棒鋼の製造方法
【課題】コイルから引き出した線材に捩れが発生することを抑止することができ、線材の曲がりの矯正を、矯正を必要とする方向で確実に、しかも冷間で実施することができる棒鋼の製造方法を提供する。
【解決手段】熱間圧延で線材1が螺旋状に巻き取られたコイル3から、線材1を引き出して冷間矯正を行った後に、棒鋼2を製造する棒鋼の製造方法において、コイル3から線材1が引き出された直後の位置に配置した一対のピンチロール4で、コイル3から引き出された一本の線材1を挟持して捩れを拘束すると共に、捩れが拘束された線材1の曲がりを、その下流側に配置した複数の矯正ローラ5で矯正することで、冷間矯正を実施する。
【解決手段】熱間圧延で線材1が螺旋状に巻き取られたコイル3から、線材1を引き出して冷間矯正を行った後に、棒鋼2を製造する棒鋼の製造方法において、コイル3から線材1が引き出された直後の位置に配置した一対のピンチロール4で、コイル3から引き出された一本の線材1を挟持して捩れを拘束すると共に、捩れが拘束された線材1の曲がりを、その下流側に配置した複数の矯正ローラ5で矯正することで、冷間矯正を実施する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間圧延で線材が螺旋状に巻き取られたコイルから、その線材を引き出して冷間矯正を行った後に、棒鋼を製造する棒鋼の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、棒鋼2を製造するにあたり、熱間圧延で線材1が螺旋状に巻き取られたコイル3から線材1を引き出して、定尺に切断することで棒鋼2を製造することは従来から行われていた。しかしながら、螺旋状のコイル3から引き出された線材1は、熱間圧延でコイル3として巻き取った際に螺旋形状の曲がりが形成されてしまうため、冷間矯正を行う必要があった。
【0003】
この冷間矯正は、従来の棒鋼の製造方法では、図7に示すように、コイル3から引き出された線材1を、矯正機(図示せず)に設けられた一対のピンチロール4で挟持した後、複数の千鳥状に配置された矯正ローラ5で矯正するという方法で行われているのが一般的であった。
【0004】
しかしながら、コイル3を配置したサプライスタンド(図示せず)とピンチロール4が設けられた矯正機は一定の間隔が開いているため、コイル3から線材1を引き出した後、ピンチロール4に達するまでの距離がかなりあり、ピンチロール4に到達するまでに、線材1が捻れてしまうことがしばしばあった。しかも、線材1の捩れは一束のコイル3内でもばらついていて、その向きが常時変動した状態で巻き取られており、コイル3から引き出された線材1が捩れた状態のままでピンチロール4に到達することがあった。このような場合、ピンチロール4の下流側に設けられた矯正ローラ5で行う線材1の曲がりの矯正は、線材1に捩れが発生した状態で行われるため、本来矯正を必要とする方向とは異なる方向で行われてしまうことになっていた。
【0005】
すなわち、線材1は前工程の熱間圧延工程で螺旋状に巻き取られており、コイル3を構成する線材1は三次元曲がりを有している。よって、コイル3から線材1を引き出すと、線材1は回転しながら(捩れながら)引き出されることになる。一方、矯正ローラ5は、矯正機等に固定されている。矯正される線材1と矯正を施す矯正ローラ5は、以上のような関係となっているため、コイル3の巻き取り時のバラツキと合わさって、線材1は長手方向に向きを変動しながら矯正されることになり、様々な向きで矯正が施され、コイル3の円周方向に一致した矯正を確実に行うことはできない。そのため、矯正ローラ5での矯正後も、線材1に3次元曲がりが残存することになり、その結果、矯正後の線材1にコイル3の螺旋形状が残存することになっていた。
【0006】
例えば、特許文献1には、ビレットから径30mm以下の所定の径に圧延した細物棒鋼材を圧延工程においてコイル状に巻き取り、巻き取ったコイルを圧延工程と異なる別ラインにおいてサプライスタンドで巻き戻して複数組の矯正ロールを有する多ロール粗矯正機により矯正して直線化した後、所定の長さに高速切断機により切断し、次いでその後方の2ロール矯正機により所定の矯正精度まで矯正する細物棒鋼の製造方法が記載されている。
【0007】
この特許文献1に記載された細物棒鋼の製造方法は、通常の熱間圧延棒鋼で、曲がりを矯正するのに適用されている方法である。コイル状に巻き取られた線材の曲がりの矯正にこの方法を適用した場合、コイル状に巻き取られた線材の曲率半径は棒鋼と比較して極端に小さいため、曲がりの矯正に非常に多くの矯正ローラを必要とする。また、多くの矯正ローラを用いても確実に矯正することはできず、熱間圧延棒鋼と比較して真直度が落ちることになる。
【0008】
線材の曲がりを矯正する方法としては、以上説明した方法以外に、予直ローラによってある程度まで直線化した後にダイス引き抜きを行う方法や、熱間で矯正する方法を例示することができるが、前者については、引き抜きのための速度を向上できないことやダイスの交換が必要であるといった問題があり、後者については、加熱するためのコストがかかることや機械的性質が損なわれてしまうといった問題があり、適切な矯正方法ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−33619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来の問題を解消せんとしてなされたもので、熱間圧延で線材が螺旋状に巻き取られたコイルから引き出した線材に捩れが発生することを抑止することができ、線材の曲がりの矯正を、矯正を必要とする方向で確実に、しかも冷間で実施することができる棒鋼の製造方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、熱間圧延で線材が螺旋状に巻き取られたコイルから、前記線材を引き出して冷間矯正を行った後に、棒鋼を製造する棒鋼の製造方法において、前記コイルから前記線材が引き出された直後の位置に配置した一対のピンチロールで、前記コイルから引き出された一本の線材を挟持して捩れを拘束すると共に、捩れが拘束された前記線材の曲がりを、その下流側に配置した複数の矯正ローラで矯正することで、前記冷間矯正を実施することを特徴とする棒鋼の製造方法である。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記コイルの中心軸を含み、且つ前記線材の引き出し方向と直交する仮想面が、前記一対のピンチロールの一部を通ることを特徴とする請求項1記載の棒鋼の製造方法である。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記コイルの中心軸を含み、且つ前記線材の引き出し方向と直交する仮想面が、前記一対のピンチロールの回転軸を通ることを特徴とする請求項1記載の棒鋼の製造方法である。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記複数の矯正ローラの間に、更に1対或いは2対以上のピンチロールを配置し、前記線材の捻れの拘束並びに曲がりの矯正を繰返して行うことで、前記冷間矯正を実施することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の棒鋼の製造方法である。
