説明

植物栽培アセンブリ

育成室内で植物を栽培する装置及び方法は、垂直方向に配置されたほぼ平らな形状の吊り下げ部材を有する。少なくとも一つの保持部材が栽培植物を支持するために吊り下げ部材に配置されている。栄養物供給装置は、吊り下げ部材に栄養物を供給し、未使用の栄養物を回収するための導管を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府に援助された研究又は開発に関する宣誓
適用されていない。
【0002】
本発明は、気候管理施設内における植物栽培の分野に主に関連する。より具体的には、本発明は育成室において植物を育てる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
種まき、発芽、及び苗を寒さに慣れさせる商業的処置は、一般に大きな温室内で行われる。この処置の間、個々の苗は木箱に広げられた小さなプラスチックの中敷で育てられる。木箱自体は、温室全体において均一な高さの別々のラック又はベンチ上に配置されている。この配置は、光の遮蔽、隣接する植物間におけるデッドスペース、及び木箱をほとんど光が透過しないことを含む生育過程における多大な非効率性を生じる。さらに、植物の世話は中敷を移動させる及び中敷から植物を取り除くという余分な手作業を必要とする。
【0004】
本明細書中に参照によって援用されているカーツ(Kertz)の米国特許第5,511,340号に開示されているような育成室は、吊り下げられたシート上に苗を垂直に配置して栽培することによって、生産性を向上する温室構造を開示している。
【0005】
管理された環境において長期間にわたって植物を栽培することが求められている。例えば栽培システムは、家畜の餌、穀物、及び農作物を管理された環境において長期間にわたって栽培することが求められている。さらに、人口が増え続け、都市部が拡張するにつれて、農作物の需要は増加するであろう。また、苗又は発芽段階以後の植物の栽培における空間的な必要条件を解消し、移植するために施設から発芽した苗を移動することを要しないことが求められている。さらに、自宅所有者が、密集度の高い都市部で植物を育てることができる新鮮な作物を栽培するための栽培システムが求められている。
【0006】
結論として、育成室の垂直の配置の利点を最大にするための新たな垂直型栽培装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,511,340号公報
【発明の概要】
【0008】
育成室において植物を育てる装置及び方法は、ほぼ平らな形状を有し、垂直に向けられた吊り下げ部材を有する。少なくとも一つの保持部材が、栽培中の植物を支持するために吊り下げ部材上に設置されている。栄養物供給システムは、吊り下げ部材へと栄養物を配送し、未使用の栄養物を回収する管を有する。
【0009】
他の実施形態において、育成室において栽培容器を支持する装置は、育成室内において垂直に支持されるように形成された支持骨格を有しており、当該支持骨格は少なくとも一つの伸張性の支持部材と、栽培容器を支持するための一つ以上のラックとを有する。
【0010】
別の実施形態において、植物に栄養物を供給するための栄養物供給装置はポンプと連通している導管を有する。当該ポンプは栄養物供給源と連通しており、それらが育成室内のトラック上を移動する際に植物に栄養物を噴霧する複数のノズルを有する。貯留槽は未使用の栄養物を回収し、供給源と連通している。さらに、過剰な栄養物の流出液及び水滴を回収して当該装置により再利用するために、貯留槽は育成室内のトラックの下にわたって延びている。
【0011】
上述の記載は、以下の発明の詳細な説明がより良く理解できるように、発明の特徴及び技術的利点を広く説明している。発明の特許請求の範囲の対象を形付ける発明のさらなる特徴及び利点が、これ以降において説明されている。開示される構想及び特定の実施形態は本発明と同一の目的を実施するために改良又は他の構造を設計するための基礎として容易に利用可能であることが当業者によって理解されなければならない。また、そのような同様の構造は添付の特許請求の範囲に規定される発明の精神及び範囲から逸脱しないことが当業者によって認識されなければならない。
【0012】
したがって、本明細書において説明される実施形態は、ある従来技術の装置における様々な欠点を解消することを意図する特徴及び利点の組み合わせを備える。上述された様々な特徴は、他の特徴と同様に、以下における好適な実施形態の詳細な説明を読み、添付図面を参照することによって、当業者に容易に明らかになる。
【0013】
