検体処理システム及び検体の搬送方法
【課題】 各測定部の試薬の状態に応じて、試薬を効率的に使用することが可能な検体処理システム及び検体の搬送方法を提供する。
【解決手段】
検体処理システム1は、複数の測定ユニット51,51,51を備えている。検体処理システム1に設けられたシステム制御装置8は、各測定ユニット51,51,51の試薬情報を取得し、試薬の有効期限が近づいた測定ユニット51に対して優先的に検体を搬送するように、検体の搬送先を決定する。検体測定装置3,3,3は、決定された搬送先へ検体を搬送する。
【解決手段】
検体処理システム1は、複数の測定ユニット51,51,51を備えている。検体処理システム1に設けられたシステム制御装置8は、各測定ユニット51,51,51の試薬情報を取得し、試薬の有効期限が近づいた測定ユニット51に対して優先的に検体を搬送するように、検体の搬送先を決定する。検体測定装置3,3,3は、決定された搬送先へ検体を搬送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を測定する複数の測定部へ検体を搬送する検体処理システム及び検体の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体分析装置、塗抹標本作製装置等の複数の検体処理装置と、前記検体処理装置へ供給するために検体を搬送する搬送装置とを備え、搬送装置によって各検体処理装置へ検体を搬送し、搬送された検体を検体処理装置で処理する検体処理システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、ラック供給部とラック収容部との間に検体ラックを搬送するための主搬送ラインが配置され、この主搬送ラインに沿って複数の分析ユニットが配置された自動分析装置が記載されている。かかる特許文献1に記載された自動分析装置では、検体を保有した検体ラックが、ラック供給部の送出ポートから主搬送ライン上に乗せられ、主搬送ラインの搬送動作により適合する分析ユニットの方へ運搬される。各分析ユニットに対応して分注エリアが設けられており、これらの分注処理エリアで検体ラック上の検体が分析ユニットの反応部へ分注される。分注処理エリアは、主搬送ラインから検体ラックを受け入れるための受入ポートと主搬送ラインへ検体ラックを送出するための送出ポートを有する。複数の送出ポートと複数の受入ポートのうちの1つずつの組み合わせによって各搬送経路が定められ、全体として複数の搬送経路が形成される。検体ラックの搬送を制御する制御装置は、いずれかの送出ポート上に位置づけられた検体ラックに適合する搬送経路を複数の放送経路の中から選択し、選択した搬送経路の受入ポートに向けて検体ラックを主搬送ラインを介して搬送せしめる。この搬送は、主搬送ライン上に他の検体ラックが存在しない状態で実行され、搬送待ちの検体ラックが複数あるときは早く投入されたものが先に搬送される。また、この搬送は、受入先である受入ポートが検体ラックの受け入れ可能状態にあることが確認された後に実行される。
【特許文献1】特開平10−282114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような検体処理システムにおいては、測定に用いられる試薬の有効期限又は使用期限が過ぎていたり、試薬の残料がない場合等には、測定部は測定を行うことができない。しかしながら、上記特許文献1に記載された自動分析装置では、各分析ユニットの試薬の状態とは関係なく検体ラックが搬送されるため、効率的に試薬を使用することができない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、各測定部の試薬の状態に応じて、試薬を効率的に使用することが可能な検体処理システム及び検体の搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理システムは、各別に対応した複数の試薬容器からそれぞれ試薬を分取し、当該試薬を用いて共通の測定項目について検体の測定をそれぞれ行う複数の測定部と、前記複数の測定部にそれぞれ検体を搬送する搬送機構と、前記複数の試薬容器にそれぞれ収容された試薬に関する試薬情報を取得する試薬情報取得手段と、前記試薬情報取得手段によって取得された前記試薬情報に基づいて、検体の搬送先を決定する搬送先決定手段と、前記搬送先決定手段によって決定された搬送先へ検体を搬送するように、前記搬送機構を制御する搬送制御手段と、を備える。
【0007】
この態様においては、前記試薬情報取得手段が、前記試薬の有効期限に関する有効期限情報を含む試薬情報を取得するように構成されており、前記搬送先決定手段が、前記有効期限情報に基づいて、検体の搬送先を決定するように構成されていることが好ましい。
【0008】
また、上記態様においては、前記搬送先決定手段が、前記有効期限までの期間が所定期間より短い試薬を収容する試薬容器に対応している測定部に優先的に検体が搬送されるべく、検体の搬送先を決定するように構成されていることが好ましい。
【0009】
また、上記態様においては、前記搬送先決定手段が、前記複数の試薬容器に各別に収容されている複数の試薬について、有効期限までの期間を比較し、有効期限までの期間が短い試薬を収容する試薬容器に対応している測定部に優先的に検体が搬送されるべく、検体の搬送先を決定するように構成されていることが好ましい。
【0010】
また、上記態様においては、前記試薬情報取得手段が、前記試薬の製造時期に関する製造時期情報を含む試薬情報を取得するように構成されており、前記搬送先決定手段が、前記製造時期情報に基づいて、検体の搬送先を決定するように構成されていることが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記試薬情報取得手段が、前記試薬の使用開始時期に関する使用開始時期情報を含む試薬情報を取得するように構成されており、前記搬送先決定手段が、前記使用開始時期情報に基づいて、検体の搬送先を決定するように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、前記試薬情報に基づいて検体の搬送先を決定する第1搬送モード及び前記試薬情報に基づかずに検体の搬送先を決定する第2搬送モードの何れかの搬送モードを設定する搬送モード設定手段をさらに備え、前記搬送先決定手段が、前記搬送モード設定手段によって第1搬送モードが設定されている場合には、前記試薬情報に基づいて検体の搬送先を決定し、前記搬送モード設定手段によって第2搬送モードが設定されている場合には、前記試薬情報に基づかずに検体の搬送先を決定するように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、検体の搬送に関する優先度を設定する優先度設定手段をさらに備え、前記搬送先決定手段が、前記試薬情報取得手段によって取得された前記試薬情報に基づいて、前記複数の測定部のうちの一部の測定部へ、前記優先度設定手段によって設定された優先度に応じて優先的に検体が搬送されるべく、検体の搬送先を決定するように構成されていることが好ましい。
【0014】
本発明の一の態様の検体の搬送方法は、各別に対応した複数の試薬容器からそれぞれ試薬を分取し、当該試薬を用いて共通の測定項目について検体の測定をそれぞれ行う複数の測定部と、前記複数の測定部にそれぞれ検体を搬送する搬送機構と、を備える検体処理システムによる検体の搬送方法であって、前記複数の試薬容器にそれぞれ収容された試薬に関する試薬情報を取得するステップと、取得された前記試薬情報に基づいて検体の搬送先を決定するステップと、決定された搬送先へ検体を搬送するように、前記搬送機構を制御するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る検体処理システム及び検体の搬送方法によれば、各測定部の試薬の状態に応じて、検体を効率的に処理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0017】
本実施の形態は、各測定ユニットの試薬情報を取得し、取得した試薬情報に基づいて検体を測定ユニットへ搬送する検体処理システムである。
【0018】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3,301と、検体収容装置4と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ9と通信可能に接続されている。
【0019】
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、2つの検体送出ユニット21a,21bと、当該2つの検体送出ユニット21a,21bの間に配置されたバーコード読取ユニット22とを備えている。当該検体投入装置2の検体送出ユニット21a,21bは、複数の検体容器を収納したサンプルラックを載置することができるように構成されている。検体送出ユニット21aに載置されたサンプルラックは、順番にバーコード読取ユニット22へ送出され、このバーコード読取ユニット22によりサンプルラックに貼布されたバーコードラベルのバーコードからラックIDが読み取られ、検体容器に貼付されたバーコードラベルのバーコードから検体IDが読み取られる。また、検体投入装置2の制御部は、LANを介してシステム制御装置8に通信可能に接続されており、上述のように読み取られたラックID及び検体IDがシステム制御装置8に送信される。また、バーコードの読み取りが終了したサンプルラックは、検体送出ユニット21bに搬送され、検体送出ユニット21bから検体搬送装置3へ送出されるように構成されている。
【0020】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部Cにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0021】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体処理システム1は、3つの検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,51,51の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLを導入することが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体搬送装置301に接続されており、検体搬送装置301へサンプルラックLを搬出することが可能となっている。
【0022】
図4は、検体搬送装置3の構成を示す平面図である。図4に示すように、検体搬送装置3は、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、測定ユニット51によって検体が吸引された検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け付けたサンプルラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するラック搬送部35と、搬送上流側の装置(検体投入装置2又は検体搬送装置3)からサンプルラックLを搬入し、このサンプルラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送装置3又は検体搬送装置301)へとサンプルラックLを搬出するラック搬送部321とを備えている。
【0023】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。分析前ラック保持部33は、ラック搬送部321に連なっており、後述するラック送出部322によって、ラック搬送部321からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ37が取り付けられており、ラックセンサ37によってサンプルラックLが検出されるラック検出位置33aが、分析前ラック保持部33上に設けられている。ラックセンサ37は、光学式センサであり、発光部37aと受光部37bとを備えている。発光部37aは、ラック検出位置33aの側方に設けられており、受光部37bは、ラック検出位置33aの前方に設けられている。発光部37aは、斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部37bはこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック搬送部321から送り込まれたサンプルラックLは、ラック検出位置33aに位置し、これによって発光部37aから発せられた光がサンプルラックLによって遮られ、受光部37bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ37により検出される。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出可能に設けられている。ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で後方(ラック搬送部35に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0024】
ラック搬送部35は、図4に示すように、分析前ラック保持部33によって移送されたサンプルラックLを、前記X方向へと移送可能となっている。このラック搬送部35によるサンプルラックLの搬送経路上には、検体容器センサ38によって検体容器が検出される検体容器検出位置35a、及び血球分析装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35cが存在する。ラック搬送部35は、検体容器検出位置35aを経由して、検体供給位置35cに検体が搬送されるようにサンプルラックLを搬送可能に構成されている。検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体1つ分だけ搬送方向下流側の位置であり、ラック搬送部35により検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、後述する血球分析装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。ラック搬送部35は、かかる検体供給位置35cに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を待機する。
【0025】
また、ラック搬送部35は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトを有している。また、第1ベルト351及び第2ベルト352の矢印Y方向の幅b1及びb2は、それぞれサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト351及び第2ベルト352は、ラック搬送部35がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図5は、第1ベルト351の構成を示す正面図であり、図6は、第2ベルト352の構成を示す正面図である。図5及び図6に示すように、第1ベルト351及び第2ベルト352は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト351はローラ351a〜351cを取り囲むように配置され、第2ベルト352はローラ352a〜352cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト351の外周部には、サンプルラックLのX方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片351dが設けられており、同様に、第2ベルト352の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片352dが設けられている。第1ベルト351は、2つの突起片351dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ351e(図4参照)によりローラ351a〜351cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。第2ベルト352は、2つの突起片352dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ352e(図4参照)によりローラ352a〜352cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト351及び第2ベルト352は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。
【0026】
検体容器センサ38は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)をそれぞれ有している。検体容器センサは、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ38の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。
【0027】
ラック搬送部35を挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するようにラック送出部39が配置されている。かかるラック送出部39は、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移動することが可能である。このようにして、分析が完了したサンプルラックLが、ラック搬送部35から分析後ラック保持部34へ送出される。
【0028】
ラック搬送部321は、図中矢印X方向へ延びており、サンプルラックLを矢印X方向へ水平に直線移動させることが可能である。かかるラック搬送部321は、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有しており、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置されたサンプルラックLをX方向へ移動可能である。また、分析前ラック保持部33の前側には、ラック搬送部321を挟んで分析前ラック保持部321に対向するようにラック送出部322が配置されている。かかるラック送出部322は、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析前ラック保持部33内のラック検出位置33aに移動することが可能である。
【0029】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部34は、上記のラック搬送部35に連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、ラック搬送部35からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突出可能に設けられている。ラック送出部39によりサンプルラックLが搬入されたときに、このラック送込部34bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で前方(ラック搬送部321に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。
【0030】
かかる構成とすることにより、搬送機構31には、検体供給位置35cを経由するサンプルラックLの搬送ラインである測定ラインL1と、検体供給位置35cを経由せずに、搬入したサンプルラックLをそのまま下流側の装置へ搬出する搬送ラインであるスキップラインL2とが形成されている。
【0031】
上記のような構成の搬送機構31は、制御部32によって制御される。制御部32は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット52及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0032】
上記のような構成とすることにより、検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬送されたサンプルラックLを、ラック搬送部321により分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLを分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を血球分析装置5の測定ユニット51へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35により、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、ラック搬送部321へと移送され、ラック搬送部321により、後段の装置(検体搬送装置3又は301)へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット51又は塗抹標本作成装置6にて処理する検体若しくは分析が完了した検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から検体搬送装置3が受け入れた場合は、ラック搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X方向へと搬送され、後段の検体搬送装置3へそのまま搬出される。
【0033】
<検体搬送装置301の構成>
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送装置301が配置されている。この検体搬送装置301は、その右側端が、3つの検体搬送装置3,3,3の内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送装置3と接続されており、その左側端が、検体収容装置4に接続されている。
【0034】
