説明

検査装置及び方法並びに濾過ユニットの製造機

【課題】血液濾過ユニット内における、血球濾過膜の有無と表裏を自動的に判別する。
【解決手段】血液濾過ユニット11の直上位置に配置された光源29から、血液濾過ユニット11内の収納室18に向けて紫外光を照射する。血液濾過ユニット11外に配置された光検出器30により、収納室18内の蛍光発光量を検出する。検査装置34は、光検出器30が検出した蛍光光量を予め定めた2段階の低光量しきい値Ta及び高光量しきい値Tbと比較して、「NG(濾過膜無)」、「NG(濾過膜裏)」、及び「OK」のいずれかの判定を行う。血液濾過ユニット11内における、血球濾過膜16の有無と表裏を自動的に判別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納容器内のフィルタの有無及びその表裏を判別する検査装置及び方法、並びにこの検査装置を備える濾過ユニットの製造機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、血液から分離した血漿を検体として、血液中の蛋白質、脂質、電解質、酵素、抗原、抗体などの各種成分の種類や濃度の測定が行われている。血液からの血漿の分離には、濾過により血液から血漿を分離する血液濾過ユニットが用いられる(特許文献1参照)。
【0003】
血液濾過ユニットは、大別して、透明な有底筒状のホルダと、このホルダの上部に開口した収納室の開口に密着固定される透明な蓋と、収納室内に収納された、血液中の血球を除去して血漿を通す血球濾過繊維及び血球濾過フィルタとからなる。ホルダの下端部には、収納室に連通するノズル状血液入口が設けられている。蓋には、血漿を貯留するカップと、血球濾過繊維及び血球濾過フィルタを透過した血漿をカップへ案内する血漿通路とが設けられている。
【0004】
血球濾過繊維は、ガラス繊維などで構成されており、収納室の底部にセットされる。血球濾過フィルタは、その表裏面に開口した多数の孔を有しており、さらに表面の孔の口径より裏面の孔の口径が大きく形成されている。この血球濾過フィルタは、裏面が下面となるように血球濾過繊維上にセットされる。
【0005】
このような血液濾過ユニットの製造工程では、シート状の血球濾過フィルタを円形に内抜き加工して、収納室内の血球濾過繊維上にセットするが、何らかの不具合により血球濾過フィルタがセットされない、あるいは表裏反対にセットされる場合がある。このような場合には、血液濾過ユニットが正常な濾過を行うことができず、血液中の各種成分の測定が正常に行うことができない。このため、従来では、検査員が血液濾過ユニットの完成品を目視検査して、血球濾過フィルタの有無や表裏を判別していたが、血液濾過ユニットの外側からの観察であり、さらに血球濾過繊維と血球濾過フィルタとが共に白色であるため、判別が困難であるという問題があった。
【0006】
特許文献2には、連続走行する蛍光性の被検査材に対して紫外光を照射するとともに、被検査材の蛍光量を光センサで測定して、この測定結果と所定のしきい値とを比較することにより被検査材の継ぎ目を検出する検出装置が記載されている。血球濾過フィルタは紫外光を受けて蛍光発光するポリスルホンを含むので、特許文献2の記載に基づき、血液濾過ユニット内に紫外光を照射して血液濾過ユニット内の蛍光光量を測定することで、血球濾過フィルタの有無を自動的に検出することができる。
【0007】
特許文献3には、記録紙の搬送経路上に透過型及び反射型のフォトセンサを設け、各フォトセンサの検出結果と、各フォトセンサごとにそれぞれ定められた2段階のしきい値とを比較することにより、記録紙の有無と種類を判別するプリンタが記載されている。この特許文献3の記載に基づき、透過型及び反射型のフォトセンサを用いて血球濾過フィルタの有無とその表裏を判別する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−295301号公報
【特許文献2】特開昭62−54106号公報
【特許文献3】特開2010−202307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2に記載の方法では、血液濾過ユニット内の血球濾過フィルタの有無を自動的に検出することができるが、血球濾過フィルタの表裏を判別することができない。また、特許文献3に記載の方法では、血球濾過フィルタに向けて照射された検査光の反射光を反射型フォトセンサで受光する必要がある。この際に、血球濾過フィルタは透明な血液濾過ユニット内に収納されているため、検査光が血液濾過ユニットの表面で反射し、この反射光が反射型フォトセンサで受光されてしまう。その結果、特許文献3に記載の方法では、血液濾過ユニット内の血球濾過フィルタの有無とその表裏を判別することはできない。
【0010】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、収納容器内における、血球濾過フィルタなどのフィルタの有無とその表裏を自動的に判別可能な検査装置及び方法、並びにこの検査装置を備える濾過ユニットの製造機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の検査装置は、特定の波長の光を吸収して蛍光発光する材料を含みかつ表面と裏面とで表面状態が異なるフィルタを収納する収納室と、前記収納室内の前記フィルタへ液体を導く液入口と、当該フィルタを透過した液体を前記収納室外へ導く液出口とを有する透明な収納容器内における、前記フィルタの存在の有無とその表裏を判別する検査装置において、前記収納容器外に設けられ、前記収納容器を通して前記収納室内へ前記光を照射する光源と、前記収納容器外に設けられ、前記収納容器を通して前記収納室内に生じた蛍光の光量を検出する光検出手段と、前記光検出手段の検出結果を、前記フィルタの存在の有無に応じて予め定めた前記光量の第1しきい値、及び前記フィルタの表裏面の表面状態の違いに応じて予め定めた、前記第1しきい値よりも大きい前記光量の第2しきい値とそれぞれ比較して、前記フィルタの存在の有無及びその表裏を判別する判別手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
