説明

検査ロボット及び検査ロボットを用いた原子炉の検査方法

【課題】簡素かつコンパクトであって、繋ぎロープ無しで自由に動くことができる検査ロボット及び検査ロボットを用いた原子炉の検査方法を提供することを目的とする。
【解決手段】原子炉を検査する検査ロボットであって、船体30と、検査ロボットの移動を制御するとともに、原子炉内の構造物を検査する1以上のセンサを制御するオンボード制御部と、検査ロボットの船体30を回転させるジンバル機構と、原子炉内の1以上の構造物の目視表示を提供する、ジンバル機構によって軸心周りに回転できるカメラ26と、検査ロボットが、遠隔ステーションにワイヤレス通信することを可能にするワイヤレス通信リンク34とを備え、ワイヤレス通信リンク34を用いて、遠隔ステーションは、検査ロボットに対して、様々な検査タスクを実行する命令を出し、検査ロボットは、遠隔ステーションに対して検査タスクに関する調査結果を通信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所の検査の分野に関し、より詳細には、原子力発電所を検査するワイヤレスの検査ロボット及び検査ロボットを用いた原子炉の検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の厳格な検査の必要性が高まっている。特に、原子炉、関連する設備及び機器の内部構造の検査が最優先である。これらの内部構造の多くは、現在、人間がアクセス不可能であり、検査されていない状態のままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
原子炉を検査する水中ロボットに関する先行技術が存在するが、これらのロボットシステムはワイヤレスではなく、長いケーブルワイヤが、通信及び制御のために、また、ロボットに動力を供給するために用いられる。ケーブルは、ロボットが原子炉及び隣接する領域内で自由に動くことを妨げるだけでなく、放射性物質により汚染され、これが、ロボットシステムのメンテナンス及び保持をより困難なものとし、かかる費用を高くさせる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡素かつコンパクトであって、使い捨て可能であり、テザー(繋ぎロープ)無しで自由に動くことができる検査ロボット及び検査ロボットを用いた原子炉の検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の検査ロボット及び検査ロボットを用いた原子炉の検査方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る検査ロボットは、原子炉を検査する検査ロボットであって、船体と、前記検査ロボットの動作を制御するオンボード制御機構であり、前記検査ロボットの移動を制御するとともに、前記原子炉内の1以上の構造物を検査する1以上のセンサを制御するオンボード制御機構と、前記船体を所望の方向に回転させるためのモーメントが重力及び浮力によって発生するように質量中心をシフトさせることによって、前記検査ロボットの船体を回転させるジンバル機構と、前記原子炉内の前記1以上の構造物の目視表示を提供するための、前記ジンバル機構に連結されたカメラであり、前記ジンバル機構によって軸心周りに回転できるカメラと、前記検査ロボットが、遠隔ステーションにワイヤレスで通信することを可能にするワイヤレス通信リンクとを備え、前記遠隔ステーションは、前記ワイヤレス通信リンクを用いて、前記検査ロボットに対して、前記オンボード制御機構、前記ジンバル機構、及び前記カメラを用いて様々な検査タスクを実行するように命令を出し、前記検査ロボットは、前記ワイヤレス通信リンクを用いて、前記遠隔ステーションに対して前記検査タスクに関する調査結果を通信する。
【0006】
上記発明において、前記ワイヤレス通信リンクは、前記検査ロボットと前記遠隔ステーションとの間の前記ワイヤレス通信のために用いられる無線通信、音響通信、又は光通信を含んでもよい。
【0007】
上記発明において、前記検査ロボットと前記遠隔ステーションとの間で通信信号を中継するために用いられる1以上の中間ロボットを更に備えてもよい。
【0008】
上記発明において、前記検査ロボットは、前記1以上の中間ロボットと、無線通信、音響通信、又は光通信を用いて通信してもよい。
【0009】
