植物栽培用の棒材
【課題】植物栽培上の利用価値を向上させ得る植物栽培用の棒材を提供する。
【解決手段】棒材外面12に、その長さ方向に延長する不連続突起列11を、周方向に90度の角度ピッチで設ける。不連続突起列11は、植物の茎や蔓の引っ掛かりとなり、又、植物の茎を棒材に結着した際の該結着材のずり落ちを防止する引っ掛かりとなる。隣り合う不連続突起列11,11間の平滑な棒材外面12に目盛り突部13を一定間隔で設ける。目盛り突部13と不連続突起列11との間に排水間隙19を設ける。目盛り突部13は、棒材に物差し機能を付与する。
【解決手段】棒材外面12に、その長さ方向に延長する不連続突起列11を、周方向に90度の角度ピッチで設ける。不連続突起列11は、植物の茎や蔓の引っ掛かりとなり、又、植物の茎を棒材に結着した際の該結着材のずり落ちを防止する引っ掛かりとなる。隣り合う不連続突起列11,11間の平滑な棒材外面12に目盛り突部13を一定間隔で設ける。目盛り突部13と不連続突起列11との間に排水間隙19を設ける。目盛り突部13は、棒材に物差し機能を付与する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を支持する支柱や、該支柱相互を連結する連結材として等、植物栽培の用途に広く使用できるばかりか、植物栽培上の各種位置決めに際して物差しとしても使用できる植物栽培用の棒材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
胡瓜等の蔓性植物の蔓や茎を下方にスリップさせることなく支柱に巻き付かせることができ、又、植物の茎を支柱に結着した際の該結着材のずり落ちを防止して植物を上方向に正常に成長させ得るように構成された植物栽培用の支柱aとしては、図22〜23に示すような、引っ掛かり用の突起bを支柱の長さ方向に不連続状態で突設してなる不連続突起列cが支柱外面dに設けられたものが提供されている。
【0003】
かかる不連続突起列cを具える支柱aは、植物を安定的に支持できる点では機能的に優れたものであったが、例えば図24に示すような胡瓜棚等の植物栽培棚を構成する際にも、その作業を正確且つ能率的に行い得ることが望まれる。例えば、各支柱aの立設に際しては、各支柱aの下端側の部分eを地面fに突き刺すに当たりその突き刺し長さを一定にする作業や、支柱aの立設間隔を一定に設定する作業を正確且つ能率的に行い得ることが望まれる。又、支柱相互を連結材gで連結するときには、該連結材gによる各支柱aの連結部位の高さを一定に設定する作業を正確且つ能率的に行い得ることが望まれる。又、並設された支柱列hの外面を覆うようにネットjを取り付けたり(図24)、支柱相互を連結材gで連結して構成した支柱枠体kの上部分を覆うように雨避けシートmを被せる際(図25)には、該ネットjの下端nや該雨避けシートmの下端pを水平状態に見栄えよく揃える作業を正確且つ能率的に行い得ることが望まれる。更には、畝幅を所要に設定したり、植物を植えるときの間隔設定に際しても、これらの作業を正確且つ能率的に行い得ることが望まれる。
【0004】
しかしながら従来の不連続突起列付きの支柱aには、目盛りとなるものが何ら設けられていなかったために、かかる要求に応じにくい問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2000−157065号公報
【特許文献2】実用新案登録第3096251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、物差し機能を付与すことを基本として植物栽培上の利用価値を向上させ得る植物栽培用の棒材の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る植物栽培用の棒材は、棒材外面にその長さ方向に不連続突起列が設けられると共に、該不連続突起列の側方に位置させて該棒材外面に目盛り突部が突設されてなり、該不連続突起列は、植物の茎や蔓の引っ掛かりとなったり、植物の茎を棒材に結着した際の該結着材のずり落ちを防止する等の引っ掛かりとなる引っ掛かり突起が、前記棒材の長さ方向に不連続状態で突設されてなり、又前記目盛り突部は、平滑な棒材外面に棒材の長さ方向に一定間隔で突設されてなり、該目盛り突部と前記不連続突起列との間には間隙が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
前記間隙は、前記棒材外面に付着した雨水を流下させる為の排水間隙として機能させることができ、その場合、該排水間隙の幅を1mm以上に設定する。
【0009】
前記植物栽培用の棒材を支柱として構成する場合、該支柱相互を連結する直線状の連結材を、前記平滑な棒材外面に当接させることができ、該当接状態にある連結材を前記目盛り突部で下方から支持可能とするのがよい。
【0010】
前記目盛り突部は、棒材の周方向に長い節状に形成することがある。
【0011】
前記不連続突起列を、棒材の周方向に90度の角度を置いて設ける場合、隣り合う不連続突起列間に存する平滑な棒材外面に前記目盛り突部を突設するのがよい。
【0012】
前記目盛り突部の表面は、球面状に形成するのがよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る棒材は、棒材外面にその長さ方向に設けられた不連続突起列の側方に位置させて、棒材の長さ方向に一定間隔で目盛り突部が突設されている。
従って本発明に係る棒材は、植物の茎や蔓を下方にスリップさせることなく巻き付かせることができ、又、植物の茎を結着した結着材のずり落ちを防止する機能を具えた支柱としてや、支柱相互を連結する連結材として等、植物栽培の用途に広く使用できるのはもとより、前記目盛り突部によって物差しとしても使用できる。そして該物差し機能によって、支柱を立設するときの地面への突き刺し長さの設定や支柱の立設間隔を設定する作業、支柱相互を連結材で連結するときの連結高さを設定する作業、並設された支柱列の外面を覆うように取り付けられたネットの下端や雨避けシートの下端を水平に揃える作業、更には、植物の苗を植えるときの間隔設定をする作業等の、植物栽培上の各種位置決め作業を、正確に然も容易に行なうことができる。
【0014】
