説明

梯子アタッチメント

【課題】簡単に梯子本体に取り付けでき、昇降の安全性を高める拡張部品を安全且つ確実に取り付けできる梯子アタッチメントを提供する。
【解決手段】梯子上端13の建物側の面に着脱自在に取り付けられる梯子アタッチメント11であって、踏桟19と平行であり左右の側桁17から突出する上下一対の横桟23と、側桁17と平行であり且つ左右の側桁17の内側に配置され一対の横桟23を上下端で固定する一対の縦桁25と、建物と反対側から踏桟19を挟み込んで縦桁25に貫通させた両端21にナット27を螺合して一対の横桟23及び一対の縦桁25からなるベース枠29を着脱自在に踏桟19に固定する一対のU字ボルト31と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梯子上端に、各種の拡張部品を取り付ける梯子アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
梯子昇降時の安全性を高める拡張部品が各種提案されている。例えば特許文献1には梯子を使用する時は、梯子の下部で側方に開いて接地し、不転倒範囲を広めることのできる、はしごや脚立の転倒防止支えが開示されている。特許文献2には梯子における支柱に案内支持されて上下動自在なスライダに、屋根上に載置可能な屋根載置部材を備えることで、屋根に立て掛けたときに軒先及び樋を変形損傷することのない、はしご及びはしごに使用する樋保護具が開示されている。特許文献3には梯子上端近傍の左右の側桁に、手摺を設けたロフト用梯子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−249890号公報
【特許文献2】特開2009−41218号公報
【特許文献3】特開2006−183259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の拡張部品は、一般的に梯子自体を穴あけ、ビス止めなどにより加工して設ける構造なので、汎用性が低く、所望時には簡単に使用できないことから、実用的でなかった。また、横倒れ防止の目的で梯子下部に取り付けられる拡張部品は、梯子上端が支持されないため、安全性を十分に確保することができなかった。さらに、上記したロフト用梯子等のように梯子上端に手摺を備えるものもあるが、後加工によって取り付けられたり、左右の手摺の幅が側桁の幅と同じで、作業員が通過し難く、腰ベルトに装備した工具が干渉したりして、高所作業での安全性を損ねる虞もあった。さらに、梯子の全長が延びてしまう構造では、車載全長が決まっているので車に載せることが不可能となった。また、二連梯子に取り付ける場合、固定部分が干渉して縮めることができなくなる問題もあった。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、簡単に梯子本体に取り付けでき、昇降の安全性を高める拡張部品を安全且つ確実に梯子本体に取り付けできる梯子アタッチメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の梯子アタッチメント11は、梯子上端13の建物側の面に着脱自在に取り付けられる梯子アタッチメント11であって、
踏桟19と平行であり左右の側桁17から両端21が突出する上下一対の横桟23と、
前記側桁17と平行であり且つ左右の該側桁17の内側に配置され前記一対の横桟23を上下端で固定する一対の縦桁25と、
建物と反対側から前記踏桟19を挟み込んで前記縦桁25に貫通させた両端21にナット27を螺合して前記一対の横桟23及び前記一対の縦桁25からなるベース枠29を着脱自在に前記踏桟19に固定する一対のU字ボルト31と、
を具備することを特徴とする。
【0007】
この梯子アタッチメント11では、梯子本体15の踏桟19に、建物と反対側からU字ボルト31が挟み込まれ、ナット27にて縦桁25に固定される。これにより、ベース枠29が、上下の横桟23を側桁17に当接し、縦桁25が一箇所のU字ボルト31で3点、一対のU字ボルト31で合計6点にて踏桟19に固定されてアタッチメント17が確実に梯子本体15に固定される。上下の横桟23が左右の側桁17から突出するので、各種の拡張部品が、梯子本体15から左右に突出させた状態で取り付け可能となる。
【0008】
請求項2記載の梯子アタッチメント11は、請求項1記載の梯子アタッチメント11であって、
前記縦桁25には異なる上下位置に前記U字ボルト31を貫通させる複数の取付調整穴35が設けられていることを特徴とする。
【0009】
