説明

植生舗装ブロック及び植生舗装構造

【課題】植物の植え付け作業が簡単で、植物の生育が促進され、車の通行の多いところと少ないところの植物の繁茂の差が少なくなるようにする。
【解決手段】植生舗装ブロック上面に、開口部から外部に至る少なくとも1つの溝を形成し、該溝により、ブロックを敷設した際の隣り合うブロックどうしの開口部の上部空間が連通するようにすることで、植生した植物の茎や根が溝の上を這って他の開口部に至り、そこで生育するので、植物の生育が促進され、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場、公園の道路などに好適な植生舗装構造、及びその植生舗装構造を構築するための植生舗装ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されているように、表裏貫通する開口部を有し、複数個を連続して敷設し、前記開口部に植生を施す植生舗装ブロックが知られている。
【特許文献1】実用新案登録第3025326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の植生舗装ブロックは、開口部に植生基材を充填し、その植生基材に芝などの植物を植え付け、繁茂させるのであるが、次のような問題点がある。
(1)全ての開口部に植物の植え付けをしなければならないので、植え付け作業がきわめて煩雑である。
(2)車の通行の多いところは植物の傷みが激しく、枯れてしまい、一度枯れると再び植え付けを行わないと復旧しない。
(3)一方、車の通行の少ないところは、雑草が繁茂して見苦しくなる。
【0004】
本発明は、上記の問題点を改善し、植物の植え付け作業が簡単で、植物の生長繁茂に適し、車の通行の多いところと少ないところの植物の繁茂の差が少なくなる植生舗装ブロック及び植生舗装構造を開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔請求項1〕
本発明は、表裏貫通する開口部を有し、複数個を連続して敷設し、前記開口部に植生を施す植生舗装ブロックにおいて、上面に前記開口部から外部に至る少なくとも1つの溝を有し、該溝により、ブロックを敷設した際の隣り合うブロックどうしの前記開口部の上部空間が連通することを特徴とする植生舗装ブロックである。
【0006】
〔請求項2〕
また本発明は、前記請求項1の植生舗装ブロックにおいて、前記開口部を複数有し、該開口部どうしの上部空間が連通する溝を上面に有することを特徴とする植生舗装ブロックである。
【0007】
〔請求項3〕
また本発明は、前記請求項1又は2の植生舗装ブロックにおいて、前記溝の幅が2〜5cm、深さが0.5〜2.5cmである植生舗装ブロックである。
【0008】
〔請求項4〕
また本発明は、前記請求項1〜3のいずれかの植生舗装ブロック複数個を連続して敷設し、前記開口部に植生基材を充填すると共に、該植生基材に植物を繁茂させることを特徴とする植生舗装構造である。
本発明において植生基材とは、通常の土砂、腐葉土など、植物が根を張って生育できる床を形成するもの全てを含む。
【0009】
〔請求項5〕
また本発明は、前記請求項4の植生舗装構造において、前記植物がイワダレソウであることを特徴とする植生舗装構造である。
本発明においてイワダレソウとは、クマツヅラ科イワダレソウ属の植物全てを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上記の構成であるので、開口部に植生した植物の茎や根が、溝の上を這って他の開口部に至り、そこで生育するので、植物の生育が促進される。
また、全ての開口部に植生を施す必要がなく(例えば5つの開口部につき1つの開口部に植生する)、植生作業がきわめて容易になる。
さらに、車の通行により開口部の植物が傷んでも、隣の開口部から茎や根が這ってくるので、再び植生することなく再生が可能で、車の通行の多いところと少ないところの植物の繁茂の差が少なくなる。
【0011】
溝の幅は2〜5cmが適当で、幅が2cmに満たないと隣の開口部から茎や根が這ってくる効果が少なく、5cmを越えると通行車のタイヤが溝上の茎や根を踏んで植物の生育に支障をきたすおそれがある。
溝の深さは0.5〜2.5cmが適当で、0.5cmに満たないと隣の開口部から茎や根が這ってくる効果が少なく、2.5cmを越える深さは不必要で、ブロックの強度が弱化するおそれもある。
【0012】
本発明で植生する植物は、イワダレソウや芝生など、茎や根が地表又は地表近くを這って増殖するものが好ましいが、特にイワダレソウは好適である。イワダレソウは茎が細長く、基部で枝分かれして地表を這い、節々から根を下ろして盛んに増殖し、地表を密に被覆するので雑草の繁殖も抑制される。さらに芝生のような刈り込み作業もほとんど不要で、耐踏圧性にも優れ、酸性土壌からアルカリ土壌まで適応する。
【実施例】
【0013】
