説明

検査支援システム及び医用画像撮影装置

【課題】 医用画像撮影装置を用いた検査の流れをより円滑なものにすることが可能な検査支援システム及び医用画像撮影装置を提供する。
【解決手段】 本実施の形態の検査支援システム1は、検査室R1に設置され、被検者6を撮像して医用画像を生成する医用画像撮影装置(スキャナ2)と、被検者6に対して検査に関する情報を提供する情報提供装置(モニタA、モニタB)と、スキャナ2、モニタA、及びモニタBの動作を制御する操作卓4(システム制御装置401)と、を備え、システム制御装置401は、スキャナ2において実行する各検査の開始、終了、または検査の流れに連動して、モニタA及びモニタBにて提供する情報の内容を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査支援システム及び医用画像撮影装置に係り、医用画像を撮影する医用画像撮影装置を用いた検査の支援に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療の分野では、X線CT(Computed tomography)装置やMRI(magnetic resonance imaging)装置等で撮影した画像を用いた検査が行われている。このような医用画像撮影装置を用いた検査では、検査の直前に医師や技師等が検査前に被検者に対して検査の流れや検査の注意事項、あるいは検査に必要な情報を口頭で説明し、その後に撮影を開始していた。
【0003】
例えばX線CT装置を用いた検査では、医師や技師等はまず被検者を検査室に招き入れ、被検者に対して口頭で被検者が撮影時にとるべき行動や注意事項を説明し、その後、被検者を寝台に寝かせ、寝台位置を被検者の検査部位及び体格に適した位置に調整し、操作室へ移動し、操作卓を操作して被検者の撮影を行う。撮影終了後は、被検者を退室させ、次の被検者を検査室に招き入れ、同様の作業を繰り返す。また、一般に検査を実施する病院や検査施設では、定められた時間内に多数の被検者の検査を行っている。また多くの場合、X線CT装置の数や医師や技師等の操作者の人数は限られている。そのため、予定された撮影のスケジュールは緊密なものとなっていた。
【0004】
そこで、検査を効率よく行うための方法が種々提案されている。例えば特許文献1では、検査の待ち時間を短縮可能な医用画像撮影システム等が開発されている。特許文献1の医用画像撮影システムは、検査パターン、撮影室の候補、及び平均検査時間等に基づいて各撮影室での待ち時間を予測し、最も少ない待ち時間となるように撮影室を振り分ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−202678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の医用画像撮影システム等は、個々の検査時間が短縮されるものではなく、医師や技師等の撮影作業自体が軽減されるものでもなかった。そのため、医師や技師等の検査における負担を軽減し、円滑に検査を実施できるような支援システムが要望されている。
【0007】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、医師や技師等の検査における負担を軽減し、検査の流れをより円滑なものにすることが可能な検査支援システム及び医用画像撮影装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために第1の発明は、検査室に設置され、被検者を撮像して医用画像を生成する医用画像撮影装置と、前記被検者に対して検査に関する情報を提供する情報提供装置と、前記医用画像撮影装置及び前記情報提供装置に通信接続され、前記医用画像撮影装置及び前記情報提供装置の動作を制御するシステム制御装置と、を備えた検査支援システムであって、前記システム制御装置は、前記医用画像撮影装置において実行する各検査の開始、終了、または検査の流れに連動して、前記情報提供装置で提供する情報の内容を切り替える切替制御手段を備えることを特徴とする検査支援システムである。
【0009】
