梁補強金具
【課題】 梁に取り付けた際に、位置による強度および剛性の差が小さく、重量が軽く、低コストの、梁補強金具を提供する。
【解決手段】 梁補強金具1の本体3は略真円形のリング状の形状を有しており、外周部に薄肉状のフランジ部5を有し、フランジ部5と本体3の間にはテーパ部7が設けられている。また、梁補強金具1の中心部には楕円形状の貫通孔9が設けられている。
貫通孔9が略楕円形状であるため、梁補強金具1の径方向の断面積は位置により変化し、それに伴い、梁補強金具1の強度および剛性も位置により変化する。
梁補強金具1を梁15の貫通孔17に取り付ける際は、貫通孔17の欠損の大きい位置に、梁補強金具1の強度および剛性が大きい断面が来るように取り付ける。
【解決手段】 梁補強金具1の本体3は略真円形のリング状の形状を有しており、外周部に薄肉状のフランジ部5を有し、フランジ部5と本体3の間にはテーパ部7が設けられている。また、梁補強金具1の中心部には楕円形状の貫通孔9が設けられている。
貫通孔9が略楕円形状であるため、梁補強金具1の径方向の断面積は位置により変化し、それに伴い、梁補強金具1の強度および剛性も位置により変化する。
梁補強金具1を梁15の貫通孔17に取り付ける際は、貫通孔17の欠損の大きい位置に、梁補強金具1の強度および剛性が大きい断面が来るように取り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨梁の貫通孔補強用の梁補強金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
H形鋼やI形鋼などは、建築構造物の梁として広く用いられているが、このような梁においては、建築構造物内部に設けられた配管を通すための貫通孔を形成する場合がある。
その際、貫通孔を形成したことによる強度の低下を防ぐために、貫通孔に補強用の金具を取り付けることがある。
【0003】
補強用の金具としては主として貫通孔を有したプレート状の形状を有するものが用いられており、これを貫通孔の周囲に溶接等で取り付けている。また以下のようなリング状の形状を有する梁補強金具も知られている。(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−232105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような金具はその径方向の断面積において、貫通孔の最も欠損が大きい部分に断面積を合わせた設計を行うと、過剰設計となる部分ができ、梁に取り付けた際にこの部分と他の部分との強度および剛性の差が大きくなるという問題があった。また、金具の重量が大きくなりコストが高くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、梁に取り付けた際に、位置による強度および剛性の差が小さく、重量が軽く低コストの、梁補強金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明は、梁に設けられた貫通孔の周囲に設けられ、前記梁を補強するリング状の梁補強金具であって、
前記梁補強金具の径方向の断面積において、梁成方向から梁軸方向に向かって断面積が小さくなるように変化することを特徴とする梁補強金具である。
前記梁補強金具は、外周が略真円形状であり、内周が略楕円形状であってもよい。
前記梁補強金具の径方向の断面積が、梁成方向から梁軸方向に向けて段階的に小さくなるように変化してもよい。
【0007】
本発明では、梁補強金具の径方向の断面積が、梁成方向から梁軸方向に向けて小さくなるように変化している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、強度および剛性の差が小さく、重量が軽くて低コストの、貫通孔補強用の梁補強金具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。図1は、第1の実施形態に係る梁補強金具1を示す平面図であって、図2は図1の裏面図である。
また、図3は図1のA−A断面図であって、図4は図1のB−B断面図である。
【0010】
図1および図2に示すように、梁補強金具1の本体3は外周が略真円形のリング状の形状を有しており、外周部に薄肉状のフランジ部5を有し、フランジ部5と本体3の間にはテーパ部7が設けられている。また、梁補強金具1の中心部には楕円形状の貫通孔9が設けられている。
梁補強金具1の材質は例えば圧延鋼材、鋳鋼、鍛鋼などである。
【0011】
ここで、貫通孔9が楕円形状であるため、図3および図4に示すようにA−A断面の断面積S1、S2よりもB−B断面の断面積S3、S4の方が小さくなっている。
即ち、A−A断面よりもB−B断面のほうが強度および剛性が小さい。
そのため、梁に梁補強金具1を取り付ける際は、梁成方向の欠損の大きい位置にA−A断面が来るように、かつ梁軸方向にB−B断面が来るようにして取り付けるのが望ましい。
【0012】
