説明

棘間インプラント

【課題】手術における侵襲が最小であり、椎間スペースを増し、脊髄および血管に対する圧を緩和する棘間プラントを提供する。
【解決手段】棘突起2,4間に挿入されるように適応した棘間インプラント800であって、第1ウィングと、前記第1ウィングからのびるスペーサと、前記スペーサからのびる伸延ガイド810であって、前記スペーサから離れた伸延先端を有する伸延ガイドと、前記スペーサと前記伸延ガイドの前記伸延先端との間に配置され、収縮された形態と展開された形態との移動することに適している第1ウィングレット812及び第2ウィングレット814とを備え、前記第1ウィングレット及び前記第2ウィングレットが、前記伸延ガイドと前記スペーサーとの間にあるように拡張されて、前記棘間インプラントが棘突起間に配置されたとき、前記棘間インプラントの動きを制限する、棘間インプラント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棘突起間インプラントに関する。
(優先権主張)
2005年3月21日登録、James F. Zuckerman等による、名称「展開可能なウィングを有する棘突起間インプラントおよび埋め込み法」なる米国特許仮出願第60/663,885号、
2005年3月21日登録、James F. Zuckerman等による、名称「展開可能なウィングを有する棘突起間インプラントおよび埋め込み法」なる米国特許仮出願第60/663,918号、
2005年3月22日登録、James F. Zuckerman等による、名称「椎骨融合の補佐具として展開可能なウィングを有する棘突起間インプラントおよび埋め込み法」なる米国特許仮出願第60/664,076号、
2006年3月17日登録、James F. Zuckerman等による、名称「展開可能なウィングを有する棘突起間インプラントおよび埋め込み法」なる米国特許出願第11/377,971号(米国公開第2006/0264938号、
2006年3月17日登録、James F. Zuckerman等による、名称「展開可能なウィングを有する棘突起間インプラントおよび埋め込み法」なる米国特許出願第11/378,108号(米国公開第2007/0010813号、および、
2006年3月17日登録、James F. Zuckerman等による、名称「椎骨融合の補佐具として展開可能なウィングを有する棘突起間インプラントおよび埋め込み法」なる米国特許出願第11/378,894号(米国公開第2006/0271194号)。
【背景技術】
【0002】
脊柱は、主に、靭帯、筋肉、脊椎骨、および椎間円板から構成される生体力学的構造である。脊柱の生体力学的機能は、(1)体重移動および、頭部、躯幹、および両腕の、骨盤および両脚に向かう曲げ運動を含む生体の支持、(2)上記各生体部分間の複雑な生理的運動、および(3)脊髄および神経根の保護を含む。
【0003】
現在の社会が老化するにつれて、高齢者に特徴的な不快な脊椎病態の増加が予想される。例示のためだけに挙げるのであるが、加齢と共に脊椎狭窄症(中心管狭窄症および側部狭窄症を含むが、これらに限定されない)および椎間関節症の増加が現れる。脊椎狭窄症は、椎間孔面積(すなわち、神経および血管通過のために利用が可能なスペース)の減少をもたらすが、これは、頸椎神経根を圧迫し、神経根疼痛を招く。Humpreys, S.C. et al., 「C5-C6孔スペースに及ぼす屈曲・伸延作用」“Flexion and traction effect on C5-C6 foraminal space,” Arch. Phys. Med. Rehabil., vol. 79, 1105(1998年9月)。脊椎狭窄症のもう一つの症状は脊髄障害で、これは、頸部・腰部疼痛および筋の脱力を招く。上記文献。頸部の伸展および同側回転はさらに孔面積を狭くするので、疼痛、神経根圧迫、および神経損傷を招く。上記文献;Yoo, J.U. et al., 「ヒト頸椎の神経孔サイズに及ぼす頸椎運動の作用」“Effect of cervical spine motion on the neuroforaminal dimensions of human cervical spine,” Spine, vol. 17, 1131(1992年11月10日)。一方、頸部の屈曲は孔面積を増す。Humpeys, S.C. et al., 1105、上記。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
時間と共に、胸椎および腰椎領域ばかりでなく、頸椎領域でも円板高が失われ、これは、運動セグメントの全ての成分の変性を伴う、一連の変性事象を招き、セグメントの不安定性および、最終的には脊椎狭窄症をもたらす。この変性の過程において、円板が脱出(ヘルニア)したり、および/または、内部的に引き裂かれて慢性的に痛むことがある。症状が前方(円板)および後方(椎間関節および椎間孔)構造の両方から発すると感じられる場合、患者は、伸展位置も、屈曲位置も耐えることができない。
【0005】
狭窄症の関連する疼痛は、投薬および/または手術によって緩和することが可能である。全ての個人に対し、特に高齢者に対しては、大手術を無しで済ませることは好ましい。
従って、脊柱の損傷または変性によって引き起こされる脊椎狭窄症、およびその他の同様の病態によってもたらされる疼痛を緩和する脊椎インプラントを開発することが求められている。そのようなインプラントは、隣接椎骨を伸延し、椎間スペースを増し、そうすることによって、椎間孔面積を増大させ、脊髄の神経および血管に対する圧を緩和する。
【0006】
さらに、脊椎の生理を維持する脊椎インプラントの外科的埋め込み法であって、手術による侵襲が最小である方法の開発も求められている。
さらに、脊椎の、個々に異なる解剖学的構造に適応し、脊椎に対する新たな外傷を最小にし、侵襲的な、外科的埋め込み法の必要を回避するインプラントに対しても需要がある。さらに、脊椎伸展によって悪化する、脊髄の病態への対応も求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための発明に係る棘間インプラントは、棘突起間に挿入されるように適応した棘間インプラントであって、第1ウィングと、前記第1ウィングからのびるスペーサと、前記スペーサからのびる伸延ガイドであって、前記スペーサから離れた伸延先端を有する伸延ガイドと、前記スペーサと前記伸延ガイドの前記伸延先端との間に配置され、収縮された形態と展開された形態との移動することに適している第1ウィングレット及び第2ウィングレットとを備え、前記第1ウィングレット及び前記第2ウィングレットが、前記伸延ガイドと前記スペーサーとの間にあるように拡張されて、前記棘間インプラントが棘突起間に配置されたとき、前記棘間インプラントの動きを制限する。
【0008】
好ましくは、前記第1ウィングレット及び前記第2ウィングレットと作動的に関係づけられているアクチュエーターを更に備え、前記アクチュエーターを作動することにより、前記第1ウィングレット及び前記第2ウィングレットが拡張される。
【0009】
また好ましくは、ねじ溝付き表面を有するカラーであって、前記アクチュエーターと関連づけられているカラーをさらに備え、前記アクチュエーターが、ねじ溝付き表面を含み、前記第1ウィングレット及び前記第2ウィングレットが、前記カラーと回転可能に関連づけられている。
【0010】
また好ましくは、前記第1ウィングレット及び前記第2ウィングレットがそれぞれ、第1内面及び第2内面を備え、前記伸延ガイド内に配置された第1ピンであって、前記第1内面に接触して前記第1ウィングレットの移動を案内することに適している第1ピンと、前記伸延ガイド内に配置された第2ピンであって、前記第2内面に接触して前記第2ウィングレットの移動を案内することに適している第2ピンとをさらに備える。
【0011】
また好ましくは、前記アクチュエーターが前記棘間インプラントの長軸の回りを回転可能であり、前記アクチュエーターを回転することによって、前記第1ウィングレット及び前記第2ウィングレットが拡張される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】図1Aは、水滴型断面を持つスペーサ、伸延ガイド、第1ウィング、および、伸延ガイドに接続可能な第2ウィングを含むインプラントの斜視図である。