第2の発明は、被検者を撮像して医用画像を生成する医用画像撮影手段と、前記被検者に対して検査に関する情報を提供する情報提供手段と、前記医用画像撮影手段及び前記情報提供手段の動作を制御するシステム制御手段と、を備えた医用画像撮影装置であって、前記システム制御手段は、前記医用画像撮影手段において実行する検査の開始、終了、または検査の流れに連動して、前記情報提供手段で提供する情報の内容を切り替える切替制御手段を備えることを特徴とする医用画像撮影装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、医師や技師等の検査における負担を軽減し、検査の流れをより円滑なものにすることが可能な検査支援システム及び医用画像撮影装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】検査支援システム1の全体構成を示す外観図
【図2】医用画像撮影装置(X線CT装置2及び操作卓4)全体のハードウエアブロック図
【図3】検査支援システム1に蓄積される提供情報データベース41のデータ構成を示す図
【図4】検査支援システム1により生成される提供情報の順序データの構成を示す図
【図5】被検者に関する情報10のデータ構成を示す図
【図6】検査支援システム1において実行される提供情報生成処理の流れを説明するフローチャート
【図7】検査室R1のモニタAにて順次提供される情報の一例を示す図
【図8】待機場所R3のモニタBにて順次提供される情報の一例を示す図
【図9】検査支援システム1において実行される提供情報切替処理の流れを説明するフローチャート
【図10】検査支援システム1において実行される提供情報切替処理の流れを説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】
まず、図1及び図2を参照して、本実施の形態の検査支援システム1及び医用画像撮影装置の構成を説明する。
図1に示すように、検査支援システム1は、被検者を撮影して医用画像を生成するための投影データを取得する医用画像撮影装置(スキャナ2及び寝台3)と、検査室R1及び待機場所R3に設置され、被検者に対して検査に関する情報を提供する情報提供装置(モニタA及びモニタB)と、スキャナ2に接続されスキャナ2の動作を制御するとともに、モニタA及びモニタBでの提供情報の出力を制御する操作卓4とを備えて構成される。
スキャナ2、寝台3、及びモニタAは検査室R1に設置され、モニタBは待機場所R3に設置され、操作卓4は、操作室R2に設置される。
また、検査支援システム1において、操作卓4はネットワーク8を介して施設内外のサーバ9にアクセス可能となっている。また、モニタBと操作卓4との接続は、ネットワーク8を介した通信接続としてもよいし、外部機器I/Fを介したローカルな通信接続形態としてもよい。
【0014】
モニタAは、検査室R1に入室した被検者が視聴するものである。被検者が入室した時や寝台3に横臥した状態でも視聴できるように、スキャナ2の近傍に設置されるか、スキャナ本体に直接取り付けられることが望ましい。図1は、モニタAがスキャナ2に直接取り付けられている例を示している。
モニタBは、検査室R1での検査を待機する被検者が視聴する情報提供装置であり、ここでは待機場所R3に設置されるものとする。待機場所R3では待機する一人または複数の被検者がモニタBを視聴する。
【0015】
モニタA及びモニタBは、液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路と、音声出力装置とから構成され、操作卓4のシステム制御装置401(後述)から送出される提供情報を表示及び音声出力する。
以下の説明では、モニタAまたはモニタBにて出力する表示内容及び音声内容を総称して提供情報と呼ぶ。各モニタA,Bにおける提供情報の具体的な内容については後述する。
【0016】
なお、本実施の形態では、医用画像撮影装置の好適な一例として、X線CT装置について説明するが、これに限定されない。医用画像撮影装置は、MRI装置、超音波装置、X線診断装置、透視撮影装置、SPECT装置、PET装置等の様々な医用画像撮影装置に適用できる。
【0017】
図2に示すように、医用画像撮影装置(X線CT装置のスキャナ2)は、X線管201、スキャナ制御装置202、コリメータ203、開口部204、X線検出器205、データ収集装置206、回転板207、寝台制御装置301、情報提供装置21(モニタA)、及び操作部22から構成される。
操作卓4は、表示装置5、操作装置408、システム制御装置401、画像演算装置402、記憶装置403、外部機器I/F404、通信I/F405から構成される。操作卓4はスキャナ2、寝台制御装置301、及びネットワーク8に通信接続される。