前記フィルタはその表裏面を貫通する多数の孔を有するとともに、前記表面の孔の平均口径よりも前記裏面の孔の平均口径が大きく形成されており、前記判別手段は、前記光検出手段の検出結果が前記第1しきい値以下のときに、前記収納室内に前記フィルタが無いと判別するとともに、前記検出結果が前記第2しきい値を上回るときに、前記フィルタの前記光が照射された面が裏面であると判別することが好ましい。
【0013】
前記収納室内には、前記フィルタと前記液入口との間に位置するように、前記光の照射を受けても蛍光発光しない濾過繊維が設けられており、前記光源は、前記濾過繊維の前記フィルタと対向する面上に向けて前記光を照射可能な位置に配置されているとともに、前記光検出手段は、前記面上で生じた蛍光を検出可能な位置に配置されていることが好ましい。
【0014】
前記収納容器は、上面が開口しかつ前記フィルタの外周を囲む有底筒状に形成されたホルダであって、その内周面により形成された前記収納室、及び底面に設けられた前記液入口を有するホルダと、前記液出口を有し、前記ホルダの上面の開口を塞ぐ蓋とからなり、前記光源は、前記蓋の直上位置に配置されているとともに、前記光検出手段は、前記直上位置に対して斜めに傾いた位置に配置されていることが好ましい。
【0015】
前記収納容器は、上面が開口しかつ前記フィルタの外周を囲む有底筒状に形成されたホルダであって、その内周面により形成された前記収納室、及び底面に設けられた前記液入口を有するホルダと、前記液出口を有し、前記ホルダの上面の開口を塞ぐ蓋とからなり、前記光源は、前記蓋の直上位置に配置されたリング照明であるとともに、前記光検出手段は、前記蓋の直上位置に配置され、前記収納室内のエリアを複数に分割した小エリアごとのエリア画像を取得するエリアカメラと、前記エリアカメラが取得した特定の小エリアのエリア画像の輝度を、前記光量に相当するものとして検出する輝度検出手段とを備え、前記判別手段は、前記輝度検出手段の検出結果と、前記第1しきい値及び第2しきい値とを比較して、前記フィルタの存在の有無及びその表裏を判別することが好ましい。
【0016】
前記判別手段は、前記エリア画像を解析して、前記フィルタの前記光が照射された面上への異物の付着の有無を判別することが好ましい。
【0017】
前記光検出手段は、その光検出面の前方に前記光を遮断する遮断フィルタを備えることが好ましい。
【0018】
前記フィルタは、血液中の血球を除去して血漿を通す血球濾過フィルタであることが好ましい。
【0019】
前記蛍光発光する材料は、ポリスルホンであることが好ましい。
【0020】
また、本発明の濾過ユニットの製造機は、特定の波長の光を吸収して蛍光発光する材料を含みかつ表面と裏面とで表面状態が異なるフィルタを収納する収納室と、前記収納室内の前記フィルタへ液体を導く液入口と、当該フィルタを透過した液体を前記収納室外へ導く液出口とを有する透明な収納容器内に、前記フィルタを組み込んで濾過ユニットを生成する組込装置と、前記収納容器内における前記フィルタの存在の有無とその表裏を判別する請求項1ないし9いずれか1項記載の検査装置と、を備えることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の検査方法は、特定の波長の光を吸収して蛍光発光する材料を含みかつ表面と裏面とで表面状態が異なるフィルタを収納する収納室と、前記収納室内の前記フィルタへ液体を導く液入口と、当該フィルタを透過した液体を前記収納室外へ導く液出口とを有する透明な収納容器内における、前記フィルタの存在の有無とその表裏を判別する検査方法において、前記収納容器外から、前記収納容器を通して前記収納室内へ前記光を照射する照射ステップと、前記収納容器外から、前記収納容器を通して前記収納室内に生じた蛍光の光量を検出する検出ステップと、前記検出ステップでの検出結果を、前記フィルタの存在の有無に応じて予め定めた前記光量の第1しきい値、及び前記フィルタの表裏面の表面状態の違いに応じて予め定めた、前記第1しきい値よりも大きい前記光量の第2しきい値とそれぞれ比較して、前記フィルタの存在の有無及びその表裏を判別する判別ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の検査装置及び方法並びに濾過ユニットの製造機は、収納容器の内部に生じた蛍光の光量を検出し、この検出結果と予め定めた第1しきい値及び第2しきい値とを比較することで、フィルタの存在の有無及びその表裏を判別するので、収納容器の表面で光の反射の影響を受けることなく、この収納容器内のフィルタの有無とその表裏を自動的に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態の検査装置の概略図である。
【図2】血球濾過フィルタの製造法を説明するための説明図である。
【図3】血球濾過フィルタの断面図である。
【図4】判別回路の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】検査装置の検査処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態の検査装置の概略図である。
【図7】第3実施形態の検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】リング照明をその下方から見た下面図である。