【図1B】図1Bは、楕円形断面を持つ回転性スペーサ、伸延ガイド、第1ウィング、および、伸延ガイドと接続可能な第2ウィングを含むインプラントの斜視図である。
【図2A】図2Aは、本発明の実施態様によるインプラントであって、伸延ガイド、スペーサ、および第1ウィングを有する中心体、および挿入体を含むインプラントの斜視図である。
【図2B】図2Bは、図2Aのインプラントであって、インプラントが隣接棘突起の間に配置された時、挿入体が本体の中に配置され、そのため、本体と連結する伸延ガイドがインプラントの動きを制限または阻止している状態のインプラントの斜視図である。
【図3A】図3Aは、隣接棘突起の間に配置される、図2Aおよび2Bのインプラントの本体の側面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aのインプラントであって、挿入体が本体の内部に配置された状態のインプラントの側面図である。
【図4】図4は、別態様によるインプラントであって、屈曲運動の間、隣接棘突起の相対的移動を制限するためにフックを含むインプラントの斜視図である。
【図5】図5は、図4のインプラントであって、隣接棘突起の間に配置され、フックが隣接棘突起を封じ込めるように適応されたインプラントの側面図である。
【図6A】図6Aは、本発明によるインプラントのさらに別の実施態様であって、伸延ガイドの第1セクションおよび第2セクションが、第2ウィングを形成するように展開可能である、実施態様の斜視図である。
【図6B】図6Bは、図6Aのインプラントであって、挿入体が本体内部に配置され、そのために、伸延ガイドの第1セクションと第2セクションとが展開された状態のインプラントの斜視図である。
【図7A】図7Aは、回転可能なスペーサを含む、本発明によるインプラントのさらに別の実施態様の斜視図である。
【図7B】図7Bは、図7Aのインプラントであって、挿入体が中心体の内部に配置され、そのために伸延ガイドが第2ウィングとして展開されたインプラントの斜視図である。
【図7C】図7Cは、図7Aの伸延ガイドの側面断面図である。
【図7D】図7Dは、図7Bの伸延ガイドの側面断面図である。
【図8】図8は、隣接棘突起間に配置される、図7A-7Dのインプラントの側面図である。
【図9A】図9Aは、隣接棘突起の間に配されたインプラントの別態様の側面図である。
【図9B】図9Bは、図9Aのインプラントであって、インプラントの伸延ガイドの内部に配される展開可能なウィングレットを示す、側面から見た部分的断面図である。
【図9C】図9Cは、図9Bのインプラントであって、ウィングレットが展開されたインプラントの側面から見た部分的断面図である。
【図10A】図10Aは、隣接棘突起間に配置されるインプラントの別態様の側面図である。
【図10B】図10Bは、ウィングレットが展開された隣接棘突起間に配置される、図10Aのインプラントの側面図である。
【図10C】図10Cは、図10Aのインプラントであって、インプラントの伸延ガイドの内部に配される展開可能ウィングレットを示す、端面から見た部分的断面図である。
【図10D】図10Dは、図10A-10Cのインプラントであって、ウィングレットが展開されて、インプラントの伸延ガイドから延びるところを示す、端面から見た部分的断面図である。
【図10E】図10Eは、図10A-10Dのインプラントであって、伸延ガイド、および伸延ガイドに対して展開されたウィングレットを示すインプラントの端面図である。
【図11A】図11Aは、別様のアクチュエーターの装置を含む、本発明によるインプラントの別の実施態様の、端面から見た部分的断面図である。
【図11B】図11Bは、図11Aのインプラントであって、ウィングレットが展開し、インプラントの延伸ガイドから突出するところを示すインプラントの、端面から見た部分断面図である。
【図12A】図12Aは、本発明によるインプラントのさらに別の実施態様であって、ウィングレットが二つのヒンジ部分を含む、別のアクチュエーターの装置を有するインプラントの、端面から見た、部分断面図である。
【図12B】図12Bは、図12Aのインプラントであって、ウィングレットが展開し、インプラントの伸延ガイドから突出するところを示す、端面から見た部分断面図である。
【図13】図13は、本発明によるインプラントのさらに別の実施態様であって、複数のインプラントが隣接運動セグメントに配される実施態様の、端面から見た、部分断面図である。
【図14】図14は、本発明に従って隣接棘突起間に、図2A-8の棘間インプラントを埋め込むための方法の実施態様を示す。
【図15A】図15Aは、本発明に従って隣接棘突起間に図2A-8の棘間インプラントを埋め込むための方法の実施態様を示す。
【図15B】図15Bは、本発明に従って隣接棘突起間に図9A-13の棘間インプラントを埋め込むための方法の実施態様を示す。
【実施例】
【0013】
棘間インプラント
図1Aは、2004年5月20日登録の、米国特許出願第10/850,267号(米国公開第2005/0010293号)に記載されるインプラントの斜視図である。なお、この出願を引用することにより本明細書に含める。インプラント100は、第1ウィング130、スペーサ120、および、先導組織拡張器(本明細書では別に伸延ガイドとも呼ばれる)110を含む。この特定の実施態様における伸延ガイド110は楔型をしている。すなわち、インプラントは、インプラント100の近位端から、ガイド110がスペーサ120に接続する領域に向って拡大する断面を持つ(図に対する基準点は、隣接棘突起間に対するインプラントの挿入点に基づく)。上記構成を持つ伸延ガイド110は、インプラント100が隣接棘突起間に外科的に挿入される際、軟部組織および棘突起の伸延を起動するように機能する。隣接頸椎の棘突起間へのインプラント100の挿入をやり易くするために、伸延ガイド110は尖端状等であってもよいことを理解しなければならない。手術部位への外傷を小さくし、早期の治癒を促進し、正常な解剖学の不安定化を阻止するためには、挿入技術が、骨および周辺組織または靭帯をできるだけ撹乱しないことが有利である。図1Aおよび図1Bに示すものと同様の実施態様では、棘突起の骨を除去する必要、および、棘突起と直接関連する靭帯および組織を生体から摘出する必要は全くない。例えば、下部脊椎の棘上靭帯、または、上部頸椎棘突起への衝撃を部分的に緩衝する項靭帯(棘上靭帯に対応)を切る必要はない。
【0014】
図から見て取れるように、スペーサ120は、インプラント100の長軸125に対して垂直な断面において水滴型をしていてもよい。このようにして、スペーサ120の形は、インプラント100が納められる、隣接棘突起間の楔型空間、または該空間の一部にほぼ一致することが可能となる。図1Aに示すように、スペーサ120(および第1ウィング130)は、棘突起(および/または椎弓板)、好ましくはC6およびC7頸椎の棘突起(および/または椎弓板)において、それら棘突起間(すなわち、C6-C7運動セグメント)への設置が可能となるように、その解剖学的形態または輪郭に対し適応する形態を持つ。この同じ形、またはこの形の変異型を、他の運動セグメント、例えば、胸椎または腰椎領域に適応させるのに用いることも可能である。他の実施態様では、スペーサ120は、別の形、例えば、円形、楔型、卵型、卵様、フットボール型、および四隅を丸めた四角形、およびその他の形を取ることも可能である。ある特定の患者に対し、医師が、インプラント100を、棘突起表面の前方部分に対しできるだけ緊密に位置づけることが可能となるよう、スペーサ120の形を該患者のために選ぶことも可能である。スペーサ120のために選ばれる形は、インプラント100と、伸延の対象となる棘突起との間の接触表面積に影響を及ぼす可能性がある。インプラント100と棘突起との間の接触表面積を増すことは、棘突起フレームとインプラント100の間に負荷力を分散させることを可能とする。
【0015】