この梯子アタッチメント11では、上下で異なる位置の複数の取付調整穴35、例えば3つの取付調整穴35にU字ボルト31が装着されることで、踏桟19に対して、ベース枠29が取付調整穴35のピッチ分、上下に移動調整可能となる。
【0010】
請求項3記載の梯子アタッチメント11は、請求項1又は2記載の梯子アタッチメント11であって、
前記上下一対の横桟23には、左右の端部のそれぞれに上下に渡って連結するように固定され、且つ建物側に突出する左右一対の脚部37が固定されていることを特徴とする。
【0011】
この梯子アタッチメント11では、ベース枠29の左右両端21から脚部37が建物に向かって突出するので、梯子本体15の側桁17の建物側の面が樋39に干渉する前に、脚部37が屋根41に接地可能となる。
【0012】
請求項4記載の梯子アタッチメント11は、請求項3記載の梯子アタッチメント11であって、
前記一対の脚部37のそれぞれは、前記側桁17から垂直に突出する第一脚部55と、該第一脚部55の脚先端57と前記側桁17を固定する第二脚部59と、によって側面視直角三角形状に形成され、
前記第一脚部55の脚先端57には前記踏桟19と同方向の支持軸61まわりに回動自在となった接地足63が設けられていることを特徴とする。
【0013】
この梯子アタッチメント11では、脚先端57が接地足63を介して屋根41や外壁等に接地され、脚先端57が滑りにくく接地可能となる。
【0014】
請求項5記載の梯子アタッチメント11は、請求項4記載の梯子アタッチメント11であって、
前記支持軸61が前記接地足63の重心位置から外れて配置されることを特徴とする。
【0015】
この梯子アタッチメント11では、使用時に、梯子本体15を鉛直軸に対して傾斜させて立てると、接地足63が支持軸61と重心を結ぶ直線が鉛直方向(重力方向)となる姿勢に回転配置され、常に接地し易い向きとなる。
【0016】
請求項6記載の梯子アタッチメント11は、請求項3記載の梯子アタッチメント11であって、
前記上下一対の横桟23の両端には、それぞれに上下に渡って固定され建物側に突出する一対の逆J字状のフック67が固定されていることを特徴とする。
【0017】
この梯子アタッチメント11では、ベース枠29の左右両端21に一対の逆J字状のフック67が固定されることで、梯子上端13を支持する相手が水平部材や水平縁部であっても、掛止が可能となる。
【0018】
請求項7記載の梯子アタッチメント11は、請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の梯子アタッチメント11であって、
前記上下一対の横桟23には、左右の端部のそれぞれに上下に渡って掛け渡される取付パイプ43が固定され、
それぞれの前記取付パイプ43は、手摺パイプ33を取付パイプ43の両端のいずれか一方から着脱自在に装着することを特徴とする。
【0019】
この梯子アタッチメント11では、ベース枠29の左右両端21に手摺パイプ33が着脱自在に装着できる。この手摺パイプ33を具備することで屋根41への昇降がより安全なものとなる。また、装着された手摺パイプ33は、左右の間隔が梯子本体15の幅よりも広くなる。これにより、複数の工具をベルトに装備した作業者であっても屋根41への昇降が楽になる。
【0020】
請求項8記載の梯子アタッチメント11は、請求項1〜7のいずれか1つに記載の梯子アタッチメント11であって、
前記U字ボルト31が、相互にスライド自在となった一対の表梯子69と裏梯子71とからなる伸縮梯子73の建物側となる前記裏梯子71の前記踏桟19に取り付けられることを特徴とする。
【0021】
この梯子アタッチメント11では、取り付け対象となる梯子本体15が二連梯子などの伸縮梯子73の裏梯子71であっても、ベース枠29が踏桟19を挟み込むU字ボルト31のみによって固定されるので、この二連梯子73のスライドを妨げることがない。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る請求項1記載の梯子アタッチメントによれば、手摺パイプや脚部を固定するためのベース枠が、梯子本体への加工を不要にしてU字ボルトで簡単に着脱でき、しかも、3点にて固定されるので非常に安定して梯子本体に取り付けできる。ベース枠を井桁としたので、手摺パイプや脚部等の様々な拡張部品を簡単に安定して取り付けできる。また、梯子以外に脚立にも容易に取り付けできる。この結果、簡単に梯子本体に取り付けでき、昇降の安全性を高める拡張部品を安全且つ確実に取り付けできる。
【0023】
請求項2記載の梯子アタッチメントによれば、ベース枠の固定位置を、上下に隣接する踏桟の間で、側桁の長手方向に調整することができる。
