説明

検体処理装置

【課題】複数の検体容器の仕分け処理の処理時間を短縮することができる検体処理装置を提供する。
【解決手段】検体処理装置10は、検体を収容可能な検体容器23を複数の搬出口30d〜30fに仕分けする検体処理装置であって、複数の搬入口30a〜30cと、下流側に設けられた複数の搬出口30d〜30fと、前記各搬入口30a、30b、30cから前記各搬出口30d,30e,30fに前記検体容器23を搬送する複数の主搬送路32a〜32cと、前記複数の主搬送路32a〜32cから分岐し、前記複数の主搬送路32a〜32cを接続するとともに前記主搬送路32a〜32cの検体容器23を他の前記主搬送路32a〜32cに搬送する、複数の副搬送路33a〜33fと、前記主搬送路32a〜32cと前記副搬送路33a〜33fとの間で前記検体容器23の搬送方向を案内する案内手段37と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体処理装置に係り、例えば複数箇所に検体容器を仕分けするものに関する。
【背景技術】
【0002】
血液などの検体を試験管などの容器に収容した状態で搬送し、各種処理を行う検体処理装置において、検体容器を仕分けして搬送することが行われている(例えば特許文献1参照)。この検体処理装置では、1つの搬送路上を送られる複数の検体容器について、検体容器の側面に貼付されたバーコードの識別情報を読み取り、この識別情報に応じて、下流側の複数の搬送路に分岐させて搬送する。このような検体処理装置では、1つの搬入口から、複数の搬出口に連続するように搬送路が形成されている。すなわち、搬入側の1本の搬送路が、複数の搬送路に分岐し、分岐した複数の搬送路がそれぞれ複数の搬出口に接続されている。分岐部には検体容器の搬送方向を案内するゲート部が設けられている。このゲート部によって検体容器が複数の搬送路に振り分けられ、適当な搬出口に向かって搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−76185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術には次のような問題がある。すなわち、上記の検体処理装置では、1つの搬入口から順次送られる検体容器について1つずつ順番に仕分け処理を行うため、複数の検体容器の仕分け処理をする場合に処理時間が長くなるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は複数の検体容器の仕分け処理の処理時間を短縮することができる検体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る検体処理装置の一態様は、検体を収容可能な検体容器を複数の搬出口に仕分けする検体処理装置であって、複数の搬入口と、前記搬入口よりも下流側に設けられた複数の搬出口と、前記各搬入口から前記各搬出口に前記検体容器を搬送する複数の主搬送路と、前記複数の主搬送路から分岐し、前記複数の主搬送路を接続するとともに前記主搬送路の検体容器を他の前記主搬送路に搬送する、複数の副搬送路と、前記主搬送路と前記副搬送路との間で前記検体容器の搬送方向を案内する案内手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る検体処理装置の他の一態様は、複数の前記主搬送路は、所定の第1方向に沿って設けられ、複数の前記副搬送路は、前記第1方向と交差する第2方向に沿って設けられ、複数の前記主搬送路と複数の前記副搬送路とが網目状に配されたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る検体処理装置の他の一態様は、前記分岐部の上流側に設けられ、前記検体容器に付されたラベルを読み取り、前記検体に関する検体情報を取得する読取手段と、前記読取手段によって読み取った情報に基づき、前記案内手段の動作を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る検体処理装置の他の一態様は、前記案内手段として、前記主搬送路から前記副搬送路が分岐する分岐部に設けられ、回動運動により、前記主搬送路の下流側及び前記副搬送路のいずれかに前記検体容器を案内するガイドアームを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る検体処理装置の他の一態様は、前記案内手段として、前記主搬送路と前記副搬送路とが交差する交差部において、前記主搬送路を跨いで、前記検体容器を、一方側の副搬送路から他方側の副搬送路に前記検体容器を移載する移載手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る検体処理装置の他の一態様は、複数の前記搬出口の下流側にそれぞれ連続する複数の搬送路と、該搬送路に沿って設けられ、検体容器に処理を行う後処理部と、を有する後処理装置をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる検体処理装置によれば、複数の検体容器の仕分け処理の処理時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る検体処理ユニットの構成を概略的に示す斜視図。
