説明

梁材及び梁材使用の鉄骨構造物

【課題】容易にかつ形状を安定して製造でき、使用する鋼材料の重量を重くすることなく曲げモーメント値を上げ得る梁材を提供する。
【解決手段】下フランジ部11と、下フランジ部の左右側端にその下端を溶接結合Yすることで上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部12と、少なくとも一方のウエブ部の上端に溶接結合Yすることで横向き直角状に連設した上フランジ部13とからなる。梁材は、複数箇所の溶接結合によって容易にかつ形状を安定して製造できる。梁材は、上端に横向きの上フランジ部を有するU字型枠状に形成したことで、左右一対のウエブ部と上フランジ部とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく強固に形成できるとともに、曲げモーメント値を上げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば鉄骨構造物の鋼管柱(支柱)における梁材連結部(パネルゾーン)に連結して使用される梁材、すなわち溶接結合により合成された梁材及び梁材使用の鉄骨構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の梁材としては、次のような構成が提供されている。すなわち、梁(梁材)としては、上下一対のフランジとウエブ部とからなるI型鋼(H型鋼)が使用されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−111872号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献2】特開平5−148894号公報(第2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した従来構成によると、I型鋼(H型鋼)として、たとえば、フランジ板厚が22mm、ウエブ部板厚が12mm、フランジ幅が250mm、両フランジの外面間の高さが600mmのものを採用したとき、[フランジ板厚>ウエブ部板厚]の構成により、すなわちウエブ部の板厚を薄く形成したことにより、使用材料の重量を軽くしながらも、所定(規格)の強度などを確保できる。
【0004】
しかし、上記した従来構成によると、曲げモーメント値を上げたり、横揺れを少なくするために強度などを向上させようとしたとき、ウエブ部の板厚を厚くするなどしなければならず、使用する鋼材料の重量が重くなって材料コストが高いものになる。
【0005】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、容易にかつ形状を安定して製造し得るとともに、使用する鋼材料の重量を重くすることなく曲げモーメント値を上げ得る梁材を提供することを目的としたものである。
【0006】
また請求項7記載の発明は、梁材の重量を重くすることなく、曲げモーメント値を上げたり、横揺れを少なくし得る梁材使用の鉄骨構造物を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の梁材は、下フランジ部と、この下フランジ部の左右側端にその下端を溶接結合することで上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部と、少なくとも一方のウエブ部の上端に溶接結合することで横向き直角状に連設した上フランジ部とからなることを特徴としたものである。
【0008】
したがって請求項1の発明によると、梁材は、複数箇所の溶接結合によって容易にかつ形状を安定して製造し得る。そして梁材は、上端に横向きの上フランジ部を有するU字型枠状に形成したことで、左右一対のウエブ部と上フランジ部とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく形成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得る。
【0009】
また本発明の請求項2記載の梁材は、上記した請求項1記載の構成において、両ウエブ部の上端にそれぞれ上フランジ部の端を溶接結合することで、互いに異なる方向へ向けて横向き直角状に連設したことを特徴としたものである。
【0010】
したがって請求項2の発明によると、梁材は、4箇所の溶接結合によって容易にかつ形状を安定して製造し得る。そして梁材は、上端に横向きの上フランジ部を有するU字型枠状に形成したことで、それぞれ左右一対のウエブ部と上フランジ部とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく形成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得る。
【0011】
そして本発明の請求項3記載の梁材は、上記した請求項1記載の構成において、両ウエブ部の上端にそれぞれ上フランジ部の端を溶接結合することで、同方向へ向けて横向き直角状に連設したことを特徴としたものである。
【0012】
したがって請求項3の発明によると、梁材は、4箇所の溶接結合によって容易にかつ形状を安定して製造し得る。そして梁材は、上端に外向き上フランジ部と内向き上フランジ部とを有するU字型枠状に形成したことで、それぞれ左右一対のウエブ部と上フランジ部とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく形成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得る。しかも梁材を、鋼管柱の梁材連結部に対して偏心した状態で溶接結合し得ることで、鉄骨構造物における外壁相当部分を構成し得る。
【0013】