【0024】
請求項3記載の梯子アタッチメントによれば、左右の側桁の幅よりも広い幅で梯子上端に取り付けでき、梯子下端に取り付けるよりも安定し、梯子の横倒れを防止できる。
【0025】
請求項4記載の梯子アタッチメントによれば、上端の脚部で支える構造なので、樋の破損を防止できるとともに、接地足が屋根面に接地するので梯子のズレ(滑り)を防止できる。また、一対の脚部の幅が左右の側桁の幅よりも広いので、横方向に安定する。
【0026】
請求項5記載の梯子アタッチメントによれば、重心をずらすことで接地足が常に接地し易い姿勢に回転配置され、様々な勾配の屋根や或いは垂直面の外壁であっても、接地足を即座に合わせることができる。
【0027】
請求項6記載の梯子アタッチメントによれば、梯子上端を、パラペットやベランダ手摺などに掛止することができる。
【0028】
請求項7記載の梯子アタッチメントによれば、手摺パイプを梯子上端よりも延長させて設けることができ、且つ左右の手摺パイプが梯子幅よりも広いので、作業者がこれに掴まることで危険度が減少し、しかも、左右の手摺パイプの間を楽に通ることができ、安全に屋根に昇降できる。また、手摺パイプを着脱式とし、逆さまに取り付けできるようにしたので、梯子本体に取り付けたまま車に乗せることができる。
【0029】
請求項8記載の梯子アタッチメントによれば、U字ボルトのみが表梯子と裏梯子の間に配置されるので、裏梯子にこの梯子アタッチメントを取り付けた場合には、表梯子に干渉することがなく、ベース枠を踏桟に固定したまま二連梯子などの伸縮梯子を縮めて使用・収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る梯子アタッチメントの分解斜視図である。
【図2】脚部を備えた梯子アタッチメントの斜視図である。
【図3】脚部及び手摺パイプを備えた梯子アタッチメントの斜視図である。
【図4】図3に示した梯子アタッチメントの正面図である。
【図5】図3に示した梯子アタッチメントの側面図である。
【図6】図3に示した梯子アタッチメントの分解斜視図である。
【図7】(a)は手摺パイプの装着された梯子アタッチメントの要部斜視図、(b)は手摺パイプの取り外された梯子アタッチメントの要部斜視図である。
【図8】梯子上端を外壁に支持した梯子アタッチメントの側面図である。
【図9】ベース枠を逆に取り付けた梯子アタッチメントの側面図である。
【図10】梯子上端を屋根に支持した梯子アタッチメントの側面図である。
【図11】梯子上端にフックを取り付けた梯子アタッチメントの斜視図である。
【図12】(a)は手摺パイプが逆に取り付けられた梯子アタッチメントの側面図、(b)手摺パイプが正規の向きに取り付けられた梯子アタッチメントの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る梯子アタッチメントの分解斜視図である。
本実施の形態による梯子アタッチメント11は、梯子上端13の建物側の面に着脱自在に取り付けられ、各種の拡張部品を取り付け可能とする。梯子アタッチメント11の取り付け対象となる梯子本体15は、左右一対の平行な側桁17が複数の上下平行な踏桟19によって連結されてなる。
【0032】
梯子アタッチメント11は、踏桟19と平行であり左右の側桁17から両端21が突出する上下一対の横桟23と、側桁17と平行であり且つ左右の側桁17の内側に配置され一対の横桟23を上下端で固定する一対の縦桁25とを有する。一対の横桟23及び一対の縦桁25はベース枠29を構成する。ベース枠29は、建物と反対側から踏桟19を挟み込んで縦桁25に貫通させたU字ボルト31の先端にナット27を螺合して着脱自在に踏桟19に固定される。なお、ナット27は、蝶ナットであってもよい。
【0033】
ベース枠29の取り付けにU字ボルト31が用いられることで、梯子本体15への加工は不要で簡単に取り付けられ、さらに、梯子本体15の片面側から取り付けが可能である。また、梯子にも脚立にも取り付けが可能となる。
【0034】
梯子アタッチメント11は、ベース枠29の横桟23が側桁17の左右から十分に突出する。この側桁17から突出した横桟23の両端に、手摺パイプ33や脚部等の拡張部品が固定されることとなる。
【0035】
縦桁25には異なる上下位置にU字ボルト31を貫通させる少なくとも3つの取付調整穴35が設けられている。梯子アタッチメント11は、上下で異なる位置の取付調整穴35にU字ボルト31が装着されることで、踏桟19に対して、ベース枠29が取付調整穴35のピッチ分、上下に移動調整可能となる。これにより、ベース枠29の固定位置を、上下に隣接する踏桟19の間で、側桁17の長手方向である上下方向に調整できるようになっている。
