説明

梱包装置

【課題】被梱包物をダンボール等の梱包紙によって容易に梱包できる梱包装置を提供する。
【解決手段】作業台1と、この作業台1の下面側に設けられて、ロール状に巻き付けられた巻ダンボール6と、作業台1に設けられて、ロール状の巻ダンボール6を作業台1上に引き出し可能とする引出口15と、この引出口15の近傍に設けられて、引き出される巻ダンボール6に引出し方向に沿って所定深さでかつ被梱包物Kの幅とほぼ等しく離間する折曲用の切込みSを入れる切込み手段10とを備え、巻ダンボール6の先端部を被梱包物Kの上面に固定した状態で、該被梱包物Kを引出口15を挟んで例えば第1作業台2から第2作業台3へ移動させることによって、被梱包物Kに巻ダンボール6を巻き付けるとともに、この巻ダンボール6に切込み手段10によって被梱包物Kの幅とほぼ等しく離間する折曲用の切込みSを入れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具等の被梱包物を梱包する際に使用する梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被梱包物を梱包する方法の一例として、特許文献1に記載の技術が知られている。この梱包方法は、矩形状のダンボール等の梱包紙により筒状に製品を梱包するとともに、端部を内方に折り曲げて重ね、その後端部を貼着して形成することを特徴としている。
【特許文献1】特開平7−61408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記の従来の梱包方法では、矩形状のダンボールを折り曲げ製品を筒状に梱包しているので、製品の長さより長い矩形状のダンボールを予め複数種類用意しておき、これら複数種類のダンボールから所定のダンボールを選択し、この選択されたダンボールの所定の位置に製品を載せるという手間がかかる。また、ダンボールに対する製品の載置位置がずれていた場合、製品を持ち上げてずれを補正する必要がありさらに手間がかかることになる。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、被梱包物をダンボール等の梱包紙によって容易に梱包できる梱包装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図5に示すように、作業台1と、この作業台1の下面側に設けられて、ロール状に巻き付けられた梱包紙6と、前記作業台1に設けられて、前記ロール状の梱包紙6を作業台1上に引き出し可能とする引出口15と、この引出口15の近傍に設けられて、引き出される梱包紙6に引出し方向に沿って所定深さでかつ被梱包物Kの幅とほぼ等しく離間する折曲用の切込みSを入れる切込み手段10とを備え、
前記引き出された梱包紙6の先端部を前記被梱包物Kの上面に固定した状態で、該被梱包物Kを前記引出口15を挟んで前記作業台1の一方側(例えば第1作業台2)から他方側(例えば第2作業台3)へ移動させることによって、前記被梱包物Kに前記梱包紙6を巻き付けるとともに、この梱包紙6に前記切込み手段10によって被梱包物Kの幅とほぼ等しく離間する折曲用の切込みSを入れることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、まず作業台1の一方側に被梱包物Kを載置したうえで、ロール状の梱包紙6を引出口15から引き出してその先端部を被梱包物Kの上面に固定しておく。梱包紙6を引出口15から引き出す際に、該梱包紙6には、切込み手段10によって引出し方向に沿って所定深さでかつ被梱包物Kの幅とほぼ等しく離間する折曲用の切込みSが入れられる。
次に、梱包紙6の先端部を被梱包物Kの上面に固定した状態で、該被梱包物Kを引出口15を挟んで作業台1の一方側から他方側へ移動させる。すると、この被梱包物Kの移動にともなって、梱包紙6がさらに引き出されるとともに、この引き出された梱包紙6が被梱包物Kの一方の端面と下面とを被うように巻き付けられる。そして、さらに被梱包物Kを移動させることによって、被梱包物Kの他方の端面を被うに十分となるように梱包紙6を引き出す。また、このように梱包紙6を引き出す際に、該梱包紙6には、切込み手段10によって引出し方向に沿って所定深さでかつ被梱包物Kの幅とほぼ等しく離間する折曲用の切込みSが入れられる。
次に、引き出された梱包紙6の所定の位置をカッター等によって切断したうえで、この梱包紙6の端部で被梱包物Kの他方の端面を被うようにして、該梱包紙6の端部を被梱包物Kの上面の梱包紙6に、接着テープ等によって接着する。このようにして、被梱包物Kを容易に筒状に梱包できる。
