説明

案内部材及び画像形成装置

【課題】記録紙Pの縦皺の発生を抑えつつ、記録紙Pの幅方向の両端箇所におけるトナー散り汚れの発生を抑えることができるガイド板150を提供する。
【解決手段】中間転写ベルト上のトナー像を記録紙Pに転写する転写ユニットと、トナー像を記録紙Pに定着せしめる定着装置との間で搬送される記録紙Pを重力方向下方から支えながら定着装置に向けて案内するガイド板150であって、紙搬送方向(矢印B方向)における下流端側にある先端側部分150aよりも上流側で先端側部分150aに続いている本体部分150bが、幅方向の中央箇所と両端箇所との高低差のない平面で記録紙Pを支えるものであり、先端側部分150aにおける幅方向の中央箇所150cが、前記平面との高低差のない平面で記録紙Pを支えるものであり、先端側部分150aにおける幅方向の両端箇所150dが、それぞれ中央箇所150cよりも重力方向下方に位置するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上のトナー像を記録体に転写せしめる転写手段と、そのトナー像を記録体に定着せしめる定着手段との間で搬送される記録体を、重力方向下方から支えながら定着手段に向けて案内する案内部材に関するものである。また、かかる案内部材を用いる複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この画像形成装置は、記録体としての記録紙を、像担持体たる感光体と、転写手段たる転写帯電器との対向位置に通す際に、感光体上のトナー像を記録紙に転写せしめる。そして、転写処理後の記録紙を、無端状の搬送ベルトと、搬送ベルトの側方に配設された定着装置とに順次受け渡した後、機外へと排出する。この際、無端移動する搬送ベルトと、定着装置との間では、搬送ベルトから送り出されてくる記録紙を、案内部材としてのガイド板によって搬重力方向下方から支えながら定着装置に向けて案内する。これにより、記録紙の先端を、定着装置内における定着ローラと加圧ローラとの当接による定着ニップにスムーズに進入させている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−5316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この画像形成装置のように、記録紙を定着ニップに挟み込むものにおいては、記録紙が部分的に折れ重なった状態で定着ニップに挟まれることで、搬送方向に延在する縦皺を発生させることがあった。そこで、本発明者らが、かかる縦皺の発生を低減し得る対策について鋭意研究を行ったところ、図1に示すような形状のガイド板が有効であることがわかった。
【0005】
同図において、ガイド板110は、図中矢印Bで示される記録紙搬送方向の下流端側に位置する先端側部分110aと、これよりも上流側に位置する本体部分110bとを有している。これら先端側部分110aと本体部分110bとは、互いに形状が異なっている。具体的は、本体部分110bは、記録紙搬送方向に直交する方向である幅方向(矢印C方向)の中央箇所と両端箇所との高低差のない平面で、記録紙Pの幅方向の全領域を重力方向下方から支える形状になっている。これに対し、先端側部分110aは、幅方向の両端箇所にそれぞれ切り欠きが設けられていることで、幅方向の寸法が本体部分110bよりも短くなっている。そして、記録紙Pの幅方向の中央箇所だけを支えるようになっている。本体部分110bを通り過ぎた記録紙Pは、幅方向の両端箇所をそれぞれ重力方向下方に向けて少し撓ませた状態で、図示しない定着装置の定着ニップに向けて案内される。かかる構成のガイド板110の先端(先端側部分110aの先端)を、定着ニップよりも重力方向上方に位置させると、記録紙Pの先端部は、まず、撓んでいる両端箇所が定着ニップに挟まれる。すると、両端箇所が互いに幅方向の反対側に向けて引っ張られながら定着ニップに進入するようになるため、部分的に折れ重なった状態でのニップ進入が起こり難くなる。これにより、記録紙Pの縦皺の発生が抑えられると考えられる。
【0006】
しかしながら、かかる構成では、記録紙Pにおける幅方向の両端箇所(図中の符号Aで示される領域)にトナー散り汚れを発生させ易かった。このトナー散り汚れとは、トナー粒子が記録紙Pの非画像部にチリ状に飛び散って汚れとなる現象である。
【0007】
そこで、本発明者らがこのトナー散り汚れを発生させる原因について鋭意研究を行ったところ、次のようなことがわかってきた。図2は、ガイド板110及びその上の記録紙Pの幅方向一端部を示す拡大縦断面図である。同図において、記録紙Pは、図示しない転写手段を通過した際に、トナー粒子Tの帯電極性とは逆極性(図示の例では正極性)の電荷が付与されているため、トナーとは逆極性に帯電している。この記録紙Pのおもて面に担持されているトナー粒子Tは、図中矢印Dで示されるように、記録紙Pの正電荷によって紙面に引き付けられている。通常は、記録紙Pの正電荷量がトナー層の負電荷量よりも多くなっているが、記録紙Pの後端側を支えているガイド板110の本体部分110bは、コンデンサとして機能してアースからの正電荷を蓄える。これにより、本体部分110bが存在している領域では、記録紙Pのおもて面上におけるトナー層と、記録紙P及び本体部分110bとで、負電荷量と正電荷量とが概ねつり合った状態になっている。ところが、本体部分110bよりも下流側の領域では、記録紙Pの幅方向の両端箇所が宙に浮いた状態になっており、その下方にコンデンサとして機能するものがないので、正極性の電荷が相対的に勝った状態になっている。このため、ガイド板110の本体部分110bが記録体Pの両端箇所を支えている領域と、これよりも下流側の領域との境界付近では、記録紙Pの周囲の電位が急激に変化している。このような状況下で、トナー粒子Tが記録紙Pの搬送に伴って前述の境界付近まで移動してくると、図中矢印Eで示されるように、記録紙Pの先端側に向けて飛び散ってトナー散り汚れとなってしまうのである。
【0008】
なお、ガイド板110の先端側部分110bの先端は、図示しない定着ニップを形成する定着ローラや加圧ローラの近傍に位置している。そして、ガイド板110の先端付近では、それらローラがコンデンサとして機能するため、ガイド板110の先端を通過した記録紙P上ではトナー散り汚れが起こり難くなっている。
【0009】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、記録体の縦皺の発生を抑えつつ、記録体の幅方向の両端箇所におけるトナー散り汚れの発生を抑えることができる案内部材等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体にトナー像を形成する像形成手段と、該像担持体上のトナー像を記録体に転写する転写手段と、該トナー像を該記録体に定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置に用いられ、該転写手段と該定着手段との間で搬送される該記録体を重力方向下方から支えながら該定着手段に向けて案内する案内部材であって、記録体搬送方向における自らの下流端側にある先端側部分と、該先端側部分よりも上流側で該先端側部分に続いている上流側部分とが互いに異なる形状のものであり、該上流側部分が、記録体搬送方向に直交する方向である幅方向の中央箇所と両端箇所との高低差のない平面で該記録体を支えるものであり、該先端側部分における該幅方向の中央箇所が、該平面との高低差のない平面で該記録体を支えるものであり、且つ、該先端側部分における幅方向の両端箇所が、それぞれ該先端側部分における幅方向の中央箇所よりも重力方向下方に位置するものであることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の案内部材であって、上記先端側部分における上記幅方向の両端箇所がそれぞれ、該先端側部分における該幅方向の中央箇所との距離を記録体搬送方向の上流端側から下流端側に向けて徐々に遠ざけるものであることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の案内部材であって、上記先端側部分における上記幅方向の両端箇所がそれぞれ、上記距離を記録体搬送方向の上流端側から下流端側に向けて徐々に遠ざける傾斜平面を有することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2の案内部材であって、上記先端側部分における上記幅方向の両端箇所がそれぞれ、上記距離を記録体搬送方向の上流端側から下流端側に向けて徐々に遠ざける湾曲面を有することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1の案内部材であって、上記先端側部分における上記幅方向の両端箇所がそれぞれ、該先端側部分における上記幅方向の中央箇所との距離を該幅方向の該中央側から端側に向けて徐々に遠ざけるものであることