説明

椎体置換デバイスおよび脊椎内の2つの椎体間スペースを維持するために使用する方法

【課題】椎体置換デバイスおよびその使用方法の提供。
【解決手段】椎体置換デバイス(10)は、本体部材(30)と、2つのねじ山部(41、42)を有するおよび中心ロッド部材(40)とを含み、該中心ロッド部材(40)は、本体部材と動作可能に関連付けられるように構成されている。該デバイスはまた、第1の端部材および第2の端部材(20)も含み、該端部材は、中心ロッド部材のねじ山部に螺合するように構成される。中心ロッド部材の回転作動が、端部材を本体部材に対して軸方向に移動させ、それによって、2つの端部材が2つの椎体に力を付与することを可能にし、その後、デバイスが、2つの端部材が隣接するそれぞれの椎体に係合するように脊椎内の空間内に位置付けられると、本体部材および2つの端部材は、2つの端部材の回転運動を阻止するようにさらに構築されている。該デバイスを使用する外科的方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、脊椎内への挿入のために使用される整形外科および脳神経外科用インプラントに関し、より具体的ではあるが非限定的には、切除された、骨折した、または疾患のある椎体を置換するため、および残された隣接する椎体の間で適切な空間を維持または再建するために、脊柱内に移植されるデバイスに関与する。
【背景技術】
【0002】
個人の脊柱内の椎体の複合構造に影響を及ぼす損傷または疾患は、脊髄の潜在的な永久的損傷を伴う神経障害、および首と背中の不適切な整列を引き起こす可能性がある。脊髄および神経根の持続的な機能性、ならびに長期にわたる重度の神経障害の回避を確保するために、脊柱内に解剖学的空間を維持することが非常に重要である。
【0003】
典型的には、スペーサ型のデバイスとして使用される脊椎インプラントは、固定された全長を有し、拡張または湾曲の程度を調節する能力を持たずに移植される。最近の脊椎スペーサの開発により、椎体の損失によって生じた空間に合うように、回転運動を用いて体内で伸ばされ得るデバイスが得られることとなった。これらの種類の設計に伴って見られる問題には、患者の神経損傷の危険性がある、伸長過程においてインプラントに付与されるねじれの力につながる設置後の移動、存在する臨床的空間に対するインプラントの不適切なサイズ決定、高さを操作するためのデバイスアクセスポートの制約、および端板の角度の調整機能がないことを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
損傷を受けていない脊柱内における椎体の損失または損害の臨床症状に関連する脊椎インプラントの状態および外科的管理の進歩は、望ましいと考えられる。本発明は、インプラントと椎体との接触面に付与されるねじれの力を排除し、所望の最適な高さを維持し、また体内でのデバイスの伸縮を可能にするために360度にわたる調節ツールアクセスをもたらす、脊柱内で使用する体内で調節可能な椎体置換デバイスを提供することにより、椎体の疾患または損傷のいずれかを患う患者を治療するために使用される脊椎空間向けインプラントの改善の必要性を満足させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一側面において、本発明は、内壁および外壁を含む本体部材を有する椎体置換デバイスを提供する。椎体置換デバイスはまた、2つのねじ山部を有する中心ロッド部材も含み、該中心ロッド部材は、本体部材内で動作可能に関連付けられるように構成される。椎体置換デバイスは、両方の端部材が中心ロッド部材の2つのそれぞれのねじ山部に螺合するように構築される2つの端部材もさらに含む。本体部材および2つの端部材は、椎体置換デバイスが脊柱内の空間に設置されたときに、端部材の回転運動を阻止するように構築される。中心ロッド部材が回転させられ、本体部材に対するそれぞれの端部材の軸方向への運動を引き起こすときに、端部材は隣接する椎体と接触し、それによって、端部材が2つの椎体に力を付与して、脊柱内の椎体の間で空間を維持する。
【0006】
本発明は、さらに別の側面において、内壁および外壁とともに、2つの端容器ならびに2つの端容器の間に延在する縦軸を含む細長い本体部材を有する、椎体置換デバイスを提供する。椎体置換デバイスは、第1のねじ山部と、第2のねじ山部と、これらの2つの部分の間に延在する中心軸とを有する中心ロッド部材をさらに含む。中心ロッド部材は、本体部材に動作可能に関連付けられるように構築される。椎体置換デバイスはまた、第1の端部材および第2の端部材を有し、第1の端部材は、中心ロッド部材が本体部材と動作可能に関連付けられるときに、中心ロッド部材の第1のねじ山部に螺合するよう、本体部材の第1の端容器内に位置付けられるように構成される。椎体置換デバイスは、中心ロッド部材が本体部材と動作可能に関連付けられるときに、中心ロッド部材の第2のねじ山部に螺合するよう、本体部材の第2の端容器内に位置付けられるように構成される、第2の端部材をさらに含む。椎体置換デバイスは、端面および側壁を含む少なくとも1つの底板部材を有し、端面は、側壁に隣接して位置付けされる。少なくとも1つの底板部材は、第1の端部材および第2の端部材のどちらかまたは両方に着脱可能に連結するように構成され、端面は椎体に係合するようにサイズ決定される。細長い本体部材、ならびに第1および第2の端部材は、椎体置換デバイスが脊柱内の空間内に位置付けられるときに、第1および第2の端部材の回転運動を阻止するように構成される。第1および第2の端部材は、中心ロッド部材が回転させられるときにそれぞれの椎体に係合し、それによって、本体部材に対して軸方向に第1の端部材および第2の端部材を移動させ、よって第1の端部材および第2の端部材が2つの椎体に力を付与することを可能にする。
【0007】
本発明は、別の側面において、外科的方法を提供する。該方法は、椎体置換デバイスを取得することを含み、椎体置換デバイスは、本体部材と、本体部材内で動作可能に関連付けられるように構成され、また2つのねじ山部を含む中心ロッド部材と、中心ロッド部材の2つのねじ山部に螺合するように構築される2つの端部材とを有する。2つの端部材がそれぞれの椎体に係合している状態で、組み立てられた椎体置換デバイスが2つの椎体の間の空間内に設置されるときに、本体部材および2つの端部材は、端部材のいずれの回転運動も阻止するように構成され、中心ロッド部材が回転させられ、本体部材に対して軸方向に端部材を移動させ、よって、端部材が2つの椎体に力を付与する結果となる。該方法はまた、患者の脊柱内の2つの椎体の間に椎体置換デバイスを位置付けることも含む。該方法はまた、本体部材に対して軸方向に端部材を動作可能に移動させ、2つの椎体に対する力を生成して、脊柱内の2つの椎体の間で空間を維持するさらなることも含み得る。