発明の好適な実施形態の詳細な説明のために、添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】図1Aは育成室用の栽培シートの正面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示される細部1Bにおける栽培シートの断面図である。
【図2】図2は育成室用の成長した又は鉢植えの植物用の栽培シートの正面図である。
【図2A】図2Aは育成室用の成長した又は鉢植えの植物用の栽培シートの側面図である。
【図3】図3は植物用の支持骨格の正面図である。
【図4】図4は植物のかごを備えた図3の支持骨格の正面図である。
【図5】図5は図4の支持骨格の側面図である。
【図6】図6は育成室を上から見た模式図である。
【図7】図7は育成室用の水再利用装置の列中における立面図である。
【図8】図8は育成室用の水再利用装置の斜視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明は本発明の様々な実施形態に関連している。これらの実施形態の一つ以上が好ましいとしても、開示される実施形態は、特許請求の範囲を含む開示の範囲を限定すると解釈又は使用してはならない。また、当業者には、以下の説明は広い用途を有し、いずれの実施形態の説明もその実施形態の例示であることを意味するのみであり、特許請求の範囲を含む開示の範囲がその実施形態に限定されることを意味することを意図していないことが理解される。
【0016】
最初に図1を参照すると、植物栽培アセンブリの植物栽培装置10の一実施形態が示されている。植物栽培装置10は、植物培地中に植物を支持するために、そこに取り付けられている複数の植物ホルダ20を備える平面状のシート12を有する。シート12は、育成培地及び植物の重量を支持できるいかなる材料で出来ていてもよい。ある実施形態において、シート12の材料は半透明又は光透過性であり、例えば半透性ポリマー又はプラスチックである。育成室又は温室を通る光の伝搬のため、植物が成長するための光を受けるように、シート12の材料は実質的に半透明である。
【0017】
別の実施形態においては、シート12は切り抜き14などの材料の無い領域を有する。これらの切り抜き14は、植物の成長を妨げることなく、又はシート12の構造的完全性を損なうことなく、植物への光及び気体の最大限の移動を許容するよう形成されている。
【0018】
また、シート12は気体透過性の材料で作られていることが好ましい。ポリエチレン、ポリプロピレン、ABSプラスチック、ポリアクリル酸プラスチックなどのような合成ポリマーは、気体透過性であり半透明であることが当業者に知られている。
【0019】
ある実施形態においては、植物栽培装置10は約3フィート(約0.9m)から約6フィート(約1.8m)の間の幅Wsを有しており、好ましくは約3フィートから約4フィート(約1.2m)である。別の実施形態においては、植物栽培装置は、約4フィートから約12フィート(約3.6m)の長さLsを有しており、好ましくは約10フィート(約3.0m)から約11フィート(約3.3m)の長さである。植物栽培装置10は、使用者、植物、目的、及びシート12を形成する材料に応じて異なる寸法を有することが想定される。
【0020】
さらに、栽培シート12の下端に設置されており当該下端に組み込まれているものは引張重り16である。引張重り16は、シート12にわずかな張力を与えて植物栽培装置10をほぼ垂直で平らな形状に保持するよう形成された棒、ロッド、又は他の硬い直線状の部材を含む。
【0021】
ある実施形態においては、シート12及びホルダ20は、石油ベースのポリマー材料に対する有機性の再生可能な代替物などの生体高分子で作られている。セルロース、でんぷん、大豆のプラスチック、及びプレスした泥炭は、栽培中の植物を保持するためのシート12及びホルダ20として成形可能な生体高分子である。好適な実施形態において、シート10及びホルダ20はセルロースで作られている。植物及び微生物由来のセルロースは、豚と同様に、牛、ヤギ、羊などを含むウシ科の動物の餌である。エンバク、オオムギ、アルファルファ、及びカモジグサなどの重要な家畜の餌又は補足飼料を育てることによって、シート10及びホルダ20は未処理で動物に与えることができる。このことは、シート10及びホルダ20全体が動物に供給可能であり、植物を植物栽培装置10から収穫しなくても良いために、手間を省く措置を示している。
【0022】
図1Bに断面で図示されている別の実施形態においては、シート12は多層構造にすることが可能であり、シート12を支持するためのポリマー材料から成る内部コアシート11と、植物の栽培を補助するための別の材料製の取り外し可能な内部及び/又は外部カバーシート13とを有する。例えば、内部コアシート11はポリプロピレンの織物で構成されており、内部及び/又は外部カバーシート13はセルロースで構成されている。
