説明

棒状喫煙物品のハードパック及びそのブランク

タングリッド型のシガレットパックは、直立方体形状のボックス部分(2)と、このボックス部分(2)の開口端(6)を開閉するタングリッド(4)とを備え、ボックス部分(2)のラテラルエッジ(40)はボックス部分(2)の底壁(38)から所定の長さに亘って延びる面取り(42)を含み、面取り(42)は0.8〜2mmの幅を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタシガレット等の棒状喫煙物品のためのハードパック及びそのブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のハードパックは例えば特開2001−171655号公報に開示されている。この公知のハードパックはいわゆるヒンジリッドパックと称され、ボックス部分と、このボックス部分の開口端を開閉するリッドとを有し、リッドは開口端の後縁にヒンジ結合されている。ボックス部分はインナパッケージを収容しており、インナパッケージパックは、20本のフィルタシガレットの束と、このシガレット束を包み込む包材とを有する。
【0003】
一般的に、シガレットパックを持ち運ぶにあたり、喫煙者はシャツ等の着衣の胸ポケットにシガレットパックを入れることが多く、これは喫煙者が喫煙しようとする際、シガレットパックの取出しが頗る容易になるためと思われる。
【0004】
しかしながら、シガレットパックのボックス部分及びリッドは共に立方体形状をなし、これらボックス部分及びリッドのラテラルエッジは鋭角に尖っている。このため、胸ポケットにシガレットパックを入れる際、その鋭角なラテラルエッジが胸ポケットに引っ掛かることがあり、胸ポケットへのシガレットパックの挿入は容易ではない。
【0005】
上述の不具合を解消するには、シガレットパックの鋭角なラテラルエッジに丸みを付けることが考えられる。しかしながら、この場合には、通常のパック包装機の使用が不能となり、専用のパック包装機が必要となる。
【発明の開示】
【0006】
本発明の目的は、通常のパック包装機を利用して製造でき、胸ポケット等への挿入が容易な棒状喫煙物品のハードパック及びそのブランクを提供することにある。
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明のハードパックは、直方体形状をなした堅固なボックス部分であって、開口端及び底壁を含むボックス部分と、このボックス部分の開口端に接続され、開口端を開閉するためのリッドと、ボックス部分内に収容されたインナパッケージであって、複数の棒状喫煙物品と、これら棒状物品を包み込むインナ包材と含む、インナパッケージとを備える。本発明のボックス部分は、前壁、後壁、2つの側壁、並びに、前壁と側壁との間及び後壁と側壁との間のそれぞれのラテラルエッジに形成された面取りと更に含み、面取りは前記底壁から所定の長さに亘って延び、且つ、0.8〜2mmの幅を有する。
【0008】
ボックス部分はその下部が底壁に向かってやや先細形状をなしいるので、ユーザが衣類の胸ポケットにハードパックを入れるとき、ハードパックが胸ポケットに引っ掛かることはない。それ故、胸ポケットへのパックの挿入が容易となる。
【0009】
面取りの幅は0.8〜2mmに制限されているので、ハードパックのブランクに面取りのための折込み線を付加するだけで、通常のパック包装機でも、面取りを備えたハードパックの製造が可能となる。
【0010】
また、ボックス部分の面取りは、ハードパックに新規且つ斬新な外観を提供する。
【0011】
具体的には、ボックス部分は前壁に形成されたスリットを更に含むことができ、この場合、リッドは、ボックス部分の開口端を閉じるための主部と、この主部から一体に延び、開口端が閉じられた状態で、スリットを通じてボックス部分内に差込み可能なタングとを含む。このようなボックス部分及びリッドを備えたハードパックはいわゆるタングリッドパックと称される。
【0012】
また、ボックス部分は、開口端の一部を形成するためのインナフレームを更に含むことができ、この場合、リッドは、ボックス部分の開口端に被さるようにして開口端を開閉する立方体形状をなしている。このようなボックス部分及びリッドを備えたハードパックは、面取りを除き、通常のヒンジリッド型パックと同様な形状を有する。
【0013】
ハードパックがヒンジリッド型パックと同様な形態である場合、ボックス部分のラテラルエッジはその全長に亘って面取りを有することができ、また、底壁側のボックス部分のクロスエンジもまたその全長に亘って面取りを有しているのが望ましい。更に、この場合、リッドのラテラルエッジ及びクロスエッジもまた、面取りを更に有することができる。
【0014】