【0015】
請求項5記載の発明は、前記複数の矯正ローラの下流側に、前記複数の矯正ローラの回転軸に対して90°傾き、且つ前記線材の引き出し方向とは90°傾いた回転軸を有する複数の副矯正ローラが配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の棒鋼の製造方法である。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の冷間矯正で曲がりを矯正した線材を、挿通孔が形成された複数個の矯正駒が、その挿通孔が略直線状に配置されるようにして略直列した状態で内蔵された回転駒式矯正機の前記挿通孔に順次挿通し、前記回転駒式矯正機の回転によって前記線材の曲がりを更に矯正することを特徴とする棒鋼の製造方法である。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法で曲がりを矯正した線材を、定尺に切断して棒鋼とした後に、複数の矯正ローラが配置された多ロール矯正機に通し、更に前記棒鋼の曲がりを矯正することを特徴とする棒鋼の製造方法である。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法で曲がりを矯正した線材を、定尺に切断して棒鋼とした後に、押さえ面の中央部が凹んだ鼓形ローラと、押さえ面の中央部が膨らんだ太鼓形ローラが対になって配置された鼓矯正機に通し、更に前記棒鋼の曲がりを矯正することを特徴とする棒鋼の製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1記載の棒鋼の製造方法によると、熱間圧延で線材が螺旋状に巻き取られたコイルから引き出した一本の線材を、コイルから引き出された直後に一対のピンチロールで挟むため、線材に捩れが発生することを抑止することができ、以後の線材の曲がりの矯正を、矯正を必要とする方向で確実に行うことができる。しかも、冷間で矯正することができるため、加熱するためのコストがかかることや機械的性質が損なわれてしまうといった問題が発生することもない。
【0020】
本発明の請求項2記載の棒鋼の製造方法によると、コイルの中心軸を含み、且つ線材の引き出し方向と直交する仮想面が、一対のピンチロールの一部を通るように配置することにより、コイルから引き出された直後の一本の線材を、確実に一対のピンチロールで挟むことができ、線材の捩れの発生をより確実に防止することができる。
【0021】
本発明の請求項3記載の棒鋼の製造方法によると、コイルの中心軸を含み、且つ線材の引き出し方向と直交する仮想面が、一対のピンチロールの回転軸を通るように配置することにより、コイルから引き出された直後の一本の線材を、更に確実に一対のピンチロールで挟むことができ、線材の捩れの発生をより確実に防止することができる。
【0022】
本発明の請求項4記載の棒鋼の製造方法によると、ピンチロールでの線材の捩れの拘束と、矯正ローラでの線材の曲がりの矯正を複数回に亘って繰り返すため、線材の曲がりの矯正をより確実に行うことができる。
【0023】
本発明の請求項5記載の棒鋼の製造方法によると、副矯正ローラによって、線材のコイル巻き取り時の軸方向の軽微な曲がりの矯正も併せて行うことができる。
【0024】
本発明の請求項6記載の棒鋼の製造方法によると、請求項1乃至5のいずれかに記載の冷間矯正に加えて、回転駒式矯正機による曲がりの矯正も実施するため、線材の曲がりの矯正を更に確実に行うことができる。
【0025】
本発明の請求項7記載の棒鋼の製造方法によると、線材を切断して棒鋼とした後も、曲がりの矯正を行うため、製造される棒鋼の曲がりの矯正を更に確実に行うことができる。
【0026】
本発明の請求項8記載の棒鋼の製造方法によると、線材を切断して棒鋼とした後も、曲がりの矯正を行うため、製造される棒鋼の曲がりの矯正を更に確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の請求項1〜3記載の実施形態の工程を説明するための側面図である。
【図2】本発明の請求項4記載の実施形態の工程を説明するための側面図である。
【図3】本発明の請求項5記載の実施形態の工程を説明するための側面図である。
【図4】回転駒式矯正機の概要を示す縦断面図である。
【図5】多ロール矯正機の概要を示す側面図である。
【図6】鼓矯正機の概要を示す側面図である。
【図7】従来例の工程を説明するための側面図である。
【図8】線材(棒鋼)の曲がり量δを説明するための側面図であって、(a)は蛇行曲がりの事例を示し、(b)は円弧状の曲がりの事例を示す。
【図9】実施例での棒鋼の曲がり量δの計測結果を示すもので、請求項1〜3記載の棒鋼の製造方法で製造した棒鋼の曲がり量δのバラツキを示すグラフ図である。
【図10】実施例での棒鋼の曲がり量δの計測結果を示すもので、請求項4記載の棒鋼の製造方法で製造した棒鋼の曲がり量δのバラツキを示すグラフ図である。
【図11】実施例での棒鋼の曲がり量δの計測結果を示すもので、請求項5記載の棒鋼の製造方法で製造した棒鋼の曲がり量δのバラツキを示すグラフ図である。
【図12】実施例での棒鋼の曲がり量δの計測結果を示すもので、請求項6記載の棒鋼の製造方法で製造した棒鋼の曲がり量δのバラツキを示すグラフ図である。
【図13】実施例での棒鋼の曲がり量δの計測結果を示すもので、請求項7記載の棒鋼の製造方法で製造した棒鋼の曲がり量δのバラツキを示すグラフ図である。
【図14】実施例での棒鋼の曲がり量δの計測結果を示すもので、請求項8記載の棒鋼の製造方法で製造した棒鋼の曲がり量δのバラツキを示すグラフ図である。
【図15】実施例での棒鋼の曲がり量δの計測結果を示すもので、従来の棒鋼の製造方法で製造した棒鋼の曲がり量δのバラツキを示すグラフ図である。
【図16】回転駒式矯正機を用いた実施形態の工程を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明者らは、熱間圧延で線材が螺旋状に巻き取られたコイルから引き出した線材に捩れが発生しないようにし、その後の線材の曲がりの矯正を、矯正を必要とする方向で確実に行うことができるような、線材からの棒鋼の製造方法を見出すことを目的に、鋭意、実験、研究を進めた。
【0029】
その結果、線材の捩れを拘束する一対のピンチロールを、コイルから線材が引き出された直後の位置に配置して、コイルから引き出された直後の一本の線材を挟持することで、その線材に発生する捩れを確実に拘束することができることを見出し、本発明の完成に至った。また、コイルの中心軸を含み、且つ前記線材の引き出し方向と直交する仮想面が、一対のピンチロールの一部を通るように配置することが望ましく、更には、コイルの中心軸を含み、且つ前記線材の引き出し方向と直交する仮想面が、一対のピンチロールの回転軸を通るように配置することがより望ましいことも確認した。
【0030】
