椎体を治療するシステムおよび方法
【課題】椎体を治療するシステムを提供する。
【解決手段】システムは、カニューレ84と、シャフトを通り、シャフトの遠位端部を越えて膨張可能な構造物56を貫通する管状流体運搬部材であって、流体を膨張可能な構造物の遠位領域を通って空洞内へ運搬するように寸法及び形状が決められた、管状流体運搬部材と、膨張可能な構造物を収縮状態から膨張状態へ膨張させ、膨張状態から収縮状態へ戻すように、シャフトに結合される装置と、膨張可能な構造物が膨張状態から収縮状態へ戻されるとき、流体を膨張可能な構造物の遠位領域を通って空洞内へ運搬して空洞内の真空の形成に抵抗するように、管状流体運搬部材に結合される、流体源と、空洞内へ充填材料62を運搬する装置を備えている。
【解決手段】システムは、カニューレ84と、シャフトを通り、シャフトの遠位端部を越えて膨張可能な構造物56を貫通する管状流体運搬部材であって、流体を膨張可能な構造物の遠位領域を通って空洞内へ運搬するように寸法及び形状が決められた、管状流体運搬部材と、膨張可能な構造物を収縮状態から膨張状態へ膨張させ、膨張状態から収縮状態へ戻すように、シャフトに結合される装置と、膨張可能な構造物が膨張状態から収縮状態へ戻されるとき、流体を膨張可能な構造物の遠位領域を通って空洞内へ運搬して空洞内の真空の形成に抵抗するように、管状流体運搬部材に結合される、流体源と、空洞内へ充填材料62を運搬する装置を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、1998年8月14日に出願され、「Systems and Methods for Placing Materials into Bone」と称された同時係属中の米国特許出願第09/134,323号の一部継続である。
【0002】
本発明は、概して、人および他の動物における骨の状態の治療に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に「バルーン」と呼ばれる、膨張可能構造物の海綿骨内への配置は公知である。例えば、米国特許第4,969,888号および第5,108,404号は、骨折、または、人および動物の他の骨粗鬆症状態および非骨粗鬆症状態の骨を固定するために、海綿骨に膨張可能構造物を用いるデバイスおよび方法を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、骨を治療するシステムおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面によれば、システムおよび方法は、脊柱の少なくとも二つの椎体を治療する。システムおよび方法は、脊柱の第一および第二椎体それぞれの内部領域を治療するように動作可能な第一および第二ツールアセンブリを利用する。システムおよび方法は、第一および第二ツールアセンブリを少なくとも一定時間同時に動作させて、第一および第二椎体を治療するための指針を提供する。
【0006】
本発明の別の局面によれば、システムおよび方法は、海綿骨を圧縮するデバイスを用いる。デバイスは、骨に挿入され、海綿骨内で膨張して海綿骨を圧縮するように適応した壁を含む。システムおよび方法は、デバイスが膨張する前または後のいずれかに骨内に挿入される皮質骨充填材を含む。
【0007】
本発明の別の局面によれば、システムおよび方法は、皮質骨を通って海綿骨の中へのアクセス経路を規定する器具導入器を含む。システムおよび方法はまた、海綿骨を貫くように、アクセス経路を通って前進するサイズにされた大きさを有する遠位体を含む。一実施形態において、器具は、アクセス経路より大きな大きさを有し、海綿骨内で選択された深さを越えて遠位体部が貫通することを防ぐ位置を有する近位ストップ(proximal stop)を有する。別の実施形態において、先端領域は鈍い終点を含み、皮質骨を裂くことなく、触知して皮質骨と接触したことを示す。
【0008】
本発明の別の局面によれば、システムおよび方法は、皮質骨を通って海綿骨内へのアクセス経路を規定する器具導入器を用いる。グリッピングデバイスは、外部皮膚表面に位置し、器具導入器と系合して、器具導入器を所望の方向に維持する。
【0009】
本発明の別の局面によれば、システムおよび方法は、折りたたんだ状態で骨内へ挿入され、その後、膨張され、海綿骨内に空洞を形成するように適応されたデバイスを含む。システムおよび方法は、デバイスが折りたたんだ状態に戻り、骨から引き抜かれると、空洞内部に真空を形成しないようにするために、流体輸送経路を用い、ソースから空洞内へ流体を運搬する。
【0010】
本発明の別の局面によれば、システムおよび方法は、骨内へ挿入され、海綿骨内で膨張するように適応されたデバイスを含む。輸送経路は、デバイス内へ膨張媒体を運搬する。膨張媒体は、膨張を可視できるようにするための量の材料を含む。システムおよび方法は、輸送経路と連絡し、デバイス内の膨張媒体内に存在する材料の量を減少させように動作する交換アセンブリを含む。
【0011】
本発明の別の局面は、皮質骨に開口部を形成するシステムおよび方法を提供する。一実施形態において、システムおよび方法は、柔軟なシャフト部を含む支持体を用いる。皮質骨切断要素は、柔軟なシャフト部上に保持される。要素は、力を加えると、皮質体に開口部を形成するように動作する。別の実施形態において、皮質骨切断要素は、骨内に開口部を形成するために支持体上で保持される。膨張可能構造物はまた、支持体上に保持され、開口部を通って挿入され、皮質骨に空洞を形成するように膨張されるように適応されている。
【0012】
本発明の様々な特徴および利点は、以下の説明および図面、ならびに、特許請求の範囲で述べられる。
【0013】
本発明は、本発明の意図、または、必須の特徴から逸脱することなく、様々な形式で具現化され得る。本発明の範囲は、特定の説明ではなくて、上掲の特許請求の範囲において規定される。従って、特許請求の範囲に等価な意味および範囲内に属する全ての実施形態は、特許請求の範囲によって網羅されるものと意図される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、人の脊柱の側面図である。
【図2】図2は、ほぼ図1の線2−2に沿って切り取られた、一部が断面で切断された状態の、人の椎体の代表的な冠状図である。
【図3】図3は、図1に示される脊椎の一部である、一部が断面で切断された状態のいくつかの椎体の側面図である。
【図4】図4は、使用時に海綿骨を圧縮する膨張可能構造物を遠位で保持するツールの平面図である。このツールは、示される構造物は折りたたんだ状態である。
【図5】図5は、図4で示されたツールによって保持される膨張可能構造物の拡大側面図である。
【図6】図6は、図4および図5で示された単一のツールが、折りたたんだ状態で配置された、および、図2で示された椎体の冠状図である。
【図7】図7は、ツールが海綿骨を圧縮し、空洞を形成するように膨張した状態の、図6で示された椎体およびツールの冠状図である。
【図8】図8は、ツールが空洞を形成した後に取り除かれた状態の、図6および図7で示された椎体の冠状図である。
【図9A】図9Aは、空洞が椎体を強化する材料で充填された状態の、図8で示された椎体の冠状図である。
【図9B】図9Bは、椎体内部の空洞を充填する別の方法を示す。
【図9C】図9Cは、空洞が材料で約半分充填された状態の、図9Bの椎体を表す。
【図9D】図9Dは、空洞が実質的に材料で充填された状態の、図9Bの椎体を表す。
【図10】図10は、図4および図5で示された二つのツールが、両側のアクセスを通り、海綿骨を圧縮し、隣接した略対称の空洞を形成するように膨張した状態で配置された、図2で示された椎体の冠状図である。
【図11】図11は、略対称の空洞を形成後、ツールが取り除かれ、空洞が椎体を強化する材料で充填された状態の、図10で示された椎体の冠状図である。
【図12】図12は、略非対称の空洞を形成後、ツールが取り除かれた状態の、図10で示された椎体の冠状図である。
【図13】図13は、図4および図5で示された六つのツールが、各椎体において二つの横方向のアクセスを通って、折りたたんだ状態で配置された、三つ隣接した椎体の前部断面図である。
【図14A】図14Aは、図13で示された椎体のうちの一つの模式的な前部断面図である。この図では、海綿骨を圧縮し、隣接する空洞を形成するために、膨張可能構造物へ段階的に圧力を交互に加える。
【図14B】図14Bは、図13で示された椎体のうちの一つの模式的な前部断面図である。この図では、海綿骨を圧縮し、隣接する空洞を形成するために、膨張可能構造物へ段階的に圧力を交互に加える。
【図14C】図14Cは、図13で示された椎体のうちの一つの模式的な前部断面図である。この図では、海綿骨を圧縮し、隣接する空洞を形成するために、膨張可能構造物へ段階的に圧力を交互に加える。
【図14D】図14Dは、図13で示された椎体のうちの一つの模式的な前部断面図である。この図では、海綿骨を圧縮し、隣接する空洞を形成するために、膨張可能構造物へ段階的に圧力を交互に加える。
【図15A】図15Aは、図14A〜図14Dで示された椎体のうちの一つの模式的な前部断面図である。この図は、椎体を強化するために、材料を隣接する空洞に充填する別のシーケンスを表す。
【図15B】図15Bは、図14A〜図14Dで示された椎体のうちの一つの模式的な前部断面図である。この図は、椎体を強化するために、材料を隣接する空洞に充填する別のシーケンスを表す。
【図16A】図16Aは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16B】図16Bは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16C】図16Cは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16D】図16Dは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16E】図16Eは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16F】図16Fは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16G】図16Gは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16H】図16Hは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16I】図16Iは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図17】図17は、関連する心出しスリーブを有する、半径を減少した密閉器具の分解側断面図である。この器具は、特に椎弓根を通って椎体にアクセスを形成するように配置され得る。
【図18A】図18Aは、椎体へのアクセスを生成するように配置され得るドリルビット器具の側断面図である。ドリルビット器具は、柔軟性のあるシャフトを有し、曲がった末端部を有するカニューレ器具を通って配置される。
【図18B】図18Bは、椎体へのアクセスを生成するように配置され得るドリルビット器具の側面図である。ドリルビット器具は、柔軟性のあるシャフトを有し、曲がった末端部を有するガイドワイヤを越えて配置される。
【図18C】図18Cは、椎体へのアクセスを生成するように配置され得るドリルビット器具の側面図である。ドリルビット器具は、柔軟性のあるシャフトを有し、その遠位端を曲げるステアリングワイヤを含む。
【図19】図19は、椎体の前部皮質壁に裂け目を生成する様態の脊髄針(spinal needle)ツールの配置を示す、椎体の冠状図である。
【図20A】図20Aは、椎体の前部皮質壁の裂け目を防ぐメカニカルストップを有するドリルビット器具の拡大側面図である。
【図20B】図20Bは、椎体の前部皮質壁が裂けることなく、椎体の内部の大きさを測定するように配置され得る、皮質壁プローブの拡大側面図である。
【図21】図21は、配置され、かつ、膨張された膨張可能構造物を有する椎体の冠状図である。その図では、引き続き構造物を収縮させて、除去した際に真空が形成されないように液体が導入される様子を示す。
【図22A】図22Aは、材料を海綿骨に形成された空洞に導入するツールの側面図である。このツールは、全流体抵抗を減少するために階段状の外形を有するノズルを備える。
【図22B】図22Bは、材料を海綿骨に形成された空洞に導入するツールの側面図である。このツールは、全流体抵抗を減少するためにテーパー状の外形を有するノズルを備える。
【図22C】図22Cは、材料を海綿骨に形成された空洞に導入するツールの側面図である。このツールは、全流体抵抗を減少するために内部を縮小した外形を有するノズルを備える。
【図23】図23は、使用前に、様々な器具およびツールを保持するキットの上面図である。これらの道具およびツールは、図16A〜図16Iに一般的に示されるように、単一の椎体に複数のアクセス経路を生成し、海綿骨を圧縮して、材料で充填される空洞を形成するために使用可能である。
【図24A】図24Aは、小さな膨張可能体が、小さな空洞を生成するように針を通って配置され、椎体を強化するために、針を用いて加圧下で充填材を注入し、その空洞を充填し拡大する様子を示す、椎体の冠状図である。椎体の冠状図である。
【図24B】図24Bは、小さな膨張可能体が、小さな空洞を生成するように針を通って配置され、椎体を強化するために、針を用いて加圧下で充填材を注入し、その空洞を充填し拡大する様子を示す、椎体の冠状図である。
【図24C】図24Cは、小さな膨張可能体が、小さな空洞を生成するように針を通って配置され、椎体を強化するために、針を用いて加圧下で充填材を注入し、その空洞を充填し拡大する様子を示す、椎体の冠状図である。
【図25】図25は、カテーテル管の端部において保持される膨張可能体の拡大側断面図である。この膨張可能体は、一体化したドリルビット器具をさらに含む。
【図26A】図26Aは、カニューレ器具のためのロックデバイスの一実施形態の斜視図である。
【図26B】図26Bは、カニューレ器具のためのロックデバイスの別の実施形態の斜視図である。
【図27】図27は、トロカールおよびカニューレ器具を含む複合ツールの斜視図である。
【図28】図28は、トロカールがカニューレ器具から分離された状態の、図27で示された複合器具の斜視図である。
【図29A】図29Aは、手が図27で示されたツールの複合ハンドルと係わった状態の斜視図である。
【図29B】図29Bは、カニューレ器具がトロカールから分離した場合の手がカニューレ器具のハンドルと係わる様子の斜視図である。
【図30】図30は、複合ハンドルを用いて軸方向の力、および/または、ねじり力を加えることによって、図27で示された複合器具が椎体内に配置される様子を示す上面図である。
【図31】図31は、図27に示される複合ツールの一部をなすカニューレ器具を通ってドリルビットが配置される様子を示す、椎体の上面図である。
【図32】図32は、構造物内の放射性不透過性媒体を部分的に放射線不透過性の媒体、または、放射線透過性の媒体で置き換える、および/または、薄めるための交換チャンバーを表す。
【図33】図33は、本発明の特徴を具現化する、カニューレおよび材料導入デバイスの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書は、膨張可能体を用いて骨を治療する新規なシステムおよび方法を説明する。骨を治療するために膨張可能体を用いることは、概して、米国特許第4,969,888号、および、第5,108,404号で開示されている。これらは、本明細書中で参考として援用される。この点における改善は、1994年1月26日に出願された米国特許出願第08/188,224号、1995年6月7日に出願された米国特許出願第08/485,394号、1996年6月5日に出願された米国特許出願第08/659,678号で開示されている。同出願のそれぞれを、本明細書中で参考として援用する。
【0016】
新規なシステムおよび方法は、椎体の治療に関して説明される。しかし、そのように説明されるシステムおよび方法が、椎骨への応用に制限されないことは、理解されるべきである。システムおよび方法は、橈骨、上腕骨、大体骨、脛骨、または、踵骨(これらに限定されない)のような骨を含む様々な種類の骨の治療に適応可能である。
【0017】
(I.椎体)
図1に示すように、脊柱10は、脊椎骨12、仙骨14、および、尾てい骨16(または、尾骨と呼ばれる)と呼ばれる多くの固有な形状を有する骨を含む。脊柱10を構成する脊椎骨12の数は、動物の種類に依存する。(図1に示す)人には、7個の頚椎18、12個の胸椎20、および、5個の腰椎22を含む24個の脊椎骨12がある。
【0018】
図1に示すように、側面から見ると、脊柱10は、S型カーブを形成している。カーブは、重い頭を支える機能を果たす。四つ足動物では、背骨のカーブはより単純である。
【0019】
図1〜図3に示すように、各脊椎骨12は、椎体26を含む。椎体26は、脊椎骨12の前(すなわち、正面または胸)側へ広がっている。図1〜図3に示すように、椎体26は、楕円の円板形状である。図2および図3が示すように、椎体26は、緻密な皮質骨28で形成された外部を含む。皮質骨28は、網目の海綿状、または、スポンジ状の骨32(髄様骨、または、小柱状骨(trabecular bone)とも呼ばれる)から成る内部容積30を取り囲む。椎間板34と呼ばれる「クッション」は、椎体26の間に位置する。
【0020】
脊椎孔36と呼ばれる開口部は、各脊椎骨12の後部(すなわち、背)側に位置している。脊髄神経節39は、脊椎骨36を通る。脊髄38は脊柱管37を通る。
【0021】
椎弓40は、脊柱管37を取り囲む。椎弓40の椎弓根42は、椎体26に隣接する。棘突起44は、左右横突起46と同じように、椎弓40の後部から延びる。
【0022】
(II.脊柱本体の治療)
(A.横方向のアクセス)
脊柱本体へのアクセスは、脊柱本体内の標的となる位置、介在する解剖学的構造物、および処置の所望される複雑さに依存して、多くの異なる方向から達成され得る。例えば、アクセスは、椎弓根42を通して(椎弓根を貫通して)、椎弓根の外側から(椎弓根の範囲外から)、脊柱本体のいずれかの側部に沿って(後部横方向から)、横方向または前側から、取得され得る。さらに、このようなアプローチは、閉じた、最小限に侵襲性の処置または開かれた手順に用いられ得る。
【0023】
図4は、収縮可能な本体を用いている脊柱本体の圧縮破断または崩壊を予防または治療するためのツール48を示している。
【0024】
ツール48は、近位端部52および遠位端部54をそれぞれ有するカテーテル管50を含んでいる。遠位端部54は、収縮可能な外面壁58を有する構造物56を備えている。図4は、収縮されたジオメトリの壁58を有する構造物56を示している。図5は、収縮されたジオメトリの構造物56を示している。
【0025】
折りたたまれたジオメトリは、図6に示すように、標的となる脊柱本体26の内部容積30への構造物56の挿入を可能とする。構造物56は、種々の方法で内部容積30に導入され得る。図6は、単一の横方向のアクセスを通した構造物56の挿入を示しており、脊柱本体12の横側を通って延びている。
【0026】
横方向のアクセスは、例えば、圧縮破断が椎弓根42の水平面より下で脊柱本体26を崩壊させる場合、または、医者の好みに基づく他の理由に指示される。横方向のアクセスは、閉じた最小限の侵襲性の処置または開いた処置のいずれかで実行され得る。当然、この技術において既知である介在する解剖学的構造物に依存して、横方向のアクセスは、脊髄の全レベルでの脊柱の治療のために最善のアクセスパスでないかもしれない。
【0027】
カテーテル管50は、内腔80を含んでいる(図4参照)。管腔80は、カテーテル管50の近位端部において加圧された流体ソース、例えば、塩水に結合されている。流体を含むシリンジは、圧力ソースを構成し得る。管腔80は、圧力下で流体を構造物56に運搬する。その結果、壁56は、図5および7に示すように収縮する。
【0028】
流体は、好ましくは、構造物56に入った際に視覚化を容易にするために、放射線不透過性とされる。例えば、Renograffin(R)が、この目的のために用いられ得る。流体が放射線不透過であるため、構造物56の収縮がX線透視法またはCT視覚化のもとでモニタされ得る。リアルタイムMRIを用いて、構造物56が、放射線不透過の材料なしで、滅菌水、塩水溶液、または糖溶液で充填され得る。所望であれば、他の種類の視覚化が、相溶性の参照マーカを搬送するツール48と共に用いられ得る。代替として、構造物は、放射線不透過の材料を構造物の材料内に組み込み得、または、構造物は、放射線不透過の材料で着色または「付着」され得る。
【0029】
壁58の収縮は、構造物56を増大させ、内部容積30内の海綿状の骨32を望ましいように引き締め(図7参照)、および/または皮質骨の望ましい配置を引き起こす。海綿状の骨32の引き締めは、空洞60を脊柱本体26の内部容積30内に形成する(図8参照)。後に記載されるように、充填材62は、引き締められた海綿状の骨32が形成する空洞60に安全に、且つ、容易に導入され得る。一つの実施形態において、構造物56の収縮は、実質的に空洞60を取り囲む引き締められた海綿状の骨の領域を望ましく形成する。この領域は、充填材62の漏出を制限するバリアを脊柱本体26の外側に望ましいように含む。代替の実施形態において、構造物56の収縮は、海綿状の骨32を、皮質骨に存在し得る小さい破断に望ましく押圧し、これにより、皮質壁を通って出る充填材62の可能性を低減する。他の代替の実施形態において、構造物56の収縮は、皮質壁(例えば、脊椎中心底の血管)を通過する脊柱本体内の血管を望ましく平坦化し、その結果、充填材62が脊柱本体の外側に、皮質壁の静脈構造物を通って遊出する機会を少なくする。代替として、構造物56の収縮は、皮質骨のより密度が低く、および/または弱い領域を圧縮し、残りの皮質骨の平均密度および/または全体の強度を望ましく増加する。
【0030】
構造物56による皮質骨の引き締めは、さらに、内部の力を皮質骨にはたらかせ得る。代替として、構造物56は、構造物の収縮および/または操作が皮質骨の配置を引き起こすように、直接、皮質骨に接触し得る。脊柱本体26内の構造物56の収縮は、これにより、破壊され且つ圧縮された骨を、元の破壊される前の位置に戻すまたはその位置の近くに高めることまたは押すことを可能にする。
【0031】
構造物56は、好ましくは、脊柱本体26の内側である程度凝固することができるように、適切な待ち周期の間、例えば、3〜5分間脊柱本体26内で膨張されたままにされる。適切な待ち周期の後、医者は、図8が示すように、構造物56を破壊し取り除く。構造物56の除去の際、形成された空洞60は、内部容積30内に残される。
【0032】
図9B、9C、および9Dが示すように、医者は、次に、(後に詳細に記載されるように)適切なノズル114を用いて、形成された空洞60に充填材62を導入する。充填材62(図9Aは空洞60への導入の後を示す)は、空洞60内のねじれ力、張力、せん断および/または圧縮力に抵抗する材料を備え得、これにより、皮質骨28のための一新された内部構造物支持を提供する。例えば、材料62は、骨セメント、同種移植片組織、自家移植片組織、またはヒドロキシアパタイト、合成骨代用物等の流動可能な材料を備え得、これは、空洞60に導入され、および、いずれ、徐々に固くなる条件に設置される。材料62は、さらに、ゴム、ポリウレタン、シアノアクリレート、またはシリコンゴム等の圧縮抵抗材料を含み得、これは、空洞60に挿入される。材料62は、さらに、半固体のスラリー材料(例えば、塩水塩内の骨スラリー)を含み得、これは、空洞60内に配置される多孔骨組構造物内に含まれるか、または、空洞60内の圧縮力に抵抗するために、空洞60内に、直接、注入される。代替として、材料62は、ステント、強化バー(Re−Bar)または他の種類の内部指示構造物を含み得、これは、骨および/または充填材上に作用する圧縮、張力、ねじれおよび/またはせん断力に望ましく抵抗する。
【0033】
充填材62は、さらに、上述のように、薬物、または薬物および圧縮抵抗材料の組み合わせを含み得る。
【0034】
代替として、充填材62は、空洞内の圧縮、張力、ねじれおよび/またはせん断力に耐える骨充填材を含み得る。例えば、患者が手術の直後に脊柱内の重大な力を経験することを予想されない場合、例えば、患者がベッドで休息するように拘束される、または、添木(brace)を装着する場合、充填材62は、直ちに負荷を負うことができる必要がない。逆に、充填材62は、骨の成長のための骨組を提供し得、または、骨の成長を容易にするまたは促進する材料を含み得、骨が時間周期を経て修復することを許容する。別の代替として、充填材は、骨粗鬆症、癌、退行性の椎間板病、心臓病、後天性免疫不全症候群(AIDS)または糖尿病を含む(ただし、これらに限定されない)、種々の骨または非骨関連の疾患の治療のために有機または無機材料の再吸収可能または部分的に再吸収可能なソースを含み得る。このようにして、空洞および/または充填材は、治療された骨の外側に位置する疾患の治療のための材料のソースを含み得る。
【0035】
代替の実施形態では、収縮に続いて、収縮可能な構造物56は、空洞60に取り残され得る。この構成では、流動可能な充填材62は、構造物56に運搬され、この構造物56は、材料62を含むのに役立つ。構造物56は、材料62で充填され、皮質骨28のために一新された内部構造物支持機能を提供するのに役立つ。
【0036】
この実施形態では、構造物56は、不活性な、耐久性の、非分解性の樹脂材料、例えば、ポリエチレンおよび他のポリマーから形成され得る。代替として、構造物56は、不活性な、生物吸収可能な材料から形成され得、この材料は、体による吸収または除去のための時間を経て分解する。
【0037】
この実施形態では、充填材62そのものは、構造物56のための収縮媒体として機能し得、海綿状の骨を引き締め、空洞60を形成し、これにより、引き締めおよび内部支持機能の双方を行う。代替として、構造物56は、最初に、海綿状の骨を引き締め、空洞60を形成するために、他の媒体と共に収縮され得、充填材62は、内部支持機能を提供するために収縮媒体が構造物56から取り除かれた後に、実質的に導入され得る。別の代替として、充填材は、取り付け可能なポリマーまたはアルギン酸カルシウムを含む(ただしこれらに限定されない)、二つの部分の材料を含み得る。所望の場合、充填材の一方の部分が収縮媒体として用いられ得、他方の部分が所望の空洞が達成された後に付加され得る。
【0038】
構造物56は、さらに、浸水性の、半浸水性の、または多孔性の材料から形成され得、これは、充填材62内に含まれる薬物の海綿状の骨との接触部への構造物56の壁を介しての輸送を許容する。所望の場合、材料は、材料を通じた浸透性および/または粒子輸送を許容する膜を含み得、または、材料は、薬物が材料を通じて吸収され、および/または拡散することを許容する材料を含み得る。代替として、薬物は、多孔性の壁の材料を通じて、構造物56の壁にわたる圧力差を形成することによって輸送され得る。
【0039】
別の代替として、患者の体からの流体、細胞および/または他の物質は、流体/細胞の分析、身体の内の成長、骨髄の摘出、および/または遺伝子治療(遺伝子交換治療を含む)を含む(ただし、これらに限定されない)、種々の目的のために材料を通って構造物に通過し得、および/または引き出され得る。
【0040】
(B.双方向性アクセス)
図10および図11に示すように、実質的にすべての内部容積を占有するほど拡大した空洞64は、椎体26の対向する横の側部に作られた2つの横方向の別々のアクセスPLA1およびPLA2を通る複数の膨張可能な構造物56Aおよび56Bの展開により形成され得る。図10において、膨張可能な構造物56Aおよび56Bは、カテーテル管50Aおよび50Bの遠位端(これらは別々であり、共に結合しない)で別々のツール48Aおよび48Bにより搬送される。
【0041】
複数の膨張可能な構造物56Aおよび56Bの膨張により、2つの空洞部分64Aおよび64Bが形成される(図11に示される)。空洞部分64Aおよび64Bは、海綿質32内で横方向に間隔が空けられている。この横方向に間隔が空けられた空洞部分64Aおよび64Bは、好ましくは隣接して、一つの合わせた空洞64を形成する(図11に示される)。この空洞64中には、充填材が注入される。
【0042】
代替的(図示せず)には、横方向に間隔が空けられた空洞部分64Aおよび64Bは、海綿質の領域で分離されたままであり得る。充填材が、それぞれの空洞部分64Aおよび64Bにさらに注入される。
【0043】