【0018】
X線管201はX線源であり、スキャナ制御装置202により制御されて被検者6に対してX線を連続的または断続的に照射する。スキャナ制御装置202は、システム制御装置401により決定されたX線管電圧及びX線管電流に従って、X線管201に印加または供給するX線管電圧及びX線管電流を制御する。コリメータ203は、X線管201から放射されたX線を、例えばコーンビーム(円錐形または角錐形ビーム)等のX線として被検者6に照射させるものであり、開口幅はスキャナ制御装置202により制御される。被検者6を透過したX線はX線検出器205に入射する。
【0019】
X線検出器205は、例えばシンチレータとフォトダイオードの組み合わせによって構成されるX線検出素子群をチャネル方向(周回方向)に例えば1000個程度、列方向(体軸方向)に例えば1〜320個程度配列したものであり、被検者6を介してX線管201に対向するように配置される。X線検出器205はX線管201から放射されて被検者6を透過したX線を検出し、検出した透過X線データをデータ収集装置206に出力する。データ収集装置206は、X線検出器205に接続され、X線検出器205の個々のX線検出素子により検出される透過X線量を収集し、ディジタルデータに変換し、投影データとして操作卓4の画像演算装置402に順次出力する。
【0020】
回転板207には、X線管201、コリメータ203、X線検出器205、データ収集装置206が搭載される。回転板207は、スキャナ制御装置202によって制御される図示しない回転板駆動装置から駆動伝達系を通じて伝達される駆動力によって回転される。
【0021】
スキャナ制御装置202は、システム制御装置401からの制御信号に従って、スキャナ2内の各部を制御する。スキャナ制御装置202は、X線管201、コリメータ203、回転板207の回転、情報提供装置21(モニタA)、操作部22を制御する。
操作部22は、操作キー及びスイッチボタン等を備え、キーまたはボタンの押下信号をスキャナ制御装置202に出力する。例えば、モニタAの表示内容を切り替えるボタン等を含む。
【0022】
寝台3は、被検者6が載置される天板、上下動装置、及び天板駆動装置から構成され、寝台制御装置301に接続される。寝台制御装置301は、システム制御装置401から送出される制御信号に従って、上下動装置を制御して寝台3の高さを適切なものにする。また、天板駆動装置を制御して天板を体軸方向に前後動したり、体軸と垂直方向であって天板に平行な方向(左右方向)に移動したりする。これにより、被検者6がスキャナ2のX線照射空間に搬入及び搬出される。
【0023】
操作卓4の表示装置5は、液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路で構成され、システム制御装置401に接続される。表示装置5は画像演算装置402から出力される再構成画像、並びにシステム制御装置401が取り扱う種々の情報を表示するものであり、操作者が表示内容を閲覧する。
操作装置408は、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置、及び各種スイッチボタン等により構成され、操作者によって入力される各種の指示や情報をシステム制御装置401に出力する。操作者は、表示装置5及び操作装置408を使用して対話的にX線CT装置1を操作する。
【0024】
システム制御装置401は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。システム制御装置401は、スキャナ2内のスキャナ制御装置202を制御し、また、寝台3内の寝台制御装置301を制御するものである。
【0025】
また、システム制御装置401は、後述する提供情報生成処理(図6参照)、及び提供情報切替処理(図9、図10参照)を実行する。提供情報生成処理において、システム制御装置401は、被検者IDを取得すると被検者IDに対応する被検者情報及び検査内容情報を例えばサーバ9から取得し、被検者IDに対応する被検者情報及び検査内容情報に応じた提供情報を生成する。また、提供情報切替処理において、システム制御装置401は、スキャナ2で実行する検査の開始、終了、または検査の流れに連動して、モニタAやモニタBで提供する情報を切り替える。提供情報の生成及び切替えについての具体例等は後述する。