但し、線材は熱間圧延で螺旋状に巻き取られており、前述したように、線材にはその軸方向にも若干の曲がりが発生している。そのため、ピンチロールの下流側に配置した複数の矯正ローラで矯正を行うと、矯正中に新たな曲がりが発生する可能性がある。このような曲がりが発生した場合、矯正後の線材には若干の螺旋形状が残存する可能性がある。このような可能性をなくするために、複数の矯正ローラの間に、更にピンチロールを設けることで対処した。
【0031】
また、複数の矯正ローラの間にピンチロールを設けるだけでは、線材のコイル巻き取り時の軸方向の若干の曲がりは矯正することはできない。この軸方向の軽微な曲がりを矯正するために、複数の矯正ローラの下流側に、それら矯正ローラの回転軸とは90°傾いた回転軸を有する複数の副矯正ローラを配置することで対処した。
【0032】
以上のような方法で棒鋼を製造することで、真直性の良い棒鋼の製造が可能になったが、その用途によっては残留応力が問題となることがある。その改善のために、前述した方法で線材の曲がりを矯正した後に、更に、回転駒式矯正、多ロール矯正、鼓矯正を実施することで、更に真直性を向上させることができ、残留応力も低減させることができる。
【0033】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて更に詳細に説明する。
【0034】
図1は本発明の一実施形態の工程を説明するための側面図である。この実施形態では、まず、前工程の熱間圧延工程で、巻き取り機において線材1が螺旋状に巻き取られ、サプライスタンド等に移載される。この巻き取り機で巻き取られたコイル3から線材1を引き出し、冷間矯正を行うことで棒鋼2は製造される。
【0035】
本発明においては、このコイル3から引き出した一本の線材1を、引き出し直後に一対のピンチロール4で挟持することで、引き出された線材1に捩れが発生することを抑止することができる。図1に示す実施形態では、ピンチロール4の回転軸は、コイルの中心軸を含み、且つ前記線材の引き出し方向と直交する仮想面C上に配置されているため、線材1がコイル3から引き出されて一本だけとなった状態で、一対のピンチロール4で確実に挟持することができ、線材1の捩れを拘束することができる。
【0036】
尚、ピンチロール4は、図1に示すように、その回転軸が必ずしも仮想面C上に位置する必要はなく、ピンチロール4の何れかの部位が仮想面C上に位置しておれば良い。このようにピンチロール4を配置することで、線材1の捩れを確実に拘束することができる。また、ピンチロール4の一部が必ずしも仮想面C上に配置していなくても良く、コイル3から引き出された直後の線材1の捩れを拘束できる位置であれば、この仮想面C上から線材の引き出し方向の前後に僅かに離れた位置に、ピンチロール4を配置しても構わない。
【0037】
ピンチロール4により捩れが拘束された状態で線材1は更に下流側に送られ、千鳥状に配置された複数の矯正ローラ5で押圧され、熱間圧延工程で、コイル3となって巻き取られた際に発生した螺旋形状の曲がりが矯正される。すなわち、捩れが拘束された状態で線材1の曲がりが、矯正ローラ5で矯正されるので、本来矯正を必要とする方向で、つまり、コイル3の円周方向に合わせた矯正を確実に行うことできる。
【0038】
この曲がりの矯正を終えた線材1は更に下流側へ送られ、切断機9(図16に示す)で定尺に切断されて目的の棒鋼2が製造される。
【0039】
以上が、図1に示す実施形態の説明であるが、図2に示すように、複数の矯正ローラ5の間にピンチロール4を追加して配置し、ピンチロール4と矯正ローラ5で、線材1の捻れの拘束と、線材1の曲がりの矯正を繰返して行えば、線材1の曲がりの矯正をより確実に行うことができる。
【0040】
尚、図2には、追加のピンチロール4が一対だけ設けられた実施形態を示すが、追加のピンチロール4は二対以上設けられていても良い。この場合、各ピンチロール4は必ず矯正ローラ5の間に配置される必要があり、線材1の捩れを拘束する一対のピンチロール4と、その下流側の線材1の曲がりを矯正する矯正ローラ5は必ずセットになって設けられる必要がある。
【0041】
また、以上説明した各方法で、線材1の曲がりの矯正をしても、線材1のコイル3巻き取り時に発生した円周方向の矯正はできるものの、線材1のコイル3巻き取り時の軸方向の若干の曲がりは矯正することはできない。この軸方向の曲がりは、図3に示すように、複数の矯正ローラ5の下流側に、これら複数の矯正ローラ5の回転軸に対して90°傾き、且つ線材1の引き出し方向とは90°傾いた回転軸を有する複数の副矯正ローラ10を配置することで、矯正できる。
【0042】
以上説明した各方法で、線材1の曲がりの矯正をしても、その矯正が不十分な場合、或いは、より高い真直性が求められる棒鋼2を製造することが必要な場合は、図4に示す回転駒式矯正機6を、複数の矯正ローラ5の更に下流側に設けることで、線材1の曲がりの矯正を更に確実に行うことができる。
【0043】
この回転駒式矯正機6の内部には、挿通孔が形成された複数個の矯正駒6aが、その挿通孔が略直線状に配置されるようにして略直列した状態で内蔵されている。尚、ここで示す略直線状とは挿通孔が同方向を向いて並んでいることを示し、具体的には、図4に示すように、各矯正駒6aの挿通孔はわざとずらした位置に配置する。また、回転駒式矯正機6の本体6bは、筒状で両端面が閉塞された構造であって、その両端面には同芯の挿通孔が夫々形成されている。前記した複数個の矯正駒6aは、その本体6bの空洞部に直列し、夫々が間隔を開けて内蔵されているが、本体6bの表面側から位置調整ネジ6cにより、各挿通孔が配置される位置を調整することが可能である。
【0044】
この回転駒式矯正機6の挿通孔に、線材1を順次挿通し、回転駒式矯正機6を本体6bごと回転させることで、線材1の曲がりを更に確実に矯正することができる。この回転駒式矯正機6での線材1の曲がりの矯正を実施することで、それより上流の工程で、線材1の曲がりの矯正が完全にはできず、残留応力が発生する場合であっても、回転駒式矯正機6で捻り方向の塑性変形を与えることができるので、残留応力を除去することができる。
【0045】
以上の各方法で、線材1の曲がりを矯正した後、線材1は更に下流側へ送られ、切断機9(図14に示す)で定尺に切断されることで目的の棒鋼2は製造されるが、必要に応じ、棒鋼2とした後にも、曲がりの矯正を行う。その矯正は、図4に示す多ロール矯正機7、或いは、図6に示す鼓矯正機8を用いて行うことができる。残留応力を長尺の線材1の状態で除去したとしても、棒鋼2とした段階で若干真直性に問題が残る場合がある。これらの棒鋼2とした後の矯正は、主に棒鋼2の真直性を向上するために実施する。
【0046】
多ロール矯正機7は、複数の矯正ローラ7aが設けられた矯正機であり、千鳥状に配置された矯正ローラ7a間に棒鋼2を通すことで、棒鋼2の曲がりを矯正することができる。尚、図5に示す7bは入り口に設けられたピンチロールである。
【0047】
鼓矯正機8は、押さえ面の中央部が凹んだ鼓形ローラ8aと、押さえ面の中央部が膨らんだ太鼓形ローラ8bが対になって角度を変えて配置された矯正機であり、鼓形ローラ8aと太鼓形ローラ8b間に棒鋼2を通すことで、棒鋼2の曲がりを矯正することができる。
【実施例】
【0048】