【図9】エリアカメラの側面図である。
【図10】第3実施形態の検査装置の検査処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】特定小エリアの抽出処理を説明するための説明図である。
【図12】第4実施形態の検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図13】第1実施形態の検査装置を備える血液濾過ユニット製造機の概略図である。
【図14】血液濾過ユニット製造機の製造処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
図1に示すように、検査装置10は、血液濾過ユニット11が不良品であるか否かを検査する。血液濾過ユニット11は濾過により血液から血漿を分離する。この血液濾過ユニット11は、大別して、ホルダ13及び蓋14からなる収納容器11aと、血球濾過繊維(以下、単に濾過繊維という)15と、血球濾過フィルタ(以下、単に濾過フィルタという)16と、収納容器11aを保持する容器保持部(図示せず)とからなる。濾過繊維15及び濾過フィルタ16は血液中の血球を除去して血漿を通す。
【0025】
ホルダ13は、ポリスチレン樹脂などの透明樹脂材料で形成されており、上面が開口した有底筒状を有している。このホルダ13は、その内周面により形成される収納室18を有している。この収納室18には、濾過繊維15及び濾過フィルタ16がセットされる。また、ホルダ13の底面には、下方に延びたノズル状血液入口19が設けられている。ノズル状血液入口19は収納室18に連通している。このノズル状血液入口19には、血液濾過の際に吸引ノズル(図示せず)がセットされる。
【0026】
蓋14は、ポリスチレン樹脂などの透明樹脂材料で形成されており、ホルダ13の開口に密着固定されている。蓋14の底面は収納室18の上面を構成する。蓋14の上面には、円筒状の外壁21と、円筒状のカップ22と、略煙突状の血漿通路(液出口)23とが設けられている。
【0027】
カップ22は、外壁21の内側に設けられており、濾過繊維15及び濾過フィルタ16を透過した血漿を貯留する。血漿通路23は、カップ22の外周に固定されている。また、血漿通路23は、その下端部が蓋14を貫通して蓋14の底面上に開口し、その上端部がカップ22の開口周縁部上で開口している。血漿通路23は、濾過繊維15及び濾過フィルタ16を透過した血漿をカップ22まで導く。
【0028】
濾過繊維15は、収納室18の底部に複数積層されている。この濾過繊維15は、例えばガラス繊維などの血液から血球を除去するとともに、血漿を通す各種の繊維で形成されている。また、濾過繊維15を形成する繊維としては、紫外光を受けて蛍光発光しないようなものが選択されている。なお、図中では4層の濾過繊維15が収納室18内にセットされているが、3層以下あるいは5層以上であってもよい。
【0029】
濾過フィルタ16は、その表面と裏面とで表面状態が異なるように形成されており、裏面が下面となるように濾過繊維15上にセットされる。この濾過フィルタ16は、例えば、ポリスルホン(ポリサルホンともいう)、ポリビニルヒロリドン、塩化リチウムなどからなり、血液から血球を除去するとともに血漿を通す。
【0030】
図2に示すように、濾過フィルタ16は、例えばポリスルホン等からなる濾過フィルタ材料液を支持体25上に塗布・乾燥させた後、支持体25から剥離することにより生成される。また、濾過フィルタ16を形成する材料のうち、少なくともポリスルホンが紫外光の照射を受けて蛍光発光することが発明者の行った実験により確認されている。このため、濾過フィルタ16は、紫外光の照射を受けて蛍光発光する。
【0031】
濾過フィルタ16には、その表裏面を貫通する多数の孔26が形成されており、図3はその様子を模式的に表している。各孔26は、濾過フィルタ16の表面側の平均的な口径D1が裏面側の平均的な口径D2よりも小さくなるように形成されている。このため、濾過フィルタ16は、その表面と裏面とで表面状態が異なっている。
【0032】
以上のような構成の血液濾過ユニット11は、ノズル状血液入口19から吸引された血液を濾過繊維15及び濾過フィルタ16で濾過する。そして、濾過繊維15及び濾過フィルタ16を透過した血漿が、血漿通路23を通ってカップ22内に流れ込み、このカップ22に貯留される。
【0033】
図1に戻って、検査装置10は、濾過繊維15上における濾過フィルタ16の有無及びその表裏を判別して、血液濾過ユニット11が不良品であるか否かを検査する。具体的に検査装置10は、濾過繊維15上に濾過フィルタ16がセットされていない場合、及び濾過フィルタ16の表裏面が上下逆にセットされている場合には、血液濾過ユニット11が不良品であると判定する。
【0034】
検査装置10は、光源29と、光検出器30と、装置本体31とから構成される。光源29は、蓋14の直上位置に配置されている。光源29は、蓋14の略直上位置から収納室18内、より具体的には濾過フィルタ16に向けて紫外光を照射する紫外LEDスポット照明となっている。紫外光は、濾過フィルタ16が蛍光発光する特定の波長、具体的には中心波長が365nmに調整されている。
【0035】
光検出器30は、蓋14の直上位置に対して傾き角θだけ傾いた位置に配置されている。光検出器30は、例えばGaAsPフォトダイオード(図示せず)を有しており、このフォトダイオードで収納室18内、より具体的には濾過フィルタ16により生じた蛍光の光量を検出する。この検出結果は、装置本体31に入力される。また、傾き角θは、例えば30°に設定されている。
【0036】