試料搬送装置301は、コンベア302とラックスライダ303とを備えている。コンベア302には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路302a,302bが設けられている。塗抹標本作製装置6に近接するラック搬送路302aは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容するサンプルラックLを搬送するための測定ラインである。一方、塗抹標本作製装置6から離れたラック搬送路302bは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックLを搬送するためのスキップラインである。また、コンベア302は、CPU及びメモリを備えており、各動作機構を制御する制御部(図示せず)を備えている。
【0035】
ラックスライダ303は、コンベア302の右側に配置されており、コンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bへサンプルラックLの振り分け投入を行う。
【0036】
<検体収容装置4の構成>
検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを載置することができるように構成されている。かかる検体収容装置4は、分析又は塗抹標本作製を終了したサンプルラックLを検体搬送装置301から受け取り、収容する。
【0037】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0038】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,51,51と、1つの情報処理ユニット52とを備えている。情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,51,51の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送装置3,3,3とも通信可能に接続されている。
【0039】
3つの測定ユニット51,51,51は、同一の構成である。図7は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図7に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3のラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0040】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0041】
試料調製部512は、染色試薬を収容する試薬容器512a、溶血剤を収容する試薬容器512b、及び希釈液を収容する試薬容器512cにチューブを介して接続されている。また、試料調製部512には、図示しないコンプレッサに接続されており、当該コンプレッサに発生される圧力により試薬容器512a,512b,512cからそれぞれの試薬を分取することが可能となっている。これらの試薬容器512a,512b,512cには、それぞれバーコードラベルが貼布されており、これらのバーコードラベルに試薬種類(試薬名)、ロット番号、製造日、有効期限の情報がバーコードとして記録されている。
【0042】
測定ユニット51には、試薬バーコード読取部517が設けられている。かかる試薬バーコードリーダ517はハンディバーコードリーダであり、試薬バーコードの読み取りの際には、オペレータがバーコード読取部517を持って試薬容器512a,512b,512cのバーコードを読み取らせる。このようにして読み取った試薬種類、ロット番号、製造日、有効期限の情報は、情報処理ユニット52へ送信される。
【0043】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBC及びPLTの検出においては、検体と試薬容器512cに収容された希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりRBC及びPLTの測定が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部513では、白血球の5分類を伴わないWBCの検出、すなわち、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONOの検出を伴わないWBCの検出と、白血球の5分類を伴うWBCの検出とでは、検出方法が異なっている。白血球5分類を伴わないWBCの検出では、検体と、試薬容器512bに収容された溶血剤と、試薬容器512cに収容された希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりWBCの測定が行われる。一方、白血球5分類を伴うWBCの検出では、試薬容器512aに収容された染色試薬と、試薬容器512bに収容された溶血剤と、試薬容器512cに収容された希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの測定が行われる。
【0044】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、供給位置35cに位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0045】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部515aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516a及び検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0046】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図8は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0047】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体分析用並びに測定ユニット51の制御用のコンピュータプログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0048】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0049】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されているコンピュータプログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0050】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0051】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるためのコンピュータプログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524からコンピュータプログラム524aを読み出し、当該コンピュータプログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0052】
なお、前記コンピュータプログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0053】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0054】
また、ハードディスク521dには、試薬管理テーブルTBLが設けられている。図9は、試薬管理テーブルTBLの構造を示す模式図である。かかる試薬管理テーブルTBLは、測定ユニットを特定する測定ユニットID、試薬容器512a,512b,512cの試薬種類、ロット番号、製造日、及び有効期限の管理を行うためのデータである。ここで、測定ユニットIDは、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれを区別するために用いられる情報である。各測定ユニット51には、それぞれ固有の測定ユニットIDが割り当てられている。本実施の形態における測定ユニット51,51,51に対しては、搬送上流側から下流側へ向かう順番で「M1」、「M2」、「M3」の測定ユニットIDがそれぞれ割り当てられている。
【0055】
試薬管理テーブルTBLは、測定ユニットIDのフィールドF1、試薬種類のフィールドF2、ロット番号のフィールドF3、製造日のフィールドF4、及び有効期限のフィールドF5が設けられている。図中の各行は、試薬と一対一に対応している。つまり、1行に含まれる測定ユニットID、試薬種類、ロット番号、製造日、有効期限が1つの試薬に対応している。かかる試薬管理テーブルTBLでは、上述した試薬バーコード読取部517によって読み取られた試薬種類、ロット番号、製造日、有効期限がフィールドF2〜F5にそれぞれ格納される。測定ユニットIDは、オペレータによって入力部523から入力された情報がフィールドF1に格納される。
【0056】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース521fは、3つの測定ユニット51,51,51に接続されている。これにより、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれとの間でデータの送受信が可能となっている。
【0057】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介してシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたシステム制御装置8との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介してホストコンピュータ9及び各検体搬送装置3,3,3に通信可能に接続されている。
【0058】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0059】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0060】
図10は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図10に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0061】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送装置3の測定ライン31a上を搬送されたサンプルラックLの検体容器Tの蓋部Cに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0062】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。このようにして作製された塗抹標本は、血球画像表示装置7へと送出される。
【0063】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2からサンプルラックLの番号を受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。
【0064】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0065】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0066】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0067】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。
【0068】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、情報処理ユニット52、及びホストコンピュータ9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0069】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0070】
<ホストコンピュータ9の構成>
ホストコンピュータ9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、血球分析装置5の情報処理ユニット52、検体投入装置2、検体搬送装置3、及び検体収容装置4と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。ホストコンピュータ9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、ホストコンピュータ9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0071】
以下、本実施の形態に係る検体処理システム1の動作について説明する。
【0072】
[試薬情報取得動作]
まず、測定ユニット51の試薬を交換した際に、システム制御装置8が試薬情報を取得する試薬情報取得動作について説明する。試薬交換は、情報処理ユニット52に表示される試薬交換画面W1を用いて行われる。図11Aは、試薬情報取得処理における情報処理ユニット52の試薬交換画面表示処理の流れを示すフローチャートである。測定ユニット51の試薬がなくなった場合又は有効期限が経過した場合には、試薬の交換が行われる。このときオペレータは、情報処理ユニット52の入力部523を操作することにより、試薬交換画面の表示指示を入力し、これにより試薬交換画面の表示指示がCPU521aに与えられる(ステップS101)。情報処理ユニット52のCPU521aにより実行されるコンピュータプログラム524aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU521aにおいては、試薬交換画面の表示指示を受け付けるイベントが発生すると、ステップS102の処理が呼び出される。
【0073】
ステップS102において、CPU521aは、試薬交換画面を画像表示部522に表示させ(ステップS102)、処理を終了する。図12は、試薬交換画面を示す図である。図に示すように、試薬交換画面W1には、測定ユニットIDを表示する領域A1、染色試薬の状態を表示する領域A2、溶血剤の状態を表示する領域A3、及び希釈液の状態を表示する領域A4が設けられている。測定ユニットIDを表示する領域A1には、測定ユニットIDを選択するための選択ボタンB1が表示される。オペレータが入力部523によりこの選択ボタンB1を操作することにより、測定ユニットIDを選択することができる。また、領域A1には、そのとき選択されている測定ユニットIDが表示される。このように、オペレータが測定ユニットIDを選択すると、選択されている測定ユニットIDに対応する測定ユニット51の試薬の状態が領域A2〜A4に表示される。つまり、測定ユニットIDの選択によって、試薬交換画面W1の画面表示が切り替わるようになっている。
【0074】
上記の試薬交換画面W1が表示されている状態において、試薬交換画面W1で選択されている測定ユニット51の染色試薬の有効期限が経過していない場合には、試薬交換画面W1の領域A2に「使用可」と表示される。一方、前記染色試薬の有効期限が経過している場合には、領域A2に「使用不可」と表示される。同様に、選択されている測定ユニット51の溶血剤の有効期限が経過していない場合には、領域A3に「使用可」と表示され、前記溶血剤の有効期限が経過している場合には、領域A3に「使用不可」と表示される。また、選択されている測定ユニット51の希釈液の有効期限が経過していない場合には、領域A4に「使用可」と表示され、前記希釈液の有効期限が経過している場合には、領域A4に「使用不可」と表示される。また、試薬交換画面W1の試薬状態表示領域A2〜A4には、選択可能な試薬交換指示ボタンB2〜B4がそれぞれ設けられている。
【0075】
図11Bは、試薬情報取得処理における情報処理ユニット52の試薬交換処理の流れを示すフローチャートである。試薬交換画面W1が表示されている場合において、オペレータは、選択ボタンB1を選択することにより、試薬の状態を確認したい測定ユニットの測定ユニットIDを選択する。CPU521aは、この測定ユニットIDの選択を受け付けるイベントが発生した場合には(ステップS111)、試薬管理テーブルTBLの情報に基づいて、試薬交換画面W1においてこの測定ユニット51の試薬の状態を領域A2〜A4に表示する(ステップS112)。
【0076】
ここで試薬状態表示領域A2〜A4の何れかに「使用不可」の表示がされている場合、又は試薬の残料がなくなった場合には、オペレータは試薬の交換作業を行う。この試薬交換作業において、オペレータは、入力部523を操作して交換対象の試薬の試薬交換ボタンを選択する。これにより、CPU521aが試薬交換ボタンの選択を受け付ける(ステップS113)。CPU521aは、この試薬交換ボタンの選択を受け付けるイベントが発生した場合には、試薬種類、ロット番号、製造日、及び試薬の有効期限の情報の受信を待機する(ステップS114においてNO)。オペレータは、試薬交換ボタンを選択した後、交換対象の試薬容器が接続されている測定ユニット51から、当該試薬容器を取りはずし、新しい試薬容器に交換する。そして、新しい試薬容器のバーコードラベルに印刷されている試薬バーコードをバーコード読取部517に読み取らせる。これにより、バーコード読取部517により取得された試薬種類、ロット番号、製造日、及び有効期限の情報がCPU521aに与えられる。
【0077】
CPU521aは、試薬種類、ロット番号、製造日、及び有効期限の情報を受け付けると(ステップS114においてYES)、試薬交換画面W1において選択されている測定ユニットID、並びに取得した試薬種類、ロット番号、製造日、及び有効期限の情報を試薬管理テーブルTBLに登録する(ステップS115)。その後、CPU521aは、試薬管理テーブルTBLに登録した測定ユニットID、試薬種類、ロット番号、製造日、及び有効期限を含む試薬情報をシステム制御装置8へ送信し(ステップS116)、処理を終了する。システム制御装置8のハードディスク81dには、3つの測定ユニット51,51,51の試薬情報が記憶されている。システム制御装置8は、情報処理ユニット52から送信された試薬情報を受信し、この試薬情報に含まれる測定ユニットID、試薬種類、ロット番号、製造日、及び有効期限を対応付けてハードディスク81dに記憶することで、ハードディスク81dに記憶されている3つの測定ユニット51,51,51の試薬情報を最新の状態に更新する。
【0078】
また、図12に示すように、試薬交換画面W1には試薬交換画面W1の表示終了指示を受け付けるための選択可能なクローズボタンB5が設けられており、オペレータは、試薬交換作業が終了したときに、このクローズボタンB5を選択する。図11Cは、試薬情報取得処理における情報処理ユニット52の試薬交換画面表示終了処理の流れを示すフローチャートである。CPU521aは、このクローズボタンB5の選択を受け付けるイベントが発生した場合には(ステップS121)、試薬交換画面W1の表示を終了し(ステップS122)、処理を終了する。
【0079】
[搬送モード設定動作]
次に、検体処理システム1の搬送モード設定動作について説明する。検体処理システム1は、試薬情報に基づいて検体の搬送先を決定する第1搬送モードと、試薬情報に基づかずに検体の搬送先を決定する第2搬送モードとの何れか一方の搬送モードを設定可能であり、この搬送モードによって検体の搬送を行う。搬送モードの設定は、システム制御装置8において行われる。
【0080】
図13Aは、システム制御装置8の搬送モード設定画面表示処理の手順を示すフローチャートである。オペレータ又はサービスマンは、搬送モードの設定を行うときに、システム制御装置8の入力部83を操作して、搬送モード設定画面の表示指示を入力する。これにより搬送モード設定画面の表示指示がCPU81aに与えられる(ステップS201)。システム制御装置8のCPU81aにより実行されるコンピュータプログラム84aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU81aにおいては、搬送モード設定画面の表示指示を受け付けるイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0081】
ステップS202において、CPU81aは、搬送モード設定画面を画像表示部82に表示させ(ステップS202)、処理を終了する。図14は、搬送モード設定画面を示す図である。図に示すように、搬送モード設定画面W2には、第1搬送モード(試薬の有効期限が近づいている測定ユニット51に優先的に検体を搬送するモード)を選択する第1搬送モード選択ボタンB21と、第2搬送モード(3つの測定ユニット51,51,51に均等に検体を搬送するモード)を選択する第2搬送モード選択ボタンB22とが設けられている。第1搬送モード選択ボタンB21及び第2搬送モード選択ボタンB22は、それぞれオペレータ又はサービスマンが入力部83に所定の操作(例えば、マウスの左ボタンのクリック)を行うことにより選択可能である。また、図に示すように、搬送モード設定画面W2には搬送モード設定画面W2の表示終了指示を受け付けるための選択可能なクローズボタンB23が設けられている。
【0082】
