説明

検体の回収方法、および回収装置

【課題】狙ったウェル内の細胞のみを確実に採取する。
【解決手段】ウェル基板W1に配設された複数のウェルW2から検体Sを吸引して採取する検体の回収方法であって、外側のノズル21と、このノズル21の内側に隙間δを設けて配設された吸引管22と、からなる二重管2を使用して、ノズル21と22吸引管との隙間δに回収液Fを溜める工程と、吸引管22を検体Sの上に位置決めした状態で、隙間δに溜めた回収液Fを吸引管22に吸引して、回収液Fとともに検体Sを採取する工程と、を有することを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体の回収方法、および回収装置に関し、特に二重管を使用した検体の回収方法、および回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液中のマイクロウェルチップ(例えば、ウェル径10μm程度)に分注した細胞から特定の細胞のみを回収する方法として、先端の細いノズルを正確にウェルの直上に位置決めし、吸引等により回収する方法が一般的である。この方法は、細胞にダメージを与えず、容易に細胞を採取することができることから、最も自動回収には適していた(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−49197号公報
【特許文献2】特開2007−326072号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ウェル中に埋没した細胞を吸引で採取する場合、適当な液流を効果的に細胞に与えることが必要であり、狙った細胞以外の他のウェルの細胞も採取してしまうことがあった。液流の量や向きを工夫することで多少の改善はできるが、完全に狙った細胞のみを採取することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、前記した問題点を解決すべく、狙ったウェル内の細胞のみを確実に採取することができる検体の回収方法、および回収装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、ウェル基板に配設された複数のウェルから検体を吸引して採取する検体の回収方法であって、外側のノズルと、このノズルの内側に隙間を設けて配設された吸引管と、からなる二重管を使用して、前記ノズルと前記吸引管との前記隙間に回収液を溜める工程と、前記吸引管を前記検体の上に位置決めした状態で、前記隙間に溜めた前記回収液を前記吸引管に吸引して、前記回収液とともに前記検体を採取する工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明は、二重管を使用して前記ノズルと前記吸引管との隙間に回収液を溜めて、この溜めた回収液を吸入管に吸入することで、前記隙間からウェル基板上の検体を巻き込むようにして吸入管まで流れる液流を発生させる。このようにして、狙った検体に対して適切な液流を効果的に与えることで、狙ったウェル内の細胞のみを確実に採取することができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の検体の回収方法であって、前記吸引管の先端は、前記ノズルの先端と同じ位置か該先端よりも後退して配設され、前記採取する工程において、前記ノズルの先端を前記ウェル基板に当接させて前記回収液を吸引することを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、前記吸引管の先端を前記ノズルの先端と同じ位置か該先端よりも後退して配設したことで、前記採取する工程において、前記吸引管は前記ウェル基板から離れた状態で、前記ノズルの先端を前記ウェル基板に当接させると、狙った検体の周りをノズルで遮蔽するため、狙った検体を他のウェル内の細胞から隔離することができる。このため、狙ったウェル内の細胞のみを確実に採取することができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の検体の回収方法であって、前記採取する工程において、前記隙間に流体を供給して前記回収液を前記吸引管に押し出すようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、前記隙間に流体を供給して前記回収液を前記吸引管に押し出すようにしたことで、前記吸引管に吸引する補助としての機能を付与することができる。