(2) そして、前記目盛り突部と前記不連続突起列との間には排水間隙としても機能し得る間隙が設けられているため、該棒材を支柱として使用した場合、棒材外面に付着した雨水を該間隙を通して地面に向けて円滑に流下させることができ、棒材外面の劣化に伴う棒材内部での錆発生等に起因する棒材破損を防止できる。
【0015】
(3) 又、前記目盛り突部は、平滑な棒材外面に棒材の長さ方向に一定間隔で突設されているため、例えば支柱相互を連結材で連結するときに、該連結材を平滑な棒材外面で安定的に当接させることができ、且つこの当接状態で、該連結材を前記目盛り突部で下方から支持できる。従って、該連結材を支柱に結着すると、該連結材は、該目盛り突部によって設定された所要高さ位置で、ずり落ちることなく各支柱に安定的に固定されることとなる。
【0016】
(4) 目盛り突部を球面状に形成することにより、該目盛り突部が損傷されにくい。又、該目盛り突部に汚れが付着しにくく、土等が付着しても除去しやすい。又、目盛り突部に手が触れても怪我をしにくく安全性が高い。
【実施例1】
【0017】
図1において本発明に係る植物栽培用の棒材(以下棒材という)1は、例えば胡瓜を栽培するための支柱枠体2を構成する支柱1aと、支柱相互を連結する連結材1bとして応用されている。又図2は、該支柱1aを立設する際の立設間隔を設定する際や、支柱相互を連結する前記連結材1bの連結部位の高さ設定をする際、胡瓜苗を植えるときの間隔を設定する際等に使用する物差し1cとしての棒材1を示すものである。
【0018】
かかる構成を有する棒材1は、本実施例においては図3〜4に示すように、鋼製の直線状パイプ材3の外表面5に樹脂被覆6が施されてなり、全長が例えば90〜270cm程度の範囲で、目的とする植物栽培に適した所要長さに設定される。本実施例においては、前記支柱1aと物差し1cにあっては約180cmに形成されると共に前記連結材1bにあっては約270cmに設定されている。又該棒材1の外径は、例えば8〜20mmに、本実施例においては約16mmに設定されている。又、棒材1の上下端側の部分7,9(図2)を除く中間部分10の棒材外面12には、周方向に例えば90度の角度ピッチで、棒材1の長さ方向に延長する4列の不連続突起列11,11,11,11が突設されると共に、隣り合う不連続突起列11,11間の平滑な棒材外面12に目盛り突部13が設けられている。
【0019】
前記不連続突起列11は、本実施例においては、支柱1aに対する蔓の巻き付きを容易化したり、植物の茎を支柱1aに結着した際の結着材のずり落ちを防止するためのものであり、図3〜4に示すように、上下に比較的長い引っ掛かり突起15が棒材の長さ方向に比較的小さい間隔で突設されている。本実施例においては、該引っ掛かり突起15の棒材周方向での厚さが約1.3mmで、その突出量が約1.0mm、棒材長さ方向での長さが約5.6mm、上下隣り合う突起15,15間の間隔が5〜15mmに、本実施例においては約9.3mmに設定されている。
【0020】
又前記目盛り突部13は、図3(B)、図6に示すように、正面視で、棒材1の周方向に稍長い楕円形状を呈し、その表面16(図3(B)、図4)は球面状を呈しており、該目盛り突部13と前記不連続突起列11との間には、図3(B)、図6に示すように、排水間隙として機能できる間隙19,19が設けられている。本実施例においては、該目盛り突部13の棒材周方向の長さが約7mmに設定されると共に棒材長さ方向の長さが約6.3mmに設定され、その突出量が約1.0mmに設定されている。又、前記間隙19の幅は1〜2.5mmに、本実施例においては約2mmに設定されている。
【0021】
かかる構成を有する目盛り突部13は、10〜30cmの範囲で選択された一定間隔Lで設ける。好ましくは20cm間隔又は30cm間隔で設けるのがよく、本実施例においては30cm間隔で設けている。そして、棒材1の一端に、図2に示すように、先端に向けて先細化する円錐状キャップ20が嵌着されると共に、該棒材1の他端には円筒状キャップ21が嵌着されており、該円錐状キャップ20の先端22と一端に位置する目盛り突部13aの中心間の距離L1が30cmに設定されている。又、該円筒状キャップ20の先端23と他端に位置する該目盛り突部13bの中心間の距離L2が30cmに設定されている。
【0022】
図1は、本発明に係る棒材1を用いて図8に示す胡瓜棚24を構成するための支柱枠体2を示すものであり、畝幅が例えば60cmの畝26の長さ方向に例えば60cmの間隔で、左右対向する支柱1a,1aを、その上端側27,27を交差状態にしながら立設する。なお、該支柱枠体2を構成するに先立って、胡瓜の苗が前記畝26に例えば60cm程度の間隔で植えられている。この畝幅の設定や、前記支柱間の間隔、胡瓜苗間の間隔は、前記棒材1を物差として用いて容易に設定できる。
【0023】
そして該支柱1aの立設は、隣り合う不連続突起列11,11間の平滑な棒材外面12を図5(A)に示すように外向きにし、その下端側の部分29を前記畝26の長さ方向に、その側面30,30(図1)に沿って地面31に突き刺して行なう。この突き刺し長さは、例えば、最下端に位置する目盛り突部13aが地面31に接する状態となるように約30cmに設定される。この状態で、左右の支柱1a,1aの上端側の交差部32(図5(B))を図1に示すように結着材33で結着すると共に、V字状を呈する上端突出部35の底部で、水平に延長する上の連結材1b1としての棒材1を嵌め入れ、該上の連結材1b1を、図1に示すように前記左右の支柱の前記交差部32に結着する。該上の連結材1b1は前記支柱1aと同様の構成を有しており、その長さは、前記のように270cmに設定されている。
【0024】
そして、前記畝26の左右側で夫々並設状態にある支柱列36,36の上下中間部位において、支柱相互が中間の連結材1b2としての棒材1で連結されている。該中間の連結材1b2も、前記のように270cmの長さに設定されており、該中間の連結材1b2の連結部位の高さは、図5(A)(C)に示すように、地面31に接する前記目盛り突部13aから2個目の目盛り突部13bの高さに設定されている。
【0025】
