検査方法、テンプレート製造方法、半導体集積回路製造方法および検査システム
【課題】低コストでナノインプリンティングを行うことを可能とすること。
【解決手段】救済可能領域と、前記救済可能領域に置換可能な冗長領域とを備えるメモリセルアレイを製造するためのテンプレートを検査対象とする。まず、欠陥を検出したテンプレートの欠陥位置と救済可能領域の位置情報とに基づいて前記検出した欠陥が救済可能領域内に位置しているか否かを判定する。そして、前記欠陥が検出された救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定する。そして、前記検出した欠陥が救済可能領域外に位置している場合または前記欠陥が検出された救済可能領域数が前記許容数を越える場合、当該テンプレートを検査結果不合格とする旨の通知を出力する。
【解決手段】救済可能領域と、前記救済可能領域に置換可能な冗長領域とを備えるメモリセルアレイを製造するためのテンプレートを検査対象とする。まず、欠陥を検出したテンプレートの欠陥位置と救済可能領域の位置情報とに基づいて前記検出した欠陥が救済可能領域内に位置しているか否かを判定する。そして、前記欠陥が検出された救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定する。そして、前記検出した欠陥が救済可能領域外に位置している場合または前記欠陥が検出された救済可能領域数が前記許容数を越える場合、当該テンプレートを検査結果不合格とする旨の通知を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検査方法、テンプレート製造方法、半導体集積回路製造方法および検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の製造技術としてナノインプリント・リソグラフィ技術(以下、単にナノインプリンティング)が知られている。ナノインプリンティングは、半導体集積回路のパターンが形成されたテンプレートを半導体ウェハに塗布されたレジストにプレスすることによって当該テンプレートに形成されているパターンをレジストに転写する技術である。ナノインプリンティングによれば、光リソグラフィ技術を用いた場合と同等以上の高い解像度でナノメータサイズのパターンを転写することができる。
【0003】
しかしながら、テンプレートは作製対象の半導体集積回路と同等のスケールの微細構造を備えているため、欠陥が無いテンプレートを作製することは簡単ではなく、テンプレート作製に多大なコストがかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−60904号公報
【特許文献2】特開2008−129477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低コストでナノインプリンティングを行うことを可能とする検査方法、テンプレート製造方法、半導体集積回路製造方法および検査システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態によれば、救済可能領域と、前記救済可能領域に置換可能な冗長領域とを備えるメモリセルアレイを製造するためのテンプレートを検査対象とする。まず、欠陥を検出したテンプレートの欠陥位置と救済可能領域の位置情報とに基づいて前記検出した欠陥が救済可能領域内に位置しているか否かを判定する。そして、前記欠陥が検出された救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定する。そして、前記検出した欠陥が救済可能領域外に位置している場合または前記欠陥が検出された救済可能領域数が前記許容数を越える場合、当該テンプレートを検査結果不合格とする旨の通知を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態の検査システムの構成例を説明する図である。
【図2】図2は、テンプレートパターンの例を示す図である。
【図3】図3は、層間の救済可能領域の対応関係の一例を説明する図である。
【図4】図4は、第1の実施形態の検査システムの機能構成を説明する図である。
【図5】図5は、第1の実施形態のテンプレート製造方法を説明するフローチャートである。
【図6】図6は、第2の実施形態のテンプレート製造方法を説明するフローチャートである。
【図7】図7は、子テンプレートの製造工程を説明するフローチャートである。
【図8】図8は、親テンプレートおよび子テンプレートの各種領域を説明する図である。
【図9】図9は、救済領域(非検査領域)として設定された部分について説明する図である。
【図10】図10は、第3の実施形態の検査システムの機能構成を説明する図である。
【図11】図11は、第3の実施形態の半導体集積回路製造方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる検査方法、テンプレート製造方法、半導体集積回路製造方法および検査システムを詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
テンプレートに欠陥が生じると、当該欠陥がウェハに転写されることになる。そのため、テンプレートメーカは、原則として欠陥が皆無なテンプレートを製造することが求められていた。本発明の第1の実施形態の比較としてテンプレートを納品するまでのテンプレート製造方法の一例(比較例1)を挙げる。比較例1によれば、テンプレートメーカは、テンプレートを作製し、作製したテンプレートに欠陥が生じていないことを確認する検査を実行する。そして、検査により欠陥が発見された場合、作製したテンプレートを検査結果不合格として破棄して、次のテンプレートを作製する。欠陥が発見されなかった場合、検査結果合格として当該テンプレートが納品される。前述のように、ナノメートル規模の微細構造を欠陥なく作製することは簡単ではないため、合格するまでに作製と検査とが繰り返されることとなる。そして、繰り返された回数に応じてテンプレートの納期およびコストが増加する。
【0010】
一方、ウェハ上に形成されるメモリデバイスのメモリセルアレイにおいては、偶発的に発生するパターンの切断や接触による不具合が発生した場合、この不具合の箇所を回路的に置き換える冗長回路を適用することが一般的に行われている。したがって、冗長回路で置き換えることが可能なメモリセルアレイ領域に欠陥が生じた場合、該メモリセルアレイ領域は後工程において救済せしめることができる。
【0011】
そこで、本発明の第1の実施形態では、発生した欠陥の位置が冗長回路で置き換えることが可能なメモリセルアレイ領域に含まれている場合で、かつ、一定の条件を満たしたとき、テンプレートを検査結果合格とするようにした。これにより、比較例1を採用した場合に比べて検査結果合格率を上昇せしめ、結果としてテンプレートのコストを低減することができる。同時に、テンプレートの納期を短縮することができる。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態の検査システムの構成例を説明する図である。図示するように、検査システム1は、検査装置2と、データ保存用サーバ3と、制御装置4とを備えており、検査装置2、データ保存用サーバ3および制御装置4はインターネット、イントラネットなどのネットワークで互いに接続されている。
【0013】
データ保存用サーバ3は、検査システム1で使用される各種データを記憶するサーバであって、予め、テンプレートのパターンのレイアウトデータ(テンプレートパターンデータD1)とテンプレート検査用データD2とを対応づけて記憶している。また、データ保存用サーバ3には、検査装置2が出力する欠陥位置データD3および制御装置4が出力する判定結果D4が格納される。
【0014】
前述のように、メモリデバイスのメモリセルアレイは、不具合が起きた箇所を置き換える冗長回路を備えている。具体的には、メモリチップの動作を制御する制御回路は、メモリセルアレイ内の一定の単位(救済可能領域)毎の動作を、アドレス指定により制御する。このアドレス指定により不具合箇所を含む行線または列線が選択される条件となった場合、制御回路は、当該アドレスの選択駆動を停止して、メモリセルアレイ内の別の場所に設けられた冗長回路としてのメモリセルアレイ(冗長領域)の行線または列線に対応するアドレスを選択駆動する。
【0015】
図2は、テンプレートパターンの例を示す図である。図2の例にかかるテンプレートパターン100によれば、1回のプレスによって夫々2つのメモリセルアレイ101を有するメモリチップ102のパターンが転写される。そして、夫々のメモリセルアレイ101は、5つの救済可能領域103と3箇所の救済できない領域(非救済可能領域)104と1つの冗長領域105とを備えている。非救済可能領域104は、例えばロウデコーダやカラムデコーダなどメモリセルアレイにアクセスするための周辺回路が該当する。5つの救済可能領域103のうちの1つに不具合が発見されると、該不具合が生じた救済可能領域103が冗長領域105に置換される。なお、図2に示した救済可能領域103や冗長領域105の数は一例であって、メモリセルアレイの高集積化が進んでいる現在においては、実際のメモリセルアレイは図2で示した例よりも多くの救済可能領域103および冗長領域105を夫々備えて構成される。
【0016】
テンプレート検査用データD2は、この救済可能領域の位置を示す情報(救済可能領域情報D21)および冗長領域の位置を示す情報(冗長領域情報D22)を備えて構成される。テンプレートパターンデータD1およびテンプレート検査用データD2は、例えば特許文献2に記載された方法を用いることによって作成することができる。以下、テンプレート検査用データD2の作成方法を簡単に述べる。
【0017】
デザインパターンデータは、GDSに代表されるCAD(Computer Aided Design)フォーマットで記述されている。CADフォーマットを採用したデザインパターンデータによれば、複数層で構成される半導体集積回路の夫々の層のデザインパターンは夫々1つ以上のレイヤを用いて記述されている。そこで、まず、デザインパターンデータに含まれる一層のパターンデータにかかる1以上のレイヤをレイヤ合成することによって、半導体集積回路を構成する層毎のレイヤ合成データを得る。そして、各層のレイヤ合成データから夫々メモリセルのセルアレイパターンを抽出する。セルアレイパターンの抽出は、テンプレートパターンデータD1が含む各層情報と、レイヤ合成データと、回路接続情報とを参照することによって行われる。そして、各レイヤ合成データを変換して層毎のテンプレートパターンデータD1が得られる。さらに、抽出したセルアレイパターンから救済可能領域および冗長領域を抽出し、抽出した救済可能領域および冗長領域の位置情報を算出して、層毎のテンプレート検査用データD2が得られる。
