二長尺材3bを造る。孔開き第二長尺材3bの幅方向に縦長の縦長孔30が一定孔幅で設けられるが、該縦長孔30の両端孔幅部分30aは、図4のものと違って、平面視半円状で滑らかな湾曲線を形成する。且つ縦長孔30に係る半円状の両端孔幅部分30aが外鍔25の幅S2域に入り込むように設定する。その後、孔開き第二長尺材3bを図1の作製しようとするグレーチングの平面視縦長さLに合わせるよう切断する。続いて、曲げ加工によって湾曲主部21を形成するが、この形成に伴い、縦長孔30が切欠溝4になる。図9(イ)の孔開き第二帯板材3Bから図9(ロ),(ハ)の複合側板7になると、縦長孔30が湾曲主部21の上端部分21bから湾曲主部21の下縁21aを越え、少なくとも平面視半円状の溝端部分45全てが外鍔25の領域に入り込む。
【0028】
(2)実施形態2
本実施形態の格子盤体Pは、側溝等の上面開口に蓋をするのに用いられる図11〜図15ごとくのグレーチングに適用する。図11は格子盤体の平面図、図12は(イ)が複合側板と端板とで枠体を形成する組付け説明側面図、(ロ)が組付けられた枠体の側面図、図13は複合側板と端板とで枠体を形成する組付け斜視図、図14は(イ)が孔開き第一帯板材の平面図、(ロ)がクロスバーの正面図、(ハ)が(ロ)の右側面図、図15は(イ)が孔開き第二帯板材の平面図、(ロ)が複合側板の正面図、(ハ)が(ロ)の右側面図を示す。尚、図12,図13は枠体Fとクロスバー1との位置関係が判るように、便宜的に該クロスバーを追加図示する。
【0029】
実施形態1と同様、クロスバー1とメインバー6と複合側板7とを具備し、クロスバー1とで格子状に形成した複数のメインバー6の両端面61,62に、一対の複合側板7の起立板部28が夫々当接し、且つ両複合側板7の切欠溝4にメインバー6の主板部63が嵌入一体化してなる格子盤体Pである。切欠溝4用縦長孔30が形成された帯板状の孔開き第二帯板材3Bから曲げ加工による複合側板7への形成で、起立板部28が外鍔25の外縁で折り曲げられて設けられる。
【0030】
本実施形態はメインバー6を長手方向等断面形状のフラットバーとし、メインバー6そのものが主板部63になる。また、クロスバー1,複合側板7の両端部を、実施形態1に代えて図13ごとくの形状にしている。
クロスバー1の両端部15では、外鍔25にあたる部分だけが湾曲主部21に係る長手方向両端の垂直面21cよりも長手方向外方に向け延設され、水平突出する板状突片部12が設けられる。このクロスバー1は例えば次のように造られる。図11の矩形格子盤体Pの平面視横長さL(一辺長さ)に合わせて、孔開き第一長尺材3aの長手方向に対し直交するように切断されるが、孔開き長尺部材3aの長手方向両端では縦長孔30が在る部分でカットされ、クロスバー両端部15に在る突片部12用の凸部32が残る孔開き第一帯板材3Aとする(図14のイ)。孔開き第一帯板材3Aの幅方向両端部で、縦長孔30の孔幅部分30aができる限り残るようにして該孔幅部分30aを一側縁とする凸部32が、孔開き第一帯板材3Aの長手方向両端で水平外方に突き出す状態にする。格子盤体Pの平面視横長さLに切断された孔開き第一帯板材3Aの長手方向両端部では、図14(イ)のごとく縦長孔30の領域がカットされて残る凹み側縁31bよりも凸部32の方が突出する。凸部32は幅S2で突出する。
該孔開き第一帯板材3Aを曲げ加工成形してなるクロスバー1は、その長手方向両端部で、縦長孔30の領域がカットされて残る凹み側縁31bが、図13のごとく湾曲主部21に係る長手方向両端の垂直面21cを形成し、該垂直面よりも図12の凸部32がつくる突片部12の方が長手方向外方へ突出する。
【0031】
また、複合側板7の両端部75では、外鍔25にあたる部分及び起立板部28が湾曲主部21に係る長手方向両端の垂直面21cよりも長手方向外方に向け延設され、水平突出する板状突片部72が設けられる(図13)。この複合側板7は例えば次のように造られる。図11の格子盤体Pの平面視横長さL(一辺長さ)に合わせて、孔開き第二長尺材3bの長手方向に対し直交するように切断されるが、孔開き第二長尺材3bの長手方向両端では縦長孔30が在る部分でカットされ、複合側板両端部75に在る突片部72用の凸部32及び突部33が残る孔開き第二帯板材3Bとする(図15のイ)。孔開き第二帯板材3Bの長手方向両端で、幅S2の凸部32及び幅S3の突部33が、湾曲主部21に係る長手方向両端の垂直面21cよりも水平外方に突き出す突片部72になる。図11で、格子盤体Pの平面視横長さLに切断された孔開き第二帯板材3Bの長手方向両端部では、図15(イ)のごとく縦長孔30の領域がカットされて残る凹み側縁31bよりも凸部32,突部33の方が突出する。