タングリッド型又はヒンジリッド型のハードパックを製造するためのブランクは、上述したラテラルエッジを形成する折込み線を含んでおり、この折込み線は面取りを形成すベき部位に一対の分岐折込み線を有する。この場合、分岐折込み線間には、0.8〜2mmの間隔が確保されている。このような一対の分岐折込み線は、通常のパック包装機での折込み操作により、ラテラルエッジに面取りを確実且つ容易に付与する。
【0015】
ブランクは、ラテラルエッジ及びクロスエッジを形成するための折込みバンドを含むことができ、折込み込みバンドは平行に延びる複数の圧痕線から形成されている。この場合、ブランクは、折込みバンドが互いに交わる交点に、これら折込みバンドを互いに分離する切込みを更に含んでいるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施例のシガレットパックを示した斜視図である。
【図2】図1のシガレットパックを開状態で示した斜視図である。
【図3】図1のシガレットパックに収容されたインナパッケージの斜視図である。
【図4】図1のシガレットパックが着衣の胸ポケットに挿入される状態を示した図である。
【図5】図1のシガレットパックを成形するためのブランクを示した図である。
【図6】図5のブランクの折込み手順を説明するための図である。
【図7】図5のブランクの折込み手順を説明するための図である。
【図8】変形例のシガレットパックを閉状態で示した斜視図である。
【図9】図8のシガレットパックを開状態で示した斜視図である。
【図10】図8のシガレットパックを成形するためのブランクを示した図である。
【図11】更に別の変形例のシガレットパックを閉状態で示した斜視図である。
【図12】図11のシガレットパックを成形するためのブランクを示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1及び図2はシガレットパックを示す。このシガレットパックはボックス部分2及びタングリッド4を含み、タングリッド4はボックス部分2における開口端6の後縁にセルフヒンジ8を介して一体に結合されいる。従って、タングリッド4はセルフヒンジ8を中心に回動され、ボックス部分2の開口端6を開閉する。
【0018】
より詳しくは、ボックス部分2の前壁10にはスリット12が形成され、このスリット12は開口端6側に向けて開いたV字形状をなしている。一方、タングリッド4はその先端部にタング14を有する。このタング14は先細形状をなし、V字スリット12内に差込み可能である。それ故、図1から明らかなように、ボックス部分2の開口端6がタングリッド4により閉じられたとき、タングリッド4はそのタング14がV字スリット12に差し込まれた閉位置に保持される。
【0019】
一方、図2はタングリッド4が開かれた状態を示す。図2から明らかなようにボックス部分2内にはインナパッケージ16が収容されている。このインナパッケージ16は、20本のフィルタシガレットFCを有したシガレット束と、このシガレット束を包み込むインナ包材とを含み、このインナ包材は、例えばアルミ蒸着シート等から形成されている。
【0020】
シガレットパックの製造後、シガレットパックのタングリッド4が最初に開かれたとき、ボックス部分2の前壁10に略U字形状のアパーチャ18が形成され、形成されたアパーチャ18はボックス部分2の開口端6に連なる。また、アパーチャ18の形成と同時に、インナパッケージ16における包材の一部、即ち、アパーチャ18に対応した部分からインナパッケージ16のトップの至る部分が分離され、インナパッケージ16が開かれる。この結果、図2に示されるように、インナパッケージ16内のシガレット束の一部はインナ包材の分離領域及びアパーチャ18を通じて露出する。
【0021】
このため、ボックス部分2の前壁10には、アパーチャ18のための切り取り線20が予め形成されており、この切り取り線20は、V字スリット12と開口端6との間に位置付けられている。また、図3に示されるように、インナパッケージ16のインナ包材22にも、略U字形の切り離し線24が予め形成されている。シガレットパックの製造時点にて、インナ包材22の切り離し線24はボックス部分2の切り取り線20と合致し、また、切り離し線24はインナ包材22の折込みフラップ26にて終端となっている。折込みフラップ26は、サイドインナパッケージ16の閉塞されたトップ面の一部を形成し、トップ面を形成する他の部分よりも最も外側に位置付けられている。
【0022】
切り離し線24はインナ包材22に切り離し予定部分を区画し、また、切り取り線20はボックス部分2の前壁10に切り取り予定部分を区画する。シガレットパックの製造時点にて、切り離し予定部分及び切り取り予定部分は互いに接着された状態にあり、また、前壁10の切り取り予定部分及びインナ包材22のインナ折込みフラップ26は共に、タングリッド4の内面にそれぞれ接着された状態にある。
