説明

植物ホルモン水準、比および/または補因子を調節することによる植物の成長および栽培作物生産力を改良する方法

農業において温度および水分が正常な2つの値から逸脱する時には、植物成長は被害を受けそして疾病が侵襲する。植物成長に関するストラーモデルは、最適な成長および性能のためには適切なホルモンバランスが必要であると述べている。成長条件が正常値から逸脱する時には、ホルモンバランスが変えられそして植物成長が被害を受ける。本発明は、このモデルを支持しそしてホルモン水準および植物成長の間の関係を説明するための証明を提供する。この関係の明白な理解がこれらの問題の排除を目指す栽培作物処理を促進させるであろう。我々は気候を調節することはできないが、我々は種々の植物組織内の植物ホルモンの水準および/または比を操作することにより環境ストレスにより引き起こされる被害を調節することができる。根組織内のホルモン類、特にオーキシンおよびサイトカイニン類、の水準および/または比を調節することにより、我々はこの環境ストレスを克服または相殺する際に植物を助けうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
I.発明の分野
本発明は一般的に、植物ホルモン水準および/または比を調節することによる植物の成長および栽培作物生産力を改良する方法に関する。これらの方法は、昆虫および病原体による侵襲に対する植物の耐性を改良しながら、同時に、植物ホルモンを調節することにより植物成長を改良するためにも有用である。より特に、本発明は有効な量の1種もしくはそれ以上の植物ホルモンを植物組織に適用することによりこれらの目標を達成するための方法に関する。或いは、植物組織内の1種もしくはそれ以上の植物ホルモンの水準に影響を与えて1種もしくは複数のホルモンを所望する領域に移動させる他の物質を植物組織に適用することにより、これらの目標が達成される。
【背景技術】
【0002】
I.背景の記述
植物ホルモン類は既知でありそして長年にわたり研究されてきた。植物ホルモン類は5種の範疇であるオーキシン類、サイトカイニン類、ジベレリン類、アブシジン酸およびエチレンの1種に指定することができる。エチレンは昔から果実の熟成および葉の離脱に関係づけられてきた。アブシジン酸は冬芽の生成を引き起こし、種子休眠を誘発し、気孔の開閉を調節し、そして葉の老朽化を誘発する。ジベレリン類、主としてジベレリン酸、は種子中の休眠遮断および幹中の細胞伸長の刺激に関係する。ジベレリン類は矮小植物を正常寸法に伸ばすことも知られている。サイトカイニン類、例えばゼアチン、は主として植物の根の中で製造される。サイトカイニン類は幹上の低い方の側生芽の成長を刺激し、細胞分裂および葉の拡大を促進させそして植物老化を遅延させる。サイトカイニン類は、オーキシン類が合成される分裂組織からの新規成長を引き起こすことにより、オーキシン水準も増加させる。オーキシン類、主としてインドール−3−酢酸(IAA)、は細胞分裂および細胞伸長の両者を促進させ、そして頂芽優性を維持する。オーキシン類はまた維管束形成層における二次成長を刺激し、不定根の生成を誘発しそして果実成長を促進させる。
【0003】
オーキシン類およびサイトカイニン類は複雑な相互作用を有する。オーキシン対サイトカイニンの比が組織培養物内の細胞の異化を調節するであろうことは知られている。オーキシンは茎頂内で合成されるが、サイトカイニンはほとんど根端内で合成される。それ故、オーキシン対サイトカイニンの比は通常はシュート中では高いが、それは根の中では低い。オーキシンの相対量を増加させることによりオーキシン対サイトカイニンの比が変更される場合には、根の成長が刺激される。他方で、サイトカイニンの相対量を増加させることによりオーキシン対サイトカイニンの比が変更される場合には、シュートの成長が刺激される。
【0004】
最も普遍的な天然産出オーキシンはインドール−3−酢酸(IAA)である。しかしながら、インドール−3−酪酸(IBA)、ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、および2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5−Tまたはエージェント・オレンジ)を包含する他の合成オーキシン類が知られている。これらは合成オーキシン類として認められるが、IBAは植物組織内で天然に生ずることを認識すべきである。これらの合成オーキシン類の多くは数十年間にわたり除草剤として使用され、促進されそして拡大された成長を生じ、その後に植物が死滅する。エージェント・オレンジは、それが米国陸軍および空軍により森林伐採用途においてベトナム戦争中に広く使用された時に、広範囲の認識を得た。2,4−Dは家庭園芸家による使用のために販売されている多くの市販の除草剤中での継続的な用途がある。
【0005】
化合物は植物内でのそれらの生物学的活性に基づきオーキシン類として分類される。分類用の主な活性は細胞成長および伸長の刺激を包含する。オーキシン類は1800年代から研究されてきた。チャールス・ダーウィン(Charles Darwin)は、草の子葉鞘が一方向性光源に向かって成長するであろうことに注目した。彼は、光刺激を感知したのは先端であったにもかかわらず光源に向かう曲げの成長応答が植物先端下の成長領域で起きたことを発見した。ダーウィンは、化学的メッセンジャーが植物先端および成長領域の間で移送されたことを示唆した。このメッセンジャーは後にオーキシンとして同定された。
【0006】
全ての植物は細胞分裂のためにオーキシン、すなわち、IAA、対サイトカイニンのある比を必要とする。これらの比は変動しうるが、IAA対サイトカイニンの比は頂端分裂組織内の細胞分裂に関しては根の分裂組織内の比よりはるかに大きいはずであることが知られている。植物の各部分は細胞分裂に関して異なるIAA対サイトカイニン比を必要としうる。例えば、幹、果実、頴果および他の植物部分内の細胞分裂に関しては異なる比が要求されうる。実際に、頂端分裂組織細胞分裂に関する比がかなり大きいこと、実際に根の細胞分裂に関して必要な比より1000倍ほど大きいこと、が推定されていた。この比が決められる機構は未知のままであるが、他のホルモンおよび酵素も同様にその感知に関係するようである。
【0007】
植物は一般的に約68°F−約87°F(約21−30°C)の温度において最良に成長する。この温度範囲内では、植物は正常な成長を維持するのに充分な量のオーキシン類、特にIAA、を製造することが推定される。理想的な温度は種毎に変動するが、栽培作物植物は典型的には前記の範囲内で最良に成長する。温度は重要な因子であるが、他の環境因子が細胞分裂に影響を与えうることも注目すべきである。植物の水分含有量、栄養状態(特に利用可能な窒素の水準)、植物上の光強度および植物の年令の全てが、温度と一緒になって、植物が細胞分裂を指令するIAAおよびサイトカイニンを包含する成長ホルモン類を製造する能力に影響を与える。
【0008】
温度が約90°F(約31°C)より高く上昇するかまたは約68°F(約21°C)より低く下降するにつれて、植物成長および細胞分裂は遅くなる。温度がさらに約90°Fより高く上昇するかまたは約68°Fより低く下降するにつれて、IAAおよび他の成長ホルモン類の製造は加速された速度で減少する。それ故、約100°Fより高い温度において新しい細胞成長を達成することは、不可能でなくても、困難になる。同様に、温度が約68°Fより有意に低く降下するにつれて、細胞分裂は遅くなりそして次に停止する。適切な水分および温度、すなわち、約70°Fおよび90°Fの間の温度、を有する正常な成長条件の間に、植物は多くのIAAを製造するであろう。細胞分裂はIAAおよび他の植物ホルモン類により製造される他の抑制化合物によってさらに妨害されうる。温度が約90°Fより高く上昇するかまたは約68°Fより低く下降するにつれて、植物がIAAを製造する能力は急速に減少する。
【0009】
植物は成長過程中に光に応答する。正常な植物成長を誘発するためには、赤色波長の範囲内の光が主として植物により使用される。それは植物の光周性も決める。植物が畑で相対的に高い密度で配置されている場合には、赤色波長光は植物部分上で近くの植物の影効果により減じられる。これにより、影になった植物はさらに日光を求めそして影になった植物が成長するにつれて節間長さの伸長を引き起こしてさらに日光を求める。オーキシン(特にIAA)が植物組織の光側から暗い側に移動することが知られている。低い方の植物部分の影が植物の畑に出始めた場合には、新しい頂端分裂組織からのIAAの移動は植物の底部において生ずる影の量に依存するであろう。
【0010】
ジベレリン酸は植物内で最も多い赤色波長光がある場所に移動する傾向があるため、それは植物内で頂端分裂組織に向かって上方に移動する傾向があるであろう。これは、一方では、植物の影になった側面に向かうIAAの下方へのより急速な移動を誘発する。IAAの下方への移動量は植物の頂端分裂組織の位置に依存するであろう。頂端分裂組織が植物冠部からより垂直に位置する場合には、IAAの下方への移動はより大きいであろう。頂端分裂組織が植物冠部に対してより水平に位置する場合には、IAA移動はより少ないであろう。小枝または大枝上の頂端分裂組織が下方に曲げられる場合には、IAAが重力に対抗して移動することは非常に難しくそしてその結果として下方へのその移動は制限されるであろう。
【0011】
植物が充分な水分、理想的な温度および充分量の窒素肥料を包含する条件下で急速に成長している場合には、オーキシン類はそれらが代謝される組織から効率的に移送されそして植物内で下方に移動する。これがオーキシンの再分布およびそれが製造される組織内のオーキシン水準の減少をもたらす。その結果が、オーキシンの水準が不足している組織である。
【0012】
本発明は植物成長に関するストラー(Stoller)モデルに基づく。このモデルは畑の観測および科学文献の分析の組み合わせから開発された。このモデルは植物ホルモン水準に対する発表されたデータを考慮に入れておりそしてそれらをこれらのホルモン水準における変化から生ずると観察できる植物成長に関係づけている。植物ホルモン類に関する多くの研究が前世紀に行われてきたが、我々の知識ではこれがホルモン類の水準を畑で観察された植物成長応答に直接的に関連づける最初の総合的なモデルである。このモデルは天然の植物ホルモンを用いて畑における植物成長を調節して所望する成長を生ずるための適用可能な方法も初めて提供している。文献には広範な研究基礎があるが、この研究のほとんどは唯一のホルモンまたは規定された事象内でのホルモンの亜群の相互作用の種だけを取り扱っている。さらに、この発表された作業のほとんどは研究室内でモデル植物に対して行われるか、或いはインビトロで切除もしくは粉砕された植物組織の中で行われた。発育事象中の相互のホルモン応答の広範な列をこれらの応答を変更してより理想的な成長を生ずることにより栽培作物生産に影響を与える観点と関連づけるモデルはこれまでに発表されていなかった。
【0013】
理想的な植物成長は理想的な温度、水分、光、および栄養バランスの条件下で生ずるであろう成長として定義され、そして一方の組織の成長がいずれかの成長段階中の別の組織を犠牲にして優位を占めないような根およびシュート組織の両者の適切な成長により代表される。理想的な成長中は、植物は病原体により感染されずまたは昆虫もしくは寄生虫により侵襲されない。理想的に成長する植物は一般的に外観は小型であり、等量の根およびシュート物質、良好な色、ならびに良好な花および果実の組み合わせを有する。理想的に成長する植物はその遺伝的潜在性から可能である最高収率を与えるであろう。
【0014】
植物および栽培作物種を越えるホウ素必要量および/またはホウ素欠乏兆候の顕著な均一性がある。最も若い成長中の組織は常に最初に影響を受けそして全ての場合に根の成長が急速に減じられる。これらは、調整および発育も植物ホルモンにより大きく調節される植物内の組織である。ホウ素は寿命を延長させ、そして、その結果として、IAA−オキシダ−ゼによるIAAの破壊を減ずることによりIAAの有効性を延長するであろう。ホウ素はポリアミン類、プトレシン、スペルミジン、アスコルビン酸、スペルミン、並びに植物ホルモン類であるIAAおよびジベレリン酸を増加させることも示されていた。それ故、生理学的活性におけるホルモン類、特にオーキシン、とホウ素および他の鉱物との間に重要な相互作用/促進または相乗作用がある。例えば、ホウ素は多分細胞内外のオーキシンの移動によって植物ホルモンであるオーキシンの移送に直接的な影響を有するようで
ある。
【0015】