該孔開き第二帯板材3Bを曲げ加工成形してなる複合側板7は、その長手方向両端部で、縦長孔30の領域がカットされて残る凹み側縁31bが、図13のごとく湾曲主部21に係る長手方向両端の垂直面21cを形成し、該垂直面よりも凸部32,突部33がつくる突片部72の方が突出する。
また、本実施形態は、複合側板7の起立板部28を実施形態1のものより高くし、図12に示すごとく起立板部28の高さを湾曲主部21の高さと同程度にする。
【0032】
グレーチング用格子盤体Pは、前記クロスバー1,メインバー6,複合側板7を用いて、例えば次のように組立て形成される。まず、テーブル等に二本の複合側板7を図11の距離Yをとって平行に対向配設する。次に、複合側板7の長手方向両端部に在る夫々の突片部72に、端板5になるメインバー6を図13の白抜き矢印方向へ移動させて載置する。突片部72上に端板5の下方側の板厚面56を当接させ、且つ複合側板7に係る湾曲主部21の両端垂直面21cに端板5の板面51を当接させる。さらに端板5の両側端面57,58に複合側板7の起立板部28の内側当接面281を当接させて固定し、図12(ロ)でクロスバー1なし状態の平面視横長四角状の枠体Fを形成する。枠体となった複合側板7,端板5が、それぞれ最終製品たる格子盤体Pの配設位置になっている。
【0033】
続いて、クロスバー1がメインバー6とで格子状に形成できるよう、該クロスバー1の長手方向を複合側板7の長手方向に合わせて、両複合側板7間に所定ピッチで平行配設する。ここでは、両複合側板7間の真中にクロスバー1を一本配設し、クロスバー1の長手方向両端部に在る夫々の突片部12に、端板5が載置するようにして、該クロスバー1を取付け固定する(図12のロ)。突片部12上に端板5の下方側の板厚面56が当接し、且つクロスバー1に係る湾曲主部21の両端垂直面21cに端板5の板面51が当接する。
しかる後、メインバー6(主板部63)の板幅方向を起立させて、該メインバー6を各切欠溝4に嵌入し、クロスバー1とで格子状に形成する。枠体Fで各切欠溝4が安定保持されているので、円滑に格子状に組立て形成でき、該枠体が治具の役割も担う。格子状にしたメインバー6の端面61,62には複合側板7の起立板部28が当接し、該起立板部が側板用当て部材の役目を果たし、所望のグレーチング用矩形格子盤体Pになる(図11)。他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0034】
(3)効果
このように構成した格子盤体Pは、クロスバー1とで格子状に形成した複数のメインバー6の両側端面61,62に、一対の複合側板7に係る起立板部28が夫々当接するので、該起立板部28が玄関マットやグレーチングを矩形格子盤体Pにする際の側板的役割を果たす。グレーチング用格子盤体Pの製造は、従来、例えばメインバー6をその帯幅方向に起立させ、所定ピッチで複数配設した後、これらと直交するようにしてクロスバー1を載置固定して格子状とし、その後、両側横方向に側板を固着して矩形格子盤体Pに組み立てられるが、起立板部28の存在で側板を別途固着する必要がなくなる。部品点数の削減、側板の取付け工数の削減を図ることができる。
さらに、孔開き第二帯板材3Bから複合側板7への曲げ加工成形で、起立板部28が外鍔25の外縁で折り曲げられて設けられると、複合側板7に起立板部28が組み込まれた状態で一体成形されるので、コスト低減につながり、加えて、従来のように側板を溶接固定する手間や溶接跡が残る品質低下の問題も解消する。
【0035】
