説明

梱包材

【課題】内部の梱包物をしっかり押さえることができ、歩留まりの向上を図ると共に、形状の小型化を図ることができ、リサイクルが可能で経済的な梱包材を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明の梱包材は、厚紙1を山折り線6,7,8,9に沿って折り曲げて組み立てることにより多角筒状に形成され、内部に梱包物を収納する梱包材1であって、山折り線6,9に対して交差するように形成される切り込み部15a,15bと、山折り線6,9を挟んでハの字を描くように切り込み部15a,15bの両端部16a,16bから直線状に形成される山折り可能部17a,17bと、を備え、山折り可能部17a,17bによって挟まれる山折り線6,9を谷折りすると、山折り可能部17a,17bに沿って山折りされ、内部の梱包物の移動を規制する係止凹部32が山折り線6,9上に形成可能なように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚紙を山折り線に沿って折り曲げて組み立てることにより多角筒状に形成される、内部に梱包物を収納する梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置のトナーカートリッジや定着装置のIHユニット等の製品の梱包材として段ボール等の厚紙製の梱包材が使用されている。この種の従来の梱包材としては、例えば、図3に示すように、矩形筒状に形成された箱型筒体101の開口部の四隅102に切り込み103を設け、四隅102を折り曲げるものが知られている。この梱包材は、箱型筒体101の開口部の四隅102に前記切り込み103が現れているので、その四隅の切り込み103から、その部分の各折り線が内側になるように、角部を押して折り曲げると、収納された商品などが、該箱型筒体の開口部から抜け出さないようにした商品係止部104が形成されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−166041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の梱包材では、商品係止部の折り曲げ深さを浅くすると、商品係止部を曖昧な形しか形成できないため、内部の梱包物をしっかり押さえることができないといった問題や、梱包作業中に外部から力が加わると、梱包材が破損したり、商品係止部の折り曲げ形状が崩れたりしやすく、歩留りが悪くなるという問題がある。
【0005】
一方、商品係止部を全体的に深く折り曲げて形成した場合には、梱包材の外形寸法が大きくなり、梱包材の製造コストの低減化が図り難いといった問題や、搬送に手間が掛かるといった問題もある。
【0006】
また、上記した従来の梱包材では、内部に収納する梱包物の形状や長さによって、梱包材の形状や長さをそのつど変更する必要があり、共通化を図ることができないため、リサイクルし難く、経済的でないという問題もある。
【0007】
本発明は上記した課題を解決すべくなされたものであり、内部の梱包物をしっかり押さえることができ、歩留まりの向上を図ると共に、形状の小型化を図ることができ、リサイクルが可能で経済的な梱包材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、本発明の梱包材は、厚紙を山折り線に沿って折り曲げて組み立てることにより多角筒状に形成され、内部に梱包物を収納する梱包材であって、前記山折り線に対して交差するように形成される切り込み部と、前記山折り線を挟んでハの字を描くように前記切り込み部の両端部から直線状に形成される山折り可能部と、を備え、前記山折り可能部によって挟まれる前記山折り線を谷折りすると、前記山折り可能部に沿って山折りされ、前記内部の梱包物の移動を規制する係止凹部が前記山折り線上に形成可能なように構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の梱包材は、前記切り込み部は両開口端近傍に形成され、前記山折り可能部は前記切り込み部の両端部から前記開口端に掛けて形成されており、前記係止凹部が前記両開口端に形成可能なように構成されていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の梱包材は、前記切り込み部は互いに対向する位置に2個一対で形成され、前記山折り可能部は前記各切り込み部の両端部同士を結んだ直線上に形成されており、前記係止凹部が少なくとも3箇所に形成可能なように構成されていることを特徴とする。
【0011】
