説明

棒状部材連結具

【課題】複数の棒状部材を動かせない場合でも、棒状部材を確実に且つ強固に連結できる、棒状部材連結具を提供する。
【解決手段】この棒状部材連結具10は、複数の棒状部材1,2を交差させて連結するためのもので、各棒状部材1,2を所定角度で交差した状態で挟み込む一対の挟持ブロック20A,20Bと、各棒状部材1,2を挟み込んだ状態で前記一対の挟持ブロック20A,20Bを固定するボルト40段とを備える。一対の挟持ブロック20A,20Bは、互いに整合する突き合わせ面22と、各棒状部材1,2が嵌合する複数の半割状の把持凹部24と、該把持凹部24の外周を構成する枠状部26と、各枠状部26を各棒状部材1,2の交差角に合せて向きを変えて連結する連結部28と、ボルト40が取付けられる固定手段装着部とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の棒状部材を交差させて連結するための棒状部材連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
以前から、複数の棒状部材を適宜組み合わせて、機械、器具、装置、構造物等の、フレームや、筺体、枠体、構造部材、機械要素等として用いることが行われている。このとき、複数の棒状部材を交差させて連結する場合がある。
【0003】
連結に用いられる連結部材として、所定長さの円柱状の本体と、該本体の軸方向両端部に互いに交差する向きで形成された挿通孔と、前記本体の両端面から前記挿通孔に連通するスリットを有する挟圧部と、同挟圧部に形成されたネジ孔とを有するものが知られている。そして、複数の棒状部材を、その端部から各挿通孔に挿入した後、ネジ孔にボルトを螺着することにより、スリットを介して分割された挟圧部により、棒状部材が挟圧されて、2本の棒状部材が交差した状態で連結されるようになっている。
【0004】
また、機械等の棒状部材どうしの連結に用いられるものではないが、工事現場等における複数のパイプを連結するためのものとして、下記特許文献1には、パイプ受け体と、同パイプ受け体の一端に枢着されたパイプ挟止体と、パイプ受け体の他端に枢着されると共にナットが螺装されたボルトとを有する一対のクランプ体を備え、両クランプ体のパイプ受け体どうしがジョイント用ナットを介して回転可能とされていると共に、ジョイント用ボルトの先端に螺装されたナットにより、両クランプの回転角度を固定可能とした、足場クランプが記載されている。
【0005】
上記足場クランプを用いる際には、まず、一対のクランプ体を所定角度で回転して、ジョイント用ボルト及びナットで両者の回転角度を固定させる。その状態で、各クランプ体のパイプ挟止体を開いて、パイプをパイプ受け体に保持させた後、パイプ挟止体を閉じてボルト及びナットで固定することで、各棒状部材が締め付け固定されて、2本のパイプが所定角度で交差した状態で連結されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3004816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、スリットを有する挟圧部により固定する上記連結部材は、棒状部材を、その端部から、連結部材に設けられた挿通孔に挿入する必要がある。このため、2本の棒状部材が既に配設されていて互いに動かすことができなかったり、棒状部材の端部に他の部材が固定されていたりした場合には、棒状部材を連結部材の挿通孔に挿入することができず、棒状部材を連結することができない。
【0008】
一方、上記特許文献1に記載された足場クランプでは、パイプの外周をパイプ受け体及びパイプ挟止体で挟み込む構造となっているので、2本のパイプが既に配設されている場合でも用いることができる。
【0009】
しかしながら、2本のパイプを連結するためには、各クランプ体のパイプ挟止体を開いて、パイプ受け体にパイプを保持させた後、パイプ挟止体を閉じてボルト及びナットで締付け固定するといった作業を、各パイプごとに行わなわなければならず、作業が煩雑であるという問題があった。
【0010】