なお、梁補強金具1の径方向の断面積は、A−A断面からB−B断面に向かうに従って徐々に小さくなるように変化する。
【0013】
次に、梁補強金具1の取り付け方法について説明する。図5は梁補強金具1を取り付ける前の梁15の貫通孔17付近を示す図であって、図6は図5のC−C断面図である。
また、図7は梁補強金具1を梁15に取り付けた後の梁補強金具1および梁15を示す図であって、図8は図7のD−D断面図である。
さらに、図9は梁補強金具1を取り付けた梁15の斜視図である。
【0014】
図5および図6に示すように、梁15には貫通孔17が設けられている。
取り付けの際には、図7および図8に示すように、梁補強金具1を貫通孔17に嵌め合わせ、テーパ部7と貫通孔17を溶接し、溶接部19によって梁補強金具1と梁15を固定する。
【0015】
この際、図3のA−A断面が梁成方向と平行になり、かつ、図4のB−B断面が梁軸方向と平行になるように梁補強金具1を取り付ける。
【0016】
このように取り付けることによって、貫通孔17内で梁成方向の欠損が大きい部分(強度および剛性が小さい部分)には断面積の大きい部分が、欠損が小さい部分(強度および剛性が大きい部分)には断面積の小さい部分が設けられるため、梁補強金具1を取り付けた際に、梁15内で位置による強度および剛性の差を小さくすることができる。
【0017】
梁補強金具1を取り付けた梁15に配管等を通す場合は、図9に示すように、梁補強金具1の貫通孔9に配管20を通す。
【0018】
このように、第1の実施の形態によれば、梁補強金具1の断面積S1、S2よりも断面積S3、S4の方が小さくなっている。従って、梁補強金具1を梁15に設けた際に、位置による強度および剛性の差を小さくすることができる。
【0019】
次に、第2の実施形態について説明する。
図10は、第2の実施形態に係る梁補強金具21を示す平面図であって、図11は図10の裏面図である。
また、図12は図10のE−E断面図であって、図13は図10のF−F断面図である。
【0020】
第2の実施形態に係る梁補強金具21は、第1の実施形態における梁補強金具1において、貫通孔の形状ではなく、本体の板厚を変えることによって、断面積を変化させている。
【0021】
図10および図11に示すように、梁補強金具21の本体23は略真円形のリング状の形状を有しており、外周部に薄肉状のフランジ部25を有し、フランジ部25と本体23の間にはテーパ部27が設けられている。また、梁補強金具21の中心部には円形状の貫通孔29が設けられている。
梁補強金具21の材質は例えば圧延鋼材、鋳鋼、鍛鋼などである。
【0022】
ここで、図12および図13に示すように、E−E断面の板厚22aよりもF−F断面の板厚22bの方が薄い。したがってE−E断面の断面積S5、S6よりもF−F断面の断面積S7、S8の方が小さくなっている。
即ち、E−E断面よりもF−F断面のほうが強度および剛性が小さい。
そのため、梁に梁補強金具21を取り付ける際は、梁成方向の欠損の大きい位置にE−E断面が来るように、かつ梁軸方向にF−F断面が来るようにして取り付けるのが望ましい。
【0023】
なお、梁補強金具21の板厚は、E−E断面からF−F断面に行くに従って徐々に小さくなり、それに伴い、断面積も徐々に小さくなる。
【0024】
また、梁補強金具21の梁15への取り付け方法は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0025】
このように、第2の実施の形態によれば、梁補強金具21の断面積S5、S6よりも断面積S7、S8の方が小さくなっている。従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0026】
また、第2の実施形態によれば、梁補強金具21の貫通孔29を略真円形の形状とすることができ、貫通する略真円形の配管との収まりがよい。
【0027】
次に、第3の実施形態について説明する。
図14は、第3の実施形態に係る梁補強金具31を示す平面図であって、図15は図14の裏面図である。
また、図16は図14のG−G断面図であって、図17は図14のH−H断面図である。
【0028】
第3の実施形態に係る梁補強金具31は、第1の実施形態における梁補強金具1において、貫通孔の形状が、その周縁が段階的に変化している。
【0029】
図14および図15に示すように、梁補強金具31の本体33は外周が略真円形のリング状の形状を有しており、外周部に薄肉状のフランジ部35を有し、フランジ部35と本体33の間にはテーパ部37が設けられている。また、梁補強金具31の中心部にはその周縁が段階的に変化する略楕円形状の貫通孔39が設けられている。
梁補強金具31の材質は例えば圧延鋼材、鋳鋼、鍛鋼などである。
【0030】
ここで、図16および図17に示すように、貫通孔39が略楕円形状であるため、G−G断面の断面積S9、S10よりもH−H断面の断面積S11、S12の方が小さくなっている。
即ち、G−G断面よりもH−H断面のほうが強度および剛性が小さい。
