説明

梱包箱及び梱包装置

【課題】薄型表示装置の梱包に用いられる梱包装置の転倒を防止するために、転倒防止用の部材を梱包箱と組み合わせて使用すると、梱包装置の価格が上昇してしまう。
【解決手段】本発明の梱包箱100は、電子機器を収容するとともに、縦方向及び横方向の寸法に比べて奥行き方向の寸法が小さい直方体形状の梱包箱本体101と、梱包箱本体101の下部に位置するように梱包箱本体101を構成する梱包材に一体に形成されるとともに、梱包箱本体101の主面から当該梱包箱本体101の奥行き方向に突出する状態で梱包箱本体101に留め付けられる翼板部53a,53bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包箱及び梱包装置に係り、特に、薄型表示装置などの電子機器を梱包する場合に用いて好適な梱包箱及び梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等で最終製品に組み立てられた電子機器は、当該電子機器の形状や寸法に適合する梱包箱を用いて梱包され、国内又は国外に向けて出荷される。近年、テレビジョン向けやコンピュータ向けの表示装置は、例えば、液晶表示装置やプラズマ表示装置、有機EL表示装置に代表されるように薄型化されている。このような薄型表示装置(平面型表示装置)には、縦方向及び横方向の寸法に比べて奥行き方向の寸法が小さい直方体形状の梱包箱が用いられている。
【0003】
上記のような直方体形状の梱包箱を用いて薄型表示装置などの電子機器を梱包した場合は、梱包箱の奥行き寸法が小さいために設置状態が安定せず、転倒しやすくなる。また、転倒を防止するために梱包箱の奥行き寸法を大きくすると、その分だけ積み荷の面積が大きくなる。このため、運送費がかさんでしまう。そこで、薄型表示装置などの電子機器に用いる梱包装置として、転倒防止機能を有する梱包装置が提案されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001―270589号公報
【特許文献2】特開2002−211669号公報
【特許文献3】特開2003−95368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載された梱包装置では、いずれも転倒防止用の部材を、梱包箱とは別個に設けた構成になっている。このため、梱包装置の価格が上昇してしまう。
【0006】
本発明の目的は、梱包装置の価格を上昇させることなく、梱包箱に転倒防止機能を付与することができる仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る梱包箱は、電子機器を収容するとともに、縦方向及び横方向の寸法に比べて奥行き方向の寸法が小さい直方体形状の梱包箱本体と、前記梱包箱本体の下部に位置するように前記梱包箱本体を構成する梱包材に一体に形成されるとともに、前記梱包箱本体の主面から当該梱包箱本体の奥行き方向に突出する状態で前記梱包箱本体に留め付けられる翼板部とを有するものである。
【0008】
本発明に係る梱包装置は、上記構成の梱包装置と、前記翼板部を前記梱包箱本体の外面に留め付ける留め具とを備えるものである。
【0009】
本発明に係る梱包箱とこれを用いた梱包装置においては、梱包箱本体を構成する梱包材に一体に形成された翼板部を、梱包箱本体の主面から当該梱包箱本体の奥行き方向に突出させることで、当該翼板部の突出部分が梱包箱本体を支持する支持脚として機能する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、梱包箱本体を構成する梱包材に一体に形成された翼板部を用いて、梱包箱の転倒を防止することができる。このため、梱包装置の価格を上昇させることなく、梱包箱に転倒防止機能を付与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の参考形態に係る梱包箱の分解斜視図である。
【図2】梱包材の構造を示す展開図である。
【図3】梱包材の構造を示す展開図である。
【図4】梱包材の構造を示す展開図である。
【図5】梱包箱の組み立て手順を説明する図である。
【図6】梱包箱の組み立て手順を説明する図である。
【図7】梱包箱の構造を示す展開図である。
【図8】第1の取り付け姿勢で梱包箱を組み立てた図である。
【図9】第2の取り付け姿勢で梱包箱を組み立てた図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下に記述する実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0013】
本発明の実施の形態については、以下の順序で説明する。
1.参考形態
2.実施の形態
3.適用例
【0014】
<1.参考形態>
図1は本発明の参考形態に係る梱包箱の分解斜視図である。梱包箱100は、3つの梱包材1,2,3を用いて組み立てられる構成になっている。梱包箱100は、図示しない薄型表示装置などの電子機器を収容するものである。梱包箱100の本体部分(以下、「梱包箱本体」)は、縦方向及び横方向の寸法に比べて奥行き方向の寸法が小さい直方体形状に形成される。図中のX方向は横方向を示し、Z方向は縦方向を示し、Y方向は奥行き方向を示している。
【0015】
