説明

植物繊維圧縮ペレット及びこれを用いた植物繊維複合組成物

【課題】 生産性に優れるとともに、機械的強度の良好な植物繊維複合組成物及びこれに用いられる植物繊維圧縮ペレットを提供する。
【解決手段】 植物繊維から得られる複数本のリグノセルロース繊維を撚り合わせてなる植物繊維圧縮ペレットであって、長さが5mm以上100mm以下の柱形状であり、嵩比重が0.2以上1.0以下であること特徴とする植物繊維圧縮ペレット及び、前記植物繊維圧縮ペレットと樹脂ペレットとを混合して、連続式混練機で混練してなることにより、植物繊維複合組成物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物繊維から得られる植物繊維圧縮ペレット及びこれを用いた植物繊維複合組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開2002−69208号公報(特許文献1)に開示されているように、植物繊維と樹脂とを複合化した植物繊維複合組成物が使用されている。この物は、植物繊維が補強材として作用をするので、樹脂のみの場合と比べて機械的強度が向上するという利点を有している。また、植物繊維は、他に補強材として使用されているガラス繊維等の無機物と比較すると、リサイクル性が優れている。このために植物繊維複合組成物は、地球環境に優しい材料として注目されている。
【0003】
ここで、特許文献1等に開示されているように、このような植物繊維(補強材)と樹脂ペレットとを複合化して植物繊維複合組成物とするためには、両者を混練させて所定形状に圧縮成形や押し出し成形等で成形することが行われている。また、他の複合化方法としては、特開2003−531936号公報(特許文献2)に開示されているように、絡み合った繊維に樹脂をコーティングした物を用いる方法も存在する。
【特許文献1】特開2002−69208号公報
【特許文献2】特開2003−531936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、植物繊維と樹脂とは、比重(嵩比重)や形状が異なるために、特許文献1に開示されているような混練・押出し成形によって、これらを均一に複合するには、以下の問題があった。まず、長さの長い植物繊維と樹脂とを複合化しようとすると、植物繊維同士が絡み合って、いわゆるダマの状態となってしまい、均一に分散することが容易ではなかった。一方、長さの短い植物繊維(例えば2mm以下に切断した植物繊維)を樹脂と複合化させれば、植物繊維同士が絡み合うという問題は解決できる。しかし、この場合には、植物繊維の長さが短いために、補強材としての植物繊維の特性が発揮できなくなり、得られた植物繊維複合組成物の強度が低下するという問題があった。
【0005】
一方、特許文献2に開示されている複合化方法を用いれば、2mm以上の長さを有する植物繊維と樹脂とを、比較的均一に複合化することは可能と考えられる。しかし、この方法では、植物繊維に樹脂をコーティングする工程が必要なために、複合化に長時間を要し、生産性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、生産性に優れるとともに、機械的強度の良好な植物繊維複合組成物及びこれに用いられる植物繊維圧縮ペレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、植物繊維から得られる複数本のリグノセルロース繊維を撚り合わせてなる植物繊維圧縮ペレットであって、長さが5mm以上100mm以下の柱形状であることを特徴としている。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の植物繊維圧縮ペレットであって、複数本のリグノセルロース繊維を撚り合わせて縄状としたものを切断して得られることを特徴としている。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の植物繊維圧縮ペレットであって、嵩比重が0.2以上1.0以下であること特徴としている。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の植物繊維圧縮ペレットと樹脂ペレットとを混合して、連続式混練機で混練してなる植物繊維複合組成物であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明の植物繊維圧縮ペレットは、リグノセルロース繊維を撚り合わせてなる長さが5mm以上100mm以下の柱形状である。つまり、植物繊維圧縮ペレットの長さが5mm以上であるので、補強材としての植物繊維の長さが長く、得られる植物繊維複合組成物の機械的強度を高くすることができる。また、リグノセルロース繊維を撚り合わせてなる柱形状のペレットであり、その長さが100mm以下であるために、植物繊維同士が絡み合うおそれが少なくなり、樹脂中に均一に植物繊維を分散することができる。
