説明

椅子

【課題】製造に高い技術力や手間を必要とせずに、座り心地のよい椅子を提供する。
【解決手段】椅子A1は、中間部A6が、前後方向に一定の周期で連続して板厚方向に突没する波状をなす複数の縦桟領域A61と、当該複数の縦桟領域A61同士を連続させてなる複数の横桟領域A62とを有し、隣り合う前記縦桟領域A61同士は連続する波状の位相がずれており、前記板材A31に厚み方向に荷重がかかった際に板厚方向に突没する周期が長くなる方向に変形し得る断面形状をなしていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学校用または事務用等として好適に使用される椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の椅子では、比較的長時間着座されることが少なくないため、座り心地が重視され、種々の改善がなされてきた。近時、非常に座り心地のよい椅子として、枠材に張設したメッシュにより着座者の荷重を弾性的に受けるようにしたメッシュタイプの椅子が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところが、このようなメッシュタイプの椅子では、枠材にメッシュを適切な張力をもって張り設ける必要があり、その支持構造が複雑であるとともに、その張設作業に高い技術力が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−202591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたものであり、製造に高い技術力や手間を必要とせずに、座り心地のよい椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0007】
すなわち本発明に係る椅子は椅子本体に座板及び背板を支持させてなる椅子であって、前記座板及び背板の少なくとも一方が、椅子本体に支持される周縁部と、この周縁部の内側に位置する中間部とを有する板材を備えたものであり、前記中間部が、前後方向に一定の周期で連続して板厚方向に突没する波状をなす複数の縦桟領域と、当該複数の縦桟領域同士を連続させてなる複数の横桟領域とを有し、隣り合う前記縦桟領域同士は連続する波状の位相がずれており、前記板材に厚み方向に荷重がかかった際に板厚方向に突没する周期が長くなる方向に変形し得る断面形状をなしていることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、板材により着座者の荷重を弾性的に受けるようにしているので、従来のような枠材にメッシュを張り設けたものに比べて製造に高い技術力や手間を必要とせずに、座り心地のよい椅子となる。すなわち、前記各縦桟部材が、厚み方向に撓みながら板厚方向に突没する周期が長くなる方向に変形して着座者の荷重を受けるとともに、各縦桟部材を接続する横桟部材が縦桟部材の動きを適切なものにしている。そのため、板材が着座者の荷重に応じて撓み変形し、座り心地のよいものとなる。
【0009】
通気性を良好にするためには、縦桟領域と前記横桟領域との間に開口を形成しているものとすることが望ましい。
【0010】
また、開口縁部の強度を有効に向上させることにより開口周辺の捻れや荷重の集中による過度の変形を有効に回避するためには、開口の縁部から裏面側に補強リブを立設しているものとすることが望ましい。
【0011】
また、中間部全体の捻れ剛性を有効に向上させるためには、縦桟領域の縁部から裏面側に補強リブを立設すればよい。
【0012】
そして着座者からの荷重を確実に受け止めて座り心地或いは凭れ心地の良いものとするためには、縦桟領域において一定の周期で突出した突出点同士を結ぶ仮想の面が平板状をなしたものとして、中間部を概略平板状に構成しておくことが好ましい。
【0013】
他方、着座者の着座姿勢に応じた形状をなしつつ、快適な座り心地を実現するためには、縦桟領域において一定の周期で突出した突出点同士を結ぶ仮想の面が湾曲面状をなしたものとして、中間部を概略曲面板形状としておくことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上のような構成であるから、製造に高い技術力や手間を必要とせずに、座り心地のよい椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態を示す全体斜視図。
【図2】同実施形態の背面側を示す全体斜視図。
【図3】同実施形態の座板を示す平面図。
【図4】同実施形態の座板を示す斜視図。
【図5】同座板の要部を示す斜視図。
【図6】同他の斜視図。
【図7】図5に係るI−I線断面図。