ホウ素は植物による窒素固定に必須であることが示されており、そこでそれは根瘤と植物根との間の相互連結の安定性を増加させる。さらに、進化論的観点からは、ホウ素で調節された成長は維管束植物がまっすぐな成長を維持し且つ木質化された二次壁を形成する能力に関連しうる。
【0016】
ホウ素欠乏および毒性はヒマワリの根においてATPアーゼ−依存性水素ポンプ作用およびATPアーゼ活性を抑制しそして細胞からのプロトン漏出を誘発する。それ故、膜活性はより有効なATPアーゼ活性および原形質膜を越える調節されたコンダクタンスによる充分で且つ適切なホウ素水準で強化される。ホウ酸塩化合物はカルシウムで刺激されるATPアーゼ活性並びに蓄積操作された(store−operated)カルシウム流入経路を抑制しうる。ホウ素はホスホリル化を増加させ、そしてその結果として、多分その形質導入信号がホスホリル化の段階を伴うメディエーターによってホルモン形質導入を包含する形質導入を信号化する。ホウ素欠乏が細胞に対する酸化損傷を減少させることおよびホウ素欠乏でグルタチオン水準が劇的に減少することが報告されていた。ホウ素欠乏からの酸化損傷が損傷された細胞壁構造の結果であることも示唆されていた。
【0017】
プロトン排泄および原形質膜NADHオキシダーゼの活性に対するその影響により、ホウ素は細胞成長と直接的に関連しうる。細胞内でエンドサイトーシス−媒介ペクチンにより推定細胞壁原形質膜細胞骨格植生連続説に従いより深く信号化するホウ素欠乏の主要作用に関するアプロプラスチック(aploplastic)目標も示唆されていた。動物内のホウ素は転写および翻訳水準の両者において作用しうる。さらなる研究は同様に植物における同様 な作用を確認するであろう。ホウ素は植物により吸収されそして成長点に集積し、そこでそれは細胞壁に入る。植物内のホウ素の90%はラムノガラクツロナン領域であると称するペクチン部分中の細胞壁内にあり、そこでそれは細胞内で細胞付着およびその結果として有効な植物成長のための細胞信号化と関連しうる。花粉発芽はホウ素欠乏に特に敏感である。ホウ素はイオン膜移送調節において重要な役割を有することが示唆されていた。ホウ素は細胞サイクルのG2/M相、すなわち、細胞が分裂する有糸分裂の直前またはその間に、最も活性が大きいようである。
【0018】
ホウ素の別の誘導体が抗−真菌および抗−細菌活性を有することが報告されていた。これらの活性は植物成長調節剤、特にオーキシンと組み合わされて強化されうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
当業者は病原体および昆虫に対する植物の耐性も改良しながら植物成長および栽培作物生産力を改良するための環境に優しい方法を求め続けていた。それ故、そのような方法に関する長く感じられていたが満たされていない要望があった。本発明はこれらの要望を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の要旨
本発明は栽培作物植物においてホルモンが機能する方法を理解するためのモデルを提供し、そして根または着生組織への適用によるホルモン溶液の添加により植物成長を操作しうる方法を提供する。これらの方法は、植物の根が環境条件を感知しそしてホルモン刺激を送るために責任を負う主要器官であるという観察に頼っている。ホルモン応答が植物内のオーキシンおよびサイトカイニン勾配の設定により主として決められるという観察が本発明の中心である。大概のホルモン応答に関する決定因子であるものは、ホルモン類の相互同士の並びにオーキシンおよびサイトカイニンに対する相対的水準である。1種もしく
はそれ以上の植物成長調節剤、好ましくはオーキシンおよび/またはサイトカイニン、の適用により組織内のホルモン比を変えることにより、我々は植物成長応答を変えうる。
【0021】
本発明は、植物の組織内の植物ホルモン類の水準または比を調節することにより植物の成長および栽培作物生産力を改良する方法に関する。本発明の方法では、植物ホルモンを所望する効果、例えば、改良された成長、改良された果実苗、または改良された植物の構成、を生ずるのに有効な量で植物組織に適用する。植物の構成に関する改良は、より豊富で且つ連続的な根の成長;より短い節間を有するより短い丈;茎がより多くより枝分かれしたシュート構造;増加した光合成能力および生産者にとって経済的利益のある構造的栽培作物部分への糖(光合成物)移送の増加のあるより厚い葉;改良された花受粉の数および品質、果実の実り始め、果実の寸法一定化および構成上の発育をもたらす、均一な、連続的な且つ増加した細胞分裂および細胞拡大;または輸送、貯蔵もしくは売買における同時に増加された性質を有する同様に増加した塊茎、種子、幹もしくは葉の発育および性能を包含しうる。植物ホルモン類のいずれも有効でありうるが、ホルモンは典型的にはオーキシン類、サイトカイニン類、ジベレリン類およびアブシジン酸から選択される。ここで好ましいホルモンはオーキシン、特にインドール−3−酢酸(IAA)またはインドール−3−酪酸(IBA)、である。しかしながら、オーキシンは植物組織の成長に否定的に影響するには不充分な量で適用される。或いは、内因性もしくは適用されるホルモン類の水準、比または有効性を変えることにより作用する他の植物成長調節剤(PGR類)を使用することもできる。
【0022】
オーキシンは、天然オーキシン類、合成オーキシン類、オーキシン代謝物質、オーキシン前駆体、オーキシン誘導体およびそれらの混合物よりなる群から選択される。好ましいオーキシンは天然オーキシン、最も好ましくはインドール−3−酢酸、である。ここで好ましい合成オーキシンはインドール−3−酪酸である。或いは、植物成長調節剤またはホルモン、例えばサイトカイニンもしくはジベレリン酸、の適用により所望する範囲内のオーキシン水準の操作を達成しうる。
【0023】
本発明の方法では、ホルモン、例えばオーキシンまたは他のPGR、は植え付け前に植物の種子または塊茎に適用される。或いは、オーキシンまたはPGRは植え付け後に植物の根、葉、花または果実に適用される。種子または塊茎に適用される時には、オーキシンは好ましくは100kgの種子重量当たり約0.0028〜約0.028グラムの割合で適用される。ジャガイモ種子片に適用される時には、適用割合は1ヘクタールの植え付けられた片当たり約0.0125〜約2.8グラムのオーキシンを生ずるように計算することができる。植物の根、葉、花または果実に適用される時には、オーキシンは1ヘクタール当たり1日当たり約0.0002〜約0.06グラムのオーキシンの割合で適用すべきである。長い成長期間にわたり複数回の適用が必要となりうる。
【0024】
ホルモン、例えばオーキシンまたは他のPGRを水溶液としてまたは粉末として適用することができる。水溶液として適用される時には、溶液は植物組織に従来の噴霧または灌注技術により適用することができる。溶液は、さらに、アルカリ土類金属、遷移金属、ホウ素およびそれらの混合物よりなる群から選択される金属を包含しうる。そのような金属は、好ましくは、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅、マンガン、ホウ素、鉄、コバルト、モリブデンおよびそれらの混合物よりなる群から選択される。種子または塊茎は植え付け前にそのような水溶液の噴霧によりまたはその中への浸漬により処理することができる。PGR類の好ましい適用方法はホウ素−含有溶液と一緒のものでありうる。ホウ素はそのような溶液が適用される植物組織内でオーキシンを安定化させるであろう。
【0025】
PGRと一緒の、金属、好ましくはホウ素の適用はPGRの有効寿命を延長させ、その結果として繰り返し適用間のより長い時間を可能にするようである。ホウ素は、植物内の
IAAを分解する酵素であるIAA−オキシダーゼの活性およびまたは合成を抑制することにより加えられたIAAの寿命および活性の両方の効果を改良するようである。抗−酸化剤であるアスコルビン酸は、ホウ素がIAA活性を増加させる機構の一部でありうる。ホウ素は植物内の糖移送、細胞壁合成、木質化、そのホウ酸エステル結合による細胞壁構造、RNA代謝、DNA合成、フェノール代謝、膜機能およびIAA代謝も促進させる。さらに、ホウ素は呼吸を調節することも知られている。再生成長に関するホウ素条件は栄養成長に関するものより高い。特に細胞伸長部、例えば花粉管、毛状体および他の細胞の中で、ホウ素はオーキシンと相互作用する。ホウ素はオーキシン−敏感性プラスマレンマNADH−オキシダーゼも刺激しそして植物細胞内のフェリシアニド−誘発性プロトン放出のオーキシン刺激用に必要である。ホウ素は、例えば根先端、毛状体または花粉管の如き分裂している細胞内の主要壁の生成におけるラムノガラクツロナンII二量体(ジエステル結合による結合)のエンドサイトーシス機構の一部でもある。それ故、ホウ素はオーキシン−媒介細胞分裂並びにオーキシン−媒介細胞伸長と関連する。最後に、ホウ素は抗−真菌および抗−細菌活性を有することが報告されていた。従って、ホウ素と一緒のPGR類の適用は植物内の昆虫および病原体侵襲を抑制する際にPGRの影響を改良するであろうことが信じられている。
【0026】
ホルモン、例えば、オーキシンまたは他のPGR類は乾燥粉末として適用することもできる。そのような適用では、ホルモンは環境的にそして生物学的に相容性である物質と混合される。粉末は植物の葉、花または果実に従来の散布方法により適用することができる。或いは、植物の種子、塊茎もしくは根の上にまたはその近くに置かれる時に遅延放出を与えるために、粉末を生物学的に相容性である物質の中にカプセル化することもできる。例示用の生物学的に相容性である物質は、クレイ類、亜炭類、樹脂類、シリコーン類およびそれらの混合物を包含する。
【0027】
本発明の方法は、例えば蔓の過剰成長を制限することにより、節間長さを調節することにより、頂部成長を調節することにより、花苗を調節することにより、果実の寸法一定化を増加させることによりおよび/または合計栽培作物収率を増加させることにより植物の構成を改良する。これらの改良は、有効な量のホルモン、好ましくはオーキシンを植物組織に適用することにより得られる。
【0028】
最後に、本発明は表面上に分散させたホルモン、例えばオーキシンまたは他のPGR、を以上で説明された植物の構成を変えるのに有効な量であるが植物組織の成長に否定的に影響するには不充分な量で有する植物を製造するための種子および種子片を包含する。或いは、適用されるオーキシンの水準または有効性を変えることにより作用する植物成長調節剤、例えば、植物ホルモン、例えばサイトカイニンまたはジベレリン酸を使用することもできる。そのようなPGRは種子または種子片の表面上に、オーキシン水準を所望する範囲内に操作するのに有効な量で分散させるべきである。
【0029】
本発明の方法は、以上で説明したように、植物の構成を変えることにより植物の成長および生産力を改良することが見出された。重要なことに、これらの改良は環境的に有害な化学物質を使用せずに達成された。本発明の方法はこれらの改良を、天然産出性または合成性植物ホルモン類を適用して植物組織内のホルモン水準および比を調節して所望する結果を生ずることにより達成する。それ故、植物成長および生産力を増加させるための環境に優しい方法に関する長らく感じられていたが実現されてなかった要望が満たされた。本発明のこれらおよび他の功績のある特徴および利点は以下の詳細な記述および特許請求の範囲からさらに完全に認識されるであろう。
【0030】
図面の簡単な記述
本発明の他の特徴および意図する利点は以下の記述を添付図面と関連させて参照するこ
とによりさらに容易に明らかになるであろう。
【0031】
図1は植物成長サイクル中の植物組織内に存在する種々の植物ホルモン類の水準を示すグラフである。
【0032】
図2は植物の根およびシュートの間の植物組織内のオーキシン対サイトカイニンの勾配を示すグラフである。
【0033】
図3は表Iにまとめられた本発明に従う種々の植物ホルモン類を用いるラディッシュ植物の処理から生ずる胚軸長さに対する影響を示す棒グラフである。
【0034】
図4は表Iにまとめられた本発明に従う種々の植物ホルモン類を用いるラディッシュ植物の処理から生ずる葉長さに対する影響を示す棒グラフである。
【0035】
図5は表IIにまとめられた本発明に従う種々の植物ホルモン類を用いるラディッシュ植物の葉適用処理から生ずる平均シュート長さに対する影響を示す棒グラフである。
【0036】
図6は表IIIにまとめられた本発明に従う種々の植物ホルモン類を用いて処理された植物から製造されたトマトの平均合計果実重量に対する影響を示す棒グラフである。
【0037】
図7は表IIIにまとめられた本発明に従う種々の植物ホルモン類を用いて処理された植物から製造された個別トマトの平均果実重量に対する影響を示す棒グラフである。
【0038】