【0023】
更に、シガレットパックの製造時点にて、タングリッド4は一対の折込みラグ28を有する。これら折込みラグ28はタングリッド4の両側縁に分離線を介して接続され、且つ、ボックス部分2の両側壁30にそれぞれ接着されている。
【0024】
従って、シガレットパックが最初に開かれるまでの間、タングリッド4は一対の折込みラグ28を介してボックス部分2に接着された状態にある。しかしながち、シガレットパックが最初に開かれるとき、つまり、タングリッド4が閉位置から開位置に向けて回動されるとき、タングリッド4と折込みラグ28との間の分離線が破断され、タングリッド4は一対の折込みラグ28から分離される。この結果、タングリッド4はそのセルフヒンジ8を中心として自由に回動可能となる。
【0025】
また、タングリッド4が開位置に向けて回動されるとき、切り取り予定部分はボックス部分2の前壁10から切り取られて、切り取り片32を形成し、これにより、前壁10に前述したアパーチャ18が形成される。更に、切り取り片32の形成と同時に、インナパッケージ16のインナ包材22から切り離し予定部分が切り離され、切り離し片34を形成する。
【0026】
前述したように切り取り予定部分及び折込みフラップ26はタングリッド4の内面にそれぞれ接着されてるので、図2に示されるように切り取り片32及び切り離し片34はタングリッド4の内面に接着した状態で保持される。
【0027】
上述したようにシガレットパックが最初に開かれたとき、タングリッド4が折込みラグ28から分離されるので、この分離は図1に示されるようにシガレットパックの両側面に破断痕36をそれぞれ残す。これら破断痕36の発生は、シガレットパックへの悪戯を防止する対策として有効に機能する。従って、図1のシガレットパックは既に開かれたことを示している。
【0028】
更に、図1及び図2から明らかなように、ボックス部分2は垂直な4つのラテラルエッジ30を有し、これらラテラルエッジ40には面取り42がそれぞれ形成されている。各面取り42はボックス部分2の底壁38からボックス部分2の開口端6に向けて所定の長さだけ延び、対応する鋭角なラテラルエッジ40に収束している。
【0029】
具体的には、面取り42は0.8〜2mmの範囲、好ましくは、0.9〜1.5mmの範囲の最大幅及び側壁30の長さの約半分程度の長さを有する。
【0030】
上述したシガレットパックによれば、ボックス部分2における底壁38の4つのコーナには面取り42が存在する。それ故、図4に示されるように喫煙者が着衣の胸ポケットにシガレットパックを入れる際、シガレットパックのラテラル縁40が引っ掛かるようなことはなく、シガレットパックの挿入を容易に行うことができる。
【0031】
また、面取り42の存在はシガレットパック、即ち、ボックス部分2の把持性を良好にするばかりでななく、シガレットパックに新規且つ斬新な外観を提供する。
【0032】
図5は、図1のシガレットパックを成形するためのブランク(裏面)を示す。
【0033】
ブランクはその中央に、リアパネル44、ボトムパネル46及びフロントパネル48を有する。これらパネル44,46,48は図5でみて上側から一列に並び、そして、パネル間のそれぞれ水平な折込み線50を介して区画されている。
【0034】
パネル44,46,48は、ボックス部分2の後壁、底壁38の及び前壁10をそれぞれ形成するための部分である。それ故、フロントパネル48には、前述したV字スリット12及び切り取り線20が予め形成されている。
【0035】
一方、リアパネル44の上側にはセルフヒンジ8を形成するための折り曲げ線52を介してタングリッドパネル54が接続されている。タングリッドパネル54は水平な折込み線56を有し、この折込み線57は、タングリッドパネル56を折り曲げ線52側のリッドパネル58とタングパネル60に区画し、タングパネル60は先細形状の先端部を有する。
【0036】
リッドパネル58は、ボックス部分2の開口端6を閉塞するリッドのための部分であり、タングパネル60はタング14となる部分である。
【0037】
タングパネル60はその基部の両側にラグフラップ64をそれぞれ有し、これらラグフラップ64は、前述の分離線62を介してタングパネル60に接続されている。これらラグフラップ64は前述した折込みラグ28を形成するための部分である。
【0038】
一方、リアパネル44両側には、折込み線66を介してインナサイドフラップ68がそれぞれ接続されており、各インナサイドフラップ68の上下には水平な折込み線70を介してインナトップフラップ72及びボトムインナフラップ74がそれぞれ接続され低。インナトップフラップ72はリッド58のための補強部材であり、インナボトムフラップ74はボトムパネル46のための補強部材である。
【0039】
