説明

検出センサ

【課題】特別の表示手段を設けることなく余裕度の表示が可能な検出センサを提供すること。
【解決手段】ファイバセンサ10のデジタル表示部12に表示される検出用しきい値レベルを点滅させることにより、検出用しきい値レベルの検出時又は非検出時の受光信号レベルに対する余裕度を表示する。又、余裕度に応じて検出用しきい値レベルの点滅間隔を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出センサに係り、詳しくは検出センサの表示に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光電センサ等の検出センサは、被検出物(ワーク)の有無による受光量の変化に対して設定された判定レベルに基づき被検出物の検出を行なっている。使用環境によっては、判定レベルと受光信号レベルとの差が小さい場合に外乱光等の影響により、検出状態であっても非検出状態としてしまう等の誤検出をする虞がある。そのため、設定された判定レベルが受光信号レベルに対してどの程度余裕が有るかを示す余裕度を表示することが求められる。そこで、安定動作表示灯を設け、設定された判定レベルに応じて検出余裕度数を算出し、該検出余裕度数を安定動作表示灯の点滅回数により表示する検出センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平6−26321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記特許文献1では、検出余裕度数を表示するために安定動作表示灯が検出センサに別途設けられるので、その分の消費電流が増加するという問題があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、特別の表示手段を設けることなく余裕度の表示が可能な検出センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、被検出物を検出するための物理量に応じたレベルの検出信号を出力する物理量検出手段と、検出信号レベルと検出用しきい値レベルとの比較に基づき被検出物の検出を行う物体検出手段と、前記検出用しきい値レベルの設定を行う検出用しきい値設定手段と、前記検出信号レベルと前記検出用しきい値レベルとに基づいて前記物体検出手段による検出の余裕度を演算する演算手段と、前記検出用しきい値レベルを数値表示するデジタル表示手段と、前記検出用しきい値レベルの設定を行う設定モードと、前記物体検出手段による検出を行う検出モードとの切り替えを行うモード切り替え手段と、前記設定モード時に、前記表示手段に前記余裕度を表示する表示制御手段と、を備えた。
【0005】
上記構成によれば、設定モード時に検出用しきい値レベルを数値表示するデジタル表示手段によって余裕度が表示されるため、特別の表示手段を設けることなく余裕度を表示することができる。
【0006】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の検出センサにおいて、前記表示手段は2つの表示領域を備え、前記表示制御手段は、前記検出モード時には前記表示手段の第1の表示領域に前記検出用しきい値レベルを表示させ、前記表示手段の第2の表示領域に前記検出信号レベルを表示させるとともに、前記設定モード時には前記第1の表示領域又は前記第2の表示領域に前記余裕度を表示する。
【0007】
上記構成によれば、検出用しきい値レベル又は検出信号レベルと、余裕度とが表示されるため、作業者が、検出用しきい値レベル又は検出信号レベルと余裕度との両方を確認しながら検出用しきい値レベルの設定することができるので、適正な余裕度を持つ検出用しきい値レベルの設定が可能となる。
【0008】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の検出センサにおいて、前記表示制御手段は、前記余裕度に応じて前記表示手段の少なくとも一桁の表示態様を変化させて前記余裕度を表示する。
【0009】
上記構成によれば、表示手段の少なくとも一桁の表示態様が変化することで、作業者が余裕度を認識可能であるため、検出用しきい値レベルを余裕度と同時期に認識できるので、適正な余裕度を持つ検出用しきい値レベルの設定が可能となる。
【0010】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の検出センサにおいて、前記表示制御手段は、前記余裕度に応じた間隔で前記表示手段の少なくとも一桁を点滅表示させることで、前記表示態様を変化させて前記余裕度を表示する。
【0011】
上記構成によれば、表示手段が点滅表示する間隔の長短により余裕度の大小を表示するため、作業者は感覚的に余裕度の大小を把握することができるので、素早く検出用しきい値レベルの設定を行うことが可能となる。