図8は表IVにまとめられた本発明に従う、単独でまたは組み合わされた、種々の植物ホルモン類を用いるキュウリ植物の処理から生じた、それぞれ、第一の、第二のおよび第三の節間の長さを示す棒グラフである。
【0039】
図9a−9eは表Vにまとめられた本発明に従う種々の植物ホルモン類を用いて処理されたキュウリ植物の、それぞれ、平均蔓長さ、平均節間数、枝の平均数、平均節間長さおよび平均果実長さを示す棒グラフである。
【0040】
図10a−10cは表VIにまとめられた本発明に従う種々の投与量割合の植物成長調節剤溶液を用いて処理されたトウガラシ植物の、それぞれ、平均植物高さ、林冠直径および根重量を示す棒グラフである。
【0041】
図11aおよび10bは表VIIにまとめられた本発明に従う種々の投与量割合の植物成長調節剤溶液を用いて処理されたトウガラシ植物からの、それぞれ、1本の植物当たりの平均収率および大型/特選等級のトウガラシの百分率を示す棒グラフである。
【0042】
本発明をここで好ましい態様に関して記述するが、本発明をこれらの態様に限定する意図はないことは理解されよう。これに反して、従属請求項で定義されているような本発明の精神に包含されうる全ての変更、改良および同等物を包括することが意図される。
【0043】
発明の詳細な記述
発育中の植物ホルモン類
植物成長に関するストラーモデルは、植物成長がホルモン信号およびホルモンバランスに対する直接的な応答であり、そしてこのバランスは動的であり、植物年令によりそして例えば温度、水分、養分バランスおよび光の如き環境条件に応じて変化することを述べている。種子形成において早めに、サイトカイニン水準が最高水準まで短時間で上昇し、そしてこの上昇は急速な細胞分裂期間と一致する(Lur and Setter 199
3)。これに引き続き、オーキシン、ジベレリンおよびアブシジン酸水準における上昇がある(Marschner 1986)。種子制止後の植物成長の最初の段階では、サイトカイニンは最初に製造されるホルモンである。これは多分、種子の発芽中に胚軸すなわち実生根が種子被覆から発芽する最初の構造体であるという観察により最も明白になるであろう。根はサイトカイニン生合成の主要部位である(Davies 1995)。サイトカイニンは次に根先端から上方にシュート中に移動し、そしてサイトカイニンが根先端で高く且つシュート頂点に向かって徐々に減少するような勾配を設定する。サイトカイニンがシュート頂点に達したら、細胞分裂が刺激される。これらの新しいシュート組織がオーキシンを生成し、そしてこのオーキシンは若いシュート組織内の優性なホルモンである(Davies 1995)。この段階中に、細胞分裂が起きるであろう時間の長さは組織内のオーキシンおよびサイトカイニンの相対量に依存するため、細胞分裂およびその結果としての成長は組織内のこれらのホルモンの相対量に直接関連する。組織内の水準が適切な時には、細胞分裂が起きるであろう。これらのホルモンの一方または両方の水準が基準比より低く減少する時には、細胞分裂は停止するであろう。ホルモンを組織にこの時点で加えうる場合には、細胞分裂の期間を延長しうる。これは可能性として植物組織の細胞数およびその結果として寸法を増加させるであろう。
【0044】
新しいシュート組織内で製造されたオーキシンは幹から根に下方移動し、そこでそれは細胞分裂を刺激して横方向の根の成長を生ずる。オーキシンがシュート組織から移送されるにつれて、それはジベレリン酸(GA)の合成を刺激する。従って、細胞分裂の段階後に、ジベレリン水準は組織内で上昇し始めるが、サイトカイニンおよびオーキシン水準は下降する(Marschner 1986)。オーキシン移送が起きない場合には、ジベレリン酸生合成は起きないであろう(Wolbang and Ross, 2001)。オーキシンは葉細胞の拡大に最も多く責任を負うようであるが、ジベレリン酸は幹細胞の伸長において重要部分を演ずる(Fosket 1994)。高水準の下方へのオーキシン移送はより多いジベレリン酸の生合成を、そしてそれの結果としてより長い節間長さを生ずるであろう。ジベレリン酸はジャガイモにおける匐枝の伸長も引き起こし、そしてジャガイモ匐枝における高いジベレリン水準は塊茎化を妨害するであろう。ジベレリンが優位を占めるこの期間中に、細胞寸法が増加する。図1参照。
【0045】
細胞の寸法一定化の終了に向かって、エチレンおよびアブシジン酸(ABA)水準が上昇しそして細胞熟成が達成される。細胞分裂段階中に合成されたオーキシンはジベレリン酸生成だけでなくエチレン生合成も刺激する。エチレンはまたABA生合成を刺激する(Hansen and Grossman 2000)。エチレンおよびアブシジン酸水準は組織熟成に責任を負いそして実際にオーキシン、ジベレリンおよびサイトカイニン水準が下降すると老朽化および死滅を誘発するであろう(Pessarakli 1994)。
【0046】
発育中の正常な生成に加えて、エチレンおよびアブシジン酸は植物ストレスに応答しても合成されうる。しばしば、大量の反応性酸素種は増加したエチレンに一致する(Abeles, et al., 1992)。アブシジン酸およびエチレンは老朽化および果実熟成に関連する数種の事象を媒介する。アブシジン酸は気孔閉鎖を引き起こして、二酸化炭素交換の減少および光合成の減少をもたらし、そしてアブシジン酸は師部充填を防止することによりスクロース代謝を抑制する(Davies 1995)。さらに、数種の他の事象が葉緑体破壊、呼吸の増加、および蛋白質やDNA分解を包含する老朽化並びに熟成中のエチレンおよびアブシジン酸における増加後に続く(Abeles et al
1992)。
【0047】
ホルモン合成および分布の部位
サイトカイニンは分裂組織内で、主として根の中で製造され、そして木部および師部を
通って他の組織に移送されうる(Pessarakli, 1994)。オーキシンは分裂組織内でも、特に根の中でも製造される。オーキシンは有極性オーキシン運搬物質の作用により実質細胞を通って下方に移送されることができ、或いは分裂組織のふるい師管を通っていずれかの方向に移送されることができる(Pessarakli, 1994)。ジベレリン類は成長している組織内で製造され、ジベレリン酸の最高濃度は根および発育している種子内にあり、そしてシュートおよび葉の中ではそれより低濃度である。ジベレリン酸は木部および師部の両方を通って移送されることができる。アブシジン酸は全ての組織内で製造されそして木部または師部のいずれかを通って成長している領域に移送される。エチレンは全ての組織内で合成されそして拡散により急速に移動する(Pesarakli, 1994)。
【0048】
植物ホルモン相互作用
植物の成長は明らかに多くのホルモン類の相互作用に対する応答の複合である。前で述べられたように、高いサイトカイニン対オーキシン比はシュート発育に有利であるが低いサイトカイニン対オーキシン比は根発育に有利であることは文献で立証されている(Pesarakli, 1994)。これらのホルモン類はこれらの水準および多分相互移送も調節する。インドール−3−酢酸(IAA)はサイトカイニン水準を変えそして逆もまた同じである(Zhang et al 1996)。さらに、他のホルモン類は合成、分解、および相互移送にも影響する。ジベレリン酸はIAAオキシダーゼ活性を刺激して細胞分裂段階後のIAA水準を下降させる。ジベレリン酸はそれ自体の生合成を転写の否定的調節剤の制止により刺激しうること(Gazzarrini and McCourt, 2003)およびIAAがジベレリン酸生合成に必要であること(Wolbang
and Ross 2001)は既知である。IAAはエチレンの生成を刺激することも示されており、そしてエチレンはアブシジン酸合成における増加を引き起こす(Hansen and Grossman 2000)。
【0049】
相互の水準を調整する他に、ホルモン類は相互作用して一方のホルモン対他方の比により決められるように植物工程に影響も与える。若葉の中の高水準のアブシジン酸およびエチレンは老朽化を誘発せず、そして若い葉の中ではオーキシン、ジベレリン酸、およびサイトカイニン水準は依然として相対的に高い。しかしながら、オーキシン、ジベレリン酸、およびサイトカイニン水準が下降した熟成葉では、アブシジン酸およびエチレンは老朽化を促進させる。それ故、組織内のホルモン流動時機を変えることにより、例えば老朽化の如き発育事象の時機を変えることが可能である。
【0050】
ホルモン類は植物内の代謝物質の移送にも影響を与える。スクロースおよびジベレリン酸はIAAの逆方向に移動する。換言すると、IAA水準が減じられる組織内では、移送または分解のいずれかにより、ジベレリン酸水準および引き続きスクロース水準が上昇する。この工程が媒介する機構は未知であるが、オーキシン共役体の移送が師部充填において関連するようである(Davies 1995)。
【0051】
植物の欠乏症に関連する鉱物養分の多くがオーキシン代謝に関連する鉱物であることに注目することもおもしろい。例えば、亜鉛はオーキシン生合成における補因子であり、そしてホウ素はIAA−酸化酵素を阻害し、それによりIAAの半減期を伸ばす。カルシウムはオーキシン移送およびオーキシン信号化経路に関連しており、そしてマンガンおよびマグネシウムはオーキシンを共役体貯蔵形態から遊離させる酵素のための補酵素である。また、オーキシン含有量に影響する養分の変更はホルモンバランスをゆがめそして植物の発育を変えうる。
【0052】
これらの相互作用は複雑でありそしてこれらの相互作用の亜群に関する広範な研究分野があるが、我々は1つの統合因子に注目する。オーキシンおよびサイトカイニンのその他
のホルモン類に対する水準がこれらのホルモン信号の相互作用において重要であるようである。経路を信号化する植物ホルモンの機構は未知であるが、オーキシンまたはサイトカイニン水準の変更が潜在的にこれらのホルモン相互作用を変更させるであろうという事実がある。
【0053】
光合成物移動
植物内の光合成物は通常ではIAA勾配と反対側の方向に移動する。植物が通常条件で発育している時には、IAAは頂端分裂組織内で製造されそして重力により植物の基部に向かって移動する。そうしている時に、それは熟成葉から植物の頂端分裂組織に向かう光合成物の移動を指令する。植物の急速成長は単に、熟成葉から植物の頂端分裂組織に移動する光合成物の量の指示である。これはまた、植物成長の急速性が増加するにつれて下方へのIAA移動の勾配が増加することも示すであろう。
【0054】
大概の栽培作物では、植物の基部に向かう光合成物の移動は頂端分裂組織への光合成物の移動よりさらに望ましい。このいくつかの例は、ジャガイモ、ビート、タマネギ、および植物の下方の端部で発育する貯蔵組織を有する他の栽培作物である。多分、より重要なことに、光合成物に関する根の必要性は植物の生存にとって重要である。植物はより急速に成長する傾向があるため、植物の根質量は成長中に減速する傾向がある。これは主として頂端分裂組織への光合成物の移動の不足による。これは特に、急速に成長する植物、例えばトウモロコシ、バナナ、綿、大豆および急速に垂直に成長する多くの他の植物にとって特にその通りである。
【0055】
頂端分裂組織から根へのIAA移動の勾配を減少させうる場合には、根および/または植物上の発育中の果実のシンクは頂端分裂組織との光合成物に関するはるかに大きい競合可能性を有するであろう。換言すると、頂端分裂組織から根へのIAA移動の下方勾配を減少させうる場合には、これらの組織に対する光合成物の妨害されない供給に伴うより大きい根成長および果実成長があるであろう。
【0056】
IAA勾配の減少並びにその結果としての根および果実の増加は、植物内で上方に移動するこれらの2種のオーキシン類の勾配が植物内で下方に移動する頂端分裂組織で製造される天然産出IAAの勾配より高くなるような根への一定供給におけるIAAおよび/またはIBAの適用により得られうる。これはタマネギ、コショウ、トウモロコシおよび大豆に関する研究試験により示された。これらのホルモン類の適用は通常は週1回または週2回のスケジュールで行われる。これは、より多い頻度が好ましくないであろうことは意味しない。
【0057】
IAA勾配を減少させるための別の方法は、植物の上部へのIAAおよび/またはIBAの局部的適用である。これは地上植物組織の全ての中でのIAAおよび/またはIBAの水準を等しくする傾向があるであろう。上記の植物組織内でIAAおよび/またはIBAの高水準を得る時には、IAAの勾配が中和される。これはこれらの局部的適用間に短い間隔、例えば、2〜3日間、でより効果的に行うことができる。或いは、これらの2種のオーキシン類をホウ素溶液と一緒に加えて、IAAおよび/またはIBAの活性をより長い期間にわたり保つこともできる。これはより頻繁な適用およびそれに伴う費用を排除するため、それは多分IAA勾配移動におけるIAAおよび/またはIBAの好ましい使用方法である。
