植物栽培器具
【課題】転倒しにくく、万一、転倒してもタンク内の水が流出しない植物栽培器具、さらに、外部温度が上昇しても水滴が外部に押し出されず、周囲を濡らすことのない植物栽培器具を提供することにある。
【解決手段】上方に開口する注水部11を備えた貯水タンク10と、前記貯水タンク10の注水部11に水密的、かつ、着脱可能に取り付けられた取付部21から下方に延在して前記貯水タンク10内に突出するホルダー部22を有する器具本体20と、前記ホルダー部22内に着脱可能に収納され、前記貯水タンク10内の水34を吸水可能な微多孔質体からなる植付部材30と、からなる植物栽培器具である。そして、前記植付部材30に栽培植物の根を吸着させて栽培する。
【解決手段】上方に開口する注水部11を備えた貯水タンク10と、前記貯水タンク10の注水部11に水密的、かつ、着脱可能に取り付けられた取付部21から下方に延在して前記貯水タンク10内に突出するホルダー部22を有する器具本体20と、前記ホルダー部22内に着脱可能に収納され、前記貯水タンク10内の水34を吸水可能な微多孔質体からなる植付部材30と、からなる植物栽培器具である。そして、前記植付部材30に栽培植物の根を吸着させて栽培する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物栽培器具、特に、土壌を使用することなく、微多孔質体を利用した植物栽培器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微多孔質体を用いた植物栽培器具として、水を貯留するタンクと、前記タンクの上部に設けたホルダーと、微多孔質体からなり、植物の少なくとも根の部分を植え付けるとともに前記ホルダーに着脱可能に装着し、前記タンク内の水を吸水し、その水分を植物の根が直接吸引する植付部材と、からなるものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−186358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述の植物栽培器具では、重心位置が高く、転倒しやすいだけでなく、転倒すると、タンク内の水が流出して周囲を濡らすおそれがあった。
【0004】
そこで、本発明者らは、前記ホルダーでタンクの開口部を完全密封することにより、転倒してもタンク内の水が流出しない構造の植物栽培器具を開発中である。そして、前記ホルダーでタンクの開口部を完全に密封すると、植付部材の内周面と栽培植物との間に存在する水滴が、例えば、外部温度の上昇によってタンク内の気圧が上昇することにより、外部に押し出されて流出し、周囲を濡らすという不具合を、本発明者らは知見した。
【0005】
本発明は、前述の知見に基づき、転倒しにくく、万一、転倒してもタンク内の水が流出しない植物栽培器具、さらに、外部温度が上昇しても水滴が外部に押し出されず、周囲を濡らすことがない植物栽培器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる植物栽培器具は、前記課題を解決すべく、上方に開口する注水部を備えた貯水タンクと、前記貯水タンクの注水部に水密的、かつ、着脱可能に取り付けられた取付部から下方に延在して前記貯水タンク内に突出するホルダー部を有する器具本体と、前記ホルダー部内に着脱可能に収納され、前記貯水タンク内の水を吸水可能な微多孔質体からなる植付部材と、からなり、前記植付部材に栽培植物の根を吸着させて栽培する構成としてある。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる植物栽培器具は、植付部材を収納するホルダー部が貯水タンク内に突出しているので、重心が低く、転倒しにくい。また、植物栽培器具が、万一、転倒しても、前記ホルダー部の下端部が水面から突出するため、水が外部に流出することがなく、周囲を濡らすことがない。
【0008】
本発明にかかる実施形態としては、植付部材に、前記植付部材の吸水力よりも保水力が低い吸水紐を介して貯水タンク内の水を供給してもよい。
本実施形態によれば、吸水紐を介して吸水できるので、貯水タンク内の水面から植付部材を離して配置できる。このため、設計の自由度が大きくなるだけでなく、吸水量の調整が容易になり、栽培できる栽培植物の範囲が広がる。
【0009】
本発明にかかる他の実施形態としては、器具本体の取付部とホルダー部との間に形成される環状溝部の底面に、注水タンクの注水部の開口縁部に圧接してシールする第1弾性シール部材を配置した構成としてもよい。また、植付部材に嵌合した環状の第2弾性シール部材を、器具本体のホルダー部に圧接させてシールしてもよい。
本実施形態によれば、植物栽培器具が転倒しても、第1,第2弾性シール部材が水漏れを確実に防止するだけでなく、器具本体,植付部材に高い部品精度を必要とせず、製造が容易になる。
【0010】
本発明にかかる新たな実施形態としては、ホルダーの内周面のうち、少なくとも第2弾性シール部材に圧接する部分に、外部空間と貯水タンクの内部空間とを連通させる少なくとも1本のガス抜き溝を設けた構成としてもよい。
本実施形態によれば、貯水タンク内の気圧が上昇しても、内部空気が前記ガス抜き溝から外部に抜け出ることにより、気圧差を調整できる。このため、器具本体の取付部を貯水タンクの注水部に水密的に取り付けても、ホルダー部と栽培植物との間に残存する水滴が押し出されて流出することがなく、周囲を濡らすことはない。
【0011】
本発明にかかる別の実施形態としては、植付部材の上端部に取り付けられる上方キャップの下端開口縁部に、第2弾性シール部材を一体成形してもよい。
本実施形態によれば、部品点数,組立工数が少ない植物栽培器具を得られるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明にかかる植物栽培器具の実施形態を図1ないし図11の添付図面に従って説明する。