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の案内部材であって、上記先端側部分における上記幅方向の両端箇所がそれぞれ、上記距離を該幅方向の上記中央側から端側に向けて徐々に遠ざける傾斜平面を有することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項5の案内部材であって、上記先端側部分における上記幅方向の両端箇所がそれぞれ、上記距離を該幅方向の中央側から端側に向けて徐々に遠ざける湾曲面を有することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項3又は6の案内部材であって、上記傾斜平面の傾斜角度が20[°]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項4又は7の案内部材であって、上記湾曲面の曲率半径が1[mm]以上であることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れかの案内部材であって、体積抵抗率が1010[Ω・cm]であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、像担持体にトナー像を形成する像形成手段と、該像担持体上のトナー像を記録体に転写する転写手段と、該トナー像を該記録体に定着せしめる定着手段と、該転写手段と該定着手段との間で搬送される該記録体を重力方向下方から支えながら該定着手段に向けて案内する案内部材とを備える画像形成装置であって、上記案内部材として、請求項1乃至10の何れかの案内部材を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
これらの発明における案内部材は、自らの先端側部分に続いている上流側部分で、幅方向の中央箇所と両端箇所との高低差のない平面で記録体を支えることで、記録体の幅方向の全域に対して自らの上流側部分を接触させることが可能である。このようにして案内部材の上流側部分に接触している記録体は、やがて案内部材の先端側部分の上に送られる。この先端側部分における幅方向の両端箇所は中央箇所よりも重力方向下方に位置しているので、先端側部分の上に送られた記録体は、その幅方向の両端箇所をそれぞれ重力方向下方に向けて撓ませる姿勢をとる。記録体をこの姿勢で定着ニップに送ることで、記録体の縦皺の発生を抑えることができる。
また、これらの発明における案内部材は、先端側部分の幅方向の両端箇所をそれぞれ中央箇所よりも低い位置で記録体に接触あるいは近接させながら、その両端箇所にアースからの電荷を誘起させる。これにより、記録体の幅方向の両端箇所を案内部材の上流側部分で支えている領域と、その先の領域との境界における記録体周囲の電位の急激な変化を抑えることで、記録体の両端箇所におけるトナー散り汚れの発生を抑えることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)に適用した一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図3は、本プリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、潜像形成手段としての光書込装置2、Y,M,C,K色のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3Y,M,C,K、転写手段たる転写ユニット23、紙搬送ユニット32、給紙カセット40、紙分離装置42等、レジストローラ対43、定着装置45、を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等からなるの光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4Y,M,C,Kに向けてそれぞれレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4Y,M,C,Kの無端移動する表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。なお、符号の後に付されたY,M,C,Kという添字は、イエロー,マゼンタ,シアン、黒用の仕様であることを示している。
【0013】
プロセスユニット3Y,M,C,Kは、それぞれ、感光体4Y,C,M,Kとその周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、プリンタ本体に対して着脱可能になっている。ブラック用のプロセスユニット3Kを例にすると、これは、感光体4Kの他、これの表面に形成された静電潜像を黒トナー像に現像するための現像装置6Kを有している。また、後述するK用の1次転写ニップを通過した後の感光体4K表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置15Kなども有している。本プリンタでは、4つのプロセスユニット3Y,M,C,Kを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向せしめたタンデム型の構成になっている。
【0014】
図4は、K用のプロセスユニット3Kを転写ユニットの一部とともに示す拡大構成図である。同図に示すように、プロセスユニット33Kは、感光体4Kの周りに、帯電ローラ5K、現像装置6K、ドラムクリーニング装置15K、除電ランプ22K等を有している。
【0015】
感光体4Kとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。無端ベルト状のものを用いても良い。
【0016】
現像装置6Kは、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。そして、内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12Kに供給する攪拌部7Kと、現像スリーブ12Kに担持された二成分現像剤中のKトナーを感光体4Kに転移させるための現像部11Kとを有している。
【0017】
攪拌部7Kは、現像部11Kよりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュウ8K、これらスクリュウ間に設けられた仕切り板、現像ケース9Kの底面に設けられたトナー濃度センサ10Kなどを有している。
【0018】
現像部11Kは、現像ケース9Kの開口を通して感光体4Kに対向する現像スリーブ12K、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13K、現像スリーブ12Kに先端を接近させるドクタブレード14Kなどを有している。現像スリーブ12Kは、非磁性の回転可能な筒状になっている。また、マグネットローラ13Kは、ドクタブレード14Kとの対向位置からスリーブの回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれスリーブ上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7Kから送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ12K表面に引き寄せて担持させるとともに、スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
【0019】
上述の磁気ブラシは、現像スリーブ12Kの回転に伴ってドクタブレード14Kとの対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4Kに対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12Kに印加される現像バイアスと、感光体4Kの静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、現像スリーブ12Kの回転に伴って再び現像部11K内に戻り、マグネットローラ13Kの磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7K内に戻される。攪拌部7K内には、トナー濃度センサ10Kによる検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。なお、現像装置6Kとして、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
【0020】
