椅子
【課題】背凭れの腰部における受圧状態を変更するためのエアバッグと、このエアバッグにエアを供給するためのポンプと、前記エアバッグのエアを外部に開放するためのリリースバルブとを備えたランバーサポート装置を有する椅子において、着座者が面倒を感じることなく、着座したままエアバッグ内のエアの量を調節できるようにする。
【解決手段】背凭れの腰部における受圧状態を変更するためのエアバッグ337と、このエアバッグ337にエアを供給するためのポンプ339と、前記エアバッグ337のエアを外部に開放するためのリリースバルブ363と、第一態様の操作が加えられたときに前記ポンプ339を作動させ、第二態様の操作が加えられたときに前記リリースバルブ363を開放状態に切り換える共通の操作レバーたるランバーサポート操作レバー341とを備えたランバーサポート装置311を具備してなる椅子を用意する。
【解決手段】背凭れの腰部における受圧状態を変更するためのエアバッグ337と、このエアバッグ337にエアを供給するためのポンプ339と、前記エアバッグ337のエアを外部に開放するためのリリースバルブ363と、第一態様の操作が加えられたときに前記ポンプ339を作動させ、第二態様の操作が加えられたときに前記リリースバルブ363を開放状態に切り換える共通の操作レバーたるランバーサポート操作レバー341とを備えたランバーサポート装置311を具備してなる椅子を用意する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等で好適に使用される椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の椅子の一つとして、背凭れの腰部における受圧状態を変更するためのエアバッグと、このエアバッグにエアを供給するためのポンプと、前記エアバッグのエアを外部に開放するためのリリースバルブとを備えたランバーサポート装置を具備してなるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
従来のものは、前記ポンプを作動させるための操作レバー等の第一の操作部と、前記リリースバルブを開放状態にするための第二の操作部とを別個に設けている。このような椅子に着座した状態で、エアバッグ内のエアの量を調節すべくエアバッグに対してエアを供給する操作とエアバッグのエアを外部に開放する操作とを交互に行う場合、第一の操作部に対する操作と第二の操作部に対する操作を交互に行う必要がある。すなわち、従来のものにおいては、第一及び第二の操作部のうち一方に対する操作の後に手を他方に移動させる必要があり、さらに場合によっては他方の操作部を探す必要があり、これらのことから、エアバッグ内のエアの量を調節する作業が面倒に感じられる不具合が存在する。加えて、上述した第一及び第二の操作部を別個に設けることにより、部品点数が多くなることや外観が損なわれることといった不具合も発生し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−105292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の点に着目し、着座者に面倒を感じさせることなく、着座したままエアバッグ内のエアの量を調節できるようにするとともに、部品点数の削減及び外観の向上を図ることを所期の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の椅子は、背凭れの腰部における受圧状態を変更するためのエアバッグと、このエアバッグにエアを供給するためのポンプと、前記エアバッグのエアを外部に開放するためのリリースバルブと、第一態様の操作が加えられたときに前記ポンプを作動させ、第二態様の操作が加えられたときに前記リリースバルブを開放状態に切り換える共通の操作レバーとを備えたランバーサポート装置を具備してなることを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、前記ポンプを駆動するための操作レバーにより、前記リリースバルブを開放状態に切り換える操作も行うことができるので、部品点数の削減及び外観の向上を図りつつ、単一の操作レバーを把持したままでエアの量の調整を容易に行うことができる。
【0008】
このような操作レバーを有するランバーサポート装置の具体的な態様の一例として、前記第一態様の操作と、前記第二態様の操作とが、前記操作レバーに対してそれぞれ異なる方向に作用を加えるものであるものが挙げられる。
【0009】
前記操作レバーが、該操作レバーに隣接するレバー隣接部材に対して隙間を介して配されるものであり、前記第一態様の操作が前記操作レバーを前記隣接部材方向に移動させる動作を含むものであるものが挙げられる。ここで、「隣接部材」は、操作レバーに隣接する部材全般を含む概念であり、背凭れ(背枠)、肘掛け(肘支持部)、座、座受等が考えられる。
【0010】
前段で述べたような操作レバーを有するランバーサポート装置において、前記第一態様の操作を容易に行えるようにするための態様として、前記隙間が、前記操作レバーと前記隣接部材との間に手を掛けることができる大きさのものであるものが挙げられる。
【0011】
また、このような操作レバーを有するランバーサポート装置において、前記レバー隣接部材が背凭れである場合の好適な態様として、前記第一態様の操作が操作レバーを前方に付勢する操作を含むものが挙げられる。
【0012】
前段で述べたようなランバーサポート装置において、着座者が着座したままエアバッグにエアを供給する操作を容易に行えるようにするための構成の一例として、前記ランバーサポート装置が、ランバーパッドとこのランバーパッドを支持するランバー基部とを備えたものであり、両端部が隙間を介して前記背凭れを構成する左右の側フレームの後方に位置するようにしており、前記操作レバーが、前記ランバー基部の一端部に配されているものが挙げられる。
【0013】
特に、種々の体格等を有する着座者の腰部をランバーサポート装置により好適に支持させるための態様の一例として、前記ランバーサポート装置が、前記側フレームに対して上下位置変更可能に設けられているものが挙げられる。このようなものであれば、操作レバーがランバーサポート装置の上下位置を変更する操作を行う際の把手を兼ねるので、ランバーサポート装置の上下位置を変更する操作も、着座者が着座したまま容易に行うことができる。
【0014】
一方、前記レバー隣接部材が肘掛けである場合の好適な態様として、前記第一態様の操作が、前記肘掛けの肘支持部の下側に配された操作レバーを上方に付勢する操作を含むものが挙げられる。
【0015】
また、前記レバー隣接部材が座である場合の好適な態様として、前記第一態様の操作が、座面の下側に配された操作レバーを上方に付勢する操作を含むものが挙げられる。
【0016】
さらに、前記第一態様の操作が前記操作レバーを前記部材方向に移動させる動作を含む椅子において、エアバッグに対するエアの出し入れを容易に行えるようにするための構成として、前記第二態様の操作が操作レバーをレバー隣接部材から離間させる操作であるものが挙げられる。
【0017】
そして、前記エアバッグと、前記ポンプと、前記リリースバルブと、前記操作レバーとを共通のベースに取付けてユニット化してなるものであれば、エアバッグとポンプとの間のパイプや、ポンプと操作レバーとの間、又はリリースバルブと操作レバーとの間のワイヤ等を有する操作力伝達機構が外部に露出することによる不具合の発生を抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、着座者が面倒を感じることなく、着座したままエアバッグ内のエアの量を調節できる。また、単一の操作レバーにより第一態様の操作及び第二態様の操作を行うことができるので、部品点数の削減及び外観の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態を示す後方からの斜視図。
【図2】同実施形態を示す正面図。
【図3】同実施形態を示す背面図。
【図4】同実施形態を示す左側面図。
【図5】同実施形態の支持基部を分解して示す前方からの斜視図。
【図6】同実施形態の支持基部を分解して示す後方からの斜視図。
【図7】同実施形態の傾動ロック機構の要部を示す概略側断面図。
【図8】図7におけるF−F線断面図。
【図9】同実施形態の支持基部の要部を示す正面図。
【図10】同実施形態の支持基部の要部を示す拡大背面図。
【図11】同実施形態の支持基部及び座を示す左側面図。
【図12】同実施形態のロッキング機構を示す図11に相当する作用説明図。
【図13】同実施形態の座と座受を示す分解斜視図。
【図14】同実施形態の座と座受と肘掛けを示す拡大底面図。
【図15】図2におけるA−A線断面図。
【図16】図11におけるB−B線断面図。
【図17】図9におけるC−C線断面図。
【図18】同実施形態における背凭れの背支持アームへの取り付け態様を示す説明図。
【図19】同実施形態における背凭れの背支持アームへの取り付け態様を示す説明図。
【図20】図3におけるD−D線断面図。
【図21】同実施形態におけるランバーサポート装置の取付態様を示す説明図。
【図22】図3におけるE−E線断面図。
【図23】同実施形態におけるランバーサポート装置の要部を示す作用説明図。
【図24】同実施形態におけるランバーサポート装置の要部を示す作用説明図。
【図25】本発明の他の実施形態におけるランバーサポート装置の要部を示す作用説明図。
【図26】本発明の他の実施形態におけるランバーサポート装置の要部を示す作用説明図。
【図27】本発明の他の実施形態におけるランバーサポート装置を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図1ないし図24を参照して説明する。
【0021】
この実施形態は本発明を事務用回転椅子に適用した場合のものである。
【0022】
この椅子は、図1ないし図4に示すように、脚1と、この脚1に支持された支持基部3と、この支持基部3上に配された座受5と、この座受5に支持された座7と、前記支持基部3に回動可能に支持された背支持アーム9と、この背支持アーム9の後端に取付けた背凭れ11と、この背凭れ11の後傾動作に伴わせて前記座受5及び座7を上動及び傾動させるロッキング機構13とを具備してなる。
【0023】
《脚の構成》
脚1は、図1ないし図4に示すように、脚ベース15と、この脚ベース15の中心部に設けられた脚支柱17を備えてなる。
【0024】
脚ベース15は、図1ないし図4に示すように、中心部に設けたハブ18から複数本の脚羽根19を放射状に突出させて設けたもので、前記脚羽根19先端にキャスタ21をそれぞれ設けている。
【0025】
前記脚支柱17は、図1ないし図4に示すように、ガススプリングタイプのもので上下方向に弾性的に伸縮し、所望の位置においてロックすることができるようにした通常のものである。すなわち、この脚支柱17は前記脚ベース15のハブ18に嵌着されたガススプリング本体23と、このガススプリング本体23の上端から突出させたロッド25とを備えたもので、前記ロッド25の上端にロック解除用の図示しない操作ボタンが突出させてある。そして、このロッド25の上端部に支持基部3を装着している。前記ロック解除用操作ボタンは、後述する座受5に設けられた昇降用の操作レバー83により操作される。
【0026】
《支持基部の構成》
支持基部3は、図2ないし図11及び図17に示すように、前記脚支柱17のロッド25に取付けられるメインフレーム27と、このメインフレーム27に取付けられた前リンク軸29及び支軸31を具備してなるものである。前リンク軸29は、前リンク33を介して前記座受5の前端部を支持するためのものである。支軸31は、前記背支持アーム9を支持するとともに後リンク35を介して座受5の中間部を支持するためのものである。
【0027】
メインフレーム27は、図5ないし図9及び図11に示すように、前記脚支柱17におけるロッド25の上端部に嵌着されるボス部37と、このボス部37の上端側を囲う平面視半円弧状をなす後フレームメンバ39と、この後フレームメンバ39の左右の前端からそれぞれ前方に延出する一対の側フレームメンバ41と、これら側フレームメンバ41の前端部間を結合し前端に平坦な面を有する前フレームメンバ43とを備えたものである。これらボス部37、後フレームメンバ39、側フレームメンバ41、及び前フレームメンバ43は、アルミダイキャスト等により一体に成型されている。前フレームメンバ43の上面部には、前記前リンク軸29を支持する前の軸受部45が一体に設けられているとともに前記後フレームメンバ39と側フレームメンバ41との境界付近には前記支軸31を支持する後の軸受部47が一体に設けられている。
【0028】
そして、このメインフレーム27には、図5、図6、図7、図8、図11及び図17に示すように、背凭れ11を前方に付勢する傾動反力発生機構49と、この傾動反力発生機構49の付勢力に抗して前記背凭れ11を所定位置でロックするための傾動ロック機構51が組み込まれている。
【0029】
傾動反力発生機構49は、図5、図6、図7、図8、図11及び図17に示すように、基端部が前記支軸31に支持された左右対をなすトルク伝達用のブラケット53と、これら左右のトルク伝達用のブラケット53の先端部間に架設した可動軸55と、この可動軸55をメインフレーム27に設けたバネ受け57を足場として後方に弾性付勢するスプリング59とを具備してなる。
【0030】
傾動ロック機構51は、図5、図6、図7、図8及び図11に示すように、前記フレームメンバ39、41、43により囲まれたメインフレーム27の空洞部61に配設されている。傾動ロック機構51は、基端部を前記支軸31に支持されてトルク伝達用のブラケット53に連動して上下方向に回動する回動ハウジング63と、この回動ハウジング63を覆うようにしてメインフレーム27に固定され両側壁71にフック孔67を複数段設けてなる固定ハウジング69とを具備してなるもので、前記回動ハウジング63を前記固定ハウジング69にロックさせることで背凭れ11を所定の傾動位置で係止させることができるようになっている。すなわち、この傾動ロック機構51は、前記回動ハウジング63の側壁65に突没可能に設けられ前記固定ハウジング69のフック孔67のいずれかに選択的に係合する係合爪72と、この係合爪72を没入方向に強制移動させて前記固定ハウジング69と回動ハウジング63とのロック状態を解除する傾動ロック解除アーム74とを備えており、図15に示すように、この傾動ロック解除アーム74を、座受5の側面73に設けたロッキング調整用の操作レバー75により操作することにより、ロックの解除を行うことができるようになっている。なお、傾動ロック解除アーム74と前記係合爪72との間には、傾動ロック解除アーム74の動作を、前記係合爪72に伝達するための操作力伝達機構76が設けてある。操作力伝達機構76は、先端部78aを係合爪72に接続するとともに、枠状をなす基端部78bで前記傾動ロック解除アーム74の先端部分を包囲する進退部材78と、この進退部材78の基端部78b内に配設され前記傾動ロック解除アーム74の解除方向の動作を進退部材78に伝達するスプリングspとを具備してなる。係合爪72は、回動ハウジング63の天板63aに旋回可能に支持された板状のもので、両端部72aが回動ハウジング63の側壁65から突出して固定ハウジング69のフック孔67に係合するロック位置(図8における実線で示す)と、前記フック孔67から外れるロック解除位置(図8における二点鎖線で示す)との間で旋回し得るようになっている。ここで、符号77は、前記ロッキング調整用の操作レバー75の操作力を前記傾動ロック解除アームに伝達するためのロッキング調整用ワイヤである。
【0031】
ロッキング調整用の操作レバー75を操作すると、ロッキング調整用ワイヤ77が引っ張られ、傾動ロック解除アーム74が回動され、この傾動ロック解除アーム74の先端で前記スプリングspを係合爪72がロック位置からロック解除位置に移動する方向に付勢する。この際、係合爪72と固定ハウジング69のフック孔67との間に大きな摩擦力が作用している間は、傾動ロック解除アーム74が前述した方向に回動しても進退部材78及び係合爪72はロック位置に保持されたままとなり、スプリングspが圧縮された状態となる。この状態から、前記係合爪72とフック孔67との摩擦が解消されると、前記スプリングspの反発力により、前記進退部材78及び係合爪72がロック解除方向に作動し、ロック状態が解除される。ロッキング調整用ワイヤ77による操作力がなくなると、図示しない復帰スプリングの付勢力により傾動ロック解除アーム74が、係合爪72をロック解除位置からロック位置方向に移動する方向に回動する。係合爪72がロック位置方向に回動しても、フック孔67に係合し得ない回動位置においては、固定ハウジング69の内側面に係合爪72の両端部72aの先端が当接して待機する状態となる。そして、背凭れ11の傾動位置が変化して係合爪72がフック孔67に合致した段階で、その係合爪72の両端部72aが対応するフック孔67に係合し、ロック状態となる。
【0032】
符号79は前記脚支柱17のロッド25に設けられたロック解除用の操作ボタンを押圧するための昇降用ロック解除アームであり、図15に示すように、符号81は座受5の側面73に設けた昇降用の操作レバー83の操作力を前記昇降用ロック解除アーム79に伝達するための昇降用ワイヤである。
【0033】
また、支持基部3は、図5、図6及び図9に示すように、上カバー85と下カバー87とによって覆われている。
【0034】
上カバー85は、図5、図6及び図9に示すように、支持基部3を上面側から覆うもので、支持基部3に係合するための下向きに突出した上係止爪89、91が設けられている。下カバー87は、支持基部3を下面側から覆うもので、支持基部3に係合するための上向きに突出した下係止爪93、95が設けられている。また、これら上カバー85と下カバー87とは、それら開口端縁97、99同士が突き合うように配されている。
【0035】
支持基部3のメインフレーム27の外周面には、図5、図6、図9及び図10に示すように、前記上カバー85と下カバー87とを取付けるための上下共用取付部101、103とが設けられている。
【0036】
詳述すれば、前記支持基部3のメインフレーム27は、図5、図6、図9及び図10に示すように、上カバー85の上係止爪89、91と下カバー87の下係止爪93、95とをそれぞれ係わり合わせるための上下共用取付部101、103を備えたものであり、前記上下共用取付部101、103が、前記上係止爪89、91が係わり合う係合端面105、109と、前記下係止爪93、95が係わり合う係合端面107、111と、前記上係止爪89、91の横ずれを係止する横ずれ防止用の係止端面113、117と、前記下係止爪93、95の横ずれを係止する横ずれ防止用の係止端面115、119とを備えている。