熱間圧延で線材が螺旋状に巻き取られたコイルから線材を引き出して冷間矯正を実施した。冷間矯正は、請求項3〜8に記載の方法に基づき夫々実施しており、請求項1〜3に記載の方法で冷間矯正を実施した例を実施例1、請求項4に記載の方法で冷間矯正を実施した例を実施例2、請求項5に記載の方法で冷間矯正を実施した例を実施例3、請求項6に記載の方法で冷間矯正を実施した例を実施例4、請求項7に記載の方法で冷間矯正を実施した例を実施例5、請求項8に記載の方法で冷間矯正を実施した例を実施例6とし、冷間矯正を実施しない例を比較例とした。
【0049】
実施例2で追加されたピンチロールは一対であり、実施例3〜6では、最初に行う冷間矯正は請求項3に示す方法で実施している。また、実施例5,6では、実施例4と同様に回転駒式矯正機6での線材の曲がりの矯正を実施しており、図16に、実施例4〜6の線材1を切断して棒鋼2とするまでの工程を示す。尚、6dは、回転駒式矯正機6の上下流側に配置したピンチロールである。
【0050】
熱間圧延で得られた線材の径はφ22mmであって、各実施例、比較例共に、6mに切断した棒鋼を100本製造し、図8(a)或いは(b)に示す曲がり量δを計測することでデータを得た。各実施例、比較例共に、鋼種:S55CとSUJ2の2種類についてのデータを得た。尚、S55Cは熱延ままの状態で、SUJ2は球状化熱処理後の状態で、酸洗、被膜処理等は行っていない。
【0051】
2mm以下の曲がり量δが棒鋼として問題を生じない曲がり量であって、より厳しい規格ではその基準は1mm以下である。
【0052】
実施例1の計測結果を図9に、実施例2の計測結果を図10に、実施例3の計測結果を図11に、実施例4の計測結果を図12に、実施例5の計測結果を図13に、実施例6の計測結果を図14に、比較例の計測結果を図15に、夫々まとめて示す。尚、各棒グラフの左側がS55C、右側がSUJ2を、夫々材料として用いた例を示す。
【0053】
比較例では、曲がり量δは大きくばらついており、鋼種を問わず、過半数で2mmを超える曲がりが計測されており、4.5mm以上の非常に大きな曲がりも計測された。S55CとSUJ2を比較すると、変形抵抗の高いSUJ2の方が曲がりが大きいことが確認できる。尚、計測結果の大きなバラツキは、コイルの引き出し点からピンチロールまでの曲がりのバラツキが原因で発生したと考えられる。また、切断後の棒鋼を多ロール矯正機、鼓矯正機に通して矯正することも試みたが、曲がりの大きな棒鋼については、矯正機に通すことすらできなかった。
【0054】
一方、実施例1〜6では、計測された曲がり量δは、全て棒鋼として問題を生じない曲がり量とされる2mm以下であり、コイルの中心軸を通り、且つ線材の引き出し方向と直交する仮想線上に配置した一対のピンチロールで、コイルから引き出された一本の線材を挟持して捩れを拘束することで、その後の冷間矯正で、線材の曲がりを、矯正を必要とする方向で確実に矯正することができることが分かる。
【0055】
実施例1では、S55C、SUJ2共に、計測された曲がり量δは全て棒鋼として問題を生じない曲がり量とされる2mm以下であり、実施例2では、S55Cで93%、SUJ2で54%が、1mm以下の曲がり量δに矯正することができている。この結果から、ピンチロールでの線材の捩れの拘束と、矯正ローラでの線材の曲がりの矯正を複数回に亘って繰り返すことで、線材の曲がりの矯正をより確実に行うことができることが分かる。
【0056】
また、実施例3では、S55Cで全数が、SUJ2で98%と略全数が、1mm以下の曲がり量δに矯正することができている。この結果から、複数の矯正ローラの下流側に、それら矯正ローラの回転軸とは90°傾いた回転軸を有する複数の副矯正ローラを配置して、線材のコイル巻き取り時の軸方向の矯正を併せて実施すれば、線材の曲がりの矯正を更に確実に行うことができることが分かる。
【0057】
また、実施例4では、S55Cで全数が、SUJ2で88%が、1mm以下の曲がり量δに矯正することができている。この結果から、回転駒式矯正機による曲がりの矯正も併せて実施することで、線材の曲がりの矯正を更に確実に行うことができることが分かる。
【0058】
また、実施例5、実施例6では、S55C、SUJ2共に、計測された曲がり量δは全て1mm以下である。すなわち、回転駒式矯正機による曲がりの矯正後に、更に多ロール矯正機或いは鼓矯正機で曲がりの矯正を行うことで、製造される棒鋼の曲がりの矯正を更に確実に行うことができることが分かる。
【符号の説明】
【0059】
1…線材
2…棒鋼
3…コイル
4…ピンチロール
5…矯正ローラ
6…回転駒式矯正機
6a…矯正駒
6b…本体
6c…位置調整ネジ
6d…ピンチロール
7…多ロール矯正機
7a…矯正ローラ
7b…ピンチロール
8…鼓矯正機
8a…鼓形ローラ
8b…太鼓形ローラ
9…切断機
10…副矯正ローラ
A…中心軸
B…引き出し方向
C…仮想面
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間圧延で線材が螺旋状に巻き取られたコイルから、その線材を引き出して冷間矯正を行った後に、棒鋼を製造する棒鋼の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、棒鋼2を製造するにあたり、熱間圧延で線材1が螺旋状に巻き取られたコイル3から線材1を引き出して、定尺に切断することで棒鋼2を製造することは従来から行われていた。しかしながら、螺旋状のコイル3から引き出された線材1は、熱間圧延でコイル3として巻き取った際に螺旋形状の曲がりが形成されてしまうため、冷間矯正を行う必要があった。
【0003】
この冷間矯正は、従来の棒鋼の製造方法では、図7に示すように、コイル3から引き出された線材1を、矯正機(図示せず)に設けられた一対のピンチロール4で挟持した後、複数の千鳥状に配置された矯正ローラ5で矯正するという方法で行われているのが一般的であった。
【0004】
しかしながら、コイル3を配置したサプライスタンド(図示せず)とピンチロール4が設けられた矯正機は一定の間隔が開いているため、コイル3から線材1を引き出した後、ピンチロール4に達するまでの距離がかなりあり、ピンチロール4に到達するまでに、線材1が捻れてしまうことがしばしばあった。しかも、線材1の捩れは一束のコイル3内でもばらついていて、その向きが常時変動した状態で巻き取られており、コイル3から引き出された線材1が捩れた状態のままでピンチロール4に到達することがあった。このような場合、ピンチロール4の下流側に設けられた矯正ローラ5で行う線材1の曲がりの矯正は、線材1に捩れが発生した状態で行われるため、本来矯正を必要とする方向とは異なる方向で行われてしまうことになっていた。
【0005】
すなわち、線材1は前工程の熱間圧延工程で螺旋状に巻き取られており、コイル3を構成する線材1は三次元曲がりを有している。よって、コイル3から線材1を引き出すと、線材1は回転しながら(捩れながら)引き出されることになる。一方、矯正ローラ5は、矯正機等に固定されている。矯正される線材1と矯正を施す矯正ローラ5は、以上のような関係となっているため、コイル3の巻き取り時のバラツキと合わさって、線材1は長手方向に向きを変動しながら矯正されることになり、様々な向きで矯正が施され、コイル3の円周方向に一致した矯正を確実に行うことはできない。そのため、矯正ローラ5での矯正後も、線材1に3次元曲がりが残存することになり、その結果、矯正後の線材1にコイル3の螺旋形状が残存することになっていた。
