説明

検査データ判定システム

【課題】検査データ判定システムにおいて、健康診断の受診者の診断精度・診断効率を向上すること。
【解決手段】検査データ判定システム10は、健康診断の受診時毎に、健康診断の検査項目毎の検査結果値と受診時における基準値とを検査項目毎に対応させて付加して検査データ要素を生成する検査データ要素生成部22と、検査データ要素を記憶する検査データ要素DB12と、検査データ要素DB12から取得される複数の検査データ要素にそれぞれ含まれる所要検査項目の検査結果値及び基準値を、複数の検査データ要素にそれぞれ含まれる受診時に従って並べる第1のグラフ画像を生成するグラフ画像生成部26と、第1のグラフ画像を表示する表示装置14と、複数の検査データ要素にそれぞれ含まれる所要検査項目の基準値の中から、所要基準値を選択する入力装置13とを有する。グラフ画像生成部26は、第1のグラフ画像の表示から、入力装置13によって選択される所要基準値に基づく第2画像を生成し、第1画像に換えて第2画像を表示装置14に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康診断に伴う各種検査項目毎に生成される検査結果値とその基準値の表示技術に係り、特に、適宜見直される基準値に応じて適した表示を提供する検査データ判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
定期健康診断では、病院等の検査機関が各種検査項目に応じて受診者の検査を行なって検査結果値(測定値)を取得する。そして、異常判定のための検査項目毎の基準値に従って、各検査結果値を、例えば、基準値内(正常)又は基準値外(観察又は要治療等)と判定する。そして、医師や指導員は、検査後の面談で受診者に判定結果を提示し、また必要に応じて健康指導を検討して受診者を指導する。
【0003】
「標準的な健診・保健指導プログラム(2007年4月厚生労働省 健康局)」によると、健康診断によって取得される検査項目毎の検査結果値に対応するように、検査項目毎に異常判定のための基準値が付加されている。よって、例えば2006年の健康診断の受診時のある検査項目における検査結果値には、2006年の受診時の基準値が付加されているので、2007年に2006年の受診時の検査結果値を参照する際も、2006年の受診時の検査結果値と2006年の受診時の基準値とが対応されて表示される。
【0004】
なお、健康診断において、各種検査項目毎の検査結果値の判定を統一して行なうことができる検査データ判定システムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−6719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
異常判定のための基準値は、学会等との連携の下定期的に見直しを行なうことが前提となっている。従来技術では、基準値が見直しされた場合に、健康診断の受診時の基準値でその都度判定するしかできない。例えば、2007年の受診前にある検査項目の基準値が見直された場合、2006年の受診時の検査結果値と、見直し後の基準値とを対応させて表示することができない。逆に、2007年の受診前にある検査項目の基準値が見直された場合、2007年の受診時の検査結果値と、見直し前の基準値とを対応させて表示することができない。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術を利用する場合であっても、検査結果値は、予め定められた基準値としか共に表示できない。例えば、2007年の健康診断の受診前にある検査項目の基準値が見直された場合、2006年の受診時の検査結果値と、2007年の受診時の検査結果値とを並べて表示する際に同時に表示される基準値は、例えば見直し後のもののみである。つまり、2006年の健康診断に係る面談・健康指導は、2006年の受診時の基準値に基づいて実施されているにもかかわらず、見直し後の2007年の表示では、2006年の受診時の検査結果値も見直し後の基準値を用いて比較表示されてしまう。