然して該中間の連結材1b2は、図6〜7に示すように、前記目盛り突部13bの両側に存する不連続突起列11,11に接することなく前記平滑な棒材外面12に当接でき、この状態で、該中間の連結材1b2は前記2個目の目盛り突部13bで下方から支持され、図1に示すように、該中間の連結材1b2が前記支柱1aに結着材33で結着される。これにより該中間の連結材1b2は、水平状態を呈すると共に、この状態で、ずり落ちることなく確実に各支柱1aに固定されることとなる。このように中間の連結材1b2を水平状態に配設できることから、支柱枠体2を安定的に構成できる。
【0026】
前記胡瓜棚23は、このようにして構成された支柱枠体2の左右の支柱列36,36の外面をネット39で覆い該ネット39を支柱1aに適宜固定することによって構成される。この際、該ネット39の下端40が例えば図8に示すように、地面31から支柱1aの傾斜方向で見て30cm程度の位置に存するように設定する。この位置設定は、各支柱1aに設けられている前記目盛り突部13を目印として容易に行うことができる。これにより、該ネット39の下端40が水平状態に見栄えよく揃うこととなる。
【0027】
図9〜10(A)は、トマトを栽培するために構成された支柱枠体2を示すものであり、該支柱枠体2を構成する各支柱1aは前記棒材1を以てなり、不連続突起列11と目盛り突部13が設けられてなる直線状棒材としての支柱1aの上端部分が、アーチ状部41の両下端42,42に、挿入連結等の手段で連結されている。なお、前記アーチ状部41の両下端部分のみに、又はその全長に亘って、前記不連続突起列11や前記目盛り突部13が設けられることもある。図9〜10(A)においては、前記アーチ状部41の両下端部分のみに不連続突起列11を設けた場合が示されている。
【0028】
そして該支柱1aは、前記目盛り突部13を目印にして下端側の部分(例えば30cm程度の部分)29が地面31に突き刺されることにより立設状態とされている。そして、該支柱枠体2の上部分を覆うように雨避けシート45を被せる際、該雨避けシート45の下端46が、前記目盛り突部13を目印にして水平状態に見栄えよく揃えられる。なお図9においては便宜上、雨避けシート45を鎖線で示している。そして図10に示すように、前記棒材1を以てなる上端の連結材1b3に設けられている目盛り突部13を目印にして、トマトの茎を支持する紐状支持材47を、該連結材1b3に例えば結着により取り付けることができる。
【0029】
図11〜12は、支柱1aを、傾斜状態ではなく垂直状態に立設した場合を示すものである。なお図12においては結着材が省略されている。該支柱1aは、前記と同様にして、前記目盛り突部13を目印にして下端側の部分(例えば30cm程度の部分)29が地面31に突き刺されることにより立設状態とされている。又、支柱相互を連結する連結材1bが、図12〜13に示すように、地面31に接する目盛り突部13aから例えば2個目の目盛り突部13bと3個目の目盛り突部13cで下方から支持された状態で、各支柱1aの外面(棒材外面)12に当接状態とされ、この状態で該連結材1bが各支柱1aに結着材33で結着されている。これにより該連結材1bは、水平状態を呈すると共にこの状態でずり落ちることなく確実に各支柱1aに固定状態とされ、垂直立設状態の支柱枠体2が構成されている。
【0030】
前記各支柱枠体2を構成する支柱1aとしての棒材1にあっては、図3(B)に示すように、前記目盛り突部13と前記不連続突起列11との間に排水間隙19として機能し得る間隙が設けられているために、図6に矢印で示すように、棒材外面12に付着した雨水を円滑に地面に向けて流下させることができ、棒材外面の劣化に伴う棒材内部での錆発生に起因する棒材破損を防止できる。又、前記目盛り突部13の表面16は球面状に形成されているために、降雨時において上から汚れが流下したときにも該目盛り突部13に引っ掛かりにくい。
【実施例2】
【0031】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0032】
(1) 図14は本発明に係る棒材1の他の実施例を示すものであり、所要間隔を隔てる直線状の支柱部49の上端相互をアーチ状部50で一連に連結してなる倒U字状に形成されている。そして該両支柱部49,49の夫々の表面(棒材外面)12には、両支柱部49,49の下端側の部分51,51を除いて、その長さ方向に不連続突起列11が、例えば周方向に略90度の角度を置いて設けられている。該不連続突起列11は、植物の茎や蔓の引っ掛かりとなり、又、植物の茎を棒材1に結着した際の該結着材のずり落ちを防止する。又、隣り合う不連続突起列11,11間に存する平滑な支柱外面(棒材外面)12に、棒材の長さ方向に一定間隔で、例えば30cm間隔で、目盛り突部13が突設されている。該目盛り突部13は前記実施例におけると同様、正面視で、棒材の周方向に稍長い楕円形状を呈し、その表面16は球面状を呈しており、該目盛り突部13と前記不連続突起列11との間には排水間隙として機能し得る間隙19が設けられている。
【0033】
本発明に係る棒材1をこのように倒U字状に構成する場合、図15に示すように、前記不連続突起列11及び目盛り突部13を、前記アーチ状部41も含めて棒材の略全体に亘って設けることもある。
【0034】
本実施例においては、並置された支柱部相互を、図1に示すと同様にして直線状を呈する別の棒材からなる連結材で連結することを予定して、目盛り突部13が突設される平滑な棒材外面12が図14に示すように外側方に位置するように、4列の不連続突起列11の配置状態が設定されている。
【0035】
(2) 図16は、本発明に係る棒材1を倒U字状に構成した他の態様を示すものであり、両支柱部49,49が下方に向かって末広がりに構成されている点を除いては図14〜15に示すと同様の構成を有し、図14〜15におけると同様部位には同一の符号が付されている。
【0036】
(3) 図18は、直線状棒材1としての支柱1a,1aの上端52,52相互を蝶番部材53を介して連結することにより該一対の支柱1a,1aを開閉可能に構成した場合を示すものである。そして両支柱1a,1aの夫々の表面(棒材外面)12には、周方向に例えば90度の角度ピッチで、棒材1の長さ方向に延長する4列の不連続突起列11,11,11,11が突設されると共に、隣り合う不連続突起列11,11間の平滑な棒材外面12に目盛り突部13が設けられている。
