説明

桁架設工法

【課題】架設荷重による曲げ応力が小さくなるようにした架設桁を使用する桁架設工法を提供すること。
【解決手段】架設桁1を用いて主桁23を架設する桁架設工法において、前記架設桁1の内側または外側に桁長手方向に下に凸の配置形状となるように外ケーブル12を配置すると共に、前記外ケーブル12の端部を架設桁1の端部または中間部に緊張定着されて、たわみ量δが小さくなるように外ケーブル12で補強された架設桁1を用いる桁架設工法。また、架設桁1端部の端部縦枠材または横梁に外ケーブルを定着させる。また、架設桁1の両端部より、架設桁長さ寸法の略1/3〜1/4の中央側に離れた位置に、外ケーブル12を支承する偏向部を設ける。また、架設桁1における弦材または架設桁に設けられた横梁に偏向部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋脚または橋台に桁(主桁)を架設するための架設桁を用いた桁の架設工法に関する。
【背景技術】
【0002】
橋脚または橋台等の下部構造物間に桁(主桁)を架設する場合の架設工法として、(1)クレーン類を使用して桁を吊上げて架設するクレーン類による桁架設工法。(2)架設桁を使用して桁(主桁)を架設する、架設桁による架設工法。(3)その他の架設工法(タワーエレクションによる架設工法、ノーズ式横取り架設工法、ベント類による架設工法)が知られている。本発明は前記(2)の架設桁を使用して桁(主桁)を架設する、架設桁による桁架設工法に属すると共にこの工法に使用される架設桁に属する。
【0003】
前記(2)の架設桁を使用して桁(主桁)を架設する、架設桁による桁架設工法は、渓谷等地盤条件(足場)の悪い場所のように、クレーン類による桁の吊上げ架設工法が採用できない場所において採用される工法であり、橋軸方向に隣り合う下部構造物に渡って架設桁を仮設し、その後、その架設桁に支持させるようにして主桁を搬送した後、主桁を下部構造物に架設する桁架設工法であり、手延べ桁付きエレクションガーダー等の架設桁設備のほかに桁吊り装置、および桁の横取り装置(横移動装置)等を組合わせて行う工法で、さらに細分類すると、(2−1)上路式架設工法と、(2−2)吊下げ式架設工法と、(3−3)抱き込み式架設工法がある。このような架設桁による桁架設工法に使用される架設桁としては、最大で約50m程度の各種の形態がある。
【0004】
前記(2−1)の上路式架設工法は、図10に概略図を示すように、架設対象径間における各橋脚27、27上に、門型架設機28を設置すると共に各橋脚27、27上に渡って架設桁1を架設し、自走式台車等により前記架設桁1上に引き出されたPC桁などの桁23を、門型架設機28に付属させた巻き揚げ装置付き横行台車25および吊り金具26等の吊上げ桁吊装置により吊り上げ、横行台車25を門型架設機28上で横移動させて桁23を横移動させた後、桁23を吊り降ろして橋脚27上の所定の位置に据え付ける工法である。
【0005】
前記(2−2)の吊下げ式架設工法は、架設桁を桁高以上の高さになるようにベント材を用いて設置し、架設桁上の桁吊り装置にて前方へ移動したのち、横移動させて、桁を支承上に据え付ける工法である。
【0006】
また、前記(3−3)抱き込み式架設工法は、2組の架設桁を吊下げ式架設工法と同様に、ベント材を用いて設置し、桁吊り装置を用いてPC桁などの桁を架設桁間に抱き込んで架設する工法で、桁を吊下げ移動させる点で基本的には吊下げ架設工法と同様である。なお、この抱き込み式架設工法の中には、さらに進化させた抱き込み式架設桁にPC桁を吊り込んだまま横移動する抱き込み式架設桁横取り方式で架設する方法もある。
【0007】
ところで、架設桁架設工法において、長支間もしくは重量物の架設を行う場合に、架設桁の安全性を確認するようにしており、その一つにたわみ量があり、大きなたわみ量δとなる場合には、強度上(曲げ応力またはせん断応力等)に余裕がある状態であっても、たわみ量により架設物の重量が限定されてしまう場合がある。