そのため、梁に梁補強金具31を取り付ける際は、梁成方向の欠損の大きい位置にG−G断面が来るように、かつ梁軸方向にH−H断面が来るようにして取り付けるのが望ましい。
【0031】
なお、梁補強金具31の径方向の断面積は、G−G断面からH−H断面に行くに従って徐々に小さくなるが、貫通孔39の周縁が階段状の形状を有しているため、断面積の変化も段階的となる。
一つの段を形成する範囲では断面積はほぼ一定となり、従って梁15に梁補強金具31を取り付ける際に厳密な位置決めが不要となる。
【0032】
また、梁補強金具31の梁15への取り付け方法は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0033】
このように、第3の実施の形態によれば、梁補強金具31の断面積S9、S10よりも断面積S11、S12の方が小さくなっている。従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0034】
また、第3の実施形態によれば、貫通孔39の周縁が階段状の形状を有しているため、梁15に梁補強金具31を取り付ける際に厳密な位置決めが不要となり、作業性が向上する。
【0035】
次に、第4の実施形態について説明する。
図18は、本実施形態に係る梁補強金具41を示す平面図であって、図19は図18の裏面図である。
また、図20は図18のI−I断面図であって、図21は図18のJ−J断面図である。
【0036】
第4の実施形態に係る梁補強金具41は、第2の実施形態における梁補強金具21において、本体23の板厚が段階的に変化している。
【0037】
図18および図19に示すように、梁補強金具41の本体43は略真円形のリング状の形状を有しており、外周部に薄肉状のフランジ部45を有し、フランジ部45と本体43の間にはテーパ部47が設けられている。また、梁補強金具41の中心部には円形状の貫通孔49が設けられている。
梁補強金具41の材質は例えば圧延鋼材、鋳鋼、鍛鋼などである。
【0038】
ここで、図20および図21に示すように、I−I断面の板厚42aよりもJ−J断面の板厚42bの方が薄い。したがってI−I断面の断面積S13、S14よりもJ−J断面の断面積S15、S16の方が小さくなっている。
即ち、I−I断面よりもJ−J断面のほうが強度および剛性が小さい。
そのため、梁に梁補強金具41を取り付ける際は、梁成方向の欠損の大きい位置にI−I断面が来るように、かつ梁軸方向にJ−J断面が来るようにして取り付けるのが望ましい。
【0039】
なお、梁補強金具41の板厚は、I−I断面からJ−J断面に行くに従って徐々に小さくなるが、この板厚変化は段階的であるため、断面積の変化も段階的となる。
一つの段を形成する範囲では断面積はほぼ一定となり、従って、梁15に梁補強金具41を取り付ける際に厳密な位置決めが不要となる。
【0040】
また、梁補強金具41の梁15への取り付け方法は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
このように、第4の実施の形態によれば、梁補強金具41の断面積S13、S14よりも断面積S15、S16の方が小さくなっている。従って、第2の実施形態と同様の効果を奏する。
【0042】
また、第4の実施形態によれば、本体43の板厚が段階的に変化しているため、梁15に梁補強金具41を取り付ける際に厳密な位置決めが不要となり、作業性が向上する。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0044】
例えば、第1の実施形態では貫通孔9が楕円形状を有しているが、長円形であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】梁補強金具1を示す平面図
【図2】図1の裏面図
【図3】図1のA−A断面図
【図4】図1のB−B断面図
【図5】梁補強金具1を取り付ける前の梁15の貫通孔17付近を示す図
【図6】図5のC−C断面図
【図7】梁補強金具1を梁15に取り付けた後の梁補強金具1および梁15を示す図
【図8】図7のD−D断面図
【図9】梁補強金具1を取り付けた梁15の斜視図
【図10】梁補強金具21を示す平面図
【図11】図10の裏面図
【図12】図10のE−E断面図
【図13】図10のF−F断面図
【図14】梁補強金具31を示す平面図
【図15】図14の裏面図
【図16】図14のG−G断面図
【図17】図14のH−H断面図
【図18】梁補強金具41を示す平面図
【図19】図18の裏面図
【図20】図18のI−I断面図
【図21】図18のJ−J断面図
【符号の説明】
【0046】
1…………梁補強金具
3…………本体
5…………フランジ部
7…………テーパ部
9…………貫通孔
15………梁
17………貫通孔
19………溶接部
20………配管
21………梁補強金具
31………梁補強金具
41………梁補強金具
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨梁の貫通孔補強用の梁補強金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