さらにまた、本発明の梱包材は、前記切り込み部の両端部には刳り貫き孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、内部の梱包物を係止凹部でしっかり押さえることができると共に、梱包材の歩留まりの向上及び梱包材の小型化を図ることができる。また、梱包材の共通化を図ることができ、リサイクルが可能となる等、種々の優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る梱包材を展開した状態を示す展開図である。
【図2】本発明の実施形態に係る梱包材を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図3】従来の梱包材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。ここで、図1は本発明の実施形態に係る梱包材を展開した状態を示す展開図、図2は本発明の実施形態に係る梱包材を組み立てた状態を示す斜視図である。なお、以下の説明において、上下左右の向きは、便宜上、図1における向きを基準として説明する。
【0015】
本発明の実施の形態に係る梱包材は、例えば段ボール製の厚紙1を矩形筒状に折り曲げて組み立てることにより、その内部に梱包物(図示省略)を収納可能なように構成されている。
【0016】
図1に示すように、厚紙1は、上辺2、下辺3、左辺4、及び右辺5により外周を囲まれた略長方形状を成しており、上方から順に、上辺2及び下辺3に平行な4本の第1〜第4山折り線6,7,8,9が左辺4と右辺5との間に渡って形成されることにより、大きく第1〜第5横長片部10,11,12,13,14の5つの部分に分けられている。
【0017】
第1〜第4山折り線6,7,8,9は、上辺2と第1山折り線6との間の長さと、第2山折り線7と第3山折り線8との間の長さと、第4山折り線9と下辺3との間の長さと、が略等しくなるように形成されており、厚紙1を第1〜第4山折り線6,7,8,9に沿って折り曲げると、矩形筒状を成し、左辺4が一方の開口端を形成し、右辺5が他方の開口端を形成するようになっている。
【0018】
左辺4の近傍には、第1山折り線6又は第4山折り線9に対して直角に交差するように長さの短い切り込み部15aがそれぞれ切欠されている。この切り込み部15aの両端部には小円形の刳り貫き孔16aがそれぞれ形成されており、各刳り貫き孔16aから左辺4に掛けて、山折り可能部17a,17bが、第1山折り線6又は第4山折り線9を上下に挟んでハの字を描くようにそれぞれ直線状に形成されている。そして、第4山折り線9を挟んで上方に形成された山折り可能部17aは、その左端が第3山折り線8の左端に一致するように形成されている。
【0019】
左辺4の近傍と同様に、右辺5の近傍には、第1の山折り線6又は第4の山折り線9に対して直角に交差するように長さの短い切り込み部15aがそれぞれ切欠されており、この切り込み部15aの両端部に形成された小円形の刳り貫き孔16aから右辺5に掛けて、山折り可能部17a,17bが、第1山折り線6又は第4山折り線9を上下に挟んでハの字を描くようにそれぞれ直線状に形成されている。そして、第4山折り線9を挟んで上方に形成された山折り可能部17aは、その右端が第3山折り線8の右端に一致するように形成されている。
【0020】
左辺4の近傍の切り込み部15aと右辺5の近傍の切り込み部15aとの間には、第1山折り線6に対して直角に交差する位置であって、互いに対向する2箇所の位置に、長さの短い切り込み部15aと該切り込み部15aより長さの長い切り込み部15bとがそれぞれ2個一対で形成されている。長さの短い切り込み部15aの両端部には小円形の刳り貫き孔16aがそれぞれ形成されており、長さの長い切り込み部15bの両端部には、前記刳り貫き孔16aより大径の円形の刳り貫き孔16bがそれぞれ形成されている。そして、各刳り貫き孔16aと16bとを結んだ直線上には、第1山折り線6を挟んで上下に、ハの字を描くように傾斜して山折り可能部17a,17bがそれぞれ形成されている。
【0021】
また、第4山折り線9上には、左辺4の近傍の切り込み部15aと右辺5の近傍の切り込み部15aとの間に係止片18が形成されている。係止片18は、第4山折り線9に対して直角に交差するように形成された互いに対向する左右の切り込み縦線19a,19bと、左右の切り込み縦線19a,19bの下端同士を結ぶように形成された切り込み横線19cと、によりU字形に形成されており、切り込み横線19cの下方には横長孔20が形成されている。また、係止片18には第4山折り線9の延長線上に沿って山折り線21が形成されており、該山折り線21の中央に円形の指掛け孔22が穿設されている。さらに、係止片18と第4山折り線9との間には、第4山折り線9から僅かに下方に突出するように切り込み23が形成されている。そして、厚紙1を第4山折り線9に沿って山折りすると、この切り込み23により、第4山折り線9と係止片18との間にスリット状の係止孔(図示省略)が形成されるようになっている。