第1ウィング130も同様に、スペーサ120と伸延ガイド110の長軸125に対する断面において水滴型を持つ。第1ウィング130のサイズは、スペーサ120のサイズに対し、特に、椎骨の軸にそって、より大きくなっており、そのため、長軸125にそう挿入方向においてインプラント100の側方移動の制限または阻止を可能とする。スペーサ120の場合と同様、第1ウィング130も、別の断面形、例えば、楕円形、楔型、円形、卵型、卵様、フットボール型、および四隅を丸めた四角形、およびその他の形を取ってもよい。
【0016】
図1Aのインプラント100は、伸延ガイド110、スペーサ120、および第1ウィング130とは別に、さらに調節性ウィング160(本明細書では、第2ウィングとも呼ばれる)を含む。この第2ウィング160は、一旦インプラント100が隣接棘突起間に配置されたならば、伸延ガイド110(および/またはスペーサ120)と接続することが可能である。この第2ウィング160は、第1ウィング130と同様、インプラント100の側方移動を制限または阻止することが可能である。一方、変位は、挿入と反対方向でも制限または阻止される。第1ウィング130および第2ウィング160の両方がインプラント100に接続され、かつ、インプラント100が隣接棘突起間に配置されると、棘突起の一部が、第1ウィング130と第2ウィング160の間に挟まれて、長軸125にそう変位を制限する。図から見て取れるように、第2ウィング160は断面が水滴型であってもよい。第2ウィング160を貫通するスペース170を定めるリップ180によって、第2ウィング160は、伸延ガイド110の上を通過し、伸延ガイド110および/またはスペーサ120と合致し、接続することが可能となる。次に、この第2ウィング160は、伸延ガイド110および/またはスペーサ120に固定される。第2ウィング160は、スペーサ120に対し、または、スペーサ120に隣接する伸延ガイド110の一部に対し干渉性適合を実現できるように設計されてもよい。第2ウィング160が干渉性適合される場合、第2ウィング160を、インプラント100の残余部分に対して締結するための、さらに別の付着装置は無い。
【0017】
別態様として、インプラント100の残余部分に対して第2ウィング160を確保するために、様々な締結器を使用することが可能である。例えば、図1Aは、第2ウィング160の後端に舌158を有する水滴型第2ウィング160を含むインプラント100の実施態様を示す。舌158を貫いて開口155が配され、かつ、この開口は、第2ウィング160が、外科的挿入によって、インプラント100の残余部分に対して所定の位置に納められた場合、スペーサ120の上に設けられた対応開口156に対して軸揃えされる。軸揃えされた開口155、156を貫いて、ねじ溝付きねじ154が前後方向に挿入され、第2ウィング160をスペーサ120に固定する。後方から前方への挿入方向を持つねじ154は、長軸125に対して全体として垂直な方向にそって、開口155、156およびインプラント100の残余部分に嵌合する。この方向性は、医師が、第2ウィング160をインプラント100の残余部分に固定するためにねじ154を用いる必要がある場合、もっとも好都合である。第2ウィング160はさらに、何か他の機構、例えば、伸延ガイド110とスペーサ120の内の一方に設けられた陥凹に嵌合する突起を持つ屈曲性ヒンジ(図示せず)によってスペーサ120に対して固定されてもよい。別態様として、第2ウィング160は、さらに別の機構によって、伸延ガイド110およびスペーサ120の内の一方に固定されてもよい。
【0018】
図1Bは、Zuckerman等に付与された米国特許第6,695,842号に記載されるインプラントの斜視図である。なお、この特許を引用することにより本明細書に含める。インプラント200は、スペーサ220、第1ウィング230、先導組織拡張器210(本明細書では別に伸延ガイドとも呼ばれる)、およびアラインメントトラック203を含む本体を有する。インプラント200の本体は、隣接棘突起の間に挿入され、骨または靭帯へ付着されることなく所定(所望)の場所に留まる。
【0019】
伸延ガイド210は、伸延ガイド210がそれによって拡張する尖端を含む。この尖端は、棘間靭帯の中に開口を開放すること、および/または、小さい初期開口の中に挿入されることを十分可能とするほどに小さい直径を持つ。伸延ガイド210の直径および/または断面積は、徐々に増加し、最終的に、スペーサ220の直径とほぼ等しくなる。このテーパー型前端によって、医師がインプラント200を隣接棘突起間に押し込む場合、その押し込みがやり易くなる。インプラント200の本体を隣接棘突起間に押し込む場合、伸延ガイド210の前端は、隣接棘突起を伸延し、棘間靭帯を広げ、隣接棘突起間のスペースが、スペーサ220の直径にほぼ等しくなるようにする。
【0020】
図1Bに示すように、スペーサ220は断面が楕円形であり、スペーサ220が、棘突起の不均一表面に対して自然に軸揃えされるように自在に回転することが可能である。自己軸揃えは、圧縮付加が骨の表面にわたって配られることを可能にする。Zucherman'842の中で考察されているように、スペーサ220は、例えば、6ミリメートル、8ミリメートル、10ミリメートル、12ミリメートル、および14ミリメートルの直径を持ってもよい。これらの直径は、スペーサ220が伸延し、棘突起を引き離して維持する高さを指す。楕円形スペーサ220に関して、選ばれた高さ(すなわち、直径)は、楕円の、短軸測定値である。長軸は、棘突起の軸に対し、前者が後者の上に横方向に走る。
【0021】
第1ウィング230は、下方部分231および上方部分232を持つ。上方部分232は、L4(L4-L5設置用)、またはL5(L5-S1設置用)椎骨の棘突起(および/または椎弓板)の解剖学的形態または輪郭に適応する形を持つ。この同じ形、またはこの形の変異型を、他の運動セグメント、例えば、胸椎または腰椎領域の運動セグメントに適応させるのに用いることも可能である。下方部分231も、棘突起に適応するように面取りされる。第1ウィング230の下方部分231と上方部分232とは、インプラント200が隣接棘突起間に挿入された場合、停止機構として活動する。インプラント200を、第1ウィング230の表面を超えて挿入することはできない。さらに、インプラント200が挿入された場合、第1ウィング230は、インプラント200の、側方または前後の運動を阻止することが可能である。
【0022】
図1Aのインプラント100の場合と同様、図1Bのインプラント200はさらに、第2ウィング260を含む。第1ウィング230と同様、第2ウィング260は、棘突起および/または椎弓板の解剖学的形態または輪郭に適応するサイズおよび/または形を持つ、下方部分261および上方部分262を含む。第2ウィング260は、インプラント200の本体に、締結器254によって固定される。第2ウィング260はまた、アラインメントタブ268を持つ。先ず、第2ウィング260がインプラント200の本体に設置されると、アラインメントタブ268がアラインメントトラック203に嵌合する。アラインメントタブ268は、アラインメントトラック203の中を滑走し、調節性ウィング260が、第1ウィング230に対して実質的に平行に維持されるのを助ける。インプラント200の本体が患者の体内に挿入され、第2ウィング260が装着されると、長軸225にそった、挿入方向、または挿入反対方向の変位は、制限または阻止される。さらに、第2ウィング260は、若干の側方または前後方向の変位を阻止することが可能である。
【0023】
図1Aのインプラント100および図1Bのインプラント200のいずれにおいても、インプラント100、200が棘突起の間に配された後に、第2ウィング160、260が、インプラント100、200に接続される。このプラント100、200を配置し、次いで第2ウィング160、260をインプラント100、200に接続する過程は、両側接近を要することがある。すなわち、医師は、棘間靭帯の両側に到達しなければならない。すなわち、第1側では、棘間靭帯を貫通および/または伸延しまたインプラント100、200を配し、挿入方向の運動が第1ウィング130、230によって十分制限されるように第1ウィングを配置し、第2側では、挿入の反対方向の動きが、第2ウィング160、260によって十分制限されるように第2ウィング160、260を装着しなければならない。
【0024】
展開性第2ウィングを有するインプラント