H形鋼やI形鋼などは、建築構造物の梁として広く用いられているが、このような梁においては、建築構造物内部に設けられた配管を通すための貫通孔を形成する場合がある。
その際、貫通孔を形成したことによる強度の低下を防ぐために、貫通孔に補強用の金具を取り付けることがある。
【0003】
補強用の金具としては主として貫通孔を有したプレート状の形状を有するものが用いられており、これを貫通孔の周囲に溶接等で取り付けている。また以下のようなリング状の形状を有する梁補強金具も知られている。(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−232105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような金具はその径方向の断面積において、貫通孔の最も欠損が大きい部分に断面積を合わせた設計を行うと、過剰設計となる部分ができ、梁に取り付けた際にこの部分と他の部分との強度および剛性の差が大きくなるという問題があった。また、金具の重量が大きくなりコストが高くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、梁に取り付けた際に、位置による強度および剛性の差が小さく、重量が軽く低コストの、梁補強金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明は、梁に設けられた貫通孔の周囲に設けられ、前記梁を補強するリング状の梁補強金具であって、
前記梁補強金具の径方向の断面積において、梁成方向から梁軸方向に向かって断面積が小さくなるように変化することを特徴とする梁補強金具である。
前記梁補強金具は、外周が略真円形状であり、内周が略楕円形状であってもよい。
前記梁補強金具の径方向の断面積が、梁成方向から梁軸方向に向けて段階的に小さくなるように変化してもよい。
【0007】
本発明では、梁補強金具の径方向の断面積が、梁成方向から梁軸方向に向けて小さくなるように変化している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、強度および剛性の差が小さく、重量が軽くて低コストの、貫通孔補強用の梁補強金具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。図1は、第1の実施形態に係る梁補強金具1を示す平面図であって、図2は図1の裏面図である。
また、図3は図1のA−A断面図であって、図4は図1のB−B断面図である。
【0010】
図1および図2に示すように、梁補強金具1の本体3は外周が略真円形のリング状の形状を有しており、外周部に薄肉状のフランジ部5を有し、フランジ部5と本体3の間にはテーパ部7が設けられている。また、梁補強金具1の中心部には楕円形状の貫通孔9が設けられている。
梁補強金具1の材質は例えば圧延鋼材、鋳鋼、鍛鋼などである。
【0011】
ここで、貫通孔9が楕円形状であるため、図3および図4に示すようにA−A断面の断面積S1、S2よりもB−B断面の断面積S3、S4の方が小さくなっている。
即ち、A−A断面よりもB−B断面のほうが強度および剛性が小さい。
そのため、梁に梁補強金具1を取り付ける際は、梁成方向の欠損の大きい位置にA−A断面が来るように、かつ梁軸方向にB−B断面が来るようにして取り付けるのが望ましい。
【0012】
なお、梁補強金具1の径方向の断面積は、A−A断面からB−B断面に向かうに従って徐々に小さくなるように変化する。
【0013】
次に、梁補強金具1の取り付け方法について説明する。図5は梁補強金具1を取り付ける前の梁15の貫通孔17付近を示す図であって、図6は図5のC−C断面図である。
また、図7は梁補強金具1を梁15に取り付けた後の梁補強金具1および梁15を示す図であって、図8は図7のD−D断面図である。
さらに、図9は梁補強金具1を取り付けた梁15の斜視図である。
【0014】
図5および図6に示すように、梁15には貫通孔17が設けられている。
取り付けの際には、図7および図8に示すように、梁補強金具1を貫通孔17に嵌め合わせ、テーパ部7と貫通孔17を溶接し、溶接部19によって梁補強金具1と梁15を固定する。
【0015】
この際、図3のA−A断面が梁成方向と平行になり、かつ、図4のB−B断面が梁軸方向と平行になるように梁補強金具1を取り付ける。
【0016】
このように取り付けることによって、貫通孔17内で梁成方向の欠損が大きい部分(強度および剛性が小さい部分)には断面積の大きい部分が、欠損が小さい部分(強度および剛性が大きい部分)には断面積の小さい部分が設けられるため、梁補強金具1を取り付けた際に、梁15内で位置による強度および剛性の差を小さくすることができる。
【0017】
梁補強金具1を取り付けた梁15に配管等を通す場合は、図9に示すように、梁補強金具1の貫通孔9に配管20を通す。
【0018】