さらに本発明の請求項4記載の梁材は、上記した請求項1記載の構成において、一方のウエブ部の上端から上フランジ部を溶接結合することで、外方向へ向けて横向き直角状に連設したことを特徴としたものである。
【0014】
したがって請求項4の発明によると、梁材は、3箇所の溶接結合によって容易にかつ形状を安定して製造し得る。そして梁材は、上端に外向き上フランジ部を有するU字型枠状に形成したことで、左右一対のウエブ部と外向き上フランジ部とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく形成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得る。さらに梁材を、鋼管柱の梁材連結部に対して偏心した状態で溶接結合し得ることで、鉄骨構造物における外壁相当部分を構成し得る。
【0015】
しかも本発明の請求項5記載の梁材は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成において、フランジ部の板厚に対して、ウエブ部の板厚を等厚状もしくは薄く形成していることを特徴としたものである。
【0016】
したがって請求項5の発明によると、上端に横向きの上フランジ部を有するU字型枠状の梁材を、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく好適に形成し得る。
【0017】
また本発明の請求項6記載の梁材は、上記した請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成において、左右のウエブ部の外面間の幅外寸に対して、上下のフランジ部の外面間の高さ外寸を同等状もしくは長く形成したことを特徴としたものである。
【0018】
したがって請求項6の発明によると、梁材を、上下方向で長い長方形状のU字型枠状に形成し得ることで、曲げモーメント値をより一層上げ得る。
そして本発明の請求項7記載の梁材使用の鉄骨構造物は、梁材を、下フランジ部と、この下フランジ部の左右側端にその下端を溶接結合することで上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部と、少なくとも一方のウエブ部の上端に溶接結合することで横向き直角状に連設した上フランジ部とにより、上端に横向きの上フランジ部を有するU字型枠状に形成し、この梁材の端部を鋼管柱の梁材連結部に連結して構成したことを特徴としたものである。
【0019】
したがって請求項7の発明によると、鉄骨構造物は、左右一対のウエブ部と上端の横向きの上フランジ部とにより補強され、かつ複数箇所の溶接結合によって容易にかつ形状を安定して製造し得るU字型枠状の梁材を使用することで、I型鋼(H型鋼)の梁材を使用した形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく構成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得て所定(規格)の強度などを確保し得、さらに横揺れを少なくした構成とし得る。
【0020】
さらに本発明の請求項8記載の梁材使用の鉄骨構造物は、上記した請求項7記載の構成において、梁材連結部に対して梁材を溶接結合により連結し、梁材の遊端間を、ブラケットと連結具とを介して連結したことを特徴としたものである。
【0021】
したがって請求項8の発明によると、梁材連結部に対する梁材の連結は、溶接結合により強固にかつ確実に行え、また梁材の長さ方向での連結は、隣接した梁材間に亘ってブラケットを当接させ、そしてブラケットから梁材に亘って連結具を結合作用させることで行える。
【0022】
しかも本発明の請求項9記載の梁材使用の鉄骨構造物は、上記した請求項7または8記載の構成において、梁材の凹所内にコンクリートを打設したことを特徴としたものである。
【0023】
したがって請求項9の発明によると、梁材の内部空間である凹所を利用してコンクリートを打設することで、強度などをより一層向上し得るとともに、耐火効果を期待し得る。
【発明の効果】
【0024】
上記した本発明の請求項1によると、梁材は、複数箇所の溶接結合によって容易にかつ形状を安定して製造できるとともに、溶接結合によって鉄骨構造物(建築物)に最も適した寸法に合成して製造できる。そして梁材は、上端に横向きの上フランジ部を有するU字型枠状に形成したことで、左右一対のウエブ部と上フランジ部とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく強固に形成できるとともに、曲げモーメント値を上げることができる。
【0025】
また上記した本発明の請求項2によると、梁材は、4箇所の溶接結合によって容易にかつ形状を安定して製造できるとともに、溶接結合によって鉄骨構造物(建築物)に最も適した寸法に合成して製造できる。そして梁材は、上端に横向きの上フランジ部を有するU字型枠状に形成したことで、それぞれ左右一対のウエブ部と上フランジ部とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく強固に形成できるとともに、曲げモーメント値を上げることができ、以て所定(規格)の強度などを十分に確保できる。
【0026】
そして上記した本発明の請求項3によると、梁材は、4箇所の溶接結合によって容易にかつ形状を安定して製造できるとともに、溶接結合によって鉄骨構造物(建築物)に最も適した寸法に合成して製造できる。そして梁材は、上端に外向き上フランジ部と内向き上フランジ部とを有するU字型枠状に形成したことで、それぞれ左右一対のウエブ部と上フランジ部とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく強固に形成できるとともに、曲げモーメント値を上げることができ、以て所定(規格)の強度などを十分に確保できる。しかも梁材を、鋼管柱の梁材連結部に対して偏心した状態で溶接結合できることで、鉄骨構造物における外壁相当部分を容易に構成できる。