【0058】
滴下灌注システムによるトウモロコシ植物へのIAAおよび/またはIBAの持続的適用を含む試験がテキサスA&M大学で行われた。また、IAAおよび/またはIBAの局部的適用を含む試験もトウモロコシ試験でテキサスA&M大学で行われた。これらの試験の両者は有意に増加したトウモロコシ収率を生じた。トウモロコシ植物の根質量および茎
直径はこれらの2種のIAAおよび/またはIBAの適用方法がトウモロコシ植物に適用された場合にはるかに大きかったことが注目された。
【0059】
トウモロコシ茎は単にトウモロコシ植物葉の基部から構成されることを認識すべきである。茎直径の増加は、より多い光合成物が葉から葉の基部へ下方移動していることを示す。これは、茎直径における増加により反映されるであろう。これはまさに、上記の2種のIAAおよび/またはIBAの適用方法がトウモロコシ植物を用いて試験される時に注目されることである。
【0060】
植物内でそれが生育中に光合成物移動の方向と逆転しうることにより、より大きい根および果実の両方が生成されるはずである。これはまさに、タマネギ、コショウおよびトウモロコシに対するテキサスA&M大学において生じたことである。IAAおよび/またはIBAの投与による植物内の光合成物移動の調節は、通常は感光度によるホルモン活性および地上植物に対する重力の影響に逆らうための革命的な概念および適用である。
【0061】
植物内のホルモン変化
全ての植物はそれが種々の成長段階を通るにつれて同じ特徴的なホルモン移行に従う傾向がある。種子が植え付けられる時には、ホルモン移行はアブシジン酸(ABA)からであり、それが種子休眠状態をジベレリン酸および/またはオーキシンに向かわせる。これは酵素関連活性であり、それが適切な水分および温度条件下で種子の発芽を引き起こす。種子から通常出現する最初の組織は根である。
【0062】
根はサイトカイニンを合成する能力を有する。オーキシン類を合成するそれらの能力はどちらかと言えば低い。従って、適切な細胞分裂を行うためには、根は新しい成長の頂端分裂組織からのIAAの供給を受けなければならない。成長点および植物からの新しい葉を促成栽培するものは追加のIAAに関する根からの要望である。細胞開始および細胞分裂を誘発するために、新しい細胞成長がIAAを根の頂端組織に下方移送させる。根系統によるIAAに関する要望がより大きい場合には植物上部が補充することができ、根が新しい植物の芽生成を誘発し、新しい植物が植物の冠部または基部から発生する。これは、トウモロコシ上の吸盤、バナナ上の娘植物、小麦上の分蘖枝、およびジャガイモ上の栄養芽茎により証明される。
【0063】
植物がその急速成長段階を受けるにつれて、植物の底部分は影になる。光の差が植物の基部に向かう植物の頂端分裂組織内のIAAの下方へのさらに急速な移動を引き起こす。これはまた、植物の頂端分裂組織へのジベレリン酸の上方移動を開始させて節間長さの増加を生ずる。
【0064】
IAA勾配の下方移動が増加する時に、多くの栄養および再生芽は休眠状態のままである。これらの芽の休眠状態は、植物の下方へのIAA移動の勾配が減少するまで開放されないであろう。従って、植物が急速に成長している時には主な茎の芽の多くは不活性である。急速に成長する植物が開花および栄養芽開始を減少させる傾向があることはしばしば観察されていた。
【0065】
植物がその再生サイクル、すなわち、開花を始める時には、オーキシン対サイトカイニンの比が急速に変えられる。この期間中に、細胞分裂を行うためのオーキシンに関する芽による要望は高い。植物内のオーキシンの下方移動の勾配を有意に減少させて根の下方への曲がりを生ずることができる。これはまたIAA下方勾配を減少させて果実を成熟葉からの光合成物とより競合可能にするであろう。これは発育する果実に対する光合成物の一定供給を与えるために重要である。これが行われない場合には、多くの生理学的障害が発育期間中に果実内で起きる。この果実発育期間中に、果実は光合成物用のシンクとして頂
端分裂成長組織と絶えず競合する。この期間中に光合成物シンクに関する頂端分裂組織の競合が果実のシンクと比べて減じられることが重要である。
【0066】
例えばトマト房または大豆総状花序の如き植物部分上の複数の果実生成が光合成物供給に関して絶えず競合することは既知である。いずれかのカボチャ科に対する果実の寸法一定化に注目する時にもこのことは普遍的である。より大きい果実がより優性な果実である。それは植物の冠部または幹からはるかに遠い位置に置かれる果実を犠牲にして寸法を一定化する。この順次の寸法一定化は小さい果実に対するより大きい果実のIAA優性により引き起こされる。この順次の寸法一定化は果実形成領域に対するIAAおよび/またはIBA物質の直接的適用により減少させることができる。これはその後の寸法一定化果実をそれより前に寸法一定化するものと良く匹敵させうるであろう。順次の寸法一定化の減少は、果実、塊茎および他の再生植物部分の均一性を得るための試みにおいて非常に重要である。
【0067】
熟成期間中にエチレンおよびABAの組み合わせが植物細胞を支配して細胞老朽化を生ずる傾向がある。個別の植物部分における植物細胞のこの老朽化は通常は熟成と称する。
【0068】
以上の言及から明らかなように、ホルモン類の異なる比が異なる成長段階で要求される。種々の植物種中で種々の成長期間中に種々のホルモン類の比を正確に認識することはほとんど不可能である。従って、オーキシン、サイトカイニンおよび/またはジベレリン酸を大量に定期的な間隔で適用して植物がそれ自体のホルモン要求の均衡をとりうるようにすることが提案される。これは、栽培作物の収率を調節しそして増加させるための植物成長ホルモン類の使用にとって重要である。これは、植物の成長サイクルのいずれかの期間の間に成長している植物細胞のいずれかから最大の遺伝子発現を得る際に特に重要である。
【0069】
光(特に赤色波長)の影響を抑制するために、植物内部のジベレリン酸の移動を調節することが必要である。これは、ジベレリン酸抑制剤を使用するかまたは実際に頂端分裂組織に移動するジベレリン酸の活性を調節する頂端分裂組織内のIAAの安定性を維持することのいずれかにより、行うことができる。後者は、オーキシン(特にIAAまたはIBA)を植物の上部にオーキシン濃度をより長い期間にわたり維持するであろう量でまたは他の化合物と共に投与することにより、行うことができる。そのようにする時には、植物細胞内のジベレリン酸の優位性は先端分裂組織内の大量のIAAにより大きく遅延される。
【0070】
局部的な用途としてまたは定期的に多量を用いる根系統を通して適用されるIAAの使用はジベレリン酸の活性を調節しそしてそれにより高い植物数、或いは樹木の場合には、樹木の葉による植物の内側部分の影生成による植物の影生成期間中の成長を調節することができる。
【0071】
組織内のホルモン類の機能
根の機能は、生存し且つ再生するために植物により要求される養分、鉱物、および水を供給することである。ストラーモデルは、根は植物の主要な感知器官であり、根傘は外部条件に関する情報を集めそしてこれらの条件を植物の他の部分に伝達させて植物内の応答を開始させるための「思考傘」として機能することも推定している。この理論に関する多くの証明がある。重力向性および接触応答に関する多数の研究が、根が成長するはずである方向を決める際に根傘に関連させていた(Massa and Gilroy 2003, Boonsirichai, et al. 2002)。Darwinによるものを包含する他の研究は、例えば水位の如き他の刺激を感知する際の根傘に関連させていた(Eapen et al. 2003)。根傘は環境条件を感知しそしてそれに応じて植物のホルモンバランスを変えるために最も責任を負う植物領域であるようである。根傘からの信号が根の中のオーキシン勾配の形成を刺激しうること(Boonsirichai et al. 2002, Chen et al. 2002)およびこのオーキシン勾配が根の曲がりを生じて根の成長方向を変えることは示されていた。根傘の信号は植物全体に運ばれて多くのホルモン類の勾配を変えそして根傘が受ける環境に応じて成長に影響するようである。ストラーモデルは、根領域に対する植物ホルモン類の適用によりホルモン信号の生成における根傘の役割の利点を採用する。根適用は、それが根のカップが成長調節中心並びに多くのホルモン信号の天然源であるという事実のためにより一致する植物応答を与えるため、好ましいホルモン適用方法であろう。
【0072】
シュートの機能は光合成物による成長用のエネルギーを供給しそして再生工程を実施することである。シュートは主として根から伝達される条件に応答して成長する。伝達は相互のホルモン比における差として感知されるようである。この伝達の結果が成長の変化である。例えば、根の成長が大量であった場合には、新しい根の組織内で製造されるサイトカイニンの量はそれより少ない成長がある時の水準と比べて高くなるであろう。このサイトカイニン水準は着生組織内のサイトカイニン含有量を増加させそして新しい細胞成長を刺激するであろうオーキシン対サイトカイニンの勾配における変化を生ずるであろう。図2参照。根質量がより多くなるか、またはサイトカイニン製造がより強くなればなるほど、より多いシュート成長が刺激されるであろう。それ故、栄養成長段階中の根内のサイトカイニンの高い量は時にはジャガイモ内の蔓の過剰成長をもたらすことができ、そして双子葉植物内の横方向分枝の生成も刺激しうる。この栄養期間中に、根領域に対するオーキシンの添加はこの望ましくない頂部成長を妨害するであろう。
【0073】
新しいシュート組織内で合成されたIAAを次に根に移送させることができ、または経路に沿っていずれかの組織に転じることもできる。高いIAA濃度も花および果実発育の芽発育にとって重要である。これは、温度が花苗および果実苗内で非常に高い時には高い割合の花離脱および果実奇形があるという事実により証明される。これは、多分IAA生合成に関連する(Vorwerk et al., 2001)ニトリラーゼ遺伝子の最適温度によりIAA合成がより高い温度において(Rapparinini, et al 2001)抑制されるため、生ずる。植物が開花へ移行する時には、新しい花組織がオーキシンの大量供給を生ずる。このオーキシンは次に花から出て移送される。果実および種子が発育するにつれて、これらの組織も高水準のIAAを合成し、それは外に移送される。
【0074】
このオーキシン移送が数種の事象を引き起こす。最初に、ジベレリン酸生合成がこれらの組織内でオーキシンが移送されるにつれて刺激される。二番目に、オーキシンが葉からの糖の放出を刺激する。師部中の高水準のIAA−エステル共役体は糖の増加した師部充填と関連していた(Davies 1995)。師部中に充填された糖は次に発育している果実、塊茎、または他のシンク組織内に移送されうる。
【0075】
最後に、そして多分栽培作物管理観点から最も重要なことに、このオーキシンは根組織内に移動する。根組織内の一部のオーキシンは有利であるが、過剰供給は有害である。根は通常は非常に低水準のオーキシンを有するため、根組織はオーキシン水準に対して非常に敏感である。実際に、それはシュートの感度を生ずるにはそれが根の感度を引き起こすものより100倍多いIAAを受ける(Davies 1995)。オーキシン勾配に対する根の高い感度の結果として、果実形成物体からの大量のIAAの移送はこれらの細胞に過剰充填しそして根の細胞成長を抑制する。これは、大豆において根の下降傾向が果実苗と一致しそしてより高い莢数を有する大豆植物がより速い下降傾向を示すことにより、証明される。オーキシンの過剰は細胞分裂を直接的に抑制し且つエチレンおよびその後のアブシジン酸の合成を増加させうる。これは最終的に根の休眠状態および植物の死滅をも
たらすであろう。
【0076】
根内へのオーキシンのこの物質移動の物理的出現は多くの栽培作物において観察することができる。トウモロコシでは支柱根として知られる不定根の数が増加するであろう。さらに、根成長の明らかな下方指向および白色根の不足により証明される分裂組織根の成長における減少があるであろう。例えば大豆およびサヤエンドウの如き豆果においては、根のこの下方指向は分裂組織根および根瘤における減少でありうるように観察することができる。ジャガイモでは、分裂組織の根成長の不足が起き、そして例えば蔓の下降および時には萎れ病の如き他のストレス兆候が出現する。この早期の根の死滅は、根内へのこのオーキシン流動の抑制により、勾配のIAA側面を変えることによりまたはサイトカイニンを加えて増加を妨害することにより、変更することができる。延長する根の寿命は、果実形成物体が充填しそして成熟する期間を延長するであろう。