このように、第1の実施の形態によれば、梁補強金具1の断面積S1、S2よりも断面積S3、S4の方が小さくなっている。従って、梁補強金具1を梁15に設けた際に、位置による強度および剛性の差を小さくすることができる。
【0019】
次に、第2の実施形態について説明する。
図10は、第2の実施形態に係る梁補強金具21を示す平面図であって、図11は図10の裏面図である。
また、図12は図10のE−E断面図であって、図13は図10のF−F断面図である。
【0020】
第2の実施形態に係る梁補強金具21は、第1の実施形態における梁補強金具1において、貫通孔の形状ではなく、本体の板厚を変えることによって、断面積を変化させている。
【0021】
図10および図11に示すように、梁補強金具21の本体23は略真円形のリング状の形状を有しており、外周部に薄肉状のフランジ部25を有し、フランジ部25と本体23の間にはテーパ部27が設けられている。また、梁補強金具21の中心部には円形状の貫通孔29が設けられている。
梁補強金具21の材質は例えば圧延鋼材、鋳鋼、鍛鋼などである。
【0022】
ここで、図12および図13に示すように、E−E断面の板厚22aよりもF−F断面の板厚22bの方が薄い。したがってE−E断面の断面積S5、S6よりもF−F断面の断面積S7、S8の方が小さくなっている。
即ち、E−E断面よりもF−F断面のほうが強度および剛性が小さい。
そのため、梁に梁補強金具21を取り付ける際は、梁成方向の欠損の大きい位置にE−E断面が来るように、かつ梁軸方向にF−F断面が来るようにして取り付けるのが望ましい。
【0023】
なお、梁補強金具21の板厚は、E−E断面からF−F断面に行くに従って徐々に小さくなり、それに伴い、断面積も徐々に小さくなる。
【0024】
また、梁補強金具21の梁15への取り付け方法は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0025】
このように、第2の実施の形態によれば、梁補強金具21の断面積S5、S6よりも断面積S7、S8の方が小さくなっている。従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0026】
また、第2の実施形態によれば、梁補強金具21の貫通孔29を略真円形の形状とすることができ、貫通する略真円形の配管との収まりがよい。
【0027】
次に、第3の実施形態について説明する。
図14は、第3の実施形態に係る梁補強金具31を示す平面図であって、図15は図14の裏面図である。
また、図16は図14のG−G断面図であって、図17は図14のH−H断面図である。
【0028】
第3の実施形態に係る梁補強金具31は、第1の実施形態における梁補強金具1において、貫通孔の形状が、その周縁が段階的に変化している。
【0029】
図14および図15に示すように、梁補強金具31の本体33は外周が略真円形のリング状の形状を有しており、外周部に薄肉状のフランジ部35を有し、フランジ部35と本体33の間にはテーパ部37が設けられている。また、梁補強金具31の中心部にはその周縁が段階的に変化する略楕円形状の貫通孔39が設けられている。
梁補強金具31の材質は例えば圧延鋼材、鋳鋼、鍛鋼などである。
【0030】
ここで、図16および図17に示すように、貫通孔39が略楕円形状であるため、G−G断面の断面積S9、S10よりもH−H断面の断面積S11、S12の方が小さくなっている。
即ち、G−G断面よりもH−H断面のほうが強度および剛性が小さい。
そのため、梁に梁補強金具31を取り付ける際は、梁成方向の欠損の大きい位置にG−G断面が来るように、かつ梁軸方向にH−H断面が来るようにして取り付けるのが望ましい。
【0031】
なお、梁補強金具31の径方向の断面積は、G−G断面からH−H断面に行くに従って徐々に小さくなるが、貫通孔39の周縁が階段状の形状を有しているため、断面積の変化も段階的となる。
一つの段を形成する範囲では断面積はほぼ一定となり、従って梁15に梁補強金具31を取り付ける際に厳密な位置決めが不要となる。
【0032】
また、梁補強金具31の梁15への取り付け方法は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0033】
このように、第3の実施の形態によれば、梁補強金具31の断面積S9、S10よりも断面積S11、S12の方が小さくなっている。従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0034】
また、第3の実施形態によれば、貫通孔39の周縁が階段状の形状を有しているため、梁15に梁補強金具31を取り付ける際に厳密な位置決めが不要となり、作業性が向上する。
【0035】
次に、第4の実施形態について説明する。
図18は、本実施形態に係る梁補強金具41を示す平面図であって、図19は図18の裏面図である。
また、図20は図18のI−I断面図であって、図21は図18のJ−J断面図である。
【0036】
第4の実施形態に係る梁補強金具41は、第2の実施形態における梁補強金具21において、本体23の板厚が段階的に変化している。