装置本体31には、CPU33、本発明の判別手段に相当する判別回路34、及びモニタ35が設けられている。また、装置本体31には、図示は省略するが検査開始操作や各種の設定操作を行うための操作パネルが設けられている。CPU33は、装置本体31の各部、光源29、及び光検出器30に信号線で接続されており、これらを統括的に制御する。
【0037】
判別回路34は、光検出器30の検出結果に基づき、濾過フィルタ16の有無及びその表裏を判別する。モニタ35は、CPU33の制御の下、判別回路34の判別結果を表示する。
【0038】
図4に示すように、判別回路34は、第1比較回路37と、第2比較回路38と、判定回路39とを備えている。第1比較回路37は、光検出器30から入力された蛍光光量と、予め定めた低光量しきい値(第1しきい値)Taとを比較し、この比較結果を判定回路39へ出力する。
【0039】
低光量しきい値Taは、収納室18内の濾過フィルタ16上での蛍光発光の有無を判別するためのしきい値である。この低光量しきい値Taは、例えば、濾過フィルタ16の存在を確実に判定可能な蛍光光量の最小値に設定されている。これにより、濾過繊維15上に濾過フィルタ16がセットされている場合には、光検出器30により検出される蛍光光量が低光量しきい値Taを確実に上回る。
【0040】
第2比較回路38は、光検出器30から入力された蛍光光量と、予め定めた高光量しきい値(第2しきい値)Tbとを比較し、この比較結果を判定回路39へ出力する。高光量しきい値Tbは、濾過フィルタ16の表裏を判別するためのしきい値であり、少なくとも低光量しきい値Taよりも高い値に設定されている。
【0041】
具体的には、図3に示したように孔26の平均口径D2>平均口径D1となるので、濾過フィルタ裏面の表面積は、孔26の内壁面の面積の分だけ濾過フィルタ表面の表面積よりも大きくなる。このため、光源29から濾過フィルタ表面及び濾過フィルタ裏面にそれぞれ同じ光量の紫外光を照射したときに、表面積の大きい後者の方が蛍光の発光量が大きくなる。このため、高光量しきい値Tbは、濾過フィルタ裏面の蛍光発光量未満となるような値に設定されている。これにより、濾過フィルタ16の表裏面が上下逆にセットされている場合には、光検出器30により検出される蛍光光量が高光量しきい値Tbを確実に上回る。
【0042】
なお、低光量しきい値Ta及び高光量しきい値Tbは、濾過フィルタ16の面積や品種、孔26の口径などに応じて、実験やシミュレーション等により求められた最適な値に設定される。また、1回の検査にあたって光検出器30による検出は所定時間行われるので、第1〜第2比較回路37,38は、光検出器30から入力される蛍光光量の平均値を求め、この平均の蛍光光量と、低光量しきい値Ta及び高光量しきい値Tbとの比較を行う。
【0043】
判定回路39は、第1〜第2比較回路37,38の比較結果に基づき、濾過フィルタ16がセットされていない場合には「NG(濾過フィルタ無)」と判定し、濾過フィルタ16の裏面が上面となるようにセットされている場合には「NG(濾過フィルタ裏)」と判定する。また、判定回路39は、濾過フィルタ16がセットされ、かつこの濾過フィルタ16の表面が上面となる場合(以下、単に正常セットという)には、「OK」と判定する。具体的に、判定回路39は、第1比較回路37及び第2比較回路38の比較結果に基づき、データテーブル40を参照して、「NG(濾過フィルタ無)」、「NG(濾過フィルタ裏)」、「OK」のいずれかの判定を行う。
【0044】
データテーブル40には、蛍光光量Pと、その大きさに応じた判定結果(「NG(濾過フィルタ無)」、「NG(濾過フィルタ裏)」、「OK」)とが対応付けられている。判定回路39は、P≦Taのときは「NG(濾過フィルタ無)」と判定し、Ta<P≦Tbのときは「OK」と判定し、P>Tbのときは「NG(濾過フィルタ裏)」と判定する。これにより、血液濾過ユニット11内の濾過フィルタ16の有無及びその表裏を判別することができる。
【0045】
次に、図5を用いて上記構成の検査装置10の作用について説明を行う。血液濾過ユニット11を検査装置10にセットした後、装置本体31の操作パネルで検査開始操作がなされる。
【0046】
検査開始操作がなされると、CPU33は光源29をONにする。これにより、光源29からその直下の収納室18内に向けて紫外光が照射される。ここで光源29が、現在の位置とは異なる位置から収納室18に向けて斜め方向に紫外光を照射した場合には、血漿通路23の位置によってはその表面で反射した正反射光が光検出器30に入射するおそれがある。この正反射光の強度は濾過フィルタ16の蛍光発光の強度よりも格段に高いため、判別回路34による判別が正確に行われないおそれがある。
【0047】
これに対して検査装置10では、収納室18の直上位置から収納室18に向けて紫外光の照射を行うので、光検出器30への正反射光の入射を抑えることができる。その結果、検査の精度を向上させることができる。そして、濾過フィルタ16が収納室18内の濾過繊維15上にセットされている場合には、濾過フィルタ16が紫外光を受けて蛍光発光する。
【0048】
次いで、CPU33は光検出器30及び判別回路34を作動させる。これにより、光検出器30が収納室18内に生じた蛍光の光量を検出して、この検出結果を判別回路34の第1比較回路37と、第2比較回路38とにそれぞれ出力する。CPU33は所定時間経過後に光源29及び光検出器30をOFFにする。
【0049】
第1比較回路37は、所定時間の間に光検出器30が検出した蛍光光量Pの平均値を求め、この平均の蛍光光量Pと低光量しきい値Taとの大小を比較した比較結果を判定回路39へ送る。また、第2比較回路38は、蛍光光量Pの平均値を求め、この平均の蛍光光量Pと高光量しきい値Tbとの大小を比較した比較結果を判定回路39へ送る。
【0050】