【0023】
ある実施形態においては、種子はシート12及び/又はホルダ20の表面に埋め込まれている。シート12の垂直面25又はホルダ20に種子を埋め込む又は挿入するために、材料は緩く編まれているか、緩い素地の材料を含まなければならない。緩い素地は、栽培中の植物の根が植物をシート12及び/又はホルダ20の材料中へと固定することを可能にする。材料の表面に種子を埋め込むことによって、全体を迅速に取り外して家畜に供給することが可能である。さらに、シート12及びホルダ20は、種子が発芽する間に種子を保護する手段として機能する。穀物は芝生のようになり短時間で高密度に栽培可能な傾向があるため、穀物はシート12及び/又はホルダ20の材料中に種子を埋め込むことによって特に恩恵を受ける。また、穀物は家畜の食事における主な食物である。別の態様においては、庭にシートを設置できる個人の顧客に埋め込まれた種子と共に植物栽培装置10を販売することも可能である。
【0024】
さらに、植物栽培装置10は支持シート12の垂直面25上に育成培地で栽培中の植物を支持するための手段を有する。植物支持構造又は植物ホルダ20は、限定されることなく育成培地を保持するのに適した、シート12上に設置されているポーチ状、ポケット状、スクープ状、又は同様の構造である。植物ホルダ20は、カーツの米国特許第5,511,340号に記載されている栽培セルに似ている。植物ホルダ20は、ポリマー、プラスチック、又は他の材料などの、水を透過させず、ガス交換可能である材料で作られていることが好ましい。植物ホルダ20を形成するために用いられる材料は水を透過させないが、植物ホルダ20は育成培地を介する水の移動を許容するよう形成されている。別の実施形態においては、支持構造又は植物ホルダ20は、ネット状又は織物状の材料などの、液体及び気体に対して透過性である。
【0025】
ある実施形態において、植物ホルダ20は約1インチ(約2.5cm)から約1フィート(約0.3m)の幅Wpを有する。植物ホルダ20は約2インチ(約5.0cm)から約2フィート(約0.6m)の長さlpを有する。植物ホルダ20は植物栽培装置10において栽培される植物に応じて大きさを変更可能であるため、この寸法の範囲は例示である。別の実施形態においては、植物ホルダ20の列は距離drだけ離間している。距離drは、邪魔することなく植物をホルダ20から垂直方向に成長させることが十分に出来る。
【0026】
植物ホルダ20は苗を保持するのに十分な大きさであり、別の実施形態においては植物ホルダは小さな植物を保持できる十分な大きさである。微小な植物、豆、ハーブ、香辛料、及び他の小さな野菜を栽培することが好ましいものの、植物栽培装置10は成熟した植物を支持可能であることも想定できる。
【0027】
理論によって限定されないが、育成培地の含水率を飽和点まで増加させることによって、根におけるガス交換を完全に阻害することも可能である。この状態は、植物を栽培する過程において好ましいものではなく、育成培地から過剰な水を除く手段が望ましくなる。したがって、ホルダ20は過剰な水を除去するための排水口21を有する。
【0028】
植物栽培装置10は吊り下げ手段30によって垂直に支持されている。吊り下げ手段30は吊り下げ部材32とシート取り付け部材34とを有する。吊り下げ部材32は、植物栽培装置10の重量を垂直方向に支持するためのフック、輪、又は留め具であり、シート取り付け部材34はクランプ、ロッド、又は棒である。吊り下げ部材30は様々な手段によって植物栽培装置10に固定することが可能である。ある実施形態においては、シート12の上端は36において折り曲げられると共に、輪を形成するよう熱シールされており、当該輪は、ロッド又は棒38を受容することにより、端部38Aと38Cとの間において棒38にシート12を連結している。吊り下げ部材32は輪の開口を通っており、棒38の中心点38Bに連結されている。
【0029】
ここで図2を参照すると、植物栽培装置の別の実施形態が示されている。植物栽培装置40は、植物ホルダ20を備える平坦なシート12を有しており、植物ホルダ20は、グローダン ハイドロポニックス(Grodan(R) Hydroponics)によって製造されているような、ロックウール栽培キューブ46を植物とともに受容して保持するためのポケット44を備える植物容器支持部42として形成されている。ロックウールは、高い保水性と気体透過性とを有する繊維状のミネラルウールである。栽培キューブ46は約2インチ(約5.1cm)から約6インチ(約15.3cm)である。ある実施形態においては、1個の植物栽培装置40は約80個から約120個のロックウールキューブ46を支持可能である。
【0030】