【0027】
さらに上記した本発明の請求項4によると、梁材は、3箇所の溶接結合によって容易にかつ形状を安定して製造できるとともに、溶接結合によって鉄骨構造物(建築物)に最も適した寸法に合成して製造できる。そして梁材は、上端に外向き上フランジ部を有するU字型枠状に形成したことで、左右一対のウエブ部と外向き上フランジ部とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく強固に形成できるとともに、曲げモーメント値を上げることができ、以て所定(規格)の強度などを十分に確保できる。また梁材を、鋼管柱の梁材連結部に対して偏心した状態で溶接結合できることで、鉄骨構造物における外壁相当部分を容易に構成できる。
【0028】
しかも上記した本発明の請求項5によると、上端に横向きの上フランジ部を有するU字型枠状の梁材を、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく好適に形成できる。
【0029】
また上記した本発明の請求項6によると、梁材を、上下方向で長い長方形状のU字型枠状に形成できることで、曲げモーメント値をより一層上げることができる。
そして上記した本発明の請求項7によると、鉄骨構造物は、左右一対のウエブ部と上端の横向きの上フランジ部とにより補強でき、しかも複数箇所の溶接結合によって、容易にかつ形状を安定して、しかも最も適した寸法に合成して製造できるU字型枠状の梁材を使用することで、I型鋼(H型鋼)の梁材を使用した形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく強固に構成できるとともに、曲げモーメント値を上げ得て所定(規格)の強度などを十分に確保でき、さらに横揺れを少なくした構成にできる。
【0030】
さらに上記した本発明の請求項8によると、梁材連結部に対する梁材の連結は、溶接結合により強固にかつ確実に行うことができ、また梁材の長さ方向での連結は、隣接した梁材間に亘ってブラケットを当接させ、そしてブラケットから梁材に亘って連結具を結合作用させることで、強固にかつ確実に行うことができる。
【0031】
しかも上記した本発明の請求項9によると、梁材の内部空間である凹所を利用してコンクリートを打設することで、強度などをより一層向上できるとともに、耐火効果を期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
[実施の形態1]
以下に、本発明の実施の形態1を、図1〜図5に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、梁材10は鋼板製であって、下フランジ部11と、この下フランジ部11の左右側端にその下端を溶接結合Yすることで上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部12と、両ウエブ部12の上端にその内端を溶接結合Yすることで外側の方向(互いに異なる方向)へ向けて横向き直角状に連設した上フランジ部13とにより、上面側と長さ方向の両端側とが開放された凹所14を内部に有し、かつ上端に外横向きの上フランジ部13を有するU字型枠状に形成されている。その際に4箇所の溶接結合Yは、サブマージドアーク溶接法やCo半自動溶接法などにより行われる。
【0033】
ここで梁材10は、左右の上フランジ部13の板厚Tに対して下フランジ部11の板厚Tが等厚状もしくは薄く[T≧T]形成されるとともに、フランジ部13,11の板厚T,Tに対して左右のウエブ部12の板厚tが等厚状もしくは薄く[T≧T≧t]形成されている。そして梁材10は、左右の上フランジ部13の幅Wが同等状[W≒W]に形成されるとともに、両上フランジ部13の幅Wの加算値に対して下フランジ部11の幅Wが同等状もしくは長く[W+W≦W]に形成されている。さらに、左右のウエブ部12の外面間の幅外寸に相当する下フランジ部11の幅Wに対して、上下のフランジ部13,11の外面間の高さ外寸Hが同等状もしくは長く[W≦H]形成されている。
【0034】
このような梁材10としては、たとえば、ウエブ部12の板厚tが6mm〜22mm、フランジ部11,13の板厚T,Tが9mm〜40mm、両上フランジ部13の幅Wの加算値[W+W]や両ウエブ部12の外面間の幅外寸Wが100mm〜500mm、上下のフランジ部13,11の外面間の高さ外寸Hが200mm〜1000mmに形成されている。これにより、フランジ部11,13の板厚T,Tである9mm〜40mmに対して、ウエブ部12の板厚tが6mm〜22mmと等厚状もしくは薄く形成され、そして幅外寸Wの100mm〜500mmに対して高さ外寸Hの200mm〜1000mmが同等状もしくは長く形成されることになる。
【0035】
なお図2に示す梁材10の一例としては、ウエブ部12の板厚tが6mm、フランジ部11,13の板厚T,Tが16mm、両ウエブ部13の外面間の幅外寸Wが200mm、両上フランジ部13の幅Wが50mm、上下のフランジ部13,11の外面間の高さ外寸Hが400mmに形成されている。
【0036】
上述したような梁材10は、4箇所の溶接結合Yによって容易にかつ形状を安定して製造し得るとともに、4箇所の溶接結合Yによって鉄骨構造物(建築物で後述する。)に最も適した寸法に合成して製造し得る。そして、上端に外横向きの上フランジ部13を有するU字型枠状に形成したことで、それぞれ左右一対のウエブ部12と上フランジ部13とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく強固に形成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得る。