【0022】
上辺2の前記切り込み23に対応する位置には、上方に突出する突片部24が横長矩形状に形成されており、突片部24には、上辺2の延長線上に沿って左右に山折り線25a,25bが形成されている。左右の山折り線25a,25bの間には、係止片18の指掛け孔22に対応する位置に、円形の指掛け孔26が穿設されており、この指掛け孔26と左右の山折り線25a,25bとの間には、上辺2から僅かに上方に突出するように切り込み27が形成されている。そして、突片部24を左右の山折り線25a,25bに沿って山折りすると、この切り込み27により、左右の山折り線25a,25bと指掛け孔26との間にスリット状の係止孔(図示省略)が形成されるようになっている。
【0023】
下辺3と左辺4との角部には左切欠部28が形成され、下辺3と右辺5との角部には右切欠部29が形成され、左切欠部28及び右切欠部29には、それぞれ、斜め切欠線28a及び29aが形成されている。左切欠部28の斜め切欠線28aは、左辺4側の第1山折り線6の上方に形成された山折り可能部17aに対応するように形成され、右切欠部29の斜め切欠線29aは、右辺5側の第1山折り線6の上方に形成された山折り可能部17aに対応するように形成されている。
【0024】
また、下辺3の左切欠部28と右切欠部29との間には、左右2個の矩形切欠部30,31が形成されており、各矩形切欠部30,31には、それぞれ、互いに対向する2本の縦切欠線30a,30b及び31a及び31bが、左辺4の近傍の切り込み部15aと右辺5の近傍の切り込み部15aとの間に形成された短い切り込み部15aと長い切り込み部15bにそれぞれ対応するように形成されている。
【0025】
このような構成を備えた厚紙1から本発明の実施に係る梱包材を組み立てるには、第1横長片部10を第5横長片部14に重ね合わせるように、厚紙1を第1〜第4山折り線6,7,8,9に沿って山折りする。そして、厚紙1を第4山折り線9に沿って山折りすることにより形成された第4山折り線9と係止片18との間の前記係止孔(図示省略)に、左右の山折り線25a,25bに沿って山折りさせた突片部24を挿入すると共に、突片部14を左右の山折り線25a,25bに沿って山折りすることにより形成された左右の山折り線25a,25bと指掛け孔26との間の前記係止孔(図示省略)に、山折り線21に沿って山折りさせた係止片18を挿入する。これにより、厚紙1の第1横長片部10が第5横長片部14に重合して矩形筒状に折り曲げられた状態が確実に保持される。なお、この時、係止片18及び突片部24には互いに対応した位置にそれぞれ指掛け孔22,26が形成されているため、この指掛け孔22,26に指を引っ掛けることにより、梱包材の組立て作業を円滑且つ容易に行うことができる。
【0026】
次に、このように厚紙1から矩形筒状の梱包材を組み立てた後、梱包材の内部に前記梱包物(図示省略)を収納し、該梱包物の形状や長さに合わせて、山折り可能部17a,17bによって挟まれる第1山折り線6又は第4山折り線9を谷折りすると、前記山折り可能部17a,17bに沿って山折りされ、梱包材の内部の梱包物の移動を規制する係止凹部32が第1山折り線6又は第4山折り線9に沿って形成される。
【0027】
例えば、前記梱包物の長さが比較的長い場合、左辺4の近傍の山折り可能部17a,17bによって挟まれる第1山折り線6又は第4山折り線9を谷折りし、係止凹部32を前記一方の開口端に形成させると共に、右辺5の近傍の山折り可能部17a,17bによって挟まれる第1山折り線6又は第4山折り線9を谷折りし、係止凹部32を前記他方の開口端に形成させる。これにより、両係止凹部32が前記梱包物の両端部又は該梱包物の凹部に係止し、梱包材の内部における該梱包物の移動を規制することができる。
【0028】
この時、左切欠部28の斜め切欠線28aが左辺4側の第1山折り線6の上方に形成された山折り可能部17aに対応するように形成され、右切欠部29の斜め切欠線29aが右辺5側の第1山折り線6の上方に形成された山折り可能部17aに対応するように形成されているため、左辺4側及び右辺5側の第1山折り線6の上方に形成された山折り可能部17aが山折りされた状態はしっかり保持される。
【0029】