このため、検体を効率よく確実に吸引管に採取することができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の検体の回収方法であって、前記回収液を溜める工程は、前記吸引管内を陽圧にした状態で、前記液体を貯留した容器に前記ノズルを浸して前記回収液を溜めることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、前記吸引管内を陽圧にした状態にすることで、吸引管には回収液が吸引されないようにすることができる。そして、前記回収液を貯留した貯留槽に前記ノズルを浸して、毛細管力により回収液を前記隙間に溜めることができるため、簡易な構成で効率よく確実に回収液を溜めることができる。また、前記ノズルを浸す長さを調整することで、回収液の量を管理することも容易となる。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の検体の回収方法であって、前記検体を採取する工程の後に、前記吸引管、または、前記隙間および前記吸引管に陽圧をかけて、前記検体を吐出する工程を有することを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、前記隙間に陽圧(正圧)をかけて、前記吸引管の外周に流れをつくることで、前記吸引管から検体を吐出する補助としての機能を付与することができる。このため、検体を効率よく確実に吸引管から吐出することができる。
【0016】
請求項6に係る発明は、ウェル基板に配設された複数のウェルから検体を吸引して採取する検体の回収装置であって、外側のノズルと、このノズルの内側に隙間を設けて配設された吸引管と、からなる二重管と、この二重管を前記検体に対して位置決めする移動機構と、前記ノズルと前記吸引管との前記隙間に回収液を溜める貯留機構と、前記隙間に溜めた前記回収液を前記吸引管に吸引して、前記回収液とともに前記検体を採取できるように前記吸引管に連結された吸引装置と、を備え、前記吸引管の先端は、前記ノズルの先端と同じ位置か該先端よりも後退して配設されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に係る発明によれば、前記ノズルと前記吸引管との隙間に回収液を溜めて、この溜めた回収液を吸入管に吸入することで、前記隙間からウェル基板上の検体を巻き込むようにして吸入管まで流れる液流を発生させる。このようにして、狙った検体に対して適切な液流を効果的に与えることで、狙ったウェル内の細胞のみを確実に採取することができる。
また、前記吸引管の先端を前記ノズルの先端と同じ位置か該先端よりも後退して配設したことで、前記採取する工程において、前記ノズルの先端を前記マイクロウェル基板に当接させると、狙った検体の周りをノズルで遮蔽するため、狙った検体を他のウェル内の細胞から隔離することができる。このため、狙ったウェル内の細胞のみを確実に採取することができる。
【0018】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の検体の回収装置であって、前記吸引管を前記ノズルと同じ位置か該ノズルよりも後退させることができる位置調整機構を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項7に係る発明によれば、前記吸引管は前記ウェル基板から離れた状態で、前記ノズルの先端を前記ウェル基板に当接させると、狙った検体の周りをノズルで遮蔽するため、狙った検体を他のウェル内の細胞から隔離することができる。このため、狙ったウェル内の細胞のみを確実に採取することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る検体の回収方法、および回収装置は、狙ったウェル内の細胞のみを確実に採取することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態に係る検体(細胞)の回収装置1について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
参照する図面において、図1は本発明の実施形態に係る検体の回収装置の構成を説明するための構成図であり、(a)は正面図、(b)はノズル回りの部分拡大図である。図2(a)〜(d)は本発明の実施形態に係る検体の回収方法を説明するためのノズル回りの部分拡大図である。
【0022】
本発明の実施形態に係る細胞の回収装置1は、図1(a)に示すように、基体となるフレーム11と、外側のノズル21および内側に配設された吸引管であるガラスキャピラリー22からなる二重管2と、この二重管2を位置決め可能に移動する移動機構3と、ノズル21とガラスキャピラリー22との隙間δに回収液Fを溜める貯留機構4と、ガラスキャピラリー22に陰圧(負圧)をかけるように連結された吸引装置51と、隙間δにエアを供給(吐出)するエア供給装置61と、ガラスキャピラリー22に陽圧(正圧)をかける吐出装置52と、ガラスキャピラリー22をノズル21よりも後退させることができる位置調整機構であるマイクロゲージ8と、フレーム11の上下方向の移動量を計測するエンコーダ12と、フレーム11等の重量をキャンセルするためのスプリング13と、を備えている。