【0037】
図18および図19に示すように、梁補強金具41の本体43は略真円形のリング状の形状を有しており、外周部に薄肉状のフランジ部45を有し、フランジ部45と本体43の間にはテーパ部47が設けられている。また、梁補強金具41の中心部には円形状の貫通孔49が設けられている。
梁補強金具41の材質は例えば圧延鋼材、鋳鋼、鍛鋼などである。
【0038】
ここで、図20および図21に示すように、I−I断面の板厚42aよりもJ−J断面の板厚42bの方が薄い。したがってI−I断面の断面積S13、S14よりもJ−J断面の断面積S15、S16の方が小さくなっている。
即ち、I−I断面よりもJ−J断面のほうが強度および剛性が小さい。
そのため、梁に梁補強金具41を取り付ける際は、梁成方向の欠損の大きい位置にI−I断面が来るように、かつ梁軸方向にJ−J断面が来るようにして取り付けるのが望ましい。
【0039】
なお、梁補強金具41の板厚は、I−I断面からJ−J断面に行くに従って徐々に小さくなるが、この板厚変化は段階的であるため、断面積の変化も段階的となる。
一つの段を形成する範囲では断面積はほぼ一定となり、従って、梁15に梁補強金具41を取り付ける際に厳密な位置決めが不要となる。
【0040】
また、梁補強金具41の梁15への取り付け方法は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
このように、第4の実施の形態によれば、梁補強金具41の断面積S13、S14よりも断面積S15、S16の方が小さくなっている。従って、第2の実施形態と同様の効果を奏する。
【0042】
また、第4の実施形態によれば、本体43の板厚が段階的に変化しているため、梁15に梁補強金具41を取り付ける際に厳密な位置決めが不要となり、作業性が向上する。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0044】
例えば、第1の実施形態では貫通孔9が楕円形状を有しているが、長円形であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】梁補強金具1を示す平面図
【図2】図1の裏面図
【図3】図1のA−A断面図
【図4】図1のB−B断面図
【図5】梁補強金具1を取り付ける前の梁15の貫通孔17付近を示す図
【図6】図5のC−C断面図
【図7】梁補強金具1を梁15に取り付けた後の梁補強金具1および梁15を示す図
【図8】図7のD−D断面図
【図9】梁補強金具1を取り付けた梁15の斜視図
【図10】梁補強金具21を示す平面図
【図11】図10の裏面図
【図12】図10のE−E断面図
【図13】図10のF−F断面図
【図14】梁補強金具31を示す平面図
【図15】図14の裏面図
【図16】図14のG−G断面図
【図17】図14のH−H断面図
【図18】梁補強金具41を示す平面図
【図19】図18の裏面図
【図20】図18のI−I断面図
【図21】図18のJ−J断面図
【符号の説明】
【0046】
1…………梁補強金具
3…………本体
5…………フランジ部
7…………テーパ部
9…………貫通孔
15………梁
17………貫通孔
19………溶接部
20………配管
21………梁補強金具
31………梁補強金具
41………梁補強金具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁に設けられた貫通孔の周囲に設けられ、前記梁を補強するリング状の梁補強金具であって、
前記梁補強金具の径方向の断面積において、梁成方向から梁軸方向に向かって断面積が小さくなるように変化することを特徴とする梁補強金具。
【請求項2】
前記梁補強金具は、外周が略真円形状であり、内周が略楕円形状であることを特徴とする請求項1記載の梁補強金具。
【請求項3】
前記梁補強金具の径方向の断面積が、段階的に変化することを特徴とする請求項1記載の梁補強金具。
【請求項1】
梁に設けられた貫通孔の周囲に設けられ、前記梁を補強するリング状の梁補強金具であって、
前記梁補強金具の径方向の断面積において、梁成方向から梁軸方向に向かって断面積が小さくなるように変化することを特徴とする梁補強金具。
【請求項2】
前記梁補強金具は、外周が略真円形状であり、内周が略楕円形状であることを特徴とする請求項1記載の梁補強金具。
【請求項3】
前記梁補強金具の径方向の断面積が、段階的に変化することを特徴とする請求項1記載の梁補強金具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−307482(P2006−307482A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129411(P2005−129411)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【Fターム(参考)】
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