【0077】
植物が例えば洪水、旱魃、および高い塩害の如きストレス下にある場合には、これらの同じ条件、すなわち、オーキシン、アブシジン酸、およびエチレンにおける増加、が根内で生ずることに注目することも重要である。サイトカイニン適用はこれらのストレスホルモン水準を減少することができ(Younis et al., 2003)、そしてその結果としてストレスを緩和するはずである。オーキシン生成および移送が実際に根の成長を抑制し始めることの理解は充分なされている。オーキシンを根に根成長を停止させるのに充分に高い水準で適用しうることは文献で立証されているが、植物が充分なオーキシンを合成してそれ自体の死滅をもたらすことは決して示唆されていなかった。サイトカイニンの供給は老朽化を遅延させまたは排除しうることも観察されていたが、これはそうでないなら根における老朽化を促進させる因子の生成をもたらすであろうオーキシンの均衡化によることは決して示唆されていなかった。我々の進行中の実験では、サイトカイニンが最初の花の時点またはその直前に適用される時には根の下降を遅延させらないだけでなく実際には分裂組織の根を開花前より高い水準まで増加させることを我々は習得中である。この適用は植物寿命を増加させそして植物ストレスを減少させるであろうし、そしてジャガイモにおける萎れ病感染の兆候を緩和することも観察されていた。
【0078】
植物成長に関する条件はここで定義したように決して理想的でないため、ホルモン水準は必ずしも常に最適濃度でない。ホルモン水準が環境および植物の発育に応答してどのように変化するかを理解することにより、我々はどのようにして植物を補助して我々の特定状況に関して最良の結果を生じうるかを学ぶことができる。例えば、温度が非常に高いかまたは非常に低い場合には、我々は植物がオーキシンを生成できないであろうことを理解し、そして我々はそれを補充することができる。同様に、我々は種々の発育時期においてオーキシンおよびサイトカイニン勾配を変えて特定の栽培作物状況にとって最も有利であるものに向かって成長を変えることができる。植物が非常に若い場合には、実生および新しい移植段階において、オーキシンを根に適用すべきである。これは早期の根苗を刺激しそして植物において未処理の植物より速くつき且つ早く真葉を形成する点で証明されるであろう。栄養段階全体にわたり根に供給されるオーキシンの低水準は健康な根の設定および維持において有利であり、そしてサツマイモおよびジャガイモにおける下方蔓形成を維持するであろう。
【0079】
当該技術における大概の栽培者は、彼らの栽培作物に関する適切な節間長さを認識している。栽培者が新しいシュート成長の節間長さを減少させることを望む場合には、根に対するオーキシンの適用がこれを行うであろう。節間長さを増加しなければならない場合には、根に対するジベレリン酸の適用が結果を生ずるであろう。同様に、経験をつんだ栽培者は彼らの作物に関する頂部成長の最適量を認識している。頂部成長が多すぎる場合には、根に対するオーキシンの添加が新しいシュート発育を遅らせるであろう。さらなる頂部成長が望まれる場合には、根に対するサイトカイニンの添加がさらなるシュート成長およびさらなる分枝化を刺激するであろう。栽培者が過剰な花の発育中断に気づいた場合には、オーキシンの噴霧が保持を助けるであろう。植物が花へ移行した後に、それらはオーキシンを根に過剰供給する。従って、サイトカイニンを根に適用してこの高水準のオーキシンを花および果実から下方に移送すべきである。さらに、植物が重い果実充填、洪水、旱魃、塩土、または病原体感染からのストレス下にある場合には、エチレンおよびアブシジン酸が根内で増加する。サイトカイニンを再び適用してこの問題を補正すべきである。根領域に対するサイトカイニンの添加が、過剰なオーキシン、アブシジン酸、またはエチレンの影響および長期の根の寿命を均衡させるであろう。
【0080】
これらの適用により、根の寸法を増加させ、根の寿命を延長させ、節間長さを減少させ、横方向の分枝化を増加させ、新しい頂部成長の出現を調節しそして果実品質を増加させる。本発明の方法により、栽培者はどのようにして栽培作物が成長しそしてどのようにして栽培作物植物を補助してそれらの可能な最大収率を生ずるかの理解を得るであろう。
【0081】
本発明は、植物組織内の、特に植物の根内の、植物ホルモン類の水準および比を操作することにより植物組織の成長を調節する方法に関する。ホルモン水準および比を操作することにより、植物の成長を調節して根の寸法を増加させ、根の寿命を延長させ、節間長さを減少させ、横方向の分枝化を増加させ、新しい頂部成長の出現を調節しそして果実品質を増加させることができる。
【0082】
本発明の方法では、植物ホルモン、例えばオーキシン、が所望する改良された植物構造並びに植物成長および生産力において生ずる改良を生ずるのに有効な量で、植物組織に適用される。オーキシンは所望する結果を生ずるのに充分な量で適用されるが、それは植物組織の成長に否定的に影響するには不充分な量で適用されなければならない。或いは、内因性または適用されるホルモンの水準、比または有効性を操作してこれらの結果を生ずる範囲内に入れることができる。望ましい操作は、他の植物成長調節剤(PGR類)、例えば、植物ホルモン類、例えばキネチン類およびジベレリン類、より特にサイトカイニンおよびジベレリン酸、並びにそれらの前駆体および/または誘導体を有効量で適用することにより、達成できる。
【0083】
本発明の方法における使用のためにここで好ましい植物ホルモン類はオーキシン類である。本発明の方法で有用なオーキシン類は、天然オーキシン類、合成オーキシン類、オーキシン代謝物質、オーキシン前駆体、オーキシン誘導体およびそれらの混合物よりなる群から選択される。好ましいオーキシンは天然オーキシンであるインドール−3−酢酸(IAA)である。好ましい合成オーキシンはインドール−3−酪酸(IBA)である。本発明の方法で使用できる他の例示用の合成オーキシン類は、インドールプロピオン酸、インドール−3−酪酸、フェニル酢酸、ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、4−クロロインドール−3−酢酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸、2,3,6−トリクロロ安息香酸、2,4,6−トリクロロ安息香酸、4−アミノ−3,4,5−トリクロロピコリン酸およびそれらの混合物を包含する。植物組織内の内因性または適用されたオーキシンの水準または有効性を変えることにより作用する他の植物成長ホルモン類を適用することもできる。これらのホルモン類(PGR類)は、エチレン、サイトカイニン類、ジベレリン類、アブシジン酸、ブラシノステロイド類、ジャスモネート類、サリチル酸類並びにそれらの前駆体および誘導体を包含しうる。
【0084】
本発明の方法の1つの態様では、植物ホルモン、例えば、オーキシンまたは他のPGR、が植物の種子または塊茎に植え付け前に適用される。種子または塊茎に、例えば、豆種子またはジャガイモ片に、それぞれ適用される時には、オーキシンは100kgの種子重量当たり約0.0028〜約0.028グラムのオーキシンの割合で適用すべきである。より好ましい態様では、オーキシンは種子に、例えば、豆種子に、100kgの種子重量当たり約0.016〜約0.112グラムのオーキシンの割合で適用される。他方で、ジャガイモ種子片に適用される時には、オーキシンは1ヘクタールの植え付けられた種子片当たり約0.125〜約2.8グラムのオーキシンを生ずるような割合で適用すべきである。より好ましい態様では、ジャガイモ種子片に対する適用割合は1ヘクタールの植え付けられた種子片当たり約0.125〜約0.28グラムのオーキシンを生ずるべきである。植物の根、葉、花または果実に適用される時には、オーキシンは1ヘクタール当たり1日当たり約0.0002〜約0.06グラムのオーキシンの割合で、より好ましくは1ヘクタール当たり1日当たり約0.002〜約0.01グラムのオーキシンの割合で適用すべきである。適用は生育期間中に連続日にわたり植物上で受けたストレスおよび観察された侵襲に基づき行うことができる。或いは、別のPGRを内因性および/または適用されたオーキシンの水準を言及された範囲内に操作するのに充分な割合で適用することもできる。
【0085】
本発明の方法のより好ましい態様では、ホルモンは植物の根、葉、花または果実に植え付け後に適用される。根または塊茎への植え付け前の適用または植え付け後の土への適用はある環境下では最も良好な結果を生じうるが、他の場合には葉への適用が好ましいことがある。適用方法の選択時には、特定の栽培作物および所望する結果を考慮すべきである。
【0086】
植物ホルモン、例えば、オーキシンまたは他のPGR、を水溶液としてまたは粉末として適用することができる。水溶液として適用される時には、溶液はアルカリ土類金属、遷移金属、ホウ素およびそれらの混合物よりなる群から選択される金属を包含しうる。好ましい金属はカルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅、マンガン、ホウ素、鉄、コバルト、モリブデンおよびそれらの混合物を包含する。カルシウムおよびホウ素が最も好ましい。包含される時には、金属は約0.001〜約10.0重量%、好ましくは約0.001〜約5.0重量%、の範囲内で存在しうる。PGR類の好ましい適用方法は、約10.0重量%までのホウ素を含むホウ素−含有溶液と共に行うことができる。ホウ素はそのような溶液を適用する植物組織内でオーキシン類を安定化させる傾向があるであろう。
【0087】
PGRと一緒の、金属、好ましくはホウ素、の適用はPGRの有効寿命を延長させて、繰り返し適用間隔のより長い時間を可能にするようである。ホウ素は、植物内のIAAを分解する酵素であるIAA−オキシダーゼの活性およびまたは合成を抑制することにより加えられたIAAの効果を寿命および活性の両者で改良するようである。抗−酸化剤であるアブシジン酸はホウ素がIAA活性を強化する機構の一部でありうる。ホウ素は植物内の糖移送、細胞壁合成、木質化、そのホウ酸エステル結合による細胞壁構造、RNA代謝、DNA合成、フェノール代謝、膜機能およびIAA代謝も促進させる。さらに、ホウ素は呼吸を調節することも知られている。再生成長に関するホウ素条件は栄養成長に関するものより高い。特に細胞伸長、例えば花粉塊茎、毛状体および他の細胞、において、ホウ素はオーキシンと相互作用する。ホウ素はオーキシン−敏感性プラスマレンマNADH−オキシダーゼも刺激しそして植物細胞内のフェリシアニド−誘発性プロトン放出のオーキシン刺激用に必要である。ホウ素は、例えば根先端、毛状体または花粉塊茎の如き分裂中の細胞内の主要壁生成におけるラムノガラクツロナンII二量体(ジエステル結合による結合)のエンドサイトーシス機構の一部でもある。それ故、ホウ素はオーキシン−媒介細胞分裂並びにオーキシン−媒介細胞伸長と関連する。最後に、ホウ素は抗−真菌および抗−細菌活性を有することが報告されていた。従って、ホウ素と一緒のPGR類の適用は植物内の昆虫および病原体侵襲を抑制する際にPGRの効果を改良するであろう。
【0088】
IAAおよびIBAの活性半減期はどちらかと言えば短い。これはこれらの2種のオーキシン類を代謝する植物の能力による。ジベレリン酸の機能の1つはIAAオキシダーゼ
を増加させることであるため、ジベレリン酸は細胞成長を調節しうる。他方で、ホウ素はIAAオキシダーゼを減少させる。適量のホウ素がこれらの2種のホルモン類を分解する酵素であるIAAオキシダーゼを減ずることによりIAAおよび/またはIBAの半減期を延長するであろうことは容易に認識できる。
【0089】
IAAおよびIBAがホウ素−含有物質と組み合わされる場合には、オーキシン類が細胞成長、細胞分裂、およびジベレリン酸による細胞の休眠に対してより大きい影響を与えることが可能になるであろう。これは、メチルエチルアミン(MEA)を含有するホウ素溶液と一緒のPGR類の使用により明白に示される。栽培作物に対する局部的適用として適用される時には、節間長さが減じられそして幹直径および根質量の両方が増加される。これらの成長特性は、ジベレリン酸の休眠活性が植物内で減じられることを明白に示している。これは、約22℃の範囲の比較的低温において植物が成長する工程と同様である。
【0090】
水溶液として適用される時には、植物ホルモン、例えばオーキシンまたは他のPGR、を含有する溶液を種子または塊茎上に従来の噴霧装置を使用して噴霧することができる。或いは、種子または塊茎をホルモンの水溶液中に浸漬することもできる。
【0091】