ドラムクリーニング装置15Kとしては、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレード16Kを感光体4Kに押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、自らの外周面を感光体4Kに接触させる接触導電性のファーブラシ17Kを、図中反時計回り方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17Kは、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4K表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17Kにバイアスを印加する金属製の電界ローラ18Kを図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19Kの先端を押し当てている。ファーブラシ17Kに付着したトナーは、ファーブラシ17Kに対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18Kに転位する。そして、スクレーパ19Kによって電界ローラ18Kから掻き取られた後、回収スクリュウ20K上に落下する。回収スクリュウ20Kは、回収トナーをドラムクリーニング装置15Kにおける図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、図示しないリサイクル搬送装置に受け渡す。リサイクル搬送装置は、受け渡されたトナーを現像装置6Kに送ってリサイクルする。
【0021】
除電ランプ22Kは、光照射によって感光体4Kを除電する。そして、除電された感光体4Kの表面は、図示しない電源によって帯電バイアスが印加されながら感光体4Kに当接する帯電ローラ5Kによって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。なお、帯電バイアスは、負極性の直流電圧だけからなるもの、あるいは負極性の直流電圧に交流電圧を重畳せしめたものである。また、帯電ローラ5Kの代わりに、感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
【0022】
先に示した図3において、4つのプロセスユニット3Y,M,C,Kの感光体4Y,M,C,Kには、これまで説明してきたプロセスによってY,M,C,Kトナー像が形成される。
【0023】
4つのプロセスユニット3Y,M,C,Kの下方には、転写ユニット23が配設されている。この転写ユニット23は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動せしめられる駆動ローラ27と、2次転写ローラ28と、転写ローラ29とにより、無端状の中間転写ベルト25を張架している。そして、駆動ローラ27の回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動せしめている中間転写ベルト25の上部張架面を、感光体4Y,M,C,Kに当接させている。この当接により、感光体4Y,M,C,Kと中間転写ベルト25とが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。
【0024】
Y,M,C,K用の1次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された1次転写ローラ26Y,M,C,Kによって中間転写ベルト25を感光体4Y,M,C,Kに向けて押圧している。これら1次転写ローラ26Y,M,C,Kには、転写電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、Y,M,C,K用の1次転写ニップには、感光体4Y,M,C,K上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。
【0025】
図中時計回り方向の無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0026】
転写ユニット23の図中下方には、接地されたニップ形成ローラ30が配設されている。このニップ形成ローラ30は、中間転写ベルト25における2次転写バックアップローラ28に対する掛け回し箇所にベルトおもて面側から当接して2次転写ニップを形成している。
【0027】
中間転写ベルト25のループ内側に配設された2次転写ローラ28には、2次転写電源により、トナーの帯電極性(本例では負極性)と同極性の2次転写バイアスが印加されている。一方、上述したように、中間転写ベルト25のループ外側に配設されたニップ形成ローラ30は接地されている。これにより、2次転写ニップに2次転写電界が形成されている。
【0028】
プリンタ本体の下部に配設された給紙カセット40は、記録体たる記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している。そして、一番上の記録紙Pに当接させている給紙ローラ40aを所定のタイミングで回転させることで、記録紙Pを給紙路に向けて送り出す。送り出された記録紙Pは、給紙カセット40から上述の2次転写ニップに至るまでの給紙路内に配設された紙分離装置42を経た後、給紙路の末端付近に配設されたレジストローラ対43に至る。
【0029】
このレジストローラ対43は、2次転写ニップの図中右側方に配設されたおり、2つのレジストローラ間に挟み込んだ記録紙Pを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。これにより、2次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が記録紙Pに密着せしめられる。そして、2次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙Pに一括2次転写され、記録紙の白色と相まってフルカラー画像となる。
【0030】
記録紙Pは、2次転写ニップを通過する際に、2次転写バイアスの影響によって帯電してしまう。なお、同図では、中間転写ベルト25のループ内側に配設された2次転写ローラ28にトナーと同極性の2次転写バイアスを印加する一方で、ループ外側に配設されたニップ形成ローラ30を接地することで、ベルト上のトナーを2次転写ローラ28と反発させて記録紙P上に転移させるいわゆる斥力転写方式の例を示している。この斥力転写方式では、2次転写ニップを通過した後の記録紙Pが、トナーの帯電極性とは逆極性(本例では正極性)に帯電することが本発明者らの実験によって確かめられている。また、ループ内側のローラを接地する一方で、ループ外側のローラにトナーとは逆極性の2次転写バイアスを印加して、ベルト上のトナーをループ外側のローラに向けて引き寄せるいわゆる引力転写方式を採用しても、2次転写ニップ通過後の記録紙Pがトナーとは逆極性に帯電することが、本発明者らの実験によって確かめられている。つまり、2次転写ニップ通過後の記録紙Pは、斥力転写方式であるか、引力転写方式であるかにかかわらず、トナーの帯電極性とは逆極性に帯電してしまうのである。
【0031】
2次転写ニップの図中左側方においては、図中右側から左側に向けて、除電針31、紙搬送ユニット32、ガイド板150、定着装置45が順次並んでいる。そして、2次転写ニップを通過した記録紙Pは、その鉛直方向下側を向いている裏面に除電針が接触せしめられながら紙搬送ユニット32に向けて送られる。
【0032】
除電針31には、除電電源により、トナーの帯電極性と同極性の直流電圧からなる除電バイアスが印加されており、2次転写ニップでトナーの帯電極性とは逆極性に帯電してしまった記録紙Pを除電する。但し、記録紙Pの帯電量は、環境、画像面積率、定電流制御される2次転写バイアスなどによって大きく異なってくるため、記録紙Pを完全に除電することはできない。従って、除電後の記録紙Pであっても、トナーの帯電極性とは逆極性に帯電している。
【0033】
除電針31の図中左側方に配設された紙搬送ユニット32は、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる駆動ローラ34と、従動ローラ35とにより、無端状の紙搬送ベルト33を張架している。そして、駆動ローラ34の回転駆動によって紙搬送ベルト33を図中反時計回り方向に無端移動せしめている。
【0034】
除電針31の真上を通過した記録紙Pは、紙搬送ベルト33の上部張架面に保持されながら、ベルトの無端移動に伴って図中右側から左側へと搬送される。そして、紙搬送ベルト33の図中左端において、ベルトから分離した後、案内部材たるガイド板150によって重力方向下方から支えられながら、定着装置45に向けて案内される。
【0035】
定着装置45は、無端状の定着ベルト47を加熱ローラ48及びニップローラ49によって張架しながら加熱ローラ48の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめる定着ベルトユニット46と、加圧ローラ50とを有している。そして、加圧ローラ50は、定着ベルト47におけるニップローラ49に対する掛け回し箇所に当接して定着ニップを形成している。
【0036】
