説明

梱包装置

【課題】梱包装置を介して被梱包機器に伝わる衝撃を軽減することができ、被梱包機器の変形や損傷を防ぐことができる梱包装置を得る。
【解決手段】貯湯式給湯器1を覆うスリーブと、スリーブの内面側に、貯湯式給湯器1を取り巻くように設けた突起状の凸型支持装置8とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被梱包機器を梱包する梱包装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の梱包装置においては、例えば「被包装物Aの上面側及び下面側に、平面形状が被包装物Aの平面形状よりも大きい上面用緩衝材11及び下面用緩衝材12を配設するとともに、被包装物Aの互いに対向する1対の側面2a,2bに、該側面2a,2bを覆うように側面用緩衝材13,14を配設する。」ものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、例えば「被梱包機器が横積みにされた時に底面となる梱包用外装箱の一側面3aの両角部に固定される一対の長板状の補強材10a,10bを設けるようにした。」ものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−337924号公報(要約、図1)
【特許文献2】特開2007−326608号公報(要約、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来より、例えば貯湯式給湯器などの被梱包機器(以下「機器」ともいう。)の運搬、保管、荷役を行う際には、機器に損傷が生じないように、キャップ状の天板、筒状のスリーブ、及び機器に固定される架台からなる梱包装置で覆うのが一般的である。
【0006】
しかしながら、梱包装置が外的衝撃を受けると、スリーブを介して衝撃が被梱包機器に伝わり、被梱包機器が損傷することがある、という問題点があった。
【0007】
例えば貯湯式給湯器などの背高形状の被梱包機器を運搬する際、運搬車の荷台に横積みされる場合がある。この場合、機器の側面(胴部)を覆うスリーブの上に他の物品が上積みされて、スリーブに外的衝撃が加わり、この外力により機器の変形や損傷が起こることがある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、梱包装置を介して被梱包機器に伝わる衝撃を軽減することができ、被梱包機器の変形や損傷を防ぐことができる梱包装置を得ることを目的とする。
【0009】
また、第2の目的は、比較的簡易な構成により、梱包装置を介して被梱包機器に伝わる衝撃を軽減することができる梱包装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る梱包装置は、被梱包機器を覆うスリーブと、前記スリーブの内面側に、前記被梱包機器を取り巻くように設けた突起状の凸型支持装置とを備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、突起状の凸型支持装置を、スリーブの内面側に、被梱包機器を取り巻くように設けたので、梱包装置を介して被梱包機器に伝わる衝撃を軽減することができ、被梱包機器の変形や損傷を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る梱包装置を概略的に示す斜視図である。
図2はこの発明の実施の形態1に係る梱包装置を概略的に示す縦断面図である。
梱包装置は、被梱包機器である貯湯式給湯器1を梱包するものである。
図1及び図2に示すように、梱包装置は、架台2、天板3、緩衝用補強材4a及び4b、上層スリーブ5、中層スリーブ6、下層スリーブ7、並びに凸型支持装置8a及び8bを備えている。
尚、上層スリーブ5、中層スリーブ6、及び下層スリーブ7を総称して「1組のスリーブ」ともいう。
【0013】
架台2は、貯湯式給湯器1の下に設けられた脚部a、脚部b1、及び脚部b2と固定金具により固定される。
天板3は、貯湯式給湯器1の上面を覆う。
緩衝用補強材4a及び4bは、天板3と貯湯式給湯器1の上面側端縁との間に配置され、貯湯式給湯器1の上端部の衝撃を緩和する。
【0014】
貯湯式給湯器1の側面を覆う1組のスリーブは、上方より、上層スリーブ5、中層スリーブ6、及び下層スリーブ7が、高さ方向に連結されている。
上層スリーブ5、中層スリーブ6、及び下層スリーブ7は、例えば段ボール製である。
尚、各スリーブの材質は必ずしも同一でなくても良い。また、段ボールに限らず、任意の材料を用いても良い。
【0015】
尚、本実施の形態1では、1組のスリーブは横断面四角形の場合を説明するが、これに限らず、横断面円形または多角形など、任意の形状でも良い。
【0016】
凸型支持装置8aは、上層スリーブ5の内面側に形成された突起により構成され、上層スリーブ5と中層スリーブ6との連結部分に、貯湯式給湯器1を取り巻くように設けられる。
凸型支持装置8bは、下層スリーブ7の内面側に形成された突起により構成され、下層スリーブ7と中層スリーブ6との連結部分に、貯湯式給湯器1を取り巻くように設けられる。
この凸型支持装置8a及び8bは、貯湯式給湯器1の側面(胴部)を、外部からの衝撃による変形や損傷を防ぐ働きをするものである。
【0017】
また、図2に示すように、凸型支持装置8aは、貯湯式給湯器1と当接して、貯湯式給湯器1と上層スリーブ5との間に、衝撃緩衝用の間隙9aを形成する。
つまり、貯湯式給湯器1本体、突起状の凸型支持装置8a、上層スリーブ5、及び天板3によって、断面長方形状の衝撃緩衝用の間隙9aが形成されている。
【0018】