【0037】
具体的に説明すれば、前記メインフレーム27は、図5、図6、図9及び図10に示すように、対をなす前側の上下共用取付部101と、単一の後側の上下共用取付部103とを備えたものであり、上下カバー85、87の前記各上下共用取付部101に対応する部位に上係止爪89及び下係止爪93が設けられている。
【0038】
前側の上下共用取付部101は、図5及び図9に示すように、メインフレーム27における前フレームメンバ43の前端の外周面121に設けられたもので、その前端の外周面121を長方形状に凹陥させたものである。前側の上下共用取付部101において、上辺が上カバー85の上係止爪89が係わり合う係合端面105であり、下辺が下カバー87の下係止爪93が係わり合う係合端面107である。また、前側の上下共用取付部101において、左右両側辺が上カバー85及び下カバー87の上係止爪89及び下係止爪93に対する横ずれ防止用の係止端面113、115である。
【0039】
後側の上下共用取付部103は、図6及び図10に示すように、メインフレーム27における後フレームメンバ39の後端の外周縁122に設けられたもので、略水平な中央突条123とこの中央突条123の両側に高さを異ならせて配置した一対の側突条125とを具備してなる。後側の上下共用取付部103において、側突条125の下縁が上カバー85の上係止爪91が係わり合う係合端面109であり中央突条123の上縁が下カバー87の下係止爪95が係わり合う係合端面111である。また、後側の上下共用取付部103において、中央突条123の左右両端縁が上カバー85の上係止爪91に対する横ずれ防止用の係止端面117であり、側突条125の内側端縁が下カバー87の下係止爪95に対する横ずれ防止用の係止端面119である。
【0040】
なお、メインフレーム27の外周における前後方向中間付近には、図5及び図6に示すように、上カバー85を取付けるための上専用取付部127と下カバー87を取付けるための下専用取付部129とが設けられている。上カバー85には上専用取付部127に係わり合う爪131が設けられ、下カバー87には下専用取付部129に係わり合う爪133が設けられている。
【0041】
以上に加えて、上カバー85及び下カバー87の外周同士も突き合わせて嵌合するように、上下カバー85、87の開口端縁には、回転軸の近傍部分を除いて溝、具体的には上カバー85及び下カバー87の一方には嵌合凹部が外方に露出し、他方には嵌合凹部が内方に露出した互いに嵌合可能なL型溝が形成されている。これによって支持基部3の上下専用取付部127、129に係合するようにした上下カバー85、87の爪131、133を配するべく、支持基部3から一定間隔離れた位置を保ってカバーする構成をなしていても上下カバー85、87同士を確実に嵌合することができる。
【0042】
以上説明した支持基部3の前の軸受部45に前リンク軸29を介して左右の前リンク33を回動可能に取付けている。前リンク33の支持基部3への取付構造は次のようになっている。すなわち、前記支持基部3は、図5、図6、図9、図11及び図17に示すように、左右にそれぞれ前記前リンク軸29を支持する前の軸受部45と、軸方向に垂直な対向する一対の平面137とを備えたものであり、前記前リンク33は、椅子本来の機能を発揮し得る使用時回動範囲では前記平面137間に位置し、前記前リンク33を支持基部3に対して挿脱し得る挿脱時回動範囲では前記平面137外に位置する平面対応部分139を備えたもので、支持基部3に前リンク軸29を介して前リンク33を回動可能に支持させている。
【0043】
換言すれば、前記支持基部3は、図4ないし図11に示すように、前リンク軸29を支持する前の軸受部45と、この前の軸受部45の軸方向に隣接する位置に前方及び上方に開口したリンクアーム収容部141とを備えている。リンクアーム収容部141は、前リンク軸29と直交する一対の平面137間に形成されたものである。前記前リンク33は、上端部に前連結軸143を保持する軸孔145を有するとともに基端部に前リンク軸29に外装されるボス部147を有しており、このボス部147の外周にリンクアーム149を備えている。このリンクアーム149は、前記リンクアーム収容部141に対応する平面対応部分139を有している。そして、前記使用時回動範囲では、前記リンクアーム149の平面対応部分139が前記リンクアーム収容部141の対向する平面137間に位置する。そのため、左右の前リンク33が、記前リンク軸29と前連結軸143とから外れることが禁止されている。一方、前記挿脱時回動範囲では、前記リンクアーム149の平面対応部分139が前記リンクアーム収容部141の対向する平面137外に位置する。そのため、左右の前リンク33が、前記前リンク軸29と前連結軸143とから外れ得るようになっている。組立状態においては、前リンク33が前記挿脱時回動範囲にまで回動できないように設定されている。
【0044】
以上のようにしてなる支持基部3に、前リンク33及び後リンク35を介して座受を支持させている。
【0045】
《座受の構成》
座受5は、図2ないし図4及び図11ないし図17に示すように、アウターシェルと称し得る形態をなすもので、この実施形態においては合成樹脂により一体に成型されている。座受5の下面には、前連結軸143を介して前リンク33の回動端151を取付けるための前リンク取付部153と、後連結軸155を介して後リンク35の回動端157を取付けるための後リンク取付部159が設けられている。また、座受5の下面における両側部には、肘掛け161を取付けるための平坦面に複数のねじ孔163を有した肘掛け取付部165が設けられている。座受5の側部、より具体的には座受5の前寄りの一側部にはロッキング調整用の操作レバー75と昇降用の操作レバー83が取付けられている。
【0046】
具体的には、各操作レバー75、83は、図13ないし図15に示すように、共通の軸167に回転可能に外装される基端ボス部169、171を備えたもので、その基端ボス部169、171から外方に向けてレバー本体173、175を延出させるとともに前記ボス部169、171から内方に向けて回動アーム177、179を突出させてなる。
【0047】
レバー本体173、175は、図13ないし図15に示すように、外側縁側の角を滑らかに切除した形状をなすもので、両操作レバー75、83を共通の軸167に外装して隣接させることによりそれらレバー本体173、175が平面視において略三日月状をなすように配列されるようになっている。これら両操作レバー75、83は、座受5の側面に設けたレバー取付窓181に外側から挿入することにより座受5に取付けることができるようになっている。すなわち、レバー取付窓181の両側縁には、入口側に抜け止め用の弾性片183を有した軸受部185が設けてあり、前記両操作レバー75、83を外挿した軸167の両端部187を、前記弾性片183の一時的な弾性変形を利用して前記軸受部185に装着することにより、これら操作レバー75、83が座受5に取付けられる。ロッキング調整用の操作レバー75の回動アーム177には、前記支持基部3に設けた傾動ロック機構51のロック状態を操作するためのロッキング調整用ワイヤ77の一端が接続されており、昇降用の操作レバー83の回動アーム179には、前記脚支柱17に設けられたロック解除用操作ボタンのロック状態を操作するための昇降用ワイヤ81の一端が接続されている。
【0048】
座受5の上面には、図13、図15及び図16に示すように、前後左右方向に走る補強用のリブ189が設けられているとともに、前記座7を前後方向に案内するための案内突起247を取付けるための取付け座193が設けられている。座受5の後端部における上面には、座7を前後方向の所定位置に係止させるための複数の係止穴195が前後方向に所定の間隔をあけて形成されている。
【0049】
《座の構成》
座7は、図1ないし図4、図11、図13、図14、図16及び図17に示すように、芯材197の外面に張地199を張設したものである。芯材197は、インナーシェル201と、このインナーシェル201の上に配設したクッション203とを備えたものである。
【0050】
インナーシェル201は、図4、図11、図13、図14、図16及び図17に示すように、合成樹脂により一体に成型されたもので、座受5上に前後移動可能に設けられている。インナーシェル201は、中間部205とその中間部205を囲う周縁部207とを備えており、前記周縁部207の前側に斜め下方になだらかに垂れ下がる前端垂れ下がり部分209を設けるとともに、前記中間部205と前記周縁部207との境界に中間部205が周縁部207よりも下方に膨出するような環状の段部211が形成されている。また、前記周縁部207の後側には、後述する座スライド用操作レバー213の係止突起215を下面側に突没させるための係止突起用の開口217と、座スライド用操作レバー213の操作部219を表出させるための操作部用の開口221が設けられている。さらに、インナーシェル201の上面における前記開口217の近傍には、前記座スライド用操作レバー213を軸着するための軸受部223が設けられている。
【0051】
クッション203は、図11、図13、図14及び図16に示すように、発泡ウレタン等により作られたもので、前側に前記インナーシェル201の前端垂れ下がり部分209に沿うクッション垂れ下がり部分225を備えている。またクッション203の上面には一方向に並ぶ凹凸部、換言すれば、この実施形態では前後方向に並ぶ溝227を複数本設けている。クッション203の上面に溝227を複数本設けることにより、通気性を良好なものとしている。
【0052】
前記インナーシェル201及び前記クッション203はそれぞれ前側に下方に垂れ下がる部分である前端垂れ下がり部分209及びクッション垂れ下がり部分225を有しており、着座者の下肢部分を好適に支持することができる。これら前端垂れ下がり部分209及びクッション垂れ下がり部分225は、後述する座スライド機構239を用いて座7を座受5に対して前後スライド操作する際には、操作者がこれらの部分を容易に把持することができる把持部としても機能する部分である。
【0053】
張地199は、図11、図14、図16及び図17に示すように、クッション203及びシェル201の一部、すなわち、クッション203及びインナーシェル201の周縁部207を覆う袋状のもので、インナーシェル201の下面側に巻き込んだ張地199の縁229は、インナーシェル201の段部211の端面に沿って配してある。なお、図14では、張地199を半分省略して示している。
【0054】
以上のような座7を前記座受5に取付けることにより、図14及び図15に示すように、座7を着座面に上から直交する方向の視線から見た場合に、前記ロッキング調整用及び昇降用の操作レバー75、83の先端部分231、233のみが視認可能になっている。詳述すれば、平面視において前記各操作レバー75、83における各レバー本体173、175の外側縁、より具体的には外側縁における鋭角部分235、237が、座7に隠れて見えないようになっており、着座者の被服等が前記鋭角部分235、237にひっかかるおそれを抑制することができるようにしている。
【0055】
そして、前記座7は、座スライド機構239により座受5に対して前後位置調整可能に取付けられている。
【0056】
《座スライド機構の構成》
座スライド機構239は、図11、図13、図14及び図16に示すように、インナーシェル201に設けられた前後方向に延びる複数本のスリット241と、このスリット241に貫通して設けられ下端部243を座受5の取付け座193に取付けると共に上端に設けた幅広部245を前記スリット241の上面側開口端に係わり合わせた案内突起247とを具備してなり、前記スリット241と前記案内突起247との相対移動が可能な範囲において前記座7が前記座受5に対して前後方向にスライドし得るようになっている。また、この座スライド機構239は、インナーシェル201に設けられ、操作対象である座7を操作するための前記座スライド用操作レバー213に設けられた係止突起215と、前記座受5に設けられた複数の係止穴195との協働により、前記座7を前後方向の所定位置で係止させることができるようにしている。
【0057】
座スライド用操作レバー213は、図11、図13、図14及び図16に示すように、基端軸部249を前記インナーシェル201の軸受部223に回動可能に支持させた板状のもので、その中間部の下面に係止突起215を有するとともに回動端部251の下面に下方に突出する操作部219を備えており、前記係止突起215を前記インナーシェル201の係止突起用の開口217に貫入させるとともに前記操作部219を前記操作部用の開口221を介してインナーシェル201の下面側に臨ませている。前記操作部219は、前記インナーシェル201における張地199によって覆われている部位に配されている。座スライド用操作レバー213の基端軸部249には、インナーシェル201の上面に弾接する板バネ253が一体に設けられており、この板バネ253の弾性付勢力により、座スライド用操作レバー213を係止突起215が開口から突出する方向に付勢している。この座スライド用操作レバー213を操作していない状態では、図16に示すように、係止突起215がインナーシェル201の下面から突出して座受5の何れかの係止穴195に係合するとともに、前記座スライド用操作レバー213の操作部219が、インナーシェル201の下面と略面一になるように設定されている。
【0058】
この操作部219は、図11、図13、図14及び図16に示すように、張地199を介して外部から操作可能なもので、この操作部219に張地199を介してその存在を手触りによって認識させるための特徴部分、具体的には凹陥部255を形成している。前記操作部219は、座7の後端部に配されている。座スライド用操作レバー213の操作部219を、張地199を介して上方に押圧操作すると、座スライド用操作レバー213が上方に回動し、係止突起215が係止穴195から抜出するようになっている。そのため、座スライド用操作レバー213の適宜操作により、係止突起215を所望の係止穴195に選択的に係止させ、座7の前後スライド位置を変更することができるようになっている。
【0059】
なお、張地199の縁229は、前述したようにインナーシェル201の段部211に沿って環状に配されているが、この縁229は、座7が何れの位置にスライド移動しても座受5の外縁よりも外側に位置することがなく、常に座受5により隠されるように設定されている。
【0060】
また、前記張地199は、前記クッション203及びインナーシェル201の周縁部207を覆うものであるが、前記インナーシェル201の下面は、前記張地199の縁229が常に隠れる状態で座受5により覆われている。そして、本実施形態では、座7が座受5に対して前後方向にスライド可能に保持されているが、このスライド操作によって座7が前後方向に移動しても、前記インナーシェル201の周縁部207における前記座受5によって覆われない部分に、前記操作部219が配されるようにしている。
【0061】
《背支持アームの構成》
左右の背支持アーム9は、図1ないし図5、図11及び図17ないし図19に示すように、それぞれ前記支持基部3に回動可能に支持された金属製のものであり、前端部256に前記支持基部3に設けられた支軸31の端部257に外側から嵌め合わせるための軸装部259を備えているとともに、後端部260に背凭れ11を取付けるための上向きの凹部261を有している。各背支持アーム9は、前後方向に延びる部分と上下方向に延びる部分とを有した側面視略L字状をなしたものである。
【0062】
各背支持アーム9の軸装部259は、図4、図5、図11及び図17ないし図19に示すように、前記支軸31の端部257を嵌合させるべく内方に開口させた軸穴263と、この軸穴263の底面を外側に連通させるねじ挿通用の貫通孔265とを備えている。貫通孔265は、ねじ267の頭269を収容するための大径部271を有したものであり、この軸装部259の外面に、その貫通孔265の大径部271に連続する案内面273を備えている。そして、この貫通孔265に挿入したねじ267を、支軸31の端面に形成されたねじ穴278に螺着することによって、背支持アーム9を支軸31に固定するようにしている。ねじ267をねじ孔278に締着した状態においては、前記ねじ267の頭269が前記大径部271に収容されるようになっている。この実施形態における案内面273は略球面状のもので、前記大径部271に収容されたねじ267の頭269の先端面275に滑らかに連続するように設定されている。
【0063】
なお、前記軸装部259の外周には、図4、図5、図11及び図17ないし図19に示すように、前記後リンク35と、トルク伝達用のブラケット53を外側から抱いて保持するトルク伝達用の突起277が一体に設けられている。
【0064】
各背支持アーム9は、図4、図5及び図18ないし図20に示すように、後端部260に前記凹部261を形成する内側起立部分279と外側起立部分281とをそれぞれ備えたものである。
【0065】
外側起立部分281は、図4、図5及び図18ないし図20に示すように、前記凹部261の一方の内側面を形成する外側壁283と、この外側壁283の前端縁から内方に延出する前壁285とを備えたものである。この前壁285には、背凭れ11を取付けるためのねじ穴287が形成されている。また、各背支持アーム9は、後端部260の内側に、後述する化粧板289の端部を支持するための支持部291をそれぞれ備えている。
【0066】
《背凭れの構成》
背凭れ11は、図1ないし図4及び図18ないし図22に示すように、背枠293と、この背枠293に添接され着座者からの荷重を受け止めることができる強度を有したメッシュ状の張地295とを具備してなるもので、前記背枠293の下縁に化粧板289が設けられている。
【0067】
背枠293は、図1ないし図4及び図18ないし図22に示すように、枠状をなすものであり樹脂により一体に形成されている。背枠293の下端296における左右両側部には、それぞれ下向きに突出する突出部297を有している。すなわち、この背枠293の下端296は、背面視下向きコ字状をなすように凹陥した形状をなしている。また、前記背枠293に前記背支持アーム9の後端に設けられた外側起立部分281の前壁285と上下方向から嵌合する溝299を設けている。すなわち、この溝299は、外方及び下方に開口し上下に延びるもので、この溝299を形成している後側の壁301の下端から前記突出部297が一体に連続して形成されている。また、この溝299を形成している前側の壁303には、ねじ挿通孔305が設けられており、このねじ挿通孔305に挿通させた止着具であるねじ307を、前記背支持アーム9の前記前壁285に設けられたねじ穴287に螺着することによって、前記背枠293を前記背支持アーム9に固定している。
