説明

梱包材

【課題】梱包材をワークに対して確実に固定するとともに、梱包材の部品点数を抑えて梱包時の作業効率を高めることができる梱包材を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、板状のワークWを梱包する段積み可能な梱包材10であって、段積み可能な構成を有し、ワークWの周端部の一部を複数箇所で各々保持するための複数の保持部材11〜14と、これら保持部材11〜14の姿勢を維持するための複数の梁材15とからなり、複数の保持部材11〜14は間隔をあけて配置されるとともに、ワークWを梱包したときに、保持部材11〜14間に梁材15が架設されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のヘッドライニング等、比較的大型である板状のワークを梱包するのに用いられる梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用のヘッドライニング等、比較的大型である板状のワークを損傷から保護しつつ効率良く複数まとめて運搬するための梱包材として、従来より下記特許文献1に開示された梱包材が提案されている。
【0003】
図6に示すように、特許文献1に記載された梱包材は、四辺が起立した平面視矩形の底板1と、底板1の四隅に立設されてテープ等で固定され、前後で組をなす左右一対のコーナー支柱3と、底板1にテープ等で固定された中間支柱5と、コーナー支柱3,3間に跨って配置される端部受け部材7と、中間支柱5に保持される中間部受け部材8と、コーナー支柱3及び中間支柱5の上端部に天板部を当接して底板1に対向して配置される蓋板(不図示)を備えている。コーナー支柱3には、上下方向に所定のピッチで複数の切欠4が形成されており、中間支柱5には、複数の切欠6が形成されている。
【0004】
この梱包材の組み立て及びワークWの梱包は次のようにして行われる。
まず、コーナー支柱3,3・・及び中間支柱5,5を底板1にテープ等で固定する。段ボール材を折曲して端部受け部材7を形成し、この端部受け部材7をコーナー支柱3の最下に位置する切欠4に係止させる。中間部受け部材8も、中間支柱5の最下の切欠6に係止させる。そして、これら端部受け部材7,7及び中間受け部材8,8の上にワークWを載置する。更に、このワークWの上の切欠4・・,6・・に他の端部受け部材7,7及び中間受け部材8,8を係止させ、これらの上にワークWを載置する。このように、端部受け部材7,7及び中間受け部材8,8と、ワークWとを交互に配置し、ワークWを上下に位置する端部受け部材7,7及び中間受け部材8,8によって挟み込むようにして梱包材に複数のワークWを積載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−145509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1の梱包材によれば、コーナー支柱3,3・・及び中間支柱5,5が底板1にテープ等で固定されているのみであり、これらの間を支持して相対的な位置関係を維持する部材を有していない。したがって、梱包作業中、又はワークWを梱包材によって運搬する際に、コーナー支柱3,3・・及び中間支柱5,5が相対的に変位し、これらに保持されている端部受け部材7,7及び中間受け部材8,8の相対的位置も変位し、切欠4・・又は切欠6・・への係止が緩んで、ワークWを安定的かつ確実に保持できないという問題があった。
【0007】
また、梱包材を構成する部品点数が多く、梱包材の組立て及びワークWの積載における作業工数も多いため、梱包及び開梱作業を効率的に行うことができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みて、梱包材をワークに対して確実に固定するとともに、部品点数を抑えて梱包時の作業効率を高めることができる梱包材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を提供している。
請求項1の発明は、板状のワークを梱包する段積み可能な梱包材であって、段積み可能な構成を有し、前記ワークの周端部の一部を複数箇所で各々保持するための複数の保持部材と、これら保持部材の姿勢を維持するための複数の梁材とからなり、前記複数の保持部材は間隔をあけて配置されるとともに、ワークを梱包したときに、前記保持部材間に前記梁材が架設されることを特徴とする。
ここで、段積み可能な構成とは、請求項3に記載された構成のほか、保持部材間の位置決めをするとともに位置ずれを防止して複数の保持部材を積層させる構成である。