【0023】
なお、本実施形態においては、隙間δ(図1(b)参照)にエアを供給するエア供給装置61の他、隙間δに回収液Fを供給して、洗浄等を行なう回収液供給装置62が設けられている。
【0024】
検体である細胞Sは、図1(b)に示すように、半導体技術で製作されたウェル基板W1(マイクロウェル基板)に配設された10μm程度の小さな窪みであるウェルW2の中に1個ずつ細胞Sを保護するための液体Lに浸した状態で収容されている。例えば、数cm四方のウェル基板W1の中に数10万個の細胞Sが収容され、細胞Sの機能等の解析に利用されている。
そして、本発明の実施形態に係る細胞の回収装置1は、狙った特定の細胞Sのみを確実に採取して仕分けできるように構成されている。
【0025】
二重管2は、図1(a)に示すように、外側のノズル21と、このノズルの内側に隙間δ(図1(b)参照)を設けて配設されたガラスキャピラリー22と、を備えている。
そして、二重管2は、図1(b)に示すように、ガラスキャピラリー22の先端がノズル21の先端よりも後退量hだけ後退して配設されている。
【0026】
このため、ノズル21の先端をウェル基板W1の表面W3に当接させた状態で、ガラスキャピラリー22の先端とウェル基板W1の表面W3との間には後退量hの隙間が形成される(図2(b)参照)。後退量hの大きさは、対象とする細胞Sの大きさ等を考慮して適宜設定される。
また、後退量h=0、つまりノズル21の先端とガラスキャピラリー22の先端との高さを一致させることもできる。例えば、ウェルサイズがガラスキャピラリー22の外径よりも大きい場合、ウェル外周にスリット等を設けることで、液の出入りがある場合(例えば、特開2007−326072号公報参照)である。
【0027】
また、ノズル21およびガラスキャピラリー22は、図示しないモータでそれぞれ上下に移動して高さ調整し、後退量hを設定できるように構成されている。そして、最終的な微調整は、位置調整機構8によりミクロンオーダで設定される。
【0028】
ノズル21は、高精度および耐摩耗性を有する材料が使用される。つまり、ノズル21は、細胞Sを吸引する際にはウェル基板W1の表面W3に当接させて狙った細胞Sの周りを遮蔽し、狙った細胞Sを他のウェル内の細胞Sから確実に隔離できるように、例えばセラミック製のものが採用されている。
【0029】
ノズル21とガラスキャピラリー22との間に形成される隙間δの大きさは、毛細管力を利用して捕捉する回収液Fの量を考慮して適宜設定される。例えば、ノズル21の内径を30μm、ガラスキャピラリー22の外径を20μmとすると、隙間δは片側5μmである。
【0030】
移動機構3は、図1(a)に示すように、フレーム11を移動できるX軸移動機構31(図示左右方向)と、Y軸移動機構32(図示上下方向)と、図示しないZ軸移動機構(紙面奥行き方向)と、を備えて構成されている。そして、移動機構3は、例えば、ボールねじや直線ガイドにより、狙ったウェルW2に対して二重管2を正確に位置決めできるように高精度の移動機構3が採用され、図示しない制御部により制御されている。
かかる構成により、移動機構3は、二重管2を採取する細胞Sに対して位置決め可能にフレーム11を移動することができる。
【0031】
貯留機構4は、毛細管現象を利用して隙間δに回収液F(液体Lと同じ液体を使用)を溜める機構である。具体的には、貯留機構4は、移動機構3を使用してノズル21を回収液Fが貯留された貯留槽41まで移動し、回収液Fにノズル21を浸して毛細管力により隙間δに回収液Fを溜めるようにしたものである(図2(a)参照)。
【0032】
なお、本実施形態においては、貯留機構4は毛細管現象を利用して隙間δに回収液Fを溜める機構を採用したが、これに限定されるものではなく、例えば、別途設けた回収液供給装置62を利用して隙間δに回収液Fを溜める機構を採用することもできる。
【0033】
吸引装置51は、ガラスキャピラリー22に陰圧を発生させる装置であり、隙間δに溜めた回収液Fをガラスキャピラリー22に吸引して、回収液Fとともに細胞Sを採取できる機能を有する(図2(c)参照)。
【0034】
吐出装置52は、ガラスキャピラリー22に陽圧を発生させる装置であり、ガラスキャピラリー22に吸引した細胞Sを吐出することができる機能を有する(図2(d)参照)。
【0035】
エア供給装置61は、吸引装置51によりガラスキャピラリー22に陰圧を発生させて隙間δに溜めた回収液Fをガラスキャピラリー22に吸引する際に、流れの後方から隙間δにエアを供給して回収液Fをガラスキャピラリー22に押し出すようにするものである。