第1実施形態は、図1ないし図5に示すように、大略、水を貯留する貯水タンク10と、前記貯水タンク10の注水部11に着脱可能な器具本体20と、前記器具本体20に着脱可能に収納される植付部材30とからなる。
【0013】
前記貯水タンク10は、図2に示すように、透光性を有する透明な樹脂またはガラスからなり、その上端で開口する注水部11を有する容器である。前記注水部11の外周面には、後述する器具本体20を螺合するために雄ネジが形成されている。なお、本実施形態では、注水部11に雄ネジを形成してあるが、必ずしもこれに限らず、前記貯水タンク10に器具本体20を着脱可能に装着できるのであれば、例えば、前記注水部11の外周部に少なくとも1本の環状の突条(図示せず)を設け、ワンタッチで着脱できる強制嵌め構造であってもよい。
なお、前記貯水タンク10は、必ずしも透光性を有している必要はなく、光が全く透過しないガラス、セラミック、樹脂等であってもよい。ただし、部分的に水量を確認できる透明な窓を設けておいてもよい。
【0014】
なお、前記タンク10に貯留する水とは、植物の成長を促進させるための養分が含まれたものに限らず、養分が含まれていない水道水も含む。
【0015】
前記器具本体20は、取付部21と筒状ホルダー部22とを一体成形したものである。
すなわち、前記取付部21は断面略コ字形状であり、その内側面に前記注水部11の雄ネジに螺合する雌ネジ部を有するとともに、その中央に軸心に沿って挿入孔23が形成されている。そして、前記取付部21の挿入孔23の下方開口縁部から下方に前記筒状ホルダー部22が延在している。前記ホルダー部22は、後述する植付部材30を着脱可能に挿入できる円筒形状であり、その下方開口縁部に抜け止め用環状リブ24が形成されている。さらに、前記ホルダー部22は、その内周面の上方部にガス抜き溝25を軸心方向に沿って形成してある。
【0016】
なお、前記器具本体20は遮光性を有することが好ましい。前記ホルダー部22が遮光性を有することにより、ホルダー部22内への光の透過を防止し、透過した光で植付部材30の表面にアオミドロが発生することを防止するためである。この結果、植付部材30を手入れする場合等に、アオミドロの付着によってユーザが不快感を受けることがない。また、ホルダー部22の内周面と植付部材30の外周面との隙間をアオミドロが塞ぐことがなく、空気の供給が妨げられることもない。
【0017】
前記取付部21の内側面と前記ホルダー部22の外側面との間に形成される環状溝の底面に、環状の第1弾性シール部材31が嵌合されている。前記第1弾性シール部材31を配置することにより、貯水タンク10の注水部11と器具本体20との間のシール性が高まる。このため、水漏れが無くなるとともに、器具本体20に高い部品精度を必要とせず、製造が容易になるという利点がある。
【0018】
植付部材30は、前記ホルダー部22の内径よりも小さい外径の円筒形状を有する微多孔質体であり、水分を毛細管現象に吸引力(以下、「毛細管力」という)で吸引するものである。ここで、前記微多孔質体とは、例えば、高温で焼成しても内部に連通する微小な空隙が消失しない原料を押し固めて成形した後、焼成して得られるセラミックスが挙げられる。また、他の前記微多孔質体としては、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、ユリア樹脂等の連続気泡型プラスチックフォーム、あるいは、微小な空隙を有する微細な炭素粒子の集合体等であってもよい。前述の微多孔質体からなる植付部材30は、内部に0.02μm〜100μmの空隙または気泡が形成され、相互に連通した水分の通路を構成する。
特に、本実施形態にかかる植付部材30はセラミックス製であり、その外周面に釉薬を塗布して前記外周面からの水の蒸散を防止している。
【0019】
前記植付部材30は、その外側面に環状の第2弾性シール部材32を取り付けてあるとともに、その上,下開口部に上方キャップ40および下方キャップ45をそれぞれ嵌合してある。
【0020】
第2弾性シール部材32は、前記植付部材30の外側面と前記ホルダー部22の内側面との隙間をシールするためのものである。ただし、内外の気圧差を調整するため、前記ホルダー部22に設けたガス抜き溝25を介して空気の流通が可能となっている。これは、前記ガス抜き溝25を設けていない場合に生じる後述する不具合を解消するためである。
すなわち、前記ガス抜き溝25を設けていない場合には、外部温度が上昇すると、貯水タンク10内の空気が膨張し、植付部材30の内側面と図示しない栽培植物との間に残留する水滴が押し出され、雫が外部に流れ出す。そして、外部温度が下降すると、前記貯水タンク10内の気圧が低下し、外気が前記貯水タンク10内に流入する。そして、このような現象は、本願の植物栽培器具を密閉したビニール袋内に封入して搬送し、在庫した場合に、外部温度が何度も上下動したときに生じ、流れ出した水が前記ビニール袋内に溜まるという不具合があった。
【0021】
上方キャップ40は、図4に示すように、前記植付部材30の上端に嵌合できる断面コ字形状の樹脂成形品であり、その中央に取付孔41を有するとともに、その下方開口縁部から圧入用環状フランジ部42を下方に突設してある。さらに、前記環状フランジ部42の外周基部には着脱作業を容易にするための位置決め用リブ43を突設してある。
【0022】
下方キャップ45は、図5に示すように、前記植付部材30の下端開口部から圧入可能な圧入部46に、円盤状フランジ部47を一体成形したものである。前記円盤状フランジ部47の外周縁部には一対の切り欠き部48を形成してある。また、前記圧入部46は、その基部から外周面にテーパ面を備えた圧入用突条49を突設してある。
そして、前記植付部材30の下端開口部に前記下方キャップ45の圧入部46を前記圧入用突条49を介して圧入することにより、植付部材30の内側面と前記下方キャップ45の圧入部46とにより、前記切り欠き部48に位置決めした吸水紐33の上端部を挟持できる。