【0008】
さらに、追加の特徴および利点が、本発明の技術を通して実現される。本発明の他の実施形態および側面は、本明細書に詳細に記載され、本願発明の一部であると見なされる。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
椎体置換デバイスであって、
内壁および外壁を有する本体部材と、
第1のねじ山部および第2のねじ山部を有する中心ロッド部材であって、該本体部材内で動作可能に関連付けられるように構成される、中心ロッド部材と、
第1の端部材および第2の端部材であって、該第1の端部材は、該中心ロッド部材の該第1のねじ山部に螺合するように構成され、該第2の端部材は、該中心ロッド部材の該第2のねじ山部に螺合するように構成される、第1の端部材および第2の端部材と、
を備え、
該椎体置換デバイスが該脊柱内の空間内に配置されているときに、該第1および第2の端部材がそれぞれの脊柱の椎体に係合し、該本体部材ならびに第1および第2の端部材は、該第1および第2の端部材の回転運動を阻止するように構成され、該中心ロッド部材は、該本体部材に対して軸方向に該第1の端部材および該第2の端部材を移動させるように回転作動され、それによって、該第1の端部材および該第2の端部材が、該2つの椎体に力を付与して、その間で所望の空間を維持することを可能にする、
椎体置換デバイス。
(項目2)
前記本体部材は、第1の端容器と、第2の端容器と、該本体部材の該第1の端容器と該第2の端容器との間に延在する縦軸とを備える、細長い本体である、項目1に記載の椎体置換デバイス。
(項目3)
前記本体部材は、少なくとも1つのリブをさらに備え、該少なくとも1つのリブは、該本体部材の前記外壁に沿って配置され、前記縦軸と実質的に平行に走る、項目2に記載の椎体置換デバイス。
(項目4)
前記第1の端部材および前記第2の端部材はそれぞれ、外周壁と、内周壁と、端壁とをさらに備え、該第1の端部材および該第2の端部材のそれぞれは、該内周壁の長さのうちの少なくとも一部分に沿って該端壁から延在する、該内周壁に配置される少なくとも1つのチャネルを有し、該第1の端部材が前記第1の端容器と動作可能に関連付けられ、かつ、該第2の端部材が前記第2の端容器と動作可能に関連付けられるときに、該少なくとも1つのチャネルは、前記本体部材の前記少なくとも1つのリブに係合するように配向され、かつ位置付けられている、項目3に記載の椎体置換デバイス。
(項目5)
座面を有する支持リングをさらに備え、該支持リングは、前記本体部材の前記内壁に螺合するように構成され、それによって、前記中心ロッド部材が該本体部材内に動作可能に位置付けられるときに、該座面が該中心ロッド部材に接触することを可能にする、項目1に記載の椎体置換デバイス。
(項目6)
前記中心ロッド部材は、歯車部をさらに備え、該歯車部は、歯状面および支持面を有し、該歯車部の該支持面は、該中心ロッド部材が前記本体部材内に動作可能に位置付けられるときに、前記支持リングの前記座面に接触するように構成されている、項目5に記載の椎体置換デバイス。
(項目7)
前記中心ロッド部材は、該中心ロッド部材の前記第1のねじ山部と前記第2のねじ山部との間に延在する中心軸をさらに備え、前記歯車部の回転軸は、該中心ロッド部材の該中心軸と実質的に同軸であり、それによって、該歯車部が該回転軸の周囲を回転させられるときに、該第1および第2のねじ山部は、対応して、該中心ロッド部材の該中心軸の周囲を回転する、項目6に記載の椎体置換デバイス。
(項目8)
少なくとも1つの底板部材をさらに備え、該少なくとも1つの底板部材は、前記第1の端部材および前記第2の端部材のうちの少なくとも1つに連結し、前記椎体置換デバイスが前記脊柱内の前記空間内に位置付けられるときに、前記2つの椎体との最大接触を可能にするようにサイズ決定および構成されている、項目1に記載の椎体置換デバイス。
(項目9)
前記第1の端部材および前記第2の端部材のうちの少なくとも1つに対して、少なくとも1つの突起が、前記端壁上に配置され、前記椎体置換デバイスが前記脊柱内で使用中であるときに、各端壁から外側方向に延在して前記それぞれの2つの椎体に係合する、項目4に記載の椎体置換デバイス。
(項目10)
前記第1の端部材および前記第2の端部材のうちの少なくとも1つに対して、前記端壁は、前記外周壁に対して垂直に、または角度を成して配置される、項目4に記載の椎体置換デバイス。
(項目11)
前記第1の端部材および前記第2の端部材のそれぞれに対して、該第1の端部材および該第2の端部材は、前記外周壁および前記端壁のうちの少なくとも1つに配置され、かつ該外周壁および該端壁のうちの少なくとも1つを通って延在する、少なくとも1つの穴をさらに備え、それによって、該第1および第2の端部材内での生体適合性材料の設置を可能にする、項目4に記載の椎体置換デバイス。
(項目12)
前記本体部材は、該本体部材を通って前記外壁から前記内壁まで延在する、少なくとも1つの穴をさらに備え、それによって、該本体部材内での生体適合性材料の設置を可能にする、項目1に記載の椎体置換デバイス。
(項目13)
椎体置換デバイスであって、
本体部材であって、該本体部材は、内壁および外壁を有する細長い本体であり、第1の端容器と、第2の端容器と、該本体部材の該第1の端容器と該第2の端容器との間に延在する縦軸とを備える、本体部材と、
第1のねじ山部と、第2のねじ山部と、該第1のねじ山部と第2のねじ山部との間に延在する中心軸とを有する、中心ロッド部材であって、該本体部材と動作可能に関連付けられるように構成されている、中心ロッド部材と、
第1の端部材および第2の端部材であって、該第1の端部材は、該中心ロッド部材が該本体部材と動作可能に関連付けられるときに、該中心ロッド部材の該第1のねじ山部に螺合するよう、該本体部材の該第1の端容器内に位置付けられるように構成され、該第2の端部材は、該中心ロッド部材が該本体部材と動作可能に関連付けられるときに、該中心ロッド部材の該第2のねじ山部に螺合するよう、該本体部材の該第2の端容器内に位置付けられるように構成される、第1の端部材および第2の端部材と、