図2Aから3Bを参照すると、インプラント300、および該インプラントを、本発明に従って配置する方法は、ある実施態様では、中心体301と連結する展開性第2ウィング360を含む。これによって、医師は、長軸325にそう運動を制限または阻止するために、棘突起の第1側に到達するだけで、第2ウィング360を展開することが可能となる。
【0025】
図2Aに示すように、インプラント300は、固定スペーサ320および伸延ガイド310を有する本体301を含む。伸延ガイド310は、第1ウィングレット(本明細書では上方ウィングレットとも呼ばれる)312、および第2ウィングレット(本明細書では下方ウィングレットとも呼ばれる)314を含み、かつ、第1形態に配置された場合、伸延ガイド310がそれから広がる先端を含む。この先端は、棘間靭帯の中で、棘突起の間に開口を開放すること、および/または、小さい初期開口の中に挿入されることを十分可能とするほどに小さい直径を持つ。次に、伸延ガイド310の直径および/または断面積は、徐々に増加し、最終的に、スペーサ320の直径とほぼ等しくなる。この点で、図2Aの伸延ガイド310は、第1形態に配置された場合、前述の伸延ガイドと近似する。ウィングレット312,314は、本体301と、ヒンジによって、またはその他のやり方で回転可能に接続され、このため、インプラント300が棘突起の間に配置された場合、ウィングレット312,314を第2形態(図2B)に配置することが可能となる。第2形態では、ウィングレット312,314の一方、または両方は、挿入反対方向に押しやられると、棘突起および/または関連組織の内の少なくとも一方に当接し、それによって、長軸325にそう運動を制限する。従って、第2配置に配されると、伸延ガイド310は、図2Bに示すように、第2ウィング360になる。
【0026】
インプラント300は、挿入体372および第1ウィング330を有する挿入基体370を含む。図2Bに示すように、挿入体370は、本体301と嵌合し、インプラント300の伸延ガイド310を第2形態に配置し、そうすることによって第2ウィング360を展開することが可能である。本体301と挿入体370の嵌合をやり易くするために、スペーサ320は、挿入基体372を受容するようなサイズと形状の空洞を含み、この空洞は、本体301の遠位端から接近が可能である。上方ウィングレット312および下方ウィングレット314の一部は、少なくとも部分的にこの空洞の中に延び、そのために、挿入基体372が空洞に受容されると、該挿入基体372は、上記部分をずらし、そのために、伸延ガイド310の第2形態への配置が可能とされる。図示の実施態様では、上方ウィングレット312および下方ウィングレット314は、それぞれ、レバー316,318を含む。このレバーは、伸延ガイド310が第1形態にある時は、空洞の中に突出する曲線状突起を含む。挿入体370の挿入基体372が空洞を満たすと、挿入基体372はは第1レバー316および第2レバー318に接触し、第1レバー316および第2レバー318に力を印加し、これは、回転可能に接続される上方ウィングレット312および回転可能に接続される下方ウィングレット314の回転運動に変換される。挿入基体372は、それぞれ、第1レバー316および第2レバー318に対応する第1溝376および第2溝378を有する、テーパー型近位端374を、要すれば任意に持ってもよい。近位端374のテーパー型は、上方ウィングレット312および下方ウィングレット314がゆっくりと展開されて、挿入基体372が完全に空洞に納まった時に完全に展開されることを可能とする。図では、本体301はフランジ303を含む。フランジには、例えば、挿入ツール(図示せず)を受容するためのノッチ305が形成される。挿入基体372が空洞に納まると、第1ウィング330の上方タブ332と下方タブ331とは、フランジ303の切れ込み322の内部に納まる。
【0027】
図3Aを参照すると、インプラント300の本体301が、標的運動セグメントの隣接棘突起の間に配置されるところが描かれる。図示の運動セグメントは腰椎領域の中にあるが、他の実施態様では、特に、固定スペーサ320が使用される場合は、本発明によるインプラント300は、胸椎および頸椎領域の運動セグメントに配置することが可能である。本体301は、先ず、それから上方棘突起2が延びる、椎骨の、右上関節面6のほぼ後方に位置する、棘間靭帯の右側の開口を通じて、上方および下方隣接棘突起2,4の間の棘間靭帯に接近することによって、図示のように配置される。本体301は、1種以上の挿入ツール(図示せず)に連結され、伸延ガイド310は第1形態に配置される。伸延ガイド310の先端が、棘間靭帯にそう一点にほぼ隣接して配置され、次に、伸延ガイド310は、棘間靭帯を貫いて押し込まれ、棘間靭帯を貫通し、および/または、棘間靭帯の線維を伸延する。次に、本体301が、棘間靭帯を貫いて押し込まれ、最終的にスペーサ320が隣接棘突起2,4の間に配置され、このため、スペーサ320は、棘突起2,4によって印加される負荷を支える状態となる。
【0028】
図3Bを参照すると、インプラント300が望み通りに配置されると、開口から挿入ツールが取り出され、挿入体370が、本体301の遠位端に配置される。挿入基体372が、中心体301の空洞の中に押し込まれ、最終的に、挿入基体372の近位端374は、第1レバー316および第2レバー318に接触する。次に、挿入体370がさらに長軸325にそって押し込まれると、挿入基体372によって、上方ウィングレット312および下方ウィングレット314は、それぞれ、第1ヒンジ313および第2ヒンジ315の周囲に回転させられる。第1レバー316および第2レバー318が空洞から移動させられる際、第1レバー316および第2レバー318は、テーパー型近位端374の、対応する溝376,378にそってガイドされる。挿入基体372が、本体301の空洞の中に納まると、上方ウィングレット312および下方ウィングレット314は、第2ウィング360として展開する。挿入基体372が本体301の中に納められたならば、挿入ツールは、切創から取り出すことが可能である。図から見て取れるように、上方棘突起の一部、および下方棘突起の一部は、第1ウィング330と第2ウィング360の間に挟まれ、このために長軸325にそう動きが制限される。
【0029】
本発明に従って棘突起間に配されるインプラント、および該インプラントを棘突起間に配置する方法は、前述の、および本明細書の別箇所に記載される実施態様に限定されることを意味するものではなく、むしろ、隣接棘突起間に配置された本体の内部に挿入体を押し込むことで展開される第2ウィングを有するものであれば、いかなるインプラントも含むものであることが意味される。当業者には莫大な多様な変異形が直ちに明らかであろう。例えば、ある別の実施態様では、図2Aから3Bまでのインプラント300の本体301は、一方では、本体301に回転可能に連結する下方ウィングレット314を、他方では、本体301に固定的に連結する上方ウィングレット312を含んでもよい。挿入体370は、本体301の空洞内に納まった時、下方ウィングレット314のみを展開するように適応してもよい。
【0030】
別の実施態様では、第1ウィングは、挿入体370から延びるのではなく、または、挿入体から延びる第1ウィングに加えてさらに、本体301から延びてもよい。本体301が先ず隣接棘突起間に配置されると、本体301の長軸325にそう動きは、挿入方向について制限される。本体301から延びる第1ウィングが、隣接棘突起の内の一方、または両方に接触すると、挿入方向に向かう本体301のそれ以上の動きは制限または阻止される。このようにして、第1ウィングは、堅固なストッパーとして働くので、本体301の棘突起にそう位置を推定することを要せず、本体301の位置づけを可能とし、これは埋め込みを簡単にする。
【0031】