上記発明において、前記1以上の中間ロボットは、前記遠隔ステーションと、無線通信、音響通信、又は光通信を用いて通信してもよい。
【0010】
上記発明において、故障が生じた場合に前記検査ロボットの救出を実行し、促進し、又は可能にするフェイルセーフ機構を更に備えてもよい。
【0011】
上記発明において、前記オンボード制御機構は、前記検査ロボットの故障を検知することができる。
【0012】
上記発明において、前記フェイルセーフ機構は、利用可能なハードウェア・ソフトウェア資源を用いて、前記検査ロボットを最初の出発地点に戻すための緊急帰還手順を実行してもよい。
【0013】
上記発明において、前記フェイルセーフ機構は、前記遠隔ステーションとの前記ワイヤレス通信における故障を検知し、かつ、前記緊急帰還手順を作動させてもよい。
【0014】
上記発明において、前記ジンバル機構は、質量を2つの方向に移動させることによって、本体回転の2つの直交軸を発生させてもよい。
【0015】
また、本発明に係る検査ロボットを用いた原子炉の検査方法は、前記検査ロボットの移動を制御するとともに、前記原子炉内の1以上の構造物を検査する1以上のセンサを制御するオンボード制御機構を用いて、前記検査ロボットの動作を制御するステップと、本体を所望の方向に回転させるためのモーメントが重力及び浮力によって発生するように質量中心をシフトさせることによって、ジンバル機構が前記検査ロボットの本体を回転させるステップと、前記ジンバル機構に連結され、前記ジンバル機構によって軸心周りに回転できるカメラを用いて、前記原子炉内の前記1以上の構造物の目視表示を提供するステップと、前記検査ロボットが、ワイヤレス通信リンクを用いて、遠隔ステーションにワイヤレスで通信するステップとを含み、前記遠隔ステーションは、前記ワイヤレス通信リンクを用いて、前記検査ロボットに対して、前記オンボード制御機構、前記ジンバル機構、及び前記カメラを用いて様々な検査タスクを実行するように命令を出し、前記検査ロボットは、前記ワイヤレス通信リンクを用いて、前記遠隔ステーションに対して前記検査タスクに関する調査結果を通信する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、検査ロボットが、簡素かつコンパクトであって、使い捨て可能であり、テザー(繋ぎロープ)無しで自由に動くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る典型的な検査プロセスの概要を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る検査ロボットの詳細を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電磁弁及びジェットポンプを有する推進及び操縦システムを示す概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る2方向方位制御のためのジンバル機構を示す概略図である。
【図5】(a)本発明の一実施形態に係るジンバル機構を用いた2軸カメラ方位制御を示す概略図である。(b)本発明の一実施形態に係るジンバル機構を用いた2軸カメラ方位制御を示す概略図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るワイヤレス通信アーキテクチャを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態は、原子炉の検査にて用いられる新規の検査ロボットを提供する。本実施形態は、ワイヤレスの検査ロボットの2つの技術的課題に対処する。これらは、(1)水中でどのようにして確実に通信するか、及び、(2)検査ロボットが故障した場合に回収できることをどのようにして保証するか、である。本実施形態は、これらの問題に、特定のワイヤレス通信を用いて対処する。この通信は、水中での通信を可能にすると同時に、検査ロボットが、検査ロボットの内部部品が故障したかどうかを決定することを可能にし、従って、検査ロボットが帰還手順を用いて元の地点に引き返すことを可能にする。これにより、人間が原子炉の有害な環境に晒される危険性を低減させる。
【0019】