少なくとも1つの底板部材であって、該少なくとも1つの底板部材は、端面および側壁を含み、該端面は、該側壁に隣接して位置付けられ、該少なくとも1つの底板は、該第1の端部材および該第2の端部材のうちの少なくとも1つに連結し、該端面は、椎体に係合するようにサイズ決定および構成されている、少なくとも1つの底板部材と、
を備え、
該椎体置換デバイスが脊柱内の空間内に配置されているときに、該第1および第2の端部材がそれぞれの該脊柱の椎体に係合し、該本体部材ならびに第1および第2の端部材は、該第1および第2の端部材の回転運動を阻止するように構成され、該中心ロッド部材は、該本体部材に対して軸方向に該第1の端部材および該第2の端部材を移動させるように回転作動され、それによって、該第1の端部材および該第2の端部材が、該2つの椎体に力を付与することを可能にする、
椎体置換デバイス。
(項目14)
前記本体部材は、少なくとも1つのリブをさらに備え、該少なくとも1つのリブは、該本体部材の前記外壁に沿って配置され、前記縦軸と実質的に平行に走る、項目13に記載の椎体置換デバイス。
(項目15)
前記第1の端部材および前記第2の端部材はそれぞれ、外周壁によって境界を定められている内側部分と、内周壁と、端壁とをさらに備え、該第1の端部材および該第2の端部材のそれぞれは、該内周壁の長さの少なくとも一部分に沿って該端壁から延在する、該内周壁に配置される少なくとも1つのチャネルを有し、該第1の端部材が前記第1の端容器と動作可能に関連付けられ、該第2の端部材が前記第2の端容器と動作可能に関連付けられるときに、該少なくとも1つのチャネルは、前記本体部材の前記少なくとも1つのリブに係合するように配向され、かつ位置付けられる、項目14に記載の椎体置換デバイス。
(項目16)
支持リングであって、座面を有する支持リングをさらに備え、該支持リングは、前記本体部材の前記内壁に螺合するように構成され、それによって、前記中心ロッド部材が該本体部材内に動作可能に位置付けられるときに、該座面が該中心ロッド部材に接触することを可能にする、項目13に記載の椎体置換デバイス。
(項目17)
前記中心ロッド部材は、歯車部をさらに備え、該歯車部は、歯状面および支持面を有し、該歯車部の該支持面は、該中心ロッド部材が前記本体部材内に動作可能に位置付けられるときに、該支持リングの前記座面に接触するように構成されている、項目16に記載の椎体置換デバイス。
(項目18)
前記中心ロッド部材は、その前記第1のねじ山部と前記第2のねじ山部との間に延在する中心軸をさらに備え、前記歯車部の回転軸は、該中心ロッド部材の該中心軸と実質的に同軸であり、それによって、該歯車部が該回転軸の周囲を回転させられるときに、該第1および第2のねじ山部は、対応して、該中心ロッド部材の該中心軸の周囲を回転する、項目17に記載の椎体置換デバイス。
(項目19)
前記少なくとも1つの底板部材に対して、少なくとも1つの突起が、前記端面上に配置され、前記椎体置換デバイスが前記脊柱内で使用中であるときに、該端面から外側方向に延在して前記それぞれの2つの椎体に係合する、項目13に記載の椎体置換デバイス。
(項目20)
前記少なくとも1つの底板に対して、前記端面は、前記側壁に対して垂直に、または角度を成して配置されている、項目13に記載の椎体置換デバイス。
(項目21)
前記第1の端部材および前記第2の端部材のそれぞれに対して、該第1の端部材および該第2の端部材は、前記外周壁に配置され、かつ該外周壁を通って延在する、少なくとも1つの穴をさらに備え、それによって、該第1および第2の端部材の前記内側部分内での生体適合性材料の設置を可能にする、項目15に記載の椎体置換デバイス。
(項目22)
前記本体部材は、該本体部材を通って前記外壁から内壁まで延在する、少なくとも1つの穴をさらに備え、それによって、前記本体部材内での生体適合性材料の設置を可能にする、項目13に記載の椎体置換デバイス。
(項目23)
椎体置換デバイスを取得することであって、
椎体置換デバイスは、
本体部材と、
第1のねじ山部および第2のねじ山部を有する中心ロッド部材であって、該本体部材内で動作可能に関連付けられるように構成されている、中心ロッド部材と、
第1の端部材および第2の端部材であって、該第1の端部材は、該中心ロッド部材の該第1のねじ山部に螺合するように構成され、該第2の端部材は、該中心ロッド部材の該第2のねじ山部に螺合するように構成されている、第1の端部材および第2の端部材と
を備え、
該椎体置換デバイスが脊柱内の空間内に配置されているときに、該第1および第2の端部材がそれぞれの該脊柱の椎体に係合し、該本体部材ならびに第1および第2の端部材は、該第1および第2の端部材の回転運動を阻止するように構成され、該中心ロッド部材は、該本体部材に対して軸方向に該第1の端部材および該第2の端部材を移動させるように回転作動され、該第1の端部材および該第2の端部材が該2つの椎体に力を付与することを可能にする、ことと、
患者の脊柱内で、2つの椎体の間に該椎体置換を位置付けることと、
該脊柱内の該2つの椎体の間で空間を維持するために、該2つの椎体に係合し、該2つの椎体に対する力を生成するように、該本体部材に対して軸方向に該第1の端部材および第2の端部材を動作可能に移動させることと、
を含む、
外科的方法。
(項目24)
前記第1の端部材および第2の端部材を動作可能に移動させることは、ツールを前記中心ロッド部材と係合させることをさらに含み、該中心ロッド部材と係合させられたときの該ツールの回転運動は、前記本体部材に対する該第1および第2の端部材の軸方向運動をもたらして、該第1および第2の端部材に、前記2つの椎体に力を付与し、該2つの椎体の間で所望の空間を維持させる、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記それぞれの椎体との前記第1の端部材および第2の端部材の係合に続いて、前記椎体置換デバイスの全長を固定することをさらに含み、ロックピンが、前記本体部材内で動作可能に関連付けられ、前記中心ロッド部材に係合するように構成され、それによって、該中心ロッド部材の回転運動を阻止する、項目23に記載の方法。
(項目26)
前記第1の端部材および前記第2の端部材のうちの少なくとも1つの内側部分内に、生体適合性材料を設置することをさらに含む、項目23に記載の方法。
(項目27)