図4を参照すると、さらに別の実施態様では、本発明によるインプラント400は、運動セグメントにおける屈曲運動を制限するために、第1嵌合要素(本明細書では上方フックとも呼ばれる)480および第2嵌合要素(本明細書では下方フックとも呼ばれる)482の内の一方、または両方を含む。例えば、同様のフックが、Zuckerman等に付与された、2002年9月17日公刊の米国特許第6,451,019号、および、Zuckerman等に付与された、2003年11月25日公刊の米国特許第6,652,527号にさらに詳細に記述されている。なお、この両特許文書を引用することにより本明細書に含める。本発明によるインプラントは、このような配列要素を含んでもよい。図4および5に示すインプラント400は、本体401に対し回転可能性に連結する上方接続ロッド484から延びる上方フック480、および、本体401に対し回転可能性に連結する下方接続ロッド486から延びる下方フック482を含む。別に、接続ロッド484、486は、本体401に固定的に連結されてもよい。フック480,482は、標的運動セグメントの上下の運動セグメントの棘間靭帯を伸延するための先導組織拡張器として活動するテーパー型近位端481,483を含む。本体401が隣接棘突起間に配置されると、上方および下方フック480,482のテーパー型近位端481,483が、同じように、棘間靭帯を貫通および/または伸延する。このため、本体401が所定の場所に納まった場合、上方および下方フック480,482は、標的運動セグメントの屈曲運動を制限または拘束するように適正に配置される。図示のように、フック480,482は、接続ロッド484,486に対し回転可能に連結されるので、フック480,482は、接続ロッド484,486に対して回転可能であり、このため、医師は、接触を改善し、フック480,482と対応する棘突起2,4の間に負荷を拡散させることが可能となる。回転可能な上方接続ロッド484よび下方接続ロッド486は、設置に屈曲性を与えるので、解剖学的形態が患者間で、また運動セグメント間で変動し、長軸425の周囲におけるインプラント400の短径および長径が変動しても、インプラント400を順応させることが可能である。
【0032】
図5は、隣接棘突起2,4間に配置され、屈曲および伸展の両方を望み通りに制限するように配された上方フック480および下方フック482を有するインプラント400の後面図である。さらに、第2ウィング360は展開されて、長軸325にそうインプラント400の動きを制限する。上方フック480および下方フック482は、挿入反対方向の長軸325にそう運動を阻止するので、第1ウィングを不要とする。
【0033】
図6Aおよび6Bを参照すると、さらに別の実施態様では、本発明によるインプラント500、およびそのインプラント500を棘突起間に配置する方法は、伸延ガイド510であって、該伸延ガイド510の部分が、伸延ガイド510から延長することが可能であり、そのため、挿入体370を本体501の空洞内に配置することによって、第2ウィングの、それぞれ、上方ウィングレット512および下方ウィングレット514が形成される伸延ガイド510を含む。これは、伸延ガイド全体がウィングレットによって形成される前述の実施態様とは対照的である。この実施態様では、ウィングレット512,514は、伸延ガイド510の側面から延びる。図6Aで見られるように、延びていない時は、ウィングレット512,514は、伸延ガイド510の側面を形成する。この実施態様は、伸延ガイド310の全体が展開される、前述のインプラント300,400(図2Aから3Bまでを参照)に比べて、第2ウィング560が小さい高さを持つことが好ましい場合に有用であると考察される。例えば、二つのインプラント500を隣接運動セグメントに配置する必要のある場合、二つのインプラント500の第2ウィング560は、例えば、圧迫負荷が二つのインプラント500に印加される伸展運動時、相互のインプラントに干渉しないことが望まれる。前述のインプラントの場合と同様、当業者であれば、図6Aおよび6Bのインプラント500について、莫大な多様な変異形に気が付くことが可能である。例えば、別態様において、上方ウィングレット512および下方ウィングレット514は、何か別の形を取ってもよい。例えば、上方ウィングレット512と下方ウィングレット514の位置は互いに変動可能とされ、そのために、隣接運動セグメントに配置される二つのインプラント500を互いに干渉しないように配置することがより容易に行われるようになっていてもよい。このような位置変動によってまた、上方および下方棘突起の内の一方が、他方よりも幅が広い場合でも、その解剖学的相違を受け容れることも可能である。位置変動を受け容れた場合、例えば、上方ウィングレット512を、下方ウィングレット514が伸延ガイド510に回転可能に装着される位置よりも、伸延先端511から見てより遠くない位置において、延伸ガイド510に対し回転可能に装着することが可能である。さらに別の実施態様では、上方ウィングレット512および下方ウィングレット514は、何か別の形を取ってもよい。
【0034】
図7Aから8を参照すると、本発明によるインプラント600のさらに別の実施態様において、本体601は、第1ウィング630から延びる、中空の中心体605(図7Cおよび7Dに示される)を含んでもよい。回転可能なスペーサ620が、中空の中心体605の周囲に配される。インプラント600は、例えば、図1Bにおいて前述したスペーサと似たスペーサ620を含んでもよい。伸延ガイド610が、中空の中心体605から延び、上方ウィングレット612および下方ウィングレット614を含んでもよく、かつ、これらのウィングレットの内の一方または両方が、伸延ガイド610の本体部分611に回転可能に連結し、そのために、上方ウィングレット612および/または下方ウィングレット614が第2ウィングとして展開可能となっていてもよい。ピン606が、中空中心体605に挿入されて第2ウィング660を展開する。図7Bを参照すると、ピン606が本体601に納まると、上方ウィングレット612および下方ウィングレット614は、互いに遠ざかるように回転し、このため、上方ウィングレット612および下方ウィングレット614は、長軸625にそう挿入と反対方向への動きを制限または阻止することが可能となる。従って、上方ウィングレット612と下方ウィングレット614は、第2ウィング660として活動する。
【0035】
図7Cおよび7Dの部分的断面図を参照すると、ある実施態様では、伸延ガイド610は、ピン606を受容するような大きさと配置を持つカップ構造616を含んでもよい。バー構造618,619が、回転可能にこのカップ構造616、および、上方ウィングレット612および下方ウィングレット614の一方または両方に接続されてもよく、そのために、力はさらに、上方ウィングレット612および下方ウィングレット614に伝えられ、上方ウィングレット612および下方ウィングレット614が、伸延ガイド610の本体部分611と連結するヒンジ613,615において回転させられ、そのために第2ウィング660が展開させられるようになっていてもよい。図から見て取れるように、上方ウィングレット612および下方ウィングレット614のピボット点613,615は、バー構造618,619の装着点617に対して近傍に配されており、このため、装着点617,619が、ピン606の挿入によって一緒になって押し込まれると(図7Dに見られるように)、上方ウィングレット612と下方ウィングレット614は互いに遠ざかる方向に回転される。別の実施態様では、上方ウィングレット612および下方ウィングレット614は、何か別の機構によって、互いに遠ざかる方向に回転されてもよい。本発明によるインプラントは、本明細書に詳述される、このような第2ウィング展開機構にのみ限定されることを意図するものではない。
【0036】
図8を参照すると、インプラント600が、隣接棘突起2,4の間に配置されるところが示される。図示のように、第2ウィング660が第1形態(すなわち、伸延ガイド610)として配された場合、上方ウィングレット612および下方ウィングレット614は、隣接組織の中に突出するという不都合を起すことが無いような大きさと形を持つ。しかしながら、上方ウィングレット612および下方ウィングレット614は、図8に示したものとは異なる大きさおよび形状を持ってもよい。上方ウィングレット612および下方ウィングレット614は、第2形態として配された時に、上方および下方ウィングレット612,614が、長軸625にそう、挿入とは反対方向の動きを制限または阻止することができるサイズおよび形状を持っていさえすればよい。
【0037】