【0018】
ここで、1つの救済可能領域に含まれる回路は、各層で同一位置に位置しているとは限らない。図3は、層間の救済可能領域の対応関係の一例を説明する図である。図3の例においては、層aにおける救済可能領域103aを動作させるための機能を有する救済可能領域は層bでは103bに対応する。すなわち、救済可能領域103aが救済されると、層bにおいては救済可能領域103bが救済される。第1の実施形態で使用されるテンプレート検査用データD2に記述されている各層の救済可能領域は、上記救済可能領域103aと救済可能領域103bとの対応のように、層を跨いで機能的なつながりがあるもの同士で対応付けがなされているものとする。
【0019】
なお、テンプレート検査用データD2は、具体的には、救済可能領域の範囲および冗長領域の範囲を夫々座標で記述したデータであってもよいし、ビットマップ形式で夫々の領域の範囲を示したデータであってもよい。
【0020】
また、テンプレートパターンデータD1のフォーマットとしては、例えばGDSフォーマットを採用することができる。テンプレートパターンデータD1に新規レイヤを追加して、追加したレイヤにテンプレート検査用データD2を記述することによって、テンプレートパターンデータD1とテンプレート検査用データD2との対応づけがなされているものとしてよい。
【0021】
検査装置2は、検査対象のテンプレートのパターンが転写されたウェハのSEM(Scanning Electron Microscope)画像を撮像し、撮像したSEM画像に基づいてテンプレート上に発生した欠陥の位置を記述した欠陥位置データD3を作成する。検査装置2は、作成した欠陥位置データD3をデータ保存用サーバ3に格納する。欠陥位置データD3は、例えば欠陥座標を記述したテキスト形式のデータであってもよいし、欠陥座標をビットマップ形式で示したデータであってもよい。なお、検査装置2は、検査対象のテンプレート上のパターンを直接撮像し、撮像した画像に基づいて欠陥位置データD3を作成するように構成してもかまわない。また、検査装置2は、SEM画像ではなく顕微光学画像を撮像し、撮像した画像に基づいて欠陥位置データD3を作成するようにしてもよい。また、検査装置2は、例えば、ウェハ上に形成されたレジストパターンまたはテンプレート上に形成されたテンプレートパターンの撮像画像とテンプレートパターンデータD1との比較に基づいて欠陥位置データD3を作成するようにしてもかまわない。
【0022】
制御装置4は、テンプレート検査用データD2と欠陥位置データD3とに基づいて欠陥が発生した救済可能領域103の数を算出し、算出した数が許容される数(許容数)を越えない場合は合格、許容数を越える場合は不合格とする。なお、許容数は、例えば冗長領域の数と救済可能領域の数との比較、ウェハの製造工程など後工程における欠陥の発生率、およびテンプレートの納期・コストなどを考慮して設定される。許容数の設定値が大きいほど、後工程において新たな欠陥が発生したときに使用できる冗長領域数が減少するが、テンプレートの検査結果合格率をより上昇せしめ、納期・コストをより低減することができる。
【0023】
制御装置4は、CPU(Central Processing Unit)41と、RAM(Random Access Memory)42と、ネットワークインタフェース43と、ROM(Read Only Memory)44と、CD−ROMドライブ45と、入力装置46と、出力装置47とを有する、通常のコンピュータと同等の構成を備えている。CPU41、RAM42、ネットワークインタフェース43、ROM44、CD−ROMドライブ45、入力装置46および出力装置47は夫々バスラインを介して互いに接続されている。
【0024】
CPU41は、テンプレートの合格不合格を判定するためのコンピュータプログラムである検査プログラム48を実行する。入力装置46は、マウスやキーボードを備えて構成され、オペレータからの制御装置4の操作が入力される。入力装置46へ入力された操作情報は、CPU41へ送られる。
【0025】
検査プログラム48は、ROM44内に格納されており、バスラインを介してRAM42へロードされる。CPU41はRAM42内にロードされた検査プログラム48を実行する。CPU41は、RAM42に展開された検査プログラム48を実行することによって、テンプレートの合格不合格を判定し、判定結果D4を生成して該判定結果D4をデータ保存用サーバ3にテンプレートパターンデータD1に対応づけて格納する。
【0026】
出力装置47は、液晶モニタなどの表示装置であり、CPU41からの指示に基づいて、操作画面や判定結果D4の内容などオペレータに対する出力情報を表示する。ネットワークインタフェース43は、データ保存用サーバ3および検査装置2が接続されるネットワークに接続するための接続インタフェースである。CD−ROMドライブ45は、コンピュータに読み取り可能な記録媒体としてのCD−ROM5をリードするための読み出し装置である。
【0027】
なお、制御装置4で実行される検査プログラム48を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供または配布するように構成しても良い。また、検査プログラム48をインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、ROM44等に予め組み込んで制御装置4に提供するように構成してもよい。また、検査プログラム48を、CD−ROM5などの記録媒体に記録して提供または配布するように構成してもよい。CD−ROM5に記録された検査プログラム48は、CD−ROMドライブ45を介してCPU41によって読み出されてRAM42内に展開される。
【0028】
図4は、第1の実施形態の検査システム1の機能構成を説明する図である。図示するように、検査システム1は、検査用データ作成部61と、検査結果判定部62とを備えている。この2つの構成要素は、制御装置4が検査プログラム48を実行することによってRAM42上に生成される。
【0029】
検査用データ作成部61は、データ保存用サーバ3からテンプレートパターンデータD1およびテンプレート検査用データD2を取得して、テンプレートパターンデータD1に記述されているテンプレートパターンをレジストパターンに変換し、救済可能領域情報D21に示される救済可能領域103の位置情報をレジストパターンに対応するように変換する。
【0030】
検査結果判定部62は、変換された救済可能領域103の位置情報に基づいてテンプレートの合格不合格を判定する。また、検査結果判定部62は、テンプレートに欠陥が発生しており、かつ、当該テンプレートを合格と判定したとき、欠陥が発生した救済可能領域103の位置情報である救済領域情報D41を付して判定結果D4を出力する。
【0031】
図5は、第1の実施形態の検査システム1を使用してテンプレートを製造する方法を説明するフローチャートである。図示するように、まず、テンプレートメーカはテンプレートを作製し(ステップS1)、検査装置2を使用して前記作製したテンプレートの欠陥検査を実行する(ステップS2)。検査装置2は、欠陥検査を実行すると、欠陥位置データD3を出力してデータ保存用サーバ3に格納する。
【0032】
制御装置4においては、以降の繰り返し処理で使用する変数nを1とし(ステップS3)、検査結果判定部62は、欠陥位置データD3を参照して、半導体集積回路を構成する層のうちのn層目のテンプレートにおける検査対象として設定された領域(検査領域)に欠陥が検出されたか否かを判定する(ステップS4)。なお、後述するステップS8により、パターンが形成されている領域内に非検査領域が設定される。検査領域とは、パターンが形成されている領域から非検査領域に設定された領域を除いた領域をいう。
【0033】
欠陥が検出された場合(ステップS4、Yes)、検査用データ作成部61は、テンプレート検査用データD2のうちのn層目の救済可能領域の位置情報を変換し(ステップS5)、検査結果判定部62は、変換後の位置情報と欠陥位置データD3とを比較することによって、検出された欠陥は救済可能領域103内に位置するか否かを判定する(ステップS6)。救済可能領域103外に欠陥が位置していた場合(ステップS6、No)、検査結果判定部62は、当該救済不可能な欠陥が全てのウェハに転写されることになるので、検査結果不合格である旨の判定結果D4を出力する(ステップS7)。テンプレートメーカは、検査結果不合格の旨の判定結果D4を確認すると、ステップS1に移行して新しくテンプレートを作り直す。
【0034】
検出された欠陥が救済可能領域内に位置していた場合(ステップS6、Yes)、検査結果判定部62は、欠陥が検出された救済可能領域103を冗長領域105で救済する救済領域として設定し、該救済領域を非検査領域に設定する(ステップS8)。なお、各層にかかる処理において新規に非検査領域(救済領域)として設定された領域は、前層までの処理において非検査領域(救済領域)として設定された領域にマージされ、該マージされた領域が次の層にかかる処理を実行する際の非検査領域(救済領域)となる。また、各層の処理にかかる非検査領域の位置は、層間の救済可能領域同士の機能的なつながりに応じて変化する。例えば、図3に示した層aにおける救済可能領域103aが非検査領域(救済領域)に設定されると、層bの処理時においては救済可能領域103bが非検査領域(救済領域)となる。
【0035】
ステップS8の後、検査結果判定部62は、救済領域数が予め設定された許容数を越えるか否かを判定し(ステップS9)、救済領域数が許容数を越えた場合(ステップS9、Yes)、ステップS7に移行して検査結果不合格である旨の判定結果D4を出力する。なお、検査結果不合格である旨の判定結果D4には救済領域情報D41を付さなくてもよい。救済領域数が許容数を越えていない場合(ステップS9、No)、検査結果判定部62は、半導体集積回路を構成する全ての層のテンプレートにかかる処理が完了したか否かを判定し(ステップS10)、全ての層にかかる処理が完了していない場合(ステップS10、No)、nを1インクリメントしてステップS4に移行する。
【0036】
全ての層にかかる処理が完了した場合(ステップS10、Yes)、検査結果判定部62は、救済領域の位置情報を付加した検査結果合格の旨の判定結果D4を出力し(ステップS11)、テンプレートの製造が完了する。ここで、検査結果判定部62は、ステップS10、Yesに至った時点において救済領域に設定されている領域の位置情報を救済領域情報D41に記述し、判定結果D4に付す。テンプレートメーカは、作製したテンプレートを、検査結果合格した旨の判定結果D4とともに半導体製造業者に納品するとよい。半導体集積回路メーカは、半導体集積回路の製造工程において、救済領域情報D41により特定される救済可能領域103を冗長領域105で救済することができる。