本書で記述する「縦方向」とは、梱包箱を水平面に設置した場合に「垂直方向(鉛直方向)」に沿う方向を意味し、梱包箱単体では梱包箱を正面方向(Y方向)及び側面方向(X方向)から見たときの「上下方向(梱包箱の高さ方向)」に相当する。また、本書で記述する「横方向」とは、梱包箱を水平面に設置した場合に「水平方向」に沿う方向を意味し、梱包箱単体では梱包箱を正面方向から見たときの「左右方向(梱包箱の幅方向)」に相当する。また、本書で記述する「奥行き方向」とは、梱包箱を水平面に設置した場合に「水平方向」に沿う方向を意味し、梱包箱単体では梱包箱を側面方向(X方向)から見たときの「左右方向(梱包箱の厚み方向)」に相当する。
【0016】
図2〜図4は梱包箱の組み立てに用いられる梱包材の展開図である。各々の梱包材1,2,3は、例えば、段ボール原紙を多層に積層して加工した板状の部材である。
【0017】
(梱包材1の構造)
梱包材1は、図2に示すように、主板部11と、一対の側板部12a,12bと、天板部13と、一対の蓋板部14a,14bとを一体に有している。主板部11は横長の長方形に形成されている。主板部11には、2つの貫通孔15a,15bと、2つのスリット孔16a,16bと、1つの閉じ孔17が形成されている。一対の側板部12a,12bは、主板部11の左右両側に設けられている。各々の側板部12a,12bは縦長の長方形でかつ1つの角部を斜めに切り欠いた形状に形成されている。一方の側板部12aには1つの閉じ孔18aが形成され、他方の側板部12bには1つの閉じ孔18bが形成されている。天板部13は横長の長方形に形成されている。天板部13は、主板部11の上側に設けられている。一対の蓋板部14a,14bは、それぞれに対応する側板部12a,12bの上側に設けられている。各々の蓋板部14a,14bは長方形に形成されている。
【0018】
主板部11と一方の側板部12aの境界には折り曲げ線L11が設けられ、主板部11と他方の側板部12bの境界には折り曲げ線L12が設けられている。また、主板部11と天板部13の境界には折り曲げ線L13が設けられている。また、一方の側板部12aとこれに対応する一方の蓋板部14aの境界には折り曲げ線L14が設けられ、他方の側板部12bとこれに対応する他方の蓋板部14bの境界には折り曲げ線L15が設けられている。本書で記述する「折り曲げ線」とは、板状の梱包材を折り曲げやすいように予め加工した直線状の折り曲げ案内部分をいう。
【0019】
(梱包材2の構造)
梱包材2は、図3に示すように、主板部21と、一対の側板部22a,22bと、天板部23と、一対の補助板部24a,24bとを一体に有している。主板部21は横長の長方形に形成されている。主板部21は、上記梱包材1の主板部11とほぼ同じ寸法に設定されている。主板部21には、2つの貫通孔25a,25bと、2つのスリット孔26a,26bと、1つの閉じ孔27が形成されている。一対の側板部22a,22bは、主板部21の左右両側に設けられている。各々の側板部22a,22bは縦長の長方形に形成されている。一方の側板部22aには1つの貫通孔28aが形成され、他方の側板部22bには1つの貫通孔28bが形成されている。天板部23は横長の長方形に形成されている。天板部23は、主板部21の上側に設けられている。一対の補助板部24a,24bは、主板部11の左右両側でかつ一対の側板部22a,22bの外側に設けられている。各々の補助板部24a,24bは縦長の形状に形成されている。一方の補助板部24aには1つの貫通孔29が形成されている。
【0020】
主板部21と一方の側板部22aの境界には折り曲げ線L21が設けられ、主板部21と他方の側板部22bの境界には折り曲げ線L22が設けられている。また、主板部21と天板部23の境界には折り曲げ線L23が設けられている。また、一方の側板部22aとこれに対応する一方の補助板部24aの境界には折り曲げ線L24が設けられ、他方の側板部22bとこれに対応する他方の補助板部24bの境界には折り曲げ線L25が設けられている。
【0021】
(梱包材3の構造)
梱包材3は、図4に示すように、底板部31と、一対の縁板部32a,32bと、一対の翼板部33a,33bとを一体に有している。底板部31は横長の長方形に形成されている。底板部31には、2つのガイド部34a,34bが形成されている。一対の縁板部32a,32bは横長の形状に形成されている。一方の縁板部32aには、2つの貫通孔35a,35bと、2つのスリット孔36a,36bと、2つのガイド部37a,37bが形成されている。他方の縁板部32bには、2つの貫通孔38a,38bと、2つのスリット孔39a,39bと、2つのガイド部40a,40bが形成されている。
【0022】
一対の翼板部33a,33bは、底板部31の長手方向の両側に設けられている。各々の翼板部33a,33bは、底板部31の短手方向に長い帯状に形成されている。一方の翼板部33aには、2つの貫通孔41a,41bと、2つの舌片部42a,42bが形成されている。2つの舌片部42a,42bは、翼板部33aの長手方向の両端部に形成され、それよりも少し内側(翼板部33aの長手方向の中心側)に貫通孔41a,41bが形成されている。他方の翼板部33bには、2つの貫通孔43a,43bと、2つの舌片部44a,44bが形成されている。2つの舌片部44a,44bは、翼板部33bの長手方向の両端部に形成され、それよりも少し内側に貫通孔43a,43bが形成されている。
