説明

植物の活性付与剤の製造方法、活性付与方法及び活性促進剤並びにその施用方法

【課題】 この発明は、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の生成物による植物への活性付与及びその促進を目的としたものである。
【解決手段】 この発明は、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌を固体培地で培養して、その生成物を抽出し、又は前記菌の分生胞子を施用することにより、植物の活性付与及びその促進の目的を達成することができた。この発明は、このような特性を有する植物の活性付与剤の製造方法、活性付与方法及び活性促進剤並びに活性促進剤の施用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5(Trichoderuma hurzianum SK-5-5)菌の培地から抽出した糸状菌及び細菌に抗菌性を有する物質を得ることを目的とした植物の活性付与剤の製造方法に関する。また他の発明は、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の分生胞子の生成する物質によって植物の根、茎、葉等に病原菌に対する抵抗性を付与することを目的とした植物の活性付与方法及び植物の活性促進剤並びにその施用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トリコデルマ菌は、微生物農薬として病害防除に実用化されている糸状菌であり、Trichoderuma lignourum がタバコの白絹病の防除用農薬として登録されている(農薬登録 No.7023)。また英国、フランスでもTrichoderuma hurzianumを有効成分とする野菜の立枯病、苗腐病に有効な微生物農薬(F-stop)が登録されている。
【0003】
近来減農薬・生態系保全型の病害防除の必要性が強く唱えられ、特に生物防除方法は環境負荷の影響が少ないと考えられるので、精力的に研究が進められている。植物の根や根圏から分離される細菌や、菌類の中には植物の生育を促進するものがあり、それぞれ植物生育促進根圏(plant growth-promoting rhizobacteria:PGPR)、植物生育促進菌類(plant growth-promoting fungi:PGPF)と呼ばれている。
【0004】
前記有用根圏微生物であるPGPR、PGPFは植物の生育を促進するのみならず、各種の土壌病害を抑制することも知られている。また最近では、土壌病害のみならず、地上病害も抑制する事実も明らかにされ、前記PGPR、PGPFは、植物の全身抵抗性の誘導が関わっていることが見出されたと紹介されている(1999年6月号、今月の農業誌)。
【0005】
またコウライシバから分離選抜したPhoma,Trichoderma, Fusarium,Penicillium,Sterileなどの菌が、キュウリにおける炭そ病に対し、誘導抵抗性を示すことが報告されている(1999年6月号、今月の農業誌)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−192028号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】1999年6月号、「今月の農業」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、植物病原菌に抗菌性を有する物質を得ることを課題として研究しており、北海道十勝地方の土壌からTrichoderuma hurzianum SK−5−5(トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5)菌を分離した。この菌は、植物病原菌の80%を占めるとされる土壌伝染性病原糸状菌に対して広く拮抗性を示す菌であり、現在芝のブラウンバッチ、ラージバッチなどの Rhizoctonia類に微生物農薬(生菌製剤)として開発中のものである。前記トリコデルマ ハルジアナムSK−5−5菌の拮抗作用は、相手菌糸に接触し、コイリングをする事により、細胞質凝集を促し死滅させるものである。その外観的観察経過より見てペニシリアム(Penicillium sp)等が生産する抗生物質のような培地上で阻止円を示すほど活性が高いものではなく、菌糸同志の接触により発現するものと推定される。
【0009】
前記細胞質凝集作用が、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の生産する何らかの物質によってもたらされると考えられ、これを究明することを第一の課題としたものである。
なお、この発明で用いるトリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌は、日本国内工業技術院微生物工業研究所に受託番号「微工研菌寄第13327号」として寄託されている。微工研は、当該原寄託よりブダペスト条約に基づく寄託への移管請求を行ない、受託番号BP−4346が付与されている。
【0010】
前記従来のPGPR、PGPFは、特定植物(例えばキュウリ)に対し、炭そ病についての有効性を示すもので、今後研究の結果、その使用方法の改善などにより、他の植物、病原菌に対して有効なことが判明する可能性はあるとしても、未だ具体的植物、病原菌に対しては今後の課題とされている。
然し乍ら単に病原菌を殺菌するという従来の生物農薬の思考形態が、植物の根茎に亘り抵抗性を付与する方向に変りつつあることは、今後の植物栽培上重要な示唆を含むものである。
【0011】
この発明は、トリコデルマ ハルジアナム SK-5−5菌について、各種実験を重ねている間に、前記生物農薬の将来性と合致することに想到し、更に使用方法、対象植物等を選定、研究の結果、この発明を完成したのである。将来の植物栽培に多大の影響を与えるものとして、この発明はきわめて有望であり、将来の農業等を支える重要な手段の1つとなることに疑はない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の生産する物質により、細胞凝集作用(抗菌性)がもたらされるものと推定し、前記菌を培養、精製、同定した所、糸状菌又は細菌に抗菌性を有する物質を得たのである。
【0013】
また他の発明は、植物栽培に際し、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の分生胞子を覆土中に共存させて増殖させることにより、その生成物質により、各種植物の根茎活性を付与し、耐菌性を向上させることが判明し、前記従来の問題点を発展的に改善させて、実用性を確立したものである。
【0014】
即ち活性付与剤の発明は、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌を固体培地で培養し、抽出した物質であって、糸状菌に抗菌力を有することを特徴とした植物の活性付与剤である。また他の発明は、トリコデルマ ハルジアナムSK−5−5菌を液体培地で培養し、抽出した物質であって、細菌の一種(Staphylococcus aureus 209p)に抗菌力を有することを特徴とした植物の活性付与剤である。
【0015】
次に製造方法の発明は、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌を固体培地に植菌し、25℃〜30℃で7日〜15日間静置培養した後、抽出して、前記の活性付与剤を得ることを特徴とした植物の活性付与剤の製造方法であり、またトリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌を液体培地に植菌し、25℃〜30℃で4日〜10日間振盪培養した後、抽出して、前記の活性付与剤を得ることを特徴とした植物の活性付与剤の製造方法である。
【0016】
この発明において、使用する固体培地として、米培地を用いた。米培地は、米100%、大豆かす3%、滅菌水10%よりなる固定培地であって、培養中に培地の表面が乾燥しないよう、滅菌水を添加した。
【0017】
この発明において、使用する液体培地は、グルコース3.0%〜5.0%、ポリペプトン0.5%、Nacl0.8%、酵母エキス0.2%、炭酸カルシウム1.0%である。
【0018】
前記のように固定培地と、液体培地によれば、夫々の特性により、異なる物質を生成することが明らかとなった。このような結果についてのメカニズムは明らかでないが、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌に対する刺激その他の作用の相違、かつ培地構成物質に関する特性により、異なる物質を生成するものであって、前記米培地及び液体培地以外の成分の培地であっても同様の物質を生成することは十分考えられ、かつ生成効率向上等今後の研究課題は多大である。
【0019】
次に活性付与方法の発明は、植物栽培に際し、トリコデルマ ハルジアナムSK−5−5菌の分生胞子に施用手段を付加し、前記植物に活性を付与する覆土中に共存させることを特徴とした植物の活性付与方法であり、植物栽培に際し、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の分生胞子に施用手段を付加し、前記植物に活性を付与する覆土中に共存させて増殖させ、糸条菌に抗菌力を有する物質の生産を持続させることを特徴とした植物の活性付与方法である。また植物栽培に際し、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の分生胞子に施用手段を付加し、前記植物に活性を付与する覆土中に共存させると共に、前記分生胞子の増殖促進条件を付与することを特徴とした植物の活性付与方法であり、分生胞子の施用手段は、植物の種子処理、覆土と分生胞子との混和、分生胞子の散布、潅水又は埋設したものである。更に増殖促進条件は、土壌温度を15℃〜30℃とし、水分を30%以上としたものであり、他の増殖促進条件は、土壌に増殖可能な通気性又は含気性を付与するものである。