【0026】
画像演算装置402は、システム制御装置401の制御によってスキャナ2内のデータ収集装置206が収集した透過X線データを取得し、透過X線データに対して、対数変換、感度補正等の前処理を行った後、断層像を再構成する。
【0027】
記憶装置403は、ハードディスク等により構成されるものであり、システム制御装置401に接続される。記憶装置403は、画像演算装置402が生成する断層像やX線CT装置1の機能を実現するためのプログラム等を記憶する。
また、図3に示すように、記憶装置403は提供情報の基となる表示データファイルや音声データファイルを複数有するデータベース41を備える。データベース41には、複数の表示データファイル43と音声データファイル45とが記憶される。表示データファイル43は、文字、静止画、動画等の各種表示データを含み、音声データファイル45は、案内音声や、効果音、音楽等の各種音声データを含む。これらの表示データファイル43及び音声データファイル45は、各段階での提供情報の一部となるものである。すなわち、データベース41に記憶されている表示データファイル43と音声データファイル45とが組み合わされ、また適宜、被検者別の表示情報や音声情報と合成されて、一連の提供情報が生成され、システム制御装置401のRAMに保持される。
【0028】
生成された提供情報は、システム制御装置401が生成する切替信号をトリガとして、所定の順序に従ってモニタA及びモニタBに出力される。例えば図4に示す提供情報の順序47によれば、表示データD5と音声データE5が組み合わされた提供情報が1番目に出力され、次に表示データD7と音声データE7が組み合わされた提供情報が2番目に出力され、表示データD11と音声データE11が組み合わされた提供情報が3番目に出力され、表示データD12と音声データE12が組み合わされた提供情報が4番目に出力され、表示データD20と音声データE20が組み合わされた提供情報が5番目に出力される。
【0029】
なお、提供情報の切替信号は、検査の開始、終了、または検査の流れの各段階で生成される。例えば、切替信号は、被検者IDの入力操作があったとき、寝台の移動指示が入力されたとき、検査の開始指示が入力されたとき、スキャナ2による計測の各段階、検査の終了時のほか、操作装置408における所定操作の入力等を含む各タイミングで生成される。
【0030】
外部機器I/F404は、周辺装置とのインターフェースであり、通信I/F405は、通信制御部を含む通信インターフェースである。
【0031】
サーバ9は、CPU、RAM,ROM、入力装置、表示装置、記憶装置、通信I/F等を備えたコンピュータ等により構成され、ネットワーク8を介して、操作卓4に接続される。サーバ9は、医療機関内の情報を管理するHIS(Hospital Information System)や放射線科内の情報を管理するRIS(Radiology Information System)や医用画像を管理するPACS(Picture Archiving Communication)等の各種管理システム等のサーバであってもよい。ネットワーク8は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、インターネット等の各種通信網を含み、医用画像撮影装置2、サーバ9、モニタB、その他の情報機器等と操作卓4との通信接続を媒介する。
【0032】
サーバ9は、複数の被検者に関する情報10を蓄積して記憶している。
図5は、サーバ9に記憶される被検者に関する情報10の一例を示している。
サーバ9に記憶される被検者に関する情報10は、被検者ID10a、被検者情報10b、検査内容情報10c、被検者画像10d等を含む。
被検者ID10aは、被検者固有の識別情報であり、通常、診察券やカルテ等に記載されるものである。被検者情報10bは、被検者の氏名、年齢、性別、体格情報(身長、体重等)等を含む。検査内容情報10cは、被検者の検査項目、検査部位、検査日時、予約状況等を含む。被検者画像10dは、医用画像撮影装置によって生成された医用画像である。
【0033】
サーバ9の被検者に関する情報10は、システム制御装置401からの要求に応じてシステム制御装置401に送信される。例えば、後述する提供情報生成処理において、被検者ID10aに応じた被検者情報10b及び検査内容情報10cがシステム制御装置401に送信される。