【図8】同II−II線断面図。
【図9】同III−III線断面図。
【図10】同IV―IV線断面図。
【図11】同V−V線断面図。
【図12】本発明の第2実施形態を示す全体斜視図。
【図13】同実施形態の背面側を示す全体斜視図。
【図14】同実施形態の側断面図。
【図15】本発明の第3実施形態の要部を示す分解斜視図。
【図16】同実施形態の椅子を模式的に示す側面図。
【図17】本発明の第4実施形態を示す全体斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図1ないし図11を参照して説明する。
【0017】
この実施形態は、本発明を上下方向にスタッキング可能な椅子A1に適用したものである。この椅子A1は、椅子本体A2に座板A3及び背板A4を支持させてなるものである。
【0018】
椅子本体A2は、図1及び図2に示すように、接地体A211を介して床上に載置される左右のベースA21と、これら各ベースA21の前端から上方に延出する左右の前脚A22と、前記各ベースA21の後端から上方に延出する左右の後脚A23と、これら後脚A23の上端間に架設された後フレームA24と、この後フレームA24の両端近傍部と前記前脚A22の上端とを繋ぐ左右の側フレームA25と、これら側フレームA25の前端近傍部間に架設された前フレームA26と、前記後脚A23の上端から上方に延出する左右の背フレームA27とを備えてなる。前記ベースA21、前脚A22、後脚A23、側フレームA25、及び、背フレームA27は、共通の金属線材を折曲げることにより一体に構成されたもので、前記座板A3及び背板A4に作用する荷重を受けることが可能な強度を備えている。そして、前記左右の側フレームA25に前記座板A3を支持させている。また、本実施形態においては、前記椅子本体A2に前記座板A3を取り付けた状態で、前記前フレームA26と前記座板A3との間に当該座板A3の下方への撓みを許容できるだけの隙間が形成されるように設定してある。
【0019】
座板A3は、図1ないし図4に示すように、板材A31と、この板材A31の下面に突設した取付体A32とを備えたもので、この実施形態においては、樹脂により一体に成形されている。
【0020】
板材A31は、図1ないし図11に示すように、椅子本体A2の左右の側フレームA25に支持される周縁部A5と、この周縁部A5の内側に位置する中間部A6とを有し樹脂で一体に成形されたものであり、前記中間部A6の特定箇所、この実施形態では、中間部A6の全域が、後述する縦桟領域A61及び横桟領域A62を備えた構造をなしている。
【0021】
前記周縁部A5は、図1ないし図4に示すように、中間部A6の左右両側に位置する側縁部分A51と、中間部A6の後側に位置する後縁部分A52と、中間部A6の前側に位置する前縁部分A53とを備えたものである。前記側縁部分A51は、前記側フレームA25を包み込むように下方に湾曲している。前記後縁部分A52は、後上方に向けて湾曲している。前記前縁部分A53は、前下方に向けて湾曲している。
【0022】
ここで、本実施形態に係る椅子は、中間部A6が、前後方向に一定の周期で連続して板厚方向に突没する波状をなす複数の縦桟領域A61と、当該複数の縦桟領域A61同士を連続させてなる複数の横桟領域A62とを有し、隣り合う前記縦桟領域A61同士は連続する波状の位相がずれており、前記板材A31に厚み方向に荷重がかかった際に板厚方向に突没する周期が長くなる方向に変形し得る断面形状をなしていることを特徴とするものである。以下、中間部A61の構成について具体的に説明する。
【0023】
前記中間部A6は、図1ないし図11に示すように、厚み方向の上下両面側に突出する形状をなす複数本の縦桟領域A61を隣接させて配するとともに、隣り合う縦桟領域A61同士を横桟領域A62によりなめらかに接続させた基本構造をなす。換言すれば、横桟領域A62についても縦桟領域A61に対して交差・連続して形成されることにより、隣り合う横桟領域A62同士は縦桟領域A61により滑らかに連続させた構造であるとも言える。つまり中間部A61は当該基本構造により、板面方向すなわち板材A31の面方向において互いに交差する二方向、すなわち前後方向及び幅方向から一定の周期で連続した板厚方向に突没する波状をなすとともに、板材に厚み方向に荷重が掛かった際に板厚方向に突没する周期が長くなるように変形し得る断面形状をなしている。そして前記各縦桟領域A61は詳述すると、対向する前記周縁部A5の2箇所をつなぐように配置されたものであり、前記周縁部A5の2箇所を直線で接続するよりも長い経路をもって弾性変形可能に接続し得る形状をなしている。