図1は、本実施形態に係る典型的な検査プロセス2の概要を示す概略図である。検査ロボット12は、原子炉6内に配置され、遠隔ステーション4にいるユーザによってワイヤレスに制御される。検査ロボット12は、原子炉6、例えばロッド構造物15を調査することができ、又は、配管システム14に入ることができる。さらに、検査ロボット12は、蒸気発生器10の内部領域を調査することができる。検査ロボット12は、水及び有害物質によるロボット内部電子部品の破損を防止でき、かつ、高温から防護する材料から構成される。検査ロボット12は、検査ロボット12に何らかの損傷、通信障害、又は動力の損失が生じた場合に、最初の出発地点である水面に帰還させるフェイルセーフ機構24を備えている。検査ロボット12は、ハル(船体)、スラスタ、バッテリ、オンボード(船内搭載)制御部、検査センサ、及び、ワイヤレス通信ユニットを備え、原子炉及び関連機器の水中内部構造にアクセスすることができ、かつ、遠隔ステーション4とのワイヤレス通信に基づいて、原子炉6内に配置された様々な構造物に対して、検査センサを配置及び方向付けすることができる。さらに、検査ロボット12は、配管システム14を通過して原子炉12に連結された蒸気発生器10を検査するためにも用いられる。
【0020】
図2は、本実施形態に係る検査ロボット12の詳細を示す概略図である。検査ロボット12は、滑らかな外面21を有するように設計されている。これにより、障害物による影響を最小限にすることができる。すなわち、原子炉の構造物、及びパイプ内に配置されたセンサプローブとの引っ掛かり又は絡まりを防止することができる。滑らかな外面21は、水及び有害物質によるロボット内部電子部品の破損を防止し、かつ、高温から防護する材料から構成される。本実施形態では、外部にプロペラ又は制御機構が露出することは望ましくない。検査ロボット12は、船体30、ウォータージェットスラスタ32、オンボード制御部及びバッテリ22、フェイルセーフ機構24、検査センサ、及びワイヤレス通信リンク34を備え、原子炉6及び関連機器の水中内部構造にアクセスすることができ、かつ、遠隔ステーション4とのワイヤレス通信に基づいて、原子炉6内の構造物15に対して、検査センサを配置及び方向付けすることができる。
【0021】
検査ロボット12の前方には、取水口28(取水システム)が配置されており、取水口28は、オンボード(船内搭載)ポンプへと水を吸い込む。そして、ポンプは、複数の出口ポートのうち選択された出口ポートから水を高速で排出する。検査ロボット12は、どの出口ポートを用いるかを制御することによって、移動及び機動する。
【0022】
検査ロボット12には、ビデオカメラ26及び照明部36が備えられ、ビデオカメラ26及び照明部36は、構造物6を目視検査し、検査ロボット12をナビゲーションする。無線通信は、検査ロボット12と遠隔ステーション4との間をワイヤレス通信する。なお、光通信(レーザ又は非レーザー)が、検査ロボット12と遠隔ステーション4との間をワイヤレス通信してもよいし、音響通信が、検査ロボット12と遠隔ステーション4との間をワイヤレス通信してもよい。
【0023】
本発明のその他の実施形態において、中間の水中ロボットが、検査ロボット12と遠隔ステーション4との間で通信信号を中継してもよい。図1に示されているように、中間ロボット16は、配管システム14内に配置されることができる。また、無線通信、光通信、又は音響通信が、検査ロボット12と中間ロボット16との間をワイヤレス通信できる。さらに、無線通信、光通信、又は音響通信が、複数の中間ロボット間をワイヤレス通信してもよいし、中間ロボット16と遠隔ステーション4との間をワイヤレス通信してもよい。
【0024】
検査ロボット12は、故障の場合に検査ロボット12の救出を実行し、促進し、又は可能にするためのフェイルセーフ機構24を有する。オンボード制御部及びバッテリ22のうちオンボード制御部は、検査ロボット12の故障を検知することができる。検査ロボット12は、検査ロボット12が水面に浮上することを可能にするバルーンを有する。さらに、検査ロボット12は、利用可能なハードウェア・ソフトウェア資源を用いて最初の出発地点に戻るための緊急帰還手順を実行することができる。また、検査ロボット12には、検査ロボット12の軌道を記録するためのメモリが設けられており、検査ロボット12は、この記録された軌道を逆に戻ることによって出発点に帰還することができる。
【0025】