また、凸型支持装置8bは、貯湯式給湯器1と当接して、貯湯式給湯器1と下層スリーブ7との間に、衝撃緩衝用の間隙9bを形成する。
つまり、貯湯式給湯器1本体、突起状の凸型支持装置8b、下層スリーブ7、及び架台2によって、断面長方形状の衝撃緩衝用の間隙9bが形成されている。
【0019】
図3はこの発明の実施の形態1に係る凸型支持装置を概略的に示す縦断面図である。
次に、凸型支持装置8a、8bの構成、及び1組のスリーブの連結方法を説明する。
【0020】
凸型支持装置8aは、上層スリーブ5の中層スリーブ6側の端部を、例えばクランク状に折り返した突起により形成される。
また、凸型支持装置8aはn字嵌合部を備える。このn字嵌合部は、上層スリーブ5の中層スリーブ6側の端部を、例えばクランク状に内側へ折り返すことにより形成される。
【0021】
凸型支持装置8bは、下層スリーブ7の中層スリーブ6側の端部を、例えばクランク状に折り返した突起により形成される。
また、凸型支持装置8bはu字嵌合部を備える。このu字嵌合部は、下層スリーブ7の中層スリーブ6側の端部を、例えばクランク状に内側へ折り返すことにより形成される。
【0022】
このように構成された凸型支持装置8bを用いて、1組のスリーブの各スリーブが連結される。
即ち、上層スリーブ5のn字嵌合部に、中層スリーブ6の一端が挿嵌される。
また、下層スリーブ7のu字嵌合部に、中層スリーブ6の他端が挿嵌される。
これにより、上層スリーブ5のn字嵌合部と、下層スリーブ7のu字嵌合部に保持されるように、中層スリーブ6が嵌合固定される。
【0023】
ところで、貯湯式給湯器1は、限られた設置スペースで貯湯容量を確保するため、例えば背高形状である。
このため、運搬の際には、貯湯式給湯器1を運搬車の荷台に横積みする場合がある。これは、横揺れを少なくして、周囲の物品との衝突を防ぐためである。
しかしながら、貯湯式給湯器1を運搬車の荷台に横積みすると、例えば貯湯式給湯器1の側面上に、他の物品が上積みされて、貯湯式給湯器1の変形や損傷が起こることがある。
【0024】
本実施の形態1に係る梱包装置においては、貯湯式給湯器1の側面を覆う1組のスリーブに、凸型支持装置8a、8bを設けることにより、貯湯式給湯器1の側面(胴部)を、外部からの衝撃による変形や損傷を防ぐことが可能となる。
【0025】
以上のように本実施の形態においては、貯湯式給湯器1を覆う上層スリーブ5及び下層スリーブ7の内面側に、貯湯式給湯器1を取り巻くように設けた突起状の凸型支持装置8a、8bを備えた。
このため、例えば運搬、保管、荷扱いの際に、外部から貯湯式給湯器1に伝わろうとする衝撃が、1組のスリーブを介した後、凸型支持装置8a、8bによって直接貯湯式給湯器1に伝わることを防ぐことができる。
したがって、梱包装置を介して貯湯式給湯器1に伝わる衝撃を軽減することができ、貯湯式給湯器1の変形や損傷を防ぐことができる。
【0026】
また、凸型支持装置8a、8bは、貯湯式給湯器1と当接して、貯湯式給湯器1と上層スリーブ5及び下層スリーブ7との間に、衝撃緩衝用の間隙9a及び9bを形成する。
このため、例えば運搬、保管、荷扱いの際に、外部から貯湯式給湯器1に伝わろうとする衝撃を、衝撃緩衝用の間隙9a及び9bにより緩衝することができる。
したがって、梱包装置を介して貯湯式給湯器1に伝わる衝撃を軽減することができ、貯湯式給湯器1の変形や損傷を防ぐことができる。
【0027】
また、凸型支持装置8aは、上層スリーブ5の端部を内側に折り返して形成され、凸型支持装置8bは、下層スリーブ7の端部を内側に折り返して形成される。
このため、凸型支持装置8a、8bを形成するために、新たな部材などを用いる必要がなく、比較的簡易な構成により、しかもコストの増加や梱包作業性を悪化させることなく、凸型支持装置8a、8bを設けることができる。
したがって、比較的簡易な構成により、梱包装置を介して貯湯式給湯器1に伝わる衝撃を軽減することができる梱包装置を得ることができる。
【0028】
また、凸型支持装置8aは、上層スリーブ5の端部を、内側に折り返して形成されたn字嵌合部を備え、凸型支持装置8bは、下層スリーブ7の端部を、内側に折り返して形成されたu字嵌合部を備える。そして、n字嵌合部及びu字嵌合部と、中層スリーブ6の端部とを嵌合して、1組のスリーブを連結する。
このため、3層のスリーブの連結を比較的簡易に行うことができる。
また、n字嵌合部及びu字嵌合部を、凸型支持装置8a、8bとして利用することで、貯湯式給湯器1が外部から受ける衝撃を緩和できる。
さらに、n字嵌合部及びu字嵌合部を形成するために、新たな部品材料などを用いることなく、簡易に構成することができる。
【0029】
また、1組のスリーブは、段ボール製である。このため、梱包装置を軽量化することができる。また、梱包装置の使用後の廃棄処分を簡便にすることができる。
【0030】
また、上層スリーブ5及び下層スリーブ7の端部を、例えばクランク状に折り返すので、上層スリーブ5及び下層スリーブ7の端部の強度が向上する。よって、梱包装置を介して貯湯式給湯器1に伝わる衝撃を軽減することができる。
【0031】
また、凸型支持装置8a、8bは、段ボール製の上層スリーブ5及び下層スリーブ7の端部を折り返して形成されるので、凸型支持装置8a、8b自体が弾性力を持ち、梱包装置を介して貯湯式給湯器1に伝わる衝撃を軽減することができる。
【0032】
尚、本実施の形態では、凸型支持装置8a、8bは、上層スリーブ5及び下層スリーブ7の端部をクランク状に折り返して形成したが、本発明はこれに限らず、中層スリーブ6の端部を嵌合できるものであれば良く、例えばS字状など任意の形状でも良い。
【0033】
尚、本実施の形態では、1組のスリーブが3層の場合を説明したが、本発明はこれに限らず、任意の数のスリーブを用いるようにしても良い。