定着ベルトユニット46においては、ハロゲンランプ等の発熱源を内包している加熱ローラ48からの熱伝導により、定着ベルト47が加熱された後、定着ニップに進入する。ガイド板150によって定着ニップに向けて案内される記録紙Pは、定着ニップに挟み込まれて加熱されたり加圧されたりすることで、そのおもて面にフルカラートナー像が定着せしめられる。その後、定着装置45から送り出されて機外へと排出される。
【0037】
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト25の表面には、2次転写ニップで記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置24によって掻き取り除去される。
【0038】
以上の構成の本プリンタにおいては、光書込装置2、プロセスユニット3Y,M,C,K、転写ユニット23などが、像担持体たる中間転写ベルト25にトナー像を形成する像形成手段として機能している。
【0039】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
図5は、本プリンタにおける案内部材としてのガイド板150を示す斜視図である。このガイド板110は、先に図3に示した紙搬送ユニット32と定着装置45との間において、紙搬送ユニット32の紙搬送ベルト33から送り出された記録紙Pを重力方向下方から支えながら、定着装置45の定着ニップに向けて案内するものである。図5において、ガイド板150は、図中矢印Bで示される記録紙搬送方向の上流側端部に位置する先端側部分150aと、先端側部分150aよりも上流側で先端側部分150aに続いている上流側部分たる本体部分150bとを有している。本体部分150bは、記録紙搬送方向に直交する方向である幅方向の中央箇所と両端箇所との高低差のない平面で、記録紙Pの幅方向の全領域を重力方向下方から支える形状になっている。これに対し、先端側部分150aは、幅方向の両端箇所150dがそれぞれ重力方向下方に向けて折れ曲がっていることで、幅方向の中央箇所150cよりも重力方向下方に位置している。図示しない紙搬送ベルトの無端移動に伴って本体部分150bを通り過ぎた記録紙Pは、自らの先端側をガイド板150の先端側部分150a上に位置させる。すると、記録紙Pの先端側は、その幅方向の中央箇所が、ガイド板150の先端側部分150aの中央箇所150cに重力方向下方から支えられる。これに対し、記録紙Pの先端側における幅方向の両端箇所は、それぞれ、中央箇所よりも重力方向の低い位置で、ガイド板150の先端側部分150aの両端箇所150dに重力方向下方から支えられるか、あるいは両端箇所150dに近接する。これにより、記録紙Pの先端側は、図示のように、幅方向の両端箇所をそれぞれ重力方向下方に向けて少し撓ませた状態で、図示しない定着装置の定着ニップに向けて案内される。
【0040】
ガイド板150の先端(先端側部分150aの先端)は、図示しない定着装置の定着ニップよりも重力方向上方に位置している。このため、記録紙Pの先端部は、まず、撓んでいる両端箇所が定着ニップに挟まれる。すると、両端箇所が互いに幅方向の反対側に向けて引っ張られながら定着ニップに進入するようになるため、部分的に折れ重なった状態でのニップ進入が起こり難くなる。これにより、定着ニップを通過する際における記録紙Pの縦皺の発生が抑えられる。
【0041】
なお、本プリンタにおいては、ガイド板150として、その先端側部分150aや本体側部分150bの幅の寸法を、先に図3に示した給紙カセット40内に収容し得る最大サイズの記録紙Pの幅寸法(図5のW)よりも大きくしたものを用いている。よって、給紙カセット40を使用している限り、どのようなサイズの記録紙Pを用いた場合でも、ガイド板150の本体側部分150bで記録紙Pの幅方向の全領域を支えることができる。そして、このように記録紙Pを支えることで、図示しない紙搬送ユニット(図3の32)から記録紙Pをスムーズに受け取ることができる。
【0042】
本発明者らは、ガイド板として、図5に示したものに代えて、幅寸法を記録紙Pの幅寸法よりも小さくした一枚板状のものを用いて、通紙実験を行った。すると、このようなガイド板では、記録紙Pを紙搬送ユニットから受け取ってすぐに、その幅方向の両端箇所をそれぞれ重力方向下方に撓ませることができるものの、記録紙Pがガイド板の幅方向の真ん中に載っていないと、バランスを崩してガイド板上から落下させたり、姿勢を大きく崩してしまったりすることがわかった。即ち、このようなガイド板では、ガイド板への記録紙Pの安定した受け渡しが困難になる。特に、本プリンタのように、2次転写ニップから完全に抜け出た記録紙Pを紙搬送ベルト上で搬送しながら定着装置に送るものにおいては、ニップに挟み込んでいない記録紙Pの姿勢を重力バランスの不安定化によって容易に崩してしまうため、ガイド板からの落下や姿勢の崩れによるジャムを発生させ易い。よって、ガイド板150として、本体部分150aの幅寸法を記録紙Pの幅寸法よりも大きくしたものを用いることが、ジャムの発生を抑えるための有効な対策になる。
【0043】
図5に示したように、ガイド板150は、図示のようにアースに接続されている。このため、記録紙Pが自らの真上を通過する際に、記録紙Pの正電荷により、ガイド板150内にアースからの負電荷が誘起される。ガイド板150の先端側部分150aにおける幅方向の両端箇所150dは、それぞれ中央箇所150cよりも低い位置で記録体Pに接触あるいは近接している。そして、たとえ近接の状態であったとしても、記録紙Pとの離間距離に応じた量の負電荷をアースから誘起させる。これにより、記録紙Pの幅方向の両端箇所をガイド板150の本体部分150bで支えている領域と、記録紙Pの両端箇所をガイド板150の両端箇所150dに接触あるいは近接させている領域との境界における記録紙P周囲の電位の急激な変化が抑えられる。そして、電位の急激な変化による記録紙Pの両端箇所におけるトナー散り汚れの発生が抑えられる。
【0044】
ガイド板150の先端側部分150aの両端箇所150d上では、たとえ記録紙Pの両端がそれぞれガイド板150の両端箇所150dに接触していても、記録紙Pの両端と中央部との間の箇所は宙に浮いた状態になる(電気的にフロートの状態になる)。また、記録紙Pの両端がそれぞれガイド板150の両端箇所150dに接触していた状態では、記録紙Pの両端箇所の全領域が宙に浮いた状態になる。このような状態でも、ガイド板150の先端側部分150aの両端箇所150dはそれぞれコンデンサとして機能してアースからの負電荷を誘起させるが、記録紙Pに接触している場合に比べて、静電容量は小さくなる。
【0045】
上述したように、ガイド板150の本体部分150bは、記録紙Pの幅方向の全領域を重力方向下方から支え得る幅寸法になっている。このため、本体部分150b上では、記録紙Pの幅方向の両端箇所がそれぞれ確実に本体部分150bに接触して、本体部分150b内に負電荷が良好に誘起される。これに対し、本体部分150bの上を通過した直後の記録紙P両端箇所が、いきなりガイド板150の先端側部分150aの両端箇所150dに対して非接触の状態になると、本体部分150bにおける負電荷の静電容量と、先端側部分150aの両端箇所150dにおける負電荷の静電容量との差が非常に大きくなる。そして、これにより、本体部分150bと両端箇所150dとの境界付近において急激な電位変化が発生して、トナー散り汚れが発生し易くなってしまう。
【0046】
そこで、本プリンタのガイド板150は、先端側部分150aにおける幅方向の両端箇所150dがそれぞれ、先端側部分150aにおける幅方向の中央箇所150cとの距離を記録紙搬送方向(矢印B方向)の上流端側から下流端側に向けて徐々に遠ざける形状になっている。より詳しくは、図6に示すように、ガイド板150の先端側部分150aにおける幅方向の両端箇所150dはそれぞれ、中央箇所150cとの距離を記録体搬送方向の上流端側から下流端側に向けて徐々に遠ざける傾斜平面を有している。かかる構成では、記録紙Pの両端箇所をそれぞれガイド板150の先端側部分150aの両端箇所150d上で搬送するのに伴って、徐々にガイド板150の両端箇所150dから引き離していく。これにより、記録紙Pを搬送するのに伴って、記録紙Pの両端箇所と、ガイド板150の先端側部分150aの両端箇所150dとの距離を少しずつ遠ざけていく。すると、記録紙Pの搬送に伴って、記録紙P周囲の電位を徐々に変化させて行くので、記録紙搬送方向(図5の矢印B方向)の電位変化によってトナーを記録紙搬送方向に飛び散らせることによるトナー散り汚れの発生を確実に抑えることができる。
【0047】
本発明者らは、図6に示したガイド板150として、先端側部分150aの中央箇所150cと両端箇所150dとの角度θを、5、10、20、30、40[°]に設定した5種類のものを用意した。そして、これらを図3に示した構成のプリンタ試験機に順次搭載して、それぞれテスト画像をプリントした後、プリント紙におけるトナー散り汚れや縦皺の発生ランクを評価する実験を行った。トナー散り汚れについては、記録紙搬送方向にトナーが飛び散ることに起因するものだけを評価した。また、トナー散り汚れ、縦皺の何れについても、認められない(◎)、ごく僅かに認められる(○)、やや目立つ(△)、一見して容易に認められる(×)の4段階で評価した。それぞれの発生ランクの許容レベルは、認められない(◎)とした。この結果を次の表1に示す。