図10は、実質的に膨張された場合に、一般に同じ容積および形状を有する構造物56Aおよび56Bを示す。この構成は、海綿質32を緻密化するための対称的な構成を提供する。ほぼ対称に拡大した空洞64(図11に示す)が生じる。
【0044】
代替的には、構造物56Aおよび56Bは、実質的に膨張された場合に、異なる容積および/または形状を有し、それにより海綿質32を緻密化するための非対称的な構成が提供される。ほぼ非対称な空洞66(例えば、図12に示す)が生じる。
【0045】
構造物56Aおよび56Bのサイズおよび形状の選択(対称か非対称か)は、目標の皮質骨28のサイズおよび形状ならびに隣接する内部の解剖学的構造物に依存するか、あるいは海綿質32に形成されることが望ましい空洞64または66のサイズおよび形状による。複数の膨張可能な構造物56Aおよび56Bの展開により、すべてのタイプの骨の多様で複雑な形状を有する空洞64または66を形成することが可能になることが認識され得る。
【0046】
一つの椎体の圧縮破壊または崩壊は、隣接する椎体(単数または複数)の圧縮破壊または崩壊と組み合わせて発生し得る。例えば、1つの椎体の故障は、隣接する椎体の負荷を変化させ得るか、あるいは隣接する椎体の不均一な負荷をもたらし、さらに1つ以上の隣接する椎体の故障となり得る。1つの椎体を弱化させるおよび/または破壊を引き起こすファクタは、しばしば脊柱内の他の椎体を弱化させるおよび/または影響を与えるので、これらの隣接する椎体は、破壊および/または崩壊を受け易い。同様に、一つの椎体の圧縮破壊の処置は、隣接する椎体の負荷を変更し、おそらく隣接する1つ以上の椎体の故障につながり得る。それゆえ、1回の手順の間の2つ以上の椎体の処置が示され得る。
【0047】
図13は、それぞれ双方向性アクセスを有する、3つの隣接する椎体26A、26B、および26Cを処置する手順を示す。図示されるように、複数の双方向性手順は、6つの膨張可能な構造物56(1)〜56(6)(各椎体26A、26B、および26C中に2つある)の展開を必然的に伴う。図13に示すように、膨張可能な構造物56(1)および56(2)は、椎体26A中で双方向に展開される。膨張可能な構造物56(3)および56(4)は、椎体26B中で双方向に展開される。膨張可能な構造物56(5)および56(6)は、椎体26C中で双方向に展開される。
【0048】
複数の膨張可能な構造物を用いて(例えば、双方向性アクセスまたは他のタイプのアクセスを用いて)海綿質中に形成された所定の空洞64の容積は、展開された複数の膨張可能な構造物の膨張を変更することで最適化され得る。例えば、例示の実施形態では、各椎体において、1つの膨張可能な構造物56(1)がまず膨張し、続いて他の膨張可能な構造物56(2)が膨張する。
【0049】
最初に、所定の構造物56(1)〜56(6)を膨張させるために圧力が付与されると、海綿質が緻密になり、および/または皮質骨が変位し始める。構造物56(1)〜56(6)内の圧力が典型的に減衰する期間が続き、このとき海綿質は緩和し、さらに緻密になり、そして/または皮質骨がさらに変位される。1つの構造物における圧力減衰はまた、典型的には椎体内の他の膨張可能な構造物が膨張されたときに発生する。圧力が構造物56(1)〜56(6)に再び回復すると、さらなる海綿質の緻密化および/または皮質骨の変位が一般に生じる。次いで、構造物56(1)〜56(6)における圧力のさらなる減衰が通常続く。圧力の減衰は、海綿質が緻密化されて所望の量になり、および/または皮質骨が所望の位置に変位されるまで、一般に圧力の付与に続く。
【0050】
従って、最適な空洞の形成は、それぞれの膨張可能な構造物56(1)〜56(6)が連続的な段階的な様式で膨張することが可能となる場合に発生する。各構造物中の圧力が、さらに圧力を導入する前に減衰することを可能にすることにより、各構造物内で経験するピーク内部圧力が低減され、それにより構造物の故障の可能性が少なくなる。図14A〜図14Dは、椎体26A中で双方向に展開したとき、所定の対の膨張可能な構造物(例えば、56(1)および56(2))に圧力を付与する段階的手順をより詳細に示す。圧力の段階的付与はまた、1つの膨張可能な構造物が展開される場合、または横方向の様式以外で1つ以上の膨張可能な構造物が展開される場合(例えば、トランスペディキュラ(transpedicular)、エクストラペディキュラ(extrapedicular)、または前方アクセスを用いる)に用いられ得る。
【0051】
非応従性(non−compliant)の材料を導入する膨張可能な構造物が本発明の種々の目的を達成するために同様の方法で使用され得ることがまた理解されるべきである。例えば、膨張可能な構造物が非応従性の材料を含む場合、このような構造物は、先に記載された様式において海綿質内で膨張されて、海綿質を圧縮し、空洞を形成し、および/または皮質骨を変位させる。海綿質および/または皮質骨の密度および強度に応じて、この構造物への記載したさらなる圧力の付与は、容積成長および圧力減衰の同様のサイクルとなる。構造物の最大能力および/または形状に達すると、さらなる圧力を導入しても、通常構造物の容積膨張はほとんど生じない。
【0052】
図14Aにおいて、膨張可能な構造物56(1)および56(2)は、椎体26A中で別々の横方向のアクセスで個々に展開される。膨張可能な構造物56(3)/56(4)および56(5)/56(6)は、同様に、それぞれの椎体26Bおよび26C中で別々の横方向のアクセスで個々に展開される(図13に示す)。これらの横方向のアクセスを達成するための代表的な器具は、以下に記載する。
【0053】
膨張可能な構造物56(1)〜56(6)が展開されると、医者は、各椎体26A,26B、および26C中の1つの膨張可能な構造物(例えば、56(1)、56(3)、および56(5))に連続的に圧力を付与する。図14Aは、構造物56(1)に対する最初の圧力付与を示す。代替的には、医者は1つの椎体中の膨張可能な構造物を減衰させ、本明細書中に記載した構造物を膨張させ、次いで別の椎体内の膨張可能な構造物を減衰および膨張させる。別の代替例として、医者は1つの椎体中の膨張可能な構造物を減衰させ、本明細書中に記載した構造物を膨張させ、その椎体内の空洞を充填し、次いで別の椎体内の膨張可能な構造物を減衰および膨張させる。
【0054】
構造物56(1)、56(3)、および56(5)中の圧力は、各椎体26A,26B、および26Cが緩和すると経時的に減衰し、さらに圧縮し、および/または皮質骨は膨張した構造物56(1)、56(3)、および56(5)のそれぞれの存在下で変位する。構造物56(1)、56(3)、および56(5)中で圧力が減衰すると、医者は、同じ椎体26A,26B、および26Cそれぞれにおける他方の膨張可能な構造物56(2)、56(4)、および56(6)への圧力の連続的付与を進める。図14Bは、構造物56(1)中の圧力が減衰した場合の構造物56(2)への圧力の付与を示す。
【0055】
各構造物56(2)、56(4)、および56(6)中の圧力は同様に経時的に減衰し、このとき各椎体26A,26B、および26C中の海綿質は膨張した構造物56(2)、56(4)、および56(6)のそれぞれの存在下で圧縮される。構造物56(2)、56(4)、および56(6)中の圧力が減衰すると、医者は、椎体26A、26B、および26Cそれぞれにおける他方の膨張可能な構造物56(1)、56(3)、および56(5)へのさらなる圧力の連続的付与を進める。これらの構造物56(1)、56(3)、および56(5)におけるさらなる圧力の導入により、圧力の最初の付与の結果として形成された空洞部分の容積をさらに大きくする。図14Cは、構造物56(2)中の圧力が減衰した場合の構造物56(1)へのさらなる圧力の導入を示す。
【0056】
圧力は、一旦付与されると、通常は各構造物56(1)/56(2)、56(3)/56(4)、および56(5)/56(6)中で減衰し続け、海綿質が緩和すると緻密化し続け、および/または皮質骨が変位される。圧力が連続的に付与され、そして減衰することが可能になると、所望の空洞容積が各椎体26A、26B、および26Cにおいて達成されるまで、および/または皮質骨の所望の変位が達成されるまで、空洞部分の容積はさらに連続的に拡大する。
【0057】
これは、構造物26(1)/26(3)/26(5)へ最初に連続して、次に各椎体26A、26B、および26Cの所望の終了点が達成されるまで3つの椎体26A、26B、および26Cにおける構造物26(2)/26(4)/26(6)へ連続的に、圧力の交互の段階的付与を考慮する。1つの実施形態では、所望の空洞容積は、海綿質が周りの皮質骨に対して均一に、硬く緻密化される場合に達成される。代替の実施形態では、所望の空洞容積は、さらなる圧力の導入の後に顕著な圧力減衰がもはや発生しない場合(例えば、実質的にすべての海綿質が圧縮される場合、および/または皮質骨がこれ以上変位しない場合)に達成される。
【0058】
海綿質の緻密化は、変化するファクタ(骨密度における局所的変動を含む)に起因して不均一になり得る。さらに、皮質骨の所望の変位は、単独か海綿質の緻密化と組み合わせてのいずれかで、同様に達成することができる。皮質骨を変位するために複数の構造物を利用することにより、最大量の力がより大きな表面領域にわたって皮質骨に付与され、それにより皮質骨の変位の可能性を最大化し、同時に構造物(単数または複数)および/または海綿質との接触からの皮質骨へのダメージを最小化する。
【0059】
各空洞64についての所望の容量および/または各椎体26A、26B、および26C中の皮質骨の所望の変位が達成されると、医者は選択した充填材62をそれぞれ形成された空洞64に運搬するタスクを開始する。空洞64は、基本的に任意の順番で充填材62が充填され得る。そして、すべての膨張可能な構造物は、充填材を所定の空洞に運搬する前にすべての空洞64を形成するために膨張される必要があるわけではない。
【0060】
1つの実施形態では、充填材は各椎体26A、26B、および26Cの空洞部分64Aおよび64Bに交互のステップで運搬される。この技術では、膨張可能な構造物56(2)、56(4)、および56(6)により形成される空洞堆積64Bが連続で充填される前に、膨張可能な構造物56(1)、56(3)、および56(5)により形成される空洞堆積64Aが連続で充填される。
【0061】
図15Aおよび図15Bは、椎骨体26Aに対する充填順序の本実施形態を示す。椎骨体26Bおよび26Cは同様な態様で充填される。椎骨体26Aでは、膨張可能な構造物56(1)が収縮されそして除去される。次いで充填材62は、対応する空洞部分64Aに運搬される。次に、椎骨体26Bでは、膨張可能な構造物56(3)が収縮されそして除去され、充填材62が対応する空洞部分64Aに運搬される。次に、椎骨体26Cでは、膨張可能な構造物56(5)が収縮されそして除去され、充填材62が対応する空洞部分64Aに運搬される。膨張可能な構造物56(2)、56(4)、および56(6)は、充填プロセスのこの部分については、各椎骨体26A、26Bおよび26C内部で膨張されたままである。
【0062】
医者は椎骨体26A、26B、および26Cに運搬された充填材62が硬化するまで待つ。次いで、椎骨体26Aについて15Aに示されるように、膨張可能な構造物56(2)が収縮されそして除去される。充填材62は、対応する空洞部分64Bに運搬される。次に、椎骨体26Bでは、膨張可能な構造物56(4)が収縮されそして除去され、充填材62が対応する空洞部分64Bに運搬される。最後に、椎骨体26Cでは、膨張可能な構造物56(6)が収縮されそして除去され、充填材62が対応する空洞部分64Bに運搬される。上述の順序は、充填材62が複数の空洞64を充填するように混合および迅速に分配されることを可能にする。
【0063】
ある代替的な実施形態では、代替の工程において、次の椎骨体を充填する前に各椎骨体の空洞部分に運搬される。この技術では、膨張可能な構造物56(1)は、椎骨体から除去され、充填材は対応する部分64Aに運搬される。次いで、膨張可能な構造物56(2)は椎骨体から除去され、充填材は、対応する空洞部分64Bに運搬される。所望ならば、膨張可能な構造物56(2)が椎骨体から除去される前に、充填材はある程度硬化することが可能にされ得る。次いでこのプロセスは、処置されるべき残存する椎骨体に対して繰り返される。この実施形態では、椎骨体がこの充填プロセスの間、充填材および/または膨張可能な構造物によって望ましくは実質的に支持され、これによって、充填操作の間、空洞が崩壊する機会および/または望ましくない方向にずれる皮質骨を低減および/または除去する。
【0064】
(III.両側アクセスを確立するための機具)
典型的な両側手順の間、患者を手術台に横たえ得る。医者の好みに応じて、患者を手術台の上にうつ伏せ、横向き、斜め向きに横たえ得る。
【0065】
(A.複数のアクセスの確立)
(1.携帯型器具の使用)
各アクセス(図16A参照)について、医者は脊髄針アセンブリ70を患者の背中の軟組織STに導入する。放射線医学モニタリングまたはCTモニタリングにおいて、医者は、脊髄針アセンブリ70を、軟組織を貫通して目標の椎骨体26に向かって前進させる。また医者は定位装置を使用して、処置の間、脊髄針アセンブリ70および以後のツールの前進をガイドする。この構成では、定位ガイドのための基準プローブが軟組織を貫通して挿入され、目標の椎骨体の表面に埋め込まれ得る。また全体の処置は、非鉄材料(例えば本明細書中で参考として援用する米国特許第5,782,764号および米国特許第5,744,958号に開示されるようなプラスチックまたは繊維複合体)から作製されるツールおよびタグを使用してモニタリングされ得る。このツールおよびタグはコンピュータによって膨張された全室MRI環境において使用するのに適している。
【0066】
典型的には、医者は、アセンブリ70によって、例えばリドカインのような局所麻酔を投与する。いくつかの場合では、医者は他の形態の麻酔を選択し得る。
【0067】
医者は、椎骨体26の側面を貫通して、皮質骨28および海綿質32に侵入するように脊髄針アセンブリ70を位置合わせする。好ましくは、貫通の深さは、椎骨体26の約60%〜95%である。
【0068】
医者はスタイラス72を保持し、脊髄針アセンブリ70のスタイレット74を引っ張る。次いで図16Bに示されるように、医者は、ガイドピン器具76を、スタイラス72を貫通して海綿質32にスライドさせる。ここで、医者はスタイラス72を除去し、ガイドピン器具76を海綿質32内部に残す。
【0069】
次に図16Cに示されるように、医者は、ガイドピン器具76にわたって、まず遠位端から閉塞器具78をスライドさせる。医者は閉塞器具78をハンドル80に接続させることによって閉塞器具78の操作を容易にする。
【0070】
医者は患者の背中に小さな切開部を作る。医者は長手方向の力をハンドル80に付与しながらハンドル80をねじる。これに応じて、閉塞器具78が回転し、切開部を介して軟組織を貫通する。また医者は、ハンドル80を徐々に叩くかまたは適切なさらなる長手方向の力をハンドル80に付与して、ガイドピン器具76に沿って軟組織を貫通して皮質骨の全部位に閉塞器具78を前進させる。また医者は、適切なストライクツールを用いてハンドル80を叩き、閉塞器具78を椎骨体26に前進させて、その位置を確定し得る。
【0071】
図16Cに示される閉塞器具78は、概して横方向のアクセスを確立するのに適した外径を有する。しかし、椎骨体26のより狭い領域(例えば茎42)を貫通させることが望まれる場合(トランス柄方向(transpedicular)アクセスと呼ばれる)、閉塞器具78の外径は低減され得る(図17に示される)。図17における閉塞器具78の低減された外径を、茎42の損傷または破壊に抗して調整(mediate)する。図17における閉塞器具78の低減された直径は、皮質骨28に抗してその閉塞器具の位置を確定するために有用な尖った先端82を備える。開示された方法およびデバイスが様々な結果を有する柄方向、外部柄方向、後外側、および前方アプローチ等の他のアプローチ経路と共に使用するために十分に適することが理解される。
【0072】
次いで、医者は閉塞器具78からハンドル80を離すようにスライドさせガイドピン器具76、そしてさらに閉塞器具84にわたってカニューレ器具84をスライドさせる。所望ならば、また医者はハンドル80とカニューレ器具84とを結合させて、閉塞器具78にわたって軟組織STを貫通してカニューレ器具84を回転かつ前進させる適切なねじれ力および長手方向の力を付与し得る。カニューレ器具84を皮質骨28に接触させる場合、医者は打撃具を用いてハンドル80を適切に叩き、末端表面を椎骨体26の側面に前進させその位置を確定し得る。
【0073】
図17に示すように、低減された直径の閉塞器具78が使用される場合、カニューレ器具84の処置部位への通過の間、カニューレ器具84が除去可能な内部スリーブ86(図17にまた示される)を送達して、カニューレ器具84を低減された直径の閉塞器具78の周りに集中させ得る。
【0074】
ここで、医者は閉塞器具78を引っ張り、それをガイドピン器具76からスライドさせ、ガイドピン器具76およびカニューレ器具84をその位置のままにする。低減された直径の閉塞器具78が使用される場合、医者は内部中心化スリーブ86を除去し得る。
【0075】
図16Dに示されるように、ドリルビット器具88の機械加工された刃先または切刃90と皮質骨28との間の接触が発生するまで、医者は、カニューレ器具84を介して、まず遠位端にあるガイドピン器具76にわたってドリルビット器具88をスライドさせる。次いで医者は、ドリルビット器具88とハンドル80とを結合させる。
【0076】
X線(または別の外部視覚化システム)によってガイドされると、医者は適切なねじれ力および長手方向の力をハンドル80に付与し、ドリルビット器具88の機械加工された刃先90を回転かつ前進させて、皮質骨28を貫通して海綿質32への横方向の通路PLAを開く。穿孔された通路PLAは、好ましくは、椎骨体26を横切る通路の95%よりも大きく延びている。
【0077】
図18Aに示すように、ドリルビット器具88は、この操作を支援する可撓性シャフト部92を備える。可撓性シャフト部92は、器具88の切刃90が器具88の軸に対して湾曲することを可能にする。また図18Aに示すように、カニューレ器具84は、所望ならば、その遠位末端においてデフレクタ構成要素94を備え、所望のドリル軸に沿って可撓性シャフト部分92を湾曲させ、所望のドリル軸に沿って切刃90をガイドする。望ましくは、このようなフレキシブルな実施形態では、ドリルビット器具88は、回転切断力を骨に伝達する十分なねじれ剛性を有するように、可撓性プラスチック材料(例えばポリウレタン、あるいは、プラスチック材料に封入された可撓性金属材料またはプラスチック材料に包囲された可撓性金属材料)から作製される。
【0078】
あるいは、図18Bに示されるように、ドリルビット器具88は、ガイドワイヤ182の通路に適応するように内腔180を備えてもよい。この配置では、可撓性シャフト部分92は、ガイドワイヤ182によって提示された経路に一致する。例えば、ガイドワイヤ182が予め曲げられて、ガイドワイヤ182が椎骨体に侵入した後、切刃90の経路を変更させる。あるいは、ガイドワイヤは、形状記憶金属、形状記憶合金(ニッケル−チタン合金、銅または鉄系の合金等を含む)から作製され得、あるいは、自己操作ガイドカテーテルを含み得る。
【0079】
さらに代替的には、図18Cに示すように、ドリルビット器具88自体が内部操作ワイヤ184を送達し得る。操作ワイヤ184は、医者によって外部アクチュエータ186を用いて操作され、ガイドワイヤおよび/またはカニューレ器具84の支援なしで、切刃を有する可撓性シャフト部92を曲げる。
【0080】
椎骨体の軸に関して対称ではない海綿質内部の空洞の形成に関するさらなる詳細が、「Expandable Asymmetric Structures for Deployment in Interior Body Regions」と題された米国特許第5,972,018号に見出され得る。本出願を本明細書中で参考として援用する。
【0081】
一旦、海綿質32中の通路PLAが形成されると、図16Eに示されるように、医者は、カニューレ器具84のみそのままでドリルビット器具88およびガイドピン器具76を除去する。ドリルビット器具88によって作製された通路PLAが残る。海綿質32への皮下の横方向アクセスが達成されてきた。
【0082】
必要に応じて、医者は上述の一連の工程を繰り返して、所望の各アクセスを形成する。図13に示されるように6つのアクセスが実施される。
【0083】
(2.複合携帯型器具の使用)
携帯型器具の他の形態が使用されてアクセスを提供し得る。
【0084】
例えば、図27および図28は、この目的のために使用され得る複合器具310を示す。複合器具310は、トロカール器具320およびカニューレ器具340を含む。また複合器具310は、第1のハンドル322および第2のハンドル342を備える複合ハンドル312を備える。複合ハンドル312は複合器具310を操作する際に医者を支援する。さらに、図29Aおよび図29Bに示されるように、使用の際、医者はまた、第1のハンドル322を使用してトロカール器具320を独立して操作するか、または第2のハンドル342を使用してカニューレ器具340を独立して操作する。
【0085】
トロカール器具320は、貫通表面334を提示するように、テーパー状の遠位端を有するトロカール330を含む。使用の際、貫通表面334は、第1のハンドル322または複合ハンドル312において、医者によって付与される押圧力および/またはねじれ力に応じて、軟組織および/または骨を貫通するように意図される。カニューレ器具340は、前述したカニューレ器具84の機能を実行するばかりではなく、ハンドル322と係合して複合ハンドル312を形成するハンドル342を備える。この実施形態では、カニューレ器具84は、望ましくはトロカール330よりも直径が幾分大きいが、これと同じではない。カニューレ器具84は、トロカール330を受け入れるような大きさの内腔344を備える。望ましくは、内腔344の大きさは、カニューレ器具84がトロカール330に対してスライドおよび/または回転することを可能にし、そして内腔344の大きさは、トロカール330がカニューレ器具84に対してスライドおよび/または回転することを可能にする。カニューレ器具84の遠位端354は、望ましくは低プロファイルの表面を示す末端表面360を示し、遠位端354は、複合ハンドル312または第2のハンドル342において付与された押圧力および/またはねじれ力に応じて、トロカール330に囲まれた軟組織を貫通し得る。
【0086】
使用の際、図30に示されるように、医者は、トロカール330およびカニューレ器具84が目標の椎骨の皮質骨および海綿質を貫通するように、複合器具310を方向付ける。所望ならば、医者は、ハンドル312に長手方向の力を付与しながら複合ハンドル312をねじり得る。これに応じて、トロカール330の末端表面334の貫通およびカニューレ器具84の末端表面は、軟組織および/または骨を回転および貫通させる。
【0087】
皮質骨を通過する海綿質への貫通が複合器具310の手動による前進によって達成不可能な場合、医者は手術用ハンマー(図示せず)のような平滑化器具を用いて複合ハンドル312上の打撃板314を徐々に叩くことによって、あるいは適切なさらなる長手方向の力を複合ハンドル312に付与することによって貫通を継続し、トロカール330の遠位端334およびカニューレ器具84の末端表面を前進させ得る。
【0088】
所望ならば、上述のように医者は、骨髄針アセンブリ70を利用して最初に椎骨体にアクセスする。この配置では、複合器具310は、後でスタイレット74に沿って軟組織を貫通して目標の椎骨体にガイドされ、複合器具310(この配置では)は、トロカール330における内腔(図示せず)を通過する。一旦、トロカール330は、皮質骨を十分に貫通すると、医者はスタイレット74を引っ張り、それによって図30に示される手順における工程に到達する。
【0089】
皮質骨に貫通した後、医者は椎骨体の海綿質を貫通して複合器具310の前進を継続し、既に説明したように海綿質を貫通する通路を形成し得る。次いでトロカール330は、カニューレ器具84から引っ張られ得る。カニューレ器具84が残存して、前述の態様で椎骨体の内部において形成される通路へのアクセスを提供する。
【0090】
あるいは、皮質骨を貫通した後、医者は、図31に示されるように、カニューレ50からトロカール330を引っ張るように選択され、ドリルビット器具88を用いて海綿質内の通路を形成し得る。このような場合、医者はトロカール330をその場所で除去し、図31に示されるようにカニューレ器具84を貫通してドリルビット88を前進させる。
【0091】
ドリルビット器具88の除去によって、海綿質へのアクセスが達成されてきた。
【0092】
(3.裂け目防止および栓塞)
図16A〜図16Dに示される態様で椎骨体へのアクセスを生成するために、医者は、典型的には、図16Bおよび図16Dに示されるように海綿質32に有意な距離だけ椎骨体26の前壁上の皮質骨28に向かって、脊椎針アセンブリ70のスタイレット74およびドリルビット器具88の切刃を前進させる。望ましくは、海綿質32の密度は、これらの器具の通路への抵抗を与え、これにより医者に触覚フィードバックを付与し、器具の配置をガイドする際に支援する。さらに、海綿質32の密度は均一ではなく、急激に変化し得る。最大限に注意を払い、最高の技術を用いても、スタイレット74または切刃90は、椎骨体26の前壁における皮質骨28にスライドし、皮質骨28を貫通する。図19に示されるように、これは、椎骨体26の前皮質壁28において穴または裂け目Bを生成し得る。
【0093】
海綿質32を貫通させて切刃90を前進させることを支援するために、ドリルビット器具88は、機械的なストップ96を備え得る(図20A参照)。使用の際、機械的なストップ96は、カニューレ器具84の近位端に対して隣接する。この隣接はドリルビット器具88の椎骨体26の内部へのさらなる前進を停止する。
【0094】
機械的ストップ96の位置は、処置のための目標となる椎骨体26の大きさまたは他の骨の容積に応じて、前進させるための種々の長さを提供するように調整可能である。
【0095】
さらに、あるいはこれらと組み合わせて、ドリルビット器具88は、終端からの増分においてその器具の長さに沿って配置されるマーキング98を備え得る。マーキング98は、カニューレ器具84(図20A参照)の露出された近位端に記され、医者が椎骨体26における器具の位置を計測する。
【0096】
前皮質壁を、裂け目をつくることなく、スタイレット74、トロカール330または椎骨体内部にあるドリルビット器具88の前進を支援するために、医者はまた、図20Bに示されるように皮質壁プローブ140を利用し得る。皮質壁プローブ140は、閉塞遠位先端144を有する一般的に剛性のあるスタイレット体142を備え、スタイレット体142は、望ましくは、椎骨体の前皮質壁を容易に貫通できない。例示的な実施形態では、閉塞遠位先端144は、丸いボール形状を含む。
【0097】
皮質壁プローブ140は、海綿質の任意の有意な貫通が起こる前に、形成されたアクセス開口によって展開され得る。例えば、このアクセス開口は、脊椎針アセンブリ70を用いて形成されるが、スタイラス72およびスタイレット74は、海綿質への有意な距離だけ前進させる。スタイレット74は引っ張られ得、その代わり、皮質壁プローブ140はスタイラス72を介して前進する。医者は閉塞遠位端144と前皮質壁との間の接触を感知するまで、医者は皮質壁プローブ140を、海綿質を貫通して前進させる。望ましくは、プローブ140は放射線透過性であり、そのため海綿質を貫通するプローブ140の前進およびプローブ140と椎骨体内部の前皮質壁との接触が視覚化される(例えばX線またはリアルタイム蛍光透視またはMRI)。皮質壁プローブ140を用いて、前皮質壁の侵入を避ける方法によって、医者は椎骨体へのアクセス開口と前皮質壁との間の距離を計測し得る。
【0098】
皮質壁プローブ140は、その近位領域上の長さマーキング146を送達し、この長さマーキングは、前皮質壁との接触が発生する場合および/またはその接触が発生しようとしている場合、前皮質壁に接触する前に、以後の器具がスタイラス72(またはカニューレ器具84)に向かって前進する距離を示す。また皮質壁プローブ140から得られた情報は、機械的ストップ(以前に説明された)を設定するために使用され得、前皮質壁との接触が発生する前にトロカール330またはドリルビット器具88の前進を物理的に回避する。
【0099】