本発明では、段積み可能な複数の保持部材の間に、梁材を架設してワークを保持するため、ワークを保持する保持部材の姿勢が一定に保たれ、ワークの保持状態が安定的に維持される。
【0010】
請求項2の発明は、平面視矩形の板状のワークを梱包する段積み可能な梱包材であって、段積み可能な構成を有し、前記ワークの隅部をそれぞれ保持するための複数の保持部材と、該保持部材の姿勢を維持するための複数本の梁材とからなり、前記保持部材はワークの少なくとも隅部にそれぞれ配置されるとともに、ワークを梱包したときに、保持部材間に前記梁材が架設されることを特徴とする。
ここで、段積み可能な構成とは、請求項3に記載された構成のほか、保持部材間の位置決めをするとともに位置ずれを防止して複数の保持部材を積層させる構成である。
本発明では、段積み可能な複数の保持部材によりワークの少なくとも隅部を保持し、これら保持部材の間に梁材を架設するようになっているため、他の物品と接触しやすいワークの隅部が有効に保護されるとともに、これら保持部材の間に架設される梁材によって、ワークを保持する保持部材の姿勢が一定に保たれ、ワークの保持状態が安定的に維持される。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の梱包材であって、段積み可能な構成として、前記保持部材の一方の板面には嵌合凸部が形成され、この嵌合凸部が形成された反対側の板面には、他の保持部材の前記嵌合凸部を着脱自在に嵌合させて上下方向に連結させる嵌合凹部が形成されていることを特徴とする。
本発明では、前記保持部材の一方の板面には嵌合凸部が形成されるとともに、その反対側の板面に他の保持部材の前記嵌合凸部を着脱自在に嵌合させて上下方向に連結させる嵌合凹部が形成されているため、保持部材間の位置決め及び位置ずれ防止を容易に行って、梱包材の段積みが簡便に行われる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の梱包材であって、前記保持部材には、前記ワークが具備する付属部品を収納可能な収納部が形成されていることを特徴とする。
本発明では、保持部材に収納部が形成されているため、ワークに備えられた付属部品を収納してこの付属部品が梱包時にワーク自体に不用意に接触するのを回避させる。
【0013】
請求項5の発明は、請求項4に記載の梱包材であって、前記嵌合凸部に前記収納部が形成されていることを特徴とする。
本発明では、嵌合凸部に前記収納部が形成されているため、保持部材を上下方向に連結させる嵌合凸部を収納部と共通にし、保持部材をコンパクトにすることができる。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の梱包材であって、前記ワークの周端部の一部を受けて、ワークの揺動を防止するための揺動防止部材が前記梁材に装着されていることを特徴とする。
本発明では、揺動防止部材が保持部材に保持されたワークをより安定的に梱包する。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の梱包材が複数段に段積みされていることを特徴とする。
本発明では、上記請求項1から6の作用を有する梱包材により複数のワークを効率よくかつ安定的に段積みして梱包することができる。
【0016】
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の梱包材であって、前記保持部材は、段積みされた下位の前記保持部材と上位の前記保持部材との間で、ワークを保持するように形成されていることを特徴とする。
本発明では、段積みされた上下に位置する保持部材間においてワークを保持するため、ワークの保持部材による保持が容易となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る梱包材によれば、上記した解決手段によって以下の効果を奏する。
すなわち、ワークを保持する複数の保持部材間に、これら保持部材の姿勢を維持して互いの相対的な位置関係を規定する梁材が架設されているため、ワークの保持に際して保持部材の位置ずれを生じさせることなく、ワークの収容状態を安定的に維持することができるとともに、ワークを適切に保護して梱包体を適確に運搬することができるという効果を奏する。
【0018】
また、複数の保持部材とこれら保持部材の間を支持する梁材とによってワークを保持する構成とされているため、梱包材の部品点数を抑えて梱包材をシンプルに構成することができるとともに、梱包及び開梱の作業効率を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】は、本発明の一実施形態として示した梱包材を用いてワークを梱包した梱包体の斜視図である。