各縦桟領域A61は、図5ないし図11に示すように、板厚方向に一定の周期で突没する波状をなし、隣り合う縦桟領域A61同士は連続する波状の180°位相がずれており、隣り合う縦桟領域A61の側縁同士は横桟領域を介して接続している。しかも当該縦桟領域A61は、図4及び図5に示すように、縦桟領域A61において一定の周期で突出した突出点A61p同士を結ぶ図示しない仮想の面が平板状をなすように構成している。これにより、中間部A6は概略平板状をなしたものとなっている。加えて各縦桟領域A61は、前記板材A31に対して直交する方向からの視線において、隣接する縦桟領域A61と相互に重ならないように開口A64を介して配置されており、隣り合う縦桟領域A61の側縁同士が前記横桟領域において一体化されている。換言すれば、前記各縦桟領域A61は、前記周縁部A5と略同一面をなす厚み方向位置において相互に接続されている。すなわち、これらの開口A64は、前記縦桟領域A61と横桟領域A62との間に間欠的に形成されるものである。なお、これら各縦桟領域A61は、前記板材A31に対して直交する方向からの視線において、直線的な形状をなして、平行に配列されている。また図2、図5ないし図11に示すように、板材A6の裏面側において、縦桟領域A61の縁部から裏面側に縦桟リブA63aを立設している。この縦桟リブA63aは突出寸法を同じくしているので、突出端が縦桟領域A61同様に波状をなす。さらに本実施形態では、縦桟リブA63aに連続するように、開口の前後縁部からも開口縁リブA63bを立設している。この開口縁リブA63bも縦桟リブA63aと同じ突出寸法をとるものとしている。そして縦桟リブA63aと開口縁A63bとにより、開口の前後間には概略筒状に両リブA63a、A63bが立設される。
【0024】
取付体A32は、図1及び図2に示すように、前記側縁部分A51の下面に一体に設けられている。この取付体A32は、横断面C字形をなす溝A321を有したもので、その溝A321を前記側フレームA25に係わり合わせることにより、前記座板A3を前記椅子本体A2に取り付けている。
【0025】
背板A4は、図1及び図2に示すように、両側縁に下方に開口する取付孔A41を備えたもので、その取付孔A41を前記背フレームA27に嵌め合わせることによって、この背板A4を椅子本体A2に支持させている。
【0026】
以上のように、本実施形態に係る椅子A1は、椅子本体A2に座板A3及び背板A4を支持させてなるものであって、前記座板A3が、厚み方向に撓み可能な複数本の縦桟領域A61及び横桟領域A62を有することにより、前記座板A3の全部または主要部を樹脂による一体成形により製造することができ、枠材にメッシュを張り設ける場合のような高い技術力や手間を必要としない。
【0027】
すなわち、前記各縦桟領域A61及び横桟領域A62が、厚み方向に撓みながら着座者の荷重を主として受けるので、適切に中間部A6を撓ませることができる。また、縦桟領域A61及び横桟領域A62における波の起伏や周期等を適宜設定することにより、種々の特性を有した座り心地のよい座板A3を作ることができる。したがって、荷重に応じた適切な弾性を有する座板A3を容易に設計することが可能になる。特に前記実施形態においては、前記周縁部A5と中間部A6とを有した板材A31と、取付体A32とを樹脂により一体に成形しているので、部品点数が少なくて済み、また、枠材にメッシュを張り設ける場合に比べて、組立に要する工数を大幅に削減することが可能になる。さらに、この板材A31は樹脂で一体成形されたものであるため、メッシュタイプに較べて強度が高く、破れたり、切れたり、摺り減るおそれが少ない。すなわち、メッシュタイプのものは、細い糸を編んだり織ったりしているので、全体がほつれる可能性があるが、本実施形態の板材A31は、上記のように板材A31が一部破損しても、メッシュタイプのように破損が全体に広がることを抑制できる。
【0028】
また、縦桟領域A61と横桟領域A62との間に開口A64が立体的に形成されるので、通気性が良好なものとなる。
【0029】
さらに、開口A64の縁部の強度を有効に向上させることにより開口A64周辺の捻れや荷重の集中による過度の変形を有効に回避するために本実施形態では、開口A64の縁部から裏面側に補強リブたる開口縁リブA63bを立設している。
【0030】
しかも本実施形態では、中間部A6全体の捻れ剛性を有効に向上させるために、縦桟領域A61の左右縁部からも、裏面側に補強リブたる縦桟リブA63aを立設している。
【0031】
特に本実施形態では、着座者からの荷重を確実に受け止めて座り心地或いは凭れ心地の良いものとすべく、縦桟領域A61において一定の周期で突出した突出点A61p同士を結ぶ仮想の面が平板状をなしたものとすることにより、中間部A6を正しく平板状に構成している。