【表1】

【0048】
表1に示すように、角度θが5〜20[°]である場合には、トナー散り汚れ及び縦皺の発生を、それぞれ回避することができた。これに対して、角度θが30〜40[°]である場合には、トナー散り汚れの発生ランクを○又は△に悪化させた。これは次に説明する理由からであると考えられる。即ち、角度θが大きくなるほど、ガイド板150の両端箇所150dの中央箇所150cに対する傾斜が大きくなる。そして、記録紙搬送方向における記録紙P周囲の電位勾配が大きくなる。このため、角度θが大きくなるほど、両端箇所150d上で搬送される記録紙P両端箇所、及びその周囲の変位の変化率が大きくなって、トナー散り汚れが発生し易くなるのである。そして、実験より、角度θを20[°]以下にすれば、記録紙搬送方向へのトナーの飛び散りに起因するトナー散り汚れの発生を回避し得ることがわかる。そこで、本プリンタにおいては、ガイド板150として、角度θを20[°]以下にしたものを用いている。
【0049】
本発明者らは、参考までに、ガイド板として、先に図1に示したような、先端側部分の両端箇所がそれぞれ欠けているもの(以下、先端両端欠損型のものという)と、紙幅よりも大きな幅寸法の一枚板状のものとを用意して、同様の実験を行った。すると、先端両端欠損型のものでは、縦皺の発生を回避することができたものの、トナー散り汚れの発生ランクが×に悪化してしまった。これは、ガイド板の先端側部分の両端箇所で、記録紙Pの両端箇所の重量方向下方に位置してコンデンサとして機能するガイド板箇所が存在しないため、急激な電位変化によるトナーの飛び散りが起こったからである。また、一枚板状のものでは、発生ランク×の縦皺が認められた。これは、一枚板状のガイド板では、記録紙Pの両端箇所を重力方向に撓ませながら定着ニップに向けて案内することができなかったからである。
【0050】
なお、各実験では、ガイド板150の材料として、ステンレス(SUS304)を用いたが、これに限るものでなく、導電性あるいは半導電性を発揮する材料であればよい。例えば、鉄、アルミニウム、銅、真鍮などに代表される種々の金属材料、カーボンブラックや金属微粒子等の導電性物質の分散によって導電性あるいは半導電性が付与された種々の樹脂材料やゴム材料などを例示することができる。導電性物質が分散せしめられる樹脂材料やゴム材料としては、例えば、高密度ポリエチレン(hdpe)、低密度ポリエチレン(ldpe)、鎖状低密度ポリエチレン (lldpe)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニール(PVC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)液晶ポリエステル(LCP)、ポリイミド(PI)、天然ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム、ウレタンゴムなどを例示することができる。これらの材料については、単体として用いても、複数種類のものを混合して用いてもよい。
【0051】
ガイド板150の材料として、半導電性のものを用いる場合、その電気抵抗を大きくし過ぎると、記録紙Pの裏面の正電荷によってガイド板150が徐々に帯電し、ガイド板150の表面電位が上昇してしまう。そして、ガイド板150の過剰な帯電により、記録紙P上のトナーがガイド板150上を通過する際に、ガイド板150との電位差によって飛散してしまうおそれがある。
【0052】
本発明者らは、次に、ガイド板150として、角度θを10[°]に設定するとともに、体積抵抗率を互いに異ならせた複数種類のものを用意した。そして、これらをプリンタ試験機に順次搭載し、それぞれのガイド板150について、プリント後の帯電量を測定する実験を行った。すると、ガイド板150の体積抵抗率が1010[Ω・cm]以下であれば、記録紙Pの通過後のガイド板150を過剰に帯電させることなく、ガイド板150上を記録紙Pが通過する際のトナー飛散を回避し得ることがわかった。そこで、本プリンタにおいては、ガイド板150として、体積抵抗率が1010[Ω・cm]以下であるものを用いている。
【0053】
次に、実施形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した各実施例のプリンタについて説明する。なお、以下に特筆しない限り、各実施例のプリンタの構成は実施形態と同様である。
[第1実施例]
図7は、第1実施例に係るプリンタのガイド板150を示す斜視図である。このガイド板150は、先端側部分150aの両端箇所150dを構成する部材が、それぞれ両端側で独立して存在しているのではなく、先端側部分150aの幅方向の一端側から他端側に向けて延在している点が、実施形態のものと異なっている。かかる構成では、実施形態のものに比べて、両端箇所150dの強度を高めることができる。
【0054】
本発明者らは、同図に示したガイド板150として、両端箇所150dの角度θが互いに異なる複数のものを用意して、トナー散り汚れや縦皺の発生ランクを調べる実験を行った。すると、実施形態のガイド板150と同様に、角度θが20[°]以下であれば、トナー散り汚れの発生を回避し得ることがわかった。この実験結果に鑑みて、第1実施例のプリンタにおいても、ガイド板150として、角度θが20[°]以下であるものを用いている。
【0055】
[第2実施例]
図8は、第2実施例に係るプリンタのガイド板150を示す斜視図である。また、図9は、同ガイド板150を示す側面図である。これらの図において、ガイド板150は、第1実施例と同様に、先端側部分150aの両端箇所150dを構成する部材が、先端側部分150aの幅方向の一端側から他端側に向けて延在している。但し、先端側部分150aの中央箇所150cの形状が第1実施例とは異なっている。具体的には、中央箇所150cの記録紙搬送方向下流側は、ガイド板150の本体部分150bと同じ方向に延在する姿勢になっているのに対し、先端側は重力方向下方に向けて所定の角度で折れ曲がっている。
【0056】
定着装置周囲のレイアウト上の制約により、先端側部分150aの中央箇所150cを一直線状に延在する形状にできない場合には、かかる構成のガイド板150が有効である。このようなガイド板150であっても、中央箇所150cの先端側だけについては、その折れ曲がりによって図示しない定着ニップに向いた姿勢をとらせることで、記録紙Pを定着ニップに向けて良好に案内することができる。更には、ガイド板150の先端を、加圧ローラ(図3の50)等がコンデンサとして機能する定着ニップの近傍に位置させることで、ガイド板150から飛び出た記録紙箇所でのトナー散り汚れの発生を抑えることもできる。
【0057】
なお、中央箇所150cにおいて、先端側の折れ曲がり部の延在方向と、それよりも上流部の延在方向(本体部分150bの延在方向でもある)とのなす角度(以下、角度θ’という)が大きすぎると、両端箇所150dの角度θが大きすぎる場合と同様に、紙搬送方向における記録紙P周囲の電位勾配の変化が非常に大きくなってしまう。そこで、本発明者らは、ガイド板150として、角度θ’が互いに異なる複数種類のものを用意して、それぞれについてトナー散り汚れの発生ランクを調べる実験を行った。すると、両端箇所150dの角度θと同様に、角度θ’が20[°]以下であれば、先端側部分150aの中央箇所150cの折れ曲がり部上におけるトナー散り汚れの発生を回避し得ることがわかった。この実験結果に鑑みて、第2実施例に係るプリンタにおいては、ガイド板150として、角度θ’が20[°]以下であるものを用いている。
【0058】
[第3実施例]
図10は、第3実施例に係るプリンタのガイド板150を示す斜視図である。また、図11は、同ガイド板150を示す側面図である。これらの図において、ガイド板150の先端側部分150aの中央箇所150cは、第2実施例と同様に、先端側が重力方向下方に向けて折れ曲がった形状になっている。
【0059】
ガイド板150の本体部分150bよりも記録紙搬送方向の上流側には、本体部分150bに繋がった後端側部分150eが形成されている。この後端側部分150eは、本体部分150bとの境界において、重力方向下方に向けて折れ曲がっている。
【0060】
図示しない紙搬送ユニット(図3の32)からは、記録紙Pがその先端部を本体部分150bの延在方向に沿わせる姿勢で送り出される。このようにして送り出される記録紙Pは、宙に浮いた状態になっているため、その上のトナー層と記録紙Pとを合わせた領域の電位は、正極性の電位が相対的に勝った状態になっている。この状態の記録紙Pがそのまま急に本体部分150bの表面に接触すると、本体部分150b内における負電荷の誘起により、電位が急激に変化してトナー散り汚れを誘発するおそれがある。