【0034】
次に、図6〜図10を参照して、検査支援システム1の動作について説明する。
【0035】
本実施の形態の検査支援システム1において、操作卓4のシステム制御装置401は、図6に示す提供情報生成処理、及び図9、図10に示す提供情報切替処理を実行する。すなわち、システム制御装置401は、記憶装置403から上述の各処理に関するプログラム及びデータを読み出し、このプログラム及びデータに基づいて処理を実行する。
【0036】
まず、図6に示す提供情報生成処理について説明する。
システム制御装置401は、検査予約画面を表示装置5に表示して、1日分、または午前、午後等の所定の時間内の検査予定の入力操作を受け付ける。検査予約画面にて、1または複数の被検者ID10aと検査の順番が入力されると(ステップS101)、システム制御装置401は、入力された被検者ID10aに関する被検者情報10b及び検査内容情報10cの取得をサーバ9に要求する(ステップS102)。
【0037】
サーバ9から被検者情報10b及び検査内容情報10cを取得すると、システム制御装置401は各被検者6の検査内容情報に応じたモニタA用の表示データ及び音声データをデータベース41から取得し、これらの表示データ及び音声データを基に、被検者情報10bに応じた提供情報を生成する(ステップS103)そして、これらの表示内容及び音声内容(提供情報)の順番を、検査の流れや検査の順番に従って並べ替え、提供情報の順序47として、RAMに保持する(ステップS104)。
【0038】
同様に、システム制御装置401は各被検者6の検査内容情報10cに応じたモニタB用の表示データ及び音声データをデータベース41から取得し、これらの表示データ及び音声データを基に、被検者情報10bに応じた提供情報を生成する(ステップS105)そして、これらの提供情報の順番を、検査の流れや検査の順番に従って並べ、提供情報の順序47として、RAMに保持する(ステップS106)。
以上のようにして提供情報生成処理が終了する。
【0039】
なお、提供情報生成処理は、検査の実行中に平行して行われても良い。すなわち、システム制御装置401は、ある被検者6の検査を行っている際に、別の被検者6の検査予約の入力(被検者IDの入力)を受け付け、新たに入力された被検者6についての提供情報を生成し、既に生成されている提供情報の順序47の最後に追加してもよい。
また、緊急の検査を追加する場合には、既に生成されている提供情報の順序47の適当な位置に、新たに入力された被検者6についての提供情報を割り込ませてもよい。
【0040】
図7は、ある被検者ID10aに対応する被検者情報10b及び検査内容情報10cに応じて生成された、検査室R1のモニタAで提供される提供情報の一例である。
モニタAの提供情報は、例えば、図7(a)〜(g)に示すように、検査の進行に伴ってページ送りされる(切り替えられる)複数のページで構成される。また、被検者毎に異なる内容が生成される。また、検査室R1への入室から退室までの各段階で案内すべき情報が含まれる。
【0041】
例えば、図7(a)は、ある被検者6が検査室R1に入室した際の初めに提供される情報である。CT検査の注意事項として、「金属を身につけないでください。」、「妊娠中の方はお知らせください。」等のメッセージが表示され、また音声出力される。
図7(b)は、図7(a)の次に提供される情報である。「○○さん」「本日は、胸部の検査です。」のように、被検者6の氏名や検査内容に応じた内容が表示され、また音声出力される。このとき、被検者6の身長や体重等、体格の情報を表示したり、音声出力したりしてもよい。
図7(c)は、図7(b)の次に提供される情報である。「寝台に寝てください」というメッセージとともに、体位を示す画像が表示される。
【0042】
図7(d)は、図7(c)の次に提供される情報であり、寝台位置の移動開始の際に提供される。「寝台位置を調整します。寝台が動きます。」というメッセージが表示され、また音声出力される。
図7(e)は、図7(d)の次に提供される情報であり、検査の開始に連動して提供される。「検査を開始します。体を動かさないでください。」というメッセージが表示され、また音声出力される。
【0043】
図7(f)は、図7(e)の次に提供される情報であり、造影剤注入時に提供される。「造影剤を入れると体が温かくなることがあります。」というメッセージが表示され、また音声出力される。