検査ロボット12は、遠隔ステーション4からの緊急信号を検知するセンサを備え、緊急帰還手順を実行又は始動する。遠隔ステーション4とのワイヤレス通信における故障が検知された場合、検査ロボット12は、緊急帰還手順を実行又は始動する。中間ロボット16は、故障した検査ロボットを捕え、付き添い、又はランデブーすることができ、検査ロボット12を最初の出発地点に帰還させる。
【0026】
また、検査ロボット12は、複数のウォータージェットスラスタ32を備える。ウォータージェットスラスタ32のそれぞれが、ポンプ、電磁弁、及びマニホルドを有し、推進及び操縦のために用いられる。ウォータージェットスラスタ32は、単一のジェット流を複数のジェット流に分岐させて、複数の電磁弁で個別に制御することによって、形成される。ジンバル機構は、検査ロボット12のロボット本体を回転させる。この回転は、ロボット本体を所望の方向に回転させるためのモーメントが重力及び浮力によって発生するように質量中心(CM)をシフトさせることによって生じる。2軸ジンバル構造は、質量を2方向に移動させることによって、本体回転の2つの直交軸を発生させる。
【0027】
図3は、本実施形態に係る電磁弁44及びジェットポンプ42を有する推進及び操縦システムを示す概略図である。検査ロボット12は、プロペラの代わりに、推進及び多軸操縦のための多軸ウォータージェットシステムを有する。この多軸ウォータージェットシステムは、ポンプ42、電磁弁44及びパイプマニホルド48を含む。ポンプ42によって生成されるジェット流46は、複数の方向に分岐し、それらのジェット流の各々が電磁弁44によって制御される。電磁弁44の開放を制御することによって、多軸ジェット流46が、検査ロボット12を所望の方向に移動させるように調整される。これが、前進運動及び深さ制御に加えて、横方向運動及びヨー/ピッチ回転を可能にする。電磁弁は、滑らかな面43に配置される。パイプマニホルド48は、滑らかな面43によって囲まれる内部領域に配置される。
【0028】
図4は、本実施形態に係る2方向方位制御のためのジンバル機構50を示す概略図である。検査ロボット12のロール及びピッチは、多軸ジンバル機構50が質量中心を移動させることによって、より効率的に制御される。ジンバル機構50は、2つのDCギヤードモータ52、及び、複数の垂直な回転軸を有するユニバーサルジョイント機構56を有する。2つのDCギヤードモータ52は、ロールジンバルモータ58及びピッチジンバルモータ54を含む。ロールジンバルモータ58は、メインROV本体に固定されている。ピッチジンバルモータ54は、ロール軸を中心として自由に回転する。ロール軸は、外殻60によって囲まれる。ユニバーサルジョイント機構56は、適切な浮力をもたらすための偏心スチールおもりを含むことができる。
【0029】
図5(a)及び図5(b)は、本実施形態に係るジンバル機構50を用いた2軸カメラ方位制御部66を示す。カメラ71は、検査ロボット12の本体72に取り付けられており、ジンバル機構50と関連するカメラ軸76を中心として迅速かつ安定的に回転できる。本体72は、図5(a)に示されているように浮力68の方向が重力の方向と一直線になるように、ジンバル運動に対して反対の方向に回転する。図5(b)に示されているように、本体72に関する運動が、スラスタ70によって発生する。この運動は、鉛直中心線78上に位置する浮力68を発生させる。また、質量中心(CM)74及び浮力中心(CB)80も鉛直中心線78上に位置する。運動が生じると、図5(a)に示されているように、その結果としてのモーメント69が発生され、これが、小さい偏向を発生させる。
【0030】
図6は、本実施形態に係るワイヤレス通信アーキテクチャ90を示す概略図である。ワイヤレス通信アーキテクチャ90は、中間の信号中継ロボット96を含み、信号中継ロボット96は、検査ロボット12とオペレータ(操作者)が操作する遠隔ステーション4との間でデータを中継する。図6に示すような範囲(約10〜20m)で高速の光データリンク106が設けられるため、水プール92内での信号減衰特性が望ましい媒体として、可視光が用いられる。検査ロボット12は、レシーバ100が常に視界に入るように制御する制御システムが設けられる。検査ロボット12と信号中継ロボット96間の通信のために、短距離の無線周波(RF)データリンク94が用いられる。この無線周波データリンク94は、約2〜7mの範囲に限っては、検査ロボット12が視界に入らない場合や様々な向きをとった場合に対して、許容性がより大きい。信号中継ロボット96は、無線周波データリンク94からデータを簡単に取り出し、このデータを、光データリンク106を介して伝達することができる。このようにして、ロバスト性を有するワイヤレス通信アーキテクチャ90が設計され、検査ロボット12は、原子炉の水プール92の内部領域を検査することができる。この場合、水プール92は、サイズが約4〜5mである。また、信号中継ロボット96は、原子炉の水プール92の配管システム104内で移動することができる寸法を有する。配管システム104は、サイズが約2〜3mである。