椎骨体の前皮質壁の裂け目または疑わしい裂け目が発生する場合、代替的に医者は、皮質壁プローブ140を利用して、壁裂け目の存在および/または壁裂け目の程度を安全かつ容易に決定する。このプローブの遠位先端144が閉塞するため、先端144は、望ましくは、無処置の前皮質壁を貫通せず、医者が裂け目を探している間前皮質壁の内部表面に沿ってツールを「叩く」ことを可能にする。壁裂け目が発生し、ツールがこの裂け目を通過する場所では、望ましくはツールの閉塞先端144は、皮質壁の前方に位置する軟組織(大動脈または大静脈等)を貫通または損傷しない。所望ならば、代替的には閉塞先端144は、軟らかく、変形可能な材料(ゴムまたはプラスチック等)から形成される。
【0100】
裂け目Bが発生すると、適切な材料はこれを塞ぐために裂け目Bに配置され得る。例えば、脱塩処理された骨マトリクス材料(GRAFTON(R)材料等)が使用され得る。この材料は、例えば閉塞器具78またはトロカール330の遠位端上に配置され得る。器具78は、外部側壁に閉塞材料を送達するように裂け目Bが発生する場所に展開する。器具78は裂け目Bにおいて閉塞材料を堆積し、それによって椎骨体26の外部から閉塞材料を閉鎖する。
【0101】
空洞形成前に予め存在する可能性のある場合か、または空洞形成の後に存在する可能性のある場合に、医者は決定されていない皮質壁裂け目の形成を打ち消す工程を実施する。裂け目が存在することが既知でない場合、にもかかわらず医者は、構造物56の膨張前後において、適切な閉塞材料(例えばGRAFTON(R)骨マトリクス材料、Collagraft(R)シート材料、またはメッシュタイプ材料)を椎骨体に挿入することを選択し得る。皮質壁裂け目が存在するかしないかにかかわらず、閉塞材料の存在は漏れの可能性を防止する。さらに、構造物56が膨張される前に挿入された場合、椎骨体に存在するプラグ材料の存在は構造物56の膨張力の分布をより均一にすることに貢献し得る。構造物56が膨張する場合、椎骨体内の閉塞材料の存在は、任意の予め存在する皮質壁における裂け目および構造物56の膨張の間生成される任意の裂け目を介して膨張構造物56の突起物に抗して保護され得るか、またはそうでなければ、構造物56の膨張の間、弱くなった皮質壁を保護し得る。
【0102】
(4.カニューレ固定デバイス)
図26Aを参照すると、カニューレ固定デバイス190は、椎体にアクセスする間、カニューレ器具84を安定させるのに役立つために使用され得る。固定デバイス190は、多様に構成され得る。
【0103】
図26Aに示される実施形態において、固定デバイス190は、ほぼ平面のベース192を含む。使用時においては、ベース192は、対象とされる切開部位を囲んでいる皮膚表面上に置かれる。所望ならば、ベース192は、粘着材(図示せず)を入れて、患者の皮膚あるいは外科部位またはその近くに置かれた他の材料にベースを固定し得る。
【0104】
器具のグリップ194は、ベース192上に支持される。器具グリップ194は、カニューレ器具84をスライドしながら受け取る導管218を含み、この実施形態において、カニューレ器具84は、第1にグリップ194の遠位端に置かれるように表される。グリップ194に通されるリング220を提供して、カニューレ器具84の周りを導管218が堅く締め、それによって、導管218内でカニューレ器具84の軸移動を防止し得る。
【0105】
グリップ194はまたほぞ(tenon)196を含む。このほぞ196は、ベース192上のほぞ穴198内に一致する。ほぞ穴198および196は共に接合部200を形成する。グリップ194は、横方向で、および/または接合部200内の環状軌道(orbital path)で360度回転する。
【0106】
ほぞ穴198は、その周囲において保持リング202が貫通可能にかみ合わされ、コレット210により締め付けられる。一方向(例えば、時計回り)にリング202をねじると、ほぞ196の周りのコレット210が閉まり、ベース192に対してグリップ194の位置を固定する。反対方向にリング202をねじると、ほぞ196の周りのコレット210が開き、ベース192に対する旋回運動のためにグリップ194を解放する。
【0107】
デバイス190を使用するために、医者はグリップ194で保持したカニューレ器具84を所望の軸方向および角度方向に操作する。その後、医者は、グリップ194を固定して(リング202および220を堅く締める)、所望の軸方向および角度方向にカニューレ器具84を保持する。医者は、皮膚を貫く器具84の通過の前または後、および/または皮質骨を貫く器具84の通過の前または後、またはそれらの組み合わせのうちいずれかにおいて、任意の所望の順序でカニューレ器具84を操作し、そして固定し得る。グリップ194およびベース192上のマーキング204により、医者は、ベース192または別の基準点に対するグリップ194の移動を測定することができる。
【0108】
固定デバイス190は、好適には、X線透過性の高い材料(ポリウレタンまたはポリカーボネート)で作られる。従って、デバイス190は、使用中、カニューレ器具84の蛍光透視またはX線透視を遮断しない。
【0109】
固定されると、デバイス190は、皮膚表面に沿ったカニューレ器具84の意図しない移動を防止する。使用中にカニューレ器具84が曲げられ、またはカニューレ器具84の位置が不注意に変わる可能性は、その固定によって緩和される。デバイス190により、医者はさらに、器具84から自分の手を離すことができ、例えば、蛍光透視またはX線透視をはっきりとすることができる。デバイス190は、X線不透過性であるか、または、さもなければそのタスクにあまり適していない他の種類のクランプの必要性を取り除く。
【0110】
図26Bを参照すると、代替の実施形態において、保持リング202は、ベース192からグリップ194を解放するために十分な、コレット210が開く点に対して緩められ得る。この構成において、グリップ194は、コレット210の拘束から切り離されると解体され得る部材206および208を備える。解体される部材206および208が共に再び固定されるときに、カニューレ器具84は、解体される部材206および208の間に捕らえられ、第1にグリップ194中のカニューレ器具84の遠位端を装着する必要がなくなる。
【0111】
共に固定されると、ほぞ196はほぞ穴198に戻され得る。保持リング202は、十分に堅く締められ、ほぞ196の周りのコレット210が閉まり、接合部200を形成し得る。さらに、ほぞ穴198の周りの保持リング202が堅く締まると、接合部200を閉じて(前述されるように)、ベース192に対して所望の方向にグリップ194を固定する。その後、保持リング202を緩めると、ベース192からのグリップ194の分離が可能になり、故に、部材206および208を解体して、カニューレ器具84を解放し得る。一実施形態において、グリップ194は直接カニューレと接触し得るので、グリップ194がカニューレに当たって押される位置で、カニューレは十分に「固定」される。代替の実施形態において、Oリング(図示せず)はグリップ194内に設置され得るので、グリップの圧縮により、Oリングはカニューレに当たって押されるグリップ194内の位置でカニューレを望ましく十分に「固定」する。
【0112】
(B.空洞の形成)
一旦アクセスPLAが形成されると、医者は、対応する椎体26A、26Bおよび26Cの内部容積中にカニューレ器具84および各アクセスの経路を介して個々のカテーテル管50を進める。図16Fは、椎体26Aの配置を示す。
【0113】
次に、膨張可能な構造物56(1)〜56(6)はすでに記載されたような交互の段階的な様式で膨張される。圧迫は、各椎体26A、26Bおよび26Cに内部空洞を形成する。
【0114】
図4および5に示されるように、膨張可能な構造物56は、少なくとも1つのX線不透過性マーカ102を持っており、椎体26内部における構造物の位置を遠隔で視覚化することを可能にし得る。図示される実施形態において、膨張可能な構造物56は、その遠位端および近位端の両方上にX線不透過性マーカ102を持っている。
【0115】
前述されるように、蛍光透視またはCT透視を使用して、構造物56の膨張をモニタすると、構造物56を膨張させるために使用される流体として、好適にはX線不透過性(例えば、RenograffinTM材料)が提供される。視覚化器具(例えば、C−アーム蛍光透視)は、脊柱の一面に沿って側方に見るために一般的に手術台に設置される。椎体26中の膨張構造物56におけるX線不透過性膨張媒体の存在は、椎体の他の場所(例えば、別の構造物56を用いる空洞形成または脊椎形成あるいは治療の別の形成が生じるように意図される場所)で効果的な視覚化を妨害し得る。
【0116】
構造物が空洞を生成するように膨張された後、構造物56内部のX線不透過媒体の除去または希釈によって、これらの状況下で容易に視覚化され得る。
【0117】
一実施形態(図32参照)において、置換チャンバー400が提供され、プランジャー420の圧力により移動できるピストン414によって2つの区画402および404に分けられる。二重の管腔406および408は、構造物56の内部と連絡する。管腔406は、構造物56中にX線不透過性媒体410を運搬するためにこの媒体410のソース422と連絡し、第一に膨張および空洞形成を生じる。管腔406はまた、ピストン414の一方の側の区画と連絡する。
【0118】
チャンバー400のもう一方の区画404は、置換膨張媒体412を含む。置換媒体412は、X線不透過性の材料を含まないか、または所望ならば、部分的にX線不透過性材料を含み得る。管腔408はこの区画404と連絡する。
【0119】
X線不透過性媒体410を用いて構造物56を膨張した後、ピストン414の移動により、構造物56からこのX線不透過性媒体410を(管腔402を介して)抜き出す。同時に、ピストン414は、構造物56の中を(管腔402を介して)X線不透過性でない媒体412に交換する。ピストンの移動は、構造物56を崩壊させることなくX線不透過性でない媒体412とX線不透過性媒体410とを交換する。
【0120】
代替の実施形態において、媒体410中のX線不透過性材料とのイオン交換材料(例えば、ヨウ素)は、構造物56内部に含まれるX線不透過性媒体410中に導入され得る。イオン交換材料は、X線不透過性材料に選択的に結合し、媒体410のX線不透過性特性を弱める。X線不透過性媒体410は、構造物56の外部にイオン置換チャンバーを介して循環され得るか、またはイオン交換材料は、構造物56自身の内部の内腔を介してその構造物56の中に導入され得る。
【0121】
あるいは、X線不透過性材料の沈殿を生じる材料が、構造物56内部のX線不透過性媒体410の中に(例えば、内腔を介して)導入され得る。沈殿により、X線不透過性材料は、側方の視覚化経路から構造物56内の下方に沈み、それによって、媒体410のX線不透過性特性を弱める。
【0122】
図5に示されるように、膨張可能な構造物56はまた、内部管104を含み得る。内部管104は、膨張可能な構造物56を通過する内腔106を含む。
【0123】
内腔106を用いて、流動性の材料または液体(例えば、生理食塩水または滅菌水)を運搬し、使用時には構造物56の末端領域を離れて材料を流し得る。この処理が為されたとき、内腔106をさらに用いて椎体26の内部から液体材料を吸引し得る。処理中に、内腔106をさらに用いて海綿骨32との接触部に血栓形成材料(例えば、凝固剤)を導入する。それ自体膨張可能な構造物56はまた、椎体26中へのトロンビンの導入より以前に、トロンビン中に浸漬され、インサイチュ凝固を容易にし得る。
【0124】
内腔106はまた、硬化部材またはスタイレット108(図5参照)を受け取るようにサイズが合わせられ得る。スタイレット108は、カニューレ器具84を通している間に所望の末端までまっすぐな状態で構造物56を保つ。一旦構造物56が海綿骨内の所望の位置に設置されると、医者はスタイレット108を移動し、それによって、まさに記載されたように海綿骨へおよび海綿骨からの液体の運搬のため、内腔106を開口し得る。
【0125】
スタイレット108はまた、予め形成された記憶を有し、通常スタイレット108の遠位領域を曲げる。この記憶は、スタイレット108がカニューレ器具84を通過したとき、スタイレット84をまっすぐになるように直す。しかし、構造物56およびスタイレット108が、海綿骨32を通過するカニューレ器具84を離れて進むと、予め形成された記憶はスタイレット108を曲げる。曲がったスタイレット108は、アクセス経路PLAの軸に対して構造物の軸をシフトする。構造物56の内部内に位置される、予め曲がったスタイレット108は、構造物56の形状を変更するのに役立ち、使用中に展開すると、所望の方向を達成する。
【0126】
スタイレット108が形状記憶合金(例えば、ニッケルチタン(ニチノール)、銅または鉄ベースの合金)を含む場合、スタイレット108の遠位端は、予め曲がった「元の形状」に設定され、その後、椎体中に導入するために十分にまっすぐな形状に曲げられる。スタイレット108がその所望の位置にあり、遠位端の曲げが所望されるとき、熱がスタイレット108の近位端に加えられ得、その熱によりスタイレット108の遠位端は、公知の様態で元の形状を取ることが望ましい。あるいは、スタイレット108は、ヒトの体温またはそれより下の転移温度を有する材料を可能にする形状記憶を含み得る。このようなスタイレット108は、人体への導入前および/または導入中に冷却され、一旦適切な位置で、冷却源が取り除かれると、患者の体温によりスタイレット108は、予め曲がった元の形状を取り得る。所望ならば、スタイレットは、海綿骨内で歪んでいる遠位端と共に、椎体内に最初に位置され得るか、または、遠位端は、椎体への挿入中に曲げられ得る。
【0127】
図25に示されるように、カテーテル管50は、それ自体、ドリルビット要素170を運び得る。ドリルビット要素170は、様々に構成され得る。図25に示されるように、ドリルビット要素170は、膨張可能な構造物56を越えて、内部カテーテル管104の遠位端上に接合され、またはさもなければ、取り付けられた金属切断キャップを備える。この構成において、スタイレット108は、適合した遠位端172を含み得る。この適合した遠位端172は、ドリルビット要素170において内部のキー溝174内で一致される。その結果、スタイレット108は、カテーテル管104の遠位端を固くするのに役立ち、故に、ねじれまたは圧縮の負荷がドリルビット要素170に加えられ得る。あるいは別の方法で、カテーテル管104の内部構造物は、ドリルビット要素170にねじれおよび圧縮負荷力を伝達するために補強され得る。ドリルビット要素170を用いると、医者は、個々のドリルビット器具88を使用することなく、皮質骨においてアクセス開口部を開口し得る。
【0128】
(1.膨張可能な構造物の所望の物理的および機械的特性)
構造物56が作られる材料は、その機能的能力を最適化するために様々な身体的および機械的特性を有し、海綿骨を緻密化する。重要な特性は、その容積を膨張する能力、膨張時に所望の方法で変形し、骨の内部に所望の形状を取る能力、および海綿骨と接触する時に、摩擦、引っかきおよび穿刺に耐える能力である。
【0129】
(2.膨張特性)
構造物の材料の第1の所望の特性は、破壊することなく構造物の容積を膨張するかまたは増加する能力である。この特性により、構造物56は、対象とされる骨の領域中へ、例えばカニューレを介して、つぶれて目立たない状態で皮下を展開することができる。この特性により、対象とされる骨の領域の内部の構造物56の膨張は、取り囲む海綿骨に対して押しつけて圧迫するか、あるいは皮質骨を破砕前または他の所望の状態またはその両方に移動させることができる。
【0130】
構造物の材料の所望する膨張特性は、極限伸び特性によって一方向に特徴付けられ得る。極限伸び特性は、破壊する前に材料が適応し得る膨張の度合いを表す。十分な極限伸びにより、構造物56は皮質骨を緻密化することが可能となり、必要ならば、壁面が破壊する前に、接触する皮質骨を持ち上げることができる。望ましくは、構造物56は、骨の外部への膨張時に、壁が破壊する前に、少なくとも50%の極限伸びに耐え得る材料を含む。より望ましくは、構造物は、骨の外部への膨張時に壁が破壊する前に、少なくとも150%の極限伸びに耐え得る材料を含む。最も望ましくは、構造物は、骨の外部への膨張時に破壊しないように、少なくとも300%の伸びに耐える材料を含む。
【0131】
あるいは、構造物56は、実質的に一層低い極限伸び特性を有する非適応または部分的に適応している、一つ以上の材料(限定しないが、ケブラー、アルミニウム、ナイロン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはマイラーを含む)を含み得る。このような構造物は、望ましくは、最初に所望の形状および容積に形成され、次に、対象とされる骨の領域中へカニューレを介して導入されるため、つぶれて目立たない状態に収縮される。次に、構造物は、所望の形状および容積に膨張され、取り囲む海綿骨に対して押しつけて圧迫するか、あるいは/または皮質骨を破砕前または他の所望の状態またはその両方に移動させ得る。別の代替案として、構造物は、非適応な材料、部分的に適応する材料、および/または適応する材料の組み合わせを含み得る。
【0132】
(3.形状特性)
構造物56の材料の第2の所望の特性(単一の特性かまたは他の所望の特性との組み合わせかのどちらか)は、膨張時に予想されたとおりに変形する能力であり、故に構造物56は、一貫して骨の内部で所望の形状に達する。
【0133】
構造物56の形状は、骨の内部で膨張したとき、処置する部位の形態および形状を考慮して、医者によって望ましいように選択される。圧迫された海綿骨および/または置換された皮質骨の形状、ならびに骨が不適切に移動された場合に傷つけられ得る局所構造物は、一般に、部位および病気またはケガの知識と共に、人間骨格解剖学の教科書を用いて医学専門家によって理解され、さらに、1997年1月23日に出願され、「Improved Inflatable Device for Use in Surgical Protocol Relating to Fixation of Bone」と題をつけられた、米国特許出願第08/788,786号の教示を考慮する。この米国特許出願は、明細書中に参考として援用する。医者はさらに、例えば、平面フィルムX線、蛍光X線、あるいはMRIまたはCTスキャンを用いて、対象とされる骨の形態学的な事前分析に基づいて、骨の内部の所望される膨張した形状を選択することができることが望ましい。
【0134】
海綿骨の圧迫および/または空洞の生成が所望されると、骨の内部の膨張した形状が選択され、空洞の形成を最適化する。空洞が選択された材料で満たされると、治療される骨の領域にわたって支持が提供される。選択した膨張した形状は、対象とした骨の領域の形状および生理学に起因して増大する容積によって生じる、予想した変形の評価によって作られる。
【0135】
皮質骨の置換が所望されると、膨張した形状が選択され、構造物が皮質骨に及ぼす力の量を最大にして、皮質骨の起こり得る最も大きな表面領域に亘って力分配を最大にし、および/または一つ以上の所望の方向における皮質骨の置換を最大にする。あるいは、構造物は、特定の皮質骨領域の所望の破砕および/または最大のずれを引き起こすために皮質骨の特定の領域に最大の力を付与するように設計される。
【0136】
膨張可能な構造物56の適切なサイズを選択するのに役立つように、複合器具310(図27および28参照)のトロカール330は、蛍光透視下において見ることができる溝または同様のマーキング380のアレイを保有し得る。マーキング380により、医者は、椎体を越えて距離を推定することができる。従って、マーキングによって、膨張可能な構造物56の所望のサイズを測定することが可能になる。カニューレ器具84は比較的薄い壁を有する構造物であり、トロカール330は比較的より太い頑丈な構造物であるので、医者は、マーキング380がカニューレ器具84の内部にあるときでさえも、蛍光透視によってマーキング380を見ることができる。
【0137】
いくつかの例示において、空洞を生成すると、所望の治療結果を達成するために皮質骨をさらに移動するか、または置換することが望ましい。このような移動は、所望の治療結果を達成することが示されるので、本明細書中でこの表現が使用される場合、それ自体で有害ではない。本質的に、構造物56が膨張すると、例えば、周囲の組織の損傷により骨および周囲の解剖学的構造物の全体的な状態が悪化したり、骨の生体力学的な持続的な有害な変化が起こったりする。
【0138】
所望ならば、構造物56を用いて、皮質骨を破砕するのに十分な力を生成し、新しい方向および/またはより所望の位置で破砕した皮質骨を位置付けする。骨が過去に破砕され、および/または圧迫され、その後治癒した場合、現在の方法およびデバイスを利用して、より所望の位置に皮質骨を安全に再度位置決めし得る。例えば、脊椎の圧迫破砕が抑圧された位置および/または破砕した位置で治癒した場合、開示したデバイスおよび方法を利用して、再び破砕し、より望ましい位置および/または方向に破砕した骨を再度位置決めし得る。膨張可能な物体の膨張により、骨を内部から破砕するのに十分な力を生成することによって、皮質骨を介する単一のアクセスの門脈のみが形成されることが必要となる。
【0139】
所望ならば、構造物は、限定しないがレーザー、ドリル、チゼル、または音波発生器(例えば、砕石器)を含む様々なデバイスと共に、代替的に使用され得る。これらのデバイスは、所望の線に沿っておよび/または所望の様態で皮質骨を選択的に弱くし、および/または破砕するために使用される。一旦、対象とされる皮質骨が十分に弱められると、構造物56を用いて骨を破砕し、ならびに/あるいは、新しい方向におよび/またはより所望の位置に皮質骨を再度位置決めし得る。
【0140】
同様の様態で、構造物56は、変形態において、骨が成長し、且つ/または治癒される部分であるような皮質骨の部分を、破砕および整復する。例えば、重い側弯症(例えば、骨障害性側弯症)で苦しむ患者は、骨の変形のせいで、脊柱が横方向に曲がっていることがある。本発明の方法およびデバイスは、安全に破砕および/または整復するために利用され得る。所望される場合、骨の部分は、各種のデバイスによって、スコア(scored)され、弱め、且つ/または予め破砕され得る。各種のデバイスには、鋭いナイフ、鉗子、突き錐、ドリル、レーザー、および/または砕石器などが含まれるが、これらに限定されず、骨が破砕しやすい様な所望の線を作る。脊柱の陥没した部分は、望ましくは、持ち上げられ、強化され、そのことにより、脊柱の横方向への曲げが低減し、脊椎のさらなる横方向への変形を防ぐ。皮質骨の一部分のみを破砕させ、且つ/または整復することによって、本発明の方法およびデバイスは、疾病の治療を可能にしながら、不必要な筋肉と骨格との外傷を最小限にする。
【0141】
概して、考慮されるように、骨折を引き起こす(または骨折のリスクがある)、骨の疾患の場合、(骨粗鬆症のように)海綿骨の質量が失われる。骨の内部の構造物56の膨張された形の選択は、所望の治療結果を達成するために圧縮される必要がある海綿骨の容量を考慮に入れる必要がある。例示的な範囲は、海綿骨の容量の約30%〜90%であるが、範囲は、目標とされる骨の領域に依存して、変動し得る。概して、より少ない容量の海綿骨を圧縮することによって、治療部位に、より圧縮されていない、病気にかかった海綿骨が残る。
【0142】
骨の内部の構造物56の膨張された形の選択のための他の概略的なガイドラインとして、目標の破砕された骨の領域が整復または陥没した量がある。骨の内部の構造物56の膨張は、破砕された皮質骨の壁を盛り上げるか、または、押し上げて、破砕が起こる前に占めていた解剖学的な位置、またはその近傍に戻す。構造物56が陥没した皮質骨に直接接触し、かつ、膨張構造物との直接接触を通じて皮質骨を持ち上げる場合、海綿骨の圧縮は、必要でもなければ所望もされ得ない。
【0143】
実用的な理由により、海綿骨と接触する場合、骨の内部の構造物56の膨張された形が、外の環境における場合の実質的に骨の外部の構造物56の形に一致することが望まれる。これによって、医者が、外の環境において、目標の治療結果を得るために望まれる膨張された形を有する構造物を、骨の内部の膨張された形が重要な面で類似しているという自信を持って、選択することが可能になる。
【0144】
いくつかの例において、構造物について、骨の内部の膨張の間、予測して変形すること、および/または所望の形を仮定することが必要または所望されないことがある。むしろ、膨張が制約されるのではなく、構造物が実質的に制御されない様態で膨張されることが好まれ得る。例えば、海綿骨のより弱い部分の圧縮が望まれる場合、構造物が、骨内部のより弱い領域に向かって、初期的に膨張することが好まれ得る。このような場合、構造物は、以前に記載された形および/またはサイズなしに形成され得、構造物の膨張された形および/またはサイズは、処置された骨の形態および形状によって、主に決定され得る。
【0145】
最適な度合いの成形は、以下により詳細に説明するように、材料の選択および特別な製造テクニック、例えば、熱成形またはブロー成形によって、達成され得る。
【0146】
(4.靭性性質)
構造物56の第3の所望の性質は、単独、または1つ以上の他の記載された性質との組合せで、海綿骨と接触する場合の表面摩耗、引き裂き、および穴に抵抗する能力である。この性質は、様々な方法で特徴付けられ得る。
【0147】
表面摩耗、引き裂き、および穴に対する材料の抵抗を測定する1つの方法として、Taber摩耗テストがある。典型的には、より低いTaber摩耗値は、摩耗に対するより大きい抵抗を示す。好ましくは、膨張可能構造物の実施形態の1つは、これらの条件のもとで約200mgのロスより少ないTaber摩耗値を有する材料を含む。より好ましくは、構造物は、これらの条件のもとでの約145mgのロスより少ないTaber摩耗値を有する材料を含む。最も好ましくは、構造物は、これらの条件のもとで約90mgのロスより少ないTaber摩耗値を有する材料を含む。当然、200mgのロス以上のTaber摩耗値を有する材料が、本発明の目的の一部または全てを達成するために利用され得る。
【0148】
摩耗、引き裂きおよび/または穴に対する材料の抵抗を測定する他の方法として、Elmendorf引き裂き強度がある。典型的には、引き裂き強度が高ければ、引き裂きに対する抵抗はより大きい。望ましくは、伸張可能な構造物の代替的な実施形態は、これらの条件のもとで、少なくとも150lb-ft/inの引き裂き強度の材料を含む。より望ましくは、構造物は、これらの条件のもとで、少なくとも220lb-ft/inの引き裂き強度の材料を含む。最も望ましくは、構造物は、これらの条件のもとで、少なくとも280lb-ft/inの引き裂き強度の材料を含む。当然、本発明の目的の一部または全てを達成するため、150lb-ft/in以下の引き裂き強度を有する材料が利用され得る。
【0149】
摩耗、引き裂きおよび/または穴に対する材料の抵抗を測定する方法として、ショアー硬度がある。典型的には、所与のスケールでショアー硬度数がより低いと、弾性がより大きい。望ましくは、膨張可能な鋼応対の他の実施形態は、これらの条件の下で、約75D未満のショアー硬度を有する。より好ましくは、構造物は、これらの条件の下で、約65D未満のショアー硬度の材料を含む。最も好ましくは、構造物は、約100A未満のショアー硬度の材料を含む。当然、本発明の一部または全ての目的を達成するため75D以上のショアー硬度を有する材料が利用され得る。
【0150】
また、複数の材料を含む膨張可能な構造物の他の代替的な実施形態、例えば、層状の材料および/または複合材は、表面摩耗、引き裂き、および穴に対してかなりの抵抗を有し得る。例えば、200mgロスより大きいTaber摩耗値を有する材料から形成された内部ボディと、75Dより大きいショアー硬度を有する外部ボディとが組み込まれた層状の膨張可能な構造物は、表面摩耗、引き裂きおよび穴に対してかなり大きい抵抗を有する。同様に、材料の他の組合せは、海綿骨の圧縮、および/または、材料の破壊の前に、皮質骨の移動という所望の目標を達成するため、所望の靱性を有し得る。
【0151】
(5.予備成形構造物の作成)
上記の膨張および形の性質は、予備成形される能力をも有する弾性材料を選択することによって、海綿骨を圧縮するため、強められ得、さらに最適化され得る(すなわち、例えば熱および圧力にさらすことによって、所望の形を獲得する)。例えば、従来の熱成形またはブロー成形技術を用い得ることによって、行われる。この基準を満たす候補の材料には、ポリウレタン、シリコーン、熱可塑性ゴム、ナイロン、および熱可塑性弾性材料が含まれる。
【0152】
