説明

植物栽培用屋根及び栽培器支持体

【課題】 溝状部に植物栽培器を収容保持し、屋根の損傷を防ぎ、容易に施工し得る植物栽培用屋根、植物栽培器を屋根の溝状部に収容保持する栽培器支持体。
【解決手段】 突条部Bの上部平坦面B1に、支持基体Saの支持部Sa7が両溝状部Gに張り出した状態で固定する。貼着用平面部Sa1を両面粘着テープにより仮止めし、筒状部Sa3から湿気硬化型接着剤を注入して硬化させる。植物栽培器Cの長手方向両端部の上部側端部C2を支持部Sa7に載置する。筒状部Sa3の上部を嵌合孔Sb5に嵌合させると共に、嵌合突起Sa8の上部を係合孔Sb6に挿通させて外方突部Sa9を係合させて保持体Sbを支持基体Saに取り付ける。植物栽培器Cの上部側端部C2が、外側突条Sb2の外側において垂下突条部Sb3と支持基体Saの支持部Sa7の間に挟持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝状部に植物栽培器を収容保持した植物栽培用屋根及び植物栽培器を屋根の溝状部に収容保持するための栽培器支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2000−262152号公報(特許文献1)には、「植物栽培用の培地を収容した所定の長さの植物栽培容器が、その長さ方向を屋根折版の流れ方向に向け、折版屋根上面の谷部内に突出してセットされていることを特徴とする折版屋根の緑化システム(請求項1)」の発明が記載されている。
【0003】
この緑化システムにおいては、植物栽培容器を用いるため、培地が直接に屋根折版と接触せず、折版を腐食させにくい。しかしながら、植物栽培容器自体は、折版屋根によって直接支持されるものであるため、長期にわたり植物栽培容器を設置して用いることにより折版屋根の損傷が生じ易くならざるを得ない。また、特開2000−262152号公報記載の折版屋根の緑化システムでは、植物栽培容器が所定位置から移動したり屋根から脱離したりすることを防ぐために、固定金物を用いて栽培容器の固定を行う必要があった(段落0025)。
【特許文献1】特開2000−262152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術に存した上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、溝状部に植物栽培器を収容保持した屋根であって、屋根の損傷を防ぐことができると共に容易に施工し得る植物栽培用屋根、並びに植物栽培器を屋根の溝状部に収容保持するための栽培器支持体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 本発明の植物栽培用屋根は、
溝状部を備えてなる屋根と、前記溝状部に収容保持される植物栽培器と、その植物栽培器を支持するための栽培器支持体を備えてなる植物栽培用屋根であって、
前記植物栽培器は、上方開口の収容部を備えるものであり、
前記栽培器支持体は、前記植物栽培器の上部側端部を支持する支持部を備え、その支持部に支持された上部側端部を保持し得るものであって、前記屋根の溝状部を挟む両側の上部位置に配設されており、
前記植物栽培器は、その両側の上部側端部が前記支持部により支持されて前記栽培器支持体により保持されることにより、溝状部内に収容された状態で保持されていることを特徴とする。
【0006】
溝状部を備えてなる屋根における前記溝状部を挟む両側の上部位置に栽培器支持体を配設し、その栽培器支持体が備える支持部により、溝状部内に収容する植物栽培器の上部側端部を支持し、支持部に支持された上部側端部を栽培器支持体により保持することによって、その植物栽培器を溝状部内に収容保持することができる。植物栽培器は、その両側の上部側端部が栽培器支持体の支持部により支持されることによって溝状部内に収容保持されるため、屋根の損傷を可及的に防ぐことができる。
【0007】
而も、栽培器支持体を溝状部を挟む両側の上部位置に配設し、植物栽培器の両側の上部側端部を栽培器支持体の支持部により支持し、支持部に支持された上部側端部を栽培器支持体により保持することによって植物栽培器を溝状部に収容保持し得るので、容易に施工し得る。
【0008】