【0032】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について図12ないし図14を参照して説明する。
【0033】
この実施形態は、本発明を前後方向にネスティング可能な椅子B1に適用したものである。この椅子B1は、椅子本体B2に座板B3及び背板B4を支持させてなるものである。
【0034】
椅子本体B2は、図12ないし図14に示すように、下端にキャスタB211を有した左右の前脚B21と、下端にキャスタB221を有した左右の後脚B22と、これら後脚B22の上端と前記前脚B21の上端とをそれぞれ繋ぐ左右の側フレームB24と、これら側フレームB24の前端近傍部間に架設された前フレームB25と、これら側フレームB24の後端近傍部間に架設された後フレームB23と、この後フレームB23に基端部B28を回転可能に支持させた左右の支持フレームB26と、前記後脚B22の上端から上方に延出する左右の背フレームB27とを備えてなる。前記前脚B21と側フレームB24とは、共通の金属パイプ材を折曲げることにより一体に構成されたもので、側フレームB24の後端は後脚B22の上端に溶接等により剛結されている。前記前脚B21、後脚B22、側フレームB24、前フレームB25、後フレームB23、支持フレームB26、及び背フレームB27は、前記座板B3及び背板B4に作用する荷重を受けることが可能な強度を備えている。そして、前記支持フレームB26の前端部及び後端部に前記座板B3を支持させており、座板B3が略水平になる使用位置(U)と座板B3が背板B4と略平行になる図示しない跳ね上げ位置との間で回動し得るようになっている。支持フレームB26の中間部B29には凹陥部B291が形成されており、前記使用位置(U)においてこの凹陥部B291が前フレームB25に係わり合うようになっている。なお、前記左右の前脚B21間の距離は、前記左右の後脚B22間の距離よりも小さく設定されており、座板B3を跳ね上げた状態で同一の構造をなす他の椅子とネスティング可能になっている。
【0035】
座板B3は、図12ないし図14に示すように、板材B31と、この板材B31の下面に突設した前後の取付体B32、B33とを備えたもので、この実施形態においては、樹脂により一体に成形されている。
【0036】
板材B31は、図12ないし図14に示すように、椅子本体B2の左右の支持フレームB26に支持される周縁部B5と、この周縁部B5の内側に位置する中間部B6とを有し樹脂で一体に成形されたものであり、前記中間部B6の特定箇所、この実施形態では、中間部B6の全域が、前記縦桟領域又は横桟領域を備えた構造をなしている。
【0037】
前記周縁部B5は、図12ないし図14に示すように、中間部B6の左右両側に位置する側縁部分B51と、中間部B6の後側に位置する後縁部分B52と、中間部B6の前側に位置する前縁部分B53とを備えたものである。
【0038】
前記中間部B6は、前記第1実施形態と同じ構造をなしており、図12ないし図14では、詳しい形態を省略して、中間部B6を網掛けで示している。
【0039】
取付体B32、B33は、図13及び図14に示すように、前記前縁部分B53及び後縁部分B52の下面に一体に設けられている。前の取付体B32は、前記周縁部B5の前縁部分B53に設けられ、後の取付体B33は、前記周縁部B5の後縁部分B52に設けられている。前の取付体B32に支持フレームB26の前端部を前後方向にスライド可能に取り付けるとともに、後の取付体B33に支持フレームB26の後端部を離脱不能に取り付けている。そして、前記前後の取付体B32、B33間は、前記支持フレームB26と前記座板B3の中間部B6とが隙間B34を介して離間しており、その隙間B34によって前記中間部B6の厚み方向の弾性変形を許容している。
【0040】
背板B4は、図12ないし図14に示すように、両側縁に下方に開口する取付孔B41を備えたもので、その取付孔B41を前記背フレームB27に嵌め合わせることによって、この背板B4を椅子本体B2に支持させている。
【0041】
このような構成のものであれば、従来のネスティング可能な椅子と同様に使用することができる上に、座板に関しては前述した第1実施形態に準じた効果が得られる。
【0042】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について図15及び図16を参照して説明する。
【0043】
この実施形態は、本発明を背板C4と座板C3とが一定の比率で同期して傾動するシンクロロッキング可能な椅子C1に適用したものである。この椅子C1は、椅子本体C2に座板C3及び背板C4を支持させてなるものである。