【0061】
そこで、第3実施例に係るプリンタにおいては、図10や図11に示したように、ガイド板150として、本体部分150bから重力方向下方に折れ曲がった状態の後端側部分150eを設けたものを用いている。かかる構成のガイド板150では、図示しない紙搬送ユニットから本体部分150bに向けて真っ直ぐ送り出される記録紙Pを本体部分150bの表面に接触させるのに先立って、記録紙Pに対して、コンデンサとして機能する後端側部分150eを徐々に近づけていく。すると、記録紙Pを本体部分150bに近づけていくのに従って、記録紙P及びその周囲の電位を徐々にマイナス側に大きくしていくことができる。そして、これにより、記録紙Pをガイド板150に接触させる際のトナー散り汚れの発生を抑えることができる。
【0062】
なお、ガイド板150の後端側部分150eにおいて、本体部分150bの延在方向とのなす角度(以下、角度θ"という)が大きすぎると、両端箇所150dの角度θが大きすぎる場合と同様に、紙搬送方向における記録紙P周囲の電位勾配の変化が非常に大きくなってしまう。そこで、本発明者らは、ガイド板150として、角度θ"が互いに異なる複数種類のものを用意して、それぞれについてトナー散り汚れの発生ランクを調べる実験を行った。すると、両端箇所150dの角度θと同様に、角度θ"が20[°]以下であれば、記録紙Pを本体部分150bに接触させる際のトナー散り汚れの発生を回避し得ることがわかった。この実験結果に鑑みて、第3実施例に係るプリンタにおいては、ガイド板150として、角度θ"が20[°]以下であるものを用いている。
【0063】
[第4実施例]
図12は、第4実施例に係るプリンタのガイド板150を示す斜視図である。また、図13は、同ガイド板150を示す斜視図である。これらの図において、ガイド板150は、先端側部分150aの両端箇所150dの形状が実施形態のものと異なっている点の他が、実施形態のものと同様になっている。
【0064】
先端側部分150aの幅方向の両端箇所150dはそれぞれ、中央箇所150cを記録紙搬送方向(矢印B方向)の上流端側から下流端側に向けて徐々に遠ざける湾曲面を有している。実施形態のガイド板150の両端箇所150dがそれぞれ傾斜面を有していたのに対し、第4実施例のガイド板150の両端箇所150dは湾曲面を有しているのである。本発明者らは、実験により、かかる湾曲面では、実施形態における傾斜面に比べて、記録紙Pの幅方向の両端箇所がそれぞれ紙搬送に伴って本体部分150b上から先端側部分150aの両端箇所150d上に進入する際における電位変化量を小さくし得ることを見出した。よって、実施形態のガイド板150に比べて、より確実に、紙搬送方向のトナーの飛び散りによるトナー散り汚れの発生を回避することができる。
【0065】
本発明者らは、次に、図13に示したガイド板150として、両端箇所150dの湾曲面の曲率半径rを、2、10、20[mm]に設定した3種類のものを用意した。そして、これらをプリンタ試験機に順次搭載して、それぞれテスト画像をプリントした後、プリント紙におけるトナー散り汚れや縦皺の発生ランクを評価する実験を行った。この結果を次の表2に示す。
【表2】

【0066】
表2に示すように、何れの曲率半径rにおいても、トナー散り汚れ及び縦皺の発生を、それぞれ回避することができた。そこで、0.5〜2[mm]以下の範囲で、曲率半径rを0.1[mm]単位で変化させた15種類のガイド板150を用意し、同様の実験を行った。すると、曲率半径rが1[mm]以上であれば、トナー散り汚れや縦皺の発生を回避し得ることがわかった。この実験結果に鑑みて、第4実施例に係るプリンタにおいては、ガイド板150として、曲率半径rが1[mm]以上であるものを用いている。
【0067】
[第5実施例]
図14は、第5実施例に係るプリンタのガイド板150を示す斜視図である。このガイド板150は、先端側部分150aの両端箇所150dを構成する部材が、それぞれ両端側で独立して存在しているのではなく、先端側部分150aの幅方向の一端側から他端側に向けて延在している点が、第4実施例のものと異なっている。かかる構成では、第4実施例のものに比べて、両端箇所150dの強度を高めることができる。
【0068】
本発明者らは、同図に示したガイド板150として、両端箇所150dの曲率半径rが互いに異なる複数のものを用意して、トナー散り汚れや縦皺の発生ランクを調べる実験を行った。すると、第4実施例のガイド板150と同様に、曲率半径rが1[mm]以上であれば、トナー散り汚れの発生を回避し得ることがわかった。この実験結果に鑑みて、第5実施例のプリンタにおいても、ガイド板150として、曲率半径rが1[mm]以上であるものを用いている。
【0069】
[第6実施例]
図15は、第6実施例に係るプリンタのガイド板150を示す斜視図である。また、図16は、同ガイド板150を示す側面図である。これらの図において、ガイド板150は、第5実施例と同様に、先端側部分150aの両端箇所150dを構成する部材が、先端側部分150aの幅方向の一端側から他端側に向けて延在している。但し、先端側部分150aの中央箇所150cの形状が第5実施例とは異なっている。具体的には、中央箇所150cの記録紙搬送方向下流側は、ガイド板150の本体部分150bと同じ方向に延在する姿勢になっているのに対し、先端側は重力方向下方に向けて折れ曲がる湾曲面になっている。
【0070】
定着装置周囲のレイアウト上の制約により、先端側部分150aの中央箇所150cを一直線状に延在する形状にできない場合には、かかる構成のガイド板150が第2実施例のものと同様に有効である。このようなガイド板150であっても、中央箇所150cの先端だけについては、それよりも上流側の湾曲部によって図示しない定着ニップに向いた姿勢をとらせることで、記録紙Pを定着ニップに向けて良好に案内することができる。更には、ガイド板150の先端を、加圧ローラ(図3の50)等がコンデンサとして機能する定着ニップの近傍に位置させることで、ガイド板150から飛び出た記録紙箇所でのトナー散り汚れの発生を抑えることもできる。
【0071】
なお、中央箇所150cにおいて、先端側の湾曲部の曲率半径r’が小さすぎると、両端箇所150dの曲率半径rが小さすぎる場合と同様に、中央箇所150c上の記録紙P周囲における紙搬送方向の電位勾配の変化が非常に大きくなってしまう。そこで、本発明者らは、ガイド板150として、中央箇所150cの先端側湾曲部の曲率半径r’が互いに異なる複数種類のものを用意して、それぞれについてトナー散り汚れの発生ランクを調べる実験を行った。すると、両端箇所150dの曲率半径rと同様に、曲率半径r’が1[mm]以上であれば、先端側部分150aの中央箇所150cの湾曲部上におけるトナー散り汚れの発生を回避し得ることがわかった。この実験結果に鑑みて、第6実施例に係るプリンタにおいては、ガイド板150として、曲率半径r’が1[mm]以上であるものを用いている。
【0072】
[第7実施例]
図17は、第7実施例に係るプリンタのガイド板150を示す斜視図である。また、図18は、同ガイド板150を示す側面図である。これらの図において、ガイド板150の先端側部分150aの中央箇所150cは、第6実施例と同様に、その先端側が重力方向下方に向かう湾曲部になっている。
【0073】
ガイド板150の本体部分150bよりも記録紙搬送方向の上流側には、本体部分150bに繋がった後端側部分150eが形成されている。この後端側部分150eは、本体部分150bとの境界において、重力方向下方に向けて折れ曲がる湾曲部になっている。かかる構成においては、第3実施例のガイド板150と同様に、図示しない紙搬送ユニットから本体部分150bに向けて真っ直ぐ送り出される記録紙Pを本体部分150bの表面に接触させるのに先立って、記録紙Pに対して、コンデンサとして機能する後端側部分150eを徐々に近づけていく。すると、記録紙Pを本体部分150bに近づけていくのに従って、記録紙P及びその周囲の電位を徐々にマイナス側に大きくしていくことができる。そして、これにより、記録紙Pをガイド板150に接触させる際のトナー散り汚れの発生を抑えることができる。
【0074】
なお、ガイド板150の後端側部分150eにおいて、その曲率半径r"が小さすぎると、両端箇所150dの曲率半径rが小さすぎる場合と同様に、紙搬送方向における記録紙P周囲の電位勾配の変化が非常に大きくなってしまう。そこで、本発明者らは、ガイド板150として、曲率半径r"が互いに異なる複数種類のものを用意して、それぞれについてトナー散り汚れの発生ランクを調べる実験を行った。すると、両端箇所150dの曲率半径rと同様に、曲率半径r"が1[mm]以上であれば、記録紙Pを本体部分150bに接触させる際のトナー散り汚れの発生を回避し得ることがわかった。この実験結果に鑑みて、第7実施例に係るプリンタにおいては、ガイド板150として、曲率半径r"が1[mm]以上であるものを用いている。
【0075】
[第8実施例]