上記植物栽培器は、溝状部に接することなく、溝状部内に収容された状態で保持されるものとすることができる。この場合、植物栽培器は溝状部に接することなく溝状部内に収容保持されるため、屋根の損傷を防ぐことができる。
【0009】
上記屋根は、複数の溝状部を並列状に備えてなるものとすることができる。この場合、並列状をなす各溝状部を挟む両側の上部位置に栽培器支持体を配設し、各栽培器支持体の支持部により植物栽培器の上部側端部を支持することにより、各溝状部内に植物栽培器を収容保持することができる。
【0010】
また本発明の植物栽培用屋根は、上記栽培器支持体が、隣接溝状部同士の間の突条部の上部位置に配設されており、その栽培器支持体が、両側に支持部を有するものとすることができる。
【0011】
この場合、栽培器支持体が、隣接溝状部同士の間の突条部の上部位置に配設されており、その栽培器支持体が、両側に支持部を有するので、隣接溝状部同士の間の突条部の上部位置に配設された栽培器支持体の両側の支持部により、その栽培器支持体の両側の溝状部内にそれぞれ収容する植物栽培器の片側の上部側端部を支持することができる。
【0012】
また本発明の植物栽培用屋根は、植物栽培器支持体の支持部が溝状部側へ張出しているものとすることができる。
【0013】
この場合、植物栽培器支持体の支持部が溝状部側へ張出しているので、その支持部により植物栽培器の上部側端部を支持することによって、その植物栽培器を溝状部に接することなく溝状部内に収容された状態で保持する上で好適である。
【0014】
また本発明の植物栽培用屋根は、植物栽培器支持体の支持部が溝状部内へ張出しており、植物栽培器全体が溝状部内に位置するものとすることができる。
【0015】
この場合、植物栽培器支持体の支持部が溝状部内へ張出しているため、支持部による植物栽培器の上部側端部の支持を溝状部内において行うことができる。支持部による上部側端部の支持が溝状部内で行われた植物栽培器の全体が溝状部内に位置するので、溝状部内に収容保持された植物栽培器に風の影響が及ぶことが可及的に防がれ、植物栽培器の溝状部からの離脱等が防止される。
【0016】
また本発明の植物栽培用屋根は、栽培器支持体の支持部が、植物栽培器の上部側端部を着脱可能に支持するものとすることができる。
【0017】
この場合、栽培器支持体の支持部が、植物栽培器の上部側端部を着脱可能に支持するものであるため、植物栽培器の収容保持及び交換等の作業を容易に行うことができる。
【0018】
また更に、本発明の植物栽培用屋根は、屋根における溝状部の側方の上部位置に突起物が配装され、溝状部の側方の上部のうち前記突起物が存在しない位置に栽培器支持体が配設されており、溝状部のうち前記突起物の側方を含む部分に植物栽培器が収容保持されているものとすることができる。
【0019】
この場合、溝状部の側方の上部に対する栽培器支持体の配設及び溝状部のうち突起物の側方を含む部分における植物栽培器の収容保持が、何れも溝状部の側方の上部位置に配装された突起物により妨げられずに実現される。
【0020】
(2) 本発明の栽培器支持体は、
溝状部を備えてなる屋根の前記溝状部の側方の上部位置に配設することにより、溝状部に収容保持する植物栽培器の両側の上部側端部を支持するための栽培器支持体であって、
前記上部位置に接着するための支持基体と、その支持基体に対し、保持状態をとり得る保持体を有してなり、
前記支持基体に、植物栽培器の上部側端部を支持する支持部を有し、前記保持体が保持状態をとることにより、前記支持部に支持された植物栽培器の上部側端部を支持部との間に保持するものである。
【0021】
溝状部を備えてなる屋根における溝状部の側方の上部位置に支持基体を配設し、支持基体の支持部により、溝状部に収容保持する植物栽培器の上部側端部を支持し、支持基体に対し保持体を保持状態とすることにより、支持部に支持された植物栽培器の上部側端部を支持部との間に保持することができる。
【0022】
本発明の栽培器支持体は、上記保持体が支持基体に対し着脱可能なものであり、保持体が支持基体に取り付けられることにより、その保持体が保持状態をとり、保持体が支持基体から取り外されることにより、その保持体が非保持状態をとるものとすることができる。
【0023】