図13Bは、搬送モード設定画面における搬送モード設定処理の手順を示すフローチャートである。オペレータ又はサービスマンは、搬送モード設定画面W2が表示されている状態において、第1搬送モード選択ボタンB21及び第2搬送モード選択ボタンB22から、所望する搬送モードのボタンを選択し、このボタンの選択による搬送モードの設定指示がCPU81aに与えられる(ステップS211)。選択されたボタンは、選択されていないときの表示とは異なる表示に切り替わる(例えば、選択されていないときはボタンが突出している状態の画像で表示され、選択されたときはボタンが押し込まれた状態の画像で表示される。)。CPU81aは、第1搬送モード選択ボタンB21及び第2搬送モード選択ボタンB22の何れかの選択を受け付けるイベントが発生した場合には、選択された搬送モードを設定する(ステップS212)。この処理は、ハードディスク81dに設けられている搬送モードフラグを設定することにより行われる。つまり、第1搬送モードが選択されたときには、搬送モードフラグが「0」にセットされ、第2搬送モードが選択されたときには、搬送モードフラグが「1」にセットされる。この後、CPU81aは、処理を終了する。
【0083】
図13Cは、搬送モード設定画面の表示終了処理の流れを示すフローチャートである。オペレータ又はサービスマンは、搬送モードの設定が終了した後、クローズボタンB23を選択する。CPU81aは、このクローズボタンB23の選択を受け付けるイベントが発生した場合には(ステップS221)、搬送モード設定画面W2の表示を終了し(ステップS222)、処理を終了する。
【0084】
[検体搬送動作]
<検体投入装置2の動作>
オペレータは、検体容器Tを収容したサンプルラックLを検体送出ユニット21aに載置し、検体送出ユニット21aの操作パネル(図示せず)を操作して、検体分析システム1に分析開始の指示を与える。検体送出ユニット21aの制御部は、かかる分析開始の指示を受け付け、これによりサンプルラックLの移送を開始する。検体送出ユニット21aに載置されたサンプルラックLは、検体送出ユニット21a上を後方へ移送され、その後、サンプルラックLは左方向へと移送され、バーコード読取ユニット22へと受け渡される。
【0085】
バーコード読取ユニット22に導入されたサンプルラックLは、バーコード読取ユニット22の制御部により、搬送路上を左方向へ1ピッチ毎に移送される。そして、サンプルラックLのラックバーコード及び検体容器Tの検体バーコードがバーコードリーダにより読み取られる。次いで、サンプルラックがさらに左方向へ移送され、検体送出ユニット21bへこのサンプルラックLが移送される。検体送出ユニット21bの制御部は、受け入れたサンプルラックLを移送する。その後、検体投入装置2が、読み取ったラックID及び検体IDを含む搬出要求データをシステム制御装置8へ送信し、システム制御装置8から送信される搬出指示データを待機する。検体投入装置2は、システム制御装置8から搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する。
【0086】
<システム制御装置8の動作>
次に、システム制御装置8の動作について説明する。システム制御装置8は、検体投入装置2から搬出要求データを受信し、この搬出要求データに含まれる検体IDを用いて、サンプルラックLの搬送先を決定する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0087】
図15Aは、システム制御装置8の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。第1搬送指示処理では、サンプルラックLの搬送先が決定され、M1の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。検体投入装置2から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS301)。CPU81aにおいて、搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。
【0088】
ステップS302において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれる全ての検体IDを送信し、ホストコンピュータ9へ検体IDに対応する測定オーダを要求する(ステップS302)。CPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS303においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダがシステム制御装置8に受信されると(ステップS303においてYES)、受信した測定オーダをラックIDに対応付けてハードディスク81dに記憶する(ステップS304)。次に、CPU81aは、受信した各測定オーダに含まれる測定項目に基づいて、このサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS305)。
【0089】
ここで、ステップS305の搬送先決定処理について説明する。図15Bは、搬送先決定処理の手順を示すフローチャートである。CPU81aは、まず、搬送モードフラグを参照して、設定されている搬送モードが第1搬送モードか第2搬送モードかを判別する(ステップS311)。CPU81aは、第1搬送モードが設定されている場合に(ステップS311において「第1搬送モード」)、検体投入装置2から受信したサンプルラックLの数が、所定数より少ないか否かを判別する(ステップS312)。ステップS312において、検体投入装置2に載置されたサンプルラックLの数が所定数より少ない場合には(ステップS312においてYES)、CPU81aは、ハードディスク81dに記憶されている試薬情報を参照して、3つの測定ユニット51,51,51の中で、検索された測定オーダの測定項目に用いられる試薬の有効期限までの残り日数が所定日数n以下であるものがいくつ存在するかを判定する(ステップS313)。例えば、M1の染色試薬の有効期限までの残り日数がn日以下であり、その他には有効期限までの残り日数がn日以下の試薬が存在しない場合であって、測定オーダに白血球5分類の項目(NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO)が含まれているときには、M1が優先的にサンプルラックLが搬送される対象となる。
【0090】
CPU81aは、ステップS313において、1つの測定ユニット51の試薬の有効期限までの残り日数がn日以下の場合には(ステップS313において「1つ存在」)、有効期限までの残り日数がn日以下の試薬が取り付けられている測定ユニット51に優先的にサンプルラックLを搬送するようにサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS314)。この処理では、例えば、M1の試薬の有効期限までの残り日数がn日以下の場合には、M1,M1,M2,M3,M1,M1,M2,M3,…の順番でサンプルラックLを搬送するように(つまり、M1〜M3にサンプルラックLを1つずつ搬送する、繰り返されるサイクルにおいて、1つのサイクルにつきM1にサンプルラックLを搬送する回数を1回増やすように)サンプルラックLの搬送先が決定される。つまり、直前に2回続けてM1にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM2に決定される。直前にM3,M1にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM1に決定され、直前にM2,M3にサンプルラックLが搬送されている場合にも、今回のサンプルラックLの搬送先はM1に決定される。また、直前にM1,M2にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM3に決定される。CPU81aは、ステップS314の処理の後、搬送先決定処理S303の呼び出しアドレスへ処理をリターンする。
【0091】
また、CPU81aは、ステップS313において、2つの測定ユニット51,51の試薬の有効期限までの残り日数がn日以下の場合には(ステップS313において「2つ存在」)、有効期限までの残り日数がn日以下の試薬が取り付けられている2つの測定ユニット51,51に優先的にサンプルラックLを搬送するようにサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS315)。この処理では、例えば、M1及びM2の試薬の有効期限までの残り日数がn日以下の場合には、M1,M1,M2,M2,M3,M1,M1,M2,M2,M3,…の順番でサンプルラックLを搬送するように(つまり、M1〜M3にサンプルラックLを1つずつ搬送する、繰り返されるサイクルにおいて、1つのサイクルにつきM1及びM2にサンプルラックLを搬送する回数を1回ずつ増やすように)搬送先が決定される。つまり、直前に2回続けてM1にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM2に決定され、また、直前にM1,M2にサンプルラックLが搬送されている場合にも、今回のサンプルラックLの搬送先はM2に決定される。直前にM3,M1にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM1に決定され、直前にM2,M3にサンプルラックLが搬送されている場合にも、今回のサンプルラックLの搬送先はM1に決定される。また、直前に2回連続してM2にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM3に決定される。CPU81aは、ステップS315の処理の後、搬送先決定処理S303の呼び出しアドレスへ処理をリターンする。
【0092】
また、CPU81aは、ステップS311において第2搬送モードが設定されている場合(ステップS311において「第2搬送モード」)、ステップS312において検体投入装置2に載置されているサンプルラックLの数が所定数以上である場合(ステップS312においてNO)、ステップS313において、3つの測定ユニット51,51,51の試薬の有効期限までの残り日数がn日以下の場合(ステップS313において「3つ存在」)、又は、ステップS313において、試薬の有効期限までの残り日数がn日以下の測定ユニットが存在しない場合(ステップS313において「存在しない」)には、全ての測定ユニット51,51,51に均等にサンプルラックLを搬送するようにサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS316)。この処理では、M1,M2,M3,M1,M2,M3,…の順番でサンプルラックLを搬送するように(つまり、M1〜M3にサンプルラックLを1つずつ搬送するサイクルを繰り返し実行するように)決定される。つまり、直前にM1にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM2に決定され、直前にM2にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM3に決定される。また、直前にM3にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM1に決定される。CPU81aは、ステップS316の処理の後、搬送先決定処理S303の呼び出しアドレスへ処理をリターンする。
【0093】
次に、CPU81aは、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3(つまり、図1中で最も右側の検体搬送装置3)へ、決定した搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS306)。この搬入準備指示データは、この検体搬送装置3においてサンプルラックLを搬送する搬送ライン(測定ラインL1又はスキップラインL2)を示すデータ(以下、「使用搬送ライン指示データ」という)、及びサンプルラックLの各検体の測定オーダを含んでいる。つまり、このサンプルラックLの搬送先が、M1の測定ユニット51である場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして測定ラインL1を示すデータがセットされる。一方、M2又はM3の測定ユニット51が搬送先として決定されている場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとしてスキップラインL2を示すデータがセットされる。この搬入準備指示データを受信した検体搬送装置3は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データによって示される搬送機構の準備動作(サンプルラックLの受け入れを可能とする動作)を実行し、その後、搬入準備完了データを送信する。
【0094】
CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS307においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS307においてYES)、CPU81aは、検体投入装置2へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS308)。検体投入装置2は、上述したように、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前記検体投入装置2から搬出完了データを待機する(ステップS309においてNO)。搬出完了データが検体投入装置2から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS309においてYES)、CPU81aは、検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS310においてNO)。搬入完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS310においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0095】
次に、システム制御装置8の第2搬送指示処理について説明する。第2搬送指示処理では、M2又はM3の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。図16は、第2搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送装置3によりサンプルラックLが搬送され、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3(又は検体搬送装置301)へ搬出するための搬出位置にサンプルラックLが到達したときには、このサンプルラックLのラックIDを含む搬出要求データが検体搬送装置3から送信される。検体搬送装置3から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS321)。CPU81aにおいては、検体搬送装置3から搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS322の処理が呼び出される。
【0096】
ステップS322において、CPU81aは、当該検体搬送装置3の後段の検体搬送装置3へ、搬送先決定処理で決定された搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS322)。この搬入準備指示データは、上述した搬入準備指示データと同様であるので、その説明を省略する。
【0097】
次に、CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS323においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS323においてYES)、CPU81aは、前段(搬出側)の検体搬送装置3へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS324)。前段の検体搬送装置3は、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前段の検体搬送装置3から搬出完了データを待機し(ステップS325においてNO)、搬出完了データが前段の検体搬送装置3から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS325においてYES)、CPU81aは、後段の検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS326においてNO)。搬入完了データが後段の検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS326においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0098】
<検体搬送装置3の制御部32の動作>
ここでは、測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3の制御部32の動作について説明する。図17A及び図17Bは、制御部32による搬送機構31の制御処理の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から送信された搬入準備指示データは、制御部32により受信される(ステップS401)。制御部32のCPUにより実行される搬送制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、制御部32においては、搬入準備指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS402の処理が呼び出される。
【0099】
ステップS402において、制御部32は、搬送機構31のベルト321aを駆動する等して、搬入準備動作を実行する(ステップS402)。搬入準備が完了したときには、制御部32は、搬入準備が完了したことを通知するための搬入準備完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS403)。
【0100】
搬入準備完了データの送信に応じて、サンプルラックLが前段の装置から搬出され、これによってサンプルラックLが搬送機構31に搬入される(ステップS404)。サンプルラックLの搬入が完了したときには、制御部32は、サンプルラックLの搬入完了を通知するための搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS405)。
【0101】
次に、制御部32は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれを示しているか、すなわち、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれが使用対象の搬送ラインであるかを判定する(ステップS406)。ステップS406において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが測定ラインLを示している場合、すなわち、測定ラインL1が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS406において「測定ラインL1」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLの検体容器Tの保持部の内、図3において最も左側に位置する保持部が検体容器検出位置に到達するまで移送する(ステップS407)。次に、制御部32は、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置を示す変数iに1をセットし(ステップS408)、検体容器センサ38によって検体容器検出位置に検体容器Tが検出されたか否かを判定し(ステップS409)、検体容器Tが検出された場合には(ステップS409においてYES)、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS410)、情報処理ユニット51へ検体の吸引指示を示す検体吸引指示データを送信する(ステップS411)。これにより、検体容器センサ38によって検出された検体容器Tが検体供給位置35cに位置することとなり、後述するように検体が吸引される。制御部32は、検体吸引完了データを受信するまで待機し(ステップS412においてNO)、検体吸引完了データを受信した場合に(ステップS412においてYES)、処理をステップS414へ進める。
【0102】
一方、ステップS409において検体容器Tが検出されなかった場合には(ステップS409においてNO)、制御部32は、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS413)、処理をステップS414へ進める。ステップS414において、制御部32は、iが10以上であるか否かを判定し(ステップS414)、iが10未満である場合には(ステップS414においてNO)、iを1インクリメントし(ステップS415)、ステップS409へ処理を戻す。
【0103】
ステップS414において、iが10以上である場合には(ステップS414においてYES)、制御部32は、搬送機構31を制御することにより、サンプルラックLを搬出するための搬出位置にサンプルラックLを到達させる(ステップS416)。その後、制御部32は、処理をステップS418へ移す。
【0104】
一方、ステップS406において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データがスキップラインL2を示している場合、すなわち、スキップラインL2が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS406において「スキップラインL2」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLをスキップラインL2上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS417)。その後、制御部32は、処理をステップS418へ移す。
【0105】