【0037】
(4) 前記目盛り突部13は、その視認性を良好とするために、前記引っ掛かり突起15よりも突出量の大きい突部(例えば棒材の周方向に稍長い、表面が球面状を呈する突部や、半球状の突部等)として構成することもある。
【0038】
(5) 前記目盛り突部13は、視認可能で目盛りとして機能できるものであれば、その大きさや形状は問わない。図19は目盛り突部13の他の態様を示すものであり、周方向に長い節状に形成されており、該目盛り突部と前記不連続突起列11との間には排水間隙として機能し得る間隙19,19が設けられている。
【0039】
(6) 前記実施例においては、棒材外面12に略90度の角度を置いて不連続突起列11を設けた場合を示したが、植物の茎や蔓の引っ掛かりを可能とするものであれば、該不連続突起列11を、図20に示すように、周方向で見て5列や3列、2列、1列等で設けることもある。そして前記目盛り突部13は、このように設けられた不連続突起列11の側方に位置させて、平滑な棒材外面12に棒材の長さ方向で一定間隔で突設される。又、何れの場合も、該目盛り突部13と前記不連続突起列11との間には排水間隙として機能し得る間隙19,19が設けられる。
【0040】
(7) 図3においては、隣り合う不連続突起列11,11における引っ掛かり突起15,15が対向状態にあるものを記載しているが、図21に示すように、隣り合う引っ掛かり突起15,15が上下方向で位置ずれすることもある。そして図3においては、前記目盛り突部13が前記引っ掛かり突起15と位置ずれしている場合が記載されているが、該目盛り突部13と引っ掛かり突起15とが、棒材の長さ方向で位置ずれするか否かは問わない。
【0041】
(8) 本発明に係る棒材1は、前記実施例においては、鋼製のパイプ材3の外表面に樹脂被覆6を施すことによって構成されているが、該棒材1は、鋼製のパイプ材3を用いることなく全体が一体の樹脂製パイプとして構成されることもある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る棒材を用いて構成した胡瓜棚用の支柱枠体を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る棒材を物差しとして用いた正面図である。
【図3】棒材を説明する斜視図である。
【図4】棒材を説明する断面図である。
【図5】支柱枠体を構成する支柱と連結材の組み合わせ状態を示す斜視図である。
【図6】支柱に設けられている目盛り突部で連結材を下方から支持した状態を示す側面図である。
【図7】その平面図である。
【図8】本発明に係る棒材を用いて構成した胡瓜棚を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る棒材を用いて構成した雨避けを示す斜視図である。
【図10】その雨避けの部分拡大図である。
【図11】本発明に係る棒材を用いて構成した支柱枠体の他の態様を示す斜視図である。
【図12】その部分拡大図である。
【図13】支柱に設けられている目盛り突部で連結材を下方から支持した状態を示す側面図である。
【図14】倒U字状に構成された棒材を示す斜視図である。
【図15】その上側のアーチ状部を示す斜視図である。
【図16】倒U字状に構成された棒材の他の態様を示す斜視図である。
【図17】その上側のアーチ状部を示す斜視図である。
【図18】棒材を用いて構成した支柱の上端相互を蝶番部材で連結した開閉式支柱をその使用状態で示す部分斜視図である。
【図19】目盛り突部の他の態様を示す斜視図である。
【図20】棒材のその他の態様を示す断面図である。
【図21】本発明に係る棒材のその他の態様を示す斜視図である。
【図22】不連続突起列が設けられた従来の直線状の支柱を示す斜視図である。
【図23】不連続突起列が設けられた従来の倒U字状の支柱を示す斜視図である。
【図24】直線状の支柱を用いて構成された従来の胡瓜棚を示す斜視図である。
【図25】倒U字状を呈する支柱を用いて構成された従来の雨避けを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 棒材
1a 支柱
1b 連結材
2 支柱枠体
6 樹脂被覆
11 不連続突起列
12 棒材外面
13 目盛り突部
15 突起
19 間隙
23 胡瓜棚
25 支柱枠体
26 畝
39 ネット
45 雨避けシート
47 紐状支持材
49 支柱部
50 アーチ状部
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を支持する支柱や、該支柱相互を連結する連結材として等、植物栽培の用途に広く使用できるばかりか、植物栽培上の各種位置決めに際して物差しとしても使用できる植物栽培用の棒材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
胡瓜等の蔓性植物の蔓や茎を下方にスリップさせることなく支柱に巻き付かせることができ、又、植物の茎を支柱に結着した際の該結着材のずり落ちを防止して植物を上方向に正常に成長させ得るように構成された植物栽培用の支柱aとしては、図22〜23に示すような、引っ掛かり用の突起bを支柱の長さ方向に不連続状態で突設してなる不連続突起列cが支柱外面dに設けられたものが提供されている。
【0003】
かかる不連続突起列cを具える支柱aは、植物を安定的に支持できる点では機能的に優れたものであったが、例えば図24に示すような胡瓜棚等の植物栽培棚を構成する際にも、その作業を正確且つ能率的に行い得ることが望まれる。例えば、各支柱aの立設に際しては、各支柱aの下端側の部分eを地面fに突き刺すに当たりその突き刺し長さを一定にする作業や、支柱aの立設間隔を一定に設定する作業を正確且つ能率的に行い得ることが望まれる。又、支柱相互を連結材gで連結するときには、該連結材gによる各支柱aの連結部位の高さを一定に設定する作業を正確且つ能率的に行い得ることが望まれる。又、並設された支柱列hの外面を覆うようにネットjを取り付けたり(図24)、支柱相互を連結材gで連結して構成した支柱枠体kの上部分を覆うように雨避けシートmを被せる際(図25)には、該ネットjの下端nや該雨避けシートmの下端pを水平状態に見栄えよく揃える作業を正確且つ能率的に行い得ることが望まれる。更には、畝幅を所要に設定したり、植物を植えるときの間隔設定に際しても、これらの作業を正確且つ能率的に行い得ることが望まれる。