【0023】
底板部31と一方の縁板部32aの境界には折り曲げ線L31が設けられ、底板部31と他方の縁板部32bの境界には折り曲げ線L32が設けられている。また、底板部31と一方の翼板部33aの境界には折り曲げ線L33が設けられ、底板部31と他方の翼板部33bの境界には折り曲げ線L34が設けられている。
【0024】
また、一方の翼板部33aには、当該翼板部33aを長手方向で3つの領域に区分する状態で2つの折り曲げ線L35,L36が設けられている。同様に、他方の翼板部33bには、当該翼板部33bを長手方向で3つの領域に区分する状態で2つの折り曲げ線L37,L38が設けられている。折り曲げ線L35,L36の間隔と、折り曲げ線L37,L38の間隔は、それぞれ折り曲げ線L31,L32の間隔よりも若干(例えば、20mmほど)広くなっている。
【0025】
(梱包箱の組み立て)
上記3つの梱包材1,2,3を用いて梱包箱100を組み立てる場合は、まず、上記図1に示すように、各々の梱包材1,2,3を折り曲げる。すなわち、梱包材1に関しては、折り曲げ線L1,L2を境にして一対の側板部12a,12bを同じ方向に折り曲げる。また、天板部13は、折り曲げ線L13を境にして外側に開いた状態に折り曲げる。また、一対の蓋板部14a,14bは、折り曲げ線L14,L15を境にして外側に開いた状態に折り曲げる。
【0026】
梱包材2に関しては、折り曲げ線L21,L22を境にして一対の側板部22a,22bを同じ方向に折り曲げる。また、天板部23は、折り曲げ線L23を境にして外側に開いた状態に折り曲げる。また、一対の補助板部24a,24bに関しては、折り曲げ線L24,L25を境にして内向きに折り曲げる。
【0027】
梱包材3に関しては、折り曲げ線L31,L32を境にして一対の縁板部32a,32bを同じ方向に折り曲げる。
【0028】
このように各々の梱包材1,2,3を折り曲げた状態で、梱包材1の主板部11の下部を梱包材3の縁板部32bに外側から接触させるとともに、梱包材2の主板部21の下部を梱包材3の縁板部32aに外側から接触させる。また、梱包材2の補助板部24a,24bを梱包材1の主板部11に内側から接触させるとともに、梱包材1の側板部12a,12bを梱包材2の側板部22a,22bに外側から接触させる。
【0029】
これにより、梱包材1の側板部12aと梱包材2の側板部22aが重ね合わせられるとともに、梱包材1の側板部12bと梱包材2の側板部22bが重ね合わせられる。また、梱包材1の閉じ孔18aと梱包材2の貫通孔28aが重ね合わせられるとともに、梱包材1の閉じ孔18bと梱包材2の貫通孔28bが重ね合わせられる。また、梱包材1の閉じ孔17と梱包材2の貫通孔29が重ね合わせられる。また、梱包材1の貫通孔15aが梱包材3の貫通孔38aに重ね合わせられるとともに、梱包材1の貫通孔15bが梱包材3の貫通孔38bに重ね合わせられる。また、梱包材2の貫通孔25aが梱包材3の貫通孔35aに重ね合わせられるとともに、梱包材1の貫通孔25bが梱包材3の貫通孔35bに重ね合わせられる。
【0030】
次に、梱包材3に関して、図5に示すように、折り曲げ線L33を境にして翼板部33aを折り曲げるとともに、折り曲げ線L34を境にして翼板部33bを折り曲げる。さらに、折り曲げ線L35,L36を境にして翼板部33aを折り曲げるとともに。折り曲げ線L37,L38を境にして翼板部33bを折り曲げる。このとき、翼板部33aの舌片部42aを梱包材2のスリット孔26aに挿し込むとともに、翼板部33aの舌片部42bを梱包材1のスリット孔16aに挿し込む。また、翼板部33bの舌片部44aを梱包材2のスリット孔26bに挿し込むとともに、翼板部33bの舌片部44bを梱包材1のスリット孔16bに挿し込む。
【0031】
これにより、一方の翼板部33aは、梱包材1の主板部11の外面と、梱包材1の側板部12aの外面と、梱包材2の主板部21の外面に、それぞれ沿うようにコ字形に折り曲げられた状態となる。また、翼板部33aの貫通孔41aは梱包材2の貫通孔25aに重ね合わせられ、翼板部33aの貫通孔41bは梱包材1の貫通孔15aに重ね合わせられる。
【0032】
他方の翼板部33bは、梱包材1の主板部11の外面と、梱包材1の側板部12bの外面と、梱包材2の主板部21の外面に、それぞれ沿うようにコ字形に折り曲げられた状態となる。また、翼板部33bの貫通孔43aは梱包材2の貫通孔25bに重ね合わせられ、翼板部33bの貫通孔43bは梱包材1の貫通孔15bに重ね合わせられる。
【0033】
このようにして梱包箱100の梱包箱本体101を直方体形状に組み立てたら、梱包箱本体101の上部開口を通して電子機器(薄型表示装置)200を図示しない緩衝材とともに梱包箱本体101内に収容する。その際、梱包箱本体101内では、予め上記6つのガイド部34a,34b,37a,37b,40a,40bをそれぞれ内側に突出するように直角に折り曲げた状態にすることで、緩衝材を支持するためのガイドとして利用する。
【0034】
その後、図6に示すように、梱包箱本体101の上部開口を閉じて粘着テープ300で封をする。梱包箱本体101の上部開口は、折り曲げ線L14,L15を境にして蓋板部14a,14bを内側に折り曲げた後、折り曲げ線L13,L23を境にして天板部13,23を折り曲げることにより閉じる。また、粘着テープ300は、天板部13,23の合わせ目部分に沿って梱包箱本体101に貼り付ける。