フロントパネル48の両側にも、折込み線76を介してアウタサイドフラップ78がそれぞれ接続されており、各アウタサイドフラップ78は対応する側のインナサイドフラップ68とともに、ボックス部分2の側壁30を形成するための部分である。
【0040】
図5に示されているように、各折込み線66におけるボトムパネル46側の部位は一対の分岐折込み線66a,66bとして分岐されている。これら分岐折込み線66aは折込み線66から左右に離間し、この後、ボトムパネル46に向けて互いに平行に延びている。しかしながら、各折込み線66の残りの部位はシングルの折込み線66cとして残されている。
また、各折込み線76におけるボトムパネル46側の部位もまた、分岐折込み線66a,66bと同様に一対の分岐折込み線76a,76bとして分岐され、そして、各折込み線76の残りの部位はシングルの折込み線76cとして残されている。
【0041】
上述した分岐折込み線66a,66b;76a,76bは前述した面取り42を形成するための部分である。
【0042】
更に、各サイドフラップ68,78の外側縁には分岐折込み線66a,66b;76a,76bと対応して部位に凹み68b,78bがそれぞれ形成されており、これら凹み68b,78bが対応する側の分岐折込み線66b,76bと同様な形状を有する。また、各インナボトムフラップ74は凹み68bと一線上に連なる外側縁を有する。
【0043】
図5中の斜線領域は、ブランクに形成される糊塗布領域をそれぞれ示しており、これら糊塗布領域は、本実施例のブランクのために新たに追加されている。
【0044】
より詳しくは、フロントパネル48の糊塗布領域Gは、切り取り線20により区画される区域内、つまり、切り取り予定部分に位置付けられている。それ故、糊塗布領域Gは、切り取り予定部分の裏面とインナパッケージ16の切り離し予定部分とを接着することができる。
【0045】
左右のトップインナフラップ72の糊塗布領域Gは、インナパッケージ16のサイドフラップ26とインナトップフラップ72の裏面とを接着することができる。そして、タングパネル60の糊塗布領域Gはタングパネル60の裏面と切り取り予定部分の表面とを接着することができる。
【0046】
更に、左右のラグフラップ64の糊塗布領域Gは、そのラグフラップ64の裏面と対応する側のアウタサイドフラップ78の表面とを接着することができる。
【0047】
上述したブランクは先ず、リアパネル44上にインナパッケージ16を受取りる。この後、ブランクのフラップやパネルはインナパッケージ16に対し前述の折込み線にて、図5中のI〜Vの順序で順次折り込まれる。この結果、図6に示される中間パックが得られる。図6の中間パックでは、フロントパネル48、即ち、前壁10の表面にタングパネル60が重ね合われた状態にる。
【0048】
この後、タングパネル60の左右のラグフラップ64が分離線62からそれぞれ折り込まれ、これらラグフラップ64は対応する側のアウタサイドフラップ78の表面に接着され、これにより、図7に示されるようにシガレットパックの折込み成形、即ち、その製造が完了する。
【0049】
図7から明らかなように、シガレットパックの製造時点にて、タング14はボックス部分2の前壁10上にV字スリット12を覆うように重ね合わされているだけであり、V字スリット12内に差し込まれていない。
【0050】
前述した面取り42は、インナ及びアウタサイドフラップ68,78の折込みと同時に形成される。即ち、折込み線66に関して、その分岐折込み線66a,66b間の間隔W(図1及び図2参照)は前述したように狭いので、インナサイドフラップ68が折込み線66にて折り込まれるとき、インナサイドフラップ68は、折込み線66a,66b,66cに沿ってそれぞれ折り込まれる。
【0051】
折込み線76に関しても、その分岐折込み線76a,78b間の間隔は狭いので、アウタサイドラップ78が折込み線76にて折り込まれるとき、アウタサイドフラップ78は折込み線76a,76b,76cに沿ってそれぞれ折り込まれる。
【0052】
それ故、ボックス部分2の縦方向エッジ40は、折込み線66c,76cにより形成され、そして、ボックス部分2の面取り42は、分岐折込み線66a,66b;76a,76bによりそれぞれ形成される。
【0053】
このような面取り42の形成は、インナ及びアウタサイドフラップ68,78の1回の折込みより得られ、この結果、ブランクの折込みに通常のパック包装機を利用可能となる。
【0054】
なお、インナサイドフラップ68の外側縁は前述した凹み68bを有しているので、アウタサイドフラップ78が折り込まれるとき、インナサイドフラップ68の外側縁、即ち、折込み線66a,66bがアウタサイドフラップ78の折込み線76a,76bと干渉することはなく、ボックス部分2における前壁10側の面取り42を確実に形成することができる。
【0055】