【0004】
しかしながら従来の不連続突起列付きの支柱aには、目盛りとなるものが何ら設けられていなかったために、かかる要求に応じにくい問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2000−157065号公報
【特許文献2】実用新案登録第3096251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、物差し機能を付与すことを基本として植物栽培上の利用価値を向上させ得る植物栽培用の棒材の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る植物栽培用の棒材は、棒材外面にその長さ方向に不連続突起列が設けられると共に、該不連続突起列の側方に位置させて該棒材外面に目盛り突部が突設されてなり、該不連続突起列は、植物の茎や蔓の引っ掛かりとなったり、植物の茎を棒材に結着した際の該結着材のずり落ちを防止する等の引っ掛かりとなる引っ掛かり突起が、前記棒材の長さ方向に不連続状態で突設されてなり、又前記目盛り突部は、平滑な棒材外面に棒材の長さ方向に一定間隔で突設されてなり、該目盛り突部と前記不連続突起列との間には間隙が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
前記間隙は、前記棒材外面に付着した雨水を流下させる為の排水間隙として機能させることができ、その場合、該排水間隙の幅を1mm以上に設定する。
【0009】
前記植物栽培用の棒材を支柱として構成する場合、該支柱相互を連結する直線状の連結材を、前記平滑な棒材外面に当接させることができ、該当接状態にある連結材を前記目盛り突部で下方から支持可能とするのがよい。
【0010】
前記目盛り突部は、棒材の周方向に長い節状に形成することがある。
【0011】
前記不連続突起列を、棒材の周方向に90度の角度を置いて設ける場合、隣り合う不連続突起列間に存する平滑な棒材外面に前記目盛り突部を突設するのがよい。
【0012】
前記目盛り突部の表面は、球面状に形成するのがよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る棒材は、棒材外面にその長さ方向に設けられた不連続突起列の側方に位置させて、棒材の長さ方向に一定間隔で目盛り突部が突設されている。
従って本発明に係る棒材は、植物の茎や蔓を下方にスリップさせることなく巻き付かせることができ、又、植物の茎を結着した結着材のずり落ちを防止する機能を具えた支柱としてや、支柱相互を連結する連結材として等、植物栽培の用途に広く使用できるのはもとより、前記目盛り突部によって物差しとしても使用できる。そして該物差し機能によって、支柱を立設するときの地面への突き刺し長さの設定や支柱の立設間隔を設定する作業、支柱相互を連結材で連結するときの連結高さを設定する作業、並設された支柱列の外面を覆うように取り付けられたネットの下端や雨避けシートの下端を水平に揃える作業、更には、植物の苗を植えるときの間隔設定をする作業等の、植物栽培上の各種位置決め作業を、正確に然も容易に行なうことができる。
【0014】
(2) そして、前記目盛り突部と前記不連続突起列との間には排水間隙としても機能し得る間隙が設けられているため、該棒材を支柱として使用した場合、棒材外面に付着した雨水を該間隙を通して地面に向けて円滑に流下させることができ、棒材外面の劣化に伴う棒材内部での錆発生等に起因する棒材破損を防止できる。
【0015】
(3) 又、前記目盛り突部は、平滑な棒材外面に棒材の長さ方向に一定間隔で突設されているため、例えば支柱相互を連結材で連結するときに、該連結材を平滑な棒材外面で安定的に当接させることができ、且つこの当接状態で、該連結材を前記目盛り突部で下方から支持できる。従って、該連結材を支柱に結着すると、該連結材は、該目盛り突部によって設定された所要高さ位置で、ずり落ちることなく各支柱に安定的に固定されることとなる。
【0016】
(4) 目盛り突部を球面状に形成することにより、該目盛り突部が損傷されにくい。又、該目盛り突部に汚れが付着しにくく、土等が付着しても除去しやすい。又、目盛り突部に手が触れても怪我をしにくく安全性が高い。
【実施例1】
【0017】
図1において本発明に係る植物栽培用の棒材(以下棒材という)1は、例えば胡瓜を栽培するための支柱枠体2を構成する支柱1aと、支柱相互を連結する連結材1bとして応用されている。又図2は、該支柱1aを立設する際の立設間隔を設定する際や、支柱相互を連結する前記連結材1bの連結部位の高さ設定をする際、胡瓜苗を植えるときの間隔を設定する際等に使用する物差し1cとしての棒材1を示すものである。
【0018】
かかる構成を有する棒材1は、本実施例においては図3〜4に示すように、鋼製の直線状パイプ材3の外表面5に樹脂被覆6が施されてなり、全長が例えば90〜270cm程度の範囲で、目的とする植物栽培に適した所要長さに設定される。本実施例においては、前記支柱1aと物差し1cにあっては約180cmに形成されると共に前記連結材1bにあっては約270cmに設定されている。又該棒材1の外径は、例えば8〜20mmに、本実施例においては約16mmに設定されている。又、棒材1の上下端側の部分7,9(図2)を除く中間部分10の棒材外面12には、周方向に例えば90度の角度ピッチで、棒材1の長さ方向に延長する4列の不連続突起列11,11,11,11が突設されると共に、隣り合う不連続突起列11,11間の平滑な棒材外面12に目盛り突部13が設けられている。
【0019】
前記不連続突起列11は、本実施例においては、支柱1aに対する蔓の巻き付きを容易化したり、植物の茎を支柱1aに結着した際の結着材のずり落ちを防止するためのものであり、図3〜4に示すように、上下に比較的長い引っ掛かり突起15が棒材の長さ方向に比較的小さい間隔で突設されている。本実施例においては、該引っ掛かり突起15の棒材周方向での厚さが約1.3mmで、その突出量が約1.0mm、棒材長さ方向での長さが約5.6mm、上下隣り合う突起15,15間の間隔が5〜15mmに、本実施例においては約9.3mmに設定されている。