【0037】
このように、本発明の第1の実施形態によれば、テンプレート上に検出された欠陥位置を記述した欠陥位置データD3と救済可能領域情報D21とに基づいて欠陥が救済可能領域内に位置しているか否かを判定し(ステップS4、ステップS6)、欠陥が検出された救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定し(ステップS9)、欠陥が救済可能領域外に位置している場合(ステップS6、No)または欠陥が検出された救済可能領域数が許容数を越える場合(ステップS9、Yes)、当該テンプレートを検査結果不合格とする旨の通知を出力する(ステップS7)、ように構成したので、検査結果不合格となる条件が比較例1に比べて緩和されるので、低コストでテンプレートを製造することができ、結果として低コストでナノインプリンティングを行うことが可能となる。また、テンプレートの製造にかかる納期が短縮される。
【0038】
また、欠陥が発生した救済可能領域を救済領域に設定し(ステップS8)、ステップS4においては、同一のメモリセルアレイを構成する他の層にかかるテンプレートにおいて既に救済領域が設定されている場合、当該救済領域に対応する救済可能領域を非検査領域とするようにしたので、すでに救済領域として設定された領域を各テンプレートで重複して検査する手間が省略されるので、テンプレート一式の検査にかかる時間を短縮し、結果としてテンプレートの納期をさらに短縮することができるようになる。
【0039】
また、同一のメモリセルアレイを構成する層のうちのどの層にかかるテンプレートも検査結果不合格とならなかった場合(ステップS10、Yes)、検査結果合格とする旨の判定結果D4を救済領域情報D41とともに出力する(ステップS11)ようにしたので、半導体集積回路メーカは、どの救済可能領域を救済すべきかを救済領域情報D41に基づいて判断することができるようになる。
【0040】
なお、以上の説明においては、検査装置2が欠陥位置データD3を作成するとして説明したが、検査装置2はSEM画像を撮像し、制御装置2が撮像されたSEM画像に基づいて欠陥位置データD3を作成するようにしても構わない。また、制御装置4を検査装置2内に内蔵するように構成しても構わない。また、ハードディスクなどのデータ記憶装置を制御装置4または検査装置2に備えさせ、該データ記憶装置をデータ保存用サーバ3として用いるようにしてもよい。
【0041】
また、以上の説明においては、全層の欠陥検査を終えた後、合格不合格の判定を行うようにしたが、層毎の欠陥検査が完了する毎に逐次合格不合格の判定を行うようにしてもよい。さらに、制御装置4は、i層目のテンプレートまで合格不合格の判定を終えた後、i+1層目のテンプレートにかかる非検査領域を検査装置2に通知し、検査装置2は通知された非検査領域については欠陥検査を行わないようにしてもよい。こうすることによって、検査装置2による欠陥検査にかかる時間を短縮することができるようになる。
【0042】
(第2の実施形態)
テンプレートにかかるコストを低減するために、テンプレートメーカは、検査に合格したテンプレートを元にテンプレートを複製し、半導体集積回路メーカは、複製されたテンプレートを用いて半導体集積回路を作製することが行われる。ここでは、複製元のテンプレートを親テンプレート、親テンプレートから複製されたテンプレートを子テンプレートと表現することとする。
【0043】
図6は、第2の実施形態のテンプレート製造方法を説明するフローチャートである。図示するように、まず、親テンプレートの製造が行われる(ステップS21)。親テンプレートの製造工程は第1の実施形態と同等である。続いて、検査結果合格した親テンプレートに基づいて子テンプレートの製造が行われる(ステップS22)。
【0044】
図7は、子テンプレートの製造工程を説明するフローチャートである。図示するように、まずテンプレートメーカは、検査結果合格した親テンプレートを複製することによって子テンプレートを作製する(ステップS31)。そして、検査装置2を使用して前記作製した子テンプレートの欠陥検査を実行する(ステップS32)。検査装置2は、欠陥検査を実行すると、欠陥位置データD3を出力してデータ保存用サーバ3に格納する。
【0045】
制御装置4においては、検査結果判定部62は、親テンプレートの判定結果D4を取得し、判定結果D4に付された救済領域D41を非検査領域に設定する(ステップS33)。ステップS33以降、ステップS34〜ステップ43において、図5に示したステップS3〜ステップS11と夫々同等の処理が実行される。
【0046】
図8は、親テンプレートおよび子テンプレートの各種領域を説明する図である。図示するように、親テンプレートにおいて救済領域106が設定されている場合、当該親テンプレートを複製元として作製された子テンプレートにおいては、救済領域106が非検査領域106に設定され、当該非検査領域106に新たな欠陥が発生していたとしても、合格不合格の判定時には該欠陥を考慮しない。
【0047】
以上述べたように、本発明の第2の実施形態によれば、判定対象のテンプレートが検査結果合格とする旨の通知が既に出力された同一のメモリセルアレイにかかるテンプレートのセットのうちの一つのテンプレート(親テンプレート)の複製(子テンプレート)である場合、親テンプレートのセットにかかる救済領域情報D41に基づいて、親テンプレートにおいて設定された救済領域に対応する救済可能領域を非検査領域とする(ステップS33)ようにしたので、親テンプレートと同様に、子テンプレートの製造コストを低減することができる。また、子テンプレートの納期を短縮することができる。
【0048】
(第3の実施形態)
硬化したレジストからテンプレートを離型した際、テンプレートに物理的な力がかかることによってテンプレートが破損することがある。転写工程においてテンプレートに破損による欠陥が発生すると、以降、当該欠陥が全てウェハに転写され、常に同一の箇所に欠陥を生じせしめることとなる(以降、このような欠陥をリピート欠陥という)。リピート欠陥が発生したときテンプレートが破損したとして当該テンプレートを交換するようにすると、個々のテンプレートの交換頻度が上昇し、結果として半導体集積回路の製造コストが上昇する。そこで、第3の実施形態では、欠陥の発生位置が救済可能領域内であり、かつ、一定の条件を満たしたとき、当該欠陥が発生した救済可能領域を冗長領域で救済せしめるものとし、当該テンプレートを破棄することなく使用し続けることができるようにした。
【0049】
なお、現在、ウェハの欠陥管理の手法として、発生した欠陥数(または単位面積あたりの欠陥発生率)に基づいてウェハの良・不良を評価する手法(比較例2)がある。比較例2によると、発生した欠陥数が所定のしきい値以上である場合、不良品として判定される。図9は、救済領域(非検査領域)として設定された部分について説明する図である。図9右図に示すように、ウェハ上に多数の欠陥が発生しており、第3の実施形態によればこれらの欠陥はひとつの救済可能領域103に含まれる。そして、当該救済可能領域103は救済領域106に設定される。第3の実施形態ではなく前記比較例2を適用すると、当該ウェハは欠陥数がしきい値を越え、不良品と判定される可能性がある。しかしながら、第3の実施形態によれば、いったん救済領域106に設定されると、該当部分は欠陥がどれだけ発生していようとも、発生した欠陥については全く考慮しなくなるので、不良品とされるウェハ数を低減することができるようになる。
【0050】
第3の実施形態の検査システムのハードウェア構成は第1の実施形態と同等であるので、ここでは説明を省略する。ただし、第3の実施形態の検査システムに符号7を付して第1の実施形態と区別するものとする。なお、データ保存用サーバ3には、テンプレートメーカが製造したテンプレートにかかる判定結果D4が格納されているものとする。例えば、子テンプレートを用いて転写する場合、当該子テンプレートにかかる判定結果D4が格納されているものとする。
【0051】
図10は、第3の実施形態の検査システム7の機能構成を説明する図である。図示するように、検査システム7は、検査用データ作成部71と、検査結果判定部72とを備えている。検査用データ作成部71は、データ保存用サーバ3からテンプレートパターンデータD1およびテンプレート検査用データD2を取得して、テンプレートパターンデータD1に記述されているテンプレートパターンをレジストパターンに変換するとともに、救済可能領域103および冗長領域105の位置情報をレジストパターンに対応するように変換する。検査結果判定部72は、変換された救済可能領域103に基づいてテンプレートを破棄するか使用し続けるかを判定する。また、検査結果判定部72は、テンプレートを使用し続けると判定したとき、救済領域情報D41を更新して、欠陥が新たに発生した救済可能領域103を新たに救済領域とする。
【0052】
図11は、第3の実施形態の半導体集積回路製造方法を説明するフローチャートである。図示するように、半導体集積回路メーカは、製造されたテンプレートを用いて、ウェハ上に塗布されたレジストにパターンを転写する(ステップS51)。そして、パターン転写されたウェハを所定のタイミングでサンプリングして、サンプリングしたウェハについて検査装置2を用いて欠陥検査を実行する(ステップS52)。なお、ここではウェハを抜き取り検査するものとしているが、全てのウェハについて検査を行うようにしてもよい。検査装置2は、欠陥検査を実行すると、欠陥位置データD3を出力してデータ保存用サーバ3に格納する。
【0053】
制御装置4においては、検査結果判定部72は、欠陥位置データD3を参照して、当該層における検査領域内にリピート欠陥が検出されたか否かを判定する(ステップS53)。リピート欠陥は、例えば、欠陥位置データD3をダイ間で比較することによって検出することができる。リピート欠陥が検出されていない場合(ステップS53、No)、後述のステップS60に移行する。
【0054】
リピート欠陥が検出された場合(ステップS53、Yes)、検査用データ作成部71は、当該層のテンプレート検査用データD2を変換し(ステップS54)、検査結果判定部72は、変換後の位置情報と欠陥位置データD3とを比較することによって、検出されたリピート欠陥は救済可能領域103内に位置するか否かを判定する(ステップS55)。救済可能領域103外(すなわち非救済可能領域104内)に欠陥が位置していた場合(ステップS55、No)、検査結果判定部72は、テンプレートの交換を促す旨の警告を出力する(ステップS56)。当該警告を確認した半導体集積回路メーカは、テンプレートを交換した後(ステップS57)、ステップS51に移行して新しいテンプレートでパターン転写を行う。
【0055】