例示的な実施形態においては、ポリウレタン材料が用いられる。この材料は、ペレットの形で市販されている。ペレットは、処理され、管状の形状に押出し成形され得る。構造物56は、従来のバルーン成形機械のように、管状押出しの切断長を熱にさらし、管長60に押し込み内部圧力が加えられている間、型内の加熱された管を囲むことによって形成され得る。
【0153】
(6.生理食塩水注入)
粉砕、破砕、圧砕の処置において、膨張可能構造物56は、皮質骨28を元のまたは適切な解剖学的状態に戻すように機能する。この結果は、網状の骨32内の構造物56の膨張によって、周囲の加圧されたまたは圧迫された皮質骨28を物理的に移動し、空洞が形成された場合に達成され得る。あるいは、既に説明したように、皮質骨は、膨張する構造物との直接接触によって移動され得る。
【0154】
構造物56の収縮および除去に応答して、局所的な真空状態が空洞64内に形成され得ることがわかっている。この真空は、周囲の皮質骨28を急激に動かし、それにより痛みが生じる。空洞64形成後の骨の動きは、また、構造物56を膨張させた結果として生じた皮質骨28の移動距離のうちのいくらかの距離を逆に戻り、それによりまず、空洞64が形成される。椎体26において、真空は、椎体が元の高さを完全に回復することを妨げ得る。
【0155】
図21が示すように、真空の形成を防止するために、構造物56を収縮させて空洞64から除去する前またはその過程において、流動可能な材料または滅菌溶液110(例えば生理食塩水または放射線透過性造影剤)が空洞64内に導入され得る。この際に空洞64内に導入される溶液110の量は重要ではない。但し、著しい真空が形成されることを防止できる程度の十分な量である必要がある。例えば、通常、空洞の容積以上の量の生理食塩水を提供すれば、著しい真空の形成が防止される。あるいは、生理食塩水の量が空洞の容積よりも小さい場合も、一定ではないがある程度まで著しい真空の形成が防止され得る。
【0156】
溶液110は、構造物56を貫通する内腔106を介して導入される。あるいは、小さな外部管が、カテーテル管50に沿って搬送され得るか、または、カニューレ器具84を介して別個に挿入されて、真空防止溶液110が空洞64内に供給される。
【0157】
あるいは、真空の形成を防止するために空気を用い得る。構造物56を膨張させるために用いられた圧力が一旦除去されると、空気は内腔106を通過して、崩れた構造物56によって占有された容積と置き換わる。大気圧下での内腔106を通る空気の流量が、形成された状態の容積と置換されるのに十分でない場合、空気の流量はポンプを用いて増加され得る。
【0158】
(c.空洞の充填)
空洞64(図16G参照)が形成されると、外科医はシリンジ112に所望の量の充填材料を充填する。一回の処理に用いる量の充填材料62を予め準備しておく。予め形成された構成を有する膨張可能構造物56を用いる場合、形成される空洞の容積は公知である。それにより、外科医は、椎体26内に形成された各空洞部分64Aおよび64Bについて、シリンジ112内に充填する材料62の所望の量を知る。
【0159】
外科医は、ノズル114を充填されたシリンジ112に取り付ける。外科医は、関連するカニューレ器具84を介して、上で説明した連続的な様態で、膨張可能構造物56(1)〜56(6)を収縮させて取り除き、関連する空洞部分64A/64Bに62を充填する。
【0160】
所与の空洞部分64A/64B(図16H参照)を充填するために、外科医は、空洞部分内へと選択された距離だけ、例えば、外部マーキング116、もしくはリアルタイムフルオロスコープ、X線、またはMRIを用いた観察によって、ノズル114を関連するカニューレ器具内に挿入する。外科医は、シリンジ112を動かして、ノズル114内に材料62を流し、ノズル114から空洞部分へと材料62を流し込む。図16Hが示すように、ノズル114は、均一な内径を有し、椎体内への挿入が容易に行われるような遠位端の寸法になっている。しかし、全体の流動抵抗を低減するために、ノズル114は、近位端118から遠位端120に向かって直径が徐々に小さくなるような内径(例えば、図22A参照)を有し得る。このことにより、ノズル114の平均内径が低減され、全体の流動抵抗が低減される。低減された流動抵抗によって、より多くの粘性材料を椎体内に送り込むことができる。骨から滲み出すことが少ないので、より粘性の高い材料が望ましい。
【0161】
図22Aに示した実施形態の他に、直径が縮小された材料を骨内に導入するためのノズルまたは器具を形成する他のさまざまな構成が可能である。例えば、図22Bに示すように、器具160は、より大きな内径からより小さな内径へと徐々に先細りした内腔162を有し得る。あるいは、図22Cに示すように、器具164は、内径が段階的に小さくなる内腔162を有し得る。関連するカニューレ器具168(図22C参照)は、また、低減された直径の通路を有し得る。この通路は小さな寸法にされ、低減された直径の器具を収容して、カニューレ器具を通って送られる充填材料に対する流動抵抗を減少する。
【0162】
低減された直径の器具は、また、空洞を形成する前に圧力下で椎体内にセメントを注入する椎骨外科処置(vertebroplasty procedure)と関連して用いられ得る。これについては、後で説明する。
【0163】
充填材料62は、材料62が空洞部分内への流れの観察を可能になるような、所定量の放射線透過性材料(例えば、バリウムまたはタングステン)を含む。放射線透過性材料の量(重量)は、望ましくは、少なくとも10%であり、より望ましくは20%であり、最も望ましくは30%である。これにより、外科医は、空洞充填プロセスを観察することができる。
【0164】
空洞部分に材料62を充填すると、外科医は空洞部分からカニューレ器具84内へとノズル114を引き抜く。カニューレ器具84は、空洞部分への材料の流れを媒介する。材料は連続的に空洞部分に流れ込む。
【0165】
図16Hが示すように、カニューレ器具84の周りにガスケット122が提供されて、アクセス通路PLAの周りを封止し得る。ガスケット122は、カニューレ器具84の周囲における材料の漏れを防止する機能を果たす。
【0166】
外科医はシリンジ112を動かして、ノズル114を介して材料62を送出し、送出された材料はまず空洞部分に入り、その後カニューレ器具84内へと送られる。通常、シリンジ注入プロセスの最後に、材料62が空洞から前進して、カニューレ器具84の約40%〜50%を占有する必要がある。あるいは、外科医は、シリンジ112を用いて、ノズル114および/またはカニューレ器具84の管腔に材料62を充填し、充填器具124を用いて管腔から椎体内へと材料を送出し得る。
【0167】
所与の容積の材料62がシリンジ112から送出される場合、外科医はカニューレ器具84からノズル114を引き抜く。外科医はまず、シリンジ112およびノズル114を回転させて、ノズル114内の材料62を、カニューレ器具84を占有する押し出された材料62から切り離す。
【0168】
図16Iが示すように、外科医は次に、カニューレ器具84を介して充填器具124を前進させる。充填器具124の遠位端は、カニューレ器具84内に残された材料62に接触する。充填器具124を前進させることにより、残された材料62のより多くがカニューレ器具84から次第に離され、空洞部分内に押し込まれる。カニューレ器具84内で充填器具124を前進させることによって空洞部分内へと材料62が流れ、このことによって、極めて高い圧力を加えなくても、空洞部分、骨内の他の空洞および/または開口部、ならびに亀裂の中に、材料62が均一な分布で緊密に充填される。
【0169】
シリンジ112、ノズル114、および充填器具124を用いることによって、外科医は、空洞部分に材料を充填する際に、正確な制御を行うことができる。外科医は、特定の局部的な生理学的状態に基づいて、供給量および供給速度を即座に調節することができる。シリンジ112およびタンピング器具124によって均一に低い圧力を加えることによって、外科医は、実質的に即時的な様態で、容積条件および流動抵抗条件を満たすように反応することができる。空洞部分の外部の材料62の充填および漏出の変化は、顕著に減少される。
【0170】
さらに、充填器具124は、望ましくは、より高い注入圧力下においても、材料62の高度に制御された注入を可能にする。例えば、図32は、低減された直径を有するノズル180およびスタイレット182を含む材料注入器具500を示す。スタイレット182は、望ましくは、低減された直径を有するノズル180を通過できるような大きさを有する。あるいは逆に、ノズル180が、望ましくは、カニューレ器具184を通過できるような大きさを有する。材料強度について、ノズル180は、実質的に硬質の金属材料(例えば、ステンレス鋼)または高硬質プラスチックから形成され得る。
【0171】
スタイレット182は、ハンドル192を含む。スタイレット182がノズル180内に完全に挿入された場合、ハンドル192は、ノズルの近位コネクタ186上に位置する。ハンドルがその位置にある場合、スタイレット182の遠位端とノズル180の遠位端とが整列する。スタイレット182がノズル180内に存在することにより、内部ボアが好適に閉じられる。
【0172】
使用時において、ノズル180は、シリンジ104に結合され、カニューレ器具184を介して、骨内に形成された材料受容空洞(図示せず)内に挿入される。シリンジ104内の材料62は、ノズル180内に注入され、材料は好適に骨内へと送られる。十分な量の材料62が骨および/またはノズル180内に注入されると、シリンジ104がノズル180から除去され得る。
【0173】
次に、スタイレット182がノズル180内に挿入され、ノズルを通って前進され、材料62を適切に押圧してノズル180から押し出す。
【0174】
ノズル180およびスタイレット182は、コンビネーションラム183と同様の方法で、カニューレ器具184を通って骨に充填材62を押すために用いられ得る。例えば、充填材62がカニューレ器具184内にある場合、ラム183をカニューレ184に挿入することによって、望ましくは、材料62が移動させられ、材料62がカニューレ184の遠心端から骨に移動させられる。ラム183がカニューレ184内を移動するにつれて、望ましくは、カニューレ184内の充填材62が移動させられる。ラム183は、従って、医者が、骨に注入される充填材62の正確な量を正確に測定することができるように、容積式の「ピストン」または「ポンプ」として機能する。
【0175】
充填材が非常に粘性である場合、この材料は、典型的には、送達システムを通って注入されることに強く抵抗する。概して、充填材がシステムの中をより長く移動する必要があればあるほど、材料の粘性および壁によって失われる摩擦などの要因による圧力の損失は大きくなる。これらの損失の責任を取るために、既存の送達システムは、典型的には、充填材に高圧をかけ、多くの場合、何千ポンドもの圧力をかける。これは、送達システムのポンプをより強くかつ取り付け具を強化することを必要とするだけでなく、このようなシステムは、多くの場合、非常に厳密な量の充填材を供給することができない。さらに、充填材が徐々に固まると、システムは、材料の増加した流動抵抗に打ち勝つために、より大きな圧力を生成する必要がある。
【0176】
開示されるシステムおよび方法は、充填材の送達のための複雑で高圧の注入システムの必要性を不要にする、および/または、減少させる。開示されるラム183がカニューレ184内を実質的に移動し、カニューレ184の遠心端から充填材62を移動させるため、ラム183によって押される充填材の量(および、カニューレ184内の充填材62の全体の量)は、充填材が骨に注入されるにつれて漸進的に減少する。これは、望ましくは、結果として、注入中のラムの移動に対する抵抗を全体的に減少させる。さらに、ラム183によって「押される」材料の量が減少するため、硬化充填材の流動抵抗の増加は、必ずしも、注入圧力の増加を必要としない。さらに、ラム183がカニューレ184内を移動し、注入部位に経皮的に移動することができるため、充填材は、カニューレから出て骨に入るまでの短い時間だけ「ポンプ」される必要があり、極端に高い圧力の必要性をさらに減少させる。さらなる充填材の注入が必要とされる場合、ラムがカニューレから引き抜かれ得、さらな充填材がカニューレ内に導入され得、そして、プロセスが繰り返される。従って、この構成は、非常によく制御された条件下で、極端に粘性のある材料の注入さえも促進する。さらに、この方法において、異なる直径のカニューレ、ノズル、およびスタイレットを利用することによって、充填材62内に広範囲の圧力が生成され得る。所望であれば、開示されるデバイスは、同様に、椎骨移植術(vertebroplasty)のような手順によって脊柱針アセンブリを通って直接骨に充填材を注入するために用いられ得る、または、骨内に生成された空洞を充填するために用いられ得る。
【0177】
所望であれば、医者が空洞を材料62によって充填した後で、医者は、椎体内にさらなる材料62を注入し続けることを選択し得る。骨内の局所的な状態によって、このさらなる材料は、空洞の容積を増加させる(海綿骨をさらに圧縮することによって)だけであり得る、または、空洞を取り囲む圧縮および/または非圧縮の海綿骨内に移動し得、これによって、海綿骨がさらに圧縮され得る、および/または、椎体の圧縮力が強化され得る。
【0178】
医者が、空洞部分内に材料62が十分に分配されたと満足すると、医者は、タンピング器具124をカニューレ器具84から引き抜く。医者は、好適には、まずタンピング器具124をひねって、材料62との接触をきれいに切断する。
【0179】
一旦全ての空洞部分が上記の方法で充填され、かつ、詰められた場合、カニューレ器具84が引き抜かれ得、縫合された切開部位が閉じられ得る。相互的な骨の治療の手順が終わる。
【0180】
最終的には、材料62は、セメントである場合、空洞64内で強固な状態まで固められる。椎体26A、26B、および26Cの負荷に耐える機能は、従って、改善される。
【0181】
図9B〜9Dは、椎体内に形成された空洞60を充填する別の方法を示す。この実施形態において、カニューレ器具84は、椎体内に形成された空洞60へのアクセスを提供することによって、椎体の茎42を通って前進する。ノズル180が椎体内に前進する。ノズル180の遠心端は、望ましくは、空洞60の前側の近傍に配置される。充填材62は、ノズル180を通って、空洞60内にゆっくりと注入される。充填材62の注入を続けながら、ノズル180は、空洞60の中心に向かって引き抜かれる。図9Cを参照されたい。望ましくは、ノズル180を引き抜きながら、ノズル180の遠心端は、充填材62の増大するボルスと実質的に接触している。一旦ノズル180が空洞60の中心の近傍に位置すると、さらなる充填材62が、ノズル180を通って注入されて、空洞60を実質的に充填する。ノズルは、次いで、空洞60から取り除かれる。
【0182】
所望であれば、ノズルは、充填材を含む注射器104に取り付けられ得る(図33を参照)。一実施形態において、注射器104は、椎体内に形成された空洞60の容積に等しい量の充填材を含み、ノズルは、さらに1.5ccの充填材を含む。この実施形態において、空洞60は、最初に、注射器104から排出された充填材によって充填される。一旦出し尽くされると、注射器104がノズル180から取り除かれ、スタイレット182がノズル180に挿入されて、ノズル180内の残りの充填材は、スタイレット182によって椎体内に押し出され得る。望ましくは、ノズル180からのさらなる充填材は、海綿骨内に遊出し、余分な海綿骨を圧縮し、および/または、空洞60の大きさをわずかに増加させる。
【0183】
開示される方法は、望ましくは、空洞が充填材によって完全に充填されることを保証する。開示する手法の間、患者は多くの場合、正面(前側)を下にしているため、空洞の前のセクションは、多くの場合、空洞内の最も下の部分になる。最初に空洞の前のセクションを充填材で充填し、次いで空洞の後ろのセクションに向かって充填することによって、空洞内の流体および/または浮遊物質は、望ましくは、充填材によって移動させられ、空洞の後ろのセクションに向けられ、ここで、カニューレを出ることができる。このように、空洞内の流体および/または充填材の「トラッピング(trapping)」が回避され、椎体の完全かつ十分な充填が保証される。
【0184】
所望であれば、充填材は、椎体内に注入される前に、固まることおよび/または硬化することが可能であり得る。例えば、一実施形態において、充填材は、骨セメント(bone cement)を含み、この骨セメントは、空洞内に注入される前に、接着材またはパテのような状態で保存することが可能である。この実施形態において、セメントがノズルから押し出され始めると、セメントは、望ましくは、練り歯磨きに似た粘性を有する。
【0185】
選択された材料62は、さらに、従来の方法で収集された自家移植片または同種移植片の骨移植片組織、例えば、ペースト状(Dickの「Use of the Acetabular Reamer to Harvest Autogenic Bone Graft Material: A Simple Method for Producing Bone Paste」、Archives of Orthopaedic and Traumatic Surgery (1986)、105: 235−238を参照)またはペレット状(Bhanらの「Percutaneous Bone Grafting for Nonunion and Delayed Union of Fractures of the Tibial Shaft」、International Orthopaedics(SICOT)(1993)17: 310−312を参照)であり得る。あるいは、骨移植片組織は、SpineTechから市販されているBone Graft Harvesterを用いて得られ得る。ペースト状またはペレット状の移植片組織の材料は、漏斗を用いてカニューレ器具84内に加えられる。タンピング器具124は、次いで、上記の方法でカニューレ器具84内に前進して、ペースト状またはペレット状の移植片組織の材料をカニューレ器具84から空洞部分に移動させる。
【0186】
選択された材料62は、さらに、サンゴから取り入れられた粒状の骨材料(例えば、Interporeから入手可能なProOsteon(R)炭酸カルシウム顆粒)を含み得る。顆粒は、漏斗を用いてカニューレ器具84内に加えられ、タンピング器具124を用いて空洞内に前進する。
【0187】
選択された材料62は、さらに、グリセロール内に浮遊する鉱物質除去された骨基質(例えば、Osteotechから入手可能なGrafton(R)同種移植片材料)またはNorianから入手可能なSRS(R)リン酸カルシウムのセメントを含み得る。これらの粘性の材料は、上記の骨セメントのように、注射器112内に加えられ、かつ、ノズル114を用いて空洞内に注入され得る。ノズルは、カニューレ器具84を通って、空洞部分に挿入される。タンピング器具124は、上記のように、残りの材料をカニューレ器具84から空洞部分に移動させるために用いられる。
【0188】
選択された材料62は、さらに、シート状(例えば、炭酸カルシウム粉および牛の骨のコラーゲンから生成されたCollagraft(R)材料)であり得る。このシートを管状に巻いて、カニューレ器具84内に手で装着することを可能にする。タンピング器具124は、次いで、カニューレ器具84を通って前進して、空洞部分内の材料を押し、かつ、圧縮する。
【0189】
相互的な手法を実行するための上記の種々の器具は、図23に示すように1つ以上の事前包装(prepackage)キット126、128、および130によって構成され得る。例えば、第1のキット126は、単一の椎体内への相互的なアクセスを達成するためのアクセス器具グループ(例えば、少なくとも1つの脊髄針器具70、少なくとも1つのガイドワイヤ器具76、少なくとも1つの閉塞器具78、2つのカニューレ器具84、および少なくとも1つのドリルビット器具88を含む)を包装し得る。あるいは、第1のキット126は、少なくとも1つのトロカール330および2つのカニューレ器具84を含み得、これらを合わせて2つの複合器具310が形成される。
【0190】
第2のキット128は、相互的なアクセスのための空洞形成器具グループ(例えば、2つの空洞形成ツール48を含む)を包装し得る。第3のキット130は、相互的なアクセスのための材料導入器具グループ(例えば、少なくとも1つの注射器112、少なくとも1つのノズル114、および少なくとも1つのタンピング器具124を含む)を包装し得る。あるいは、キット130は、注射器112、カニューレ84、およびカニューレに合うような大きさのタンピング器具124を含む材料導入器具グループを含み得る。キット126、128、および130は、さらに、好適には、上記のようにキットの中身を用いて所望の相互的な手法を実行するための説明書を含む。
【0191】
さらに、上記のように、空洞部分への材料62の流れの視覚化を可能にするのに十分な、所定の量の放射線不透過性材料(例えば、バリウムまたはタングステン)を含み得る充填材62の成分を含むように、第4のキット132は含まれ得る。キット132は、さらに、好適には、上記のように材料62を混合して所望の相互的な手法を実行するための説明書を含む。
【0192】
もちろん、個々の器具は、使用上の取扱説明書と共に、キット化(kitted)され得る、および/または、個々に販売され得ることが理解される必要がある。所望であれば、個々の器具キットは、個々の手法および/または医者の選好に合わせられた手法キットを形成するために組み合わせられ得る。例えば、単一レベルの手法を実行するための一般的な器具キットは、ガイドワイヤ器具76、閉塞器具78、カニューレ器具84、およびドリルビット器具88を含み得る。
【0193】
(D.別の空洞形成および充填技術)
別の方法によって、圧縮に強い材料が充填されている空洞が椎体内に形成され得る。
【0194】
例えば(図24Aを参照)、直径の小さい膨張可能な体150が、脊柱針アセンブリ70の茎72または約8〜11ゲージの大きさの別の針を通って椎体内に導入され得る。小さな構造物150を膨張することによって、海綿骨が圧縮されて、椎体内の所望のセメント流路、および/または、構造物150を実質的に取り囲むバリア領域152が形成される。あるいは、機械的なタンパー、リーマ、あるいは、単一または複数の穴あけ器を用いて、椎体内の所望のセメント流路および/または小型の海綿骨が形成されて、小さなバリア領域152が形成され得る。所望のセメント流路および/またはバリア領域152を取り囲む小型の海綿骨は、椎体外に注入される流動性の材料の遊出を減少および/または防止する。
【0195】
流路/バリア領域152の容積を越える量の流動性の充填材154(例えば、骨セメント)が、高圧のもとで、ポンプ156によって、針72を通って、所望のセメント流路および/またはバリア領域152内に注入され得る(図24Bを参照)。充填材154は、圧縮された海綿骨を圧力がかかっている状態で押し、材料154が流路/バリア領域152を充填するにつれて、流路/バリア領域152の容積を増大させる(図24Cを参照)。充填材によって及ぼされる内部圧力は、さらに、最近破砕した皮質骨を、破砕する前の位置に移動させる役割を果たし得る。流動性の材料は、上記のように、硬化された状態に設定され得る。
【0196】
異なる椎体レベルに対して異なる治療技術を用いることによって、複数のレベルの手法を実行することができる。例えば、所定の椎体層にひびが入り、圧迫骨折を経験した場合、上記の空洞形成および骨を持上げる技術が有利に用いられ得る。空洞形成および骨を持上げる技術は、1つ以上の膨張可能な大きな体56の使用後、充填材の低圧導入(図10〜12に示すように)を行うこと、または、1つ以上の小さな膨張可能な体150の使用後、充填材の高圧導入(図24A〜24Cに示すように)を行うこと、または、これらの組み合わせを用いる(例えば、相互的な手法において)ことを含み得る。
【0197】
椎体の強化および痛みの減少を目的とする椎骨移植術(vertebroplasty techniques)を用いて別の椎体を治療することが示され得る。例えば、椎体の終板が、膨張可能な構造物を安全に挿入することができない状態まで減圧した場合、および/または、椎体内で膨張した場合、骨セメントは、圧力をかけられた状態で、針を通って、椎体の海綿骨に直接注入され得る(空洞形成なしに)。骨セメントは、海綿骨を貫通する。セメントに対する流動抵抗を減少させるために、針は、図22A、22B、または22Cに示すような増加する内部直径を有し得る。減少した流動抵抗は、より粘性のあるセメントを用いることを可能にする。その結果、セメントが椎体からにじみ出る可能性が減少される。
【0198】
さらに、異なる治療技術を同じ椎体の異なる領域に用いることができる。例えば、任意の上記の空洞形成および骨を持上げる技術が椎体のある領域に適用され得、従来の椎骨移植術が同じ椎体の別の領域に適用され得る。このような手法は、特に、上記のように、脊柱側弯症の治療に適している。あるいは、種々の開示される技術は、同じ脊柱内の別々の椎体に利用され得る。
【0199】
本発明の特徴は、特許請求の範囲に記載される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、1998年8月14日に出願され、「Systems and Methods for Placing Materials into Bone」と称された同時係属中の米国特許出願第09/134,323号の一部継続である。
【0002】
本発明は、概して、人および他の動物における骨の状態の治療に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に「バルーン」と呼ばれる、膨張可能構造物の海綿骨内への配置は公知である。例えば、米国特許第4,969,888号および第5,108,404号は、骨折、または、人および動物の他の骨粗鬆症状態および非骨粗鬆症状態の骨を固定するために、海綿骨に膨張可能構造物を用いるデバイスおよび方法を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、骨を治療するシステムおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面によれば、システムおよび方法は、脊柱の少なくとも二つの椎体を治療する。システムおよび方法は、脊柱の第一および第二椎体それぞれの内部領域を治療するように動作可能な第一および第二ツールアセンブリを利用する。システムおよび方法は、第一および第二ツールアセンブリを少なくとも一定時間同時に動作させて、第一および第二椎体を治療するための指針を提供する。
【0006】
本発明の別の局面によれば、システムおよび方法は、海綿骨を圧縮するデバイスを用いる。デバイスは、骨に挿入され、海綿骨内で膨張して海綿骨を圧縮するように適応した壁を含む。システムおよび方法は、デバイスが膨張する前または後のいずれかに骨内に挿入される皮質骨充填材を含む。
【0007】
本発明の別の局面によれば、システムおよび方法は、皮質骨を通って海綿骨の中へのアクセス経路を規定する器具導入器を含む。システムおよび方法はまた、海綿骨を貫くように、アクセス経路を通って前進するサイズにされた大きさを有する遠位体を含む。一実施形態において、器具は、アクセス経路より大きな大きさを有し、海綿骨内で選択された深さを越えて遠位体部が貫通することを防ぐ位置を有する近位ストップ(proximal stop)を有する。別の実施形態において、先端領域は鈍い終点を含み、皮質骨を裂くことなく、触知して皮質骨と接触したことを示す。
【0008】
本発明の別の局面によれば、システムおよび方法は、皮質骨を通って海綿骨内へのアクセス経路を規定する器具導入器を用いる。グリッピングデバイスは、外部皮膚表面に位置し、器具導入器と系合して、器具導入器を所望の方向に維持する。
【0009】
本発明の別の局面によれば、システムおよび方法は、折りたたんだ状態で骨内へ挿入され、その後、膨張され、海綿骨内に空洞を形成するように適応されたデバイスを含む。システムおよび方法は、デバイスが折りたたんだ状態に戻り、骨から引き抜かれると、空洞内部に真空を形成しないようにするために、流体輸送経路を用い、ソースから空洞内へ流体を運搬する。
【0010】
本発明の別の局面によれば、システムおよび方法は、骨内へ挿入され、海綿骨内で膨張するように適応されたデバイスを含む。輸送経路は、デバイス内へ膨張媒体を運搬する。膨張媒体は、膨張を可視できるようにするための量の材料を含む。システムおよび方法は、輸送経路と連絡し、デバイス内の膨張媒体内に存在する材料の量を減少させように動作する交換アセンブリを含む。