【0023】
前記吸水紐33は、前記植付部材30の吸水力より保水力が低いPVA(ポリビニルアルコール)からなる。そして、前記吸水紐33は、それ自身の吸水力で前記貯水タンク10内の水を吸水し、毛細管力で上端まで浸透させることにより、吸水した水分を前記植付部材30に供給する。前記PVAとしては、例えば、PVAスポンジをシート状とした素材の内部に、芯材として糸状のポリエステルを配設した鐘紡株式会社製のPCPIが挙げられる。なお、吸水紐33には、PVAの代わりに、カーボンファイバーやアクリル繊維を用いてもよい。また、吸水紐33の取付位置は植付部材30の上方部であってもよい。
【0024】
本実施形態にかかる植物栽培器具の組み立ては、植付部材30に環状の第2弾性シール部材32を嵌合するとともに、前記植付部材30の上端部に上方キャップ40を嵌合する。ついで、下方キャップ45の切り欠き部48に吸水紐33の一端部を位置決めしつつ、その圧入部46を前記植付部材30の下端開口部に圧入する。そして、器具本体20の挿入孔23から前記植付部材30を挿入し、前記吸水紐33をホルダー部22から引き出す。ついで、水を注入した貯水タンク10の注水部11から前記器具本体20のホルダー部22を挿入して固定するとともに、前記吸水紐33を水34に浸漬することにより、組み立てが完了する。そして、上方キャップ40の取付孔41から栽培植物の挿し穂あるいは発根した栽培植物を挿入し、植付部材30の内周面に接触させて植え付ける。
【0025】
本実施形態では、貯水タンク10の注水部11の内径が大きいので、吸水紐33の下端部が前記注水部11の開口縁部にくっつきにくく、組み立てが容易であるという利点がある。
【0026】
前記植物栽培器具では、吸水紐33が貯水タンク10内の水を自身の吸水力で吸水する。そして、吸水された水は、植付部材30に装着した吸水紐33の上端部まで毛細管力で浸透する。そして、前記吸水紐33に接触した植付部材30が、それ自身の吸水力で吸水紐33が内部に保持する水を吸水する結果、水が植付部材30全体に浸透する。
即ち、貯水タンク10内の水は、正圧でも負圧でもなく、吸水紐33および植付部材30の毛細管力のみで順次吸引される。
【0027】
また、前記植付部材30に植え付けられた栽培植物(図示せず)は、成長するため、その環境に応じた新たな吸収根を生やし、水を保持する植付部材30の内周面に吸着する。そして、前記栽培植物は、それ自身の吸水力のみで植付部材30内に保持された水分を直接吸引して成長する。
【0028】
このように、本実施形態の植物栽培器具では、貯水タンク10内の水を吸水紐33を介して微多孔質体からなる植付部材30が、それ自身の吸水力で吸水する。このため、植付部材30の表面から水が滲み出ることはない。この結果、水の流出,蒸発による消費を防止でき、貯水タンク10への水の補充頻度を低減できる。
【0029】
また、栽培植物は、それ自身の吸水力だけで水分を吸収するため、水の過剰供給によって育った環境に弱い植物ではなく、環境に強い植物となる。さらに、前記植物栽培器具では、栽培植物が生長するために必要な酸素分は、その栽培植物と微多孔質体との空隙および微多孔質体自身の空隙から栽培植物の根に供給される。このため、植物が酸欠によって枯れる等の不都合は生じない。
【0030】
前記ホルダー部22の内部では、貯水タンク10の水が水蒸気となり、ホルダー部22の内周面と植付部材30の外周面との間で結露し、両者の隙間を閉塞する可能性がある。しかし、本実施形態では、ホルダー部22の内側面にガス抜き溝25を設けてある。このため、貯水タンク10の内部空気が膨張しても、前記ガス抜き溝25を介して水蒸気を含む内部空気が外部に抜けるので、結露しないとともに、内外の圧力差を調整できる。この結果、植付部材30の内側面と栽培植物との間に残存する水滴が内部空気に押し出されることがなく、外部に流れ出ることもない。
【0031】
本実施形態よれば、器具本体20のホルダー部22が貯水タンク10内に突出する構造となっている。このため、本願発明の植物栽培器具は、重心が低く、転倒しにくい。また、図3Aに示すように、万一、前記植物栽培器具が転倒したとしても、貯水タンク10の注水部11と器具本体20の取付部21とが第1弾性シール部材31を介して緊密にシールされているとともに、ホルダー部22の下端部が水面から突出しているので、貯水タンク10の水が流出することもない。さらに、図3Bに示すように、器具本体20が逆立ちしたとしても、ホルダー部22の下端部が水面から突出し、前述と同様、前記第1弾性シール部材31が水の流出を防止できる。
【0032】
第2実施形態は、図6図に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点は、上方に向けて直径が大きくなる形状を有する取付部21を有する場合である。そして、前記取付部21の上面に凹所21aを設けるとともに、前記凹所21の底面から上方キャップ40が突出している。
本実施形態によれば、前記上方キャップ40を摘んで植付部材30を引き出し易いので、前記植付部材30のクリーニング作業が容易である。また、前記上方キャップ40は前記取付部21の凹所21a内に位置しているので、植付部材30の上端部が外力で破損するおそれはない。
他は前述の第1実施形態と同様であるので、同一部分に同一番号を附して説明を省略する。
【0033】
第3実施形態は、図7に示すように、前述の第2実施形態と同様に、第2弾性シールド部材としての機能をも兼ね備えた上方キャップ40で、植付部材30を支持しつつ、シールドする場合である。特に、本実施形態では、前記ホルダー部22の内側面に前記上方キャップ40の接触面に沿って上下にガス抜き孔25が形成されている。
本実施例によれば、部品点数,組立工数が少なくなるという利点がある。
他は前述の第2実施形態と同様であるので、同一部分に同一番号を附して説明を省略する。
【0034】