ステップS418において、制御部32は、システム制御装置8へサンプルラックLに割り当てられたラックIDを含む搬出要求データを送信する(ステップS418)。その後、制御部32は、システム制御装置8から搬出指示データを待機し(ステップS419においてNO)、搬出指示データを受信したときには(ステップS419においてYES)、ステッピングモータ321bを駆動してサンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS420)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS421)。そして、制御部32は、処理を終了する。
【0106】
<血球分析装置5の動作>
次に、血球分析装置5の動作について説明する。情報処理ユニット52は、測定ユニット51,51,51の動作を制御して検体の測定を行い、また測定によって得られた測定データを解析する。
【0107】
図18A及び図18Bは、本実施の形態に係る血球分析装置5による検体の分析動作の手順を示すフローチャートである。まず、検体搬送装置3の制御部32から送信された吸引指示データを情報処理ユニット52が受信する(ステップS501)。CPU521aにおいて、吸引指示データを受信するというイベントが発生すると、ステップS502の処理が呼び出される。この吸引指示データには、動作対象の測定ユニット51の測定ユニットIDが含まれる。
【0108】
ステップS502において、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御し、供給位置35cにある検体容器TをサンプルラックLから抜き出し(ステップS502)、ハンド部515aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌する(ステップS503)。次に、CPU521aは、ハンド部515aを制御して、検体容器セット部515bに検体容器Tをセットし(ステップS504)、さらに検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送する(ステップS505)。次に、CPU521aは、バーコード読取部516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する(ステップS506)。さらにCPU521aは、検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース521gにホストコンピュータ9へ送信させ(ステップS507)、測定オーダを問い合わせる。その後、CPU521aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS508においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダが情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS508においてYES)、受信した測定オーダをハードディスク521dに記憶する(ステップS509)。
【0109】
次に、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを吸引位置へ搬送し(ステップS510)、検体吸引部511を制御し、記憶した測定オーダに含まれる測定項目に必要な量の検体を検体容器Tから吸引する(ステップS511)。検体の吸引が完了した後には、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器TをサンプルラックLへ戻し(ステップS512)、検体吸引完了データを、このサンプルラックLを搬送している検体搬送装置3へ送信する(ステップS513)。これにより、上述したようにサンプルラックLがラック搬送部35により搬送される。
【0110】
また、CPU521aは、試料調製部512を制御し、測定項目に応じて測定試料を調製し(ステップS514)、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う(ステップS515)。これにより、CPU521aは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPU521aは、測定データの解析処理を実行し(ステップS516)、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。測定データの解析処理により生成された分析結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスク521aに格納され(ステップS517)、また、ホストコンピュータ9へ送信される(ステップS518)。ホストコンピュータ9は、上述した測定オーダに分析結果データを統合してハードディスクに記憶する。ステップS518の処理を完了した後、CPU521aは、処理を終了する。
【0111】
<検体搬送装置301の動作>
搬送方向において最も下流側に位置する検体搬送装置3から送出されたサンプルラックLは、ラックスライダ303に導入される。ラックスライダ303は、詳細は省略するが、システム制御装置8からの指示を受け付け、サンプルラックLをコンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bの何れかへ送出する。測定ライン302aにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部が測定ライン302aを動作させ、塗抹標本作製装置6へ検体を供給する供給位置に塗抹標本作製対象の検体容器Tが位置するように、サンプルラックLを搬送する。塗抹標本作製装置6への検体の供給が完了した後は、さらに測定ライン302aが駆動され、検体収容装置4へとサンプルラックLが搬出される。また、スキップライン302bにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部がスキップライン302bを動作させ、サンプルラックLをスキップライン302上で搬送して、検体収容装置4へ搬出する。
【0112】
<検体収容装置4の動作>
検体搬送装置301から送出されたサンプルラックLは、検体収容装置4に導入される。検体収容装置4は、かかるサンプルラックLをラック載置部上で搬送し、収容する。
【0113】
以上のような構成とすることにより、システム制御装置8が、各測定ユニット51,51,51の試薬の状態に応じて、効率的に試薬を使用可能な搬送先を決定する。したがって、従来に比して効率的に試薬を使用して検体の処理を行うことができる。
【0114】
また、本実施の形態に係る検体処理システム1では、3つの測定ユニット51,51,51の内、試薬の有効期限が近付いているものに優先的に検体を供給することができる。これにより、有効期限が近付いている試薬の消費量が、他の試薬の消費量よりも大きくなり、有効期限が切れて使用できなくなる前に試薬を使い切ったり、有効期限切れの試薬の残料を低減することができる等、試薬の無駄を解消することが可能となる。
【0115】
また、本実施の形態に係る検体処理システム1では、試薬の有効期限が近づいている測定ユニット51に優先的に検体を搬送する第1搬送モードと、3つの測定ユニット51,51,51に均等に検体を搬送するモードである第2搬送モードとを選択的に設定可能であるため、第1搬送モードが設定されているときには試薬を効率的に使用することができ、第2搬送モードが設定されているときには検体処理システム1全体における単位時間当たりの検体の処理数(処理スループット)を可及的に増大させることが可能となる。
【0116】
また、本実施の形態に係る検体処理システム1では、検体投入装置2に載置されているサンプルラックLの数が所定数以上の場合に、3つの測定ユニット51,51,51に均等にサンプルラックLを搬送する。搬送対象のサンプルラックLが多数存在する場合、即ち、処理待ちの検体が多数存在する場合には、3つの測定ユニット51,51,51に均等にサンプルラックLを搬送して、検体処理システム1全体における処理能力を高めることで、多くの検体を短時間に処理することが可能となり、効率的に検体処理システム1を動作させることができる。
【0117】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、試薬の有効期限までの残り日数が所定日数未満の測定ユニット51に優先的にサンプルラックLを搬送する構成について述べたが、これに限定されるものではない。複数の測定ユニット51,51,51の中で試薬の有効期限までの残り日数が最も少ない測定ユニット51にサンプルラックLを優先的に搬送する構成としてもよい。
【0118】
また、上述した実施の形態においては、試薬の有効期限に基づいてサンプルラックLの搬送先を決定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。試薬の製造日から所定以上の期間経過している測定ユニット51に優先的にサンプルラックLを搬送したり、複数の測定ユニット51,51,51の中で試薬の製造日から最も長期間経過しているものに優先的にサンプルラックLを搬送する等、試薬の製造日に基づいてサンプルラックLの搬送先を決定する構成としてもよい。また、一般的に試薬の開封後の所定期間がその試薬の使用可能期間として定められる。そこで、試薬の使用可能期限までの残り日数が所定日数未満の測定ユニット51に優先的にサンプルラックLを搬送したり、複数の測定ユニット51,51,51の中で試薬の使用可能期限までの残り日数が最も少ないものに優先的にサンプルラックLを搬送する等、試薬の使用期限に基づいてサンプルラックLの搬送先を決定する構成としてもよい。
【0119】
また、上述した実施の形態においては、試薬容器512a,512b,512cが試料調製部512にチューブで接続されており、チューブを介して試薬容器512a,512b,512cから試料調製部512へ試薬が供給される構成について述べたが、これに限定されるものではない。ボトル状の試薬容器が測定ユニットに載置可能であり、試薬容器中の試薬をピペットにより吸引し、キュベット又はチャンバ等の他の容器に試薬を分注する構成としてもよい。
【0120】
また、上述した実施の形態においては、試薬の有効期限が近づいている測定ユニット51に優先的に検体を搬送する第1搬送モードと、3つの測定ユニット51,51,51に均等に検体を搬送するモードである第2搬送モードとを選択的に設定可能な構成としたが、これに限定されるものではない。3つの測定ユニット51,51,51に均等に検体を搬送する搬送モードを設けず、常に試薬の有効期限が近づいている測定ユニット51に優先的に検体を搬送する構成としてもよい。
【0121】
また、上述した実施の形態においては、第1搬送モードが設定されている状態では、3つの測定ユニット51,51,51にサンプルラックLを順次搬送する、繰り返し実行されるサイクルにおいて、優先的にサンプルラックLを搬送する対象の測定ユニット51に、2つ続けてサンプルラックLを搬送する構成について述べたが、これに限定されるものではない。有効期限までの残り日数に応じて、多段階に優先度を設定し、優先的にサンプルラックLを搬送する対象の測定ユニット51に1サイクル当たり連続して搬送するサンプルラックLの数を、優先度に応じて変化させてもよい。例えば、優先度を高、中、低の3レベルに分け、優先度が低レベルの場合には対象の測定ユニット51へ1サイクルにつき2つのサンプルラックLを連続して搬送し、優先度が中レベルの場合には対象の測定ユニット51へ1サイクルにつき3つのサンプルラックLを連続して搬送し、優先度が高レベルの場合には対象の測定ユニット51へ1サイクルにつき4つのサンプルラックLを連続して搬送する構成としてもよい。また、ユーザが優先度をシステム制御装置8に入力し、システム制御装置8がその優先度を設定する構成としてもよい。例えば、ユーザが設定した優先度が「2」の場合には、優先的にサンプルラックLを搬送する対象の測定ユニット51に1サイクル当たり2回連続してサンプルラックLを搬送し、ユーザが設定した優先度が「3」の場合には、前記対象の測定ユニット51に1サイクル当たり3回連続してサンプルラックLを搬送するようにしてもよい。また、優先度を「1.5」のように、実数により設定可能とすることもできる。この場合は、2サイクルを単位とし、優先対象の測定ユニット51へ1サイクル目には1つのサンプルラックLを搬送し、2サイクル目には2つのサンプルラックLを連続して搬送することが可能である。これにより、きめ細かな優先度の設定が可能となる。
【0122】
また、優先的にサンプルラックLを搬送する対象の測定ユニット51へ1サイクルにつきサンプルラックLを連続搬送する数の設定をオペレータ又はサービスマンが変更可能な構成としてもよい。
【0123】
また、上述した実施の形態においては、3つの測定ユニット51,51,51の構成を同一としたが、これに限定されるものではない。共通する測定項目を有していて、構成が異なる複数の測定ユニットを検体処理システムが備える構成であってもよい。例えば、シスメックス株式会社製の多項目血球分析装置XE−5000及びXT−2000iは、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)等の共通する測定項目を有している。検体処理システムが、XE−5000及びXT−2000iを備えており、両装置で共通の測定項目が測定対象の検体を、試薬の有効期限が近付いている方の測定ユニットへ優先的に搬送する構成としてもよい。
【0124】
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1が、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の検体分析装置の測定ユニットを複数備え、かかる検体分析装置の測定ユニットへ血液検体又は尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0125】
また、上述した実施の形態においては、システム制御装置8のCPU81aがシステム制御用のプログラムを実行することにより、サンプルラックLの搬送先を決定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。サンプルラックLの搬送先決定用プログラムと同様の処理を実行することが可能なFPGA又はASIC等の専用ハードウェアにより、サンプルラックLの搬送先を決定する処理を実行する構成としてもよい。
【0126】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ8aによりコンピュータプログラム84aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム84aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明の検体処理システム及び検体搬送システムは、検体を測定する複数の測定部へ検体を搬送する検体処理システム及び検体の搬送方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図4】実施の形態に係る検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図5】搬送機構が備える第1ベルトの構成を示す正面図。
【図6】搬送機構が備える第2ベルトの構成を示す正面図。
【図7】実施の形態に係る血球分析装置の測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】実施の形態に係る血球分析装置の情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図9】試薬管理テーブルの構造を示す模式図。
【図10】実施の形態に係る塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図11A】試薬情報取得処理における情報処理ユニットの試薬交換画面表示処理の流れを示すフローチャート。
【図11B】試薬情報取得処理における情報処理ユニットの試薬交換処理の流れを示すフローチャート。
【図11C】試薬情報取得処理における情報処理ユニットの試薬交換画面表示終了処理の流れを示すフローチャート。
【図12】情報処理ユニットの試薬交換画面を示す図。
【図13A】システム制御装置の搬送モード設定画面表示処理の手順を示すフローチャート。
【図13B】システム制御装置の搬送モード設定処理の手順を示すフローチャート。
【図13C】システム制御装置の搬送モード設定画面表示終了処理の手順を示すフローチャート。
【図14】システム制御装置の搬送モード設定画面を示す図。
【図15A】システム制御装置の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図15B】搬送先決定処理の手順を示すフローチャート。
【図16】システム制御装置の第2搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図17A】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(前半)。
【図17B】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(後半)。
【図18A】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(前半)。
【図18B】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(後半)。
【符号の説明】
【0129】
1 検体処理システム
2 検体投入装置
3,301 検体搬送装置
31 搬送機構
32 制御部
4 検体収容装置
5 血球分析装置
51 測定ユニット
52 情報処理ユニット
52a コンピュータ
521a CPU
521b ROM
521c RAM
521d ハードディスク
522 画像表示部
523 入力部
524 可搬型記録媒体
524a コンピュータプログラム
6 塗抹標本作製装置
8 システム制御装置
8a コンピュータ
81a CPU
81b ROM
81c RAM
81d ハードディスク
9 ホストコンピュータ
L サンプルラック
T 検体容器
TBL 試薬管理テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を測定する複数の測定部へ検体を搬送する検体処理システム及び検体の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体分析装置、塗抹標本作製装置等の複数の検体処理装置と、前記検体処理装置へ供給するために検体を搬送する搬送装置とを備え、搬送装置によって各検体処理装置へ検体を搬送し、搬送された検体を検体処理装置で処理する検体処理システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、ラック供給部とラック収容部との間に検体ラックを搬送するための主搬送ラインが配置され、この主搬送ラインに沿って複数の分析ユニットが配置された自動分析装置が記載されている。かかる特許文献1に記載された自動分析装置では、検体を保有した検体ラックが、ラック供給部の送出ポートから主搬送ライン上に乗せられ、主搬送ラインの搬送動作により適合する分析ユニットの方へ運搬される。各分析ユニットに対応して分注エリアが設けられており、これらの分注処理エリアで検体ラック上の検体が分析ユニットの反応部へ分注される。分注処理エリアは、主搬送ラインから検体ラックを受け入れるための受入ポートと主搬送ラインへ検体ラックを送出するための送出ポートを有する。複数の送出ポートと複数の受入ポートのうちの1つずつの組み合わせによって各搬送経路が定められ、全体として複数の搬送経路が形成される。検体ラックの搬送を制御する制御装置は、いずれかの送出ポート上に位置づけられた検体ラックに適合する搬送経路を複数の放送経路の中から選択し、選択した搬送経路の受入ポートに向けて検体ラックを主搬送ラインを介して搬送せしめる。この搬送は、主搬送ライン上に他の検体ラックが存在しない状態で実行され、搬送待ちの検体ラックが複数あるときは早く投入されたものが先に搬送される。また、この搬送は、受入先である受入ポートが検体ラックの受け入れ可能状態にあることが確認された後に実行される。
【特許文献1】特開平10−282114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような検体処理システムにおいては、測定に用いられる試薬の有効期限又は使用期限が過ぎていたり、試薬の残料がない場合等には、測定部は測定を行うことができない。しかしながら、上記特許文献1に記載された自動分析装置では、各分析ユニットの試薬の状態とは関係なく検体ラックが搬送されるため、効率的に試薬を使用することができない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、各測定部の試薬の状態に応じて、試薬を効率的に使用することが可能な検体処理システム及び検体の搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理システムは、各別に対応した複数の試薬容器からそれぞれ試薬を分取し、当該試薬を用いて共通の測定項目について検体の測定をそれぞれ行う複数の測定部と、前記複数の測定部にそれぞれ検体を搬送する搬送機構と、前記複数の試薬容器にそれぞれ収容された試薬に関する試薬情報を取得する試薬情報取得手段と、前記試薬情報取得手段によって取得された前記試薬情報に基づいて、検体の搬送先を決定する搬送先決定手段と、前記搬送先決定手段によって決定された搬送先へ検体を搬送するように、前記搬送機構を制御する搬送制御手段と、を備える。
【0007】
この態様においては、前記試薬情報取得手段が、前記試薬の有効期限に関する有効期限情報を含む試薬情報を取得するように構成されており、前記搬送先決定手段が、前記有効期限情報に基づいて、検体の搬送先を決定するように構成されていることが好ましい。
【0008】