【0012】
請求項5に記載の発明によれば、請求項3又は4に記載の検出センサにおいて、前記余裕度と予め設定された基準余裕度とを比較して安定状態か不安定状態かを判定する判定手段を備え、前記表示制御手段は、前記判定手段の判定結果に応じて前記表示態様を変化させる。
【0013】
上記構成によれば、余裕度と基準余裕度との比較結果によって安定か不安定かの2値で余裕度の表示を行うため、検出センサが安定な検出動作を行う否かを作業者が瞬時に判断できる。
【0014】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の検出センサにおいて、前記表示制御手段は前記表示手段を、前記判定結果に応じて前記表示態様を第1の変化態様で変化させ、前記余裕度に応じて前記表示態様を前記第1の変化態様とは異なる第2の変化態様で変化させる。
【0015】
上記構成によれば、余裕度と基準余裕度との比較結果によって安定か不安定かの2値で余裕度の表示を行い、表示手段が点滅表示する間隔の長短により表示する。そのため、作業者は、検出センサが安定な検出動作を行う否かの判断と、感覚的な余裕度の判断による素早く検出用しきい値レベルの設定とを行うことができる。
【0016】
請求項7に記載の発明によれば、請求項3〜6のいずれか一項に記載の検出センサにおいて、前記表示制御手段は、前記余裕度に応じて、前記設定モード時に前記表示手段の全桁の表示態様を変化させることで、前記余裕度を示す表示を行う。
【0017】
上記構成によれば、表示手段の全桁が表示態様を変更するため、表示手段の変化を作業者が容易に気づくことができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の検出センサにおいて、前記表示制御手段は、前記検出用しきい値レベルと前記余裕度とを一定周期毎に交互に切り替え表示させて前記余裕度を表示する。
【0018】
上記構成によれば、検出用しきい値レベルと余裕度とを作業者が把握でき、更に、余裕度自体が表示される。そのため、数値で表された余裕度を基にして客観的な検出用しきい値レベルを設定することができる。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項2に記載の検出センサにおいて、前記表示制御手段は、前記第1の表示領域又は前記第2の表示領域に、前記検出用しきい値レベル又は前記検出信号レベルと前記余裕度とを交互に表示させる。
【0020】
上記構成によれば、検出用しきい値レベル又は検出信号レベルと、余裕度を作業者が把握でき、更に、余裕度自体が表示される。そのため、数値で表された余裕度を基にして客観的な検出用しきい値レベルを設定することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、特別の表示手段を設けることなく余裕度の表示が可能な検出センサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明をファイバセンサに具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のファイバセンサ10の平面図である。ファイバセンサ10のセンサ本体11は略直方体に形成されるとともに、その上面には、例えば8桁表示可能なデジタル表示手段としてのデジタル表示部12が配設され、デジタル表示部12の一側(図1において左側)には、例えばLED(発光ダイオード)からなる動作表示部13が配設されている。デジタル表示部12には、ファイバセンサ10が備える複数の機能(例えば、検出用しきい値レベルの設定や微調整)や各種設定値等が表示される。デジタル表示部12は4桁を表示する4つの7セグメントLED14a〜14dからなる第1表示部14と、4桁を表示する4つの7セグメントLED15a〜15dからなる第2表示部15とが一列に接続される態様で構成されている。
【0023】
また、センサ本体11の上面にはデジタル表示部12の他側(図1において右側)に一対の三角形状の選択スイッチ16,17が配設されるとともに、選択スイッチ17の他側(図1において右側)に近接して、四角形状の決定スイッチ18が配設されている。選択スイッチ16、17は、それぞれの押圧操作によりデジタル表示部12に表示される機能等を互いに逆方向の順序で切り替えるためのものであり、決定スイッチ18は、その押圧操作によりデジタル表示部12に表示される現在の機能等を決定するためのものである。作業者(ユーザ)により操作されるこれら選択スイッチ16,17及び決定スイッチ18は、モード切り替え手段及び検出用しきい値設定手段を構成する。
【0024】