判定回路39は、第1〜第2比較回路37,38からそれぞれ入力される比較結果に基づき、データテーブル40を参照して、「NG(濾過フィルタ無)」、「NG(濾過フィルタ裏)」、及び「OK」のいずれかの判定を行う。光検出器30で検出した蛍光光量Pを、2段階の低光量しきい値Ta及び高光量しきい値Tbと比較することにより、収納室18内の濾過フィルタ16の有無及びその表裏を自動的に判別することができる。また、判別回路34による判別は濾過フィルタ16の蛍光光量の検出結果に基づき行われるので、判別結果はホルダ13や蓋14の表面での紫外光の反射の影響を殆ど受けない。その結果、判別回路34による判別を精度良く行うことができる。これにより、不良品の出荷が防止される。
【0051】
判別回路34の判別結果として、判定回路39の判定結果(「NG(濾過フィルタ無)」、「NG(濾過フィルタ裏)」、「OK」)がCPU33に入力される。CPU33は、判定回路39の判定結果をモニタ35に表示させる。これにより、血液濾過ユニット11が不良品か否かが判る。以上で1つの血液濾過ユニット11の検査が完了する。そして、別の血液濾過ユニット11の検査を行う場合には、上述の処理が繰り返し実行される。
【0052】
[第2実施形態]
次に、図6を用いて本発明の第2実施形態の検査装置45について説明を行う。上記第1実施形態では、光源29を血液濾過ユニット11の略鉛直上方に配置することにより、血漿通路23の表面で反射した紫外光の正反射光が光検出器30に入射することを抑えている。
【0053】
これに対して検査装置45では、光検出器30の光検出面の前方に紫外光カットフィルタ(遮断フィルタ)46を配置している。なお、検査装置45は、光検出器30の前方に紫外光カットフィルタ46を配置している点を除けば、基本的には第1実施形態の検査装置10と同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0054】
光源29から照射された紫外光がホルダ13や蓋14の表面で光検出器30に向けて正反射した場合でも、この正反射光を紫外光カットフィルタ46で遮断することができる。その結果、光検出器30による正反射光の受光を確実に防止することができる。また、この場合には、光検出器30を血液濾過ユニット11の直上位置に配置することなく、任意の位置に配置することができる。なお、光源29から出射される光の種類に応じて、光検出器30の前方に配置される遮断フィルタの種類は適宜変更される。
【0055】
[第3実施形態]
次に、図7ないし図9を用いて本発明の第3実施形態の検査装置49について説明を行う。上記第1実施形態の検査装置10には光検出器30が設けられているが、検査装置49では、光検出器30の代わりにエリアカメラ50が設けられている。また、光源29としては、紫外LEDスポット照明の代りにリング状の紫外LED照明29a(以下、リング照明という)が設けられている。リング照明29aは、図8に示すようにLEDが円形状に並べられて構成され、円形状の中心部は中空となっている。なお、検査装置49は、基本的には第1実施形態の検査装置10と同じ構成であるため、上記第1実施形態と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0056】
エリアカメラ50は、蓋14の直上に配置されている。なお、図9中では、エリアカメラ50がリング照明29aの中央に配置されているが、リング照明29aよりも上方または下方に配置されていてもよい。エリアカメラ50は、エリアセンサ50aを備えている。
【0057】
エリアセンサ50aは、複数の受光素子(図示せず)が2次元配列された受光面を有しており、この受光面は複数の受光領域に分割されている。これにより、エリアセンサ50aにより取得される撮影画像は、収納室18内のエリアを複数に分割した小エリア51(図11参照)ごとのエリア画像により構成される。この撮影画像は、装置本体52に入力される。
【0058】
装置本体52は、第1実施形態と同じCPU33及びモニタ35と、第1実施形態とは異なる判別回路53とを備えている。判別回路53は、抽出回路54と、輝度検出回路55とを備えている点を除けば、第1実施形態の判別回路34と基本的には同じ構成である。
【0059】
抽出回路54は、エリアセンサ50aから入力された撮影画像の中から、カップ22が設けられている特定の小エリア(以下、特定小エリアという)51aのエリア画像を抽出する。具体的に抽出回路54は、撮影画像を構成する各小エリア51のエリア画像の中から、パターン認識やテンプレートマッチング等の各種方法を用いて、特定小エリア51aのエリア画像を抽出する。この特定小エリア51aのエリア画像は、輝度検出回路55に入力される。
【0060】
輝度検出回路55は、エリアカメラ50とともに本発明の光検出手段を構成している。輝度検出回路55は、特定小エリア51aのエリア画像の輝度信号に基づき、特定小エリア51aのエリア画像の平均輝度を検出する。この平均輝度は、第1実施形態で検出される収納室18内の蛍光光量に相当するものとなる。ここで、「光量」は光束を時間について積分した量であり、「輝度」は光を発する光源の単位面積あたりの光度であり、さらに「光度」は光源から放射される光量を単位立体角あたりの光束量で表したものであるので、光量と輝度との間には相関関係がある。特定小エリア51aのエリア画像の平均輝度は、第1〜第2比較回路37,38にそれぞれ入力される。
【0061】
第1〜第2比較回路37,38は、第1実施形態の蛍光光量Pに相当する平均輝度を、2段階の低光量しきい値Ta及び高光量しきい値Tbと比較する。なお、低光量しきい値Ta及び高光量しきい値Tbは、特定小エリア51aの面積、濾過フィルタ16の面積や品種、孔26の口径などに応じて、実験やシミュレーション等により求められた最適な値に設定される。
【0062】