図1は実施例の植生舗装ブロック1の平面図及び断面図で、上段に平面図、下段にそのA−A断面を示している。平面図において、斜線部分は溝を表している(以下同じ)。
植生舗装ブロック1はコンクリート製で、長方形の筒状をなし、中央に表裏貫通する1つの開口部2が形成されている。ブロック1の上面には、開口2部から外部に至る6個の溝3が形成されている。
【0014】
図2は植生舗装ブロック1の敷設パターンの一例である。このように、溝3により、ブロック1を敷設した際の隣り合うブロック1どうしの開口部3の上部空間が連通する。
【0015】
図3は植生舗装ブロック1の敷設パターンの他例である。この場合も、溝3により、ブロック1を敷設した際の隣り合うブロック1どうしの開口部3の上部空間が連通する。
【0016】
図4は図2のB−B断面で、植生が完了した状態を表している。この場合は、土壌6の上にブロックの敷設高さを調整するための調整砂5を敷き、その上に植生舗装ブロック1を図2のパターンで敷設している。ブロック1の開口部2の中には植生基材4を充填し、その植生基材4に植物7(イワダレソウなど)を植生している。植物7は茎7aが溝3を越えて複数の開口部2に這い込み、節々から根7bを植生基材4の中に下ろしている。
【0017】
図5は実施例の植生舗装ブロック10の平面図である。
植生舗装ブロック10はコンクリート製で、八角形状の外周壁10a、正方形状の内周壁10b及び外周壁10aと内周壁10bを接続する接続壁10cにより構成され、内部に5個の表裏貫通する開口部11を有する。ブロック10の上面には多数の溝12〜15が形成されている。溝12はブロック内の開口部と隣のブロックの開口部の上部空間を連通するものである。溝13はブロック内の開口部の上部空間を連通するものである。溝14はブロック内の開口部の上部空間を連通すると共に、ブロック内の開口部と敷設したブロックの間に形成される植生空間16(図6)の上部空間を連通するものである。溝15はブロック内の開口部と隣のブロックの開口部の上部空間を連通すると共にブロック内の開口部と植生空間16(図6)の上部空間を連通するものである。
【0018】
図6は植生舗装ブロック10の敷設パターンの平面図である。
同図に示されるように、4個の植生舗装ブロック10で囲まれた間に正方形の植生空間16が形成される。植生舗装ブロック10は、図4の場合と同様にして土壌の上に敷設し、開口部11及び植生空間16内に植生基材を充填し、その植生基材に植物を植生する。各開口部11と植生空間16の上部空間は溝12〜15で連通しているので、植物の茎又は根は溝12〜15を跨いで隣合う開口部11又は植生空間16に這い込み、増殖する。
【0019】
植生舗装ブロックの材質は、本実施例の場合コンクリート製としたが、陶磁製とするなど、他の種々の材質を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】植生舗装ブロック1の平面図及び断面図である。
【図2】植生舗装ブロック1の敷設パターンの平面図である。
【図3】植生舗装ブロック1の敷設パターンの平面図である。
【図4】図2のB−B断面図(植生状態)である。
【図5】植生舗装ブロック10の平面図である。
【図6】植生舗装ブロック10の敷設パターンの平面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 植生舗装ブロック
2 開口部
3 溝
4 植生基材
5 調整砂
6 土壌
7 植物
10 植生舗装ブロック
11 開口部
12 溝
13 溝
14 溝
15 溝
16 植生空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏貫通する開口部を有し、複数個を連続して敷設し、前記開口部に植生を施す植生舗装ブロックにおいて、上面に前記開口部から外部に至る少なくとも1つの溝を有し、該溝により、ブロックを敷設した際の隣り合うブロックどうしの前記開口部の上部空間が連通することを特徴とする植生舗装ブロック。
【請求項2】
請求項1の植生舗装ブロックにおいて、前記開口部を複数有し、該開口部どうしの上部空間が連通する溝を上面に有することを特徴とする植生舗装ブロック。
【請求項3】
請求項1又は2の植生舗装ブロックにおいて、前記溝の幅が2〜5cm、深さが0.5〜2.5cmである植生舗装ブロック。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの植生舗装ブロック複数個を連続して敷設し、前記開口部に植生基材を充填すると共に、該植生基材に植物を繁茂させることを特徴とする植生舗装構造。
【請求項5】
請求項4の植生舗装構造において、前記植物がイワダレソウであることを特徴とする植生舗装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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