【0031】
本発明は、原子炉を検査するための、ワイヤレス通信に依存する検査ロボットを用いた新規の技術を提供する。本発明は、ワイヤレス検査ロボットの2つの重要な課題に対処する。これらは、(1)水中でどのようにして確実に通信するか、及び、(2)ロボットが故障した場合に回収できることをどのようにして保証するか、である。本発明はこれらの2つの技術的課題に対処する。詳細には、本発明は、検査ロボットが原子炉を検査することを補助するために、様々な形態のワイヤレス通信を利用する。検査ロボットは、検査ロボットのシステム部品の故障を検知したときに、検査ロボットの回収のためにマンパワー(人材)を用いる必要なく、元の場所に帰還するための論理回路を有する。本発明は、水中で利用可能なワイヤレス通信を用いる。本発明は、原子炉における操縦及び検査にて実際のマンパワーを排除し、その結果、過酷な核環境及び原子炉内に含まれる有害物質に人間が晒される危険性を低減できる。
【符号の説明】
【0032】
4 遠隔ステーション
6 原子炉
10 蒸気発生器
12 検査ロボット
14 配管システム
16 中間ロボット
21 外面
22 オンボード制御部及びバッテリ
24 フェイルセーフ機構
26 カメラ
28 取水口
30 船体
32 ウォータージェットスラスタ
34 ワイヤレス通信リンク
36 照明部
42 ポンプ
44 電磁弁
46 ジェット流
48 パイプマニホルド
50 ジンバル機構
52 DCギヤードモータ
54 ピッチジンバルモータ
56 ユニバーサルジョイント機構
58 ロールジンバルモータ
60 外殻
66 2軸カメラ方位制御部
70 スラスタ
71 カメラ
72 本体
90 ワイヤレス通信アーキテクチャ
92 水プール
94 無線周波データリンク
96 信号中継ロボット
100 レシーバ
104 配管システム
106 光データリンク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉を検査する検査ロボットであって、
船体と、
前記検査ロボットの動作を制御するオンボード制御機構であり、前記検査ロボットの移動を制御するとともに、前記原子炉内の1以上の構造物を検査する1以上のセンサを制御するオンボード制御機構と、
前記船体を所望の方向に回転させるためのモーメントが重力及び浮力によって発生するように質量中心をシフトさせることによって、前記検査ロボットの船体を回転させるジンバル機構と、
前記原子炉内の前記1以上の構造物の目視表示を提供するための、前記ジンバル機構に連結されたカメラであり、前記ジンバル機構によって軸心周りに回転できるカメラと、
前記検査ロボットが、遠隔ステーションにワイヤレスで通信することを可能にするワイヤレス通信リンクと、
を備え、
前記遠隔ステーションは、前記ワイヤレス通信リンクを用いて、前記検査ロボットに対して、前記オンボード制御機構、前記ジンバル機構、及び前記カメラを用いて様々な検査タスクを実行するように命令を出し、
前記検査ロボットは、前記ワイヤレス通信リンクを用いて、前記遠隔ステーションに対して前記検査タスクに関する調査結果を通信する検査ロボット。
【請求項2】
前記ワイヤレス通信リンクは、前記検査ロボットと前記遠隔ステーションとの間の前記ワイヤレス通信のために用いられる無線通信、音響通信、又は光通信を含む請求項1に記載の検査ロボット。
【請求項3】
前記検査ロボットと前記遠隔ステーションとの間で通信信号を中継するために用いられる1以上の中間ロボットを更に備える請求項1又は2に記載の検査ロボット。
【請求項4】
前記検査ロボットは、前記1以上の中間ロボットと、無線通信、音響通信、又は光通信を用いて通信する請求項3に記載の検査ロボット。
【請求項5】