【図2】は、本発明の一実施形態として示した梱包体の平面図である。
【図3】は、本発明の一実施形態として示した梱包材の保持部材を示す斜視図である。
【図4】は、本発明の一実施形態として示した梱包材の保持部材の一部を示す斜視図である。
【図5】は、本発明の一実施形態として示した梱包体の側面図である。
【図6】は、従来の梱包材を用いてワークを梱包した梱包材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態として示した、ワークを梱包した梱包材10を上下方向に積層した梱包体Zを示す斜視図であって、梱包する対象のワークWとして自動車のヘッドライニングを例示している。
なお、本実施形態において、ワークWの短手方向をX−Y方向とし、長手方向をM−N方向とする。また、梱包材10においてワークWが配置される側を内方、その反対側を外方とする。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の梱包材10により梱包されるワークWは、自動車の天井の内装部材として用いられるヘッドライニングであり、自動車の天井と同等の大きさを有する比較的大型の板状部材である。
このワークWは、梱包時にはワークWの使用時と上下反対に配置されるものであり、梱包状態においては、M−N方向に延在する周端部が湾曲しながら立ち上がるとともに略水平方向に延在し、X−Y方向に延在する周端部が緩やかに湾曲した平面視略長方形をしており、これらの周端部に囲まれた平面部は、M−N方向の略中央を中心として下方にやや凹んだ緩やかな湾曲形状となっている。
【0022】
図2に示すように、梱包材10は、ワークWを配置して収容する保持部材11〜14と、保持部材11〜14の間に架設されてこれら保持部材11〜14同士を支持し相互的に位置決めする第1の梁材15,15・・、及び第2の梁材16,16と、X−Y方向に配置された第1の梁材15,15の中間部に配置される揺動防止部材17,17とを備えている。
【0023】
保持部材11,12は、ワークWの角部(隅部)W1,W2に、互いに対向するように配置される発泡樹脂製の部材である。
保持部材11,12の素材としては、いずれも型内発泡成形された熱可塑性樹脂の発泡成形体であることが好ましい。熱可塑性樹脂には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテフタレート、ポリブチレンテフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリ乳酸系樹脂などが挙げられる。なかでも、ポリスチレンとポリエチレンとを含む複合樹脂を用いることが望ましい。
【0024】
図3は、段積みして上下方向に連結可能な保持部材11,11の連結を解除し、これらの保持部材11,11を上面11a側及び下面11b側から視た状態を示す斜視図である。この図に示すように、保持部材11は、所定の厚みをもってワークWの角部W1からX−Y方向に水平に延在する壁部18Aと、角部W1からM−N方向に水平に延在する壁部19Aとを備えている。
【0025】
壁部19Aの先端部近傍の内壁面19cには、内方に向かって突出するとともに上方に立ち上がる張出壁部21Aが形成されている。
張出壁部21Aは、図1に示すワークWの周端部の湾曲が緩やかになった位置に合わせて、M−N方向中央寄りの位置、すなわち壁部19Aの先端側に設けられてM−N方向に延在するとともに、その上面21a及び下面21bがワークWの周端部の形状に合わせてM−N方向中央に向かうに従って下方に傾斜している。
【0026】
また、張出壁部21Aは、その上面21aの外方側の側縁部に上方に立ち上がる外縁壁部22Aを有している。この外縁壁部22Aは、ワークWのM−N方向の周端縁を当接させてワークWを内方に位置決めしておくものであり、ワークWの厚さ寸法よりもやや大きい高さ寸法で立ち上がっている。
【0027】
張出壁部21Aの外方側には、受け壁部23Aが形成されている。受け壁部23Aは、平面視略矩形に形成され、張出壁部21Aと略同じ高さ寸法で上面11aから上方に突出している。
受け壁部23Aに対応する保持部材11の下面11b側には、他の保持部材11の受け壁部23Aを嵌着させる嵌着凹部24が形成されている。
この受け壁部23Aの外側面23dには、梱包材10にワークWを梱包した後で梱包体Z全体をポリプロピレンバンド等でX−Y方向に縛って固定するバンド係止溝Kが形成されている。
【0028】