【0037】
このように構成された梁材10は鉄骨構造物の一部として使用される。すなわち図3〜図5に示すように、鉄骨構造物1は、四角形状の鋼管柱2と、この鋼管柱2の梁材連結部(パネルゾーン)に連結した梁材10などで構成される。前記鋼管柱2は、長尺角形鋼管(長尺の支柱)3と、短尺の梁材連結用角形鋼管(梁材連結部)4とによって構成され、以て鋼管柱2は、その長さ方向において長尺角形鋼管3群と梁材連結用角形鋼管4群とに切断(分断)されている。
【0038】
そして下部の長尺角形鋼管3の上端に、梁材連結用角形鋼管4の下端が突き合せ方式により溶接結合5aされるとともに、梁材連結用角形鋼管4の上端に、上部の長尺角形鋼管3の下端が溶接結合5aされる。なお、溶接結合5aを行う際に、長尺角形鋼管3の内面側に裏当て材6が介在される。このようにして形成された鋼管柱2に対する梁材10の連結は、この梁材10の端部(遊端)を梁材連結用角形鋼管4に対して溶接結合5bすることで行われ、この溶接結合5bを行う際にも必要に応じて裏当て材が介在される。なお、長尺角形鋼管3に溶接結合される前の梁材連結用角形鋼管4に対して、短尺の梁材10が予め溶接結合5bされていてもよい。
【0039】
また梁材10の遊端間の連結、すなわち短尺の梁材10の遊端に対して、所定長さの梁材10の長さ方向での連結は、長さ方向で隣接したウエブ部12の外面間に亘って鋼板状のブラケット7Aを当接させるとともに、ブラケット7Aからウエブ部12に亘って連結具8Aを結合作用させ、そして、長さ方向で隣接した下フランジ部11の外面間に亘って鋼板状のブラケット7Bを当接させるとともに、ブラケット7Bから下フランジ部11に亘って連結具8Bを結合作用させ、さらに、長さ方向で隣接した上フランジ部13の上面間ならびに下面間に亘って鋼板状のブラケット7Cを当接させるとともに、上下のブラケット7Cから上フランジ部13に亘って連結具8Cを結合作用させることで行える。
【0040】
なお、連結具8A,8B,8Cによる結合としては、ブラケット7Aからウエブ部12に亘って、またはブラケット7Bから下フランジ部11に亘って、または上下のブラケット7Cから上フランジ部13に亘って、それぞれ形成された貫通孔間に通したのち操作することで内端部分が拡径されるアンカー式ボルト、ワンサイドボルト、小径の貫通孔間にねじ込まれる螺合式ボルト、リベットなどが採用される。
【0041】
このように構成された鉄骨構造物1は、上端に外横向きの上フランジ部13を有し、それぞれ左右一対のウエブ部12と上フランジ部13とにより補強されるとともに、鉄骨構造物1に最も適した寸法に合成してU字型枠状に形成された梁材10が使用されていることで、I型鋼(H型鋼)の梁材が使用された形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく構成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得て所定(規格)の強度などを十分に確保し得、さらに横揺れを少なくした構成とし得る。しかも梁材10が、上下方向で長い長方形状のU字型枠状に形成されていることで、曲げモーメント値をより一層上げ得る。
【0042】
また、梁材連結用角形鋼管4に対する梁材10の連結は、溶接結合5bにより強固にかつ確実に行え、さらに梁材10の長さ方向での連結は、隣接した梁材10間に亘ってブラケット7A〜7Cを当接させ、そしてブラケット7A〜7Cから梁材10に亘って連結具8A〜8Cを結合作用させることで、強固にかつ確実に行える。
【0043】
そして梁材10を鉄骨構造物1に使用するとき、図4の仮想線で示すように、梁材10の内部空間である凹所14内に、鉄筋FとコンクリートCとからなる鉄筋コンクリートFCが打設される。さらに、鉄骨構造物1に対して波型鋼板状の床体Eが施工される。すなわち、床体Eは上フランジ部13間に亘って載置され、その上面側には鉄筋コンクリートFCからなる床層(スラブ)が形成されている。なお上フランジ部13上にはスタットボルトBが設けられている。このように梁材10としては、内部空間である凹所14を利用して鉄筋コンクリートFCを打設したことで、強度などをより一層向上し得、以て左右のウエブ部12の板厚tをより薄くして、使用材料の重量を重くすることなく形成しながらも、十分な強度を確保し得るとともに、耐火効果を期待し得る。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2を、図6〜図8に基づいて説明する。
【0044】
すなわち図6、図7に示すように、梁材20は鋼板製であって、下フランジ部21と、この下フランジ部21の左右側端にその下端を溶接結合Yすることで上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部22と、両ウエブ部22の上端にその端を溶接結合Yすることで内側の方向(互いに異なる方向)へ向けて横向き直角状に連設した上フランジ部23と、両上フランジ部23の内端間に形成した開口部25とにより、上面側と長さ方向の両端側とが開放された凹所24を内部に有し、かつ上端に内横向きの上フランジ部23を有するU字型枠状に形成されている。
【0045】
ここで梁材20は、左右の上フランジ部23の板厚Tに対して下フランジ部21の板厚Tが等厚状もしくは薄く[T≧T]形成されるとともに、フランジ部23,21の板厚T,Tに対して左右のウエブ部22の板厚tが等厚状もしくは薄く[T≧T≧t]形成されている。そして梁材20は、左右の上フランジ部23の幅Wが同等状[W≒W]に形成されるとともに、両上フランジ部23の幅Wの加算値に対して下フランジ部21の幅Wが同等状もしくは長く[W+W≦W]に形成されている。さらに、左右のウエブ部22の外面間の幅外寸に相当する下フランジ部21の幅Wに対して、上下のフランジ部23,21の外面間の高さ外寸Hが同等状もしくは長く[W≦H]形成されている。