【図2】同実施形態に係る検体処理ユニットの平面図。
【図3】同実施形態に係る搬入仕分けユニットの正面図。
【図4】同実施形態に係る搬入仕分けユニットを一部切欠して示す側面図。
【図5】同実施形態に係る仕分け処理の説明図。
【図6】同実施形態に係る仕分け処理の説明図。
【図7】同実施形態に係る仕分け処理の説明図。
【図8】本発明の他の実施形態に係る検体処理装置の説明図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る検体処理装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態にかかる検体処理装置10について、図1乃至図4を参照して説明する。なお、各図において適宜構成を拡大、縮小、省略して示している。各図中の矢印X,Y,Zはそれぞれ直交する3方向を示している。ここではX軸が横(左右)方向、Y軸が縦(前後)方向、Z軸が上下方向に設定される場合を示す。
【0015】
図1は、検体処理装置10を概略的に示す斜視図であり、図2は平面図である。図3及び図4に、搬入仕分ユニット11の正面図及び側面図をそれぞれ示す。
【0016】
検体処理装置10は、図中X方向の基端側から先端側に向かって、搬入仕分ユニット11、開栓ユニット14、及び搬出ユニット15を並列して備えている。これら複数のユニット11,14,15に、各種情報を記憶する記憶部16(記憶手段)と、識別情報などに基づき演算・判定などのデータ処理を行うデータ処理部17と、各部の動作を制御する制御部18(制御手段)とが接続されている。
【0017】
図1乃至図3に示すように、搬入仕分ユニット11は、ラック22に設置された試験管23を移載する搬入部(搬入手段)12と、搬入された試験管23を所定のルートに振り分けて案内する仕分部(仕分手段)13と、を備えている。搬入部12は、ラック架設部21と、ラック架設部21上方に配された第1乃至第3の移載機構28a〜28cと、を備えている。
【0018】
ラック架設部21には、複数の試験管23を収容した試験管ラック22が複数載置されてセットされる。ラック22は、左右及び前後方向にそれぞれ複数列の試験管23を立位状態で保持している。検体容器としての試験管23は、円筒形状を成し、内部に血液などの検体を収容する。試験管23の側面には、検体の識別情報等の各種情報を示すバーコードを有するラベル26が貼付されている。
【0019】
第1乃至第3の移載機構28a〜28cは、それぞれ縦方向に並列する複数のエリアA1〜A3に対応する所定の領域で縦方向及び横方向の移動及び昇降移動可能に構成され、試験管23を把持可能な移載アーム29を備えている。
【0020】
複数の移載アーム29はそれぞれ対応するエリアのラック架設部21上にセットされた試験管23を保持して移動し、隣接する仕分部13のホルダ搬送部20に移載する。ホルダ搬送部20上には予め空のホルダ24がセットされて待機しており、移載アーム29によって試験管23がホルダ24に移載されると、試験管23はホルダ搬送部20において上流側から下流側へ所定の搬送経路30に沿って搬送される。
【0021】
仕分部13は、試験管23を保持するホルダ24を所定の搬送経路30に沿って、図中矢印で示すように上流側から下流側へ搬送するコンベヤ式のホルダ搬送部20と、搬送経路30上を送られる試験管23の側部に付されたラベル26を読み取る複数の読取装置36と、制御部18の制御に応じてホルダ24の搬送方向を案内するガイドアーム37(案内手段)と、制御部18の制御に応じてホルダ24を把持して移載するホルダ移載機構38(案内手段)と、を備えている。なお、この実施形態においては複数の試験管23を3箇所の搬出口30d〜30fに仕分けして送る場合を例示する。
【0022】
ホルダ搬送部20は、コンベヤ式の搬送機構であり、所定の搬送経路30に沿って一定幅に設置された一対のガイドレールと、一対のガイドレールの間に配置された搬送ベルトと、搬送ベルトの裏側で回転駆動して搬送ベルトを移動させる搬送ローラと、を備えて構成されている。ホルダ24は試験管23を1つずつ保持した状態で搬送ベルト上に立位状態に支持され、搬送ベルトの移動に伴って搬送される。