図2はファイバセンサ10のブロック図である。ファイバセンサ10は、投光素子21を備える投光回路22と、物理量検出手段としての受光素子23を備える受光回路24と、物体検出手段、演算手段、判定手段及び表示制御手段としてのCPU25とを備えている。CPU25内にはメモリ26及びタイマ27が備えられている。投光回路22はCPU25からの出力信号を受けて投光素子21を発光させる。前記発光された光は受光素子23によって光電変換され受光回路24で増幅されて、受光素子23での受光量に応じたレベルの出力信号がCPU25に出力される。
【0025】
本実施形態では、図1に示すセンサ本体11に接続された投光用ファイバ及び受光用ファイバ(図示略)の先端が順次搬送される被検出物(ワーク)Wの搬送経路(図2の白抜き矢印の方向)の両側に配置されるとともに、該搬送経路と垂直方向に沿って対向するように配置されている。そして、両ファイバを介して形成される投光素子21及び受光素子23間の光路(検出領域)内への被検出物Wの進入量に応じたレベルの出力信号(アナログ信号)が、受光回路24からCPU25へ出力されるように構成されている。CPU25は、この出力信号をサンプリングした測定点での受光信号レベルと所定の検出用しきい値レベルとの大小を比較し、比較結果に応じて反転する検出信号を出力回路28に出力するとともに、動作表示部13を、例えば赤色に点灯させる。
【0026】
CPU25は、表示回路29を介してデジタル表示部12の7セグメントLED14a〜14d,15a〜15dを駆動しデジタル表示部12に文字,数字,記号を表示する。又、CPU25は、スイッチ入力回路30を介して選択スイッチ16,17及び決定スイッチ18の操作を検出し、選択スイッチ16,17及び決定スイッチ18の操作に応じて、デジタル表示部12の表示(切り替え表示)を制御する。
【0027】
本実施形態では、デジタル表示部12に表示される各機能は、関連するもの同士がまとめられて上層(上位階層),中層(中位階層),下層(下位階層)の3層の階層構造に分類されており、選択スイッチ16,17及び決定スイッチ18の操作によって各機能を実行することができる。
【0028】
具体的には、図3(a)に示すように、上層には「RUN(被検出物Wの検出動作を実行する通常検出状態)」、「TEACH(検出用しきい値レベルの設定)」、「L/D ON(入光時ON/非入光時ONの設定)」、「TIMER(タイマ動作の設定)」、「CUST(カスタム設定の内容表示)」、「PRO(詳細設定)」の各機能が分類されている。図3(b)に示すように、上層の一段下位の層である中層には、「Pro1」〜「Pro5」の各機能が分類されている。また、中層の一段下位の層である下層(図示略)には、「Pro1」〜「Pro5」に対応する各機能が分類されている。
【0029】
ここで、前記選択スイッチ16,17又は決定スイッチ18の操作と、これに対応するデジタル表示部12の表示内容との関係について説明する。
本実施形態では、通常検出状態において、第1表示部14に検出用しきい値レベルが表示されるとともに、第2表示部15に受光信号レベルが表示される。このとき、前記決定スイッチ18が押圧操作されると、デジタル表示部12の下4桁の第1表示部14に上層の機能「RUN」が表示される。この状態で、前記選択スイッチ16,17のいずれか一方が押圧操作されると、図3(a)に示すように、前記第1表示部14に表示される上層の機能がその操作回数に応じて、「RUN」→「TEACH」→「L/D ON」→「TIMER」→「CUST」→「PRO」→「RUN」の順でループ状に切り替えられる。また、前記選択スイッチ16,17のいずれか他方が押圧操作されると、その操作回数に応じて前記第1表示部14に表示される上層の機能が上記とは逆向きの順番でループ状に切り替えられる。
【0030】
さらに、例えば第1表示部14に上層の機能「RUN」、「TEACH」、「L/D ON」、「TIMER」及び「CUST」のいずれかが表示されている状態で前記決定スイッチ18が押圧操作されると、当該機能に係る処理が許容される。あるいは、第1表示部14に上層の機能「PRO」が表示されている状態で、前記決定スイッチ18が押圧操作されると、図3(b)に示すように、前記第1表示部14に表示される機能が一段下位の層である中層の機能「Pro1」に切り替えられる。そして、この状態で前記選択スイッチ16,17のいずれか一方が押圧操作されると、前記第1表示部14に表示される中層の機能がその操作回数に応じて、「Pro1」→「Pro2」→「Pro3」→「Pro4」→「Pro5」→「Pro1」の順番でループ状に切り替えられる。また、前記選択スイッチ16,17のいずれか他方が押圧操作されると、その操作回数に応じて前記第1表示部14に表示される中層の機能が、上記とは逆向きの順番でループ状に切り替えられる。
【0031】
又、例えば第1表示部14に中層の機能「Pro5」が表示されている状態で決定スイッチ18が押圧操作されると、第1表示部14に表示される機能が一段下位の層である下層の機能に切り替えられ、更に決定スイッチ18を押圧操作することにより当該機能に係る処理が許容され、ファイバセンサ10の設定を行うことができる。