そして、被梱包物Kを筒状に梱包した梱包紙6には、被梱包物Kの幅とほぼ等しく離間する折曲用の切込みSが形成されているので、この切込みSに沿って梱包紙6の縁部6aを被梱包物Kの側面に向けて折り曲げ、これら折り曲げられた梱包紙6の縁部6aどうしを、接着テープ17等によって接着することによって、被梱包物Kの側面側の少なくとも縁部を梱包紙6の縁部6aによって被うことができる。
このように、本発明によれば、ロール状の梱包紙6によって、異なる長さの被梱包物Kを容易に筒状に梱包できるとともに、被梱包物Kの側面側の少なくとも縁部を梱包紙6の縁部6aによって容易に被うことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の梱包装置において、
前記切込み手段10は、前記被梱包物Kの幅方向に離間し、かつ軸回りに回転可能に設けられた一対の円板状刃物12,12を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、切込み手段10が一対の円板状刃物12,12を備えているので、梱包紙6を引き出す際に、円板状刃物12,12によって、折曲用の切込みを容易に連続的に形成することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の梱包装置において、
前記一対の円板状刃物12,12は、その離間距離を調整可能に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、一対の円板状刃物12,12の離間距離を調整することによって、異なる幅の被梱包物Kに対して折曲用の切込みSを入れることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の梱包装置において、
前記作業台1上の前記一方側と他方側のうちの少なくともいずれかの側には、前記被梱包物Kを移動可能とするローラ6が設けられていることを特徴とする
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、作業台1上の前記一方側と他方側のうちの少なくともいずれかの側に設けられたローラ6上を被梱包物Kが移動することによって、被梱包物Kを引出口15を挟んで作業台1の一方側から他方側へ容易に移動させることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の梱包装置において、
前記作業台1が、第1作業台2と、第2作業台3とで構成されており、
前記第2作業台3に、前記梱包紙6、前記引出口15、前記切込み手段10が設けられており、
前記被梱包物Kを、前記引出口15を挟んで前記第1作業台2から第2作業台3に移動させることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、第2作業台3に、梱包紙6、引出口15、切込み手段10が設けられているので、第1作業台2は被梱包物Kを載置できれば、どのような台でもよい。したがって、適当な台に、第2作業台3を隣接して設置するだけで、梱包装置を構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、引き出された梱包紙の先端部を被梱包物の上面に固定した状態で、該被梱包物を引出口を挟んで前記作業台の一方側から他方側へ移動させることによって、被梱包物に前記梱包紙を巻き付けるので、被梱包物を容易に筒状に梱包できる。また、梱包紙に切込み手段によって被梱包物の幅とほぼ等しく離間する折曲用の切込みを入れるので、この切込みに沿って梱包紙の縁部を被梱包物の側面に向けて折り曲げ、これら折り曲げられた梱包紙の縁部どうしを、接着テープ等によって接着することによって、被梱包物の側面側の少なくとも縁部を梱包紙の縁部によって被うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る梱包装置の概略構成を示す斜視図である。この梱包装置は被梱包物Kを梱包する際に使用される作業台1を備えている。この作業台1は、第1作業台2と、この第1作業台2に隣接配置された第2作業台3とで構成されている。
【0017】
第1作業台2は、そのテーブル2aが昇降可能に設けられたものであり、該テーブル2aを第2作業台3のテーブル3aと同じ高さにして設置されている。
第2作業台3のテーブル3aには、支持アーム4,4が下方に垂下し、かつ互いに平行離間して設けられており、これら支持アーム4,4の下端部には、回転軸5が回転自在に支持されている。この回転軸5には梱包紙としての巻ダンボール6がロール状に巻き付けられている。
【0018】
また、第2作業台3の脚部3b,3bには、第1作業台2側に延出する支持アーム7,7が平行離間して設けられおり、これら支持アーム7,7には、ガイドローラ8が回転自在に取り付けられている。また、支持アーム7,7の先端部には、巻ダンボール6に切込みを入れる切込み手段10が設けられている。