よって、2006年の健康診断に係る面談・健康指導と、見直し後の2007年の表示が一致せず、2006年の健康診断に係る面談・健康指導の内容がその時点では適切であったにも関わらず、見直し後の2007年の表示では2006年の健康診断に係る面談・健康指導があたかも過大(又は過小)な指導内容であったかのような誤解を医師や指導員に与える可能性がある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、健康診断の受診者の診断精度・診断効率を向上できる検査データ判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る及び検査データ判定システムは、上述した課題を解決するために、健康診断の受診時毎に、前記健康診断の検査項目毎の検査結果値と前記受診時における基準値とを前記検査項目毎に対応させて付加して検査データ要素を生成する手段と、複数の前記受診時による複数の前記検査データ要素を記憶する記憶手段と、前記記憶手段から取得される前記複数の検査データ要素にそれぞれ含まれる所要検査項目の前記検査結果値及び前記基準値を、前記複数の検査データ要素にそれぞれ含まれる前記受診時に従って並べる第1画像の表示を行なう手段と、前記複数の検査データ要素にそれぞれ含まれる前記所要検査項目の前記基準値の中から、所要基準値を選択する選択手段と、前記第1画像の表示から、前記選択手段によって選択される前記所要基準値に基づく第2画像の表示に切替える切替手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る検査データ判定システムによると、健康診断の受診者の診断精度・診断効率を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る検査データ判定システムの実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、第1実施形態の検査データ判定システムの構成を示す概略図である。
【0012】
図1は、第1実施形態の検査データ判定システム10を示す。検査データ判定システム10は、コンピュータをベースとして構成され、基準値DB(data base)11、検査データ要素DB12、入力装置13及び表示装置14を有している。
【0013】
基準値DB11は、健康診断の検査項目毎の基準値(初期設定又は更新後の基準値)によって構成される。
【0014】
図2(a),(b),(c)は、基準値DB11の構成例をテーブルとして示す図である。
【0015】
図2(a)は、2005年9月1日の健康診断の受診時における基準値DB11の構成例を示し、図2(b)は、その翌年の2006年6月1日の健康診断の受診時における基準値DB11の構成例を示し、図2(c)は、その翌年の2007年6月1日の健康診断の受診時における基準値DB11の構成例を示す。
【0016】
図2(a),(b),(c)に示すように、基準値DB11は、異常判断の基準値の見直しに対応して、見直し対象の検査項目の基準値が適宜更新されることによって構成される。例えば、図2(c)の基準値DB11に示すように、検査項目『中性脂肪』は、2007年4月1日の基準値の見直しによって2007年4月1日に、基準値『150〜280』から『150〜300』に更新されている。
【0017】
なお、検査項目としては、脂質系検査としての中性脂肪[mg/gl]、HDL(high density lipoprotein)コレステロール[mg/gl]及びLDL(low density lipoprotein)コレステロール[mg/gl]を挙げているがそれらに限定されるものではない。その他に、検査項目としては、脂質系検査としての総コレステロール[mg/gl]等や、血液検査、眼科系検査、聴力検査、血圧検査、代謝系検査、痛風検査及び肝機能検査等が挙げられる。
【0018】
また、図1に示す検査データ要素DB12は、健康診断の受診者毎、かつ、受診時毎の検査データ要素によって構成される。検査データ要素DB12の構成の詳細は後述する。
【0019】
入力装置13は、キーボード及びマウス等のポインティングデバイスによって構成される。
【0020】
表示装置14は、CRT(cathode ray tube)や液晶ディスプレイ等によって構成される。
【0021】
また、検査データ判定システム10は、図示しないCPU(central processing unit)がプログラムを実行することによって、インターフェース部20、基準値更新部21、検査データ要素生成部22、基準値読出部23、検査データ要素記録部24、検査データ要素読出部25、グラフ画像生成部26及び基準値選択部27として機能する。
【0022】