また、起立板部28があることで、簡単に格子盤体Pを組立て形成できる。例えば、玄関マット用格子盤体Pでは、既述のごとく最外側に配される二本のメインバー6(実施形態2では端板5に相当)を格子盤体Pの一辺長さLに合わせた距離に置き、両メインバー6の外側に複合側板7に係る起立板部28を夫々当接固定し、枠体を作製できる。最外側に配されるメインバー6の両端面61,62を、起立板部28を夫々当接するだけで位置決めされるので、その枠体形成が至って簡単である。また、実施形態2のような突片部12,72を設ければ、該突片部に最外側に配される二本のメインバー6(端板5)の下方側板厚面56を複合側板7の突片部72に載せ、端板5と起立板部28とを夫々当接固定し枠体を形成できるので、位置決めセットが楽で、枠体F,格子盤体Pが一層造り易くなる。枠体の形成後は、該枠体にクロスバー1及び残りのメインバー6を組付け固定すれば、製品たる格子盤体Pが難なく完成する。格子盤体Pの製造はスムーズに進む。格子盤体Pを組み立てるための治具を要しない。枠体が治具の役目を果たす。
【0036】
また、複合側板7,クロスバー1の切欠溝4に各メインバー6を嵌入し、簡単に格子状に形成できる。切欠溝4の形成でメインバー6の配置が位置決めされるため、特許文献1のごとくメインバー6に突出片を形作る切れ込み,小孔の形成が不要となる。突出片を折り曲げて起こす必要もない。
本発明にはクロスバー1,複合側板7に切欠溝4が設けられるが、これらはメインバー6のように荷重を受け止めるのでなく、メインバー6を係止する役割を担う。板厚が薄いクロスバー1,複合側板7に切欠溝4を形成するので、厚肉のメインバー6に小孔等を設けるのと違って、ごく簡単に形成できる。剪断,穴あけ,曲げ加工等のプレス加工による複合側板7,クロスバー1の生産過程で、切欠溝4を容易に作製できる。一方で、クロスバー1,複合側板7が板厚の薄い孔開き第一,第二帯板材3A,3Bで造られるが、湾曲主部21を設けることで、必要な機械的強度が保たれる。また、クロスバー1,複合側板7に切欠溝4が設けられ、それらの長手方向に向けての撓みが懸念されるが、格子盤体Pになれば、前記起立板部28の存在でその撓み阻止が図られる。起立板部28が従来の側板としての当て部材にとどまらず、撓み防止にも役立ち極めて理にかなっている。
【0037】
しかも、本発明の格子盤体Pはその機械的強度を担うメインバー6について、特許文献1のような小孔や切れ込みを入れないので、メインバー用材料の機械的強度がそのまま維持される。厚み,強度があるメインバー6に小孔や切れ込み加工することが労力負担大であったが、そのような負担を強いられることがない。本発明のメインバー6は、通称Tバー,Iバーやフラットバー等の汎用材を、例えば図1や図11の作製しようとする矩形格子盤体Pの一辺長さYに合わせて、該汎用材の所定位置で、その長手方向に対し直交するよう単純カットするだけで出来上がる。
さらに、特許文献1のごとく小孔や切れ込みの穴あけ加工する場合、メインバー6の仕損じ分を用意する必要があり、一方で用意して使われなかった分が材料の歩留まり低下を招いていたが、そうした無駄もない。従来技術と違って、メインバー6は必要数に応じて汎用材から切断するだけであり、材料の歩留まり向上を果たす。万一、メインバー6が足りない場合が発生しても、汎用材から単純カットするだけであり、すぐ準備できる。
このように、本格子盤体Pは上述した数々の優れた効果を発揮し極めて有益である。
【0038】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。クロスバー1,湾曲主部21,外鍔25,切欠溝4,端板5,メインバー6,複合側板7等の形状,大きさ,個数,材料,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。
【符号の説明】
【0039】
1 クロスバー
2A 棒状第一部材
2B 棒状第二部材
21 湾曲主部
21a 下縁
21b 上端部分
25 外鍔
28 起立板部
3B 孔開き第二帯板材
30 縦長孔
30a 孔端部分(孔幅部分)
4 切欠溝
6 メインバー
61、62 端面
63 主板部
7 複合側板
P 格子盤体
W4 溝幅
t6 板厚
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が逆U字状の湾曲主部(21)を形成してその両下縁(21a)から水平外方向に外鍔(25)が延設される長手方向等断面形状の棒状第一部材(2A)に、該湾曲主部(21)の上端部分(21b)から該外鍔(25)に至る鉛直方向の切欠溝(4)が複数形成された金属製クロスバー(1)と、