図7(g)は、図7(f)の次に提供される情報であり、検査終了時に提供される。「検査が終了しました。」というメッセージや、被検者6の次の検査内容に応じた内容「次は、△△の検査です。5階の7番窓口にカルテをお出しください。」等のメッセージが表示され、また音声出力される。
【0044】
図8は、待機場所R3のモニタBにおける提供情報の一例である。
提供情報は図8(a)〜(e)に示すように、待機する被検者数や現在の検査の進行に応じて異なる内容が生成される。
例えば、図8(a)に示すようなCT検査の注意事項「金属を身につけないでください。」、「妊娠中の方はお知らせください。」等の全てのCT検査に共通のメッセージが表示され、また音声出力される。
図8(b)は、検査の予定情報である。検査の予定や進行に従って検査開始時刻や待ち時間等が随時算出され、再生される。
図8(c)のように、CT検査の流れを文字、動画、音声等で提供してもよい。
また、図8(d)のように、待機している被検者6の検査内容に応じて、検査での呼吸の仕方等を文字、動画、音声等で提供してもよい。
【0045】
また、検査室R1での検査が終了すると、図8(e)に示すように、検査室R1への入室を促すメッセージが表示、または音声出力される。
なお、待機場所R3には複数の被検者が集まることから、個々の被検者の個人情報が表示されないように留意すべきである。
【0046】
次に、図9及び図10を参照して提供情報切替処理について説明する。
システム制御装置401は、各被検者6の検査を実施する際、被検者ID10aの入力を受け付ける。被検者ID10aが入力されると(ステップS201)、システム制御装置401は、モニタAに検査室入室中の被検者6の検査前提供情報を送信する(ステップS202)。モニタAでは、検査前提供情報を再生する(ステップS203)。例えば、図7(a)、(b)、(c)が順次再生される。なお、表示のページ送りは、被検者6がスキャナ2に付属の操作部22を操作して指示してもよいし、操作者が操作してもよい。
【0047】
また、システム制御装置401は、モニタBに次の検査以降の被検者のための提供情報を送信する(ステップS204)。モニタBでは、送信された提供情報を再生する(ステップS205)。例えば、図8(a)、(b)、(c)、(d)が順次、繰り返し再生される。
【0048】
なお、モニタBにて図8(a)に示すような一般的な注意事項が提供されている場合には、図7(a)に示すような注意事項は重複するためモニタAにて提供しなくてもよい。
【0049】
このとき、システム制御装置401は、検査室入室中の被検者6の身長や体格に応じた寝台3の移動量を算出する(ステップS206)。操作者により被検者6が指定された体位で寝台3に寝ていることが確認され、寝台移動指示が操作装置408から入力されると(ステップS207;Yes)、システム制御装置401は、寝台移動時の提供情報をモニタAに送信するとともに、寝台制御装置301を制御して寝台3を前後方向、上下方向、左右方向に移動させ、被検者6を適切な撮影位置に搬送する(ステップS208)。
【0050】
モニタAでは、寝台移動時の提供情報を再生する(ステップS209)。例えば、図7(d)が再生される。
【0051】
寝台3の移動が完了し、検査開始指示が入力されると(ステップS210;Yes)、システム制御装置401は、検査開始以降の提供情報をモニタAに送信する(ステップS211)。モニタAでは、検査中の提供情報を再生する(ステップS212)。例えば、図7(e)が再生される。
【0052】
検査中、造影剤が注入される場合は(ステップS213;Yes)、システム制御装置401は、造影剤注入時の提供情報をモニタAに送信する(ステップS214)。モニタAでは、造影剤注入時の提供情報を再生する(ステップS215)。例えば、図7(f)が再生される。
【0053】
その後、検査が終了すると(ステップS216;Yes)、システム制御装置401は、検査終了後の提供情報をモニタA、モニタBにそれぞれ送信する(ステップS217、ステップS218)。モニタAでは、検査終了後のモニタA用の提供情報が再生される(ステップS219)。例えば、図7(g)が再生される。モニタBでは、検査終了後のモニタB用の提供情報が再生される(ステップS220)。例えば、図8(e)が再生される。