第4実施形態は、図8に示すように、前述の第3実施形態と同様、第2弾性シールド部材としての機能をも兼ね備えた上方キャップ40の上面と、取付部21の上方縁部とを略同一平面上に配置した場合である。
本実施形態によれば、背の低い植物栽培器具が得られるという利点がある。
他は前述の第3実施形態と同様であるので、同一部分に同一番号を附して説明を省略する。
【0035】
第5実施形態は、図9に示すように、器具本体20の取付部21の形状を末広がりとした場合である。
他は前述の第4実施形態と同様であるので、同一部分に同一番号を附して説明を省略する。
【0036】
第6実施形態は、図10に示すように、器具本体20の取付部21の形状を第1実施形態と略同一形状にした場合である。
本実施形態によれば、第1実施形態よりも、部品点数,組立工数が少ない植物栽培器具が得られるという利点がある。
【0037】
第7実施形態は、図11に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点は、上方キャップ40としての機能を兼ね備えた第2弾性シールド部材32で、植付部材30を支持しつつ、シールドする場合である。そして、本実施形態では、前記取付部21および前記ホルダー部22の内側面にガス抜き孔25が上下方向に形成されている。
本実施例によれば、第1実施形態よりも、部品点数,組立工数が少ない植物栽培器具を得られるという利点がある。
他は前述の第1実施形態と同様であるので、同一部分に同一番号を附して説明を省略する。
【0038】
なお、本発明の植物栽培器具は、前記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、多量の水を必要とする栽培植物を栽培する場合には、植付部材30に吸水紐33を接続することなく、植付部材30を貯水タンク10内の水に直接浸漬してもよい。
また、前記ホルダー部22および植付部材30の大きさ,形状は図示の円筒形状に限られず、希望に応じて種々の変更が可能である。同様に、前記貯水タンクも前述のようなボトル形状である必要はない。
さらに、ガス抜き溝25は器具本体20の内側面に少なくとも1本設ければよく、形状、本数および配置は必要に応じて適宜選択できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明にかかる植物栽培器具は、前述の実施形態に限らず、他の形状および構造を有する植物栽培器具であってもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1A,1Bは本願発明にかかる植物栽培器具を示す平面図および正面図である。
【図2】図2A,図2B,図2Cは図1で示した器具本体の部分断面正面図、平面図底面図であり、図2Dは図1で示した植物栽培器具の断面図である。
【図3】図3A,3Bは図1で示した植物栽培器具が転倒した場合を示す断面図である。
【図4】図4A,4B,4Cおよび4Dは図2Dで示した上方キャップの平面図、正面図、底面図および断面図である。
【図5】図5A,5B,5Cは図2Dで示した下方キャップの平面図、正面図、底面図であり、図5D,5Eは断面図である。
【図6】図6A,6B,6Cは本願発明の第2実施形態を示す平面図、正面図および部分拡大断面図である。
【図7】図7A,7B,7Cは本願発明の第3実施形態を示す平面図、正面図および部分拡大断面図である。
【図8】図8A,8B,8Cは本願発明の第4実施形態を示す平面図、正面図および部分拡大断面図である。
【図9】図9A,9B,9Cは本願発明の第5実施形態を示す平面図、正面図および部分拡大断面図である。
【図10】図10A,10B,10Cは本願発明の第6実施形態を示す平面図、正面図および部分拡大断面図である。
【図11】図11A,11B,11Cは本願発明の第7実施形態を示す平面図、正面図および部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10:貯水タンク
11:注水部
20:器具本体
21:取付部
21a:凹所
22:ホルダー部
23:挿入孔
24:環状リブ
25:ガス抜き溝
30:植付部材
31:第1弾性シールド部材
32:第2弾性シールド部材
33:吸水紐
34:水
40:上方キャップ
41:取付孔
42:環状フランジ部
43:位置決め用リブ
45:下方キャップ
46:圧入部
47:円盤状リブ
48:切り欠き部
【技術分野】
【0001】
本発明は植物栽培器具、特に、土壌を使用することなく、微多孔質体を利用した植物栽培器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微多孔質体を用いた植物栽培器具として、水を貯留するタンクと、前記タンクの上部に設けたホルダーと、微多孔質体からなり、植物の少なくとも根の部分を植え付けるとともに前記ホルダーに着脱可能に装着し、前記タンク内の水を吸水し、その水分を植物の根が直接吸引する植付部材と、からなるものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−186358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述の植物栽培器具では、重心位置が高く、転倒しやすいだけでなく、転倒すると、タンク内の水が流出して周囲を濡らすおそれがあった。
【0004】
そこで、本発明者らは、前記ホルダーでタンクの開口部を完全密封することにより、転倒してもタンク内の水が流出しない構造の植物栽培器具を開発中である。そして、前記ホルダーでタンクの開口部を完全に密封すると、植付部材の内周面と栽培植物との間に存在する水滴が、例えば、外部温度の上昇によってタンク内の気圧が上昇することにより、外部に押し出されて流出し、周囲を濡らすという不具合を、本発明者らは知見した。
【0005】