【0036】
図2は脚部37を備えた梯子アタッチメント11の斜視図である。
梯子アタッチメント11は、脚部37のみが固定されるものであってもよい。この場合、上下一対の横桟23には左右一対の脚部37が固定され、これら一対の脚部37は横桟23の左右の両端のそれぞれにすなわち上横桟23と下横桟23に渡って固定されて建物側に突出する。ベース枠29の両端21から脚部37が建物に向かって突出するので、後述するように、梯子本体15の側桁17の建物に向く面が樋に干渉する前に、脚部37が屋根に接地可能となる。また、左右の側桁17の幅よりも広い幅で梯子上端13に取り付けでき、梯子の横倒れを防止できる。
【0037】
図3は脚部37及び手摺パイプ33を備えた梯子アタッチメント11の斜視図、図4は図3に示した梯子アタッチメント11の正面図、図5は図3に示した梯子アタッチメント11の側面図、図6は図3に示した梯子アタッチメント11の分解斜視図、図7(a)は手摺パイプ33の装着された梯子アタッチメント11の要部斜視図、(b)は手摺パイプ33の取り外された梯子アタッチメント11の要部斜視図である。
手摺パイプ33はベース枠29に対して着脱自在に取り付けられる。すなわち、上下一対の横桟23の両端には、それぞれ上下に渡って取付パイプ43が固定され、それぞれの取付パイプ43は、手摺パイプ33をパイプ両端のいずれか一方から着脱自在に装着する。なお、手摺パイプ33は、梯子上端13から60cm程度突出させることが好ましい。
【0038】
梯子アタッチメント11では、手摺パイプ33を梯子上端13よりも延長させて設けることができる。装着された手摺パイプ33は、左右の間隔が梯子本体15の幅よりも広くなる。これにより、作業者は手摺パイプ33に掴まることで危険度が減少し、しかも、左右の手摺パイプ33の間を楽に通ることができる。複数の工具をベルトに装備した作業者であっても屋根41への昇降が楽になり、安全に梯子上端13から屋根41へ、及び屋根41から梯子上端13へ移動できる。
【0039】
手摺パイプ33の固定には図7に示すE型固定部材45を用いることで、簡単且つ確実に手摺パイプ33を固定できる。E型固定部材45は、可撓性を有する樹脂材からなるC字状リング47と、その内側に突出させた固定ピン49と、からなる。取付パイプ43には直径方向に貫通した固定孔51が穿設され、固定孔51には固定ピン49が貫通する。手摺パイプ33には固定孔51に一致する挿嵌孔53が直径方向に貫通して穿設される。したがって、手摺パイプ33を取付パイプ43に挿入し、固定孔51に挿嵌孔53を一致させ、固定孔51からE型固定部材45の固定ピン49を挿入することで、E型固定部材45を取付パイプ43の外周に弾性保持させるとともに、取付パイプ43と手摺パイプ33とを脱落規制して取り付けることができる。なお、本実施の形態では、取付パイプ43に穿設される固定孔51の位置を、取付パイプ43の長さのほぼ1/2の位置とされ、また、この取付パイプ43に挿入される手摺パイプ33の一端部は、取付パイプ43の長さと同等の長さとし、リング状のストッパSが固定されており、この一端部における挿嵌孔53の位置をストッパSの位置から、上記取付パイプ43の1/2の長さ位置として穿設されており、すなわち、取付パイプ43に対していずれの方向から挿入しても手摺パイプ33の挿嵌孔53と取付パイプ43の固定孔51の両位置が一致するようになり、E型固定部材45を用いることで、どちらの挿入位置でもストッパSで挿入が止まった位置で固定が可能となっている。なお、手摺パイプ43に穿設する挿嵌孔53は、所定間隔で複数箇所に設けることで、手摺パイプ33の延出長を調整可能とすることが可能となる。
【0040】
このように、梯子アタッチメント11では、梯子本体15の踏桟19に、建物と反対側からU字ボルト31が挟み込まれ、ナット27にて縦桁25に固定される。これにより、ベース枠29が、上下の横桟23を側桁17に当接し、縦桁25が踏桟19に固定されて一箇所のU字ボルト31で3点、一対のU字ボルト31で合計6点にて確実に梯子本体15に固定される。上下の横桟23が左右の側桁17から突出するので、各種の拡張部品が、梯子本体15から左右に突出させた状態で取り付け可能となる。
【0041】