インターフェース部20としては、表示装置14上にウィンドウ、アイコン及びボタン等のグラフィックを表示し、ユーザ(医師や指導員)が入力装置13を用いて目的のグラフィックスを選択可能なユーザインターフェースであるGUI(graphical user interface)が挙げられる。
【0023】
基準値更新部21は、健康診断の検査項目毎の基準値の見直しがある都度、基準値DBを、インターフェース部20を介してユーザ入力される検査項目毎の基準値に更新登録する機能を有する。
【0024】
検査データ要素生成部22は、健康診断の受診者に関する受診者属性(例えば、受診者ID(identification))毎、かつ、健康診断の受診時毎に、インターフェース部20を介してユーザ入力される検査結果値と、健康診断の受診時における基準値とを検査項目毎に対応させて付加して検査データ要素を生成する機能を有する。なお、検査データ要素の構成の概要を図3に示す。図3に示すように、検査結果値と基準値とは、1対1で対応している。
【0025】
また、図1に示す基準値読出部23は、検査データ要素生成部22からの指示の下、ユーザ入力される検査結果値に対応する検査項目の基準値を基準値DB11から読出して検査データ要素生成部22に供給する機能を有する。なお、検査データ判定システム10は、検査データ判定システム10に基準値DB11を有し、初期設定又は更新後の基準値を予め基準値DB11に記憶させておき、必要に応じて基準値を基準値DB11から読出す構成であるとして説明するが、その場合に限定されるものではない。例えば、検査データ判定システム10の外側に基準値DB(図示しない)を有し、検査データ要素生成部22が必要に応じて基準値を検査データ判定システム10の外側の基準値DBから取得する構成であってもよい。
【0026】
図4(a),(b),(c)は、検査データ要素の一例を示す図である。
【0027】
図4(a)は、2005年9月1日の健康診断の受診によって生成される検査データ要素の一例を示し、図4(b)は、その翌年の2006年6月1日の健康診断の受診によって生成される検査データ要素の一例を示し、図4(c)は、その翌年の2007年6月1日の健康診断の受診によって生成される検査データ要素の一例を示す。なお、図4(a)に示す検査データ要素に含まれる基準値は図2(a)に対応し、図4(b)に示す検査データ要素に含まれる基準値は図2(b)に対応し、図4(c)に示す検査データ要素に含まれる基準値は図2(c)に対応している。
【0028】
また、図1に示す検査データ要素記録部24は、検査データ要素生成部23によって生成される検査データ要素を検査データ要素DB12に記録(登録)する機能を有する。
【0029】
図5(a),(b),(c)は、検査データ要素DB12の構成例をテーブルとして示す図である。
【0030】
図5(a)は、2005年9月1日(健康診断の受診時)の検査データ要素DB12の構成例を示し、図5(b)は、その翌年の2006年6月1日(健康診断の受診時)の検査データ要素DB12の構成例を示し、図5(c)は、その翌年の2007年6月1日(健康診断の受診時)の検査データ要素DB12の構成例を示す。
【0031】
図5(a),(b),(c)に示すように、検査データ要素DB12は、検査データ、すなわち、受診者属性毎、かつ、受診時毎の複数の検査データ要素によって構成される。そして、図5(b)に示す2006年6月1日の検査データ要素DB12には、図5(a)に示す検査データ要素DB12の構成に、2006年6月1日に検査データ要素記録部24によって記録される受診者ID『AB0001』の検査データ要素(図5(b)に示す最下行)が加入されている。また、図5(c)に示す2007年6月1日の検査データ要素DB12には、図5(b)に示す検査データ要素DB12の構成に、2007年4月8日に検査データ要素記録部24によって記録される受診者ID『AB0011』の検査データ要素(図5(c)に示す下から2行目)と、2007年6月1日に検査データ要素記録部24によって記録される受診者ID『AB0001』の検査データ要素(図5(c)に示す最下行)とが加入されている。
【0032】
なお、図5(a),(b),(c)に示す検査データ要素DB12は、受診者ID『AB0001』に関する検査データ要素と、他の受診者ID『AB0011』に関する検査データ要素とのみによって構成される例を示している。
【0033】