【0068】
また、背枠293の外周には、図1ないし図4及び図18ないし図22に示すように、前記張地295の縁を挿入して取付けるための取付け溝309が形成されている。さらに、背枠293の上下方向中間位置には、後述するランバーサポート装置311を取付けるためのランバーサポート取付部313が設けられている。
【0069】
詳述すれば、背枠293は、図1ないし図4及び図18ないし図22に示すように、左右の側フレーム315と、これら側フレーム315の下端部間を結合する下フレーム317と、前記側フレーム315の上端部間を結合する上フレーム319とを具備してなるもので、前記ランバーサポート取付部313は、左右の側フレーム315に設けられている。ランバーサポート取付部313は、側フレーム315の前面に上下に連続させて形成された案内溝321と、この案内溝321の内側に隣接する領域に上下に所定のピッチで形成された複数の節度凹部323と、前記案内溝321と前記節度凹部323とを挟むようにして上下両側の位置にそれぞれ設けられた対をなす取付用のねじ穴325とを具備してなる。
【0070】
前記化粧板289は、図1、図3ないし図5、図18、図19及び図21に示すように、前記背枠293の下端296における中間部を下側から覆うもので、背支持アーム9の支持部291間に前記化粧板289を仮置き状態に架設して前記背枠293を前記両背支持アーム9に取付けることにより、前記背枠293に取付けられるようにしている。この取付け状態においては、前記化粧板289の両端部326が、前記左右の背支持アーム9と前記背枠293とによって挟持されている。
【0071】
化粧板289は、図1、図3ないし図5、図18、図19及び図21に示すように、上方に開口する上向き凹部327を有したものであり、前記背枠293と、前記上向き凹部327に設けられたリブ329とが係合するようになっている。すなわち、前記上向き凹部327の底面331には横ずれ防止用のリブ329が設けられており、これらのリブ329を背枠293の下端296に設けた図示しないリブに係わり合わせることにより、この化粧板289の前記背枠293に対する横ずれが防止されるようになっている。また、上向き凹部327の内側面には、がたつき防止用のリブ333が設けられており、これらのリブ333の先端を背枠293の前後面に当接させることにより、この化粧板289の前記背枠293に対する前後方向のがたつきが防止されるようになっている。
【0072】
以上のようにしてなる背凭れ11と前記座7とをロッキング機構13により連動させるようにしている。
【0073】
《ロッキング機構の構成》
このロッキング機構13は、図4、図11及び図12に示すように、背凭れ11の後傾動作に伴わせて座7を傾動させつつ上動させるようにした体重感知式のものである。
【0074】
詳述すれば、このロッキング機構13は、図4、図11及び図12に示すように、前側に前リンク軸29を保持するとともに後側に支軸31を保持する支持基部3と、下端部を前記前リンク軸29を介して前記支持基部3に回動可能に支持させた前リンク33と、下端部を前記支軸31に支持された背支持アーム9の軸装部259に一体化させてなる後リンク35と、前リンク取付部153を前連結軸143を介して前記前リンク33の回動端151に連結するとともに後リンク取付部159を後連結軸155を介して後リンク35の回動端157に連結してなる座受5とを主体に構成されたものである。
【0075】
すなわち、このロッキング機構13は、図4、図11及び図12に示すように、座7を支持する座受5を同一方向に傾斜する前リンク33と後リンク35とによって支持基部3に支持させ、その支持基部3に支持された背支持アーム9の後傾動作に伴わせて、前記前リンク33及び後リンク35を起立方向に回動させて前記座受5を上方に持ち上げるように構成した体重感知式のものであり、前記背凭れ11の後傾時に、前記座7の前部を座7の後部に比べてより多く持ち上げるように構成されたものである。すなわち、通常の背凭れ及び座のシンクロロッキング機構では、背凭れの後傾動作に伴わせて座を下方側にのみ傾動させるものであるが、本実施形態に示すような体重感知式のロッキング機構13は、通常のロッキング機構とは異なり、背凭れ11の後傾動作に伴わせて座7を傾動させつつ着座者の荷重に抗して座7を持ち上げるように構成している。
【0076】
具体的に説明すれば、図4、図11及び図12に示すように、前記背凭れ11を後傾させていない背起立時において、前リンク33の前傾度合いが後リンク35の前傾度合いよりも大きくなるように設定されている。換言すれば、前記背凭れ11を後傾させていない背起立時において、前リンク33における水平線に対する傾斜角度αが、後リンク35における水平線に対する傾斜角度βよりも小さく設定されている。また、前記前リンク33の支持基部3に対する回転中心を、前記後リンク35の支持基部3に対する回転中心よりも高い位置に設定している。換言すれば、前記前リンク軸29の軸心を前記支軸31の軸心よりも距離h分高い位置に設定している。前記前リンク33の有効長さ寸法、すなわち前記前リンク軸29と前記前連結軸143との軸心間距離L1と、前記後リンク35の有効長さ寸法、すなわち後リンク軸である前記支軸31と前記後連結軸155との軸心間距離L2とは略同じ距離に設定されている。また、前記背支持アーム9が、前記支持基部3における脚支柱17よりも前側の部位に枢支されている。換言すれば、前記背支持アーム9の軸装部259が、側面視において前記脚支柱17よりも前側に位置する支軸31に支持されている。
【0077】
前リンク33の前傾度合いを後リンク35の前傾度合いよりも大きくしている点は、後傾時に座7の前側を後側よりも相対的に大きく持ち上げることを目的としたもので、前リンク33と後リンク35との前傾度合いを相互に大きく異ならせることにより、後傾時の座7の前側の持ち上がりを大きく設定することが可能になる。つまり、前リンク33は、座7の前部つまり座面の前部を上方に持ち上げる動作が多く、後リンク35は、座7を後方に移動させる動作が中心となる。これによって、座面は前部を多く持ち上げながら座面の後部は後方移動し、後傾する背凭れ11に追従するように後方に移動していくこととなる。その結果、座面を相対的に後傾させることで座7の後端部と背凭れ11の下端部との相対的な位置関係の変化が有効に抑えられたものとなっている。
【0078】
前リンク33と後リンク35の回転中心位置を上下方向に異ならせる点は、主に背起立時の座7の水平度合いを調整することを目的としたものであり、前述した前後リンク33、35の前傾度合い差と組み合わせることにより、背凭れ11起立時の座7の姿勢と背凭れ11後傾時の座7の姿勢を共に最適な状態に設定している。前リンク33の有効長さ寸法L1と後リンク35の有効長さ寸法L2とを略同寸法とすることにより、前記設定をより適切なものにすることができる。
【0079】
なお、一般に前記背支持アームが、前記支持基部における脚支柱よりも前側の部位に枢支されている椅子おいては、背凭れ後傾時に背凭れが下方に沈みこむ傾向にあるため、背凭れ後傾時に座全体が平均的に上方に持ち上がるようにした通常の体重感知式ロッキング機構を採用した場合には大きな違和感、より具体的には、着座者の予想に反して、座の後側部分を含み全体が上方に持ち上がる結果、着座者の腰部近傍に、背凭れの沈み込み動作とこの沈み込み動作と相反する座の持ち上がり動作とが同時に発生することによって与えられる違和感が発生するが、本実施形態の構成によればその違和感が緩和されるものとなる。すなわち、本実施形態のものは体重感知式ではあるが背凭れ11後傾時にも座7の後側が大きく持ち上がることがないので大きな違和感を与えにくいものとなる。
【0080】
さらに本実施形態では、背凭れ11の回動範囲を20度に設定しているとともに、背凭れ11を最大限後傾させた状態における座面のなす角度は、背凭れ11起立時に比べて4度後傾するように設定している。すなわち本実施形態では、主に後リンク35による背凭れ11後傾時の座受5の略中央部の持ち上げによって起こる座面の後部が持ち上がる寸法よりも、前リンク33による背凭れ11後傾時の座面の前部が持ち上がる寸法をより大きく設定する結果、背凭れ11の最大後傾時の座面の角度を背凭れ11起立時よりも4度後傾するようにしている。加えて、本実施形態では、後リンク35を座受5の前後方向における略中央部に接続しているため、背凭れ11の後傾時に前後リンク33、35共に座受5を持ち上げるような構成にしても、前リンク33が後リンク35よりも多く座受5を持ち上げるので、相対的に座受5の後端部は前端部よりも下がるように設定でき、座受5の前端部が上昇した際に座受5の後端部の高さ位置を、背凭れ11の起立時と後傾時で殆ど変わらないようにしている。
【0081】
《ランバーサポート装置の構成》
ランバーサポート装置311は、図21及び図22に示すように、背凭れ11の左右の背フレーム間、すなわち前記背枠293の側フレーム315間に着脱可能に架設されるもので、ランバーパッド335と、このランバーパッド335を進退させるためのアクチュエータとして機能し背凭れ11の腰部における受圧状態を変更するためのエアバッグ337と、このエアバッグ337にエアを供給するためのポンプ339と、このポンプ339を作動させるためのランバーサポート操作レバー341とを共通のベース343に取付けてユニット化してなるものである。すなわちランバーサポート装置311は、ランバーパッド335と、このランバーパッド335を支持するランバー基部345とを備えたものであり、前記ランバー基部345は、前記エアバッグ337と前記ポンプ339と前記ランバーサポート操作レバー341とを共通のベース343に支持させたものである。そして、ランバー基部345と両端部347と左右の側フレーム315とによって、背凭れ11の右又は左外方向及び上下方向の3方向に開放した隙間349が形成される。前記ランバー基部345は、前記側フレーム315に対して上下位置変更可能に設けられている。前記隙間349は、手指を掛けることが可能な大きさを有する。また、このランバーサポート装置331の前面、より具体的には前記ランバーパッド335の前面は、左右の側フレーム315間に張り渡された張地295に沿う形状である。また、このランバーサポート装置331の背面、より具体的には前記ベース343の背面も、左右の側フレーム315間に張り渡された張地295に沿う形状である。
【0082】
詳述すれば、ベース343は、図21及び図22に示すように、左右に細長い枠状をなすもので、その一端部に前記ランバーサポート操作レバー341が略鉛直方向に伸びる中間軸344を介して前後方向に回動可能に取付けられている。ベース343の前縁両端部には、側フレーム315のランバーサポート取付部313に係わり合う取付けアーム351が突設されている。左右の取付けアーム351は、側フレーム315の前面側に回り込んで配されるもので、その背面に前記ランバーサポート取付部313の案内溝321にスライド可能に係わり合うスライドピン353と、前記節度凹部323に選択的に係わり合う節度用凸部355とが設けられている。そして、これら両取付けアーム351の前面側に、板バネとして機能する取付けプレート357を配し、それら取付けプレート357を前記ランバーサポート取付部313のねじ穴325に螺着されるねじ361を用いて側フレーム315の前面に取付けることにより、このランバーサポート装置311が背枠293に対して上下位置調整可能に保持されるようになっている。また、ベース343の内部には、ポンプ339とリリースバルブ363とリリースアーム365とリリーススプリング367とがそれぞれ収容されているとともに、ベース343の前面には、スペーサ369を介してエアバッグアセンブリ371が配されている。エアバッグアセンブリ371は、前記エアバッグ337と、このエアバッグ337とポンプ339とを接続するパイプ373とを備えたものである。
【0083】
ポンプ339は、図22ないし図24に示すように、握りハンドポンプと呼ばれるタイプのもので、前記ランバーサポート操作レバー341の操作端342側を前方、すなわち椅子の前方向きに回動操作することにより当該ランバーサポート操作レバー341の基端押圧アーム375により圧縮され、エアをエアバッグ337に向けて吐出するようにしたものである。前記基端押圧アーム375は、ポンプ339の中間部分を効率的に凹変形させるべく、ポンプ339に向かって凸となる形状をなしている。また、このポンプ339が前記基端押圧アーム375により圧縮された後、前記ランバーサポート操作レバー341に操作力が加えられなくなると、この種の握りハンドポンプと呼ばれるタイプのポンプとして周知のものと同様に、ポンプ339は外部からのエアの流入を受けて再び膨張する。これを受けて、ポンプ339が前記基端押圧アーム375を駆動し、前記ランバーサポート操作レバー341が図22に示す位置に復帰する。その後、前記ランバーサポート操作レバー341の前方への回動操作と、前記ランバーサポート操作レバー341への操作力を解除する操作とを繰り返し行うことにより、エアがエアバッグ337に向けて順次吐出される。
【0084】
リリースバルブ363は、図22ないし図24に示すように、エアバッグ337のエアを外部に開放するためのもので、リリース操作ボタン377を押圧操作された場合にのみエアバッグ337内のエアを大気に開放し得るようにしたものである。このリリースバルブ363は、本実施形態では、ポンプ339とパイプ373との間に設けられている。また、これらポンプ339、リリースバルブ363及びパイプ373は、本実施形態では一体に設けられている。
【0085】
リリースアーム365は、図22ないし図24に示すように、基端379をベース343に前後方向に回動可能に回転軸380を介して軸着するとともに中間部381を前記リリースバルブ363のリリース操作ボタン377に対面させ、先端部383を前記基端押圧アーム375の前方に位置させたものである。ここで、中間部381は、リリース操作ボタン377を確実に押圧できるようにすべく、該リリース操作ボタン377に向かう方向に突出している。そして、ランバーサポート操作レバー341の操作端342側を後方、すなわち椅子の後方向きに回動操作してリリースアーム365の先端部383を前方に押圧操作することにより、このリリースアーム365の中間部381で前記リリースバルブ363のリリース操作ボタン377を押圧し得るようにしている。
【0086】
リリーススプリング367は、図22ないし図24に示すように、ランバーサポート操作レバー341の操作力が消勢した場合に、前記リリースアーム365を元の待機位置に自己復帰させるためのものである。
【0087】
前記ランバーサポート操作レバー341の背面は、図22ないし図24に示すように、前方に向けて押圧する操作を行いやすくすべく、後方に開放するような凹形状、換言すれば後方に凹入する形状をなしている。さらにいえば、後方に開口する凹形状であるともいえる。また、ランバーサポート操作レバー341の前面も、図22ないし図24に示すように、後方に向けて押圧する操作を行いやすくすべく、前方に開放するような凹形状、換言すれば前方に凹入する形状をなしている。さらにいえば、前方に開口する凹形状であるともいえる。すなわち、このランバーサポート操作レバー341の中間軸344よりも操作端342側の部位の厚さ寸法は、幅方向中央に近づくにつれ小さくなっている。また、この前記ランバーサポート操作レバー341と側フレーム315との間には、ランバーサポート操作レバー341を前方に移動させる可動領域として十分な大きさの隙間349が設けられているが、側フレーム315の前側すなわちこの隙間349内に親指を掛け、操作レバーの背面側にその他の指を掛ける等して、片手で操作できるように配置してある。
【0088】
ここで、前記ランバーサポート操作レバー341は、図23に示すように、操作端342側に第一態様の操作である前方への操作が加えられた際に、中間軸344を中心に回転移動して、リリースアーム365の先端部383を初期位置に残したまま、基端押圧アーム375がリリースアーム365の先端部383と離間しつつ後方に移動する。このとき、基端押圧アーム375が前記ポンプ339を押圧して作動させる。また、このランバーサポート操作レバー341は、図24に示すように、操作端342側に第二態様の操作である後方への操作が加えられた際に、中間軸344を中心に回動して基端押圧アーム375が前方に移動し、この基端押圧アーム375がリリースアーム365の先端部383を前方に移動させる。このとき、前記リリースバルブ363は基端379に設けた回転軸380を中心に回転移動し、これに伴い中間部381も前方に移動してリリースバルブ365のリリース操作ボタン377を押圧操作し開放状態とする。このようにして、共通のランバーサポート操作レバー341によって、二つの機能、すなわちエアをエアバック337に供給する機能と、エアバッグ337のエアを外部に開放する機能とを実現することができる。
【0089】
また、本実施形態では、エアバッグ337内に多量のエアが供給されると、エアバッグ337内のエアの圧力が大きくなる。その際に、このエアバッグ337内にさらにエアを供給すべく、このエアの圧力に抗してランバーサポート操作レバー341の操作端側に前方へ操作を行うことは困難になる。このことを利用して、ランバーパッド335が必要以上に前方に移動することを防ぐべく、エアバッグ337内へのエアの流入量を制限するようにしている。
【0090】
《肘掛けの構成》
この椅子は、図1ないし図4及び図14に示すように、座受5下面から左右の上方に向けて設けられた一対の肘掛け161を備えている。各肘掛け161は、座受5の肘掛け取付部165に取付けられる基端部を有した肘支柱385と、この肘支柱385の上端に設けられた肘支持部387と、この肘支持部387に支持させてなる肘当て389とを具備してなる。肘支柱385の基端部391には、ボルト挿通用の長孔393が複数形成されている。この長孔393は、左右方向に延びているものである。そして、前記肘支柱385の基端部391を座受5の肘掛け取付部165に取付ける際に、前記長孔393に対するボルト395の相対位置を変更することにより、前記肘掛け161の左右位置を所定範囲で変更できるようにしている。なお、図11及び図17においては、この肘掛け161は省略して示している。
【0091】