また、パイプ受け体の一端にピンを介してパイプ挟止体が回動可能に連結され、同パイプ受け体の他端にピンを介してボルトが回動可能に連結された構造となっているので、上記ピンを介した連結部の強度や精度が充分に得られず、高剛性、高精度が求められる用途には適用できなかった。
【0011】
したがって、本発明の目的は、複数の棒状部材を動かせない場合でも、棒状部材を確実に且つ強固に連結することができる、棒状部材連結具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の棒状部材連結具は、複数の棒状部材を交差させて連結するためのものであって、互いに整合するように突き合わされて、各棒状部材を所定角度で交差した状態で挟み込む一対の挟持ブロックと、各棒状部材を挟み込んだ状態で前記一対の挟持ブロックを固定する固定手段とを備え、前記一対の挟持ブロックは、互いに整合する突き合わせ面と、この突き合わせ面に形成された、各棒状部材が嵌合する複数の半割状の把持凹部と、該把持凹部の外周を構成する枠状部と、各枠状部を前記各棒状部材の交差角に合せて向きを変えて連結する連結部と、前記固定手段が取付けられる固定手段装着部とを有していることを特徴とする。
【0013】
上記発明によれば、各棒状部材を対応する把持凹部に挿入しながら、一対の挟持ブロックの突き合わせ面どうしを突き合わせるか又は近接させて、対応する把持凹部どうしで棒状部材を挟み込み、その状態で固定手段により、一対の挟持ブロックを互いに固定することにより、複数の棒状部材を所定の角度で交差した状態で連結することができる。したがって、従来のように、各棒状部材を、それらの端部から連結部材の挿通孔に挿通させる必要がなく、棒状部材が既に配設されていて互いに動かすことができない場合でも、棒状部材への取付けが可能となると共に、各棒状部材を正確な配置でかつ強固に連結することができる。
【0014】
本発明の棒状部材連結具においては、前記一対の挟持ブロックは、前記固定手段装着部を除いて、同一形状のブロックにより形成されていることが好ましい。この態様によれば、一対の挟持ブロックを成型するための金型等を共通化することができるので、製造コストを低減することができる。
【0015】
本発明の棒状部材連結具においては、前記棒状部材の外周形状に適合した内周形状を有する半割状のスリーブが、前記把持凹部に着脱可能に装着されることが好ましい。この態様によれば、半割状のスリーブを交換するだけで、形状や外径が異なる棒状部材に適用することが可能となる。
【0016】
本発明の棒状部材連結具においては、前記把持凹部は、側面から見てコ字状をなすと共に、該コ字状の底面に円弧状の凹部が形成された形状をなしており、前記スリーブは、側面から見て、内周側が円弧状をなすと共に、外周側が前記把持凹部のコ字状の角部と円弧状の凹部とに適合する形状をなしていることが好ましい。この態様によれば、スリーブの外周側が、把持凹部のコ字状の角部と円弧状の凹部とに適合する形状をなしているので、スリーブを把持凹部にガタ付きなく強固に装着することができる。
【0017】
本発明の棒状部材連結具においては、前記固定手段は、ボルトを有しており、前記一対の挟持ブロックのうちの一方の固定手段装着部は、前記ボルトの挿通孔を有し、前記一対の挟持ブロックのうちの他方の固定手段装着部は、前記ボルトが螺着するネジ孔を有していることが好ましい。この態様によれば、一方の挟持ブロックの挿通孔を通してボルトを挿入し、他方の挟持ブロックのネジ孔に該ボルトを螺着させて締め付けることにより、一対の挟持ブロックを強固に固定することができる。
【0018】
本発明の棒状部材連結具においては、前記固定手段装着部は、各挟持ブロックの複数箇所に設けられており、前記固定手段装着部における前記ボルト挿通孔又は前記ネジ孔は、各挟持ブロックの外周面において同方向を向いた面に形成されていることが好ましい。この態様によれば、複数のボルトを同じ方向から挿入して螺着できるので、作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、各棒状部材を把持凹部に挿入しつつ把持凹部どうしで棒状部材を挟み込んで、固定手段で一対の挟持ブロックを互いに固定することにより、複数の棒状部材を所定の角度で交差した状態で連結することができるので、棒状部材を動かすことができない場合でも、各棒状部材を正確な配置でかつ強固に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る棒状部材連結具の一実施形態の分解斜視図である。