また、図1に示す検査データ要素読出部25は、検査後の診断において、インターフェース部20を用いてユーザ入力される所要の受診者に関する検査データ要素を検査データ要素DB12から読出す機能を有する。2007年6月1日の診断において、図5(c)に示す検査データ要素DB12から検査データ要素読出部25によって読出される受診者ID『AB0001』に関する検査データ要素の一例を図6に示す。
【0034】
グラフ画像生成部26は、検査後の診断において、検査データ要素読出部25によって読出される図6に示す検査データ要素にそれぞれ含まれる所要検査項目、例えば検査項目『中性脂肪』の検査結果値及び基準値を、図6に示す検査データ要素にそれぞれ含まれる受診時に従って並べるグラフ画像を生成する機能を有する。そのグラフ画像は、表示装置14によって表示される。
【0035】
図7は、初期表示のグラフ画像の一例を示す図である。
【0036】
図7は、図6に示す3つの検査データ要素に含まれる検査項目『中性脂肪』に該当する検査結果値及び基準値を、図6に示す3つの検査データ要素に含まれる受診時に従って並べる場合のグラフ画像を示している。図7に示す2007年6月1日の表示時では、図6に示す表示当日(2007年6月1日)に生成される検査データ要素と、過去(2005年9月1日及び2006年6月1日)に生成される検査データ要素とが読出されるので、3列によって構成されるグラフ画像が生成される。
【0037】
2005年9月1日の検査データ要素は、図6に示すように2007年4月1日の見直し前の基準値(150〜280[mg/dl])を含んでいるので、図7に示すグラフ画像では、2005年9月1日の健康診断における検査結果値(240[mg/dl])は基準値内に存在する。2006年6月1日の検査データ要素は、図6に示すように2007年4月1日の見直し前の基準値(150〜280[mg/dl])を含んでいるので、図7に示すグラフ画像では、2006年6月1日の健康診断における検査結果値(290[mg/dl])は基準値外(基準値外を全て『要指導』とする場合は『要指導』、基準値外を『観察』又は『要指導』と分類する場合は『観察』)に存在する。また、2007年6月1日の検査データ要素は、図6に示すように2007年4月1日の見直し後の基準値(150〜300[mg/dl])を含んでいるので、図7に示すグラフ画像では、2007年6月1日の健康診断における検査結果値(290[mg/dl])は基準値内に存在する。
【0038】
また、図1に示す基準値選択部27は、検査データ要素読出部25によって読出される検査データ要素に含まれる検査項目『中性脂肪』に該当する基準値の中から所要基準値を選択する機能を有する。例えば、図6に示す3つの検査データ要素には検査項目『中性脂肪』に該当する2種類の基準値『150〜280[mg/dl]』及び『150〜300[mg/dl]』が含まれている。よって、基準値選択部27は、表示装置14上に表示されるプルダウンメニューの基準値『最新』、『前回』又は『同時』の選択に従って、基準値『150〜280[mg/dl]』及び『150〜300[mg/dl]』のうち少なくとも一方を選択する。
【0039】
そして、基準値選択部27によって所要基準値が選択される場合、グラフ画像生成部26は、図6に示す3つの検査データ要素にそれぞれ含まれる検査項目『中性脂肪』の検査結果値に、基準値選択部27によって選択される所要基準値を検査項目『中性脂肪』の検査結果値をそれぞれ対応させ、図6に示す3つの検査データ要素にそれぞれ含まれる受診時に従って並べるグラフ画像を生成する機能を有する。そのグラフ画像は、表示装置14によって表示される。
【0040】
図8及び図9は、基準値選択部27による基準値選択後のグラフ画像の一例を示す図である。
【0041】
図7に示す初期表示のグラフ画像(又は、図9、図10に示すグラフ画像)と同一画面上で、プルダウンメニューから基準値『最新』を選択する場合、基準値選択部27は、図6に示す検査データ要素に含まれる検査項目『中性脂肪』に該当する2種類の基準値『150〜280[mg/dl]』及び『150〜300[mg/dl]』のうち最新の基準値『150〜300[mg/dl]』を選択する。続いて、グラフ画像生成部26は、図8に示すように、図6に示す3つの検査データ要素にそれぞれ含まれる検査項目『中性脂肪』の検査結果値を、図6に示す3つの検査データ要素にそれぞれ含まれる受診時に従って並べると共に、最新の基準値『150〜300[mg/dl]』を検査項目『中性脂肪』の検査結果値とそれぞれ対応させて並べるグラフ画像が生成される。図7に示す初期表示のグラフ画像の表示は、インターフェース部20を介して、図8に示す基準値選択後のグラフ画像の表示に切り替えられる。