例えば、前記のたわみ量δは、前記(1)の上路式架設工法では、架設桁を支持する支点間距離LのL/500以下の寸法に抑える必要があり、また、前記(2)の吊下げ式架設工法および前記(3)の抱き込み式架設工法では、クレーンの場合を考にして、架設桁を支持する支点間距離LのL/800以下の寸法に抑えるようにしている。そのため、架設桁自体の自重を含む架設桁に負荷される架設荷重による曲げ応力を極力低減することにより、前記のたわみ量δを小さくすることが望まれる。
【0008】
また従来、先端に手延べ機を備えた橋梁下部にワイヤー引き込み装置を設け、ワイヤーの一端を前方の橋脚に固定し、そのワイヤーの他端を前記手延べ機の下側から橋梁下部のワイヤー引き込み装置に案内して、そのワイヤー引き込み装置を作動させることにより、橋梁を前方に前進させて架設する橋梁の架設方法が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
手延べ機の下側にワイヤーを単に配置する場合は、手延べ機そのものの剛性を向上させるものではなく、ワイヤーの引き込み装置による反復動作による牽引時に、既存の手延べ機の最大たわみ量を小さく改善する発明ではなく、径間寸法が大きくなった場合には、より剛性の大きい別個の手延べ機に置き換えて、施工するようになる。
【0010】
また、従来鉄骨梁の下縁側に平行に、ねじ継手を有する高強度異形ねじ鉄筋を配置して、前記ねじ鉄筋の両端部を鉄骨梁の両端部に定着金物により定着して、鉄骨梁の下縁側にプレストレスを導入可能にした鉄骨梁も知られている(例えば、特許文献2参照。)
前記の場合には、鉄骨梁の下縁側に平行に配置されているので、上向き力を付加できないという問題がある。
【特許文献1】特許第3337138号公報
【特許文献2】特開平7−145655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記のように、架設荷重による曲げ応力が大きくなると、架設桁のたわみ量が大きくなるため、支間長および桁重量が限定される恐れがあり、これにより、橋梁形式の変更あるいは架設方法、架設桁を含む架設機の変更を余儀なくされてしまうという問題がある。
【0012】
このように架設桁を含む架設機の変更となると、既存の架設機を使用することができず、架設機の大型化や橋梁形式変更となり、確実にコストアップしてしまうことも予想され好ましくない。
【0013】
これらのことを考慮して、既存の架設桁を簡単な手段により容易に剛性を高めて、架設桁の撓みを小さくできると、新規な大型の架設桁を含む架設機を用いることなく、既存の架設桁を有効に活用できるため、経済的に施工することができる安価な施工方法が望まれていた。
【0014】
本発明は、既存の架設桁のたわみ剛性を大きくして、架設桁のたわみを外ケーブル等のケーブルの補強により抑制し、既存の架設桁の性能を最大限に活用可能な架設桁を用いた桁の架設工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明の桁架設工法では、架設桁を用いて主桁を架設する桁架設工法において、前記架設桁の内側または外側に桁長手方向に下に凸の配置形状となるように外ケーブルを配置すると共に、前記外ケーブルの端部を架設桁の端部または中間部に緊張定着されて、架設荷重による曲げ応力が小さくなるように外ケーブルで補強された架設桁を用いることを特徴とする。
また、第2発明では第1発明の桁架設工法において、架設桁端部の端部縦枠材または横梁に外ケーブルを定着させた架設桁であることを特徴とする。
また、第3発明では、第1または第2発明の桁架設工法において、架設桁の両端部より、架設桁長さ寸法の略1/3〜1/4の中央側に離れた位置に、外ケーブルを支承する偏向部を設けた架設桁であることを特徴とする。
また、第4発明では、第3発明の桁架設工法において、架設桁における弦材または架設桁に設けられた横梁に偏向部が設けられている架設桁であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、プレキャスト桁等の桁を、架設桁を用いて架設する場合に、架設桁に作用する架設荷重による曲げ応力を低減して、架設桁のたわみ量を小さくでき、したがって、既製の架設桁を利用してこれに外ケーブルを配置することにより、架設荷重による曲げ応力の低減およびたわみ量が小さくなるように補剛改善することができる。そのため、既存の架設桁を使用して、プレキャスト桁等の桁を下部構造物間に安価に架設することができる等の効果が得られる。