また、アウタサイドフラップ78の外側縁もまた凹み78bを有しているので、アウタサイドフラップ78の外側縁がボックス部分2における後壁側の面取り42に対してオーバハングすることもない。
【0056】
本発明は、上述の一実施例に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0057】
例えば、シガレットパックはタングリッド型パックに限らず、図8及び図9に示されるような一般的なヒンジリッド型パックにも適用可能である。
【0058】
このようなヒンジリッド型パックもまたボックス部分2及びリッド5を備え、ボックス部分2はインナフレーム7(図9)を含んでいる。インナフレーム7はボックス部分2における開口端6の前部を形成し、前述したアパーチャ18に相当するアパーチャ9を有している。
【0059】
リッド5は、ボックス部分2と同様な立方体形状をなし、セルフヒンジ8を介してボックス部分2の後壁に接続されている。この場合、リッド5は、ボックス部分2から露出したインナフレーム7の部位に覆うようにして、ボックス2の開口端6を閉塞する。
【0060】
ヒンジリッド型パックが最初に開かれるとき、つまり、リッド5が閉位置から開位置に向けて最初に回動されるとき、リッド5の回動はインナパッケージ16の切り離し予定部分をインナパッケージ16から同時に切り離す。この切り離しは切り離し片34を形成するが、この切り離し片34はリッド5の内面に接着した状態に維持される(図9)。
【0061】
インナフレーム7はアパーチャ9の代わりに、前述した切り取り20により区画された切り取り予定部分を有することができる。この場合、ヒンジリッド型パックが最初に開かれるとき、切り取り予定部分の切り取り及び切り離し予定部分の切り離しにより、アパーチャ9が形成される。
【0062】
図10は、図8及び図9のシガレットパックを成形するためのブランクを示す。
【0063】
説明の重複を避けるため、図10のブランクにおいて、図5のブランクのパネルやフラップに相当する部位には同一の参照符号が付されている。それ故、図10のブランクに関しては、図5のブランクと相違する点のみを以下に説明する。
【0064】
図10のブランクはリッドパネル80を含み、リッドパネル80はリアパネル44に折込み線52を介して接続されている。より詳しくは、図10でみて、リッドパネル80は上側からインナフロントパネル82,アウタフロントパネル84、アウタトップパネル86及びリッドリアパネル88に区画され、このリッドリアパネル88が折込み線52,即ち、セルフヒンジ8を介してリアパネル4に接続されている。折込み線51,53,55は、パネル82,84間、パネル84,86間、パネル86,88間をそれぞれ区画する。
【0065】
アウタフロントパネル84の両側には折込み線90を介してアウタサイドフラップ92がそれぞれ接続され、アウタリアパネル88の両側に折込み線94を介してインナサイドフラップ96がそれぞれ接続されている。更に、各インナサイドフラップ96には折込み線98を介してインナトップフラップ100が接続されている。
【0066】
インナ及びアウタフロントパネル82,84が互い重ね合わされたとき、これらパネル82,84はリッド5の前壁を形成する。また、アウタトップパネル86及びインナトップフラップ100が互いに重ね合わされたとき、これらパネル86及びフラップ100はリッド5のトップ壁102(図8参照)を形成する。更に、アウタサイドフラップ92及びインナサイドフラップ96が互いに重ね合わされたとき、これらフラップ92,96はリッド5の側壁を形成する。
【0067】
図10のブランクの折込み手順は公知であり、その説明は省略する。しかしながら、図10のブランクにあっても、インナサイドフラップ68及びアウタサイドフラップ78の折込みと同時に、ボックス部分2のラテラルエッジ40に面取り42が同様にして形成される。
【0068】
図10のブランクの場合、インナサイドフラップ68の幅H1はインナパッケージ16の厚みよりも若干狭く、そして、アウタサイドフラップ78の幅H2は幅H1よりも若干狭い方が望ましい。このようにすれば、インナ及びアウタフラップ68,78の外側縁が面取り42の形成に干渉したり、また、面取り部42に対してオーバハングすることもない。
【0069】
上述したタングリッド型及び通常のヒンジリッド型のパックは何れも、ボックス部分2のラテラルエッジ40の一部のみに面取り42を有しているに過ぎない。しかしながら、図11に示されるシガレットパックのように、ラテラルエッジ40はその全長に亘って面取り42を有することができる。
【0070】
図11のシガレットパックは、底壁38及びトップ壁102のクロスエッジにも面取り43を更に有しており、これら面取り43はそのクロスエッジの全長に亘って延びている。
【0071】