【0042】
図8に示す基準値選択後のグラフ画像の表示に切り替えられると、最新の基準値を使って全年の検査結果値を判定することになるため、2006年6月1日の検査結果値の判定が基準値外(基準値外を全て『要指導』とする場合は『要指導』、基準値外を『正常』又は『観察』と分類する場合は『観察』)から基準値内に切り替わる。図7に示す初期表示のグラフ画像と図8に示すグラフ画像とを比較することで、最新の基準値に従って過去の検査結果値を再度見直すことができ、過去の検査結果値は特段問題にしなくてよい程度であることを認識できる。よって、ユーザは、過去に指導していた健康指導の内容を見直すことになる。
【0043】
また、図7に示す初期表示のグラフ画像(又は、図8、図10に示すグラフ画像)と同一画面上で、プルダウンメニューから基準値『前回』を選択する場合、基準値選択部27は、図6に示す検査データ要素に含まれる検査項目『中性脂肪』に該当する2種類の基準値『150〜280[mg/dl]』及び『150〜300[mg/dl]』のうち前回の基準値『150〜280[mg/dl]』を選択する。続いて、グラフ画像生成部26は、図9に示すように、図6に示す3つの検査データ要素にそれぞれ含まれる検査項目『中性脂肪』の検査結果値を、図6に示す3つの検査データ要素にそれぞれ含まれる受診時に従って並べると共に、前回の基準値『150〜280[mg/dl]』を検査項目『中性脂肪』の検査結果値とそれぞれ対応させて並べるグラフ画像が生成される。図7に示す初期表示のグラフ画像の表示は、インターフェース部20を介して、図9に示す基準値選択後のグラフ画像の表示に切り替えられる。
【0044】
図9に示す基準値選択後のグラフ画像の表示に切り替えられると、2007年6月1日の検査結果値の判定が基準値内から基準値外(基準値外を全て『要指導』とする場合は『要指導』、基準値外を『正常』又は『観察』と分類する場合は『観察』)に切り替わる。図7に示す初期表示のグラフ画像にて2007年6月1日の検査結果値の判定が基準値内になったのは、検査結果値が改善されたからではなく、基準値が見直されたからであると認識できる。
【0045】
又は、図1に示す基準値選択部27によって所要基準値が選択される場合、グラフ画像生成部26は、図6に示す3つの検査データ要素にそれぞれ含まれる検査項目『中性脂肪』の検査結果値及び基準値を、図6に示す3つの検査データ要素にそれぞれ含まれる受診時に従って並べるグラフ画像要素と、図6に示す3つの検査データ要素にそれぞれ含まれる検査項目『中性脂肪』の検査結果値に、基準値選択部27によって選択される所要基準値をそれぞれ対応させ、図6に示す3つの検査データ要素にそれぞれ含まれる受診時に従って並べるグラフ画像要素とを含むグラフ画像を生成する機能を有する。そのグラフ画像は、表示装置14によって表示される。
【0046】
図10は、基準値選択部27による基準値選択後のグラフ画像の一例を示す図である。
【0047】
図7に示す初期表示のグラフ画像(又は、図8、図9に示すグラフ画像)と同一画面上で、プルダウンメニューから基準値『同時』を選択する場合、基準値選択部27は、図6に示す検査データ要素に含まれる検査項目『中性脂肪』に該当する2種類の基準値『150〜280[mg/dl]』及び『150〜300[mg/dl]』の両方を選択する。続いて、グラフ画像生成部26は、図10に示すように、図6に示す3つの検査データ要素にそれぞれ含まれる検査項目『中性脂肪』の検査結果値を、図6に示す3つの検査データ要素にそれぞれ含まれる受診時に従って並べるグラフ画像要素と、前回の基準値『150〜280[mg/dl]』及び最新の基準値『150〜300[mg/dl]』を検査項目『中性脂肪』の検査結果値とそれぞれ対応させて並べるグラフ画像要素とを含むグラフ画像が生成される。図7に示す初期表示のグラフ画像の表示は、インターフェース部20を介して、図10に示す基準値選択後のグラフ画像の表示に切り替えられる。
【0048】
図10に示す基準値選択後のグラフ画像の表示に切り替えられると、図8及び図9に示す基準値選択後のグラフ画像の表示による効果を併せて実現できる。
【0049】