また、上記態様においては、前記搬送先決定手段が、前記有効期限までの期間が所定期間より短い試薬を収容する試薬容器に対応している測定部に優先的に検体が搬送されるべく、検体の搬送先を決定するように構成されていることが好ましい。
【0009】
また、上記態様においては、前記搬送先決定手段が、前記複数の試薬容器に各別に収容されている複数の試薬について、有効期限までの期間を比較し、有効期限までの期間が短い試薬を収容する試薬容器に対応している測定部に優先的に検体が搬送されるべく、検体の搬送先を決定するように構成されていることが好ましい。
【0010】
また、上記態様においては、前記試薬情報取得手段が、前記試薬の製造時期に関する製造時期情報を含む試薬情報を取得するように構成されており、前記搬送先決定手段が、前記製造時期情報に基づいて、検体の搬送先を決定するように構成されていることが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記試薬情報取得手段が、前記試薬の使用開始時期に関する使用開始時期情報を含む試薬情報を取得するように構成されており、前記搬送先決定手段が、前記使用開始時期情報に基づいて、検体の搬送先を決定するように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、前記試薬情報に基づいて検体の搬送先を決定する第1搬送モード及び前記試薬情報に基づかずに検体の搬送先を決定する第2搬送モードの何れかの搬送モードを設定する搬送モード設定手段をさらに備え、前記搬送先決定手段が、前記搬送モード設定手段によって第1搬送モードが設定されている場合には、前記試薬情報に基づいて検体の搬送先を決定し、前記搬送モード設定手段によって第2搬送モードが設定されている場合には、前記試薬情報に基づかずに検体の搬送先を決定するように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、検体の搬送に関する優先度を設定する優先度設定手段をさらに備え、前記搬送先決定手段が、前記試薬情報取得手段によって取得された前記試薬情報に基づいて、前記複数の測定部のうちの一部の測定部へ、前記優先度設定手段によって設定された優先度に応じて優先的に検体が搬送されるべく、検体の搬送先を決定するように構成されていることが好ましい。
【0014】
本発明の一の態様の検体の搬送方法は、各別に対応した複数の試薬容器からそれぞれ試薬を分取し、当該試薬を用いて共通の測定項目について検体の測定をそれぞれ行う複数の測定部と、前記複数の測定部にそれぞれ検体を搬送する搬送機構と、を備える検体処理システムによる検体の搬送方法であって、前記複数の試薬容器にそれぞれ収容された試薬に関する試薬情報を取得するステップと、取得された前記試薬情報に基づいて検体の搬送先を決定するステップと、決定された搬送先へ検体を搬送するように、前記搬送機構を制御するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る検体処理システム及び検体の搬送方法によれば、各測定部の試薬の状態に応じて、検体を効率的に処理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0017】
本実施の形態は、各測定ユニットの試薬情報を取得し、取得した試薬情報に基づいて検体を測定ユニットへ搬送する検体処理システムである。
【0018】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3,301と、検体収容装置4と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ9と通信可能に接続されている。
【0019】
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、2つの検体送出ユニット21a,21bと、当該2つの検体送出ユニット21a,21bの間に配置されたバーコード読取ユニット22とを備えている。当該検体投入装置2の検体送出ユニット21a,21bは、複数の検体容器を収納したサンプルラックを載置することができるように構成されている。検体送出ユニット21aに載置されたサンプルラックは、順番にバーコード読取ユニット22へ送出され、このバーコード読取ユニット22によりサンプルラックに貼布されたバーコードラベルのバーコードからラックIDが読み取られ、検体容器に貼付されたバーコードラベルのバーコードから検体IDが読み取られる。また、検体投入装置2の制御部は、LANを介してシステム制御装置8に通信可能に接続されており、上述のように読み取られたラックID及び検体IDがシステム制御装置8に送信される。また、バーコードの読み取りが終了したサンプルラックは、検体送出ユニット21bに搬送され、検体送出ユニット21bから検体搬送装置3へ送出されるように構成されている。
【0020】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部Cにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0021】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体処理システム1は、3つの検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,51,51の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLを導入することが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体搬送装置301に接続されており、検体搬送装置301へサンプルラックLを搬出することが可能となっている。
【0022】
図4は、検体搬送装置3の構成を示す平面図である。図4に示すように、検体搬送装置3は、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、測定ユニット51によって検体が吸引された検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け付けたサンプルラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するラック搬送部35と、搬送上流側の装置(検体投入装置2又は検体搬送装置3)からサンプルラックLを搬入し、このサンプルラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送装置3又は検体搬送装置301)へとサンプルラックLを搬出するラック搬送部321とを備えている。
【0023】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。分析前ラック保持部33は、ラック搬送部321に連なっており、後述するラック送出部322によって、ラック搬送部321からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ37が取り付けられており、ラックセンサ37によってサンプルラックLが検出されるラック検出位置33aが、分析前ラック保持部33上に設けられている。ラックセンサ37は、光学式センサであり、発光部37aと受光部37bとを備えている。発光部37aは、ラック検出位置33aの側方に設けられており、受光部37bは、ラック検出位置33aの前方に設けられている。発光部37aは、斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部37bはこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック搬送部321から送り込まれたサンプルラックLは、ラック検出位置33aに位置し、これによって発光部37aから発せられた光がサンプルラックLによって遮られ、受光部37bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ37により検出される。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出可能に設けられている。ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で後方(ラック搬送部35に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0024】
ラック搬送部35は、図4に示すように、分析前ラック保持部33によって移送されたサンプルラックLを、前記X方向へと移送可能となっている。このラック搬送部35によるサンプルラックLの搬送経路上には、検体容器センサ38によって検体容器が検出される検体容器検出位置35a、及び血球分析装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35cが存在する。ラック搬送部35は、検体容器検出位置35aを経由して、検体供給位置35cに検体が搬送されるようにサンプルラックLを搬送可能に構成されている。検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体1つ分だけ搬送方向下流側の位置であり、ラック搬送部35により検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、後述する血球分析装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。ラック搬送部35は、かかる検体供給位置35cに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を待機する。
【0025】
また、ラック搬送部35は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトを有している。また、第1ベルト351及び第2ベルト352の矢印Y方向の幅b1及びb2は、それぞれサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト351及び第2ベルト352は、ラック搬送部35がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図5は、第1ベルト351の構成を示す正面図であり、図6は、第2ベルト352の構成を示す正面図である。図5及び図6に示すように、第1ベルト351及び第2ベルト352は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト351はローラ351a〜351cを取り囲むように配置され、第2ベルト352はローラ352a〜352cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト351の外周部には、サンプルラックLのX方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片351dが設けられており、同様に、第2ベルト352の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片352dが設けられている。第1ベルト351は、2つの突起片351dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ351e(図4参照)によりローラ351a〜351cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。第2ベルト352は、2つの突起片352dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ352e(図4参照)によりローラ352a〜352cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト351及び第2ベルト352は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。
【0026】
検体容器センサ38は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)をそれぞれ有している。検体容器センサは、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ38の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。
【0027】
ラック搬送部35を挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するようにラック送出部39が配置されている。かかるラック送出部39は、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移動することが可能である。このようにして、分析が完了したサンプルラックLが、ラック搬送部35から分析後ラック保持部34へ送出される。
【0028】
ラック搬送部321は、図中矢印X方向へ延びており、サンプルラックLを矢印X方向へ水平に直線移動させることが可能である。かかるラック搬送部321は、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有しており、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置されたサンプルラックLをX方向へ移動可能である。また、分析前ラック保持部33の前側には、ラック搬送部321を挟んで分析前ラック保持部321に対向するようにラック送出部322が配置されている。かかるラック送出部322は、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析前ラック保持部33内のラック検出位置33aに移動することが可能である。
【0029】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部34は、上記のラック搬送部35に連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、ラック搬送部35からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突出可能に設けられている。ラック送出部39によりサンプルラックLが搬入されたときに、このラック送込部34bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で前方(ラック搬送部321に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。
【0030】
かかる構成とすることにより、搬送機構31には、検体供給位置35cを経由するサンプルラックLの搬送ラインである測定ラインL1と、検体供給位置35cを経由せずに、搬入したサンプルラックLをそのまま下流側の装置へ搬出する搬送ラインであるスキップラインL2とが形成されている。
【0031】
上記のような構成の搬送機構31は、制御部32によって制御される。制御部32は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット52及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0032】
上記のような構成とすることにより、検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬送されたサンプルラックLを、ラック搬送部321により分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLを分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を血球分析装置5の測定ユニット51へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35により、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、ラック搬送部321へと移送され、ラック搬送部321により、後段の装置(検体搬送装置3又は301)へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット51又は塗抹標本作成装置6にて処理する検体若しくは分析が完了した検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から検体搬送装置3が受け入れた場合は、ラック搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X方向へと搬送され、後段の検体搬送装置3へそのまま搬出される。
【0033】
<検体搬送装置301の構成>
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送装置301が配置されている。この検体搬送装置301は、その右側端が、3つの検体搬送装置3,3,3の内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送装置3と接続されており、その左側端が、検体収容装置4に接続されている。
【0034】
試料搬送装置301は、コンベア302とラックスライダ303とを備えている。コンベア302には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路302a,302bが設けられている。塗抹標本作製装置6に近接するラック搬送路302aは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容するサンプルラックLを搬送するための測定ラインである。一方、塗抹標本作製装置6から離れたラック搬送路302bは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックLを搬送するためのスキップラインである。また、コンベア302は、CPU及びメモリを備えており、各動作機構を制御する制御部(図示せず)を備えている。
【0035】
ラックスライダ303は、コンベア302の右側に配置されており、コンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bへサンプルラックLの振り分け投入を行う。
【0036】
<検体収容装置4の構成>
検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを載置することができるように構成されている。かかる検体収容装置4は、分析又は塗抹標本作製を終了したサンプルラックLを検体搬送装置301から受け取り、収容する。
【0037】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0038】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,51,51と、1つの情報処理ユニット52とを備えている。情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,51,51の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送装置3,3,3とも通信可能に接続されている。
【0039】
3つの測定ユニット51,51,51は、同一の構成である。図7は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図7に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3のラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0040】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0041】
試料調製部512は、染色試薬を収容する試薬容器512a、溶血剤を収容する試薬容器512b、及び希釈液を収容する試薬容器512cにチューブを介して接続されている。また、試料調製部512には、図示しないコンプレッサに接続されており、当該コンプレッサに発生される圧力により試薬容器512a,512b,512cからそれぞれの試薬を分取することが可能となっている。これらの試薬容器512a,512b,512cには、それぞれバーコードラベルが貼布されており、これらのバーコードラベルに試薬種類(試薬名)、ロット番号、製造日、有効期限の情報がバーコードとして記録されている。
【0042】
測定ユニット51には、試薬バーコード読取部517が設けられている。かかる試薬バーコードリーダ517はハンディバーコードリーダであり、試薬バーコードの読み取りの際には、オペレータがバーコード読取部517を持って試薬容器512a,512b,512cのバーコードを読み取らせる。このようにして読み取った試薬種類、ロット番号、製造日、有効期限の情報は、情報処理ユニット52へ送信される。
【0043】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBC及びPLTの検出においては、検体と試薬容器512cに収容された希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりRBC及びPLTの測定が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部513では、白血球の5分類を伴わないWBCの検出、すなわち、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONOの検出を伴わないWBCの検出と、白血球の5分類を伴うWBCの検出とでは、検出方法が異なっている。白血球5分類を伴わないWBCの検出では、検体と、試薬容器512bに収容された溶血剤と、試薬容器512cに収容された希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりWBCの測定が行われる。一方、白血球5分類を伴うWBCの検出では、試薬容器512aに収容された染色試薬と、試薬容器512bに収容された溶血剤と、試薬容器512cに収容された希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの測定が行われる。