【0020】
次に他の発明は、多孔性セラミックス粒子その他の担体に、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の分生胞子を付着させたことを特徴とする植物の活性促進剤であり、無菌処理した無機質粒子に、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の分生胞子を混合し、又はトリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌を付着させ、前記無機質粒子と他の粒子とを混合したことを特徴とする植物の活性促進剤である。またトリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の分生胞子を培養し、これを培地と共に適量宛分離し、無菌の多孔質粒子に栄養分(例えばキトサン)と共に付着させた後、所定量宛包装したことを特徴とする植物の活性促進剤であり、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の分生胞子を液体培地で増殖させ、これを無菌の多孔質粒子に栄養分と共に付着させた後、多孔質粒子を所定量宛包装したことを特徴とする植物の活性促進剤である。
【0021】
また他の発明は、前記記載の植物の活性促進剤を、育苗土壌に混入し、又は育苗時に土壌に散布或いは舗場に散布することを特徴とした植物の活性促進剤の施用方法である。この場合の活性促進剤の使用量は、トリコデルマ ハルジアナムSK−5−5菌5×10/g〜5×10/gを1m当り5g〜100g散布又は栽培土1m当り5g〜100g混入するものである。前記発明における植物は、てん菜、メロン、トウモロコシ、水稲、キャベツ及びタマネギなどであり、根、茎、葉及び実を採取する植物について、何れも有効であることが確認され、その効果も収量増加、糖度増加その他の有為性が明確になった。
【0022】
前記の発明におけるトリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の分生胞子を培養し、その単離精製物を検討した所、UV吸収スペクトラム、質量分析及びNMR測定結果より、Aib(α-Aminoisobutyric acid)を含むPolypeptideの、Peptibols系と判断した。Peptibols系抗 生物質はアミノ酸配列の中に α-Aminoisobutyric acid(Aib)を含んでおり、 N末端がAcetyl基で、C末端が Amino alcohol結合であることが特徴である(多くは Phenylalaniol基でおわる)。なお今回の精製物、A成分、B成分、D成分は質量分析より一部のアミノ酸配列を下記のように推定し、その部分構造を既存のPeptibols のアミノ酸配列と検索した結果、一致する物が無く、新規 Peptibols系であると推定した。Eはアミノ酸配列の推定が困難であるため判断できなかった。
【0023】
UV吸収波長:4成分とも末端吸収
A成分=1933
B成分=1949または1964
D成分=1810
E成分=1829
推定構造:
A成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-Aib-Gln-Aib-Aib-......
B成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Val-Aib-Gln-Aib-Aib-......
D成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-.....
前記のように生成物質は新規配列のアミノ酸と認められるが、植物の根より吸収されて、茎及び葉に至り、ついで消失する。従って収穫時の植物には、根、茎、葉共に残留の有無は不明であるけれども、当初(発芽以後の幼茎等)植物に吸収された段階で、植物のDNAに何等かの変化を与えるものか、残留するものと推定される。何故ならば、一旦抗菌性を取得した植物は、根茎等の分裂生成に拘らず抗菌性の持続が認められるからである。従って免疫性付与(活性付与)と類似であり、育苗時又は比較的若い植物(実質的に植物の増殖時)に施用すれば、再使用の必要性が認められないのは、一旦活性ができると、その植物の一生に亘り効力が持続されるからである。
【0024】
この発明のトリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の分生胞子は、植物の苗の時、又は播種時に覆土中に混入すると、前記分生胞子の増殖に伴って生成物質も増加し、これが根から吸収されて茎葉に至り、全体に活性が付与されるので(恰も免疫性付与の如く)、植物が生長して根又は実などを採取する時期(例えば播種後1ヶ月〜6ヶ月後)になっても、前記抗菌性は保たれることが確認された。従って多くの植物は、一回の処理(散布その他の手段)によって活性が付与されてその目的を十分達成することができた。
【0025】
この発明における分生胞子の担体は、多孔質セラミックス粒子(例えば麦飯石の粒子)であって、これをキトサン液に浸漬し、水分を蒸発したものである。前記粒子の大きさについて特定はないが、取扱いの容易性から直径0.5mm〜5mm位が好ましい。前記担体は、多孔質セラミックス粒子(天然又は人工)に限定されることなく、分生胞子に悪影響がない物は使用することができる。
【0026】
前記セラミックス粒子に予め培養したトリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌を5×10/g〜5×10/g宛付着させ、これを1m当り5g〜100g宛散布する。この場合に、水と共に散布する場合もあるが、潅水するのは、水分付与を目的とする場合と、分生胞子を均等に浸透させて、土壌中に均等に分布させる為に用いる場合とがある。
【0027】
前記トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の量を5×10/g未満にした場合に、前記菌の繁殖が阻害されなければ、増殖されるが、何等かの理由により増殖しない場合があるので、一応の目途とした。然し乍ら菌の増殖は環境によって著しく相違するので、施用後の環境整備によっては更に少量(例えば5g未満)の菌でも植物の生育に合せて増殖し、必要量の生産物質を得ることは可能と考えられる。
【0028】
一方菌量の上限を5×10/g以下としたのは、前記生産物質の関係から不必要と考えたからである。菌の増殖条件が悪い場合には、比較的高濃度の施用を要するが、5×10/gを越える必要はないと考えられる。この発明におけるトリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌は通常分生胞子として与えるが、施用時の環境が厳しい場合(例えば高温時、寒冷時)には厚膜胞子として与える方が好ましい場合もある。
【0029】
前記発明において、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌を固体培地又は液体培地又はその他の培地で培養し、その生成物を抽出して、これを植物の活性付与剤として施用する場合には、例えば0.1〜1g/m必要となる。
【0030】
また分生胞子を散布する場合には、当該分生胞子の増殖下限菌数(例えば5×10/g)が必要である。
【0031】
この発明の植物の活性付与剤は、菌の時に1回施用するだけで、爾後収穫まで施用する必要はない。この点は一般農薬と異なり、そのメカニズムは不明であるが、植物のDNAに何等かの影響を与え、又は生成物質が植物の根、茎、葉に微量残留して、前記特性を発揮するものと推定される。
【0032】
前記において、分生胞子を施用する場合には、舗場などで、分生胞子が十分増殖し、飽和に達したならば、分生胞子は急速に活力を失い、遂には消滅することが確認された。尤も一部分分生胞子が残留していることも考えられ、増殖条件が良好になれば再び増殖する場合も有り得る。
【0033】
前記発明においては、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5を固体培地又は液体培地で培養し、その生成物質中A、B、C、D、E成分について単離精製したが、活性物質は、新規アミノ酸配列をもつ新規物質で、その分子量は、A成分=192,B成分=206,C成分=168,D=154,D=220であって、当該アミノ酸又はその周辺物が植物の活性化に有効であろうと推定される。
【0034】
そこでトリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の分生胞子を所定濃度(例えば1g中5×10以上)以上で施用(土壌に混用、又は根物の根圏に散布)することにより、所期の目的を達成することが確認されている。恐らく、植物により最適の成分又は混用比があるに違いない。
【0035】
そこで前記トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌を従来法によって多量培養し、その生成物質を抽出精製して植物の活性付与剤を得ることができる。前記生成物質は、前記A成分、B成分、C成分、D成分及びE成分が判明している。
【0036】
前記発明は、各種植物について有効であるが、実験の結果(実験中も含む)によれば、水稲、トウモロコシ、てん菜、メロン、馬鈴薯、さつまいも、いちご、玉ねぎ、キャベツなどに有効なことが確認された。
【発明の効果】
【0037】