発見したリピート欠陥が救済可能領域103内に位置していた場合、(ステップS55、Yes)、検査結果判定部72は、リピート欠陥が検出された救済可能領域103を冗長領域105で救済する救済領域とし、該救済領域を新たに非検査領域に設定する(ステップS58)。そして、検査結果判定部72は、救済領域数が予め設定された許容数を越えるか否かを判定し(ステップS59)、救済領域数が許容数を越えた場合(ステップS59、Yes)、ステップS56に移行する。
【0056】
なお、リピート欠陥は、テンプレートの破損のほかにも発生する場合がある。例えば、転写工程実施時に発生する微粒子がテンプレートに付着すると、以降、ウェハには当該微粒子による欠陥がリピート欠陥として現れる。そこで、半導体集積回路メーカは、リピート欠陥が破損以外の回復可能な原因で生じたものである場合、警告され取り外されたテンプレートを破棄するのではなく、再利用するようにしてもよい。例えば、半導体集積回路メーカは、テンプレートの交換を促す旨の警告(ステップS56)を確認すると、テンプレートを交換するとともに、警告され取り外されたテンプレートを点検・分析し、破損以外の原因でリピート欠陥が発生していたことが判明した場合、当該取り外したテンプレートを洗浄するなどによってリピート欠陥の原因を取り除いて、再度ステップS51で用いるようにしてもよい。このようにすることによってテンプレートの寿命をさらに延ばすことができる。半導体集積回路メーカは、警告が出力された後、再度同じテンプレートを用いる場合、非検査領域の初期値設定に当該テンプレートの警告時の救済領域情報D41ではなく納品時における救済領域情報D41を用いるとよい。または、警告時の救済領域情報D41に対して洗浄により取り除いたリピート欠陥にかかる救済領域を救済可能領域とする編集を施して使用するようにしてもよい。
【0057】
救済領域数が許容数を越えていない場合(ステップS59、No)、検査結果判定部72は、欠陥位置データD3を確認して検査領域内に許容数を越えるランダム欠陥が発生しているか否かを判定する(ステップS60)。ランダム欠陥とは、転写工程におけるプロセスのばらつきやプロセス中に発生した微粒子などに起因してランダムな位置に発生する欠陥をいう。なお、ランダム欠陥の許容数はリピート欠陥の許容数とは別に設定されているものとしている。
【0058】
ランダム欠陥が許容数を越えていない場合(ステップS60、No)、テンプレートを交換することなくステップS51に移行して別のウェハに対してパターン転写を行う。許容数を越えるランダム欠陥が発生している場合(ステップS60、Yes)、半導体集積回路メーカは、当該レジストを剥離してレジストを再塗布し(ステップS61)、テンプレートを交換することなくステップS51に移行して、レジストを再塗布したレジストにパターン転写を行う。
【0059】
このように、第3の実施形態によれば、テンプレートに形成されたテンプレートパターンをウェハに塗布されたレジストに転写し(ステップS51)、レジストパターンの欠陥検査を実行して欠陥検査データD3を出力し(ステップS52)、欠陥位置データD3と救済可能領域情報D21とに基づいてリピート欠陥が救済可能領域内に位置しているか否かを判定し(ステップS53、ステップS55)、リピート欠陥が検出された救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定し(ステップS59)、リピート欠陥が救済可能領域外に位置している場合(ステップS55、No)またはリピート欠陥が検出された救済可能領域数が許容数を越える場合(ステップS59、Yes)、テンプレートの交換を促す旨の警告を出力する(ステップS56)ように構成したので、テンプレートの寿命を延し、結果として低コストでナノインプリンティングを行うことが可能となる。
【0060】
また、リピート欠陥が発生した救済可能領域を救済領域に設定(ステップS58)し、同一のテンプレートで作製されたウェハにおいて既に救済領域が設定されている場合、当該救済領域に対応する救済可能領域を非検査領域とするようにしたので、すでに救済領域として設定された領域を各ウェハで重複して検査する手間が省略されるので、ウェハの検査にかかる時間を短縮し、結果として半導体集積回路の納期を短縮することができるようになる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1、7 検査システム、2 検査装置、3 データ保存用サーバ、4 制御装置、5 CD−ROM、43 ネットワークインタフェース、45 CD−ROMドライブ、46 入力装置、47 出力装置、48 検査プログラム、61、71 検査用データ作成部、62、72 検査結果判定部、101 メモリセルアレイ、102 メモリチップ、103 救済可能領域、104 非救済可能領域、105 冗長領域、106 救済領域(非検査領域)。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検査方法、テンプレート製造方法、半導体集積回路製造方法および検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の製造技術としてナノインプリント・リソグラフィ技術(以下、単にナノインプリンティング)が知られている。ナノインプリンティングは、半導体集積回路のパターンが形成されたテンプレートを半導体ウェハに塗布されたレジストにプレスすることによって当該テンプレートに形成されているパターンをレジストに転写する技術である。ナノインプリンティングによれば、光リソグラフィ技術を用いた場合と同等以上の高い解像度でナノメータサイズのパターンを転写することができる。
【0003】
しかしながら、テンプレートは作製対象の半導体集積回路と同等のスケールの微細構造を備えているため、欠陥が無いテンプレートを作製することは簡単ではなく、テンプレート作製に多大なコストがかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−60904号公報
【特許文献2】特開2008−129477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低コストでナノインプリンティングを行うことを可能とする検査方法、テンプレート製造方法、半導体集積回路製造方法および検査システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態によれば、救済可能領域と、前記救済可能領域に置換可能な冗長領域とを備えるメモリセルアレイを製造するためのテンプレートを検査対象とする。まず、欠陥を検出したテンプレートの欠陥位置と救済可能領域の位置情報とに基づいて前記検出した欠陥が救済可能領域内に位置しているか否かを判定する。そして、前記欠陥が検出された救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定する。そして、前記検出した欠陥が救済可能領域外に位置している場合または前記欠陥が検出された救済可能領域数が前記許容数を越える場合、当該テンプレートを検査結果不合格とする旨の通知を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態の検査システムの構成例を説明する図である。
【図2】図2は、テンプレートパターンの例を示す図である。
【図3】図3は、層間の救済可能領域の対応関係の一例を説明する図である。
【図4】図4は、第1の実施形態の検査システムの機能構成を説明する図である。
【図5】図5は、第1の実施形態のテンプレート製造方法を説明するフローチャートである。
【図6】図6は、第2の実施形態のテンプレート製造方法を説明するフローチャートである。
【図7】図7は、子テンプレートの製造工程を説明するフローチャートである。
【図8】図8は、親テンプレートおよび子テンプレートの各種領域を説明する図である。
【図9】図9は、救済領域(非検査領域)として設定された部分について説明する図である。
【図10】図10は、第3の実施形態の検査システムの機能構成を説明する図である。
【図11】図11は、第3の実施形態の半導体集積回路製造方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる検査方法、テンプレート製造方法、半導体集積回路製造方法および検査システムを詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
テンプレートに欠陥が生じると、当該欠陥がウェハに転写されることになる。そのため、テンプレートメーカは、原則として欠陥が皆無なテンプレートを製造することが求められていた。本発明の第1の実施形態の比較としてテンプレートを納品するまでのテンプレート製造方法の一例(比較例1)を挙げる。比較例1によれば、テンプレートメーカは、テンプレートを作製し、作製したテンプレートに欠陥が生じていないことを確認する検査を実行する。そして、検査により欠陥が発見された場合、作製したテンプレートを検査結果不合格として破棄して、次のテンプレートを作製する。欠陥が発見されなかった場合、検査結果合格として当該テンプレートが納品される。前述のように、ナノメートル規模の微細構造を欠陥なく作製することは簡単ではないため、合格するまでに作製と検査とが繰り返されることとなる。そして、繰り返された回数に応じてテンプレートの納期およびコストが増加する。
【0010】
一方、ウェハ上に形成されるメモリデバイスのメモリセルアレイにおいては、偶発的に発生するパターンの切断や接触による不具合が発生した場合、この不具合の箇所を回路的に置き換える冗長回路を適用することが一般的に行われている。したがって、冗長回路で置き換えることが可能なメモリセルアレイ領域に欠陥が生じた場合、該メモリセルアレイ領域は後工程において救済せしめることができる。
【0011】
そこで、本発明の第1の実施形態では、発生した欠陥の位置が冗長回路で置き換えることが可能なメモリセルアレイ領域に含まれている場合で、かつ、一定の条件を満たしたとき、テンプレートを検査結果合格とするようにした。これにより、比較例1を採用した場合に比べて検査結果合格率を上昇せしめ、結果としてテンプレートのコストを低減することができる。同時に、テンプレートの納期を短縮することができる。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態の検査システムの構成例を説明する図である。図示するように、検査システム1は、検査装置2と、データ保存用サーバ3と、制御装置4とを備えており、検査装置2、データ保存用サーバ3および制御装置4はインターネット、イントラネットなどのネットワークで互いに接続されている。
【0013】