本発明は、前述の知見に基づき、転倒しにくく、万一、転倒してもタンク内の水が流出しない植物栽培器具、さらに、外部温度が上昇しても水滴が外部に押し出されず、周囲を濡らすことがない植物栽培器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる植物栽培器具は、前記課題を解決すべく、上方に開口する注水部を備えた貯水タンクと、前記貯水タンクの注水部に水密的、かつ、着脱可能に取り付けられた取付部から下方に延在して前記貯水タンク内に突出するホルダー部を有する器具本体と、前記ホルダー部内に着脱可能に収納され、前記貯水タンク内の水を吸水可能な微多孔質体からなる植付部材と、からなり、前記植付部材に栽培植物の根を吸着させて栽培する構成としてある。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる植物栽培器具は、植付部材を収納するホルダー部が貯水タンク内に突出しているので、重心が低く、転倒しにくい。また、植物栽培器具が、万一、転倒しても、前記ホルダー部の下端部が水面から突出するため、水が外部に流出することがなく、周囲を濡らすことがない。
【0008】
本発明にかかる実施形態としては、植付部材に、前記植付部材の吸水力よりも保水力が低い吸水紐を介して貯水タンク内の水を供給してもよい。
本実施形態によれば、吸水紐を介して吸水できるので、貯水タンク内の水面から植付部材を離して配置できる。このため、設計の自由度が大きくなるだけでなく、吸水量の調整が容易になり、栽培できる栽培植物の範囲が広がる。
【0009】
本発明にかかる他の実施形態としては、器具本体の取付部とホルダー部との間に形成される環状溝部の底面に、注水タンクの注水部の開口縁部に圧接してシールする第1弾性シール部材を配置した構成としてもよい。また、植付部材に嵌合した環状の第2弾性シール部材を、器具本体のホルダー部に圧接させてシールしてもよい。
本実施形態によれば、植物栽培器具が転倒しても、第1,第2弾性シール部材が水漏れを確実に防止するだけでなく、器具本体,植付部材に高い部品精度を必要とせず、製造が容易になる。
【0010】
本発明にかかる新たな実施形態としては、ホルダーの内周面のうち、少なくとも第2弾性シール部材に圧接する部分に、外部空間と貯水タンクの内部空間とを連通させる少なくとも1本のガス抜き溝を設けた構成としてもよい。
本実施形態によれば、貯水タンク内の気圧が上昇しても、内部空気が前記ガス抜き溝から外部に抜け出ることにより、気圧差を調整できる。このため、器具本体の取付部を貯水タンクの注水部に水密的に取り付けても、ホルダー部と栽培植物との間に残存する水滴が押し出されて流出することがなく、周囲を濡らすことはない。
【0011】
本発明にかかる別の実施形態としては、植付部材の上端部に取り付けられる上方キャップの下端開口縁部に、第2弾性シール部材を一体成形してもよい。
本実施形態によれば、部品点数,組立工数が少ない植物栽培器具を得られるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明にかかる植物栽培器具の実施形態を図1ないし図11の添付図面に従って説明する。
第1実施形態は、図1ないし図5に示すように、大略、水を貯留する貯水タンク10と、前記貯水タンク10の注水部11に着脱可能な器具本体20と、前記器具本体20に着脱可能に収納される植付部材30とからなる。
【0013】
前記貯水タンク10は、図2に示すように、透光性を有する透明な樹脂またはガラスからなり、その上端で開口する注水部11を有する容器である。前記注水部11の外周面には、後述する器具本体20を螺合するために雄ネジが形成されている。なお、本実施形態では、注水部11に雄ネジを形成してあるが、必ずしもこれに限らず、前記貯水タンク10に器具本体20を着脱可能に装着できるのであれば、例えば、前記注水部11の外周部に少なくとも1本の環状の突条(図示せず)を設け、ワンタッチで着脱できる強制嵌め構造であってもよい。
なお、前記貯水タンク10は、必ずしも透光性を有している必要はなく、光が全く透過しないガラス、セラミック、樹脂等であってもよい。ただし、部分的に水量を確認できる透明な窓を設けておいてもよい。
【0014】
なお、前記タンク10に貯留する水とは、植物の成長を促進させるための養分が含まれたものに限らず、養分が含まれていない水道水も含む。
【0015】
前記器具本体20は、取付部21と筒状ホルダー部22とを一体成形したものである。
すなわち、前記取付部21は断面略コ字形状であり、その内側面に前記注水部11の雄ネジに螺合する雌ネジ部を有するとともに、その中央に軸心に沿って挿入孔23が形成されている。そして、前記取付部21の挿入孔23の下方開口縁部から下方に前記筒状ホルダー部22が延在している。前記ホルダー部22は、後述する植付部材30を着脱可能に挿入できる円筒形状であり、その下方開口縁部に抜け止め用環状リブ24が形成されている。さらに、前記ホルダー部22は、その内周面の上方部にガス抜き溝25を軸心方向に沿って形成してある。
【0016】
なお、前記器具本体20は遮光性を有することが好ましい。前記ホルダー部22が遮光性を有することにより、ホルダー部22内への光の透過を防止し、透過した光で植付部材30の表面にアオミドロが発生することを防止するためである。この結果、植付部材30を手入れする場合等に、アオミドロの付着によってユーザが不快感を受けることがない。また、ホルダー部22の内周面と植付部材30の外周面との隙間をアオミドロが塞ぐことがなく、空気の供給が妨げられることもない。
【0017】
前記取付部21の内側面と前記ホルダー部22の外側面との間に形成される環状溝の底面に、環状の第1弾性シール部材31が嵌合されている。前記第1弾性シール部材31を配置することにより、貯水タンク10の注水部11と器具本体20との間のシール性が高まる。このため、水漏れが無くなるとともに、器具本体20に高い部品精度を必要とせず、製造が容易になるという利点がある。
【0018】