【0012】
請求項2に係る発明の植物繊維圧縮ペレットは、複数本のリグノセルロース繊維を撚り合わせて縄状としたものを切断して得られるので、簡易な工程で前記植物繊維圧縮ペレットを製造することができ、生産性を向上することができる。
【0013】
請求項3に係る発明の植物繊維圧縮ペレットは、嵩比重を0.2以上1.0以下としている。つまり、植物繊維圧縮ペレットの嵩比重を0.2以上とすることで、樹脂内にリグノセルロース繊維が均一に分散されることになり、得られる植物繊維複合組成物の特性のばらつきを低下させ、品質を向上することができる。また、嵩比重を1.0以下とすることで、適度なトルクでリグノセルロース繊維を撚り合わせて、植物繊維圧縮ペレットとすることができ、生産性を向上することができる。
【0014】
請求項4に係る発明の植物繊維複合組成物は、前記植物繊維圧縮ペレットと樹脂ペレットとを混合して、連続式混練機で混練してなるので、連続工程によって植物繊維複合組成物を生産することができ、生産性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明を実施するための最良の形態の植物繊維圧縮ペレット及びこれを用いた植物繊維複合組成物を図1〜3に基づいて説明する。
【0016】
本発明の植物繊維圧縮ペレット3は、リグニンとセルロースを主成分とするリグノセルロース繊維1を複数本撚り合わせて、縄状とした撚合せ材2を、5mm以上100mm以下に切断することによって得られる。ここで、リグノセルロース繊維1としては、ケナフ、亜麻、ラミー、大麻、ジュート等の麻系植物の靱皮から採取される植物繊維、マニラ麻やサイザル麻等の麻植物の茎又は葉の筋から採取される植物繊維、木材繊維の植物繊維から得られもものがあげられる。これらの植物繊維の中で、麻系植物から得られる植物繊維は、結晶性を有して高強度であるセルロースの含有比率が60重量%で、木材繊維のセルロースの含有比率30〜50重量%よりも高いので、植物繊維としての強度も高くなるという利点を有している。また、これらの植物からは、レッティングとよばれる浸水処理及び解繊処理をすることにより、長さが20mm以上で、直径が10〜30μmの繊維束を容易に得ることができる。そして、バルブ等の化学処理によって短繊維化することができる。
【0017】
こうして短繊維化されたリグノセルロース繊維1を図2に示すように、合撚機で撚り合わせて、直径が5mmから15mmの円柱形状で長尺の撚り合せ材2とする。ここで、撚り合わせるときのトルクを調整することで、撚り合せ材2の密度を調整することができる。これを、長さLが5mm以上100mm以下となるように切断して、植物繊維圧縮ペレット3とする。
【0018】
ここで、用途によっては、繊維同士を結合させるバインダーとなる成分を植物繊維圧縮ペレット3に添加してもよい。具体的なバインダーとなる成分としては、デンプン、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂やポリ乳酸エマルジョン等があげられる。このときに、植物繊維を撚り合わす時に、繊維を柔らかくして紡績機械にかけやすくするために、少量の油分や石鹸溶液を添加してもよい。
【0019】
この植物繊維圧縮ペレットを樹脂ペレットと混合して、連続式混練機で混練し、押出し成形等の成形をすることによって、植物繊維複合組成物を得ることができる。このとき用いる樹脂ペレットの樹脂材料としては、ポリエチレンやポリ乳酸があげられる。特に、ポリ乳酸は、石油を用いていない植物由来の材料であるために、植物繊維と複合化して得られる植物繊維複合組成物は、低エミッションでカーボンニュートラルな地球環境に優しい材料となる。
【0020】
本実施形態の植物繊維圧縮ペレットの長さLは5mm以上100mm以下とすることが必要となる。長さLが100mmを超えると、樹脂ペレットと混練するときに、絡み合ってしまいダマをつくることがあり、均一な複合化が困難となるからである。また、長さLが5mm未満となると、補強材としての効果が得られにくくなり、この結果として、これを用いて製造した植物繊維複合組成物の機械的強度が弱くなってしまう。
【0021】
また、この植物繊維圧縮ペレットの嵩比重は0.2以上1.0以下であることが望ましい。植物繊維圧縮ペレット3の嵩比重が0.2未満となると、植物繊維圧縮ペレットと樹脂ペレットとの嵩比重の差が大きくなり、タンブラーや高速ミキサーで両者を混合する際に均一に混合することが困難となり、両者は分離しやすくなってしまう。この結果として、得られる植物繊維複合組成物において、植物繊維が均一に分散されなくなり、強度が部分的に低下してしまう。