データ保存用サーバ3は、検査システム1で使用される各種データを記憶するサーバであって、予め、テンプレートのパターンのレイアウトデータ(テンプレートパターンデータD1)とテンプレート検査用データD2とを対応づけて記憶している。また、データ保存用サーバ3には、検査装置2が出力する欠陥位置データD3および制御装置4が出力する判定結果D4が格納される。
【0014】
前述のように、メモリデバイスのメモリセルアレイは、不具合が起きた箇所を置き換える冗長回路を備えている。具体的には、メモリチップの動作を制御する制御回路は、メモリセルアレイ内の一定の単位(救済可能領域)毎の動作を、アドレス指定により制御する。このアドレス指定により不具合箇所を含む行線または列線が選択される条件となった場合、制御回路は、当該アドレスの選択駆動を停止して、メモリセルアレイ内の別の場所に設けられた冗長回路としてのメモリセルアレイ(冗長領域)の行線または列線に対応するアドレスを選択駆動する。
【0015】
図2は、テンプレートパターンの例を示す図である。図2の例にかかるテンプレートパターン100によれば、1回のプレスによって夫々2つのメモリセルアレイ101を有するメモリチップ102のパターンが転写される。そして、夫々のメモリセルアレイ101は、5つの救済可能領域103と3箇所の救済できない領域(非救済可能領域)104と1つの冗長領域105とを備えている。非救済可能領域104は、例えばロウデコーダやカラムデコーダなどメモリセルアレイにアクセスするための周辺回路が該当する。5つの救済可能領域103のうちの1つに不具合が発見されると、該不具合が生じた救済可能領域103が冗長領域105に置換される。なお、図2に示した救済可能領域103や冗長領域105の数は一例であって、メモリセルアレイの高集積化が進んでいる現在においては、実際のメモリセルアレイは図2で示した例よりも多くの救済可能領域103および冗長領域105を夫々備えて構成される。
【0016】
テンプレート検査用データD2は、この救済可能領域の位置を示す情報(救済可能領域情報D21)および冗長領域の位置を示す情報(冗長領域情報D22)を備えて構成される。テンプレートパターンデータD1およびテンプレート検査用データD2は、例えば特許文献2に記載された方法を用いることによって作成することができる。以下、テンプレート検査用データD2の作成方法を簡単に述べる。
【0017】
デザインパターンデータは、GDSに代表されるCAD(Computer Aided Design)フォーマットで記述されている。CADフォーマットを採用したデザインパターンデータによれば、複数層で構成される半導体集積回路の夫々の層のデザインパターンは夫々1つ以上のレイヤを用いて記述されている。そこで、まず、デザインパターンデータに含まれる一層のパターンデータにかかる1以上のレイヤをレイヤ合成することによって、半導体集積回路を構成する層毎のレイヤ合成データを得る。そして、各層のレイヤ合成データから夫々メモリセルのセルアレイパターンを抽出する。セルアレイパターンの抽出は、テンプレートパターンデータD1が含む各層情報と、レイヤ合成データと、回路接続情報とを参照することによって行われる。そして、各レイヤ合成データを変換して層毎のテンプレートパターンデータD1が得られる。さらに、抽出したセルアレイパターンから救済可能領域および冗長領域を抽出し、抽出した救済可能領域および冗長領域の位置情報を算出して、層毎のテンプレート検査用データD2が得られる。
【0018】
ここで、1つの救済可能領域に含まれる回路は、各層で同一位置に位置しているとは限らない。図3は、層間の救済可能領域の対応関係の一例を説明する図である。図3の例においては、層aにおける救済可能領域103aを動作させるための機能を有する救済可能領域は層bでは103bに対応する。すなわち、救済可能領域103aが救済されると、層bにおいては救済可能領域103bが救済される。第1の実施形態で使用されるテンプレート検査用データD2に記述されている各層の救済可能領域は、上記救済可能領域103aと救済可能領域103bとの対応のように、層を跨いで機能的なつながりがあるもの同士で対応付けがなされているものとする。
【0019】
なお、テンプレート検査用データD2は、具体的には、救済可能領域の範囲および冗長領域の範囲を夫々座標で記述したデータであってもよいし、ビットマップ形式で夫々の領域の範囲を示したデータであってもよい。
【0020】
また、テンプレートパターンデータD1のフォーマットとしては、例えばGDSフォーマットを採用することができる。テンプレートパターンデータD1に新規レイヤを追加して、追加したレイヤにテンプレート検査用データD2を記述することによって、テンプレートパターンデータD1とテンプレート検査用データD2との対応づけがなされているものとしてよい。
【0021】
検査装置2は、検査対象のテンプレートのパターンが転写されたウェハのSEM(Scanning Electron Microscope)画像を撮像し、撮像したSEM画像に基づいてテンプレート上に発生した欠陥の位置を記述した欠陥位置データD3を作成する。検査装置2は、作成した欠陥位置データD3をデータ保存用サーバ3に格納する。欠陥位置データD3は、例えば欠陥座標を記述したテキスト形式のデータであってもよいし、欠陥座標をビットマップ形式で示したデータであってもよい。なお、検査装置2は、検査対象のテンプレート上のパターンを直接撮像し、撮像した画像に基づいて欠陥位置データD3を作成するように構成してもかまわない。また、検査装置2は、SEM画像ではなく顕微光学画像を撮像し、撮像した画像に基づいて欠陥位置データD3を作成するようにしてもよい。また、検査装置2は、例えば、ウェハ上に形成されたレジストパターンまたはテンプレート上に形成されたテンプレートパターンの撮像画像とテンプレートパターンデータD1との比較に基づいて欠陥位置データD3を作成するようにしてもかまわない。
【0022】
制御装置4は、テンプレート検査用データD2と欠陥位置データD3とに基づいて欠陥が発生した救済可能領域103の数を算出し、算出した数が許容される数(許容数)を越えない場合は合格、許容数を越える場合は不合格とする。なお、許容数は、例えば冗長領域の数と救済可能領域の数との比較、ウェハの製造工程など後工程における欠陥の発生率、およびテンプレートの納期・コストなどを考慮して設定される。許容数の設定値が大きいほど、後工程において新たな欠陥が発生したときに使用できる冗長領域数が減少するが、テンプレートの検査結果合格率をより上昇せしめ、納期・コストをより低減することができる。
【0023】
制御装置4は、CPU(Central Processing Unit)41と、RAM(Random Access Memory)42と、ネットワークインタフェース43と、ROM(Read Only Memory)44と、CD−ROMドライブ45と、入力装置46と、出力装置47とを有する、通常のコンピュータと同等の構成を備えている。CPU41、RAM42、ネットワークインタフェース43、ROM44、CD−ROMドライブ45、入力装置46および出力装置47は夫々バスラインを介して互いに接続されている。
【0024】
CPU41は、テンプレートの合格不合格を判定するためのコンピュータプログラムである検査プログラム48を実行する。入力装置46は、マウスやキーボードを備えて構成され、オペレータからの制御装置4の操作が入力される。入力装置46へ入力された操作情報は、CPU41へ送られる。
【0025】
検査プログラム48は、ROM44内に格納されており、バスラインを介してRAM42へロードされる。CPU41はRAM42内にロードされた検査プログラム48を実行する。CPU41は、RAM42に展開された検査プログラム48を実行することによって、テンプレートの合格不合格を判定し、判定結果D4を生成して該判定結果D4をデータ保存用サーバ3にテンプレートパターンデータD1に対応づけて格納する。
【0026】
出力装置47は、液晶モニタなどの表示装置であり、CPU41からの指示に基づいて、操作画面や判定結果D4の内容などオペレータに対する出力情報を表示する。ネットワークインタフェース43は、データ保存用サーバ3および検査装置2が接続されるネットワークに接続するための接続インタフェースである。CD−ROMドライブ45は、コンピュータに読み取り可能な記録媒体としてのCD−ROM5をリードするための読み出し装置である。
【0027】
なお、制御装置4で実行される検査プログラム48を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供または配布するように構成しても良い。また、検査プログラム48をインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、ROM44等に予め組み込んで制御装置4に提供するように構成してもよい。また、検査プログラム48を、CD−ROM5などの記録媒体に記録して提供または配布するように構成してもよい。CD−ROM5に記録された検査プログラム48は、CD−ROMドライブ45を介してCPU41によって読み出されてRAM42内に展開される。
【0028】
図4は、第1の実施形態の検査システム1の機能構成を説明する図である。図示するように、検査システム1は、検査用データ作成部61と、検査結果判定部62とを備えている。この2つの構成要素は、制御装置4が検査プログラム48を実行することによってRAM42上に生成される。
【0029】
検査用データ作成部61は、データ保存用サーバ3からテンプレートパターンデータD1およびテンプレート検査用データD2を取得して、テンプレートパターンデータD1に記述されているテンプレートパターンをレジストパターンに変換し、救済可能領域情報D21に示される救済可能領域103の位置情報をレジストパターンに対応するように変換する。
【0030】
検査結果判定部62は、変換された救済可能領域103の位置情報に基づいてテンプレートの合格不合格を判定する。また、検査結果判定部62は、テンプレートに欠陥が発生しており、かつ、当該テンプレートを合格と判定したとき、欠陥が発生した救済可能領域103の位置情報である救済領域情報D41を付して判定結果D4を出力する。
【0031】
図5は、第1の実施形態の検査システム1を使用してテンプレートを製造する方法を説明するフローチャートである。図示するように、まず、テンプレートメーカはテンプレートを作製し(ステップS1)、検査装置2を使用して前記作製したテンプレートの欠陥検査を実行する(ステップS2)。検査装置2は、欠陥検査を実行すると、欠陥位置データD3を出力してデータ保存用サーバ3に格納する。
【0032】