この発明によれば、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌を固形培地に培養した場合には、表2のように、糸状菌について抗菌性を示すことが認められた。
またトリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌を液体培地で培養した場合には表2のようにバクテリアに有効であるものと認められた。
この発明によれば、植物の生育初期に、床土等にトリコデルマ ハルジアナムSK−5−5菌を適量宛混入することにより、又は生育時の散布など根圏に施用することにより、植物を活性化してその根・茎・葉を改善し、罹病防止、病原菌に対する耐性を付与することができる。これにより生育時の発病を激減させるのみならず、植物の生育を促進し、増収を図り、糖度を向上させるなどの諸効果がある。
然して前記効果は、前記トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の分生胞子の生成物質(例えば新規アミノ酸)によるものと推定されるが、前記分生胞子は増殖後、また前記生成物質は、植物の成長終期には何れも消失するものと認められるので、如何なる意味の影響もなく、かつ連続使用についても何等の悪影響も見られない効果がある。更に前記生成物質は新規アミノ酸及びその周辺物質と認められるから、植物の葉、茎などに微量残留しても無害である。
【0038】
またこの発明のトリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌は、土壌中で増殖するので、環境条件が増殖に適する場合には、当初の散布濃度が不十分の場合であっても、増殖により必要量の生成物質を補給し、所期の目的を達成した後、自然消滅する特性が認められ、人体への影響はもとより、土壌、植物その他環境破壊などのおそれは皆無である。更に連作不良の作物についても、連作の不利は解消されるものと推定された。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の菌のA培地培養におけるHPLC分析グラフ。
【図2】同じく図1の拡大グラフ。
【図3】同じくA成分のUV吸収波長を示すグラフ。
【図4】同じくA成分のH−NMR(CDOD)を示すグラフ。
【図5】(a)、(b)同じくA成分の質量分析測定のグラフ。
【図6】同じくB成分のUV吸収波長を示すグラフ。
【図7】同じくB成分のH−NMRを示すグラフ。
【図8】(a)、(b)同じくB成分の質量分析測定のグラフ。
【図9】同じくD成分のUV吸収波長を示すグラフ。
【図10】同じくD成分のH−NMRを示すグラフ。
【図11】(a)、(b)同じくD成分の質量分析測定のグラフ。
【図12】同じくE成分のUV吸収波長を示すグラフ。
【図13】同じくE成分のH−NMRを示すグラフ。
【図14】(a)、(b)同じくE成分の質量分析測定のグラフ。
【図15】同じくA成分のUV吸収波長を示すグラフ。
【図16】同じくA成分のHPLCを示すグラフ。
【図17】同じく図16の検出されたAピークの質量分析のグラフ。
【図18】同じくB成分のUV吸収波長を示すグラフ。
【図19】同じくB成分のHPLCを示すグラフ。
【図20】同じく図19の検出されたAピークの質量分析のグラフ。
【図21】同じくC成分のUV吸収波長を示すグラフ。
【図22】同じくC成分のHPLCを示すグラフ。
【図23】同じく図22の検出されたAピークの質量分析のグラフ。
【図24】同じくC成分の質量分析グラフ。
【図25】同じくC成分のピークのH−NMR(CDOD)を示すグラフ。
【図26】同じくC成分の構造図。
【図27】同じくD成分のUV吸収波長を示すグラフ。
【図28】同じくD成分のHPLCを示すグラフ。
【図29】(a)同じくUVλ230nmで検出されたD1成分を示すグラフ。(b)同じくUVが末端吸収でD1成分とRT0.6差で検出されたD2成分を示すグラフ。
【図30】(a)同じく図29で検出されたD1成分の質量分析を示すグラフ。(b)同じく図29で検出されたD2成分の質量分析を示すグラフ。
【図31】同じく米培地の培養抽出物精製経過の系統図。
【図32】同じくB培地Iの培養抽出物精製経過の系統図。
【図33】同じく新規物質(MW:198)1、2、3の誘導体の構造図。
【図34】同じくたまねぎに施用した際、越冬前の生育調査部の説明図。
【図35】同じくたまねぎのバルブ径と葉面積の相関図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
この発明は、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌を固体培地又は液体培地で培養して抗生物質を生成することを特徴とした植物の活性付与剤である。また製造方法の発明は、トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌を米培地などの固体培地又は液体培地に植菌し、所定温度(例えば25℃〜30℃)で、所定時間(例えば4日〜30日)間培養した後、精製、抽出することを特徴とした植物の活性付与剤の製造方法である。
【0041】
また活性付与方法の発明はトリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の分生胞子を根圏付近の覆土中に共存させるものである。この場合に前記分生胞子は多孔性セラミックス粒子を担体とする。このようにすれば、散布の容易性と、十分な酸素の補給性を確保することができるので好ましく、前記多孔性セラミックス粒子にキトサンその他、分生胞子の増殖時に必要な栄養分を補給することが一層好ましい。前記のようにすれば、分生胞子の増殖を円滑かつ確実にすることができるので、必然的に有用物質の単離生成物も多くなる。
【0042】
次に活性付与剤の発明は、土壌中の増殖環境を良好にする為に、土壌温度を15℃〜30℃とし、水分を30%以上とするが、その他の雑菌処理については必要性がない場合もある。更に施用方法の発明は、種子への付着、散布、土壌との混和、散布潅水による浸透などがある。
【実施例1】
【0043】
(供試菌名称)
Trichoderuma hurzianum SK-5-5(トリコテ゛ルマ ハルシ゛アナム SK-5-5)
供試菌は97年1月北海道グリーン興産より寒天培地のスラント1本を受領した。供試菌は下記の斜面培地に植菌し、28℃で5日間培養後、冷蔵にて保存した。
【0044】
寒天斜面培地組成
オートミール 5.0%
シュクロース 5.0%
寒天 1.0%
28℃、5日間培養後冷蔵保存
【0045】
(培養)
培養は500ml三角フラスコを用い、米培地(A培地)と液体培地(B培地I)の2種類で行った。A培地の条件は、28℃で静置培養(培養途中に滅菌水10mlを添加)とし、B培地Iの培養は、28℃で270rpmの振盪培養をした。
培地組成:A培地
米 100%
大豆かす 3%
滅菌水 10%
培地組成:B培地I
グルコース 5.0%
ポリペプトン 0.5%
NaCl 0.8%
酵母エキス 0.2%
炭酸カルシウム 1.0%
【0046】
(検定法)
検定は、すべてペーパーディスク平板法によるin vitroで行い、供試菌には下記の菌を用いた。
【0047】
(1) Rhizoctonia solani(AG-1IA)
検定用培地にはPDA(Nissui)1.3%、Chloramphenicol 0.002%の組成からなる培地を用いた。Rhizoctonia の菌糸の先端をコルクボーラーで抜いたものを平板培地の中央にのせ、ブロスを染み込ませたペーパーディスクを置き菌糸の伸長の様子を観察した。
【0048】
(2) Botrytis cinerea
検定用培地にはPotato-extract 20.0%、Sucrose 2.0%、寒天1.5%の組成からなる培地を用いた。検定はペーパーディスクに試料をのせ風乾後シャーレにのせた。シャーレをインキュベーターに入れて培養し、ペーパーディスクの周りに阻止円が形成されているか否かを観察した。
【0049】
(3) 抗菌スペクトラム検定菌
抗菌スペクトラムを下記の検定菌を用いて測定した。
Bacillus subtilis ATCC6633
Micrococcus luters ATCC6633
Staphylococcus aureus 209P
Escherichia coli NIHJ
Saccharomyces cerevisiae SHY3
Candida albicans M9001
Candida pseudotropicalis M9035
Cryptococcus neoformans M9010
Debaryomyces hansenii M9011
Trigonopsis variabilis M9031
Schizosaccharomyces pombe M9025
Hansenula schneggi IAM4269
【0050】
(培養法)
(1) A培地培養法
Rhizoctonia solani(AG-1IA) 活性成物
糸状菌Rhizoctonia solani(AG-1IA)に対するA培地の培養抽出液活性物の単離精製。
A培地(米培地1kg)500mlの三角フラスコ1本に米100gと大豆かす3gを加え、同じ条件のもの10本分の培地を調製した。滅菌後エーゼで植菌して、28℃10日間(菌がよく増殖するように途中何度かフラスコを振る。また培地の表面が乾いてきたら滅菌水を添加する。)静置培養後、50%アセトン水を2リットル加え抽出をした。ここで培養物50%アセトン抽出液2リットルを得た。
【0051】
(2) B培地培養法
Staphylococcus aureus 209P 活性成物
細菌Staphylococcus aureus 209Pに対するB培地培養抽出液中活性物の単離精製。
【0052】
【表1】