【0022】
一方、嵩比重が1.0を越えるペレットを得るためには、より大きなトルクで、繊維を撚り合わすことが必要となり、生産性が低下することになる。さらに、繊維同士が植物本位圧縮ペレット内で密着することになり、連続的に混練する場合に、混練機への負荷が大きくなりすぎ、シリンダ等の故障を生じる可能性が大きくなる。
【0023】
(実施例1−1)
ケナフ茎部の外皮部分となる靭皮から平均径82μmのケナフ繊維束(植物繊維)からなるリグノセルロース繊維を採取し、これをカード機、練篠機、フライヤーという紡績機で処理した後、合撚機で撚り合わせて、撚り合せ材とした。これを切断して、平均直径6.2mm、平均長さ12mm、平均重量0.135gの植物繊維圧縮ペレットを得た。この植物圧縮ペレットの含水率は8%で、これを円柱形状とした場合の比重は0.37である。このものを容積1000cm3の円筒容器に入れて、嵩比重を測定したところ0.18であった。また、植物繊維圧縮ペレットに含まれる繊維を100本取り出して平均長さを測定したところ、10.9mmであった。
【0024】
この植物繊維圧縮ペレットを樹脂ペレットと混練するにあたり、スクリューフィーダーから時間当たりの排出量を測定した。2軸押出機として、株式会社池貝製GTφ110に付属するホッパーとスクリューフィーダーを用いて、輸送量を1000g/分に設定したとき、実際に時間当たりに排出される植物繊維圧縮ペレットの重量を10回測定して、その最大量と最小量とを比較した。この結果を表1に示す。
【0025】
(実施例1−2)
実施例1−1と同様にして、リグノセルロース繊維の撚合せ材を得て、これを切断して、平均直径5.4mm、平均長さ12mm、平均重量0.14gの植物繊維圧縮ペレットを得た。この植物圧縮ペレットの含水率は8%で、これを円柱形状とした場合の比重は0.51である。このものを容積1000cm3の円筒容器に入れて、嵩比重を測定したところ0.25であった。また、植物繊維圧縮ペレットに含まれる繊維を100本取り出して平均長さを測定したところ、10.8mmであった。
【0026】
この植物繊維圧縮ペレットを実施例1−1と同様にして、実際にスクリューフィーダーから時間当たりに排出される植物繊維圧縮ペレットの重量を10回測定して、その最大量と最小量とを比較した。この結果を表1に示す。
【0027】
(比較例1−1)
実施例1−1と同様にして、リグノセルロース繊維を採取し、これを10mmの長さに切断した。このものの含水率は8%、嵩比重は0.08であり、100本を取り出してリグノセルロース繊維の平均長さを測定したところ、8.5mmであった。このリグノセルロース繊維を実施例1−1と同様にして、実際にスクリューフィーダーから時間当たりに排出されるリグノセルロース繊維の重量を10回測定して、その最大量と最小量とを比較した。この結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
表1に示すように、植物繊維圧縮ペレットについては、スクリューフィーダーから時間当たりに排出されるリグノセルロース繊維の重量は、ばらつきが少なく、また、スクリューフィーダーから排出後にはダマになっておらず、実用的に樹脂ペレットと混練することが容易である。特に、嵩比重が0.25である植物繊維圧縮ペレットは、よりばらつきが少なく、混練性が向上している。
【0030】
一方、リグノセルロース繊維については、スクリューフィーダーから時間当たりに排出されるリグノセルロース繊維の重量は、ばらつきが多く、また、スクリューフィーダーから排出後にはダマになっているものもあり、実用的に樹脂ペレットと混練することが容易でない。
【0031】
(実施例2−1)
実施例1−1と同様にして、リグノセルロース繊維の撚合せ材を得て、これを切断して、平均直径6.4mm、平均長さ10.9mm、平均重量0.11gの植物繊維圧縮ペレットを得た。この植物圧縮ペレットの含水率は8%で、これを円柱形状とした場合の比重は0.31である。このものを容積1000cm3の円筒容器に入れて、嵩比重を測定したところ0.15であった。また、植物繊維圧縮ペレットに含まれる繊維を100本取り出して平均長さを測定したところ、10.2mmであった。
【0032】
この植物繊維圧縮ペレットとポリエチレンのペレット(日本ポリエチレン株式会社製、商品名:ノバテックHJ−490)を共に乾燥させた。この後に、繊維比率が25重量%となるように、この植物圧縮ペレット12.5kgとポリエチレンペレット37.5kgとを高速回転ミキサーで360rpm、2分間混合した後に、実施例1−1と同様の2軸押出機に付属するホッパーに投入した。そして、スクリューフィーダーで、この2軸押出機に供給し、混練後にストランドを押出して、水冷した後に植物繊維複合組成物のペレットを得た。このときの2軸押出機のシリンダからダイに至る温度は140℃に設定して、混練速度は50kg/時間として、1時間かけて押出しを実施した。