【0044】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、供給位置35cに位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0045】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部515aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516a及び検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0046】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図8は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0047】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体分析用並びに測定ユニット51の制御用のコンピュータプログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0048】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0049】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されているコンピュータプログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0050】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0051】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるためのコンピュータプログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524からコンピュータプログラム524aを読み出し、当該コンピュータプログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0052】
なお、前記コンピュータプログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0053】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0054】
また、ハードディスク521dには、試薬管理テーブルTBLが設けられている。図9は、試薬管理テーブルTBLの構造を示す模式図である。かかる試薬管理テーブルTBLは、測定ユニットを特定する測定ユニットID、試薬容器512a,512b,512cの試薬種類、ロット番号、製造日、及び有効期限の管理を行うためのデータである。ここで、測定ユニットIDは、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれを区別するために用いられる情報である。各測定ユニット51には、それぞれ固有の測定ユニットIDが割り当てられている。本実施の形態における測定ユニット51,51,51に対しては、搬送上流側から下流側へ向かう順番で「M1」、「M2」、「M3」の測定ユニットIDがそれぞれ割り当てられている。
【0055】
試薬管理テーブルTBLは、測定ユニットIDのフィールドF1、試薬種類のフィールドF2、ロット番号のフィールドF3、製造日のフィールドF4、及び有効期限のフィールドF5が設けられている。図中の各行は、試薬と一対一に対応している。つまり、1行に含まれる測定ユニットID、試薬種類、ロット番号、製造日、有効期限が1つの試薬に対応している。かかる試薬管理テーブルTBLでは、上述した試薬バーコード読取部517によって読み取られた試薬種類、ロット番号、製造日、有効期限がフィールドF2〜F5にそれぞれ格納される。測定ユニットIDは、オペレータによって入力部523から入力された情報がフィールドF1に格納される。
【0056】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース521fは、3つの測定ユニット51,51,51に接続されている。これにより、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれとの間でデータの送受信が可能となっている。
【0057】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介してシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたシステム制御装置8との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介してホストコンピュータ9及び各検体搬送装置3,3,3に通信可能に接続されている。
【0058】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0059】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0060】
図10は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図10に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0061】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送装置3の測定ライン31a上を搬送されたサンプルラックLの検体容器Tの蓋部Cに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0062】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。このようにして作製された塗抹標本は、血球画像表示装置7へと送出される。
【0063】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2からサンプルラックLの番号を受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。
【0064】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0065】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0066】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0067】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。
【0068】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、情報処理ユニット52、及びホストコンピュータ9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0069】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0070】
<ホストコンピュータ9の構成>
ホストコンピュータ9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、血球分析装置5の情報処理ユニット52、検体投入装置2、検体搬送装置3、及び検体収容装置4と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。ホストコンピュータ9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、ホストコンピュータ9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0071】
以下、本実施の形態に係る検体処理システム1の動作について説明する。
【0072】
[試薬情報取得動作]
まず、測定ユニット51の試薬を交換した際に、システム制御装置8が試薬情報を取得する試薬情報取得動作について説明する。試薬交換は、情報処理ユニット52に表示される試薬交換画面W1を用いて行われる。図11Aは、試薬情報取得処理における情報処理ユニット52の試薬交換画面表示処理の流れを示すフローチャートである。測定ユニット51の試薬がなくなった場合又は有効期限が経過した場合には、試薬の交換が行われる。このときオペレータは、情報処理ユニット52の入力部523を操作することにより、試薬交換画面の表示指示を入力し、これにより試薬交換画面の表示指示がCPU521aに与えられる(ステップS101)。情報処理ユニット52のCPU521aにより実行されるコンピュータプログラム524aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU521aにおいては、試薬交換画面の表示指示を受け付けるイベントが発生すると、ステップS102の処理が呼び出される。
【0073】
ステップS102において、CPU521aは、試薬交換画面を画像表示部522に表示させ(ステップS102)、処理を終了する。図12は、試薬交換画面を示す図である。図に示すように、試薬交換画面W1には、測定ユニットIDを表示する領域A1、染色試薬の状態を表示する領域A2、溶血剤の状態を表示する領域A3、及び希釈液の状態を表示する領域A4が設けられている。測定ユニットIDを表示する領域A1には、測定ユニットIDを選択するための選択ボタンB1が表示される。オペレータが入力部523によりこの選択ボタンB1を操作することにより、測定ユニットIDを選択することができる。また、領域A1には、そのとき選択されている測定ユニットIDが表示される。このように、オペレータが測定ユニットIDを選択すると、選択されている測定ユニットIDに対応する測定ユニット51の試薬の状態が領域A2〜A4に表示される。つまり、測定ユニットIDの選択によって、試薬交換画面W1の画面表示が切り替わるようになっている。
【0074】
上記の試薬交換画面W1が表示されている状態において、試薬交換画面W1で選択されている測定ユニット51の染色試薬の有効期限が経過していない場合には、試薬交換画面W1の領域A2に「使用可」と表示される。一方、前記染色試薬の有効期限が経過している場合には、領域A2に「使用不可」と表示される。同様に、選択されている測定ユニット51の溶血剤の有効期限が経過していない場合には、領域A3に「使用可」と表示され、前記溶血剤の有効期限が経過している場合には、領域A3に「使用不可」と表示される。また、選択されている測定ユニット51の希釈液の有効期限が経過していない場合には、領域A4に「使用可」と表示され、前記希釈液の有効期限が経過している場合には、領域A4に「使用不可」と表示される。また、試薬交換画面W1の試薬状態表示領域A2〜A4には、選択可能な試薬交換指示ボタンB2〜B4がそれぞれ設けられている。
【0075】
図11Bは、試薬情報取得処理における情報処理ユニット52の試薬交換処理の流れを示すフローチャートである。試薬交換画面W1が表示されている場合において、オペレータは、選択ボタンB1を選択することにより、試薬の状態を確認したい測定ユニットの測定ユニットIDを選択する。CPU521aは、この測定ユニットIDの選択を受け付けるイベントが発生した場合には(ステップS111)、試薬管理テーブルTBLの情報に基づいて、試薬交換画面W1においてこの測定ユニット51の試薬の状態を領域A2〜A4に表示する(ステップS112)。
【0076】
ここで試薬状態表示領域A2〜A4の何れかに「使用不可」の表示がされている場合、又は試薬の残料がなくなった場合には、オペレータは試薬の交換作業を行う。この試薬交換作業において、オペレータは、入力部523を操作して交換対象の試薬の試薬交換ボタンを選択する。これにより、CPU521aが試薬交換ボタンの選択を受け付ける(ステップS113)。CPU521aは、この試薬交換ボタンの選択を受け付けるイベントが発生した場合には、試薬種類、ロット番号、製造日、及び試薬の有効期限の情報の受信を待機する(ステップS114においてNO)。オペレータは、試薬交換ボタンを選択した後、交換対象の試薬容器が接続されている測定ユニット51から、当該試薬容器を取りはずし、新しい試薬容器に交換する。そして、新しい試薬容器のバーコードラベルに印刷されている試薬バーコードをバーコード読取部517に読み取らせる。これにより、バーコード読取部517により取得された試薬種類、ロット番号、製造日、及び有効期限の情報がCPU521aに与えられる。
【0077】
CPU521aは、試薬種類、ロット番号、製造日、及び有効期限の情報を受け付けると(ステップS114においてYES)、試薬交換画面W1において選択されている測定ユニットID、並びに取得した試薬種類、ロット番号、製造日、及び有効期限の情報を試薬管理テーブルTBLに登録する(ステップS115)。その後、CPU521aは、試薬管理テーブルTBLに登録した測定ユニットID、試薬種類、ロット番号、製造日、及び有効期限を含む試薬情報をシステム制御装置8へ送信し(ステップS116)、処理を終了する。システム制御装置8のハードディスク81dには、3つの測定ユニット51,51,51の試薬情報が記憶されている。システム制御装置8は、情報処理ユニット52から送信された試薬情報を受信し、この試薬情報に含まれる測定ユニットID、試薬種類、ロット番号、製造日、及び有効期限を対応付けてハードディスク81dに記憶することで、ハードディスク81dに記憶されている3つの測定ユニット51,51,51の試薬情報を最新の状態に更新する。
【0078】
また、図12に示すように、試薬交換画面W1には試薬交換画面W1の表示終了指示を受け付けるための選択可能なクローズボタンB5が設けられており、オペレータは、試薬交換作業が終了したときに、このクローズボタンB5を選択する。図11Cは、試薬情報取得処理における情報処理ユニット52の試薬交換画面表示終了処理の流れを示すフローチャートである。CPU521aは、このクローズボタンB5の選択を受け付けるイベントが発生した場合には(ステップS121)、試薬交換画面W1の表示を終了し(ステップS122)、処理を終了する。
【0079】
[搬送モード設定動作]
次に、検体処理システム1の搬送モード設定動作について説明する。検体処理システム1は、試薬情報に基づいて検体の搬送先を決定する第1搬送モードと、試薬情報に基づかずに検体の搬送先を決定する第2搬送モードとの何れか一方の搬送モードを設定可能であり、この搬送モードによって検体の搬送を行う。搬送モードの設定は、システム制御装置8において行われる。
【0080】
図13Aは、システム制御装置8の搬送モード設定画面表示処理の手順を示すフローチャートである。オペレータ又はサービスマンは、搬送モードの設定を行うときに、システム制御装置8の入力部83を操作して、搬送モード設定画面の表示指示を入力する。これにより搬送モード設定画面の表示指示がCPU81aに与えられる(ステップS201)。システム制御装置8のCPU81aにより実行されるコンピュータプログラム84aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU81aにおいては、搬送モード設定画面の表示指示を受け付けるイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0081】
ステップS202において、CPU81aは、搬送モード設定画面を画像表示部82に表示させ(ステップS202)、処理を終了する。図14は、搬送モード設定画面を示す図である。図に示すように、搬送モード設定画面W2には、第1搬送モード(試薬の有効期限が近づいている測定ユニット51に優先的に検体を搬送するモード)を選択する第1搬送モード選択ボタンB21と、第2搬送モード(3つの測定ユニット51,51,51に均等に検体を搬送するモード)を選択する第2搬送モード選択ボタンB22とが設けられている。第1搬送モード選択ボタンB21及び第2搬送モード選択ボタンB22は、それぞれオペレータ又はサービスマンが入力部83に所定の操作(例えば、マウスの左ボタンのクリック)を行うことにより選択可能である。また、図に示すように、搬送モード設定画面W2には搬送モード設定画面W2の表示終了指示を受け付けるための選択可能なクローズボタンB23が設けられている。
【0082】
図13Bは、搬送モード設定画面における搬送モード設定処理の手順を示すフローチャートである。オペレータ又はサービスマンは、搬送モード設定画面W2が表示されている状態において、第1搬送モード選択ボタンB21及び第2搬送モード選択ボタンB22から、所望する搬送モードのボタンを選択し、このボタンの選択による搬送モードの設定指示がCPU81aに与えられる(ステップS211)。選択されたボタンは、選択されていないときの表示とは異なる表示に切り替わる(例えば、選択されていないときはボタンが突出している状態の画像で表示され、選択されたときはボタンが押し込まれた状態の画像で表示される。)。CPU81aは、第1搬送モード選択ボタンB21及び第2搬送モード選択ボタンB22の何れかの選択を受け付けるイベントが発生した場合には、選択された搬送モードを設定する(ステップS212)。この処理は、ハードディスク81dに設けられている搬送モードフラグを設定することにより行われる。つまり、第1搬送モードが選択されたときには、搬送モードフラグが「0」にセットされ、第2搬送モードが選択されたときには、搬送モードフラグが「1」にセットされる。この後、CPU81aは、処理を終了する。
【0083】
図13Cは、搬送モード設定画面の表示終了処理の流れを示すフローチャートである。オペレータ又はサービスマンは、搬送モードの設定が終了した後、クローズボタンB23を選択する。CPU81aは、このクローズボタンB23の選択を受け付けるイベントが発生した場合には(ステップS221)、搬送モード設定画面W2の表示を終了し(ステップS222)、処理を終了する。
【0084】
[検体搬送動作]
<検体投入装置2の動作>
オペレータは、検体容器Tを収容したサンプルラックLを検体送出ユニット21aに載置し、検体送出ユニット21aの操作パネル(図示せず)を操作して、検体分析システム1に分析開始の指示を与える。検体送出ユニット21aの制御部は、かかる分析開始の指示を受け付け、これによりサンプルラックLの移送を開始する。検体送出ユニット21aに載置されたサンプルラックLは、検体送出ユニット21a上を後方へ移送され、その後、サンプルラックLは左方向へと移送され、バーコード読取ユニット22へと受け渡される。
【0085】
バーコード読取ユニット22に導入されたサンプルラックLは、バーコード読取ユニット22の制御部により、搬送路上を左方向へ1ピッチ毎に移送される。そして、サンプルラックLのラックバーコード及び検体容器Tの検体バーコードがバーコードリーダにより読み取られる。次いで、サンプルラックがさらに左方向へ移送され、検体送出ユニット21bへこのサンプルラックLが移送される。検体送出ユニット21bの制御部は、受け入れたサンプルラックLを移送する。その後、検体投入装置2が、読み取ったラックID及び検体IDを含む搬出要求データをシステム制御装置8へ送信し、システム制御装置8から送信される搬出指示データを待機する。検体投入装置2は、システム制御装置8から搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する。
【0086】
<システム制御装置8の動作>
次に、システム制御装置8の動作について説明する。システム制御装置8は、検体投入装置2から搬出要求データを受信し、この搬出要求データに含まれる検体IDを用いて、サンプルラックLの搬送先を決定する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0087】
図15Aは、システム制御装置8の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。第1搬送指示処理では、サンプルラックLの搬送先が決定され、M1の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。検体投入装置2から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS301)。CPU81aにおいて、搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。
【0088】
ステップS302において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれる全ての検体IDを送信し、ホストコンピュータ9へ検体IDに対応する測定オーダを要求する(ステップS302)。CPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS303においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダがシステム制御装置8に受信されると(ステップS303においてYES)、受信した測定オーダをラックIDに対応付けてハードディスク81dに記憶する(ステップS304)。次に、CPU81aは、受信した各測定オーダに含まれる測定項目に基づいて、このサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS305)。
【0089】