この場合、支持基体の支持部により、溝状部に収容保持する植物栽培器の上部側端部を支持し、保持体を支持基体に取り付けることにより、その保持体が保持状態となって植物栽培器の上部側端部を支持部との間に保持することができる。保持体を支持基体から取り外すことにより、保持体を非保持状態として植物栽培器を栽培器支持体から取り外すことができる。
【0024】
また本発明の栽培器支持体は、上記保持体が支持基体に対し開閉可能なものであり、保持体が支持基体に対し閉じられることにより、その保持体が保持状態をとり、保持体が支持基体に対し開かれることにより、その保持体が非保持状態をとるものとすることができる。
【0025】
この場合、支持基体の支持部により、溝状部に収容保持する植物栽培器の上部側端部を支持し、保持体を支持基体に対し閉じけることにより、その保持体が保持状態となって植物栽培器の上部側端部を支持部との間に保持することができる。保持体を支持基体に対し開くことにより、保持体を非保持状態として植物栽培器を栽培器支持体から取り外すことができる。
【0026】
また本発明の支持基体の底面部に、屋根における溝状部の側方の上部位置の表面との間に接着剤を滞留させる間隙部を形成するための下方開口の凹部を有すると共に、その凹部に連通する上方開口の湿気硬化型接着剤注入部と、前記上部位置に支持基体の底面部を当接させた状態において前記間隙部に注入された湿気硬化型接着剤の硬化のための湿気をその間隙部に導入するために外部に開口し得る1又は2以上の湿気導入部を備えるものとすることができる。
【0027】
この場合、屋根における溝状部の側方の上部位置に支持基体の底面部を当接させることにより、下方開口の凹部によって、前記上部位置の表面との間に接着剤を滞留させる間隙部が形成される。その状態で、上方開口の湿気硬化型接着剤注入部から湿気硬化型接着剤を注入することにより、間隙部に湿気硬化型接着剤を充填することができる。上部位置に支持基体の底面部を当接させた状態において、間隙部に注入された湿気硬化型接着剤の硬化のための湿気をその間隙部に導入するために外部に開口し得る1又は2以上の湿気導入部を備えるので、間隙部に充填された湿気硬化型接着剤が、湿気導入部から導入される湿気により硬化する。
【0028】
また本発明の少なくとも上記保持体が合成樹脂製からなり、その保持体は、保持状態をとった状態において下方に位置する保持体基部と、その保持体基部の上側において起立状態となるように並列隣接した多数の遮蔽用フィンを有してなるものとすることができる。
【0029】
この場合、保持体が植物栽培器の上部側端部を支持部との間に保持する保持状態において、並列隣接した多数の遮蔽用フィンが保持体基部の上側において起立状態となっているため、遮蔽用フィンによって日光の紫外線等が保持体基部に達することが可及的に防がれ、紫外線等により保持体基部が劣化することが防止される。
【発明の効果】
【0030】
本発明の植物栽培用屋根においては、植物栽培器が、その両側の上部側端部が支持部により支持され、栽培器支持体により保持されることによって、溝状部内に収容された状態で保持されるので、屋根の損傷を防ぐことができる。而も、栽培器支持体を溝状部を挟む両側の上部位置に配設し、植物栽培器の両側の上部側端部を、支持部により支持し栽培器支持体により保持することによって、植物栽培器を溝状部に収容保持し得るので、施工が容易であり、産業上の利用性は高い。
【0031】
本発明の栽培器支持体によれば、溝状部を備えてなる屋根における溝状部の側方の上部位置に支持基体を配設し、支持基体の支持部により、溝状部に収容保持する植物栽培器の上部側端部を支持し、支持基体に対し保持体を保持状態とすることにより、支持部に支持された植物栽培器の上部側端部を支持部との間に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0033】
図面は何れも本発明の実施の形態の一例としての植物栽培用屋根及び栽培器支持体に関するものであって、図1及び図2は植物栽培用屋根の要部断面図、図3は植物栽培用屋根の要部平面図、図4は支持基体の上側斜視図、図5は支持基体の下側斜視図、図6は栽培器支持体の上側斜視図、図7は図6におけるVII−VIIである。
【0034】
植物栽培用屋根Pは、金属折版製の折版屋根Rと、合成樹脂製の植物栽培器C及び栽培器支持体Sとを備える。
【0035】