【0032】
ここで設定された検出用しきい値レベルの余裕度の算出及び表示について説明する。上記のように操作することによって上層の機能である「TEACH」を選択することにより、ファイバセンサ10は検出用しきい値レベルの設定モードになり、検出用しきい値レベルを設定することができる。又、中層の「Pro4」の一段下位の層の機能で、CPU25によって算出された余裕度が安定であるか否かを判断する基準余裕度を設定することができる。この設定された検出用しきい値レベルと、被検出物Wの検出時及び非検出時の受光信号レベルから余裕度を算出し、算出された余裕度及び基準余裕度に応じて検出用しきい値レベルを表示する第1表示部14の表示態様を変化させる。
【0033】
余裕度の算出方法として、CPU25は、検出時の受光信号レベルの平均値を検出レベル、非検出時の受光信号レベルの平均値を非検出レベルとして算出し、メモリ26に記憶させる。次にCPU25は、検出レベルと非検出レベルとの差を求める。そしてCPU25は設定された検出用しきい値レベルの、例えば20%を余裕度指数として算出する。その後、この余裕度指数に対する受光信号レベルの平均値の差の割合を余裕度(=検出レベルと非検出レベルとの差/余裕度指数)として算出する。尚、検出時の受光信号レベルの平均値を算出するには、実際に被検出物Wを搬送経路に流し、ファイバセンサ10が被検出物Wを検出しているときに作業者の操作によってCPU25は検出レベルを算出するといった方法で行い、非検出時の受光信号レベルの平均値の算出についても同様の方法で行う。
【0034】
検出用しきい値レベルの設定モード時に、選択スイッチ16を押圧操作することにより検出用しきい値レベルを下げ、選択スイッチ17を押圧操作することにより検出用しきい値レベルを上げることができる。そして、CPU25は選択スイッチ16,17により検出用しきい値レベルが変更される毎に余裕度を算出し、予め設定された基準余裕度と比較する。CPU25は、算出した余裕度が基準余裕度よりも大きい場合には第1表示部14に表示される検出用しきい値レベル全体(4桁すべて)を点灯する。又、算出した余裕度が基準余裕度よりも小さい場合には第1表示部で表示される検出用しきい値レベル全体を点滅表示する。更に、CPU25は余裕度に対応した間隔で検出用しきい値レベルを第1表示部14に点滅表示する。尚、CPU25はタイマ27を用い、余裕度が小さくなるほど短い間隔で点滅表示する。
【0035】
具体例として、検出用しきい値レベルの設定モード時に、検出時の受光信号レベルの平均値が400、非検出時の受光信号レベルの平均値が2000であって、基準余裕度を5と設定した場合について説明する。図4の上段に示す場合では、検出用しきい値レベルが1200と選択されているため、余裕度は約6.6と算出されるので基準余裕度よりも大きく、第1表示部14には検出用しきい値レベルを示す文字列「1200」が点灯表示される。次に検出用しきい値レベルを上げて、図4の中段に示す場合では、検出用しきい値レベルが1800と選択されているため、余裕度は約4.6と算出されるので基準余裕度よりも小さく、第1表示部14には検出用しきい値レベルを示す文字列「1800」が、例えば1秒間隔で点滅表示される。更に検出用しきい値レベルを上げて図4の下段に示す場合では、検出用しきい値レベルが1900と選択されているため、余裕度は約4.2と算出されるので、第1表示部14には検出用しきい値レベルを示す文字列「1900」が、例えば余裕度が4.6のときよりも短い0.5秒間隔で点滅表示される。
【0036】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ファイバセンサ10のデジタル表示部12に表示される検出用しきい値レベルが点滅表示する間隔を変化させることにより、検出用しきい値レベルの検出時又は非検出時の受光信号レベルに対する余裕度を表した。そのため、余裕度を表すための安定表示灯等の部材を別途ファイバセンサ10に設ける必要がなくなるので、ファイバセンサ10の消費電流を低減できる。
【0037】
(2)設定された検出用しきい値レベルの余裕度が基準余裕度よりも大きいか小さいかによって、検出用しきい値レベルを点灯表示又は点滅表示させたため、設定された検出用しきい値レベルによって、ファイバセンサ10が安定して検出動作をできるか否かを瞬時に判断できる。
【0038】
(3)設定された検出用しきい値レベルの余裕度が小さくなるほど、検出用しきい値レベルが点滅表示する間隔を短くしたため、検出用しきい値レベルと余裕度の大きさとを同時期に作業者が感覚的に判断できるので、適正な余裕度を持つ検出用しきい値レベルの設定が可能になる。
【0039】
(4)余裕度に応じて検出用しきい値レベル全体の表示態様を変化させるため、変化の態様を作業者が認識しやすくなる。