また、第1発明によると、前記架設桁の内側または外側に桁長手方向に下に凸の配置形状となるように外ケーブルを配置すると共に、前記外ケーブルの端部を架設桁の端部または中間部に緊張定着されて、架設荷重による曲げ応力が小さくなるように外ケーブルで補強されている架設桁を用いるので、既存の架設桁を利用して、その架設荷重による曲げ応力が小さくなるように補強された架設桁に安価に変更することができる。また、外ケーブルを架設桁に下に凸の配置形状となるように配置して緊張定着するだけであるので、既存の架設桁の構造変更が容易であり、構造も簡単で容易に補強可能な架設桁とすることができる。また、外ケーブルおよびこれを支承する偏向部または定着部を付加させる架設桁の構造を変更するだけでよく、基本的な桁架設工法の変更がないため、施工が容易になる。
また、外ケーブルを配置前の架設桁を設置した後、架設桁に外ケーブルを配置して、緊張定着することもでき、施工の自由度が向上する。
第2発明によると、架設桁端部に横梁を設けて、外ケーブルを定着させた架設桁を用いる工法であるので、既存の架設桁を容易に補強して用いることができる施工工法であり、施工コストを安価にできる。
第3発明によると、架設桁の両端部より、架設桁長さ寸法の略1/3〜1/4の中央側に離れた位置に、外ケーブルを支承する偏向部を設けるだけで、たわみ量が大きくなる桁中央側区間のたわみ量を、架設桁の橋軸方向のほぼ全体に渡って効率よく小さくすることができる。
第4発明によると、架設桁の端部縦枠材または横梁に偏向部を設けるだけで、容易に外ケーブルの中間部を偏向配置して、架設桁自身を含みこれに作用する架設荷重による曲げ応力およびたわみ量が小さくなるように、補強することができる。
前記のように本発明によると、架設桁を含みこれに作用する架設荷重による曲げ応力およびたわみ量を小さくなるように補強された架設桁を用いるので、既存の架設桁を外ケーブルおよびこれを支承する偏向部または定着部を付加させる構造変更するだけで、たわみ量が少なくなるように補強された架設桁とすることができ、また、基本的な桁架設工法の変更をする必要がないため、施工が容易になると共に、施工場所に最も近い場所の架設桁を使用できるようになり、架設桁の使用効率を向上させることができ、安価に主桁を架設することができる架設工法になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0018】
先ず、図6および図7を参照して本発明の架設工法において使用する架設桁1について説明すると、左右方向に延びる鋼製管体等よりなる上下一対の上弦材2および下弦材3と、前記各上下の弦材2、3を連結固定する多数の斜材4、および端部縦枠材5を備えた一対の側部架設桁構成部材6を構成し、その側部架設桁構成部材6を端部あるいは中間部において、鋼管等の横枠材8により連結して鋼製ガーダからなる架設桁本体7を構成すると共に、その架設桁本体7の先端部には手延べ部9を備えている。
【0019】
そして、前記の架設桁1においては、横方向に隣り合う後端部の端部縦枠材5間、および横方向に隣り合う前部側の縦枠材10間の上部あるいは中間部に渡って前後方向の上部横梁材11が配置されてボルト等により着脱可能に固定され、前記上部横梁材11には、その長手方向(前後方向)の中間部に間隔をおいて、外ケーブル12用の定着装置13が設けられ、前記定着装置13により、外ケーブル12の端部が緊張状態で定着されて、架設桁1に上向き力が付与されている。前記の外ケーブル12に導入される緊張力および付与される上向き力は設計により設定される。
【0020】
前記の定着装置13は、上部横梁材11に設けた外ケーブル挿通用孔、上部横梁材11の橋軸方向外側に配置される断面ほぼ三角形状の傾斜支承部材14、およびこれに支承される支圧プレート15、並びに前記支圧プレート15に支承される定着金具16等により構成される。
【0021】
また、架設桁1における横方向(橋軸直角方向)に隣り合う下弦材3に渡って前後方向(橋軸直角方向)に延長するように下部横梁材16が配置されてボルト等により固定され、各下部横梁材16の長手方向(前後方向)の中間部に間隔をおいて、外ケーブル12用の偏向部17が設けられている。