【図2】同棒状部材連結具を用いて、複数の棒状部材を連結した状態を示す斜視図である。
【図3】同棒状部材連結具を構成する挟持クランプを示しており、(a)は正面図、(b)は左側面図である。
【図4】同棒状部材連結具に用いられるスリーブの一例を示しており、(a)はその斜視図、(b)は(a)とは異なる方向から見た場合の斜視図である。
【図5】同棒状部材連結具に用いられるスリーブの他の例を示しており、(a)はその斜視図、(b)は(a)とは異なる方向から見た場合の斜視図である。
【図6】同棒状部材連結具において、スリーブを用いずに、角柱状の棒状部材を連結した状態を示す斜視図である。
【図7】同棒状部材連結具において、スリーブを用いずに、円柱状の棒状部材を連結した状態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る棒状部材連結具の、他の実施形態の斜視図である。
【図9】本発明に係る棒状部材連結具の、更に他の実施形態の分解斜視図である。
【図10】同棒状部材連結具を用いて、複数の棒状部材を連結した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1〜7を参照して、本発明に係る棒状部材連結具の一実施形態について説明する。
【0022】
図1に示すように、この棒状部材連結具10(以下、「連結具10」)は、例えば、円柱状の棒状部材1と、この棒状部材1よりも外径の大きな円柱状の棒状部材2とを、互いに交差させて連結するためのものである。なお、棒状部材としては、円筒状のパイプ等や、角柱状(図6参照)や角筒状のものなどであってもよく、特に限定されない。
【0023】
そして、この連結具10は、互いに整合するように突き合わされて、各棒状部材1,2を所定角度で交差した状態で挟み込む一対の挟持ブロック20A,20Bと、各棒状部材1,2を挟み込んだ状態で、一対の挟持ブロック20A,20Bを固定する固定手段とを備えている。
【0024】
図2に示すように、この実施形態における一対の挟持ブロック20A,20Bは、互いに整合するように付き合わせたときに、ほぼ円柱状の形状を呈するようになっている。また、この実施形態における前記固定手段は、ボルト40となっている。この固定手段としては、ボルト40に限らず、ボルトとナットや、C字やコ字形のクランプ等であってもよく、一対の挟持ブロック20A,20Bを互いに固定できるものであればよい。
【0025】
そして、この実施形態における一対の挟持ブロック20A,20Bは、互いに整合する突き合わせ面22と、この突き合わせ面22に形成された半割状の把持凹部24と、該把持凹部24の外周を構成する2つの枠状部26,26と、これらの枠状部26,26を、各棒状部材1の交差角に合せて向きを変えて連結する連結部28と、固定手段であるボルト40が取付けられる固定手段装着部とをそれぞれ有している。
【0026】
一対の挟持ブロック20A,20Bの各枠状部26は、その外周面が半円形状をなし、軸方向に沿った内面及び軸方向端面に、平面状の前記突き合せ面22が形成され、半割りの円柱形状となっている(図1参照)。また、前述したように、各枠状部26は、把持凹部24の外周形状を構成しており、略C字型若しくはコ字型の枠状をなしている。そして、突き合せ面22,22どうしが直交するように、2つの枠状部26,26が互いに直交して配置され、連結部28を介して連結されて、各挟持ブロック20A,20Bが構成されている。
【0027】
また、図1に示すように、各挟持ブロック20A,20Bの軸方向に沿った突き合せ面22には、連結部28側に偏移した位置に、前記把持凹部24が形成されている。図3(a),(b)を併せて参照すると、この把持凹部24は、側面から見て略コ字状をなすように形成され、直角状の角部24a,24aを有すると共に、その内周の一部が円弧状に切欠かれて、把持凹部24の開口側の両側部及び底面に円弧状凹部24bがそれぞれ設けられた構造となっている。また、図1及び図3(b)に示すように、把持凹部24の底面中央には、位置決め凹部24cがそれぞれ形成されている。