【0023】
搬送経路30は、図2中右側の搬入側において縦方向(Y方向)に延びる搬入路31と、図2中右側の搬入側(上流側)において搬入路31に沿って縦に並列して設けられた第1乃至第3の搬入口30a〜30cと、図2中左側の搬出側(下流側)において縦に並列して設けられた第1乃至第3の搬出口30d〜30fと、互いに平行を成し横方向(X方向)延びて搬入口30a〜30cと搬出口30d〜30fとをそれぞれ接続する第1乃至第3の主搬送路32a〜32cと、複数の主搬送路32a〜32cから分岐して互いに平行に縦方向に延びるとともに隣り合う主搬送路32a〜32c同士を接続する第1〜第6の副搬送路33a〜32fと、を備えている。
【0024】
第1乃至第3の主搬送路32a〜32cはそれぞれ横方向(X軸方向)に沿って図2中右側から左側に送られ、左側に向かってホルダ24を搬送する。
【0025】
第1の副搬送路33aは、第2の主搬送路32bから分岐して後方(Y軸先端方向)に向かって送られ、第1の主搬送路32a側に向かってホルダ24を搬送する。第2の副搬送路33bは、第1の主搬送路32aから分岐して前方(Y軸基端方向)に送られ、第2の主搬送路32b側に向かってホルダ24を搬送する。第3の副搬送路33cは、第1の主搬送路32aから分岐して縦方向に沿って前方に送られ、第2の主搬送路32b側に向かってホルダ24を搬送する。第4の副搬送路33dは、第3の主搬送路32cから縦方向に沿って後方に向かって送られ、第2の主搬送路32b側に向かってホルダ24を搬送する。第5の副搬送路33eは、第2の主搬送路32bから縦方向に沿って前方に送られ、第3の主搬送路32cに向かってホルダ24を搬送する。第6の副搬送路33fは、第3の主搬送路32cから縦方向に沿って後方に向かって送られ、第2の主搬送路32b側に向かってホルダ24を搬送する。
【0026】
第1の副搬送路33a及び第4の副搬送路33dはX方向における同位置に配置され、第2の主搬送路32bを挟んで縦方向に沿って並んでいる。第2の副搬送路33b及び第5の副搬送路33eはX方向における同位置に配置され、第2の主搬送路32bを挟んで縦方向に沿って並んでいる。第3の副搬送路33c及び第6の副搬送路33fはX方向における同位置に配置され、第2の主搬送路32bを挟んで縦方向に沿って並んでいる。
【0027】
横に延びる3本の第1〜第3の主搬送路32a〜32cと、縦に延びる6本の副搬送路33a〜33fとが、交差して網目状に構成されている。第2の主搬送路32bに3つの交差部34a〜34cが形成されている。第1搬送路32a及び第3搬送路32cに、それぞれ3箇所ずつ、計6ヵ所の分岐部35a〜35fが形成されている。
【0028】
分岐部35a〜35fと交差部34a〜34cの上流側には、それぞれ読取装置36が設けられている。読取装置36は、搬送経路30の側部に設けられ、ホルダ搬送部20によって送られる試験管23の側面に貼付されたラベル26を光学的に読み取り、バーコード情報などの検体の識別情報を取得する。読取装置36で取得した情報は、記憶部16に記憶され、ガイドアーム37の切替動作やホルダ移載機構38の移載動作の制御に用いられる。
【0029】
第1の主搬送路32aにおける2箇所の分岐部35b,35cと、第3の主搬送路32cにおける2つの分岐部35d,35fと、搬入口30a,30bに、それぞれ、ガイドアーム37が設けられている。ガイドアーム37は、制御部18の制御に応じて分岐部において回動することにより、下流側に分岐する複数の搬送経路のいずれかに、ホルダ24の搬送方向を案内する。ホルダ24の搬送方向は、読取装置36で取得した検体情報に基づいて決定される。
【0030】
第2の主搬送路32bにおける2箇所の交差部34a,34bにホルダ移載機構38が設けられている。図4に示すように、ホルダ移載機構38は、試験管23を把持可能な移載アーム39を備えている。制御部18の制御に応じて、移載アーム39によって第2の主搬送路32bの一方側のホルダ24を把持し、第2の主搬送路32bにおいて横方向に搬送されるホルダ24及び試験管23の上方を跨いで、他方側の副搬送路にホルダ24を、縦方向に移載する。例えば後述するように、第4の副搬送路33dから第2の主搬送路32bの上方を跨いで第1の副搬送路33aへのホルダ24の移載、及び第2の副搬送路33bから第2の主搬送路32bの上方を跨いで第5の副搬送路33eへのホルダ24の移載を行う。
【0031】
後処理装置としての開栓ユニット14は、第1乃至第3の主搬送路32a〜32cにそれぞれ連続する複数の搬送路42a〜42cを有するホルダ搬送部20と、この搬送路42a〜42cの側部にそれぞれ設けられた3つの第1乃至第3の開栓部43a〜43cと、を備えている。開栓部43a〜43cは、クランプ機構44で試験管23を把持しながら、把持機構45で栓体25を掴んで上昇させることにより、試験管23の上部の開口に挿入されている栓体25を抜き取る開栓処理を行う。