尚、上記実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
【0040】
・上記実施形態では、余裕度指数に対する検出レベルと非検出レベルとの差の割合を余裕度として算出したがその他の方法によって余裕度を算出してもよく、例えば非検出時の受光信号レベルと検出用しきい値レベルとの差と、非検出時の受光信号レベルとの百分率を余裕度として算出してもよい。
【0041】
・上記実施形態では、第1表示部14が点滅表示する間隔で余裕度を表示したがその他の方法によって余裕度を表示してもよく、例えば余裕度と検出用しきい値レベルと交互に第1表示部14に切り替え表示させる方法や余裕度に対応した色で表示させてもよい。
【0042】
具体例として、余裕度の算出方法には非検出時の受光信号レベルと検出用しきい値レベルとの差と非検出時の受光信号レベルとの百分率を算出する方法を、余裕度の表示方法には余裕度と検出用しきい値レベルとを交互に第1表示部14に切り替えて表示させる方法を採用した場合について、図5を参照しながら説明する。尚、検出時の受光信号レベルの平均値が400、非検出時の受光信号レベルの平均値が2000であって、基準余裕度を30%に設定したとする。図5の上段に示す場合では、検出用しきい値レベルが1200と選択されているため、余裕度は40%と算出されるので基準余裕度よりも大きく、第1表示部14には検出用しきい値レベルを示す文字列「1200」が点灯表示される。次に検出用しきい値レベルを上げて、図5の中段に示す場合では、検出用しきい値レベルが1800と選択されているため、余裕度は10%と算出される。この場合に余裕度は基準余裕度よりも小さいため、検出用しきい値レベルを示す文字列「1800」及び余裕度を示す文字列「10P」が第1表示部14に、例えば1秒間隔で一定周期毎に交互に切り替え表示される。更に検出用しきい値レベルを上げて図5の下段に示す場合では、検出用しきい値レベルが1900と選択されているため、余裕度は5%と算出される。この場合に余裕度は基準余裕度よりも小さいため、検出用しきい値レベルを示す文字列「1900」及び余裕度を示す文字列「5P」が第1表示部14に、例えば1秒間隔で一定周期毎に交互に切り替え表示される。これにより、余裕度が数値として具体的に表示されるため、検出用しきい値レベルの設定においてより客観的な設定が可能となる。
【0043】
・上記実施形態では、検出用しきい値レベルと余裕度とを切り替え表示する間隔は1秒であったが、1秒より短い間隔であっても1秒より長い間隔であってもよい。
・上記実施形態では、検出用しきい値レベルと余裕度を一定周期毎に交互に切り替え表示したが、例えば選択スイッチ16,17を操作することにより検出用しきい値レベルと余裕度とを切り替え表示してもよい。
【0044】
・上記実施形態において、余裕度が基準余裕度よりも大きい場合には検出用しきい値レベルを緑色で表示し、余裕度が基準余裕度よりも小さい場合には検出用しきい値レベルを赤色で表示して、ファイバセンサ10が安定動作をするか否かを表示してもよい。
【0045】
・上記実施形態では、百分率で表された余裕度を切り替え表示したが、余裕度指数に対する検出レベルと非検出レベルとの差の割合で算出した余裕度を切り替え表示させてもよい。
【0046】
・上記実施形態では、表示態様の変更として、検出用しきい値レベル全体を点灯/点滅の表示態様を変化させたが、全体を変更させずともよく、デジタル表示部12の一部、例えば任意の1桁又は複数桁を点滅させるようにしてもよい。又、点滅させる桁が連続していなくてもよい。このように構成すると、表示態様を変更する桁が認識しやすくなる。
【0047】
・上記実施形態では、表示態様の変更として、デジタル表示部12に表される数値を点滅させたが、7セグメントLED14a〜14d,15a〜15dの少なくとも一部を点滅させればよい。
【0048】
・上記実施形態では、第1表示部14に余裕度を表示したが、第2表示部15に余裕度を表示してもよい。
・上記実施形態では、デジタル表示部12を第1表示部14と第2表示部15とから構成して8桁表示可能としたが、4桁のみ表示可能なデジタル表示部を備えた検出センサに具体化してもよい。この場合、例えば検出用しきい値レベルを点滅表示させて余裕度を表示する、又は検出用しきい値レベルと余裕度とを切り替え表示する。
【0049】
・上記実施形態において、デジタル表示部12に表示される各機能の階層構造は2層又は4層以上であってもよい。
・上記実施形態において、メモリ26及びタイマ27はCPU25内に備えられず、CPU25に接続される態様でファイバセンサ10に備えられてもよい。
【0050】
・上記実施形態において、デジタル表示部12をマトリックス状の表示装置としてもよい。又はLED(発光ダイオード)に代えてLCD(液晶表示装置)等の他の表示装置を用いてもよい。