ポケット44はシート12と同じ材料で作られており、栽培シート12に対して平らに折り畳むことができる。ある実施形態においては、ポケット44は接着剤によってシート12に固定されており、T字状にシートに対して平らに折り畳まれている。外面44Cが垂直なシート12の面48と同一面になるよう、ポケットの側部44Aは垂直方向に半分に折り曲がり、ポケットの底部44Bは横方向に半分に折り曲がる。図2Aに図示されている実施形態においては、ポケットはロックウールのキューブ46用のポケット44を提供するために折り畳まれていない。
【0031】
図3を参照すると、植物を保持するための支持骨格50の形状である植物栽培装置が図示されている。支持骨格シート50は上部支持棒56と複数のラック58が連結された垂直方向に延びる荷重キャリア54を備えるフレーム52を有している。垂直方向に延びる荷重キャリア54は荷重の伸張性支持に適したいかなる構造及び材料で出来ていても良い。ロープ、ワイヤ、鎖、ロッド、又は棒が、限定することの無い例示的な構造である。好適な材料は、金属、プラスチック、合金、及びそれらの組み合わせを利用する複合材料を含む。別の実施形態においては、垂直の荷重キャリア54は剛性の材料で作られている。
【0032】
ラック58は、支持骨格50上に支持される栽培中の植物を配置するための水平な棚を形成するように作られている。ラック58は、固定具59によって垂直な荷重キャリア54に連結されており、地面と平行なラック58の間に設置されている。固定具59は、当業者に周知であるラック58を垂直な荷重キャリア54に固定するためのボルト、リベット、溶接、又はその他の手段を含む。別の実施形態においては、ラック58と垂直な荷重キャリア54は一つのものとして成型されている。ある実施形態においては、ラック58は、垂直な荷重キャリア54の間に配置されている少なくとも一つの補助荷重キャリア55によって更に支持されている。
【0033】
水平な棚又はラック58は、鉢植えの植物を支持するための少なくとも一つの中敷又はベース57を有している。別の実子形態においては、ベース57は育成培地及び植物を保持するためのポットを有する。水平なラック58の数は、栽培されている植物の種類及び成長した植物の予想の大きさに応じて変更可能である。骨格50の寸法は植物栽培装置10と同様であるため、育成室に適合することが出来る。別の実施形態においては、吊り下げ式の支持骨格50は育成室において植物栽培装置10及び30の間の空間に配置されている。
【0034】
支持骨格50は吊り下げ手段60によって垂直に支持されている。吊り下げ手段60は、吊り下げ部材62とシート取り付け部材64とを備える。吊り下げ部材62は支持具50の重量を垂直方向に支持できるフック、輪、又は留め具であり、シート取り付け部材64は吊り下げ部材62をフレーム52に接続するクランプ又は他の接続具66を含む。ある実施形態においては、吊り下げ部材62は上部支持棒56に接続されている。
【0035】
図4及び図5に示されるように、垂直な荷重キャリア54の間に設置されているラック72は、小さな栽培ポットを保持するためのかご70の支持材として設計されている。かご70は、ポットの縁、ポットの底、ポットの側部、又はそれらの組み合わせに沿ってポットを支持するように形成されている。別の実施形態においては、かご70は垂直方向の支持具と同様に円周方向の支持具を備える。かご70は、ワイヤ又はその他の材料で作られており、植物用のポットを保持できるように形成されている。ポットは、直径が約2インチ(約5.1cm)から約6インチ(約15.3cm)であり、好ましくは直径が約2インチから約4インチ(約10.2cm)であり、最も好ましくは直径が約3インチ(7.6cm)から約4インチ(約10.2cm)である。図5に示されているように、かご70は骨格74に対して傾角θbに位置決めされている。垂直に向けられた骨格74から離れる傾きは、栽培中の植物に、伸びる、発芽する、枝分かれするための更なる空間をもたらしている。角θbは、垂直から約45度から約1度の間であり、好ましくは垂直から約10度から約30度の間である。別の実施形態においては、角度θbは動かすことが可能であり、栽培されている植物の種類に応じて変更可能であることが想定される。
【0036】
ここで図6を参照すると、米国特許第5,511,340号に開示されている育成室に似た、植物栽培装置10、40、50及び74などの栽培シートを循環させるための育成室80が図示されている。育成室80は曲がりくねったトラック82を備えており、その上に植物栽培装置10、40、50及び74の吊り下げ手段30及び60が取り外し可能に連結されている。トラックは、植物栽培装置10、40、50及び74を移動可能に支持するように動く。ある実施形態における吊り下げ装置は、米国特許第5,511,340号に開示されるような育成室内の移動式ラックである。育成室80はほぼ半透明な壁及び屋根を備える温室又は他の建物である。育成室80は冬の間における継続的な操業、又は倉庫のような構造物内における実施のための育成ライトを備える。さらに、加熱、換気、及び空調システムが育成室内の空気を循環させ、植物栽培装置10、40、50、及び74で栽培される植物にとって理想的な栽培温度範囲を維持する。