【0053】
液体培地であるB培地Iの抗細菌活性成分をより多く生産する目的で培地組成の窒素源と炭素源の割合が異なるI〜IVの4種を比較検討した。各培地500ml三角フラスコ2本を用い、培養5日間後培養液を5倍濃縮に調製し、検定に用いた。
【0054】
(3) B培地I培養法培地
検討の結果よりB培地Iで精製用培養を行ったB培地(グルコース 5.0%、ポリペプトン 0.5%、NaCl 0.8%、酵母エキス 0.2%、炭酸カルシウム 1.0%)500ml三角フラスコに、100mlの培地を調製した。滅菌後植菌し、28℃、5日間、振盪培養を行った。計1.5リットルの培養液と等量のアセトンを加え、50%アセトン抽出液3リットルを得た。
【0055】
(精製法)
(1) A培地培養抽出物精製法A培地培養50%アセトン抽出液2リットルのアセトン留去後、1リットルをHP−20−Sephadex カラム(60.0cm×4.5cm φ)に全量を通過吸着させた。等量の水で洗浄後、等量の50%アセトン、次いで等量の100%アセトンで溶離させた。それぞれの分画を検定菌Rhizoctonia solani(AG-1IA)で検定後、活性物質が100%アセトン溶離部に溶離されていることを確認した。続いて100%アセトン溶離部1リットルを濃縮し、1098mgの粗精製物を得て、その中の100mgを展開溶媒メタノール系のLH−20カラムにかけた(100.0cm×2.0cmφ)。分画をアッセイし、活性分画を確認した。これら活性分画を回収後シリカゲルTLC(酢酸エチル:酢酸:水=5:1:1)で展開し、モリブデン硫酸呈色反応をしたところ、Rf=0.3付近にスポットが検出された。同時に不活性分画の展開部にはこれらのスポットは検出されなかった。このことから活性物はRf=0.3付近に検出されるスポットと推定し、さらに精製を進めた。シリカゲルPTLC展開(酢酸エチル:酢酸:水=5:1:1)、かき取りメタノール抽出後、HPLCを用いて単離精製をした。単離精製物は器機分析を実施し同定をした(図31)。
【0056】
(2) B培地I培養抽出物精製法
B培地培養50%アセトン抽出液3リットルのアセトン留去後(1.5リットル)、活性炭吸着カラム(60.0cm×2.0cm φ)に全量1.5リットルを通過、吸着させた。等量の水で洗浄後、等量の50%アセトン、続いて等量の100%アセトンで溶離させた。各分画を検定菌Staphylococcus aureus 209Pを用いて検定した結果、100%アセトン溶離部に活性物質が溶離されていることが確認された。100%アセトン溶離部1.5リットルを濃縮し、酢酸エチルで分配抽出を行い、次いでメタノールを展開溶媒とするLH−20を実施し、HPLCで単離精製を行った。単離精製物は機器分析を実施し同定をした(図32)。
【0057】
(単離精製物生物活性法)
(1) A培地単離精製物評価法
4成分の生物評価法
検定用培地にはPDA(Nissui) 1.3%、Choloramphenicol 0.002%の組成からなる培地を用いた。Rhizoctonia solani(AG-1IA)の菌糸の先端をコルクボーラーで抜いたものを平板培地の中央に乗せ、サイドに調製した単離物質を染み込ませたペーパーディスクを置き菌糸の伸長の様子を観察した。
【0058】
(2) B培地I単離精製物評価物
C成分の生物評価(MW168)
単離精製したC成分(MW:168)は新規物であり、きわめて単純な構造を保持している。母核としての興味が持たれた為生物評価を拡大して実施した。
【0059】
(3) バクテリア属の評価
Bioassay
試験菌を加えた寒天培地をシャーレに入れ固める。その上に試料を含むペーパーディスクをのせ、37℃で18時間培養した後、発育阻止円の形成を確認する。
【0060】
(a) 使用菌株
Staphylococcus aureus 209P、Pseudomonas syringal(タバコ野火病菌)、Xanthomonoas Campestris pv.citri(カンキツかいよう病)、Erwinia sp(ウメかいよう病)の4菌株を用いた。
【0061】
(b) 使用培地
前培養にはブイヨン培地 (DIFCO)を用い、一晩培養後、×10 に希釈し、これを上層の培地0.5%に混ぜ、菌測定培地には MYCIN AGAR (ミクニ化学)を用いた。
上層 − MYCIN AGAR 1.5%(ミクニ化学)+ブイヨン2%培地 (DIFCO)
にて一晩培養した培養液×102 に希釈したものを0.5%加える。
下層 − MYCIN AGAR 2.0%(ミクニ化学)
【0062】
(c) 抗菌測定
ペーパーディスクに1000pppm,500ppm,250ppmに調製した単離精製物を染み込ませ、風乾後シャーレに乗せ、37℃で18時間培養し、発育阻止円の形成の有無を観察した。
【0063】
(4) ブドウ球菌に対する抗菌力(MIC)の測定
(a) 使用菌株
S.aureusu 209P JC−1,第1G保存の臨床分離黄色ブドウ球菌20株(MSSA,MRSA 各10株)及び基準菌株である E.coli NIHJ JC−2の計22株を用いた。
【0064】
(b) 使用抗菌薬
MW:168、methicllin(DMPPC,注射用スタフシリン、Lot.No.FSB 19,900μg/mg、萬有製薬)、vancomycin (VCM,Lot.No.41H0457,10750SIGMA)
【0065】
(c) 使用培地
抗菌力測定にはMueller-Hinton agar (MIA:Difco)を用い前培養には、Mueller Hinton broth(MHB:Difco)を用いた。
【0066】
(d) 抗菌力測定
使用菌株に対する各薬剤の最小発育阻止濃度(MIC)は日本化学療法学会標準法に準拠し、寒天平板希釈法にて測定した。菌株はMHAに塗抹し、37℃で一晩培養して生育したコロニーをMHBにて37℃で一晩培養し、その菌液を100倍希釈(E.Coliのみ1000倍希釈)したものを接種菌液とした。
【0067】
(結果)
(1) 検定菌の結果A培地とB培地Iの培養液活性は表2の通りである。
抗菌スペクトラムを下記の検定菌を用いて測定した。
【0068】
【表2】