【0051】
・上記実施形態において、選択スイッチ16,17及び決定スイッチ18の機能を一体化したスイッチを採用してもよい。
・上記実施形態において、物体の検出に用いる物理量として光以外に、磁気、熱、超音波、圧力等を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ファイバセンサの平面図。
【図2】ファイバセンサの電気的構成を示すブロック図。
【図3】(a)(b)は機能の階層構造を示す説明図。
【図4】余裕度の表示態様を示す説明図。
【図5】別の余裕度の表示態様を示す説明図。
【符号の説明】
【0053】
10…ファイバセンサ、12…デジタル表示部、14…第1表示部、15…第2表示部、16,17…選択スイッチ、18…決定スイッチ、23…受光素子、25…CPU、W…被検出物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物を検出するための物理量に応じたレベルの検出信号を出力する物理量検出手段と、
検出信号レベルと検出用しきい値レベルとの比較に基づき被検出物の検出を行う物体検出手段と、
前記検出用しきい値レベルの設定を行う検出用しきい値設定手段と、
前記検出信号レベルと前記検出用しきい値レベルとに基づいて前記物体検出手段による検出の余裕度を演算する演算手段と、
前記検出用しきい値レベルを数値表示するデジタル表示手段と、
前記検出用しきい値レベルの設定を行う設定モードと、前記物体検出手段による検出を行う検出モードとの切り替えを行うモード切り替え手段と、
前記設定モード時に、前記表示手段に前記余裕度を表示する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする検出センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の検出センサにおいて、
前記表示手段は2つの表示領域を備え、
前記表示制御手段は、前記検出モード時には前記表示手段の第1の表示領域に前記検出用しきい値レベルを表示させ、前記表示手段の第2の表示領域に前記検出信号レベルを表示させるとともに、前記設定モード時には前記第1の表示領域又は前記第2の表示領域に前記余裕度を表示することを特徴とする検出センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検出センサにおいて、
前記表示制御手段は、前記余裕度に応じて前記表示手段の少なくとも一桁の表示態様を変化させて前記余裕度を表示することを特徴とする検出センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の検出センサにおいて、
前記表示制御手段は、前記余裕度に応じた間隔で前記表示手段の少なくとも一桁を点滅表示させることで、前記表示態様を変化させて前記余裕度を表示することを特徴とする検出センサ。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の検出センサにおいて、
前記余裕度と予め設定された基準余裕度とを比較して安定状態か不安定状態かを判定する判定手段を備え、
前記表示制御手段は、前記判定手段の判定結果に応じて前記表示態様を変化させることを特徴とする検出センサ。
【請求項6】
請求項5に記載の検出センサにおいて、
前記表示制御手段は前記表示手段を、前記判定結果に応じて表示態様を第1の変化態様で変化させ、前記余裕度に応じて前記表示態様を前記第1の変化態様とは異なる第2の変化態様で変化させることを特徴とする検出センサ。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか一項に記載の検出センサにおいて、
前記表示制御手段は、前記余裕度に応じて、前記設定モード時に前記表示手段の全桁の表示態様を変化させることで、前記余裕度を示す表示を行うことを特徴とする検出センサ。
【請求項8】
請求項1に記載の検出センサにおいて、
前記表示制御手段は、前記検出用しきい値レベルと前記余裕度とを一定周期毎に交互に切り替え表示させて前記余裕度を表示することを特徴とする検出センサ。
【請求項9】
請求項2に記載の検出センサにおいて、
前記表示制御手段は、前記第1の表示領域又は前記第2の表示領域に、前記検出用しきい値レベル又は前記検出信号レベルと前記余裕度とを交互に表示させることを特徴とする検出センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−35406(P2008−35406A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208830(P2006−208830)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】