図9Aから9Cは、隣接棘突起2,4の間に配された、本発明によるインプラント700のさらに別の実施態様を示す。この実施態様では、上方および下方ウィングレット712,714は、伸延ガイド710の内部に配され、かつ、カム707と接続する軸を含むアクチュエーターの装置を作動することによって展開することが可能である。該配列要素において、軸は、嵌合可能なヘッド706を持つか、または、何か別の機構、例えば、ギアを含む。図9Aにおいて見て取れるように、インプラント700は、図3を参照しながら前述したように、隣接棘突起2,4の間に配される。隣接棘突起2,4の間に接続される棘間靭帯6を貫通および/または伸延するために、インプラント700の伸延ガイド710が用いられる。次に、インプラント700を棘突起2,4の間に押し込み、伸延ガイド710がさらに棘間靭帯6を伸延することが可能とされ、スペーサ720をその中に配することが可能なスペースが形成される。図示の実施態様では、スペーサ720は、インプラント700の第1ウィング730から延びる中心体の周囲に回転することが可能である。第1ウィング730は、インプラント700の、長軸725にそった挿入方向の動きを制限および/または阻止する。
【0038】
インプラント700が望み通りに配置されたならば、アクチュエーターの装置が作動されて、上方および下方ウィングレット712,714を展開し、図9Cに示すような第2ウィング760を形成する。第2ウィング760は、長軸725にそった挿入とは反対の方向の動きを制限および/または阻止する。第2ウィング760が展開されると、隣接棘突起2,4は、少なくとも部分的にウィング730,760の間に配されるので、インプラント700が、隣接棘突起2,4間のスペースから外れるという不都合から免れさせる。図9Cに示すように、第1ウィング730と第2ウィング760は、互いに十分に遠く隔てられているので、隣接棘突起2,4は、互いに対して僅かながら相対的に移動することが可能なので(例えば、側方に、捻り運動の際など)、患者には、さらに大きな運動の屈曲性が許される。
【0039】
図9Bおよび9Cは、図9Aに示すインプラント700の、後ろから見た部分的断面図である。ある実施態様では、展開可能なウィングレット712,714は、軸707およびカム716を含むアクチュエーターの装置を用いて、伸延ガイド710から延長させることが可能である。カム716は回転されると、ウィングレット712,714を、伸延ガイド710から外方に回転させる。図示のように、ウィングレット712,714は、伸延ガイド710の空洞の中に少なくとも部分的に配置される。
【0040】
図10Aから10Eは、隣接棘突起2,4の間に配された、本発明によるインプラント800のさらに別の実施態様を示す。この実施態様では、上方および下方ウィングレット812,814は、伸延ガイド810の中に配され、嵌合ヘッド806を有するねじ807を含むアクチュエーターの装置を作動することによって展開することが可能である。図10Aで見て取れるように、インプラント800は、図3を参照しながら前述したように、隣接棘突起2,4の間に配される。
【0041】
隣接棘突起2,4の間に接続される棘間靭帯6を貫通および/または伸延するために、インプラント800の伸延ガイド810が用いられる。次に、インプラント800を棘突起2,4の間に押し込み、伸延ガイド810がさらに棘間靭帯6を伸延することが可能とされ、スペーサ820をその中に配することが可能なスペースが形成される。図示の実施態様では、スペーサ820は、インプラント800の第1ウィング830から延びる中心体の周囲に回転することが可能である。第1ウィング230は、インプラント800の、長軸825にそった挿入方向の動きを制限および/または阻止する。
【0042】
インプラント800が望み通りに配置されたならば、アクチュエーターの装置が作動されて、上方および下方ウィングレット812,814を展開し、図10Bに示すような第2ウィング860を形成する。第2ウィング860は、長軸825にそった挿入とは反対の方向の動きを制限および/または阻止する。第2ウィング860が展開されると、隣接棘突起2,4は、少なくとも部分的にウィング830,860の間に配されるので、インプラント800が、隣接棘突起2,4間のスペースから外れるという不都合から免れさせる。図9Bに示すように、第1ウィング830と第2ウィング860は、互いに十分に遠く隔てられているので、隣接棘突起2,4は、互いに対して僅かながら相対的に移動することが可能なので(例えば、側方に、捻り運動の際など)、患者には、さらに大きな運動の屈曲性が許される。
【0043】
図10Cおよび10Dは、図10Aおよび10Bに示すインプラント800の、部分的端面断面図である。ある実施態様では、展開可能ウィングレット812,814は、ねじ807およびねじ溝付きカラー816を含むアクチュエーターの装置を用いて伸延ガイド810から延長させることが可能である。ねじ溝付きカラー816は、ねじ807にそって捻じ込まれ、ウィングレット812,814を伸延ガイド810から外方に向かって回転させる。図示のように、ウィングレット812,814は、伸延ガイド810の空洞の内部に少なくとも部分的に配置される。ウィングレット812,814は、上方ピボット点817および下方ピボット点819において、ねじ溝付きカラー816に回転可能に接続される。ピン813,815、またはその他の閉塞装置が、空洞の中に配され、収納、または未展開位置にあるウィングレット812,814の配置を妨げないように設置される。しかしながら、ねじ溝付きカラー816が、前後方向にねじ807にそって移動すると、ウィングレット812,814の内面がピン813,815に接触し、ウィングレット812,814が回転して、伸延ガイド810から遠ざけられる。要すれば、ウィングレット812,813は、ポスト813,815に対してばねで変位されていて、収納位置、および任意の展開位置において、ウィングレット812,814は、ポスト813,815に対して押し付けられるようになっていてもよい。
【0044】
図10Dおよび10Eに示すように、ねじ溝付きカラー816がねじ807にそってある距離を移動すると、ウィングレット812,814は展開されて第2ウィング860を形成する。ウィングレット812,814は、棘突起2,4の外面の相当部分にそって延びる。長軸825にそって挿入と反対方向に押し込まれると、ウィングレット812,814は隣接棘突起2,4に接触し、前記方向におけるそれ以上の移動に対して抵抗する。図10Eは、第2ウィング860が展開した状態のインプラント800の端面図である。図示のように、ねじヘッド806が伸延ガイド810から突出する。しかしながら、埋め込まれた場合、ねじ螺合ヘッド806は、伸延ガイド810の表面と並ぶか、または、伸延ガイド810の表面からやや後退していることが好ましい。そうすることによって、棘間靭帯6および/または棘突起2,4の伸延の際に、インプラント800の動きが妨げられないようにするためである。ねじ螺合ヘッド806は、伸延ガイド810から突出するように描かれている。これは、伸延ガイド810の近位端に対する可能な配置を示すためである。
【0045】
図11Aおよび11Bは、別のアクチュエーターの装置を有するインプラント900のさらに別の実施態様を示す。この実施態様では、ウィングレット912,914の配置が逆転しており、そのため、ねじ溝付きカラー916をねじ螺合ヘッド806の方に押しやることによってウィングレット912,914は展開されるようになっている。図12Aおよび12Bは、別のアクチュエーターの装置を有するインプラント1000の、さらに別の実施態様を示す。この実施態様では、ウィングレット1012,1014は、二つのヒンジ部分を含み、各ウィングレット1012,1014は外方へ折り畳まれて、第2ウィング1060の一部を形成する。第2ウィング1060は、脊椎の軸にそって先ほどと同様に大きく突出することはない、すなわち、第2ウィング1060の脊椎にそう全長は、前述の実施態様よりも小さい。第2ウィングの高さが減少したことは、複数のインプラントが隣接運動セグメントに配置される場合に有利である。隣接インプラント同士の不都合な接触が阻止されるからである。
【0046】