【0037】
循環する間に、植物栽培装置10、40、50及び74は、管理された間隔で水、肥料、栄養物及び他の化学物質を供給される必要がある。ある実施形態においては、図7及び8に示される栄養物供給アセンブリ90が植物栽培装置10、40、50及び74に液状栄養物を供給するために用いられる。天井に取り付けられた大きなスプリンクラー装置は、育成室内において栽培シートに液状栄養物を供給するために効果的であるが、それらは多量の噴霧された液体を排水口へと排出する。米国特許第5,511,340号に開示されているカリフォルニア州、メントンのボーマック インターナショナル(Baumac International)によって製造されているシステム1000マイクロミストシステム(System 1000 MicroMist System)などの噴射又は噴霧装置は、育成室内を約70%以上の湿度に維持するために用いられる。
【0038】
植物栽培装置10、40、50及び74は、木の枝、日よけ、又は他の屋外の構造物などのあらゆる部材から吊り下げ可能であることが理解されなければならない。吊り下げ装置は、温室内の天井のトラスのような固定構造であっても良い。育成室80は、本明細書中で上述したものを含む光に当てるために育成室内を循環移動される植物を栽培するためのあらゆる植物栽培装置に使用可能である。
【0039】
図7及び8に図示されているように、植物栽培アセンブリは栄養物供給アセンブリ90を備えており、植物栽培装置10、40、50及び74は供給導管又はループ92の下であり保持貯留槽94の上を通る。ループ92は貯留槽94内の液面95より下に配置されている第1端96A及び第2端96Bを備える。ループ92は植物栽培装置10、40、50及び74並びに吊り下げ装置30、60の周りに配置されている。別の実施形態においては、ループ92は半環状に配置されているか、植物栽培装置10、40、50及び74の循環路の周りに部分的に配置されていても良い。第1端96Aはポンプ98に連結されており、保持貯留槽94に流体連通している。ポンプ98は、ループ92上に設置されたノズル100から噴霧するのに十分な圧力で供給ループ92を介して水及び栄養物を圧送する。ループの第2端96Bはループ92全体に流体圧力を維持するよう形成された構造体である。ある実施形態において、第2端96Bは供給ループ92を介して流体を圧送するための追加ポンプを有している。
【0040】
貯留槽94は第1端94Aと第2端94Bとを有しており、貯留槽94の第1端94Aは第2端94Bよりも機能的に深い。第1端94Aは、よりその近くに配置されているループ端96A及び96Bを有している。貯留槽94の第2端94Bは、育成室80のトラック82に沿って育成室内80を移動し続ける際に栽培シートから落下する過剰な液体を回収する手段として、長く浅くなっている。別の実施形態において、貯留槽の第2端94Bは長い距離に渡ってトラック82の経路に沿って延びている。ある実施形態において、距離は約12フィート(約3.6m)から約100フィート(約30m)である。これらの例において、水が貯留槽94の深い端94Aへと下方へ流れるように、第2端94Bから第1端94Aへと傾いている。
【0041】
本発明の好適な実施形態が図示されて説明されたが、発明の精神及び教示から逸脱することなく当業者はその改良を行うことが可能である。説明された実施形態及び本明細書で示された実施例は、単なる例示であり、限定することは意図していない。本明細書に開示されている発明の多くの変更及び改良は本発明の範囲に属する。したがって、保護の範囲は上述の説明によって限定されること無く、以下の特許請求の範囲のみによって限定されており、その範囲は特許請求の範囲の対象物の全ての等価物を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を栽培するための装置であって、
垂直に配置されたほぼ平らな形状と少なくとも一つの面を有する吊り下げ部材、
前記少なくとも一つの面に植物を支持するための、前記吊り下げ部材に配置された少なくとも一つの保持部材、
前記吊り下げ部材に栄養物を供給するための導管と、未使用の栄養物を捕集するための容器と、未使用の栄養物を回収するための導管と、を備える栄養物供給装置、
を有する装置。
【請求項2】