植付部材30は、前記ホルダー部22の内径よりも小さい外径の円筒形状を有する微多孔質体であり、水分を毛細管現象に吸引力(以下、「毛細管力」という)で吸引するものである。ここで、前記微多孔質体とは、例えば、高温で焼成しても内部に連通する微小な空隙が消失しない原料を押し固めて成形した後、焼成して得られるセラミックスが挙げられる。また、他の前記微多孔質体としては、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、ユリア樹脂等の連続気泡型プラスチックフォーム、あるいは、微小な空隙を有する微細な炭素粒子の集合体等であってもよい。前述の微多孔質体からなる植付部材30は、内部に0.02μm〜100μmの空隙または気泡が形成され、相互に連通した水分の通路を構成する。
特に、本実施形態にかかる植付部材30はセラミックス製であり、その外周面に釉薬を塗布して前記外周面からの水の蒸散を防止している。
【0019】
前記植付部材30は、その外側面に環状の第2弾性シール部材32を取り付けてあるとともに、その上,下開口部に上方キャップ40および下方キャップ45をそれぞれ嵌合してある。
【0020】
第2弾性シール部材32は、前記植付部材30の外側面と前記ホルダー部22の内側面との隙間をシールするためのものである。ただし、内外の気圧差を調整するため、前記ホルダー部22に設けたガス抜き溝25を介して空気の流通が可能となっている。これは、前記ガス抜き溝25を設けていない場合に生じる後述する不具合を解消するためである。
すなわち、前記ガス抜き溝25を設けていない場合には、外部温度が上昇すると、貯水タンク10内の空気が膨張し、植付部材30の内側面と図示しない栽培植物との間に残留する水滴が押し出され、雫が外部に流れ出す。そして、外部温度が下降すると、前記貯水タンク10内の気圧が低下し、外気が前記貯水タンク10内に流入する。そして、このような現象は、本願の植物栽培器具を密閉したビニール袋内に封入して搬送し、在庫した場合に、外部温度が何度も上下動したときに生じ、流れ出した水が前記ビニール袋内に溜まるという不具合があった。
【0021】
上方キャップ40は、図4に示すように、前記植付部材30の上端に嵌合できる断面コ字形状の樹脂成形品であり、その中央に取付孔41を有するとともに、その下方開口縁部から圧入用環状フランジ部42を下方に突設してある。さらに、前記環状フランジ部42の外周基部には着脱作業を容易にするための位置決め用リブ43を突設してある。
【0022】
下方キャップ45は、図5に示すように、前記植付部材30の下端開口部から圧入可能な圧入部46に、円盤状フランジ部47を一体成形したものである。前記円盤状フランジ部47の外周縁部には一対の切り欠き部48を形成してある。また、前記圧入部46は、その基部から外周面にテーパ面を備えた圧入用突条49を突設してある。
そして、前記植付部材30の下端開口部に前記下方キャップ45の圧入部46を前記圧入用突条49を介して圧入することにより、植付部材30の内側面と前記下方キャップ45の圧入部46とにより、前記切り欠き部48に位置決めした吸水紐33の上端部を挟持できる。
【0023】
前記吸水紐33は、前記植付部材30の吸水力より保水力が低いPVA(ポリビニルアルコール)からなる。そして、前記吸水紐33は、それ自身の吸水力で前記貯水タンク10内の水を吸水し、毛細管力で上端まで浸透させることにより、吸水した水分を前記植付部材30に供給する。前記PVAとしては、例えば、PVAスポンジをシート状とした素材の内部に、芯材として糸状のポリエステルを配設した鐘紡株式会社製のPCPIが挙げられる。なお、吸水紐33には、PVAの代わりに、カーボンファイバーやアクリル繊維を用いてもよい。また、吸水紐33の取付位置は植付部材30の上方部であってもよい。
【0024】
本実施形態にかかる植物栽培器具の組み立ては、植付部材30に環状の第2弾性シール部材32を嵌合するとともに、前記植付部材30の上端部に上方キャップ40を嵌合する。ついで、下方キャップ45の切り欠き部48に吸水紐33の一端部を位置決めしつつ、その圧入部46を前記植付部材30の下端開口部に圧入する。そして、器具本体20の挿入孔23から前記植付部材30を挿入し、前記吸水紐33をホルダー部22から引き出す。ついで、水を注入した貯水タンク10の注水部11から前記器具本体20のホルダー部22を挿入して固定するとともに、前記吸水紐33を水34に浸漬することにより、組み立てが完了する。そして、上方キャップ40の取付孔41から栽培植物の挿し穂あるいは発根した栽培植物を挿入し、植付部材30の内周面に接触させて植え付ける。
【0025】
本実施形態では、貯水タンク10の注水部11の内径が大きいので、吸水紐33の下端部が前記注水部11の開口縁部にくっつきにくく、組み立てが容易であるという利点がある。
【0026】
前記植物栽培器具では、吸水紐33が貯水タンク10内の水を自身の吸水力で吸水する。そして、吸水された水は、植付部材30に装着した吸水紐33の上端部まで毛細管力で浸透する。そして、前記吸水紐33に接触した植付部材30が、それ自身の吸水力で吸水紐33が内部に保持する水を吸水する結果、水が植付部材30全体に浸透する。
即ち、貯水タンク10内の水は、正圧でも負圧でもなく、吸水紐33および植付部材30の毛細管力のみで順次吸引される。
【0027】
また、前記植付部材30に植え付けられた栽培植物(図示せず)は、成長するため、その環境に応じた新たな吸収根を生やし、水を保持する植付部材30の内周面に吸着する。そして、前記栽培植物は、それ自身の吸水力のみで植付部材30内に保持された水分を直接吸引して成長する。
【0028】
このように、本実施形態の植物栽培器具では、貯水タンク10内の水を吸水紐33を介して微多孔質体からなる植付部材30が、それ自身の吸水力で吸水する。このため、植付部材30の表面から水が滲み出ることはない。この結果、水の流出,蒸発による消費を防止でき、貯水タンク10への水の補充頻度を低減できる。