【0011】
本発明の別の局面は、皮質骨に開口部を形成するシステムおよび方法を提供する。一実施形態において、システムおよび方法は、柔軟なシャフト部を含む支持体を用いる。皮質骨切断要素は、柔軟なシャフト部上に保持される。要素は、力を加えると、皮質体に開口部を形成するように動作する。別の実施形態において、皮質骨切断要素は、骨内に開口部を形成するために支持体上で保持される。膨張可能構造物はまた、支持体上に保持され、開口部を通って挿入され、皮質骨に空洞を形成するように膨張されるように適応されている。
【0012】
本発明の様々な特徴および利点は、以下の説明および図面、ならびに、特許請求の範囲で述べられる。
【0013】
本発明は、本発明の意図、または、必須の特徴から逸脱することなく、様々な形式で具現化され得る。本発明の範囲は、特定の説明ではなくて、上掲の特許請求の範囲において規定される。従って、特許請求の範囲に等価な意味および範囲内に属する全ての実施形態は、特許請求の範囲によって網羅されるものと意図される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、人の脊柱の側面図である。
【図2】図2は、ほぼ図1の線2−2に沿って切り取られた、一部が断面で切断された状態の、人の椎体の代表的な冠状図である。
【図3】図3は、図1に示される脊椎の一部である、一部が断面で切断された状態のいくつかの椎体の側面図である。
【図4】図4は、使用時に海綿骨を圧縮する膨張可能構造物を遠位で保持するツールの平面図である。このツールは、示される構造物は折りたたんだ状態である。
【図5】図5は、図4で示されたツールによって保持される膨張可能構造物の拡大側面図である。
【図6】図6は、図4および図5で示された単一のツールが、折りたたんだ状態で配置された、および、図2で示された椎体の冠状図である。
【図7】図7は、ツールが海綿骨を圧縮し、空洞を形成するように膨張した状態の、図6で示された椎体およびツールの冠状図である。
【図8】図8は、ツールが空洞を形成した後に取り除かれた状態の、図6および図7で示された椎体の冠状図である。
【図9A】図9Aは、空洞が椎体を強化する材料で充填された状態の、図8で示された椎体の冠状図である。
【図9B】図9Bは、椎体内部の空洞を充填する別の方法を示す。
【図9C】図9Cは、空洞が材料で約半分充填された状態の、図9Bの椎体を表す。
【図9D】図9Dは、空洞が実質的に材料で充填された状態の、図9Bの椎体を表す。
【図10】図10は、図4および図5で示された二つのツールが、両側のアクセスを通り、海綿骨を圧縮し、隣接した略対称の空洞を形成するように膨張した状態で配置された、図2で示された椎体の冠状図である。
【図11】図11は、略対称の空洞を形成後、ツールが取り除かれ、空洞が椎体を強化する材料で充填された状態の、図10で示された椎体の冠状図である。
【図12】図12は、略非対称の空洞を形成後、ツールが取り除かれた状態の、図10で示された椎体の冠状図である。
【図13】図13は、図4および図5で示された六つのツールが、各椎体において二つの横方向のアクセスを通って、折りたたんだ状態で配置された、三つ隣接した椎体の前部断面図である。
【図14A】図14Aは、図13で示された椎体のうちの一つの模式的な前部断面図である。この図では、海綿骨を圧縮し、隣接する空洞を形成するために、膨張可能構造物へ段階的に圧力を交互に加える。
【図14B】図14Bは、図13で示された椎体のうちの一つの模式的な前部断面図である。この図では、海綿骨を圧縮し、隣接する空洞を形成するために、膨張可能構造物へ段階的に圧力を交互に加える。
【図14C】図14Cは、図13で示された椎体のうちの一つの模式的な前部断面図である。この図では、海綿骨を圧縮し、隣接する空洞を形成するために、膨張可能構造物へ段階的に圧力を交互に加える。
【図14D】図14Dは、図13で示された椎体のうちの一つの模式的な前部断面図である。この図では、海綿骨を圧縮し、隣接する空洞を形成するために、膨張可能構造物へ段階的に圧力を交互に加える。
【図15A】図15Aは、図14A〜図14Dで示された椎体のうちの一つの模式的な前部断面図である。この図は、椎体を強化するために、材料を隣接する空洞に充填する別のシーケンスを表す。
【図15B】図15Bは、図14A〜図14Dで示された椎体のうちの一つの模式的な前部断面図である。この図は、椎体を強化するために、材料を隣接する空洞に充填する別のシーケンスを表す。
【図16A】図16Aは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16B】図16Bは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16C】図16Cは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16D】図16Dは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16E】図16Eは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16F】図16Fは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16G】図16Gは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16H】図16Hは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図16I】図16Iは、図14A〜図14D、ならびに、図15Aおよび図15Bで示された椎体の冠状図である。この図は、横方向のアクセスを生成し、椎体の海綿骨を圧縮して内部空洞を形成するように配置されたツールを示す。この内部空洞は、椎体を強化する材料で充填される。
【図17】図17は、関連する心出しスリーブを有する、半径を減少した密閉器具の分解側断面図である。この器具は、特に椎弓根を通って椎体にアクセスを形成するように配置され得る。
【図18A】図18Aは、椎体へのアクセスを生成するように配置され得るドリルビット器具の側断面図である。ドリルビット器具は、柔軟性のあるシャフトを有し、曲がった末端部を有するカニューレ器具を通って配置される。
【図18B】図18Bは、椎体へのアクセスを生成するように配置され得るドリルビット器具の側面図である。ドリルビット器具は、柔軟性のあるシャフトを有し、曲がった末端部を有するガイドワイヤを越えて配置される。
【図18C】図18Cは、椎体へのアクセスを生成するように配置され得るドリルビット器具の側面図である。ドリルビット器具は、柔軟性のあるシャフトを有し、その遠位端を曲げるステアリングワイヤを含む。
【図19】図19は、椎体の前部皮質壁に裂け目を生成する様態の脊髄針(spinal needle)ツールの配置を示す、椎体の冠状図である。
【図20A】図20Aは、椎体の前部皮質壁の裂け目を防ぐメカニカルストップを有するドリルビット器具の拡大側面図である。
【図20B】図20Bは、椎体の前部皮質壁が裂けることなく、椎体の内部の大きさを測定するように配置され得る、皮質壁プローブの拡大側面図である。
【図21】図21は、配置され、かつ、膨張された膨張可能構造物を有する椎体の冠状図である。その図では、引き続き構造物を収縮させて、除去した際に真空が形成されないように液体が導入される様子を示す。
【図22A】図22Aは、材料を海綿骨に形成された空洞に導入するツールの側面図である。このツールは、全流体抵抗を減少するために階段状の外形を有するノズルを備える。
【図22B】図22Bは、材料を海綿骨に形成された空洞に導入するツールの側面図である。このツールは、全流体抵抗を減少するためにテーパー状の外形を有するノズルを備える。
【図22C】図22Cは、材料を海綿骨に形成された空洞に導入するツールの側面図である。このツールは、全流体抵抗を減少するために内部を縮小した外形を有するノズルを備える。
【図23】図23は、使用前に、様々な器具およびツールを保持するキットの上面図である。これらの道具およびツールは、図16A〜図16Iに一般的に示されるように、単一の椎体に複数のアクセス経路を生成し、海綿骨を圧縮して、材料で充填される空洞を形成するために使用可能である。
【図24A】図24Aは、小さな膨張可能体が、小さな空洞を生成するように針を通って配置され、椎体を強化するために、針を用いて加圧下で充填材を注入し、その空洞を充填し拡大する様子を示す、椎体の冠状図である。椎体の冠状図である。
【図24B】図24Bは、小さな膨張可能体が、小さな空洞を生成するように針を通って配置され、椎体を強化するために、針を用いて加圧下で充填材を注入し、その空洞を充填し拡大する様子を示す、椎体の冠状図である。
【図24C】図24Cは、小さな膨張可能体が、小さな空洞を生成するように針を通って配置され、椎体を強化するために、針を用いて加圧下で充填材を注入し、その空洞を充填し拡大する様子を示す、椎体の冠状図である。
【図25】図25は、カテーテル管の端部において保持される膨張可能体の拡大側断面図である。この膨張可能体は、一体化したドリルビット器具をさらに含む。
【図26A】図26Aは、カニューレ器具のためのロックデバイスの一実施形態の斜視図である。
【図26B】図26Bは、カニューレ器具のためのロックデバイスの別の実施形態の斜視図である。
【図27】図27は、トロカールおよびカニューレ器具を含む複合ツールの斜視図である。
【図28】図28は、トロカールがカニューレ器具から分離された状態の、図27で示された複合器具の斜視図である。
【図29A】図29Aは、手が図27で示されたツールの複合ハンドルと係わった状態の斜視図である。
【図29B】図29Bは、カニューレ器具がトロカールから分離した場合の手がカニューレ器具のハンドルと係わる様子の斜視図である。
【図30】図30は、複合ハンドルを用いて軸方向の力、および/または、ねじり力を加えることによって、図27で示された複合器具が椎体内に配置される様子を示す上面図である。
【図31】図31は、図27に示される複合ツールの一部をなすカニューレ器具を通ってドリルビットが配置される様子を示す、椎体の上面図である。
【図32】図32は、構造物内の放射性不透過性媒体を部分的に放射線不透過性の媒体、または、放射線透過性の媒体で置き換える、および/または、薄めるための交換チャンバーを表す。
【図33】図33は、本発明の特徴を具現化する、カニューレおよび材料導入デバイスの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書は、膨張可能体を用いて骨を治療する新規なシステムおよび方法を説明する。骨を治療するために膨張可能体を用いることは、概して、米国特許第4,969,888号、および、第5,108,404号で開示されている。これらは、本明細書中で参考として援用される。この点における改善は、1994年1月26日に出願された米国特許出願第08/188,224号、1995年6月7日に出願された米国特許出願第08/485,394号、1996年6月5日に出願された米国特許出願第08/659,678号で開示されている。同出願のそれぞれを、本明細書中で参考として援用する。
【0016】
新規なシステムおよび方法は、椎体の治療に関して説明される。しかし、そのように説明されるシステムおよび方法が、椎骨への応用に制限されないことは、理解されるべきである。システムおよび方法は、橈骨、上腕骨、大体骨、脛骨、または、踵骨(これらに限定されない)のような骨を含む様々な種類の骨の治療に適応可能である。
【0017】
(I.椎体)
図1に示すように、脊柱10は、脊椎骨12、仙骨14、および、尾てい骨16(または、尾骨と呼ばれる)と呼ばれる多くの固有な形状を有する骨を含む。脊柱10を構成する脊椎骨12の数は、動物の種類に依存する。(図1に示す)人には、7個の頚椎18、12個の胸椎20、および、5個の腰椎22を含む24個の脊椎骨12がある。
【0018】
図1に示すように、側面から見ると、脊柱10は、S型カーブを形成している。カーブは、重い頭を支える機能を果たす。四つ足動物では、背骨のカーブはより単純である。
【0019】
図1〜図3に示すように、各脊椎骨12は、椎体26を含む。椎体26は、脊椎骨12の前(すなわち、正面または胸)側へ広がっている。図1〜図3に示すように、椎体26は、楕円の円板形状である。図2および図3が示すように、椎体26は、緻密な皮質骨28で形成された外部を含む。皮質骨28は、網目の海綿状、または、スポンジ状の骨32(髄様骨、または、小柱状骨(trabecular bone)とも呼ばれる)から成る内部容積30を取り囲む。椎間板34と呼ばれる「クッション」は、椎体26の間に位置する。
【0020】
脊椎孔36と呼ばれる開口部は、各脊椎骨12の後部(すなわち、背)側に位置している。脊髄神経節39は、脊椎骨36を通る。脊髄38は脊柱管37を通る。
【0021】
椎弓40は、脊柱管37を取り囲む。椎弓40の椎弓根42は、椎体26に隣接する。棘突起44は、左右横突起46と同じように、椎弓40の後部から延びる。
【0022】
(II.脊柱本体の治療)
(A.横方向のアクセス)
脊柱本体へのアクセスは、脊柱本体内の標的となる位置、介在する解剖学的構造物、および処置の所望される複雑さに依存して、多くの異なる方向から達成され得る。例えば、アクセスは、椎弓根42を通して(椎弓根を貫通して)、椎弓根の外側から(椎弓根の範囲外から)、脊柱本体のいずれかの側部に沿って(後部横方向から)、横方向または前側から、取得され得る。さらに、このようなアプローチは、閉じた、最小限に侵襲性の処置または開かれた手順に用いられ得る。
【0023】
図4は、収縮可能な本体を用いている脊柱本体の圧縮破断または崩壊を予防または治療するためのツール48を示している。
【0024】
ツール48は、近位端部52および遠位端部54をそれぞれ有するカテーテル管50を含んでいる。遠位端部54は、収縮可能な外面壁58を有する構造物56を備えている。図4は、収縮されたジオメトリの壁58を有する構造物56を示している。図5は、収縮されたジオメトリの構造物56を示している。
【0025】
折りたたまれたジオメトリは、図6に示すように、標的となる脊柱本体26の内部容積30への構造物56の挿入を可能とする。構造物56は、種々の方法で内部容積30に導入され得る。図6は、単一の横方向のアクセスを通した構造物56の挿入を示しており、脊柱本体12の横側を通って延びている。
【0026】
横方向のアクセスは、例えば、圧縮破断が椎弓根42の水平面より下で脊柱本体26を崩壊させる場合、または、医者の好みに基づく他の理由に指示される。横方向のアクセスは、閉じた最小限の侵襲性の処置または開いた処置のいずれかで実行され得る。当然、この技術において既知である介在する解剖学的構造物に依存して、横方向のアクセスは、脊髄の全レベルでの脊柱の治療のために最善のアクセスパスでないかもしれない。
【0027】
カテーテル管50は、内腔80を含んでいる(図4参照)。管腔80は、カテーテル管50の近位端部において加圧された流体ソース、例えば、塩水に結合されている。流体を含むシリンジは、圧力ソースを構成し得る。管腔80は、圧力下で流体を構造物56に運搬する。その結果、壁56は、図5および7に示すように収縮する。
【0028】
流体は、好ましくは、構造物56に入った際に視覚化を容易にするために、放射線不透過性とされる。例えば、Renograffin(R)が、この目的のために用いられ得る。流体が放射線不透過であるため、構造物56の収縮がX線透視法またはCT視覚化のもとでモニタされ得る。リアルタイムMRIを用いて、構造物56が、放射線不透過の材料なしで、滅菌水、塩水溶液、または糖溶液で充填され得る。所望であれば、他の種類の視覚化が、相溶性の参照マーカを搬送するツール48と共に用いられ得る。代替として、構造物は、放射線不透過の材料を構造物の材料内に組み込み得、または、構造物は、放射線不透過の材料で着色または「付着」され得る。
【0029】
壁58の収縮は、構造物56を増大させ、内部容積30内の海綿状の骨32を望ましいように引き締め(図7参照)、および/または皮質骨の望ましい配置を引き起こす。海綿状の骨32の引き締めは、空洞60を脊柱本体26の内部容積30内に形成する(図8参照)。後に記載されるように、充填材62は、引き締められた海綿状の骨32が形成する空洞60に安全に、且つ、容易に導入され得る。一つの実施形態において、構造物56の収縮は、実質的に空洞60を取り囲む引き締められた海綿状の骨の領域を望ましく形成する。この領域は、充填材62の漏出を制限するバリアを脊柱本体26の外側に望ましいように含む。代替の実施形態において、構造物56の収縮は、海綿状の骨32を、皮質骨に存在し得る小さい破断に望ましく押圧し、これにより、皮質壁を通って出る充填材62の可能性を低減する。他の代替の実施形態において、構造物56の収縮は、皮質壁(例えば、脊椎中心底の血管)を通過する脊柱本体内の血管を望ましく平坦化し、その結果、充填材62が脊柱本体の外側に、皮質壁の静脈構造物を通って遊出する機会を少なくする。代替として、構造物56の収縮は、皮質骨のより密度が低く、および/または弱い領域を圧縮し、残りの皮質骨の平均密度および/または全体の強度を望ましく増加する。
【0030】
構造物56による皮質骨の引き締めは、さらに、内部の力を皮質骨にはたらかせ得る。代替として、構造物56は、構造物の収縮および/または操作が皮質骨の配置を引き起こすように、直接、皮質骨に接触し得る。脊柱本体26内の構造物56の収縮は、これにより、破壊され且つ圧縮された骨を、元の破壊される前の位置に戻すまたはその位置の近くに高めることまたは押すことを可能にする。
【0031】
構造物56は、好ましくは、脊柱本体26の内側である程度凝固することができるように、適切な待ち周期の間、例えば、3〜5分間脊柱本体26内で膨張されたままにされる。適切な待ち周期の後、医者は、図8が示すように、構造物56を破壊し取り除く。構造物56の除去の際、形成された空洞60は、内部容積30内に残される。
【0032】
図9B、9C、および9Dが示すように、医者は、次に、(後に詳細に記載されるように)適切なノズル114を用いて、形成された空洞60に充填材62を導入する。充填材62(図9Aは空洞60への導入の後を示す)は、空洞60内のねじれ力、張力、せん断および/または圧縮力に抵抗する材料を備え得、これにより、皮質骨28のための一新された内部構造物支持を提供する。例えば、材料62は、骨セメント、同種移植片組織、自家移植片組織、またはヒドロキシアパタイト、合成骨代用物等の流動可能な材料を備え得、これは、空洞60に導入され、および、いずれ、徐々に固くなる条件に設置される。材料62は、さらに、ゴム、ポリウレタン、シアノアクリレート、またはシリコンゴム等の圧縮抵抗材料を含み得、これは、空洞60に挿入される。材料62は、さらに、半固体のスラリー材料(例えば、塩水塩内の骨スラリー)を含み得、これは、空洞60内に配置される多孔骨組構造物内に含まれるか、または、空洞60内の圧縮力に抵抗するために、空洞60内に、直接、注入される。代替として、材料62は、ステント、強化バー(Re−Bar)または他の種類の内部指示構造物を含み得、これは、骨および/または充填材上に作用する圧縮、張力、ねじれおよび/またはせん断力に望ましく抵抗する。
【0033】
充填材62は、さらに、上述のように、薬物、または薬物および圧縮抵抗材料の組み合わせを含み得る。
【0034】
代替として、充填材62は、空洞内の圧縮、張力、ねじれおよび/またはせん断力に耐える骨充填材を含み得る。例えば、患者が手術の直後に脊柱内の重大な力を経験することを予想されない場合、例えば、患者がベッドで休息するように拘束される、または、添木(brace)を装着する場合、充填材62は、直ちに負荷を負うことができる必要がない。逆に、充填材62は、骨の成長のための骨組を提供し得、または、骨の成長を容易にするまたは促進する材料を含み得、骨が時間周期を経て修復することを許容する。別の代替として、充填材は、骨粗鬆症、癌、退行性の椎間板病、心臓病、後天性免疫不全症候群(AIDS)または糖尿病を含む(ただし、これらに限定されない)、種々の骨または非骨関連の疾患の治療のために有機または無機材料の再吸収可能または部分的に再吸収可能なソースを含み得る。このようにして、空洞および/または充填材は、治療された骨の外側に位置する疾患の治療のための材料のソースを含み得る。
【0035】
代替の実施形態では、収縮に続いて、収縮可能な構造物56は、空洞60に取り残され得る。この構成では、流動可能な充填材62は、構造物56に運搬され、この構造物56は、材料62を含むのに役立つ。構造物56は、材料62で充填され、皮質骨28のために一新された内部構造物支持機能を提供するのに役立つ。
【0036】
この実施形態では、構造物56は、不活性な、耐久性の、非分解性の樹脂材料、例えば、ポリエチレンおよび他のポリマーから形成され得る。代替として、構造物56は、不活性な、生物吸収可能な材料から形成され得、この材料は、体による吸収または除去のための時間を経て分解する。
【0037】
この実施形態では、充填材62そのものは、構造物56のための収縮媒体として機能し得、海綿状の骨を引き締め、空洞60を形成し、これにより、引き締めおよび内部支持機能の双方を行う。代替として、構造物56は、最初に、海綿状の骨を引き締め、空洞60を形成するために、他の媒体と共に収縮され得、充填材62は、内部支持機能を提供するために収縮媒体が構造物56から取り除かれた後に、実質的に導入され得る。別の代替として、充填材は、取り付け可能なポリマーまたはアルギン酸カルシウムを含む(ただしこれらに限定されない)、二つの部分の材料を含み得る。所望の場合、充填材の一方の部分が収縮媒体として用いられ得、他方の部分が所望の空洞が達成された後に付加され得る。
【0038】
構造物56は、さらに、浸水性の、半浸水性の、または多孔性の材料から形成され得、これは、充填材62内に含まれる薬物の海綿状の骨との接触部への構造物56の壁を介しての輸送を許容する。所望の場合、材料は、材料を通じた浸透性および/または粒子輸送を許容する膜を含み得、または、材料は、薬物が材料を通じて吸収され、および/または拡散することを許容する材料を含み得る。代替として、薬物は、多孔性の壁の材料を通じて、構造物56の壁にわたる圧力差を形成することによって輸送され得る。
【0039】
別の代替として、患者の体からの流体、細胞および/または他の物質は、流体/細胞の分析、身体の内の成長、骨髄の摘出、および/または遺伝子治療(遺伝子交換治療を含む)を含む(ただし、これらに限定されない)、種々の目的のために材料を通って構造物に通過し得、および/または引き出され得る。
【0040】
(B.双方向性アクセス)
図10および図11に示すように、実質的にすべての内部容積を占有するほど拡大した空洞64は、椎体26の対向する横の側部に作られた2つの横方向の別々のアクセスPLA1およびPLA2を通る複数の膨張可能な構造物56Aおよび56Bの展開により形成され得る。図10において、膨張可能な構造物56Aおよび56Bは、カテーテル管50Aおよび50Bの遠位端(これらは別々であり、共に結合しない)で別々のツール48Aおよび48Bにより搬送される。
【0041】
複数の膨張可能な構造物56Aおよび56Bの膨張により、2つの空洞部分64Aおよび64Bが形成される(図11に示される)。空洞部分64Aおよび64Bは、海綿質32内で横方向に間隔が空けられている。この横方向に間隔が空けられた空洞部分64Aおよび64Bは、好ましくは隣接して、一つの合わせた空洞64を形成する(図11に示される)。この空洞64中には、充填材が注入される。
【0042】
代替的(図示せず)には、横方向に間隔が空けられた空洞部分64Aおよび64Bは、海綿質の領域で分離されたままであり得る。充填材が、それぞれの空洞部分64Aおよび64Bにさらに注入される。
【0043】
図10は、実質的に膨張された場合に、一般に同じ容積および形状を有する構造物56Aおよび56Bを示す。この構成は、海綿質32を緻密化するための対称的な構成を提供する。ほぼ対称に拡大した空洞64(図11に示す)が生じる。
【0044】
代替的には、構造物56Aおよび56Bは、実質的に膨張された場合に、異なる容積および/または形状を有し、それにより海綿質32を緻密化するための非対称的な構成が提供される。ほぼ非対称な空洞66(例えば、図12に示す)が生じる。
【0045】
構造物56Aおよび56Bのサイズおよび形状の選択(対称か非対称か)は、目標の皮質骨28のサイズおよび形状ならびに隣接する内部の解剖学的構造物に依存するか、あるいは海綿質32に形成されることが望ましい空洞64または66のサイズおよび形状による。複数の膨張可能な構造物56Aおよび56Bの展開により、すべてのタイプの骨の多様で複雑な形状を有する空洞64または66を形成することが可能になることが認識され得る。
【0046】
一つの椎体の圧縮破壊または崩壊は、隣接する椎体(単数または複数)の圧縮破壊または崩壊と組み合わせて発生し得る。例えば、1つの椎体の故障は、隣接する椎体の負荷を変化させ得るか、あるいは隣接する椎体の不均一な負荷をもたらし、さらに1つ以上の隣接する椎体の故障となり得る。1つの椎体を弱化させるおよび/または破壊を引き起こすファクタは、しばしば脊柱内の他の椎体を弱化させるおよび/または影響を与えるので、これらの隣接する椎体は、破壊および/または崩壊を受け易い。同様に、一つの椎体の圧縮破壊の処置は、隣接する椎体の負荷を変更し、おそらく隣接する1つ以上の椎体の故障につながり得る。それゆえ、1回の手順の間の2つ以上の椎体の処置が示され得る。
【0047】
図13は、それぞれ双方向性アクセスを有する、3つの隣接する椎体26A、26B、および26Cを処置する手順を示す。図示されるように、複数の双方向性手順は、6つの膨張可能な構造物56(1)〜56(6)(各椎体26A、26B、および26C中に2つある)の展開を必然的に伴う。図13に示すように、膨張可能な構造物56(1)および56(2)は、椎体26A中で双方向に展開される。膨張可能な構造物56(3)および56(4)は、椎体26B中で双方向に展開される。膨張可能な構造物56(5)および56(6)は、椎体26C中で双方向に展開される。
【0048】
複数の膨張可能な構造物を用いて(例えば、双方向性アクセスまたは他のタイプのアクセスを用いて)海綿質中に形成された所定の空洞64の容積は、展開された複数の膨張可能な構造物の膨張を変更することで最適化され得る。例えば、例示の実施形態では、各椎体において、1つの膨張可能な構造物56(1)がまず膨張し、続いて他の膨張可能な構造物56(2)が膨張する。
【0049】
最初に、所定の構造物56(1)〜56(6)を膨張させるために圧力が付与されると、海綿質が緻密になり、および/または皮質骨が変位し始める。構造物56(1)〜56(6)内の圧力が典型的に減衰する期間が続き、このとき海綿質は緩和し、さらに緻密になり、そして/または皮質骨がさらに変位される。1つの構造物における圧力減衰はまた、典型的には椎体内の他の膨張可能な構造物が膨張されたときに発生する。圧力が構造物56(1)〜56(6)に再び回復すると、さらなる海綿質の緻密化および/または皮質骨の変位が一般に生じる。次いで、構造物56(1)〜56(6)における圧力のさらなる減衰が通常続く。圧力の減衰は、海綿質が緻密化されて所望の量になり、および/または皮質骨が所望の位置に変位されるまで、一般に圧力の付与に続く。
【0050】
従って、最適な空洞の形成は、それぞれの膨張可能な構造物56(1)〜56(6)が連続的な段階的な様式で膨張することが可能となる場合に発生する。各構造物中の圧力が、さらに圧力を導入する前に減衰することを可能にすることにより、各構造物内で経験するピーク内部圧力が低減され、それにより構造物の故障の可能性が少なくなる。図14A〜図14Dは、椎体26A中で双方向に展開したとき、所定の対の膨張可能な構造物(例えば、56(1)および56(2))に圧力を付与する段階的手順をより詳細に示す。圧力の段階的付与はまた、1つの膨張可能な構造物が展開される場合、または横方向の様式以外で1つ以上の膨張可能な構造物が展開される場合(例えば、トランスペディキュラ(transpedicular)、エクストラペディキュラ(extrapedicular)、または前方アクセスを用いる)に用いられ得る。
【0051】