このように、本実施形態の構成によれば、前記ポンプ339を駆動するためのランバーサポート操作レバー341により、前記リリースバルブ363を開放状態に切り換える操作も行うことができるので、単一のランバーサポート操作レバー341を把持したままでエアの量の調整を容易に行うことができる。また、エアバッグ337にエアを供給する操作とエアバッグ337から外部にエアを開放する操作とを切り替える際に、操作レバーを探す手間を省くこともできる。
【0092】
前記ランバーサポート操作レバー341が、該ランバーサポート操作レバー341に隣接する背凭れ11に対して隙間349を介して配されるものであり、前記ランバーサポート操作レバー341を前記背凭れ11に向かう方向すなわち前方に移動させる動作を含む操作によりエアバッグ337にエアを供給するので、背凭れ11とランバーサポート操作レバー341との間の隙間をランバーサポート操作レバー341の可動領域として利用することができる。さらに、ランバー基部345と両端部347と左右の側フレーム315とによって、背凭れ11の右又は左外方向及び上下方向の3方向に開放した隙間349が形成されるので、この隙間349を利用して着座者が着座したまま容易にランバーサポート操作レバー341にアクセスできる。
【0093】
前記隙間349が、前記ランバーサポート操作レバー341前記背凭れ11との間に手を掛けることができる大きさのものであるので、この隙間349に手を掛けることにより、ランバーサポート操作レバー341を前方に移動させる操作を容易に行うことができる。
【0094】
その上で、前記ランバーサポート装置311が、ランバーパッド335とこのランバーパッド335を支持するランバー基部345とを備えたものであり、両端部が隙間349を介して前記背凭れ11を構成する左右の側フレーム315の後方に位置するようにしており、前記ランバーサポート操作レバー341が、前記ランバー基部345の一端部に配されているので、着座者が着座したままエアバッグ337にエアを供給する操作を容易に行うことができる。
【0095】
前記ランバーサポート装置311が、前記側フレーム315に対して上下位置変更可能に設けられているので、ランバーサポート装置311の上下位置が着座者の腰部に対応するようにランバーサポート装置311を配置し、種々の体格等を有する着座者の腰部をランバーサポート装置311により好適に支持させることができる。さらに、ランバーサポート操作レバー341がランバーサポート装置311の上下位置を変更する操作を行う際の把手を兼ねるので、ランバーサポート装置の311の上下位置を変更する操作も、着座者が着座したまま容易に行うことができる。
【0096】
加えて、前記リリースバルブ363を開放状態に切り換えるための操作が、ランバーサポート操作レバー341を背凭れ11から離間させるべく後方に引く操作であるので、エアバッグ337に対するエアの出し入れを容易に行うことができる。
【0097】
そして、前記エアバッグ337と、前記ポンプ339と、前記リリースバルブ363と、前記ランバーサポート操作レバー341とを共通のベース343に取付けてユニット化してなるので、このようなランバーサポート装置311が着脱容易であり、エアバッグ337とポンプ339との間のパイプ373や、ポンプ339とランバーサポート操作レバー341との間、又はリリースバルブ363とランバーサポート操作レバー341との間のエアチューブやワイヤ等を有する操作力伝達機構が外部に露出することによる不具合の発生を抑制できる。さらに、このような構成のランバーサポート装置311を従来の左右の側フレームを有する椅子に取り付けて本実施形態に係る椅子の構成を得るも容易である。加えて、このランバーサポート装置311とランバーパッド335が進退可能でないランバーサポート装置とを容易に交換することもできる。
【0098】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0099】
例えば、上述した実施形態においては、節度用凸部と節度凹部とを係わり合わせることによりランバーサポート装置の上下位置を変更可能にしているが、ランバーサポート装置と背フレームとの一方に設けた案内突起と他方に設けた案内溝とを係わり合わせることによりランバーサポート装置の上下位置を連続的に変更可能としてもよい。この場合、ランバーサポート装置の位置決めを行うための態様として、例えば、ランバーサポート装置の外方から雄ネジ部材を利用して構成したずれ止め部材の雄ネジ部をランバーサポート装置に設けた雌ネジ穴に螺着し、雄ネジ部材の先端を背フレームに衝き当てた状態とすることにより、緊締力を利用してランバーサポート装置の位置決めを行う態様が考えられる。さらに、ランバーサポート装置が上下移動可能でない椅子に本発明を適用してもよい。
【0100】
加えて、上述した実施形態では、操作レバーが、繰り返し前方に押圧する第一態様の操作が加えられたときにポンプを作動させ、後方に引く第二態様の操作が加えられたときにリリースバルブを開放状態に切り替えるものであるが、ポンプを作動させるための第一態様の操作と、リリースバルブを開放状態に切り替えるための第二態様の操作とが、操作レバーに対して同一方向に作用を加えるものであってもよい。このような態様の一例として、操作レバーを所定の方向に一定量未満移動させたときにポンプが作動し、操作レバーを所定の方向に一定量以上移動させたときにリリースバルブが開放状態に切り替わる態様が考えられる。
【0101】
加えて、上述した実施形態では、エアバッグ内に多量のエアが供給された場合にエアバッグ内のエアの圧力が大きくなりこのエアの圧力に抗してランバーサポート操作レバーの操作端側に前方へ操作を行うことは困難になることを利用してエアバッグ内への空気の流入量を制限することにより、ランバーパッドの必要以上の前進を規制しているが、これ以外にも、例えば、エアバッグ内に所定量のエアが供給された後、さらに第一態様の操作がランバーサポート操作レバーに加えられた場合には、エアがエアバッグ内に供給されずポンプの端部からエアが抜けるようにすることによりエアバッグ内への空気の流入量を制限する態様を採用してもよい。
【0102】
また、第一態様の操作が操作レバーを所定方向に移動させる操作であり、第二態様の操作が操作レバーを前記所定方向と90°異なる方向に移動させる操作である態様も考えられる。このような態様の一例として、操作レバーが、繰り返し前方に押圧する第一態様の操作が加えられたときにポンプを作動させ、上方に移動させる第二態様の操作が加えられたときにリリースバルブを開放状態に切り替えるものである態様が考えられる。
【0103】
この態様の操作レバーたるランバーサポート操作レバー341は、図25及び図26に示すように、操作端342と反対側に基端押圧アーム375を有し、略鉛直方向に伸びる第1の軸たる中間軸344を介して前後方向に回転移動可能である。前記中間軸344は、その上下両端部を中間軸支持部材401に支持させている。この中間軸支持部材401は、円板状のレバー支持部材403に支持させてなる。このレバー支持部材403は、ベース343に設けた水平軸405に軸支させてなる。さらに、このレバー支持部材403には、リリースバルブ365のリリース操作ボタン377の下部に対向する位置に、下方に向かうにつれ突出幅が大きくなるクサビ状の第1のリリースバルブ操作突起407を設けている。また、リリースバルブ365のリリース操作ボタン377の上部に対向する位置にも、上方に向かうにつれ突出幅が大きくなるクサビ状の第2のリリースバルブ操作突起409を設けている。ここで、第1のリリースバルブ操作突起407の下端部、及び第2のリリースバルブ操作突起409の上端部には、ランバーサポート操作レバー341を下方又は上方に移動させすぎることによりリリースバルブ操作突起407、409の全体がリリースバルブ365の操作範囲外に移動してしまうことを防ぐべく、リリースバルブ365に衝き当たってランバーサポート操作レバー341のこれ以上の移動を禁止する立ち上がり部411、413をそれぞれ設けている。なお、図26では、ベース343の図示は省略しているとともに、水平軸405は一部破断して示している。また、図27では、第2のリリースバルブ操作突起409は一部破断して示している。
【0104】
このランバーサポート操作レバー341の操作端342に、第一態様の操作すなわち前方に押圧する操作を加えると、このランバーサポート操作レバー341は中間軸344を中心として回転移動し、図26の矢印Yに示すように基端押圧アーム375が後方に移動してポンプ339を押圧して作動させる。
【0105】
一方、このランバーサポート操作レバー341に、第二態様の操作すなわち下方に移動させる操作を加えると、中間軸344及び中間軸支持部材401を介してレバー支持部材403に操作力が伝達され、このレバー支持部材403が水平軸405を中心として回転移動する。このとき、図25の矢印Xに示すように、第1のリリースバルブ操作突起407がリリース操作ボタン377に接近し、次いでこのリリース操作ボタン377を押圧することによりリリースバルブ365が開放状態に切り替わる。ここで、ランバーサポート操作レバー341を所定量下方に移動させる操作を加えると、前記立ち上がり部411がリリースバルブ365に衝き当たり、ランバーサポート操作レバー341のこれ以上の移動が禁止される。また、前記ランバーサポート操作レバー341に、他の第二態様の操作すなわち上方に移動させる操作を加えると、第2のリリースバルブ操作突起409がリリース操作ボタン377に接近し、次いでこのリリース操作ボタン377を押圧することによりリリースバルブ365が開放状態に切り替わる。ここで、ランバーサポート操作レバー341を所定量上方に移動させる操作を加えると、前記立ち上がり部413がリリースバルブ365に衝き当たり、ランバーサポート操作レバー341のこれ以上の移動が禁止される。ここで、リリースバルブ操作突起はリリース操作ボタンの下部に対向する位置又は上部に対向する位置のうち一方のみに設けてもよい。また、リリースバルブ操作突起の端部に立ち上がり部を設ける代わりに、他の位置にランバーサポート操作レバーの所定以上の移動を禁止するためのレバー移動禁止要素を設けてもよい。
【0106】
さらに、第一態様の操作が操作レバーを所定方向に移動させる操作であり、第二態様の操作が操作レバーをその中心軸周りに回転させる操作である態様や、第一態様の操作が操作レバーをその中心軸周りに所定方向に回転させる操作であり、第二態様の操作が操作レバーをその中心軸周りに第一態様の操作と反対方向に回転させる操作である態様等を採用してもよい。これらの場合、操作レバーとレバー隣接部材(背凭れ、肘掛け、座受等)との間に隙間を介在させる必要はない。
【0107】
さらに、上述した実施形態では、ランバー基部は、エアバッグと、エアバッグにエアを供給するためのポンプと、このポンプを作動させるための操作レバーとを共通のベースに取付けてユニット化してなるものであり、レバー隣接部材が背凭れであるが、ランバーサポート操作レバーのみをベースの外部に設ける構成の椅子や、エアバッグのみをベースに支持させ、ポンプ及びレバーをベースの外部に配している構成の椅子に本発明を適用してもよい。
【0108】
このような椅子の例として、肘掛けの肘支持部の下面に図示しない操作レバーたるランバーサポート操作レバーを設けるとともに、このランバーサポート操作レバーに対する操作力を基端押圧アームに伝達するための第1及び第2の動作伝達用ワイヤの一端部をランバーサポート操作レバーに接続してなる態様のものが考えられる。以下、この態様の椅子について上述した実施形態に係る椅子との相違点について説明するが、この相違点以外は上述した実施形態に係る椅子と同一の構成を有するので、対応する部位には同一の名称及び符号を付して説明する。この態様の椅子のランバーサポート装置311は、概略を図27に示すように、ランバーサポート操作レバーに替えて、基端押圧アーム375と回動軸451を挟んで反対側に延伸させて一体に設けたワイヤ受けアーム453を設けている。その上で、第1の動作伝達用ワイヤ455の他端部457は基端押圧アームに接続し、第2の動作伝達用ワイヤ459の他端部461は前記ワイヤ受けアームに接続している。そして、ランバーサポート操作レバーに対して第一態様の操作を行うと、具体的にはランバーサポート操作レバーを肘支持部387に接近させる方向すなわち上方に向かう作用を加える操作を行うと、第1の動作伝達用ワイヤ455を介して基端押圧アーム375にポンプ339を作動させる方向の作用が加わる。このとき、基端押圧アーム375がポンプ339を押圧して作動させる。そして、ランバーサポート操作レバーに対して上方に向かう作用を加える操作を繰り返し行うことにより、エアバッグ337に順次エアが供給される。一方、ランバーサポート操作レバーに対して第二態様の操作を行うと、具体的にはランバーサポート操作レバーを肘支持部387から離間させるすなわち下方に向かう作用を加える操作を行うと、第2の動作伝達用ワイヤ459を介してワイヤ受けアーム453にポンプ339を作動させる方向と反対方向の作用が加わる。そして、基端押圧アーム375がリリースアーム365の先端部383を駆動し、リリースバルブ363のリリース操作ボタン377を押圧操作し開放状態とする。なお、第1及び第2の動作伝達用ワイヤ455、459の基端押圧アーム375及びワイヤ受けアーム453への取付態様は、図27に示したものに限らず、ランバーサポート操作レバーに第一態様の操作を行ったときに基端押圧アームを介してポンプを作動させ、ランバーサポート操作レバーに第二態様の操作を行ったときに基端押圧アーム及びリリースアームを介してリリースバルブのリリース操作ボタンを押圧操作することが可能なものであれば、種々に変更してもよい。
【0109】
また、操作レバーの他に、ポンプ及びリリースバルブを肘掛けの肘支持部内に埋設し、このポンプとエアバッグとを接続するパイプを肘支柱、背支持アーム、及び背フレームに埋設して設け、エアバッグのみをベースに支持させる態様等も考えられる。
【0110】
さらに、レバー隣接部材が座又は座受である態様、一例を挙げると操作レバーを座又は座受の下面に設ける態様等も考えられる。この場合、第一態様の操作が、操作レバーを上方に付勢する操作であるものが望ましい。
【0111】
また、上述した実施形態では、背枠に張り地を張り設けた背凭れにランバーサポート装置を設けているが、例えば、シェルの前方にクッションを設ける態様の背凭れに上述したようなランバーサポート装置を設けてもよい。この場合、ランバーサポート装置は、クッションに埋設する態様や、背凭れの前方に設ける態様等が考えられる。
【0112】
そして、上述した実施形態では、ランバーサポート装置の前面の形状は、左右の背フレーム間に張り渡された張地に沿うものであるが、ランバーサポート装置の前面の形状は、平面状等、他の形状に設定してももちろんよい。また、上述した実施形態では、ランバーサポート装置は、左右両側端とも背フレームの後方すなわち背枠の側フレームの後方に達しているが、一端又は両端が背枠の側フレームよりも内方すなわち幅方向中央寄りに位置するものであってもよい。さらに、背凭れの前方にランバーサポート装置を設けてもよい。
【0113】
加えて、上述した実施形態では、支持基部のメインフレームが、ボス部、後フレームメンバ、側フレームメンバ、及び前フレームメンバをアルミダイキャスト等により一体に成型されているものであるとして説明したが、これに限定されるものではなく、種々のものが考えられる。例えば、板金素材の曲げや絞り加工によって、メインフレームの各構成部材であるボス部、後フレームメンバ、側フレームメンバ、及び前フレームメンバをそれぞれ複数の部品に分けて作るとともに、前後の軸受部にベアリング部品等を採用し、それらを溶接等で繋ぎ合わせて構成してもよい。
【0114】
上述した実施形態では、前リンク33の有効長さ寸法L1と後リンク35の有効長さ寸法L2とを略同寸法とすることにより、背凭れ起立時の座の姿勢と背凭れ後傾時の座の姿勢を最適な状態に設定していたが、前リンク33の有効長さ寸法L1を後リンク35の有効長さ寸法L2よりも大きくすることにより、前記設定を行ってもよい。
【0115】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0116】
11…背凭れ
311…ランバーサポート装置
315…側フレーム(レバー隣接部材)
335…ランバーパッド
337…エアバッグ
339…ポンプ
341…ランバーサポート操作レバー(操作レバー)
343…ベース
345…ランバー基部
349…隙間
363…リリースバルブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等で好適に使用される椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の椅子の一つとして、背凭れの腰部における受圧状態を変更するためのエアバッグと、このエアバッグにエアを供給するためのポンプと、前記エアバッグのエアを外部に開放するためのリリースバルブとを備えたランバーサポート装置を具備してなるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
従来のものは、前記ポンプを作動させるための操作レバー等の第一の操作部と、前記リリースバルブを開放状態にするための第二の操作部とを別個に設けている。このような椅子に着座した状態で、エアバッグ内のエアの量を調節すべくエアバッグに対してエアを供給する操作とエアバッグのエアを外部に開放する操作とを交互に行う場合、第一の操作部に対する操作と第二の操作部に対する操作を交互に行う必要がある。すなわち、従来のものにおいては、第一及び第二の操作部のうち一方に対する操作の後に手を他方に移動させる必要があり、さらに場合によっては他方の操作部を探す必要があり、これらのことから、エアバッグ内のエアの量を調節する作業が面倒に感じられる不具合が存在する。加えて、上述した第一及び第二の操作部を別個に設けることにより、部品点数が多くなることや外観が損なわれることといった不具合も発生し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−105292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の点に着目し、着座者に面倒を感じさせることなく、着座したままエアバッグ内のエアの量を調節できるようにするとともに、部品点数の削減及び外観の向上を図ることを所期の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の椅子は、背凭れの腰部における受圧状態を変更するためのエアバッグと、このエアバッグにエアを供給するためのポンプと、前記エアバッグのエアを外部に開放するためのリリースバルブと、第一態様の操作が加えられたときに前記ポンプを作動させ、第二態様の操作が加えられたときに前記リリースバルブを開放状態に切り換える共通の操作レバーとを備えたランバーサポート装置を具備してなることを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、前記ポンプを駆動するための操作レバーにより、前記リリースバルブを開放状態に切り換える操作も行うことができるので、部品点数の削減及び外観の向上を図りつつ、単一の操作レバーを把持したままでエアの量の調整を容易に行うことができる。