【0020】
又前記目盛り突部13は、図3(B)、図6に示すように、正面視で、棒材1の周方向に稍長い楕円形状を呈し、その表面16(図3(B)、図4)は球面状を呈しており、該目盛り突部13と前記不連続突起列11との間には、図3(B)、図6に示すように、排水間隙として機能できる間隙19,19が設けられている。本実施例においては、該目盛り突部13の棒材周方向の長さが約7mmに設定されると共に棒材長さ方向の長さが約6.3mmに設定され、その突出量が約1.0mmに設定されている。又、前記間隙19の幅は1〜2.5mmに、本実施例においては約2mmに設定されている。
【0021】
かかる構成を有する目盛り突部13は、10〜30cmの範囲で選択された一定間隔Lで設ける。好ましくは20cm間隔又は30cm間隔で設けるのがよく、本実施例においては30cm間隔で設けている。そして、棒材1の一端に、図2に示すように、先端に向けて先細化する円錐状キャップ20が嵌着されると共に、該棒材1の他端には円筒状キャップ21が嵌着されており、該円錐状キャップ20の先端22と一端に位置する目盛り突部13aの中心間の距離L1が30cmに設定されている。又、該円筒状キャップ20の先端23と他端に位置する該目盛り突部13bの中心間の距離L2が30cmに設定されている。
【0022】
図1は、本発明に係る棒材1を用いて図8に示す胡瓜棚24を構成するための支柱枠体2を示すものであり、畝幅が例えば60cmの畝26の長さ方向に例えば60cmの間隔で、左右対向する支柱1a,1aを、その上端側27,27を交差状態にしながら立設する。なお、該支柱枠体2を構成するに先立って、胡瓜の苗が前記畝26に例えば60cm程度の間隔で植えられている。この畝幅の設定や、前記支柱間の間隔、胡瓜苗間の間隔は、前記棒材1を物差として用いて容易に設定できる。
【0023】
そして該支柱1aの立設は、隣り合う不連続突起列11,11間の平滑な棒材外面12を図5(A)に示すように外向きにし、その下端側の部分29を前記畝26の長さ方向に、その側面30,30(図1)に沿って地面31に突き刺して行なう。この突き刺し長さは、例えば、最下端に位置する目盛り突部13aが地面31に接する状態となるように約30cmに設定される。この状態で、左右の支柱1a,1aの上端側の交差部32(図5(B))を図1に示すように結着材33で結着すると共に、V字状を呈する上端突出部35の底部で、水平に延長する上の連結材1b1としての棒材1を嵌め入れ、該上の連結材1b1を、図1に示すように前記左右の支柱の前記交差部32に結着する。該上の連結材1b1は前記支柱1aと同様の構成を有しており、その長さは、前記のように270cmに設定されている。
【0024】
そして、前記畝26の左右側で夫々並設状態にある支柱列36,36の上下中間部位において、支柱相互が中間の連結材1b2としての棒材1で連結されている。該中間の連結材1b2も、前記のように270cmの長さに設定されており、該中間の連結材1b2の連結部位の高さは、図5(A)(C)に示すように、地面31に接する前記目盛り突部13aから2個目の目盛り突部13bの高さに設定されている。
【0025】
然して該中間の連結材1b2は、図6〜7に示すように、前記目盛り突部13bの両側に存する不連続突起列11,11に接することなく前記平滑な棒材外面12に当接でき、この状態で、該中間の連結材1b2は前記2個目の目盛り突部13bで下方から支持され、図1に示すように、該中間の連結材1b2が前記支柱1aに結着材33で結着される。これにより該中間の連結材1b2は、水平状態を呈すると共に、この状態で、ずり落ちることなく確実に各支柱1aに固定されることとなる。このように中間の連結材1b2を水平状態に配設できることから、支柱枠体2を安定的に構成できる。
【0026】
前記胡瓜棚23は、このようにして構成された支柱枠体2の左右の支柱列36,36の外面をネット39で覆い該ネット39を支柱1aに適宜固定することによって構成される。この際、該ネット39の下端40が例えば図8に示すように、地面31から支柱1aの傾斜方向で見て30cm程度の位置に存するように設定する。この位置設定は、各支柱1aに設けられている前記目盛り突部13を目印として容易に行うことができる。これにより、該ネット39の下端40が水平状態に見栄えよく揃うこととなる。
【0027】
図9〜10(A)は、トマトを栽培するために構成された支柱枠体2を示すものであり、該支柱枠体2を構成する各支柱1aは前記棒材1を以てなり、不連続突起列11と目盛り突部13が設けられてなる直線状棒材としての支柱1aの上端部分が、アーチ状部41の両下端42,42に、挿入連結等の手段で連結されている。なお、前記アーチ状部41の両下端部分のみに、又はその全長に亘って、前記不連続突起列11や前記目盛り突部13が設けられることもある。図9〜10(A)においては、前記アーチ状部41の両下端部分のみに不連続突起列11を設けた場合が示されている。
【0028】
そして該支柱1aは、前記目盛り突部13を目印にして下端側の部分(例えば30cm程度の部分)29が地面31に突き刺されることにより立設状態とされている。そして、該支柱枠体2の上部分を覆うように雨避けシート45を被せる際、該雨避けシート45の下端46が、前記目盛り突部13を目印にして水平状態に見栄えよく揃えられる。なお図9においては便宜上、雨避けシート45を鎖線で示している。そして図10に示すように、前記棒材1を以てなる上端の連結材1b3に設けられている目盛り突部13を目印にして、トマトの茎を支持する紐状支持材47を、該連結材1b3に例えば結着により取り付けることができる。
【0029】
図11〜12は、支柱1aを、傾斜状態ではなく垂直状態に立設した場合を示すものである。なお図12においては結着材が省略されている。該支柱1aは、前記と同様にして、前記目盛り突部13を目印にして下端側の部分(例えば30cm程度の部分)29が地面31に突き刺されることにより立設状態とされている。又、支柱相互を連結する連結材1bが、図12〜13に示すように、地面31に接する目盛り突部13aから例えば2個目の目盛り突部13bと3個目の目盛り突部13cで下方から支持された状態で、各支柱1aの外面(棒材外面)12に当接状態とされ、この状態で該連結材1bが各支柱1aに結着材33で結着されている。これにより該連結材1bは、水平状態を呈すると共にこの状態でずり落ちることなく確実に各支柱1aに固定状態とされ、垂直立設状態の支柱枠体2が構成されている。