【0006】
例えば、特許文献1には、ビレットから径30mm以下の所定の径に圧延した細物棒鋼材を圧延工程においてコイル状に巻き取り、巻き取ったコイルを圧延工程と異なる別ラインにおいてサプライスタンドで巻き戻して複数組の矯正ロールを有する多ロール粗矯正機により矯正して直線化した後、所定の長さに高速切断機により切断し、次いでその後方の2ロール矯正機により所定の矯正精度まで矯正する細物棒鋼の製造方法が記載されている。
【0007】
この特許文献1に記載された細物棒鋼の製造方法は、通常の熱間圧延棒鋼で、曲がりを矯正するのに適用されている方法である。コイル状に巻き取られた線材の曲がりの矯正にこの方法を適用した場合、コイル状に巻き取られた線材の曲率半径は棒鋼と比較して極端に小さいため、曲がりの矯正に非常に多くの矯正ローラを必要とする。また、多くの矯正ローラを用いても確実に矯正することはできず、熱間圧延棒鋼と比較して真直度が落ちることになる。
【0008】
線材の曲がりを矯正する方法としては、以上説明した方法以外に、予直ローラによってある程度まで直線化した後にダイス引き抜きを行う方法や、熱間で矯正する方法を例示することができるが、前者については、引き抜きのための速度を向上できないことやダイスの交換が必要であるといった問題があり、後者については、加熱するためのコストがかかることや機械的性質が損なわれてしまうといった問題があり、適切な矯正方法ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−33619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来の問題を解消せんとしてなされたもので、熱間圧延で線材が螺旋状に巻き取られたコイルから引き出した線材に捩れが発生することを抑止することができ、線材の曲がりの矯正を、矯正を必要とする方向で確実に、しかも冷間で実施することができる棒鋼の製造方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、熱間圧延で線材が螺旋状に巻き取られたコイルから、前記線材を引き出して冷間矯正を行った後に、棒鋼を製造する棒鋼の製造方法において、前記コイルから前記線材が引き出された直後の位置に配置した一対のピンチロールで、前記コイルから引き出された一本の線材を挟持して捩れを拘束すると共に、捩れが拘束された前記線材の曲がりを、その下流側に配置した複数の矯正ローラで矯正することで、前記冷間矯正を実施することを特徴とする棒鋼の製造方法である。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記コイルの中心軸を含み、且つ前記線材の引き出し方向と直交する仮想面が、前記一対のピンチロールの一部を通ることを特徴とする請求項1記載の棒鋼の製造方法である。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記コイルの中心軸を含み、且つ前記線材の引き出し方向と直交する仮想面が、前記一対のピンチロールの回転軸を通ることを特徴とする請求項1記載の棒鋼の製造方法である。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記複数の矯正ローラの間に、更に1対或いは2対以上のピンチロールを配置し、前記線材の捻れの拘束並びに曲がりの矯正を繰返して行うことで、前記冷間矯正を実施することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の棒鋼の製造方法である。
【0015】
請求項5記載の発明は、前記複数の矯正ローラの下流側に、前記複数の矯正ローラの回転軸に対して90°傾き、且つ前記線材の引き出し方向とは90°傾いた回転軸を有する複数の副矯正ローラが配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の棒鋼の製造方法である。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の冷間矯正で曲がりを矯正した線材を、挿通孔が形成された複数個の矯正駒が、その挿通孔が略直線状に配置されるようにして略直列した状態で内蔵された回転駒式矯正機の前記挿通孔に順次挿通し、前記回転駒式矯正機の回転によって前記線材の曲がりを更に矯正することを特徴とする棒鋼の製造方法である。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法で曲がりを矯正した線材を、定尺に切断して棒鋼とした後に、複数の矯正ローラが配置された多ロール矯正機に通し、更に前記棒鋼の曲がりを矯正することを特徴とする棒鋼の製造方法である。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法で曲がりを矯正した線材を、定尺に切断して棒鋼とした後に、押さえ面の中央部が凹んだ鼓形ローラと、押さえ面の中央部が膨らんだ太鼓形ローラが対になって配置された鼓矯正機に通し、更に前記棒鋼の曲がりを矯正することを特徴とする棒鋼の製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1記載の棒鋼の製造方法によると、熱間圧延で線材が螺旋状に巻き取られたコイルから引き出した一本の線材を、コイルから引き出された直後に一対のピンチロールで挟むため、線材に捩れが発生することを抑止することができ、以後の線材の曲がりの矯正を、矯正を必要とする方向で確実に行うことができる。しかも、冷間で矯正することができるため、加熱するためのコストがかかることや機械的性質が損なわれてしまうといった問題が発生することもない。
【0020】
本発明の請求項2記載の棒鋼の製造方法によると、コイルの中心軸を含み、且つ線材の引き出し方向と直交する仮想面が、一対のピンチロールの一部を通るように配置することにより、コイルから引き出された直後の一本の線材を、確実に一対のピンチロールで挟むことができ、線材の捩れの発生をより確実に防止することができる。
【0021】
本発明の請求項3記載の棒鋼の製造方法によると、コイルの中心軸を含み、且つ線材の引き出し方向と直交する仮想面が、一対のピンチロールの回転軸を通るように配置することにより、コイルから引き出された直後の一本の線材を、更に確実に一対のピンチロールで挟むことができ、線材の捩れの発生をより確実に防止することができる。
【0022】
本発明の請求項4記載の棒鋼の製造方法によると、ピンチロールでの線材の捩れの拘束と、矯正ローラでの線材の曲がりの矯正を複数回に亘って繰り返すため、線材の曲がりの矯正をより確実に行うことができる。
【0023】
本発明の請求項5記載の棒鋼の製造方法によると、副矯正ローラによって、線材のコイル巻き取り時の軸方向の軽微な曲がりの矯正も併せて行うことができる。
【0024】
本発明の請求項6記載の棒鋼の製造方法によると、請求項1乃至5のいずれかに記載の冷間矯正に加えて、回転駒式矯正機による曲がりの矯正も実施するため、線材の曲がりの矯正を更に確実に行うことができる。