ここで、ステップS305の搬送先決定処理について説明する。図15Bは、搬送先決定処理の手順を示すフローチャートである。CPU81aは、まず、搬送モードフラグを参照して、設定されている搬送モードが第1搬送モードか第2搬送モードかを判別する(ステップS311)。CPU81aは、第1搬送モードが設定されている場合に(ステップS311において「第1搬送モード」)、検体投入装置2から受信したサンプルラックLの数が、所定数より少ないか否かを判別する(ステップS312)。ステップS312において、検体投入装置2に載置されたサンプルラックLの数が所定数より少ない場合には(ステップS312においてYES)、CPU81aは、ハードディスク81dに記憶されている試薬情報を参照して、3つの測定ユニット51,51,51の中で、検索された測定オーダの測定項目に用いられる試薬の有効期限までの残り日数が所定日数n以下であるものがいくつ存在するかを判定する(ステップS313)。例えば、M1の染色試薬の有効期限までの残り日数がn日以下であり、その他には有効期限までの残り日数がn日以下の試薬が存在しない場合であって、測定オーダに白血球5分類の項目(NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO)が含まれているときには、M1が優先的にサンプルラックLが搬送される対象となる。
【0090】
CPU81aは、ステップS313において、1つの測定ユニット51の試薬の有効期限までの残り日数がn日以下の場合には(ステップS313において「1つ存在」)、有効期限までの残り日数がn日以下の試薬が取り付けられている測定ユニット51に優先的にサンプルラックLを搬送するようにサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS314)。この処理では、例えば、M1の試薬の有効期限までの残り日数がn日以下の場合には、M1,M1,M2,M3,M1,M1,M2,M3,…の順番でサンプルラックLを搬送するように(つまり、M1〜M3にサンプルラックLを1つずつ搬送する、繰り返されるサイクルにおいて、1つのサイクルにつきM1にサンプルラックLを搬送する回数を1回増やすように)サンプルラックLの搬送先が決定される。つまり、直前に2回続けてM1にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM2に決定される。直前にM3,M1にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM1に決定され、直前にM2,M3にサンプルラックLが搬送されている場合にも、今回のサンプルラックLの搬送先はM1に決定される。また、直前にM1,M2にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM3に決定される。CPU81aは、ステップS314の処理の後、搬送先決定処理S303の呼び出しアドレスへ処理をリターンする。
【0091】
また、CPU81aは、ステップS313において、2つの測定ユニット51,51の試薬の有効期限までの残り日数がn日以下の場合には(ステップS313において「2つ存在」)、有効期限までの残り日数がn日以下の試薬が取り付けられている2つの測定ユニット51,51に優先的にサンプルラックLを搬送するようにサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS315)。この処理では、例えば、M1及びM2の試薬の有効期限までの残り日数がn日以下の場合には、M1,M1,M2,M2,M3,M1,M1,M2,M2,M3,…の順番でサンプルラックLを搬送するように(つまり、M1〜M3にサンプルラックLを1つずつ搬送する、繰り返されるサイクルにおいて、1つのサイクルにつきM1及びM2にサンプルラックLを搬送する回数を1回ずつ増やすように)搬送先が決定される。つまり、直前に2回続けてM1にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM2に決定され、また、直前にM1,M2にサンプルラックLが搬送されている場合にも、今回のサンプルラックLの搬送先はM2に決定される。直前にM3,M1にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM1に決定され、直前にM2,M3にサンプルラックLが搬送されている場合にも、今回のサンプルラックLの搬送先はM1に決定される。また、直前に2回連続してM2にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM3に決定される。CPU81aは、ステップS315の処理の後、搬送先決定処理S303の呼び出しアドレスへ処理をリターンする。
【0092】
また、CPU81aは、ステップS311において第2搬送モードが設定されている場合(ステップS311において「第2搬送モード」)、ステップS312において検体投入装置2に載置されているサンプルラックLの数が所定数以上である場合(ステップS312においてNO)、ステップS313において、3つの測定ユニット51,51,51の試薬の有効期限までの残り日数がn日以下の場合(ステップS313において「3つ存在」)、又は、ステップS313において、試薬の有効期限までの残り日数がn日以下の測定ユニットが存在しない場合(ステップS313において「存在しない」)には、全ての測定ユニット51,51,51に均等にサンプルラックLを搬送するようにサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS316)。この処理では、M1,M2,M3,M1,M2,M3,…の順番でサンプルラックLを搬送するように(つまり、M1〜M3にサンプルラックLを1つずつ搬送するサイクルを繰り返し実行するように)決定される。つまり、直前にM1にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM2に決定され、直前にM2にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM3に決定される。また、直前にM3にサンプルラックLが搬送されている場合には、今回のサンプルラックLの搬送先はM1に決定される。CPU81aは、ステップS316の処理の後、搬送先決定処理S303の呼び出しアドレスへ処理をリターンする。
【0093】
次に、CPU81aは、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3(つまり、図1中で最も右側の検体搬送装置3)へ、決定した搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS306)。この搬入準備指示データは、この検体搬送装置3においてサンプルラックLを搬送する搬送ライン(測定ラインL1又はスキップラインL2)を示すデータ(以下、「使用搬送ライン指示データ」という)、及びサンプルラックLの各検体の測定オーダを含んでいる。つまり、このサンプルラックLの搬送先が、M1の測定ユニット51である場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして測定ラインL1を示すデータがセットされる。一方、M2又はM3の測定ユニット51が搬送先として決定されている場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとしてスキップラインL2を示すデータがセットされる。この搬入準備指示データを受信した検体搬送装置3は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データによって示される搬送機構の準備動作(サンプルラックLの受け入れを可能とする動作)を実行し、その後、搬入準備完了データを送信する。
【0094】
CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS307においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS307においてYES)、CPU81aは、検体投入装置2へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS308)。検体投入装置2は、上述したように、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前記検体投入装置2から搬出完了データを待機する(ステップS309においてNO)。搬出完了データが検体投入装置2から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS309においてYES)、CPU81aは、検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS310においてNO)。搬入完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS310においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0095】
次に、システム制御装置8の第2搬送指示処理について説明する。第2搬送指示処理では、M2又はM3の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。図16は、第2搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送装置3によりサンプルラックLが搬送され、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3(又は検体搬送装置301)へ搬出するための搬出位置にサンプルラックLが到達したときには、このサンプルラックLのラックIDを含む搬出要求データが検体搬送装置3から送信される。検体搬送装置3から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS321)。CPU81aにおいては、検体搬送装置3から搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS322の処理が呼び出される。
【0096】
ステップS322において、CPU81aは、当該検体搬送装置3の後段の検体搬送装置3へ、搬送先決定処理で決定された搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS322)。この搬入準備指示データは、上述した搬入準備指示データと同様であるので、その説明を省略する。
【0097】
次に、CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS323においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS323においてYES)、CPU81aは、前段(搬出側)の検体搬送装置3へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS324)。前段の検体搬送装置3は、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前段の検体搬送装置3から搬出完了データを待機し(ステップS325においてNO)、搬出完了データが前段の検体搬送装置3から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS325においてYES)、CPU81aは、後段の検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS326においてNO)。搬入完了データが後段の検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS326においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0098】
<検体搬送装置3の制御部32の動作>
ここでは、測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3の制御部32の動作について説明する。図17A及び図17Bは、制御部32による搬送機構31の制御処理の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から送信された搬入準備指示データは、制御部32により受信される(ステップS401)。制御部32のCPUにより実行される搬送制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、制御部32においては、搬入準備指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS402の処理が呼び出される。
【0099】
ステップS402において、制御部32は、搬送機構31のベルト321aを駆動する等して、搬入準備動作を実行する(ステップS402)。搬入準備が完了したときには、制御部32は、搬入準備が完了したことを通知するための搬入準備完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS403)。
【0100】
搬入準備完了データの送信に応じて、サンプルラックLが前段の装置から搬出され、これによってサンプルラックLが搬送機構31に搬入される(ステップS404)。サンプルラックLの搬入が完了したときには、制御部32は、サンプルラックLの搬入完了を通知するための搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS405)。
【0101】
次に、制御部32は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれを示しているか、すなわち、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれが使用対象の搬送ラインであるかを判定する(ステップS406)。ステップS406において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが測定ラインLを示している場合、すなわち、測定ラインL1が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS406において「測定ラインL1」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLの検体容器Tの保持部の内、図3において最も左側に位置する保持部が検体容器検出位置に到達するまで移送する(ステップS407)。次に、制御部32は、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置を示す変数iに1をセットし(ステップS408)、検体容器センサ38によって検体容器検出位置に検体容器Tが検出されたか否かを判定し(ステップS409)、検体容器Tが検出された場合には(ステップS409においてYES)、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS410)、情報処理ユニット51へ検体の吸引指示を示す検体吸引指示データを送信する(ステップS411)。これにより、検体容器センサ38によって検出された検体容器Tが検体供給位置35cに位置することとなり、後述するように検体が吸引される。制御部32は、検体吸引完了データを受信するまで待機し(ステップS412においてNO)、検体吸引完了データを受信した場合に(ステップS412においてYES)、処理をステップS414へ進める。
【0102】
一方、ステップS409において検体容器Tが検出されなかった場合には(ステップS409においてNO)、制御部32は、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS413)、処理をステップS414へ進める。ステップS414において、制御部32は、iが10以上であるか否かを判定し(ステップS414)、iが10未満である場合には(ステップS414においてNO)、iを1インクリメントし(ステップS415)、ステップS409へ処理を戻す。
【0103】
ステップS414において、iが10以上である場合には(ステップS414においてYES)、制御部32は、搬送機構31を制御することにより、サンプルラックLを搬出するための搬出位置にサンプルラックLを到達させる(ステップS416)。その後、制御部32は、処理をステップS418へ移す。
【0104】
一方、ステップS406において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データがスキップラインL2を示している場合、すなわち、スキップラインL2が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS406において「スキップラインL2」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLをスキップラインL2上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS417)。その後、制御部32は、処理をステップS418へ移す。
【0105】
ステップS418において、制御部32は、システム制御装置8へサンプルラックLに割り当てられたラックIDを含む搬出要求データを送信する(ステップS418)。その後、制御部32は、システム制御装置8から搬出指示データを待機し(ステップS419においてNO)、搬出指示データを受信したときには(ステップS419においてYES)、ステッピングモータ321bを駆動してサンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS420)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS421)。そして、制御部32は、処理を終了する。
【0106】
<血球分析装置5の動作>
次に、血球分析装置5の動作について説明する。情報処理ユニット52は、測定ユニット51,51,51の動作を制御して検体の測定を行い、また測定によって得られた測定データを解析する。
【0107】
図18A及び図18Bは、本実施の形態に係る血球分析装置5による検体の分析動作の手順を示すフローチャートである。まず、検体搬送装置3の制御部32から送信された吸引指示データを情報処理ユニット52が受信する(ステップS501)。CPU521aにおいて、吸引指示データを受信するというイベントが発生すると、ステップS502の処理が呼び出される。この吸引指示データには、動作対象の測定ユニット51の測定ユニットIDが含まれる。
【0108】
ステップS502において、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御し、供給位置35cにある検体容器TをサンプルラックLから抜き出し(ステップS502)、ハンド部515aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌する(ステップS503)。次に、CPU521aは、ハンド部515aを制御して、検体容器セット部515bに検体容器Tをセットし(ステップS504)、さらに検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送する(ステップS505)。次に、CPU521aは、バーコード読取部516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する(ステップS506)。さらにCPU521aは、検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース521gにホストコンピュータ9へ送信させ(ステップS507)、測定オーダを問い合わせる。その後、CPU521aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS508においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダが情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS508においてYES)、受信した測定オーダをハードディスク521dに記憶する(ステップS509)。
【0109】
次に、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを吸引位置へ搬送し(ステップS510)、検体吸引部511を制御し、記憶した測定オーダに含まれる測定項目に必要な量の検体を検体容器Tから吸引する(ステップS511)。検体の吸引が完了した後には、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器TをサンプルラックLへ戻し(ステップS512)、検体吸引完了データを、このサンプルラックLを搬送している検体搬送装置3へ送信する(ステップS513)。これにより、上述したようにサンプルラックLがラック搬送部35により搬送される。
【0110】
また、CPU521aは、試料調製部512を制御し、測定項目に応じて測定試料を調製し(ステップS514)、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う(ステップS515)。これにより、CPU521aは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPU521aは、測定データの解析処理を実行し(ステップS516)、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。測定データの解析処理により生成された分析結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスク521aに格納され(ステップS517)、また、ホストコンピュータ9へ送信される(ステップS518)。ホストコンピュータ9は、上述した測定オーダに分析結果データを統合してハードディスクに記憶する。ステップS518の処理を完了した後、CPU521aは、処理を終了する。