【0046】
このような梁材20としては、たとえば、ウエブ部22の板厚tが6mm〜22mm、フランジ部21,23の板厚T,Tが9mm〜40mm、両上フランジ部23の幅Wの加算値[W+W]や両ウエブ部22の外面間の幅外寸Wが100mm〜500mm、上下のフランジ部23,21の外面間の高さ外寸Hが200mm〜1000mmに形成されている。これにより、フランジ部21,23の板厚T,Tである9mm〜40mmに対して、ウエブ部22の板厚tが6mm〜22mmと等厚状もしくは薄く形成され、そして幅外寸Wの100mm〜500mmに対して高さ外寸Hの200mm〜1000mmが同等状もしくは長く形成されることになる。
【0047】
上述したような梁材20は、4箇所の溶接結合Yによって容易にかつ形状を安定して製造し得るとともに、4箇所の溶接結合Yによって鉄骨構造物(建築物で後述する。)に最も適した寸法に合成して製造し得る。そして、上端に内横向きの上フランジ部23を有するU字型枠状に形成したことで、それぞれ左右一対のウエブ部22と上フランジ部23とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく強固に形成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得る。さらに梁材20は、外面を矩形状にしたことで、保管や運搬を整然として容易に行うことができる。しかも梁材20が、上下方向で長い長方形状のU字型枠状に形成されていることで、曲げモーメント値をより一層上げ得る。
【0048】
そして図8に示す鉄骨構造物1は、実施の形態1と同様に、鉄骨構造物1に最も適した寸法に合成された梁材10が使用されており、そして開口部25を通して、梁材20の内部空間である凹所24内に鉄筋コンクリートFCを打設することで、強度などをより一層向上し得るとともに、耐火効果を期待し得る。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3を、図9〜図12に基づいて説明する。
【0049】
すなわち図9、図10に示すように、梁材30は鋼板製であって、下フランジ部31と、この下フランジ部31の左右側端にその下端を溶接結合Yすることで上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部32と、両ウエブ部32の上端にその端を溶接結合Yすることで同方向へ向けて横向き直角状に連設した上フランジ部、すなわち一方のウエブ部32の上端にその端を溶接結合Yすることで外方向へ向けて横向き直角状に連設した外向き上フランジ部33A、および他方のウエブ部32の上端にその端を溶接結合Yすることで内方向へ向けて横向き直角状に連設した内向き上フランジ部33Bと、内向き上フランジ部33Bの内端側に形成した開口部35とにより、上面側と長さ方向の両端側とが開放された凹所34を内部に有し、かつ上端に外向き上フランジ部33Aと内向き上フランジ部33Bとを有するU字型枠状に形成されている。
【0050】
ここで梁材30は、左右の上フランジ部33A,33Bの板厚Tに対して下フランジ部31の板厚Tが等厚状もしくは薄く[T≧T]形成されるとともに、フランジ部33A,33B,31の板厚T,Tに対して左右のウエブ部32の板厚tが等厚状もしくは薄く[T≧T≧t]形成されている。そして梁材30は、外向き上フランジ部33Aの幅Wに対して内向き上フランジ部33Bの幅Wが短く[W>W]形成されるとともに、両上フランジ部33A,33Bの幅W,Wの加算値に対して下フランジ部31の幅Wが同等状[W+W≒W]もしくは長く[W+W≦W]に形成されている。さらに、左右のウエブ部32の外面間の幅外寸に相当する下フランジ部31の幅Wに対して、上下のフランジ部33A(33B),31の外面間の高さ外寸Hが同等状もしくは長く[W≦H]形成されている。
【0051】
このような梁材30としては、たとえば、ウエブ部32の板厚tが6mm〜22mm、フランジ部31,33A,33Bの板厚T,Tが9mm〜40mm、両上フランジ部33A,33Bの幅W,Wの加算値[W+W]や両ウエブ部32の外面間の幅外寸Wが100mm〜500mm、上下のフランジ部33A(33B),31の外面間の高さ外寸Hが200mm〜1000mmに形成されている。これにより、フランジ部31,33A(33B)の板厚T,Tである9mm〜40mmに対して、ウエブ部32の板厚tが6mm〜22mmと等厚状もしくは薄く形成され、そして幅外寸Wの100mm〜500mmに対して高さ外寸Hの200mm〜1000mmが同等状もしくは長く形成されることになる。
【0052】
上述したような梁材30は、4箇所の溶接結合Yによって容易にかつ形状を安定して製造し得るとともに、4箇所の溶接結合Yによって鉄骨構造物(建築物で後述する。)に最も適した寸法に合成して製造し得る。そして、上端に外向き上フランジ部33Aと内向き上フランジ部33Bとを有するU字型枠状に形成したことで、それぞれ左右一対のウエブ部32と上フランジ部33A,33Bとによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく強固に形成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得る。
【0053】