また、壁部18Aと壁部19Aとの交叉部近傍には、保持部材11の上面11aから突出する嵌合凸部25,26が形成されている。
嵌合凸部25は、壁部19Aの外方の側縁に平行に延在する立ち上がり壁部25aと、この壁部25aの端部に連設し壁部18Aの延在方向に平行に延在する立ち上がり壁部25bと、この壁部25bの端部に連設し前記壁部25aに平行に延在する立ち上がり壁部25cと、この壁部25cの端部から前記壁部25aに至る中間部まで延在する立ち上がり壁部25dとを備え、壁部25aと壁部25dとの間が矢印N方向に開口する開口部25eを形成しているとともに、これらの壁部25a〜25d内に空間部S1を形成している。また、嵌合凸部26は、嵌合凸部25の外方に形成されており、内部に空間を有さない中実の壁部に形成されている。
【0029】
一方、嵌合凸部25,26の形成位置に対応する保持壁部11の下面11b側には、嵌合凸部25,26に対応する形状で下方に向かって開口する嵌合凹部27,28が形成されている。
この構成の下に、嵌合凸部25と嵌合凹部27,並びに嵌合凸部26と嵌合凹部28とは、対をなして保持部材11,11同士を上下方向に着脱自在に連結し位置決めするとともに、保持部材11,11間の位置ずれを防止する段済み可能な構成となっている。また、嵌合凹部25に形成された空間部S1は、開口部25eを通して例えばワークWに付属されるコネクタ等の付属部品を収納する収納部となっている。
【0030】
保持部材11の壁部18Aの先端部及び壁部19Aの先端部、及び受け壁部23Aには、第1の梁材15または第2の梁材16を係止させる係止部30A,31A,32Aが形成されている。
係止部30Aは、第1の梁材15の長手方向の端部を係止する凹部であり、壁部18Aの先端部において、図4に示す第1の梁材15の壁部P1の厚さ寸法より僅かに深く平面視略矩形に凹み、第1の梁材15の壁部P1を嵌着させる凹所30aと、凹所30aの端縁から第1の梁材15の壁部P2と同寸法の深さで凹み該壁部P2を鉛直方向に嵌着させる溝部30bとを備えている。この係止部30Aは、上方及び矢印X方向に開口し、第1の梁材15の端部を上方から嵌入できるようになっている。
【0031】
係止部31Aは、壁部19Aの先端部において上方及び矢印N方向に開口し、第1の梁材15の端部を上方から載置して係止する凹部である。この係止部31Aは、係止部30Aと同様の構成に形成され、凹所31aとこの凹所31aの端縁から下方に形成された溝部31bとを有している。
【0032】
係止部32Aは、受け壁部23Aの内側の端部において上方及び内方に向かって開口し、第1の梁材16の端部を上方から載置して係止する凹部である。係止部32Aも、係止部30Aと同様の構成に形成され、平面視略矩形に形成された凹所32aと、凹所32aの端縁から下方に向かって形成された溝部32bとを有している。
【0033】
張出壁部21Aの下面21bから外縁壁部22の上面までの厚さ寸法及び受け壁部23Aの厚さ寸法は、壁部18A,19Aの厚さ寸法と略同寸法となっている。
図4に示すように、壁部19,19・・(壁部18,18・・も同様)は、保持部材11,11同士を上下方向に段積みして連結した際に、略密接するようになっている。この場合、張出壁部21Aは、その上面21aに外縁壁部22Aが立ち上がっているため、上下に位置する張出壁部21A,21Aの間に、内方に向かって開口する空間部S2が形成され、この空間部S2にワークWの周端部が嵌入配置されるようになっている。
【0034】
第1の梁材15は、L字状の断面をもって一方向に延びる杆体であり互いに直交する板状の壁部P1,P2を備え、剛性の高い紙材料又は合成樹脂材料等により形成されている。図1に示す第2の梁材16は、第1の梁材15よりも長尺である点を除いて同形状に形成されている。
【0035】
保持部材12は、図1に示すように、嵌合凸部35と嵌合凹部36の形状を除いて、その基本的構成が中心線Lを中心として保持部材11と略対称形状に形成されている。保持部材12において、嵌合凸部35と嵌合凹部36以外の部分は、符号の添え字Aを添え字Bとし、その説明を省略する。
【0036】
保持部材12の嵌合凸部35は、保持部材12の上面12aにおいて平面視略矩形に形成された中実の突出部であり、嵌合凸部30のように開口部30e及び収納部S1のいずれも形成されていない。嵌合凹部36は、保持部材12の嵌合凸35の反対側に形成され、他の保持部材12の嵌合凸部35と対をなして保持部材12,12同士を上下方向に段積みして連結させるとともに、水平方向に位置決めし、かつ位置ずれ防止するようになっている。
【0037】