折版屋根Rは、上向きに拡開する断面等脚台形状の溝状部Gを等間隔に並列状に多数備えるものである。
【0036】
植物栽培器Cは、植物を栽培する栽培用土類を収容するための上方開口の収容部C1を有する箱状をなし、全体として水平方向(但し、底部を水平面上に載置した場合。)に細長い形状で、長方形状の上部開口部を有し、内部及び外形の横断面が、上方拡開の等脚台形状をなす。植物栽培器Cの両側の上部側端部C2はそれぞれ側方にやや張り出した形状に形成されている。一方の上部側端部C2の長手方向一方の端部からやや長手方向内方位置及び他方の上部側端部C2の長手方向他方の端部からやや長手方向内方位置には、それぞれストッパ部C3が上向きに突設されている。
【0037】
栽培用土類としては、衣料廃棄物から得られる繊維製断片を加工した粒状および/または粉状物が好適であるが、それに加えて、或いはそれに代えて、発泡スチロール等のプラスチック材料、クレイボール、鹿沼土、軽石,赤玉土、バ−ミキュライト、パ−ライト、川砂等の通常の材料を用いることができる。
【0038】
収容部C1内には、収容した栽培用土類が植物栽培器Cの長手方向の傾斜によって偏るのを防ぐ移動防止部としての、収容部C1を横切る仕切板部C4(必ずしも長手方向に対し直交するものであることを要しない)を2箇所(これに限らない)に備える。また仕切板部C4によって、仕切板部C4と収容部C1の内壁面とにより囲まれた部分毎に栽培用土類及び栽培された植物を回収する作業を容易にするので、枯れた苗の取り替えや部分植え替え等を行なう上で有用である。更に、相性のあまり良くない植物同士でも仕切板部C4で分離されているため、根が喧嘩せず共生可能となり、植生の選択肢が大幅に拡がる。なお、このような仕切板部C4は、その両側の部分同士の水の流通を妨げることを防ぐために1又は2以上の透孔Sa5や切欠部等を有するものとすることもできる。また水の流通を妨げない移動防止部として、横方向全体にわたる仕切板部C4のような態様ではなく、中央部や側部等の一部を仕切らない壁状部とすることや、1又は2以上の棒状部を設けることもできる。
【0039】
収容部C1の上方開口部には、数個の升目状の小枠部を全体に備えた枠状をなす離脱防止体C5が嵌合している。離脱防止体C5は、収容部C1の上方開口部に対し取り外し可能な状態で嵌合固定されている。離脱防止体C5は、栽培用土類における植物や苗等の発芽や生育を妨げずに栽培用土類及び植物が収容部C1の上方開口部から離脱することを防ぐものである。なお、離脱防止体C5は、例えば植物栽培器Cの上方開口部の一方の側縁部に対しヒンジ部を介して揺動可能に連結されたものとすることもできる。
【0040】
植物栽培器Cの収容部C1への栽培用土類収容、栽培用土類への播種や植付、離脱防止体C5の嵌合等は、設置現場以外の工場等の場所で行ない、発芽や生育等の前にそれを運搬し、折版屋根Rに設置して植物栽培用屋根Pを製作することができるので、作業を大幅に効率化することができる。
【0041】
栽培器支持体Sは、隣接溝状部G同士の間の突条部Bの上部平坦面B1(上部位置)に底面を接着するための支持基体Saと、その支持基体Saに対し保持状態をとり得る保持体Sbからなる。
【0042】
支持基体Saは、略長方形板状をなし、その底面部のうち長手方向の両側に、両面粘着テープを介して突条部Bの上部平坦面B1に仮止めするための貼着用平面部Sa1を有する。また支持基体Saは、その底面部のうち両貼着用平面部Sa1の間に、突条部Bの上部平坦面B1との間に接着剤を滞留させる間隙部Aを形成するための下方開口の凹部Sa2を有し、その平面方形状の凹部Sa2の中央部に連通する上方開口の湿気硬化型接着剤注入用の筒状部Sa3と、突条部Bの上部平坦面B1に支持基体Saの底面部を当接させた状態において間隙部Aに注入された湿気硬化型接着剤の硬化のための湿気をその間隙部Aに導入するために外部に開口し得る湿気導入溝Sa4を両側の各前後部に1ずつ備える。また、凹部Sa2の四隅部(周縁部のうち可及的に接着剤注入箇所から遠い位置)には、それぞれ接着剤充填確認用の上方開口の透孔Sa5を有する。
【0043】