【0111】
<検体搬送装置301の動作>
搬送方向において最も下流側に位置する検体搬送装置3から送出されたサンプルラックLは、ラックスライダ303に導入される。ラックスライダ303は、詳細は省略するが、システム制御装置8からの指示を受け付け、サンプルラックLをコンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bの何れかへ送出する。測定ライン302aにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部が測定ライン302aを動作させ、塗抹標本作製装置6へ検体を供給する供給位置に塗抹標本作製対象の検体容器Tが位置するように、サンプルラックLを搬送する。塗抹標本作製装置6への検体の供給が完了した後は、さらに測定ライン302aが駆動され、検体収容装置4へとサンプルラックLが搬出される。また、スキップライン302bにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部がスキップライン302bを動作させ、サンプルラックLをスキップライン302上で搬送して、検体収容装置4へ搬出する。
【0112】
<検体収容装置4の動作>
検体搬送装置301から送出されたサンプルラックLは、検体収容装置4に導入される。検体収容装置4は、かかるサンプルラックLをラック載置部上で搬送し、収容する。
【0113】
以上のような構成とすることにより、システム制御装置8が、各測定ユニット51,51,51の試薬の状態に応じて、効率的に試薬を使用可能な搬送先を決定する。したがって、従来に比して効率的に試薬を使用して検体の処理を行うことができる。
【0114】
また、本実施の形態に係る検体処理システム1では、3つの測定ユニット51,51,51の内、試薬の有効期限が近付いているものに優先的に検体を供給することができる。これにより、有効期限が近付いている試薬の消費量が、他の試薬の消費量よりも大きくなり、有効期限が切れて使用できなくなる前に試薬を使い切ったり、有効期限切れの試薬の残料を低減することができる等、試薬の無駄を解消することが可能となる。
【0115】
また、本実施の形態に係る検体処理システム1では、試薬の有効期限が近づいている測定ユニット51に優先的に検体を搬送する第1搬送モードと、3つの測定ユニット51,51,51に均等に検体を搬送するモードである第2搬送モードとを選択的に設定可能であるため、第1搬送モードが設定されているときには試薬を効率的に使用することができ、第2搬送モードが設定されているときには検体処理システム1全体における単位時間当たりの検体の処理数(処理スループット)を可及的に増大させることが可能となる。
【0116】
また、本実施の形態に係る検体処理システム1では、検体投入装置2に載置されているサンプルラックLの数が所定数以上の場合に、3つの測定ユニット51,51,51に均等にサンプルラックLを搬送する。搬送対象のサンプルラックLが多数存在する場合、即ち、処理待ちの検体が多数存在する場合には、3つの測定ユニット51,51,51に均等にサンプルラックLを搬送して、検体処理システム1全体における処理能力を高めることで、多くの検体を短時間に処理することが可能となり、効率的に検体処理システム1を動作させることができる。
【0117】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、試薬の有効期限までの残り日数が所定日数未満の測定ユニット51に優先的にサンプルラックLを搬送する構成について述べたが、これに限定されるものではない。複数の測定ユニット51,51,51の中で試薬の有効期限までの残り日数が最も少ない測定ユニット51にサンプルラックLを優先的に搬送する構成としてもよい。
【0118】
また、上述した実施の形態においては、試薬の有効期限に基づいてサンプルラックLの搬送先を決定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。試薬の製造日から所定以上の期間経過している測定ユニット51に優先的にサンプルラックLを搬送したり、複数の測定ユニット51,51,51の中で試薬の製造日から最も長期間経過しているものに優先的にサンプルラックLを搬送する等、試薬の製造日に基づいてサンプルラックLの搬送先を決定する構成としてもよい。また、一般的に試薬の開封後の所定期間がその試薬の使用可能期間として定められる。そこで、試薬の使用可能期限までの残り日数が所定日数未満の測定ユニット51に優先的にサンプルラックLを搬送したり、複数の測定ユニット51,51,51の中で試薬の使用可能期限までの残り日数が最も少ないものに優先的にサンプルラックLを搬送する等、試薬の使用期限に基づいてサンプルラックLの搬送先を決定する構成としてもよい。
【0119】
また、上述した実施の形態においては、試薬容器512a,512b,512cが試料調製部512にチューブで接続されており、チューブを介して試薬容器512a,512b,512cから試料調製部512へ試薬が供給される構成について述べたが、これに限定されるものではない。ボトル状の試薬容器が測定ユニットに載置可能であり、試薬容器中の試薬をピペットにより吸引し、キュベット又はチャンバ等の他の容器に試薬を分注する構成としてもよい。
【0120】
また、上述した実施の形態においては、試薬の有効期限が近づいている測定ユニット51に優先的に検体を搬送する第1搬送モードと、3つの測定ユニット51,51,51に均等に検体を搬送するモードである第2搬送モードとを選択的に設定可能な構成としたが、これに限定されるものではない。3つの測定ユニット51,51,51に均等に検体を搬送する搬送モードを設けず、常に試薬の有効期限が近づいている測定ユニット51に優先的に検体を搬送する構成としてもよい。
【0121】
また、上述した実施の形態においては、第1搬送モードが設定されている状態では、3つの測定ユニット51,51,51にサンプルラックLを順次搬送する、繰り返し実行されるサイクルにおいて、優先的にサンプルラックLを搬送する対象の測定ユニット51に、2つ続けてサンプルラックLを搬送する構成について述べたが、これに限定されるものではない。有効期限までの残り日数に応じて、多段階に優先度を設定し、優先的にサンプルラックLを搬送する対象の測定ユニット51に1サイクル当たり連続して搬送するサンプルラックLの数を、優先度に応じて変化させてもよい。例えば、優先度を高、中、低の3レベルに分け、優先度が低レベルの場合には対象の測定ユニット51へ1サイクルにつき2つのサンプルラックLを連続して搬送し、優先度が中レベルの場合には対象の測定ユニット51へ1サイクルにつき3つのサンプルラックLを連続して搬送し、優先度が高レベルの場合には対象の測定ユニット51へ1サイクルにつき4つのサンプルラックLを連続して搬送する構成としてもよい。また、ユーザが優先度をシステム制御装置8に入力し、システム制御装置8がその優先度を設定する構成としてもよい。例えば、ユーザが設定した優先度が「2」の場合には、優先的にサンプルラックLを搬送する対象の測定ユニット51に1サイクル当たり2回連続してサンプルラックLを搬送し、ユーザが設定した優先度が「3」の場合には、前記対象の測定ユニット51に1サイクル当たり3回連続してサンプルラックLを搬送するようにしてもよい。また、優先度を「1.5」のように、実数により設定可能とすることもできる。この場合は、2サイクルを単位とし、優先対象の測定ユニット51へ1サイクル目には1つのサンプルラックLを搬送し、2サイクル目には2つのサンプルラックLを連続して搬送することが可能である。これにより、きめ細かな優先度の設定が可能となる。
【0122】
また、優先的にサンプルラックLを搬送する対象の測定ユニット51へ1サイクルにつきサンプルラックLを連続搬送する数の設定をオペレータ又はサービスマンが変更可能な構成としてもよい。
【0123】
また、上述した実施の形態においては、3つの測定ユニット51,51,51の構成を同一としたが、これに限定されるものではない。共通する測定項目を有していて、構成が異なる複数の測定ユニットを検体処理システムが備える構成であってもよい。例えば、シスメックス株式会社製の多項目血球分析装置XE−5000及びXT−2000iは、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)等の共通する測定項目を有している。検体処理システムが、XE−5000及びXT−2000iを備えており、両装置で共通の測定項目が測定対象の検体を、試薬の有効期限が近付いている方の測定ユニットへ優先的に搬送する構成としてもよい。
【0124】
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1が、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の検体分析装置の測定ユニットを複数備え、かかる検体分析装置の測定ユニットへ血液検体又は尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0125】
また、上述した実施の形態においては、システム制御装置8のCPU81aがシステム制御用のプログラムを実行することにより、サンプルラックLの搬送先を決定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。サンプルラックLの搬送先決定用プログラムと同様の処理を実行することが可能なFPGA又はASIC等の専用ハードウェアにより、サンプルラックLの搬送先を決定する処理を実行する構成としてもよい。
【0126】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ8aによりコンピュータプログラム84aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム84aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明の検体処理システム及び検体搬送システムは、検体を測定する複数の測定部へ検体を搬送する検体処理システム及び検体の搬送方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図4】実施の形態に係る検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図5】搬送機構が備える第1ベルトの構成を示す正面図。
【図6】搬送機構が備える第2ベルトの構成を示す正面図。
【図7】実施の形態に係る血球分析装置の測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】実施の形態に係る血球分析装置の情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図9】試薬管理テーブルの構造を示す模式図。
【図10】実施の形態に係る塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図11A】試薬情報取得処理における情報処理ユニットの試薬交換画面表示処理の流れを示すフローチャート。
【図11B】試薬情報取得処理における情報処理ユニットの試薬交換処理の流れを示すフローチャート。
【図11C】試薬情報取得処理における情報処理ユニットの試薬交換画面表示終了処理の流れを示すフローチャート。
【図12】情報処理ユニットの試薬交換画面を示す図。
【図13A】システム制御装置の搬送モード設定画面表示処理の手順を示すフローチャート。
【図13B】システム制御装置の搬送モード設定処理の手順を示すフローチャート。
【図13C】システム制御装置の搬送モード設定画面表示終了処理の手順を示すフローチャート。
【図14】システム制御装置の搬送モード設定画面を示す図。
【図15A】システム制御装置の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図15B】搬送先決定処理の手順を示すフローチャート。
【図16】システム制御装置の第2搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図17A】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(前半)。
【図17B】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(後半)。
【図18A】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(前半)。
【図18B】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(後半)。
【符号の説明】
【0129】
1 検体処理システム
2 検体投入装置
3,301 検体搬送装置
31 搬送機構
32 制御部
4 検体収容装置
5 血球分析装置
51 測定ユニット
52 情報処理ユニット
52a コンピュータ
521a CPU
521b ROM
521c RAM
521d ハードディスク
522 画像表示部
523 入力部
524 可搬型記録媒体
524a コンピュータプログラム
6 塗抹標本作製装置
8 システム制御装置
8a コンピュータ
81a CPU
81b ROM
81c RAM
81d ハードディスク
9 ホストコンピュータ
L サンプルラック
T 検体容器
TBL 試薬管理テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各別に対応した複数の試薬容器からそれぞれ試薬を分取し、当該試薬を用いて共通の測定項目について検体の測定をそれぞれ行う複数の測定部と、
前記複数の測定部にそれぞれ検体を搬送する搬送機構と、
前記複数の試薬容器にそれぞれ収容された試薬に関する試薬情報を取得する試薬情報取得手段と、
前記試薬情報取得手段によって取得された前記試薬情報に基づいて、検体の搬送先を決定する搬送先決定手段と、
前記搬送先決定手段によって決定された搬送先へ検体を搬送するように、前記搬送機構を制御する搬送制御手段と、
を備える、検体処理システム。
【請求項2】
前記試薬情報取得手段は、前記試薬の有効期限に関する有効期限情報を含む試薬情報を取得するように構成されており、
前記搬送先決定手段は、前記有効期限情報に基づいて、検体の搬送先を決定するように構成されている、請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記搬送先決定手段は、前記有効期限までの期間が所定期間より短い試薬を収容する試薬容器に対応している測定部に優先的に検体が搬送されるべく、検体の搬送先を決定するように構成されている、請求項2に記載の検体処理システム。
【請求項4】
前記搬送先決定手段は、前記複数の試薬容器に各別に収容されている複数の試薬について、有効期限までの期間を比較し、有効期限までの期間が短い試薬を収容する試薬容器に対応している測定部に優先的に検体が搬送されるべく、検体の搬送先を決定するように構成されている、請求項2に記載の検体処理システム。
【請求項5】
前記試薬情報取得手段は、前記試薬の製造時期に関する製造時期情報を含む試薬情報を取得するように構成されており、
前記搬送先決定手段は、前記製造時期情報に基づいて、検体の搬送先を決定するように構成されている、請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記試薬情報取得手段は、前記試薬の使用開始時期に関する使用開始時期情報を含む試薬情報を取得するように構成されており、
前記搬送先決定手段は、前記使用開始時期情報に基づいて、検体の搬送先を決定するように構成されている、請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記試薬情報に基づいて検体の搬送先を決定する第1搬送モード及び前記試薬情報に基づかずに検体の搬送先を決定する第2搬送モードの何れかの搬送モードを設定する搬送モード設定手段をさらに備え、
前記搬送先決定手段は、前記搬送モード設定手段によって第1搬送モードが設定されている場合には、前記試薬情報に基づいて検体の搬送先を決定し、前記搬送モード設定手段によって第2搬送モードが設定されている場合には、前記試薬情報に基づかずに検体の搬送先を決定するように構成されている、請求項1乃至6の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項8】
検体の搬送に関する優先度を設定する優先度設定手段をさらに備え、
前記搬送先決定手段は、前記試薬情報取得手段によって取得された前記試薬情報に基づいて、前記複数の測定部のうちの一部の測定部へ、前記優先度設定手段によって設定された優先度に応じて優先的に検体が搬送されるべく、検体の搬送先を決定するように構成されている、請求項1乃至7の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項9】
各別に対応した複数の試薬容器からそれぞれ試薬を分取し、当該試薬を用いて共通の測定項目について検体の測定をそれぞれ行う複数の測定部と、前記複数の測定部にそれぞれ検体を搬送する搬送機構と、を備える検体処理システムによる検体の搬送方法であって、
前記複数の試薬容器にそれぞれ収容された試薬に関する試薬情報を取得するステップと、
取得された前記試薬情報に基づいて検体の搬送先を決定するステップと、
決定された搬送先へ検体を搬送するように、前記搬送機構を制御するステップと、
を備える、検体の搬送方法。
【請求項1】
各別に対応した複数の試薬容器からそれぞれ試薬を分取し、当該試薬を用いて共通の測定項目について検体の測定をそれぞれ行う複数の測定部と、
前記複数の測定部にそれぞれ検体を搬送する搬送機構と、
前記複数の試薬容器にそれぞれ収容された試薬に関する試薬情報を取得する試薬情報取得手段と、
前記試薬情報取得手段によって取得された前記試薬情報に基づいて、検体の搬送先を決定する搬送先決定手段と、
前記搬送先決定手段によって決定された搬送先へ検体を搬送するように、前記搬送機構を制御する搬送制御手段と、
を備える、検体処理システム。
【請求項2】
前記試薬情報取得手段は、前記試薬の有効期限に関する有効期限情報を含む試薬情報を取得するように構成されており、
前記搬送先決定手段は、前記有効期限情報に基づいて、検体の搬送先を決定するように構成されている、請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記搬送先決定手段は、前記有効期限までの期間が所定期間より短い試薬を収容する試薬容器に対応している測定部に優先的に検体が搬送されるべく、検体の搬送先を決定するように構成されている、請求項2に記載の検体処理システム。
【請求項4】
前記搬送先決定手段は、前記複数の試薬容器に各別に収容されている複数の試薬について、有効期限までの期間を比較し、有効期限までの期間が短い試薬を収容する試薬容器に対応している測定部に優先的に検体が搬送されるべく、検体の搬送先を決定するように構成されている、請求項2に記載の検体処理システム。
【請求項5】
前記試薬情報取得手段は、前記試薬の製造時期に関する製造時期情報を含む試薬情報を取得するように構成されており、
前記搬送先決定手段は、前記製造時期情報に基づいて、検体の搬送先を決定するように構成されている、請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記試薬情報取得手段は、前記試薬の使用開始時期に関する使用開始時期情報を含む試薬情報を取得するように構成されており、
前記搬送先決定手段は、前記使用開始時期情報に基づいて、検体の搬送先を決定するように構成されている、請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記試薬情報に基づいて検体の搬送先を決定する第1搬送モード及び前記試薬情報に基づかずに検体の搬送先を決定する第2搬送モードの何れかの搬送モードを設定する搬送モード設定手段をさらに備え、
前記搬送先決定手段は、前記搬送モード設定手段によって第1搬送モードが設定されている場合には、前記試薬情報に基づいて検体の搬送先を決定し、前記搬送モード設定手段によって第2搬送モードが設定されている場合には、前記試薬情報に基づかずに検体の搬送先を決定するように構成されている、請求項1乃至6の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項8】
検体の搬送に関する優先度を設定する優先度設定手段をさらに備え、
前記搬送先決定手段は、前記試薬情報取得手段によって取得された前記試薬情報に基づいて、前記複数の測定部のうちの一部の測定部へ、前記優先度設定手段によって設定された優先度に応じて優先的に検体が搬送されるべく、検体の搬送先を決定するように構成されている、請求項1乃至7の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項9】
各別に対応した複数の試薬容器からそれぞれ試薬を分取し、当該試薬を用いて共通の測定項目について検体の測定をそれぞれ行う複数の測定部と、前記複数の測定部にそれぞれ検体を搬送する搬送機構と、を備える検体処理システムによる検体の搬送方法であって、
前記複数の試薬容器にそれぞれ収容された試薬に関する試薬情報を取得するステップと、
取得された前記試薬情報に基づいて検体の搬送先を決定するステップと、
決定された搬送先へ検体を搬送するように、前記搬送機構を制御するステップと、
を備える、検体の搬送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【公開番号】特開2010−96572(P2010−96572A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266232(P2008−266232)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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