第1実施形態の検査データ判定システム10によると、健康診断における検査項目毎の検査結果値を基準値と比較表示する際、適宜見直される基準値の表示を診断に応じて適宜切替えることによって、健康診断の受診者の診断精度を向上できる。
【0050】
図11は、第2実施形態の検査データ判定システムの構成を示す概略図である。
【0051】
図11は、第2実施形態の検査データ判定システム10Aを示す。検査データ判定システム10Aは、コンピュータをベースとして構成され、基準値DB11、検査データ要素DB12A、入力装置13及び表示装置14を有している。
【0052】
検査データ要素DB12Aは、図1に示す検査データ要素DB12の機能に加え、後述する基準値付加部28からの要求がある場合に、基準値が新たに付加された検査データ要素によって構成される。
【0053】
また、検査データ判定システム10は、図示しないCPUがプログラムを実行することによって、インターフェース部20、基準値更新部21、検査データ要素生成部22、基準値読出部23、検査データ要素記録部24、検査データ要素読出部25、グラフ画像生成部26、基準値選択部27A及び基準値付加部28として機能する。
【0054】
なお、図11に示す検査データ判定システム10Aにおいて、図1に示す検査データ判定システム10の構成要素と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
基準値選択部27Aは、図1に示す基準値選択部27の機能に加え、選択される所要基準値を基準値付加部28に出力する機能を有する。
【0056】
基準値付加部28は、基準値選択部27Aによって選択される所要基準値を、検査データ要素DB12を構成する検査データ要素に付加登録する機能を有する。なお、基準値付加部28による所要基準値の付加後の検査データ要素DB12の構成の概要を図12に示す。図12に示すように、検査結果値と基準値とは、1対n(n:2以上の整数)で対応している。
【0057】
例えば、図7に示す初期表示のグラフ画像と同一画面上で、プルダウンメニューから基準値『前回』を選択する場合、図6に示す検査データ要素では対応されていない2007年6月1日の検査項目『中性脂肪』の検査結果値と基準値『150〜280[mg/dl]』とが対応しているグラフ画像が生成される(図9の最右列)。この場合、基準値付加部28は、図5(c)に示す検査データ要素DB12を構成する2007年6月1日の検査データ要素に含まれる検査結果値に、新たに前回の基準値、すなわち、基準値『150〜280[mg/dl]』を付加する。
【0058】
検査データ判定システム10Aに基準値付加部28を有すると、2007年6月2日以降に検査データ要素DB12から読出される受診者『AB0001』の検査データ要素を基に生成される初期表示のグラフ画像は、図13に示すようになる。図13に示すように、2007年6月1日の検査項目『中性脂肪』の検査結果値には、受診時の基準値『150〜300[mg/dl]』と、付加される基準値『150〜280[mg/dl]』とが対応されて表示されている。
【0059】
図13に示すような初期表示のグラフ画像によると、2007年6月2日以降に、2007年6月1日の診断時のコメントが、どのようなグラフ画像を基に作成されたのかを参照することができる。
【0060】
第2実施形態の検査データ判定システム10Aによると、健康診断における検査項目毎の検査結果値を基準値と比較表示する際、適宜見直される基準値の表示を診断に応じて適宜切替えることによって、健康診断の受診者の診断精度・診断効率を向上できる。
【0061】
また、第2実施形態の検査データ判定システム10Aによると、過去の診断のコメントの基になるデータを表示できるので、健康診断の受診者の診断精度・診断効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1実施形態の検査データ判定システムの構成を示す概略図。
【図2】(a)は、2005年9月1日の健康診断の受診時における基準値DBの構成例を示す図、(b)は、その翌年の2006年6月1日の健康診断の受診時における基準値DBの構成例を示す図、(c)は、その翌年の2007年6月1日の健康診断の受診時における基準値DBの構成例を示す図。
【図3】第1実施形態の検査データ判定システムにおける検査データ要素の構成の概要を示す図。