【0030】
前記各支柱枠体2を構成する支柱1aとしての棒材1にあっては、図3(B)に示すように、前記目盛り突部13と前記不連続突起列11との間に排水間隙19として機能し得る間隙が設けられているために、図6に矢印で示すように、棒材外面12に付着した雨水を円滑に地面に向けて流下させることができ、棒材外面の劣化に伴う棒材内部での錆発生に起因する棒材破損を防止できる。又、前記目盛り突部13の表面16は球面状に形成されているために、降雨時において上から汚れが流下したときにも該目盛り突部13に引っ掛かりにくい。
【実施例2】
【0031】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0032】
(1) 図14は本発明に係る棒材1の他の実施例を示すものであり、所要間隔を隔てる直線状の支柱部49の上端相互をアーチ状部50で一連に連結してなる倒U字状に形成されている。そして該両支柱部49,49の夫々の表面(棒材外面)12には、両支柱部49,49の下端側の部分51,51を除いて、その長さ方向に不連続突起列11が、例えば周方向に略90度の角度を置いて設けられている。該不連続突起列11は、植物の茎や蔓の引っ掛かりとなり、又、植物の茎を棒材1に結着した際の該結着材のずり落ちを防止する。又、隣り合う不連続突起列11,11間に存する平滑な支柱外面(棒材外面)12に、棒材の長さ方向に一定間隔で、例えば30cm間隔で、目盛り突部13が突設されている。該目盛り突部13は前記実施例におけると同様、正面視で、棒材の周方向に稍長い楕円形状を呈し、その表面16は球面状を呈しており、該目盛り突部13と前記不連続突起列11との間には排水間隙として機能し得る間隙19が設けられている。
【0033】
本発明に係る棒材1をこのように倒U字状に構成する場合、図15に示すように、前記不連続突起列11及び目盛り突部13を、前記アーチ状部41も含めて棒材の略全体に亘って設けることもある。
【0034】
本実施例においては、並置された支柱部相互を、図1に示すと同様にして直線状を呈する別の棒材からなる連結材で連結することを予定して、目盛り突部13が突設される平滑な棒材外面12が図14に示すように外側方に位置するように、4列の不連続突起列11の配置状態が設定されている。
【0035】
(2) 図16は、本発明に係る棒材1を倒U字状に構成した他の態様を示すものであり、両支柱部49,49が下方に向かって末広がりに構成されている点を除いては図14〜15に示すと同様の構成を有し、図14〜15におけると同様部位には同一の符号が付されている。
【0036】
(3) 図18は、直線状棒材1としての支柱1a,1aの上端52,52相互を蝶番部材53を介して連結することにより該一対の支柱1a,1aを開閉可能に構成した場合を示すものである。そして両支柱1a,1aの夫々の表面(棒材外面)12には、周方向に例えば90度の角度ピッチで、棒材1の長さ方向に延長する4列の不連続突起列11,11,11,11が突設されると共に、隣り合う不連続突起列11,11間の平滑な棒材外面12に目盛り突部13が設けられている。
【0037】
(4) 前記目盛り突部13は、その視認性を良好とするために、前記引っ掛かり突起15よりも突出量の大きい突部(例えば棒材の周方向に稍長い、表面が球面状を呈する突部や、半球状の突部等)として構成することもある。
【0038】
(5) 前記目盛り突部13は、視認可能で目盛りとして機能できるものであれば、その大きさや形状は問わない。図19は目盛り突部13の他の態様を示すものであり、周方向に長い節状に形成されており、該目盛り突部と前記不連続突起列11との間には排水間隙として機能し得る間隙19,19が設けられている。
【0039】
(6) 前記実施例においては、棒材外面12に略90度の角度を置いて不連続突起列11を設けた場合を示したが、植物の茎や蔓の引っ掛かりを可能とするものであれば、該不連続突起列11を、図20に示すように、周方向で見て5列や3列、2列、1列等で設けることもある。そして前記目盛り突部13は、このように設けられた不連続突起列11の側方に位置させて、平滑な棒材外面12に棒材の長さ方向で一定間隔で突設される。又、何れの場合も、該目盛り突部13と前記不連続突起列11との間には排水間隙として機能し得る間隙19,19が設けられる。
【0040】
(7) 図3においては、隣り合う不連続突起列11,11における引っ掛かり突起15,15が対向状態にあるものを記載しているが、図21に示すように、隣り合う引っ掛かり突起15,15が上下方向で位置ずれすることもある。そして図3においては、前記目盛り突部13が前記引っ掛かり突起15と位置ずれしている場合が記載されているが、該目盛り突部13と引っ掛かり突起15とが、棒材の長さ方向で位置ずれするか否かは問わない。
【0041】
(8) 本発明に係る棒材1は、前記実施例においては、鋼製のパイプ材3の外表面に樹脂被覆6を施すことによって構成されているが、該棒材1は、鋼製のパイプ材3を用いることなく全体が一体の樹脂製パイプとして構成されることもある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る棒材を用いて構成した胡瓜棚用の支柱枠体を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る棒材を物差しとして用いた正面図である。
【図3】棒材を説明する斜視図である。
【図4】棒材を説明する断面図である。
【図5】支柱枠体を構成する支柱と連結材の組み合わせ状態を示す斜視図である。
【図6】支柱に設けられている目盛り突部で連結材を下方から支持した状態を示す側面図である。
【図7】その平面図である。
【図8】本発明に係る棒材を用いて構成した胡瓜棚を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る棒材を用いて構成した雨避けを示す斜視図である。
【図10】その雨避けの部分拡大図である。