【0022】
前記の偏向部17は、下向きに開放された支承溝18を備えた支承金具20と、これを下部横梁材16に固定するボルト・ナット等の固定金具21とにより構成されて、各外ケーブル12の中間部が支承されている。前記の支承溝18には、合成樹脂製等の滑り支承材が設けられる。
【0023】
また、前記の偏向部17は、上部の上部横梁材16に設けられる定着装置13のレベルよりも下に位置され、これによって、外ケーブル12を下に凸に配置可能にされ、また架設桁1に上向きの曲げモーメントを付加可能にされている。
【0024】
また、下部横梁材16は下弦材3における橋軸方向の中間部に間隔をおいて2箇所に設けることにより、架設桁1の長手方向の中間部を下部横梁材16により確実に補強されていると共に偏向部17を設置可能にされている。
【0025】
前記の偏向部17を、架設桁1の両端部より、架設桁長さ寸法(ただし、手延べ部を除いた部分の架設桁本体の長さ寸法)の略1/3〜1/4の中央側に離れた位置に、換言すると、架設桁1の鉛直な縦枠材10(または端部縦枠材5)から架設桁1の中央側より(正確には、端部縦枠材5と縦枠材10との間の中央より)に、架設桁1の端部縦枠材5と縦枠材10との間の長さ寸法Lの1/3〜1/4の範囲の位置に配置し、一方の上部定着部22から各偏向部17を介して他方の上部定着部22まで外ケーブル12を配置して緊張定着することで、架設桁1における端部縦枠材5と縦枠材10との間に渡って、たわみ量δが小さくなるように、特に偏向部17間では均等にたわみ量δが小さくなるように補強されている。架設桁1の鉛直な縦枠材10(または端部縦枠材5)から前記の長さ寸法Lの1/3〜1/4の範囲の位置に配置するのは、縦枠材10と端部縦枠材5との間の中央部位置で、架設荷重による曲げ応力およびたわみ量δが最大になるが、この付近の架設荷重による曲げ応力およびたわみ量を効率よく低減させるため、また、外ケーブル12の緊張力を過大にしないためである。偏向部17を中央部に一つ設ける場合を否定するものではないが、この場合には、中央部のみ効果的にたわみ量を低減できるが、架設桁1の長手方向に渡って一定のたわみ量δを低減することはできない。
【0026】
なお、前記の外ケーブル12は、架設桁1を橋脚間に架設後に緊張すればよく、外ケーブル12の緊張定着後、桁(主桁)23の架設を行う。
【0027】
前記の架設桁1における偏向部17は、下弦材3よりも、下方に突出しているので、架設桁1の上部に、搬送台車用レールを敷設して、架設桁1を架設すべき桁(主桁)23の搬送路とする上路式の架設工法に容易に対応できる。
そのため、図10に示すように、架設桁1上に走行レール1aを適宜敷設して、搬送台車24により桁23を、架設すべき径間に搬送し、橋脚上に設置した門型フレーム25a上の巻き揚げ装置付き横行台車25および吊り金具26を介して桁23を吊上げて、橋軸直角方向に横移動して降下させて、橋脚27上に設置される。なお、新たに設置される桁23は、既設側に設置された桁23上に敷設されたレール1b上を移動する台車(図示を省略)により搬送される。
【0028】
(変形形態)
図8および図9は、前記の形態の架設桁1の変形形態であり、架設桁1の下側に偏向部17が突出しないように外ケーブル12を配置した形態であり、前記の架設桁1と相違する部分は、上部横梁材11がさらに上位の位置において端部縦枠材5に取付けられ、および下部横梁材16が下弦材3の上側に取付けられ、偏向支承金具20が下弦材3から突出しないように取付けられていることである。その他の形態は前記形態の架設桁1の場合と同様であるので、同様な部分には同様な符号を付した。
このような架設桁1であると、吊下式架設工法あるいは抱き込み式架設工法が可能になり、図10を参照して説明すると(具体的な構造図は省略した)、架設桁1の下側で架設桁1自身を、前後の橋脚27上に設置される前方または後方の支柱上部でスライド可能に支承することが可能であると共に、架設桁1上に設けるレール上を走行可能な走行台車と、その走行台車に支持される枠形フレームおよびその枠形フレームの下部で支持される吊り金具を介して、桁23を吊下げ支持して、桁23の引き出しあるいは吊上げ搬送し、橋脚27上への設置が可能になる。