このように構成された梁材30は鉄骨構造物の一部として使用される。すなわち図11、図12に示すように、鉄骨構造物1は、前述した実施の形態1と同様に構成されるものであり、その際に梁材連結用角形鋼管(梁材連結部)4の相反する1対の外側面に、梁材30の端部(遊端)が溶接結合5bされる。ここで梁材30は、そのU字型枠状の部分の軸心(幅外寸Wの中心)が鋼管柱2の軸心に対して内向き上フランジ部33B側へ偏心した状態で溶接結合5bされている。そして、梁材連結用角形鋼管4の残る1対の外側面のうち、梁材30が偏心していない側の外側面には、前述した実施の形態1と同様にして梁材10が溶接結合5bされている。なお、梁材30の遊端間の連結、凹所34を利用しての鉄筋コンクリートFCの打設、床体Eの施工などは、前述した実施の形態1と同様に行われる。
【0054】
このように構成された鉄骨構造物1は、上端に外向き上フランジ部33Aと内向き上フランジ部33Bとを有し、それぞれ左右一対のウエブ部32と上フランジ部33A,33Bとにより補強されるとともに、鉄骨構造物1に最も適した寸法に合成された梁材30が使用されていることで、I型鋼(H型鋼)の梁材が使用された形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく構成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得て所定(規格)の強度などを十分に確保し得、さらに横揺れを少なくした構成とし得る。しかも梁材30が、上下方向で長い長方形状のU字型枠状に形成されていることで、曲げモーメント値をより一層上げ得る。
【0055】
そして図11の仮想線に示すように、内部空間である凹所34を利用して鉄筋コンクリートFCを打設したことで、強度などをより一層向上し得、以て左右のウエブ部32の板厚tをより薄くして、使用材料の重量を重くすることなく形成しながらも、十分な強度を確保し得るとともに、耐火効果を期待し得る。さらに梁材30を、鋼管柱2の梁材連結用角形鋼管(梁材連結部)4に対して偏心した状態で溶接結合5bし得ることで、鉄骨構造物1における外壁相当部分を容易に構成し得る。
[実施の形態4]
次に、本発明の実施の形態4を、図13〜図16に基づいて説明する。
【0056】
すなわち図13、図14に示すように、梁材40は鋼板製であって、下フランジ部41と、この下フランジ部41の左右側端にその下端を溶接結合Yすることで上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部42A,42Bと、一方のウエブ部42Aの上端にその内端を溶接結合Yすることで外方向へ向けて横向き直角状に連設した外向き上フランジ部43とにより、上面側と長さ方向の両端側とが開放された凹所44を内部に有し、かつ上端に外向き上フランジ部43を有するU字型枠状に形成されている。
【0057】
ここで梁材40は、外向き上フランジ部43の板厚Tに対して下フランジ部41の板厚Tが等厚状もしくは薄く[T≧T]形成されるとともに、フランジ部43,41の板厚T,Tに対して左右のウエブ部42A,42Bの板厚tが等厚状もしくは薄く[T≧T≧t]形成されている。そして梁材40は、下フランジ部41の幅Wに対して外向き上フランジ部43の幅Wが同等状もしくは短く[W≧W]に形成されている。さらに、左右のウエブ部42A,42Bの外面間の幅外寸に相当する下フランジ部41の幅Wに対して、上下のフランジ部43,41の外面間の高さ外寸Hが同等状もしくは長く[W≦H]形成されるとともに、上下のフランジ部43,41の外面間の高さ外寸Hに対して、他方のウエブ部42Bの高さ外寸LHが同等状もしくは長く[H≦LH]形成されている。
【0058】
このような梁材40としては、たとえば、ウエブ部42A,42Bの板厚tが6mm〜22mm、フランジ部41,43の板厚T,Tが9mm〜40mm、外向き上フランジ部43の幅Wや両ウエブ部42A,42Bの外面間の幅外寸Wが100mm〜500mm、上下のフランジ部43,41の外面間の高さ外寸Hや他方のウエブ部42Bの高さ外寸LHが200mm〜1000mmに形成されている。これにより、フランジ部41,43の板厚T,Tである9mm〜40mmに対して、ウエブ部42A,42Bの板厚tが6mm〜22mmと等厚状もしくは薄く形成され、そして幅外寸Wの150mm〜500mmに対して高さ外寸H,LHの200mm〜1000mmが同等状もしくは長く形成されることになる。
【0059】
上述したような梁材40は、3箇所の溶接結合Yによって容易にかつ形状を安定して製造し得るとともに、3箇所の溶接結合Yによって鉄骨構造物(建築物で後述する。)に最も適した寸法に合成して製造し得る。そして、上端に外向き上フランジ部43を有するU字型枠状に形成したことで、左右一対のウエブ部42A,42Bと外向き上フランジ部43とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく強固に形成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得る。
【0060】
このように構成された梁材40は鉄骨構造物の一部として使用される。すなわち図15、図16に示すように、鉄骨構造物1は、前述した実施の形態1と同様に構成されるものであり、その際に梁材連結用角形鋼管(梁材連結部)4の相反する1対の外側面に、梁材40の端部(遊端)が溶接結合5bされる。ここで梁材40は、そのU字型枠状の部分の軸心(幅外寸Wの中心)が鋼管柱2の軸心に対して他方側へ偏心した状態で溶接結合5bされている。そして、梁材連結用角形鋼管4の残る1対の外側面のうち、梁材40が偏心していない側の外側面には、前述した実施の形態1と同様にして梁材10が溶接結合5bされている。なお、梁材40の遊端間の連結、凹所44を利用しての鉄筋コンクリートFCの打設、床体Eの施工などは、前述した実施の形態1と同様に行われる。その際に、他方のウエブ部42Bの上方突出部分によって鉄筋コンクリートFCの他方端の規制が行われる。