【0034】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、1組のスリーブは、上層スリーブ5、中層スリーブ6、及び下層スリーブ7により構成した。
本実施の形態2では、中層スリーブ6を設けない場合について説明する。
【0035】
図4はこの発明の実施の形態2に係る凸型支持装置を概略的に示す縦断面図である。
図4(a)に示すように、凸型支持装置8aは、上層スリーブ5の端部を逆L字状に折り返して形成される。また、凸型支持装置8bは、上記実施の形態1の構成と同様である。
このような中層スリーブ6を設けない構成であっても、上層スリーブ5のL字状の端部を、下層スリーブ7のu字嵌合部に挿嵌することにより、上層スリーブ5と下層スリーブ7とが嵌合固定される。
【0036】
このような構成により、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、被梱包機器の高さが比較的低い場合には、1組のスリーブを2分割にすることで、簡易な構成とすることができ、梱包作業性を向上させることができる。
【0037】
また、図4(b)に示すように、凸型支持装置8a、8bを、上層スリーブ5及び下層スリーブ7の端部を層状に折り返して突起状に形成するようにしても良い。
【0038】
このような構成により、1組のスリーブを結合する必要がない場合には、より簡易な構成により、梱包作業性を向上させることができるとともに、梱包装置を介して貯湯式給湯器1に伝わる衝撃を軽減することができる。
【0039】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3に係る凸型支持装置の形状の一例を示す図である。
図5は、凸型支持装置8aのn字嵌合部の他の形状を示している。
尚、凸型支持装置8bについても同様の形状とすることができ、図5では図示しない。
【0040】
上記実施の形態1では、凸型支持装置8aのn字嵌合部をクランク状に形成した。本発明はこれに限るものではなく、例えば図5(a)に示すように、断面N字状に形成しても良い。また、例えば図5(b)に示すように、断面逆U字状に形成しても良い。
【0041】
このような構成により、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、嵌合部を比較的簡易な形状とすることで、凸型支持装置8a及び8bを簡易に制作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の実施の形態1に係る梱包装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る梱包装置を概略的に示す縦断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る凸型支持装置を概略的に示す縦断面図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る凸型支持装置を概略的に示す縦断面図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係る凸型支持装置の形状の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1 貯湯式給湯器、2 架台、3 天板、4a 緩衝用補強材、4b 緩衝用補強材、5 上層スリーブ、6 中層スリーブ、7 下層スリーブ、8a 凸型支持装置、8b 凸型支持装置、9a 間隙、9b 間隙、a 脚部、b1 脚部、b2 脚部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包機器を覆うスリーブと、
前記スリーブの内面側に、前記被梱包機器を取り巻くように設けた突起状の凸型支持装置と
を備えたことを特徴とする梱包装置。
【請求項2】
前記スリーブを複数備え、
該複数のスリーブを高さ方向に連結したことを特徴とする請求項1記載の梱包装置。
【請求項3】
前記凸型支持装置を前記スリーブの連結部分に設けたことを特徴とする請求項2記載の梱包装置。
【請求項4】
前記凸型支持装置は、前記被梱包機器と当接して、前記被梱包機器と前記スリーブとの間に間隙を形成することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の梱包装置。
【請求項5】
前記凸型支持装置は、前記スリーブの端部を、内側に折り返して形成されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の梱包装置。
【請求項6】
前記凸型支持装置は、前記スリーブの端部を、内側に折り返して形成された嵌合部を備え、
該嵌合部と前記スリーブの端部とを嵌合して、前記スリーブを連結することを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の梱包装置。
【請求項7】
前記スリーブは、段ボール製であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の梱包装置。
【請求項8】
前記被梱包機器は、貯湯式給湯器であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−6428(P2010−6428A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168539(P2008−168539)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】