次に、図10を用いて上記構成の検査装置49の作用について説明を行う。なお、検査開始操作によりリング照明29aが紫外光を照射するまでの処理は、上記第1実施形態と同じであるのでここでは説明を省略する。
【0063】
リング照明29aからの紫外光の照射が開始された後、CPU33は、エリアカメラ50による撮影を実行させるとともに、判別回路53を作動させる。これにより、エリアセンサ50aによる血液濾過ユニット11の上面の撮影が実行されて、この撮影により得られた撮影画像が抽出回路54に入力される。
【0064】
図11に示すように、抽出回路54は、エリアセンサ50aから入力された撮影画像を構成する各小エリア51のエリア画像の中から、パターン認識等により特定小エリア51a(網掛け線で表示)のエリア画像を抽出する。この特定小エリア51aのエリア画像は、輝度検出回路55に入力される。輝度検出回路55は、特定小エリア51aのエリア画像の平均輝度を検出し、この検出結果を第1〜第2比較回路37,38にそれぞれ送る。
【0065】
以下、蛍光光量Pに相当する平均輝度に基づき、第1実施形態と同様にして第1〜第2比較回路37,38による比較処理が実行された後、判定回路39による判定処理が実行される。これにより、収納室18内の濾過フィルタ16の有無及びその表裏を自動的に判別することができるので、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0066】
さらに、収納室18の略中央に位置する特定小エリア51aを測定対象とし、血漿通路23を含むおそれがある他の小エリア51を測定対象外としたので、血漿通路23の表面で正反射した紫外光の正反射光が判別回路53による判別に影響を及ぼすことが防止される。その結果、濾過フィルタ16の有無及びその表裏の判別を精度良く行うことができる。
【0067】
上記第3実施形態では、抽出回路54が各小エリア51の中でカップ22が設けられている小エリア51を特定小エリア51aとして抽出しているが、血漿通路23が設けられていない他の小エリア51を特定小エリア51aとして抽出してもよい。また、2以上の小エリア51を特定小エリア51aとして抽出してもよい。
【0068】
上記第3実施形態では、収納室18内のエリアを15個の小エリア51に分割しているが、このエリア分割数は14以下または16以上であってもよい。また、輝度検出回路55は、特定小エリア51aのエリア画像の平均輝度を検出しているが、例えば平均輝度の代わりにエリア画像の最大輝度または最小輝度を蛍光光量Pに相当するものとして検出してもよい。
【0069】
[第4実施形態]
次に、図12を用いて本発明の第4実施形態の検査装置60について説明を行う。上記第3実施形態では、エリアセンサ50aが取得した撮影画像を基に濾過フィルタ16の有無及びその表裏の判別を行っているが、検査装置60では濾過フィルタ16の表面への異物の付着による不良(以下、単に異物不良という)の発生の有無の判別も並行して行う。
【0070】
検査装置60は、判別回路53の代わりに判別回路61を備えている点を除けば第3実施形態の検査装置49と基本的には同じ構成であるので、第3実施形態と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0071】
判別回路61は、本発明の判別手段に相当する組立不良判別回路63と異物不良判別回路64とからなる。なお、判別回路61では、エリアセンサ50aから入力された撮影画像が組立不良判別回路63と異物不良判別回路64とにそれぞれ入力される。組立不良判別回路63は、第3実施形態の判別回路53と基本的に同じものであり、濾過フィルタ16の有無及びその表裏の判別を行うことで、組立不良の発生の有無を判別する。なお、組立不良とは、濾過フィルタ16がセットされていない、あるいは濾過フィルタ16の表裏面が上下逆にセットされていることである。
【0072】
異物不良判別回路64は、エリアセンサ50aから入力される撮影画像に基づき、異物不良の発生の有無を判別する。最初に異物不良判別回路64は、撮影画像を構成する各小エリア51のエリア画像の中から、収納室18が含まれる全ての小エリア51を検査対象領域として決定する。
【0073】
次いで、異物不良判別回路64は、検査対象領域の全ての小エリア51のエリア画像の全画素の輝度を比較する。濾過フィルタ16に異物が付着している場合には、蛍光が異物により遮られるため、異物付着箇所に対応する画素の輝度は他の画素の輝度よりも低くなる。このため、異物不良判別回路64は、検査対象領域の中に輝度の低い画素が存在するのか否かに基づき、異物不良の発生の有無を判別する。この判別結果はCPU33に入力される。
【0074】
CPU33は、組立不良判別回路63と異物不良判別回路64とからそれぞれ入力された2種類の判別結果を同時にモニタ35に表示させる。なお、操作パネルに対する表示切替操作に応じて、2種類の判別結果を選択的にモニタ35に表示させてもよい。濾過フィルタ16の有無及びその表裏の判別と、異物不良の有無の判別とを1つの検査装置で実行することができるので、従来よりも安価かつ迅速に組立不良及び異物不良の検査を実施することができる。
【0075】
[第5実施形態]
次に、図13を用いて本発明の第5実施形態の血液濾過ユニット製造機(以下、単に製造機という)68について説明を行う。この製造機68には、そのライン上流側からライン下流側に向かって、組立装置69と検査装置10と仕分装置70とが順番に配置されている。
【0076】
組立装置69は、ホルダ13の収納室18内に濾過繊維15及び濾過フィルタ16をセットするとともに、収納室18の開口部に蓋14を密着固定して、血液濾過ユニット11の組み立てを行う。この組立装置69で組み立てられた血液濾過ユニット11は、搬送装置71により仕分装置70に向かって逐次搬送される。また、組立装置69は、検査装置10の検査結果を監視し、検査装置10で不良品が発見されたときには血液濾過ユニット11の組み立てを停止する。