【0061】
このように構成された鉄骨構造物1は、上端に外向き上フランジ部43を有し、左右一対のウエブ部42A,42Bと外向き上フランジ部43とにより補強されるとともに、鉄骨構造物1に最も適した寸法に合成された梁材40が使用されていることで、I型鋼(H型鋼)の梁材が使用された形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく構成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得て所定(規格)の強度などを十分に確保し得、さらに横揺れを少なくした構成とし得る。しかも梁材40が、上下方向で長い長方形状のU字型枠状に形成されていることで、曲げモーメント値をより一層上げ得る。
【0062】
そして図15の仮想線に示すように、内部空間である凹所44を利用して鉄筋コンクリートFCを打設したことで、強度などをより一層向上し得、以て左右のウエブ部42A,42Bの板厚tをより薄くして、使用材料の重量を重くすることなく形成しながらも、十分な強度を確保し得るとともに、耐火効果を期待し得る。さらに梁材40を、鋼管柱2の梁材連結用角形鋼管(梁材連結部)4に対して偏心した状態で溶接結合5bし得ることで、鉄骨構造物1における外壁相当部分を容易に構成し得る。
[実施の形態5]
次に、本発明の実施の形態5を図17に基づいて説明する。この実施の形態5は、実施の形態1と実施の形態2との組み合わせ変形例である。
【0063】
すなわち、梁材50は鋼板製であって、下フランジ部51と、この下フランジ部51の左右側端にその下端を溶接結合Yすることで上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部52と、両ウエブ部52の上端にその中間を溶接結合Yすることで内外方向へ向けて横向き直角状に連設した上フランジ部53と、上フランジ部53の内端側に形成した開口部55とにより、上面側と長さ方向の両端側とが開放された凹所54を内部に有し、かつ上端に上フランジ部53を有するU字型枠状に形成されている。なお実施の形態5は、実施の形態1や実施の形態2と同様に作用される。
[実施の形態6]
次に、本発明の実施の形態6を図18に基づいて説明する。この実施の形態6は、実施の形態2と実施の形態4との組み合わせ変形例である。
【0064】
すなわち、梁材60は鋼板製であって、下フランジ部61と、この下フランジ部61の左右側端にその下端を溶接結合Yすることで上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部62A,62Bと、一方のウエブ部62Aの上端にその中間を溶接結合Yすることで内外方向へ向けて横向き直角状に連設した上フランジ部63と、上フランジ部63の内端側に形成した開口部65とにより、上面側と長さ方向の両端側とが開放された凹所64を内部に有し、かつ上端に外向き上フランジ部63を有するU字型枠状に形成されている。なお実施の形態6は、実施の形態2や実施の形態4と同様に作用される。
[実施の形態7]
次に、本発明の実施の形態7を図19に基づいて説明する。
【0065】
すなわち、図19(a)は実施の形態1の変形例、図19(b)は実施の形態2の変形例であって、左右のウエブ部13,23の板厚Tがフランジ部11,15の板厚T,Tと等厚状[T≧T≒T]に形成されている。また図19(c)は実施の形態3の変形例であって、左右のウエブ部23の板厚Tがフランジ部21,25A,25Bの板厚T,Tと等厚状[T≧T≒T]に形成されている。そして図19(d)は実施の形態4の変形例であって、左右のウエブ部33A,33Bの板厚Tがフランジ部31,35の板厚T,Tと等厚状[T≧T≒T]に形成されている。
[実施の形態8]
次に、本発明の実施の形態8を図20に基づいて説明する。
【0066】
すなわち、図20(a)は実施の形態5の変形例であって、左右のウエブ部52の板厚Tがフランジ部51,53の板厚T,Tと等厚状[T≧T≒T]に形成されている。また図20(b)は実施の形態6の変形例であって、左右のウエブ部62A,62Bの板厚Tがフランジ部61,63の板厚T,Tと等厚状[T≧T≒T]に形成されている。
【0067】
上記した実施の形態1〜4においては、梁材10,20,30,40の凹所14,24,34,44内に鉄筋コンクリートFCが打設された形式が示されているが、これは凹所14,24,34,44内にコンクリートCのみが打設された形式や、鉄筋コンクリートFCやコンクリートCのいずれも打設されない形式などであってもよい。
【0068】
上記した実施の形態1〜4では、梁材10,20,30,40として、左右のウエブ部の外面間の幅外寸Wよりも、上下のフランジ部の外面間の高さ外寸Hが長く[W<H]形成され、以て上下方向に長い長方形状のU字型枠状に形成されているが、これは[W>H]として幅方向に長い長方形状のU字型枠状に形成されたものや、[W≒H]として正方形状のU字型枠状に形成されたものであってもよい。
【0069】
上記した実施の形態1〜4では、鋼管柱2として、長尺角形鋼管3群と梁材連結用角形鋼管4群とを溶接結合5aした形式が示されているが、これは鋼管柱2として1本ものを使用した形式などであってもよい。
【0070】
上記した実施の形態1〜4では、鋼管柱2の梁材連結用角形鋼管(梁材連結部)4に、梁材10を溶接結合5bしているが、これは連結具を介して連結する形式などであってもよい。
【0071】
上記した実施の形態1〜4では、梁材10の遊端間を、ブラケット7と連結具8とを介して連結した形式が示されているが、これは溶接結合した形式などであってもよい。
上記した実施の形態1〜4では、鉄骨構造物1の鋼管柱2として角形鋼管の形式が示されているが、これは鋼管柱が丸形鋼管の形式などであってもよい。