【0029】
次に、前記のように補強されて、架設桁に負荷される架設荷重による曲げ応力が小さくなるように補強された第1実施形態の架設桁1を使用して、プレキャスト桁などの桁23を架設する場合の手順について図1〜図5および図10を参照して説明すると、桁23を架設すべき径間における橋脚27上に、先ず、架設桁1を架設する。前記の架設桁1の架設には、各橋脚27上に設置した門型架設機28に付属する巻き揚げ装置付き横行台車25あるいは吊り金具26を使用して適宜設置される。なお、既設の桁23上のレール等は、図示を省略した。
【0030】
この状態から、既設桁29上に敷設された走行レール1bおよび架設桁1上に敷設される走行レール1a上を、搬送台車24等により新設の桁23を、次に架設すべき径間に搬送する。
【0031】
図1(a)に示す状態では、架設桁1上に搬送台車24が載荷されていないので、架設桁1は、橋脚27間では、外ケーブル12の緊張定着による上向き曲げモーメントにより図1(b)のような正の曲げモーメントM1が作用し、他に搬送台車24から前記の曲げモーメントM1を打ち消す負のモーメントM2が作用しないので、これらの合成モーメントM3として図1(c)のような合成モーメントM3となる。
【0032】
次いで、図2(a)に示すような位置に、架設桁1上の基端側に搬送台車24と共に桁23が搬送されると、搬送台車24における車輪30が架設桁1の基端側に位置して、搬送台車24側の荷重が架設桁1上に付加されると、図2(b)に示すように、架設桁1の基端側に、搬送台車24の荷重が載荷されて、これによる負の曲げモーメントM2が作用するため、図2(c)のような合成モーメントM3となる。
【0033】
次いで、図3(a)に示すような位置に、搬送台車24と共に桁23が搬送されると、搬送台車24における車輪30が架設桁1の中央側に位置して、搬送台車24側の荷重が架設桁1上に付加されると、図3(b)に示すように、架設桁1の中央側に、搬送台車24の荷重が載荷されて、これによる負の曲げモーメントM2が作用するため、図3(c)のような合成モーメントM3となる。
【0034】
この時における架設桁1中央の曲げモーメントが最大になり、たわみ量δも最大になるため、この中央位置における架設桁1のたわみ量δを規定以下に抑えるべく、前記の外ケーブル12による上向きの正曲げモーメントM1を与えている。
【0035】
前記のたわみ量δは、架設桁1を支持する支点間距離LのL/500以下(上路式架設工法の場合)または参考値としているL/800以下(吊下げ式架設工法または抱き込み式架設工法の場合)に抑えるようにする。
【0036】
次いで、図4(a)に示すような位置に、搬送台車24と共に桁23が搬送されると、搬送台車24における車輪30が架設桁1の先端部側に位置して、搬送台車24側の荷重が架設桁1上に付加されると、図4(b)に示すように、架設桁1の先端部側に、搬送台車24の荷重が載荷されて、これによる負の曲げモーメントM2が作用するため、図4(c)のような合成モーメントM3となる。
【0037】
次いで、図5(a)に示すような位置に、搬送台車24と共に桁23が搬送されると、搬送台車24における両車輪30が架設桁1の基端側および先端部側に位置して、搬送台車24側の荷重が架設桁1上の前後両側に付加されると、図5(b)に示すように、架設桁1の基端側および先端部側に、搬送台車24の荷重が載荷されて、これによる負の曲げモーメントM2が作用するため、図5(c)のような合成モーメントM3となる。
【0038】
なお、図5に示す状態から、前記したように、図10に示すような門型架設機28に付属する吊上げ搬送装置(巻き揚げ装置付き横行台車25あるいは吊り金具26等)により桁23を横取りして、橋脚27間に架設される。
【0039】
なお、外ケーブル12の配置形状は、図1〜図5に示すように、下に凸の曲げ上げ配置形状でも、外ケーブルの中間部を、架設桁1における下弦材3の下側または上側において直線状に配置する形態でもよい。
【0040】
前記のように、架設桁1への外ケーブル12の配置位置は、架設桁の外側に配置する形態でもよく、また、架設桁1における内側に配置する形態でもよい。