【0077】
検査装置10は仕分装置70の近傍に配置されている。検査装置10は、搬送装置71により搬送される血液濾過ユニット11を1個ずつ検査して、濾過フィルタ16の有無及びその表裏を判別する。検査装置10のCPU33は、判別結果をモニタ35の他に組立装置69と仕分装置70とにそれぞれ送る。
【0078】
仕分装置70は、搬送装置71により搬送される血液濾過ユニット11のうち、検査装置10で正常品と判断された血液濾過ユニット11を正常品の集積所(以下、正常品集積所という)72aに送る。また、仕分装置70は、不良品と判断された血液濾過ユニット11を不良品の集積所(以下、不良品集積所という)72bに送る。
【0079】
次に、図14を用いて第5実施形態の製造機68の作用について説明を行う。製造機68の運転開始操作がなされると、組立装置69が血液濾過ユニット11の組み立てを行い、血液濾過ユニット11を搬送装置71にセットする。搬送装置71は、血液濾過ユニット11を仕分装置70に向けて搬送する。そして、搬送装置71は、搬送の途中で血液濾過ユニット11が検査装置10の直下の所定の検査位置に到達したときに搬送を一時的に停止する。
【0080】
血液濾過ユニット11が検査位置に到達すると、検査装置10が作動してその判定回路39が「NG(濾過フィルタ無)」、「NG(濾過フィルタ裏)」、及び「OK」のいずれかの判定を行う。CPU33は、判定結果をモニタ35と組立装置69と仕分装置70とにそれぞれ出力する。判定結果が「NG(濾過フィルタ無)」または「NG(濾過フィルタ裏)」の場合には、その旨がモニタ35に表示されるので、不良の発生を早期にオペレータに知らせることができる。
【0081】
検査装置10による検査が終了すると、搬送装置71による搬送が再開される。これにより、検査済みの血液濾過ユニット11が仕分装置70内に送り込まれる。
【0082】
仕分装置70は、CPU33から入力された判定結果に基づき、新たに送り込まれた血液濾過ユニット11が正常品である場合には、この血液濾過ユニット11を正常品集積所72aに送る。逆に仕分装置70は、新たに送り込まれた血液濾過ユニット11が不良品である場合には、この血液濾過ユニット11を不良品集積所72bに送る。これにより、正常品と不良品とが混在することが防止される。
【0083】
また、組立装置69は、CPU33から入力された判定結果が「OK」である間は血液濾過ユニット11の組み立てを続行する。一方で組立装置69は、CPU33から「NG(濾過フィルタ無)」、「NG(濾過フィルタ裏)」の判定結果が入力されたときは、血液濾過ユニット11の組み立てを停止する。これにより、不良品の更なる生産が防止されるので、ロスを低減させることができる。
【0084】
組立装置69は、不具合が改善された後に、オペレータにより運転開始操作がなされることで、血液濾過ユニット11の組み立てを再開する。以下、製造機68が停止されるまで上述の処理が繰り返し実行される。
【0085】
上記第5実施形態では、製造機68に第1実施形態の検査装置10を配置しているが、第2〜第4実施形態の検査装置45,49,60を代わりに配置してもよい。なお、第4実施形態の検査装置60を配置した場合には、異物不良が発見されたときにも、組立不良が発見されたときと同様の処理を行う。
【0086】
上記各実施形態では、紫外光を受けて蛍光発光するポリスルホンを含む濾過フィルタ16の有無及びその表裏の判別を例に挙げて説明を行ったが、ポリスルホンを含むメンブレンフィルタや中空糸膜フィルタなどの各種フィルタの有無及びその表裏の判別に本発明を適用することができる。また、ポリスルホン以外の紫外光を受けて蛍光発光する他の材料、あるいは紫外光とは波長の異なる光を受けて蛍光発光する材料を含む各種フィルタの有無及びその表裏の判別にも本発明を適用することができる。
【0087】
上記各実施形態では、孔26の口径D1が口径D2よりも小さく形成されている濾過フィルタ16の有無及びその表裏の判別について説明を行ったが、複数の素材を積層してなる場合を含め、表面と裏面との表面状態が異なることで表裏面の蛍光発光量に差が生じる各種フィルタの有無及びその表裏の判別に本発明を適用することができる。
【0088】
上記各実施形態では、血液濾過ユニット11内における濾過フィルタ16の有無及びその表裏を判別しているが、各種の収納容器内における、特定波長の光を受けて蛍光発光する各種フィルタの有無及びその表裏の判別に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
10,45,49,60 検査装置
11 血液濾過ユニット
13 ホルダ
14 蓋
15 血球濾過繊維
16 血球濾過フィルタ
29 光源
29a リング照明
30 光検出器
33 CPU
34,53,61 判別回路
37 第1比較回路
38 第2比較回路
39 判定回路
50 エリアカメラ
50a エリアセンサ
54 抽出回路
55 輝度検出回路
68 製造機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の波長の光を吸収して蛍光発光する材料を含みかつ表面と裏面とで表面状態が異なるフィルタを収納する収納室と、前記収納室内の前記フィルタへ液体を導く液入口と、当該フィルタを透過した液体を前記収納室外へ導く液出口とを有する透明な収納容器内における、前記フィルタの存在の有無とその表裏を判別する検査装置において、
前記収納容器外に設けられ、前記収納容器を通して前記収納室内へ前記光を照射する光源と、