前述のように、本発明による別の実施態様では、ねじおよびねじ溝付きカラーとは別の機構を用いて、ウィングレットを延伸ガイドから展開させることが可能である。例えば、1個以上のギアを用いてもよい。さらに、さらに別の実施態様では、上方および下方ウィングレットは、図10Aから12Bに示した形とは別の形を有していてもよい。本発明は、図示した形を持つウィングレットに限定されることを意図するものではない。さらに別の実施態様では、例えば、図13に示すものでは、インプラント1100は、上方および下方ウィングレットの内の一方しか含んでいない。例えば、複数のインプラントが、隣接運動セグメントに配置される場合、ウィングレット814の背が低く、そのために隣接インプラント1100同士の不都合な接触が阻止されるのは有利なことがある。当業者には明白なように、第2ウィングを形成するために、莫大な多様な変異形の使用が可能である。本発明によるインプラントは、本明細書に詳述されるものにのみ限定されることを意図するものではない。
【0047】
本発明のインプラントに使用される材料
ある実施態様では、インプラント、およびインプラントの成分(すなわち、スペーサ、伸延ガイド等)は、医用級金属、例えば、チタン、ステンレススチール、コバルトクロム、およびそれらの合金、あるいは、同様に高い強度および生体適合性を持つ、好適なインプラント材料から製造されてもよい。さらに、インプラントは、少なくとも部分的に、形状記憶金属、例えば、チタンとニッケルの合金であるNitinolから製造されてもよい。このような材料は、通常、X線不透過であり、X線画像法および他のタイプの画像法で目に見える。本発明によるインプラント、および/または、その部分もまた、やや屈曲性および/または変位性の高い材料から製造することが可能である。これらの実施態様では、インプラントおよび/またはその部分は、全体としてまたは部分的に、医用級生体適合性ポリマー、コポリマー、ポリマー混合物、およびポリマー組成物から製造することが可能である。コポリマーとは、1種を超えるモノマーから得られるポリマーである。ポリマー組成物は、二つ以上の物質から成る異種混合物であって、成分同士が混じり合わず、従って、相互の間に界面を形成する混合物である。ポリマー混合物は、異なる2種以上のポリマーから成る、巨視的には均一な混合物である。多くのポリマー、コポリマー、ポリマー混合物、およびポリマー組成物は、X線透過性であり、X線またはその他のタイプの画像法では目に見えない。このような材料を含むインプラントは、医師に対し、完全にX線不透過材料から成るインプラントと比べると、視像化される脊柱について比較的妨げられない目視を可能とする。しかしながら、インプラントは、X線透過材料を含むことを要しない。
【0048】
生体適合性ポリマーの1グループは、いくつかのメンバー、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエーテルケトンケトン(PEKK)を含む、ポリアリールエーテルケトン・グループである。PEEKは、インプラントに好適な耐久性材料であることが判明しており、生体適合性基準に合致する。医用級PEEKは、英国、ランカシャーのVictrex社から製品名PEEK-OPTIMAの下で市販されている。医用級PEKKは、Oxford Performance MaterialsからOXPEKKの名の下で、また、CoorsTekからBioPEKKの名の下で市販されている。これらの医用級材料は、強化ポリマー樹脂として、例えば、比較的高い材料強度を示す強化樹脂としても市販されている。ある実施態様では、インプラントはPEEK 450Gから製造される。これは、Victrexから市販される、医用埋め込みが承認されている、充填剤無添加のPEEKである。この材料の他の供給源としてはインドのPanoliに位置するGhardaが挙げられる。PEEK 450Gは、ほぼ、下記の性質を持つ。すなわち、

性質 値
密度 1.3 g/cc
ロックウェルM 99
ロックウェルR 126
引っ張り強度 97 MPa
弾性係数 3.5 GPa
曲げ強度係数 4.1 GPa

PEEK 450Gは、適切な物理的・力学的性質を持つので、隣接棘突起間の物理的負荷を担持し、分散させるのに好適である。インプラント、および/またはその部分は、押し出し成形、射出成形、圧縮成形、および/または機械加工技術によって形成することが可能である。
【0049】
選択された材料には充填剤を添加することも可能であることに注意しなければならない。ポリマー材料を補強するために、充填剤を、ポリマー、コポリマー、ポリマー混合物、またはポリマー組成物に添加することが可能である。充填剤は、力学的、光学的、および熱的性質のような性質を修飾するために添加される。例えば、カーボン線維は、ある用途、例えば、負荷担持装置用として強度を機械的に強化するためポリマー補強用として添加される。ある実施態様では、他の等級のPEEKも利用が可能であり、本発明によるインプラントへの使用が考えられる。例えば、30%ガラス充填、または30%カーボン線維充填等級PEEKも、それらの材料の体内埋め込み装置用使用が、FDA、またはその他の統制機関によって承認される限り、考慮の対象になる。ガラス充填PEEKは、充填されないPEEKに比べて、膨張率を下げ、PEEKの曲げ強度係数を上げる。その結果得られる製品は、強度、剛性、または安定性の強化にとって理想的であることが知られる。カーボン充填PEEKは、充填されないPEEKと比べて、圧縮強度および剛性が強化され、膨張率が下がることが知られる。カーボン充填PEEKも、磨耗耐性および負荷担持能を提供する。
【0050】
了解されるように、他の、同様に好適な生体適合性の、熱可塑性、または熱可塑性ポリ縮合材料で、疲労に耐え、優れた記憶を持ち、屈曲性を持ち、および/または変位可能であり、水分吸収度が極めて低く、磨耗および/または研磨耐性に優れる材料も、本発明の範囲から逸脱することなく使用が可能である。前述したように、インプラントは、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)から構成されてもよい。他の、使用が可能な材料としては、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、およびポリアリールエーテルケトン全般が挙げられる。さらに、他のポリケトン類も、他の熱可塑性プラスチック同様に使用が可能である。本インプラントに使用が可能な適切なポリマーに関しては下記の文書を参照されたい。これらの全てを、引用することにより本明細書に含める。すなわち、2002年1月10日発行、名称「生体適合性ポリマー材料」なるPCT公報WO 02/02158 A1;2002年1月3日発行、名称「生体適合性ポリマー材料」なるPCT公報WO 02/00275 A1、および、2002年1月3日発行、名称「生体適合性ポリマー材料」なるPCT公報WO 02/00270 A1が挙げられる。他の材料、例えば、カリフォルニア州、バークレーのPolymer Technology Groupによって市販されるBionate(登録商標)、ポリカーボネートウレタンも、酸化安定性、生体適合性、機械的強度、および磨耗耐性が優れるので好適である可能性がある。他の熱可塑性材料および高分子量ポリマーも使用が可能である。
【0051】
棘間インプラントの埋め込み法
頸椎において、図2A-8に示すものと同様のインプラント300を埋め込むための、最小侵襲手術法が、本明細書に開示され、教示される。この方法では、図14に示すように、好ましくは、ガイドワイヤー780が、設置ネットワーク790を貫いて、インプラントレシピエントの頸部に挿入される。ガイドワイヤー780は、棘突起を含む頸椎に対してインプラント300をどこに置くべきなのかその位置を特定するために使用される。ガイドワイヤー780が、画像技術の助けを借りて位置づけられたならば、切開創を頸部側面に設ける。これによって、本発明の実施態様によるインプラント300が、切開創を通じて、ガイドワイヤー780に対してほぼ直角な線にそって、かつ、ガイドワイヤー780の先端に向かって頸部に位置づけられる。インプラント300の本体301が患者の頸部に挿入される。挿入時、伸延ガイド310は、組織を切り離さず、組織を貫通し、または分離することが好ましい。
【0052】