【0044】
椅子本体C2は、図15及び図16に示すように、キャスタC211を有する脚C21と、この脚C21の上端に支持される支持基部C22と、この支持基部C22に傾動可能に支持される背支桿C23と、この背支桿C23及び前記支持基部C22の上方に配された座受C24と、この座受C24を前記支持基部C22及び背支桿C23に支持させる支持機構C25とを備えてなる。前記座受C24は、環状をなす座フレームC26と、この座フレームC26の四隅に設けられた取付板C27と、前記支持機構C25と連結するための前連結部C28及び後連結部C29とを備えてなる。そして、前記座フレームC26に座板C3を載置し、前記取付板C27に挿通させた図示しないボルト等の止着具により前記座フレームC26に前記座板C3を固定した状態で支持させている。前記支持機構C25は、例えば、図16に模式的に示すように、座フレームC26の前連結部C28を支持基部C22の前端部に連結する自由端構造をなす前リンク要素C251と、背支桿C23の中間部に設けられ前記座フレームC26の後連結部C29を回動可能に支持する座取付部C252とを具備してなる。
【0045】
座板C3は、図15及び図16に示すように、樹脂製の板材C31と、この板材C31の下面側に設けられた図示しない埋設ナットとを備えたもので、前記取付板C27に挿通させた止着具が前記埋設ナットに螺着されるようになっている。
【0046】
板材C31は、図15及び図16に示すように、椅子本体C2の座フレームC26に支持される周縁部C5と、この周縁部C5の内側に位置する中間部C6とを有し樹脂で一体に成形されたものであり、前記中間部C6の特定箇所、この実施形態では、中間部C6の全域が、前記縦桟領域又は横桟領域を備えた構造をなしている。
【0047】
前記周縁部C5は、図15及び図16に示すように、中間部C6の左右両側に位置する側縁部分C51と、中間部C6の後側に位置する後縁部分C52と、中間部C6の前側に位置する前縁部分C53とを備えたものである。前記側縁部分C51は、前記座フレームC26を包み込むように下方に湾曲している。前記後縁部分C52は、後上方に向けて湾曲している。前記前縁部分C53は、前下方に向けて湾曲している。
【0048】
前記中間部C6は、前記第1実施形態と同じ構造をなしており、図15では、詳しい形態を省略して、中間部C6を網掛けで示している。
【0049】
背板C4は、図16に示すように、前記背支桿C23の上端部に取り付けられることで、この背板C4を椅子本体C2に支持させており、前記背支桿C23と一体的に後傾動作を行うようになっている。
【0050】
このような構成のものであれば、従来のシンクロロッキング可能な椅子と同様に使用することができる上に、座板に関しては前述した第1実施形態に準じた効果が得られる。特に、この実施形態では、図15に示すように、座枠C24の前連結部C28及び後連結部C29が、座板C3の撓む範囲下で座フレームC26の左右を連結する構造ではないため、座板C3の下方への撓み変形を阻害するものが存在しない。したがって、座板C3の変形し得る範囲を大きく設定することも可能である。
【0051】
なお、板体は、座板を構成するものに限らず、背板を構成するものや、背板・座板を一体に構成したであってもよい。
【0052】
<第4実施形態>
すなわち本実施形態に係る椅子D1は、椅子本体D2に座板D3及び背板D4が一体となった背座一体板D7を支持させてなるものである。
【0053】
すなわち背座一体板D7は、同図に示すように、板材D31と、この板材D31の下面に突設した図示しない取付体とを備えたもので、この実施形態においては、樹脂により一体に成形されている。
【0054】
板材D31は、図17に示すように、椅子本体D2の左右の側フレームD25に支持される周縁部D5と、この周縁部D5の内側に位置する中間部D6とを有し樹脂で一体に成形されたものであり、前記中間部D6の特定箇所、この実施形態では、中間部D6の全域が、前記縦桟領域及び横桟領域を備えた構造をなしている。
【0055】
しかして本実施形態では前記縦桟領域において一定の周期で突出した突出点同士を結ぶ仮想の面が湾曲面状をなしたものとすることにより、斯かる湾曲形状を実現したものとなっている。
【0056】
このようなものであれば、着座者の着座姿勢に応じた形状をなしつつ、快適な座り心地を実現し得る椅子D1が実現する。
【0057】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0058】
縦桟領域又は横桟領域は、以上の実施形態で説明したような波状のものに限られない。波状のものであっても位相を30°または60°ずらす等種々変更可能である。