【0069】
A培地の培養抽出液中の検定の結果、Rhizoctonia solani(AG-1IA)の菌糸がA培地培養抽出物のペーパーディスクを避けている様子が観察された。本菌が生産するA培地培養液中の活性物が、菌糸の成長を妨げる物質を生産していると推察した。このためA培地培養液中より、Rhizoctonia solani(AG-1IA)に阻害活性を示す物質を指標に単離精製を試みた。
【0070】
またB培地Iの培養抽出液中の検定の結果、Botrytis cinerea、Rhizoctoniasolaniに活性は確認されず、バクテリアにのみ発育阻止円の形成が確認された。このことは、本菌は拮抗作用以外の抗菌力があると見られ、抗生物質を生産している可能性が考えられた。特にStaphylococcus aureus 209Pに形成された発育阻止円はクリアーであった為、B培地IではバクテリアStaphylococcus aureus 209Pに対する活性物質を指標に単離精製を実施することにした。A培地培養物とB培地I培養物の抗菌スペクトラムは異なっており、それぞれ系統の異なるものを生産していると思われた。それぞれの活性物を単離精製することとした。
【0071】
(2) 培養の結果
(a) A培地培養結果
A培地(米培地 1kg)500mlの三角フラスコ10本分を28℃で10日間、静置培養し、培養物50%アセトン抽出液2リットルを得た。
【0072】
(b) B培地検討と培養結果
表1に表したB培地IとB培地IIに活性が認められ、B培地Iにより強い活性が認められた本菌は、窒素源が少ない条件で活性物を生産することが確認された。この結果よりB培地Iを用いて28℃で5日間、振盪培養をした。
【0073】
(3) 精製結果
(a) A培地培養精製結果
シリカゲルPTLC処理後の活性分画を粗精製物として、HPLC(0.05%TFA含 MeOH/HO)で純度の確認を行った。分析では0分から30分にかけてメタノール0%から100%のグラジエントをかけ、さらに30分から100%メタノールで流速1ml/minで分析したところ、RT(リテションタイム)32.5分(Fr65)で検出された(図1)。一見、単一物質のピークが検出されたかのように思われたが、拡大することにより複数ピークの存在が明らかとなった(図2)。RTの速い方からA,B,C,D,Eと称し(図2)、そのうちの4成分を単離精製した。単離精製物の成分と量は、A成分 7.2mg,B成分12.1mg,D成分 3.5mg,E成分 4.5mgであった。ピークCは量が少量であり、精製は断念した。
【0074】
(b) B培地I培養精製結果
それぞれの分画のアッセイより活性Fr41〜54に活性があることを確認し回収した。HPLC(0.05%TFA含MeOH/HO)分取、分析を行い検出されたピークのRTの速い方からA,B,C,D,Eと数え、5成分の存在を確認した。このうちC成分 8.1mg単離精製することが出来た。
【0075】
(4) 機器分析の結果
(a) A培地単離精製物UV吸収スペクトラム、質量分析及びNMR測定結果(図3〜14)より、Aib(α-Aminoisobutyric acid)を含むPolypeptideの、Peptibols系と判断した。Peptibols系抗生物質はアミノ酸配列の中に α-Aminoisobutyric acid(Aib)を含んでおり、N末端がAcetyl基で、C末端が Amino alcohol結合であることが特徴である(多くは Phenylalaniol基でおわる)。なお今回の精製物、A成分、B成分、D成分は質量分析より一部のアミノ酸配列を下記のように推定し、その部分構造を既存のPeptibols のアミノ酸配列と検索した結果、一致する物が無く、新規 Peptibols系であると推定した。Eはアミノ酸配列の推定が困難であるため判断できなかった。
【0076】
UV吸収波長:4成分とも末端吸収(図3、図6、図9、図12)
A成分=1933(図5)
B成分=1949または1964(図8)
D成分=1810(図11)
E成分=1829(図14)
推定構造
A成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-Aib-Gln-Aib-Aib-...
B成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Val-Aib-Gln-Aib-Aib-...
D成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-...
【0077】
(b) B培地I(液体培地)活性物
機器分析の結果C成分は、分子量168(C)の新規物質であることが推定された。他の成分について単離精製は非常に困難であり、不可能と判断したが、LC/MS を実施した。A成分のUV吸収波長は末端であった(図15)。HPLCの条件はカラムCapcel pac C18 UG120 (2×150mm)を用い、1%酢酸:アセトニトリル=98:2、流速0.2ml/min、温室の条件で分析した。A成分は、RT7.48分に検出された(図16)。A成分が検出された分画の質量分析の結果、分子量は192であることを推定した(図17)。同じくB成分についても同様の分析をしたところB成分もUV吸収波長が末端(図18)で、HPLCのRT 12、45分に検出された(図19)。質量分析の結果、分子量は206であることを推定した(図20)。C成分は単離精製が可能であった分画である。C成分のUV吸収波長は270nm(図21)で、HPLCのRTは15.92分に検出された(図22)。質量分析の結果、分子量は168であることを推定した(図23、24)。また溶媒CDODで溶解し、NMRを測定(図25)、解析したところ五員環を含み、共役結合をもつ新規物質であることが推定された。推定構造を図26に示した。D成分はUV吸収波長が230nm付近にあり(図27)、HPLCのRTは30.28分に検出された(図28)。しかし再度HPLCを実施し、UVスペクトラム検出器の波長を末端と230nmで分析した結果、RT0.6分の差で2成分(D1,D2)存在していることが確認された(図29)。それぞれの質量分析の結果、RTの速いUV吸収が230nmのものは分子量154であった(D1)。たまRTが0.6分遅れて検出される成分の分子量は220であることを推定した(D2)(図30)。これらの分子量の明らかとなった成分を分子量の少ない順にならべると154(D1),168(C),192(A),206(B),220(D2)であることが確認された。
【0078】
(5) 生物評価結果
(a) A培地培養単離精製物生物評価結果
4成分の生物評価結果
A,B,C,D成分について5000ppmから希釈し、5000ppm,2500ppm,1250ppm,625ppmで検定した。結果A成分、E成分は1250ppmまで Rhizoctonia solaniの菌糸の伸長を阻害しおり、B成分、D成分は625ppmまでRhizoctonia solaniの菌糸の伸長を阻害しているのが確認された。
【0079】
(b) B培地I培養単離精製物生物評価結果
(イ) バクテリア属の評価結果
B培養物(MW168) のバクテリアに対する生物活性は発育阻止円が形成されていなかったことから抗菌力は無いか、弱いものと考えられた。
【0080】
(ロ) ブドウ球菌に対する抗菌力(MIC)の測定結果は表3の通りである。
【0081】
表3に示したようにB培養物(MW168) は今回測定した濃度において抗菌力を示さず、ブドウ球菌に対する抗菌力は無いか極めて弱いものと考えられた。
【0082】
【表3】