植物の根、葉、花または果実に適用される時には、ホルモン、例えばオーキシンまたは他のPGR、を含有する水溶液を従来の灌注または噴霧装置を用いて適用することができる。或いは、ホルモンを乾燥形態で粉末として適用することもできる。そのようにして適用される時には、ホルモンは生物学的にそして環境的に相容性である物質と混合される。そのような粉末は葉、花または果実に従来の散布装置により適用することができる。
【0092】
或いは、粉末を生物学的に相容性である物質の中にカプセル化して、植物の種子、塊茎もしくは根にまたはその近くに置く時に遅延放出を提供することもできる。そのようなカプセル化された物質は種子もしくは塊茎に直接的に置くこともでき、またはゆっくり放出されるオーキシンを根により吸収できるような植物の根領域内に分配することもできる。カプセル化において有用な生物学的に相容性である物質の例は、クレイ類、亜炭類、樹脂類、シリコーン類およびそれらの混合物を包含する。
【0093】
本発明の方法は実質的に全ての植物で使用できるが、それらは栽培作物植物、例えば、乾燥豆、大豆、タマネギ、ジャガイモ、トウモロコシ、綿などに適用される時に特に有用である。
【0094】
最後に、本発明は本発明に従い処理された植物を製造するための種子および種子片を包含する。そのような種子片は、それらの表面上に植物ホルモン、例えばオーキシンまたは他のPGR、を植物の組織内または上で有害な有機体の成長を抑制するのに充分であるが植物組織の成長に対して否定的に影響を与えるには不充分な量で分散させた植物種子または種子片を包含する。或いは、そのような種子および種子片はそれらの表面上にPGRを内因性および/または適用されたホルモン水準または比を所望する結果を生ずるための範囲内に操作するのに充分な量で分散させてある。そのような種子片は、ホルモン、例えば、オーキシンまたは他のPGR、の水溶液を種子または種子片の表面上に噴霧することにより、製造することができる。或いは、種子または種子片をホルモンの水溶液中に浸漬することもできる。ここで好ましい態様では、ホルモンは100kgの豆の種子重量および同様な種子当たり約0.0028〜約0.028グラムのオーキシンの量で存在する。種子片がジャガイモ種子片である場合には、ここで好ましい態様では、オーキシンは1ヘクタールの植え付けられた種子片当たり約0.0125〜約2.8グラムのオーキシンを生ずる量で存在する。
【0095】
以下は種々の植物の成長に影響する本発明の方法の数種の使用例である。これらの例は
説明用だけに示されており、そして本発明の範囲を何らかの方法で限定する意図はない。
【実施例】
【0096】
実施例1
この実験では、ラディッシュ成長に対するPGR類の影響を観察した。合計80本の植物がこの実験用に使用された。20本の植物を対照として水で処理した。20本の植物を12オンス/エーカーに相当するPGR溶液で処理した。PGR溶液は、0.015%のIAA、0.005%のIBA、0.009%のサイトカイニンおよび0.005%のジベレリン酸を活性成分として含有する水溶液である。不活性成分として、1.000%の乳化剤、0.850%の界面活性剤および0.050%の発泡防止剤も存在する。小単位である0.0084mlのこの溶液を100mlの水で希釈しそして12オンス/エーカーの適用割合に相当する約1平方フィートの表面積を有する容器の土に適用した。20本の植物をインドール−3−酢酸(IAA)を含有するオーキシン溶液で1平方フィートの容器の表面積当たり100mlの水中の0.84マイクログラムの割合で処理した。最後に、20本の植物をサイトカイニンであるキネチンで1平方フィートの容器の表面積当たり100mlの水中の0.84マイクログラムの割合で処理した。植え付け時に処理を土に行いそしてその後は毎週繰り返した。各植物の胚軸および最大葉の長さを植え付けから21日後に測定した。平均胚軸長さおよび葉長さを計算した。結果は表Iにまとめられそして図3および4に示される。
【0097】
【表1】

【0098】
本発明に従う処理は、1種のホルモン、例えばオーキシンもしくはサイトカイニン、またはPGR溶液により提供される組み合わせのいずれを使用しても、増加した平均葉長さおよび平均胚軸長さの両者により特徴づけられる葉を生じた。
【0099】
実験のこの部分ではラディッシュ植物を4日間間隔で2回処理した。植物を最初は発芽時に、そして再び4日後に処理した。測定は最後の処理から1週間後に行われた。処理は6オンス/エーカー、12オンス/エーカー、および24オンス/エーカーのPGR溶液に相当するが、IAAおよびキネチン処理は6オンス/エーカーのPGR溶液中の相対量に相当する。第二の処理は実生の左側2インチに適用され、そして従って、実生の根に接触しなかった。これらの実験の結果は表IIにまとめられそして図5に示される。
【0100】
【表2】

【0101】
実施例2
この実験では、トマト収率に対するPGR類の影響を観察した。加工用トマトであるトマト変種TSH04を使用した。全ての植物を温室内の5ガロン容器の中で成長させた。8本の植物を各処理用に使用した。処理の適用は8本の植物に対して空中でそして8本の植物用には土の中で行われ、PGR類の土対葉適用の比較を可能にした。処理は6オンス/エーカーのPGR溶液であった。処理溶液は、土適用のためには0.0042mlの濃縮溶液を100mlの水中に、または葉適用のためには50mlの水中に希釈することにより、製造された。IAA溶液は、土適用のためには0.42マイクログラムのIAAを100mlの水中に、または葉適用のためには50mlの水中に希釈することにより、製造された。サイトカイニン溶液は、土適用のためには0.42マイクログラムのキネチンを100mlの水中に、または葉の噴霧のためには50mlの水中に希釈することにより、製造された。IAAおよびキネチンの両者を1:1比で含有する溶液は、土適用のためには0.42マイクログラムのIAAおよび0.42マイクログラムのキネチンを100mlの水中に、または葉適用のためには50mlの水中に希釈することにより、製造された。IAAおよびキネチンの両者を4:1比で含有する溶液は、土適用のためには0.42マイクログラムのIAAおよび0.11マイクログラムのキネチンを100mlの水中に、または葉適用のためには50mlの水中に希釈することにより、製造された。最後に、IAAおよびキネチンの両者を1:4比で含有する溶液は、土適用のためには0.11マイクログラムのIAAおよび0.42マイクログラムのキネチンを100mlの水中に、または葉適用のためには50mlの水中に希釈することにより、製造された。水が対照として使用された。植物は1本の植物当たり1つの実をつける束に切り取られて保たれそして果実のほとんどが熟成した時(植え付け後112日)に各植物からの果実の重量を測定した。結果は表IIIにまとめられる。図6および7は各処理で合計および個別の果実に関して、それぞれ、得られた増加した果実重量を示す。
【0102】
【表3】

【0103】
本発明に従い処理されたトマト植物は、特に処理溶液がオーキシンおよびサイトカイニンの両者を等部で含む場合には、一般的にはより多く且つより重い果実を製造するようである。
【0104】
実施例3
この実験では、キュウリの節間長さに対するPGR類の影響を観察した。使用したキュウリ変種はNK・ローン・アンド・ガーデン・カンパニー(NK Lawn & Garden Co.)(テネシー州、チャッタヌーガ)により配給される国産漬物用キュウリであった。1処理当たり8本の植物が使用された。処理は、1容器当たり1本の植物を含有するそれぞれ5ガロン容器の土に適用された。処理は6オンス/エーカーのPGR溶液であった。最終PGR溶液は、0.0042mlの濃縮溶液を100mlの水中に希釈することにより、製造された。IAA溶液は、0.42マイクログラムのIAAを100mlの水中に希釈することにより、製造された。サイトカイニン溶液は、0.42マイクログラムのキネチンを100mlの水中に希釈することにより、製造された。最後に、植物を6オンス/エーカーのN−ラージ(N−large)で処理した。処理溶液は、0.0042mlの市販溶液を100mlの水中に希釈することにより、製造された。N−ラージは、4%のジベレリン(GA3)を含有する調合物である。水が対照として使用された。処理は植え付け時に、そしてその後は週1回、土に行われた。植え付けから21日後に、第一(底部)、第二(中間)、および第三(頂部)の節間長さを最も近いミリメートルまで測定した。第一、第二、および第三の節間長さに関する平均節間長さを各処理に関して計算した。結果は表IVにまとめられそして図8に示される。
【0105】
【表4】

【0106】
植え付けから84日後にキュウリを収穫しそして最も近いグラムまで重量測定した。同時に、合計蔓長さも最も近いミリメートルまで測定した。さらに、節間の数および枝の数も計数された。平均蔓長さ、平均節間数、平均枝数、平均節間長さおよび平均キュウリ重量が測定された。結果は表Vにまとめられそして図9a−9eに示される。
【0107】
【表5】

【0108】
実施例4
この実験では、シシトウガラシ植物の成長に対するPGR類の影響が評価された。4回のトウガラシ植物反復実験のそれぞれを畑で屋外成長させた。植物を植物間に12インチ間隔で且つ植物列間に42インチの間隔で成長させた。それぞれの反復実験は各処理に関して50本の植物を有していた。植物の中の5箇所の小区画を植え付け後に1回1エーカー当たり3、6、12、18または24オンスの割合で適用されるPGR溶液で処理した。最後の小区画は植え付け後に始まり週2回適用されるPGR溶液の7回の適用で処理された。PGR溶液は、0.015%のIAA、0.005%のIBA、0.009%のサイトカイニンおよび0.005%のジベレリン酸を活性成分として含む調合物を有していた。溶液中には、1.000%の乳化剤、0.850%の界面活性剤および0.050%の発泡防止剤も存在していた。溶液は植物に反復実験の各々において各処理に関して1つの処理小区画当たり2ガロンの水で滴下ラインから適用された。植物高さ、林冠直径および根重量の測定が植え付けから97日後に行われた。植物高さはセンチメートルで測定された。林冠直径はその最も幅の広いところでセンチメートルで測定された。根の重量は土を振り落とした後にグラムで測定された。結果は表VIに報告されている。植物高さ、林冠直径および根重量に対する影響は、それぞれ、図10a−10cに示されている。
【0109】
【表6】

【0110】
PGR溶液の適用が、増加した植物高さ、林冠直径および根重量をもたらした。植物高さおよび林冠直径は両方とも連続的に高くなる適用割合で増加した。植物の低木広がり(bushiness)はPGR処理植物に関して最大であり、高さもより大きかった。根重量はPGR溶液の繰り返し適用で有意に増加した。大概のPGR処理は対照植物より良好な根成長を有していた。
【0111】
実施例5
この実験では、シシトウガラシ植物の寸法および重量に対するPGR類の影響が評価された。4回のトウガラシ植物反復実験のそれぞれを畑で屋外成長させた。植物を植物間に12インチの間隔で且つ植物列間に42インチの間隔で成長させた。それぞれの反復実験は各処理に関して50本の植物を有していた。植物の中の5箇所の小区画を植え付け後に1回1エーカー当たり3、6、12、18または24オンスの割合で適用されるPGR溶液で処理した。最後の小区画は植え付け後に始まり週2回適用されるPGR溶液の7回の適用で処理された。PGR溶液は、0.015%のIAA、0.005%のIBA、0.009%のサイトカイニンおよび0.005%のジベレリン酸を活性成分として含む調合物を有していた。溶液中には、1.000%の乳化剤、0.850%の界面活性剤および0.050%の発泡防止剤も存在していた。溶液は植物に反復実験の各々において各処理に関して1つの処理小区画当たり2ガロンの水で滴下ラインから適用された。トウガラシを全ての小区画内の全ての植物から収穫した。1本の植物当たりのトウガラシの数が記録された。収穫されたトウガラシの重量が測定された。大きいトウガラシ(特選等級−一級品)の百分率を計算した。結果は表VIIに記録されている。1本の植物当たりの収率および大きいトウガラシの百分率は図11aおよび11bに示されている。
【0112】
【表7】

【0113】
トウガラシ植物へのPGR溶液の適用は収穫されたトウガラシの数を有意に変化させないようであったが、それはトウガラシの寸法および収率に顕著な影響を与えた。大きい、すなわち特選−一級品、と分類されたトウガラシの百分率は有意に増加して、1本の植物当たりの平均収率における有意な増加を生じた。最大のトウガラシおよび最高の収率はPGR溶液の週2回適用で得られた。
【0114】
実施例6