【0029】
また、栽培植物は、それ自身の吸水力だけで水分を吸収するため、水の過剰供給によって育った環境に弱い植物ではなく、環境に強い植物となる。さらに、前記植物栽培器具では、栽培植物が生長するために必要な酸素分は、その栽培植物と微多孔質体との空隙および微多孔質体自身の空隙から栽培植物の根に供給される。このため、植物が酸欠によって枯れる等の不都合は生じない。
【0030】
前記ホルダー部22の内部では、貯水タンク10の水が水蒸気となり、ホルダー部22の内周面と植付部材30の外周面との間で結露し、両者の隙間を閉塞する可能性がある。しかし、本実施形態では、ホルダー部22の内側面にガス抜き溝25を設けてある。このため、貯水タンク10の内部空気が膨張しても、前記ガス抜き溝25を介して水蒸気を含む内部空気が外部に抜けるので、結露しないとともに、内外の圧力差を調整できる。この結果、植付部材30の内側面と栽培植物との間に残存する水滴が内部空気に押し出されることがなく、外部に流れ出ることもない。
【0031】
本実施形態よれば、器具本体20のホルダー部22が貯水タンク10内に突出する構造となっている。このため、本願発明の植物栽培器具は、重心が低く、転倒しにくい。また、図3Aに示すように、万一、前記植物栽培器具が転倒したとしても、貯水タンク10の注水部11と器具本体20の取付部21とが第1弾性シール部材31を介して緊密にシールされているとともに、ホルダー部22の下端部が水面から突出しているので、貯水タンク10の水が流出することもない。さらに、図3Bに示すように、器具本体20が逆立ちしたとしても、ホルダー部22の下端部が水面から突出し、前述と同様、前記第1弾性シール部材31が水の流出を防止できる。
【0032】
第2実施形態は、図6図に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点は、上方に向けて直径が大きくなる形状を有する取付部21を有する場合である。そして、前記取付部21の上面に凹所21aを設けるとともに、前記凹所21の底面から上方キャップ40が突出している。
本実施形態によれば、前記上方キャップ40を摘んで植付部材30を引き出し易いので、前記植付部材30のクリーニング作業が容易である。また、前記上方キャップ40は前記取付部21の凹所21a内に位置しているので、植付部材30の上端部が外力で破損するおそれはない。
他は前述の第1実施形態と同様であるので、同一部分に同一番号を附して説明を省略する。
【0033】
第3実施形態は、図7に示すように、前述の第2実施形態と同様に、第2弾性シールド部材としての機能をも兼ね備えた上方キャップ40で、植付部材30を支持しつつ、シールドする場合である。特に、本実施形態では、前記ホルダー部22の内側面に前記上方キャップ40の接触面に沿って上下にガス抜き孔25が形成されている。
本実施例によれば、部品点数,組立工数が少なくなるという利点がある。
他は前述の第2実施形態と同様であるので、同一部分に同一番号を附して説明を省略する。
【0034】
第4実施形態は、図8に示すように、前述の第3実施形態と同様、第2弾性シールド部材としての機能をも兼ね備えた上方キャップ40の上面と、取付部21の上方縁部とを略同一平面上に配置した場合である。
本実施形態によれば、背の低い植物栽培器具が得られるという利点がある。
他は前述の第3実施形態と同様であるので、同一部分に同一番号を附して説明を省略する。
【0035】
第5実施形態は、図9に示すように、器具本体20の取付部21の形状を末広がりとした場合である。
他は前述の第4実施形態と同様であるので、同一部分に同一番号を附して説明を省略する。
【0036】
第6実施形態は、図10に示すように、器具本体20の取付部21の形状を第1実施形態と略同一形状にした場合である。
本実施形態によれば、第1実施形態よりも、部品点数,組立工数が少ない植物栽培器具が得られるという利点がある。
【0037】
第7実施形態は、図11に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点は、上方キャップ40としての機能を兼ね備えた第2弾性シールド部材32で、植付部材30を支持しつつ、シールドする場合である。そして、本実施形態では、前記取付部21および前記ホルダー部22の内側面にガス抜き孔25が上下方向に形成されている。
本実施例によれば、第1実施形態よりも、部品点数,組立工数が少ない植物栽培器具を得られるという利点がある。
他は前述の第1実施形態と同様であるので、同一部分に同一番号を附して説明を省略する。
【0038】
なお、本発明の植物栽培器具は、前記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、多量の水を必要とする栽培植物を栽培する場合には、植付部材30に吸水紐33を接続することなく、植付部材30を貯水タンク10内の水に直接浸漬してもよい。
また、前記ホルダー部22および植付部材30の大きさ,形状は図示の円筒形状に限られず、希望に応じて種々の変更が可能である。同様に、前記貯水タンクも前述のようなボトル形状である必要はない。
さらに、ガス抜き溝25は器具本体20の内側面に少なくとも1本設ければよく、形状、本数および配置は必要に応じて適宜選択できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明にかかる植物栽培器具は、前述の実施形態に限らず、他の形状および構造を有する植物栽培器具であってもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1A,1Bは本願発明にかかる植物栽培器具を示す平面図および正面図である。
【図2】図2A,図2B,図2Cは図1で示した器具本体の部分断面正面図、平面図底面図であり、図2Dは図1で示した植物栽培器具の断面図である。