【0036】
かかる構成により、ガラスキャピラリー22に細胞Sを吸引する補助としての機能を付与することができる。このため、細胞Sを効率よく確実にガラスキャピラリー22に採取することができる。
【0037】
マイクロゲージ8は、例えば、精密なねじ機構により、シンブル8aの回転角度をガラスキャピラリー22の移動変位に変換して精度の高い位置調整を行なうことができる機構を採用している。
かかる機構により、ガラスキャピラリー22の先端とウェル基板W1の表面W3との間には後退量h(図1(b))をミクロン単位で設定できるようにしている。
【0038】
なお、本実施形態においては、ガラスキャピラリー22を移動させて位置調整を行なうようにしているが、これに限定されるものではなく、ノズル21を移動させて調整する機構を採用することもできる。
【0039】
エンコーダ12は、Y軸移動機構32により上下移動する二重管2の変位を読み取り、二重管2の高さを精度よく調整できるようにしている。
また、スプリング13は、フレーム11に搭載された二重管2がウェル基板W1に当接されたときに、過度な力が働かないように重量を抑制する作用を奏する。なお、スプリングに限定されるものではなく、磁気やバランサー等の他の手段を用いることもできる。
【0040】
続いて、本発明の実施形態に係る細胞の回収方法について、主として図2(a)〜(d)を参照しながら説明する。
本発明の実施形態に係る細胞の回収方法は、隙間δに回収液Fを溜める第1工程(図2(a))と、狙った細胞Sの上にガラスキャピラリー22を位置決めする第2工程(図2(b))と、狙った細胞Sをガラスキャピラリー22内に吸引して採取する第3工程(図2(c))と、ガラスキャピラリー22から細胞Sを吐出する第4工程(図2(d))と、を有している。
【0041】
第1工程は、図2(a)に示すように、移動機構3により二重管2を貯留槽41まで移動させて(図1(a)参照)、ノズル21を回収液Fに浸して毛細管力により隙間δに回収液Fを溜める工程である。
【0042】
このとき、ガラスキャピラリー22内は、吐出装置52(図1(a))により、回収液Fの毛細管力と釣り合う程度の陽圧にした状態が保たれている。このように、ガラスキャピラリー22内を毛細管力と釣り合う程度の陽圧にすることで、ガラスキャピラリー22には回収液Fが吸引されず、不用な細胞を吸わないようにすることができる。
【0043】
そして、貯留槽41にノズル21を浸して、毛細管力により回収液Fを隙間δに溜めることができるため、簡易な構成で効率よく確実に回収液Fを溜めることができる。また、ノズル21を浸す長さを調整することで、回収液Fの量を管理することも容易となる。
なお、隙間δに溜める回収液Fの量は予め実験等により適宜決定される。
【0044】
第2工程は、図2(b)に示すように、移動機構3により二重管2を移動して(図1(a)参照)、狙った細胞Sの上にガラスキャピラリー22を位置決めする工程である。
ここで、ガラスキャピラリー22の先端は、ノズル21の先端と同じ位置か該先端よりも後退して配設されている。そして、ノズル21は、ウェル基板W1の表面W3に当接されるとともに、狙った細胞Sの周りを遮蔽するように配置されるため、狙った細胞Sを他のウェルW2内の細胞Sから隔離することができる。このため、狙ったウェルW2内の細胞Sのみを確実に採取することができる。
【0045】
第3工程は、図2(c)に示すように、吸引装置51によりガラスキャピラリー22に陰圧を発生させて(図1(a)参照)、狙った細胞Sをガラスキャピラリー22内に吸引する工程である。
【0046】
具体的には、ノズル21の先端をウェル基板W1の表面W3に当接させた状態で、ガラスキャピラリー22に陰圧を発生させると、隙間δに溜めた回収液Fがガラスキャピラリー22内に流れ込むように吸引される。このとき、隙間δからウェルW2内の細胞Sを巻き込むようにして吸入管まで流れる液流を発生させることで、狙った細胞Sは、この回収液Fの流れに沿ってガラスキャピラリー22内に吸引される。
このようにして、狙った細胞Sに対して適切な液流を効果的に与えることで、狙ったウェル内の細胞Sのみを確実に採取することができる。
【0047】
このとき、エア供給装置61により、流れの後方から隙間δにエアを供給して回収液Fをガラスキャピラリー22に押し出すようにしている。
このようにすることで、ガラスキャピラリー22に細胞Sを吸引する補助としての機能を付与することができるため、細胞Sを効率よく確実にガラスキャピラリー22に採取することができる。
【0048】
なお、本実施形態においては、吸引装置51によりガラスキャピラリー22に陰圧を発生させるとともに、これを補助するためにエア供給装置61により、流れの後方から隙間δにエアを供給するように構成したが、これに限定されるものではなく、吸引装置51の吸引力のみで細胞Sをガラスキャピラリー22内に吸引することも可能である。