保持部材13,14は、ワークWの後方側の角部W3,W4に、互いに対向するように配置される発泡樹脂製の部材である。この保持部材13,14の素材は、前記した保持部材11,12の素材と同様である。
保持部材13は、ワークWの角部W3からX−Y方向に水平に延在する壁部40Aと、角部W3からM−N方向に水平に延在するとともに、保持部材11,12よりも延在方向に大寸法に形成された壁部41Aとを備えている。そして壁部41Aには、張出壁部42A,受け壁部43Aが形成されている。
【0038】
この保持部材13を構成する張出壁部42A,受け壁部43Aの構成は、対称形状に形成されているという点を除き、保持部材12の張出壁部21B,受け壁部23Bと同様の構成となっている。
【0039】
また、壁部40Aと壁部41Aとの交叉部近傍には、嵌合凸部44、嵌合凹部45が形成されている。嵌合凸部44は、保持部材13の上面13a上に形成された中実の突出部である。嵌合凹部45は、保持部材13の嵌合凸部44の反対側に形成され、他の保持部材13の嵌合凸部44と対をなして保持部材13,13同士を上下方向に段積みして連結させるとともに、水平方向に位置決めし、かつ位置ずれ防止するようになっている。
【0040】
壁部40Aの先端部には、係止部30Cが形成され、壁部41Aの先端部には、保持部材12と保持部材13とを対向配置した際に壁部19Bの係止部31Bと対向する係止部31Cが形成され、更に、受け壁部43Aには、係止部32Cが形成されている。係止部30C、係止部31C及び係止部32Cは、係止部30B、係止部31B及び係止部32Bと略線対称の構成とされている。そして、係止部31Cは、係止部31Bとの間に第1の梁材15を上方から載置して係止できるようになっている。
【0041】
保持部材14は、嵌合凸部46と嵌合凹部(不図示)を除き、その基本的構成が中心線Lを中心として保持部材13と略対称形状に形成されている。保持部材14において、嵌合凸部46と嵌合凹部(不図示)以外の部分は、符号の添え字Aを添え字Bとし、その説明を省略する。
【0042】
嵌合凸部46は、その内部にワークWの付属部品を収納可能な収納部S3を有している。この収納部S3は、立ち上がり壁部46a〜46eにより取り囲まれており、壁部46aと壁部46eとにより開口部46eが形成されている。
【0043】
また、壁部40Bには、保持部材13と保持部材14とを対向配置した際に係止部30Cに対向する係止部30Dが形成されるとともに、壁部41Bには保持部材11と保持部材14とを対向配置した際に係止部31Aに対向する係止部31Dが形成されており、係止部30Cと係止部30Dと間に跨って第1の梁材部15が架設され、係止部31Aと係止部31Dとの間に跨って他の第1の梁材15が架設されるようになっている。
【0044】
揺動防止壁部17は、段積みされた梱包材10,10・・の保持部材11,12の間に架設された第1の梁材15,15間、及び梱包材13,14の間に架設された第1の梁材15,15間に介装される部材であり(保持部材11,12間の揺動防止部材17は不図示)、第1の梁材15の延在方向に延びる壁部17aとこの壁部17aに直交する方向に連設された壁部17bを備えている。
壁部17aは、ワークWの周端部を下方から支持する段差部50を有している。
壁部17bは、上方に介装された揺動防止壁部17の壁部17bを嵌合させる嵌合部51を有している。
この壁部17a,17bが略90度の角度を形成している内面側には、第1の梁材15に掛止させる掛止溝52が形成されている。
【0045】
上記の梱包材10にワークWを梱包して梱包体Zを組み立てる際には、図5に示すように、最下部に嵌合凹部27等を有していないダミーの保持部材11x〜14xが用いられる。このダミーの保持部材11x〜14xは、嵌合凹部27等を有していない点を除き、保持部材11〜14と同一の構成を有している。
【0046】
上記の梱包材10は、次のようにして組み立てられ、更に段積みされてワークWを梱包した梱包体Zとなる。
まず、図5に示すように、梱包体Zを運搬する際に用いられる枠体(不図示)上に、保持部材11〜14の台座となるダミーの保持部材11x〜14x(保持部材11x,13xは不図示)をワークWの角部W1,W2・・のそれぞれの間を形成するように配置する。
【0047】
そして、保持部材11x,12x、保持部材12x,13x、保持部材13x,14x、及び保持部材14x,11xのそれぞれの間に第1の梁材15を架設する。
この場合、各係止部30A,31A,32A等の凹所30a,31a,32a等は、第1の梁材15の壁部P1の厚さ寸法よりも僅かに深く形成され、また、溝部30b,31b,32b等も第1の梁材15の壁部P2の幅寸法よりも僅かに深く形成されているため、係止部に配置された第1の梁材15は、各保持部材11〜14の上面11a〜14aから突出することなく嵌入される。