更に、支持基体Saの長手方向の両端中央部には、それぞれ上方に突起し上端に外方突部Sa9を備えた嵌合突起Sa8を備え、支持基体Saの上側の長手方向中央部における筒状部Sa3の両側にそれぞれ上向きの突起部Sa6を有する。支持基体Saの上面のうち、両突起部Sa6よりも短手方向外方側の長手方向全長にわたる部分が、植物栽培器Cの上部側端部C2を支持する支持部Sa7を構成する。
【0044】
保持体Sbは、略長方形板の下側に、長手方向の内側突条Sb1及び外側突条Sb2を短手方向中央部をはさんで対称状に1対ずつ有すると共に、短手方向両外端部に、それぞれ、長手方向に間隔を挟んで相対する1対ずつの垂下突条部Sb3を有する。
また保持体Sbは、保持体Sb基部の上側に、起立状態となるように並列隣接した短手方向の多数の遮蔽用フィンSb4を有する。保持体Sbの中央部には、支持基体Saの筒状部Sa3の上部が嵌合する嵌合孔Sb5を有し、長手方向の両端中央部には、それぞれ、支持基体Saの嵌合突起Sa8の上部が挿通してその外方突部Sa9が弾性的に係合し得る係合孔Sb6を有する。
【0045】
植物栽培用屋根Pは、次のようにして製作することができる。
【0046】
上記折版屋根Rにおける隣接溝状部G同士の間の各突条部Bの上部平坦面B1に、植物栽培器Cの長さに対応する長手方向距離毎に支持基体Saを固定する。各上部平坦面B1における支持基体Saの固定位置は、長手方向における対応位置とする。
【0047】
各支持基体Saは次のように固定することができる。先ず、突条部Bの上部平坦面B1に、支持基体Sa底面の貼着用平面部Sa1を、両面粘着テープ(これ限るものではなく、他の仮止め接着剤等の仮止め用材料を用いたり、その他の仮止め手段を用いることもできる。)により仮止めする。この支持基体Saの仮止めは、支持基体Saその長手方向が突条部Bの長手方向に一致し、短手方向両側の支持部Sa7がそれぞれ突条部Bを挟む両溝状部Gに張り出した状態で、上部平坦面B1に貼着用平面部Sa1が両面粘着テープを介して当接する状態となるように行なう。この状態で、支持基体Saの底面部のうち両貼着用平面部Sa1の間の下方開口の凹部Sa2と突条部Bの上部平坦面B1との間に、接着剤を滞留させる間隙部Aが形成される。
【0048】
仮止めされた支持基体Saの筒状部Sa3から湿気硬化型接着剤を注入し、接着剤充填確認用の各透孔Sa5を目視して、間隙部Aに接着剤が十分に充填されたことを確認する。充填された接着剤は、筒状部Sa3、透孔Sa5、及び湿気導入溝Sa4を通じて導入される湿気により硬化し、折版屋根Rの上部平坦面B1に確実に接着固定される。
【0049】
次いで、植物栽培器Cの長手方向両端部における両側の上部側端部C2を、それぞれ支持基体Saの支持部Sa7における長手方向の一方の側に載置することにより、植物栽培器Cにおける各ストッパ部C3よりも長手方向外方に支持基体Saが位置するようにして、植物栽培器Cを溝状部G内に収容する。各支持基体Saには、長手方向両方における両側の合計4箇所に4つの植物栽培器Cにおける1つずつの上部側端部C2を支持し得る。
【0050】
保持体Sbを、各支持基体Saの筒状部Sa3の上部を嵌合孔Sb5に嵌合させると共に、各支持基体Saの両嵌合突起Sa8の上部を係合孔Sb6に挿通させて嵌合突起Sa8の外方突部Sa9を係合孔Sb6に弾性的に係合させて取り付ける。これにより、植物栽培器Cの上部側端部C2が、保持体Sbの外側突条Sb2の外側において短手方向両外端部の垂下突条部Sb3と支持基体Saの支持部Sa7の間に挟持され、植物栽培器Cの側方移動が外側突条Sb2によって防がれ、植物栽培器Cの各ストッパ部C3において保持体Sbの長手方向端面により植物栽培器Cの長手方向移動が防がれる。なお、植物栽培器Cの上部側端部C2を栽培器支持体Sにより確実に保持する上で、上部側端部C2と保持体Sb又は支持基体Saが嵌合し得る凹凸や嵌合孔や嵌合突起等をそれぞれに設けることもできる。
【0051】
この状態で、筒状部Sa3に対し上側からタッピングねじTを螺入することにより、そのタッピングねじTのねじ頭により保持体Sbの上方脱落をより確実に防止することができる。保持体Sb基部の上側には、起立状態となるように並列隣接した短手方向の多数の遮蔽用フィンSb4を有するので、日光の紫外線が保持体Sb基部に直接照射されることが可及的に防がれ、保持体Sb基部が紫外線により劣化して植物栽培器Cの保持に支障を来たすことが効果的に防がれる。なお、タッピングねじTを取り外して保持体Sbを支持基体Saから取り外せば、植物栽培器Cの除去や交換を容易に行うことができる。