制御装置4においては、以降の繰り返し処理で使用する変数nを1とし(ステップS3)、検査結果判定部62は、欠陥位置データD3を参照して、半導体集積回路を構成する層のうちのn層目のテンプレートにおける検査対象として設定された領域(検査領域)に欠陥が検出されたか否かを判定する(ステップS4)。なお、後述するステップS8により、パターンが形成されている領域内に非検査領域が設定される。検査領域とは、パターンが形成されている領域から非検査領域に設定された領域を除いた領域をいう。
【0033】
欠陥が検出された場合(ステップS4、Yes)、検査用データ作成部61は、テンプレート検査用データD2のうちのn層目の救済可能領域の位置情報を変換し(ステップS5)、検査結果判定部62は、変換後の位置情報と欠陥位置データD3とを比較することによって、検出された欠陥は救済可能領域103内に位置するか否かを判定する(ステップS6)。救済可能領域103外に欠陥が位置していた場合(ステップS6、No)、検査結果判定部62は、当該救済不可能な欠陥が全てのウェハに転写されることになるので、検査結果不合格である旨の判定結果D4を出力する(ステップS7)。テンプレートメーカは、検査結果不合格の旨の判定結果D4を確認すると、ステップS1に移行して新しくテンプレートを作り直す。
【0034】
検出された欠陥が救済可能領域内に位置していた場合(ステップS6、Yes)、検査結果判定部62は、欠陥が検出された救済可能領域103を冗長領域105で救済する救済領域として設定し、該救済領域を非検査領域に設定する(ステップS8)。なお、各層にかかる処理において新規に非検査領域(救済領域)として設定された領域は、前層までの処理において非検査領域(救済領域)として設定された領域にマージされ、該マージされた領域が次の層にかかる処理を実行する際の非検査領域(救済領域)となる。また、各層の処理にかかる非検査領域の位置は、層間の救済可能領域同士の機能的なつながりに応じて変化する。例えば、図3に示した層aにおける救済可能領域103aが非検査領域(救済領域)に設定されると、層bの処理時においては救済可能領域103bが非検査領域(救済領域)となる。
【0035】
ステップS8の後、検査結果判定部62は、救済領域数が予め設定された許容数を越えるか否かを判定し(ステップS9)、救済領域数が許容数を越えた場合(ステップS9、Yes)、ステップS7に移行して検査結果不合格である旨の判定結果D4を出力する。なお、検査結果不合格である旨の判定結果D4には救済領域情報D41を付さなくてもよい。救済領域数が許容数を越えていない場合(ステップS9、No)、検査結果判定部62は、半導体集積回路を構成する全ての層のテンプレートにかかる処理が完了したか否かを判定し(ステップS10)、全ての層にかかる処理が完了していない場合(ステップS10、No)、nを1インクリメントしてステップS4に移行する。
【0036】
全ての層にかかる処理が完了した場合(ステップS10、Yes)、検査結果判定部62は、救済領域の位置情報を付加した検査結果合格の旨の判定結果D4を出力し(ステップS11)、テンプレートの製造が完了する。ここで、検査結果判定部62は、ステップS10、Yesに至った時点において救済領域に設定されている領域の位置情報を救済領域情報D41に記述し、判定結果D4に付す。テンプレートメーカは、作製したテンプレートを、検査結果合格した旨の判定結果D4とともに半導体製造業者に納品するとよい。半導体集積回路メーカは、半導体集積回路の製造工程において、救済領域情報D41により特定される救済可能領域103を冗長領域105で救済することができる。
【0037】
このように、本発明の第1の実施形態によれば、テンプレート上に検出された欠陥位置を記述した欠陥位置データD3と救済可能領域情報D21とに基づいて欠陥が救済可能領域内に位置しているか否かを判定し(ステップS4、ステップS6)、欠陥が検出された救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定し(ステップS9)、欠陥が救済可能領域外に位置している場合(ステップS6、No)または欠陥が検出された救済可能領域数が許容数を越える場合(ステップS9、Yes)、当該テンプレートを検査結果不合格とする旨の通知を出力する(ステップS7)、ように構成したので、検査結果不合格となる条件が比較例1に比べて緩和されるので、低コストでテンプレートを製造することができ、結果として低コストでナノインプリンティングを行うことが可能となる。また、テンプレートの製造にかかる納期が短縮される。
【0038】
また、欠陥が発生した救済可能領域を救済領域に設定し(ステップS8)、ステップS4においては、同一のメモリセルアレイを構成する他の層にかかるテンプレートにおいて既に救済領域が設定されている場合、当該救済領域に対応する救済可能領域を非検査領域とするようにしたので、すでに救済領域として設定された領域を各テンプレートで重複して検査する手間が省略されるので、テンプレート一式の検査にかかる時間を短縮し、結果としてテンプレートの納期をさらに短縮することができるようになる。
【0039】
また、同一のメモリセルアレイを構成する層のうちのどの層にかかるテンプレートも検査結果不合格とならなかった場合(ステップS10、Yes)、検査結果合格とする旨の判定結果D4を救済領域情報D41とともに出力する(ステップS11)ようにしたので、半導体集積回路メーカは、どの救済可能領域を救済すべきかを救済領域情報D41に基づいて判断することができるようになる。
【0040】
なお、以上の説明においては、検査装置2が欠陥位置データD3を作成するとして説明したが、検査装置2はSEM画像を撮像し、制御装置2が撮像されたSEM画像に基づいて欠陥位置データD3を作成するようにしても構わない。また、制御装置4を検査装置2内に内蔵するように構成しても構わない。また、ハードディスクなどのデータ記憶装置を制御装置4または検査装置2に備えさせ、該データ記憶装置をデータ保存用サーバ3として用いるようにしてもよい。
【0041】
また、以上の説明においては、全層の欠陥検査を終えた後、合格不合格の判定を行うようにしたが、層毎の欠陥検査が完了する毎に逐次合格不合格の判定を行うようにしてもよい。さらに、制御装置4は、i層目のテンプレートまで合格不合格の判定を終えた後、i+1層目のテンプレートにかかる非検査領域を検査装置2に通知し、検査装置2は通知された非検査領域については欠陥検査を行わないようにしてもよい。こうすることによって、検査装置2による欠陥検査にかかる時間を短縮することができるようになる。
【0042】
(第2の実施形態)
テンプレートにかかるコストを低減するために、テンプレートメーカは、検査に合格したテンプレートを元にテンプレートを複製し、半導体集積回路メーカは、複製されたテンプレートを用いて半導体集積回路を作製することが行われる。ここでは、複製元のテンプレートを親テンプレート、親テンプレートから複製されたテンプレートを子テンプレートと表現することとする。
【0043】
図6は、第2の実施形態のテンプレート製造方法を説明するフローチャートである。図示するように、まず、親テンプレートの製造が行われる(ステップS21)。親テンプレートの製造工程は第1の実施形態と同等である。続いて、検査結果合格した親テンプレートに基づいて子テンプレートの製造が行われる(ステップS22)。
【0044】
図7は、子テンプレートの製造工程を説明するフローチャートである。図示するように、まずテンプレートメーカは、検査結果合格した親テンプレートを複製することによって子テンプレートを作製する(ステップS31)。そして、検査装置2を使用して前記作製した子テンプレートの欠陥検査を実行する(ステップS32)。検査装置2は、欠陥検査を実行すると、欠陥位置データD3を出力してデータ保存用サーバ3に格納する。
【0045】
制御装置4においては、検査結果判定部62は、親テンプレートの判定結果D4を取得し、判定結果D4に付された救済領域D41を非検査領域に設定する(ステップS33)。ステップS33以降、ステップS34〜ステップ43において、図5に示したステップS3〜ステップS11と夫々同等の処理が実行される。
【0046】
図8は、親テンプレートおよび子テンプレートの各種領域を説明する図である。図示するように、親テンプレートにおいて救済領域106が設定されている場合、当該親テンプレートを複製元として作製された子テンプレートにおいては、救済領域106が非検査領域106に設定され、当該非検査領域106に新たな欠陥が発生していたとしても、合格不合格の判定時には該欠陥を考慮しない。
【0047】
以上述べたように、本発明の第2の実施形態によれば、判定対象のテンプレートが検査結果合格とする旨の通知が既に出力された同一のメモリセルアレイにかかるテンプレートのセットのうちの一つのテンプレート(親テンプレート)の複製(子テンプレート)である場合、親テンプレートのセットにかかる救済領域情報D41に基づいて、親テンプレートにおいて設定された救済領域に対応する救済可能領域を非検査領域とする(ステップS33)ようにしたので、親テンプレートと同様に、子テンプレートの製造コストを低減することができる。また、子テンプレートの納期を短縮することができる。
【0048】
(第3の実施形態)
硬化したレジストからテンプレートを離型した際、テンプレートに物理的な力がかかることによってテンプレートが破損することがある。転写工程においてテンプレートに破損による欠陥が発生すると、以降、当該欠陥が全てウェハに転写され、常に同一の箇所に欠陥を生じせしめることとなる(以降、このような欠陥をリピート欠陥という)。リピート欠陥が発生したときテンプレートが破損したとして当該テンプレートを交換するようにすると、個々のテンプレートの交換頻度が上昇し、結果として半導体集積回路の製造コストが上昇する。そこで、第3の実施形態では、欠陥の発生位置が救済可能領域内であり、かつ、一定の条件を満たしたとき、当該欠陥が発生した救済可能領域を冗長領域で救済せしめるものとし、当該テンプレートを破棄することなく使用し続けることができるようにした。
【0049】
なお、現在、ウェハの欠陥管理の手法として、発生した欠陥数(または単位面積あたりの欠陥発生率)に基づいてウェハの良・不良を評価する手法(比較例2)がある。比較例2によると、発生した欠陥数が所定のしきい値以上である場合、不良品として判定される。図9は、救済領域(非検査領域)として設定された部分について説明する図である。図9右図に示すように、ウェハ上に多数の欠陥が発生しており、第3の実施形態によればこれらの欠陥はひとつの救済可能領域103に含まれる。そして、当該救済可能領域103は救済領域106に設定される。第3の実施形態ではなく前記比較例2を適用すると、当該ウェハは欠陥数がしきい値を越え、不良品と判定される可能性がある。しかしながら、第3の実施形態によれば、いったん救済領域106に設定されると、該当部分は欠陥がどれだけ発生していようとも、発生した欠陥については全く考慮しなくなるので、不良品とされるウェハ数を低減することができるようになる。