【0035】
また、粘着テープ300を貼り付けた後(又は貼り付ける前)に、梱包材3の翼板部33a,33bに設けられた各々の貫通孔41a,41b,43a,43bに1個ずつ留め具102を挿し込む。留め具102は、梱包箱100に対して着脱可能に取り付けられるものである。留め具102は、梱包箱100との組み合わせによって、梱包装置を構成するものである。各々の貫通孔41a,41b,43a,43bのうち、例えば、貫通孔43bの部分に差し込まれる留め具102は、当該貫通孔43bを通して、これに重なり合う梱包材1の貫通孔15bと梱包材3自身の貫通孔38bにも同時に挿し込まれる。そして、この留め具102は、貫通孔43bの部分で、梱包材3の翼板部33bの一方側を梱包材1の主板部11の外面に留め付けるとともに、梱包材1,3同士を結合する。この点は、他の貫通孔41a,41b,43aに留め具102を挿し込む場合についても同様である。
【0036】
留め具102は、各々の貫通孔41a,41b,43a,43bの部分で、梱包材同士を結合できる構造であれば、どのような構造のものを用いてかまわない。例えば、留め具を貫通孔に差し込んだ状態で、留め具の奥側(先端側)の外径が拡開することにより、梱包材同士を結合する構造であってもよい。また、留め具を貫通孔に差し込んだ状態で、留め具自身を回転させることにより、梱包材同士を結合する構造であってもよい。
【0037】
以上述べた参考形態に係る梱包装置においては、直方体形状をなす梱包箱100の奥行き方向の寸法(奥行き寸法)が、当該梱包箱100の縦方向の寸法(高さ寸法)や横方向の寸法(幅寸法)に比べて小さくなっている。このため、梱包箱100の設定状態が不安定で転倒しやすいものとなる。したがって、水平に設置した梱包箱100に対して奥行き方向に振動や衝撃等が加わると、梱包箱100が転倒する恐れがある。特に薄型表示装置などの電子機器は今後も薄型化が進む傾向にあり、それに伴って梱包箱の奥行き寸法も小さくなるため、ますます転倒しやすい状況となる。
【0038】
<2.実施の形態>
上記の状況に鑑みて、本発明の実施の形態においては、電子機器の梱包装置に用いられる梱包箱の構成として、次のような構成を採用することとした。すなわち、上記参考形態で説明した各々の梱包材1,2,3のうち、梱包材1,2については共通の構成を採用し、梱包材3については、これに変えて図7に示すような構成を採用する。なお、本発明の実施の形態においては、3つの梱包材を用いて1つの梱包箱を組み立てる場合を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限らず、1つ、又は2つ、或いは4つ以上の梱包材を用いて1つの梱包箱を組み立てる構成であってもかまわない。
【0039】
(梱包材5の構造)
梱包材5は、図7に示すように、底板部51と、一対の縁板部52a,52bと、一対の翼板部53a,53bとを一体に有している。底板部51は横長の長方形に形成されている。底板部51には、2つのガイド部54a,54bが形成されている。一対の縁板部52a,52bは横長の形状に形成されている。一方の縁板部52aには、2つの貫通孔55a,55bと、2つのスリット孔56a,56bと、2つのガイド部57a,57bが形成されている。他方の縁板部52bには、2つの貫通孔58a,58bと、2つのスリット孔59a,59bと、2つのガイド部60a,60bが形成されている。
【0040】
一対の翼板部53a,53bは、底板部51の長手方向の両側に設けられている。各々の翼板部53a,53bは、底板部51の短手方向に長い帯状に形成されている。一方の翼板部53aには、4つの貫通孔61a,61b,62a,62bと、4つの舌片部63a,63b,64a,64bが形成されている。2つの舌片部63a,63bは、翼板部53aの長手方向の両端部に形成され、それよりも少し内側(翼板部53aの長手方向の中心側)に貫通孔61a,61bが形成されている。さらに、貫通孔61a,61bの少し内側に舌片部64a,64bが形成され、それよりも少し内側に貫通孔62a,62bが形成されている。
【0041】
他方の翼板部53bには、4つの貫通孔65a,65b,66a,66bと、4つの舌片部67a,67b,68a,68bが形成されている。2つの舌片部67a,67bは、翼板部53bの長手方向の両端部に形成され、それよりも少し内側(翼板部53bの長手方向の中心側)に貫通孔65a,65bが形成されている。さらに、貫通孔65a,65bの少し内側に舌片部68a,68bが形成され、それよりも少し内側に貫通孔66a,66bが形成されている。
【0042】
底板部51と一方の縁板部52aの境界には折り曲げ線L51が設けられ、底板部51と他方の縁板部52bの境界には折り曲げ線L52が設けられている。また、底板部51と一方の翼板部53aの境界には折り曲げ線L53が設けられ、底板部51と他方の翼板部53bの境界には折り曲げ線L54が設けられている。
【0043】