【0032】
後処理装置としての搬出ユニット15は、複数の搬送路42a〜42cにそれぞれ接続された複数の搬送路51a〜51cを有するホルダ搬送部20と、ラック架設部53と、ラック架設部53上方に配置され縦方向に並列する複数の移載機構54a〜54cと、を備えている。ラック架設部53は縦方向に並列する複数のエリアA4〜A6に区別されている。これらのエリアA4〜A6に複数の試験管ラック56a〜56cがそれぞれ複数載置されてセットされる。
【0033】
移載機構52a〜52cは、それぞれのエリアA4〜A6に対応する所定の領域で縦横の移動及び昇降移動可能に構成され、試験管23を把持可能な移載アーム55を備えている。移載アーム55によって、搬送路51a〜51cの試験管23を保持して対応するエリアA4〜A6に配置されたラック56a〜56cに移載する。
【0034】
以下、本実施形態に係る検体処理装置10の処理手順について説明する。
【0035】
まず、搬入部12において、予めラック22に設置された複数の試験管23を、順次、搬入部12に移載していく搬入処理が行われる。このとき、仕分け処理の前段階であるため、移載するホルダを特定する必要はないが、例えば各エリアA1〜A3の近くセットされたホルダ24に移載する。3つの移載機構28a〜28cにより、複数の試験管23の搬入処理を並行して行うため処理時間が短縮される。
【0036】
ついで、仕分部13において、仕分け処理が行われる。以下、図5乃至図7を参照して仕分け処理の手順を説明する。まず、複数の試験管23はそれぞれの搬入口30a〜30cから、それぞれ第1乃至第3の主搬送路32a〜32cに沿って下流側へ搬送される。この搬送中に、分岐部35b,35c及び交差部34a,34bよりも手前側に設けられた読取装置36で試験管23側面に貼付されたラベル26を光学的に読み取り、バーコード情報などの検体の識別情報を取得する読取処理が行われる。
【0037】
そして、読み取った検体情報に基づいて、制御部18により、分岐部35b,35c及び交差部34a,34bを通る際に、ガイドアーム37の案内動作及び移載部38の移載動作が行われる。搬送経路30に沿って試験管23を移動させる搬送部20の搬送運動と、これら制御部18に制御されるガイドアーム37の案内動作及び移載部38の移載動作によって、複数の試験管23が図5乃至図7に示す所定のルートに従って仕分けされて特定の搬出口30d〜30fに送られる仕分処理が行われる。
【0038】
図5に、第1搬入口30aからの仕分け処理を示す。例えば第1の搬出口30dに搬送されると判定された試験管23は、第1の主搬送路32a上をまっすぐに図中左方へ移動し、第1の搬出口30dに搬送される。
【0039】
第2の搬出口30eに搬送されると判定された試験管23は、第1の主搬送路32a上の分岐部35cにおいてガイドアーム37により第3の副搬送路33c上へ案内される。そして、第3の副搬送路33cの搬送運動により図中下方の第2の主搬送路32bに送られ、交差部34cにおいて第2の主搬送路32b上に移動する。さらに、第2の主搬送路32bの搬送運動によって左方に送られ、第2の搬出口30eへ案内される。
【0040】
第3の搬出口30fに搬送されると判定された試験管23は、第1の主搬送路32a上の分岐部35bにおいてガイドアーム37により第2の副搬送路33b上へ案内される。そして、第2の副搬送路33bの搬送運動によって前方(図5中下方)へ送られ、交差部34bにおいてホルダ移載機構38により、第2主搬送路32bの上方を跨いで、第5の副搬送路33eへ移載される。さらに、第5の副搬送路33eの搬送運動により前方の分岐部35eに送られ、分岐部35eから第3の主搬送路33c上に移動する。そして、第3の主搬送路33cの搬送運動によって左方の第3の搬出口30fへ案内される。
【0041】
図6に、第2搬入口30bからの仕分け処理を示す。例えば第1の搬出口30dに搬送されると判定された試験管23は、第2の主搬送路32bの交差部34aにおいてホルダ移載機構38によって第1の副搬送路33aに移載される。そして、第1の副搬送路33aの搬送運動によって後方(図中上方)に向かって送られ、第1主搬送路32aの分岐部35aへ移動する。さらに、第1の主搬送路32aの搬送運動により左方に送られ、第1の搬出口30dに搬送される。
【0042】
第2の搬出口30eに搬送されると判定された試験管23は、第2の主搬送路32b上で左方へまっすぐ進み、第2の搬出口30eへ送られる。
【0043】