【0048】
この状態で、各ダミーの保持部材11x〜14xは、互いに水平方向に姿勢保持されて位置決めがされ、梱包材10が形成されるので、X−Y方向に配置された第1の梁材15,15上に揺動防止壁部17,17を配置した上で、ワークWを内面側を上方に向けて各保持部材11x〜14xの張出壁部21A,21B,42A,42B上に載置する。
この際、ワークWがコネクタ等の付属部品を有している場合には、この付属部品を適宜収納部S1又は収納部S3に収納しておく。
【0049】
そして、前記梱包材10の各保持部材11x〜14x上に、それぞれ保持部材11〜14を段積みし、下方の保持部材11等の嵌合凸部25,26等に上方の保持部材11等の嵌合凹部27,28等を嵌合させる。この際、上下の保持部材11,11の壁部18A,18A及び19A,19Aの上下面は位置決めされて密着するが、図4に示すように上下の張出壁部21A上には外縁壁部22Aが設けられているため、張出壁部21A,21間には空間S2が形成され、この空間S2にワークWの周端部が僅かな遊び有した状態で嵌入された状態となる。なお、段積みされた際の構成は、保持部材12〜14についても保持部材11の場合と同様となっている。そして各保持部材11,12,13,14間に第1の梁材15をそれぞれ架設し、張出壁部21A,21B,42A,42B上に2枚目のワークWを載置する。
【0050】
この要領で、梱包材10の段積みとワークWの載置を繰り返し、最上層の梱包材10の受け壁部23A,23Bの間及び受け壁部43A,43B間に第2の梁材16,16を架設して位置決めを補強し、図5に示す梱包体Zを得る。
【0051】
なお、第1の梁材15は、全ての梱包材10において架設されていてもよいが、梱包材10を段積みした状態においては、上下に連結する保持部材11,12,・・がそれぞれの嵌合凸部25,35・・及び嵌合凹部27,36・・により水平方向に位置ずれしないように固定されているため、第1の梁材15は、全ての梱包材10,10において架設されていなくてもよく、本実施形態においては、上部、中部及び下部に位置する梱包材10に架設されている。
【0052】
そして、図5に示すように、この梱包体Zの最上面に更に段ボール材からなる上蓋60を配置し、受け壁部23A,23B及び受け壁部43A,43Bの外側面に形成されたバンド係止溝Kにポリプロピレン等からなるバンド61,61を巻回し段積みされた梱包材10を固定して、ワークWの梱包が終了する。
【0053】
以上のように、本実施形態の梱包材10によれば、保持部材11〜14のそれぞれの間に第1の梁材15,15・・が適宜架設されて保持部材11〜14の姿勢を維持しているため、ワークWを配置し、梱包体Zにして運搬するに際しても、保持部材11〜14の相互間で位置ずれが生じることが無く、この梱包材10の内部に収容したワークWを確実かつ安定的に保護することができるという効果が得られる。
【0054】
また、保持部材11〜14が、発泡性のプラスチック成型品であり、これらの間に第1及び第2の梁材15,16を架設するだけで梱包材10が形成されるため、梱包材10の組み立てがシンプルとなり、この梱包材10にワークWを梱包する梱包作業及び開梱作業の効率が上がるという効果が得られる。
【0055】
また、保持部材11〜14の間を第1の梁材15によって支持する構成であるため、発泡樹脂の使用を抑えてより軽量の梱包材10ないし梱包体Zを形成することができるという効果が得られるとともに、発泡樹脂の使用を低減すること及び梁材15を剛性の高い紙材料で構成することにより、梱包材10のコストを低減することも可能となるという効果が得られる。
【0056】
また、保持部材11〜14とワークWを上方に載置していくことにより、上下に段積みされた保持部材11,11・・,12,12・・等の間に形成される空間S2にワークWを位置させて保持することができるため、ワークWの梱包が容易となる。また、空間S2がワークWとの間に僅かな遊びを残して形成される空間であるので、ワークWの空間S2における移動を防止して安定的に保持させることができるという効果が得られる。
【0057】
また更に、保持部材11及び保持部材14に収納部S1,S3を形成したため、コネクタ等の付属部品を収納して、この付属部品がワークWの運搬時に揺動してワークWに損傷を与えることを回避することができるという効果が得られる。
また、収納部S1,S3を保持部材11,14の段積みに使用する嵌合凸部25,46に形成したため、保持部材11,14をコンパクトに形成することができるという効果が得られる。