【0028】
図1及び図3(a),(b)に示すように、挟持ブロック20Aの軸方向両端部には、各枠状部26の連結部28寄りの外周面から、突き合せ面22のほぼ中央に向けて、かつ、突き合わせ面22に対して斜めに、ボルト挿通孔30が形成されている。また、挟持ブロック20Aの外周面から所定深さで、ボルト挿通孔30よりも内径の大きいザグリ穴30aが形成されている(図1参照)。一方、挟持ブロック20Bの軸方向両端部には、各枠状部26の連結部28寄りの外周面から、突き合せ面22のほぼ中央に向けて、かつ、突き合わせ面22に対して斜めに、ネジ孔32が形成されている(図1参照)。すなわち、図1に示すように、ボルト挿通孔30及びネジ孔32は、一対の挟持ブロック20A,20Bの外周面において、同方向を向いた面に形成されるようになっている。
【0029】
そして、一対の挟持ブロック20A,20Bの突き合わせ面22どうしを互いに突き合わせたとき、ボルト挿通孔30とネジ孔32とが直線状に連通し、前記ボルト40を挿通可能となっている。これらのボルト挿通孔30及びネジ孔32が、本発明における「固定手段装着部」をなしている。
【0030】
以上説明した一対の挟持ブロック20A,20Bは、挟持ブロック20Aに形成されたボルト挿通孔30及びザグリ穴30a、挟持ブロック20Bに形成されたネジ孔32を除き、同一形状のブロックにより形成されている。その材質としては、例えば、炭素鋼や、ステンレス等の合金鋼、鋳鉄、アルミニウム合金等の金属や、ポリアセタールやポリアミド等の合成樹脂などを用いることができ、また、その成形方法については、例えば、鋳造、射出成型、切削加工、及び、それらの組合せなどを採用することができる。
【0031】
なお、本実施形態では、各挟持ブロック20A,20Bに、2つの枠状部26,26が配置されているが、これに限定されるものではなく、連結部28を介して3つ以上の枠状部26を配置してもよい。また、2つの枠状部26,26どうしは互いに直交して配置されているが、これに限定されるものではなく、棒状部材の交差角度に応じて適宜変更することができる。
【0032】
また、この実施形態における連結具10は、棒状部材1の外周形状に適合した内周形状を有する半割状のスリーブ50A,50Bが、前記把持凹部24に着脱可能に装着されるようになっている。
【0033】
図4及び図5を併せて参照すると、各スリーブ50A,50Bは、内周側が棒状部材1,2に適合する円弧状をなすと共に、外周側が前記把持凹部24の円弧状凹部24bに適合する円弧状をなす保持部52と、該保持部52の外周側に所定間隔をあけて平行に突設し、前記把持凹部24の角部24a,24aに適合する、直交した2つの外面を有する角状リブ54,54と、前記保持部52の外周側中央であって、前記把持凹部24の位置決め凹部24cに嵌合する位置決め突部56とがそれぞれ設けられている。また、スリーブ50Aは、太径の棒状部材2に対応して保持部52が肉薄となっており(図4(a),(b)参照)、スリーブ50Bは、細径の棒状部材1に対応して保持部52が肉厚となっている(図5(a),(b)参照)。これらのスリーブ50A,50Bは、例えば、ポリアセタールやポリアミド等の合成樹脂などにより形成することができる。
【0034】
次に、上記構造からなる連結具10の使用方法について説明する。
【0035】
図1においては、細径の棒状部材1に対して、これよりも太径の棒状部材1が直交して配設されており、互いに動かすことができない状態となっている。そして、まず、スリーブ50A,50Bの位置決め突部56を、一対の挟持ブロック20A,20Bの、各把持凹部24の位置決め凹部24cに嵌め込んで、各把持凹部24にスリーブ50A,50Bを位置決めした状態で装着する。ここでは、各挟持ブロック20A,20Bの、一方の枠状部26側の把持凹部24に肉厚のスリーブ50B,50Bをそれぞれ装着し、他方の枠状部26側の把持凹部24に肉薄のスリーブ50A,50Aをそれぞれ装着する(図1参照)。このとき、この実施形態では、スリーブ50A,50Bの外周側が、各把持凹部24の角部24a,24a及び円弧状凹部24bに適合する形状となっているので、スリーブ50A,50Bを各把持凹部24bにガタ付きなく強固に装着することができる。