【0008】
このような操作レバーを有するランバーサポート装置の具体的な態様の一例として、前記第一態様の操作と、前記第二態様の操作とが、前記操作レバーに対してそれぞれ異なる方向に作用を加えるものであるものが挙げられる。
【0009】
前記操作レバーが、該操作レバーに隣接するレバー隣接部材に対して隙間を介して配されるものであり、前記第一態様の操作が前記操作レバーを前記隣接部材方向に移動させる動作を含むものであるものが挙げられる。ここで、「隣接部材」は、操作レバーに隣接する部材全般を含む概念であり、背凭れ(背枠)、肘掛け(肘支持部)、座、座受等が考えられる。
【0010】
前段で述べたような操作レバーを有するランバーサポート装置において、前記第一態様の操作を容易に行えるようにするための態様として、前記隙間が、前記操作レバーと前記隣接部材との間に手を掛けることができる大きさのものであるものが挙げられる。
【0011】
また、このような操作レバーを有するランバーサポート装置において、前記レバー隣接部材が背凭れである場合の好適な態様として、前記第一態様の操作が操作レバーを前方に付勢する操作を含むものが挙げられる。
【0012】
前段で述べたようなランバーサポート装置において、着座者が着座したままエアバッグにエアを供給する操作を容易に行えるようにするための構成の一例として、前記ランバーサポート装置が、ランバーパッドとこのランバーパッドを支持するランバー基部とを備えたものであり、両端部が隙間を介して前記背凭れを構成する左右の側フレームの後方に位置するようにしており、前記操作レバーが、前記ランバー基部の一端部に配されているものが挙げられる。
【0013】
特に、種々の体格等を有する着座者の腰部をランバーサポート装置により好適に支持させるための態様の一例として、前記ランバーサポート装置が、前記側フレームに対して上下位置変更可能に設けられているものが挙げられる。このようなものであれば、操作レバーがランバーサポート装置の上下位置を変更する操作を行う際の把手を兼ねるので、ランバーサポート装置の上下位置を変更する操作も、着座者が着座したまま容易に行うことができる。
【0014】
一方、前記レバー隣接部材が肘掛けである場合の好適な態様として、前記第一態様の操作が、前記肘掛けの肘支持部の下側に配された操作レバーを上方に付勢する操作を含むものが挙げられる。
【0015】
また、前記レバー隣接部材が座である場合の好適な態様として、前記第一態様の操作が、座面の下側に配された操作レバーを上方に付勢する操作を含むものが挙げられる。
【0016】
さらに、前記第一態様の操作が前記操作レバーを前記部材方向に移動させる動作を含む椅子において、エアバッグに対するエアの出し入れを容易に行えるようにするための構成として、前記第二態様の操作が操作レバーをレバー隣接部材から離間させる操作であるものが挙げられる。
【0017】
そして、前記エアバッグと、前記ポンプと、前記リリースバルブと、前記操作レバーとを共通のベースに取付けてユニット化してなるものであれば、エアバッグとポンプとの間のパイプや、ポンプと操作レバーとの間、又はリリースバルブと操作レバーとの間のワイヤ等を有する操作力伝達機構が外部に露出することによる不具合の発生を抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、着座者が面倒を感じることなく、着座したままエアバッグ内のエアの量を調節できる。また、単一の操作レバーにより第一態様の操作及び第二態様の操作を行うことができるので、部品点数の削減及び外観の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態を示す後方からの斜視図。
【図2】同実施形態を示す正面図。
【図3】同実施形態を示す背面図。
【図4】同実施形態を示す左側面図。
【図5】同実施形態の支持基部を分解して示す前方からの斜視図。
【図6】同実施形態の支持基部を分解して示す後方からの斜視図。
【図7】同実施形態の傾動ロック機構の要部を示す概略側断面図。
【図8】図7におけるF−F線断面図。
【図9】同実施形態の支持基部の要部を示す正面図。
【図10】同実施形態の支持基部の要部を示す拡大背面図。
【図11】同実施形態の支持基部及び座を示す左側面図。
【図12】同実施形態のロッキング機構を示す図11に相当する作用説明図。
【図13】同実施形態の座と座受を示す分解斜視図。
【図14】同実施形態の座と座受と肘掛けを示す拡大底面図。
【図15】図2におけるA−A線断面図。
【図16】図11におけるB−B線断面図。
【図17】図9におけるC−C線断面図。
【図18】同実施形態における背凭れの背支持アームへの取り付け態様を示す説明図。
【図19】同実施形態における背凭れの背支持アームへの取り付け態様を示す説明図。
【図20】図3におけるD−D線断面図。
【図21】同実施形態におけるランバーサポート装置の取付態様を示す説明図。
【図22】図3におけるE−E線断面図。
【図23】同実施形態におけるランバーサポート装置の要部を示す作用説明図。
【図24】同実施形態におけるランバーサポート装置の要部を示す作用説明図。
【図25】本発明の他の実施形態におけるランバーサポート装置の要部を示す作用説明図。
【図26】本発明の他の実施形態におけるランバーサポート装置の要部を示す作用説明図。
【図27】本発明の他の実施形態におけるランバーサポート装置を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図1ないし図24を参照して説明する。
【0021】
この実施形態は本発明を事務用回転椅子に適用した場合のものである。
【0022】
この椅子は、図1ないし図4に示すように、脚1と、この脚1に支持された支持基部3と、この支持基部3上に配された座受5と、この座受5に支持された座7と、前記支持基部3に回動可能に支持された背支持アーム9と、この背支持アーム9の後端に取付けた背凭れ11と、この背凭れ11の後傾動作に伴わせて前記座受5及び座7を上動及び傾動させるロッキング機構13とを具備してなる。
【0023】
《脚の構成》
脚1は、図1ないし図4に示すように、脚ベース15と、この脚ベース15の中心部に設けられた脚支柱17を備えてなる。
【0024】
脚ベース15は、図1ないし図4に示すように、中心部に設けたハブ18から複数本の脚羽根19を放射状に突出させて設けたもので、前記脚羽根19先端にキャスタ21をそれぞれ設けている。
【0025】
前記脚支柱17は、図1ないし図4に示すように、ガススプリングタイプのもので上下方向に弾性的に伸縮し、所望の位置においてロックすることができるようにした通常のものである。すなわち、この脚支柱17は前記脚ベース15のハブ18に嵌着されたガススプリング本体23と、このガススプリング本体23の上端から突出させたロッド25とを備えたもので、前記ロッド25の上端にロック解除用の図示しない操作ボタンが突出させてある。そして、このロッド25の上端部に支持基部3を装着している。前記ロック解除用操作ボタンは、後述する座受5に設けられた昇降用の操作レバー83により操作される。
【0026】
《支持基部の構成》
支持基部3は、図2ないし図11及び図17に示すように、前記脚支柱17のロッド25に取付けられるメインフレーム27と、このメインフレーム27に取付けられた前リンク軸29及び支軸31を具備してなるものである。前リンク軸29は、前リンク33を介して前記座受5の前端部を支持するためのものである。支軸31は、前記背支持アーム9を支持するとともに後リンク35を介して座受5の中間部を支持するためのものである。
【0027】
メインフレーム27は、図5ないし図9及び図11に示すように、前記脚支柱17におけるロッド25の上端部に嵌着されるボス部37と、このボス部37の上端側を囲う平面視半円弧状をなす後フレームメンバ39と、この後フレームメンバ39の左右の前端からそれぞれ前方に延出する一対の側フレームメンバ41と、これら側フレームメンバ41の前端部間を結合し前端に平坦な面を有する前フレームメンバ43とを備えたものである。これらボス部37、後フレームメンバ39、側フレームメンバ41、及び前フレームメンバ43は、アルミダイキャスト等により一体に成型されている。前フレームメンバ43の上面部には、前記前リンク軸29を支持する前の軸受部45が一体に設けられているとともに前記後フレームメンバ39と側フレームメンバ41との境界付近には前記支軸31を支持する後の軸受部47が一体に設けられている。
【0028】
そして、このメインフレーム27には、図5、図6、図7、図8、図11及び図17に示すように、背凭れ11を前方に付勢する傾動反力発生機構49と、この傾動反力発生機構49の付勢力に抗して前記背凭れ11を所定位置でロックするための傾動ロック機構51が組み込まれている。
【0029】
傾動反力発生機構49は、図5、図6、図7、図8、図11及び図17に示すように、基端部が前記支軸31に支持された左右対をなすトルク伝達用のブラケット53と、これら左右のトルク伝達用のブラケット53の先端部間に架設した可動軸55と、この可動軸55をメインフレーム27に設けたバネ受け57を足場として後方に弾性付勢するスプリング59とを具備してなる。
【0030】
傾動ロック機構51は、図5、図6、図7、図8及び図11に示すように、前記フレームメンバ39、41、43により囲まれたメインフレーム27の空洞部61に配設されている。傾動ロック機構51は、基端部を前記支軸31に支持されてトルク伝達用のブラケット53に連動して上下方向に回動する回動ハウジング63と、この回動ハウジング63を覆うようにしてメインフレーム27に固定され両側壁71にフック孔67を複数段設けてなる固定ハウジング69とを具備してなるもので、前記回動ハウジング63を前記固定ハウジング69にロックさせることで背凭れ11を所定の傾動位置で係止させることができるようになっている。すなわち、この傾動ロック機構51は、前記回動ハウジング63の側壁65に突没可能に設けられ前記固定ハウジング69のフック孔67のいずれかに選択的に係合する係合爪72と、この係合爪72を没入方向に強制移動させて前記固定ハウジング69と回動ハウジング63とのロック状態を解除する傾動ロック解除アーム74とを備えており、図15に示すように、この傾動ロック解除アーム74を、座受5の側面73に設けたロッキング調整用の操作レバー75により操作することにより、ロックの解除を行うことができるようになっている。なお、傾動ロック解除アーム74と前記係合爪72との間には、傾動ロック解除アーム74の動作を、前記係合爪72に伝達するための操作力伝達機構76が設けてある。操作力伝達機構76は、先端部78aを係合爪72に接続するとともに、枠状をなす基端部78bで前記傾動ロック解除アーム74の先端部分を包囲する進退部材78と、この進退部材78の基端部78b内に配設され前記傾動ロック解除アーム74の解除方向の動作を進退部材78に伝達するスプリングspとを具備してなる。係合爪72は、回動ハウジング63の天板63aに旋回可能に支持された板状のもので、両端部72aが回動ハウジング63の側壁65から突出して固定ハウジング69のフック孔67に係合するロック位置(図8における実線で示す)と、前記フック孔67から外れるロック解除位置(図8における二点鎖線で示す)との間で旋回し得るようになっている。ここで、符号77は、前記ロッキング調整用の操作レバー75の操作力を前記傾動ロック解除アームに伝達するためのロッキング調整用ワイヤである。
【0031】
ロッキング調整用の操作レバー75を操作すると、ロッキング調整用ワイヤ77が引っ張られ、傾動ロック解除アーム74が回動され、この傾動ロック解除アーム74の先端で前記スプリングspを係合爪72がロック位置からロック解除位置に移動する方向に付勢する。この際、係合爪72と固定ハウジング69のフック孔67との間に大きな摩擦力が作用している間は、傾動ロック解除アーム74が前述した方向に回動しても進退部材78及び係合爪72はロック位置に保持されたままとなり、スプリングspが圧縮された状態となる。この状態から、前記係合爪72とフック孔67との摩擦が解消されると、前記スプリングspの反発力により、前記進退部材78及び係合爪72がロック解除方向に作動し、ロック状態が解除される。ロッキング調整用ワイヤ77による操作力がなくなると、図示しない復帰スプリングの付勢力により傾動ロック解除アーム74が、係合爪72をロック解除位置からロック位置方向に移動する方向に回動する。係合爪72がロック位置方向に回動しても、フック孔67に係合し得ない回動位置においては、固定ハウジング69の内側面に係合爪72の両端部72aの先端が当接して待機する状態となる。そして、背凭れ11の傾動位置が変化して係合爪72がフック孔67に合致した段階で、その係合爪72の両端部72aが対応するフック孔67に係合し、ロック状態となる。
【0032】
符号79は前記脚支柱17のロッド25に設けられたロック解除用の操作ボタンを押圧するための昇降用ロック解除アームであり、図15に示すように、符号81は座受5の側面73に設けた昇降用の操作レバー83の操作力を前記昇降用ロック解除アーム79に伝達するための昇降用ワイヤである。
【0033】
また、支持基部3は、図5、図6及び図9に示すように、上カバー85と下カバー87とによって覆われている。
【0034】
上カバー85は、図5、図6及び図9に示すように、支持基部3を上面側から覆うもので、支持基部3に係合するための下向きに突出した上係止爪89、91が設けられている。下カバー87は、支持基部3を下面側から覆うもので、支持基部3に係合するための上向きに突出した下係止爪93、95が設けられている。また、これら上カバー85と下カバー87とは、それら開口端縁97、99同士が突き合うように配されている。
【0035】
支持基部3のメインフレーム27の外周面には、図5、図6、図9及び図10に示すように、前記上カバー85と下カバー87とを取付けるための上下共用取付部101、103とが設けられている。
【0036】
詳述すれば、前記支持基部3のメインフレーム27は、図5、図6、図9及び図10に示すように、上カバー85の上係止爪89、91と下カバー87の下係止爪93、95とをそれぞれ係わり合わせるための上下共用取付部101、103を備えたものであり、前記上下共用取付部101、103が、前記上係止爪89、91が係わり合う係合端面105、109と、前記下係止爪93、95が係わり合う係合端面107、111と、前記上係止爪89、91の横ずれを係止する横ずれ防止用の係止端面113、117と、前記下係止爪93、95の横ずれを係止する横ずれ防止用の係止端面115、119とを備えている。
【0037】
具体的に説明すれば、前記メインフレーム27は、図5、図6、図9及び図10に示すように、対をなす前側の上下共用取付部101と、単一の後側の上下共用取付部103とを備えたものであり、上下カバー85、87の前記各上下共用取付部101に対応する部位に上係止爪89及び下係止爪93が設けられている。
【0038】
前側の上下共用取付部101は、図5及び図9に示すように、メインフレーム27における前フレームメンバ43の前端の外周面121に設けられたもので、その前端の外周面121を長方形状に凹陥させたものである。前側の上下共用取付部101において、上辺が上カバー85の上係止爪89が係わり合う係合端面105であり、下辺が下カバー87の下係止爪93が係わり合う係合端面107である。また、前側の上下共用取付部101において、左右両側辺が上カバー85及び下カバー87の上係止爪89及び下係止爪93に対する横ずれ防止用の係止端面113、115である。
【0039】
後側の上下共用取付部103は、図6及び図10に示すように、メインフレーム27における後フレームメンバ39の後端の外周縁122に設けられたもので、略水平な中央突条123とこの中央突条123の両側に高さを異ならせて配置した一対の側突条125とを具備してなる。後側の上下共用取付部103において、側突条125の下縁が上カバー85の上係止爪91が係わり合う係合端面109であり中央突条123の上縁が下カバー87の下係止爪95が係わり合う係合端面111である。また、後側の上下共用取付部103において、中央突条123の左右両端縁が上カバー85の上係止爪91に対する横ずれ防止用の係止端面117であり、側突条125の内側端縁が下カバー87の下係止爪95に対する横ずれ防止用の係止端面119である。
【0040】
なお、メインフレーム27の外周における前後方向中間付近には、図5及び図6に示すように、上カバー85を取付けるための上専用取付部127と下カバー87を取付けるための下専用取付部129とが設けられている。上カバー85には上専用取付部127に係わり合う爪131が設けられ、下カバー87には下専用取付部129に係わり合う爪133が設けられている。
【0041】
以上に加えて、上カバー85及び下カバー87の外周同士も突き合わせて嵌合するように、上下カバー85、87の開口端縁には、回転軸の近傍部分を除いて溝、具体的には上カバー85及び下カバー87の一方には嵌合凹部が外方に露出し、他方には嵌合凹部が内方に露出した互いに嵌合可能なL型溝が形成されている。これによって支持基部3の上下専用取付部127、129に係合するようにした上下カバー85、87の爪131、133を配するべく、支持基部3から一定間隔離れた位置を保ってカバーする構成をなしていても上下カバー85、87同士を確実に嵌合することができる。
【0042】
以上説明した支持基部3の前の軸受部45に前リンク軸29を介して左右の前リンク33を回動可能に取付けている。前リンク33の支持基部3への取付構造は次のようになっている。すなわち、前記支持基部3は、図5、図6、図9、図11及び図17に示すように、左右にそれぞれ前記前リンク軸29を支持する前の軸受部45と、軸方向に垂直な対向する一対の平面137とを備えたものであり、前記前リンク33は、椅子本来の機能を発揮し得る使用時回動範囲では前記平面137間に位置し、前記前リンク33を支持基部3に対して挿脱し得る挿脱時回動範囲では前記平面137外に位置する平面対応部分139を備えたもので、支持基部3に前リンク軸29を介して前リンク33を回動可能に支持させている。