前記切欠溝(4)の溝幅(W4)に対応した板厚(t6)の主板部(63)を、夫々の該切欠溝(4)に嵌入することにより前記クロスバー(1)とで格子状に形成して、該主板部(63)の板幅方向が起立配設される長手方向等断面形状の金属製メインバー(6)と、
断面が逆U字状の湾曲主部(21)を形成してその両下縁(21a)から水平外方向に外鍔(25)が延設され、さらに一方の外鍔(25)の外縁から上方に向け側板用の起立板部(28)が延設される長手方向等断面形状の棒状第二部材(2B)に、該湾曲主部(21)の上端部分(21b)から該外鍔(25)に至る鉛直方向の切欠溝(4)が複数形成された金属製複合側板(7)と、を具備し、
前記クロスバー(1)とで格子状に形成した複数のメインバー(6)の両端面(61,62)に、一対の複合側板(7)の前記起立板部(28)が夫々当接し、且つ両複合側板(7)の切欠溝(4)に前記メインバー(6)の主板部(63)が嵌入一体化してなることを特徴とする格子盤体。
【請求項2】
前記切欠溝(4)用縦長孔(30)が形成された帯板状の孔開き第二帯板材(3B)から、前記複合側板(7)への曲げ加工成形で、前記起立板部(28)が前記外鍔(25)の外縁で折り曲げられて設けられる請求項1記載の格子盤体。
【請求項3】
前記切欠溝用縦長孔(30)の両孔端部分(30a)が平面視で夫々一様で滑らかな湾曲線となるようプレス加工で穴あけ形成された孔開き第二帯板材(3B)から、前記複合側板(7)への曲げ加工成形で、該縦長孔(30)の両孔端部分(30a)が前記外鍔(25)の領域に入り込むようにした請求項2記載の格子盤体。
【請求項1】
断面が逆U字状の湾曲主部(21)を形成してその両下縁(21a)から水平外方向に外鍔(25)が延設される長手方向等断面形状の棒状第一部材(2A)に、該湾曲主部(21)の上端部分(21b)から該外鍔(25)に至る鉛直方向の切欠溝(4)が複数形成された金属製クロスバー(1)と、
前記切欠溝(4)の溝幅(W4)に対応した板厚(t6)の主板部(63)を、夫々の該切欠溝(4)に嵌入することにより前記クロスバー(1)とで格子状に形成して、該主板部(63)の板幅方向が起立配設される長手方向等断面形状の金属製メインバー(6)と、
断面が逆U字状の湾曲主部(21)を形成してその両下縁(21a)から水平外方向に外鍔(25)が延設され、さらに一方の外鍔(25)の外縁から上方に向け側板用の起立板部(28)が延設される長手方向等断面形状の棒状第二部材(2B)に、該湾曲主部(21)の上端部分(21b)から該外鍔(25)に至る鉛直方向の切欠溝(4)が複数形成された金属製複合側板(7)と、を具備し、
前記クロスバー(1)とで格子状に形成した複数のメインバー(6)の両端面(61,62)に、一対の複合側板(7)の前記起立板部(28)が夫々当接し、且つ両複合側板(7)の切欠溝(4)に前記メインバー(6)の主板部(63)が嵌入一体化してなることを特徴とする格子盤体。
【請求項2】
前記切欠溝(4)用縦長孔(30)が形成された帯板状の孔開き第二帯板材(3B)から、前記複合側板(7)への曲げ加工成形で、前記起立板部(28)が前記外鍔(25)の外縁で折り曲げられて設けられる請求項1記載の格子盤体。
【請求項3】
前記切欠溝用縦長孔(30)の両孔端部分(30a)が平面視で夫々一様で滑らかな湾曲線となるようプレス加工で穴あけ形成された孔開き第二帯板材(3B)から、前記複合側板(7)への曲げ加工成形で、該縦長孔(30)の両孔端部分(30a)が前記外鍔(25)の領域に入り込むようにした請求項2記載の格子盤体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−91992(P2013−91992A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235168(P2011−235168)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(595126082)中尾技研工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(595126082)中尾技研工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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