【0036】
そして、図1に示すように、棒状部材1,2の外側に、対応するスリーブ50A,50Bを装着した把持凹部24,24を整合させて、一対の挟持ブロック20A,20Bをそれぞれ配置する。次いで、棒状部材1をスリーブ50A,50Aの内側に挿入し、棒状部材2をスリーブ50B,50Bの内側に挿入しながら、一対の挟持ブロック20A,20Bを近づけて、互いの突き合わせ面22,22どうしを近づけて、肉厚のスリーブ50B,50Bで細径の棒状部材1を挟み込むと共に、肉薄のスリーブ50A,50Aで太径の棒状部材2を挟み込む。
【0037】
次いで、挟持ブロック20Aのザグリ穴30aにワッシャ41を挿入した後、ボルト挿通孔30,30にボルト40をそれぞれ挿入し、同ボルト40を挟持ブロック20Bのネジ孔32にそれぞれ螺着することで、図2に示すように、一対の挟持ブロック20A,20Bが締め付け固定されて、棒状部材1,2を直交した状態で連結することができる。このとき、図1に示すように、ボルト挿通孔30及びネジ孔32は、一対の挟持ブロック20A,20Bの外周面において、同方向を向いた面に形成されているので、複数のボルト40を同じ方向から挿入して螺着できるので、作業性を向上させることができる。
【0038】
そして、この連結具10においては、従来の、挿通孔を有する連結部材のように、各棒状部材を、それらの端部から連結部材の挿通孔に挿通させる必要がなく、図1に示すように、棒状部材1,2が既に配設されていて互いに動かすことができない場合でも、棒状部材1,2への取付けが可能となると共に、各棒状部材1,2を正確な配置でかつ強固に連結することができる。
【0039】
また、上記のように本連結具10は、上記特許文献1記載の足場クランプのように、ピンを介して開閉するパイプ挟止体のような部材が存在せず、固定手段であるボルト40を介して一対の挟持ブロック20A,20Bを挟み込む構造となっているので、ボルト40を強く締めても、挟持ブロック20A,20Bが破損する虞れがなく、棒状部材1,2を強い力でしっかりと挟み込むことができ、棒状部材1,2を強固に連結することができる。
【0040】
上記のように、この連結具10においては、複数の棒状部材1,2を所定角度で交差した状態で強固に連結することができるので、機械、器具、装置、構造物等の、フレームや、筺体、枠体、構造部材、機械要素等の、強度や精度等が要求される箇所に好適に適用することができる。
【0041】
更に本実施形態では、各挟持ブロック20A,Bには2つの枠状部26,26が配置されているが、連結部28を介して枠状部26を増設することができるので、上記特許文献1記載の足場クランプのように、2本のパイプを連結するのに限定されることがなく、複数の棒状部材を確実に連結することができる。
【0042】
また、上記特許文献1記載の足場クランプのように、各クランプ体によるパイプ締付け固定作業を、パイプごとに逐一行う必要がなく、一対の挟持ブロック20A,20Bをボルト40を介して固定することで、複数の棒状部材1,2を一度に連結することができるので、複数の棒状部材の連結作業性を向上させることができる。
【0043】
更に本実施形態では、固定手段がボルト40であり、これが挟持ブロック20Aのボルト挿通孔30に挿通され、挟持ブロック20Bのネジ孔32に螺着されるようになっているので、一対の挟持ブロック20A,20Bを強固に固定することができ、棒状部材1,2をより強く挟み込むことが可能となり、両者の連結強度を一層高めることができる。
【0044】
更に、この実施形態では、一対の挟持ブロック20A,20Bは、挟持ブロック20Aのボルト挿通孔30及びザグリ穴30a、挟持ブロック20Bのネジ孔32を除き、同一形状のブロックにより形成されているので、一対の挟持ブロック20A,20Bを成型するための金型等を共通化することができるので、製造コストを低減することができる。
【0045】