図5に示すように、一対の脚部37のそれぞれは、側桁17から垂直に突出する第一脚部55と、この第一脚部55の脚先端57と側桁17を固定する第二脚部59と、によって側面視直角三角形状に形成される。第一脚部55の脚先端57には踏桟19と同方向の支持軸61まわりに回動自在となった接地足63が設けられている。支持軸61は、接地足63の重心位置から外れて配置されている。接地足63は、重心から外れた位置が支持軸61に回動自在に支持されていることで、使用時に、梯子本体15を鉛直に立てると、接地足63は支持軸61と重心を結ぶ直線が鉛直方向(重力方向)となる姿勢に回転配置され、常に接地し易い向きとなる。
【0042】
図8は梯子上端13を外壁65に支持した梯子アタッチメント11の側面図、図9はベース枠29を逆に取り付けた梯子アタッチメント11の側面図、図10は梯子上端13を屋根41に支持した梯子アタッチメント11の側面図である。
接地足63を回動自在に備えた梯子アタッチメント11では、脚先端57が接地足63を介して屋根41や外壁65等に接地され、脚先端57が滑りにくく接地可能となる。また、梯子アタッチメント11を外壁65で使用する場合、脚部37が接することで、外壁65と体の距離を十分保つことができ、作業者の重心が梯子や脚立から離れないので、体を安定させ作業を行うことができる。そして、図10に示すように、接地足63が屋根面に接地するので梯子本体15のズレ(滑り)を防止できる。また、接地足63の重心をずらすことで、接地足63が常に接地し易い姿勢に回転配置され、様々な勾配の屋根41や垂直な外壁65であっても、接地足63の当接面が梯子本体15と略反対向き、すなわちう梯子上端13を接地させる方向の向きとなり接地足63を即座に合わせることができる。
【0043】
梯子アタッチメント11は、梯子本体15の側桁17が樋39に干渉する前に、脚部37が屋根41に接地可能となり、梯子上端13を脚部37に受けた接地足63で支える構造なので、樋39の破損を防止することができる。また、一対の脚部37の幅が左右の側桁17の幅よりも広いので、梯子上端13を横方向に安定させることができる。このことは、作業者が梯子を昇ることによって重心が梯子上方に移動することで支えとして必要な位置が、従来のような梯子の下部で側方に開いて支えるような転倒防止支えではなく、梯子を上部から吊るような構造であることが梯子の転倒を防止するもので、梯子を安定させ安全性向上につながるものである。
【0044】
なお、図9に示すように、平屋根などの場合には、ベース枠29を逆さまに梯子に取り付けることで、脚部37の直角三角形状が逆となり、建物側の軒部分への干渉を防ぐことができる。
【0045】
図11は梯子上端13にフック67を取り付けた梯子アタッチメント11の斜視図である。
梯子アタッチメント11は、脚部37に代えて掛止手段を備えても良い。この場合、上下一対の横桟23の両端には、それぞれ上下に渡って固定され建物側に突出する一対の逆J字状のフック67が固定される。ベース枠29の両端21に一対の逆J字状のフック67が固定されることで、梯子上端13を支持する相手が水平部材や水平縁部であっても、掛止が可能となる。これにより、梯子上端13を、パラペットやベランダ手摺などに容易に且つ安全に掛止することができるようになる。
【0046】
図12(a)は手摺パイプ33が逆に取り付けられた梯子アタッチメント11の側面図、(b)手摺パイプ33が正規の向きに取り付けられた梯子アタッチメント11の側面図である。
梯子アタッチメント11は、U字ボルト31が、相互にスライド自在となった一対の表梯子69と裏梯子71とからなる伸縮梯子としての二連梯子73の建物側となる裏梯子71の踏桟19に取り付けられる。このように、取り付け対象となる梯子本体15が二連梯子73の裏梯子71であっても、ベース枠29が踏桟19を挟み込むU字ボルト31のみによって固定されるので、二連梯子73のスライドを妨げることがない。すなわち、U字ボルト31の軸部のみが表梯子69と裏梯子71の間に配置されるので、表梯子69に干渉することがなく、ベース枠29を踏桟19に固定したまま二連梯子73を縮めて使用・収納することができる。
【0047】
また、手摺パイプ33を着脱式とし、逆さまに取り付けできるので梯子を含めた全体の長さが大きくならず、これにより車に載せる際に、その車の車長+10%以内に納めることが可能となり、梯子本体15や二連梯子73に梯子アタッチメント11を取り付けたまま車に載せ搬送することができる。
【0048】