【0033】
得られた植物繊維複合組成物のペレットの色調を目視したところ、押出し工程の時間経過にかかわらず茶色でほぼ一定であった。また、押出し開始10分間と押出し終了直前10分間に得られたペレットをそれぞれシリンダ温度140℃、金型温度30℃、金型での保持時間60秒で射出成形してASTM規格測定用の植物繊維複合組成物のサンプルを作成した。その後、熱処理等を行わないで、このサンプルの曲げ弾性率(ASTM D790)の測定をした。この結果を表2に示す。
【0034】
(実施例2−2)
実施例1−1と同様にして、リグノセルロース繊維の撚合せ材を得て、これを切断して、平均直径5.4mm、平均長さ10.8mm、平均重量0.14gの植物繊維圧縮ペレットを得た。この植物圧縮ペレットの含水率は8%で、これを円柱形状とした場合の比重は0.56である。同様にして嵩比重を測定したところ0.27であった。また、植物繊維圧縮ペレットに含まれる繊維を100本取り出して平均長さを測定したところ、10.2mmであった。
【0035】
この植物繊維圧縮ペレットと実施例2−1と同じポリエチレンのペレットを共に乾燥させ、混練、押出しをすることで、植物繊維複合組成物のペレットを得た。このペレットの色調を目視したところ、茶色でほぼ一定であった。また、押出し開始10分間と押出し終了直前10分間に得られたペレットをそれぞれ実施例2−1と同様に射出成形してASTM規格測定用のサンプルを作成した。その後、熱処理等を行わないで、曲げ弾性率(ASTM D790)の測定をした。この結果を表2に示す。
【0036】
(比較例2−1)
実施例1−1と同様にして得た、リグノセルロース繊維の撚合せ材を切断して、平均直径5.4mm、平均長さ3.5mm、平均重量0.045gの植物繊維圧縮ペレットとした。この植物圧縮ペレットの含水率は8%で、これを円柱形状とした場合の比重は0.56である。このものを同様にして嵩比重を測定したところ0.27であった。また、植物繊維圧縮ペレットに含まれる繊維を100本取り出して平均長さを測定したところ、2.6mmであった。
【0037】
この植物繊維圧縮ペレットと実施例2−1と同じポリエチレンのペレットを共に乾燥させ、同様に混練、押出しをすることで、植物繊維複合組成物のペレットを得た。このペレットの色調を目視したところ、茶色でほぼ一定であった。また、押出し開始10分間と押出し終了直前10分間に得られたペレットをそれぞれ実施例2−1と同様に射出成形してASTM規格測定用のサンプルを作成した。その後、熱処理等を行わないで、曲げ弾性率(ASTM D790)の測定をした。この結果を表2に示す。
【0038】
(比較例2−2)
実施例1−1と同様にして、リグノセルロース繊維を採取し、これを10mmの長さに切断した。このものの含水率は8%、嵩比重は0.08であり、100本を取り出してリグノセルロース繊維の平均長さを測定したところ、8.5mmであった。
【0039】
この植物繊維と実施例2−1と同じポリエチレンのペレットを共に乾燥させ、同様に混練、押出しをすることで、植物繊維複合組成物のペレットを得た。
【0040】
このペレットの色調を目視したところ、押出し初期のものは、薄い茶色であったが、時間の経過と共に濃くなっていた。また、押出し開始10分間と押出し終了直前10分間に得られたペレットをそれぞれ実施例2−1と同様に射出成形してASTM規格測定用のサンプルを作成した。その後、熱処理等を行わないで、曲げ弾性率(ASTM D790)の測定をした。この結果を表2に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
表2に示すように、実施例2−1及び実施例2−2の植物繊維圧縮ペレットについては、リグノセルロース繊維が、押出しの初期から最後まで均一に分散している。このために、植物繊維複合組成物の色調は、押出し時間によって見かけ上の差異は見られない。また、曲げ弾性率も、押出しの最初と最後との成形品とでばらつきが少なく、品質が良好である。特に、嵩比重が0.25である実施例2−2の植物繊維圧縮ペレットは、よりばらつきが少なく、品質がさらに向上している。
【0043】
一方、比較例2−1の植物繊維圧縮ペレットについては、長さが3.5mmと短いために繊維も短くなり、補強材としての効果が不十分となっている。このために、得られた植物繊維複合組成物の曲げ弾性率が、実施例2−1及び2−2と比較して低下している。