【図11】本発明に係る棒材を用いて構成した支柱枠体の他の態様を示す斜視図である。
【図12】その部分拡大図である。
【図13】支柱に設けられている目盛り突部で連結材を下方から支持した状態を示す側面図である。
【図14】倒U字状に構成された棒材を示す斜視図である。
【図15】その上側のアーチ状部を示す斜視図である。
【図16】倒U字状に構成された棒材の他の態様を示す斜視図である。
【図17】その上側のアーチ状部を示す斜視図である。
【図18】棒材を用いて構成した支柱の上端相互を蝶番部材で連結した開閉式支柱をその使用状態で示す部分斜視図である。
【図19】目盛り突部の他の態様を示す斜視図である。
【図20】棒材のその他の態様を示す断面図である。
【図21】本発明に係る棒材のその他の態様を示す斜視図である。
【図22】不連続突起列が設けられた従来の直線状の支柱を示す斜視図である。
【図23】不連続突起列が設けられた従来の倒U字状の支柱を示す斜視図である。
【図24】直線状の支柱を用いて構成された従来の胡瓜棚を示す斜視図である。
【図25】倒U字状を呈する支柱を用いて構成された従来の雨避けを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 棒材
1a 支柱
1b 連結材
2 支柱枠体
6 樹脂被覆
11 不連続突起列
12 棒材外面
13 目盛り突部
15 突起
19 間隙
23 胡瓜棚
25 支柱枠体
26 畝
39 ネット
45 雨避けシート
47 紐状支持材
49 支柱部
50 アーチ状部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物栽培用の棒材であって、棒材外面にその長さ方向に不連続突起列が設けられると共に、該不連続突起列の側方に位置させて該棒材外面に目盛り突部が突設されてなり、該不連続突起列は、植物の茎や蔓の引っ掛かりとなったり、植物の茎を棒材に結着した際の該結着材のずり落ちを防止する等の引っ掛かりとなる引っ掛かり突起が、前記棒材の長さ方向に不連続状態で突設されてなり、又前記目盛り突部は、平滑な棒材外面に棒材の長さ方向に一定間隔で突設されてなり、該目盛り突部と前記不連続突起列との間には間隙が設けられていることを特徴とする植物栽培用の棒材。
【請求項2】
前記間隙は、前記棒材外面に付着した雨水を流下させる為の排水間隙であることを特徴とする請求項1記載の植物栽培用の棒材。
【請求項3】
前記排水間隙は1mm以上の幅であることを特徴とする請求項2記載の植物栽培用の棒材。
【請求項4】
支柱として構成された植物栽培用の棒材であって、該支柱相互を連結する直線状の連結材を、前記平滑な棒材外面に当接させることができ、該当接状態にある連結材を前記目盛り突部で下方から支持可能となされていることを特徴とする請求項1又は2記載の植物栽培用の棒材。
【請求項5】
前記目盛り突部は、棒材の周方向に長い節状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の植物栽培用の棒材。
【請求項6】
前記不連続突起列が、棒材の周方向に90度の角度を置いて設けられており、隣り合う不連続突起列間に存する平滑な棒材外面に前記目盛り突部が突設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の植物栽培用の棒材。
【請求項7】
前記目盛り突部の表面は、球面状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の植物栽培用の棒材。
【請求項1】
植物栽培用の棒材であって、棒材外面にその長さ方向に不連続突起列が設けられると共に、該不連続突起列の側方に位置させて該棒材外面に目盛り突部が突設されてなり、該不連続突起列は、植物の茎や蔓の引っ掛かりとなったり、植物の茎を棒材に結着した際の該結着材のずり落ちを防止する等の引っ掛かりとなる引っ掛かり突起が、前記棒材の長さ方向に不連続状態で突設されてなり、又前記目盛り突部は、平滑な棒材外面に棒材の長さ方向に一定間隔で突設されてなり、該目盛り突部と前記不連続突起列との間には間隙が設けられていることを特徴とする植物栽培用の棒材。
【請求項2】
前記間隙は、前記棒材外面に付着した雨水を流下させる為の排水間隙であることを特徴とする請求項1記載の植物栽培用の棒材。
【請求項3】
前記排水間隙は1mm以上の幅であることを特徴とする請求項2記載の植物栽培用の棒材。
【請求項4】
支柱として構成された植物栽培用の棒材であって、該支柱相互を連結する直線状の連結材を、前記平滑な棒材外面に当接させることができ、該当接状態にある連結材を前記目盛り突部で下方から支持可能となされていることを特徴とする請求項1又は2記載の植物栽培用の棒材。
【請求項5】
前記目盛り突部は、棒材の周方向に長い節状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の植物栽培用の棒材。
【請求項6】
前記不連続突起列が、棒材の周方向に90度の角度を置いて設けられており、隣り合う不連続突起列間に存する平滑な棒材外面に前記目盛り突部が突設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の植物栽培用の棒材。
【請求項7】
前記目盛り突部の表面は、球面状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の植物栽培用の棒材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2008−67611(P2008−67611A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246904(P2006−246904)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(392003225)第一ビニール株式会社 (27)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(392003225)第一ビニール株式会社 (27)
【Fターム(参考)】
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