【図3】図3A,3Bは図1で示した植物栽培器具が転倒した場合を示す断面図である。
【図4】図4A,4B,4Cおよび4Dは図2Dで示した上方キャップの平面図、正面図、底面図および断面図である。
【図5】図5A,5B,5Cは図2Dで示した下方キャップの平面図、正面図、底面図であり、図5D,5Eは断面図である。
【図6】図6A,6B,6Cは本願発明の第2実施形態を示す平面図、正面図および部分拡大断面図である。
【図7】図7A,7B,7Cは本願発明の第3実施形態を示す平面図、正面図および部分拡大断面図である。
【図8】図8A,8B,8Cは本願発明の第4実施形態を示す平面図、正面図および部分拡大断面図である。
【図9】図9A,9B,9Cは本願発明の第5実施形態を示す平面図、正面図および部分拡大断面図である。
【図10】図10A,10B,10Cは本願発明の第6実施形態を示す平面図、正面図および部分拡大断面図である。
【図11】図11A,11B,11Cは本願発明の第7実施形態を示す平面図、正面図および部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10:貯水タンク
11:注水部
20:器具本体
21:取付部
21a:凹所
22:ホルダー部
23:挿入孔
24:環状リブ
25:ガス抜き溝
30:植付部材
31:第1弾性シールド部材
32:第2弾性シールド部材
33:吸水紐
34:水
40:上方キャップ
41:取付孔
42:環状フランジ部
43:位置決め用リブ
45:下方キャップ
46:圧入部
47:円盤状リブ
48:切り欠き部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する注水部を備えた貯水タンクと、
前記貯水タンクの注水部に水密的、かつ、着脱可能に取り付けられた取付部から下方に延在して前記貯水タンク内に突出するホルダー部を有する器具本体と、
前記ホルダー部内に着脱可能に収納され、前記貯水タンク内の水を吸水可能な微多孔質体からなる植付部材と、からなり、
前記植付部材に栽培植物の根を吸着させて栽培することを特徴とする植物栽培器具。
【請求項2】
植付部材に、前記植付部材の吸水力よりも保水力が低い吸水紐を介して貯水タンク内の水を供給することを特徴とする請求項1に記載の植物栽培器具。
【請求項3】
器具本体の取付部とホルダー部との間に形成される環状溝部の底面に、注水タンクの注水部の開口縁部に圧接してシールする第1弾性シール部材を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培器具。
【請求項4】
植付部材に嵌合した環状の第2弾性シール部材を、器具本体のホルダー部に圧接させてシールすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の植物栽培器具。
【請求項5】
ホルダーの内周面のうち、少なくとも第2弾性シール部材に圧接する部分に、外部空間と貯水タンクの内部空間とを連通させる少なくとも1本のガス抜き溝を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の植物栽培器具。
【請求項6】
植付部材の上端部に取り付けられる上方キャップの下端開口縁部に、第2弾性シール部材を一体成形したことを特徴とする請求項4または5に記載の植物栽培器具。
【請求項1】
上方に開口する注水部を備えた貯水タンクと、
前記貯水タンクの注水部に水密的、かつ、着脱可能に取り付けられた取付部から下方に延在して前記貯水タンク内に突出するホルダー部を有する器具本体と、
前記ホルダー部内に着脱可能に収納され、前記貯水タンク内の水を吸水可能な微多孔質体からなる植付部材と、からなり、
前記植付部材に栽培植物の根を吸着させて栽培することを特徴とする植物栽培器具。
【請求項2】
植付部材に、前記植付部材の吸水力よりも保水力が低い吸水紐を介して貯水タンク内の水を供給することを特徴とする請求項1に記載の植物栽培器具。
【請求項3】
器具本体の取付部とホルダー部との間に形成される環状溝部の底面に、注水タンクの注水部の開口縁部に圧接してシールする第1弾性シール部材を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培器具。
【請求項4】
植付部材に嵌合した環状の第2弾性シール部材を、器具本体のホルダー部に圧接させてシールすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の植物栽培器具。
【請求項5】
ホルダーの内周面のうち、少なくとも第2弾性シール部材に圧接する部分に、外部空間と貯水タンクの内部空間とを連通させる少なくとも1本のガス抜き溝を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の植物栽培器具。
【請求項6】
植付部材の上端部に取り付けられる上方キャップの下端開口縁部に、第2弾性シール部材を一体成形したことを特徴とする請求項4または5に記載の植物栽培器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−124953(P2009−124953A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300633(P2007−300633)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(594161884)ハイトカルチャ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(594161884)ハイトカルチャ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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