【0043】
換言すれば、前記支持基部3は、図4ないし図11に示すように、前リンク軸29を支持する前の軸受部45と、この前の軸受部45の軸方向に隣接する位置に前方及び上方に開口したリンクアーム収容部141とを備えている。リンクアーム収容部141は、前リンク軸29と直交する一対の平面137間に形成されたものである。前記前リンク33は、上端部に前連結軸143を保持する軸孔145を有するとともに基端部に前リンク軸29に外装されるボス部147を有しており、このボス部147の外周にリンクアーム149を備えている。このリンクアーム149は、前記リンクアーム収容部141に対応する平面対応部分139を有している。そして、前記使用時回動範囲では、前記リンクアーム149の平面対応部分139が前記リンクアーム収容部141の対向する平面137間に位置する。そのため、左右の前リンク33が、記前リンク軸29と前連結軸143とから外れることが禁止されている。一方、前記挿脱時回動範囲では、前記リンクアーム149の平面対応部分139が前記リンクアーム収容部141の対向する平面137外に位置する。そのため、左右の前リンク33が、前記前リンク軸29と前連結軸143とから外れ得るようになっている。組立状態においては、前リンク33が前記挿脱時回動範囲にまで回動できないように設定されている。
【0044】
以上のようにしてなる支持基部3に、前リンク33及び後リンク35を介して座受を支持させている。
【0045】
《座受の構成》
座受5は、図2ないし図4及び図11ないし図17に示すように、アウターシェルと称し得る形態をなすもので、この実施形態においては合成樹脂により一体に成型されている。座受5の下面には、前連結軸143を介して前リンク33の回動端151を取付けるための前リンク取付部153と、後連結軸155を介して後リンク35の回動端157を取付けるための後リンク取付部159が設けられている。また、座受5の下面における両側部には、肘掛け161を取付けるための平坦面に複数のねじ孔163を有した肘掛け取付部165が設けられている。座受5の側部、より具体的には座受5の前寄りの一側部にはロッキング調整用の操作レバー75と昇降用の操作レバー83が取付けられている。
【0046】
具体的には、各操作レバー75、83は、図13ないし図15に示すように、共通の軸167に回転可能に外装される基端ボス部169、171を備えたもので、その基端ボス部169、171から外方に向けてレバー本体173、175を延出させるとともに前記ボス部169、171から内方に向けて回動アーム177、179を突出させてなる。
【0047】
レバー本体173、175は、図13ないし図15に示すように、外側縁側の角を滑らかに切除した形状をなすもので、両操作レバー75、83を共通の軸167に外装して隣接させることによりそれらレバー本体173、175が平面視において略三日月状をなすように配列されるようになっている。これら両操作レバー75、83は、座受5の側面に設けたレバー取付窓181に外側から挿入することにより座受5に取付けることができるようになっている。すなわち、レバー取付窓181の両側縁には、入口側に抜け止め用の弾性片183を有した軸受部185が設けてあり、前記両操作レバー75、83を外挿した軸167の両端部187を、前記弾性片183の一時的な弾性変形を利用して前記軸受部185に装着することにより、これら操作レバー75、83が座受5に取付けられる。ロッキング調整用の操作レバー75の回動アーム177には、前記支持基部3に設けた傾動ロック機構51のロック状態を操作するためのロッキング調整用ワイヤ77の一端が接続されており、昇降用の操作レバー83の回動アーム179には、前記脚支柱17に設けられたロック解除用操作ボタンのロック状態を操作するための昇降用ワイヤ81の一端が接続されている。
【0048】
座受5の上面には、図13、図15及び図16に示すように、前後左右方向に走る補強用のリブ189が設けられているとともに、前記座7を前後方向に案内するための案内突起247を取付けるための取付け座193が設けられている。座受5の後端部における上面には、座7を前後方向の所定位置に係止させるための複数の係止穴195が前後方向に所定の間隔をあけて形成されている。
【0049】
《座の構成》
座7は、図1ないし図4、図11、図13、図14、図16及び図17に示すように、芯材197の外面に張地199を張設したものである。芯材197は、インナーシェル201と、このインナーシェル201の上に配設したクッション203とを備えたものである。
【0050】
インナーシェル201は、図4、図11、図13、図14、図16及び図17に示すように、合成樹脂により一体に成型されたもので、座受5上に前後移動可能に設けられている。インナーシェル201は、中間部205とその中間部205を囲う周縁部207とを備えており、前記周縁部207の前側に斜め下方になだらかに垂れ下がる前端垂れ下がり部分209を設けるとともに、前記中間部205と前記周縁部207との境界に中間部205が周縁部207よりも下方に膨出するような環状の段部211が形成されている。また、前記周縁部207の後側には、後述する座スライド用操作レバー213の係止突起215を下面側に突没させるための係止突起用の開口217と、座スライド用操作レバー213の操作部219を表出させるための操作部用の開口221が設けられている。さらに、インナーシェル201の上面における前記開口217の近傍には、前記座スライド用操作レバー213を軸着するための軸受部223が設けられている。
【0051】
クッション203は、図11、図13、図14及び図16に示すように、発泡ウレタン等により作られたもので、前側に前記インナーシェル201の前端垂れ下がり部分209に沿うクッション垂れ下がり部分225を備えている。またクッション203の上面には一方向に並ぶ凹凸部、換言すれば、この実施形態では前後方向に並ぶ溝227を複数本設けている。クッション203の上面に溝227を複数本設けることにより、通気性を良好なものとしている。
【0052】
前記インナーシェル201及び前記クッション203はそれぞれ前側に下方に垂れ下がる部分である前端垂れ下がり部分209及びクッション垂れ下がり部分225を有しており、着座者の下肢部分を好適に支持することができる。これら前端垂れ下がり部分209及びクッション垂れ下がり部分225は、後述する座スライド機構239を用いて座7を座受5に対して前後スライド操作する際には、操作者がこれらの部分を容易に把持することができる把持部としても機能する部分である。
【0053】
張地199は、図11、図14、図16及び図17に示すように、クッション203及びシェル201の一部、すなわち、クッション203及びインナーシェル201の周縁部207を覆う袋状のもので、インナーシェル201の下面側に巻き込んだ張地199の縁229は、インナーシェル201の段部211の端面に沿って配してある。なお、図14では、張地199を半分省略して示している。
【0054】
以上のような座7を前記座受5に取付けることにより、図14及び図15に示すように、座7を着座面に上から直交する方向の視線から見た場合に、前記ロッキング調整用及び昇降用の操作レバー75、83の先端部分231、233のみが視認可能になっている。詳述すれば、平面視において前記各操作レバー75、83における各レバー本体173、175の外側縁、より具体的には外側縁における鋭角部分235、237が、座7に隠れて見えないようになっており、着座者の被服等が前記鋭角部分235、237にひっかかるおそれを抑制することができるようにしている。
【0055】
そして、前記座7は、座スライド機構239により座受5に対して前後位置調整可能に取付けられている。
【0056】
《座スライド機構の構成》
座スライド機構239は、図11、図13、図14及び図16に示すように、インナーシェル201に設けられた前後方向に延びる複数本のスリット241と、このスリット241に貫通して設けられ下端部243を座受5の取付け座193に取付けると共に上端に設けた幅広部245を前記スリット241の上面側開口端に係わり合わせた案内突起247とを具備してなり、前記スリット241と前記案内突起247との相対移動が可能な範囲において前記座7が前記座受5に対して前後方向にスライドし得るようになっている。また、この座スライド機構239は、インナーシェル201に設けられ、操作対象である座7を操作するための前記座スライド用操作レバー213に設けられた係止突起215と、前記座受5に設けられた複数の係止穴195との協働により、前記座7を前後方向の所定位置で係止させることができるようにしている。
【0057】
座スライド用操作レバー213は、図11、図13、図14及び図16に示すように、基端軸部249を前記インナーシェル201の軸受部223に回動可能に支持させた板状のもので、その中間部の下面に係止突起215を有するとともに回動端部251の下面に下方に突出する操作部219を備えており、前記係止突起215を前記インナーシェル201の係止突起用の開口217に貫入させるとともに前記操作部219を前記操作部用の開口221を介してインナーシェル201の下面側に臨ませている。前記操作部219は、前記インナーシェル201における張地199によって覆われている部位に配されている。座スライド用操作レバー213の基端軸部249には、インナーシェル201の上面に弾接する板バネ253が一体に設けられており、この板バネ253の弾性付勢力により、座スライド用操作レバー213を係止突起215が開口から突出する方向に付勢している。この座スライド用操作レバー213を操作していない状態では、図16に示すように、係止突起215がインナーシェル201の下面から突出して座受5の何れかの係止穴195に係合するとともに、前記座スライド用操作レバー213の操作部219が、インナーシェル201の下面と略面一になるように設定されている。
【0058】
この操作部219は、図11、図13、図14及び図16に示すように、張地199を介して外部から操作可能なもので、この操作部219に張地199を介してその存在を手触りによって認識させるための特徴部分、具体的には凹陥部255を形成している。前記操作部219は、座7の後端部に配されている。座スライド用操作レバー213の操作部219を、張地199を介して上方に押圧操作すると、座スライド用操作レバー213が上方に回動し、係止突起215が係止穴195から抜出するようになっている。そのため、座スライド用操作レバー213の適宜操作により、係止突起215を所望の係止穴195に選択的に係止させ、座7の前後スライド位置を変更することができるようになっている。
【0059】
なお、張地199の縁229は、前述したようにインナーシェル201の段部211に沿って環状に配されているが、この縁229は、座7が何れの位置にスライド移動しても座受5の外縁よりも外側に位置することがなく、常に座受5により隠されるように設定されている。
【0060】
また、前記張地199は、前記クッション203及びインナーシェル201の周縁部207を覆うものであるが、前記インナーシェル201の下面は、前記張地199の縁229が常に隠れる状態で座受5により覆われている。そして、本実施形態では、座7が座受5に対して前後方向にスライド可能に保持されているが、このスライド操作によって座7が前後方向に移動しても、前記インナーシェル201の周縁部207における前記座受5によって覆われない部分に、前記操作部219が配されるようにしている。
【0061】
《背支持アームの構成》
左右の背支持アーム9は、図1ないし図5、図11及び図17ないし図19に示すように、それぞれ前記支持基部3に回動可能に支持された金属製のものであり、前端部256に前記支持基部3に設けられた支軸31の端部257に外側から嵌め合わせるための軸装部259を備えているとともに、後端部260に背凭れ11を取付けるための上向きの凹部261を有している。各背支持アーム9は、前後方向に延びる部分と上下方向に延びる部分とを有した側面視略L字状をなしたものである。
【0062】
各背支持アーム9の軸装部259は、図4、図5、図11及び図17ないし図19に示すように、前記支軸31の端部257を嵌合させるべく内方に開口させた軸穴263と、この軸穴263の底面を外側に連通させるねじ挿通用の貫通孔265とを備えている。貫通孔265は、ねじ267の頭269を収容するための大径部271を有したものであり、この軸装部259の外面に、その貫通孔265の大径部271に連続する案内面273を備えている。そして、この貫通孔265に挿入したねじ267を、支軸31の端面に形成されたねじ穴278に螺着することによって、背支持アーム9を支軸31に固定するようにしている。ねじ267をねじ孔278に締着した状態においては、前記ねじ267の頭269が前記大径部271に収容されるようになっている。この実施形態における案内面273は略球面状のもので、前記大径部271に収容されたねじ267の頭269の先端面275に滑らかに連続するように設定されている。
【0063】
なお、前記軸装部259の外周には、図4、図5、図11及び図17ないし図19に示すように、前記後リンク35と、トルク伝達用のブラケット53を外側から抱いて保持するトルク伝達用の突起277が一体に設けられている。
【0064】
各背支持アーム9は、図4、図5及び図18ないし図20に示すように、後端部260に前記凹部261を形成する内側起立部分279と外側起立部分281とをそれぞれ備えたものである。
【0065】
外側起立部分281は、図4、図5及び図18ないし図20に示すように、前記凹部261の一方の内側面を形成する外側壁283と、この外側壁283の前端縁から内方に延出する前壁285とを備えたものである。この前壁285には、背凭れ11を取付けるためのねじ穴287が形成されている。また、各背支持アーム9は、後端部260の内側に、後述する化粧板289の端部を支持するための支持部291をそれぞれ備えている。
【0066】
《背凭れの構成》
背凭れ11は、図1ないし図4及び図18ないし図22に示すように、背枠293と、この背枠293に添接され着座者からの荷重を受け止めることができる強度を有したメッシュ状の張地295とを具備してなるもので、前記背枠293の下縁に化粧板289が設けられている。
【0067】
背枠293は、図1ないし図4及び図18ないし図22に示すように、枠状をなすものであり樹脂により一体に形成されている。背枠293の下端296における左右両側部には、それぞれ下向きに突出する突出部297を有している。すなわち、この背枠293の下端296は、背面視下向きコ字状をなすように凹陥した形状をなしている。また、前記背枠293に前記背支持アーム9の後端に設けられた外側起立部分281の前壁285と上下方向から嵌合する溝299を設けている。すなわち、この溝299は、外方及び下方に開口し上下に延びるもので、この溝299を形成している後側の壁301の下端から前記突出部297が一体に連続して形成されている。また、この溝299を形成している前側の壁303には、ねじ挿通孔305が設けられており、このねじ挿通孔305に挿通させた止着具であるねじ307を、前記背支持アーム9の前記前壁285に設けられたねじ穴287に螺着することによって、前記背枠293を前記背支持アーム9に固定している。
【0068】
また、背枠293の外周には、図1ないし図4及び図18ないし図22に示すように、前記張地295の縁を挿入して取付けるための取付け溝309が形成されている。さらに、背枠293の上下方向中間位置には、後述するランバーサポート装置311を取付けるためのランバーサポート取付部313が設けられている。
【0069】
詳述すれば、背枠293は、図1ないし図4及び図18ないし図22に示すように、左右の側フレーム315と、これら側フレーム315の下端部間を結合する下フレーム317と、前記側フレーム315の上端部間を結合する上フレーム319とを具備してなるもので、前記ランバーサポート取付部313は、左右の側フレーム315に設けられている。ランバーサポート取付部313は、側フレーム315の前面に上下に連続させて形成された案内溝321と、この案内溝321の内側に隣接する領域に上下に所定のピッチで形成された複数の節度凹部323と、前記案内溝321と前記節度凹部323とを挟むようにして上下両側の位置にそれぞれ設けられた対をなす取付用のねじ穴325とを具備してなる。
【0070】
前記化粧板289は、図1、図3ないし図5、図18、図19及び図21に示すように、前記背枠293の下端296における中間部を下側から覆うもので、背支持アーム9の支持部291間に前記化粧板289を仮置き状態に架設して前記背枠293を前記両背支持アーム9に取付けることにより、前記背枠293に取付けられるようにしている。この取付け状態においては、前記化粧板289の両端部326が、前記左右の背支持アーム9と前記背枠293とによって挟持されている。
【0071】
化粧板289は、図1、図3ないし図5、図18、図19及び図21に示すように、上方に開口する上向き凹部327を有したものであり、前記背枠293と、前記上向き凹部327に設けられたリブ329とが係合するようになっている。すなわち、前記上向き凹部327の底面331には横ずれ防止用のリブ329が設けられており、これらのリブ329を背枠293の下端296に設けた図示しないリブに係わり合わせることにより、この化粧板289の前記背枠293に対する横ずれが防止されるようになっている。また、上向き凹部327の内側面には、がたつき防止用のリブ333が設けられており、これらのリブ333の先端を背枠293の前後面に当接させることにより、この化粧板289の前記背枠293に対する前後方向のがたつきが防止されるようになっている。
【0072】
以上のようにしてなる背凭れ11と前記座7とをロッキング機構13により連動させるようにしている。
【0073】
《ロッキング機構の構成》
このロッキング機構13は、図4、図11及び図12に示すように、背凭れ11の後傾動作に伴わせて座7を傾動させつつ上動させるようにした体重感知式のものである。
【0074】
詳述すれば、このロッキング機構13は、図4、図11及び図12に示すように、前側に前リンク軸29を保持するとともに後側に支軸31を保持する支持基部3と、下端部を前記前リンク軸29を介して前記支持基部3に回動可能に支持させた前リンク33と、下端部を前記支軸31に支持された背支持アーム9の軸装部259に一体化させてなる後リンク35と、前リンク取付部153を前連結軸143を介して前記前リンク33の回動端151に連結するとともに後リンク取付部159を後連結軸155を介して後リンク35の回動端157に連結してなる座受5とを主体に構成されたものである。