【図4】(a)は、2005年9月1日の健康診断の受診によって生成される検査データ要素の一例を示す図、(b)は、その翌年の2006年6月1日の健康診断の受診によって生成される検査データ要素の一例を示す図、(c)は、その翌年の2007年6月1日の健康診断の受診によって生成される検査データ要素の一例を示す図。
【図5】(a)は、2005年9月1日(健康診断の受診時)の検査データ要素DBの構成例を示す図、(b)は、その翌年の2006年6月1日(健康診断の受診時)の検査データ要素DBの構成例を示す図、(c)は、その翌年の2007年6月1日(健康診断の受診時)の検査データ要素DBの構成例を示す図。
【図6】読出される所要の受診者に関する検査データ要素の一例を示す図。
【図7】第1実施形態の検査データ判定システムにおける初期表示のグラフ画像の一例を示す図。
【図8】基準値選択後のグラフ画像の一例を示す図。
【図9】基準値選択後のグラフ画像の一例を示す図。
【図10】基準値選択後のグラフ画像の一例を示す図。
【図11】第2実施形態の検査データ判定システムの構成を示す概略図。
【図12】第2実施形態の検査データ判定システムにおける検査データ要素の構成の概要を示す図。
【図13】第2実施形態の検査データ判定システムにおける初期表示のグラフ画像の一例を示す図。
【符号の説明】
【0063】
10 検査データ判定システム
11 基準値DB
12 検査データ要素DB
13 入力装置
14 表示装置
20 インターフェース部
21 基準値更新部
22 基準値読出部
23 検査データ要素生成部
24 検査データ要素記録部
25 検査データ要素読出部
26 グラフ画像生成部
27,27A 基準値選択部
28 基準値付加部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康診断の受診時毎に、前記健康診断の検査項目毎の検査結果値と前記受診時における基準値とを前記検査項目毎に対応させて付加して検査データ要素を生成する手段と、
複数の前記受診時による複数の前記検査データ要素を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から取得される前記複数の検査データ要素にそれぞれ含まれる所要検査項目の前記検査結果値及び前記基準値を、前記複数の検査データ要素にそれぞれ含まれる前記受診時に従って並べる第1画像の表示を行なう表示手段と、
前記複数の検査データ要素にそれぞれ含まれる前記所要検査項目の前記基準値の中から、所要基準値を選択する選択手段と、
前記第1画像の表示から、前記選択手段によって選択される前記所要基準値に基づく第2画像の表示に切替える切替手段と、
を有することを特徴とする検査データ判定システム。
【請求項2】
前記切替手段は、前記複数の検査データ要素にそれぞれ含まれる前記所要検査項目の検査結果値に、前記選択手段によって選択される前記所要基準値をそれぞれ対応させ、前記受診時に従って並べる前記第2画像の表示に切替える構成とすることを特徴とする請求項1に記載の検査データ判定システム。
【請求項3】
前記切替手段は、前記所要検査項目の前記検査結果値及び前記基準値を、前記受診時に従って並べる画像と、前記複数の検査データ要素にそれぞれ含まれる前記所要検査項目の検査結果値に、前記選択手段によって選択される前記所要基準値をそれぞれ対応させ、前記受診時に従って並べる画像とを含む前記第2画像の表示に切替える構成とすることを特徴とする請求項1に記載の検査データ判定システム。
【請求項4】
前記複数の検査データ要素に、前記選択手段によって選択される前記所要基準値を前記基準値としてそれぞれ付加する手段をさらに有し、前記表示手段は、前記所要検査項目の前記検査結果値と前記付加される基準値を含む前記基準値とを、前記複数の検査データ要素にそれぞれ含まれる前記受診時に従って並べる前記第1画像の表示を行なう構成とすることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の検査データ判定システム。
【請求項5】
前記第1画像及び前記第2画像を、前記基準値及び前記検査結果値を示すグラフ画像とすることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の検査データ判定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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