また、一方の翼板部53aには、当該翼板部53aを長手方向で7つの領域に区分する状態で6つの折り曲げ線L55,L56,L57,L58,L59,L60が設けられている。翼板部53aの長手方向においては、折り曲げ線L55よりも外側の部分が第1の翼片部71aとなっており、折り曲げ線L56よりも外側の部分が第2の翼片部71bとなっている。第1の翼片部71aは、折り曲げ線L57,L59によって3つの領域に区分され、第2の翼片部72bは、折り曲げ線L58,L60によって3つの領域に区分されている。折り曲げ線L57は貫通孔62aを跨ぐ状態で形成され、折り曲げ線L58は貫通孔62bを跨ぐ状態で形成されている。
【0044】
同様に、他方の翼板部53bには、当該翼板部53bを長手方向で7つの領域に区分する状態で6つの折り曲げ線L61,L62,L63,L64,L65,L66が設けられている。翼板部53bの長手方向においては、折り曲げ線L61よりも外側の部分が第1の翼片部72aとなっており、折り曲げ線L62よりも外側の部分が第2の翼片部72bとなっている。第1の翼片部72aは、折り曲げ線L63,L65によって3つの領域に区分され、第2の翼片部72bは、折り曲げ線L64,L66によって3つの領域に区分されている。折り曲げ線L63は貫通孔66aを跨ぐ状態で形成され、折り曲げ線L64は貫通孔66bを跨ぐ状態で形成されている。折り曲げ線L55,L56の間隔と、折り曲げ線L61,L62の間隔は、それぞれ折り曲げ線L51,L52の間隔よりも若干(例えば、20mmほど)広くなっている。
【0045】
また、上記参考形態で例示した梱包材3の構造と比較すると、梱包材5における底板部51と縁板部52a,52bの構造(形状、寸法)は、梱包材3における底板部31と縁板部32a,32bの構造と基本的(軽微な違いを除いて)に共通の構造になっている。また、翼板部53aの貫通孔62a,62bは翼板部33aの貫通孔41a,41bと同じ位置に形成され、翼板部53aの舌片部64a,64bは翼板部33aの舌片部42a,42bと同じ位置に形成されている。また、翼板部53bの貫通孔66a,66bは翼板部33bの貫通孔43a,43bと同じ位置に形成され、翼板部53bの舌片部68a,68bは翼板部33bの舌片部44a,44bと同じ位置に形成されている。
【0046】
ただし、一対の翼板部53a,53bの長手寸法は、一対の翼板部33a,33bの長手寸法よりも長く設定されている。すなわち、翼板部53aの長手方向の両端部は、それぞれに対応する縁板部52a,52bの外辺よりも外側(図7の上下方向)に突出した状態に形成され、その突出部分に貫通孔61a,61bと舌片部63a,63bが形成されている。同様に、翼板部53bの長手方向の両端部は、それぞれに対応する縁板部52a,52bの外辺よりも外側に突出した状態に形成され、その突出部分に貫通孔65a,65bと舌片部67a,67bが形成されている。
【0047】
(梱包箱の組み立て)
3つの梱包材1,2,5を用いて梱包箱100を組み立てる場合は、梱包材1,2をそれぞれ上記参考形態と同様に折り曲げるとともに、梱包材5を次のように折り曲げる。すなわち、梱包材5に関しては、折り曲げ線L51,L52を境にして一対の縁板部52a,52bを同じ方向に折り曲げる。
【0048】
このように各々の梱包材1,2,5を折り曲げた状態で、梱包材1の主板部11の下部を梱包材5の縁板部52bに外側から接触させるとともに、梱包材2の主板部21の下部を梱包材5の縁板部52aに外側から接触させる。また、梱包材2の補助板部24a,24bを梱包材1の主板部11に内側から接触させるとともに、梱包材1の側板部12a,12bを梱包材2の側板部22a,22bに外側から接触させる。
【0049】
これにより、梱包材1の側板部12aと梱包材2の側板部22aが重ね合わせられるとともに、梱包材1の側板部12bと梱包材2の側板部22bが重ね合わせられる。また、梱包材1の閉じ孔18aと梱包材2の貫通孔28aが重ね合わせられるとともに、梱包材1の閉じ孔18bと梱包材2の貫通孔28bが重ね合わせられる。また、梱包材1の閉じ孔17と梱包材2の貫通孔29が重ね合わせられる。また、梱包材1の貫通孔15aが梱包材5の貫通孔58aに重ね合わせられるとともに、梱包材1の貫通孔15bが梱包材5の貫通孔58bに重ね合わせられる。また、梱包材2の貫通孔25aが梱包材5の貫通孔55aに重ね合わせられるとともに、梱包材1の貫通孔25bが梱包材5の貫通孔55bに重ね合わせられる。
【0050】
次に、梱包材5に関して、折り曲げ線L53を境にして翼板部53aを折り曲げるとともに、折り曲げ線L54を境にして翼板部53bを折り曲げる。また、翼板部53aについては、折り曲げ線L57,L59を境にして第1の翼片部71aをV字形に折り曲げるとともに、折り曲げ線L58,L60を境にして第2の翼片部71bをV字形に折り曲げる。これにより、第1の翼片部71aの先端側を梱包材2の主板部21の外面に沿わせるとともに、第2の翼片部71bの先端側を梱包材1の主板部11の外面に沿わせる。さらに、第1の翼片部71a先端の舌片部63aを梱包材2のスリット孔26aに挿し込むとともに、第2の翼片部71b先端の舌片部63bを梱包材1のスリット孔16aに挿し込む。これにより、第1の翼片部71aの貫通孔61aは梱包材2の貫通孔25aに重ね合わせられ、第2の翼片部71bの貫通孔61bは梱包材1の貫通孔15aに重ね合わせられる。
【0051】