さらに、この時、左辺4の近傍の第4山折り線9を挟んで上方に形成された山折り可能部17aはその左端が第3山折り線8の左端に一致するように形成され、右辺5の近傍の第4山折り線9を挟んで上方に形成された山折り可能部17aはその右端が第3山折り線8の右端に一致するように形成されているため、左辺4側及び右辺5側の第4山折り線6の上方に形成された山折り可能部17aが山折りされた状態はしっかり保持される。
【0030】
また、例えば、前記梱包物の長さが比較的短い場合には、左辺4の近傍の山折り可能部17a,17bと右辺5の近傍の山折り可能部17a,17bの間の山折り可能部17a,17bによって挟まれる第1山折り線6を谷折りし、中央側で一方又は両方の係止凹部32を形成させることもできる。この場合、矩形切欠部30,31の縦切欠線30a,30b及び31a、31bが、左辺4の近傍の切り込み部15aと右辺5の近傍の切り込み部15aとの間に形成された短い切り込み部15aと長い切り込み部15bにそれぞれ対応するように形成されているため、前記山折り可能部17aの山折りされた状態はしっかり保持される。
【0031】
このように上記した本発明の実施の形態に係る梱包材によれば、山折り可能部17a,17bを第1山折り線6又は第4山折り線9を挟んでハの字を描くように傾斜させることにより、係止凹部32の折り曲げ深さを深くすることなく、内部の梱包物をしっかり押さえることができる。また、例え梱包作業中に外部から力が加わったとしても、梱包材が破損したり、係止凹部32の折り曲げ形状が崩れたりし難く、歩留りを高めることができる。さらに、梱包材の外形寸法を小さくすることができ、梱包材の製造コストの低減化を図ることができる。
【0032】
また、係止凹部32を両端側だけでなく中央側にも形成することにより、内部に収納する梱包物の形状や長さによって、梱包材の形状や長さをそのつど変更する必要がないため、梱包材の共通化を図ることができ、リサイクルが可能となる。さらに、複数個に分割された梱包物を一つの梱包材に一度に収納することもでき、搬送コストの低減化を図ることもできる。
【0033】
さらに、切り込み部15a,15bの両端部に刳り貫き孔16a,16bを設けることにより、係止凹部32の折り曲げ作業をよりスムーズ且つ確実に行うことができるようになる。
【0034】
なお、上記した本発明の実施の形態の説明は、本発明に係る梱包材における好適な実施の形態を説明しているため、梱包材の形状や、係止凹部32の個数、設置位置等において、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。さらに、上記した本発明の実施の形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0035】
1 厚紙
6,7,8,9 山折り線
15a,15b 切り込み部
16a,16b 両端部
17a,17b 山折り可能部
32 係止凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚紙を山折り線に沿って折り曲げて組み立てることにより多角筒状に形成され、内部に梱包物を収納する梱包材であって、
前記山折り線に対して交差するように形成される切り込み部と、前記山折り線を挟んでハの字を描くように前記切り込み部の両端部から直線状に形成される山折り可能部と、を備え、
前記山折り可能部によって挟まれる前記山折り線を谷折りすると、前記山折り可能部に沿って山折りされ、前記内部の梱包物の移動を規制する係止凹部が前記山折り線上に形成可能なように構成されていることを特徴とする梱包材。
【請求項2】
前記切り込み部は両開口端近傍に形成され、前記山折り可能部は前記切り込み部の両端部から前記開口端に掛けて形成されており、前記係止凹部が前記両開口端に形成可能なように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項3】
前記切り込み部は互いに対向する位置に2個一対で形成され、前記山折り可能部は前記各切り込み部の両端部同士を結んだ直線上に形成されており、前記係止凹部が少なくとも3箇所に形成可能なように構成されている請求項2に記載の梱包材。
【請求項4】
前記切り込み部の両端部には刳り貫き孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の梱包材。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−95492(P2013−95492A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241101(P2011−241101)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】