非応従性(non−compliant)の材料を導入する膨張可能な構造物が本発明の種々の目的を達成するために同様の方法で使用され得ることがまた理解されるべきである。例えば、膨張可能な構造物が非応従性の材料を含む場合、このような構造物は、先に記載された様式において海綿質内で膨張されて、海綿質を圧縮し、空洞を形成し、および/または皮質骨を変位させる。海綿質および/または皮質骨の密度および強度に応じて、この構造物への記載したさらなる圧力の付与は、容積成長および圧力減衰の同様のサイクルとなる。構造物の最大能力および/または形状に達すると、さらなる圧力を導入しても、通常構造物の容積膨張はほとんど生じない。
【0052】
図14Aにおいて、膨張可能な構造物56(1)および56(2)は、椎体26A中で別々の横方向のアクセスで個々に展開される。膨張可能な構造物56(3)/56(4)および56(5)/56(6)は、同様に、それぞれの椎体26Bおよび26C中で別々の横方向のアクセスで個々に展開される(図13に示す)。これらの横方向のアクセスを達成するための代表的な器具は、以下に記載する。
【0053】
膨張可能な構造物56(1)〜56(6)が展開されると、医者は、各椎体26A,26B、および26C中の1つの膨張可能な構造物(例えば、56(1)、56(3)、および56(5))に連続的に圧力を付与する。図14Aは、構造物56(1)に対する最初の圧力付与を示す。代替的には、医者は1つの椎体中の膨張可能な構造物を減衰させ、本明細書中に記載した構造物を膨張させ、次いで別の椎体内の膨張可能な構造物を減衰および膨張させる。別の代替例として、医者は1つの椎体中の膨張可能な構造物を減衰させ、本明細書中に記載した構造物を膨張させ、その椎体内の空洞を充填し、次いで別の椎体内の膨張可能な構造物を減衰および膨張させる。
【0054】
構造物56(1)、56(3)、および56(5)中の圧力は、各椎体26A,26B、および26Cが緩和すると経時的に減衰し、さらに圧縮し、および/または皮質骨は膨張した構造物56(1)、56(3)、および56(5)のそれぞれの存在下で変位する。構造物56(1)、56(3)、および56(5)中で圧力が減衰すると、医者は、同じ椎体26A,26B、および26Cそれぞれにおける他方の膨張可能な構造物56(2)、56(4)、および56(6)への圧力の連続的付与を進める。図14Bは、構造物56(1)中の圧力が減衰した場合の構造物56(2)への圧力の付与を示す。
【0055】
各構造物56(2)、56(4)、および56(6)中の圧力は同様に経時的に減衰し、このとき各椎体26A,26B、および26C中の海綿質は膨張した構造物56(2)、56(4)、および56(6)のそれぞれの存在下で圧縮される。構造物56(2)、56(4)、および56(6)中の圧力が減衰すると、医者は、椎体26A、26B、および26Cそれぞれにおける他方の膨張可能な構造物56(1)、56(3)、および56(5)へのさらなる圧力の連続的付与を進める。これらの構造物56(1)、56(3)、および56(5)におけるさらなる圧力の導入により、圧力の最初の付与の結果として形成された空洞部分の容積をさらに大きくする。図14Cは、構造物56(2)中の圧力が減衰した場合の構造物56(1)へのさらなる圧力の導入を示す。
【0056】
圧力は、一旦付与されると、通常は各構造物56(1)/56(2)、56(3)/56(4)、および56(5)/56(6)中で減衰し続け、海綿質が緩和すると緻密化し続け、および/または皮質骨が変位される。圧力が連続的に付与され、そして減衰することが可能になると、所望の空洞容積が各椎体26A、26B、および26Cにおいて達成されるまで、および/または皮質骨の所望の変位が達成されるまで、空洞部分の容積はさらに連続的に拡大する。
【0057】
これは、構造物26(1)/26(3)/26(5)へ最初に連続して、次に各椎体26A、26B、および26Cの所望の終了点が達成されるまで3つの椎体26A、26B、および26Cにおける構造物26(2)/26(4)/26(6)へ連続的に、圧力の交互の段階的付与を考慮する。1つの実施形態では、所望の空洞容積は、海綿質が周りの皮質骨に対して均一に、硬く緻密化される場合に達成される。代替の実施形態では、所望の空洞容積は、さらなる圧力の導入の後に顕著な圧力減衰がもはや発生しない場合(例えば、実質的にすべての海綿質が圧縮される場合、および/または皮質骨がこれ以上変位しない場合)に達成される。
【0058】
海綿質の緻密化は、変化するファクタ(骨密度における局所的変動を含む)に起因して不均一になり得る。さらに、皮質骨の所望の変位は、単独か海綿質の緻密化と組み合わせてのいずれかで、同様に達成することができる。皮質骨を変位するために複数の構造物を利用することにより、最大量の力がより大きな表面領域にわたって皮質骨に付与され、それにより皮質骨の変位の可能性を最大化し、同時に構造物(単数または複数)および/または海綿質との接触からの皮質骨へのダメージを最小化する。
【0059】
各空洞64についての所望の容量および/または各椎体26A、26B、および26C中の皮質骨の所望の変位が達成されると、医者は選択した充填材62をそれぞれ形成された空洞64に運搬するタスクを開始する。空洞64は、基本的に任意の順番で充填材62が充填され得る。そして、すべての膨張可能な構造物は、充填材を所定の空洞に運搬する前にすべての空洞64を形成するために膨張される必要があるわけではない。
【0060】
1つの実施形態では、充填材は各椎体26A、26B、および26Cの空洞部分64Aおよび64Bに交互のステップで運搬される。この技術では、膨張可能な構造物56(2)、56(4)、および56(6)により形成される空洞堆積64Bが連続で充填される前に、膨張可能な構造物56(1)、56(3)、および56(5)により形成される空洞堆積64Aが連続で充填される。
【0061】
図15Aおよび図15Bは、椎骨体26Aに対する充填順序の本実施形態を示す。椎骨体26Bおよび26Cは同様な態様で充填される。椎骨体26Aでは、膨張可能な構造物56(1)が収縮されそして除去される。次いで充填材62は、対応する空洞部分64Aに運搬される。次に、椎骨体26Bでは、膨張可能な構造物56(3)が収縮されそして除去され、充填材62が対応する空洞部分64Aに運搬される。次に、椎骨体26Cでは、膨張可能な構造物56(5)が収縮されそして除去され、充填材62が対応する空洞部分64Aに運搬される。膨張可能な構造物56(2)、56(4)、および56(6)は、充填プロセスのこの部分については、各椎骨体26A、26Bおよび26C内部で膨張されたままである。
【0062】
医者は椎骨体26A、26B、および26Cに運搬された充填材62が硬化するまで待つ。次いで、椎骨体26Aについて15Aに示されるように、膨張可能な構造物56(2)が収縮されそして除去される。充填材62は、対応する空洞部分64Bに運搬される。次に、椎骨体26Bでは、膨張可能な構造物56(4)が収縮されそして除去され、充填材62が対応する空洞部分64Bに運搬される。最後に、椎骨体26Cでは、膨張可能な構造物56(6)が収縮されそして除去され、充填材62が対応する空洞部分64Bに運搬される。上述の順序は、充填材62が複数の空洞64を充填するように混合および迅速に分配されることを可能にする。
【0063】
ある代替的な実施形態では、代替の工程において、次の椎骨体を充填する前に各椎骨体の空洞部分に運搬される。この技術では、膨張可能な構造物56(1)は、椎骨体から除去され、充填材は対応する部分64Aに運搬される。次いで、膨張可能な構造物56(2)は椎骨体から除去され、充填材は、対応する空洞部分64Bに運搬される。所望ならば、膨張可能な構造物56(2)が椎骨体から除去される前に、充填材はある程度硬化することが可能にされ得る。次いでこのプロセスは、処置されるべき残存する椎骨体に対して繰り返される。この実施形態では、椎骨体がこの充填プロセスの間、充填材および/または膨張可能な構造物によって望ましくは実質的に支持され、これによって、充填操作の間、空洞が崩壊する機会および/または望ましくない方向にずれる皮質骨を低減および/または除去する。
【0064】
(III.両側アクセスを確立するための機具)
典型的な両側手順の間、患者を手術台に横たえ得る。医者の好みに応じて、患者を手術台の上にうつ伏せ、横向き、斜め向きに横たえ得る。
【0065】
(A.複数のアクセスの確立)
(1.携帯型器具の使用)
各アクセス(図16A参照)について、医者は脊髄針アセンブリ70を患者の背中の軟組織STに導入する。放射線医学モニタリングまたはCTモニタリングにおいて、医者は、脊髄針アセンブリ70を、軟組織を貫通して目標の椎骨体26に向かって前進させる。また医者は定位装置を使用して、処置の間、脊髄針アセンブリ70および以後のツールの前進をガイドする。この構成では、定位ガイドのための基準プローブが軟組織を貫通して挿入され、目標の椎骨体の表面に埋め込まれ得る。また全体の処置は、非鉄材料(例えば本明細書中で参考として援用する米国特許第5,782,764号および米国特許第5,744,958号に開示されるようなプラスチックまたは繊維複合体)から作製されるツールおよびタグを使用してモニタリングされ得る。このツールおよびタグはコンピュータによって膨張された全室MRI環境において使用するのに適している。
【0066】
典型的には、医者は、アセンブリ70によって、例えばリドカインのような局所麻酔を投与する。いくつかの場合では、医者は他の形態の麻酔を選択し得る。
【0067】
医者は、椎骨体26の側面を貫通して、皮質骨28および海綿質32に侵入するように脊髄針アセンブリ70を位置合わせする。好ましくは、貫通の深さは、椎骨体26の約60%〜95%である。
【0068】
医者はスタイラス72を保持し、脊髄針アセンブリ70のスタイレット74を引っ張る。次いで図16Bに示されるように、医者は、ガイドピン器具76を、スタイラス72を貫通して海綿質32にスライドさせる。ここで、医者はスタイラス72を除去し、ガイドピン器具76を海綿質32内部に残す。
【0069】
次に図16Cに示されるように、医者は、ガイドピン器具76にわたって、まず遠位端から閉塞器具78をスライドさせる。医者は閉塞器具78をハンドル80に接続させることによって閉塞器具78の操作を容易にする。
【0070】
医者は患者の背中に小さな切開部を作る。医者は長手方向の力をハンドル80に付与しながらハンドル80をねじる。これに応じて、閉塞器具78が回転し、切開部を介して軟組織を貫通する。また医者は、ハンドル80を徐々に叩くかまたは適切なさらなる長手方向の力をハンドル80に付与して、ガイドピン器具76に沿って軟組織を貫通して皮質骨の全部位に閉塞器具78を前進させる。また医者は、適切なストライクツールを用いてハンドル80を叩き、閉塞器具78を椎骨体26に前進させて、その位置を確定し得る。
【0071】
図16Cに示される閉塞器具78は、概して横方向のアクセスを確立するのに適した外径を有する。しかし、椎骨体26のより狭い領域(例えば茎42)を貫通させることが望まれる場合(トランス柄方向(transpedicular)アクセスと呼ばれる)、閉塞器具78の外径は低減され得る(図17に示される)。図17における閉塞器具78の低減された外径を、茎42の損傷または破壊に抗して調整(mediate)する。図17における閉塞器具78の低減された直径は、皮質骨28に抗してその閉塞器具の位置を確定するために有用な尖った先端82を備える。開示された方法およびデバイスが様々な結果を有する柄方向、外部柄方向、後外側、および前方アプローチ等の他のアプローチ経路と共に使用するために十分に適することが理解される。
【0072】
次いで、医者は閉塞器具78からハンドル80を離すようにスライドさせガイドピン器具76、そしてさらに閉塞器具84にわたってカニューレ器具84をスライドさせる。所望ならば、また医者はハンドル80とカニューレ器具84とを結合させて、閉塞器具78にわたって軟組織STを貫通してカニューレ器具84を回転かつ前進させる適切なねじれ力および長手方向の力を付与し得る。カニューレ器具84を皮質骨28に接触させる場合、医者は打撃具を用いてハンドル80を適切に叩き、末端表面を椎骨体26の側面に前進させその位置を確定し得る。
【0073】
図17に示すように、低減された直径の閉塞器具78が使用される場合、カニューレ器具84の処置部位への通過の間、カニューレ器具84が除去可能な内部スリーブ86(図17にまた示される)を送達して、カニューレ器具84を低減された直径の閉塞器具78の周りに集中させ得る。
【0074】
ここで、医者は閉塞器具78を引っ張り、それをガイドピン器具76からスライドさせ、ガイドピン器具76およびカニューレ器具84をその位置のままにする。低減された直径の閉塞器具78が使用される場合、医者は内部中心化スリーブ86を除去し得る。
【0075】
図16Dに示されるように、ドリルビット器具88の機械加工された刃先または切刃90と皮質骨28との間の接触が発生するまで、医者は、カニューレ器具84を介して、まず遠位端にあるガイドピン器具76にわたってドリルビット器具88をスライドさせる。次いで医者は、ドリルビット器具88とハンドル80とを結合させる。
【0076】
X線(または別の外部視覚化システム)によってガイドされると、医者は適切なねじれ力および長手方向の力をハンドル80に付与し、ドリルビット器具88の機械加工された刃先90を回転かつ前進させて、皮質骨28を貫通して海綿質32への横方向の通路PLAを開く。穿孔された通路PLAは、好ましくは、椎骨体26を横切る通路の95%よりも大きく延びている。
【0077】
図18Aに示すように、ドリルビット器具88は、この操作を支援する可撓性シャフト部92を備える。可撓性シャフト部92は、器具88の切刃90が器具88の軸に対して湾曲することを可能にする。また図18Aに示すように、カニューレ器具84は、所望ならば、その遠位末端においてデフレクタ構成要素94を備え、所望のドリル軸に沿って可撓性シャフト部分92を湾曲させ、所望のドリル軸に沿って切刃90をガイドする。望ましくは、このようなフレキシブルな実施形態では、ドリルビット器具88は、回転切断力を骨に伝達する十分なねじれ剛性を有するように、可撓性プラスチック材料(例えばポリウレタン、あるいは、プラスチック材料に封入された可撓性金属材料またはプラスチック材料に包囲された可撓性金属材料)から作製される。
【0078】
あるいは、図18Bに示されるように、ドリルビット器具88は、ガイドワイヤ182の通路に適応するように内腔180を備えてもよい。この配置では、可撓性シャフト部分92は、ガイドワイヤ182によって提示された経路に一致する。例えば、ガイドワイヤ182が予め曲げられて、ガイドワイヤ182が椎骨体に侵入した後、切刃90の経路を変更させる。あるいは、ガイドワイヤは、形状記憶金属、形状記憶合金(ニッケル−チタン合金、銅または鉄系の合金等を含む)から作製され得、あるいは、自己操作ガイドカテーテルを含み得る。
【0079】
さらに代替的には、図18Cに示すように、ドリルビット器具88自体が内部操作ワイヤ184を送達し得る。操作ワイヤ184は、医者によって外部アクチュエータ186を用いて操作され、ガイドワイヤおよび/またはカニューレ器具84の支援なしで、切刃を有する可撓性シャフト部92を曲げる。
【0080】
椎骨体の軸に関して対称ではない海綿質内部の空洞の形成に関するさらなる詳細が、「Expandable Asymmetric Structures for Deployment in Interior Body Regions」と題された米国特許第5,972,018号に見出され得る。本出願を本明細書中で参考として援用する。
【0081】
一旦、海綿質32中の通路PLAが形成されると、図16Eに示されるように、医者は、カニューレ器具84のみそのままでドリルビット器具88およびガイドピン器具76を除去する。ドリルビット器具88によって作製された通路PLAが残る。海綿質32への皮下の横方向アクセスが達成されてきた。
【0082】
必要に応じて、医者は上述の一連の工程を繰り返して、所望の各アクセスを形成する。図13に示されるように6つのアクセスが実施される。
【0083】
(2.複合携帯型器具の使用)
携帯型器具の他の形態が使用されてアクセスを提供し得る。
【0084】
例えば、図27および図28は、この目的のために使用され得る複合器具310を示す。複合器具310は、トロカール器具320およびカニューレ器具340を含む。また複合器具310は、第1のハンドル322および第2のハンドル342を備える複合ハンドル312を備える。複合ハンドル312は複合器具310を操作する際に医者を支援する。さらに、図29Aおよび図29Bに示されるように、使用の際、医者はまた、第1のハンドル322を使用してトロカール器具320を独立して操作するか、または第2のハンドル342を使用してカニューレ器具340を独立して操作する。
【0085】
トロカール器具320は、貫通表面334を提示するように、テーパー状の遠位端を有するトロカール330を含む。使用の際、貫通表面334は、第1のハンドル322または複合ハンドル312において、医者によって付与される押圧力および/またはねじれ力に応じて、軟組織および/または骨を貫通するように意図される。カニューレ器具340は、前述したカニューレ器具84の機能を実行するばかりではなく、ハンドル322と係合して複合ハンドル312を形成するハンドル342を備える。この実施形態では、カニューレ器具84は、望ましくはトロカール330よりも直径が幾分大きいが、これと同じではない。カニューレ器具84は、トロカール330を受け入れるような大きさの内腔344を備える。望ましくは、内腔344の大きさは、カニューレ器具84がトロカール330に対してスライドおよび/または回転することを可能にし、そして内腔344の大きさは、トロカール330がカニューレ器具84に対してスライドおよび/または回転することを可能にする。カニューレ器具84の遠位端354は、望ましくは低プロファイルの表面を示す末端表面360を示し、遠位端354は、複合ハンドル312または第2のハンドル342において付与された押圧力および/またはねじれ力に応じて、トロカール330に囲まれた軟組織を貫通し得る。
【0086】
使用の際、図30に示されるように、医者は、トロカール330およびカニューレ器具84が目標の椎骨の皮質骨および海綿質を貫通するように、複合器具310を方向付ける。所望ならば、医者は、ハンドル312に長手方向の力を付与しながら複合ハンドル312をねじり得る。これに応じて、トロカール330の末端表面334の貫通およびカニューレ器具84の末端表面は、軟組織および/または骨を回転および貫通させる。
【0087】
皮質骨を通過する海綿質への貫通が複合器具310の手動による前進によって達成不可能な場合、医者は手術用ハンマー(図示せず)のような平滑化器具を用いて複合ハンドル312上の打撃板314を徐々に叩くことによって、あるいは適切なさらなる長手方向の力を複合ハンドル312に付与することによって貫通を継続し、トロカール330の遠位端334およびカニューレ器具84の末端表面を前進させ得る。
【0088】
所望ならば、上述のように医者は、骨髄針アセンブリ70を利用して最初に椎骨体にアクセスする。この配置では、複合器具310は、後でスタイレット74に沿って軟組織を貫通して目標の椎骨体にガイドされ、複合器具310(この配置では)は、トロカール330における内腔(図示せず)を通過する。一旦、トロカール330は、皮質骨を十分に貫通すると、医者はスタイレット74を引っ張り、それによって図30に示される手順における工程に到達する。
【0089】
皮質骨に貫通した後、医者は椎骨体の海綿質を貫通して複合器具310の前進を継続し、既に説明したように海綿質を貫通する通路を形成し得る。次いでトロカール330は、カニューレ器具84から引っ張られ得る。カニューレ器具84が残存して、前述の態様で椎骨体の内部において形成される通路へのアクセスを提供する。
【0090】
あるいは、皮質骨を貫通した後、医者は、図31に示されるように、カニューレ50からトロカール330を引っ張るように選択され、ドリルビット器具88を用いて海綿質内の通路を形成し得る。このような場合、医者はトロカール330をその場所で除去し、図31に示されるようにカニューレ器具84を貫通してドリルビット88を前進させる。
【0091】
ドリルビット器具88の除去によって、海綿質へのアクセスが達成されてきた。
【0092】
(3.裂け目防止および栓塞)
図16A〜図16Dに示される態様で椎骨体へのアクセスを生成するために、医者は、典型的には、図16Bおよび図16Dに示されるように海綿質32に有意な距離だけ椎骨体26の前壁上の皮質骨28に向かって、脊椎針アセンブリ70のスタイレット74およびドリルビット器具88の切刃を前進させる。望ましくは、海綿質32の密度は、これらの器具の通路への抵抗を与え、これにより医者に触覚フィードバックを付与し、器具の配置をガイドする際に支援する。さらに、海綿質32の密度は均一ではなく、急激に変化し得る。最大限に注意を払い、最高の技術を用いても、スタイレット74または切刃90は、椎骨体26の前壁における皮質骨28にスライドし、皮質骨28を貫通する。図19に示されるように、これは、椎骨体26の前皮質壁28において穴または裂け目Bを生成し得る。
【0093】
海綿質32を貫通させて切刃90を前進させることを支援するために、ドリルビット器具88は、機械的なストップ96を備え得る(図20A参照)。使用の際、機械的なストップ96は、カニューレ器具84の近位端に対して隣接する。この隣接はドリルビット器具88の椎骨体26の内部へのさらなる前進を停止する。
【0094】
機械的ストップ96の位置は、処置のための目標となる椎骨体26の大きさまたは他の骨の容積に応じて、前進させるための種々の長さを提供するように調整可能である。
【0095】
さらに、あるいはこれらと組み合わせて、ドリルビット器具88は、終端からの増分においてその器具の長さに沿って配置されるマーキング98を備え得る。マーキング98は、カニューレ器具84(図20A参照)の露出された近位端に記され、医者が椎骨体26における器具の位置を計測する。
【0096】
前皮質壁を、裂け目をつくることなく、スタイレット74、トロカール330または椎骨体内部にあるドリルビット器具88の前進を支援するために、医者はまた、図20Bに示されるように皮質壁プローブ140を利用し得る。皮質壁プローブ140は、閉塞遠位先端144を有する一般的に剛性のあるスタイレット体142を備え、スタイレット体142は、望ましくは、椎骨体の前皮質壁を容易に貫通できない。例示的な実施形態では、閉塞遠位先端144は、丸いボール形状を含む。
【0097】
皮質壁プローブ140は、海綿質の任意の有意な貫通が起こる前に、形成されたアクセス開口によって展開され得る。例えば、このアクセス開口は、脊椎針アセンブリ70を用いて形成されるが、スタイラス72およびスタイレット74は、海綿質への有意な距離だけ前進させる。スタイレット74は引っ張られ得、その代わり、皮質壁プローブ140はスタイラス72を介して前進する。医者は閉塞遠位端144と前皮質壁との間の接触を感知するまで、医者は皮質壁プローブ140を、海綿質を貫通して前進させる。望ましくは、プローブ140は放射線透過性であり、そのため海綿質を貫通するプローブ140の前進およびプローブ140と椎骨体内部の前皮質壁との接触が視覚化される(例えばX線またはリアルタイム蛍光透視またはMRI)。皮質壁プローブ140を用いて、前皮質壁の侵入を避ける方法によって、医者は椎骨体へのアクセス開口と前皮質壁との間の距離を計測し得る。
【0098】
皮質壁プローブ140は、その近位領域上の長さマーキング146を送達し、この長さマーキングは、前皮質壁との接触が発生する場合および/またはその接触が発生しようとしている場合、前皮質壁に接触する前に、以後の器具がスタイラス72(またはカニューレ器具84)に向かって前進する距離を示す。また皮質壁プローブ140から得られた情報は、機械的ストップ(以前に説明された)を設定するために使用され得、前皮質壁との接触が発生する前にトロカール330またはドリルビット器具88の前進を物理的に回避する。
【0099】
椎骨体の前皮質壁の裂け目または疑わしい裂け目が発生する場合、代替的に医者は、皮質壁プローブ140を利用して、壁裂け目の存在および/または壁裂け目の程度を安全かつ容易に決定する。このプローブの遠位先端144が閉塞するため、先端144は、望ましくは、無処置の前皮質壁を貫通せず、医者が裂け目を探している間前皮質壁の内部表面に沿ってツールを「叩く」ことを可能にする。壁裂け目が発生し、ツールがこの裂け目を通過する場所では、望ましくはツールの閉塞先端144は、皮質壁の前方に位置する軟組織(大動脈または大静脈等)を貫通または損傷しない。所望ならば、代替的には閉塞先端144は、軟らかく、変形可能な材料(ゴムまたはプラスチック等)から形成される。
【0100】
裂け目Bが発生すると、適切な材料はこれを塞ぐために裂け目Bに配置され得る。例えば、脱塩処理された骨マトリクス材料(GRAFTON(R)材料等)が使用され得る。この材料は、例えば閉塞器具78またはトロカール330の遠位端上に配置され得る。器具78は、外部側壁に閉塞材料を送達するように裂け目Bが発生する場所に展開する。器具78は裂け目Bにおいて閉塞材料を堆積し、それによって椎骨体26の外部から閉塞材料を閉鎖する。
【0101】
空洞形成前に予め存在する可能性のある場合か、または空洞形成の後に存在する可能性のある場合に、医者は決定されていない皮質壁裂け目の形成を打ち消す工程を実施する。裂け目が存在することが既知でない場合、にもかかわらず医者は、構造物56の膨張前後において、適切な閉塞材料(例えばGRAFTON(R)骨マトリクス材料、Collagraft(R)シート材料、またはメッシュタイプ材料)を椎骨体に挿入することを選択し得る。皮質壁裂け目が存在するかしないかにかかわらず、閉塞材料の存在は漏れの可能性を防止する。さらに、構造物56が膨張される前に挿入された場合、椎骨体に存在するプラグ材料の存在は構造物56の膨張力の分布をより均一にすることに貢献し得る。構造物56が膨張する場合、椎骨体内の閉塞材料の存在は、任意の予め存在する皮質壁における裂け目および構造物56の膨張の間生成される任意の裂け目を介して膨張構造物56の突起物に抗して保護され得るか、またはそうでなければ、構造物56の膨張の間、弱くなった皮質壁を保護し得る。
【0102】
(4.カニューレ固定デバイス)
図26Aを参照すると、カニューレ固定デバイス190は、椎体にアクセスする間、カニューレ器具84を安定させるのに役立つために使用され得る。固定デバイス190は、多様に構成され得る。
【0103】
図26Aに示される実施形態において、固定デバイス190は、ほぼ平面のベース192を含む。使用時においては、ベース192は、対象とされる切開部位を囲んでいる皮膚表面上に置かれる。所望ならば、ベース192は、粘着材(図示せず)を入れて、患者の皮膚あるいは外科部位またはその近くに置かれた他の材料にベースを固定し得る。
【0104】
器具のグリップ194は、ベース192上に支持される。器具グリップ194は、カニューレ器具84をスライドしながら受け取る導管218を含み、この実施形態において、カニューレ器具84は、第1にグリップ194の遠位端に置かれるように表される。グリップ194に通されるリング220を提供して、カニューレ器具84の周りを導管218が堅く締め、それによって、導管218内でカニューレ器具84の軸移動を防止し得る。
【0105】
グリップ194はまたほぞ(tenon)196を含む。このほぞ196は、ベース192上のほぞ穴198内に一致する。ほぞ穴198および196は共に接合部200を形成する。グリップ194は、横方向で、および/または接合部200内の環状軌道(orbital path)で360度回転する。
【0106】
ほぞ穴198は、その周囲において保持リング202が貫通可能にかみ合わされ、コレット210により締め付けられる。一方向(例えば、時計回り)にリング202をねじると、ほぞ196の周りのコレット210が閉まり、ベース192に対してグリップ194の位置を固定する。反対方向にリング202をねじると、ほぞ196の周りのコレット210が開き、ベース192に対する旋回運動のためにグリップ194を解放する。
【0107】
デバイス190を使用するために、医者はグリップ194で保持したカニューレ器具84を所望の軸方向および角度方向に操作する。その後、医者は、グリップ194を固定して(リング202および220を堅く締める)、所望の軸方向および角度方向にカニューレ器具84を保持する。医者は、皮膚を貫く器具84の通過の前または後、および/または皮質骨を貫く器具84の通過の前または後、またはそれらの組み合わせのうちいずれかにおいて、任意の所望の順序でカニューレ器具84を操作し、そして固定し得る。グリップ194およびベース192上のマーキング204により、医者は、ベース192または別の基準点に対するグリップ194の移動を測定することができる。