この実験では、トウモロコシ茎の成長に対するPGR類の影響が評価された。4回のトウガラシ植物反復実験のそれぞれを畑で屋外成長させた。植物の列は42インチ離された。植物密度は1エーカー当たり約30,000本であった。植物をトウモロコシの種植え後に1回8、16または24オンス/エーカーのPGR溶液で処理した。PGR溶液は、実施例4で使用されたものと同じ組成を有していた。溶液をトウモロコシに反復実験の各々において各処理に関して1つの処理小区画当たり2ガロンの水で滴下ラインから適用された。4回の反復実験の各々において各処理からの10本の植物の茎の周囲を植え付けから48日後に測定した。結果は表VIIIに報告されている。
【0115】
【表8】

【0116】
適用されたPGR溶液の濃度の増加につれてトウモロコシの茎の周囲が増加した。最大の応答は16オンス/エーカーの割合において達成されそして次にそれより高い割合ではわずかに減少した。
【0117】
実施例7
シシトウガラシ植物の成長および収率に関するPGR類の影響がこの実験で評価された。実験は無作為化された4回の反復試験を使用した。シシトウガラシを12インチ離して2列で列間を40インチとして植え付けた。PGR溶液は、実施例4で使用されたものと同じ組成を有する。対照は単に水で処理された。溶液は植物に1エーカー当たり6または12オンスの割合で適用された。PGR溶液は移植直後に1回処理でまたは表IXに示されているように週2回の繰り返し条件で適用された。植物高さおよび林冠幅が熟成時に測定された。トウガラシを小区画の全ての中の全ての植物から収穫した。収穫したトウガラシの重量を測定した。大きいトウガラシ(特選等級−一級品)の百分率が計算された。植物根の重量が収穫後に測定された。結果は表IXに報告されている。
【0118】
【表9】

【0119】
PGRを用いる処理は有意により大きい根成長のあるより大きい植物を生じた。収穫されたトウガラシおよび特選等級のトウガラシの百分率の両者が劇的に増加し、対照と比べて週2回適用で倍増した。
【0120】
実施例8
タマネギ収率に対するPGR類の影響がこの実験で試験された。この実験は無作為化された4回反復実験を使用した。タマネギは50フィートの小区画で列になって種まきされた。列は40インチ離された。通常の生産実施法が試験で使用された。PGR溶液は、実施例4で使用されたものと同じ組成を有していた。対照は単に水で処理された。PGR溶液は植物に1エーカー当たり6または12オンスの割合で滴下ラインから週1回条件で成長季節全体にわたり適用された。
【0121】
【表10】

【0122】
週1回条件でのPGR溶液の適用により合計収率およびより大きいタマネギの収率は有意に増加した。予期されたように、1エーカー当たり12オンスの比較的高い割合で適用される時に、両者の収率は最大の改良を示した。
【0123】
実施例9
ジャガイモの収率および等級に対するPGR類の影響がこの実験で評価された。ジャガイモは40フィート列で列間に36インチの間隔をあけて植え付けられた。処理は5回繰り返された。通常の生産実施法が行われた。この実験で使用されたPGR溶液は、0.015%のIAA、0.005%のIBA、0.009%のサイトカイニン、0.005%のジベレリン酸、1.000%の乳化剤、0.850%の界面活性剤および0.050%の発泡防止剤を、8.0%のホウ素および0.004%のモリブデンと一緒に、含有する水溶液を含んでなっていた。PGR溶液は1エーカー当たり0.5または1.0ガロンの割合で側面塗布剤として最後の耕作時に列間に適用された。ジャガイモを収穫し、重量測定しそして等級づけした。1本の植物当たりの合計収率(1本の植物当たりのポンド)および米国等級番号1の収率の両者を含む結果が表XIに報告されている。
【0124】
【表11】

【0125】
PGR/Mo溶液を用いる処理は改良された合計収率および等級番号1のジャガイモの収率の両者を生じた。より高い適用割合では、合計収率は28%より多く増加したが、等級番号1のジャガイモの収率は38%より多く改良された。
【0126】
実施例10
ジャガイモの収率および等級に対する従来の植物養分と一緒に加えられたPGR類の影響がこの実験で評価された。ジャガイモを40フィート列で列間に36インチの間隔をあけて植え付けた。処理は5回繰り返された。通常の生産実施法が行われた。この実験で使用されたPGR溶液は、0.015%のIAA、0.005%のIBA、0.009%のキネチン、0.005%のジベレリン酸、1.000%の乳化剤、0.850%の界面活性剤および0.050%の発泡防止剤を、養分の補助剤と一緒に、含有する水溶液を含んでなっていた。処理は1エーカー当たり1ガロンの割合で側面塗布剤として最後の耕作時に列間に適用された。処理は表XIIに示されているように週1回または週2回の条件で適用された。ジャガイモを収穫し、重量測定しそして等級づけした。1本の植物当たりの合計収率(1本の植物当たりのポンド)および米国等級番号1の収率を含む結果が表XIIに報告されている。
【0127】
【表12】

【0128】
PGRおよび養分の両者を用いる処理は改良された合計収率および等級番号1のジャガイモの収率の両者を生じた。両者の週2回適用の合計収率は有意に増加したが、いずれの適用で等級番号1のジャガイモの収率は有意に増加した。
【0129】
本発明の以上の記述は主要部分では特許法の条件に従い且つ説明および例示目的のために特に好ましい態様に関するものであった。しかしながら、当業者は特に記述された方法における多くの改良および変更を本発明の真の範囲および精神から逸脱せずに行えることは明らかであろう。例えば、インドール−3−酢酸が好ましいオーキシンであるが、合成オーキシン類、特に、インドール−3−酪酸を使用することもできる。さらに、他の植物成長調節剤、特にサイトカイニン類またはジベレリン類、を使用してオーキシン水準を操作することもできる。さらに、好ましい適用割合が表示されているが、異なる植物種および実際に示された植物内の異なる組織が全て異なるオーキシン水準を要求することは知られている。それ故、当業者は所望する結果を得るために示唆されている適用割合を必要に応じて容易に調節することができる。さらに、出願者は植物の構成、成長および栽培作物収率における観察された改良に関する理由を説明することを試みたが、この機構は完全には理解されていないため出願者は提案された理論に拘束されることは望んでいない。従って、本発明はここに記載されそして例示された好ましい態様に限定されるものではなく、以下の請求の範囲内に入る全ての変更を包括する。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】図1は植物成長サイクル中の植物組織内に存在する種々の植物ホルモン類の水準を示すグラフである。
【図2】図2は植物の根およびシュートの間の植物組織内のオーキシン対サイトカイニンの勾配を示すグラフである。
【図3】図3は表Iにまとめられた本発明に従う種々の植物ホルモン類を用いるラディッシュ植物の処理から生ずる胚軸長さに対する影響を示す棒グラフである。
【図4】図4は表Iにまとめられた本発明に従う種々の植物ホルモン類を用いるラディッシュ植物の処理から生ずる葉長さに対する影響を示す棒グラフである。
【図5】図5は表IIにまとめられた本発明に従う種々の植物ホルモン類を用いるラディッシュ植物の葉適用処理から生ずる平均シュート長さに対する影響を示す棒グラフである。
【図6】図6は表IIIにまとめられた本発明に従う種々の植物ホルモン類を用いて処理された植物から製造されたトマトの平均合計果実重量に対する影響を示す棒グラフである。
【図7】図7は表IIIにまとめられた本発明に従う種々の植物ホルモン類を用いて処理された植物から製造された個別トマトの平均果実重量に対する影響を示す棒グラフである。
【図8】図8は表IVにまとめられた本発明に従う、単独でまたは組み合わされた、種々の植物ホルモン類を用いるキュウリ植物の処理から生じた、それぞれ、第一の、第二のおよび第三の節間の長さを示す棒グラフである。
【図9】図9a−9eは表Vにまとめられた本発明に従う種々の植物ホルモン類を用いて処理されたキュウリ植物の、それぞれ、平均蔓長さ、平均節間数、枝の平均数、平均節間長さおよび平均果実長さを示す棒グラフである。
【図10】図10a−10cは表VIにまとめられた本発明に従う種々の投与量割合の植物成長調節剤溶液を用いて処理されたトウガラシ植物の、それぞれ、平均植物高さ、林冠直径および根重量を示す棒グラフである。
【図11】図11aおよび10bは表VIIにまとめられた本発明に従う種々の投与量割合の植物成長調節剤溶液を用いて処理されたトウガラシ植物からの、それぞれ、1本の植物当たりの平均収率および大型/特選等級のトウガラシの百分率を示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャガイモ植物の根集塊におけるオーキシン対サイトカイニンの比を調節することを含んでなる、ジャガイモ植物における蔓の過剰成長を制限する方法。
【請求項2】
オーキシンを該植物の根にまたは該根が成長している根の中の土に適用することにより、根集塊におけるオーキシン対サイトカイニンの比を増加させる請求項1の方法。
【請求項3】
該オーキシンがアルカリ土類金属、遷移金属、ホウ素およびそれらの混合物よりなる群から選択される金属と一緒に適用される請求項2の方法。
【請求項4】
ジャガイモ塊茎に植え付け前にオーキシンを蔓の過剰成長を制限し且つジャガイモ塊茎の成長を改良するのに有効な量であるが該量が該植物の成長に否定的に影響を与えるには不充分であるような量で適用することにより、オーキシン対サイトカイニンの比を調節する請求項1の方法。
【請求項5】
該植物の根にオーキシンを蔓の過剰成長を制限し且つジャガイモ塊茎の成長を改良するのに有効な量であるが該量が該植物の成長に否定的に影響を与えるには不充分であるような量で適用することにより、オーキシン対サイトカイニンの比を調節する請求項1の方法。
【請求項6】
植物の組織に、オーキシン類、ジベレリン類およびそれらの混合物よりなる群から選択される植物ホルモンを、節間長さを変更するのに有効な量で適用することを含んでなる、植物の節間長さを調節する方法。
【請求項7】
該植物ホルモンをアルカリ土類金属、遷移金属、ホウ素およびそれらの混合物よりなる群から選択される金属と一緒に適用する請求項6の方法。
【請求項8】
オーキシンを節間長さを減少させるのに有効な量で加えることを含んでなる請求項6の方法。
【請求項9】
ジベレリンを節間長さを増加させるのに有効な量で加えることを含んでなる請求項6の方法。
【請求項10】
該ホルモンを該植物の根に適用する請求項6の方法。
【請求項11】
該ホルモンを該根が成長している土に適用する請求項6の方法。
【請求項12】
該植物の根に、植物ホルモンを、頂部成長を変更するのに有効な量で適用することを含んでなる、植物の頂部成長を調節する方法。
【請求項13】
該植物ホルモンをアルカリ土類金属、遷移金属、ホウ素およびそれらの混合物よりなる群から選択される金属と一緒に適用する請求項12の方法。
【請求項14】
オーキシンを頂部成長を減少させるのに有効な量で加えることを含んでなる請求項12の方法。
【請求項15】
サイトカイニンを頂部成長および/または分枝を増加させるのに有効な量で加えることを含んでなる請求項12の方法。
【請求項16】
該植物ホルモンを該植物の根に適用する請求項12の方法。
【請求項17】
該植物ホルモンを該根が成長している土に適用する請求項12の方法。
【請求項18】
植物ホルモンを該植物の果実の発育(setting)を改良するのに充分な量で含んでなる水溶液を植物の花に噴霧することを含んでなる、花の発育を調節する方法。
【請求項19】
該ホルモン溶液がアルカリ土類金属、遷移金属、ホウ素およびそれらの混合物よりなる群から選択される金属をさらに含んでなる請求項18の方法。
【請求項20】
該ホルモンがオーキシンでありそして該量が該植物の成長に否定的に影響を与えるのに不充分である請求項18の方法。
【請求項21】
該ホルモンが花の発育後に該植物の根に適用されるサイトカイニンである請求項18の方法。
【請求項22】
植え付け前の植物に関しては種子もしくは塊茎にまたは植え付け後の植物の根、葉、花もしくは果実に、1種もしくはそれ以上の植物ホルモンを、植物成長を変更させて根の寸法の増加、根の寿命の延長、節間長さの変更、側生分枝の増加、新しい頂部成長出現の調整、果実品質の増加およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される所望の結果を生ずるのに有効な量で適用することを含んでなり、該量が植物組織の成長に否定的に影響を与えるには不充分である、植物およびその果実の成長を変更させるための植物の構成を操作する方法。
【請求項23】