【0052】
こうして、植物栽培器Cを溝状部Gに接することなく溝状部G内に収容された状態で保持することができ、各溝状部Gに植物栽培器Cを長手方向に直列状に並べて収容保持することにより、植物栽培用屋根Pが得られる。栽培器支持体Sを溝状部Gを挟む両側の上部位置に配設し、植物栽培器Cの両側の上部側端部C2を、栽培器支持体Sの支持部Sa7により支持し、保持体Sbにより保持することによって植物栽培器Cを溝状部Gに収容保持し得るので、施工が容易であると共に、折版屋根Rの損傷を可及的に防ぐことができる。特に、この例の場合、植物栽培器Cが溝状部Gに接することなく溝状部G内に収容保持されるため、屋根の損傷をより効果的に防ぐことができる。
【0053】
突条部Bにおける植物栽培器C同士の間には、例えば、屋根の固定や折版同士の接合等のためのボルトやビス等の突起物が配装されていてもよい。植物栽培器Cは、両側の上部側端部C2が突起物により妨げられずに栽培器支持体Sにより支持され、溝状部G内に収容保持される。
【0054】
なお、屋根としては溝状部G(好ましくは2以上の溝状部G)を備えるものであれば、必ずしも折版屋根Rに限らず、例えば波形状屋根等に適用することもできる。複数の溝状部Gを有する場合、それらの溝状部Gは並列状であることが好ましいが、必ずしも並列状に限るものではない。また、溝状部Gの横断面は、例えば、上方拡開の台形状、上方拡開の弓形状、上方拡開の断面多角形状等とすることができ、必ずしも限定されるものではない。
【0055】
植物栽培器Cの上部側端部C2は、栽培器支持体Sによる支持を容易にするために側方張出部に形成することが好ましい。
【0056】
栽培器支持体Sは、屋根の溝状部Gを挟む両側の上部位置において、例えば、溝状部Gの長手方向(溝の軸方向)に沿って間隔おきに設けることができる。溝状部Gに対し植物栽培器Cを側方及び長手方向に保持し得るよう設ければよく、必ずしも植物栽培器Cの長さに対応する長手方向距離毎に設けることを要するものではない。
【0057】
また、栽培器支持体Sは両側に支持部Sa7を有するものに限らず、片側にのみ支持部Sa7を有するものでもよい。植物栽培器C支持体の支持部Sa7は、溝状部G側に張り出しているものとすることができ、溝状側において溝状部G内に張出しているものとすることもできる。植物栽培器C支持体の支持部Sa7が溝状部G内に張出している場合、植物栽培器Cの上部側端部C2を含む植物栽培器C全部が溝状部G内に収容された状態で保持することができる。
【0058】
また、栽培器支持体Sにおける保持体Sbは、ヒンジ部、上下、前後等の摺動により、支持基体Saに対し開閉可能なものとすることもできる。
【0059】
なお、以上の実施の形態についての記述における上下位置関係は、単に図に基づいた説明の便宜のためのものであって、実際の使用状態等を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】植物栽培用屋根の要部断面図である。
【図2】植物栽培用屋根の要部断面図である。
【図3】植物栽培用屋根の要部平面図である。
【図4】支持基体の上側斜視図である。
【図5】支持基体の下側斜視図である。
【図6】栽培器支持体の上側斜視図である。
【図7】図6におけるVII−VIIである。
【符号の説明】
【0061】
A 間隙部
B 突条部
B1 上部平坦面
C 植物栽培器
C1 収容部
C2 上部側端部
C3 ストッパ部
C4 仕切板部
C5 離脱防止体
G 溝状部
P 植物栽培用屋根
R 折版屋根
S 栽培器支持体
Sa 支持基体
Sa1 貼着用平面部
Sa2 凹部
Sa3 筒状部
Sa4 湿気導入溝
Sa5 透孔
Sa6 突起部
Sa7 支持部
Sa8 嵌合突起
Sa9 外方突部
Sb 保持体
Sb1 内側突条
Sb2 外側突条
Sb3 垂下突条部
Sb4 遮蔽用フィン
Sb5 嵌合孔
Sb6 係合孔
T タッピングねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝状部を備えてなる屋根と、前記溝状部に収容保持される植物栽培器と、その植物栽培器を支持するための栽培器支持体を備えてなる植物栽培用屋根であって、