【0025】
本発明の請求項7記載の棒鋼の製造方法によると、線材を切断して棒鋼とした後も、曲がりの矯正を行うため、製造される棒鋼の曲がりの矯正を更に確実に行うことができる。
【0026】
本発明の請求項8記載の棒鋼の製造方法によると、線材を切断して棒鋼とした後も、曲がりの矯正を行うため、製造される棒鋼の曲がりの矯正を更に確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の請求項1〜3記載の実施形態の工程を説明するための側面図である。
【図2】本発明の請求項4記載の実施形態の工程を説明するための側面図である。
【図3】本発明の請求項5記載の実施形態の工程を説明するための側面図である。
【図4】回転駒式矯正機の概要を示す縦断面図である。
【図5】多ロール矯正機の概要を示す側面図である。
【図6】鼓矯正機の概要を示す側面図である。
【図7】従来例の工程を説明するための側面図である。
【図8】線材(棒鋼)の曲がり量δを説明するための側面図であって、(a)は蛇行曲がりの事例を示し、(b)は円弧状の曲がりの事例を示す。
【図9】実施例での棒鋼の曲がり量δの計測結果を示すもので、請求項1〜3記載の棒鋼の製造方法で製造した棒鋼の曲がり量δのバラツキを示すグラフ図である。
【図10】実施例での棒鋼の曲がり量δの計測結果を示すもので、請求項4記載の棒鋼の製造方法で製造した棒鋼の曲がり量δのバラツキを示すグラフ図である。
【図11】実施例での棒鋼の曲がり量δの計測結果を示すもので、請求項5記載の棒鋼の製造方法で製造した棒鋼の曲がり量δのバラツキを示すグラフ図である。
【図12】実施例での棒鋼の曲がり量δの計測結果を示すもので、請求項6記載の棒鋼の製造方法で製造した棒鋼の曲がり量δのバラツキを示すグラフ図である。
【図13】実施例での棒鋼の曲がり量δの計測結果を示すもので、請求項7記載の棒鋼の製造方法で製造した棒鋼の曲がり量δのバラツキを示すグラフ図である。
【図14】実施例での棒鋼の曲がり量δの計測結果を示すもので、請求項8記載の棒鋼の製造方法で製造した棒鋼の曲がり量δのバラツキを示すグラフ図である。
【図15】実施例での棒鋼の曲がり量δの計測結果を示すもので、従来の棒鋼の製造方法で製造した棒鋼の曲がり量δのバラツキを示すグラフ図である。
【図16】回転駒式矯正機を用いた実施形態の工程を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明者らは、熱間圧延で線材が螺旋状に巻き取られたコイルから引き出した線材に捩れが発生しないようにし、その後の線材の曲がりの矯正を、矯正を必要とする方向で確実に行うことができるような、線材からの棒鋼の製造方法を見出すことを目的に、鋭意、実験、研究を進めた。
【0029】
その結果、線材の捩れを拘束する一対のピンチロールを、コイルから線材が引き出された直後の位置に配置して、コイルから引き出された直後の一本の線材を挟持することで、その線材に発生する捩れを確実に拘束することができることを見出し、本発明の完成に至った。また、コイルの中心軸を含み、且つ前記線材の引き出し方向と直交する仮想面が、一対のピンチロールの一部を通るように配置することが望ましく、更には、コイルの中心軸を含み、且つ前記線材の引き出し方向と直交する仮想面が、一対のピンチロールの回転軸を通るように配置することがより望ましいことも確認した。
【0030】
但し、線材は熱間圧延で螺旋状に巻き取られており、前述したように、線材にはその軸方向にも若干の曲がりが発生している。そのため、ピンチロールの下流側に配置した複数の矯正ローラで矯正を行うと、矯正中に新たな曲がりが発生する可能性がある。このような曲がりが発生した場合、矯正後の線材には若干の螺旋形状が残存する可能性がある。このような可能性をなくするために、複数の矯正ローラの間に、更にピンチロールを設けることで対処した。
【0031】
また、複数の矯正ローラの間にピンチロールを設けるだけでは、線材のコイル巻き取り時の軸方向の若干の曲がりは矯正することはできない。この軸方向の軽微な曲がりを矯正するために、複数の矯正ローラの下流側に、それら矯正ローラの回転軸とは90°傾いた回転軸を有する複数の副矯正ローラを配置することで対処した。
【0032】
以上のような方法で棒鋼を製造することで、真直性の良い棒鋼の製造が可能になったが、その用途によっては残留応力が問題となることがある。その改善のために、前述した方法で線材の曲がりを矯正した後に、更に、回転駒式矯正、多ロール矯正、鼓矯正を実施することで、更に真直性を向上させることができ、残留応力も低減させることができる。
【0033】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて更に詳細に説明する。
【0034】
図1は本発明の一実施形態の工程を説明するための側面図である。この実施形態では、まず、前工程の熱間圧延工程で、巻き取り機において線材1が螺旋状に巻き取られ、サプライスタンド等に移載される。この巻き取り機で巻き取られたコイル3から線材1を引き出し、冷間矯正を行うことで棒鋼2は製造される。
【0035】
本発明においては、このコイル3から引き出した一本の線材1を、引き出し直後に一対のピンチロール4で挟持することで、引き出された線材1に捩れが発生することを抑止することができる。図1に示す実施形態では、ピンチロール4の回転軸は、コイルの中心軸を含み、且つ前記線材の引き出し方向と直交する仮想面C上に配置されているため、線材1がコイル3から引き出されて一本だけとなった状態で、一対のピンチロール4で確実に挟持することができ、線材1の捩れを拘束することができる。
【0036】
尚、ピンチロール4は、図1に示すように、その回転軸が必ずしも仮想面C上に位置する必要はなく、ピンチロール4の何れかの部位が仮想面C上に位置しておれば良い。このようにピンチロール4を配置することで、線材1の捩れを確実に拘束することができる。また、ピンチロール4の一部が必ずしも仮想面C上に配置していなくても良く、コイル3から引き出された直後の線材1の捩れを拘束できる位置であれば、この仮想面C上から線材の引き出し方向の前後に僅かに離れた位置に、ピンチロール4を配置しても構わない。
【0037】
ピンチロール4により捩れが拘束された状態で線材1は更に下流側に送られ、千鳥状に配置された複数の矯正ローラ5で押圧され、熱間圧延工程で、コイル3となって巻き取られた際に発生した螺旋形状の曲がりが矯正される。すなわち、捩れが拘束された状態で線材1の曲がりが、矯正ローラ5で矯正されるので、本来矯正を必要とする方向で、つまり、コイル3の円周方向に合わせた矯正を確実に行うことできる。
【0038】
この曲がりの矯正を終えた線材1は更に下流側へ送られ、切断機9(図16に示す)で定尺に切断されて目的の棒鋼2が製造される。
【0039】
以上が、図1に示す実施形態の説明であるが、図2に示すように、複数の矯正ローラ5の間にピンチロール4を追加して配置し、ピンチロール4と矯正ローラ5で、線材1の捻れの拘束と、線材1の曲がりの矯正を繰返して行えば、線材1の曲がりの矯正をより確実に行うことができる。
【0040】