以上の説明においては、スリーブ50A,50Bを用いて、丸棒状の棒状部材1,2を連結させたが、スリーブ50A,50Bを用いずに、棒状部材を連結させてもよい。
【0046】
例えば、図6に示すように、角柱状をなした棒状部材3,3であって、把持凹部24に適合するものを連結する場合は、把持凹部24に形成された角部24a,24aに棒状部材3を当接させ、棒状部材3を把持凹部24に保持させた後、ボルト40,40を介して一対の挟持ブロック20A,20Bを締め付け固定することで、棒状部材3,3どうしを強固に連結することができる。
【0047】
また、図7に示すように、前記棒状部材1,2よりも外径が大きく、把持凹部24に形成された円弧状凹部24bに適合する、円柱状の棒状部材4,4を連結する場合には、把持凹部24の開口両側及び底面に形成された円弧状凹部24bに棒状部材4を当接させ、棒状部材4を把持凹部24に保持させた後、ボルト40,40を介して一対の挟持ブロック20A,20Bを締め付け固定することで、棒状部材4,4どうしを連結することができる。
【0048】
また、この連結具10においては、棒状部材の外周形状に適合した内周形状を有する半割状のスリーブ50A,50Bが、把持凹部24に着脱可能に装着できるようになっているので、スリーブ50A,50Bを用いれば、外径の異なる複数の棒状部材1,2を連結することができ(図1,2参照)、目的に応じて、半割状のスリーブ50A,50Bを適宜交換するだけで、形状や外径が異なる棒状部材を連結することができる。
【0049】
図8には、本発明に係る棒状部材連結具の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略するものとする。
【0050】
この実施形態に係る棒状部材連結具10a(以下、「連結具10a」)は、前記実施形態の連結具10に比べて、ボルト挿通孔30及びネジ孔32が形成された位置が異なっている。
【0051】
すなわち、挟持ブロック20Aの軸方向両端部には、突き合わせ面22のほぼ中央の位置に、突き合わせ面22に対して直交するようにボルト挿通孔30が形成されており、同様に、挟持ブロック20Bの軸方向両端部には、突き合わせ面22のほぼ中央の位置に、突き合わせ面22に対して直交するようにネジ孔32が形成されている。
【0052】
このような構造の連結具10においても、把持凹部24に棒状部材4,4を挿入し、ボルト40,40を介して一対の挟持ブロック20A,20Bを締め付け固定することで、図8に示すように、棒状部材4,4どうしを連結することができる。
【0053】
図9,10には、本発明に係る棒状部材連結具の、更に他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略するものとする。
【0054】
この実施形態に係る棒状部材連結具10b(以下、「連結具10b」)は、一対の挟持ブロック20C,20Dを備えている。各挟持ブロック20C,20Dは、前記実施形態の挟持ブロック20A,20Bと基本的な構造は同一だが、ボルト挿通孔30及びネジ孔32の形成位置が異なっている。
【0055】
すなわち、図9に示すように各挟持ブロック20C,20Dの、軸方向両端に配置された2つの枠状部26,26のうち、一方の枠状部26の基端部が、軸方向に沿って所定長さで伸び、この部分が連結部28aをなしており、この連結部28を介して枠状部26,26どうしが連結されている。この連結部28aの内面は、平面状の突き合わせ面22aとなっている。
【0056】
また、図9に示すように、挟持ブロック20Cの連結部28aの外周面の周方向ほぼ中央から、前記突き合わせ面22aのほぼ中央に向けて、突き合わせ面22に対して斜めにボルト挿通孔30が形成されている。
【0057】
同様に、挟持ブロック20Dの連結部28aの外周面の周方向ほぼ中央から、前記突き合わせ面22aのほぼ中央に向けて、突き合わせ面22に対して斜めにネジ孔32が形成されている
また、この実施形態では、スリーブの形状も前記実施形態とは異なっている。すなわち、この実施形態におけるスリーブ50Cは、角柱状の棒状部材3に適合するように、内周面がコ字状をなした保持部52と、この保持部52の開口側の両側部外周及び底部外周に、把持凹部24の円弧状凹部24bに適合するように突設された嵌合リブ57とを有している。また、底部側の嵌合リブ57の中央には、把持凹部24の位置決め凹部24cに嵌合する位置決め突部56が設けられている。