【0083】
考察A培地培養物より単離精製した成分からは、Aib(α-Aminoisobutyric acid)を含むPeptibols系のもの4成分を単離することが出来た。Trichodermaが生産する Peptibols系のものは幾つかすでに報告されているが、今回単離精製したものは、それらのものとは一致しなかった。また、それぞれの成分のアミノ酸配列の結果、3成分が新規の配列であることが推定された。(E成分のみ配列を測定するのが不可能だった)さらにin vitro試験ではRhizoctonia solani(AG-1IA)の菌糸を阻害している様子が観察された。この結果から本菌の米培養抽出物中にRhizoctonia solani(AG-1IA)に対する菌糸伸長阻害物質が生産されていることが明らかとなった。本菌の拮抗作用である相手菌糸との接触により発現する細胞質凝集を促し死滅させる物質そのものであるという断言はまだ出来ないが、本菌の米培養抽出物中に菌糸成長伸長抑制物が生産されていることは明らかである。
【0084】
またB培地I培養より単離精製した成分はMW:168の新規(3(3-hydroxy-cyclopropene 5-one-2yl)2-propenoic asid)であり、Bioassay を幾つか実施したが活性は無いか、きわめて弱いものと判断した。おそらく活性本体はMW:168周辺化合物であり、MW:168は活性物の副成物であると推測している。またMW:168周辺化合物の分子量はMW:154、MW:192、MW:206、MW:220であり、分子量の差がそれぞれ14であることがわかる。これはメチル基一個分と同量であり、メチル基の増減による活性の違いも考えられる。またMW:168は新規な構造を保持しているが、構造検索より類似していた化合物が幾つか報告されていた。その中でMW:168に一番近い構造であったもの(図33)は、鳥取大学のPGR活性スクリーニングで見出されたものであり、糸状菌Penicillium valiabile SOPPより代謝され単離精製されたと報告され、C885 (MW:198)の組成式で表されている新規物質であるが、活性は弱いものと報告されている。
【実施例2】
【0085】
この発明の植物の活性促進剤をぎんがメロンについて農地で施用した所、次の結果を得た。
【0086】
実施場所 北海道常呂郡訓子府町弥生
田川農園
実施期間 平成11年4月23日〜同年7月29日
実施条件 アグロミックSK−10(トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の商標、以下同じ)を50g/mの割合でメロン床土に散布した。
直径1〜2mmの麦飯石に、5×10/gの分生胞子を付着させてあった。試験区、対照区共に200mで、両区の相違は、アグロミックSK−10の散布の有無だけであった。農薬、追肥は一切しなかった。
【0087】
前記アグロミックSK−10を平成11年4月23日散布、平成11年4月26日定植、平成11年7月29日収穫を開始した。ぎんがメロンの平均重量と糖度は表4の通りである。
【0088】
【表4】