【0050】
第3の実施形態の検査システムのハードウェア構成は第1の実施形態と同等であるので、ここでは説明を省略する。ただし、第3の実施形態の検査システムに符号7を付して第1の実施形態と区別するものとする。なお、データ保存用サーバ3には、テンプレートメーカが製造したテンプレートにかかる判定結果D4が格納されているものとする。例えば、子テンプレートを用いて転写する場合、当該子テンプレートにかかる判定結果D4が格納されているものとする。
【0051】
図10は、第3の実施形態の検査システム7の機能構成を説明する図である。図示するように、検査システム7は、検査用データ作成部71と、検査結果判定部72とを備えている。検査用データ作成部71は、データ保存用サーバ3からテンプレートパターンデータD1およびテンプレート検査用データD2を取得して、テンプレートパターンデータD1に記述されているテンプレートパターンをレジストパターンに変換するとともに、救済可能領域103および冗長領域105の位置情報をレジストパターンに対応するように変換する。検査結果判定部72は、変換された救済可能領域103に基づいてテンプレートを破棄するか使用し続けるかを判定する。また、検査結果判定部72は、テンプレートを使用し続けると判定したとき、救済領域情報D41を更新して、欠陥が新たに発生した救済可能領域103を新たに救済領域とする。
【0052】
図11は、第3の実施形態の半導体集積回路製造方法を説明するフローチャートである。図示するように、半導体集積回路メーカは、製造されたテンプレートを用いて、ウェハ上に塗布されたレジストにパターンを転写する(ステップS51)。そして、パターン転写されたウェハを所定のタイミングでサンプリングして、サンプリングしたウェハについて検査装置2を用いて欠陥検査を実行する(ステップS52)。なお、ここではウェハを抜き取り検査するものとしているが、全てのウェハについて検査を行うようにしてもよい。検査装置2は、欠陥検査を実行すると、欠陥位置データD3を出力してデータ保存用サーバ3に格納する。
【0053】
制御装置4においては、検査結果判定部72は、欠陥位置データD3を参照して、当該層における検査領域内にリピート欠陥が検出されたか否かを判定する(ステップS53)。リピート欠陥は、例えば、欠陥位置データD3をダイ間で比較することによって検出することができる。リピート欠陥が検出されていない場合(ステップS53、No)、後述のステップS60に移行する。
【0054】
リピート欠陥が検出された場合(ステップS53、Yes)、検査用データ作成部71は、当該層のテンプレート検査用データD2を変換し(ステップS54)、検査結果判定部72は、変換後の位置情報と欠陥位置データD3とを比較することによって、検出されたリピート欠陥は救済可能領域103内に位置するか否かを判定する(ステップS55)。救済可能領域103外(すなわち非救済可能領域104内)に欠陥が位置していた場合(ステップS55、No)、検査結果判定部72は、テンプレートの交換を促す旨の警告を出力する(ステップS56)。当該警告を確認した半導体集積回路メーカは、テンプレートを交換した後(ステップS57)、ステップS51に移行して新しいテンプレートでパターン転写を行う。
【0055】
発見したリピート欠陥が救済可能領域103内に位置していた場合、(ステップS55、Yes)、検査結果判定部72は、リピート欠陥が検出された救済可能領域103を冗長領域105で救済する救済領域とし、該救済領域を新たに非検査領域に設定する(ステップS58)。そして、検査結果判定部72は、救済領域数が予め設定された許容数を越えるか否かを判定し(ステップS59)、救済領域数が許容数を越えた場合(ステップS59、Yes)、ステップS56に移行する。
【0056】
なお、リピート欠陥は、テンプレートの破損のほかにも発生する場合がある。例えば、転写工程実施時に発生する微粒子がテンプレートに付着すると、以降、ウェハには当該微粒子による欠陥がリピート欠陥として現れる。そこで、半導体集積回路メーカは、リピート欠陥が破損以外の回復可能な原因で生じたものである場合、警告され取り外されたテンプレートを破棄するのではなく、再利用するようにしてもよい。例えば、半導体集積回路メーカは、テンプレートの交換を促す旨の警告(ステップS56)を確認すると、テンプレートを交換するとともに、警告され取り外されたテンプレートを点検・分析し、破損以外の原因でリピート欠陥が発生していたことが判明した場合、当該取り外したテンプレートを洗浄するなどによってリピート欠陥の原因を取り除いて、再度ステップS51で用いるようにしてもよい。このようにすることによってテンプレートの寿命をさらに延ばすことができる。半導体集積回路メーカは、警告が出力された後、再度同じテンプレートを用いる場合、非検査領域の初期値設定に当該テンプレートの警告時の救済領域情報D41ではなく納品時における救済領域情報D41を用いるとよい。または、警告時の救済領域情報D41に対して洗浄により取り除いたリピート欠陥にかかる救済領域を救済可能領域とする編集を施して使用するようにしてもよい。
【0057】
救済領域数が許容数を越えていない場合(ステップS59、No)、検査結果判定部72は、欠陥位置データD3を確認して検査領域内に許容数を越えるランダム欠陥が発生しているか否かを判定する(ステップS60)。ランダム欠陥とは、転写工程におけるプロセスのばらつきやプロセス中に発生した微粒子などに起因してランダムな位置に発生する欠陥をいう。なお、ランダム欠陥の許容数はリピート欠陥の許容数とは別に設定されているものとしている。
【0058】
ランダム欠陥が許容数を越えていない場合(ステップS60、No)、テンプレートを交換することなくステップS51に移行して別のウェハに対してパターン転写を行う。許容数を越えるランダム欠陥が発生している場合(ステップS60、Yes)、半導体集積回路メーカは、当該レジストを剥離してレジストを再塗布し(ステップS61)、テンプレートを交換することなくステップS51に移行して、レジストを再塗布したレジストにパターン転写を行う。
【0059】
このように、第3の実施形態によれば、テンプレートに形成されたテンプレートパターンをウェハに塗布されたレジストに転写し(ステップS51)、レジストパターンの欠陥検査を実行して欠陥検査データD3を出力し(ステップS52)、欠陥位置データD3と救済可能領域情報D21とに基づいてリピート欠陥が救済可能領域内に位置しているか否かを判定し(ステップS53、ステップS55)、リピート欠陥が検出された救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定し(ステップS59)、リピート欠陥が救済可能領域外に位置している場合(ステップS55、No)またはリピート欠陥が検出された救済可能領域数が許容数を越える場合(ステップS59、Yes)、テンプレートの交換を促す旨の警告を出力する(ステップS56)ように構成したので、テンプレートの寿命を延し、結果として低コストでナノインプリンティングを行うことが可能となる。
【0060】
また、リピート欠陥が発生した救済可能領域を救済領域に設定(ステップS58)し、同一のテンプレートで作製されたウェハにおいて既に救済領域が設定されている場合、当該救済領域に対応する救済可能領域を非検査領域とするようにしたので、すでに救済領域として設定された領域を各ウェハで重複して検査する手間が省略されるので、ウェハの検査にかかる時間を短縮し、結果として半導体集積回路の納期を短縮することができるようになる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1、7 検査システム、2 検査装置、3 データ保存用サーバ、4 制御装置、5 CD−ROM、43 ネットワークインタフェース、45 CD−ROMドライブ、46 入力装置、47 出力装置、48 検査プログラム、61、71 検査用データ作成部、62、72 検査結果判定部、101 メモリセルアレイ、102 メモリチップ、103 救済可能領域、104 非救済可能領域、105 冗長領域、106 救済領域(非検査領域)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
救済可能領域と、前記救済可能領域に置換可能な冗長領域とを備えるメモリセルアレイを製造するためのテンプレートの検査方法であって、
欠陥を検出したテンプレートの欠陥位置と救済可能領域の位置情報とに基づいて前記検出した欠陥が救済可能領域内に位置しているか否かを判定する第1判定ステップと、
前記欠陥が検出された救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定する第2判定ステップと、
前記検出した欠陥が救済可能領域外に位置している場合または前記欠陥が検出された救済可能領域数が前記許容数を越える場合、当該テンプレートを検査結果不合格とする旨の通知を出力する不合格通知ステップと、
を備えることを特徴とする検査方法。
【請求項2】
前記欠陥が発生した救済可能領域を前記冗長領域で置換する救済領域に設定する救済領域設定ステップをさらに備え、
前記第1判定ステップでは、同一のメモリセルアレイを構成する他の層にかかるテンプレートにおいて既に救済領域が設定されている場合、当該救済領域に対応する救済可能領域を判定対象から除外する、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
同一のメモリセルアレイを構成する層のうちのどの層にかかるテンプレートも検査結果不合格とならなかった場合、検査結果合格とする旨の通知を救済領域の位置情報とともに出力する合格通知ステップをさらに備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記第1判定ステップでは、判定対象のテンプレートが検査結果合格とする旨の通知が既に出力された同一のメモリセルアレイにかかるテンプレート一式に含まれる一のテンプレートの複製である場合、前記一式のテンプレートにかかる救済領域の位置情報に基づいて、前記一式のテンプレートにおいて設定された救済領域に対応する救済可能領域を判定対象から除外する、
ことを特徴とする請求項3に記載の検査方法。
【請求項5】
救済可能領域と、前記救済可能領域に置換可能な冗長領域とを備えるメモリセルアレイを当該メモリセルアレイのテンプレートを用いて製造するテンプレート製造方法であって、
テンプレートを作製する作製工程と、
前記作製したテンプレートの欠陥検査を実行して検出した欠陥の位置を出力する欠陥検査工程と、
前記出力された欠陥位置と救済可能領域の位置情報とに基づいて前記検出した欠陥が救済可能領域内に位置しているか否かを判定する第1判定ステップと、