前記生体適合性材料を設置することは、前記本体部材内に生体適合性材料を設置することをさらに含む、項目26に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明と称される内容が、本明細書の最後にある特許請求の範囲において具体的に挙げられ、また明確に主張される。本発明の上記および他の目的、特徴、ならびに利点は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から明らかである。
【図1】図1は、本発明の側面による椎体置換デバイスの一実施形態の分解組立透視図である。
【図2A】図2Aは、周囲の外周壁、内周壁、および端壁を有する内側部分を示し、該内側部分は中心ロッド部材を外周壁に対して垂直に配向される端壁と係合させるように構成される、中心に配向されるねじ山付きハウジング要素を含む、本発明の側面による線2−2に沿った図1の椎体置換デバイスの端部材の断面側面図である。
【図2B】図2Bは、周囲の外周壁、内周壁、および端壁を有する内側部分を示し、該内側部分は中心ロッド部材を外周壁に対して角度を成して配向される端壁と係合させるように構成される、中心に配向されるねじ山付きハウジング要素を含む、本発明の側面による端部材の代替実施形態の断面側面図である。
【図3】図3は、2つの端容器および支持リングを係合するための雌ねじを示す、本発明の側面による線3−3に沿った図1の椎体置換デバイスの本体部材の断面側面図である。
【図4】図4は、本発明の側面による図1の椎体置換デバイスの中心ロッド部材の側面図である。
【図5】図5は、本体部材から離れて延在する上方に位置付けられる端部材および下方に位置付けられる端部材を示す、本発明の側面による図1の椎体置換デバイスの組み立て後の側面図である。
【図6】図6は、ツール用ポートホールを通してツールが挿入され、中心ロッド部材とともに動作可能な位置にある、本発明の側面による図1の椎体置換デバイスの透視図である。
【図7】図7は、上方に位置付けられる端部材および下方に位置付けられる端部材の並進運動の前に脊柱内の2つの椎体の間の空間に配置されて示される、本発明の側面による図1の椎体置換デバイスの側面図である。
【図8】図8は、上方に位置付けられる端部材および下方に位置付けられる端部材が脊柱内で所望の空間を維持するように延在し、2つの椎体の間に位置して示される、本発明の側面による図1の椎体置換デバイスの側面図である。
【図9】図9は、上方に位置付けられる端部材および下方に位置付けられる端部材に連結される前の、上方に位置付けられる着脱可能な底板部材および下方に位置付けられる着脱可能な底板部材がそれぞれ示される、本発明の側面による椎体置換デバイスの代替実施形態の透視図である。
【図10A】図10Aは、側面に対して垂直に配向される端面を示す、本発明の側面による図9の椎体置換デバイスの着脱可能な底板部材の側面図である。
【図10B】図10Bは、側面に対して角度を成して配向される端面を示す、本発明による図9の椎体置換デバイスとともに使用される着脱可能な底板部材の代替実施形態の側面図である。
【図11A】図11Aは、楕円形の外側輪郭を有する端面を示す、本発明の側面による図9の椎体置換デバイスとともに使用される着脱可能な底板部材の代替実施形態の透視図である。
【図11B】図11Bは、そら豆形の外側輪郭を有する端面を示す、本発明の側面による図9の椎体置換デバイスとともに使用される着脱可能な底板部材の代替実施形態の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
概説すると、本明細書で開示されるのは、本体部材、中心ロッド部材、支持リング、2つの端部材、および少なくとも1つの底板部材を典型的に含む、椎体置換デバイスまたは脊椎スペーサである。本明細書で使用される場合、「椎体置換デバイス」および「脊椎スペーサ」という用語は、それらは本質的に同じ種類のインプラント用デバイスを表現しているため、交換可能に使用され得る。さらに、本明細書に記載されるのは、椎体置換デバイスを使用して、脊柱の疾患または損傷を患う患者の2つの椎体の間で空間を維持する外科的方法である。
【0011】
図1に表されるように、本発明の側面による椎体置換デバイス10の一般的な構成は、本体部材30、少なくとも2つの端部材20、中心ロッド部材40、および支持リング50を含む。この詳細な説明および以下の特許請求の範囲では、近位の、遠位の、前方の、後方の、内側の、外側の、上方の、および下方の、という用語は、言及する自然骨または方向を示す用語の相対的な位置にしたがって骨またはプロテーゼの特定の部分を示すための、それらの標準的な使用法によって定義される。例えば、「近位の」が、胴体に最も近いプロテーゼの一部分を意味するのに対し、「遠位」は、胴体から最も遠いプロテーゼの一部分を示す。方向を示す用語に関しては、「前方の」は、体の前側に向かう方向であり、「後方の」は、体の後側に向かう方向を意味し、「内側の」は、体の中心線に向かうことを意味し、「外側の」は、体の横に向かうかまたは中心線から離れた方向であり、「上方の」は、上の方向を意味し、「下方の」は、別の対象または構造より下の方向を意味する。
【0012】
図1を参照すると、椎体置換デバイス10は、本体部材30、本体部材30に対して上方および下方に位置付けられる少なくとも2つの端部材20、本体部材30内での設置のための中心ロッド部材40、および本体部材30内の中心ロッド部材40に接触して固定するように構成される支持リング50を含む。
【0013】
図1に示される本体部材30はまた、内壁31および外壁32、ならびに外壁32から内壁31まで延在する少なくとも1つの穴38も含む。さらに、本体部材30は、実質的に外壁32の全長にわたって配置され、かつ延在する、少なくとも1つの回転防止リブ35を有する。少なくとも1つのリブ35は、本体部材30に対して上下方向に配向され、かつ本体部材30の縦軸72に実質的に平行である。少なくとも1つの穴38は、デバイスの移植後に体内で起こる骨の融合を促進する、移植骨または他の生体適合性材料の設置のために使用される。当業者は、執刀医は様々な外径サイズおよび縦方向の長さLで本体部材30を入手可能であることを理解されたい(図3を参照)。インプラントシステムの一部として様々なサイズの本体部材30を有することにより、執刀医は、脊椎の様々なレベルおよびセグメントに椎体置換デバイス10を使用すること(すなわち、小さいサイズを頸椎に、中間のサイズを胸椎に、そして大きいサイズを腰椎に)が可能となる。