【0044】
また、比較例2−2の繊維をペレットとしていないものについては、ペレットや得られた成形品の特性が、押出し成形の実施時間によって変化している。このために、ばらつきが大きくなり、品質が低下している。
【0045】
(実施例3−1)
実施例2−2と同様にして得られた植物繊維圧縮ペレットをポリ乳酸のペレット(三井化学製、商品名:レイシアH−100J、融解熱421J/g、融点170℃、結晶化温度105℃)を共に乾燥させた。この後に、繊維比率が12重量%となるように、この植物圧縮ペレット6kgとポリ乳酸ペレット44kgとを高速回転ミキサーで360rpm、2分間混合した後に、実施例1−1と同様の2軸押出機に付属するホッパーに投入した。そして、スクリューフィーダーで、この2軸押出機に供給し、混練後にストランドを押出して、水冷した後にペレット化した。このときの2軸押出機のシリンダからダイに至る温度は170℃に設定して、混練速度は50kg/時間として、1時間かけて押出しを実施した。
【0046】
こうして得られた植物繊維複合組成物のペレットをシリンダ温度170℃、金型温度100℃、金型での保持時間60秒で射出成形してASTM規格測定用のサンプルを作成した。その後、熱処理等を行わないで、曲げ弾性率(ASTM D790)と熱変形温度(ASTM D648:荷重0.45MPa)の測定をした。この結果を表3に示す。
【0047】
(比較例3−1)
実施例1−1と同様にして、リグノセルロース繊維を採取し、これを10mmの長さに切断した。このものの含水率は8%、嵩比重は0.08であり、100本を取り出してリグノセルロース繊維の平均長さを測定したところ、8.5mmであった。
【0048】
この植物繊維圧縮ペレットと実施例3−1と同じポリ乳酸のペレットを共に乾燥させ、同様に混練を試みた。しかしながら、スクリューフィーダーで繊維が詰まり、押出しを実施することができなかった。
【0049】
(比較例3−2)
実施例1−1と同様にして、リグノセルロース繊維を採取し、これを1.5mmの長さに切断した。このものの含水率は8%、嵩比重は0.08であり、100本を取り出してリグノセルロース繊維の平均長さを測定したところ、1.2mmであった。
【0050】
この植物繊維圧縮ペレットと実施例2−1と同じポリ乳酸のペレットを共に乾燥させ、同様に混練、押出しをすることで、植物繊維複合組成物のペレットを得た。こうして得られた植物繊維複合組成物ペレットを実施例3−1と同様にして射出成形してASTM規格測定用のサンプルを作成した。その後、熱処理等を行わないで、曲げ弾性率(ASTM D790)と熱変形温度(ASTM D648:荷重0.45MPa)の測定をした。この結果を表3に示す。
【0051】
【表3】

【0052】
表3に示すように、実施例3−1で得られた植物繊維複合組成物は、比較例3−2で得られたた植物繊維複合組成物よりも、曲げ弾性率、熱変形温度といった特性が向上している。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形のリグノセルロース繊維の撚合せ材の側面図である。
【図2】本発明の実施形の植物繊維圧縮ペレットの側面図である。
【図3】本発明の実施形の植物繊維圧縮ペレットの斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1 リグノセルロース繊維
2 繊維撚合せ材
3 植物繊維圧縮ペレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物繊維から得られる複数本のリグノセルロース繊維を撚り合わせてなる植物繊維圧縮ペレットであって、長さが5mm以上100mm以下の柱形状であることを特徴とする植物繊維圧縮ペレット。
【請求項2】
複数本のリグノセルロース繊維を撚り合わせて縄状としたものを切断して得られることを特徴とする請求項1記載の植物繊維圧縮ペレット。
【請求項3】
嵩比重が0.2以上1.0以下であること特徴とする請求項1又は2に記載の植物繊維圧縮ペレット。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の植物繊維圧縮ペレットと樹脂ペレットとを混合して、連続式混練機で混練してなることを特徴とする植物繊維複合組成物。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−50728(P2008−50728A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229997(P2006−229997)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】