【0072】
上記した実施の形態1〜4では、梁材10,20,30,40として、鉄骨構造物1の鋼管柱2に連結して使用した形式が示されているが、これは横断歩道橋や橋梁など、建築以外の構造物にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態1を示し、梁材の要部の斜視図である。
【図2】同梁材の正面図である。
【図3】同梁材使用の鉄骨構造物の一部切り欠き斜視図である。
【図4】同梁材使用の鉄骨構造物の要部の一部切り欠き正面図である。
【図5】同梁材使用の鉄骨構造物の要部の一部切り欠き平面図である。
【図6】本発明の実施の形態2を示し、梁材の要部の斜視図である。
【図7】同梁材の正面図である。
【図8】同梁材使用の鉄骨構造物の要部の一部切り欠き正面図である。
【図9】本発明の実施の形態3を示し、梁材の要部の斜視図である。
【図10】同梁材の正面図である。
【図11】同梁材使用の鉄骨構造物の要部の一部切り欠き正面図である。
【図12】同梁材使用の鉄骨構造物の要部の一部切り欠き平面図である。
【図13】本発明の実施の形態4を示し、梁材の要部の斜視図である。
【図14】同梁材の正面図である。
【図15】同梁材使用の鉄骨構造物の要部の一部切り欠き正面図である。
【図16】同梁材使用の鉄骨構造物の要部の一部切り欠き平面図である。
【図17】本発明の実施の形態5を示し、梁材の正面図である。
【図18】本発明の実施の形態6を示し、梁材の正面図である。
【図19】本発明の実施の形態7を示し、(a)は実施の形態1の変形で梁材の正面図、(b)は実施の形態2の変形で梁材の正面図、(c)は実施の形態3の変形で梁材の正面図、(d)は実施の形態4の変形で梁材の正面図である。
【図20】本発明の実施の形態8を示し、(a)は実施の形態5の変形で梁材の正面図、(b)は実施の形態6の変形で梁材の正面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 鉄骨構造物
2 鋼管柱
4 梁材連結用角形鋼管(梁材連結部)
5b 溶接結合
7A ブラケット
7B ブラケット
7C ブラケット
8A 連結具
8B 連結具
8C 連結具
10 梁材
11 下フランジ部
12 ウエブ部
13 上フランジ部
14 凹所
20 梁材
21 下フランジ部
22 ウエブ部
23 上フランジ部
24 凹所
30 梁材
31 下フランジ部
32 ウエブ部
33A 外向き上フランジ部
33B 内向き上フランジ部
34 凹所
40 梁材
41 下フランジ部
42A ウエブ部
42B ウエブ部
43 外向き上フランジ部
44 凹所
50 梁材
51 下フランジ部
52 ウエブ部
53 上フランジ部
54 凹所
60 梁材
61 下フランジ部
62A ウエブ部
62B ウエブ部
63 上フランジ部
64 凹所
Y 溶接結合
t ウエブ部の板厚
下フランジ部の板厚
上フランジ部の板厚
ウエブ部の板厚
下フランジ部の幅(ウエブ部の外面間の幅外寸)
上フランジ部の幅
外向き上フランジ部の幅
内向き上フランジ部の幅
外向き上フランジ部の幅
H 上下のフランジ部の外面間の高さ外寸
LH 上下のフランジ部の外面間の高さ外寸
FC 鉄筋コンクリート
F 鉄筋
C コンクリート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下フランジ部と、この下フランジ部の左右側端にその下端を溶接結合することで上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部と、少なくとも一方のウエブ部の上端に溶接結合することで横向き直角状に連設した上フランジ部とからなることを特徴する梁材。
【請求項2】
両ウエブ部の上端にそれぞれ上フランジ部の端を溶接結合することで、互いに異なる方向へ向けて横向き直角状に連設したことを特徴とする請求項1記載の梁材。
【請求項3】
両ウエブ部の上端にそれぞれ上フランジ部の端を溶接結合することで、同方向へ向けて横向き直角状に連設したことを特徴とする請求項1記載の梁材。
【請求項4】
一方のウエブ部の上端から上フランジ部を溶接結合することで、外方向へ向けて横向き直角状に連設したことを特徴とする請求項1記載の梁材。
【請求項5】
フランジ部の板厚に対して、ウエブ部の板厚を等厚状もしくは薄く形成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の梁材。
【請求項6】
左右のウエブ部の外面間の幅外寸に対して、上下のフランジ部の外面間の高さ外寸を同等状もしくは長く形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の梁材。
【請求項7】
梁材を、下フランジ部と、この下フランジ部の左右側端にその下端を溶接結合することで上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部と、少なくとも一方のウエブ部の上端に溶接結合することで横向き直角状に連設した上フランジ部とにより、上端に横向きの上フランジ部を有するU字型枠状に形成し、この梁材の端部を鋼管柱の梁材連結部に連結して構成したことを特徴とする梁材使用の鉄骨構造物。
【請求項8】
梁材連結部に対して梁材を溶接結合により連結し、梁材の遊端間を、ブラケットと連結具とを介して連結したことを特徴とする請求項7記載の梁材使用の鉄骨構造物。
【請求項9】
梁材の凹所内にコンクリートを打設したことを特徴とする請求項7または8記載の梁材使用の鉄骨構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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