【0058】
そして、スリーブ50Cの位置決め突部56を、各挟持ブロック20C,20Dの位置決め凹部24cに嵌め込んで、スリーブ50Cを位置決めした状態で装着した後、スリーブ50Cの内側に棒状部材3,3をそれぞれ挿入して、一対の挟持ブロック20C,20Dを近づけ、突き合わせ面22,22aどうしを近接させて、棒状部材3,3を挟み込む。その後、挟持ブロック20Cの外周から一本のボルト40をボルト挿通孔30に挿入し、挟持ブロック20Dのネジ孔32に螺着することで、図10に示すように、一対の挟持ブロック20C,20BD締め付け固定されて、棒状部材3,3を直交した状態で連結することができる。
【0059】
この実施形態では、一対の挟持ブロック20C,Dを、一本のボルト40で締め付け固定することができるので、棒状部材の連結作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0060】
1,2,3,4 棒状部材
10,10a,10b 棒状部材連結具(連結具)
20A,20B,20C,20D 挟持ブロック
22,22a 突き合わせ面
24 把持凹部
24a 角部
24b 円弧状凹部
24c 位置決め凹部
26 枠状部
28,28a 連結部
30 ボルト挿通孔
30a ザグリ穴
32 ネジ孔
40 ボルト
50A,50B スリーブ
52 保持部
54 角状リブ
56 位置決め突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の棒状部材を交差させて連結するための棒状部材連結具において、
互いに整合するように突き合わされて、各棒状部材を所定角度で交差した状態で挟み込む一対の挟持ブロックと、各棒状部材を挟み込んだ状態で前記一対の挟持ブロックを固定する固定手段とを備え、
前記一対の挟持ブロックは、互いに整合する突き合わせ面と、この突き合わせ面に形成された、各棒状部材が嵌合する複数の半割状の把持凹部と、該把持凹部の外周を構成する枠状部と、各枠状部を前記各棒状部材の交差角に合せて向きを変えて連結する連結部と、前記固定手段が取付けられる固定手段装着部とを有していることを特徴とする棒状部材連結具。
【請求項2】
前記一対の挟持ブロックは、前記固定手段装着部を除いて、同一形状のブロックにより形成されている請求項1記載の棒状部材連結具。
【請求項3】
前記棒状部材の外周形状に適合した内周形状を有する半割状のスリーブが、前記把持凹部に着脱可能に装着される請求項1又は2に記載の棒状部材連結具。
【請求項4】
前記把持凹部は、側面から見てコ字状をなすと共に、該コ字状の底面に円弧状の凹部が形成された形状をなしており、前記スリーブは、側面から見て、内周側が円弧状をなすと共に、外周側が前記把持凹部のコ字状の角部と円弧状の凹部とに適合する形状をなしている請求項3記載の棒状部材連結具。
【請求項5】
前記固定手段は、ボルトを有しており、前記一対の挟持ブロックのうちの一方の固定手段装着部は、前記ボルトの挿通孔を有し、前記一対の挟持ブロックのうちの他方の固定手段装着部は、前記ボルトが螺着するネジ孔を有している請求項1〜4のいずれか1つに記載の棒状部材連結具。
【請求項6】
前記固定手段装着部は、各挟持ブロックの複数箇所に設けられており、前記固定手段装着部における前記ボルト挿通孔又は前記ネジ孔は、各挟持ブロックの外周面において同方向を向いた面に形成されている請求項5記載の棒状部材連結具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−188842(P2012−188842A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52385(P2011−52385)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(509165699)株式会社東京精機製作所 (4)
【出願人】(504420582)
【Fターム(参考)】