【0014】
図3の横断面図に示すように、本体部材30は、第1のまたは上方に位置付けられる端容器33および第2のまたは下方に位置付けられる端容器34を、細長い本体部材30内でこれらの2つの構造間に延在する縦軸72とともにさらに含む。中央チャンバ36は、内壁31によって規定され、かつ第1の端容器33によって上方に、また第2の端容器34によって下方に境界を定められている。少なくとも1つのツール用ポートホール39が、外壁32および内壁31を通って中央チャンバ36内に延在する。また、中央チャンバ36の内壁31は、中央チャンバ36の下部に位置付けられる一連の雌ねじ37を含む。雌ねじは、支持リング50の雄ねじ52(図示せず)に螺合するようにサイズ決定および構成される。天井面74は、天井面74を通って位置付けられる中央開口部75で、中央チャンバ36の上部を規定する。図示されていないが、椎体置換デバイス10が完全に組み立てられて使用中である時は、中心ロッド部材40は、中心ロッド部材40の上ねじ山部41が中央開口部75を貫通可能であるように構成されることにより本体部材30と動作可能に関連し、その結果として、中心ロッド部材40のカラー要素47が天井面74に接触する。中心ロッド部材40の上ねじ山部41を中央開口部75を通して設置した後、支持リング50を中央チャンバ36の雌ねじ37にねじで螺結することにより、中心ロッド部材40は中央チャンバ36内で移動可能に固定され、その結果として、支持リング50の座面51が中心ロッド部材40の支持面45と押圧接触する。本体部材30は、外壁32および内壁31を通って中央チャンバ36内に貫通する、少なくとも1つのロックピン穴71(図1に示すように)をさらに含む。図示されていないが、組み立てた椎体置換デバイス10の最終的な設置および調節の後で、対応するねじ山付きのピンまたはボルトが、少なくとも1つのロックピン穴71内にねじ込まれ得、その結果として、中心ロッド部材40が定位置に固定され、椎体置換デバイス10の全体的な長さを確定する。
【0015】
図1および4は、2つのねじ山部が反対のねじ山構造を有する、第1のまたは上ねじ山部41および第2のまたは下ねじ山部42を有する中心ロッド部材40を示す。これは、第1のねじ山部41が右ねじで構築される場合、第2のねじ山部42は左ねじで構築されることを意味する。当業者は、反対のねじ山構成も企図されることを理解されたい。中心ロッド部材40は、歯車部43が第1のねじ山部41と第2のねじ山部42との中間に位置付けられる、第1のねじ山部41から第2のねじ山部42まで貫通する中心軸46をさらに含む。歯車部43は、概して歯状面44で構築され、歯状面44の平面は、中心軸46に対して実質的に直角に配向される。カラー要素47が、歯状面44に隣接して位置付けられ、椎体置換デバイス10の組み立て後に、中央チャンバ36内における歯状面44の適切な外部アクセスを確保する。さらに、歯車部43は、歯車部43の下方側面または裏側に位置する支持面45を含む。歯車面44について説明したのと同様に、支持面45の平面は、対応して、中心軸46に対して実質的に直角に配向される。先に説明したように、椎体置換デバイス10が組み立てられて使用中である時は、支持面45は、支持リング50の座面51と接触し、摺動して関節運動する(図1を参照)。歯車部43は、中心ロッド部材40と一体であり、歯車部43がその回転軸の周囲を移動させられるときに、歯車部43の回転軸は中心軸46と同軸であるため、第1のねじ山部41および第2のねじ山部42も回転するように位置付けられる。
【0016】
図1、2A、および2Bは、端部材20を表している。椎体置換デバイス10は、その構造中に少なくとも2つの端部材20を含み、第1の端部材20は本体部材30の上方に位置付けられ、第2の端部材20は本体部材30の下方に位置付けられる。動作中は、第1の端部材20が本体部材30に対して移動するときに、端部材20の内周壁23が第1の端容器33の外壁32に隣接して連続的に位置付けられるように、上方に位置付けられる第1の端部材20が、第1の端容器33と整列されて同心となる。第2の端部材20が本体部材30に対して移動するときに、端部材20の内周壁23が第2の端容器34の外壁32に隣接して連続的に位置付けられるように、第2の端容器34と整列されて同心となるため、下方に位置付けられる第2の端部材20とも同様の動作上の関係が生じる。
【0017】
図2Aおよび2Bに見られるように、端部材は、内周壁23および中心に位置付けられるねじ山付きハウジング要素28によって規定される、内側部分21を含む。ねじ山付きハウジング要素28は、ねじ山付きハウジング要素28の全長に延在してもよい雌ねじ29で構築される。雌ねじ29は、椎体置換デバイス10の組み立てときに、中心ロッド部材40のねじ山部41、42に対応して螺合するように構成される。図2Aおよぶ2Bには示されていないが、内周壁23は、少なくとも1つのチャネル25も含み(図1を参照)、少なくとも1つのチャネル25は実質的に鉛直に配向され、椎体置換デバイス10が組み立てられるときに、本体部材30の少なくとも1つの対応する回転防止リブ35を受容するようにサイズ決定される。
【0018】
図2Aおよび2Bの断面図にさらに示されるように、端部材20は、少なくとも1つの穴27が隣接する内周壁23まで貫通する外周壁22を有する。少なくとも1つの穴27は、移植後の骨移植材料および骨の融合を促進することを目的とする他の生体適合性材料の設置を可能にするようにサイズ決定される。
【0019】
また、図1および2Aに見られるように、端壁24は、端部材20の一端で内側部分21の頂上を覆うかまたは内側部分21の境界を定める役割を果たす。端壁24は、ねじ山付きハウジング要素28と一体化して連結し、概して、端壁24の外側面から外側方向に延在する少なくとも1つの突起26または係合要素を含む。少なくとも1つの突起26は、歯状体として構成され得るが(図1、2A、2B、および5に示すように)、これに限定されないが、スパイク状、杭状、格子状、指状、および柱状を含む、他の形状の突起または係合要素が企図される。少なくとも1つの突起26は、移植後に十分な固定を提供するように、また移植後および椎体置換デバイス10の伸長手順の間に端部材20に付与される可能性のあるいかなるねじり負荷にも耐えるように、隣接する椎体、より具体的には、椎体の解剖学的な端平面との動作可能な係合を可能にするようにサイズ決定される。