【0058】
また、ワークWの周端部を揺動支持壁部17によって支持しているため、ワークWの上下方向の揺動を防止し、より安定した梱包体Zを形成することができるとともに、該梱包体Zをより安定的に運搬することができるという効果が得られる。
【0059】
なお、本実施形態において収納部S1,S3は保持部材11,14の嵌合凸部25、46にのみ形成したが、これに限定されるものではなく、保持部材12,13の嵌合凸部35,44に形成されてもよく、または、ワークWの仕様に応じて付属部品が形成される位置に適宜形成すればよく、嵌合凸部以外の壁部に凹所を形成することにより設けられるものであってもよい。
【0060】
また、保持部材11〜14は、ワークの角部W1〜W4に配置されているが、これに限定されるものではなく、保持部材11〜14は角部W1〜W4以外に配されるものであっても、角部W1〜W4に加えて他の周端部に配されるものであってもよい。
【0061】
また、段積み可能な構成としては、上記実施形態で示された嵌合凸部25等と嵌合凹部27等とによる構成に限られるものではなく、段積みされる保持部材11,11間の位置決めができるとともに位置ずれを防止し得るものであれば、例えば、保持部材11に設けられた位置決めマークと位置ずれ防止の貼着剥離自在な接着剤等であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 梱包材
11〜14 保持部材
15 第1の梁材
16 第2の梁材
24,25,35,44,46 嵌合凸部
26,27、36,45 嵌合凸部
Z 梱包体
W ワーク
S1,S3 収納部
L 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のワークを梱包する段積み可能な梱包材であって、
段積み可能な構成を有し、前記ワークの周端部の一部を複数箇所で各々保持するための複数の保持部材と、
これら保持部材の姿勢を維持するための複数の梁材とからなり、
前記複数の保持部材は間隔をあけて配置されるとともに、ワークを梱包したときに、前記保持部材間に前記梁材が架設されることを特徴とする梱包材。
【請求項2】
平面視矩形の板状のワークを梱包する段積み可能な梱包材であって、
段積み可能な構成を有し、前記ワークの隅部をそれぞれ保持するための複数の保持部材と、
該保持部材の姿勢を維持するための複数本の梁材とからなり、
前記保持部材はワークの少なくとも隅部にそれぞれ配置されるとともに、ワークを梱包したときに、保持部材間に前記梁材が架設されることを特徴とする梱包材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の梱包材であって、
前記段積み可能な構成として、前記保持部材の一方の板面には嵌合凸部が形成され、この嵌合凸部が形成された反対側の板面には、他の保持部材の前記嵌合凸部を着脱自在に嵌合させて上下方向に連結させる嵌合凹部が形成されていることを特徴とする梱包材。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の梱包材であって、
前記保持部材には、前記ワークが具備する付属部品を収納可能な収納部が形成されていることを特徴とする梱包材。
【請求項5】
請求項4に記載の梱包材であって、
前記嵌合凸部に前記収納部が形成されていることを特徴とする梱包材。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の梱包材であって、
前記ワークの周端部の一部を受けて、ワークの揺動を防止するための揺動防止部材が前記梁材に装着されていることを特徴とする梱包材。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の梱包材が複数段に段積みされていることを特徴とする梱包材。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の梱包材であって、
前記保持部材は、段積みされた下位の前記保持部材と上位の前記保持部材との間で、ワークを保持するように形成されていることを特徴とする梱包材。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−210950(P2012−210950A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76673(P2011−76673)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】