【0108】
固定デバイス190は、好適には、X線透過性の高い材料(ポリウレタンまたはポリカーボネート)で作られる。従って、デバイス190は、使用中、カニューレ器具84の蛍光透視またはX線透視を遮断しない。
【0109】
固定されると、デバイス190は、皮膚表面に沿ったカニューレ器具84の意図しない移動を防止する。使用中にカニューレ器具84が曲げられ、またはカニューレ器具84の位置が不注意に変わる可能性は、その固定によって緩和される。デバイス190により、医者はさらに、器具84から自分の手を離すことができ、例えば、蛍光透視またはX線透視をはっきりとすることができる。デバイス190は、X線不透過性であるか、または、さもなければそのタスクにあまり適していない他の種類のクランプの必要性を取り除く。
【0110】
図26Bを参照すると、代替の実施形態において、保持リング202は、ベース192からグリップ194を解放するために十分な、コレット210が開く点に対して緩められ得る。この構成において、グリップ194は、コレット210の拘束から切り離されると解体され得る部材206および208を備える。解体される部材206および208が共に再び固定されるときに、カニューレ器具84は、解体される部材206および208の間に捕らえられ、第1にグリップ194中のカニューレ器具84の遠位端を装着する必要がなくなる。
【0111】
共に固定されると、ほぞ196はほぞ穴198に戻され得る。保持リング202は、十分に堅く締められ、ほぞ196の周りのコレット210が閉まり、接合部200を形成し得る。さらに、ほぞ穴198の周りの保持リング202が堅く締まると、接合部200を閉じて(前述されるように)、ベース192に対して所望の方向にグリップ194を固定する。その後、保持リング202を緩めると、ベース192からのグリップ194の分離が可能になり、故に、部材206および208を解体して、カニューレ器具84を解放し得る。一実施形態において、グリップ194は直接カニューレと接触し得るので、グリップ194がカニューレに当たって押される位置で、カニューレは十分に「固定」される。代替の実施形態において、Oリング(図示せず)はグリップ194内に設置され得るので、グリップの圧縮により、Oリングはカニューレに当たって押されるグリップ194内の位置でカニューレを望ましく十分に「固定」する。
【0112】
(B.空洞の形成)
一旦アクセスPLAが形成されると、医者は、対応する椎体26A、26Bおよび26Cの内部容積中にカニューレ器具84および各アクセスの経路を介して個々のカテーテル管50を進める。図16Fは、椎体26Aの配置を示す。
【0113】
次に、膨張可能な構造物56(1)〜56(6)はすでに記載されたような交互の段階的な様式で膨張される。圧迫は、各椎体26A、26Bおよび26Cに内部空洞を形成する。
【0114】
図4および5に示されるように、膨張可能な構造物56は、少なくとも1つのX線不透過性マーカ102を持っており、椎体26内部における構造物の位置を遠隔で視覚化することを可能にし得る。図示される実施形態において、膨張可能な構造物56は、その遠位端および近位端の両方上にX線不透過性マーカ102を持っている。
【0115】
前述されるように、蛍光透視またはCT透視を使用して、構造物56の膨張をモニタすると、構造物56を膨張させるために使用される流体として、好適にはX線不透過性(例えば、RenograffinTM材料)が提供される。視覚化器具(例えば、C−アーム蛍光透視)は、脊柱の一面に沿って側方に見るために一般的に手術台に設置される。椎体26中の膨張構造物56におけるX線不透過性膨張媒体の存在は、椎体の他の場所(例えば、別の構造物56を用いる空洞形成または脊椎形成あるいは治療の別の形成が生じるように意図される場所)で効果的な視覚化を妨害し得る。
【0116】
構造物が空洞を生成するように膨張された後、構造物56内部のX線不透過媒体の除去または希釈によって、これらの状況下で容易に視覚化され得る。
【0117】
一実施形態(図32参照)において、置換チャンバー400が提供され、プランジャー420の圧力により移動できるピストン414によって2つの区画402および404に分けられる。二重の管腔406および408は、構造物56の内部と連絡する。管腔406は、構造物56中にX線不透過性媒体410を運搬するためにこの媒体410のソース422と連絡し、第一に膨張および空洞形成を生じる。管腔406はまた、ピストン414の一方の側の区画と連絡する。
【0118】
チャンバー400のもう一方の区画404は、置換膨張媒体412を含む。置換媒体412は、X線不透過性の材料を含まないか、または所望ならば、部分的にX線不透過性材料を含み得る。管腔408はこの区画404と連絡する。
【0119】
X線不透過性媒体410を用いて構造物56を膨張した後、ピストン414の移動により、構造物56からこのX線不透過性媒体410を(管腔402を介して)抜き出す。同時に、ピストン414は、構造物56の中を(管腔402を介して)X線不透過性でない媒体412に交換する。ピストンの移動は、構造物56を崩壊させることなくX線不透過性でない媒体412とX線不透過性媒体410とを交換する。
【0120】
代替の実施形態において、媒体410中のX線不透過性材料とのイオン交換材料(例えば、ヨウ素)は、構造物56内部に含まれるX線不透過性媒体410中に導入され得る。イオン交換材料は、X線不透過性材料に選択的に結合し、媒体410のX線不透過性特性を弱める。X線不透過性媒体410は、構造物56の外部にイオン置換チャンバーを介して循環され得るか、またはイオン交換材料は、構造物56自身の内部の内腔を介してその構造物56の中に導入され得る。
【0121】
あるいは、X線不透過性材料の沈殿を生じる材料が、構造物56内部のX線不透過性媒体410の中に(例えば、内腔を介して)導入され得る。沈殿により、X線不透過性材料は、側方の視覚化経路から構造物56内の下方に沈み、それによって、媒体410のX線不透過性特性を弱める。
【0122】
図5に示されるように、膨張可能な構造物56はまた、内部管104を含み得る。内部管104は、膨張可能な構造物56を通過する内腔106を含む。
【0123】
内腔106を用いて、流動性の材料または液体(例えば、生理食塩水または滅菌水)を運搬し、使用時には構造物56の末端領域を離れて材料を流し得る。この処理が為されたとき、内腔106をさらに用いて椎体26の内部から液体材料を吸引し得る。処理中に、内腔106をさらに用いて海綿骨32との接触部に血栓形成材料(例えば、凝固剤)を導入する。それ自体膨張可能な構造物56はまた、椎体26中へのトロンビンの導入より以前に、トロンビン中に浸漬され、インサイチュ凝固を容易にし得る。
【0124】
内腔106はまた、硬化部材またはスタイレット108(図5参照)を受け取るようにサイズが合わせられ得る。スタイレット108は、カニューレ器具84を通している間に所望の末端までまっすぐな状態で構造物56を保つ。一旦構造物56が海綿骨内の所望の位置に設置されると、医者はスタイレット108を移動し、それによって、まさに記載されたように海綿骨へおよび海綿骨からの液体の運搬のため、内腔106を開口し得る。
【0125】
スタイレット108はまた、予め形成された記憶を有し、通常スタイレット108の遠位領域を曲げる。この記憶は、スタイレット108がカニューレ器具84を通過したとき、スタイレット84をまっすぐになるように直す。しかし、構造物56およびスタイレット108が、海綿骨32を通過するカニューレ器具84を離れて進むと、予め形成された記憶はスタイレット108を曲げる。曲がったスタイレット108は、アクセス経路PLAの軸に対して構造物の軸をシフトする。構造物56の内部内に位置される、予め曲がったスタイレット108は、構造物56の形状を変更するのに役立ち、使用中に展開すると、所望の方向を達成する。
【0126】
スタイレット108が形状記憶合金(例えば、ニッケルチタン(ニチノール)、銅または鉄ベースの合金)を含む場合、スタイレット108の遠位端は、予め曲がった「元の形状」に設定され、その後、椎体中に導入するために十分にまっすぐな形状に曲げられる。スタイレット108がその所望の位置にあり、遠位端の曲げが所望されるとき、熱がスタイレット108の近位端に加えられ得、その熱によりスタイレット108の遠位端は、公知の様態で元の形状を取ることが望ましい。あるいは、スタイレット108は、ヒトの体温またはそれより下の転移温度を有する材料を可能にする形状記憶を含み得る。このようなスタイレット108は、人体への導入前および/または導入中に冷却され、一旦適切な位置で、冷却源が取り除かれると、患者の体温によりスタイレット108は、予め曲がった元の形状を取り得る。所望ならば、スタイレットは、海綿骨内で歪んでいる遠位端と共に、椎体内に最初に位置され得るか、または、遠位端は、椎体への挿入中に曲げられ得る。
【0127】
図25に示されるように、カテーテル管50は、それ自体、ドリルビット要素170を運び得る。ドリルビット要素170は、様々に構成され得る。図25に示されるように、ドリルビット要素170は、膨張可能な構造物56を越えて、内部カテーテル管104の遠位端上に接合され、またはさもなければ、取り付けられた金属切断キャップを備える。この構成において、スタイレット108は、適合した遠位端172を含み得る。この適合した遠位端172は、ドリルビット要素170において内部のキー溝174内で一致される。その結果、スタイレット108は、カテーテル管104の遠位端を固くするのに役立ち、故に、ねじれまたは圧縮の負荷がドリルビット要素170に加えられ得る。あるいは別の方法で、カテーテル管104の内部構造物は、ドリルビット要素170にねじれおよび圧縮負荷力を伝達するために補強され得る。ドリルビット要素170を用いると、医者は、個々のドリルビット器具88を使用することなく、皮質骨においてアクセス開口部を開口し得る。
【0128】
(1.膨張可能な構造物の所望の物理的および機械的特性)
構造物56が作られる材料は、その機能的能力を最適化するために様々な身体的および機械的特性を有し、海綿骨を緻密化する。重要な特性は、その容積を膨張する能力、膨張時に所望の方法で変形し、骨の内部に所望の形状を取る能力、および海綿骨と接触する時に、摩擦、引っかきおよび穿刺に耐える能力である。
【0129】
(2.膨張特性)
構造物の材料の第1の所望の特性は、破壊することなく構造物の容積を膨張するかまたは増加する能力である。この特性により、構造物56は、対象とされる骨の領域中へ、例えばカニューレを介して、つぶれて目立たない状態で皮下を展開することができる。この特性により、対象とされる骨の領域の内部の構造物56の膨張は、取り囲む海綿骨に対して押しつけて圧迫するか、あるいは皮質骨を破砕前または他の所望の状態またはその両方に移動させることができる。
【0130】
構造物の材料の所望する膨張特性は、極限伸び特性によって一方向に特徴付けられ得る。極限伸び特性は、破壊する前に材料が適応し得る膨張の度合いを表す。十分な極限伸びにより、構造物56は皮質骨を緻密化することが可能となり、必要ならば、壁面が破壊する前に、接触する皮質骨を持ち上げることができる。望ましくは、構造物56は、骨の外部への膨張時に、壁が破壊する前に、少なくとも50%の極限伸びに耐え得る材料を含む。より望ましくは、構造物は、骨の外部への膨張時に壁が破壊する前に、少なくとも150%の極限伸びに耐え得る材料を含む。最も望ましくは、構造物は、骨の外部への膨張時に破壊しないように、少なくとも300%の伸びに耐える材料を含む。
【0131】
あるいは、構造物56は、実質的に一層低い極限伸び特性を有する非適応または部分的に適応している、一つ以上の材料(限定しないが、ケブラー、アルミニウム、ナイロン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはマイラーを含む)を含み得る。このような構造物は、望ましくは、最初に所望の形状および容積に形成され、次に、対象とされる骨の領域中へカニューレを介して導入されるため、つぶれて目立たない状態に収縮される。次に、構造物は、所望の形状および容積に膨張され、取り囲む海綿骨に対して押しつけて圧迫するか、あるいは/または皮質骨を破砕前または他の所望の状態またはその両方に移動させ得る。別の代替案として、構造物は、非適応な材料、部分的に適応する材料、および/または適応する材料の組み合わせを含み得る。
【0132】
(3.形状特性)
構造物56の材料の第2の所望の特性(単一の特性かまたは他の所望の特性との組み合わせかのどちらか)は、膨張時に予想されたとおりに変形する能力であり、故に構造物56は、一貫して骨の内部で所望の形状に達する。
【0133】
構造物56の形状は、骨の内部で膨張したとき、処置する部位の形態および形状を考慮して、医者によって望ましいように選択される。圧迫された海綿骨および/または置換された皮質骨の形状、ならびに骨が不適切に移動された場合に傷つけられ得る局所構造物は、一般に、部位および病気またはケガの知識と共に、人間骨格解剖学の教科書を用いて医学専門家によって理解され、さらに、1997年1月23日に出願され、「Improved Inflatable Device for Use in Surgical Protocol Relating to Fixation of Bone」と題をつけられた、米国特許出願第08/788,786号の教示を考慮する。この米国特許出願は、明細書中に参考として援用する。医者はさらに、例えば、平面フィルムX線、蛍光X線、あるいはMRIまたはCTスキャンを用いて、対象とされる骨の形態学的な事前分析に基づいて、骨の内部の所望される膨張した形状を選択することができることが望ましい。
【0134】
海綿骨の圧迫および/または空洞の生成が所望されると、骨の内部の膨張した形状が選択され、空洞の形成を最適化する。空洞が選択された材料で満たされると、治療される骨の領域にわたって支持が提供される。選択した膨張した形状は、対象とした骨の領域の形状および生理学に起因して増大する容積によって生じる、予想した変形の評価によって作られる。
【0135】
皮質骨の置換が所望されると、膨張した形状が選択され、構造物が皮質骨に及ぼす力の量を最大にして、皮質骨の起こり得る最も大きな表面領域に亘って力分配を最大にし、および/または一つ以上の所望の方向における皮質骨の置換を最大にする。あるいは、構造物は、特定の皮質骨領域の所望の破砕および/または最大のずれを引き起こすために皮質骨の特定の領域に最大の力を付与するように設計される。
【0136】
膨張可能な構造物56の適切なサイズを選択するのに役立つように、複合器具310(図27および28参照)のトロカール330は、蛍光透視下において見ることができる溝または同様のマーキング380のアレイを保有し得る。マーキング380により、医者は、椎体を越えて距離を推定することができる。従って、マーキングによって、膨張可能な構造物56の所望のサイズを測定することが可能になる。カニューレ器具84は比較的薄い壁を有する構造物であり、トロカール330は比較的より太い頑丈な構造物であるので、医者は、マーキング380がカニューレ器具84の内部にあるときでさえも、蛍光透視によってマーキング380を見ることができる。
【0137】
いくつかの例示において、空洞を生成すると、所望の治療結果を達成するために皮質骨をさらに移動するか、または置換することが望ましい。このような移動は、所望の治療結果を達成することが示されるので、本明細書中でこの表現が使用される場合、それ自体で有害ではない。本質的に、構造物56が膨張すると、例えば、周囲の組織の損傷により骨および周囲の解剖学的構造物の全体的な状態が悪化したり、骨の生体力学的な持続的な有害な変化が起こったりする。
【0138】
所望ならば、構造物56を用いて、皮質骨を破砕するのに十分な力を生成し、新しい方向および/またはより所望の位置で破砕した皮質骨を位置付けする。骨が過去に破砕され、および/または圧迫され、その後治癒した場合、現在の方法およびデバイスを利用して、より所望の位置に皮質骨を安全に再度位置決めし得る。例えば、脊椎の圧迫破砕が抑圧された位置および/または破砕した位置で治癒した場合、開示したデバイスおよび方法を利用して、再び破砕し、より望ましい位置および/または方向に破砕した骨を再度位置決めし得る。膨張可能な物体の膨張により、骨を内部から破砕するのに十分な力を生成することによって、皮質骨を介する単一のアクセスの門脈のみが形成されることが必要となる。
【0139】
所望ならば、構造物は、限定しないがレーザー、ドリル、チゼル、または音波発生器(例えば、砕石器)を含む様々なデバイスと共に、代替的に使用され得る。これらのデバイスは、所望の線に沿っておよび/または所望の様態で皮質骨を選択的に弱くし、および/または破砕するために使用される。一旦、対象とされる皮質骨が十分に弱められると、構造物56を用いて骨を破砕し、ならびに/あるいは、新しい方向におよび/またはより所望の位置に皮質骨を再度位置決めし得る。
【0140】
同様の様態で、構造物56は、変形態において、骨が成長し、且つ/または治癒される部分であるような皮質骨の部分を、破砕および整復する。例えば、重い側弯症(例えば、骨障害性側弯症)で苦しむ患者は、骨の変形のせいで、脊柱が横方向に曲がっていることがある。本発明の方法およびデバイスは、安全に破砕および/または整復するために利用され得る。所望される場合、骨の部分は、各種のデバイスによって、スコア(scored)され、弱め、且つ/または予め破砕され得る。各種のデバイスには、鋭いナイフ、鉗子、突き錐、ドリル、レーザー、および/または砕石器などが含まれるが、これらに限定されず、骨が破砕しやすい様な所望の線を作る。脊柱の陥没した部分は、望ましくは、持ち上げられ、強化され、そのことにより、脊柱の横方向への曲げが低減し、脊椎のさらなる横方向への変形を防ぐ。皮質骨の一部分のみを破砕させ、且つ/または整復することによって、本発明の方法およびデバイスは、疾病の治療を可能にしながら、不必要な筋肉と骨格との外傷を最小限にする。
【0141】
概して、考慮されるように、骨折を引き起こす(または骨折のリスクがある)、骨の疾患の場合、(骨粗鬆症のように)海綿骨の質量が失われる。骨の内部の構造物56の膨張された形の選択は、所望の治療結果を達成するために圧縮される必要がある海綿骨の容量を考慮に入れる必要がある。例示的な範囲は、海綿骨の容量の約30%〜90%であるが、範囲は、目標とされる骨の領域に依存して、変動し得る。概して、より少ない容量の海綿骨を圧縮することによって、治療部位に、より圧縮されていない、病気にかかった海綿骨が残る。
【0142】
骨の内部の構造物56の膨張された形の選択のための他の概略的なガイドラインとして、目標の破砕された骨の領域が整復または陥没した量がある。骨の内部の構造物56の膨張は、破砕された皮質骨の壁を盛り上げるか、または、押し上げて、破砕が起こる前に占めていた解剖学的な位置、またはその近傍に戻す。構造物56が陥没した皮質骨に直接接触し、かつ、膨張構造物との直接接触を通じて皮質骨を持ち上げる場合、海綿骨の圧縮は、必要でもなければ所望もされ得ない。
【0143】
実用的な理由により、海綿骨と接触する場合、骨の内部の構造物56の膨張された形が、外の環境における場合の実質的に骨の外部の構造物56の形に一致することが望まれる。これによって、医者が、外の環境において、目標の治療結果を得るために望まれる膨張された形を有する構造物を、骨の内部の膨張された形が重要な面で類似しているという自信を持って、選択することが可能になる。
【0144】
いくつかの例において、構造物について、骨の内部の膨張の間、予測して変形すること、および/または所望の形を仮定することが必要または所望されないことがある。むしろ、膨張が制約されるのではなく、構造物が実質的に制御されない様態で膨張されることが好まれ得る。例えば、海綿骨のより弱い部分の圧縮が望まれる場合、構造物が、骨内部のより弱い領域に向かって、初期的に膨張することが好まれ得る。このような場合、構造物は、以前に記載された形および/またはサイズなしに形成され得、構造物の膨張された形および/またはサイズは、処置された骨の形態および形状によって、主に決定され得る。
【0145】
最適な度合いの成形は、以下により詳細に説明するように、材料の選択および特別な製造テクニック、例えば、熱成形またはブロー成形によって、達成され得る。
【0146】
(4.靭性性質)
構造物56の第3の所望の性質は、単独、または1つ以上の他の記載された性質との組合せで、海綿骨と接触する場合の表面摩耗、引き裂き、および穴に抵抗する能力である。この性質は、様々な方法で特徴付けられ得る。
【0147】
表面摩耗、引き裂き、および穴に対する材料の抵抗を測定する1つの方法として、Taber摩耗テストがある。典型的には、より低いTaber摩耗値は、摩耗に対するより大きい抵抗を示す。好ましくは、膨張可能構造物の実施形態の1つは、これらの条件のもとで約200mgのロスより少ないTaber摩耗値を有する材料を含む。より好ましくは、構造物は、これらの条件のもとでの約145mgのロスより少ないTaber摩耗値を有する材料を含む。最も好ましくは、構造物は、これらの条件のもとで約90mgのロスより少ないTaber摩耗値を有する材料を含む。当然、200mgのロス以上のTaber摩耗値を有する材料が、本発明の目的の一部または全てを達成するために利用され得る。
【0148】
摩耗、引き裂きおよび/または穴に対する材料の抵抗を測定する他の方法として、Elmendorf引き裂き強度がある。典型的には、引き裂き強度が高ければ、引き裂きに対する抵抗はより大きい。望ましくは、伸張可能な構造物の代替的な実施形態は、これらの条件のもとで、少なくとも150lb-ft/inの引き裂き強度の材料を含む。より望ましくは、構造物は、これらの条件のもとで、少なくとも220lb-ft/inの引き裂き強度の材料を含む。最も望ましくは、構造物は、これらの条件のもとで、少なくとも280lb-ft/inの引き裂き強度の材料を含む。当然、本発明の目的の一部または全てを達成するため、150lb-ft/in以下の引き裂き強度を有する材料が利用され得る。
【0149】
摩耗、引き裂きおよび/または穴に対する材料の抵抗を測定する方法として、ショアー硬度がある。典型的には、所与のスケールでショアー硬度数がより低いと、弾性がより大きい。望ましくは、膨張可能な鋼応対の他の実施形態は、これらの条件の下で、約75D未満のショアー硬度を有する。より好ましくは、構造物は、これらの条件の下で、約65D未満のショアー硬度の材料を含む。最も好ましくは、構造物は、約100A未満のショアー硬度の材料を含む。当然、本発明の一部または全ての目的を達成するため75D以上のショアー硬度を有する材料が利用され得る。
【0150】
また、複数の材料を含む膨張可能な構造物の他の代替的な実施形態、例えば、層状の材料および/または複合材は、表面摩耗、引き裂き、および穴に対してかなりの抵抗を有し得る。例えば、200mgロスより大きいTaber摩耗値を有する材料から形成された内部ボディと、75Dより大きいショアー硬度を有する外部ボディとが組み込まれた層状の膨張可能な構造物は、表面摩耗、引き裂きおよび穴に対してかなり大きい抵抗を有する。同様に、材料の他の組合せは、海綿骨の圧縮、および/または、材料の破壊の前に、皮質骨の移動という所望の目標を達成するため、所望の靱性を有し得る。
【0151】
(5.予備成形構造物の作成)
上記の膨張および形の性質は、予備成形される能力をも有する弾性材料を選択することによって、海綿骨を圧縮するため、強められ得、さらに最適化され得る(すなわち、例えば熱および圧力にさらすことによって、所望の形を獲得する)。例えば、従来の熱成形またはブロー成形技術を用い得ることによって、行われる。この基準を満たす候補の材料には、ポリウレタン、シリコーン、熱可塑性ゴム、ナイロン、および熱可塑性弾性材料が含まれる。
【0152】
例示的な実施形態においては、ポリウレタン材料が用いられる。この材料は、ペレットの形で市販されている。ペレットは、処理され、管状の形状に押出し成形され得る。構造物56は、従来のバルーン成形機械のように、管状押出しの切断長を熱にさらし、管長60に押し込み内部圧力が加えられている間、型内の加熱された管を囲むことによって形成され得る。
【0153】
(6.生理食塩水注入)
粉砕、破砕、圧砕の処置において、膨張可能構造物56は、皮質骨28を元のまたは適切な解剖学的状態に戻すように機能する。この結果は、網状の骨32内の構造物56の膨張によって、周囲の加圧されたまたは圧迫された皮質骨28を物理的に移動し、空洞が形成された場合に達成され得る。あるいは、既に説明したように、皮質骨は、膨張する構造物との直接接触によって移動され得る。
【0154】
構造物56の収縮および除去に応答して、局所的な真空状態が空洞64内に形成され得ることがわかっている。この真空は、周囲の皮質骨28を急激に動かし、それにより痛みが生じる。空洞64形成後の骨の動きは、また、構造物56を膨張させた結果として生じた皮質骨28の移動距離のうちのいくらかの距離を逆に戻り、それによりまず、空洞64が形成される。椎体26において、真空は、椎体が元の高さを完全に回復することを妨げ得る。
【0155】
図21が示すように、真空の形成を防止するために、構造物56を収縮させて空洞64から除去する前またはその過程において、流動可能な材料または滅菌溶液110(例えば生理食塩水または放射線透過性造影剤)が空洞64内に導入され得る。この際に空洞64内に導入される溶液110の量は重要ではない。但し、著しい真空が形成されることを防止できる程度の十分な量である必要がある。例えば、通常、空洞の容積以上の量の生理食塩水を提供すれば、著しい真空の形成が防止される。あるいは、生理食塩水の量が空洞の容積よりも小さい場合も、一定ではないがある程度まで著しい真空の形成が防止され得る。
【0156】
溶液110は、構造物56を貫通する内腔106を介して導入される。あるいは、小さな外部管が、カテーテル管50に沿って搬送され得るか、または、カニューレ器具84を介して別個に挿入されて、真空防止溶液110が空洞64内に供給される。
【0157】
あるいは、真空の形成を防止するために空気を用い得る。構造物56を膨張させるために用いられた圧力が一旦除去されると、空気は内腔106を通過して、崩れた構造物56によって占有された容積と置き換わる。大気圧下での内腔106を通る空気の流量が、形成された状態の容積と置換されるのに十分でない場合、空気の流量はポンプを用いて増加され得る。
【0158】
(c.空洞の充填)
空洞64(図16G参照)が形成されると、外科医はシリンジ112に所望の量の充填材料を充填する。一回の処理に用いる量の充填材料62を予め準備しておく。予め形成された構成を有する膨張可能構造物56を用いる場合、形成される空洞の容積は公知である。それにより、外科医は、椎体26内に形成された各空洞部分64Aおよび64Bについて、シリンジ112内に充填する材料62の所望の量を知る。
【0159】
外科医は、ノズル114を充填されたシリンジ112に取り付ける。外科医は、関連するカニューレ器具84を介して、上で説明した連続的な様態で、膨張可能構造物56(1)〜56(6)を収縮させて取り除き、関連する空洞部分64A/64Bに62を充填する。
【0160】
所与の空洞部分64A/64B(図16H参照)を充填するために、外科医は、空洞部分内へと選択された距離だけ、例えば、外部マーキング116、もしくはリアルタイムフルオロスコープ、X線、またはMRIを用いた観察によって、ノズル114を関連するカニューレ器具内に挿入する。外科医は、シリンジ112を動かして、ノズル114内に材料62を流し、ノズル114から空洞部分へと材料62を流し込む。図16Hが示すように、ノズル114は、均一な内径を有し、椎体内への挿入が容易に行われるような遠位端の寸法になっている。しかし、全体の流動抵抗を低減するために、ノズル114は、近位端118から遠位端120に向かって直径が徐々に小さくなるような内径(例えば、図22A参照)を有し得る。このことにより、ノズル114の平均内径が低減され、全体の流動抵抗が低減される。低減された流動抵抗によって、より多くの粘性材料を椎体内に送り込むことができる。骨から滲み出すことが少ないので、より粘性の高い材料が望ましい。
【0161】
図22Aに示した実施形態の他に、直径が縮小された材料を骨内に導入するためのノズルまたは器具を形成する他のさまざまな構成が可能である。例えば、図22Bに示すように、器具160は、より大きな内径からより小さな内径へと徐々に先細りした内腔162を有し得る。あるいは、図22Cに示すように、器具164は、内径が段階的に小さくなる内腔162を有し得る。関連するカニューレ器具168(図22C参照)は、また、低減された直径の通路を有し得る。この通路は小さな寸法にされ、低減された直径の器具を収容して、カニューレ器具を通って送られる充填材料に対する流動抵抗を減少する。