第3の搬出口30fに搬送されると判定された試験管23は、第2の主搬送路32b上の交差部34bでホルダ移載機構38により第5の副搬送路33eへ移載される。そして、第5の副搬送路33e上を前方に進み、第2の主搬送路32bに送られる。さらに分岐部35eから、第3主搬送路上を通って左方の第3の搬出口30fへ案内される。
【0044】
図7に、第3搬入口からの仕分け処理を示す。例えば、第1の搬出口30dに搬送されると判定された試験管23は、第3主搬送路32c上の分岐部35dでガイドアーム37により後側の第4の副搬送路33dへ案内される。そして、第4の副搬送路33d上を後方の交差部34aに向かって移動する。交差部34aにおいてホルダ移載機構38により第1の副搬送路33aへ移載され、第1の副搬送路33aによって後方(図中上方)に送られ、第1の主搬送路32aの分岐部35aへ移動する。さらに第1の主搬送路32aによって左方へ送られ、第1の搬出口30dへ案内される。
【0045】
第2の搬出口30eに搬送されると判定された試験管23は、第3主搬送路32cの分岐部35fにおいてガイドアーム37により上側の第6の副搬送路33fへ案内される。そして第6の副搬送路33fによって後方の交差部34cに送られ、第2の主搬送路32bに移動する。さらに第2の主搬送路32bによって図中左方の第2の搬出口30eへ案内される。
【0046】
第3の搬出口30fに搬送されると判定された試験管23は、第3主搬送路33cにそって図中左方にまっすぐ移動し、第3の搬出口30fに進む。
【0047】
以上により、複数の搬入口30a〜30cからランダムに送られた多数の試験管23が検体情報に基づいて定められた特定の搬出口30d〜30fに仕分けして搬送される。なお、網目状に形成された3本の主搬送路32a〜32cと6本の副搬送路33a〜33fを用いて複数の試験管23に対して並行して処理を行うことにより、処理時間が短縮される。
【0048】
3つの搬出口30d〜30fに仕分けされた試験管23は、それぞれの搬出口30d〜30fから下流側に接続された開栓ユニット14の3つの搬送路42a〜42cに送られる。
【0049】
開栓ユニット14において、試験管23の栓体25を取り除く開栓処理が行われる。このとき、まず上流側に設けられた読取装置36を通る際に試験管23の検体情報を取得し、この情報から開栓の要否が判定される。そして、開栓の要否に基づき開栓が必要な試験管23のみに対して、開栓処理が行われる。開栓部43a〜43cは、クランプ機構44で試験管23を把持しながら、把持機構45で栓体25を掴んで上昇させることにより、試験管23の上部の開口に挿入されている栓体25を抜き取る開栓処理を行う。開栓不要な試験管23及び開栓処理が終了した試験管23は、搬送経路に沿って下流側の搬出ユニット15へ送られる。
【0050】
ついで、搬出ユニット15において、ホルダ搬送部20の試験管23を移載アーム55で把持して、所定のラック56a〜56cへ移載する搬出処理が行われる。ここで、搬出口30dに仕分けされた試験管は、搬送路42a、搬送路51a、を通ってラック56aに搬入される。搬出口30eに仕分けされた試験管は、搬送路42b、搬送路51b、を通ってラック56bに搬入される。搬出口30fに仕分けされた試験管は、搬送路42c、搬送路51c、を通ってラック56cに搬入される。
【0051】
以上により搬出口30d〜30fにそれぞれ対応するエリアA4〜A6に試験管23が区分けされる。この搬出動作も3箇所で並行して処理されるため、処理時間が短縮できる。
【0052】
本実施形態にかかる検体処理装置10によれば以下のような効果が得られる。すなわち、複数の搬出口30d〜30fへ試験管23を仕分けする検体処理装置10において、複数の搬入口30a〜30cを設定し、複数の主搬送路32a〜32cと、主搬送路32a〜32c間を接続する複数の副搬送路33a〜33fと、を設けたことにより、複数の試験管23に対して並行して処理を行うことが可能であるため、処理時間を短縮することが出来る。例えばここでは3箇所で並行して各種処理を行うため、多数の試験管23に対して仕分け処理をする場合には、処理時間を1/3程度にすることができる。また、並行して処理を行いつつも搬送路が共通するように網目状に接続したことにより省スペース化が可能となる。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。上記実施形態においては、搬入口、搬出口、主搬送路、の数をすべて3とした場合について例示したがこれに限られるものではない。例えば図8に示すように、搬入口130a、130b、搬出口130c,130dをそれぞれ2つずつ並列して備えた検体処理装置100であっても、例えば図9に示すように、搬入口230a〜230d、搬出口230e〜230hをそれぞれ4つずつ並列して備えた検体処理装置200であっても、同様の効果が得られる。また、移載手段として試験管23またはホルダ24を1つずつ移載する機構を用いたが、これに代えて複数の試験管23またはホルダ24を纏めて移載する機構を用いても良い。さらに、上記実施形態においては、搬入仕分けユニット11、開栓ユニット14、搬出ユニット15を連続して有する検体処理装置10を例示したが、これに限られるものではない。例えば開栓ユニット14を省略し、あるいは他の処理ユニットを追加することも可能である。