一方、翼板部53bについては、折り曲げ線L63,L65を境にして第1の翼片部72aをV字形に折り曲げるとともに、折り曲げ線L64,L66を境にして第2の翼片部72bをV字形に折り曲げる。これにより、第1の翼片部72aの先端側を梱包材2の主板部21の外面に沿わせるとともに、第2の翼片部72bの先端側を梱包材1の主板部11の外面に沿わせる。さらに、第1の翼片部72a先端の舌片部67aを梱包材2のスリット孔26aに挿し込むとともに、第2の翼片部72b先端の舌片部67bを梱包材1のスリット孔16aに挿し込む。これにより、第1の翼片部72aの貫通孔65aは梱包材2の貫通孔25bに重ね合わせられ、第2の翼片部72bの貫通孔65bは梱包材1の貫通孔15bに重ね合わせられる。
【0052】
このようにして梱包箱100の梱包箱本体101を直方体形状に組み立てたら、上記参考形態と同様に、梱包箱本体101の上部開口を通して電子機器(薄型表示装置)を緩衝材とともに梱包箱本体101内に収容する。また、梱包箱本体101の上部開口を閉じて粘着テープで封をする。ちなみに、3つの梱包材1,2,5を用いて直方体形状に形成される梱包箱本体101の6つの外面のうち、梱包材1の主板部11によって形成される面と、梱包材2の主板部21によって形成される面は、いずれも梱包箱本体101の主面となる。梱包箱本体101の主面とは、直方体形状を形作る6つの面のうち、最も面積が大きい面をいう。
【0053】
次に、粘着テープを貼り付けた後(又は貼り付ける前)に、図8に示すように、梱包材5の翼板部53a,53bに設けられた各々の貫通孔61a,61b,65a,65bに1個ずつ留め具102を挿し込む。これにより、翼板部53aの第1の翼片部71aは、貫通孔61aに装着される留め具102によって、梱包材2の主板部21の外面に留め付けられる。また、翼板部53aの第2の翼片部71bは、貫通孔61bに装着される留め具102によって、梱包材1の主板部11の外面に留め付けられる。同様に、翼板部53bの第1の翼片部72aは、貫通孔65aに装着される留め具102によって、梱包材2の主板部21の外面に留め付けられる。また、翼板部53aの第2の翼片部72bは、貫通孔65bに装着される留め具102によって、梱包材1の主板部11の外面に留め付けられる。
【0054】
このように梱包箱100を組み立てた場合は、一対の翼板部53a,53bが第1の取り付け姿勢で取り付けられることになる。すなわち、一方の翼板部53aに関しては、第1の翼片部71aが、梱包箱本体101の奥行き方向の一方に配置されるとともに、第2の翼片部71bが、梱包箱本体101の奥行き方向の他方に配置される。また、第1の翼片部71aが梱包材2の主板部21の外面から奥行き方向の一方に突出した状態に配置されるとともに、第2の翼片部71bが梱包材1の主板部11の外面から奥行き方向の他方に突出した状態に配置される。また、第1の翼片部71aはV字形に折り曲げられた状態で梱包箱本体101の奥行き方向に突出し、第2の翼片部71bもV字形に折り曲げられた状態で梱包箱本体101の奥行き方向に突出した状態となる。また、他方の翼板部53bに関しては、第1の翼片部72aが、梱包箱本体101の奥行き方向の一方に配置されるとともに、第2の翼片部72bが、梱包箱本体101の奥行き方向の他方に配置される。また、第1の翼片部72aが梱包材2の主板部21の外面から奥行き方向の一方に突出した状態に配置されるとともに、第2の翼片部72bが梱包材1の主板部11の外面から奥行き方向の他方に突出した状態に配置される。また、第1の翼片部72aはV字形に折り曲げられた状態で梱包箱本体101の奥行き方向に突出し、第2の翼片部72bもV字形に折り曲げられた状態で梱包箱本体101の奥行き方向に突出した状態となる。また、底板部51が設置される設置面に対して、各々の翼板部53a,53bの最下部が近接した状態で配置される。
【0055】
一対の翼板部53a,53bを第1の取り付け姿勢で取り付けた場合は、梱包箱本体101の奥行き方向に突出する第1の翼片部71a,72aと第2の翼片部71b,72bが、それぞれ梱包箱本体101を支持する支持脚を構成するものとなる。この支持脚は梱包箱100の転倒を防止する機能を果たす。このため、転倒防止用の別部材を梱包箱100と組み合わせなくても、梱包箱100の転倒を防止することができる。その結果、梱包装置の価格を上昇させることなく、梱包箱100に転倒防止機能を付与することができる。また、第1の翼片部71a,72aと第2の翼片部71b,72bは、それぞれV字形に折れ曲がった状態で奥行き方向に突出しているため、支持脚として機能する突出部分の機械的な強度を高めることができる。このため、重量の重い電子機器に対する転倒防止機能を強化することができる。また、梱包箱本体101の幅方向の両側に翼板部53a,53bを設けているため、片側のみに翼板部を設ける場合に比べて、転倒防止効果を高めることができる。
【0056】
また、梱包箱100を組み立てる場合は、一対の翼板部53a,53bを、上記第1の取り付け姿勢と異なる第2の取り付け姿勢で取り付けることも可能である。一対の翼板部53a,53bを第2の取り付け姿勢で取り付ける場合は、梱包材5に関して、上記同様に折り曲げ線L53を境にして翼板部53aを折り曲げるとともに、折り曲げ線L54を境にして翼板部53bを折り曲げる。
【0057】