【0075】
すなわち、このロッキング機構13は、図4、図11及び図12に示すように、座7を支持する座受5を同一方向に傾斜する前リンク33と後リンク35とによって支持基部3に支持させ、その支持基部3に支持された背支持アーム9の後傾動作に伴わせて、前記前リンク33及び後リンク35を起立方向に回動させて前記座受5を上方に持ち上げるように構成した体重感知式のものであり、前記背凭れ11の後傾時に、前記座7の前部を座7の後部に比べてより多く持ち上げるように構成されたものである。すなわち、通常の背凭れ及び座のシンクロロッキング機構では、背凭れの後傾動作に伴わせて座を下方側にのみ傾動させるものであるが、本実施形態に示すような体重感知式のロッキング機構13は、通常のロッキング機構とは異なり、背凭れ11の後傾動作に伴わせて座7を傾動させつつ着座者の荷重に抗して座7を持ち上げるように構成している。
【0076】
具体的に説明すれば、図4、図11及び図12に示すように、前記背凭れ11を後傾させていない背起立時において、前リンク33の前傾度合いが後リンク35の前傾度合いよりも大きくなるように設定されている。換言すれば、前記背凭れ11を後傾させていない背起立時において、前リンク33における水平線に対する傾斜角度αが、後リンク35における水平線に対する傾斜角度βよりも小さく設定されている。また、前記前リンク33の支持基部3に対する回転中心を、前記後リンク35の支持基部3に対する回転中心よりも高い位置に設定している。換言すれば、前記前リンク軸29の軸心を前記支軸31の軸心よりも距離h分高い位置に設定している。前記前リンク33の有効長さ寸法、すなわち前記前リンク軸29と前記前連結軸143との軸心間距離L1と、前記後リンク35の有効長さ寸法、すなわち後リンク軸である前記支軸31と前記後連結軸155との軸心間距離L2とは略同じ距離に設定されている。また、前記背支持アーム9が、前記支持基部3における脚支柱17よりも前側の部位に枢支されている。換言すれば、前記背支持アーム9の軸装部259が、側面視において前記脚支柱17よりも前側に位置する支軸31に支持されている。
【0077】
前リンク33の前傾度合いを後リンク35の前傾度合いよりも大きくしている点は、後傾時に座7の前側を後側よりも相対的に大きく持ち上げることを目的としたもので、前リンク33と後リンク35との前傾度合いを相互に大きく異ならせることにより、後傾時の座7の前側の持ち上がりを大きく設定することが可能になる。つまり、前リンク33は、座7の前部つまり座面の前部を上方に持ち上げる動作が多く、後リンク35は、座7を後方に移動させる動作が中心となる。これによって、座面は前部を多く持ち上げながら座面の後部は後方移動し、後傾する背凭れ11に追従するように後方に移動していくこととなる。その結果、座面を相対的に後傾させることで座7の後端部と背凭れ11の下端部との相対的な位置関係の変化が有効に抑えられたものとなっている。
【0078】
前リンク33と後リンク35の回転中心位置を上下方向に異ならせる点は、主に背起立時の座7の水平度合いを調整することを目的としたものであり、前述した前後リンク33、35の前傾度合い差と組み合わせることにより、背凭れ11起立時の座7の姿勢と背凭れ11後傾時の座7の姿勢を共に最適な状態に設定している。前リンク33の有効長さ寸法L1と後リンク35の有効長さ寸法L2とを略同寸法とすることにより、前記設定をより適切なものにすることができる。
【0079】
なお、一般に前記背支持アームが、前記支持基部における脚支柱よりも前側の部位に枢支されている椅子おいては、背凭れ後傾時に背凭れが下方に沈みこむ傾向にあるため、背凭れ後傾時に座全体が平均的に上方に持ち上がるようにした通常の体重感知式ロッキング機構を採用した場合には大きな違和感、より具体的には、着座者の予想に反して、座の後側部分を含み全体が上方に持ち上がる結果、着座者の腰部近傍に、背凭れの沈み込み動作とこの沈み込み動作と相反する座の持ち上がり動作とが同時に発生することによって与えられる違和感が発生するが、本実施形態の構成によればその違和感が緩和されるものとなる。すなわち、本実施形態のものは体重感知式ではあるが背凭れ11後傾時にも座7の後側が大きく持ち上がることがないので大きな違和感を与えにくいものとなる。
【0080】
さらに本実施形態では、背凭れ11の回動範囲を20度に設定しているとともに、背凭れ11を最大限後傾させた状態における座面のなす角度は、背凭れ11起立時に比べて4度後傾するように設定している。すなわち本実施形態では、主に後リンク35による背凭れ11後傾時の座受5の略中央部の持ち上げによって起こる座面の後部が持ち上がる寸法よりも、前リンク33による背凭れ11後傾時の座面の前部が持ち上がる寸法をより大きく設定する結果、背凭れ11の最大後傾時の座面の角度を背凭れ11起立時よりも4度後傾するようにしている。加えて、本実施形態では、後リンク35を座受5の前後方向における略中央部に接続しているため、背凭れ11の後傾時に前後リンク33、35共に座受5を持ち上げるような構成にしても、前リンク33が後リンク35よりも多く座受5を持ち上げるので、相対的に座受5の後端部は前端部よりも下がるように設定でき、座受5の前端部が上昇した際に座受5の後端部の高さ位置を、背凭れ11の起立時と後傾時で殆ど変わらないようにしている。
【0081】
《ランバーサポート装置の構成》
ランバーサポート装置311は、図21及び図22に示すように、背凭れ11の左右の背フレーム間、すなわち前記背枠293の側フレーム315間に着脱可能に架設されるもので、ランバーパッド335と、このランバーパッド335を進退させるためのアクチュエータとして機能し背凭れ11の腰部における受圧状態を変更するためのエアバッグ337と、このエアバッグ337にエアを供給するためのポンプ339と、このポンプ339を作動させるためのランバーサポート操作レバー341とを共通のベース343に取付けてユニット化してなるものである。すなわちランバーサポート装置311は、ランバーパッド335と、このランバーパッド335を支持するランバー基部345とを備えたものであり、前記ランバー基部345は、前記エアバッグ337と前記ポンプ339と前記ランバーサポート操作レバー341とを共通のベース343に支持させたものである。そして、ランバー基部345と両端部347と左右の側フレーム315とによって、背凭れ11の右又は左外方向及び上下方向の3方向に開放した隙間349が形成される。前記ランバー基部345は、前記側フレーム315に対して上下位置変更可能に設けられている。前記隙間349は、手指を掛けることが可能な大きさを有する。また、このランバーサポート装置331の前面、より具体的には前記ランバーパッド335の前面は、左右の側フレーム315間に張り渡された張地295に沿う形状である。また、このランバーサポート装置331の背面、より具体的には前記ベース343の背面も、左右の側フレーム315間に張り渡された張地295に沿う形状である。
【0082】
詳述すれば、ベース343は、図21及び図22に示すように、左右に細長い枠状をなすもので、その一端部に前記ランバーサポート操作レバー341が略鉛直方向に伸びる中間軸344を介して前後方向に回動可能に取付けられている。ベース343の前縁両端部には、側フレーム315のランバーサポート取付部313に係わり合う取付けアーム351が突設されている。左右の取付けアーム351は、側フレーム315の前面側に回り込んで配されるもので、その背面に前記ランバーサポート取付部313の案内溝321にスライド可能に係わり合うスライドピン353と、前記節度凹部323に選択的に係わり合う節度用凸部355とが設けられている。そして、これら両取付けアーム351の前面側に、板バネとして機能する取付けプレート357を配し、それら取付けプレート357を前記ランバーサポート取付部313のねじ穴325に螺着されるねじ361を用いて側フレーム315の前面に取付けることにより、このランバーサポート装置311が背枠293に対して上下位置調整可能に保持されるようになっている。また、ベース343の内部には、ポンプ339とリリースバルブ363とリリースアーム365とリリーススプリング367とがそれぞれ収容されているとともに、ベース343の前面には、スペーサ369を介してエアバッグアセンブリ371が配されている。エアバッグアセンブリ371は、前記エアバッグ337と、このエアバッグ337とポンプ339とを接続するパイプ373とを備えたものである。
【0083】
ポンプ339は、図22ないし図24に示すように、握りハンドポンプと呼ばれるタイプのもので、前記ランバーサポート操作レバー341の操作端342側を前方、すなわち椅子の前方向きに回動操作することにより当該ランバーサポート操作レバー341の基端押圧アーム375により圧縮され、エアをエアバッグ337に向けて吐出するようにしたものである。前記基端押圧アーム375は、ポンプ339の中間部分を効率的に凹変形させるべく、ポンプ339に向かって凸となる形状をなしている。また、このポンプ339が前記基端押圧アーム375により圧縮された後、前記ランバーサポート操作レバー341に操作力が加えられなくなると、この種の握りハンドポンプと呼ばれるタイプのポンプとして周知のものと同様に、ポンプ339は外部からのエアの流入を受けて再び膨張する。これを受けて、ポンプ339が前記基端押圧アーム375を駆動し、前記ランバーサポート操作レバー341が図22に示す位置に復帰する。その後、前記ランバーサポート操作レバー341の前方への回動操作と、前記ランバーサポート操作レバー341への操作力を解除する操作とを繰り返し行うことにより、エアがエアバッグ337に向けて順次吐出される。
【0084】
リリースバルブ363は、図22ないし図24に示すように、エアバッグ337のエアを外部に開放するためのもので、リリース操作ボタン377を押圧操作された場合にのみエアバッグ337内のエアを大気に開放し得るようにしたものである。このリリースバルブ363は、本実施形態では、ポンプ339とパイプ373との間に設けられている。また、これらポンプ339、リリースバルブ363及びパイプ373は、本実施形態では一体に設けられている。
【0085】
リリースアーム365は、図22ないし図24に示すように、基端379をベース343に前後方向に回動可能に回転軸380を介して軸着するとともに中間部381を前記リリースバルブ363のリリース操作ボタン377に対面させ、先端部383を前記基端押圧アーム375の前方に位置させたものである。ここで、中間部381は、リリース操作ボタン377を確実に押圧できるようにすべく、該リリース操作ボタン377に向かう方向に突出している。そして、ランバーサポート操作レバー341の操作端342側を後方、すなわち椅子の後方向きに回動操作してリリースアーム365の先端部383を前方に押圧操作することにより、このリリースアーム365の中間部381で前記リリースバルブ363のリリース操作ボタン377を押圧し得るようにしている。
【0086】
リリーススプリング367は、図22ないし図24に示すように、ランバーサポート操作レバー341の操作力が消勢した場合に、前記リリースアーム365を元の待機位置に自己復帰させるためのものである。
【0087】
前記ランバーサポート操作レバー341の背面は、図22ないし図24に示すように、前方に向けて押圧する操作を行いやすくすべく、後方に開放するような凹形状、換言すれば後方に凹入する形状をなしている。さらにいえば、後方に開口する凹形状であるともいえる。また、ランバーサポート操作レバー341の前面も、図22ないし図24に示すように、後方に向けて押圧する操作を行いやすくすべく、前方に開放するような凹形状、換言すれば前方に凹入する形状をなしている。さらにいえば、前方に開口する凹形状であるともいえる。すなわち、このランバーサポート操作レバー341の中間軸344よりも操作端342側の部位の厚さ寸法は、幅方向中央に近づくにつれ小さくなっている。また、この前記ランバーサポート操作レバー341と側フレーム315との間には、ランバーサポート操作レバー341を前方に移動させる可動領域として十分な大きさの隙間349が設けられているが、側フレーム315の前側すなわちこの隙間349内に親指を掛け、操作レバーの背面側にその他の指を掛ける等して、片手で操作できるように配置してある。
【0088】
ここで、前記ランバーサポート操作レバー341は、図23に示すように、操作端342側に第一態様の操作である前方への操作が加えられた際に、中間軸344を中心に回転移動して、リリースアーム365の先端部383を初期位置に残したまま、基端押圧アーム375がリリースアーム365の先端部383と離間しつつ後方に移動する。このとき、基端押圧アーム375が前記ポンプ339を押圧して作動させる。また、このランバーサポート操作レバー341は、図24に示すように、操作端342側に第二態様の操作である後方への操作が加えられた際に、中間軸344を中心に回動して基端押圧アーム375が前方に移動し、この基端押圧アーム375がリリースアーム365の先端部383を前方に移動させる。このとき、前記リリースバルブ363は基端379に設けた回転軸380を中心に回転移動し、これに伴い中間部381も前方に移動してリリースバルブ365のリリース操作ボタン377を押圧操作し開放状態とする。このようにして、共通のランバーサポート操作レバー341によって、二つの機能、すなわちエアをエアバック337に供給する機能と、エアバッグ337のエアを外部に開放する機能とを実現することができる。
【0089】
また、本実施形態では、エアバッグ337内に多量のエアが供給されると、エアバッグ337内のエアの圧力が大きくなる。その際に、このエアバッグ337内にさらにエアを供給すべく、このエアの圧力に抗してランバーサポート操作レバー341の操作端側に前方へ操作を行うことは困難になる。このことを利用して、ランバーパッド335が必要以上に前方に移動することを防ぐべく、エアバッグ337内へのエアの流入量を制限するようにしている。
【0090】
《肘掛けの構成》
この椅子は、図1ないし図4及び図14に示すように、座受5下面から左右の上方に向けて設けられた一対の肘掛け161を備えている。各肘掛け161は、座受5の肘掛け取付部165に取付けられる基端部を有した肘支柱385と、この肘支柱385の上端に設けられた肘支持部387と、この肘支持部387に支持させてなる肘当て389とを具備してなる。肘支柱385の基端部391には、ボルト挿通用の長孔393が複数形成されている。この長孔393は、左右方向に延びているものである。そして、前記肘支柱385の基端部391を座受5の肘掛け取付部165に取付ける際に、前記長孔393に対するボルト395の相対位置を変更することにより、前記肘掛け161の左右位置を所定範囲で変更できるようにしている。なお、図11及び図17においては、この肘掛け161は省略して示している。
【0091】
このように、本実施形態の構成によれば、前記ポンプ339を駆動するためのランバーサポート操作レバー341により、前記リリースバルブ363を開放状態に切り換える操作も行うことができるので、単一のランバーサポート操作レバー341を把持したままでエアの量の調整を容易に行うことができる。また、エアバッグ337にエアを供給する操作とエアバッグ337から外部にエアを開放する操作とを切り替える際に、操作レバーを探す手間を省くこともできる。
【0092】
前記ランバーサポート操作レバー341が、該ランバーサポート操作レバー341に隣接する背凭れ11に対して隙間349を介して配されるものであり、前記ランバーサポート操作レバー341を前記背凭れ11に向かう方向すなわち前方に移動させる動作を含む操作によりエアバッグ337にエアを供給するので、背凭れ11とランバーサポート操作レバー341との間の隙間をランバーサポート操作レバー341の可動領域として利用することができる。さらに、ランバー基部345と両端部347と左右の側フレーム315とによって、背凭れ11の右又は左外方向及び上下方向の3方向に開放した隙間349が形成されるので、この隙間349を利用して着座者が着座したまま容易にランバーサポート操作レバー341にアクセスできる。
【0093】
前記隙間349が、前記ランバーサポート操作レバー341前記背凭れ11との間に手を掛けることができる大きさのものであるので、この隙間349に手を掛けることにより、ランバーサポート操作レバー341を前方に移動させる操作を容易に行うことができる。
【0094】
その上で、前記ランバーサポート装置311が、ランバーパッド335とこのランバーパッド335を支持するランバー基部345とを備えたものであり、両端部が隙間349を介して前記背凭れ11を構成する左右の側フレーム315の後方に位置するようにしており、前記ランバーサポート操作レバー341が、前記ランバー基部345の一端部に配されているので、着座者が着座したままエアバッグ337にエアを供給する操作を容易に行うことができる。
【0095】
前記ランバーサポート装置311が、前記側フレーム315に対して上下位置変更可能に設けられているので、ランバーサポート装置311の上下位置が着座者の腰部に対応するようにランバーサポート装置311を配置し、種々の体格等を有する着座者の腰部をランバーサポート装置311により好適に支持させることができる。さらに、ランバーサポート操作レバー341がランバーサポート装置311の上下位置を変更する操作を行う際の把手を兼ねるので、ランバーサポート装置の311の上下位置を変更する操作も、着座者が着座したまま容易に行うことができる。
【0096】
加えて、前記リリースバルブ363を開放状態に切り換えるための操作が、ランバーサポート操作レバー341を背凭れ11から離間させるべく後方に引く操作であるので、エアバッグ337に対するエアの出し入れを容易に行うことができる。
【0097】
そして、前記エアバッグ337と、前記ポンプ339と、前記リリースバルブ363と、前記ランバーサポート操作レバー341とを共通のベース343に取付けてユニット化してなるので、このようなランバーサポート装置311が着脱容易であり、エアバッグ337とポンプ339との間のパイプ373や、ポンプ339とランバーサポート操作レバー341との間、又はリリースバルブ363とランバーサポート操作レバー341との間のエアチューブやワイヤ等を有する操作力伝達機構が外部に露出することによる不具合の発生を抑制できる。さらに、このような構成のランバーサポート装置311を従来の左右の側フレームを有する椅子に取り付けて本実施形態に係る椅子の構成を得るも容易である。加えて、このランバーサポート装置311とランバーパッド335が進退可能でないランバーサポート装置とを容易に交換することもできる。