【0089】
調査経過の特徴
(1) 初期段階の特徴として、根の活着が顕著で葉形が大きく茎が太い上に花めが大きい。
(2) 中間階段の特徴は、つる(ヘタ)の状態がガッチリして対照区と大きな格差があり、勿論農薬の使用は一切無く苗の立枯れ、つる割れ病、つる枯れ病の兆候も無かった。
(3) 収穫時の特徴としては、果実が大きく形が揃っており、ネットは太くて、張りは抜群であった。
(4) 食味検査について、果実全体に糖度が等しく、外皮ぎりぎりまで果肉が柔らかく、糖分が高く、しかもさらっとして上品な味覚である(対照区のメロンとは確実に格差を生じた)。
(5) 果実がしまっており、収穫後相当長期(対照区の1.5倍以上)の保存が可能であった。
【実施例3】
【0090】
実施場所 明治製菓株式会社生物科学研究所
実施期間 平成11年4月〜同年8月
実施条件 4月6日播種
4月8日〜22日発芽、育苗
5月7日定植、アグロミックSK−10の散布
2×10/g、30〜40g/m
6月4日〜7日交配
7月12日〜23日収穫
前記中適宜施肥、潅水した。前記実施により、表5の結果を得た。
【0091】
【表5】

【0092】
結果
糖度は施用区の方が1.5%高かった。SK−10施用によりショ糖量が上昇し、ブドウ糖、果糖が抑制された。SK−10の一度の施用により糖度が向上したことは、根圏における相互作用により光合成産物の転流その他活性が付与された結果である。
【実施例4】
【0093】
この発明の植物の活性促進剤をてん菜について施用した所、次の結果を得た。
【0094】
実施場所 北海道斜里町朱丹
実施期間 平成11年3月12日〜同年10月7日
実施条件 ポット上部土約30kgに対し、アグロミックSK−55(トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の商標)相当量を混和処理した。分生胞子は2×10/g以上であった。覆土に対し殺菌処理なし。菌定着の為に3月下旬〜4月中旬、週一回程度潅水を実施した。7月30日アグロミックSK−55の100倍液を株元と葉面に2リットル/m噴霧散布した。処理区と対照区との相違は、殺菌処理しないことと、アグロミックSK−55の処理をしないことであり、施肥量、施肥方法その他一切同一とした。
【0095】
結果
上記実施について、平成10年7月29日収穫した所、表6の実数、表7の比率の結果を得た。
【0096】
【表6】

【0097】
【表7】

【0098】
前記実施例によれば、根重が32%増加し、糖量が40%増加している。従って同一面積で40%増収したことになり、大変な成果である。
【0099】
前記実施例によれば、発芽時の混和と、7月30日にアグロミック SK−55の散布で、収量の著しい増加が認められたことは、アグロミック SK−55により、てん菜の根茎を活性化し、これにより養分吸収その他が合理的、かつ強力になり、細胞分裂も順調になったものと推定される。
【0100】
てん菜の場合にも種子の処理、土壌混和、中間散布など、今後は施用量と時機を研究することにより、更なる利点が浮上する可能性がある。
【実施例5】
【0101】
この発明の植物の活性促進剤を水稲について施用した所、次の結果を得た。
【0102】
実施場所 北海道札幌市清田(佐々木農園)
北海道夕張郡田仁町(樋山農園)
北海道雨竜郡北竜町(高橋農園)
実施期間 平成11年5月6日〜同年9月16日
実施条件 品種名 ほしのゆめ、きらら397
アグロミックSK−10(トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5菌の商標)散布量
A… 50g/m、分生子2×10/g
B…100g/m、分生子2×10/g
対照区には、タチガレンエース液を散布し、追肥した(従来法)以外は同一である。
【0103】
前記の条件で、水稲栽培した所、表8(佐々木農園)、表9(樋山農園)、表10(高橋農園)の結果を得た。
【0104】
【表8】

【0105】
【表9】

【0106】
【表10】

【0107】
前記実施例によれば、きらら397の場合に、蛋白質で、慣行区に比べて4〜6ポイント下がり、アミロースで1〜3ポイントの差が確認された(1ポイントは0.5とされる)。
【0108】
そこで味度を測定した所、平均91.0であった。一方市販の味が良いと言われる米について測定した所、88.0が最高であったから、現時点で最高の味度を示したものということができる。
【0109】
前記結果より判断するに、水稲の活性化により、病原菌、害虫を忌避した低農薬有機農法であり、植物本来の力を引出して味覚を改善するのみならず収穫量も増加(20〜50%)するなどの特徴が確認された。
【実施例6】
【0110】
この発明の植物の活性促進剤をトウモロコシについて施用した所、次の結果を得た。
【0111】
実施場所 明治製菓株式会社生物科学研究所
実施期間 平成11年4月〜同年8月30日
使用菌:アグロミックSK−10(2×10/g)
施用法:発芽第2週目に、土壌散布、潅水150ml/pot
施用説明 前記条件のもとに、表11の施用設計に基づき施用した。
【0112】
【表11】

【0113】
前記により栽培し、収穫した所、表12の結果を得た。
【0114】
【表12】

【0115】
前記のように、果実の肥大効果と、糖度の向上が認められた。施用量の多少による有為差は殆ど認められなかった。即ち20g/mの施用量と、200g/mの施用量との間に差がないということになり、トウモロコシの場合には、発芽後1回の施用で活性付与が行われることにより収穫まで継続するものと推定される。
【0116】
従ってアグロミックSK−10により、生成される新アミノ酸の量が活性を付与するのに十分であるならば、施用量は20g/m以下でも十分効力を発揮し得ることになる。
【0117】
前記理由により、土壌がアグロミックSK−10の増殖に必要な条件を有する場合には、20g/m以下でも十分効力を有するものと認められる。恐らく増殖可能な条件の下限によって定まるであろう。そこで発芽後一定期間、アグロミックSK−10の増殖条件のもとにトウモロコシを育成する方法も考えられる。
【実施例7】
【0118】
アグロミックSK−10(トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5の商標)をたまねぎ育苗床土に施用し、その苗及び定植後の生育促進効果を以下のように調査した。
【0119】
(1) 試験材料:
(a) 供試種子:スーパーハイゴールドの薬剤処理していない種子
(b) 供試資材:アグロミックSK−10(Trichoderma harzianum SK−5−5の5×10CFUの生菌剤、北海道グリーン興産株式会社提供)
(c) 供試場所:千葉県木更津市下郡今間
(2) 試験方法:
(a) 苗床の準備:育苗床は千葉県下の山砂土で、前作はスイートコーンを栽培した圃場を用いた。pHは6.0前後の弱酸性土壌であったので、pHの調整を兼ねて消石灰1mあたり50g、完熟堆肥(牛糞主体のモミガラ入り堆肥)1kg、CDU20gをアグロミックSK−10散布施用15日前に施肥し、耕耘した。
【0120】
(b) アグロミックSK−10施用および方法:
施用日:平成11年9月11日
準備した育苗床に、供試資材アグロミックSK−10粒剤を播種4日前に1mあたり50g散布し、表層3−5cmの深さによく混和し、水道水を用いて、土壌水分が多湿にならないように(手で握りしめて団子になる程度の湿り程度、即ち糸状菌を増殖培養のための最適湿度条件)に留意して散水を行なった。
【0121】
(c) 播種およびアグロミックSK−10の施用後の管理:
播種日:平成11年9月15日
残暑の厳しい、高温・乾燥であるので、トリコデルマ菌が育苗床土に増殖・定着を良くし、たまねぎの出芽を良くするために、できるだけ地温を20℃〜25℃程度に保ち、且つ水分条件の安定を図るように、両区ともライ麦ワラを2〜3cmの厚さに敷き、その上に寒冷紗をかけた。
【0122】
たまねぎの種子は、すじまきで50cm間に70粒程度を播種し、覆土後、適度の散水を行なって、出芽が始まるまで、上記方法で被覆した。
【0123】
出芽後は敷きワラを除去し、寒冷紗トンネル被覆を1ヶ月程度行なった。定植に備えるために、前記トンネル被覆を取り除き、堆肥と混合したCDU化成肥料を1mあたり20g程度、条間に浅く中耕して施肥した。苗の大きさは径0.5〜0.6cm×葉丈5〜6cm程度の充熟した苗を作ることを目標にして育苗した。
【0124】
(d) 定植:
定植日:平成11年11月7日(播種後53日目)
本圃の土壌は沖積土、pHは6.0程度の弱酸性土壌で、さつまいもの後作。消石灰10aあたり60kg、完熟堆肥500kg、骨粉60kg、米粕60kgを堆肥とよく混和して施用し、耕耘した。一週間後に畦幅1m・3条植の畦を作り、CDU20kgと過燐酸石灰10kgを完熟堆肥300kgによく混和して、溝施肥した。苗は大きさの順に株間15cmに施肥溝に定植した。
【0125】
(3) 調査結果:
(a) 出芽および生育状況:出芽では無処理区、処理区とも、ほとんど差は無かったが、一週間後にわずかながら無処理区で苗立ち枯れが発生した。その後の生育では、25日目ごろまで差は認められなかったが、トンネル除去・追肥後(播種後35日目)より、処理区で葉色が濃くなり、目視でも生育が旺盛となり、差が認められるようになった。
【0126】
(b) 苗の生育調査:
(イ) 定植前の苗の生育状況:調査日平成11年11月7日(播種後53日目)詳細なデータは表13に示した。
【0127】
良苗(大および中苗本数)は処理区78%で、無処理区では65%であった。アグロミックSK−10の施用によって良苗比率が13%増加した。苗径が0.7mm以上の苗はなかった。促進効果について、表13で示すとおり、アグロミックSK−10処理区では生育指数が大きくなり、生育が旺盛で、根量も多くなった。生育促進率を比較すると、SK−10処理区は、無処理区より27%の生育増加が認められた。
【0128】
(ロ) 定植後の生育調査:越冬前の生育状況について調査した。
【0129】
調査方法:図34の方法で調査した。
【0130】
結果:詳細な結果は表14のとおりである。
【0131】
アグロミックSK−10処理区は、無処理区と比較して、出葉枚数で0.4枚多く、生育促進率は152.5%、バルブ径154.7%の増加率となった。目視による観察でも、明らかに生育促進効果が認められた。アグロミックSK−10処理区は、無処理区と比較して、根量が多く、根張りも良く、根に良く土が付着し、根毛も多かった。またアグロミックSK−10処理区において、葉面積とバルブ径は相関関係が認められた(図35、表15、表16)。
【0132】
【表13】