この切込み手段は、図2に示すように、前記支持アーム7,7の先端部に回転自在に支持された回転軸11と、この回転軸11に取り付けられた一対の円板状刃物12,12とを備えている。円板状刃物12,12はドーナツ盤状に形成されており、その中央部の孔に回転軸11が挿通されている。
円板状刃物12,12は、被梱包物Kの幅方向に離間しており、その離間距離を調整可能に設けられている。すなわち、前記回転軸11には、離間距離調整区間において雄ねじ部13,13が形成されており、各雄ねじ部12に左右一対のナット14,14が螺合されており、これらナット14,14によって円板状刃物12が挟まれた状態となっている。したがって、ナット14,14を回転させて、その位置(回転軸11の軸方向の位置)を調整することによって、円板状刃物12,12は、その離間距離を調整可能となっている。
また、円板状刃物12,12は、前記ガイドローラ8の下端より上方に配置され、ガイドローラ8は、ロール状の巻ダンボール6の上端より下方に配置されている。これによって、引き出された巻ダンボール6には、所定のテンションがかかるようになっている。
【0019】
また、第2作業台3は、前記支持アーム7,7より前記第1作業台2側に延出する延出テーブル3cが設けられており、この延出テーブル3cは前記テーブル3aと面一となっている。この延出テーブル3cには、前記巻ダンボール6を作業台2,3上に引き出し可能とする引出口15が形成されている。この引出口15は上下に貫通する四角形状の孔であり、延出テーブル3cの幅方向に亙って長尺に形成されている。この引出口15の下方近傍に前記切込み手段10が配置されている。
さらに、第2作業台3のテーブル3aには、図3に示すように、ローラ16が複数取り付けられており、これらローラ16の上部はテーブル3aの上面より若干突出している。そして、これらローラ16上に被梱包物Kが載せられて、ローラ16が回転しつつローラ16上を移動することによって、該被梱包物Kが図3において左右に移動可能となっている。
【0020】
次に、上記構成の梱包装置を用いて被梱包物Kを巻ダンボール6によって梱包する方法について説明する。
まず、図3に示すように、第1作業台2のテーブル2aに被梱包物Kを載置したうえで、巻ダンボール6を引出口15から引き出してその先端部を被梱包物Kの上面に固定しておく。この固定は、例えば作業者が引き出された巻ダンボール6の先端部を被梱包物Kの上面に押え付けることにより行うが、巻ダンボール6の先端部を接着テープ等によって被梱包物Kに仮止めしておいてもよい。
また、巻ダンボール6を引出口15から引き出す際に、該巻ダンボール6は、ガイドローラ8を通って、切込み手段10の円板状刃物12,12に当たるので、この円板状刃物12,12によって、巻ダンボール6の上面には、引出し方向に沿って所定深さでかつ被梱包物Kの幅とほぼ等しく離間する折曲用の切込みが入れられる。
【0021】
次に、図4に示すように、巻ダンボール6の先端部を被梱包物Kの上面に固定した状態で、該被梱包物Kを引出口15を挟んで第1作業台2から第2作業台3へ移動させる。すると、この被梱包物Kの移動にともなって、巻ダンボール6がさらに引き出されるとともに、この引き出された巻ダンボール6が被梱包Kの一方の端面と下面とを被うように巻き付けられる。なお、被梱包物Kが第2作業台3のテーブル3aに移動すると、ローラ6が回転しつつ該ローラ6上を移動していくので、軽い力で容易に被梱包物Kを移動させることができる。
そして、さらに被梱包物Kを移動させることによって、被梱包物Kの他方の端面を被うに十分となるように巻ダンボール6を引き出す。また、このように巻ダンボール6を引き出す際に、該巻ダンボール6には、切込み手段10の円板状刃物12,12によって引出し方向に沿って所定深さでかつ被梱包物の幅とほぼ等しく離間する折曲用の切込みS,Sが入れられる(図6(a)参照)。
次に、図6(a)に示すように、引き出された巻ダンボール6の所定の位置をカッター等によって切断したうえで、図6(b)に示すように、この巻ダンボール6の端部で被梱包物Kの他方の端面を被うようにして、該巻ダンボール6の端部を被梱包物Kの上面の巻ダンボール6に、接着テープ等によって接着する。このようにして、被梱包物Kを容易に筒状に梱包できる。
【0022】
そして、被梱包物Kを筒状に梱包した巻ダンボール6には、被梱包物Kの幅とほぼ等しく離間する折曲用の切込みSが形成されているので、この切込みSに沿って巻ダンボール6の縁部6aを被梱包物Kの側面に向けて折り曲げ、これら折り曲げられた巻ダンボール6の縁部6a,6aどうしを、接着テープ17等によって接着することによって、被梱包物Kの側面側の縁部を巻ダンボール6の縁部によって被うことができる。
なお、被梱包物Kの側面側を全て被いたい場合は、巻ダンボール6の縁部6aの幅を広くして、該縁部6aによって被えばよい。