該植物ホルモンがオーキシン類、サイトカイニン類、ジベレリン類、アブシジン酸およびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項22の方法。
【請求項24】
該オーキシンが天然オーキシン類、合成オーキシン類、オーキシン代謝物質、オーキシン前駆体、オーキシン誘導体およびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項23の方法。
【請求項25】
該オーキシンが天然オーキシンである請求項24の方法。
【請求項26】
該天然オーキシンがインドール−3−酢酸である請求項25の方法。
【請求項27】
該オーキシンが合成オーキシンである請求項24の方法。
【請求項28】
該合成オーキシンがインドールプロピオン酸、インドール−3−酪酸、フェニル酢酸、ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、4−クロロインドール−3−酢酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸、2,3,6−トリクロロ安息香酸、2,4,6−トリクロロ安息香酸、4−アミノ−3,4,5−トリクロロピコリン酸およびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項27の方法。
【請求項29】
該合成オーキシンがインドール−3−酪酸である請求項28の方法。
【請求項30】
該オーキシンを種子または塊茎に約0.0028〜約0.028gmオーキシン/100kg種子重量の割合で適用する請求項24の方法。
【請求項31】
該オーキシンを豆種子に約0.0028〜約0.028gmオーキシン/100kg種
子重量の割合で適用する請求項24の方法。
【請求項32】
該オーキシンを約0.016〜約0.112gmオーキシン/100kg種子重量の割合で適用する請求項31の方法。
【請求項33】
該オーキシンをジャガイモ種子片に約0.0125〜約2.8gmオーキシン/ヘクタールの植え付けられた片を生ずる割合で適用する請求項24の方法。
【請求項34】
該オーキシンを約0.125〜約0.28gmのオーキシン/ヘクタールの植え付けられた片を生ずる割合で適用する請求項33の方法。
【請求項35】
該オーキシンを植物の根、葉、花または果実に約0.0002〜約0.06gmのオーキシン/ヘクタール/日の割合で適用する請求項24の方法。
【請求項36】
該オーキシンを該オーキシンの水溶液として適用する請求項24の方法。
【請求項37】
該溶液がアルカリ土類金属、遷移金属、ホウ素およびそれらの混合物よりなる群から選択される金属をさらに含んでなる請求項36の方法。
【請求項38】
該金属がカルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅、マンガン、ホウ素、鉄、コバルト、モリブデンおよびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項37の方法。
【請求項39】
該金属が該溶液中に約0.001〜約5.0重量%の範囲内で存在する請求項37の方法。
【請求項40】
該種子もしくは塊茎に該オーキシンの水溶液を噴霧することによりまたは該種子もしくは塊茎を該オーキシンの水溶液中に浸すことにより、該オーキシンを適用する請求項24の方法。
【請求項41】
該植物が乾燥豆、大豆、玉葱、トウモロコシ、綿、ジャガイモおよびそれらの混合物よりなる群から選択される栽培作物植物である請求項22の方法。
【請求項42】
該植物ホルモンを該ホルモンを含む乾燥粉末としてまたは該ホルモンの水溶液として適用する請求項22の方法。
【請求項43】
該植物ホルモンを該植物の種子、塊茎または根に該ホルモンの遅延放出を与えるためのカプセル化された形態で適用する請求項22の方法。
【請求項44】
該植物ホルモンが該ホルモンの遅延放出を与える生物学的に相容性の物質の中にカプセル化され、該物質がクレイ類、亜炭類、樹脂類、シリコーン類およびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項43の方法。
【請求項45】
植え付け前の植物に関しては種子もしくは塊茎にまたは植え付け後の植物の根、葉、花もしくは果実に、1種もしくはそれ以上の植物成長ホルモンまたは該ホルモンの前駆体もしくは抱合体を、該植物根におけるオーキシン対サイトカイニン比を植物成長を変更させて根の寸法の増加、根の寿命の延長、節間長さの変更、側生分枝の増加、新しい頂部成長出現の調整、果実品質の増加およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される所望の結果を生ずるであろう水準に調節するのに有効な量で適用することにより、該植物の根におけるオーキシン対サイトカイニンの比を操作することを含んでなり、該量が植物組織の成長に否定的に影響を与えるのに不充分である、植物の構成を操作して植物およびその果
実の成長を変更する方法。
【請求項46】
該植物成長ホルモンがオーキシン類、サイトカイニン類、ジベレリン類、アブシジン酸、該ホルモン類の前駆体または抱合体およびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項45の方法。
【請求項47】
該植物成長ホルモンがオーキシンである請求項45の方法。
【請求項48】
該オーキシンがインドール−3−酢酸である請求項47の方法。
【請求項49】
該オーキシンを約0.0028〜約0.28gmのオーキシン/100kg種子重量の割合で適用する請求項48の方法。
【請求項50】
該種子に該オーキシンの水溶液を噴霧することにより該オーキシンを適用する請求項49の方法。
【請求項51】
該溶液がカルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅、マンガン、ホウ素、鉄、コバルト、モリブデンおよびそれらの混合物よりなる群から選択される金属をさらに含んでなる請求項50の方法。
【請求項52】
植え付け前の植物の種子もしくは塊茎に、または植え付け後の根、葉、花もしくは果実に、植物成長ホルモンを植物成長を変更させて根の寸法の増加、根の寿命の延長、節間長さの変更、側生分枝の増加、新しい頂部成長出現の調整、果実品質の増加およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される所望の結果を生ずるのに有効な量で適用することを含んでなり、該量が該植物の組織の成長に否定的に影響を与えるのに不充分である、植物の構成を操作して植物およびその果実の成長を変更する方法。
【請求項53】
該植物ホルモンがオーキシン類、サイトカイニン類、ジベレリン類、アブシジン酸およびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項52の方法。
【請求項54】
該オーキシンが天然オーキシン類、合成オーキシン類、オーキシン代謝物質、オーキシン前駆体、オーキシン誘導体およびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項53の方法。
【請求項55】
該オーキシンが天然オーキシンである請求項54の方法。
【請求項56】
該天然オーキシンがインドール−3−酢酸である請求項55の方法。
【請求項57】
該オーキシンが合成オーキシンである請求項54の方法。
【請求項58】
該合成オーキシンがインドールプロピオン酸、インドール−3−酪酸、フェニル酢酸、ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、4−クロロインドール−3−酢酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸、2,3,6−トリクロロ安息香酸、2,4,6−トリクロロ安息香酸、4−アミノ−3,4,5−トリクロロピコリン酸およびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項57の方法。
【請求項59】
該合成オーキシンがインドール−3−酪酸である請求項58の方法。
【請求項60】
該オーキシンを約0.0002gmオーキシン/ヘクタール/日を越える割合で適用す
る請求項54の方法。
【請求項61】
該オーキシンを約0.0002〜約0.06gmオーキシン/ヘクタール/日の割合で適用する請求項60の方法。
【請求項62】
該オーキシンを約0.002〜約0.01gmオーキシン/ヘクタール/日の割合で適用する請求項61の方法。
【請求項63】
該植物成長ホルモンを該根、葉、花または果実に該ホルモンを含む乾燥粉末としてまたは該ホルモンの水溶液として適用する請求項52の方法。
【請求項64】
該ホルモンを含む乾燥粉末を散布することにより該ホルモンを適用する請求項63の方法。
【請求項65】
該ホルモンを水溶液として浸漬灌注によりまたは噴霧適用により適用する請求項63の方法。
【請求項66】
該溶液がアルカリ土類金属、遷移金属およびそれらの混合物よりなる群から選択される金属をさらに包含する請求項65の方法。
【請求項67】
該金属がカルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅、マンガン、ホウ素、鉄、コバルト、モリブデンおよびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項66の方法。
【請求項68】
該植物が乾燥豆、大豆、玉葱、トウモロコシ、綿、ジャガイモおよびそれらの混合物よりなる群から選択される栽培作物植物である請求項52の方法。
【請求項69】
植物種子または種子片、および
該種子または種子片の表面に分散された1種もしくはそれ以上の植物ホルモン
を含んでなる変更された植物の構成を有する植物を生産するための種子または種子片であって、該ホルモンが植物成長を変更させて根の寸法の増加、根の寿命の延長、節間長さの変更、側生分枝の増加、新しい頂部成長出現の調整、果実品質の増加およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される所望の結果を生ずるのに有効な量で存在し、該量が植物組織の成長に否定的に影響を与えるのに不充分である、種子または種子片。
【請求項70】
該植物ホルモンがオーキシン類、サイトカイニン類、ジベレリン類、アブシジン酸およびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項69の種子または種子片。
【請求項71】
該ホルモンが該種子または種子片の表面上にアルカリ土類金属、遷移金属、ホウ素およびそれらの混合物よりなる群から選択される金属と一緒に分散される請求項69の種子または種子片。
【請求項72】
該オーキシンが天然オーキシン類、合成オーキシン類、オーキシン代謝物質、オーキシン前駆体、オーキシン誘導体およびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項70の種子または種子片。
【請求項73】
該オーキシンがインドール−3−酢酸である請求項72の種子または種子片。
【請求項74】
該オーキシンが約0.0028〜約0.028gmオーキシン/100kg種子重量の量で存在する請求項72の種子または種子片。
【請求項75】
該種子が豆種子でありそして該オーキシンが約0.0028〜約0.028gmオーキシン/100kg種子重量の量で存在する請求項72の種子または種子片。
【請求項76】
該種子片がジャガイモ種子片でありそして該オーキシンが約0.0125〜約2.8gmオーキシン/ヘクタールの植え付けられた種子片を生ずる量で存在する請求項72の種子または種子片。
【請求項77】
該植物が乾燥豆、大豆、玉葱、トウモロコシ、綿、ジャガイモおよびそれらの混合物よりなる群から選択される栽培作物植物である請求項72の種子または種子片。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【公表番号】特表2007−503391(P2007−503391A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524018(P2006−524018)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/026851
【国際公開番号】WO2005/021715
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(506061428)ストラー・エンタープライジズ・インコーポレーテツド (2)
【Fターム(参考)】