【0133】
【表14】

【0134】
【表15】

【0135】
【表16】

【実施例8】
【0136】
アグロミックSK−10をキャベツ育苗床土に施用し、その苗及び定植後の生育促進効果を以下のように調査した。
【0137】
(1) 使用材料:
(a) 供試種子:薬剤処理していない種子
(b) 供試資材:アグロミックSK−10(トリコデルマ ハルジアナム SK−5−5の5×10CFU、北海道グリーン興産株式会社提供)
(2) 実施場所:千葉県成田市吉田農園
(3) 施用概要:
(a)施用日:平成11年9月15日
(b) 播種日:平成11年9月19日
(c) 床 土:pH6.0前後の砂壌土を中性に調整する為、消石灰を1mあたり50g位散布した。これに完熟堆肥を1m当り1kg、2週間前に施肥し、耕耘した。
【0138】
播種前にアグロミックSK−10を、1mあたり50g位散布した。ついで表層5cm位を土壌混和させ、1mあたり3リットル位散水したが、土壌水分は多湿にならない程度とした(手で握りしめて団子になる程度)。
【0139】
(4) 調査日:平成11年12月23日(播種後94日)
前記調査日において、処理区は葉色濃く、厚葉でしまりがよく、結球性が速いことが認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリコデルマ ハルジアナム SK−55菌を固体培地に植菌し、25℃〜30℃で7日〜15日間静置培養した後、生成物を抽出して下記の物質を得ることを特徴とした植物の活性付与剤の製造方法。
A成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-Aib-Gln-Aib-Aib-...であって分子量192
B成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Val-Aib-Gln-Aib-Aib-...であって分子量206
C成分:
【化1】


...であって分子量168
D成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-...であって分子量154又は220
【請求項2】
トリコデルマ ハルジアナム SK−55菌を液体培地に植菌し、25℃〜30℃で4日〜10日間振盪培養した後、生成物を抽出して下記の物質を得ることを特徴とした植物の活性付与剤の製造方法。
A成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-Aib-Gln-Aib-Aib-...であって分子量192
B成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Val-Aib-Gln-Aib-Aib-...であって分子量206
C成分:
【化2】


...であって分子量168
D成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-...であって分子量154又は220
【請求項3】
植物栽培に際し、トリコデルマ ハルジアナム SK−55菌の分生胞子を植物の種子へ付着処理し、覆土と分生胞子とを混和し、又は分生胞子の適量を散布して、潅水又は埋設して、下記の物質を生産させることを特徴とした植物の活性付与方法。
A成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-Aib-Gln-Aib-Aib-...であって分子量192
B成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Val-Aib-Gln-Aib-Aib-...であって分子量206
C成分:
【化3】


...であって分子量168
D成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-...であって分子量154又は220
【請求項4】
植物栽培に際し、トリコデルマ ハルジアナム SK−55菌の分生胞子を植物の種子へ付着処理し、覆土と分生胞子とを混和し、又は分生胞子の適量を散布して、潅水又は埋設して、下記の物質を生産させると共に、前記分生胞子のおかれた土壌温度を15℃〜30℃とし、水分を30%以上とし、かつ土壌に増殖可能な通気性又は含気性を付与することを特徴とした植物の活性付与方法。
A成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-Aib-Gln-Aib-Aib-...であって分子量192
B成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Val-Aib-Gln-Aib-Aib-...であって分子量206
C成分:
【化4】


...であって分子量168
D成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-...であって分子量154又は220
【請求項5】
トリコデルマ ハルジアナム SK−55菌の分生胞子を培養して、下記の活性付与剤を生成させた後、これを培地と共に適量宛分離し、無菌の多孔質粒子及び栄養分よりなる増量材と混合した後、所定量宛包装したことを特徴とする植物の活性促進剤。
A成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-Aib-Gln-Aib-Aib-...であって分子量192
B成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Val-Aib-Gln-Aib-Aib-...であって分子量206
C成分:
【化5】


...であって分子量168
D成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-...であって分子量154又は220
【請求項6】
トリコデルマ ハルジアナム SK−55菌の分生胞子を液体培地で増殖させて、下記の活性付与剤を生成させた後、所定量宛包装したことを特徴とする植物の活性促進剤。
A成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-Aib-Gln-Aib-Aib-...であって分子量192
B成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Val-Aib-Gln-Aib-Aib-...であって分子量206
C成分:
【化6】


...であって分子量168
D成分:Ac-Aib-Ala-Aib-Aib-Aib-...であって分子量154又は220
【請求項7】
請求項5又は6の何れか1項記載の植物の活性促進剤を、育苗土壌に混入し、又は育苗時に、土壌に散布、或いは圃場に散布することを特徴とした植物の活性促進剤の施用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2010−78(P2010−78A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174204(P2009−174204)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【分割の表示】特願2000−15680(P2000−15680)の分割
【原出願日】平成12年1月25日(2000.1.25)
【出願人】(398023782)
【Fターム(参考)】