【0023】
このように、本実施の形態によれば、巻ダンボール6によって、異なる長さの被梱包物Kを容易に筒状に梱包できるとともに、被梱包物Kの側面側の縁部を巻ダンボール6の縁部6aによって容易に被うことができる。
また、切込み手段10が一対の円板状刃物12,12を備えているので、巻ダンボール6を引き出す際に、円板状刃物12,12によって、折曲用の切込みS,Sを容易に連続的に形成することができる。
さらに、一対の円板状刃物12,12の離間距離を調整することができるので、異なる幅の被梱包物Kに対して折曲用の切込みS,Sを入れることができる。
また、第2作業台3に、巻ダンボール6、引出口15、切込み手段10が設けられているので、第1作業台2の代わりに、被梱包物Kを載置できれば、どのような台を使用することができる。したがって、適当な台に、第2作業台3を隣接して設置するだけで、梱包装置を構成することができる。
【0024】
なお、本実施の形態では、被梱包物Kを第1作業台2に載置してから、第2作業台3に移動させることによって、被梱包物Kに巻ダンボール6を巻き付けるようにしたが、これとは逆に、被梱包物Kを第2作業台3に載置してから、第1作業台2に移動させることによって、被梱包物Kに巻ダンボール6を巻き付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る梱包装置の一例を示すもので、梱包装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】同、切込み手段を示す正面図である。
【図3】同、第1作業台に被梱包物を載置した状態を示す梱包装置の断面図である。
【図4】同、第2作業台に被梱包物を移動させた状態を示す梱包装置の断面図である。
【図5】同、第2作業台上の被梱包物を梱包した状態を示す梱包装置の断面図である。
【図6】本発明に係る梱包装置の第2作業台上で被梱包物を梱包する方法を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 作業台
2 第1作業台
3 第2作業台
6 巻ダンボール(梱包紙)
10 切込み手段
12 円板状刃物
15 引出口
16 ローラ
K 被梱包物
S 切込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業台と、この作業台の下面側に設けられて、ロール状に巻き付けられた梱包紙と、前記作業台に設けられて、前記ロール状の梱包紙を作業台上に引き出し可能とする引出口と、この引出口の近傍に設けられて、引き出される梱包紙に引出し方向に沿って所定深さでかつ被梱包物の幅とほぼ等しく離間する折曲用の切込みを入れる切込み手段とを備え、
前記引き出された梱包紙の先端部を前記被梱包物の上面に固定した状態で、該被梱包物を前記引出口を挟んで前記作業台の一方側から他方側へ移動させることによって、前記被梱包物に前記梱包紙を巻き付けるとともに、この梱包紙に前記切込み手段によって被梱包物の幅とほぼ等しく離間する折曲用の切込みを入れることを特徴とする梱包装置。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包装置において、
前記切込み手段は、前記被梱包物の幅方向に離間し、かつ軸回りに回転可能に設けられた一対の円板状刃物を備えていることを特徴とする梱包装置。
【請求項3】
請求項2に記載の梱包装置において、
前記一対の円板状刃物は、その離間距離を調整可能に設けられていることを特徴とする梱包装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の梱包装置において、
前記作業台上の前記一方側と他方側のうちの少なくともいずれかの側には、前記被梱包物を移動可能とするローラが設けられていることを特徴とする梱包装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の梱包装置において、
前記作業台が、第1作業台と、第2作業台とで構成されており、
前記第2作業台に、前記梱包紙、前記引出口、前記切込み手段が設けられており、
前記被梱包物を、前記引出口を挟んで前記第1作業台から第2作業台に移動させることを特徴とする梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−302301(P2007−302301A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132498(P2006−132498)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(000114086)ミサワホーム株式会社 (288)
【Fターム(参考)】