【0059】
また、以上説明した実施形態では、各帯状部材が、波状であって、その振幅及び周期を一定にしたものである場合について説明したが、振幅や周期が異なった縦桟領域又は横桟領域を組み合わせたものであってもよい。
【0060】
座板が、板材の上面を張り地で覆い設けたものや、さらに、その張り地と板材との間にクッションを介在させたものであってもよい。
【0061】
また、板材の素材は、椅子用のシェル等を成形するための樹脂に限らず、エラストマーを用いてもよい。
【0062】
以上説明した実施形態では、中間部の全域が、前記縦桟領域又は横桟領域を備えた構造をなしていたが、本発明はこのようなものに限られず、中間部の一部の領域にのみ前記縦桟領域又は横桟領域を備えているものであってもよい。その一例として、中間部の複数箇所の領域に前記縦桟領域又は横桟領域を備えているものが考えられる。
【0063】
前記座板の取付体は、図示実施例のものに限られないのはもちろんであり、板材に一体に設けられるものの他、別体の取付体を板材に取り付けるようにしたものであってもよい。
【0064】
上記第1実施形態の前フレームは、前記中間部が厚み方向に撓んだ場合に、前記中間部の下面と前フレームの上面との間になお隙間を介したものになっているが、中間部の下面が前フレームの上面に当接して中間部の下方への撓み範囲を制限するものであってもよい。
【0065】
上記第2実施形態の支持フレームは、前記中間部が厚み方向に撓んだ場合に、前記中間部の下面と支持フレームの上面との間になお隙間を介したものになっているが、中間部の下面が支持フレームの上面に当接して中間部の下方への撓み範囲を制限するものであってもよい。
【0066】
上記第3実施形態の支持機構は、座フレームの前端側を前リンク要素を介して支持基部に支持させるとともに、座フレームの後端側を背支桿の座取付部に枢支させたものであるが、このようなものに限られるものでなく、背板と座板とが一定の比率で同期して傾動するシンクロロッキング可能なものであれば、適宜なものを使用できる。
【0067】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、学校用または事務用等として好適に使用される椅子として利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
A1、B1、C1、D1…椅子
A2、B2、C2、D2…椅子本体
A3、B3、C3…座板
A31、B31、C31、D31…板材
A4、B4、C4…背板
A5、B5、C5、D5…周縁部
A6、B6、C6、D6…中間部
A61…縦桟領域
A61p…突出点
A62…横桟領域
A63a…補強リブ(縦桟リブ)
A63b…補強リブ(開口縁リブ)
A64…開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子本体に座板及び背板を支持させてなる椅子であって、
前記座板及び背板の少なくとも一方が、椅子本体に支持される周縁部と、この周縁部の内側に位置する中間部とを有する板材を備えたものであり、
前記中間部が、前後方向に一定の周期で連続して板厚方向に突没する波状をなす複数の縦桟領域と、当該複数の縦桟領域同士を連続させてなる複数の横桟領域とを有し、隣り合う前記縦桟領域同士は連続する波状の位相がずれており、前記板材に厚み方向に荷重がかかった際に板厚方向に突没する周期が長くなる方向に変形し得る断面形状をなしていることを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記縦桟領域と前記横桟領域との間に開口を形成している請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記開口の縁部から裏面側に補強リブを立設している請求項2記載の椅子。
【請求項4】
前記縦桟領域の縁部から裏面側に補強リブを立設している請求項1または2記載の椅子。
【請求項5】
前記縦桟領域において一定の周期で突出した突出点同士を結ぶ仮想の面が平板状をなしている請求項1、2、3または4記載の椅子。
【請求項6】
前記縦桟領域において一定の周期で突出した突出点同士を結ぶ仮想の面が湾曲面状をなしている請求項1、2、3または4記載の椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−135455(P2012−135455A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290106(P2010−290106)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】