前記収納容器外に設けられ、前記収納容器を通して前記収納室内に生じた蛍光の光量を検出する光検出手段と、
前記光検出手段の検出結果を、前記フィルタの存在の有無に応じて予め定めた前記光量の第1しきい値、及び前記フィルタの表裏面の表面状態の違いに応じて予め定めた、前記第1しきい値よりも大きい前記光量の第2しきい値とそれぞれ比較して、前記フィルタの存在の有無及びその表裏を判別する判別手段と、
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記フィルタはその表裏面を貫通する多数の孔を有するとともに、前記表面の孔の平均口径よりも前記裏面の孔の平均口径が大きく形成されており、
前記判別手段は、前記光検出手段の検出結果が前記第1しきい値以下のときに、前記収納室内に前記フィルタが無いと判別するとともに、前記検出結果が前記第2しきい値を上回るときに、前記フィルタの前記光が照射された面が裏面であると判別することを特徴とする請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
前記収納室内には、前記フィルタと前記液入口との間に位置するように、前記光の照射を受けても蛍光発光しない濾過繊維が設けられており、
前記光源は、前記濾過繊維の前記フィルタと対向する面上に向けて前記光を照射可能な位置に配置されているとともに、前記光検出手段は、前記面上で生じた蛍光を検出可能な位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の検査装置。
【請求項4】
前記収納容器は、上面が開口しかつ前記フィルタの外周を囲む有底筒状に形成されたホルダであって、その内周面により形成された前記収納室、及び底面に設けられた前記液入口を有するホルダと、前記液出口を有し、前記ホルダの上面の開口を塞ぐ蓋とからなり、
前記光源は、前記蓋の直上位置に配置されているとともに、
前記光検出手段は、前記直上位置に対して斜めに傾いた位置に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の検査装置。
【請求項5】
前記収納容器は、上面が開口しかつ前記フィルタの外周を囲む有底筒状に形成されたホルダであって、その内周面により形成された前記収納室、及び底面に設けられた前記液入口を有するホルダと、前記液出口を有し、前記ホルダの上面の開口を塞ぐ蓋とからなり、
前記光源は、前記蓋の直上位置に配置されたリング照明であるとともに、
前記光検出手段は、前記蓋の直上位置に配置され、前記収納室内のエリアを複数に分割した小エリアごとのエリア画像を取得するエリアカメラと、前記エリアカメラが取得した特定の小エリアのエリア画像の輝度を、前記光量に相当するものとして検出する輝度検出手段とを備え、
前記判別手段は、前記輝度検出手段の検出結果と、前記第1しきい値及び第2しきい値とを比較して、前記フィルタの存在の有無及びその表裏を判別することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の検査装置。
【請求項6】
前記判別手段は、前記エリア画像を解析して、前記フィルタの前記光が照射された面上への異物の付着の有無を判別することを特徴とする請求項5記載の検査装置。
【請求項7】
前記光検出手段は、その光検出面の前方に前記光を遮断する遮断フィルタを備えることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の検査装置。
【請求項8】
前記フィルタは、血液中の血球を除去して血漿を通す血球濾過フィルタであることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載の検査装置。
【請求項9】
前記蛍光発光する材料は、ポリスルホンであることを特徴とする請求項1ないし8いずれか1項記載の検査装置。
【請求項10】
特定の波長の光を吸収して蛍光発光する材料を含みかつ表面と裏面とで表面状態が異なるフィルタを収納する収納室と、前記収納室内の前記フィルタへ液体を導く液入口と、当該フィルタを透過した液体を前記収納室外へ導く液出口とを有する透明な収納容器内に、前記フィルタを組み込んで濾過ユニットを生成する組込装置と、
前記収納容器内における前記フィルタの存在の有無とその表裏を判別する請求項1ないし9いずれか1項記載の検査装置と、
を備えることを特徴とする濾過ユニットの製造機。
【請求項11】
特定の波長の光を吸収して蛍光発光する材料を含みかつ表面と裏面とで表面状態が異なるフィルタを収納する収納室と、前記収納室内の前記フィルタへ液体を導く液入口と、当該フィルタを透過した液体を前記収納室外へ導く液出口とを有する透明な収納容器内における、前記フィルタの存在の有無とその表裏を判別する検査方法において、
前記収納容器外から、前記収納容器を通して前記収納室内へ前記光を照射する照射ステップと、
前記収納容器外から、前記収納容器を通して前記収納室内に生じた蛍光の光量を検出する検出ステップと、
前記検出ステップでの検出結果を、前記フィルタの存在の有無に応じて予め定めた前記光量の第1しきい値、及び前記フィルタの表裏面の表面状態の違いに応じて予め定めた、前記第1しきい値よりも大きい前記光量の第2しきい値とそれぞれ比較して、前記フィルタの存在の有無及びその表裏を判別する判別ステップと、
を有することを特徴とする検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−225708(P2012−225708A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92080(P2011−92080)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】