尚、図2には、追加のピンチロール4が一対だけ設けられた実施形態を示すが、追加のピンチロール4は二対以上設けられていても良い。この場合、各ピンチロール4は必ず矯正ローラ5の間に配置される必要があり、線材1の捩れを拘束する一対のピンチロール4と、その下流側の線材1の曲がりを矯正する矯正ローラ5は必ずセットになって設けられる必要がある。
【0041】
また、以上説明した各方法で、線材1の曲がりの矯正をしても、線材1のコイル3巻き取り時に発生した円周方向の矯正はできるものの、線材1のコイル3巻き取り時の軸方向の若干の曲がりは矯正することはできない。この軸方向の曲がりは、図3に示すように、複数の矯正ローラ5の下流側に、これら複数の矯正ローラ5の回転軸に対して90°傾き、且つ線材1の引き出し方向とは90°傾いた回転軸を有する複数の副矯正ローラ10を配置することで、矯正できる。
【0042】
以上説明した各方法で、線材1の曲がりの矯正をしても、その矯正が不十分な場合、或いは、より高い真直性が求められる棒鋼2を製造することが必要な場合は、図4に示す回転駒式矯正機6を、複数の矯正ローラ5の更に下流側に設けることで、線材1の曲がりの矯正を更に確実に行うことができる。
【0043】
この回転駒式矯正機6の内部には、挿通孔が形成された複数個の矯正駒6aが、その挿通孔が略直線状に配置されるようにして略直列した状態で内蔵されている。尚、ここで示す略直線状とは挿通孔が同方向を向いて並んでいることを示し、具体的には、図4に示すように、各矯正駒6aの挿通孔はわざとずらした位置に配置する。また、回転駒式矯正機6の本体6bは、筒状で両端面が閉塞された構造であって、その両端面には同芯の挿通孔が夫々形成されている。前記した複数個の矯正駒6aは、その本体6bの空洞部に直列し、夫々が間隔を開けて内蔵されているが、本体6bの表面側から位置調整ネジ6cにより、各挿通孔が配置される位置を調整することが可能である。
【0044】
この回転駒式矯正機6の挿通孔に、線材1を順次挿通し、回転駒式矯正機6を本体6bごと回転させることで、線材1の曲がりを更に確実に矯正することができる。この回転駒式矯正機6での線材1の曲がりの矯正を実施することで、それより上流の工程で、線材1の曲がりの矯正が完全にはできず、残留応力が発生する場合であっても、回転駒式矯正機6で捻り方向の塑性変形を与えることができるので、残留応力を除去することができる。
【0045】
以上の各方法で、線材1の曲がりを矯正した後、線材1は更に下流側へ送られ、切断機9(図14に示す)で定尺に切断されることで目的の棒鋼2は製造されるが、必要に応じ、棒鋼2とした後にも、曲がりの矯正を行う。その矯正は、図4に示す多ロール矯正機7、或いは、図6に示す鼓矯正機8を用いて行うことができる。残留応力を長尺の線材1の状態で除去したとしても、棒鋼2とした段階で若干真直性に問題が残る場合がある。これらの棒鋼2とした後の矯正は、主に棒鋼2の真直性を向上するために実施する。
【0046】
多ロール矯正機7は、複数の矯正ローラ7aが設けられた矯正機であり、千鳥状に配置された矯正ローラ7a間に棒鋼2を通すことで、棒鋼2の曲がりを矯正することができる。尚、図5に示す7bは入り口に設けられたピンチロールである。
【0047】
鼓矯正機8は、押さえ面の中央部が凹んだ鼓形ローラ8aと、押さえ面の中央部が膨らんだ太鼓形ローラ8bが対になって角度を変えて配置された矯正機であり、鼓形ローラ8aと太鼓形ローラ8b間に棒鋼2を通すことで、棒鋼2の曲がりを矯正することができる。
【実施例】
【0048】
熱間圧延で線材が螺旋状に巻き取られたコイルから線材を引き出して冷間矯正を実施した。冷間矯正は、請求項3〜8に記載の方法に基づき夫々実施しており、請求項1〜3に記載の方法で冷間矯正を実施した例を実施例1、請求項4に記載の方法で冷間矯正を実施した例を実施例2、請求項5に記載の方法で冷間矯正を実施した例を実施例3、請求項6に記載の方法で冷間矯正を実施した例を実施例4、請求項7に記載の方法で冷間矯正を実施した例を実施例5、請求項8に記載の方法で冷間矯正を実施した例を実施例6とし、冷間矯正を実施しない例を比較例とした。
【0049】
実施例2で追加されたピンチロールは一対であり、実施例3〜6では、最初に行う冷間矯正は請求項3に示す方法で実施している。また、実施例5,6では、実施例4と同様に回転駒式矯正機6での線材の曲がりの矯正を実施しており、図16に、実施例4〜6の線材1を切断して棒鋼2とするまでの工程を示す。尚、6dは、回転駒式矯正機6の上下流側に配置したピンチロールである。
【0050】
熱間圧延で得られた線材の径はφ22mmであって、各実施例、比較例共に、6mに切断した棒鋼を100本製造し、図8(a)或いは(b)に示す曲がり量δを計測することでデータを得た。各実施例、比較例共に、鋼種:S55CとSUJ2の2種類についてのデータを得た。尚、S55Cは熱延ままの状態で、SUJ2は球状化熱処理後の状態で、酸洗、被膜処理等は行っていない。
【0051】
2mm以下の曲がり量δが棒鋼として問題を生じない曲がり量であって、より厳しい規格ではその基準は1mm以下である。
【0052】
実施例1の計測結果を図9に、実施例2の計測結果を図10に、実施例3の計測結果を図11に、実施例4の計測結果を図12に、実施例5の計測結果を図13に、実施例6の計測結果を図14に、比較例の計測結果を図15に、夫々まとめて示す。尚、各棒グラフの左側がS55C、右側がSUJ2を、夫々材料として用いた例を示す。
【0053】
比較例では、曲がり量δは大きくばらついており、鋼種を問わず、過半数で2mmを超える曲がりが計測されており、4.5mm以上の非常に大きな曲がりも計測された。S55CとSUJ2を比較すると、変形抵抗の高いSUJ2の方が曲がりが大きいことが確認できる。尚、計測結果の大きなバラツキは、コイルの引き出し点からピンチロールまでの曲がりのバラツキが原因で発生したと考えられる。また、切断後の棒鋼を多ロール矯正機、鼓矯正機に通して矯正することも試みたが、曲がりの大きな棒鋼については、矯正機に通すことすらできなかった。
【0054】
一方、実施例1〜6では、計測された曲がり量δは、全て棒鋼として問題を生じない曲がり量とされる2mm以下であり、コイルの中心軸を通り、且つ線材の引き出し方向と直交する仮想線上に配置した一対のピンチロールで、コイルから引き出された一本の線材を挟持して捩れを拘束することで、その後の冷間矯正で、線材の曲がりを、矯正を必要とする方向で確実に矯正することができることが分かる。
【0055】
実施例1では、S55C、SUJ2共に、計測された曲がり量δは全て棒鋼として問題を生じない曲がり量とされる2mm以下であり、実施例2では、S55Cで93%、SUJ2で54%が、1mm以下の曲がり量δに矯正することができている。この結果から、ピンチロールでの線材の捩れの拘束と、矯正ローラでの線材の曲がりの矯正を複数回に亘って繰り返すことで、線材の曲がりの矯正をより確実に行うことができることが分かる。
【0056】
また、実施例3では、S55Cで全数が、SUJ2で98%と略全数が、1mm以下の曲がり量δに矯正することができている。この結果から、複数の矯正ローラの下流側に、それら矯正ローラの回転軸とは90°傾いた回転軸を有する複数の副矯正ローラを配置して、線材のコイル巻き取り時の軸方向の矯正を併せて実施すれば、線材の曲がりの矯正を更に確実に行うことができることが分かる。