前記吊り下げ部材が前記少なくとも一つの面に連結された支持シートを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記支持シートが複数の透明材料の層を有することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記支持シートは家畜が食べることができることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記支持シートは、セルロース、でんぷん、大豆、泥炭由来物、及びそれらの組み合わせから選択される生体高分子で作られていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記支持シートは少なくとも一つの面上に重ねられた少なくとも一つの層を有し、前記少なくとも一つの層は除去可能な外層であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項7】
栽培植物は前記層の表面に直接埋め込まれていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記栽培植物は種子を含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記外層は地面の上に配置するように形成されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つの除去可能な層は家畜が食べることができることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項11】
支持部材は支持骨格を有し、前記支持骨格は鉢植えの植物を支持するための支持具を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記栄養物供給装置の導管は、前記吊り下げ部材に液状栄養物を噴霧するために前記吊り下げ部材が通る輪を形成していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも一つの保持部材に配置された一つ以上の植物ホルダを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
植物を栽培するための装置であって、
垂直に配置されたほぼ平らな形状の吊り下げ部材と、
植物を支持するために前記吊り下げ部材に配置された少なくとも一つの植物支持具とを有し、
前記吊り下げ部材と植物支持具とが可食性であることを特徴とする装置。
【請求項15】
前記吊り下げ部材が、育成室内で垂直に支持されるように形成された支持骨格を有し、
前記骨格は少なくとも一つの伸張性の支持部材を備えており、
前記支持骨格は栽培容器を支持するための一つ以上のラックを備えることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記支持骨格は剛性材料又は可撓性材料で作られていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記ラックは両端において前記伸張性の第1材料に連結されていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項18】
植物に栄養物を供給する装置であって、
ポンプと連通している導管と、
未使用の栄養分を回収する貯留槽と、
を有し、前記ポンプは栄養物の供給源と連通しており、
前記導管は植物に栄養物を噴霧するための複数のノズルを有しており、
前記貯留槽は前記供給源と連通している
ことを特徴とする装置。
【請求項19】
少なくとも一つの植物を栽培するための吊り下げ支持部材と、
温室内で少なくとも一つの支持部材を循環させるための閉じた経路と、
前記閉じた経路を介して少なくとも一つの支持部材に液状栄養物を噴霧するためのスプレーを備える環状の導管を備える栄養システムと、
前記吊り下げ支持部材から落下する過剰な栄養物を捕集して前記過剰な栄養物を再利用するための下に配置されている貯留槽と、
を有することを特徴とする請求項18に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−529687(P2011−529687A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521242(P2011−521242)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/051949
【国際公開番号】WO2010/014600
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(511025422)
【Fターム(参考)】