【0020】
横断面図2Aは、外周壁22に対して直角または垂直に配向される端壁24を示す。図2Bは、端壁24は角αで配向され、外周壁22に対して角度を成す端部材20の代替実施形態を示す。角度を成す端壁24を有することは、前弯変形および後弯変形を臨床的に治療する能力を執刀医に提供する。当業者は、端部材20は0°から20°までの様々な増分の幅広い角度で提供され、それによって、外科手技の間に提示されるいずれの変形をも正確に処置する能力を執刀医に提供することを十分に理解されたい。
【0021】
図9に示すように、椎体置換デバイス10は、端壁94が底板部材80と連結するように構成される、端部材90の代替実施形態を含み得ることが企図される。端壁94は、移植後に、底板部材80を端部材90および椎体に対する好ましい位置に配向する役割を果たす、少なくとも1つの整列タブ91をさらに含み得る。図11Aおよび11Bに見られるように、底板部材80は、複数の様々な円形、非円形、および多角形の外側輪郭形状(すなわち、図9に示すような円形、図11Aに示すような楕円形、図11Bに示すようなそら豆形、または長細い形(図示せず))およびサイズで入手可能であることが企図される。図10Aに見られるように、底板部材80は様々な厚さまたは高さTで入手可能であることが、さらに企図される。様々な幅広い高さ、形状、サイズ、および角度の底板部材80を含むキットまたはインプラントシステムを有することは、骨の最大被覆、脊椎の整列について複数の選択肢を執刀医に提供し、結果として、移植後に隣接する椎体に対するデバイスの安定性をもたらす。
【0022】
図10Aに示すように、端面82は、底板部材80の側壁83に対して中立または垂直な配向で構成され得る。代替として、図10Bは、側壁83に対して角度を成す端面82(角Δ)を有する底板部材80を示す。前述のように、それぞれが0°から20°に及ぶ角度の異なる角を有する複数の底板部材80が執刀位に提供されることが企図される。そのような増分する幅広い角度の底板部材80を入手可能にすることは、提示される臨床的変形に合うように、術式の最中に椎体置換デバイス10をカスタマイズする能力を執刀医に提供する。図9では円形の周辺形状で示されているが、前述したように、当業者は、ここでも同様に移植後の骨の支持を最大化する能力を執刀医に提供するように、中立および角度を成す底板部材80の両方が、複数の外側輪郭形状、サイズ、および全体の厚さTで構築されるということを理解されたい。底板部材80はモジュール式の設計であり得、それによって、執刀医が底板部材80を端部材90と自由に組み合わせることおよび交換することが可能となる。これは、ロック機構84の使用により、底板部材80を固定して取りつけること、および端部材90の端壁94から取り外すことを可能にすることによって達成される。示されるように、例示的な目的のためにのみ、ロック機構84は、端面82の穴87を貫通して、端壁94の対応するねじ山付きの穴92に係合する、少なくとも1つのロックスクリュー85から構成され得る。さらに、当業者は、これに限定されないが、ロックピン、ボルト、および圧入ピンを含む様々な他の目立たないロックまたは固定機構が、この目的のために使用され得ることを理解されたい。前述のように、底板部材80は、端面82から外向きに延在する少なくとも1つの突起86または係合要素も含むことが企図される。少なくとも1つの突起86は、歯状突起として構成され得るが(図9、10A、および10Bに示すように)、これに限定されないが、スパイク状、杭状、格子状、指状、および柱状を含む、他の形状の係合要素が企図される。端面82は、移植後に、隣接する椎体との生物学的内部成長を促進する特定の物質で処理または被覆され得る。また端面82は、ナノサイズまたはミクロンサイズの表面特徴を有する端面82をもたらすプロセスまたは処理を受けてもよい。さらに、底板部材80は、端部材90の周辺に位置付けられる対応するタブ91に摺動的に係合する整列スロット88を含む、配向機構93を有し得る。配向機構93は、端壁94および隣接する椎体に対して底板部材80を確実に配向させる役割を果たす。
【0023】
椎体置換デバイス10の組み立て後、上方に位置付けられる端部材20または第1の端部材20および下方に位置付けられる端部材20または第2の端部材20の両方は、それぞれの内側部分21およびねじ山付きハウジング要素28を用いて、それぞれ第1の端容器33および第2の端容器34内に位置付けられる。図6に示すように、第1の端部材20および第2の端部材20は、本体部材30に対して軸方向に、同時に拡張または収縮され得、ツール用ポートホール39を通してツール70を挿入し、ツール70のギア型先端(図示せず)を中心ロッド部材40の歯車部43の歯状面44に係合させることによって、椎体置換デバイス10の全長を伸張または短縮する。術中は、ツール70を回転させて歯車部43を回転させ、第1および第2のねじ山部41、42が、中心軸46の周囲を回転する。組み立てられると、第1および第2の端部材20のねじ山付きハウジング要素28は、中心ロッド部材40の第1および第2のねじ山部41、42上にそれぞれ螺嵌され、第1および第2の端部材20の少なくとも1つのチャネル25も、第1および第2の端容器33、34それぞれの外壁32上に位置付けられる少なくとも1つの回転防止リブ35に係合する。機能的に、第1および第2の端部材20の少なくとも1つのチャネル25の、本体部材30の少なくとも1つのリブ35への係合は、ツール70が回されたときに第1および第2の端部材20の回転運動を阻止し、よって、第1および第2の端部材20が、中心ロッド部材40の第1および第2のねじ山部41、42のねじ山の長さと等しい最大距離に対して、本体部材30に対して反対の軸方向に同時に進むかまたは移動することになる。前述のように、第1の端部材および第2の端部材20の双方向への軸運動は、中心ロッド部材40の第1および第2のねじ山部41、42のそれぞれの相反するねじ(すなわち、右ねじおよび左ねじ)によって引き起こされる。動作的には、中心ロッド部材40は、ツール70および歯車部43の回転運動を第1および第2の端部材20の対応する軸方向または直線の運動に変換し、チャネル25とリブ35との噛み合いが、縦軸72および隣接する脊椎に対する2つの端部材20のいずれの回転運動をも実質的に阻止し、よって端部材−椎体の接触面に付与されるねじれの力を排除する。例示の目的で、図5は、前述した第1および第2の端部材20の部分的な同時運動の後で組み立てられた椎体置換デバイス10を示す。