次に、翼板部53aについては、貫通孔61a,62a同士が重なるように第1の翼片部71aを折り畳むとともに、貫通孔61b,62b同士が重なるように第2の翼片部71bを折り畳む。また、折り曲げ線L55を境にして第1の翼片部71aを折り曲げるとともに、折り曲げ線L56を境にして第2の翼片部71bを折り曲げる。これにより、図9に示すように、第1の翼片部71aを梱包材2の主板部21の外面に沿わせるとともに、第2の翼片部71bを梱包材1の主板部11の外面に沿わせる。さらに、第1の翼片部71aの舌片部64aを梱包材2のスリット孔26aに挿し込むとともに、第2の翼片部71bの舌片部64bを梱包材1のスリット孔16aに挿し込む。これにより、第1の翼片部71aの貫通孔61a,64aは梱包材2の貫通孔25aに重ね合わせられ、第2の翼片部71bの貫通孔61b,64bは梱包材1の貫通孔15aに重ね合わせられる。
【0058】
一方、翼板部53bについては、貫通孔65a,66a同士が重なるように第1の翼片部72aを折り畳むとともに、貫通孔65b,66b同士が重なるように第2の翼片部72bを折り畳む。また、折り曲げ線L61を境にして第1の翼片部72aを折り曲げるとともに、折り曲げ線L62を境にして第2の翼片部72bを折り曲げる。これにより、第1の翼片部72aを梱包材2の主板部21の外面に沿わせるとともに、第2の翼片部72bを梱包材1の主板部11の外面に沿わせる。さらに、第1の翼片部72aの舌片部68aを梱包材2のスリット孔26aに挿し込むとともに、第2の翼片部72bの舌片部68bを梱包材1のスリット孔16aに挿し込む。これにより、第1の翼片部72aの貫通孔65a,66aは梱包材2の貫通孔25bに重ね合わせられ、第2の翼片部72bの貫通孔65b,66bは梱包材1の貫通孔15bに重ね合わせられる。以降は、上記同様の手順で、粘着テープの貼り付けや留め具102の差し込みを行なって梱包箱100を組み立てる。
【0059】
このように梱包箱100を組み立てた場合は、一対の翼板部53a,53bが第2の取り付け姿勢で取り付けられることになる。すなわち、一方の翼板部53aに関しては、第1の翼片部71aが、梱包箱本体101の奥行き方向の一方に配置されるとともに、第2の翼片部71bが、梱包箱本体101の奥行き方向の他方に配置される。また、第1の翼片部71aが梱包材2の主板部21の外面に沿う状態に配置されるとともに、第2の翼片部71bが梱包材1の主板部11の外面に沿う状態に配置される。また、他方の翼板部53bに関しては、第1の翼片部72aが、梱包箱本体101の奥行き方向の一方に配置されるとともに、第2の翼片部72bが、梱包箱本体101の奥行き方向の他方に配置される。また、第1の翼片部72aが梱包材2の主板部21の外面に沿う状態に配置されるとともに、第2の翼片部72bが梱包材1の主板部11の外面に沿う状態に配置される。
【0060】
一対の翼板部53a,53bを第2の取り付け姿勢で取り付けた場合は、第1の翼片部71a,72aと第2の翼片部71b,72bが、それぞれ梱包箱本体101の奥行き方向に突出することなく梱包箱本体101の外面に沿って配置される。このため、一対の翼板部53a,53bを第1の取り付け姿勢で取り付ける場合に比べて、梱包箱100の最大幅寸法が小さくなる。
【0061】
また、一対の翼板部53a,53bを第1の取り付け姿勢で取り付ける場合は、貫通孔61a,61b,65a,65bにそれぞれ留め具102を差し込んで装着する。また、一対の翼板部53a,53bを第2の取り付け姿勢で取り付ける場合は、それらの貫通孔61a,61b,65a,65bに重なり合う貫通孔62a,62b,66a,66bにそれぞれ留め具102を差し込んで装着する。このことから、第1の翼片部71aは、第1の取り付け姿勢で留め具102が装着される貫通孔61aと、第2の取り付け姿勢で留め具102が装着される貫通孔62aを有するものとなる。また、第2の翼片部71bは、第1の取り付け姿勢で留め具102が装着される貫通孔61bと、第2の取り付け姿勢で留め具102が装着される貫通孔62bを有するものとなる。また、第1の翼片部72aは、第1の取り付け姿勢で留め具102が装着される貫通孔65aと、第2の取り付け姿勢で留め具102が装着される貫通孔66aを有するものとなる。また、第2の翼片部72bは、第1の取り付け姿勢で留め具102が装着される貫通孔65bと、第2の取り付け姿勢で留め具102が装着される貫通孔66bを有するものとなる。このため、各々の翼片部71a,68b,69a,69bにおいては、留め具102を装着する孔を変えるだけで、その取り付け姿勢を簡単に変えることができる。
【0062】
このように、一対の翼板部53a,53bは、第1の取り付け姿勢で取り付けることも、第2の取り付け姿勢で取り付けることもできる。また、留め具102は、前述したように梱包箱本体101に対して着脱可能となっている。このため、一対の翼板部53a,53bを第1の取り付け姿勢で取り付けた後に第2の取り付け姿勢で取り付け直したり、一対の翼板部53a,53bを第2の取り付け姿勢で取り付けた後に第1の取り付け姿勢で取り付け直したりすることもできる。
【0063】
また、翼板部53aの2つの翼片部71a,71bに関しては、次の3つの形態を択一的に採用することができる。1つは、翼片部71a,71bの両方を第1の取り付け姿勢で取り付ける形態である。もう1つは、翼片部71a,71bの両方を第2の取り付け姿勢で取り付ける形態である。他の1つは、翼片部71a,71bのうちの片方を第1の取り付け姿勢で取り付け、もう片方を第2の取り付け姿勢で取り付ける形態である。この点は、翼板部53bの2つの翼片部72a,72bに関しても同様である。
