説明

格納式半円形リング付αトラック検出器

【課題】
【解決手段】本発明は、空気中のラドンの時間積分濃度や種々の材料からの放射レートを測定するためのラドン検出器である。前記検出器は、格納式の半円形リング(4)を具えるように設計され、糸やワイヤを使いその他の道具を使わずに前記検出器を専門機関が推奨する高さに設置することができる。前記検出器は3つの要素で構成され、フィルタ部(1)を開かずにSSTDを交換することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジウムの崩壊によって生ずる気体成分であるラドンの時間積分濃度(Time integral concentration)を測定するαトラック検出器の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ラドン濃度を測定するαトラック検出器には固体飛跡検出器が使用され、LR‐115およびCR‐39はSSTD(固体飛跡検出器を表す)の商標である。測定期間中、ラドンおよびその娘核種から放射されたα粒子により、いくつかのトラックがSSTDの表面に形成される。α粒子によってSSTDに形成される深さは、10マイクロメートル程度である。
【0003】
SSTD上のα粒子のトラックは光学顕微鏡でも観察することができないため、光学顕微鏡で識別するために、温度40℃から60℃で1時間から6時間、10%から25%の水酸化ナトリウム水溶液でSSTDをエッチングしてトラックを拡大しなければならない。このトラックは、エッチング後に顕微鏡や自動読み取りシステムによって観察することができ、単位面積のトラックの平均数(トラック/D)は、既に分かっている転換因子によりラドンの濃度に変換することができる。
【0004】
空気中にある種々のラドン検出方法を以下に示す。
【表1】

【0005】
エッチングによるトラックの拡大で重要なのは、SSTDの周辺媒体からのα粒子に応じてエッチングレートを変化させることである。
【0006】
αトラック検出器の設置位置は、床から1.5m〜2.5mの高さで、天井や壁から約30cm離すことが推奨される。しかし、従来のほとんど総てのαトラック検出器は、紙テープ(401)や金属棒(402)により吊り下げられ、ラドン検出器を固定するために他の道具(321、322)を具えなければならない。さらにαトラック検出器は、当該検出器を現場から離れた研究室へ運搬するのに不便である。
【0007】
2つのSSTDのエッチングの条件を以下に示す。
【表2】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
αトラック検出器の設置位置は床から1.5m〜2.5mの高さであることが推奨されるが、実際には床から天井までの高さは様々であるため、長さが約30cmの紙テープや金属棒を使用した従来の検出器は推奨される条件を満たすことが困難である。
【0009】
現場でのラドン測定期間が終了した後、αトラック検出器は、検出器内のSSTDを読み取るべく化学エッチングしなければならないため、研究室に郵送されなければならない。従来では、この段階でフィルタが損傷してしまう。
【0010】
エッチングされたSSTDの単位面積あたりのトラック数は、センタエリアではサイドエリアに比べて10%多いため、データの精度はSSTDの読み取り範囲が大きいほど低くなるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの不都合を解消するために、本発明は、検出部、フィルタ部、および接続部の3つの部分に設計された。フィルタ部を開くことなく検出部内のSSTDを出し入れすることができ、検出部の中央に位置するSSTDホルダセットにより、SSTDを従来のものより小さくすることができる。
【0012】
本発明は、直径が1mmから4mmの穴(41)が設けられた直径が10mmから50mmの格納式半円形リング(4)を有し、糸やワイヤを使いその他の道具を使わずに検出器を専門機関が推奨する高さに容易に設置することができる。
【0013】
本発明における検出部は、SSTDを中央部にしっかり保持するSSTDホルダのセットを具えており、SSTDの側面から検出器の接線までの距離が5mmから20mmである。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、(1)紙テープ、金属棒、およびその他の道具を使わずに糸やワイヤを用いてαトラック検出器を専門機関が推奨する高さに容易に設置することができ、(2)αトラック検出器の本体が再利用可能であり、また輸送するために梱包する量を減らすことでき、(3)SSTDの使用を抑えつつ、測定の精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、ラドンから空気中およびSSTDに放射されるα粒子の範囲を考慮した結果、直径が4cm、高さが3cmの円筒形状に設計されている。
【0016】
検出部(3)に相当する本発明の上部は、外気からフィルタを介して検出器に入るラドンから放射されるα粒子を検出するSSTD(500)を固定するSSTDホルダ(31)のセットと、穴(41)を有する半円形リング(4)を支持しており、糸やワイヤを使って検出器を天井から吊すことができる支持部(32)のセットとからなる。
【0017】
フィルタ部に相当する本発明の底部は、ラドン以外の放射性同位体を検出器内に透過させないようにするフィルタと、円形の粘着テープで固定して輸送中にフィルタの損傷を防止するカバー(1)とからなる。
【0018】
接続部(2)に相当する本発明の中央部は溝(21)を具え、検出部(3)を本体から親指の爪で容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の正面図であり、左の図では半円形リングが畳まれており、右の図では半円形リングが展開している状態を示す。
【図2】図2は、本発明の立面図および底面図である。
【図3】図3は、SSTDを取り付けた本発明の断面図である。
【図4】図4は、SSTDを取り付けた従来のαトラック検出器の断面図である。
【図5】図5は、従来のαトラック検出器の2つの設置タイプを示している。
【符号の説明】
【0020】
1 :フィルタを支持し、輸送中の損傷を防止するため円形のテープを接着する面を具え、フィルタ媒体を通してラドン娘核種がない気体状態のラドンを検出器に入れることができるフィルタホルダ
101:従来のαトラック検出器のフィルタホルダの形状
2 :検出部とフィルタ部を直接に接触させずに各部を接続する接続部
21 :検出部を本体から親指の爪で容易に分離するための溝
201:従来のαトラック検出器の本体の形状
3 :半円形のリングを有する支持部のセットと反対側のSSTDホルダのセットからなる本発明の上部
31 :SSTDを検出部内に固定するSSTDホルダのセット
32 :半円形リングを検出部に固定するための支持部のセット
311:従来のαトラック検出器のSSTDホルダの形状
321:検出部を紙テープに固定するための従来の粘着部
322:検出器を金属棒に固定するための従来のケーブル固定部
4 :現場で糸やワイヤを使って本発明を設置するための半円形リング
41 :糸やワイヤを半円形リングに挿入するための穴
401:検出器を天井から吊り下げるための従来の紙テープ製吊り下げ具の形状
402:検出器を天井から吊り下げるための従来の金属棒で作製された吊り下げ具の形状
500:SSTDを表す固体飛跡検出器
501:従来のαトラック検出器のSSTDの形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラドンの時間積分濃度を測定するαトラック検出器において:
「検出部」(3)、「接続部」(2)、および「フィルタホルダ」(1)の3つの部分を具えることを特徴とするαトラック検出器。
【請求項2】
請求項1に記載の検出器において、前記「検出部」(3)が、直径が1mm乃至4mmの穴(41)を有する格納式半円形リング(4)を外部に具え、前記検出器の内縁部の接線から5mm乃至20mmの位置にあるSSTDホルダ(31)を内部に具えることを特徴とする検出器。
【請求項3】
請求項1に記載の検出器において、前記「接続部」(2)が、フィルタホルダ(1)であるフィルタの支持部を具えることを特徴とする検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−529741(P2007−529741A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503838(P2007−503838)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000771
【国際公開番号】WO2005/086605
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(506315022)
【Fターム(参考)】