【0054】
また、上記実施形態に例示された各構成要素を削除してもよく、各構成要素の形状、構造、材質等を変更してもよい。上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0055】
10…検体処理装置、11…搬入仕分ユニット、12…搬入部、13…仕分部、
14…開栓ユニット、15…搬出ユニット、16…記憶部(記憶手段)、
17…データ処理部(データ処理手段)、18…制御部(制御手段)、
20…ホルダ搬送部、21…ラック架設部、22…ラック、23…試験管、24…ホルダ、25…栓体、26…ラベル、28a〜28c…移載機構、29…移載アーム、
30…搬送経路、30a〜30c…搬入口、30d〜30f…搬出口、31…搬入路、
32a…第1の主搬送路、32b…第2の主搬送路、32c…第3の主搬送路、
33a…第1の副搬送路、33b…第2の副搬送路、33c…第3の副搬送路、
33d…第4の副搬送路、33e…第5の副搬送路、33f…第6の副搬送路、
34a〜34c…交差部、35a〜35f…分岐部、36…読取装置(読取手段)、
37…ガイドアーム(案内手段)、38…ホルダ移載機構(案内手段)、39…移載アーム、42a〜42c…搬送路、43a〜43c…開栓部、51a〜51c…搬送路、
52a〜52c…移載機構、53…ラック架設部、56a〜56c…ラック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を収容可能な検体容器を複数の搬出口に仕分けする検体処理装置であって、
複数の搬入口と、
前記搬入口よりも下流側に設けられた複数の搬出口と、
前記各搬入口から前記各搬出口に前記検体容器を搬送する複数の主搬送路と、
前記複数の主搬送路から分岐し、前記複数の主搬送路を接続するとともに、前記主搬送路の検体容器を他の前記主搬送路に搬送する、複数の副搬送路と、
前記主搬送路と前記副搬送路との間で前記検体容器の搬送方向を案内する案内手段と、
を備えたことを特徴とする検体処理装置。
【請求項2】
複数の前記主搬送路は、所定の第1方向に沿って設けられ、複数の前記副搬送路は、前記第1方向と交差する第2方向に沿って設けられ、複数の前記主搬送路と複数の前記副搬送路とが網目状に配されたことを特徴とする請求項1記載の検体処理装置。
【請求項3】
前記分岐部の上流側に設けられ、前記検体容器に付されたラベルを読み取り、前記検体に関する検体情報を取得する読取手段と、
前記読取手段によって読み取った情報に基づき、前記案内手段の動作を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の検体処理装置。
【請求項4】
前記案内手段として、前記主搬送路から前記副搬送路が分岐する分岐部に設けられ、回動運動により、前記主搬送路の下流側及び前記副搬送路のいずれかに前記検体容器を案内するガイドアームを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の検体処理装置。
【請求項5】
前記案内手段として、前記主搬送路と前記副搬送路とが交差する交差部において、前記主搬送路を跨いで、前記検体容器を、一方側の副搬送路から他方側の副搬送路に前記検体容器を移載する移載手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の検体処理装置。
【請求項6】
複数の前記搬出口の下流側にそれぞれ連続する複数の搬送路と、
該搬送路に沿って設けられ、検体容器に処理を行う後処理部と、を有する後処理装置をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の検体処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−13086(P2011−13086A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157102(P2009−157102)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(309007184)あおい精機株式会社 (9)
【Fターム(参考)】