前記欠陥が検出された救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定する第2判定ステップと、
前記検出した欠陥が救済可能領域外に位置している場合または前記欠陥が検出された救済可能領域数が前記許容数を越える場合、当該テンプレートを検査結果不合格とする旨の通知を出力する不合格通知ステップと、
を備えることを特徴とするテンプレート製造方法。
【請求項6】
前記欠陥が発生した救済可能領域を前記冗長領域で置換する救済領域に設定する救済領域設定ステップをさらに備え、
前記第1判定ステップでは、同一のメモリセルアレイを構成する他の層にかかるテンプレートにおいて既に救済領域が設定されている場合、当該救済領域に対応する救済可能領域を判定対象から除外する、
ことを特徴とする請求項5に記載のテンプレート製造方法。
【請求項7】
同一のメモリセルアレイを構成する層のうちのどの層にかかるテンプレートも検査結果不合格とならなかった場合、検査結果合格とする旨の通知を救済領域の位置情報とともに出力する合格通知ステップをさらに備える、
ことを特徴とする請求項6に記載のテンプレート製造方法。
【請求項8】
前記第1判定ステップでは、判定対象のテンプレートが検査結果合格とする旨の通知が既に出力された同一のメモリセルアレイにかかるテンプレート一式に含まれる一のテンプレートの複製である場合、前記一式のテンプレートにかかる救済領域の位置情報に基づいて、前記一式のテンプレートにおいて設定された救済領域に対応する救済可能領域を判定対象から除外する、
ことを特徴とする請求項7に記載のテンプレート製造方法。
【請求項9】
救済可能領域と、前記救済可能領域に置換可能な冗長領域とを備えるメモリセルアレイを製造するためのテンプレートを用いた半導体集積回路製造方法であって、
テンプレートに形成されたテンプレートパターンをウェハに塗布されたレジストに転写する転写ステップと、
前記レジストに転写されたレジストパターンの欠陥検査を実行して検出した欠陥の位置を出力する欠陥検査ステップと、
前記出力された欠陥位置と救済可能領域の位置情報とに基づいて、リピート欠陥が救済可能領域内に発生しているか否かを判定する第1判定ステップと、
リピート欠陥が発生した救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定する第2判定ステップと、
リピート欠陥が救済可能領域外に発生している場合またはリピート欠陥が発生した救済可能領域数が前記許容数を越える場合、前記転写工程にて使用されるテンプレートの交換を促す旨の警告を出力する警告出力ステップと、
を備えることを特徴とする半導体集積回路製造方法。
【請求項10】
前記リピート欠陥が発生した救済可能領域を前記冗長領域で置換する救済領域に設定する救済領域設定ステップをさらに備え、
前記第1判定ステップでは、同一のテンプレートで作製されたウェハにおいて既に救済領域が設定されている場合、当該救済領域に対応する救済可能領域を判定対象から除外する、
ことを特徴とする請求項9に記載の半導体集積回路製造方法。
【請求項11】
救済可能領域と、前記救済可能領域に置換可能な冗長領域とを備えるメモリセルアレイを製造するためのテンプレートの検査システムであって、
テンプレートの欠陥検査を実行して検出した欠陥の位置を出力する欠陥検査部と、
前記出力された欠陥位置と救済可能領域の位置情報とに基づいて前記検出した欠陥が救済可能領域内に位置しているか否かを判定し、前記欠陥が検出された救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定し、前記検出した欠陥が救済可能領域外に位置している場合または前記欠陥が検出された救済可能領域数が前記許容数を越える場合、当該テンプレートを検査結果不合格とする旨の通知を出力する判定部と、
を備えることを特徴とする検査システム。
【請求項1】
救済可能領域と、前記救済可能領域に置換可能な冗長領域とを備えるメモリセルアレイを製造するためのテンプレートの検査方法であって、
欠陥を検出したテンプレートの欠陥位置と救済可能領域の位置情報とに基づいて前記検出した欠陥が救済可能領域内に位置しているか否かを判定する第1判定ステップと、
前記欠陥が検出された救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定する第2判定ステップと、
前記検出した欠陥が救済可能領域外に位置している場合または前記欠陥が検出された救済可能領域数が前記許容数を越える場合、当該テンプレートを検査結果不合格とする旨の通知を出力する不合格通知ステップと、
を備えることを特徴とする検査方法。
【請求項2】
前記欠陥が発生した救済可能領域を前記冗長領域で置換する救済領域に設定する救済領域設定ステップをさらに備え、
前記第1判定ステップでは、同一のメモリセルアレイを構成する他の層にかかるテンプレートにおいて既に救済領域が設定されている場合、当該救済領域に対応する救済可能領域を判定対象から除外する、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
同一のメモリセルアレイを構成する層のうちのどの層にかかるテンプレートも検査結果不合格とならなかった場合、検査結果合格とする旨の通知を救済領域の位置情報とともに出力する合格通知ステップをさらに備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記第1判定ステップでは、判定対象のテンプレートが検査結果合格とする旨の通知が既に出力された同一のメモリセルアレイにかかるテンプレート一式に含まれる一のテンプレートの複製である場合、前記一式のテンプレートにかかる救済領域の位置情報に基づいて、前記一式のテンプレートにおいて設定された救済領域に対応する救済可能領域を判定対象から除外する、
ことを特徴とする請求項3に記載の検査方法。
【請求項5】
救済可能領域と、前記救済可能領域に置換可能な冗長領域とを備えるメモリセルアレイを当該メモリセルアレイのテンプレートを用いて製造するテンプレート製造方法であって、
テンプレートを作製する作製工程と、
前記作製したテンプレートの欠陥検査を実行して検出した欠陥の位置を出力する欠陥検査工程と、
前記出力された欠陥位置と救済可能領域の位置情報とに基づいて前記検出した欠陥が救済可能領域内に位置しているか否かを判定する第1判定ステップと、
前記欠陥が検出された救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定する第2判定ステップと、
前記検出した欠陥が救済可能領域外に位置している場合または前記欠陥が検出された救済可能領域数が前記許容数を越える場合、当該テンプレートを検査結果不合格とする旨の通知を出力する不合格通知ステップと、
を備えることを特徴とするテンプレート製造方法。
【請求項6】
前記欠陥が発生した救済可能領域を前記冗長領域で置換する救済領域に設定する救済領域設定ステップをさらに備え、
前記第1判定ステップでは、同一のメモリセルアレイを構成する他の層にかかるテンプレートにおいて既に救済領域が設定されている場合、当該救済領域に対応する救済可能領域を判定対象から除外する、
ことを特徴とする請求項5に記載のテンプレート製造方法。
【請求項7】
同一のメモリセルアレイを構成する層のうちのどの層にかかるテンプレートも検査結果不合格とならなかった場合、検査結果合格とする旨の通知を救済領域の位置情報とともに出力する合格通知ステップをさらに備える、
ことを特徴とする請求項6に記載のテンプレート製造方法。
【請求項8】
前記第1判定ステップでは、判定対象のテンプレートが検査結果合格とする旨の通知が既に出力された同一のメモリセルアレイにかかるテンプレート一式に含まれる一のテンプレートの複製である場合、前記一式のテンプレートにかかる救済領域の位置情報に基づいて、前記一式のテンプレートにおいて設定された救済領域に対応する救済可能領域を判定対象から除外する、
ことを特徴とする請求項7に記載のテンプレート製造方法。
【請求項9】
救済可能領域と、前記救済可能領域に置換可能な冗長領域とを備えるメモリセルアレイを製造するためのテンプレートを用いた半導体集積回路製造方法であって、
テンプレートに形成されたテンプレートパターンをウェハに塗布されたレジストに転写する転写ステップと、
前記レジストに転写されたレジストパターンの欠陥検査を実行して検出した欠陥の位置を出力する欠陥検査ステップと、
前記出力された欠陥位置と救済可能領域の位置情報とに基づいて、リピート欠陥が救済可能領域内に発生しているか否かを判定する第1判定ステップと、
リピート欠陥が発生した救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定する第2判定ステップと、
リピート欠陥が救済可能領域外に発生している場合またはリピート欠陥が発生した救済可能領域数が前記許容数を越える場合、前記転写工程にて使用されるテンプレートの交換を促す旨の警告を出力する警告出力ステップと、
を備えることを特徴とする半導体集積回路製造方法。
【請求項10】
前記リピート欠陥が発生した救済可能領域を前記冗長領域で置換する救済領域に設定する救済領域設定ステップをさらに備え、
前記第1判定ステップでは、同一のテンプレートで作製されたウェハにおいて既に救済領域が設定されている場合、当該救済領域に対応する救済可能領域を判定対象から除外する、
ことを特徴とする請求項9に記載の半導体集積回路製造方法。
【請求項11】
救済可能領域と、前記救済可能領域に置換可能な冗長領域とを備えるメモリセルアレイを製造するためのテンプレートの検査システムであって、
テンプレートの欠陥検査を実行して検出した欠陥の位置を出力する欠陥検査部と、
前記出力された欠陥位置と救済可能領域の位置情報とに基づいて前記検出した欠陥が救済可能領域内に位置しているか否かを判定し、前記欠陥が検出された救済可能領域数が予め定められた許容数を越えるか否かを判定し、前記検出した欠陥が救済可能領域外に位置している場合または前記欠陥が検出された救済可能領域数が前記許容数を越える場合、当該テンプレートを検査結果不合格とする旨の通知を出力する判定部と、
を備えることを特徴とする検査システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−44090(P2012−44090A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186044(P2010−186044)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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