【0162】
低減された直径の器具は、また、空洞を形成する前に圧力下で椎体内にセメントを注入する椎骨外科処置(vertebroplasty procedure)と関連して用いられ得る。これについては、後で説明する。
【0163】
充填材料62は、材料62が空洞部分内への流れの観察を可能になるような、所定量の放射線透過性材料(例えば、バリウムまたはタングステン)を含む。放射線透過性材料の量(重量)は、望ましくは、少なくとも10%であり、より望ましくは20%であり、最も望ましくは30%である。これにより、外科医は、空洞充填プロセスを観察することができる。
【0164】
空洞部分に材料62を充填すると、外科医は空洞部分からカニューレ器具84内へとノズル114を引き抜く。カニューレ器具84は、空洞部分への材料の流れを媒介する。材料は連続的に空洞部分に流れ込む。
【0165】
図16Hが示すように、カニューレ器具84の周りにガスケット122が提供されて、アクセス通路PLAの周りを封止し得る。ガスケット122は、カニューレ器具84の周囲における材料の漏れを防止する機能を果たす。
【0166】
外科医はシリンジ112を動かして、ノズル114を介して材料62を送出し、送出された材料はまず空洞部分に入り、その後カニューレ器具84内へと送られる。通常、シリンジ注入プロセスの最後に、材料62が空洞から前進して、カニューレ器具84の約40%〜50%を占有する必要がある。あるいは、外科医は、シリンジ112を用いて、ノズル114および/またはカニューレ器具84の管腔に材料62を充填し、充填器具124を用いて管腔から椎体内へと材料を送出し得る。
【0167】
所与の容積の材料62がシリンジ112から送出される場合、外科医はカニューレ器具84からノズル114を引き抜く。外科医はまず、シリンジ112およびノズル114を回転させて、ノズル114内の材料62を、カニューレ器具84を占有する押し出された材料62から切り離す。
【0168】
図16Iが示すように、外科医は次に、カニューレ器具84を介して充填器具124を前進させる。充填器具124の遠位端は、カニューレ器具84内に残された材料62に接触する。充填器具124を前進させることにより、残された材料62のより多くがカニューレ器具84から次第に離され、空洞部分内に押し込まれる。カニューレ器具84内で充填器具124を前進させることによって空洞部分内へと材料62が流れ、このことによって、極めて高い圧力を加えなくても、空洞部分、骨内の他の空洞および/または開口部、ならびに亀裂の中に、材料62が均一な分布で緊密に充填される。
【0169】
シリンジ112、ノズル114、および充填器具124を用いることによって、外科医は、空洞部分に材料を充填する際に、正確な制御を行うことができる。外科医は、特定の局部的な生理学的状態に基づいて、供給量および供給速度を即座に調節することができる。シリンジ112およびタンピング器具124によって均一に低い圧力を加えることによって、外科医は、実質的に即時的な様態で、容積条件および流動抵抗条件を満たすように反応することができる。空洞部分の外部の材料62の充填および漏出の変化は、顕著に減少される。
【0170】
さらに、充填器具124は、望ましくは、より高い注入圧力下においても、材料62の高度に制御された注入を可能にする。例えば、図32は、低減された直径を有するノズル180およびスタイレット182を含む材料注入器具500を示す。スタイレット182は、望ましくは、低減された直径を有するノズル180を通過できるような大きさを有する。あるいは逆に、ノズル180が、望ましくは、カニューレ器具184を通過できるような大きさを有する。材料強度について、ノズル180は、実質的に硬質の金属材料(例えば、ステンレス鋼)または高硬質プラスチックから形成され得る。
【0171】
スタイレット182は、ハンドル192を含む。スタイレット182がノズル180内に完全に挿入された場合、ハンドル192は、ノズルの近位コネクタ186上に位置する。ハンドルがその位置にある場合、スタイレット182の遠位端とノズル180の遠位端とが整列する。スタイレット182がノズル180内に存在することにより、内部ボアが好適に閉じられる。
【0172】
使用時において、ノズル180は、シリンジ104に結合され、カニューレ器具184を介して、骨内に形成された材料受容空洞(図示せず)内に挿入される。シリンジ104内の材料62は、ノズル180内に注入され、材料は好適に骨内へと送られる。十分な量の材料62が骨および/またはノズル180内に注入されると、シリンジ104がノズル180から除去され得る。
【0173】
次に、スタイレット182がノズル180内に挿入され、ノズルを通って前進され、材料62を適切に押圧してノズル180から押し出す。
【0174】
ノズル180およびスタイレット182は、コンビネーションラム183と同様の方法で、カニューレ器具184を通って骨に充填材62を押すために用いられ得る。例えば、充填材62がカニューレ器具184内にある場合、ラム183をカニューレ184に挿入することによって、望ましくは、材料62が移動させられ、材料62がカニューレ184の遠心端から骨に移動させられる。ラム183がカニューレ184内を移動するにつれて、望ましくは、カニューレ184内の充填材62が移動させられる。ラム183は、従って、医者が、骨に注入される充填材62の正確な量を正確に測定することができるように、容積式の「ピストン」または「ポンプ」として機能する。
【0175】
充填材が非常に粘性である場合、この材料は、典型的には、送達システムを通って注入されることに強く抵抗する。概して、充填材がシステムの中をより長く移動する必要があればあるほど、材料の粘性および壁によって失われる摩擦などの要因による圧力の損失は大きくなる。これらの損失の責任を取るために、既存の送達システムは、典型的には、充填材に高圧をかけ、多くの場合、何千ポンドもの圧力をかける。これは、送達システムのポンプをより強くかつ取り付け具を強化することを必要とするだけでなく、このようなシステムは、多くの場合、非常に厳密な量の充填材を供給することができない。さらに、充填材が徐々に固まると、システムは、材料の増加した流動抵抗に打ち勝つために、より大きな圧力を生成する必要がある。
【0176】
開示されるシステムおよび方法は、充填材の送達のための複雑で高圧の注入システムの必要性を不要にする、および/または、減少させる。開示されるラム183がカニューレ184内を実質的に移動し、カニューレ184の遠心端から充填材62を移動させるため、ラム183によって押される充填材の量(および、カニューレ184内の充填材62の全体の量)は、充填材が骨に注入されるにつれて漸進的に減少する。これは、望ましくは、結果として、注入中のラムの移動に対する抵抗を全体的に減少させる。さらに、ラム183によって「押される」材料の量が減少するため、硬化充填材の流動抵抗の増加は、必ずしも、注入圧力の増加を必要としない。さらに、ラム183がカニューレ184内を移動し、注入部位に経皮的に移動することができるため、充填材は、カニューレから出て骨に入るまでの短い時間だけ「ポンプ」される必要があり、極端に高い圧力の必要性をさらに減少させる。さらなる充填材の注入が必要とされる場合、ラムがカニューレから引き抜かれ得、さらな充填材がカニューレ内に導入され得、そして、プロセスが繰り返される。従って、この構成は、非常によく制御された条件下で、極端に粘性のある材料の注入さえも促進する。さらに、この方法において、異なる直径のカニューレ、ノズル、およびスタイレットを利用することによって、充填材62内に広範囲の圧力が生成され得る。所望であれば、開示されるデバイスは、同様に、椎骨移植術(vertebroplasty)のような手順によって脊柱針アセンブリを通って直接骨に充填材を注入するために用いられ得る、または、骨内に生成された空洞を充填するために用いられ得る。
【0177】
所望であれば、医者が空洞を材料62によって充填した後で、医者は、椎体内にさらなる材料62を注入し続けることを選択し得る。骨内の局所的な状態によって、このさらなる材料は、空洞の容積を増加させる(海綿骨をさらに圧縮することによって)だけであり得る、または、空洞を取り囲む圧縮および/または非圧縮の海綿骨内に移動し得、これによって、海綿骨がさらに圧縮され得る、および/または、椎体の圧縮力が強化され得る。
【0178】
医者が、空洞部分内に材料62が十分に分配されたと満足すると、医者は、タンピング器具124をカニューレ器具84から引き抜く。医者は、好適には、まずタンピング器具124をひねって、材料62との接触をきれいに切断する。
【0179】
一旦全ての空洞部分が上記の方法で充填され、かつ、詰められた場合、カニューレ器具84が引き抜かれ得、縫合された切開部位が閉じられ得る。相互的な骨の治療の手順が終わる。
【0180】
最終的には、材料62は、セメントである場合、空洞64内で強固な状態まで固められる。椎体26A、26B、および26Cの負荷に耐える機能は、従って、改善される。
【0181】
図9B〜9Dは、椎体内に形成された空洞60を充填する別の方法を示す。この実施形態において、カニューレ器具84は、椎体内に形成された空洞60へのアクセスを提供することによって、椎体の茎42を通って前進する。ノズル180が椎体内に前進する。ノズル180の遠心端は、望ましくは、空洞60の前側の近傍に配置される。充填材62は、ノズル180を通って、空洞60内にゆっくりと注入される。充填材62の注入を続けながら、ノズル180は、空洞60の中心に向かって引き抜かれる。図9Cを参照されたい。望ましくは、ノズル180を引き抜きながら、ノズル180の遠心端は、充填材62の増大するボルスと実質的に接触している。一旦ノズル180が空洞60の中心の近傍に位置すると、さらなる充填材62が、ノズル180を通って注入されて、空洞60を実質的に充填する。ノズルは、次いで、空洞60から取り除かれる。
【0182】
所望であれば、ノズルは、充填材を含む注射器104に取り付けられ得る(図33を参照)。一実施形態において、注射器104は、椎体内に形成された空洞60の容積に等しい量の充填材を含み、ノズルは、さらに1.5ccの充填材を含む。この実施形態において、空洞60は、最初に、注射器104から排出された充填材によって充填される。一旦出し尽くされると、注射器104がノズル180から取り除かれ、スタイレット182がノズル180に挿入されて、ノズル180内の残りの充填材は、スタイレット182によって椎体内に押し出され得る。望ましくは、ノズル180からのさらなる充填材は、海綿骨内に遊出し、余分な海綿骨を圧縮し、および/または、空洞60の大きさをわずかに増加させる。
【0183】
開示される方法は、望ましくは、空洞が充填材によって完全に充填されることを保証する。開示する手法の間、患者は多くの場合、正面(前側)を下にしているため、空洞の前のセクションは、多くの場合、空洞内の最も下の部分になる。最初に空洞の前のセクションを充填材で充填し、次いで空洞の後ろのセクションに向かって充填することによって、空洞内の流体および/または浮遊物質は、望ましくは、充填材によって移動させられ、空洞の後ろのセクションに向けられ、ここで、カニューレを出ることができる。このように、空洞内の流体および/または充填材の「トラッピング(trapping)」が回避され、椎体の完全かつ十分な充填が保証される。
【0184】
所望であれば、充填材は、椎体内に注入される前に、固まることおよび/または硬化することが可能であり得る。例えば、一実施形態において、充填材は、骨セメント(bone cement)を含み、この骨セメントは、空洞内に注入される前に、接着材またはパテのような状態で保存することが可能である。この実施形態において、セメントがノズルから押し出され始めると、セメントは、望ましくは、練り歯磨きに似た粘性を有する。
【0185】
選択された材料62は、さらに、従来の方法で収集された自家移植片または同種移植片の骨移植片組織、例えば、ペースト状(Dickの「Use of the Acetabular Reamer to Harvest Autogenic Bone Graft Material: A Simple Method for Producing Bone Paste」、Archives of Orthopaedic and Traumatic Surgery (1986)、105: 235−238を参照)またはペレット状(Bhanらの「Percutaneous Bone Grafting for Nonunion and Delayed Union of Fractures of the Tibial Shaft」、International Orthopaedics(SICOT)(1993)17: 310−312を参照)であり得る。あるいは、骨移植片組織は、SpineTechから市販されているBone Graft Harvesterを用いて得られ得る。ペースト状またはペレット状の移植片組織の材料は、漏斗を用いてカニューレ器具84内に加えられる。タンピング器具124は、次いで、上記の方法でカニューレ器具84内に前進して、ペースト状またはペレット状の移植片組織の材料をカニューレ器具84から空洞部分に移動させる。
【0186】
選択された材料62は、さらに、サンゴから取り入れられた粒状の骨材料(例えば、Interporeから入手可能なProOsteon(R)炭酸カルシウム顆粒)を含み得る。顆粒は、漏斗を用いてカニューレ器具84内に加えられ、タンピング器具124を用いて空洞内に前進する。
【0187】
選択された材料62は、さらに、グリセロール内に浮遊する鉱物質除去された骨基質(例えば、Osteotechから入手可能なGrafton(R)同種移植片材料)またはNorianから入手可能なSRS(R)リン酸カルシウムのセメントを含み得る。これらの粘性の材料は、上記の骨セメントのように、注射器112内に加えられ、かつ、ノズル114を用いて空洞内に注入され得る。ノズルは、カニューレ器具84を通って、空洞部分に挿入される。タンピング器具124は、上記のように、残りの材料をカニューレ器具84から空洞部分に移動させるために用いられる。
【0188】
選択された材料62は、さらに、シート状(例えば、炭酸カルシウム粉および牛の骨のコラーゲンから生成されたCollagraft(R)材料)であり得る。このシートを管状に巻いて、カニューレ器具84内に手で装着することを可能にする。タンピング器具124は、次いで、カニューレ器具84を通って前進して、空洞部分内の材料を押し、かつ、圧縮する。
【0189】
相互的な手法を実行するための上記の種々の器具は、図23に示すように1つ以上の事前包装(prepackage)キット126、128、および130によって構成され得る。例えば、第1のキット126は、単一の椎体内への相互的なアクセスを達成するためのアクセス器具グループ(例えば、少なくとも1つの脊髄針器具70、少なくとも1つのガイドワイヤ器具76、少なくとも1つの閉塞器具78、2つのカニューレ器具84、および少なくとも1つのドリルビット器具88を含む)を包装し得る。あるいは、第1のキット126は、少なくとも1つのトロカール330および2つのカニューレ器具84を含み得、これらを合わせて2つの複合器具310が形成される。
【0190】
第2のキット128は、相互的なアクセスのための空洞形成器具グループ(例えば、2つの空洞形成ツール48を含む)を包装し得る。第3のキット130は、相互的なアクセスのための材料導入器具グループ(例えば、少なくとも1つの注射器112、少なくとも1つのノズル114、および少なくとも1つのタンピング器具124を含む)を包装し得る。あるいは、キット130は、注射器112、カニューレ84、およびカニューレに合うような大きさのタンピング器具124を含む材料導入器具グループを含み得る。キット126、128、および130は、さらに、好適には、上記のようにキットの中身を用いて所望の相互的な手法を実行するための説明書を含む。
【0191】
さらに、上記のように、空洞部分への材料62の流れの視覚化を可能にするのに十分な、所定の量の放射線不透過性材料(例えば、バリウムまたはタングステン)を含み得る充填材62の成分を含むように、第4のキット132は含まれ得る。キット132は、さらに、好適には、上記のように材料62を混合して所望の相互的な手法を実行するための説明書を含む。
【0192】
もちろん、個々の器具は、使用上の取扱説明書と共に、キット化(kitted)され得る、および/または、個々に販売され得ることが理解される必要がある。所望であれば、個々の器具キットは、個々の手法および/または医者の選好に合わせられた手法キットを形成するために組み合わせられ得る。例えば、単一レベルの手法を実行するための一般的な器具キットは、ガイドワイヤ器具76、閉塞器具78、カニューレ器具84、およびドリルビット器具88を含み得る。
【0193】
(D.別の空洞形成および充填技術)
別の方法によって、圧縮に強い材料が充填されている空洞が椎体内に形成され得る。
【0194】
例えば(図24Aを参照)、直径の小さい膨張可能な体150が、脊柱針アセンブリ70の茎72または約8〜11ゲージの大きさの別の針を通って椎体内に導入され得る。小さな構造物150を膨張することによって、海綿骨が圧縮されて、椎体内の所望のセメント流路、および/または、構造物150を実質的に取り囲むバリア領域152が形成される。あるいは、機械的なタンパー、リーマ、あるいは、単一または複数の穴あけ器を用いて、椎体内の所望のセメント流路および/または小型の海綿骨が形成されて、小さなバリア領域152が形成され得る。所望のセメント流路および/またはバリア領域152を取り囲む小型の海綿骨は、椎体外に注入される流動性の材料の遊出を減少および/または防止する。
【0195】
流路/バリア領域152の容積を越える量の流動性の充填材154(例えば、骨セメント)が、高圧のもとで、ポンプ156によって、針72を通って、所望のセメント流路および/またはバリア領域152内に注入され得る(図24Bを参照)。充填材154は、圧縮された海綿骨を圧力がかかっている状態で押し、材料154が流路/バリア領域152を充填するにつれて、流路/バリア領域152の容積を増大させる(図24Cを参照)。充填材によって及ぼされる内部圧力は、さらに、最近破砕した皮質骨を、破砕する前の位置に移動させる役割を果たし得る。流動性の材料は、上記のように、硬化された状態に設定され得る。
【0196】
異なる椎体レベルに対して異なる治療技術を用いることによって、複数のレベルの手法を実行することができる。例えば、所定の椎体層にひびが入り、圧迫骨折を経験した場合、上記の空洞形成および骨を持上げる技術が有利に用いられ得る。空洞形成および骨を持上げる技術は、1つ以上の膨張可能な大きな体56の使用後、充填材の低圧導入(図10〜12に示すように)を行うこと、または、1つ以上の小さな膨張可能な体150の使用後、充填材の高圧導入(図24A〜24Cに示すように)を行うこと、または、これらの組み合わせを用いる(例えば、相互的な手法において)ことを含み得る。
【0197】
椎体の強化および痛みの減少を目的とする椎骨移植術(vertebroplasty techniques)を用いて別の椎体を治療することが示され得る。例えば、椎体の終板が、膨張可能な構造物を安全に挿入することができない状態まで減圧した場合、および/または、椎体内で膨張した場合、骨セメントは、圧力をかけられた状態で、針を通って、椎体の海綿骨に直接注入され得る(空洞形成なしに)。骨セメントは、海綿骨を貫通する。セメントに対する流動抵抗を減少させるために、針は、図22A、22B、または22Cに示すような増加する内部直径を有し得る。減少した流動抵抗は、より粘性のあるセメントを用いることを可能にする。その結果、セメントが椎体からにじみ出る可能性が減少される。
【0198】
さらに、異なる治療技術を同じ椎体の異なる領域に用いることができる。例えば、任意の上記の空洞形成および骨を持上げる技術が椎体のある領域に適用され得、従来の椎骨移植術が同じ椎体の別の領域に適用され得る。このような手法は、特に、上記のように、脊柱側弯症の治療に適している。あるいは、種々の開示される技術は、同じ脊柱内の別々の椎体に利用され得る。
【0199】
本発明の特徴は、特許請求の範囲に記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎体を治療するシステムであって、
椎体内への経皮的通路を形成するように寸法及び形状が決められたカニューレと、
シャフト及び膨張可能な構造物を備える空洞形成装置と、を備え、
前記シャフトは、外表面と、前記カニューレを通って前記椎体内へ延びるように寸法が決められた遠位端部とを有し、
前記膨張可能な構造物は、前記シャフトの遠位端部の外表面に取り付けられる近位領域と、前記シャフトの遠位端部を越えて遠位側に位置決めされる遠位領域とを有し、且つ、海綿骨に接触し、収縮状態と膨張状態との間で膨張して前記椎体の海綿骨に空洞を形成するように寸法及び形状が決められており、
前記システムは、さらに、
前記シャフトを通り、前記シャフトの遠位端部を越えて前記膨張可能な構造物を貫通する管状流体運搬部材であって、流体を前記膨張可能な構造物の遠位領域を通って前記空洞内へ運搬するように寸法及び形状が決められた、管状流体運搬部材と、
前記膨張可能な構造物を前記収縮状態から前記膨張状態へ膨張させ、前記膨張状態から前記収縮状態へ戻すように、前記シャフトに結合される装置と、
前記膨張可能な構造物が前記膨張状態から前記収縮状態へ戻されるとき、流体を前記膨張可能な構造物の遠位領域を通って前記空洞内へ運搬して前記空洞内の真空の形成に抵抗するように、前記管状流体運搬部材に結合される、流体源と、
前記空洞内へ充填材料を運搬する装置と、を備えている、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記膨張可能な構造物は、前記膨張状態まで膨張する間、皮質骨を回復位置に向けて移動させることができる力を加え、
前記膨張可能な構造物が前記膨張状態から前記収縮状態に戻されるとき、前記シャフトの遠位端部を通って前記空洞内に運搬される流体は、皮質骨の前記回復位置から離れる方向の動きに抵抗する、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
前記流体源は、液体供給源を備える、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
前記流体源は、空気供給源を備える、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、
前記流体源は、ポンプを含む、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、
さらに、前記充填材料を備える、圧縮に強い材料の供給源を含む、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、
さらに、前記充填材料を備える、薬物供給源を含む、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、
さらに、前記充填材料を備える、硬化した状態に設定される流動性材料の供給源を含む、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、
前記管状流体運搬部材は、前記膨張可能な構造物の遠位領域を越えて延びる、システム
。
【請求項1】
椎体を治療するシステムであって、
椎体内への経皮的通路を形成するように寸法及び形状が決められたカニューレと、
シャフト及び膨張可能な構造物を備える空洞形成装置と、を備え、
前記シャフトは、外表面と、前記カニューレを通って前記椎体内へ延びるように寸法が決められた遠位端部とを有し、
前記膨張可能な構造物は、前記シャフトの遠位端部の外表面に取り付けられる近位領域と、前記シャフトの遠位端部を越えて遠位側に位置決めされる遠位領域とを有し、且つ、海綿骨に接触し、収縮状態と膨張状態との間で膨張して前記椎体の海綿骨に空洞を形成するように寸法及び形状が決められており、
前記システムは、さらに、
前記シャフトを通り、前記シャフトの遠位端部を越えて前記膨張可能な構造物を貫通する管状流体運搬部材であって、流体を前記膨張可能な構造物の遠位領域を通って前記空洞内へ運搬するように寸法及び形状が決められた、管状流体運搬部材と、
前記膨張可能な構造物を前記収縮状態から前記膨張状態へ膨張させ、前記膨張状態から前記収縮状態へ戻すように、前記シャフトに結合される装置と、
前記膨張可能な構造物が前記膨張状態から前記収縮状態へ戻されるとき、流体を前記膨張可能な構造物の遠位領域を通って前記空洞内へ運搬して前記空洞内の真空の形成に抵抗するように、前記管状流体運搬部材に結合される、流体源と、
前記空洞内へ充填材料を運搬する装置と、を備えている、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記膨張可能な構造物は、前記膨張状態まで膨張する間、皮質骨を回復位置に向けて移動させることができる力を加え、
前記膨張可能な構造物が前記膨張状態から前記収縮状態に戻されるとき、前記シャフトの遠位端部を通って前記空洞内に運搬される流体は、皮質骨の前記回復位置から離れる方向の動きに抵抗する、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
前記流体源は、液体供給源を備える、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
前記流体源は、空気供給源を備える、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、
前記流体源は、ポンプを含む、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、
さらに、前記充填材料を備える、圧縮に強い材料の供給源を含む、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、
さらに、前記充填材料を備える、薬物供給源を含む、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、
さらに、前記充填材料を備える、硬化した状態に設定される流動性材料の供給源を含む、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、
前記管状流体運搬部材は、前記膨張可能な構造物の遠位領域を越えて延びる、システム
。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
【図16H】
【図16I】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
【図16H】
【図16I】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2012−35085(P2012−35085A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−194091(P2011−194091)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【分割の表示】特願2002−503199(P2002−503199)の分割
【原出願日】平成13年6月20日(2001.6.20)
【出願人】(508361243)カイフォン・ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテ (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194091(P2011−194091)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【分割の表示】特願2002−503199(P2002−503199)の分割
【原出願日】平成13年6月20日(2001.6.20)
【出願人】(508361243)カイフォン・ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテ (30)
【Fターム(参考)】
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