【0057】
また、実施例4では、S55Cで全数が、SUJ2で88%が、1mm以下の曲がり量δに矯正することができている。この結果から、回転駒式矯正機による曲がりの矯正も併せて実施することで、線材の曲がりの矯正を更に確実に行うことができることが分かる。
【0058】
また、実施例5、実施例6では、S55C、SUJ2共に、計測された曲がり量δは全て1mm以下である。すなわち、回転駒式矯正機による曲がりの矯正後に、更に多ロール矯正機或いは鼓矯正機で曲がりの矯正を行うことで、製造される棒鋼の曲がりの矯正を更に確実に行うことができることが分かる。
【符号の説明】
【0059】
1…線材
2…棒鋼
3…コイル
4…ピンチロール
5…矯正ローラ
6…回転駒式矯正機
6a…矯正駒
6b…本体
6c…位置調整ネジ
6d…ピンチロール
7…多ロール矯正機
7a…矯正ローラ
7b…ピンチロール
8…鼓矯正機
8a…鼓形ローラ
8b…太鼓形ローラ
9…切断機
10…副矯正ローラ
A…中心軸
B…引き出し方向
C…仮想面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間圧延で線材が螺旋状に巻き取られたコイルから、前記線材を引き出して冷間矯正を行った後に、棒鋼を製造する棒鋼の製造方法において、
前記コイルから前記線材が引き出された直後の位置に配置した一対のピンチロールで、前記コイルから引き出された一本の線材を挟持して捩れを拘束すると共に、
捩れが拘束された前記線材の曲がりを、その下流側に配置した複数の矯正ローラで矯正することで、前記冷間矯正を実施することを特徴とする棒鋼の製造方法。
【請求項2】
前記コイルの中心軸を含み、且つ前記線材の引き出し方向と直交する仮想面が、前記一対のピンチロールの一部を通ることを特徴とする請求項1記載の棒鋼の製造方法。
【請求項3】
前記コイルの中心軸を含み、且つ前記線材の引き出し方向と直交する仮想面が、前記一対のピンチロールの回転軸を通ることを特徴とする請求項1記載の棒鋼の製造方法。
【請求項4】
前記複数の矯正ローラの間に、更に1対或いは2対以上のピンチロールを配置し、
前記線材の捻れの拘束並びに曲がりの矯正を繰返して行うことで、前記冷間矯正を実施することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の棒鋼の製造方法。
【請求項5】
前記複数の矯正ローラの下流側に、前記複数の矯正ローラの回転軸に対して90°傾き、且つ前記線材の引き出し方向とは90°傾いた回転軸を有する複数の副矯正ローラが配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の棒鋼の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の冷間矯正で曲がりを矯正した線材を、
挿通孔が形成された複数個の矯正駒が、その挿通孔が略直線状に配置されるようにして略直列して内蔵された回転駒式矯正機の前記挿通孔に順次挿通し、
前記回転駒式矯正機の回転によって前記線材の曲がりを更に矯正することを特徴とする棒鋼の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の方法で曲がりを矯正した線材を、定尺に切断して棒鋼とした後に、複数の矯正ローラが配置された多ロール矯正機に通し、更に前記棒鋼の曲がりを矯正することを特徴とする棒鋼の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の方法で曲がりを矯正した線材を、定尺に切断して棒鋼とした後に、押さえ面の中央部が凹んだ鼓形ローラと、押さえ面の中央部が膨らんだ太鼓形ローラが対になって配置された鼓矯正機に通し、更に前記棒鋼の曲がりを矯正することを特徴とする棒鋼の製造方法。
【請求項1】
熱間圧延で線材が螺旋状に巻き取られたコイルから、前記線材を引き出して冷間矯正を行った後に、棒鋼を製造する棒鋼の製造方法において、
前記コイルから前記線材が引き出された直後の位置に配置した一対のピンチロールで、前記コイルから引き出された一本の線材を挟持して捩れを拘束すると共に、
捩れが拘束された前記線材の曲がりを、その下流側に配置した複数の矯正ローラで矯正することで、前記冷間矯正を実施することを特徴とする棒鋼の製造方法。
【請求項2】
前記コイルの中心軸を含み、且つ前記線材の引き出し方向と直交する仮想面が、前記一対のピンチロールの一部を通ることを特徴とする請求項1記載の棒鋼の製造方法。
【請求項3】
前記コイルの中心軸を含み、且つ前記線材の引き出し方向と直交する仮想面が、前記一対のピンチロールの回転軸を通ることを特徴とする請求項1記載の棒鋼の製造方法。
【請求項4】
前記複数の矯正ローラの間に、更に1対或いは2対以上のピンチロールを配置し、
前記線材の捻れの拘束並びに曲がりの矯正を繰返して行うことで、前記冷間矯正を実施することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の棒鋼の製造方法。
【請求項5】
前記複数の矯正ローラの下流側に、前記複数の矯正ローラの回転軸に対して90°傾き、且つ前記線材の引き出し方向とは90°傾いた回転軸を有する複数の副矯正ローラが配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の棒鋼の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の冷間矯正で曲がりを矯正した線材を、
挿通孔が形成された複数個の矯正駒が、その挿通孔が略直線状に配置されるようにして略直列して内蔵された回転駒式矯正機の前記挿通孔に順次挿通し、
前記回転駒式矯正機の回転によって前記線材の曲がりを更に矯正することを特徴とする棒鋼の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の方法で曲がりを矯正した線材を、定尺に切断して棒鋼とした後に、複数の矯正ローラが配置された多ロール矯正機に通し、更に前記棒鋼の曲がりを矯正することを特徴とする棒鋼の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の方法で曲がりを矯正した線材を、定尺に切断して棒鋼とした後に、押さえ面の中央部が凹んだ鼓形ローラと、押さえ面の中央部が膨らんだ太鼓形ローラが対になって配置された鼓矯正機に通し、更に前記棒鋼の曲がりを矯正することを特徴とする棒鋼の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−25308(P2011−25308A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215909(P2009−215909)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
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