【0054】
システム制御装置401は、以上のステップS201〜ステップS220の処理を繰り返し実行し、予定されている全ての被検者6の検査が終了すると、本表示切替処理を終了する。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態の検査支援システム1は、検査室R1に設置され、被検者6を撮像して医用画像を生成する医用画像撮影装置(スキャナ2)と、被検者6に対して検査に関する情報を提供する情報提供装置(モニタA、モニタB)と、スキャナ2、モニタA、及びモニタBの動作を制御する操作卓4(システム制御装置401)と、を備え、システム制御装置401は、スキャナ2において実行する各検査の開始、終了、または検査の流れに連動して、モニタA及びモニタBにて提供する情報の内容を切り替える。
【0056】
従って、表示情報や音声情報による被検者への説明内容が、検査の流れに沿って切り替えられるため、医師や技師等の操作者による被検者への説明を適切なタイミングで自動再生でき、検査作業の負担を軽減できる。また、説明のミスをなくし、検査の流れをより円滑なものにすることが可能となる。
【0057】
また、情報提供装置は、図1のモニタAのように医用画像撮影装置本体に取り付けられていれば、被検者は検査の直前及び直後にも検査に関する情報を確認できるようになる。
また、情報提供装置は、図1のモニタBのように検査を待つ被検者の待機場所R3に設置されていれば、検査を待つ被検者は検査を待つ間に検査に関する情報を確認できるようになる。
従って、被検者の検査を実施している間に、別の被検者に対しても検査の説明を提供できるため、検査の流れがより円滑なものとなる。
【0058】
また、スキャナ2に取り付けられるモニタAと、検査を待つ被検者の待機場所R3に設置されるモニタBと、を含む複数の情報提供装置がある場合に、各情報提供装置における提供情報の内容を異なるものとすれば、個々の被検者に応じた内容と、一般的な内容とを各モニタで分けて表示できるため、個人情報を他人に知らせることなく、検査内容に応じた個別の情報を適切な場所で提供できる。
【0059】
また、被検者情報に含まれる被検者の体格に関する情報と検査内容情報に含まれる検査部位とから、適切な寝台の位置を算出し、移動するので、操作者は寝台の手動による調整作業を省くことができ、検査における作業負担が軽減する。
【0060】
以上、本発明に係る検査支援システム及び医用画像撮影装置の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、検査支援システム1において、検査室R1の外で待つ被検者のための情報提供装置として、待機場所R3に設置されたモニタBを一例として示したが、これに限定されず、例えば待機している被検者が携帯する情報端末に提供情報を配信するようにしてもよい。また、検査支援システム1にて被検者が視聴する情報提供装置は、モニタA及びモニタBの2つの限定されず、3つ以上のモニタを備えてもよいし、検査室R1のモニタAまたは待機場所R3のモニタBのいずれか一方としてもよい。
【0061】
また、提供情報の切り替えタイミングについても上述の実施形態に限定されない。例えば、検査室R1の出入口に人の出入りを感知するセンサを設け、被検者が検査室R1へ入室するタイミングや退室するタイミングで、各モニタでの提供情報を切り替えるようにしてもよい。また、提供情報を切り替えるタイミングを入力する入力装置をシステム制御装置401(操作卓4)に設け、医師や技師等の操作者が切替タイミングを入力できる構成としてもよい。また、入力装置を遠隔操作装置とすれば、操作者が検査室R1と操作室R2とを行き来する回数を減らすことができ、作業効率が向上し、好適である。
【0062】
また、提供情報を生成する際、検査システム1では、サーバ9から被検者に関する情報10を取得して、個々の被検者に応じた提供情報を生成する例を示したが、これに限定されず、被検者に関する情報10を操作卓4またはスキャナ2の操作部22にて直接入力するようにしてもよい。
【0063】
更に、当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0064】
1・・・・・検査支援システム
2・・・・・スキャナ
3・・・・・寝台
4・・・・・操作卓
6・・・・・被検者
201・・・X線管(X線源)
205・・・X線検出器