本体301が望み通りに配置されたならば、挿入体370が、本体301の空洞の内部に配置される。これによって、本体301の伸延ガイド310が第2形態に配置され、伸延ガイド310の少なくとも一部が第2ウィングを形成する。挿入体370は、本体301が挿入される直線と全体的に一致する直線にそって挿入される。頸部の解剖学は、本体301および挿入体370に対し、側面から頸部に入ることが、もっとも好都合で、侵襲が最小となるようになっている。
【0053】
さらに、図2A-8に示すものと同様のインプラントを腰椎に埋め込むための最小侵襲手術法が、本明細書に開示され、教示される。この方法では、図15Aのフローチャートに示すように、前後接近法を用いて一側の切創を施すことが好ましい(工程102)。一側切創は、例えば、棘突起にそう軸の左側若干距離の位置に設けられる。切創または開口を拡大し、切創の中に伸延ツールを設置し、該伸延ツールの近位端(工程104)が、棘間靭帯の露出側面に到達可能とする。伸延ツールを、棘間靭帯を貫いて押し込み、それによって棘間靭帯を伸延し、インプラントを受容可能とさせる(工程106)。棘間靭帯が十分伸延されたならば、伸延ツールを外し、切創から取り出す(工程108)。
【0054】
伸延ツールが切創から取り出されたならば、インプラントを、拡張された切り口に設置することが可能であり、インプラントの伸延ガイドは、拡張された開口を通じて押し込まれる(工程110)。インプラントは開口を通じてさらに押し込まれ、最終的にスペーサは、所期の通り、標的運動セグメントの隣接棘突起間に配置される(工程112)。スペーサは、負荷が棘突起表面により均一に分散されるように自由に回転される。要すれば任意に、インプラントは拡大開口を通じてさらに押し込まれ、最終的に、第1ウィングが隣接棘突起に接触し、それによって、挿入方向におけるそれ以上の移動を阻止する。インプラントが適正に設置されたならば、挿入体をインプラントの遠位端に設置し、中空中心体の中空の空洞の中に、該空洞を貫いて挿入体を押し込むことが可能である(工程114)。挿入体が空洞の内部に納まるにつれて、伸延ガイドが開裂し、上方ウィングレットと下方ウィングレットが展開して第2ウィングとなる。残余のツールが切創から取り出され、切創は閉じられる(工程116)。挿入時、伸延先端は、組織を貫通し、または分離はするが、組織を切り離さないことが好ましい。
【0055】
さらに、図9A-13に示すものと同様のインプラントを腰椎に埋め込むための最小侵襲手術法が、本明細書に開示され、教示される。この方法では、図15Bのフローチャートに示すように、前後接近法を用いて切創または開口が設けられる(工程202)。切創または開口を拡大し、切創の中に伸延ツールを設置し、該伸延ツールの近位端(工程204)が、棘間靭帯の露出側面に到達可能とする。伸延ツールを、棘間靭帯を貫いて押し込み、それによって棘間靭帯を伸延し、インプラントを受容可能とさせる(工程206)。棘間靭帯が十分伸延されたならば、伸延ツールを外し、切創から取り出す(工程208)。
【0056】
伸延ガイドが切創から取り出されたならば、インプラントを、拡張された切り口に設置することが可能であり、インプラントの伸延ガイドは、拡張された開口を通じて押し込まれる(工程210)。インプラントは開口を通じてさらに押し込まれ、最終的にスペーサは、所期の通り、標的運動セグメントの隣接棘突起間に配置される(工程212)。スペーサは、負荷が棘突起表面により均一に分散されるように自由に回転される。要すれば任意に、インプラントは拡大開口を通じてさらに押し込まれ、最終的に、第1ウィングが隣接棘突起に接触し、それによって、挿入方向におけるそれ以上の移動を阻止する。インプラントが適正に設置されたならば、挿入点とは反対側の、隣接棘突起において、活性化ツールが切創の中に挿入される(工程214)。アクチュエーター・ツールは、アクチュエーターの装置と嵌合し、該アクチュエーターの装置を作動し、そのために上方ウィングレットおよび下方ウィングレットが、前述のように、展開して第2ウィングとなる(工程216)。残余のツールが切創から取り出され、切創は閉じられる(工程218)。挿入時、伸延先端は、組織を貫通し、または分離はするが、組織を切り離さないことが好ましい。
【0057】
本発明の前記記述は、例示と説明のために提示されたものである。それは、網羅的であることを意図するものではなく、あるいは、本発明を、開示された厳密な形態に限定することを意図するものでもない。多くの改定版および変異形が当業者には明らかであろう。実施態様は、本発明の原理とその実際の応用をもっとも良く説明し、それによって、当業者にも、様々な実施態様、および、考えられる特定の用途に好適な様々な修飾を通じて本発明の理解が可能となるように選択され、記載されたものである。本発明の範囲は、頭書の特許請求項およびその等価物によって定義されることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
800 インプラント
807 ねじ
810 伸延ガイド
812 上方ウィングレット
814 下方ウィングレット
816 ねじ溝付きカラー
860 第2ウィング
900 インプラント
910 伸延ガイド
912 上方ウィングレット
914 下方ウィングレット
916 ねじ溝付きカラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棘突起間に挿入されることに適している棘間インプラントであって、
第1ウィングと、
前記第1ウィングからのびるスペーサと、
前記スペーサからのびる伸延ガイドであって、前記スペーサから離れた伸延先端を有する伸延ガイドと、
前記スペーサと前記伸延ガイドの前記伸延先端との間に配置され、収縮された形態と展開された形態との間を移動することに適している第1ウィングレット及び第2ウィングレットとを備え、
前記第1ウィングレット及び前記第2ウィングレットが、前記伸延ガイドと前記スペーサーとの間にあるように拡張されて、前記棘間インプラントが棘突起間に配置されたとき、前記棘間インプラントの動きを制限する、棘間インプラント。
【請求項2】
前記第1ウィングレット及び前記第2ウィングレットと作動的に関係づけられているアクチュエーターを更に含み、前記アクチュエーターを作動することにより、前記第1ウィングレット及び前記第2ウィングレットが拡張される、請求項1に記載の棘間インプラント。
【請求項3】
ねじ溝付き表面を有するカラーであって、前記アクチュエーターと関連づけられているカラーをさらに備え、
前記アクチュエーターが、ねじ溝付き表面を含み、
前記第1ウィングレット及び前記第2ウィングレットが、前記カラーと回転可能に関連づけられている、請求項2に記載の棘間インプラント。
【請求項4】
前記第1ウィングレット及び前記第2ウィングレットがそれぞれ、第1内面及び第2内面を含み、
前記伸延ガイド内に配置された第1ピンであって、前記第1内面に接触して前記第1ウィングレットの移動を案内することに適している第1ピンと、
前記伸延ガイド内に配置された第2ピンであって、前記第2内面に接触して前記第2ウィングレットの移動を案内することに適している第2ピンとをさらに含む、請求項3に記載の棘間インプラント。
【請求項5】
前記アクチュエーターが前記棘間インプラントの長軸の回りを回転可能であり、前記アクチュエーターを回転することによって、前記第1ウィングレット及び前記第2ウィングレットが拡張される、請求項2に記載の棘間インプラント。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【公開番号】特開2011−120957(P2011−120957A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33222(P2011−33222)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【分割の表示】特願2008−503077(P2008−503077)の分割
【原出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【出願人】(508361243)カイフォン・ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテ (30)
【Fターム(参考)】