【0098】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0099】
例えば、上述した実施形態においては、節度用凸部と節度凹部とを係わり合わせることによりランバーサポート装置の上下位置を変更可能にしているが、ランバーサポート装置と背フレームとの一方に設けた案内突起と他方に設けた案内溝とを係わり合わせることによりランバーサポート装置の上下位置を連続的に変更可能としてもよい。この場合、ランバーサポート装置の位置決めを行うための態様として、例えば、ランバーサポート装置の外方から雄ネジ部材を利用して構成したずれ止め部材の雄ネジ部をランバーサポート装置に設けた雌ネジ穴に螺着し、雄ネジ部材の先端を背フレームに衝き当てた状態とすることにより、緊締力を利用してランバーサポート装置の位置決めを行う態様が考えられる。さらに、ランバーサポート装置が上下移動可能でない椅子に本発明を適用してもよい。
【0100】
加えて、上述した実施形態では、操作レバーが、繰り返し前方に押圧する第一態様の操作が加えられたときにポンプを作動させ、後方に引く第二態様の操作が加えられたときにリリースバルブを開放状態に切り替えるものであるが、ポンプを作動させるための第一態様の操作と、リリースバルブを開放状態に切り替えるための第二態様の操作とが、操作レバーに対して同一方向に作用を加えるものであってもよい。このような態様の一例として、操作レバーを所定の方向に一定量未満移動させたときにポンプが作動し、操作レバーを所定の方向に一定量以上移動させたときにリリースバルブが開放状態に切り替わる態様が考えられる。
【0101】
加えて、上述した実施形態では、エアバッグ内に多量のエアが供給された場合にエアバッグ内のエアの圧力が大きくなりこのエアの圧力に抗してランバーサポート操作レバーの操作端側に前方へ操作を行うことは困難になることを利用してエアバッグ内への空気の流入量を制限することにより、ランバーパッドの必要以上の前進を規制しているが、これ以外にも、例えば、エアバッグ内に所定量のエアが供給された後、さらに第一態様の操作がランバーサポート操作レバーに加えられた場合には、エアがエアバッグ内に供給されずポンプの端部からエアが抜けるようにすることによりエアバッグ内への空気の流入量を制限する態様を採用してもよい。
【0102】
また、第一態様の操作が操作レバーを所定方向に移動させる操作であり、第二態様の操作が操作レバーを前記所定方向と90°異なる方向に移動させる操作である態様も考えられる。このような態様の一例として、操作レバーが、繰り返し前方に押圧する第一態様の操作が加えられたときにポンプを作動させ、上方に移動させる第二態様の操作が加えられたときにリリースバルブを開放状態に切り替えるものである態様が考えられる。
【0103】
この態様の操作レバーたるランバーサポート操作レバー341は、図25及び図26に示すように、操作端342と反対側に基端押圧アーム375を有し、略鉛直方向に伸びる第1の軸たる中間軸344を介して前後方向に回転移動可能である。前記中間軸344は、その上下両端部を中間軸支持部材401に支持させている。この中間軸支持部材401は、円板状のレバー支持部材403に支持させてなる。このレバー支持部材403は、ベース343に設けた水平軸405に軸支させてなる。さらに、このレバー支持部材403には、リリースバルブ365のリリース操作ボタン377の下部に対向する位置に、下方に向かうにつれ突出幅が大きくなるクサビ状の第1のリリースバルブ操作突起407を設けている。また、リリースバルブ365のリリース操作ボタン377の上部に対向する位置にも、上方に向かうにつれ突出幅が大きくなるクサビ状の第2のリリースバルブ操作突起409を設けている。ここで、第1のリリースバルブ操作突起407の下端部、及び第2のリリースバルブ操作突起409の上端部には、ランバーサポート操作レバー341を下方又は上方に移動させすぎることによりリリースバルブ操作突起407、409の全体がリリースバルブ365の操作範囲外に移動してしまうことを防ぐべく、リリースバルブ365に衝き当たってランバーサポート操作レバー341のこれ以上の移動を禁止する立ち上がり部411、413をそれぞれ設けている。なお、図26では、ベース343の図示は省略しているとともに、水平軸405は一部破断して示している。また、図27では、第2のリリースバルブ操作突起409は一部破断して示している。
【0104】
このランバーサポート操作レバー341の操作端342に、第一態様の操作すなわち前方に押圧する操作を加えると、このランバーサポート操作レバー341は中間軸344を中心として回転移動し、図26の矢印Yに示すように基端押圧アーム375が後方に移動してポンプ339を押圧して作動させる。
【0105】
一方、このランバーサポート操作レバー341に、第二態様の操作すなわち下方に移動させる操作を加えると、中間軸344及び中間軸支持部材401を介してレバー支持部材403に操作力が伝達され、このレバー支持部材403が水平軸405を中心として回転移動する。このとき、図25の矢印Xに示すように、第1のリリースバルブ操作突起407がリリース操作ボタン377に接近し、次いでこのリリース操作ボタン377を押圧することによりリリースバルブ365が開放状態に切り替わる。ここで、ランバーサポート操作レバー341を所定量下方に移動させる操作を加えると、前記立ち上がり部411がリリースバルブ365に衝き当たり、ランバーサポート操作レバー341のこれ以上の移動が禁止される。また、前記ランバーサポート操作レバー341に、他の第二態様の操作すなわち上方に移動させる操作を加えると、第2のリリースバルブ操作突起409がリリース操作ボタン377に接近し、次いでこのリリース操作ボタン377を押圧することによりリリースバルブ365が開放状態に切り替わる。ここで、ランバーサポート操作レバー341を所定量上方に移動させる操作を加えると、前記立ち上がり部413がリリースバルブ365に衝き当たり、ランバーサポート操作レバー341のこれ以上の移動が禁止される。ここで、リリースバルブ操作突起はリリース操作ボタンの下部に対向する位置又は上部に対向する位置のうち一方のみに設けてもよい。また、リリースバルブ操作突起の端部に立ち上がり部を設ける代わりに、他の位置にランバーサポート操作レバーの所定以上の移動を禁止するためのレバー移動禁止要素を設けてもよい。
【0106】
さらに、第一態様の操作が操作レバーを所定方向に移動させる操作であり、第二態様の操作が操作レバーをその中心軸周りに回転させる操作である態様や、第一態様の操作が操作レバーをその中心軸周りに所定方向に回転させる操作であり、第二態様の操作が操作レバーをその中心軸周りに第一態様の操作と反対方向に回転させる操作である態様等を採用してもよい。これらの場合、操作レバーとレバー隣接部材(背凭れ、肘掛け、座受等)との間に隙間を介在させる必要はない。
【0107】
さらに、上述した実施形態では、ランバー基部は、エアバッグと、エアバッグにエアを供給するためのポンプと、このポンプを作動させるための操作レバーとを共通のベースに取付けてユニット化してなるものであり、レバー隣接部材が背凭れであるが、ランバーサポート操作レバーのみをベースの外部に設ける構成の椅子や、エアバッグのみをベースに支持させ、ポンプ及びレバーをベースの外部に配している構成の椅子に本発明を適用してもよい。
【0108】
このような椅子の例として、肘掛けの肘支持部の下面に図示しない操作レバーたるランバーサポート操作レバーを設けるとともに、このランバーサポート操作レバーに対する操作力を基端押圧アームに伝達するための第1及び第2の動作伝達用ワイヤの一端部をランバーサポート操作レバーに接続してなる態様のものが考えられる。以下、この態様の椅子について上述した実施形態に係る椅子との相違点について説明するが、この相違点以外は上述した実施形態に係る椅子と同一の構成を有するので、対応する部位には同一の名称及び符号を付して説明する。この態様の椅子のランバーサポート装置311は、概略を図27に示すように、ランバーサポート操作レバーに替えて、基端押圧アーム375と回動軸451を挟んで反対側に延伸させて一体に設けたワイヤ受けアーム453を設けている。その上で、第1の動作伝達用ワイヤ455の他端部457は基端押圧アームに接続し、第2の動作伝達用ワイヤ459の他端部461は前記ワイヤ受けアームに接続している。そして、ランバーサポート操作レバーに対して第一態様の操作を行うと、具体的にはランバーサポート操作レバーを肘支持部387に接近させる方向すなわち上方に向かう作用を加える操作を行うと、第1の動作伝達用ワイヤ455を介して基端押圧アーム375にポンプ339を作動させる方向の作用が加わる。このとき、基端押圧アーム375がポンプ339を押圧して作動させる。そして、ランバーサポート操作レバーに対して上方に向かう作用を加える操作を繰り返し行うことにより、エアバッグ337に順次エアが供給される。一方、ランバーサポート操作レバーに対して第二態様の操作を行うと、具体的にはランバーサポート操作レバーを肘支持部387から離間させるすなわち下方に向かう作用を加える操作を行うと、第2の動作伝達用ワイヤ459を介してワイヤ受けアーム453にポンプ339を作動させる方向と反対方向の作用が加わる。そして、基端押圧アーム375がリリースアーム365の先端部383を駆動し、リリースバルブ363のリリース操作ボタン377を押圧操作し開放状態とする。なお、第1及び第2の動作伝達用ワイヤ455、459の基端押圧アーム375及びワイヤ受けアーム453への取付態様は、図27に示したものに限らず、ランバーサポート操作レバーに第一態様の操作を行ったときに基端押圧アームを介してポンプを作動させ、ランバーサポート操作レバーに第二態様の操作を行ったときに基端押圧アーム及びリリースアームを介してリリースバルブのリリース操作ボタンを押圧操作することが可能なものであれば、種々に変更してもよい。
【0109】
また、操作レバーの他に、ポンプ及びリリースバルブを肘掛けの肘支持部内に埋設し、このポンプとエアバッグとを接続するパイプを肘支柱、背支持アーム、及び背フレームに埋設して設け、エアバッグのみをベースに支持させる態様等も考えられる。
【0110】
さらに、レバー隣接部材が座又は座受である態様、一例を挙げると操作レバーを座又は座受の下面に設ける態様等も考えられる。この場合、第一態様の操作が、操作レバーを上方に付勢する操作であるものが望ましい。
【0111】
また、上述した実施形態では、背枠に張り地を張り設けた背凭れにランバーサポート装置を設けているが、例えば、シェルの前方にクッションを設ける態様の背凭れに上述したようなランバーサポート装置を設けてもよい。この場合、ランバーサポート装置は、クッションに埋設する態様や、背凭れの前方に設ける態様等が考えられる。
【0112】
そして、上述した実施形態では、ランバーサポート装置の前面の形状は、左右の背フレーム間に張り渡された張地に沿うものであるが、ランバーサポート装置の前面の形状は、平面状等、他の形状に設定してももちろんよい。また、上述した実施形態では、ランバーサポート装置は、左右両側端とも背フレームの後方すなわち背枠の側フレームの後方に達しているが、一端又は両端が背枠の側フレームよりも内方すなわち幅方向中央寄りに位置するものであってもよい。さらに、背凭れの前方にランバーサポート装置を設けてもよい。
【0113】
加えて、上述した実施形態では、支持基部のメインフレームが、ボス部、後フレームメンバ、側フレームメンバ、及び前フレームメンバをアルミダイキャスト等により一体に成型されているものであるとして説明したが、これに限定されるものではなく、種々のものが考えられる。例えば、板金素材の曲げや絞り加工によって、メインフレームの各構成部材であるボス部、後フレームメンバ、側フレームメンバ、及び前フレームメンバをそれぞれ複数の部品に分けて作るとともに、前後の軸受部にベアリング部品等を採用し、それらを溶接等で繋ぎ合わせて構成してもよい。
【0114】
上述した実施形態では、前リンク33の有効長さ寸法L1と後リンク35の有効長さ寸法L2とを略同寸法とすることにより、背凭れ起立時の座の姿勢と背凭れ後傾時の座の姿勢を最適な状態に設定していたが、前リンク33の有効長さ寸法L1を後リンク35の有効長さ寸法L2よりも大きくすることにより、前記設定を行ってもよい。
【0115】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0116】
11…背凭れ
311…ランバーサポート装置
315…側フレーム(レバー隣接部材)
335…ランバーパッド
337…エアバッグ
339…ポンプ
341…ランバーサポート操作レバー(操作レバー)
343…ベース
345…ランバー基部
349…隙間
363…リリースバルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背凭れの腰部における受圧状態を変更するためのエアバッグと、このエアバッグにエアを供給するためのポンプと、前記エアバッグのエアを外部に開放するためのリリースバルブと、第一態様の操作が加えられたときに前記ポンプを作動させ、第二態様の操作が加えられたときに前記リリースバルブを開放状態に切り換える共通の操作レバーとを備えたランバーサポート装置を具備してなることを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記第一態様の操作と、前記第二態様の操作とが、前記操作レバーに対してそれぞれ異なる方向に作用を加えるものである請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記操作レバーが、該操作レバーに隣接するレバー隣接部材に対して隙間を介して配されるものであり、前記第一態様の操作が前記操作レバーを前記隣接部材方向に移動させる動作を含むものである請求項1又は2記載の椅子。
【請求項4】
前記隙間が、前記操作レバーと前記隣接部材との間に手を掛けることができる大きさのものである請求項3記載の椅子。
【請求項5】
前記レバー隣接部材が、背凭れであり、前記第一態様の操作が操作レバーを前方に付勢する操作を含む請求項3又は4記載の椅子。
【請求項6】
前記ランバーサポート装置が、ランバーパッドとこのランバーパッドを支持するランバー基部とを備えたものであり、両端部が隙間を介して前記背凭れを構成する左右の側フレームの後方に位置するようにしており、前記操作レバーが、前記ランバー基部の一端部に配されている請求項5記載の椅子。
【請求項7】
前記ランバーサポート装置が、前記側フレームに対して上下位置変更可能に設けられている請求項6記載の椅子。
【請求項8】
前記レバー隣接部材が肘掛けであり、前記第一態様の操作が、前記肘掛けの肘支持部の下側に配された操作レバーを上方に付勢する操作を含む請求項3又は4記載の椅子。
【請求項9】
前記レバー隣接部材が、座であり、前記第一態様の操作が、座面の下側に配された操作レバーを上方に付勢する操作を含む請求項3又は4記載の椅子。
【請求項10】
前記第二態様の操作が操作レバーをレバー隣接部材から離間させる操作である請求項3、4,5,6,7,8又は9記載の椅子。
【請求項11】
前記エアバッグと、前記ポンプと、前記リリースバルブと、前記操作レバーとを共通のベースに取付けてユニット化してなる請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の椅子。
【請求項1】
背凭れの腰部における受圧状態を変更するためのエアバッグと、このエアバッグにエアを供給するためのポンプと、前記エアバッグのエアを外部に開放するためのリリースバルブと、第一態様の操作が加えられたときに前記ポンプを作動させ、第二態様の操作が加えられたときに前記リリースバルブを開放状態に切り換える共通の操作レバーとを備えたランバーサポート装置を具備してなることを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記第一態様の操作と、前記第二態様の操作とが、前記操作レバーに対してそれぞれ異なる方向に作用を加えるものである請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記操作レバーが、該操作レバーに隣接するレバー隣接部材に対して隙間を介して配されるものであり、前記第一態様の操作が前記操作レバーを前記隣接部材方向に移動させる動作を含むものである請求項1又は2記載の椅子。
【請求項4】
前記隙間が、前記操作レバーと前記隣接部材との間に手を掛けることができる大きさのものである請求項3記載の椅子。
【請求項5】
前記レバー隣接部材が、背凭れであり、前記第一態様の操作が操作レバーを前方に付勢する操作を含む請求項3又は4記載の椅子。
【請求項6】
前記ランバーサポート装置が、ランバーパッドとこのランバーパッドを支持するランバー基部とを備えたものであり、両端部が隙間を介して前記背凭れを構成する左右の側フレームの後方に位置するようにしており、前記操作レバーが、前記ランバー基部の一端部に配されている請求項5記載の椅子。
【請求項7】
前記ランバーサポート装置が、前記側フレームに対して上下位置変更可能に設けられている請求項6記載の椅子。
【請求項8】
前記レバー隣接部材が肘掛けであり、前記第一態様の操作が、前記肘掛けの肘支持部の下側に配された操作レバーを上方に付勢する操作を含む請求項3又は4記載の椅子。
【請求項9】
前記レバー隣接部材が、座であり、前記第一態様の操作が、座面の下側に配された操作レバーを上方に付勢する操作を含む請求項3又は4記載の椅子。
【請求項10】
前記第二態様の操作が操作レバーをレバー隣接部材から離間させる操作である請求項3、4,5,6,7,8又は9記載の椅子。
【請求項11】
前記エアバッグと、前記ポンプと、前記リリースバルブと、前記操作レバーとを共通のベースに取付けてユニット化してなる請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−10872(P2012−10872A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149168(P2010−149168)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【Fターム(参考)】
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