【0024】
図8は、前述した様式における第1および第2の端部材20の同時運動の後に、隣接する椎体と、端壁24から延在する少なくとも1つの突起26との、または代替として底板部材80の突起86(図示せず)との間の密接な接触をもたらす、2つの椎体の間で空間内に位置付けられる組み立てられた椎体置換デバイス10を示す。結果として得られた圧縮力は、それぞれの端部材20(または底板部材80)から接触する椎体に付与され、所望の解剖学的空間を維持する。
【0025】
適切な外科的露出および切開技術を含む椎体置換デバイスの移植のための外科的技術は、当該技術分野において周知である。該方法は、本体部材30、2つのねじ山部41、42を有し、本体部材30内に動作可能に連結されるように構成される中心ロッド部材40、ならびに中心ロッド部材40の2つのねじ山部41、42に螺合するように構成される第1および第2の端部材20を含み得る、椎体置換デバイス10を取得することを含む。前述のように、本体部材30および端部材20は、組み立ておよび脊柱内の空間内での椎体置換デバイス10の位置付けの後、2つの端部材20の回転運動を阻止するようにさらに構成され、中心ロッド部材40が回転作動されると、よって2つの端部材20を本体部材30に対して反対の軸方向に移動させると、両方の端部材20がそれぞれの椎体に係合する。そのような運動の際には、2つの端部材20は、脊柱内の2つの隣接する椎体に力を付与する。前述したすべてのデバイス構成要素およびそれぞれの要素は、本明細書において事前に記載したものと同じ構造上および機能上の特徴を含むことを理解されたい。
【0026】
図7に見られるように、該方法は、患者の脊柱内の2つの椎体の間に椎体置換デバイス10を位置付けることをさらに含み得る。外科的方法は、両方の端部材20を同時に本体部材30に対して反対方向に動作可能に移動させ、図8に示すように、脊柱内の2つの椎体の間で空間を維持する目的で、2つのそれぞれの隣接する椎体に対する力を生成することも含み得る。図示していないが、該方法は、ツール70の回転運動が本体部材30に対する2つのそれぞれの端部材20の反対の軸方向運動に変換され、2つの端部材20を隣接する椎体と接触させて力を付与し、それによって、これらの2つの椎体の間で空間を維持する、ツール用ポートホール39を通してツール70を中心ロッド部材40に係合させることをさらに含み得る。該方法はまた、長さ調節手順の完了後に、ロックピン穴71を通して本体部材30にロックピンを確実に連結させ、本体部材30および中心ロッド部材40に対する2つの端部材20の固定を確保することも含み得る。
【0027】
当業者は、本明細書に記載される外科的方法はまた、より詳細に前述した代替実施形態である端部材90に連結される、モジュール式の底板部材80を使用することを代替として含み得ることを理解されたい。本明細書に記載される椎体置換デバイス10の移植の順序は、所与の臨床的状況、および底板部材80が椎体置換デバイス10を完全に組み立てる前に「作業台」上で取り付けられるか、または手術部位内で取り付けられるか、に依存して異なり得る。デバイスの組み立て順序は、執刀医の自由裁量によるものとし、患者の臨床的必要性とともに、執刀医が優先する順位に依存して変化する。
【0028】
様々な断面サイズ、多角形および円形/楕円形の断面形状、ならびに本体部材30、端部材、および底板部材80の縦方向の長さから構成される移植システムは、キットとして入手可能であることが、さらに企図される。これにより、執刀医は、特定の脊椎セグメントに最も適した椎体置換デバイス10を組み立てるため、または患者に存在する解剖学的変形に対応するための、別個の部材構成要素を選別することができる。当業者は、提供されるそれぞれの形状および寸法の部材は、中心ロッド部材40および支持リング50について本明細書で以前に記載されたのと同様の様式で機能することを理解されたい。
【0029】
本明細書では、好ましい実施形態が詳細に示され、また説明されてきたが、関連技術分野の当業者には、その本質から逸脱することなく、様々な修正、追加、および代替が行われ得、よって、それらは以下の特許請求の範囲の範疇と見なされるべきであることは、明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎体置換デバイスであって、
内壁および外壁を有する本体部材と、
第1のねじ山部および第2のねじ山部を有する中心ロッド部材であって、該本体部材内で動作可能に関連付けられるように構成される、中心ロッド部材と、
第1の端部材および第2の端部材であって、該第1の端部材は、該中心ロッド部材の該第1のねじ山部に螺合するように構成され、該第2の端部材は、該中心ロッド部材の該第2のねじ山部に螺合するように構成される、第1の端部材および第2の端部材と
を備え、
該椎体置換デバイスが脊柱内の空間内に配置されているときに、該第1および第2の端部材がそれぞれの脊柱の椎体に係合し、該本体部材ならびに第1および第2の端部材は、該第1および第2の端部材の回転運動を阻止するように構成され、該中心ロッド部材は、該本体部材に対して軸方向に該第1の端部材および該第2の端部材を移動させるように回転作動され、それによって、該第1の端部材および該第2の端部材が、該2つの椎体に力を付与して、その間で所望の空間を維持することを可能にし、
該椎体置換デバイスは、支持リングをさらに備え、該支持リングは、座面を有し、
該中心ロッド部材は、歯車部をさらに備え、該歯車部は、歯状面および支持面を有し、該歯車部の該支持面は、該中心ロッド部材が該本体部材内に動作可能に位置付けられるときに、該支持リングの該座面に接触するように構成されている、椎体置換デバイス。
【請求項2】
前記本体部材は、第1の端容器と、第2の端容器と、該本体部材の該第1の端容器と該第2の端容器との間に延在する縦軸とを備える、細長い本体である、請求項1に記載の椎体置換デバイス。
【請求項3】
前記中心ロッド部材は、該中心ロッド部材の前記第1のねじ山部と前記第2のねじ山部との間に延在する中心軸をさらに備え、前記歯車部の回転軸は、該中心ロッド部材の該中心軸と実質的に同軸であり、それによって、該歯車部が該回転軸の周囲を回転させられるときに、該第1および第2のねじ山部は、対応して、該中心ロッド部材の該中心軸の周囲を回転する、請求項1に記載の椎体置換デバイス。