【0064】
また、一対の翼板部53a,53bに関しては、第1の翼片部71a,72aを第1の取り付け姿勢とし、かつ、第2の翼片部71b,72bを第2の取り付け姿勢とすることができる。またこれと逆に、第1の翼片部71a,72aを第2の取り付け姿勢とし、かつ、第2の翼片部71b,72bを第1の取り付け姿勢とすることができる。これ以外にも、梱包箱100を平面的に見て、対角線上の2つの翼片部(例えば、71a,72b)を第1の取り付け姿勢とし、他の2つの翼片部(例えば、71b,72a)を第2の取り付け姿勢とすることができる。さらに、4つの翼片部71a,71b,72a,72bの中から選択された1つ又は3つの翼片部を第1の取り付け姿勢とし、他の翼板部を第2の取り付け姿勢とするもできる。また、本発明を実施するにあたっては、必ずしも4つの翼片部71a,71b,72a,72bをすべて設ける必要はなく、少なくとも1つの翼片部を設けた構成とすればよい。
【0065】
また、具体的な梱包箱100の使用に際して、例えば、複数(少なくとも3つ)の梱包箱100を、主面同士を突き合わせて密に並べて設置する場合に、次のような形態を採用することが可能である。すなわち、梱包箱100の並び方向の最端部に配置される梱包箱100については、梱包箱本体101の奥行き方向の一方に配置される翼板部(例えば、71a,72a)だけを第1の取り付け姿勢とする。また、最端部よりも内側に配置される梱包箱100については、すべての翼板部を第2の取り付け姿勢とする。これにより、最端部の梱包箱100に付与される転倒防止機能を利用して、複数の梱包箱100の転倒をまとめて防止することができる。また、複数の梱包箱100を最小限のスペースで並べることができる。
【0066】
<3.適用例>
本発明に係る梱包箱とこれを用いた梱包装置は、縦方向及び横方向の寸法に比べて奥行き方向の寸法が小さい直方体形状の梱包箱本体に収容される電子機器であれば、薄型表示装置以外の電子機器を収容する場合に適用してもかまわない。
【符号の説明】
【0067】
1,2,5…梱包材、53a,53b…翼板部、71a,72a…第1の翼片部、71b,72b…第2の翼片部、100…梱包箱、101…梱包箱本体、102…留め具、200…電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を収容するとともに、縦方向及び横方向の寸法に比べて奥行き方向の寸法が小さい直方体形状の梱包箱本体と、
前記梱包箱本体の下部に位置するように前記梱包箱本体を構成する梱包材に一体に形成されるとともに、前記梱包箱本体の主面から当該梱包箱本体の奥行き方向に突出する状態で前記梱包箱本体に留め付けられる翼板部と
を有する梱包箱。
【請求項2】
前記翼板部は、前記梱包箱本体の主面から当該梱包箱本体の奥行き方向に突出する状態で取り付けられる第1の取り付け姿勢と、前記梱包箱本体の主面に沿う状態で取り付けられる第2の取り付け姿勢とを有する
請求項1記載の梱包箱。
【請求項3】
前記翼板部は、前記梱包箱本体の奥行き方向の一方に配置される第1の翼片部と、前記梱包箱本体の奥行き方向の他方に配置される第2の翼片部とを一体に有し、
前記第1の翼片部は、前記第1の取り付け姿勢では前記梱包箱本体の第1の主面から当該梱包箱本体の奥行き方向の一方に突出する状態で配置されるとともに、前記第2の取り付け姿勢では前記梱包箱本体の第1の主面に沿って配置され、
前記第2の翼片部は、前記第1の取り付け姿勢では前記梱包箱本体の第2の主面から当該梱包箱本体の奥行き方向の他方に突出する状態で配置され、前記第2の取り付け姿勢では前記梱包箱本体の第1の主面に沿って配置される
請求項2記載の梱包箱。
【請求項4】
前記翼板部は、前記第1の取り付け姿勢では前記梱包箱本体の主面から突出する部分が折れ曲がった状態に配置される
請求項2又は3記載の梱包箱。
【請求項5】
前記翼板部は、前記梱包箱本体の横方向の両側に設けられている
請求項1〜4のいずれか1項に記載の梱包箱。
【請求項6】
電子機器を収容するとともに、縦方向及び横方向の寸法に比べて奥行き方向の寸法が小さい直方体形状の梱包箱本体と、
前記梱包箱本体の下部に位置するように前記梱包箱本体を構成する梱包材に一体に形成されるとともに、前記梱包箱本体の主面から当該梱包箱本体の奥行き方向に突出する状態で前記梱包箱本体に留め付けられる翼板部と、
前記翼板部を前記梱包箱本体の外面に留め付ける留め具と
を備える梱包装置。
【請求項7】
前記翼板部は、前記梱包箱本体の主面から当該梱包箱本体の奥行き方向に突出する状態で取り付けられる第1の取り付け姿勢と、前記梱包箱本体の主面に沿う状態で取り付けられる第2の取り付け姿勢とを有する
請求項6記載の梱包装置。
【請求項8】
前記翼板部は、前記第1の取り付け姿勢で前記留め具が装着される第1の孔と、前記第2の取り付け姿勢で前記留め具が装着される第2の孔を有する
請求項7記載の梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−215276(P2010−215276A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65390(P2009−65390)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】