206・・・データ収集装置
401・・・システム制御装置
402・・・画像演算装置
403・・・記憶装置
5・・・・・表示装置
408・・・操作装置
21・・・・モニタA
22・・・・被検者用操作ボタン
7・・・・・モニタB
8・・・・・ネットワーク
9・・・・・サーバ
10・・・・被検者に関する情報
41・・・・データベース
43・・・・表示データファイル
45・・・・音声データファイル
47・・・・提供情報の順序
R1・・・・検査室
R2・・・・操作室
R3・・・・待機場所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査室に設置され、被検者を撮像して医用画像を生成する医用画像撮影装置と、
前記被検者に対して検査に関する情報を提供する情報提供装置と、
前記医用画像撮影装置及び前記情報提供装置に通信接続され、前記医用画像撮影装置及び前記情報提供装置の動作を制御するシステム制御装置と、を備えた検査支援システムであって、
前記システム制御装置は、前記医用画像撮影装置において実行する検査の開始、終了、または検査の流れに連動して、前記情報提供装置で提供する情報の内容を切り替える切替制御手段を備えることを特徴とする検査支援システム。
【請求項2】
前記情報提供装置は、
前記医用画像撮影装置本体に取り付けられる第1情報提供手段であることを特徴とする請求項1に記載の検査支援システム。
【請求項3】
前記情報提供装置は、
前記検査室の外で検査を待つ被検者が視聴可能な第2情報提供手段であることを特徴とする請求項1に記載の検査支援システム。
【請求項4】
前記情報提供装置が、前記医用画像撮影装置本体に取り付けられる第1情報提供手段と、前記検査室の外で検査を待つ被検者が視聴可能な第2情報提供手段と、を含む複数の情報提供手段から構成される場合において、
前記切替制御手段は、各情報提供手段における提供情報の内容を異なるものとすることを特徴とする請求項1に記載の検査支援システム。
【請求項5】
前記第1情報提供手段にて提供される情報は、検査を行う被検者の被検者情報及び検査の内容に応じた情報とし、
前記第2情報提供手段にて提供される情報は、検査開始時刻情報または待ち時間情報を含むものとすることを特徴とする請求項4に記載の検査支援システム。
【請求項6】
前記システム制御装置は、
被検者IDを取得する被検者ID取得手段と、
前記被検者IDに対応する被検者情報及び検査内容情報を取得する情報取得手段と、
前記被検者IDに対応する被検者情報及び検査内容情報に応じた提供情報を生成する提供情報生成手段と、を備え、
前記切替制御手段は、
前記提供情報生成手段によって生成される提供情報を、前記医用画像撮影装置において実行する検査の開始、終了、または検査の流れに連動して切り替えて提供することを特徴とする請求項1に記載の検査支援システム。
【請求項7】
前記システム制御装置は、
被検者IDを取得する被検者ID取得手段と、
前記被検者IDに対応する被検者の体格情報及び検査部位情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段によって取得した体格情報及び検査部位情報から、前記医用画像撮影装置の寝台の適切な位置を算出し、算出された位置に寝台位置を調整するよう制御する寝台制御手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の検査支援システム。
【請求項8】
被検者を撮像して医用画像を生成する医用画像撮影手段と、前記被検者に対して検査に関する情報を提供する情報提供手段と、前記医用画像撮影手段及び前記情報提供手段の動作を制御するシステム制御手段と、を備えた医用画像撮影装置であって、
前記システム制御手段は、
前記医用画像撮影手段において実行する検査の開始、終了、または検査の流れに連動して、前記情報提供手段で提供する情報の内容を切り替える切替制御手段を備えることを特徴とする医用画像撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−177326(P2011−177326A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43803(P2010−43803)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】