図12は図11のパックを成形するためのブランクを示す。
【0072】
図12のブランクは図10のブランクと同様な形状を有する。図12のブランクの場合、図10のブランクにおける折込み線50、66(66a,66b,66c),76(76a,76b,76c)、90及び折込み線53,55のそれぞれが折込みバンド104に置き換えられている。各折込みバンド104は互い平行に延びる複数、例えば3本の圧痕線から形成されている。
【0073】
各折込みバンド104の幅、即ち、最も外側に位置する圧痕線間の間隔が0.8〜2mm、好ましくは0.9〜1.5mmの範囲にあることは言うまでもない。
【0074】
更に、図12から明らかなように、折込みバンド104が互いに直交する交点には切込み106がそれぞれ形成されており、この切込み106は折込みバンド104を互いに分離する。
【0075】
上述の折込みバンド104の幅もまた上記の範囲に制限されているので、通常のパック包装機を使用して図12のブランクの折込み成形が実施されれれば、パネル又はフラップの1回の折込み操作のみで、面取り42,43を備えた図11のパックを製造可能である。
【0076】
また、切込み106はパネル又はフラップの折込みを容易にするのみならず、面取り42,43の形成を確実にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状喫煙物品のためのハードパックは、
直方体形状をなした堅固なボックス部分であって、開口端及び底壁を含むボックス部分と、
前記ボックス部分の前記開口端に接続され、前記開口端を開閉するためのリッドと、
前記ボックス部分内に収容されたインナパッケージであって、複数の棒状喫煙物品と、これら棒状物品を包み込むインナ包材と含む、インナパッケージと
を具備し、
前記ボックス部分は、
前壁、後壁、2つの側壁、並びに、前記前壁と前記側壁との間及び前記後壁と前記側壁との間のそれぞれのラテラルエッジに形成された面取りを含み、前記面取りは前記底壁から所定の長さに亘って延び、且つ、0.8〜2mmの幅を有する。
【請求項2】
請求項1のハードパックにおいて、
前記ボックス部分は前記前壁に形成されたスリットを更に含み、
前記リッドは、前記ボックス部分の前記開口端を閉じるための主部と、この主部から一体に延び、前記開口端が閉じられた状態で、前記スリットを通じて前記ボックス部分内に差込み可能なタングとを含む。
【請求項3】
請求項1のハードパックにおいて、
前記ボックス部分は、前記開口端の一部を形成するためのインナフレームを更に含み、
前記リッドは、前記開口端に被さるようにして前記開口端を開閉する立方体形状をなしている。
【請求項4】
請求項3のハードパックにおいて、
前記面取りは、前記ラテラルエッジの全長に亘って形成されている。
【請求項5】
請求項4のハードパックにおいて、
前記ボックス部分は、前記ラテラルエッジと交差するクロスエッジにそれぞれ形成された面取りを更に有し、これら面取りは前記クロスエッジの全長に亘って延びている。
【請求項6】
請求項5のハードパックにおいて、
前記リッドは、そのラテラルエッジ及びクロスエッジのそれぞれ形成された面取りを更に有し、これら面取りは前記ラテラルエンジ及び前記クロスエッジの全長に亘って延びている。
【請求項7】
請求項2のハードパックを製造するためのブランクは、
前記ラテラルエッジを形成する折込み線を含み、前記折込み線は前記面取りを形成すべき部位に一対の分岐折込み線を有する。
【請求項8】
請求項3のハードパックを製造するためのブランクは、
前記ラテラルエッジを形成する折込み線を含み、前記折込み線は前記面取りを形成すべき部位に一対の分岐折込み線を有する。
【請求項9】
請求項6のハードパックを製造するためのブランクは、
前記ラテラルエッジ及び前記クロスエッジを形成するための折込みバンドを含み、各折込みバンドは平行に延びる複数の圧痕線から形成されている。
【請求項10】
請求項9のブランクにおいて、
前記ブランクは、前記折込みバンドが互いに交わる交点に、これら折込みバンドを互いに分離する切込みを更に含む。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【国際公開番号】WO2005/007538
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【発行日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511845(P2005−511845)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010134
【国際出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】