前記植物栽培器は、上方開口の収容部を備えるものであり、
前記栽培器支持体は、前記植物栽培器の上部側端部を支持する支持部を備え、その支持部に支持された上部側端部を保持し得るものであって、前記屋根の溝状部を挟む両側の上部位置に配設されており、
前記植物栽培器は、その両側の上部側端部が前記支持部により支持されて前記栽培器支持体により保持されることにより、溝状部内に収容された状態で保持されていることを特徴とする植物栽培用屋根。
【請求項2】
上記植物栽培器が、前記溝状部に接することなく、溝状部内に収容された状態で保持されている請求項1記載の植物栽培用屋根。
【請求項3】
上記屋根が、複数の溝状部を並列状に備えてなるものである請求項1又は2記載の植物栽培用屋根。
【請求項4】
上記栽培器支持体が、隣接溝状部同士の間の突条部の上部位置に配設されており、その栽培器支持体が、両側に支持部を有する請求項3記載の植物栽培用屋根。
【請求項5】
植物栽培器支持体の支持部が溝状部側へ張出している請求項1乃至4の何れかに記載の植物栽培用屋根。
【請求項6】
植物栽培器支持体の支持部が溝状部内へ張出しており、植物栽培器全体が溝状部内に位置する請求項5記載の植物栽培用屋根。
【請求項7】
栽培器支持体の支持部が、植物栽培器の上部側端部を着脱可能に支持するものである請求項1乃至6の何れかに記載の植物栽培用屋根。
【請求項8】
屋根における溝状部の側方の上部位置に突起物が配装され、溝状部の側方の上部のうち前記突起物が存在しない位置に栽培器支持体が配設されており、溝状部のうち前記突起物の側方を含む部分に植物栽培器が収容保持されている請求項1乃至7の何れかに記載の植物栽培用屋根。
【請求項9】
溝状部を備えてなる屋根の前記溝状部の側方の上部位置に配設することにより、溝状部に収容保持する植物栽培器の両側の上部側端部を支持するための栽培器支持体であって、
前記上部位置に接着するための支持基体と、その支持基体に対し、保持状態をとり得る保持体を有してなり、
前記支持基体に、植物栽培器の上部側端部を支持する支持部を有し、前記保持体が保持状態をとることにより、前記支持部に支持された植物栽培器の上部側端部を支持部との間に保持する栽培器支持体。
【請求項10】
上記保持体が支持基体に対し着脱可能なものであり、保持体が支持基体に取り付けられることにより、その保持体が保持状態をとり、保持体が支持基体から取り外されることにより、その保持体が非保持状態をとる請求項9記載の栽培器支持体。
【請求項11】
上記保持体が支持基体に対し開閉可能なものであり、保持体が支持基体に対し閉じられることにより、その保持体が保持状態をとり、保持体が支持基体に対し開かれることにより、その保持体が非保持状態をとる請求項9記載の栽培器支持体。
【請求項12】
支持基体の底面部に、屋根における溝状部の側方の上部位置の表面との間に接着剤を滞留させる間隙部を形成するための下方開口の凹部を有すると共に、その凹部に連通する上方開口の湿気硬化型接着剤注入部と、前記上部位置に支持基体の底面部を当接させた状態において前記間隙部に注入された湿気硬化型接着剤の硬化のための湿気をその間隙部に導入するために外部に開口し得る1又は2以上の湿気導入部を備える請求項9乃至11の何れかに記載の栽培器支持体。
【請求項13】
少なくとも上記保持体が合成樹脂製からなり、その保持体は、保持状態をとった状態において下方に位置する保持体基部と、その保持体基部の上側において起立状態となるように並列隣接した多数の遮蔽用フィンを有してなるものである請求項9乃至12の何れかに記載の栽培器支持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−61030(P2007−61030A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253022(P2005−253022)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(301050555)アースコンシャス株式会社 (6)
【出願人】(000178583)山崎産業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】