前記1以上の中間ロボットは、前記遠隔ステーションと、無線通信、音響通信、又は光通信を用いて通信する請求項3又は4に記載の検査ロボット。
【請求項6】
故障が生じた場合に前記検査ロボットの救出を実行し、促進し、又は可能にするフェイルセーフ機構を更に備える請求項1から5のいずれか1項に記載の検査ロボット。
【請求項7】
前記オンボード制御機構は、前記検査ロボットの故障を検知することができる請求項6に記載の検査ロボット。
【請求項8】
前記フェイルセーフ機構は、利用可能なハードウェア・ソフトウェア資源を用いて、前記検査ロボットを最初の出発地点に戻すための緊急帰還手順を実行する請求項6又は7に記載の検査ロボット。
【請求項9】
前記フェイルセーフ機構は、前記遠隔ステーションとの前記ワイヤレス通信における故障を検知し、かつ、前記緊急帰還手順を作動させる請求項8に記載の検査ロボット。
【請求項10】
前記ジンバル機構は、質量を2つの方向に移動させることによって、本体回転の2つの直交軸を発生させる請求項1に記載の検査ロボット。
【請求項11】
検査ロボットを用いた原子炉の検査方法であって、
前記検査ロボットの移動を制御するとともに、前記原子炉内の1以上の構造物を検査する1以上のセンサを制御するオンボード制御機構を用いて、前記検査ロボットの動作を制御するステップと、
本体を所望の方向に回転させるためのモーメントが重力及び浮力によって発生するように質量中心をシフトさせることによって、ジンバル機構が前記検査ロボットの本体を回転させるステップと、
前記ジンバル機構に連結され、前記ジンバル機構によって軸心周りに回転できるカメラを用いて、前記原子炉内の前記1以上の構造物の目視表示を提供するステップと、
前記検査ロボットが、ワイヤレス通信リンクを用いて、遠隔ステーションにワイヤレスで通信するステップと、
を含み、
前記遠隔ステーションは、前記ワイヤレス通信リンクを用いて、前記検査ロボットに対して、前記オンボード制御機構、前記ジンバル機構、及び前記カメラを用いて様々な検査タスクを実行するように命令を出し、
前記検査ロボットは、前記ワイヤレス通信リンクを用いて、前記遠隔ステーションに対して前記検査タスクに関する調査結果を通信することを特徴とする検査ロボットを用いた原子炉の検査方法。
【請求項12】
前記ワイヤレス通信リンクは、前記検査ロボットと前記遠隔ステーションとの間の前記ワイヤレス通信のために用いられる無線通信、音響通信、又は光通信を含む請求項11に記載の検査ロボットを用いた原子炉の検査方法。
【請求項13】
前記検査ロボットと前記遠隔ステーションとの間で通信信号を中継するために用いられる1以上の中間ロボットを更に備える請求項11又は12に記載の検査ロボットを用いた原子炉の検査方法。
【請求項14】
前記検査ロボットは、前記1以上の中間ロボットと、無線通信、音響通信、又は光通信を用いて通信する請求項13に記載の検査ロボットを用いた原子炉の検査方法。
【請求項15】
前記1以上の中間ロボットは、前記遠隔ステーションと、無線通信、音響通信、又は光通信を用いて通信する請求項13又は14に記載の検査ロボットを用いた原子炉の検査方法。
【請求項16】
故障が生じた場合に前記検査ロボットの救出を実行し、促進し、又は可能にするためのフェイルセーフ機構を更に備える請求項11から15のいずれか1項に記載の検査ロボットを用いた原子炉の検査方法。
【請求項17】
前記オンボード制御機構は、前記検査ロボットの故障を検知することができる請求項16に記載の検査ロボットを用いた原子炉の検査方法。
【請求項18】
前記フェイルセーフ機構は、利用可能なハードウェア・ソフトウェア資源を用いて、前記検査ロボットを最初の出発地点に戻すための緊急帰還手順を実行する請求項16又は17に記載の検査ロボットを用いた原子炉の検査方法。
【請求項19】
前記フェイルセーフ機構は、前記遠隔ステーションとの前記ワイヤレス通信における故障を検知し、かつ、前記緊急帰還手順を作動させる請求項18に記載の検査ロボットを用いた原子炉の検査方法。
【請求項20】
前記ジンバル機構は、質量を2つの方向に移動させることによって、本体回転の2つの直交軸を発生させる請求項11に記載の検査ロボットを用いた原子炉の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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