【請求項4】
少なくとも1つの底板部材をさらに備え、該少なくとも1つの底板部材は、前記第1の端部材および前記第2の端部材のうちの少なくとも1つに連結し、前記椎体置換デバイスが前記脊柱内の前記空間内に位置付けられるときに、前記2つの椎体との最大接触を可能にするようにサイズ決定および構成されている、請求項1に記載の椎体置換デバイス。
【請求項5】
前記第1の端部材および前記第2の端部材のうちの少なくとも1つに対して、少なくとも1つの突起が、前記端壁上に配置され、前記椎体置換デバイスが前記脊柱内で使用中であるときに、各端壁から外側方向に延在して前記それぞれの2つの椎体に係合する、請求項1に記載の椎体置換デバイス。
【請求項6】
前記第1の端部材および前記第2の端部材のうちの少なくとも1つに対して、前記端壁は、前記外周壁に対して垂直に、または角度を成して配置される、請求項1に記載の椎体置換デバイス。
【請求項7】
前記第1の端部材および前記第2の端部材のそれぞれに対して、該第1の端部材および該第2の端部材は、前記外周壁および前記端壁のうちの少なくとも1つに配置され、かつ該外周壁および該端壁のうちの少なくとも1つを通って延在する、少なくとも1つの穴をさらに備え、それによって、該第1および第2の端部材内での生体適合性材料の設置を可能にする、請求項1に記載の椎体置換デバイス。
【請求項8】
前記本体部材は、該本体部材を通って前記外壁から前記内壁まで延在する、少なくとも1つの穴をさらに備え、それによって、該本体部材内での生体適合性材料の設置を可能にする、請求項1に記載の椎体置換デバイス。
【請求項9】
椎体置換デバイスであって、
本体部材であって、該本体部材は、内壁および外壁を有する細長い本体であり、第1の端容器と、第2の端容器と、該本体部材の該第1の端容器と該第2の端容器との間に延在する縦軸とを備える、本体部材と、
第1のねじ山部と、第2のねじ山部と、該第1のねじ山部と第2のねじ山部との間に延在する中心軸とを有する、中心ロッド部材であって、該本体部材と動作可能に関連付けられるように構成されている、中心ロッド部材と、
第1の端部材および第2の端部材であって、該第1の端部材は、該中心ロッド部材が該本体部材と動作可能に関連付けられるときに、該中心ロッド部材の該第1のねじ山部に螺合するよう、該本体部材の該第1の端容器内に位置付けられるように構成され、該第2の端部材は、該中心ロッド部材が該本体部材と動作可能に関連付けられるときに、該中心ロッド部材の該第2のねじ山部に螺合するよう、該本体部材の該第2の端容器内に位置付けられるように構成される、第1の端部材および第2の端部材と、
少なくとも1つの底板部材であって、該少なくとも1つの底板部材は、端面および側壁を含み、該端面は、該側壁に隣接して位置付けられ、該少なくとも1つの底板は、該第1の端部材および該第2の端部材のうちの少なくとも1つに連結し、該端面は、椎体に係合するようにサイズ決定および構成されている、少なくとも1つの底板部材と
を備え、
該椎体置換デバイスが脊柱内の空間内に配置されているときに、該第1および第2の端部材がそれぞれの脊柱の椎体に係合し、該本体部材ならびに第1および第2の端部材は、該第1および第2の端部材の回転運動を阻止するように構成され、該中心ロッド部材は、該本体部材に対して軸方向に該第1の端部材および該第2の端部材を移動させるように回転作動され、それによって、該第1の端部材および該第2の端部材が、該2つの椎体に力を付与することを可能にし、
該椎体置換デバイスは、支持リングをさらに備え、該支持リングは、座面を有し、
該中心ロッド部材は、歯車部をさらに備え、該歯車部は、歯状面および支持面を有し、該歯車部の該支持面は、該中心ロッド部材が該本体部材内に動作可能に位置付けられるときに、該支持リングの該座面に接触するように構成されている、椎体置換デバイス。
【請求項10】
前記中心ロッド部材は、その前記第1のねじ山部と前記第2のねじ山部との間に延在する中心軸をさらに備え、前記歯車部の回転軸は、該中心ロッド部材の該中心軸と実質的に同軸であり、それによって、該歯車部が該回転軸の周囲を回転させられるときに、該第1および第2のねじ山部は、対応して、該中心ロッド部材の該中心軸の周囲を回転する、請求項9に記載の椎体置換デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの底板部材に対して、少なくとも1つの突起が、前記端面上に配置され、前記椎体置換デバイスが前記脊柱内で使用中であるときに、該端面から外側方向に延在して前記それぞれの2つの椎体に係合する、請求項9に記載の椎体置換デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの底板に対して、前記端面は、前記側壁に対して垂直に、または角度を成して配置されている、請求項9に記載の椎体置換デバイス。
【請求項13】
前記第1の端部材および前記第2の端部材は、それぞれ、外周壁によって境界を定められている内側部分と、内周壁と、端壁とをさらに備え、該第1の端部材および該第2の端部材のそれぞれに対して、該第1の端部材および該第2の端部材は、該外周壁に配置され、かつ該外周壁を通って延在する、少なくとも1つの穴をさらに備え、それによって、該第1および第2の端部材の該内側部分内での生体適合性材料の設置を可能にする、請求項9に記載の椎体置換デバイス。
【請求項14】
前記本体部材は、該本体部材を通って前記外壁から内壁まで延在する、少なくとも1つの穴をさらに備え、それによって、前記本体部材内での生体適合性材料の設置を可能にする、請求項9に記載の椎体置換デバイス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【公開番号】特開2013−10014(P2013−10014A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−226714(P2012−226714)
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【分割の表示】特願2010−531138(P2010−531138)の分割
【原出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(510097943)エースキュラップ インプラント システムズ, エルエルシー (5)
【Fターム(参考)】