本発明を実施する場合、架設桁1としては、短尺の桁を連結して長尺の架設桁1を構成するようにしてもよい。
【0041】
本発明を実施する場合、外ケーブル12の定着する形態としては、架設桁端部における端部縦枠材5がH形鋼材等である場合には、そのH形鋼材におけるウエブ部あるいはフランジ部に外ケーブル挿通孔を設けると共に定着金具を設置して定着するようにしてもよい。また、図示の形態のように、端部縦枠材5間に上部横梁材11を設けてその梁材11に定着するようにしてもよい。
また、架設桁1に偏向部17を設ける形態としては、下弦材3に偏向部17を設けるようにしてもよく、あるいは適宜横梁を設けて、これに偏向部17を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の架設桁を使用して、桁を架設する第1の工程を示す概略側面図である。
【図2】本発明の架設桁を使用して、桁を架設する第2の工程を示す概略側面図である。
【図3】本発明の架設桁を使用して、桁を架設する第3の工程を示す概略側面図である。
【図4】本発明の架設桁を使用して、桁を架設する第4の工程を示す概略側面図である。
【図5】本発明の架設桁を使用して、桁を架設する第5の工程を示す概略側面図である。
【図6】本発明の工法において使用する架設荷重による曲げ応力が小さくなるように補強された架設桁の一実施形態を示すものであって、(a)は側面図、(b)は底面図である。
【図7】図6における外ケーブルの偏向部付近を拡大して示すものであって、(a)は側面図、(b)は底面図である。
【図8】本発明の工法において使用する架設荷重による曲げ応力が小さくなるように補強された架設桁の一実施形態を示すものであって、(a)は側面図、(b)は底面図である。
【図9】図8における外ケーブルの偏向部付近を拡大して示すものであって、(a)は側面図、(b)は底面図である。
【図10】上路式架設工法を説明するための概略斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 架設桁
2 上弦材
3 下弦材
4 斜材
5 端部縦枠材
6 側部架設桁構成部材
7 架設桁本体
8 横枠材
9 手延べ部
10 縦枠材
11 上部横梁材
12 外ケーブル
13 定着装置
14 傾斜支承部材
15 支圧プレート
16 下部横梁材
17 偏向部
18 支承溝
20 支承金具
21 固定金具
22 上部定着部
23 桁(主桁)
24 搬送台車
25 門型フレーム
25a 門型フレーム
26 吊り金具
27 橋脚
28 門型架設機
29 既設桁
30 車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架設桁を用いて主桁を架設する桁架設工法において、前記架設桁の内側または外側に桁長手方向に下に凸の配置形状となるように外ケーブルを配置すると共に、前記外ケーブルの端部を架設桁の端部または中間部に緊張定着されて、架設荷重による曲げ応力が小さくなるように外ケーブルで補強された架設桁を用いることを特徴とする桁架設工法。
【請求項2】
架設桁端部の端部縦枠材または横梁に外ケーブルを定着させた架設桁であることを特徴とする請求項1に記載の桁架設工法。
【請求項3】
架設桁の両端部より、架設桁長さ寸法の略1/3〜1/4の中央側に離れた位置に、外ケーブルを支承する偏向部を設けた架設桁であることを特徴とする請求項1または2に記載の桁架設工法。
【請求項4】
架設桁における弦材または架設桁に設けられた横梁に偏向部が設けられている架設桁であることを特徴とする請求項3に記載の桁架設工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−138496(P2007−138496A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332298(P2005−332298)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000103769)オリエンタル建設株式会社 (136)
【Fターム(参考)】