図19は、第8実施例に係るプリンタのガイド板150を示す斜視図である。また、図20は、同ガイド板150の先端側を示す部分側面図である。これらの図において、ガイド板150は、次に説明する点だけが実施形態に係るガイド板と異なっている。即ち、先端側部分150aの両端箇所150dが、傾斜面を具備する傾斜部と、湾曲面を具備する湾曲部との両方を有している点である。
【0076】
両端箇所150dの湾曲部は、本体部分150bとの境界から紙搬送方向下流側に向けての所定の領域に形成されており、この湾曲部よりも紙搬送方向下流側が傾斜部になっている。即ち、両端箇所150dはそれぞれ、後端側が湾曲部になっているとともに、先端側が湾曲部に続く傾斜部になっている。
【0077】
第4実施例で説明したように、本体部分150bと両端箇所150dとの境界では、湾曲箇所150dが傾斜面になっているよりも、湾曲面になっている方が、紙搬送方向のトナーの飛び散りによるトナー散り汚れに対して有利である。但し、湾曲面をそれほど長く形成することはできない。これは次に説明する理由による。即ち、湾曲面の長さがある程度短い場合には、記録紙Pの両端箇所を紙搬送に伴って定着ニップに近づけるように案内することが可能である。しかし、湾曲面を長くし過ぎると、記録体Pの両端箇所を紙搬送に伴って定着ニップから遠ざける方向にしか案内できなくなるからである。このため、湾曲面については、ある程度の長さに留める必要があるが、定着装置の周囲のレイアウトによっては、その長さでは、ガイド板150の先端側部分150aにおける両端箇所150dの紙搬送方向の長さが不足してしまう場合がある。
【0078】
そこで、第8実施例に係るプリンタのガイド板150においては、両端箇所150dの後端側を湾曲部にする一方で、両端箇所150dの先端側を傾斜部にしている。かかる構成では、両端箇所の後端側を湾曲部にしたことで、傾斜部にする場合に比べてより確実にトナー散り汚れの発生を抑えることができる。更に、両端箇所の先端側を傾斜部にしたことで、両端箇所150dの紙搬送方向の長さを必要量確保しつつ、記録紙Pの両端箇所をそれぞれ定着ニップに向けて良好に案内することができる。
【0079】
なお、両端箇所150dの後端側の湾曲部については、その曲率半径rを1[mm]以上にしている。また、両端箇所150dの先端側の傾斜部については、その角度θを20[°]以上にしている。
【0080】
[第9実施例]
図21は、第9実施例に係るプリンタのガイド板150を示す斜視図である。また、図22は、同ガイド板150の先端側を示す部分側面図である。このガイド板150は、先端側部分150aの両端箇所150dがそれぞれ、第8実施例と同様に、後端側の湾曲部と、先端側の傾斜部とを有している。また、先端側部分150aの中央箇所150cの先端側が、重力方向下方に向けて折れ曲がっている。そして、その折れ曲がり部が両端箇所150dと同様に、後端側の湾曲部と、先端側の傾斜部とを有している。
【0081】
かかる構成では、第2実施例のガイド板150と同様に、記録紙Pが搬送に伴ってガイド板150の先端から突き出る領域においても、紙搬送方向の電位勾配を緩やかにすることで、中央箇所150cの先端側に折れ曲がり部を設けない場合に比べて、トナー散り汚れの発生を抑えることができる。更に、第2実施例のガイド板150のガイド板150とは異なり、先端側部分150aの中央箇所150cの折れ曲がり部として、後端側の湾曲部と、先端側の傾斜部とを設けたものを用いることで、次のような作用効果を奏することができる。即ち、中央箇所150cの折れ曲がり部の後端側を湾曲部にしたことで、傾斜部にする場合に比べてより確実にトナー散り汚れの発生を抑えることができる。更に、中央箇所150cの折れ曲がり部の先端側を傾斜部にしたことで、中央箇所150cの紙搬送方向の長さを必要量確保しつつ、記録紙Pの中央箇所を定着ニップに向けて良好に案内することができる。
【0082】
[第10実施例]
図23は、第10実施例に係るプリンタのガイド板150を示す斜視図である。また、図24は、同ガイド板150の後端側を示す部分側面図である。このガイド板150は、先端側部分150aが、第9実施例のガイド板150と同様の構成になっている。
【0083】
図23や図24に示したように、第10実施例に係るガイド板150は、本体部分150bよりも記録紙搬送方向の上流側に、本体部分150bに繋がった後端側部分150eを有している。この後端側部分150eは、本体部分150bとの境界から重力方向下方に向けて折れ曲がっている。そして、その折れ曲がり部は、図24に示したように、本体部分150bに繋がる湾曲部と、これに対して紙搬送方向上流側で繋がっている傾斜部とを有している。
【0084】
かかる構成では、第3実施例に係るプリンタのガイド板150と同様に、図示しない紙搬送ユニットから本体部分150bに向けて真っ直ぐ送り出される記録紙Pを本体部分150bの表面に接触させるのに先立って、記録紙Pに対して、コンデンサとして機能する後端側部分150eを徐々に近づけていく。すると、記録紙Pを本体部分150bに近づけていくのに従って、記録紙P及びその周囲の電位を徐々にマイナス側に大きくしていくことができる。そして、これにより、記録紙Pをガイド板150に接触させる際のトナー散り汚れの発生を抑えることができる。
【0085】
また、第3実施例に係るプリンタのガイド板150とは異なり、後端側部分150eに、湾曲部と傾斜部とを設けたことで、次のような作用効果を奏することができる。即ち、後端側部分150eの先端側を湾曲部にしたことで、傾斜部にする場合に比べてより確実にトナー散り汚れの発生を抑えることができる。更に、後端側部分150eの後端側を傾斜部にしたことで、後端側部分150eの紙搬送方向の長さを必要量確保することができる。
【0086】
なお、これまでの実施形態や各実施例においては、本体部分150cからの折れ曲がりにより、両端箇所150eを中央箇所150cよりも重力方向下方に位置させた例を説明してきたが、折れ曲がりとは異なる方法によって、かかる位置関係を実現してもよい。例えば、階段状の段差により、かかる位置関係を実現してもよい。また例えば、ガイド板150として、非常に肉厚のものを用い、その表面に設けた比較的落差のある凹凸により、かかる位置関係を実現してもよい。
【0087】
次に、実施形態に係るプリンタに、実施形態とは異なる特徴的な構成を採用した各変形例に係るプリンタについて説明する。
これまで説明してきた実施形態や各実施例に係るプリンタのガイド板150は、先端側部分150aの両端箇所150dの傾斜面や湾曲面が、相対的に紙搬送方奧に延在する姿勢をとっていた。かかる構成では、これまで説明してきたように、本体部分150bと両端箇所150dとの境界付近において、紙搬送方向の電位勾配の急激な変化によってトナー粒子を紙搬送方向に飛び散らせることに起因するトナー散り汚れの発生を抑えることができる。
【0088】
これに対し、これから説明する各変形例に係るガイド板は、先端側部分の両端箇所が、それぞれ、中央箇所側から端部側に向かう下り勾配の傾斜面、湾曲面、あるいはそれら両方の面を有している。即ち、各変形例のガイド板は、先端側部分における幅方向の両端箇所がそれぞれ、先端側部分における幅方向の中央箇所との距離を幅方向の中央側から端側に向けて徐々に遠ざけるものである。
【0089】
かかる構成のガイド板では、ガイド板の先端側部分の上を通過する際の記録紙Pの幅方向両端箇所において、それぞれ、幅方向の電位勾配が急すぎることによってトナー粒子を幅方向に飛び散らせてしまうことに起因するトナー散り汚れの発生を抑えることができる。
【0090】
[第1変形例]
図25は、第1変形例に係るプリンタのガイド板150を示す斜視図である。このガイド板150は、先端側部分150aの両端箇所150dが、それぞれ、中央箇所150c側から端部側に向かう下り勾配の傾斜面を有している。コンデンサとして機能する両端箇所150dにおけるこの傾斜面により、記録紙Pの幅方向の両端箇所においてそれぞれ、幅方向の中央側から端側に向かう電位勾配を緩やかにする。そして、これにより、トナーを幅方向に飛び散らせることによるトナー散り汚れの発生を抑えることができる。
【0091】
[第2変形例]
図26は、第2変形例に係るプリンタのガイド板150を示す斜視図である。このガイド板150は、先端側部分150aの両端箇所150dが、それぞれ、中央箇所150c側から端部側に向かう下り勾配の湾曲面を有している。コンデンサとして機能する両端箇所150dにおけるこの湾曲面により、記録紙Pの幅方向の両端箇所においてそれぞれ、幅方向の中央側から端側に向かう電位勾配を緩やかにする。そして、これにより、トナーを幅方向に飛び散らせることによるトナー散り汚れの発生を抑えることができる。
【0092】
なお、各変形例において、ガイド板150の先端側部分150aの先端側に、重力方向下方に向かって折れ曲がる折れ曲がり部を設けてもよい。また、ガイド板150の本体部分150bよりも上流側に、本体部分150bから折れ曲がる後端側部分を設けてもよい。これらの折れ曲がり部や後端側部分については、それぞれ、傾斜面、湾曲面、これら両方、の何れを設けたものであってもよい。