【0049】
第4工程は、図2(d)に示すように、吐出装置52からエアを吐出して(図1(a)参照)、ガラスキャピラリー22に吸引した細胞Sを吐出する工程である。
このとき、エア供給装置61により、隙間δに陽圧をかけてエアを吐出するようにしている。このようにすることで、ガラスキャピラリー22から細胞Sを吐出する補助としての機能を付与することができるため、細胞Sを効率よく確実にガラスキャピラリー22から吐出することができる。
なお、本実施形態においては、エア供給装置61によりエアを吐出するようにしたが、これに限定されるものではなく、エアではなく回収液供給装置62により回収液を吐出するようにしてもよい。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されず、適宜変更して実施することが可能である。
例えば、本実施形態においては、検体が微小な細胞である場合について適用したが、これに限定されるものではなく、本発明は微小な粒状体に対して好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係る検体の回収装置の構成を説明するための構成図であり、(a)は正面図、(b)はノズル回りの部分拡大図である。
【図2】図2(a)〜(d)は本発明の実施形態に係る検体の回収方法を説明するためのノズル回りの部分拡大図である。
【符号の説明】
【0052】
1 回収装置
2 二重管
3 移動機構
4 貯留機構
5 片側
8 マイクロゲージ(位置調整機構)
21 ノズル
22 ガラスキャピラリー(吸引管)
31 X軸移動機構(移動機構)
32 Y軸移動機構(移動機構)
41 貯留槽
51 吸引装置
52 吐出装置
61 エア供給装置
62 回収液供給装置
F 回収液
L 液体
S 細胞(検体)
W1 ウェル基板
W2 ウェル
W3 表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェル基板に配設された複数のウェルから検体を吸引して採取する検体の回収方法であって、
外側のノズルと、このノズルの内側に隙間を設けて配設された吸引管と、からなる二重管を使用して、
前記ノズルと前記吸引管との前記隙間に回収液を溜める工程と、
前記吸引管を前記検体の上に位置決めした状態で、前記隙間に溜めた前記回収液を前記吸引管に吸引して、前記回収液とともに前記検体を採取する工程と、
を有することを特徴とする検体の回収方法。
【請求項2】
前記吸引管の先端は、前記ノズルの先端と同じ位置か該先端よりも後退して配設され、
前記採取する工程において、前記ノズルの先端を前記ウェル基板に当接させて前記回収液を吸引することを特徴とする請求項1に記載の検体の回収方法。
【請求項3】
前記採取する工程において、前記隙間に流体を供給して前記回収液を前記吸引管に押し出すようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検体の回収方法。
【請求項4】
前記回収液を溜める工程は、前記吸引管内を陽圧にした状態で、前記回収液を貯留した貯留槽に前記ノズルを浸して前記回収液を溜めることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の検体の回収方法。
【請求項5】
前記検体を採取する工程の後に、前記吸引管、または、前記隙間および前記吸引管に陽圧をかけて、前記検体を吐出する工程を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の検体の回収方法。
【請求項6】
ウェル基板に配設された複数のウェルから検体を吸引して採取する検体の回収装置であって、
外側のノズルと、このノズルの内側に隙間を設けて配設された吸引管と、からなる二重管と、
この二重管を前記検体に対して位置決めする移動機構と、
前記ノズルと前記吸引管との前記隙間に回収液を溜める貯留機構と、
前記隙間に溜めた前記回収液を前記吸引管に吸引して、前記回収液とともに前記検体を採取できるように前記吸引管に連結された吸引装置と、を備え、
前記吸引管の先端は、前記ノズルの先端と同じ位置か該先端よりも後退して配設されていることを特徴とする検体の回収装置。
【請求項7】
前記吸引管を前記ノズルと同じ位置か該ノズルよりも後退させることができる位置調整機構を備えたことを特徴とする請求項6に記載の検体の回収装置。

【図1】
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【図2】
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