したがって、本実施の形態に係る梯子アタッチメント11によれば、手摺パイプ33や脚部37を固定するためのベース枠29が、梯子本体15への加工を不要にしてU字ボルト31で簡単に着脱でき、しかも、3点にて固定されるので非常に安定して梯子本体15に取り付けできる。ベース枠29を井桁としたので、手摺パイプ33や脚部37等の様々な拡張部品を安定して取り付けできる。また、上記した二連梯子73の他、三連梯子などの伸縮梯子、或いは折り畳み形の梯子などに取り付けることも可能であり、また、梯子以外に脚立にも容易に取り付けでき、さらに脚立の場合、脚立を拡げて梯子状に使用する際などでも本実施の形態の梯子アタッチメント11を容易に取り付けることができる。この結果、簡単に梯子本体15に取り付けでき、昇降の安全性を高める拡張部品を安全且つ確実に取り付けできる。
【0049】
このように、梯子アタッチメント11では、作業者が梯子や脚立を用い、屋根41に昇る際や屋根41から降りる際、あるいは外壁65で作業を行う際に、梯子や脚立の横倒れ、およびズリ滑りを防止し、作業者の墜落を未然に防ぐことができ、そして、屋根への昇降時の安全性を確保できる。
【符号の説明】
【0050】
11…梯子アタッチメント
13…梯子上端
17…側桁
19…踏桟
21…両端
23…横桟
25…縦桁
27…ナット
29…ベース枠
31…U字ボルト
33…手摺パイプ
35…取付調整穴
37…脚部
43…取付パイプ
55…第一脚部
57…脚先端
59…第二脚部
61…支持軸
63…接地足
67…フック
69…表梯子
71…裏梯子
73…伸縮梯子(二連梯子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梯子上端の建物側の面に着脱自在に取り付けられる梯子アタッチメントであって、
踏桟と平行であり左右の側桁から両端が突出する上下一対の横桟と、
前記側桁と平行であり且つ左右の該側桁の内側に配置され前記一対の横桟を上下端で固定する一対の縦桁と、
建物と反対側から前記踏桟を挟み込んで前記縦桁に貫通させた両端にナットを螺合して前記一対の横桟及び前記一対の縦桁からなるベース枠を着脱自在に前記踏桟に固定する一対のU字ボルトと、
を具備することを特徴とする梯子アタッチメント。
【請求項2】
請求項1記載の梯子アタッチメントであって、
前記縦桁には異なる上下位置に前記U字ボルトを貫通させる複数の取付調整穴が設けられていることを特徴とする梯子アタッチメント。
【請求項3】
請求項1又は2記載の梯子アタッチメントであって、
前記上下一対の横桟の両端には、それぞれに上下に渡って連結するように固定され、且つ建物側に突出する左右一対の脚部が固定されていることを特徴とする梯子アタッチメント。
【請求項4】
請求項3記載の梯子アタッチメントであって、
前記一対の脚部のそれぞれは、前記側桁から垂直に突出する第一脚部と、該第一脚部の脚先端と前記側桁を固定する第二脚部と、によって側面視直角三角形状に形成され、
前記第一脚部の脚先端には前記踏桟と同方向の支持軸まわりに回動自在となった接地足が設けられていることを特徴とする梯子アタッチメント。
【請求項5】
請求項4記載の梯子アタッチメントであって、
前記支持軸が前記接地足の重心位置から外れて配置されることを特徴とする梯子アタッチメント。
【請求項6】
請求項3記載の梯子アタッチメントであって、
前記上下一対の横桟には、左右両端のそれぞれに渡って縦に固定され建物側に突出する一対の逆J字状のフックが固定されていることを特徴とする梯子アタッチメント。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の梯子アタッチメントであって、
前記上下一対の横桟には、左右の端部のそれぞれに渡って縦に掛け渡される取付パイプが固定され、
それぞれの前記取付パイプは、手摺パイプを取付パイプの両端のいずれか一方から着脱自在に装着することを特徴とする梯子アタッチメント。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の梯子アタッチメントであって、
前記U字ボルトが、相互にスライド自在となった一対の表梯子と裏梯子とからなる伸縮梯子の建物側となる前記裏梯子の前記踏桟に取り付けられることを特徴とする梯子アタッチメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−87524(P2012−87524A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234707(P2010−234707)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【特許番号】特許第4737475号(P4737475)
【特許公報発行日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(592230380)株式会社エバー商会 (9)
【Fターム(参考)】