【0093】
以上、実施形態や各実施例に係るプリンタのガイド板150は、先端側部分150aにおける幅方向の両端箇所150dがそれぞれ、先端側部分150aにおける幅方向の中央箇所150cとの距離を記録紙搬送方向の上流端側から下流端側に向けて徐々に遠ざけるものである。かかる構成では、両端側部分150d上において、記録紙P及びその周囲における記録紙搬送方向の電位勾配を、両端側部分150dの記録紙搬送方向の勾配によって緩やかにすることで、トナー粒子の記録紙搬送方向の飛び散りを抑える。これにより、トナー粒子の記録紙搬送方向の飛び散りによるトナー散り汚れの発生を抑えることができる。
【0094】
また、実施形態、第1実施例、第2実施例、第3実施例に係るプリンタのガイド部材150は、先端側部分150aにおける幅方向の両端箇所150dがそれぞれ、中央箇所150cとの距離を記録体搬送方向の上流端側から下流端側に向けて徐々に遠ざける傾斜平面を有している。かかる構成では、両端箇所150dとして、それぞれ板状のものを用いることができる。
【0095】
また、第4実施例、第5実施例、第6実施例に係るプリンタのガイド部材150は、先端側部分150aにおける幅方向の両端箇所150dがそれぞれ、中央箇所150cとの距離を記録体搬送方向の上流端側から下流端側に向けて徐々に遠ざける湾曲面を有している。かかる構成では、既に説明したように、両端箇所150dが傾斜面になっているものに比べて、本体部分150bと両端箇所150dとの境界付近における紙搬送方向のトナーの飛び散りによるトナー散り汚れの発生を抑えることができる。
【0096】
また、各変形例に係るプリンタのガイド板150は、先端側部分150aにおける幅方向の両端箇所150dがそれぞれ、先端側部分150aにおける幅方向の中央箇所との距離を幅方向の中央側から端側に向けて徐々に遠ざけるものである。かかる構成では、ガイド板の先端側部分の上を通過する際の記録紙Pの幅方向両端箇所において、それぞれ、幅方向の電位勾配が急すぎることによってトナー粒子を幅方向に飛び散らせてしまうことに起因するトナー散り汚れの発生を抑えることができる。
【0097】
また、第1変形例に係るプリンタのガイド板150は、先端側部分150aにおける幅方向の両端箇所150dがそれぞれ、中央箇所150cとの距離を幅方向の中央側から端側に向けて徐々に遠ざける傾斜平面を有している。かかる構成では、両端箇所150dとして、板状のものを用いることができる。
【0098】
また、第2変形例に係るプリンタのガイド板150は、先端側部分150aにおける幅方向の両端箇所150dがそれぞれ、中央箇所150cとの距離を幅方向の中央側から端側に向けて徐々に遠ざける(高低差を徐々に大きくする)湾曲面を有している。かかる構成では、両端箇所150dが幅方向の傾斜面になっているものに比べて、中央箇所150cと両端箇所150dとの境界付近における幅方向のトナーの飛び散りによるトナー散り汚れの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】先に本発明者らによって開発されたガイド板を示す斜視図。
【図2】同ガイド板及びその上の記録紙の幅方向一端部を示す拡大縦断面図。
【図3】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図4】同プリンタのK用のプロセスユニットを転写ユニットの一部とともに示す拡大構成図。
【図5】同プリンタのガイド板を示す斜視図。
【図6】同ガイド板を示す側面図。
【図7】第1実施例に係るプリンタのガイド板を示す斜視図。
【図8】第2実施例に係るプリンタのガイド板を示す斜視図。
【図9】同ガイド板を示す側面図。
【図10】第3実施例に係るプリンタのガイド板を示す斜視図。
【図11】同ガイド板を示す側面図。
【図12】第4実施例に係るプリンタのガイド板を示す斜視図。
【図13】同ガイド板を示す側面図。
【図14】第5実施例に係るプリンタのガイド板を示す斜視図。
【図15】第6実施例に係るプリンタのガイド板を示す斜視図。
【図16】同ガイド板を示す側面図。
【図17】第7実施例に係るプリンタのガイド板を示す斜視図。
【図18】同ガイド板を示す側面図。
【図19】第8実施例に係るプリンタのガイド板を示す斜視図。
【図20】同ガイド板を示す側面図。
【図21】第9実施例に係るプリンタのガイド板を示す斜視図。
【図22】同ガイド板を示す側面図。
【図23】第10実施例に係るプリンタのガイド板を示す斜視図。
【図24】同ガイド板を示す側面図。
【図25】第1変形例に係るプリンタのガイド板を示す斜視図。
【図26】第2変形例に係るプリンタのガイド板を示す斜視図。
【符号の説明】
【0100】
23:転写ユニット(転写手段)
25:中間転写ベルト(像担持体)
45:定着装置(定着手段)
150:ガイド板(案内部材)
150a:先端側部分
150b:本体部分(上流側部分)
150c:中央箇所
150d:両端箇所
θ:角度
r:曲率半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体にトナー像を形成する像形成手段と、該像担持体上のトナー像を記録体に転写する転写手段と、該トナー像を該記録体に定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置に用いられ、該転写手段と該定着手段との間で搬送される該記録体を重力方向下方から支えながら該定着手段に向けて案内する案内部材であって、
記録体搬送方向における自らの下流端側にある先端側部分と、該先端側部分よりも上流側で該先端側部分に続いている上流側部分とが互いに異なる形状のものであり、
該上流側部分が、記録体搬送方向に直交する方向である幅方向の中央箇所と両端箇所との高低差のない平面で該記録体を支えるものであり、
該先端側部分における該幅方向の中央箇所が、該平面との高低差のない平面で該記録体を支えるものであり、
且つ、該先端側部分における幅方向の両端箇所が、それぞれ該先端側部分における幅方向の中央箇所よりも重力方向下方に位置するものであることを特徴とする案内部材。
【請求項2】
請求項1の案内部材であって、
上記先端側部分における上記幅方向の両端箇所がそれぞれ、該先端側部分における該幅方向の中央箇所との距離を記録体搬送方向の上流端側から下流端側に向けて徐々に遠ざけるものであることを特徴とする案内部材。
【請求項3】
請求項2の案内部材であって、
上記先端側部分における上記幅方向の両端箇所がそれぞれ、上記距離を記録体搬送方向の上流端側から下流端側に向けて徐々に遠ざける傾斜平面を有することを特徴とする案内部材。
【請求項4】
請求項2の案内部材であって、
上記先端側部分における上記幅方向の両端箇所がそれぞれ、上記距離を記録体搬送方向の上流端側から下流端側に向けて徐々に遠ざける湾曲面を有することを特徴とする案内部材。
【請求項5】
請求項1の案内部材であって、
上記先端側部分における上記幅方向の両端箇所がそれぞれ、該先端側部分における上記幅方向の中央箇所との距離を該幅方向の該中央側から端側に向けて徐々に遠ざけるものであることを特徴とする案内部材。
【請求項6】
請求項5の案内部材であって、
上記先端側部分における上記幅方向の両端箇所がそれぞれ、上記距離を該幅方向の上記中央側から端側に向けて徐々に遠ざける傾斜平面を有することを特徴とする案内部材。
【請求項7】
請求項5の案内部材であって、
上記先端側部分における上記幅方向の両端箇所がそれぞれ、上記距離を該幅方向の中央側から端側に向けて徐々に遠ざける湾曲面を有することを特徴とする案内部材。
【請求項8】
請求項3又は6の案内部材であって、
上記傾斜平面の傾斜角度が20[°]以下であることを特徴とする案内部材。
【請求項9】
請求項4又は7の案内部材であって、
上記湾曲面の曲率半径が1[mm]以上であることを特徴とする案内部材。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかの案内部材であって、
体積抵抗率が1010[Ω・cm]であることを特徴とする案内部材。
【請求項11】
像担持体にトナー像を形成する像形成手段と、該像担持体上のトナー像を記録体に転写する転写手段と、該トナー像を該記録体に定着せしめる定着手段と、該転写手段と該定着手段との間で搬送される該記録体を重力方向下方から支えながら該定着手段に向けて案内する案内部材とを備える画像形成装置であって、
上記案内部材として、請求項1乃至10の何れかの案内部材を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−216914(P2008−216914A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57704(P2007−57704)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】